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1958-10-28 第30回国会 参議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月二十八日(火曜日)    午前十時三十四分開会   —————————————   委員異動 十月二十七日委員加藤シヅエ君、高田 なほ子君及び亀田得治君辞任につき、 その補欠として中田吉雄君、加瀬完君 及び成瀬幡治君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中 啓一君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            占部 秀男君            鈴木  壽君    委員            小林 武治君            西郷吉之助君            館  哲二君            成田 一郎君            本多 市郎君            森 八三一君   国務大臣    国 務 大 臣 愛知 揆一君   政府委員    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁行政局長 藤井 貞夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁行政局振    興課長     吉浦 浄真君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○新市町村建設促進法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 田中啓一

    委員長田中啓一君) これより委員会を開きます。  まず、委員異動を報告いたします。  昨二十七日、加藤シヅエ君、高田なほ子君、亀田得治君が辞任され、中田吉雄君、加瀬完君、成瀬幡治君がそれぞれ補欠選任されました。   —————————————
  3. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 昨日の理事会協議の結果に従いまして、本日は、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題に供します。  本案に対する提案理由説明は、すでに聴取いたしておりますので、これより詳細説明をまず聴取いたします。
  4. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今回御提案を申し上げております新市町村建設促進法の一部を改正する法律案内容につきまして、補足的に御説明を申し上げたいと思います。  今回の改正案内容骨子三つございます。  その一つは、合併計画に基きまする知事勧告につきまして、その後の情勢の変化に基いて、計画改定の道を開こうということでございます。  その第二点は、今申し上げました計画改定に伴いまして、将来生ずるかもしれない紛争解決方法につきまして、同じく措置を講じようとすることであります。  その第三点は、新市町村が他の市町村合併いたした場合、これはいわば計画外合併に相なるわけでございますが、その主体の一つが新市町村でございますので、この計画自体計画外でございまするけれども、当該市町村につきましては、これを新市町村としての取扱いをやって参ろうということでございます。  第一点の合併計画変更についての条項でございますが、これは、法律案の二ページから三ページにかけてございまする第二十九条の二というのが、この案件に当るものでございます。二ページの終の方から三ページのまん中ごろにかけてのその改正案がこれでございまして、すなわち、知事は、第二十八条第一項の勧告をいたしました計画につきまして、その後の事情変更によって、特に必要があるという場合におきましては、来年の三月三十一日までの間において、同項の計画変更した上で、これを関係市町村勧告することができるという条文に相なっておるのであります。これは、御承知のように、町村合併に関する知事勧告は、現在の建設促進法の第二十八条の第一項に掲げられておるのでありますが、これは、昨年の三月三十一日までの間において勧告をやるということに相なっておりまして、その期限がすでに経過をしました現在、勧告に基く町村合併が行われておるのであります。しかしながら、なお、勧告に基く合併が残ったままで、そのまま推移をいたしております町村が、全国で五百程度まだ残っておるのであります。全体の計画に対しましては、ほぼ目的通り達成をいたしておりまして、国の計画に対しては一〇四%、なお、県で立てました計画に対しましては九四%の達成率を示しておるのでありますが、なお、知事勧告を受けましたものについて残っておりまする未合併町村の数というものが、五百余を数えておるという状況でございます。これらにつきましては、今まで数年にわたっていろいろ勧奨その他の措置を講じて参ったのでありますが、なお、いろんなむずかしい事情がございまして、今日までその勧告通り合併達成をされておらないということに相なっておるのであります。全体といたしまして、合併がほぼ目的通り達成をいたしておるわけでございますが、もう全体の態勢といたしましては、新市町村建設促進ということに全面的に切りかえをして参らなければならぬ時期に来ておりますが、全国的にいってそれほど数が多いというわけでなくとも、なお未合併町村が残っておりますと、どうしてもその方の処理に手をとられます状況もございまして、新市町村建設にどうも本腰が入って参らないという事態も、これは見のがすわけに参りません。そういうことで、この際は、未合併町村合併という問題について、できるだけすみやかに終止符を打つ方向に持って参りたいというのがこの考え方骨子でございます。そのためには、昨年の三月三十一日までに勧告をいたしました合併案件につきまして、いろいろ合併できないための状況というのは、案件によってそれぞれ雑多でございますが、事情に基きましては、その計画通りに押し進めるということがどうにも無理である、県自体としても、その計画についてある程度変更を加えていくということによって、合併自体終止符を打てるものがあるという見通しに立っておるものも、中にはかなり出て参っておるのであります。しかも、その変更いたしますこと自体が、そう著しく不合理ではない、また中には、変更いたしますることによりまして、むしろ合併推進自体が非常に顕著な効果をあげるというような場合も出て参っておりますので、この際思い切って、計画について、その後の情勢変更によって必要のある向きについては、これを変更する道を開いていこうではないかということで、この条文挿入いたした、かように考えておるのであります。私たち考え方といたしましては、未合併町村について、五百有余あるものに関しまして、大体三つの分類をいたしたい、かように考えておるのであります。  その第一は、合併推進ということがやはり必要性が顕著であると認められる部類。これにつきましては、やはり従前通りの方針をもちまして、すみやかに合併達成できるように処置して参りたいというふうに考えておるグループでございます。  その第二のグループは、合併計画自体は適当である。適当であるけれども、それは、将来関係町村の間において合併の気運が盛り上ってきた場合に、それは一つ方向を示すという意味において考えていきたいというグループが第二でございます。  第三は、この際むしろ思い切って、今までの計画自体勧告の対象にはなっておるけれども、この村については、これを合併不可能町村に落す、あるいは適正規模町村に準ずるものとして計画からはずす、こういう措置を講じて参ることが適当であると認められるグループ。  以上、三つグループに分けまして、それぞれに適した措置を講じて参りたい、かように考えておるのであります。去る六月あたりから、われわれといたしましては、大体そういう計画のもとに、関係県当局とも寄り寄りブロック会議等を開きまして、打ち合せを進めてきておるのであります。大体の見通しはついて参っているわけでございますが、本法律案幸い成立をいたしました暁におきましては、正式の手続として、知事においてさらに検討を加えまして、それぞれ県にございまする建設促進審議会意見を聞いて、この計画の改訂を行う道を開きたい、これによりまして、できるだけすみやかに未合併町村合併推進という問題については終止符を打って参りたい、これがこの二十九条の二のねらいでございます。  それから、第二の点でございまする、いわゆる境界変更に関する紛争処理の問題でございますが、これは一ページのまん中にございまする二十七条の二、これは新しく挿入をいたしました条文でございますが、二十七条の二の条文がこれに当るわけでございまして、今申し上げましたように、合併計画自体改定をするという措置に出ました場合におきまして、この計画改定に伴って境界変更に関する紛争が起きて参るということは、これは予想がつくのであります。すなわち、ある村がありまして、Aという村が、従前勧告になっておりまする計画については、B町合併すべきものであるというふうにされておった。ところが、諸般の事常を勘案をして、今度は反対側C町の方に合併勧告をかけることが適当であるというふうに出て、計画改定されることになったといたしまする場合において、A村の内部において、全然それは問題がないという場合は、大して紛争もないわけでありまするが、方向が変りまするために、ときといたしましては、いわゆるただいま申しましたA村の中のB町寄り地区等において、自分たちC町に参ることは適当でないというような紛争が起ることも予想せられるのであります。ところが、現在の境界変更に関する紛争調停あっせん制度は、これまた、先刻申し上げました合併勧告と同様に、二十七条自体に書いておりまするように、三十二年の三月三十一日、去年の三月三十一日までに合併調整委員あっせんを行わせ、またはその調停に付するという制度が置かれておりました結果、この期限がすでに経過をいたしてしまっておるのでありまして、これを援用するすべがなくなってしまっておるのであります。ところが、今度の計画改定をするという新しい事態が起って参ったのでございまするので、これに伴う紛争というものについて、やはり解決法的手段を準備をいたしておきますることが適当ではないかというふうに考えまして、この規定挿入をいたした次第でございます。さらに、紛争解決の問題に関連をいたしまして、二十七条の十三項の規定、これは一ページの初めから四行目にございますが、二十七条の第十三項につきまして改正をいたしたいというふうに考えておるのでありますが、これは、具体的に申しまして、これによってたくさん問題を拾い上げていくというつもりは、われわれといたしましては毛頭ございません。御承知のように、大へん御心配をかけておりました、県境にまたがりまするいわゆるまるまる合併の問題につきましては、まずまず、いろいろの問題もございましたが、一応の落着を去る九月三十日までにつけたのでございます。ところで、その間に問題に相なって、中央審議会にかかっておりましたまるまる合併案件の中で、群馬栃木にまたがりまする県境合併問題、すなわちその中で、群馬県の矢場川村というものを栃木県の足利市に編入をするという問題につきましては、中央審議会において御審議をいただいた結果、答申においては、いろいろ事情も考慮して、足利市に編入ということはその時期ではない。いわゆる合併を否とするという結論が出ておるのであります。ただし、その答申の中に、当該矢場川村の特に足利隣接地域において、いろいろな情勢からいって、足利市に編入することが適当であると認められる市政、交通、経済その他の客観的情勢が存在をいたしておる。また同時に、当該地域住民の大多数も、足利編入を非常に熾烈に要望しておる事実がある。従って、この間の境界変更の問題については、政府においてよく関係当局意見調整をはかってその手続を進めるようにという答申が出ておるのであります。私たちといたしましては、その後関係当局と円満な話し合いによる境界変更の問題というものを進めておるのでありますが、まだ機運が最終的に熟すような段階には至っておらないのであります。そこで、法的にこれを完補いたしまする方策といたしまして、来年の三月三十一日までの間において、都道府県の境界にまたがる一部の町村合併区域変更という問題につきましても、調停あっせん制度を採用し得る道を開いて置こうというのが、二十七条第十三項の改正であるわけでございます。ただし、この点については、今申し上げましたように、これを広く適用をするということは考えておりません。われわれ現在考えておりますのは、今具体的に申し上げました、栃木群馬との県境にまたがる問題だけというふうに考えておるのでありまするし、なお、この問題の解決につきましても、法律を真正面に立ててこれを援用をいたしていくということは、これは最終のぎりぎりの場合の措置でございまして、それまでの措置といたしましては、両者間における、あるいは関係当事者間における円満な話し合いを進めて、自主的に合併が行われるように、境界変更措置が行われまするように、なお事実上のあっせんにわれわれとしては全力を傾けていきたい、かように考えておる次第でございます。  それから、第三点の改正の要点といたしまして、新市町村が他の市町村合併をいたした場合の関係につきまして、これは、三ページのまん中からちょっと左にございまする三十条の二の改正条文がこれに当るわけでございます。すなわち、新市町村がここにすでに誕生をいたしておる。その新市町村が、その後の情勢によりまして、なおその規模を適正化することが必要である。その区域をさらに拡大をいたしますることが適当であるという判断に立ちまして、隣接の他の市町村町村合併をいたした場合におきましては、これは、新しくできました市町村というものの中には、一つあるいは二つあるいはそれ以上の新市町村というものが含まれておるのであります。含まれたものとしてここに市町村誕生をいたしておるのであります。ただ、この市町村が、法律の形式から申しますると、現行法上、これを一体的に見ました場合においては、新市町村とは言いがたいということになるのであります。なるほど勧告計画外合併でありまするからして、それは新市町村として取り扱わなくても一向差しつかえないのではないかという考え方もあり得るかもしれませんが、しかし、新市町村自体がその中に入っておって、しかも、県当局といたしましても、その合併が不適当なものであるというふうに認定をせずに、むしろこれを適当として、県会にもかけて議決をいたしておる案件でございまするので、むしろこういうものにつきましては、これを新市町村として取扱い法律上の新市町、村としての扱いを表面的にもまた実質的にもやって参りますることが、実情に適するゆえんではないかというふうに考えられることに思いますので、この点についての改正を行いたいというのが、三十条の二の改正条文趣旨でございます。  それから最後には、四ページの二行目からの附則改正でございますが、この内容は、今申し上げましたように、三十条の二の規定によって新市町村とみなされる市町村、すなわち、新市町村計画外合併をやったと、その相手方が新市町村であります場合もありますし、また、新市町村でないものもあるわけでありますが、いずれにいたしましても、その単位を構成をいたしまする新市町村というものが他の市町村合併をして、ここに新市町村誕生をしたという場合の取扱いについて規定をいたしたものでございます。すなわち、現行法におきましては、いわゆる地方交付税の額の算定方法に関しまして、いわゆる特例を設けております。すなわち、大まかに申しますと、新市町村がここに生まれると、二つ町村合併して新しい町になったという場合におきまして、交付税算定といたしましては、新しいやっぱり一体的な町村立場から、新しい財政需要算定をして、交付税算定いたすのでありますが、その場合におきまして、なお従前町村割り当てらるべき交付税の額より新市町村に対する交付税の額が下回るという場合におきましては、前の町村にそれぞれ割り当てらるべき交付税合計額を下らないというふうに、これを保障していこうという規定現行法附則六項に掲げておるわけであります。しかも、これをいつまでもそういうふうにやっていくというのもどうであろうかということで、現行法では、これが新市町村になった場合、いわゆる町村合併が行われた日から五カ年間これを保障していこうということに相なっておるのであります。ところが、今度新市町村がほかの市町村合併をしたために、新市町村とみなすということに相なります場合におきましては、このままこの条文を適用いたしまする場合においては、すでに新市町村としていわゆる特別の取扱いを受けておりまする年月日からさらに五年の起算点というものが、黙っておれば、さらに新市町村とみなされるところにまで起算点が繰り下げられてくるということになりまして、事実上すでに今まで新市町村としての取扱いを受けておりました期間が二年であるといたしますると、この規定によりまして、場合によっては、これが黙っておれば七年になるということになるわけでありまして、そうなりますと、他の市町村との取扱い均衡を欠くということにも相なって参りますので、その起算点を、「当該市町村区域の一部となった従前市町村が新市町村となった町村合併の行われた日」を、いわゆる前に新市町村となった日を、その「町村合併の行われた日」にこの起算点を読みかえていくという量によって、他の新市町村との均衡を保持していこうというのが附則第七項の改正趣旨でございます。  以上、ごく概略の御説明で、説明が十分ではなかったかと思いますが、一応補足的に法律案内容趣旨を御説明申し上げた次第でございます。
  5. 田中啓一

    委員長田中啓一君) これより質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 大沢雄一

    大沢雄一君 ちょっとお伺いいたします。  今回の改正案の提出が、これによって、何と言いますか、今残っておりまする五百の未合併町村、これらを来年の三月三十一日までの間に何とか処理をして、合併問題に終止符を打って、そして今後新市町村建設に力を集中していきたい、こういう趣旨でなされておるということを考えておるわけでありまするが、これについて何か、政府としては、将来の新市町村建設のために特別な方策を一方において用意しておるのでございますか。ちょっとその点を……。
  7. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今回、新市町村建設促進法の中では、新市町村建設のための援用措置について、法律的には相当広範にわたって規定をいたしておると考えておるのであります。これに基きまして、自治庁関係その他関係各省関係におきましても、新市町村建設のための措置を順次講じて参っておるのであります。ただ、財政措置等のやり方なり効果なりというものが、われわれ自身といたしましても、十分に講じられておるというふうには実は考えておらないのであります。この点においては、さらにもう一段の努力をやって参らなければ、所期の新市町村建設というような目的達成ができないのではないかというふうに考えておりまして、その点については、さらに一そうの一つ努力をして参らなければならぬというふうに考えておるわけであります。ただ、方途といたしましては、建設促進法にいろいろの道が新規に打ち出して参らなければならぬ講ぜられておるわけでございまして、むしろ私たちといたしましては、この法律内容をもう少し実質的に拡充していくという方向努力をして参るべきものではあるまいかというふうに考えております。しかしこれは、あくまで現在の状態においての判断でございまして、たとえば、まだ来年度のことで、予算折衝等も現在行われておる段階でございまするので、確定的なことはわかりませんですが、たとえば、新市町村事務処理合理化をはかりまするために、窓口事務改善等中心といたしまして、もう少し住民本位立場から事務処理が円滑にいく、さらに住民の利便を促進をするための方途といたしまして、実態に即した一体化推進をいたしますることによって、事務能率化合理化をはかっていくという措置も一方において講じて参りたいという考え方でおるわけであります。  さらに新市町村一体化を成就いたしまするために、今までやって参っておりまするいわゆる一体化施設整備の問題につきましても、あと残っておりまする千余町村につきまして、私たちといたしましては、来年度は、こういう一体化施設整備の点は、すみやかに一つ完成をすることがその目的にもかなうゆえんであるというように考えておりまして、ぜひ来年度は、残った新市町村について、全部これが行きわたるように措置をいたしたいというふうに考えておるのであります。それらの一通り措置が済みました段階におきまして、さらに新市町村建設のために、いかなる方策を具体的に、またかどうかというような点につきましては、さらに検討を加えたいというふうに考えておるのでありまして、現在のところにおきましては、むしろ新市町村建設促進法に盛られた施策というものを、内容一つ充実をしていく、そのために努力いたす、そういう方向で物事を考えていくことがいいのではないかというふうに、目下のところは考えておる次第であります。
  8. 大沢雄一

    大沢雄一君 自治庁町村合併に非常な熱意を持ってお骨折りをいただき、また、新市町村建設についても、非常な努力をなさっていただいておることは、非常に敬意を表しておるわけでありますが、この新町村建設ということが、ややともすると、今の一体化促進のための新市町村建設促進法で考えておる新市町村計画、それだけで新市町村建設ができるかのように考えられては非常に私はいかぬのではないか。各合併の新市町村で立てておりまする計画は、もっともっと広範で、充実したものであろうと思うのでありまするが、そういう観点から見ますると、この政府からの一カ町村二百万円かそこいらの補助を中心とした計画では、新市町村合併町村建設計画からいえば、ほんの九牛の一毛のものにすぎないと、こう思う。しかも、それすら、年々の自治体側からの要望の金額から見まするというと非常に少くて、どうも建設計画がおくれておるようにも思うわけでありますが、こういう点については、どういうふうにお考えになっておられますか。さらにお伺いをいたしたいと思います。
  9. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点は、御指摘に相なりました通りであると、われわれも考えておるのであります。もちろん、新市町村建設と申しましても、これは、新市町村自体がやって参りまする仕事の全部にこれはわたってその目的達成できるように、そういう基礎条件整備をしていくということでなければその効果は上りません。自治庁関係でやっておりまするような、一本化を確立いたしまするための施設整備というようなことだけでは、これは思うような効果と申しまするか、いわば九牛の一毛と申しまするか、大した全体の事業量から見れば効果のあるものではないということは、お説の通りだと思います。ただ、新市町村ができました場合に、旧市町村意識というものがそのまま根強く残っておる。それがまた、いろいろな施設面からもそういうふうになることがやむを得ないというような事情に置かれておるのでは、これは、せっかく新市町村になりましても、効果が上らないということでございますので、少くとも自治庁関係といたしましては、一体化をできるだけ推進をいたすための施設整備ということにつきまして、他省の所管に上らないものについて措置を考えていくと言っておるわけでありまして、これによって、もちろん全体がうまく参るというふうには考えておらないわけであります。また、そういうようなことでは、とうてい新市町村建設推進という大きな目標が達成せられるとも考えてはいけないというふうに思うわけでございます。そこで、新市町村建設計画というものを、御承知のように、それぞれの新市町村で樹立をいたしております。特にわれわれの方で建設計画調整をやるために指定をいたしました新市町村等につきましては、鋭意建設計画調整というものを現在行なっております。すでにでき上ったところもございます。進行中のところもあるわけでありますが、これらの建設計画というものが、全体の新市町村を今後何年かにわたって持って参る目標ということに相なるわけでございます。で、お手元に差し上げておりまする資料「町村合併及び新市町村建設に関する資料」という刷り物がございますが、この一番おしまいの表、十七ページに、参考のために「新市町村建設計画に基く事業実施状況調」というものをお配りをいたしておるのであります。これは、まだ各県なり、あるいは私たちの方の新市町村建設計画調整方針というものに全く合致をしたというものではなくて、多くのものは合併条件に基いて立てました建設計画、これが算術的に総計をされたものということで御承知を願いたいと思うのでありますが、それはそれといたしましても、二十九年度におきましては、全体の計画に対して達成率というものは四七%にしかすぎない。三十年度においては五一%、三十一年度になりますと六三%ということで、漸次上ってきております。三十二年度は、現在集計中でございますが、さらにこの率は上り、七〇%を突破するというようなことになるのではないかというふうに考えておるわけでございますが、それにいたしましても、なお実施率といたしまして満足な数字を示しているものではないというふうに考えるのであります。もちろん、いろいろ当該市町村の財政状況なり県の財政事情、さらには、国のこれに対応する財政状況等との関連もございまして、新市町村みずからがかくあるべし、かくなければならないというふうに希望いたしまする計画というものを達成いたしまするには、十分な条件が熟しておるとは思いません。それだけに、やはり実施可能というようなことも頭に入れて、建設計画自体調整もはかってもらわなければならぬというような面もあろうかとは思いますが、それにいたしましても、この実施率というものを全体として上げていくということが、われわれの終局の指導方針でなければならぬ。また、国が新市町村の育成をいたして参るという場合の基本的な態度というものも、この実施率をできるだけ上げていくということになければならぬというふうに考えておるのであります。そのために、関係各省等とも連絡をとりまして、漸次その方向に向っておるというふうに考えておりますが、なお、全般的に申しまして、われわれ自身、率直に、これは十分な効果をあげておるとは考えておりません。こういうような点につきまして、なお積極的な努力推進をして参りまして、建設計画というものができるだけ十分に実施されていくと、その実施率を確保していくということが私たち努力目標ではあるまいか、かように考えておるのでございます。
  10. 大沢雄一

    大沢雄一君 ただいま御説明いただいた資料に基きましても、相当新市町村建設政府としても御努力になっておると、その一体化計画に関する限りは、相当の成績を上げておるということにつきましては、私もこれを認めて、そのお骨折りに関して感謝するにやぶさかではございません。しかしながら、町村合併の当事者の方からいいまするというと、合併当時期待した成果が上らない、あるいはまた、合併に当って、事前に無理ないろいろな地域的な事業等をやって、赤字をかかえ込んでしまう、あるいは合併して相当経費の節約ができて負担も軽減されるというふうに期待しておったものが、一向その期待が実現できない、何というか、だまされたような感じを持って、再び分離というようなことを考えて、紛擾が出てくるというようなところもわれわれ大いに聞くわけでありますが、そういう点からいたしまして、新町村建設については、従来にも増して、一そう政府が予算的な措置をして、これを強力に援助していくと、善意の意味の指導助成をしていくということに一つぜひこれは一そうの力を入れてもらいたい、これは要望でございますから、別に御答弁を求めませんが、なおこの考え方として、何か今回のこの改正法の提案理由を聞きますると、何となく、あと残っておる五百町村処理をしてから、さらに一そうその力を新市町村建設に集注していくのだというふうな考え方それ自体は悪くありませんが、しかし、もう合併というものは、五年前から具体的な地方地方においては非常な犠牲と努力を払って行われているわけです。ですから、他の市町村において、県の計画から実現できないものがあるといってすでに行われているものについては、もう極力助成をして、新町村建設を実現していくということにならなければ私はならぬのじゃないかと思う。画一的に考えて、きれいにしてから、これから力を集中していくのだという考え方でなく、この未処理合併の終結ということは、それ自体としてこれはもう努力していただく、しかし、すでにでき上っている新町村が大部分なんでありますから、それはそれで、もうカを尽してやはり建設促進していくと、こういう考え方でぜひ、この問題を解決してからさらに力を入れるのだというふうな行き方でなく、これはこれであれはあれ、いずれもこれはいいことなんで、ぜひその方に今から最大限度の力を集注してやってもらいたい。特に明年度の予算の獲得については、これは十分一つ努力していただきたい。こういう気持から申し上げたわけであります。  それから、それに関連してお伺いするのでありますが、今回の合併計画変更に伴う町村境界の紛擾に対する調停、これはあれでございますか、なお念のために伺いまするが、今回この改正法案ができて、それによって知事計画変更すると、それによって新たに生じた紛争だけがその対象となるのか。それともまた、昨年の三月三十一日で調停期限が切れております。それから今日までやはり合併の行われたところもありましょうし、新たに紛争の生じたところもありましょうが、そういうものについては、これは適用しないのですか。新しく今回この改正規定によって知事計画変更する、それによって新しく生じたものだけが対象になるのか、昨年の三月三十一日から今までに生じたものについてはどうなるのですか。
  11. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 考え方は、原則的には、今度の法律改正によりまして知事計画改定を行う、その計画改定を行なったものに伴って生ずるであろうという紛争だけを対象にいたしておるのであります。なおさらに、原則と申しましたのは、こまかい点では、先刻御説明の中に申し上げました、新市町村が他の市町村合併した場合、これを新市町村とみなすことにいたしております。この合併に伴って生じた紛争というものも、一応紛争解決の手段として、これを対象とし得るという余地を開いておるのでありますが、その他の案件につきましては、具体的に申せば、昨年の四月一日以降において新しく生じたであろう紛争というものは、この対象には取り上げないという考え方でおるわけであります。
  12. 大沢雄一

    大沢雄一君 どうも、私はそこがわからないのですがね。同じく知事勧告に基く町村合併と同じその法律のもとにおいて行われた合併に関して生じた紛争に、どうしてそういう区別をする理由がありますか。
  13. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私の説明が不十分であったためかと思いますが、実は、去年の三月三十一日までに知事勧告を行なっております。この勧告に基いて生じた紛争というものについては、これは、去年の三月三十一日までに知事におきましてそれぞれ調停あっせん方途を講じておるわけでございます。これは、ずっとそのまま継続して、この法律が有効に存続いたしまする期間はずっとこれは続いて参るわけであります。現在その紛争処理というものも、その手続に従って行われておるわけであります。その点は、この法律改正案とは別個の問題といたしまして、今後もこれはそのまま継続して紛争処理が行われていくということに相なるわけであります。今回新たに付け加えましたのは、今度新しくこういう計画を行う、計画改定を行いました際に起って参りますような紛争につきましては、前の現行法によりますると、去年の三月三十一日で調停あっせんにかける期限がすでに切れてしまっておりますので、新しくそういう手続が、とれない、とれないことは、合併計画というものを変更したことに伴って生じて参りまする紛争についてそういう手続がないということも、均衡上もどうであろうかということで、新しくそういうものについて、来年の三月三十一日までに調停に付するという道を開こうということでございまして、去年の合併勧告に基いて生じておりまする紛争については、すでに三月三十一日までに調停に付すべきものは付しております。その手続は、解決をいたしておるものもかなりございまするが、解決をいたしておらないものにつきましては、なお今後ともそのままで継続をして紛争解決の道が講ぜられて参るということになるわけであります。
  14. 大沢雄一

    大沢雄一君 私もどうもふに落ちないと思いますのは、今の御説明では、昨年の三月三十一日までの勧告に基いたものについては、すでに調停に付してある、こうあなたはきめている。ところが、実際はそうでない。そのときに勧告しても、その勧告に従って合併が行われ、それからあと紛擾というものが生じてくべきものだと思います。そのときに紛擾があって、勧告と同時に紛擾を調停に付してしまうということは、むしろ異例でございまして、あとから紛擾が出てくる。そのあとから出てきた紛擾が、どうも今のこの法律規定では、この調停に付する道がなくなっているということになると思うのであります。ですから、あとから起ったものについては、ちょうど四月の一日からこの法律改正法律が施行されるまで、間に起ったものについては、これは調停制度一つも適用されないものが生じはしないか、これはおかしいのじゃないかという私の疑問なんです。あなたのように、それは、勧告と同時に調停に付してしまったときめてしまえばそうですが、実際はそうは行われないのじゃないかと思いますが、どうですか。
  15. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今の御疑問の点は、その通りだと思います。ただ、紛争と申しますのは、合併勧告を出す階梯になりますと、大体予測できるわけであります。また、勧告が出てしまって、その後において具体的の紛争が起るというようなものも、中には絶無ではないかもしれません。しかしながら、勧告自体が、これは大沢委員も御承知のように、去年の三月三十一日までの間でございますので、その前に勧告をかけているものも多かったわけであります。一昨年の末ごろからどんどんと勧告をかけておりますが、その前からもかけている、その終局の期限が去年の三月三十一日であったわけであります。それらに基きまして、いろいろ紛争関係というものも現実に起きている場合が多かったと思います。なお、現実に起きておらないものにつきましても、紛争というのは、大体予見し得るというふうに考えられるのでございまして、予見し得るものについては、紛争ありといたしまして、知事といたしましては、かけるべきものはすでに調停あっせん手続を進めておるというふうに、私たちは現実問題としても考えておるのであります。
  16. 大沢雄一

    大沢雄一君 どうもちょっと甘いですね。失礼でございますが、非常に甘い。現実の町村合併に関する紛争というものはそうでない。やはり一つのある勢力は、非常にいろいろな政治的目的から、これは非常に大きく合併を考えたりしている、そういうふうな場合に……やはり県だってそういう場合がある。ですから、この境界の問題なんかも起るのは、甲の村を乙の町村合併するという県の計画を立てる。ところが、いろいろな政治的な関係で、合せるのはみな一緒に合せていきたい、ところが、その地域の一部は、そのAの村がBの村に全部合されちゃ困る。一部はどうしてもやはりCの町の方に行きたい。そういうふうなことになるのですね。従って、あなたのように、知事合併勧告をするときに紛争が予想されるから、すでに調停に付してしまったものだと思う、こういうふうにいかないと思う。それは、県自体もやはり大きな政治勢力の方について、やはり一部の地域のものは県の計画と違った方に分村をしたいという場合にも、一応は行っておけと、そのうちこのあとで分離させてやるからというような、そういうふうな考え方で、行ってしまえば、何とかそのうちに泣き寝入りをするというようなことからやられているのが、現在の境界変更のほとんど大部分です。失礼ですが、今、自治庁では、全国の境界変更で、合併のときにすでに問題になっておりながら、事後に分離してやろうというふうな、あるいはこれは、そういう議決があった所もありますが、それから議決のない、話し合いの所もあるが、そういう所であるならば、分離が実現しないために紛擾を起している所がどのくらいあるか、御存じですか。県別に一つその件数を知らしてもらいたい。おそらく具体的なそういう問題がある。そういう所が今のこの規定ではちっとも救われない。やはりだまされたままになっている。公約不履行という形がそのまま行ってしまう。そこを私は、政治道義の上からおもしろくないからお伺いしている。
  17. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 紛争状況につきましては、資料の七ページ、八ページにわたりまして掲げておるのでございますが、今お尋ねになりましたような点については、この資料には明確になっておりません。ちょっと手元にもその資料は準備いたしておりませんので、すみやかに資料を作成をいたしまして、その際に御説明を申し上げたいと思います。
  18. 大沢雄一

    大沢雄一君 これはまあ、何と言いますか、私決して問題の起ることを好んでいるわけじゃありませんが、それは、その県内の合併について、実情を私申し上げたのですが、この間から非常に政府あるいは関係の国会の議員の方々、いろいろ御苦心して裁定を下したいわゆる越県合併ですね。それらについても、私の聞くところでは、単に足利の問題だけでなく、一たんある県にすべて合併しておいて、あとで境界変更で一部他の県に戻してやるというふうな話になっている所もあるように聞いていますが、そういうことはありませんか。そういうことをあなた考えていないということですか、あなたの御説明では。
  19. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点につきましては、一応いろいろなむずかしい状況のもとにおきましてああいう裁定を下したのであります。裁定自体は、全村合併に対する裁定として一応の結論を出したわけでございまするので、現在のところ、われわれといたしましては、これをさらに別個の角度から一部の境界の問題として再び取り上げるということは考えておらないのであります。
  20. 大沢雄一

    大沢雄一君 その点は、具体的な問題になりますので、私はあるというふうに聞いておるのですが、まあ申し上げません、紛擾の起ることを好みませんから。しかしながら、やはりこの規定だけを見ていけば、全村合併した所についても、今後やはり境界変更の問題として新たに問題が起った場合に、やはりこの改正規定で、法律では処理できるように私は思うのですが、そうでございませんか。
  21. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 法律的にはそうでございます。ただ、それの紛争ありと認定するかどうかというのは一つの裁量行為でございますので、私たちといたしましては、現在のところ一応裁定を下したことでもございますし、今後また新たに紛争を惹起せしめるということもいかがかと考えておりますので、目下のところは、そういうような点について考えておらないということを申し上げたのでございます。
  22. 大沢雄一

    大沢雄一君 目下のところは行政当局で考えておらぬとしても、法律がちゃんと、境界変更でまたさらに再調整をし得る道をこの改正が出ればちゃんと開くのですが、いかにあなたが考えておらぬとか、目下のところは考えておらぬと言ったって、それは行政当局の考えであって、法律に従ってそれはできる方法がちゃんと私は開かれていると思うのです。その点をどうお認めになりますか。
  23. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 法律的にはその通りでございます。
  24. 大沢雄一

    大沢雄一君 そういたしますると、どうも私は、規定そのものが非常にどうも問題が多いと、今あなた方がそういうふうに思っても、これはなかなか実際の情勢というものは許さない事態が起りはせぬかということを……まだこのことを知らないのですね、一般に知らないものですから、じっとして、まあ自治庁の裁定のまま、これはもう政府の裁定だから、これを動かす道はないのだというふうに思い込んで、知らないからいい。しかし、この規定ができて、この規定法律的にわかってくる。これによって、境界変更の問題として、新たにさらに問題の再燃をさせることができるということに解釈がわかってくれば、これはまた、これによって紛擾を起すのじゃないかということを私は憂えるのです。だから、この改正は非常にどうもいろいろな点で、今私どうとこれに結論はできませんが、あなたにですから法律の解釈をお伺いしたようなわけです。  それともう一つ、私はそれに関連して伺いたいのですが、町村合併の終結といいますが、やはり合併のときに公約をした、たとえば一部分離というようなものは、これはやはりどうも調停にかけてもその公約を履行させるということが公けの道義、政治の道義じゃないかと思う。ところが、現在においては、一部分離の事前公約で全村合併をしてしまったというような所は、何としてもその町村は離すことをがえんじないのですから、少数の者が非常に泣き寝入りの状態で、長い間ただまあ反抗といいますか、非常な犠牲を払って、非常に前途の暗い抵抗をずっと試みている。それをいっか力が尽きて泣き寝入りになってしまうことを、これは、今の政府考え方としては、そういうことを期待しているとしか思えないのですね。その点はもう調停に付さない、こういうのですから、どうしても一般の境界変更規定で、これは何といいますか、自主的にやっていかなきゃならぬということになりますから、どうも結果においてはやはり長いものに巻かれろ式の、強いものには仕方がない式の、こういう考え方で、泣き寝入りをしなきゃならぬ。今のどうも法律では、そういうことになっていくほかない。今お話した通り、昨年の四月以降に新しく紛擾が生じた部分もあります。それ以前に生じたものは、知事調停に付しているはずだと言いますが、付していない。今のような考え方で、何とか泣き寝入りするだろう、やってしまえば、合併してしまえば、仕方がないと往生するだろうというようなことでやっていく所が非常に多い。ですから、そういうものを、やはり合併問題が終結するならば、政治道義の問題として、やはりこれは解決すると、少数者の意見であっても、ある地域、まとまった地域が最初から合併の範囲から他の地域に行きたい、そいつは何とかあとでやってやろう、こういうことで進んだものは、これをやってやる道を開いてやる、これが終結の精神じゃないかと私は思う。どうですか。
  25. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 合併条件の際に、一部分離の約束がなされておるという場合におきまして、それを履行せしめるということは、道義的にも政治的にも当然のことであるという御説には、私も同感でございます。まさしくそうでなければならない。一応約束したものを、その後全村合併をいたしてしまうというと、今度は態度を豹変すると、あるいは、その他のいろいろ状況もあるかもしれませんが、一部地域住民の意思がそのためにいれられないということは、これは道義上からも、政治的に申しましても適当でないというふうに考えるのであります。ただ、それらの紛擾の案件等につきましては、私は、まあ大体調停等に付されておる案件が多いことと思いまするし、なお、問題がその後に起ったものにつきましても、今度の法律改定計画変更を行う。これに伴って、隣接町村にも全部法律効果が及びますので、そういうことによって救われてくるものも中には出てくると思います。ただ、それらの法律の線に乗らない、昨年の四月一日以降において全然新しく発生をした問題等において、何ら救済規定がないではないかというようなことにつきましては、これはまあ一つ法律上のブランクといえばブランクといえないことはないと思うのでありますが、そういうような点につきましては、われわれは、行政指導の面において、この点は、知事さんとも十分連絡をとりつつ、地元の意向等も参酌をいたしまして、問題解決に当った事例もございます。そういうような具体的な案件等につきましては、われわれもその方向で、少数者の意思が不当に全然顧みられずに終ってしまうということのないように、そういうような点については、行政指導面でさらに適切な方途を講じたいと、かように考えております。
  26. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は、この法案を提案されてしまったので、まことにどうもまずいと思うのですが、当然そういうことをこれは考えておくべきものじゃないかと思う。合併終結ということを考えるならば、やはりその法にブランクがあるということを政府当局として認めなきゃならぬ。それを何とか行政指導で努めてやるようにするというようなことでやはり弁解しなければならぬようなことは、これは私としては、どうもまことに遺憾と言うほかない。しかし、提案されてしまっておりますわけでありまするから、今ここでどうと申し上げませんが、どうもこの点は、もう少し御検討と御研究を願いたいということを、少しおそいかもしれませんけれども、申し上げておきます。
  27. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ほかにございませんか。—本日は、なるべく質問を進捗をいたしまして、午後もやるつもりでございますが、午前御質疑がこの程度でございますならば、それでは、午前の質疑はこの程度にいたします。午後は一時より再開をいたしまして、質疑を続行いたします。  休憩いたします。    午前十一時四十二分休憩    —————・—————    午後一時三十一分開会
  28. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案について質疑を行います。  質疑のおありの方は、御発言を願います。
  29. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いただいた資料にあります未合併町村の分類の見込みですね、今後の。これと、先ほどからの藤井局長の説明等と関連して聞きたいんですが、先ほどのお話では、現在残っておる約五百の未合併町村に対して、今後の処理方針と申しますか、計画通り合併をすみやかに促進していくグループと、それから、計画はもちろんそのままでいいが、今直ちにというようなことでなしに、将来の方向として示しておいて、まあもっと言えば、今の段階では無理をしないと、こういうようなこと、そのグループと、それから、端的に言うと、合併計画のワクからはずす、まあ一つの独立できる適正規模にある町村に準じてそれをはずすと、こう三つグループに分けて処理をしたいと、こういうお話があったんですが、それはその通りでよろしゅうございますか。
  30. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 大体そういう方向で考えて参りたいと思っております。
  31. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 このいただいた資料の、未合併町村の分類の見込みの表というものは、各都道府県から現在残っておりますいわゆる未合併町村に一々当ってみて、そしてこれはAグループ、Bグループ、Cグループと、こういうふうに分けて、何かいろいろあなた方との打ち合せをしておられると思うが、そういうものの集計なんでございますか。それともあなた方の方で、全般的ににらんでこのようになるはずだと、こういうお見込みなんでしょうか。どうです。
  32. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この表は、未合併町村の分類の見込みでございます。と申しますのは、正式の合併計画変更につきましては、今度の法律案が成立をいたした後におきまして、知事がそれぞれの県に設置せられておりまする審議会の議を経て、なお、当庁とも相談をしていただいた結果確定をいたすものでございます。ただ、この法律案を立案いたしまするに際しまして、参考資料を整備いたしまするために、先般来われわれもブロックに出かけて参りまして、その会議の席上において各府県の当局の方からいろいろ説明を聴取いたしたのであります。なお、この説明を聴取いたしまする際に、当庁において考えておりまする全国の一般的な傾向と、そういったものも織りまぜながら、一応かくもあろうかという見込みを出したわけでございます。従いまして、これは、確定的には、本法律案が通過いたしました後に手続を経まして確定をいたすものでございまして、これは単なるそういう意味で見込みというわけでございます。   —————————————
  33. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ただいま新自治庁長官が御出席になりましたので、ここでごあいさつを申し上げます。
  34. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 今朝はからずも私、自治庁長官を命ぜられまして、まことに突然のことで、まだ何の準備もございませんが、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたします。  当委員会に対しましては、政府といたしましても、いろいろと法案の御審議を願っておりまするし、また、法案以外にもいろいろと、重大なる国政のいろいろの問題があるように存ぜられるわけでございまするが、先ほど申し上げましたように、突然のことでございましたが、一つできるだけすみやかに準備を整えまして、誠意を尽しまして政府としての意見を申し上げ、また御質疑に答えさせていただきたいと思います。  まことに簡単でございますが、一言ごあいさつを申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。   —————————————
  35. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そうしますと、お話のような見込みでけっこうでございますが、各都道府県ごとに一応その数字は出ているわけですね。
  36. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一応の事務的な数字というものは出ているわけでございます。
  37. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それは、今の段階では発表はできないということになりますかどうか。
  38. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 法案ができましてから、正式な手続を経て、計画についての再検討が行われるわけでございますので、今の段階では、県といたしまして、県の審議会に全然諮っておらないところもあるわけでございます。そういう意味もございますし、今の段階では、これを発表いたしますることが、いろいろの影響を考えまして、適当じゃないというふうに考えておる次第でございます。
  39. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは、三つグループに分けてやる場合、計画通りすみやかに合併促進していくという部類に入るものですね。これは、あなた方の今の見込みとして、いつごろまでにこれを完成したいというふうにお考えになっておられますか。
  40. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 合併必要性が顕著なものというふうに考えられますものにつきましても、やはり案件によりまして、合併が非常にむずかしいものと、比較的機運が醸成されておりまして、割と円滑に参るものと、いろいろあると思います。全体の見通しといたしましては、われわれとして、大体これらの案件については、年内、あるいはおそくとも一月中くらいを目途として合併推進をはかりたい、かように考えております。
  41. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは当然、今度改正案として出た二十九条の二に含めて、いわゆる計画変更等もあり得ると、こういうことになりますか。
  42. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 計画変更になるものも、中には多少入り得る可能性はあり得ると思います。
  43. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 現在残っておりますいわゆる未合併町村というのは、これは非常に問題がある所が多いと思います。一つには、私、計画そのものが無理じゃないだろうか、単に地域が接続しておるとか、あるいは、何と言いますか、昔から関係があったとかいろいろ、そればかりではございませんが、いずれそういうようなことで、あまり住民の感情なり、あるいは住民の持っておるいろいろな考え方、そしてそういうものとの十分話し合いの上にない、いわば無理な計画が、現在になってもまだ合併できないでおるというふうな、いわゆる未合併町村として残っておるのだ、こういう事実が私はあると思うのです。そういうものは計画変更なり、先ほどからお聞きしたり、またお答えがありましたような三つグループに分ける、場合によっては計画から外して、単独の町村として残すというようなことも、これは当然あなた方の処理方針からすればあり得るというふうに考えていいわけですね。
  44. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 方針としては、大体その通りでございます。
  45. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私、一般的に、ほかの県のことはわかりませんが、少くとも私自身にわかっておる範囲内で申しますと、どうもかりに三つグループに分けても、なかなか分けた通りにもたとえば、すみやかに合併すべきものであるというふうに言われても、そういう勧告を受けても、なかなか大へんな問題じゃないだろうかと思うような所、それから方向を与えることだけで、ここしばらくは、五年、三年でなしに、相当長い期間、いわゆる方向を与えただけで終ってしまう、事実上合併できないで終るというような町村がありはしないか、こういうふうに思うのですが、ここで、もちろん見込みですから、今この数字をとって、私はどうのこうの言う気持は毛頭ありませんが、こういういわゆる分類の仕方が何か私は不安なような気持がいたしますが、その点、いかがでございますか。
  46. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) われわれといたしましても、必要性が顕著であるという部類に入れますものにつきましては、客観的な要件がまさしくその場合に該当をいたしておるということはもちろん必要でございますが、そのほかに、やはり何と言いましても、合併の可能性というものも中に加味して参りませんと——必要であるということであれば、今までにもすでにできておったはずなんですが、そいつがやはりできないで、今まで残っておるということには、いろいろな事情があるわけでございます。そういう意味合いから、Aグループに入れまして、合併を早期に解決するということをやります際には、合併のやはり可能性ということもやはり十分配慮に入れて、そうして決定をいたしたい、かように考えております。
  47. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 その可能性という一つ考え方と申しますか、判断と申しますか、これは非常に微妙な問題ですが、これは大事な点になると思うのです。現に私知っておるところでは、地域的な関係等から見て、当然隣接の市等と合併をすべきだと、まあ表面から見れば、だれでも言える所がある。それから、今残っておりますところの村の規模と言いますか、それは、人口から言っても、その他から言っても、どうも少し小さい、足りない、こういうふうに見られる所ですから、表面的には、今言ったように、計画で隣りの町と合併するように立てることが当然であり、だれもが納得するような所であっても、これはどうも、最後の勧告とか最後の投票等に至って、もし投票等をやった場合には、九〇%以上反対ということに回るだろうと、こう思われる所があり、しかも、実際その村についてよく調べてみる場合には、やはりやむを得ないというような所もあるわけです。たとえば、膨大な村有財産を持っている。隣りの貧乏な町や市に行くよりは、おれの方は心配ないのだ、まあ素朴と言えば素朴ですが、そういうところから、非常に合併に対して反対の態度を強く打ち出している所があるわけなのです。そういう所を、形の上での合併計画がこうである、合併すべき当然の理由もあるのだ、こういうことだけでおやりになると、問題は決して解決しない。従って、先ほどお話一にありましたように、また私が申し上げましたように、いわゆる合併の可能性と申しますか、そういうような点も十分これはやっぱり審議会等におきまして考えてやらないと、かえって問題がいつまでも解決しないで、しこりを残している、あるいはこじれなどがひどくなる、こういうようなことになりはしないかと思う点があるのでありますから、そういう点を、実は私は、今度の処理あるいは場合によっては計画変更の中に織り込むような場合に当然考えてしかるべきじゃないだろうか、こういうような気持でお聞きするのですが、この点いかがでしょうか、あらためて……。
  48. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) われわれの気持といたしましては、いわゆる合併必要性が緊要であると認められるものについては、その典型的なものといたしましては、飛び地になっておりますとかというもの、さらには真ん中に町がたとえばありまして、その周辺に三カ村なら三カ村がある、それは、四カ町村合併をいたしますることが、いろいろな要件から見ましても条件を整備いたしており、しかも、隣接の三カ村自体も、真ん中の町に合併することを強く望んでおる。ところが、まん中の町自体でもって、いろいろな事情もございまするけれども、この合併に踏み切らないといったようなも  の、こういうようなものをやっぱり主体といたして考えていきたいと思っておるのであります。従いまして、その他のニュアンスはいろいろございます。いわゆるボーダー・ラインに類するものもたくさんあるわけでありますので、これをAグループとBグループにどのように仕分けをしてしまうかということについては、各具体的案件について、なかなかむずかしい微妙な判断を要するものもあろうかと思うのでありますが、これらにつきましては、各県におきまして、審議会等とも御相談をいただいて、最後に決定をいただくわけでございますが、私たちといたしましても、そういうような客観的、主観的な条件というものも、もちろん主体として考えていかなければなりませんが、こういう町村合併の終息段階に入って参っております状況におきましては、やはり御指摘になりましたような、合併の可能性云々というような点も十分中に踏み込んで、総合的に判断をしていくべき筋合いのものではないか、かように考えております。
  49. 占部秀男

    ○占部秀男君 今の分類の点について、関連して局長にお伺いをいたしたいのですけれども、それは、今局長の言われた最後の答弁に関連をするわけでありますが、この法律案改正が出るということになってから以降、ほかの先生方も相当今まででも受けておると思うのですけれども、私のところへも、相当いろいろな方面からいろいろな角度の陳情が来ておるわけなんです。その陳情の内容を見ると、結局は、今の分類という問題に大きく関連をするわけなんです。というのは、今までは、御存じのように、これは私が言うまでもなく、合併をしろしろという方向へ来たわけです。今度は、この法律通りますと、合併をするものと、将来にかけて合併方向へ進めるというものと、ここで打ち切ろうじゃないかというものと、この三つが出てくるわけです。そこで、未合併町村というものは、それぞれ未合併には未合併だけのいろいろな問題があるわけでございます。そこで、三つの分類の中にどういうふうに入るのかということが、それぞれの場合々々によって相当大きな問題になると思います。小さな、あまりごたごたのないような所はいいのですけれども、相当しのぎを削るところがまだまだ残っておるので、そういうような所では、この三つの中へどういう形で入れられるかということについては、非常に不安を持っておるわけです。こういうような分類については、三つの分類にするこの問題は、どうしてもこれはさせるのだと、させると言うのはおかしいけれども、顕著にやるのだと、このグループはこうだ、Cグループはこうだという、その分類の一応基準といいますか、尺度といいますか、大まかなものでも、やはり自治庁なら自治庁の方である程度具体的に知らしてやらぬと、地方の方は混乱が起るのじゃないかというような気がするのですけれども、そういう点についてお考えになったことはございますか。やはりそういうような問題について、何か内容的なものがあれば、お答え願いたい。
  50. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) お述べになりました点はその通りでありまして、未合併町村は、それぞれ自分たち町村がどういう分類の中に入るかということについて、不安の念を持っておるということは事実であろうと思うのであります。これらの点につきましては、先刻も申し上げておりますように、正式の手続といたしましては、本法案が通過をいたしました暁におきまして、県がそれぞれの県の審議会意見を聞いて、なお総理大臣とも協議をした上で計画をきめる、こういうことになっておるわけでありまして、その手続が済みませんと、確定的には結論が出ないということになるわけであります。ただ、われわれといたしまして、この法案自体を準備いたしまする段階におきまして、一応全国の未合併町村の実情というものは把握いたしておく必要がございましたので、そういう段階において、一応三つ段階に分類をしてみる場合においてはどうなるかということを、事務当局には実はお示しをいたしたのであります。ただ、お示しをすると申しましても、非常に各案件ごとに微妙な判断を要するものもございます。単に客観的な条件ということだけでは律し切れない問題もございます。県内のいろいろな情勢等もやはり配慮に入れなきゃならぬという点もあるわけでございまして、確定的な基準というものを打ち出すということは、なかなかむずかしいのであります。しかしながら、一般に分類をして参ります際に、大体の考えの方向として持っていってもらいたいという基準は、実は大体の方向を打ち出して示しておるのであります。私は、基準というのは、いわゆるAグループに入れるべきものといたしましては、要するに区域が非常に不整になっておる、いわゆる飛び地というような部類に類するもの、あるいは飛び地とまではいっておりませんでも、ある町の中にある村が深く入り込んでいってしまっておる。隣接区域に接続をしておるけれども、その接続の仕方というものが、きわめて狭い区域にまたがって接続しておるだけだ。多くはある町の中にその村が深く入り込んでしまつておるというようなものは、これはやはり、どうしましてもそのままにしておくというのは適当じゃないのじゃないかということを考えておるのであります。  それから第二の点といたしましては、まん中にあります町村というものの態度がきまらない。そのために隣接の四カ町村なり五カ町村合併の意思を持っていながら、まん中町村だけが態度がきまらないために、どうしても合併ができない。しかも、やはり自分たちは未合併町村という烙印を押されなければならぬというような事情があるもの、こういうものを、われわれといたしましては、第一次的にはAグループに優先的にやはり入れていくべきものじゃないかというふうに考えておるのであります。ただ、それだけの分類に当てはまらなければ、みんなAグループに入らないかと申しますと、これはそうでもございません。それに匹敵するようないろいろな事情のあるものもあるわけで、いろいろそこに参りますまでの経過とか、そういったようないきさつ等から、どうしても、県当局としても、その合併を打ち切るわけにも参らない、しかも、関係町村自体も、一部においてはなお反対の動きがあるが、全体として、その合併を打ち切るということになれば、それこそ大問題になる、こういうような案件もございます。そういうものにつきましては、これをAグループに大体において入れていったらどうかという考え方でございます。それから、いわゆるCグループにつきましては、他の不可能町村あるいは適正規模町村との権衡上、むしろこの際はっきりと不可能町村に準ずるものとして、合併計画からはずしていく。それから、人口規模等におきましては、たとえば、七千あるいは七千五百というような人口規模を持っている。そのほか相当財政能力もある。しかし、今までの計画では、さらに大規模合併した方がいいということで計画には入っておった。しかし、その後いろいろやってみたところが、なかなかこれは合併には踏み切れない事情がある。しかも、同じ県内における他のいわゆる適正規模町村というものと比べてみても、それほど見劣りもしない、また将来にわたっても、ある程度自立していく可能性も顕著であるというようなものにつきましては、この際思い切って不可能町村なり適正規模町村に落していく、いわゆる勧告をはずしていく、そういうことにしてはどうかというグループがCグループであります。はっきり言いますと、AグループとCグループを除いたものが、これがBグループに入っていく、そういうふうな考え方で、今まで大体事務的には連絡をして参ったのであります。
  51. 占部秀男

    ○占部秀男君 ただいまの局長のお答え、そういうふうにある程度客観的な形がこの分類について筋として入れられることは、非常にけっこうなんですが、御承知のように、未合併町村の問題については、技術的な合併問題のらちをはずれて、何か政治的な問題に発展をしているところが相当多いと思うのですよ。そこで、そういうような場合には、これはもうすでに、分類をするということだけでも、相当その運動といいますか、内部的な対立と言つちやおかしいけれども、ごたごたのいろいろな動きが、運動というよりも動きがある。そこで、かりにこういうような問題を全然伏せておいて、先ほど局長が言われたように、当該の県の審議会にこういうような話をさして、そうして総理大臣の方のあれをやっていくということになると、私は、やはりその現地の県なら県の段階ですね、そういうようなところ、あるいはその下の段階でもって、政治的な意図、そういうものが入ってきてしまって、せっかくこの新市町村でいいものを作ろうという意図がゆがめられる場合が、特に今度の未合併のものの場合については多いのじゃないかという気がするのですよ。というのは、分類のそのときに、相当政治的な動きが影響する場合が多いのじゃないかと思うのですよ。そこで、できることならば、今言ったようなある程度の基準というものは、やはり法律を通す以上は、自治庁なら自治庁としての指導的な形で知らしめてやることが、そういうような政争——まあ政争はおかしいのですが、小さな政争的なものに持っていかれる可能性を幾分でも私は切りつめて、いい分類の仕方ができるのじゃないか、かように考えるのですがね。こういう点について、局長の御意見一つ伺いたいと思います。
  52. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) お説の点はごもっともだと思うのです。私たちといたしましても、今まで一応そういうような大体の方向は示しながら、事務的な連絡指導には当ってきたつもりでございます。本法が幸い成立をいたすということになりました暁におきましては、私たちは、現在事務的な考え方といたしましては、本法施行に関するもちろん通達等を出すわけでございますが、その際に、やはり町村合併についての一段階と申しますか、いわゆる合併関係終止符を打ちたいと、そういう気持もございますので、町村合併が始まります際に閣議決定で方針を決定いたしましたと同様に、今度のいわゆる終結処理と申しますか、言葉はまだ熟しておりませんが、このためには、方針につきまして閣議決定に持って参りまして、そこでアウト・ラインの線をはっきりと打ち出しまして、その方向で具体的に本法の執行に当りたい、かように考えておる次第であります。
  53. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 合併促進について終止符を一応打っていきたいというようなお話ですね。ただいまの。それと、先ほどのお話のありました、計画通りすみやかにその合併推進していくというその時期が、今年中あるいは来年の一月ごろまでに終らせたいという、その時期的なものは、これはそこら辺に置いておると、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  54. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 大体事実上のわれわれの心組みないし県当局に対する指導方針は、そういうところにめどを置いてやっていったらどうかというふうに考えておるわけであります。
  55. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 それと、今度の改正案に盛られておりますいわゆる計画変更、二十九条の二の計画変更、これとはどう関係してきますか。私は、二十九条の二そのものは、そのものとしてのもちろん意義があると思うのですが、むしろ今残っております問題の地域を含めての計画変更が必要な段階ではないだろうか、大きく取り入れた意味の。こういうふうに考えるんですが、そうしますと、いわゆる終止符を打つ時期というものは、もっと私は先へ延ばしていいんじゃないかと、こういうふうに思う。もちろんその間に、進み方によって、あるいは他の方法等によって合併するもの、これは何も延ばしておく必要はありませんが、さっきから何べんも申しますように、残っておるのは相当厄介な所だけなんでございますから、簡単に十二月一ぱいとか、あるいは来年の一月というようなことでめどをつけておやりになっても、なかなかそれに乗ってこないんじゃないだろうかというふうな心配があるものですから、私はそういうことを思うのですが、この点いかがでございますか。
  56. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その心配は、われわれとしても全然ないとは考えておりません。事実その通りかもしれません8ただ、法律が通過をいたしまして、その後県当局においてすみやかに事務的な整備を終って、これを県の審議会にかけるということになりますが、この場合におきまして、一番やはり問題となってむずかしく残って参りますのは、おそらくは計画変更をすべきかどうかという案件に該当する所、これが非常にむずかしい論議になってくるんじゃないかというふうに想像ができるわけであります。いわゆる両極端の地域が不整であるために合併推進しなければならぬものとか、あるいは合併不可能町村あるいは適正規模町村に落してしまうというものにつきましては、そうむずかしく論議しないでもきまっていくんじゃないかという見通しを実はつけておるわけであります。ただ、仰せになりましたように、計画自体は、この際法律が通過いたしました時点に立ちまして、全体の未合併町村についての取扱い方というものを全般的に考慮しなきゃならぬ、もう一ぺん再検討しなきゃならぬという必要性はもちろんございましょう。しかし、その間において、おのずからやはり答えの出るものは早く出てくるんじゃないか、しかも、合併必要性が顕著なものというものにつきましては、御承知のように、すでに勧告がかかっておるわけでございまして、これについては変更の必要なしということで結論が出て参りますれば、審議会審議を進めながら、一方において合併推進というものも行なっていける段階になってくるのじゃないかというふうに予想をいたしておるのでありまして、そういう意味から申しましても、やるべきものについては、できるだけすみやかにそういう指導態勢をとって、合併実現を早期に期待をいたしたい。そのためには、おそくても、大体のめどとしては、来年の一月あたりまでにめどをつけて参りたい、そういうような気持でおるわけでありまして、ただ、そうは思っておりましても、実際問題として、進み工合がそうスムースにいかない、もう少しずれるという場合も出てくることは、これは当然予想しておかなければならないのではないかと思います。
  57. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 関連して、今度の二十九条の二での来年三月三十一日までの間に行われる未合併計画変更ですね。これによって新たな事態が出てくることが予想されるわけですね。それの合併等の完了というようなものは、いつごろをめどにしてこれはお考えになったのですか。
  58. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) われわれの考え方といたしましては、年度一ぱいに大体の大筋のめどはつけたい、かように考えておるわけであります。従いまして、法律上は、勧告のやり直し、計画変更自体は、時限的には来年三月三十一日までに行えばよろしいというふうにはなっておりますが、できるだけこの点の準備を早期に完了をいたしまして、計画変更に基く勧告というものも、そこまで行かない前に、できるだけ早期に勧告の出し直しをすべきものは出し直しをするということをやりまして、大体のめどは年度一ぱいにつけたい。こういう心組みでおるわけであります。
  59. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 年度一ぱいというのは、三十三年度一ぱいと、こういうことですか。
  60. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) めどとしては三十三年度一ぱいでつけて参りたい、そういう趣旨であります。
  61. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私は、さっきもちょっと言いましたが、今のお答えの三十三年度一ぱいに計画変更をすることができ、それに基くところの勧告なり、これは単なる勧告だけではないと思いますが、当然合併すべき所は合併させると、こういうことでしょうから、それを今年度一ぱいというふうにめどをつけておるとすれば、私は、このいわゆる計画変更というものの中に、現在のいわゆる問題になっておりますところの未合併町村というものも、これは一つはほんとうに一本にぶち込んで考えるべき段階に来ているのではないか。昔から勧告しておるのにやらないから、これはこれの処理だ、この際新たに計画を立て直す必要があるところが出たから、これはこっちの方の別の条文のところでやると、こういうふうな考え方ではなしに、私は、一本にぶち込んで、必要によっては計画変更もあり、あるいは従来通り計画でもよろしいでしょうし、そういう関連で、年度末なら年度末ということをめどにして、合併のできるところで合併をさしてしまう、あとのできない、いわば方向を与えるところだけということで残すなら、それはそれにする。あるいは計画変更の中でワクからはずしていく、こういう一連の問題として考えた方がいいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  62. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) われわれの考えておりますのも、今鈴木委員がおっしゃる通りなんでございます。と申しますのは、資料の六ページで、先刻ちょっと御説明申し上げたわけでございますが、ここに出ておりますものは、七月三十一日現在で、今とはだいぶ違っておりますが、この後合併が進みまして、相当減少いたしておるわけでございますが、七月三十一日現在の時点に立ちました場合におきまして、これらは全部、それぞれ去年の三月三十一日までの間に、未合併町村としてそれぞれ合併勧告がかかっておるものでございます。全部かかっておりまして、今度の措置は、この勧告がかかっておりまする未合併町村の中におきまして、このものはぜひやはり緊急に合併をせしむべきものだ、勧告はかかっておるけれども、この分はむしろ不可能町村なり適正規模町村に落していこう、こういうことを今度の措置でもって分類をやろうということでございます。従いまして、お話の趣旨はその通りなのでございまして、この措置が講ぜられました暁におきまして、県において現在残っている未合併町村の全体について再検討を行いまして、方針を打ち出して、それぞれ対象町村段階に応じて適切な措置を講じていくと、そういう建前にいたしたいと考えておるのであります。
  63. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 先ほど私が聞いたときには、いわゆる未合併町村として残っておるものの中に、今度の計画変更の中に繰り入れられるものも一部あるだろう、こういうようなお話であったものですからね。入っていくものもあるだろう、こういうようなお答えであったものですから、私は、初めからそういうものをがっちりとした形でこういうふうに作るよりも、むしろ大きな意味での最終的な時限に立ってのA県ならA県というものの全体の町村合併の総仕上げのいわゆる計画だと、こういう見地に立って計画変更というものが考えられてしかるべき段階に来ているのじゃないか、当然、私が今言ったように、何べんも申し上げますように、未合併町村も含めて、問題となっているものも含めて、大きな時限に立ったそういう計画変更というものが必要じゃないだろうかと、こういうことで、まあくどいようなお聞きの仕方をしたわけなんです。その点了承いたします。  それから、実は、まあさっきのお答えの中の終止符を打つというその時期について、もちろんこれは、お話は、一応のめどとして、たとえば来年の一月前とか、あるいは来年の三月一ぱいというふうなことをおっしゃっておりますが、これは、問題の処理の実際を実施について多少とも見てきた者からしますと、なかなかこれはお見込み通りには参らぬと、これはもちろん、あなたもそういうふうに答えてもおりますけれどもね。というのは、中には、これは来年の四月に行われるべき地方選挙ともからむ問題が幾つもあるわけなんですよ。むしろ私は何も、からませて解決を延ばすとか、あるいはまた、からませて簡単に解決方向をどうのこうのということじゃないのですが、むしろ、またある意味においては、私は、選挙が一つの契機になって、新たな前進と申しますか、合併促進方向に打ち出せるものがあるのじゃないだろうかと、こういうふうに思うのです。ですから私は、ここまで来たのですから、まあここ二月、三月の期間にあせったような形をとらないで、むしろまあいろいろグループの分け方はあってもいいのですよ。それはそれとして、いわゆる合併終止符を打つ時期というものは、もっと先へ持っていった方がかえっていいのじゃないだろうかというふうに考えられる点があるのですが、こういう点についてどうでしょう。
  64. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) まあその点につきましては、選挙とからみ合せる、からみ合されない……行政的な指導の面としては、なるべくそういうものとは関係なくやっていきたいと思っておりますが、また一面選挙を直前に控えて、合併の気運が別な意味で盛り上るという県も、これは、御指摘になりましたように、中にはあるのじゃないかと思うのであります。で、そういうようなものにつきましては、このBグループの中で、近い将来に合併実現を期待ができるものという分類に入るものも中には入っておるのであります。われわれといたしましては、合併不可能町村なり適正規模町村で、計画からはずして参るというふうに考えておりますものが、これは確定的な数字じゃございませんですが、七十三カ町村くらい全国的にあるのじゃないか、さらに、必要性が非常に顕著であると認められるものが百六十二カ町村くらいあるのじゃないか、これらについては、少くとも落すものについては問題はないと思いまするし、また、緊急に合併を進めて参らなきゃならぬという必要性がございますものも、そう。パーセンテージとして多くはございません。なるほどそうはいうものの、パーセンテージが少くても、案件自体はいずれもむずかしいものでありまして、そうわれわれが思ったほど楽観的に事が進むとは思っておらないのでありますが、それにいたしましても、全体の数から申せば、パーセンテージとしては、この通りになったといたしましても、約三割でございます。まあ大部分のものがそれほど、われわれとしては、非常にこの際あせって合併終止符を打つというような気持で推進をする必要はないものというふうに考えておるのであります。すなわち、分類のやり方自体が、早期に合併を期待すべきものと、不可能町村適正規模町村にこの際はずしてしまうものと、それ以外のものというふうに考えておりまして、大部分でありまするそれ以外のもの、いわゆるBグループに当るものにつきましては、今後の合併に期待をして、気運の生まれたものが合併をいたしたいという場合には、こういう方向一つ考えてもらいたい、そういう意味の指導方針で今後の対策に処して参りたいというふうに思っておるわけでございます。
  65. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 大体お話わかりますが、もちろん私は、いわゆる合併終止符を打つ時期、それは、今度の計画通りやはり合併推進すべき町村であると、こういうふうな結論になったものだけについていうのですが、それであっても、私は、あまりせっかちなような指導なんというものをとらなくてもいいのじゃないだろうか、そのときじゃないと実は思うのですが、もちろんその間に、おれの方は十二月なり一月なりで勧告をきいて合併すると、こういうようなものも全然拒むというようなことは、これはナンセンスですから、そんなことを私は言うのじゃなくて、あまり完成の時期というものにめどをおき過ぎて、こだわり過ぎるということは、かえって問題をこじらせることになりはしないか、こういうことを申し上げておきたいわけなんです。その間に当然、選挙等があって、執行部がかわる、あるいは議員がかわることによって、それはプラスになる面もあるし、マイナスになる面もあるとはもちろん考えますが、しかし、プラスになる面も当然期待できるというふうに思われる所もありますし、そういう点からして、あまり時期を、今年中あるいは来年の一月だと、こういうふうなことで指導されることはいかがだろうかと、こういうふうに思って、お聞きしてみたわけなんです。
  66. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ちょっと私から、関連質問でありますが、今、行政局長から引用されました「町村合併及び新市町村建設に関する資料」六ページの「未合併町村の分類」というところですね。この表で、今大体三分類をして、A、B、Cに分けるんだと、こういうお話のように私聞いたんですが、これを見ると、この表は、(A)と(B)と合せたものを(C)として、Cと言われたものを(D)と書いてあるように見えるのですが、そうじゃないのですか。
  67. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) かりにわれわれA、B、Cの分類と申し上げておりましたのは、便宜上三分類をしたいと、その場合に、それに名称を付せば、A、B、Cというような言い方を一般に今までやっておりましたので、今私そう申し上げたんですが、この表にありますのは、それとは別でありまして、なるほど(A)と(B)とは、今まで申し上げておるA、Bでございます。しかし(D)が、今まで申し上げている意味では、それがCに当る、そういうことでございまして、今まで申し上げている意味では、これがCに当る、そういうことでございまして、今まで申し上げたA、B、Cの分類と、この表の分類とは必ずしも一致いたしておりません。
  68. 田中啓一

    委員長田中啓一君) そこで、そのA、B、Cでよくわかるのに、こんな表を作らんでもいいじゃないかと、こういうことです、一口で言うと。  そこで、さらにお伺いしますが、まずAのところで、勧告の件数と書いて、これは八十八とあります。その次に、未合併と書いて、百六十二とあります。そうすると、とにかく未合併であって、町村合併必要性が顕著なるものと認められるものは百六十二あるが、そのうち勧告をされておるものは八十八しかない。八十八は勧告してあるがというのか。あるいは勧告の件数では一つになっておるが、それは、町村の数からいうと、倍の百六十二になるのだという意味なのか、どうもよくわからないですが。
  69. 吉浦浄真

    説明員(吉浦浄真君) これは、勧告件数と申し上げますのは、たとえば、五カ町村が大同団結をするというふうな意味合いで勧告を受けておる場合に、それは一件として勘定いたします。それから、未合併町村の方は、個々に勧告を受けております現在の町村数から割り出しておるわけであります。そこに差が出てくるわけでございます。
  70. 田中啓一

    委員長田中啓一君) わかりました。そこでお伺いいたしますのは、たとえば、有名なる三重県木曽岬村というようなものは、一体どういうところへ入るのですか。
  71. 吉浦浄真

    説明員(吉浦浄真君) この件は、ちょうど昨年の三月末に、都道府県知事から合併勧告を出す時期に越県合併を希望いたしておりまして、県内合併勧告知事から出されておりません。従って、との数の中に入っておらないわけであります。
  72. 田中啓一

    委員長田中啓一君) さらにお伺いいたしますが、一体、こういうふうに、未合併町村町村合併必要性が顕著なるものと、こういう表で表現がしてあれば、勧告するもしないも、必要なものは必要なものだと、こうわれわれは読むのです。だから、これは要するに、現在こうやって五カ年間町村合併が進行をしてきまして、私にいわすと、あるものはどうも期待以上にどんどん大きくなっていってしまって、こんなに大きくなり過ぎぬでもいいじゃないかというようなものもできてみたり、それからまた、小さな所で、当然町村合併促進法の精神にかんがみても、県内であろうが越境であろうが何であろうが、とにかくそれは合併をした方が今後の自治体としてあり方として適切だろうというようなものを明らかにして、そうしてそれに対するある程度のこの際必要な法的措置をするというのが今度の改正法だろうと思うのです。そういうものについては、どこにも出てこぬぞということは、一体どういうおつもりで改正法を作っておられるのですか。
  73. 吉浦浄真

    説明員(吉浦浄真君) いま一度、たとえば木曽岬村が知事勧告が出なかった理由について申し上げますが、越県合併規定によりますと、他の都道府県の町村合併したいということで希望があったわけでございまして、それを総理大臣が中央審議会に対しまして諮問をいたしまして、その答申を受けて裁定するという手続に相なっておったわけであります。従って、これは総理大臣の裁定にかかわる問題でございまして、都道府県知事の手を離れたものと考えられたわけでございます。一方、この県内のもろもろの未合併町村合併推進につきましては、この法律規定によりまして、都道府県知事が権限を持ちまして勧めるような規定に相なっておりまして、しかも、未合併町村勧告に先立ちまして、内閣総理大臣と協議をして合併計画を定めるというふうな段取りになっておったわけであります。当該木曽岬村につきまして、三重県知事といたしましては、もとより県内合併をさせたいという気持でありましたために、そういった相談を受けたわけであります。ところが、同じ内閣総理大臣が一方では県内合併を勧めることが適当であるという表現をして、その協議に応ずる、一方では越県合併をさせていくというふうな権限を持っているということは、これはもう大へんな反対に立つ理論に相なりますために、その際、問題はすでに内閣総理大臣の手元まで参っておりましたので、県知事の関与するところではないという意味合しから、合併勧告からはずしたわけでございます。そういった経緯があったことを御報告申し上げますが、今回の問題の最終的処理につきましては、先ほど局長からるる説明がありましたので、若干補足的に御説明いたしますが、あくまで未合併町村として合併勧告がかかっておりますものが、実はまだ五百有余も処理できないままに残っておりまして、この際、また新しい勧告をどんどんかけてまで全国的に見直していくというふうに、手を広げて参りますと、これは、今後また数年たたないと、全体の問題の収拾ができないということになりますので、問題をできるだけしぼっておこう、こういうふうな意味合いがあったわけでございまして、勧告をかけてもらっている町村ですら合併できないから、その町村をできるだけ早くピリオドを打つというような進み方に立脚したものでございます。まだ手を広げれば、おそらく今御指摘になりましたように、これも合併勧告をかけた方がいいじゃないか、これも、機運ができているから、合併さしたらいいじゃないかということが、なるほど拾えばある程度出て参ると思います。そこまで手を広げて参りますと、これはまだまだ大へんな事態になってくるというふうな場合、それでは合併を終息するのでなしに、手を広げる一方というふうにとられても困るわけでございます。そういった意味をもちまして、問題をしぼって提出したわけでございます。
  74. 田中啓一

    委員長田中啓一君) そうしますと、これは、今回の改正法は、そういったものの若干の始末をするという程度におしぼりになったので、まだまだ今後新市町村建設については、行政的努力も要るし、また、場合によっては法的措置の必要も考慮しなければならないかもしれぬ、このような状態でこの法律が出るのだ、かように考えてもよろしゅうございますか。これは、一つ政務次官からお答え願いたいと思います。
  75. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 理屈から申すと、その通りかとも思いますけれども、御承知通りに、町村合併促進状況を見ましても、かなり進捗状況よろしゅうございます。結局、現在残っておりますのは、まあ大体こういうものが主でございますから、これを片づけまして、それで、まあおっしゃる通りに、万一何かほかに問題が出ますれば、それはそのときに考えなければいけないと思いますが、おおむねこれで片がつきまして、新市町村建設に入れるものと、かように考えている次第でございます。
  76. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 重ねて申し上げますけれども、万一出てくるのじゃない、明瞭に出ているのです。しかも、審議会答申は、地理的にも経済的にも産業的にも社会的にも、それは愛知県側と一緒になるのが当然なことなんだが、しかし、この段階ではというので、村はまっ二つになってけんかしているわけです。そこで、この段階では今すぐでは不適当だ、こういう答申のようでしたね。そうなってみると、始末しなければならぬのは、万一出てくるかもしれぬじゃない。私が知っておるのは、実は、まことに地方行政はあまり全般的に明るくございませんから、一つしか知りませんけれども、ほかにもあるかもしれませんですし、なかなか万一とも言うておれない状態じゃないかと私は思いますが、いかがでありますか、行政局長。
  77. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今お話しになりました木曽岬村の問題についてでございますが、これは、審議会でもいろいろ慎重に研究をせられました結果、いろいろな条件は、弥富と非常に密接な関係にあるということは述べております。ただ、住民の動向その他において、村がかなり紛糾をいたしておりまして、賛否の両論が対立をいたしておる。そういうような現況がございましたために、ほかならぬ県境問題で、非常にそうでなくてもむずかしい問題がこれに当然随伴をいたしまするやさきでもございまするので、それが村中がまっ二つに割れておるというようなことでは、今直ちに合併推進するわけには参らないという結論を出したのでございます。そこで、今後の問題として、なるほど村中がまだくすぶっておりまして、いわゆる自治村というようなことで、弥富合併派が宣言をいたしまして、問題がなお続いておる一ということは、私たち承知いたしております。ただ、県境合併問題というものについて、もう一度新たに道を開くということは、われわれ、あの問題は非常にやかましい問題になりまして、皆さん方にも御迷惑をかけたということで、非常に怯懦になっておるつもりはございませんけれども、しかし、全般的に見て、さらに新しい問題を提起するということも、当該関係町村の行政の安定からいっても、また県当局の全般的な行政運営の面からいってもいかがであろうということで、県境問題、特に県境にまたがるまるまる合併問題については一応終止符を打った。新しい問題というものは、今後取り上げる態勢というものは、しばらくの間は作りたくないという考え方でおるわけなんです。ただ、現実問題として、木曽岬なら木曽岬で問題が残っておるということは事実でございます。その問題につきましては、私たち思っておりますのは、率直に雷って、いわゆる合併問題として処理することが一つ、と申しますのは、一応総理大臣の裁定の期限というものは過ぎて、その問題としては一応消滅をした。しかし、いわゆる自治法に基く自主的合併というような道がさらにないものかどうか。これは、そういうことは可能性としては申しますけれども、現実には、三重県がその気持になってくれない限りはできません。なかなかむずかしゅうございます。しかしながら、そういう点で将来、あれほどまでに言うのだからして、まあそこは県の面子とかなんとかいうことを言わぬで、いわゆる木曽岬全般の幸福のためからいって、弥富への合併を認めるべきじゃないかというような気運がここに生まれて参りますならば、そうすれば、いわゆる自治法に基く自主的合併の道は、これはあるわけでございます。そういうような可能性があるかどうかというようなことは、今後のやはり検討問題の一つとして、あることはあると思うのであります。直ちにそれで解決ができるとは私も申しませんけれども、可能性としてはこれが一つ。それから、もう一つの問題といたしましては、合併問題とは離れまして、当該木曽岬地区の住民として共通に要望いたしておりまする問題として大きなものに、いわゆる用水問題がございます。この用水問題は、木曽岬だけの問題でもございませんで、特に対岸の弥富の地区におきましても、同じようなやはり用水の不足に悩んでおるという問題があるわけであります。この問題の解決の可能性が弥富合併とともに達成せられるというのが、やはり地形的な問題もございますけれども、木曽岬村民の一つ合併に踏み切りたいという動機でもあったわけであります。そこで問題は、そういうことであれば、実質的にそういう不便を一つ解決する道はないものだろうか。これは、われわれ自治庁当局が直ちに努力いたしましても、すぐにできるものじゃございますまいと思います。しかしながら、そういうような点が今度の合併問題を契機にして浮き彫りにされて参ったのでございますので、その点は、われわれとしても、三重県当局なり、あるいは愛知県当局なりにお話を申し上げまして、それらの大きな、やはり土地改良の問題として、あるいは用水問題の解決の問題の一環として、これを取り上げるわけにいかないか、それによって、合併問題として解決できなかったけれども、実質的に村民の要望というものを達成して上げるというようなこともできるし、そのことが結局は、食糧増産にもつながる問題なんでありまして、そういうような方向解決できないかということをわれわれとしては若干念頭に考えておるのであります。これは、私の今後のやはり本問題に対する解決努力目標の一つとして頭に描いておる問題でございまして、そういうような点を考慮しながら、この本村におきましても、今後の円滑なる解決ということにさらに情勢を見て一つ努力をしてみたい、かように考えております。
  78. 占部秀男

    ○占部秀男君 今の点ですが、木曽岬の問題は、われわれも知っておるのですが、そのほかに、そう例はないと思うのですが、どのくらいございますか、そういうケースが。
  79. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 越県合併のまるまる合併問題で、一応こちらに問題となりながら、いわば村会の議決通りに参らなかったというものがほかにもございます。それを一応御説明申し上げたいと思いますが、一件は、愛媛の生名村というのがございます。これは島でございます。生名村が、対岸の広島県の因ノ島がございますが、因ノ島への合併の申請が出てきております。ところが、これはその後のいろいろないきさつもございましたのですが、お互いに話し合いがつきまして、生名村が因ノ島への合併申請を取り下げたのであります。従いまして、われわれの方でこれに裁定を下すところまでいかなかったという問題が一件ございます。  それからもう一つの問題は、奈良県に、梅で名高い月ケ瀬村というのがございます。この月ヶ瀬村が三重県の隣接した上野市に合併したいという問題があったわけでございます。この問題は、中央審議会にもかかったのでありますが、今話題になっておりました木曽岬の問題と同様なケースをたどりまして、月ヶ瀬村は上野市への合併が認められなかったのであります。この問題につきましても、なお問題が終息をしたわけではございません。特に月ヶ瀬村につきましては、まん中に川がありまして、その周囲に村が広がっております。いわゆる東部地区、西部地区と言っておりまして、東部地区は、特に上野市に隣接しておる関係もあって、非常に熾烈なる要望を持っておるのでありますが、これがまっ二つに割れておるというようなこともございまして、村民の動向が十分でないということで、審議会でも、合併は適当でないという結論が出たのであります。この問題が一つなお残っておると言えば残っておる問題ではないかと思います。
  80. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今のお話に関連して。いわゆる越県合併で問題となった個所ごとに、もう少し事情を、解決したところ、あるいは解決しないところというのがたしか六つ七つ、最初あったはずでございますから、それについて一つ説明願いたいと思います。
  81. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) いわゆる県の境界にまたがりまする市町村合併問題、これは、普通まるまる合併問題と言っておりますが、その件は、全国的に申しまして九件発生をしたのであります。それを申し上げますと、これは埼玉県の元狭山村と東京都の瑞穂町の合併、それから福井県の石徹白村と岐阜県の郡上郡の白鳥町の合併、それから、今話題に上っておりましたが、三重県の木曽岬村と愛知県の弥富町、第四が奈良の月ケ瀬村と三重の上野市、第五が愛媛の生名村と広島の因島市、それから第六が長野県神坂村と岐阜の中津川市、次が、これはまだ解決いたしておりませんが、群馬県の矢場川村栃木足利市、八は同じく栃木の菱村と群馬の桐生市、九番目といたしましては、京都府の樫田村と大阪の高槻市の合併、この九件が発生をいたしたのであります。この九件のうち、五番目に申し上げました愛媛県の生名とそれから因島、これにつきましては、両市村から合併申請書の取り下げがございましたし、それから、最後に申しました京都と大阪の関係につきましては、これは中央の問題にはなりませんで、いわゆる円満にそれぞれ京都府及び大阪府において議決を行いました。いわゆる両府の府会において円満に議決を了したのであります。これでこれは円満に解決をしたのであります。他の七件につきましては、県当局の方でいろいろの立場から疑義がありまするので、合併の議決が行われない、そういうことで、中央の問題になったのでありまして、総理大臣といたしまして、中央審議会に本件を付議をいたしまして、問題の処理に従来まで当って参ったということになっておるのであります。この中で、合併がいろいろな角度から見てしかるべきであるというふうに結論が出ましたのは、一の元狭山村と瑞穂町、二の福井の石徹白村と岐阜の白鳥町の合併、それからその次には、六の長野の神坂村と中津川市、八の菱村と群馬の桐生市、これは合併がしかるべしという答申があったのであります。これに対しまして、審議会におきましては、合併はその時期にあらず、いわゆる合併否であるというふうな結論が出ましたのが、四の月ケ瀬村と上野市、それから七の矢場川村栃木足利市、こういうことに相なったわけでございます。それから、申し落しましたが、三の木曽岬村と愛知の弥富……。
  82. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これもだめだということですか。
  83. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これもだめな方であります。こういう答申が行われたのであります。そこで、合併がしかるべきであるというふうな結論が出ました四件につきまして、いろいろ当庁といたしましても関係者間の調整をとりまして、円満なる妥結のために鋭意努力をいたしたのであります。その間いろいろ各方面に御迷惑もおかけをいたしたかと思うのでありますが、各案件ごとにいろいろ調整を行いました結果、一般方針といたしましては、合併をしたいとしておりまするそれぞれの村につきまして、いろいろ住民の動向その他を検討いたしました結果、なお残存をしたいという地区住民の意向等もございましたので、それらの点をも考慮いたしました結果、それぞれある程度分村をいたしまして、いわゆる一部を分離をいたしまして、他の地域というものは、これを申請通り所定の市町に合併をするという手続を終ったわけであります。若干時期的にはズレがございましたのですが、それぞれ調整案を示しまして、これによって御協力をいただいた結果、まずまず——関係の当局の方ではいろいろ言い分もあったかと思います。なお問題も、今までまるきり全部終息したわけでございませんで、若干現地においてもごたごたが続いておるようでありますが、大体法律上の手続としては所定の手続を終りまして、それぞれこの十月十五日から法律措置が行われて、効力を発生をいたしております。ただ、栃木県の菱村と桐生市につきましては、発生いたします時期も、若干他の案件と比べてずれておるということもございましたし、その他の事情を勘案いたしまして、効力発生期日は来年の一月一日からということにいたしておるのであります。  ごくあらましでございますが、以上がいわゆる県の境界にまたがる町村合併で、今まで問題になっておりました問題のいきさつのあらましを申し上げたのでございます。
  84. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 いわゆる都道府県の境界にわたる合併問題についてのお話をお聞きしたわけなのですが、群馬の矢場川と栃木足利市の、これは認められない、合併を否とする答申ですね。とすれば、さっきいただいたプリントのうち、最後のところで、この点についての二、三行の説明があるのですが、「右の処分は行わないものとするが、矢場川村足利市に隣接する区域については、」云々と、こうありますね。まるまるなるのはいけないけれども、分村の場合には考慮せい、その間の意見調整等をやれ、こういうつけたりがあるというわけなのですか。
  85. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 矢場川と足利市の合併問題についての審議会答申は、他の否とする案件と若干ニュアンスが異なっておりまして、本件については、答申自体の中におきまして、まるまる合併としては処分は行うべきでない、しかし、矢場川村の客観情勢というものは、足利市ときわめて密接な関係にあることは事実だと、なかんずく足利市に隣接をいたしておりまする地区におきましては、その住民足利合併への熱望というものが非常に強いものがあると認められるので、そういう点、関係者の意見調整して、境界変更の点について一つ努力をしろという、いわばただし書きがついておるのであります。
  86. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは、審議会答申なり、総理大臣の裁定が下ったのですから、そういう点については、どうのこうのと言うのはおかしいようですが、このいただいた。プリントの一、二、三、四、これはいずれも、まるまるの合併のものだけじゃないわけですね。四はまるまるですが、一、二、三、これは一部分ですね。小さな一部分であるかもしれないが、残るとか何とかいう措置をとっておりますね。この場合で、もし足利の方へ行くことが至当であるという部落なり区域があるとすれば、何かもう少しはっきりした措置ができないものかどうかという点が一つ、ちょっと疑問として残りますが、どうでしょう、この点………。
  87. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 一から四までございますのは、これは、答申の線自体は、まるまる合併そのまま認めるべきであるという答申方向でございます。ただ、当庁といたしましては、いろいろ地元の動向でありまするとか、県の意向等もまるっきりこれは無視するわけにも参りませんので、この点、できるだけ事態の円満な解決をはかりたいということで、一部はそのままに残す。ただし、その残すことについては、地元の村当局においてやはり自発的に議決をしていただくという手続をとっていただきまして、人格的にはやはり、例をあげますと、元狭山の場合についても、元狭山村自体というものは、これはそのままの人格が瑞穂町に入る。また、石徹白につきましては、一部は残りましたけれども、人格としてのものはやはり石徹白村は白鳥町に入るという処分をそれぞれに行なったのであります。矢場川と足利の問題につきましては、実は地元住民の中で、かなり賛成反対の意見が対立をいたしておった事情がございまして、そう事情につきましては、月ケ瀬の場一合であるとか、あるいは木曽岬の場合とかに若干類似をいたしておるわけであります。ただ矢場川村が、足利市に隣接をいたしておりまする地区につきましては、相当、その部落について見ますと、賛成というものが顕著に固まっておると申しますか、あまりその地区々々については、両派の対立がそれほど熾烈でないという点もはっきり認められるように審議会では判断をいたしたのであります。そういう結論から、全般的に見て、矢場川村自体足利市に編入するということは適当ではない、時期ではない。しかし、これは、一部の境界変更の問題として処理することが望ましい、こういう結論を出したわけであります。私たちといたしましては、本問題については、法律上の手続よりも、やはり自主的合併の線で問題を処理できないかと、自主的に一部を足利市に離すということで処理できないものかということで、この裁定を下します前におきましても、関係の県なりあるいは関係市村当局とも打ち合せをして手続を進めようと思ったのでありますが、やはりどうしても話し合いがつかないままに、こういう結論になったのであります。しかし、この関係においては、審議会答申の線もございまするし、なおわれわれといたしましては、関係両県あるいは関係市村の間に調整をはかってみたい。その上で、どうしてもやむを得ない、解決がつかないという場合におきまして、最後には調整手続を本件についてはかけるということもやむを得ないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  88. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 今の矢場川と足利市の問題は、まあいずれ地元での今後のいろいろ意見の交換なり調整なりを期待をする、こういうしばらく態度でいく、こういうふうなおつもりなんですね。そうしますと、これがまあ形の上では、今後あれでしょうね。総理大臣の裁定なりということはあり得ない。一たんまあだめというふうなことになっていますからね。形の上ではそういう形はとれないわけなんですね。その点………。
  89. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) いわゆるまるまる合併の問題として総理大臣裁定ということは今後ありません。
  90. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ちょっと私から伺いますが、今の矢場川に対して御努力をなさるということは、私も大へん賛成でありますが、努力しただけで、円満にいかない場合には、調停にかけることを考慮しているということでありますが、この法律改正法から見まして、これは調停にかけられますか。
  91. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この点は、自主的な解決がはかられるように、われわれとしては、今後とも最善の努力を尽したいと思っております。ただ、どうもそれがいけないという場合におきましては、調停にかける道は作っているわけでありまして、これは、改正案の一ページの始めから四行目にございます「二十七条第十三項」の改正、これを「三十四年三月三十一日までの間において」こういう条項を入れておりますので、自主的な調整がつかないという場合には、本規定を発動するという道が残されているわけであります。
  92. 田中啓一

    委員長田中啓一君) そこで四行目なんですが、二十七条をずっと前の方から説明して下さい。どこへこれは該当することになるわけですか、今の矢場川の場合は。
  93. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 二十七条の規定は、これは「市町村境界変更に「関するあっせん調停及び投票」に関する手続を書いているわけでございます。これは、原則として書いておりますのは、いわゆる県内合併に関する紛争について、その処理方針をずっと書いているわけであります。そのやり方といたしましては、調整委員あっせん調停に付することができるのだ。その調整委員あっせん調停の結果、それが成立すればよろしいし、成立しない場合におきましては、いざとなれば住民投票において事柄を決する。さらに、住民投票の方法といたしまして、それぞれの当該市町村の選挙管理委員会が投票を行わないという場合には、県の選挙管理委員会において代執行を行う。それらの一連の手続を書いているのであります。  十三項の規定は、「内閣総理大臣は、都道府県の境界にわたる市町村境界変更については、第一項、第四項又は第五項の規定の例により、あっせん調停又は投票の請求をすることができる」ということで、県境にまたがる問題についても、一部の市町村境界変更については、同じような手続をとれるということになっているのであります。ただ、この点につきましては、十三項をこのままにいたしておきますと、二十七条の一項自体がこれは時限法でございまして、去年の三月三十一日までの間においてあっせんを行わせる、あるいは調停に付するということをいたさなければならないということになっているのであります。従いまして、このままで参りますると、内閣総理大臣が県境にまたがる問題についてこの規定の発動をいたすこと自体も、これは、去年の三月三十一日までに措置をとっておりませんと、新しくこの措置を講ずることができないということになっておるわけでありますが、そこで、今申し上げました矢場川問題について、自主的な調整措置を講ずるけれども、万やむを得ない場合に、それらの紛争解決のめどがつかないという場合に対処いたしまするために、ここに、三十四年三月三十一日までの間においては、なお二十七条の例によって、調整委員あっせんを行わせ、あるいは調停に付することができるという道を開こうとしたのが二十七条の十三項の改正であります。
  94. 田中啓一

    委員長田中啓一君) もう一点伺いますが、二十七条の二ですね。改正法ですよ。「都道府県知事は、第二十九条の二第一項の規定による町村合併に関する計画変更に伴い、新市町村区域のうち従前市町村の一部の地域又は新市町村隣接する市町村の一部地域に係る市町村境界変更で新市町村とこれに隣接する市町村との間におけるものに関し争論が生じた場合において」云々、こうありますよ。入らぬじゃないですか。
  95. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 二十七条の二は、これは、いわゆる県内合併関係のある境界変更紛争処理の問題でございます。これは、県内合併について計画変更を行う。計画変更を行なったことによって新しく境界変更紛争が生ずるという場合においては道がございませんので、二十七条の二というものを書いた。ところが、県境にまたがる問題につきましては、現在二十七条の十三項の規定がございますが、これは、いわゆる第一項の規定の例により、と書いてありますので、第一項の規定というのは、時限法で、三十二年三月三十一日までの間においてそれらの手続を終えておらなければならぬということになりまして、県境にまたがる問題につきましては道がございません。そこで、十三項について規定を設けまして、この規定の発動の有効期限というものを来年の三月三十一日までの間延長をするということが、この十三項の改正規定趣旨であります。
  96. 田中啓一

    委員長田中啓一君) そうすると、改正法律の第二十七条の二という、この中に含まれるのですか。どの辺に出てくるのですか、今の話は。
  97. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 二十七条の二は、これは今申し上げましたように……。
  98. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ここではないのですか。
  99. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ありません。
  100. 田中啓一

    委員長田中啓一君) どこにあるのか。
  101. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 四行目でございます。
  102. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 二十七条第十三項中というところですか。そうしますと、こういうことになりますか。三重県木曽岬の場合は、四行目のこの条項には当てはまるのだが、そういう扱いはしないつもりだ、こういうことになるわけですか。
  103. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 理論的、法律的には、木曽岬の場合も全然対象にはならないものではございません。ただ、本件につきましては、裁決をまるまる合併の問題に関して下した例もございますし、木曽岬自体が島でございますし、この分村問題をやることが果して将来のためになるかということもございますので、われわれといたしましては、本件の適用をこれによってかけるつもりは持っておらないということであります。
  104. 田中啓一

    委員長田中啓一君) それはよくわかりました。そこで、もう一つ念のために申し上げておくのですが、これは御答弁をわずらわすわけではありませんが、矢場川村の問題も、やはり私は、今のように処置をされることは適切なことだと思います。なぜかと申しますと、足利市寄りのところは、大体において農村であったけれども、漸次機業が発達して、もうこれは機業地たる足利といったような気が大部分の住民がしておるということからいきましても、どうもこれは片方は農村部、片方は機業市部、こういうことになってしまうのだろうと思いますから、なるべく円満に御努力を願うことは、非常に私ども好ましいことだと思って、お考えを多とするわけですが、やはり用排水の問題はございまして、これは、県を異にするようになると、相当これも、今後うまく用排水を運用していく、計画運用をしていくことで、何かと問題があることですから、この点も十分御配慮を願いたいということであります。  それから、逆に今度木曽岬の方のそういう問題のあることもまことに御指摘の通りでこれは生命ともいうべきものだと私は思いますが、ちょうど私どもの村が三カ村合併いたしましたように、あの辺になりますと、濃尾平野の下流地帯です。私のところも隣になるわけですから、いわば隣から仲裁にいくような格好になるところなんでありますが、用排水が生命なんです。でありますから、これは分けてはいかぬ所なのです。それを今地方の勢いで分れるなんていうてやっているわけです。だから、もう待てと言われたこともやむを得ないと私は思うのです。何とか一つ取りしずめた上は、あの村自体が用排水一本の所であり、同時にそれは、弥富村と一本になる所なんです。そういう生命線にかかわる問題ですから、何とぞ一つ今後円満に解決できるように御努力を願いたい、こう思うわけであります。私、以上であります。
  105. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 都道府県の境界にわたる分村の問題で、最近九月ですが、あのころに処理なさったのがあったはずですね。そうではなかったのですか。
  106. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 分村問題といたしましては、処理をいたしましたものはございません。一つ、実は、こちらが法律手続でもって正式に往民投票その他のことをやったわけでございませんが、実質上解決をいたしましたものに、やはり先刻申しました京都と大阪との関係のものが一件ございます。これは、まるまる合併の樫田村と同じように、現在亀岡市、この中に入っております西別院、旧西別院村、二部落でございますが、この二部落が隣の大阪府の東能勢村に入りたい、分村したいという要情がございまして、これにつきまして調整委員にも付して、いろいろ慎重に御審議いただいたわけでございますが、この方は、ぎりぎり一ぱいに参りませんで、やはり亀岡市においても議決をいたしました。なお、能勢の方ももちろん議決しておりまするが、京都府並びに大阪府会におきましても、同様に一部の分村について議決をいたしました。これは、事実上自主的合併の形式をもって解決をいたしておる次第であります。あと現在一部合併の問題として残っておりますのは二件ございまして、一件は、岡山県の日生町の一部に福浦という部落がございます。この福浦部落がお隣の兵庫の赤穂市へ入りたいという問題が一件と、それから、栃木県の桑絹村の一部が茨城県の結城市に入りたい、この二件が目下継続をいたしておりまして、この件につきましては、中央審議会委員方の中から調整委員を任命いたしまして、現在調整に当っているのでございます。  なおもう一つ、その案件とは別個の問題でございますが、処理を要する問題といたしましては、例の静岡県と神奈川県の県境にまたがりまするいわゆる泉地区の帰属の問題、これがなお処理を要するものとして残っているわけであります。
  107. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これはまた別の問題でございますが、新市町村の一部が未合併町村へ行きたいという動きのある所があると思うのですが、これは、従来の態度ですと、未合併町村へのいわゆる分村ということはやれない、こういうふうな方針のようですが、これは、やはりあくまでもそういうことでお進みになるわけでございますか。
  108. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 原則的にはそういう線で今まで指導をいたしてきております。
  109. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは、いわゆる合併計画を立てて、町村合併推進していく過程においては、いろいろ考えなければいけない問題もありますから、原則的な考え方としては、私は一応それでいいと思うのです。ただ、もう合併一つのこういう最終段階に来ている際に、そのことだけで、いわゆるそういう原則だけで、住民の熱烈なる希望なり、あるいはまた、行くことによって、当然今住んでおるいわゆる新市町村におるよりは、未合併町村といえども、そっちの方に編入された方がいろいろな点において生活上の利便がある、こういう問題を押えておくということは、これはどうかというふうに考えるのですが、どうなんでしょうか、この点。
  110. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 私どもといたしましても、未合併町村への一部分離というものを絶対的に認めないという立場をとっているわけではございません。その点は、他の県の該当事件に関しましても、事件の経過、いきさつによりまして、中には、やむを得ない場合におきましては、そういう手続を進めたものも絶無ではございません。従いまして、われわれといたしまして、絶対的にそれは認めないという方針をとっているわけでもございませんですが、ただ、未合併町村へ分離を認めるということは、やはり未合併町村自体合併に踏み切るというはっきりとした見通しがついてない際において、そういうことに踏み切りますことが、かえって未合併町村合併推進に障害になるというような場合も、場合によっては起るわけでありまして、そういう点を考慮しながらやって参りたいというふうに考えているのであります。御指摘になりましたような点につきましても、われわれといたしましては、どたんばに参りました際には、絶対にそれを認めないという方針でいくわけではございません。そういう意味で、一般的には、原則的にそういうものは好ましくないとして、なるべく合併してもらいたい、そういうめどがついてからにしてもらいたいという指導方針で、今までは参っているのであります。
  111. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 この問題ですが、先ほどいろいろ話のあった、いわゆる未合併町村に対する今後の処理の問題で、すみやかに合併することに一生懸命である所、その他方向だけを示している所、あるいは全然計画のワクから離してしまう所、こうあるとすれば、これはもちろん、今、私が問題にしておるような未合併町村が、あくまでも計画通り合併が至当である、合併することがいかなる見地から見ても正しいものだというふうに判定される場合は、これはもちろん問題にならぬと思うのですが、その他の、方向だけを示しておくというような場合、あるいはワクからはずされるというような場合であれば、今の、私がお尋ねしたような、新市町村の一部からその未合併町村に行きたいというような場合でも、これは許されてしかるべきじゃないだろうかと思うのですが、どうですか。
  112. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) そういう場合がはっきりわかって参りました暁におきましては、やはり境界変更の問題についても、新たなる角度から、もう一ぺん検討し直すという必要が出ると思います。
  113. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 そういう問題が解決できないために、たとえば、今度税金の不納同盟をやるとか、われわれはあくまでもこの問題についてのその目的が貫徹するまでは云々というような、いろんなことで、非常に困った事態があるわけなんです。もちろん、これは投票の結果じゃないから、きちっと絶対的に分村したいというのがどの程度多いかどうか、これはにわかに判定もできないと思うのですが、とにかく相当穏やかでない空気の中に、毎日部落民が生活しなければならぬ。当然新しい町村においても、どうも厄介な迷惑な問題をかかえておる、こういうふうな所があるわけなんですね。そういう場合に、いろいろ今後の未合併町村処理の問題ともからんできますけれども、原則だけでどこまでもやっていくというところに、かえってその問題のこじれ方がひどくなってくるというようなこともあるものですから、いっそ投票でもやってみて、この際きれいに始末をつける、多数のところに必ず従うのだというようなことで、きれいに始末をつけるというようなことも、場合によっては必要じゃないだろうかというふうに私は考えるのですが、そこら辺まで踏み切るわけに参りませんですか。
  114. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 未合併町村に対して、一部の地区が分村をしたいというような案件につきましては、お話もございましたように、合併をしないというのは、受け入れの未合併町村側の問題でございまして、分離をいたしたいと考えておりまする住民側から申しますれば、関係のない場合もあるわけであります。そのために一方が、受け入れの側の町村が、合併勧告通り合併しない、未合併町村でおるために、いつまでも当該部落の住民が、その意思が達成できないということになって参りました場合におきましては、それと関連をいたしまして、いろいろ派生的に弊害が起きてくる、また、混乱が長く持続していくというような事例も中には出てくるわけであります。そこでやはり、そこの踏み切りをどういうふうにつけていくかということの時期が、きわめてむずかしい問題になって参ろうかと思います。具体的な問題につきましては、また別個お伺いをいたしたいと考えておるわけでございますが、今お話になりましたような未合併町村自体処理につきまして、いわゆるBグループあるいはCグーループというような方向が打ち出されて参るということになりました場合におきましては、当該関係の一部地域境界変更という問題に対する態度ということ自体につきましても、これはすみやかにやはり再検討をいたすべきことに相なるのではないかと思います。
  115. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 では、重ねてお聞きしますが、今後の未合併町村処理の際に、たとえば、先ほど私も申し上げ、また、あなたも今お答えになりましたように、BグループあるいはCグループに入るようなところについては、今後それと並行して処理方法を考えていきたいということなんですね。
  116. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この提案理由説明の中にも、町村合併促進から新市町村建設に大きく転換をはかるべき段階に立ち至ったと、こういうふうにお述べになっております。私どもも同感でありますし、むしろまた、私どもは、今までのいろいろな経過から見て、ほんとうに新市町村建設のために、あるいはまた育成のために、もっと早くから大きな転換をはかるべきじゃなかったかというふうにも申し上げたいこともあるわけなんですが、まあそれはともかくとして、何といってもやはり問題は、私、今後の新市町村をどう育てていくか、言葉はあるいは悪いかもしれませんが、建設をどういうふうに促進させ、育成していくかということが一番大きな問題だろうと思う。この委員会でも、しばしばそういう問題について、あるときは補助金の問題、あるときはその他の問題等についていろいろ論議のあったことでもありますから、そういう点から言って、私、新市町村に対するいわゆる補助金等の問題について、ちょっとお伺いしてみたいと思います。  三十三年度の十五億七千万円の金のいろいろ配分の状況を見ておりますと、私、全部のことについてはわかりませんが、何か、これらの補助金の使い方が、果して新市町村建設のための本質的な問題、本質的な仕事について使われるような形で補助金が出ているかどうかということについて、私ちょっと疑問な点があるんじゃないかと思う。まあ、一、二例を申しますと、最近各町村で自動車を買うところがたくさんふえてきましたね。自動車を補助金百万円もらったから買う、申請したら、自動車の購入のために百万出たとか、百五十万出たとか、もちろん私、自動車は不要だとかなんとかいうことじゃないんですが、その町村の実態について見た場合に、自動車を買うよりも、まず先に取り上げなければならない仕事のために金を使うべきじゃないだろうかというふうな感じを持たせられる例があるわけなんです。あるいはまた、どこでも、役場の庁舎等に何か最重点がありそうな金の使い方をし、補助金の使い方、従ってまた、起債等もそれによって振り当てられるというような問題もあるわけなんです。私、まああまり多くもない金ですから、これは使い方によほど注意をしてやらないと、何か、村長が村を回るための自動車、あるいは議員が村を回るための自動車に大事な金がそれだけのためにね、使われてしまったり、というようなことがこれからも続くとすれば、私やはり問題だろうと思うんです。そこで、補助金を出す場合のいわゆる基準といいますか、交付のいろいろな要綱等をきめておられるようでございますけれども、補助金を出す場合に、その新市町村にとって何がほんとうに今大事な仕事であり、建設にとって何がどういう点に力を入れなければならぬかというようなことについて、もっと私は、もちろんこれは、あなた方の段階においてなかなかむずかしいことでありますけれども、県の段階等において、これは十分注意をしてやってもらわないと、せっかくの金が十分生かされた使い道に回らないというようなことになるんじゃないかという点について心配します。その点について、どういうふうな御見解を持っておられるか。
  117. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 施設整備の補助金の使途につきまして、非常に御理解のある御発言でございまして、われわれといたしましても、趣旨といたしまして、全くその通りであるというふうに考えております。その施設整備の補助金の対象といたしましては、何よりも新市町村一体化促進するための基礎条件整備するということをねらいといたしておりまして、それに最も役立つものということに当てていきたいというのがわれわれの考え方でございます。ただ、そういうことには相なっておりまするけれども、当該市町村事情等におきまして、優先的に取り上げて参りまする事業というものの選び方ということに全然問題がなく、うまくいっておるということは言えないかと思います。そういうような点につきましては、何が一体化促進するために最も優先的に取り上げられ、また効果的に事業を推進せしめ得るものであるかということにつきましては、よくよくやはり判断をして申請を出してもらうようにということで、今までも指導をやってきておるつもりでございます。特に県段階において、そのことをよほどよく注意をしてもらわないといけないということで、県当局に対しても、その指導については、万遺憾のないように、機会のあるごとに指示をいたして参っておるのであります。  で、全般的に見ました場合におきまして、今御指摘のありました自動車の購入の点でございますが、これは、三十二年度の実績について見ますると、三十二年度につきましては、全体の実績の事業費として五・二%ということに相なっておりまして、全体の事業の中で非常に大きな部分を占めておるとは思っておりません。ただ、五・二%でありましても、それがほんとうに連絡用自動車として一体化推進いたしますために有効な効果を上げておるというものであればよろしいのでありますが、今お話もございましたように、単なるそれが町長やその他の一部の方々の自動車というようなことに使われておるというのでは、これは、当初の補助金を交付の目的が十分に達成されておるとは言えないと思うのでありまして、やはり真に必要なものでありますれば、自動車といえども、連絡用にこれを買いますることは適当な場合も多いと思うのでありますが、そういうような自動車自体を買う場合の用途の問題、あるいは全体として一体化促進するために、自動車というものが最も緊要なものであるかどうかというような、選択の立場というようなものにつきましても、関係市町村はもとよりのこと、県当局において特に留意をしていただかないと、所期の目的達成できないという場合もあろうかと思うのであります。御指摘の点は、われわれといたしまして全く同感でございまして、今後とも補助金交付のための事業の選定ということに当っては、最も適切なことに相なりまするように、なお万全の注意をいたして参りたいと思っております。
  118. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 まあ私、自動車そのものが不要だとかいうようなことじゃなく、あるいは適切でなかったかもしれぬけれども、一つの例として私申し上げたつもりです。これは、町村合併促進した結果、非常に従来より著しく広い区域にわたっていろいろ連絡のこともあるでしょうし、そういうために自動車があった方がいいということは、これは当然のことでございますから、私は一がいに、今申しますように、車を買ったことがけしからぬとか、車に補助金を出したことがけしからぬ、こう言うつもりはないのでございます。ただ、車の場合にも、今年百万なら百万という金がその町村に行く場合に、自動車よりほかに使い道が、緊急必要性のあるものがないかどうかということは、これはしかも、全体の新市町村建設計画の中に、それ以外にないのかどうかということがやはり私は深く吟味されなければならないことだと思うのです。そういう意味で、私は、車の例あるいは役場の庁舎の例を言ったのですが、そういう点から私は、当然一つの関連することとして、現在立てられておりますところの新市町村のいわゆる建設計画という、もの、これについて私ちょっとお尋ねしてみたいと思うのです。  現在の新市町村建設計画というものは、まあ極端に言えば、これは非常に、何と言いますか、何でもかんでも合併当時の町村同士のあるいは部落の要望事項を取り入れて、もう膨大な金がなければならぬようなことで、一応道路とかいろいろな問題について、それをもって町村建設計画なりとしておる。県の段階では、これを一応の論議はあったにしても、チェックするようなことも積極的に何らやっておらない、こういうままになっておったと思うのです。それはまあこの前から調整段階に来ているのだということで、いろいろ御指導をなさっておると思いますが、そういう一つ方向について、あるいは実際現在までやられておることについてお答えいただきたいと思うのですが。
  119. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 新市町村建設計画というものを作ります際に、中には合併時における各町村の希望条件というものをそのまま並べ立てた、そういうようなものもたくさんあるようでございます。しかしながら、そういうことでは、これがあまりに膨大に過ぎて、実行が全く不可能であるというふうに認められるような計画もございますし、また中には、全般を見ておらないで、新市町村という一体的な立場に立って事柄を見ておりませんために、事業のいわゆる重点度あるいは優先度というものについてどうかと思われるような節もございます。さらに、計画自体が何か非常に施設計画に堕しておりまして、施設を作りますこともけっこうでございますけれども、何か建物を作っていくということが建設計画内容であるというようなうらみがするようなものも中には絶無ではございません。そういうような意味合いをもちまして、私たちといたしましては、今お話にもございました新市町村建設計画調整というものを始めておるのであります。今年までで千四百二十カ町村がその対象に相なりまして、すでに調整を終った所もございます。なお進行中の所もあるようでございますが、大体調整が終りました所では、かなり実行性のある着実な計画ということになってきておるように、はっきり傾向が看取されるのであります。この場合に一番重要であると思われますことは、やはり県の指導体制ということがばらばらになっておりましては、これはうまい計画調整というものはできません。各部々々が各部の立場から主張をしておるということでは、とうてい重点的な、また全体として調和のとれた計画を作り出すということはなかなか困難でございます。そういう点を特にわれわれとしては留意いたしまして、県の方とも連絡をとりながら、最近の傾向といたしましては、県自体においても、その点の弱点を認識をいたしまして、これに対処いたしまするために、単なる総務部の地方課というような、そういうような考え方から一歩を踏み出しまして、総合的な連絡調整機関というようなものを設けて、そこに各部の意向というものを総合的に反映せしめるような仕組みを作りまして、これが第一線に立って、新市町村建設計画調整というものを指導するという格好にだんだんとなっていっておる所が多いようであります。また、そういう所では、計画調整の仕事ということもかなり円滑に進んでおるように見受けられるのであります。もっとも調整に名をかりまして、新市町村建設計画自体を圧縮するというようなことは、これはもちろん厳に慎しまなければなりませんけれども、一面において、やはり可能性、実効性ということも考えて参りますことが必要でございまするし、また、限定された財源というものを有効に配分をいたしまするためには、何が必要な事業であるか、また、必要な事業が大体羅列された場合においても、年次的にその中からどういうものから取り上げていくのか、いわゆる優先順位をつけるということがまたきわめて問題を解決する上において重要な点でございます。そういうような点につきまして、われわれの方でも十分注意をいたしまして、調整段階において遺漏のない措置を講じて参るように目下指導をいたしておるような次第でございます。
  120. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 先ほども言いましたように、今調整段階へ来ておって、やっぱり一番私は大事な問題は、一つにはやはり県あたりのこれに対する指導力といいますか、こういうことが大きく取り上げられなければいけないと思うのです。私は、現在の県の段階におけるいろいろな仕事があるわけなんですけれども、県政の一つの重点をやはり新市町村の育成に置くというようなことも、これはぜひともやはり必要な一つの重点であろうと思うのです。それなしに、単に従来のような、一地方課が指導監督するというような立場において、上から物を見ていくということだけでなしに、やはりほんとうに新市町村を育成していくのだというような、そういう……何もそのために部を作ったり、あるいは新しい課をどうするとかこうするとかいうような、機構上のそういうような問題は抜きにしましても、いずれ態度と体制だけはやはりそういうふうなものに持っていかなければならないのじゃないだろうかと、こういうふうに思っておるのですが、そういう点について、今局長は、今後大いに努力する、また現在においても、都道府県ではそういう体制に持っていっておる所もあるというようなお話ですが、まだ、私の見方では、いずれの県においても、あまり十分だとは言えないと私思うのですが、具体的にどういうふうな指導をなさっておいでになりますか。
  121. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今の点が新市町村の育成というものを指導していきまするためには最もかなめでございまして、この点が欠けておりますると、どうも効果が十分でないというふうに認められるのであります。そういう点で、建設計画調整の方針等につきまして、こまかい資料を地方にもお示しをいたしておりますが、この調整計画というものをやっていきまするについての指導体制につきましても、特に各部課との連絡ということが重要である。そういう意味で、一つの参考ではあるけれども、やはりそういう部局というものを、これは条例による部局というようなことでなくて、実質上の連絡調整の機構というものを考えていくことが必要ではないかということも積極的に指示をいたしておるのであります。県によりましては、総務系統でなおこの仕事をやっておる所もございますし、また、最近ふえてきておりますのは、いわゆる知事の官房部局におきまして、副知事等が本部長になるというような形式、あるいは知事自体が采配をふるうというような形式でもって、そこに部員なり各部課の者を網羅いたしまして、そこで計画改定についての具体的な調整をやる、現実の新市町村建設計画というものを作ります際におきましても、関係市町村当局とそれら部員がひざつき合せて、各種の角度から検討して、意見を述べつつ、そこに総合されたものを打ち出して行くというような進め方で作業をいたしております所が、かなりふえてきておるように思うのであります。こういう姿をとっておりまする所では、現実に出てきております各市町村建設計画というものもきわめて計画的な、また実効性のあるものに変ってきておるように見受けるのであります。こういうような線は、さらにもっと積極的に推し進めるべき方向ではないかと思っております。
  122. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 これは局長さん、私、正式な資料の要求というような意味で申し上げるのじやありませんが、今お話しにございました計画についての調整をする場合のいろいろの方針なりあるいは指示なり、そういうものについて、もしプリントがありましたら、あとで、今度の委員会のときでもいいですから、いただければありがたいと思いますが……。  それから、いわゆる調整に当っての態度なんですが、先ほどあなたのお言葉の中にも、ただ事業を圧縮するだけが能じゃないのだ、その中に重点事項なり優先事項というものをどう取り上げていくかということが問題だという意味のお話がありましたが、私もその通りだと思うのです。ともすれば、何かこれは財政的な方面から、どうもこれではできないのだから、これは落す、簡単に金額を現在の市町村の持っておる財政力というものとの観点だけにしぼられてしまって計画を立てられても、これはまた問題があるのじゃないだろうか。やっぱり住民のいろいろな要望というものがそこに盛られておると思うのですから、今直ちにできなくても、将来そういうものの実現というものはぜひ必要だということが私は言えることがたくさんあると思う。そういう意味で、計画を立てる場合に、ここ二、三年なり四、五年なりという、とりあえずのいわゆる短期計画というもののほかに、長期にわたって、ほんとうにこのものを新市町村として新しい町村を作っていく、こういういわゆる百年の大計と言いますか、ちょっと言葉が大げさでございますが、そういうような意味におけるところの雄大な構想は、私はあってもいいと思うのです。ですから、そういう点で、非常にいろいろな問題があって、むずかしいことだと思うのですけれども、これも十分気をつけてやってもらわないと、あなた方の御指導の場合に、何かちっぽけな、ここ二、三年でやる仕事だけを並べただけでこれが計画だと言ってみたり、それが単に事業を並べただけで、ほんとうの意味における地域住民の幸福のための施設なり、いろいろそういうものについての一貫した、あるいはまた、広く眺めた場合の計画としては不十分だというものが、私は出てきはしないだろうかという心配をするわけですが、そういう点までを調整された、りっぱなものが出てきておるとおっしゃっておりますが、どうでしょうかごらんになってみて。
  123. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点、このような計画を立てまする際においても、非常に重要な点だろうと思うのであります。それで、われわれが従来まで指導いたしておりまする大体の方向につきまして申し上げますと、大体そういう線に沿っておるのじゃないかと思っておるのであります。大体計画調整をやります際に、最初にやりますることは基礎調査でございまして、まず、数カ町村が集まって一つの町あるいは一つの村を構成をしたという場合に、その時限におきまして、どういう自然的経済的その他各種の条件に合うか、そういう実態を調べてみるということが、一番現状認識という意味からいいましても必要ではないかということで、基礎調査ということをまず第一次的にやることにいたしておるのであります。その上で、今鈴木委員からもお話しのありました現状認識の上に、いわゆる基本計画というものを立てるようにいたしておるわけであります。この基本計画というのは、いわば長期計画であります。なるほどなかなか長期計画といいますけれども、国の経済成長率その他につきましてもなかなか的確にはつかみがたい状況において、それぞれの市町村についての全体の経済の動向なり、経済水準の向上の度合いなりというものを測定いたし、あるいは理想として掲げることはなかなかむずかしいことだと思います。しかし、それらを一応はやはり念頭に置きながら、あまり現実と遊離しないというような角度から、この町、この村というものは、一体どこへ持っていったらいいのか、いわゆる農村地帯としてどういうふうに持っていくべきか、あるいは商工業地帯としてどういうふうに持っていくのか、なお観光地帯として伸ばしていくことを主眼にするのか、いわゆる町作り、村作りの当面のある程度長期を見通し計画、長期計画を立てまして、これを基本計画の中に入れ込む、この計画の中には若干いわゆる夢—夢と言っては誇張があるかもしれませんが、ある程度やはり理想的な、かくあるべしというふうな計画も盛り込んでいく、この基本計画の狙いを、われわれといたしましては大体十年の先を見通し計画といたして立案をするように指導いたしておるのであります。この基本計画の中で、さらに年次別の計画を立てまして、さしあたりこれを十年間にわたって年次別の計画を立てることも、かなり困難な作業でございます。また、現実の動きというものから見まして、その実効性が上るかどうかということも疑問でございますので、さしあたり基本計画に基いていわゆる実施計画というものを作るようにいたしておりまして、この実施計画においては、市町村によって違いますが、大体三年から五年ということの期間を目途といたしまして、いわゆる実効性のある実行計画を作っておるのであります。これを実施計画と称しておりまして、大体そういうような段階を経て、計画調整を行わしておるのであります。よくできておりまする所では、大体そういうような線で一応見通し得るものといたしましては、まずまずいいものができておるというふうに申し上げてよいのではないかと思っております。
  124. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 この促進法の第三条には、抽象的な言葉で、建設計画を立てる場合はこうだということを示されておるので、なかなかこれは、実際の問題になるとむずかしいと思うのです。ですから、先ほどからお答えになったような態度でやって、ぜひ一つ、単に、でたらめな今のずさんな計画であるから、こういうふうに切り詰めたのだというふうなことでなしに、やはりきちっとしたものはきちっとしたものとして持つというふうにならなければならぬと思うのです。そういう意味において、お答え私、同感でございますが、よくいわれる、現在の市町村におけるいわゆる行政水準というような問題、当然これは問題になってくるわけなんで、それとの今度の計画との比較といったような場合、単なる比較でなしに、いろいろその実施計画といったような場合に、やはり問題になるのは、私、金だろうと思うのです、何といっても。そうした場合、現在の町村の財政というものは一体どうなっておるかという問題、そういう計画がぜひともなければならぬし、そういうふうなことで立てられたにしても、現在の町村財政の実態は、そういうものをささえていく上には余りにも弱いいうふうに言わなければいけないと思うのです。中には、もちろん相当に、何と言いますか、豊かにやっておる所もありますけれども、大かたの町村については、なかなかわずかの金でもひねり出すことはできないだろうと、こういうふうな状態だと思うのです。当然ここに、やっぱり国の補助なり助成なりという問題が私考えられなければならぬと思うのです。で、まあ今まで出ております新市町村建設に対する補助金は……ことしは十五億何がしでございましたね。こういう金、それから来年度どのくらいつくかわかりませんが、これは、いつでもこの委員会で問題になりますように、まことにこれは、いわば微々たる金であろうと思うのですが、もっとやっぱりこういう面において、政府がほんとうに新市町村の育成というものに踏み切るならば、私、この点を特に取り上げておる政府に考えてもらわなければいけないのじゃないかと思うのですが、政府としてどういう態度でいるのでしょうか、そこら辺を一つ
  125. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 今お話の通りでありまして、法律の建前なり今までの指導方針なりには、今鈴木さんからお話がありました通りに、その方でそう悪い点もないのじゃないか、まあまあその方向で行っていいのだろうと思う。ただ、実際問題として、現在の地方団体の財政状況からも、それが一体どういうふうに実際裏づけができるかと、また、その地方財政が苦しいときに、国の方からどれだけの援助ができてこの仕事がやっていかれるか、私は、もう究極になればその問題になると思う。この点は全く同感でございます。同時に、今までにおきましても、御承知通り、いろいろと努力は重ねて参りましたが、現在の助成金を初めといたしまして、まだまだ不十分な点が多い。ただ、私どもといたしては、新市町村建設に伴います国庫補助金、これも来年で一わたり片はつけたい、その上で来年終りますので、再来年からはどういうふうに持っていくか、これにつきましても、一つ段階を区切った新しい構想で仕事をして参りたいと思っておりますが、なおこのほかに、各省所管で、いろいろと実際に市町村で使う事業の補助があるわけでございます。この点につきましても、先ほど府県の段階で申し上げたと同じように、農林省は農林省、建設省は建設省というように、ばらばらで行われておりましては、これはなかなかうまく参りません。やはり国なら国として乏しいながらの予算を持ちましても、全体が調和がとれて、そうして一つの町なり村が、りっぱな村作り町作りができますような方向調整をとっていかなければならぬじゃないか、こういう点にも大いに努力を進めて参っておるような次第でございます。また同時に、いろいろと収益事業その他につきましては、起債その他の方面におきましても、でき得る限りの財政投融資の幅を増しまして、各般の全体の総合的な立場におきまして、この上ともに努力を続けて参りたい、こんな考えでおる次第でございます。
  126. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 黒金さんのお答えですが、現在出ておる補助金なんかはまあまあじゃないだろうかというお話ですが、私は、やっぱり何といっても少な過ぎると思うのです。これは、大蔵省から言ったら、お前たちがまんしろというふうに押えられてしまうかもしれませんが、これは、全国的な町村にとっての分け方を見ます場合に、私は、これでは少な過ぎると思う。もちろん、補助金の額をふやしただけで、一体その裏づけとなる町村財政が、それに果して対応できるだけの額を出せるかどうかという問題ももちろんあります。現在の市町村の財政の上からしますと、補助金をもらったけれども、さて、町村の負担分について困ったというような事態も実はないわけじゃございません。確かにそういう点はありますけれども、しかし、総体からいって、現在十四、五億程度で年々出ておるこういう金で、新市町村の育成ができるというふうにもしお考えになるのだったら、これは私は、ちょっとお考え直してもらいたい来年度の何か要求を聞きますと、二十三億程度だというのですが、これだってどの程度生かされるかどうか、私はわかりませんが、せいぜいやっぱり十五億か六億じゃないかと想像するのですが、その程度で、しかも来年度で打ち切り、その後はどういうふうになるかわからぬということは、私はやっぱりこれで満足すべきでないと思うのです。  それからいま一つは、各省の、たとえば、農林省の新農山漁村建設のための補助金、あるいは文部省の学校等についての補助金、その他各町村での仕事、たとえば通信施設なり、いろいろなことが出てきております。こういう問題は、もちろん今お話のように、一元的な操作運用というものは、私ぜひとも必要だと思うのです。それはしかし、実は新たな問題として二、三お聞きしたいことがございますが、考え方としては、私やっぱり、補助金の問題は、当初三十一年度あるいは三十二年度において大蔵省に自治庁が要求したような、ああいうようなやっぱり強い態度で、もちろん削られてしまいましたけれども、そのときは、相当大きな数字にわたって折衝なさったはずなんです。少くともああいうふうな態度でいかないことにはいけないだろう、こういうふうに思うのですが……。それからもう一つ、私、町村財政そのものの問題が、これはやっぱり根本的な問題として、単なる助成とか援助ということでなしに、そのものの問題として、私はやっぱり現在の税の問題なり、その他いろいろな問題についてこれは考えていかなければならぬ問題がたくさんあると思うのですが、一応根本的なそういう問題をここでは取り上げないにしても、ともかく国の援助、助成というような点において、もっとやっぱり強く動いていかないことには、私はほんとうに新しい町村というものはよくなっていかないと思う。いわゆる未合併町村というふうになっていつまでも残っている一つの原因は、新市町村がいわゆる合併して新市町村になったけれども、一体何がよくなったのかと、こういうところに、合併に踏み切れない住民の偽わらざる気持があると思う。それから、合併をしてみたものの、さっぱりよくならないじゃないかと、かえって役場庁舎のある所まで行くには、今までより倍もの距離を歩いて行かなければならぬ。あるいはバスに乗って行かなければならぬ。これは、本質的な問題じゃなしに、そういう不便なところだけ目について、それだけ、何といいますか、合併したためによくなったというようなことについての効果の現われ方というものは私はないと思う。これは合併後日浅いために、やむを得ざる一つのあれだとも思うのですけれども、やっぱり合併してよかったなと思うような一つの何かがなければ、これは合併促進といっても、あるいは未合併町村の今後のいろいろな調整の問題にしても、うまくいかないと思う。中には、合併町村紛争の問題の起っている所もある。やっぱりいいところがないのじゃないか、皮相な見解だと言ってしまえばそれまででありますが、私は、それだけでは片づけられない幾多の問題があると思うのですが、そういう面から言っても、やっぱり、国がほんとうの新市町村の育成について力を入れているのだ、それほど物心両面にわたっての力を入れているのだということを私は示すべきではなかろうかと思うのですが、そういう面で、ちょっとさっきの黒金さんのお言葉、私はあるいは聞き違いかもしれませんが、このくらいでまあまあじゃないかというようなことであるとしますと、これは不満な点があるのですが、いかがでございますか。
  127. 黒金泰美

    政府委員(黒金泰美君) 私が申し上げましたのに誤解があっては、はなはだ恐縮なんですが、まあ方向として、法律に書いてある趣旨や、私どもが合併について計画の建て直し等について指導して参りましたことには、大して間違いがあったとは思いませんけれども、その点はまあまあでございますが、しかし、その裏づけになっておる予算なり、あるいは市町村の財政の現状、これはもう、鈴木さんのおっしゃる通り、そこに問題があるんだ。従いまして、私ども努力はいたして参りましたけれども、まだ努力が十分でなくて、恐縮とまでは申し上げませんでしたけれども、まあ恐縮でございます。今の統合につきましての助成金も、実は今までの計画が、来年度でもって大体終えたいという予算の要求をいたしておりますもので、この計画が一応終りましてからあと、どういう構想で参りますかは、まだきめておりませんけれども、一応の今手をつけておるものを来年で完成をいたしたい。その上でまた新しい構想に立ちまして、新しい意味の村作りなり、町作りの助成の計画を立てて参りたい。ただ、同時に、今申し上げた一体化のための補助金だけごらんになってはちょっとこれでは不十分あります。釈迦に説法みたいでありますが、各省からも、今御指摘になりました学校の問題なり、新農村の問題なり、いろいろありますので、これも決して多くの金ではございませんけれども、これもあわせてごらんを願いたい。ただし、それが各省ばらばらに、不統一に出ますことでは、これはせっかくの目的に達しませんので、いわば府県におきます地方課のような役割をいたしまして、私どもの方でも、全体が足並みがそろうように努力もして参ったつもりでありますが、今後ともに努力をして参る決心でございます。同時に、予算的な補助の面だけでなしに、収益事業等につきましても、財政投融資、起債のワクをできるだけふやしまして、そうして行政水準が高まるように、所期の目的を達し得るように、今後ともに努力をして参ります。かように申し上げた次第でありまして、今の予算で決してまあまあというようなふうには申し上げなかったつもりでございます。誤解があったら、はなはだ恐縮でございます。
  128. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 私の聞き違いがあったようでございますから……。それで私は、農林省関係あるいは文部省関係その他の問題で、いろいろな形で出ております補助金なり交付金等の問題につきまして、どうしてもじっくり考えなければいけない問題があると思うのです。これは、先ほどから私が申し上げております、いわゆる新市町村建設計画というものの本質、これとどうマッチできていくかという根本的な問題が私はあると思うのです。その問題につきましては、実はお尋ねしたかったのですが、委員長、勝手ですが、きょうはもう四時ですから、次回に回していただければ、その問題の一ついろいろ御意見を聞きたいと思います。きょうはこれで……。私の分は、一応次回にやらしていただきたいと思います。
  129. 占部秀男

    ○占部秀男君 資料をお願いしたいものがありますので、それは、この中に、国有林野の売り払いについて金額面がないのですが、もしありましたら、資料をいただきたいということが一つ。  もう一つは、市町村特に新市町村が必要なんですけれども、もし新市町村のがなければ、一般市町村でもけっこうです。できれば新市町村の職員の給与状態ですね。本俸、諸手当等の給与状態、それを一つ。  もう一つは、勤務時間その他の勤務条件の状態、それが一つと。この二つの資料があったら、概念的なものでもけっこうですが、この前参議院でやったのがあると思いますが、何かそれを提出していただきたいと思うんです。  なお、その給与の条例があると思うんです。条例のあるなしでけっこうですけれども、もしわかっていたら、それを一ついただきたい。それだけです。
  130. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ただいま御要求の資料は、そう十分なものでないかもしれませんが、整えたいと思います。私ども、給与の関係につきましては、これは御承知のように、現在七月一日現在をもって悉皆調査の実施をいたしております。集計は、なかなか膨大なものでございますので、もう少し時間がかかると思いますが、それが大体出て参りますと、最近の状況というものは、はっきりしたものがお目にかけられるのじゃないかというふうに思いますけれども……。
  131. 占部秀男

    ○占部秀男君 その前のでも……。
  132. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ちょっと前の状況だと、新市町村の区分けがその後大へん入り乱れて、町村合併等が進んでいるものですから、御満足できる資料かどうかわかりませんけれども、その点お含みいただいて、できるだけのものは一つ調整いたしたいと思います。
  133. 鈴木壽

    ○鈴木壽君 関連して。さっきの国有林野の売り払い問題についての金額のついたものというようなお話でございましたが、これは、一つ林野庁の方に連絡して、ことに売り払いのできた件数だけしか並べられたものしかないんですから、申請のあったところのその結果をどう処理したのか。それについて、一つ詳細な各件別の資料をすぐ出していただきたい。  それから、あさっては一つ、そういうことについての質問をする方に来ていただきたいということを一つ連絡していただきたいと思うんです。
  134. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 私の方からも、一つ資料を要求しておきたいと思います。それは、町村合併に関する資料でありますが、たとえば、岐阜県美濃村が愛知県に円満に行ったのとか、あるいは、先ほどの京都府の樫田村が1大阪府に円満に行ったのとか、ああいう例が全国に相当あるのじゃないかと思います。まあこれは、市町村合併の美談のようなものでございますので、ただ県名だけでなくて、そう詳しいものでなくてもよろしゅうございますけれども、若干概要を県別に書いた、そういったものをちょうだいできれば、非常に参考になると思うんです。また私は、今後自治庁で実際説得で努力していこうとしておられる面があるようですから、そういうことにも、私参考資料になるのじゃないかと思います。
  135. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 該当するものについては、概要を記述いたしました資料を用意いたします。ただ、全国的に見まして、今お述べになりましたいわゆる美談に属するものは、これはきわめて僅少でございます。
  136. 田中啓一

    委員長田中啓一君) それでは、本案に対する質疑は、次回に続行することとし、本日は、これにて散会をいたします。    午後四時九分散会