○
政府委員(
藤井貞夫君) 今回御
提案を申し上げております新
市町村建設促進法の一部を
改正する
法律案の
内容につきまして、補足的に御
説明を申し上げたいと思います。
今回の
改正案の
内容の
骨子は
三つございます。
その
一つは、
合併計画に基きまする
知事の
勧告につきまして、その後の
情勢の変化に基いて、
計画改定の道を開こうということでございます。
その第二点は、今申し上げました
計画改定に伴いまして、将来生ずるかもしれない
紛争の
解決の
方法につきまして、同じく
措置を講じようとすることであります。
その第三点は、新
市町村が他の
市町村と
合併いたした場合、これはいわば
計画外の
合併に相なるわけでございますが、その主体の
一つが新
市町村でございますので、この
計画自体は
計画外でございまするけれども、
当該市町村につきましては、これを新
市町村としての
取扱いをやって参ろうということでございます。
第一点の
合併計画の
変更についての条項でございますが、これは、
法律案の二ページから三ページにかけてございまする第二十九条の二というのが、この
案件に当るものでございます。二ページの終の方から三ページの
まん中ごろにかけてのその
改正案がこれでございまして、すなわち、
知事は、第二十八条第一項の
勧告をいたしました
計画につきまして、その後の
事情の
変更によって、特に必要があるという場合におきましては、来年の三月三十一日までの間において、同項の
計画を
変更した上で、これを
関係市町村に
勧告することができるという
条文に相なっておるのであります。これは、御
承知のように、
町村合併に関する
知事の
勧告は、現在の
建設促進法の第二十八条の第一項に掲げられておるのでありますが、これは、昨年の三月三十一日までの間において
勧告をやるということに相なっておりまして、その
期限がすでに
経過をしました現在、
勧告に基く
町村合併が行われておるのであります。しかしながら、なお、
勧告に基く
合併が残ったままで、そのまま推移をいたしております
町村が、全国で五百程度まだ残っておるのであります。全体の
計画に対しましては、ほぼ
目的通り達成をいたしておりまして、国の
計画に対しては一〇四%、なお、県で立てました
計画に対しましては九四%の
達成率を示しておるのでありますが、なお、
知事勧告を受けましたものについて残っておりまする未
合併町村の数というものが、五百余を数えておるという
状況でございます。これらにつきましては、今まで数年にわたっていろいろ勧奨その他の
措置を講じて参ったのでありますが、なお、いろんなむずかしい
事情がございまして、今日までその
勧告通りの
合併が
達成をされておらないということに相なっておるのであります。全体といたしまして、
合併がほぼ
目的通り達成をいたしておるわけでございますが、もう全体の態勢といたしましては、新
市町村の
建設促進ということに全面的に切りかえをして参らなければならぬ時期に来ておりますが、全国的にいってそれほど数が多いというわけでなくとも、なお未
合併町村が残っておりますと、どうしてもその方の
処理に手をとられます
状況もございまして、新
市町村の
建設にどうも本腰が入って参らないという
事態も、これは見のがすわけに参りません。そういうことで、この際は、未
合併町村の
合併という問題について、できるだけすみやかに
終止符を打つ
方向に持って参りたいというのがこの
考え方の
骨子でございます。そのためには、昨年の三月三十一日までに
勧告をいたしました
合併案件につきまして、いろいろ
合併できないための
状況というのは、
案件によってそれぞれ雑多でございますが、
事情に基きましては、その
計画通りに押し進めるということがどうにも無理である、
県自体としても、その
計画についてある程度
変更を加えていくということによって、
合併自体に
終止符を打てるものがあるという
見通しに立っておるものも、中にはかなり出て参っておるのであります。しかも、その
変更いたしますこと
自体が、そう著しく不合理ではない、また中には、
変更いたしますることによりまして、むしろ
合併推進自体が非常に顕著な
効果をあげるというような場合も出て参っておりますので、この際思い切って、
計画について、その後の
情勢の
変更によって必要のある向きについては、これを
変更する道を開いていこうではないかということで、この
条文を
挿入いたした、かように考えておるのであります。私
たちの
考え方といたしましては、未
合併町村について、五百有余あるものに関しまして、大体
三つの分類をいたしたい、かように考えておるのであります。
その第一は、
合併の
推進ということがやはり
必要性が顕著であると認められる部類。これにつきましては、やはり
従前通りの方針をもちまして、すみやかに
合併が
達成できるように処置して参りたいというふうに考えておる
グループでございます。
その第二の
グループは、
合併計画自体は適当である。適当であるけれども、それは、将来
関係町村の間において
合併の気運が盛り上ってきた場合に、それは
一つの
方向を示すという意味において考えていきたいという
グループが第二でございます。
第三は、この際むしろ思い切って、今までの
計画自体は
勧告の対象にはなっておるけれども、この村については、これを
合併不可能町村に落す、あるいは
適正規模町村に準ずるものとして
計画からはずす、こういう
措置を講じて参ることが適当であると認められる
グループ。
以上、
三つの
グループに分けまして、それぞれに適した
措置を講じて参りたい、かように考えておるのであります。去る六月あたりから、われわれといたしましては、大体そういう
計画のもとに、
関係の
県当局とも寄り寄り
ブロック会議等を開きまして、打ち合せを進めてきておるのであります。大体の
見通しはついて参っているわけでございますが、本
法律案が
幸い成立をいたしました暁におきましては、正式の
手続として、
知事においてさらに
検討を加えまして、それぞれ県にございまする
建設促進審議会の
意見を聞いて、この
計画の改訂を行う道を開きたい、これによりまして、できるだけすみやかに未
合併町村の
合併推進という問題については
終止符を打って参りたい、これがこの二十九条の二のねらいでございます。
それから、第二の点でございまする、いわゆる
境界変更に関する
紛争の
処理の問題でございますが、これは一ページの
まん中にございまする二十七条の二、これは新しく
挿入をいたしました
条文でございますが、二十七条の二の
条文がこれに当るわけでございまして、今申し上げましたように、
合併計画自体を
改定をするという
措置に出ました場合におきまして、この
計画改定に伴って
境界変更に関する
紛争が起きて参るということは、これは予想がつくのであります。すなわち、ある村がありまして、Aという村が、
従前の
勧告になっておりまする
計画については、
B町に
合併すべきものであるというふうにされておった。ところが、諸般の
事常を勘案をして、今度は
反対側の
C町の方に
合併勧告をかけることが適当であるというふうに出て、
計画が
改定されることになったといたしまする場合において、
A村の内部において、全然それは問題がないという場合は、大して
紛争もないわけでありまするが、
方向が変りまするために、ときといたしましては、いわゆるただいま申しました
A村の中の
B町寄りの
地区等において、
自分たちは
C町に参ることは適当でないというような
紛争が起ることも予想せられるのであります。ところが、現在の
境界変更に関する
紛争調停あっせんの
制度は、これまた、先刻申し上げました
合併の
勧告と同様に、二十七条
自体に書いておりまするように、三十二年の三月三十一日、去年の三月三十一日までに
合併調整委員に
あっせんを行わせ、またはその
調停に付するという
制度が置かれておりました結果、この
期限がすでに
経過をいたしてしまっておるのでありまして、これを
援用するすべがなくなってしまっておるのであります。ところが、今度の
計画を
改定をするという新しい
事態が起って参ったのでございまするので、これに伴う
紛争というものについて、やはり
解決の
法的手段を準備をいたしておきますることが適当ではないかというふうに考えまして、この
規定を
挿入をいたした次第でございます。さらに、
紛争解決の問題に関連をいたしまして、二十七条の十三項の
規定、これは一ページの初めから四行目にございますが、二十七条の第十三項につきまして
改正をいたしたいというふうに考えておるのでありますが、これは、具体的に申しまして、これによってたくさん問題を拾い上げていくというつもりは、われわれといたしましては毛頭ございません。御
承知のように、大へん御心配をかけておりました、
県境にまたがりまするいわゆるまるまる
合併の問題につきましては、まずまず、いろいろの問題もございましたが、一応の落着を去る九月三十日までにつけたのでございます。ところで、その間に問題に相なって、
中央の
審議会にかかっておりましたまるまる
合併の
案件の中で、
群馬と
栃木にまたがりまする
県境の
合併問題、すなわちその中で、
群馬県の
矢場川村というものを
栃木県の
足利市に
編入をするという問題につきましては、
中央審議会において御
審議をいただいた結果、
答申においては、いろいろ
事情も考慮して、
足利市に
編入ということはその時期ではない。いわゆる
合併を否とするという結論が出ておるのであります。ただし、その
答申の中に、
当該矢場川村の特に
足利市
隣接の
地域において、いろいろな
情勢からいって、
足利市に
編入することが適当であると認められる市政、交通、経済その他の
客観的情勢が存在をいたしておる。また同時に、
当該地域住民の大多数も、
足利市
編入を非常に熾烈に要望しておる事実がある。従って、この間の
境界変更の問題については、
政府においてよく
関係当局と
意見の
調整をはかってその
手続を進めるようにという
答申が出ておるのであります。私
たちといたしましては、その後
関係当局と円満な
話し合いによる
境界変更の問題というものを進めておるのでありますが、まだ機運が最終的に熟すような
段階には至っておらないのであります。そこで、法的にこれを完補いたしまする
方策といたしまして、来年の三月三十一日までの間において、都道府県の
境界にまたがる一部の
町村合併の
区域の
変更という問題につきましても、
調停あっせんの
制度を採用し得る道を開いて置こうというのが、二十七条第十三項の
改正であるわけでございます。ただし、この点については、今申し上げましたように、これを広く適用をするということは考えておりません。われわれ現在考えておりますのは、今具体的に申し上げました、
栃木と
群馬との
県境にまたがる問題だけというふうに考えておるのでありまするし、なお、この問題の
解決につきましても、
法律を真正面に立ててこれを
援用をいたしていくということは、これは最終のぎりぎりの場合の
措置でございまして、それまでの
措置といたしましては、両者間における、あるいは
関係当事者間における円満な
話し合いを進めて、自主的に
合併が行われるように、
境界変更の
措置が行われまするように、なお事実上の
あっせんにわれわれとしては全力を傾けていきたい、かように考えておる次第でございます。
それから、第三点の
改正の要点といたしまして、新
市町村が他の
市町村と
合併をいたした場合の
関係につきまして、これは、三ページの
まん中からちょっと左にございまする三十条の二の
改正条文がこれに当るわけでございます。すなわち、新
市町村がここにすでに
誕生をいたしておる。その新
市町村が、その後の
情勢によりまして、なおその
規模を適正化することが必要である。その
区域をさらに拡大をいたしますることが適当であるという
判断に立ちまして、
隣接の他の
市町村と
町村合併をいたした場合におきましては、これは、新しくできました
市町村というものの中には、
一つあるいは
二つあるいはそれ以上の新
市町村というものが含まれておるのであります。含まれたものとしてここに
市町村が
誕生をいたしておるのであります。ただ、この
市町村が、
法律の形式から申しますると、
現行法上、これを一体的に見ました場合においては、新
市町村とは言いがたいということになるのであります。なるほど
勧告の
計画外の
合併でありまするからして、それは新
市町村として取り扱わなくても一向差しつかえないのではないかという
考え方もあり得るかもしれませんが、しかし、新
市町村自体がその中に入っておって、しかも、
県当局といたしましても、その
合併が不適当なものであるというふうに認定をせずに、むしろこれを適当として、
県会にもかけて議決をいたしておる
案件でございまするので、むしろこういうものにつきましては、これを新
市町村として
取扱い、
法律上の新市町、村としての扱いを表面的にもまた実質的にもやって参りますることが、実情に適する
ゆえんではないかというふうに考えられることに思いますので、この点についての
改正を行いたいというのが、三十条の二の
改正条文の
趣旨でございます。
それから最後には、四ページの二行目からの
附則の
改正でございますが、この
内容は、今申し上げましたように、三十条の二の
規定によって新
市町村とみなされる
市町村、すなわち、新
市町村が
計画外の
合併をやったと、その相手方が新
市町村であります場合もありますし、また、新
市町村でないものもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、その単位を構成をいたしまする新
市町村というものが他の
市町村と
合併をして、ここに新
市町村が
誕生をしたという場合の
取扱いについて
規定をいたしたものでございます。すなわち、
現行法におきましては、いわゆる
地方交付税の額の
算定の
方法に関しまして、いわゆる特例を設けております。すなわち、大まかに申しますと、新
市町村がここに生まれると、
二つの
町村が
合併して新しい町になったという場合におきまして、
交付税の
算定といたしましては、新しいやっぱり一体的な
町村の
立場から、新しい
財政需要を
算定をして、
交付税を
算定いたすのでありますが、その場合におきまして、なお
従前の
町村に
割り当てらるべき
交付税の額より新
市町村に対する
交付税の額が下回るという場合におきましては、前の
町村にそれぞれ
割り当てらるべき
交付税の
合計額を下らないというふうに、これを保障していこうという
規定が
現行法の
附則六項に掲げておるわけであります。しかも、これをいつまでもそういうふうにやっていくというのもどうであろうかということで、
現行法では、これが新
市町村になった場合、いわゆる
町村合併が行われた日から五カ年間これを保障していこうということに相なっておるのであります。ところが、今度新
市町村がほかの
市町村と
合併をしたために、新
市町村とみなすということに相なります場合におきましては、このままこの
条文を適用いたしまする場合においては、すでに新
市町村としていわゆる特別の
取扱いを受けておりまする年月日からさらに五年の
起算点というものが、黙っておれば、さらに新
市町村とみなされるところにまで
起算点が繰り下げられてくるということになりまして、事実上すでに今まで新
市町村としての
取扱いを受けておりました期間が二年であるといたしますると、この
規定によりまして、場合によっては、これが黙っておれば七年になるということになるわけでありまして、そうなりますと、他の
市町村との
取扱い上
均衡を欠くということにも相なって参りますので、その
起算点を、「
当該市町村の
区域の一部となった
従前の
市町村が新
市町村となった
町村合併の行われた日」を、いわゆる前に新
市町村となった日を、その「
町村合併の行われた日」にこの
起算点を読みかえていくという量によって、他の新
市町村との
均衡を保持していこうというのが
附則第七項の
改正の
趣旨でございます。
以上、ごく概略の御
説明で、
説明が十分ではなかったかと思いますが、一応補足的に
法律案の
内容の
趣旨を御
説明申し上げた次第でございます。