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1958-10-30 第30回国会 参議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月三十日(木曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     久保  等君    理事            勝俣  稔君            柴田  栄君            山下 義信君    委員            草葉 隆圓君            紅露 みつ君            斎藤  昇君            榊原  亨君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            小柳  勇君            藤田藤太郎君            竹中 恒夫君   政府委員    内閣官房内閣審    議室長内閣総    理大臣官房審議    室長      吉田 信邦君    総理府総務長官 松野 頼三君    調達庁労務部長 小里  玲君    労働政務次官  生田 宏一君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    労働省職業安定   局失業対策部長  三治 重信君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査の件  (駐留軍撤退に伴う労務者離職  対策に関する件)  (駐留軍労務者失業対策及び労働  条件確保に関する決議の件)  (日雇労務者対策に関する件)   —————————————
  2. 久保等

    委員長久保等君) 社会労働委員会を開会いたします。  労働情勢に関する調査の一環として駐留軍撤退に伴う労務者離職対策に関する件を議題といたします。御質疑を願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 松野長官質問いたします。  この前の委員会軍直用員の問題について質問いたしましたけれども労働省としても、調達庁としても、所管外であるということで十分の答弁がありませんでした。従って、今現在二五数十に及ぶ軍直労務者が非常な生活の不安におびえておりますので、この軍直労務者について、長官はどういうふうにして、今後の生活条件なり、労働条件を保護していこうと考えておられるか、それが第一点です。  第二点は、特別給付の問題について、軍直労務者についてはこれを除外してあります、この前の百五十八号の法律措置によって。従って、この問題について、やはり同じような苦しい生活環境の中で、同じような条件の中で働いておる労務者であるから、片や軍直労務者であろうとあるいは一般駐留軍労務者であろうと、同様に扱うべきであろうと思います。従って、特別船付についても適用すべきであろうと考えますが、この点についていかがお考えでありますか。
  4. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) お答えいたします。  第一点の軍直労務者がどこの所管に属するかということでございますが、これはいろいろ労働省であるのか、調達庁であるのか議論もありますが、まあ一般労務者という関係になれば、これは当然労働省である。これが駐留軍というワク内へ厳格に申しまして入るならば、これは当然調達庁である。まあ、その内容によってどちらかといえば、単純労働のメイドとかあるいは非常に単純な労働洗たく婦であるとかというふうな者ならば、これは労働省に近いのではないか。同じ雇用にしましても、相当常勤的なもの、ある程度組織的なものは、これは調達庁所管ではなかろうか。仕事内容で今日まで議論をしておりまして、私どもの方の協議会では一緒に議論いたしますが、さて協議会所管省ということにも参りませんので、所管省はどちらかということになると、今日まで不明確なままできておるのが実情であります。これは、いずれ協議会でどちらに属するかということを近々のうちにきめたいというふうに考えておりますが、問題の内容は、常々私ども協議会の中で問題に出ておりますので、所管の問題は後ほどにしまして、一応対策は総合的には、私ども雇用対策でやることについては間違いございませんので、その意味お答えいたしますが、私も就任以来、この問題はいろいろ不明確な点がありますから、いろいろ苦労いたしましたが、ことに昨年できました法律の中にこれが除外されておる。しかも法律ができておらないという意味で行政的にやり得る範囲というものが非常に実は困難な状況にあります。私の気持から申しますならば、仕事内容によってきめるべきではなかろうか。二日とか三日とかというほんとうに日雇い的な単純労務者については、これは一般雇用としてやってもらいたい。しかし、一方、相当組織的な長期的な者については、ある程度それぞれ調達庁関係で今後やるべきだ。その意味転業方式にいたしましても、これは職業補導という面で考慮すべきだ。そういう意味で、法律にはございませんでしたが、職業補導については、軍直労務者も同様に一般的な間接労務者ワク内に入れて補導をするような行政措置を今日考慮いたしております。  ただ、最後の特別給付金をどうするか。今日の法律では支給するようになっておりません。従って、この問題は、明確に申しまして、今日までは法律上出るようになっておりません。精神的にはいろいろございますが、法律的にはなっておりません。今後これを出すといたしますならば、新たな立法措置か、また、新たな法文がなければ、今日のところ、私どもの手ではこれは解決できないというのが率直な気持でございますので、私の気持といたしましては、内容をもう少しふるいにかけていきたい。軍直労務者ほんとうに二日、三日ということでなしに、ある程度長期的なあるいはある程度明確なものは、これを駐留軍労務者と同じような方向で待遇していきたい、こう思いますが、御存じのごとく、軍直労務者の中にも非常に多種多様でございまして、ほんとうに士官のポケットマネーで雇われた者も入っておりますので、もう少し実は軍直労務者内容を検討すべきだというので、私は就任以来、人数とかいろいろ調査しておりますけれども小柳さん御承知のように、政府には直接これは調査権というものは、ございませんで、きょう雇った者はきのう解雇した者なのか、軍直にはほんとうに個人のポケットマネーの者もございますので、その辺の明確な対策が、今日まだ不明確でございます。お答えになるかどうか知りませんが、現状のままを申し上げて、今後の問題の御参考に供したいと思います。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 長官の今のお考えは大体わかりましたけれども、なお、将来の問題として、われわれとしては、やはり二万数千の労務者並びに家族を含めて五万に及ぶようなこの生活を保護する、あるいは毎日の生きる希望を持つというような点からいっても、もう少し何らかの生活の保護があるという確信がなければ、非常に生活しにくいと思うのです。従って、その審議会などで、早急に軍直労務者についてはどこが主管だという主管をきめていただきたい。と同時に、ちょうど予算編成期でもありますから、特別給付金等についても一つこれを適用しようではないかというようなことで、長官一つその審議会の中で動いてもらいたいと思うのですが、その点について、もう一度見解を承わりたい。
  6. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいまの軍直労務者数字と、それからもう少しその内容分類して参りたいと存じます。その内容分類に応じてその後の対策というものもおのずからきめて参りたいと、私はこの方向で進みたい。ただ、法律適用を直ちにできるかどうかということは、まだ予算編成前でもありますし、法制上の問題がありますが、これは何らかそういう方向である程度の待遇と申しますか、分類をきめていきたい。同時に、所管もその分類に応じてきめて参りたい。近々のうちに……。これは私の方では、私の就任以来命じてありますけれども、御承知のごとく、相手が米軍の中で直用労務者でございますから、単純な家庭労務に属している方もあれば、ある程度組織的に長期間にわたっている方もある、こう思いますので、もう少し内容を把握させていただきたい。これが私の今日のところ、お答えできる最大だと存じます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 全駐労の組合の大体の意見を聞いてみると、軍直労務者についても、大体全体の二万数千の者の生活の実態を把握して、しかも意思を集約しあるいは長官といろいろ意見の交換をするような態勢にあるようです。従って、今後そういうような問題に、積極的に、一つそういうふうな二万数千の集団を全駐労で把握しておりますから、そういう問題を積極的に長官の方に御相談に参りますから、一つその折々に触れて親切にこの生活のめんどうを見ていただきたい。
  8. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 先般も全駐労の方にお会いしまして、本日小柳委員お答えしたのと同じような話しをしまして、あなたの方ももう少し一つ内容を分析していただきたい、二万何千という数字でなくて、その内容をもう少し分類していただきたいという、こういう話を私はあの会見いたしましたときにもお話ししておきました。ただ、二万何千人では、今日の情勢では進まないから、こういう仕事でごうだということをお調べいただきたい、私の方もできるだけいたします。そのあとで、所管の問題と対策の問題をもう一ぺん考慮いたします、なお、今日では職業補導などは同様の意味で、あえて軍直労務者だけを拒否するような態度はいたさない、このような話しを先月いたしましたので、両方とも今後これは進めて明確な態度をきめていきたいと思います。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 次は、少し問題が変りますけれども集団就労の件について具体的に一つお尋ねしたいと思いますが、御承知のように、小倉陸軍造兵廠の跡は今まで使用者がなくて、工場誘致等県市が一生懸命になっているが、現在のところ、まだ工場誘致についても見通し困難のような報告を受けました。先日、現場に行っていろいろ見て参ったし、関係者意見も聞いてみましたけれども、やはり調達庁なりあるいは松野長官におんぶされて、その成り行きを見守っているようであります声その問題について、現場のいろいろな情勢並びに将来の見通しについて、御見解を発表願いたいと思います。
  10. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) この小倉造兵廠は、実は必ずしも工業権があるとは思われません。建物の構造の状況とか、もう一つは、立地状況追浜とはだいぶ事情が違いますので、なかなか順調には進んで参りません。従って、私の方も御承知のごとく、私の方の対策下部機関として、府県中心工場誘致の問題並びに労務対策の問題の協議会というものがございますが、府県知事さんを督促しておりますけれども追浜の今日のような状態にはなかなか今日の工業状況あるいは産業界というものがうまく参りませんので、非常に実は小倉地区には苦労いたしておりますが、結局これはある程度、政府関係するものでなければ、一般企業誘致ということはむずかしいのではなかろうか、こういうことで努力はいたしておりますけれども、必ずしも私は率直に申しまして民間工場誘致が可能だと言い切るだけの自信はございません。今日は民間工場誘致を探しながら、地方において何らか対策がないかということをあれから知事を督促しておりますけれども、率直に申してなかなか進まないと同時に、あの状況は、必ずしも北九州の今日の産業界現状からすると、そう新しいものが直ちにできるとは思っておりませんので、私どもの方はなお新しい方向からの研究ということも考えなければなるまい。政府事業あるいは政府関係機関のものがここに誘致ということができれば、これが一番妥当かと思いますけれども、今の炭鉱及び小倉状況では、必ずしも実は私が断定的にお答えを申し上げるわけには参りません。私どもの方では、既定方針をなお踏襲ししつつ促進して参ることは当然でありますけれども、これはなかなか、率直に言ってむずかしいのじゃなかろうか、こう考えております。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 大体鉄筋建の、土地が十七万六千坪ですか、それから建物が七万七千坪に及ぶ、工場としても手を入れればりっぱな建物です。で、そういうもので、しかもあの小倉のあのちょうど紫川に沿ってりっぱなところにありますので、われわれとしても工場誘致して集団就労することが一番望ましいわけです。現在これはずっとそのまま放置しておきますと、これは財産としても、政府としてはこれを何年も放置するということは許せぬのじゃないか、こういうことも考えるわけです。これをたとえば売るとかあるいは取っぱらって財産にするとか、あるいは土地を使用するとか、いろいろな方法考えなければならぬのではないかと思うのですが、これは工場誘致できないとすれば、ほかの方法を何かいろいろお考えになったことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  12. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ちょうどここに専門委員会答申が、ございまして、全部は時間の関係上お読みしませんが、御承知のように、七万七千坪で、特にここに注目されますのは、この施設を一括して使用しようとする企業があることはなかなかむずかしいから、四ないし五に分けて適当に利用するがいい、これが非常な問題点のようです。もう一つ長所というならば、ちょうど町のまん中にあるので、そういうふうなことも考えろというのがこの答申の中にある。ほかの地域と違いまして、特に小倉には、非常に町の中心地である。同時に、建物自身が非常に近代工業には不適当だという部面が今あるから、四ないし五に分ける、七万七千坪をです。こういう実は専門委員会からの答申がありました。この辺がほかの地域と非常に違うのじゃなかろうかというので、そういう方向考えろというのが出ておりますが、この方向に沿って実はやる以外になかろう。特にこれは建物が非常に腐朽して、コンクリートで、かえって新工場を作るのに不便だと、この中に出ております。私も現場は詳細に存じませんが、そういう意味で、これは非常にほかの地域よりもむずかしいという専門委員会答申も出ております。なお、今後、この問題は私どもあらためて検討すべきことは当然でありますし、特に国有財産をいつまでも放置することは容易でないし、私も考え方としては、労務対策の時期を逸したくないというふうに鋭意やっております。今日の状況では、政府で命令するわけには参りませんし、何らか条件とかあるいは促進等については、より以上の努力をいたしたい。これは御承知のように、非常に変った地域のように考えますので、問題が多いのじゃなかろうかと存じます。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 そういうことで国有財産を持っておられるというのも大へんですから、そういうことで積極的に活動してもらいたいと思うのですが直接の担当官といいますか、担当者としては、やはりこの問題の処理は松野長官の方でお考えになるのか、あるいは大蔵省なりその他どういうところで主として担当して、これのたとえば売却するとかあるいは撤去するとかいうことを扱われるのか、その点明らかにしていただきたい。
  14. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 労務対策という立場からは、私の方が総合的なプランを作りまして業者に命じておるのです。しかし、その建物自身の全権を私が持っているかというと、そういうわけにも実は参りません。たまたまそういう地域があったときに、防衛庁とかあるいはその他の学校がその建物をほしい、こういうものがあったときには私の仕事権限以外の実は仕事権限であります。そこで、所管大蔵省では、私の方の労務対策計画がいいのか、学校及び防衛庁希望がいいのかということは大蔵省で判断することになります。しかし、その報告はいずれ私のところに参りまして、この建物労務対策からこういう希望があったけれども、実は大蔵省考えとしてはこういう方向に進みたい、いずれ協議はいたしますけれども、全部建物についての権限は私にはございません。しかし、労務対策という総合プランからはこの建物はこうしちゃどうだ、こういう希望でわれわれは進めたい、この方向を私の方で、進めるのは、私の方でやっております。建物のすべての権限は実は国有財産法大蔵大臣になっております。今のところは、ちょうど建物の中に、報告は参りましたけれども防衛庁庁舎施設とか、小倉市の学校施設希望が、実は大蔵省にその建物の物件についてきておるようです。今日、これは一つ承認済みになっております。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 学校ですか。
  16. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 今政府委員から答弁させます。
  17. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) 現在、総務長官が申し上げましたように、専門委員会答申も、分割して利用するよりしようがないのじゃないか。それから家も、あまり家がくっついておるので、ちょっと間引いて、そうしてやるのでなければ、利用価値がないというような答申を受けております。まあそれに基きまして、大蔵省で、その方針でこの土地建物を活用するようにはかっておりますが、今お話がございましたように、現在これに対して要求が出ておりますのは、防衛庁宿舎と、それから小倉市の学校施設というものだけでございます。そういう状況でございますので、土地建物の一部につきまして、これは全体の中ではごくわずかでございますが、土地につきましては三万坪余りでございますが、これについて防衛庁宿舎施設にすることは承認済みになっております。で、その他の地域につきましては、まだ決定いたしておりません。まあ大体そういうことで、全部が全部工場に活用することは困難じゃないか、一部はそういうような施設にも使わざるを得ない。しかし、できるならば、労務対策に十分役立つような施設にしたいということで、あまり労務対策に役に立たないものにつきましては、まあ承認をかなり引き延しておるというような形にはなっておる次第でございます。
  18. 小柳勇

    小柳勇君 わかりました。で、まあ七万坪ですから、あるいは撤去されるような場合もあるかもわかりませんが、現地の駐留軍労務者希望としては、もし撤去されるような作業がある場合には、駐留軍労務者を就労せしめる方向考えてもらいたいという希望があることを申し添えておきます。  次に、こういうような、たとえば小倉造兵廠、あの跡みたいなのが全国で一体どのくらい政府財産として眠っておるのか、発表願いたいと思います。
  19. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 政府委員からお答えいたします。
  20. 吉田信邦

    政府委員吉田信邦君) お答え申し上げます。現在の地域は各地に分れておりますが、現在残っておりますのは、官庁施設として土地が三十六万九千坪、建物が六万七千五百九十八坪、そういうものに官庁施設として利用したいという計画になっております。それから公共団体施設として、土地七百坪、それから住宅施設として八万坪、教育施設として二十一万九千坪、産業施設として五万坪、飛行場施設として七十三万坪、演習地施設としては二千三百二十二万坪、その他が百四十万坪、合計土地約二千六百十万坪が一応転用計画が確立しておりますが、未決定の分が千八百十五万坪でございます。そういう意味で、まだこの土地では演習地が非常に大きく出ておりますが、そういうような状況でございます。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 そういうふうな建坪とか土地の広さは問題じゃなくて、そういうものが自然と安全保障条約、今改定の交渉をなされておるようであるが、そういうものによって、一番初めに答弁があったように、駐留軍労務者というものがだんだん数が減っていくだろう、それと関連しているように思うわけです。問題の扱い方が従ってそういうものが政府財産として眠って、あるいは駐留軍関係財産として将来いろいろ転用される場合、優先的に駐留軍労務者生活が安定する方向に特に力を入れて審議会などで考えられることこそが、一番離職対策として最も根本的なことではなかろうか、最も緊急な手っとり早いことではなかろうかと思うので、そういう点についてお考えがあったら、長官から御答弁を願いたい、これで質問を終ります。
  22. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 駐留軍施設及びその仕事撤退されます場合には、防衛庁を通じてさっそく実は私の方の協議会に参りますので、私の方の協議会で立てます第一案は、労務対策中心に、これに転用可能な産業誘致するということをまっ先に協議会及び正式機関に諮って、それにまず第一に進むという方向には変っておりません、今後実施いたします。たまたまそのときに、工場誘致の話と現実がうまくいったときには、問題なく最優先的に進めたいと思いますが、うまい工場誘致がないとか、あるいはいろいろな関係で地元の反対が出るということになりますと、その労務対策の方が足踏みして、第二義的な産業誘致転換計画というものが進められる。第一義的には、あくまで今日政府部内においても、私の所管においても、まず労務対策を今日も第一にやっておりますし、今後も変らずやるつもりです。なかなか御承知通り努力いたしますが、いつも壁にぶつかるのは、何をどうするか、同時に市町村の反対ではありませんで、同じ同種同業反対が今日ややもすると大きな反対がある、タクシーの業者につきましても同種同業の面からふやしてもらっちゃ困るということで、なかなか進まない、それに一番苦労していますので、われわれの仕事としては、その当該労務対策を第一にすべての計画を今後とも進めて参りますし、今日も変っておりません。現在においてはそれはできないじゃないか、比率は少いじゃないかということはお説の通りです。その場合、同種同業と、それらもう一つは、日本の経済の今日においてそういう工場が合うかどうか、この二つ、そういうことに私どもが一番苦労している問題です。しかし、方向としては、駐留軍施設及びその仕事がなくなった際には、まずその労務対策考えるということが第一義であるということには変りはございません。パーセンテージが少かったというおしかりを受けましたが、今後少しでもそれを上げて参りたい、その方向には少しも変らず進めて参りたいと思います。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 これで質問を終りますが、今日まで数回にわたって質疑をいたしまして、いろいろ意見も聞きましたので、当委員会決議として御決議を願う決議案あとで御提案申し上げたいと思いますけれども、今印刷など準備いたしております。この問題については質問を打ち切らせていただきます。
  24. 久保等

    委員長久保等君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  25. 久保等

    委員長久保等君) 速記を始めて。
  26. 小柳勇

    小柳勇君 この際、私は、駐留軍労務者失業対策及び労働条件確保に関する決議案を本委員会において、決議せられんことの動議を提出いたします。
  27. 久保等

    委員長久保等君) ただいまの小柳君が提出になりました駐留軍労務者失業対策及び労働条件確保に関する決議案議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 久保等

    委員長久保等君) 御異議ないものと認めます。  駐留軍労務者失業対策及び労働条件確保に関する決議案議題といたします。提案者から説明を願います。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 数回にわたって駐留軍労務者離職対策に対しては、この委員会で御審議願ったし、政府並びに当局者の意のあるところについても質疑したところでありますが、御存じのように、駐留軍労務者は、日本人の労務者でありながら、生活環境の異なる駐留軍管轄下にあり、特にその離職対策についてはいろいろ考慮しなければならぬ点もたくさんあるのでありまして、政府並びに当局者が今までもいろいろ積極的に対策を立てて、このような措置を講じてもらっておりまするが、一そう今後の対策に対する万全を期するために、次の決議案を上程し、各位の満場一致の御賛成を仰ぎたいと思う次第であります。  案文を読み上げます。    駐留軍労務者失業対策及び労働条件確保に関する決議(案)   駐留軍労務者は昨年六月日米共同声明以来、既に五万人にのぼる整理が行われ更に引き続き、大量の解雇が予定されている。本委員会においてはしばしばこれの対策及び駐留軍労務者労働条件確保について審議し、政府に対しその善処を要望してきたところであるが、駐留軍関係離職者等臨時措置法の制定にもかかわらず未だ充分なる成果を挙げず、又米軍による駐留軍業務民間業者への切り替えが絶えず行われている実情である。更に日米行政協定第十二条及び第十五条に基き日本国内法の適用が明記されているにもかかわらず、これが守られていないことは甚だ遺憾とするところである。   よって政府は左記事項に関し速かに適切な対策を樹立することを要望する。  1 駐留軍関係離職者等臨時措置法の完全実施及び諸施策強化のための予算措置を講じ離職対策の万全を期すること。  2 駐留軍労務者を解雇して、その業務を民間業者に切り替ることについては、極力対軍交渉を進めこれを中止せしめること。  3 駐留軍労務者労働基本権の確立は勿論、裁判所の判決、労働委員会の決定、命令等の完全履行を期すること。  4 駐留軍施設及び区域内における勤務時間外の正当な組合活動の制限を撤廃し、これの自由を承認せしめること。  5 速かに労働協約の締結及び就業規則の制定を図るとともに労使間の紛争事案を早急に解決すること。  右決議する。   昭和三十三年十月三十日 以上であります。
  30. 久保等

    委員長久保等君) 御質疑を願います。——速記をとめて。    〔速記中止
  31. 久保等

    委員長久保等君) 速記を始めて。  別に御質問もないようでございますから、本案の採決をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 久保等

    委員長久保等君) 駐留軍労務者失業対策及び労働条件確保に関する決議案を、本委員会決議とすることに賛成の方は、挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  33. 久保等

    委員長久保等君) ありがとうございました。全会一致でございます。  よって、駐留軍労務者失業対策及び労働条件確保に関する決議案を本委員会決議とすることに決定いたしました。
  34. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) ただいまの御決議に従って、対米交渉及び既定の機関を通じて、御趣旨のように政府も必ず努力をいたします。  なお、今後とも当委員会においても御援助と御協力をお願いいたしたいと思います。
  35. 久保等

    委員長久保等君) 速記をとめて。    〔速記中止
  36. 久保等

  37. 久保等

    委員長久保等君) 次に、労働情勢に関する調査の一環として、一般労働行政に関する件を議題といたします。  御質疑を願います。
  38. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はきょうは、日雇労働者の失業対策、具体的な対策の問題、それから日雇い労働者の生活の問題、これを中心質疑をしたいと思うのです。  まず第一に、今度政府が日雇い労働者、職安労働者を来年度どうやっていくかという計画を立てておられるようですから、この説明をまず第一にしていただきたいと思うのです。
  39. 三治重信

    説明員(三治重信君) 予算の要求の内容で御説明いたしたいと思います。御承知のように、現在は失対の予算は、一般失対、特別失業対策費、それからこれは予算としては建設省に計上されておりますが、臨時就労対策費、この三つ立てになっておりますが、来年度におきましては、一般失対と特別失対の二つにして、しかも労働省の要求といたしましては特別失対を各省へ移しかえすることなく、労働省で直接市町村へ補助をして仕事をやりたい、こういう要求になっております。  予算要求の内容といたしましては、現在の吸収の人員の数が二十五万人の予算になっておりますが、これが来年度におきましては、約五万人ふやしまして三十万人として、それから就労日数の増加による分が約四万人、総ワクとしては三十四万人、そのうちで一般失対は十九万、特別失対が十五万人の吸収のワクにしたい、こういう構想で百要求しておるわけでございます。
  40. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この就労日数をふやすことによって、四万というのは、どういうことですか。
  41. 三治重信

    説明員(三治重信君) 現在の一般失対の就労日数が御承知のように、二十一日になっておりますが、予算の何万人というのは一カ月二十五日の計算になっております。そうすると、現在の二十一日の就労日数を、われわれの方といたしましては二十三日に直したい、こういう、二日増加さしたいということから、そこに四万の差が出てくるわけでございます。
  42. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、実際は三十万人、対象人口は三十万人ということになるわけですか。
  43. 三治重信

    説明員(三治重信君) ちょっと御説明がまずかったわけなんですが、その三十四万人にしたのが、従来の予算要求の吸収人員からいくと三十万人、こういうことなんです。従来の予算ワク考え方からいくというと、三十万人になる。ところが、今度はその吸収人員のワクでも、就労日数を増加さすから、従来のワクから見ると、別ワクみたいに四万人ということになるわけですけれども、それは内容としての就労日数が増加したということによっての吸収人員の増加という格好になっているのでございまして、むしろ予算の要求としては三十四万人の要求というふうに御理解願った方がいいんじゃないかと思います。予算の施行におきましては、御承知のように、現在失対労務者として登録しておりますのが大体三十四万人、三十四万人を二十一日働かすために民間就労、それから公共事業というほかのいわゆる失業対策事業費という予算の施行のワク以外に、そういう就労日数があるわけです。だから実際として、この予算上の吸収人員と実際上失対事業に就労する者との人員の開きはそういうふうに分けて、予算上と実行上と実際の吸収人員ということからいくと、相当開きがあるというのが現状でございます。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとそこのところがわかりにくいのですけれども、昨年の二十一日就労という予算で今年の予算額を当ってみると、三十万人になる、そういうことですね。
  45. 三治重信

    説明員(三治重信君) そうです。
  46. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それでそれを二十三日という格好で予算をとるから、全体の昨年の実績に合わしてみると四万人ふえるということになる、こういうことですね。
  47. 三治重信

    説明員(三治重信君) そうです。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 わかりました。  そこで、内容の問題なんですが、内容は特別に身体検査なんかをして、三百八十円ですが、その方は、片っ方は三百八十三円ですか、八十円ふやして、厳密な身体検査をしてセレクションして、事業に使うという構想があるということを聞いたのですが、その予算の問題はわかりましたが、具体的な就労をさす方法失業対策事業として就労をさす考え、これを一つお伺いしたい。
  49. 三治重信

    説明員(三治重信君) 現在失業対策事業に就労する日雇い労務者としての資格として、一定の体力検定の試験をしている。その体力検定によっての分類を見て、われわれの方としては、これはまあ一般の公共事業にも働ける人、それから特殊の土木関係で技術を持っておる者ということや、それから、それほどでなくても、無理をすれば公共事業にも少し軽い仕事ならできるというふうに、いわゆる能力検定の分類を持っておるわけです。それによって、われわれの方として、そういう現在の公共事業臨就特失のワクが非常に狭い、もう少し上げて、やはり働ける人にはそういうふうに働ける場所を提供するようにした方がいいんじゃないかというのが、われわれの今度の構想なわけであります。これはあるいはお聞きのことで、非常に雇用対策費というそういう高度のいわゆる重労働作業の要求額が予算の額として非常に多過ぎるのじゃないかというふうなことかもわかりませんけれども、われわれの方の全体の日雇い労務者の数と、現在の仕事内容が少し軽過ぎるからとか、いろいろの問題が出てくる。もう少しやはり成果の上る仕事をした方が、やはり初めはつらくてもその方が賃金も上るし、それから仕事をした結果がやはりよくわかって励みもできるし、また、そうすることによって民間就労への道も開ける。現在の非常に資材の少い単純な労務であると、つい世の中の批判があり、失対労務者は働かないでぶらぶらしているのじゃないかということからいくというと、やはりああいう人を雇うわけにいかぬというような批評もずいぶんあるということから、われわれの方としては、できるだけそういう成果の上る仕事をやるような失対の方へ持っていきたいというのが、予算要求なんでありますが、御承知のように、これは非常に予算のかかる、金のかかる仕事でありますから、非常に来年度予算が窮屈だというふうに言われておる折からいって、なかなか実現はむずかしい問題だと思います。われわれの方としては、そういうふうに、労働省としてはそういう気持で要求しておるわけです。
  50. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ところが、この体力検定、能力検定ですね、非常に厳密におやりになっているにもかかわらず、まあ筋肉労働だと思うのです、主として、それの割りにしては三百八十円というワクというものは、今日のたとえば地域の賃金、PWならPWをどういう関係でこれを定めたか。本来働ける人には働く場所を与えるというのなら、その能力に応じて、労働力の提供度合いによって賃金がきめられるわけですから、私は失業登録の中の私の聞いておる範囲では、非常に厳密な検査が行われる。そういうことなら一般の今の地域によって多少違いますけれども、賃金三百八十円というワクじゃ少な過ぎはせぬかと私は思う。思うからこそ、その問題はPWとか何とかを尺度にして、また、ここにも日雇い賃金がPWの八割だ、また、これにも何かワクをきめて賃金をきめる、こういう構想がこれをきめるときにあったのかどうか、それを一つお聞かせいただきたいと思います。
  51. 三治重信

    説明員(三治重信君) 特別失対のやつは、現行の特別失対においては大体PWで支払うようにきめておるわけでございます。今度の労働省でやりたいという特別失対事業においても、PWを基準にしての予算要求になっております。非常に低いように言われますけれども、これはやはり特殊な技能労働を除いた予算の単価、重労働といっても、土工、人夫が主として予算の賃金単価である。これはそういう公共事業に類似の事業ということで、大体PWのそういうところに、重労働と軽作業、運搬関係の人夫と一般作業との加重平均で、これはたしか八・二の、重作業八の軽作業二の割合の労務者を使うということの平均単価をとってのPWで予算要求しております。
  52. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、今の能力検定、それから体力検定で適格登録の中から、適格性を検査されているのですが、それはあとで聞きますけれども、その中で今の三百八十円、PWを基準にして賃金を支払う合格者はどれくらいあるのですか。
  53. 三治重信

    説明員(三治重信君) 約二十三万四千——来年度増加するという前提で、その重作業に従事できる者が二十三万四千人でございます。
  54. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 三十四万のうち二十三万四千人はこの適格性があるということですか。
  55. 三治重信

    説明員(三治重信君) 現在の日雇い労務者の登録の割合からいくと、来年度予想するのでは、それだけ吸収しても重労働にたえるものがあるという仮定をしております。
  56. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、三十四万人の中で二十三万余りというと六割からの人が適格性があるということですね。どうですか、その通りですか。
  57. 三治重信

    説明員(三治重信君) その三十四万人の吸収のワクの中で、それだけの重作業に従事する者を吸収するように計画しているわけです。
  58. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、これは計画ですね。適格検査はしていないということですか。
  59. 三治重信

    説明員(三治重信君) 来年度、新たに日雇い労務者の増加も予想しているわけですから、割合をきめるその割合は、今までの、現在の登録者についての日雇い労務者の検査の結果の割合から出しているわけなんです。
  60. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、これは適格性の人が三十四万だが、ことしの登録者、来年予想される登録者の数、それと今の、今までやっておられることからいえば、その中で適格審査にパスする者の予想、それをちょっとお話しして下さい。
  61. 三治重信

    説明員(三治重信君) これはそういう、新しく来年の登録者のうちで、どの割合に登録するかという予想は作っておりません。現在登録している者の体力検定の結果の割合、予算要求の人員の割合に按分したわけです。割合を使っただけなんですから、実際の登録のいわゆる重作業のできる者をどれだけ登録する、軽作業の者をどれだけ吸収するというふうなのでは予定はしていないわけです。
  62. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ことしの登録者何人です。
  63. 三治重信

    説明員(三治重信君) 現在の日雇い労務者全体五十一万五千、現在そのうちで失対適格者が約三十四万人。
  64. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 大体そうすると、来年度はどのくらいふえる見込みでございますか。
  65. 三治重信

    説明員(三治重信君) これは、まだはっきりした見通しはいま少したたないとわかりませんが、予算要求の当時は、大体六十一、二万程度というふうな予想ではじいた数字です。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 こまかになって、この点まことに済まぬけれども、六十二万の中で、日雇いの適格者というのは大体なんぼぐらいの見込みですか。
  67. 三治重信

    説明員(三治重信君) 大体今までの割合からいくというと、その全体の登録者のうちの六割程度というふうな予想でやっております。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、その体力検査、能力検査というのが非常にきびしくて、そして政府考えている、労働省考えられているような体力や労働力の条件を備えていないというのを私は聞くのですけれども、ここでこの話を聞くと、来年度三十六万人ぐらい、二十三万の適格者を予想されているというのだから、この話を聞くとですね、そうきびしいこともなさそうなのか、また、それだけの条件を備えている人がたくさんおるのかという、どちらかの考え方が立つのですけれども、しかし、実際に日雇いで働いている方々においては、今度の特別失対の能力検査、体力検査というものの方法の問題に対する一つの不安、それから一般失対との関係一般失対の行く先というものに対する不安、こういうものが深刻にあると思うのです。だから政府の意向というものがよく理解されているのか、されてないのか知らないけれども、それをきびしくやることによって、二つの不安を持っておる。この不安について皆さん聞いておられると思いますから、これに対する解明を一つ願いたい。
  69. 三治重信

    説明員(三治重信君) これは、現在の一般失対の非能率なことは、先生御自身よく御存じだと思いますが、それをわれわれの方としては、もう少し資材もふやして、自分たちの働いた結果がわかるようにすると、またおのずから仕事に対する励みも出てくるのじゃないかということで計画しているわけなんですが、やはり現在の全日労の指導方針からいきますというと、やはり働かなくて賃金はよけいもらえるような……、とにかくそういう特別失対とかいうことをやると労働強化になる、賃金もそれと見合ってと、今の一般失対との見合いでは、それほど増加しないというのが主張で、われわれも今日まで予算要求のやつが新聞で発表になってから、非常に聞いておるところでございますけれども、しかし、一般のそういう組合の要求も、われわれの方はよく聞いておりますけれども、やはりしかし、その中にも、まだもっと働きがいのある仕事をやってくれという要求も相当あるわけなんでして、また、その問題は、結局現在のその予算要求の割合が、今までの特失臨就で、わずか四万程度のやつで、一般失対二十万からある中で、四万程度のやつが非常に割合をふやしたというところに、非常に問題があるわけなんですけれども、われわれの方とすれば、これは非常に金のかかる予算要求なので、一種の理想案ということになっているわけです。それが必ずしも全部が全部実現されるとは、例年のことからいってなかなか考えられない。だから現在のわれわれが要求しておることが、全部そのまま施行されることを前提としての議論をされているわけです。われわれの方は従来の慣行からいって、一つ予算要求としての理想案は作るけれども——理想案と申しますか、われわれの方でやりたいその筋の通った要求はするけれども、それが全部が全部必ずしも通るということはなかなかむずかしい。たとえば現在の一般失対のやつでいきますというと、ことしの予算で相当ふえましても百七十五億です。来年度予算要求からいけば約五百億になるわけです。だからそれが全部実現されて、労働者がそのままやるとして、現在の失対労務者一般と特別失対に就労するものについての議論なんですから、まだ相当架空な議論になる。従って、そういうことからいって、現在の就労者がすぐそういうふうに分けられるということからいって、非常にそういう重作業もできない者も、強制的にそちらに働かすのじゃないかという宣伝になるわけで、この点はやはり非常にその悪いことかもれませんけれども、やはり毎年の各省の要求というのは、やはりその省で理想的にやりたい事業を、やりたいその仕事を、ある程度われわれの方も、相当それを夢のような計画ということではなくして、注意はしておりますけれども、必ずしもそれが十分実現できるということでもないわけであります。それでわれわれの方も、非常に飛躍的な予算要求と言われるかもしれませんけれども、そういう姿が、ある程度現在の失対を直していく仕方には必要だということでやっている。それが直ちに来年全部が全部実現ざれた状態で、非常に今議論を持ってこられているわけなんですけれども、それはある程度仮定の議論なんであって、なかなか来年度すぐそれがそのまま実現されるということについての、われわれの方が現実に実施する段階での議論ではないので、その間に相当われわれとしても段階があるのじゃないかという見解を持っております。とともに、現在の一般失対への就労という問題につきましても、各事業主体においても、やはり現在の資材費では、非常に作業をどういうふうにして続け、就労さしていくかという問題に悩んでいる。そういう意味において、われわれの方としては、事業主体の失対事業としての事業計画が早くできるように、資材費を早く取りたいということから、そういう案になっておりますので、この点は相当仮定の現在の議論になっておりますので、その点もお含みおき願いたいと思っております。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事務当局としては、えらい正直なような答弁だけれども労働省労働行政をやるのに、そんな自信のないことでは——これは大臣が見えないからあまり追及はせぬけれども、そういう自信のないことじゃ困る。一応出してみたけれども、どないきまるやわからぬから、きまるまでは架空だというようなそういう議論は、あなたにもう私はそう言わぬけれども、そういう確信のないことで、労働省予算要求をするということは、これは何と言っても私はいかぬことだと思う。なぜかというと、今、日本では、失業雇用対策というものは、一番重大な問題だと、石田、倉石両大臣ともここで決意を述べている。私は、日本の経済政策をやるのには、何と言っても労働力の配置、労働者の保護、こういうものを見合って経済政策を見なければいかぬ、そういう決意で私は労働行政を担当しますと、こう言っているわけなんです。だから、そういう事務当局の人としての発言に対して、私は追及せぬけれども、次官、一つその今の発言に関して、一言見解を述べておいてもらいたい。それでないとちょっと前へ進めない。
  71. 生田宏一

    政府委員(生田宏一君) お話はまことにごもっともでありますが、実は労働省予算を提出しております。内容的に申しますと、たとえば臨就をやめて一般と特別だけでやろうとかということも、今三治君が説明しましたように、単に日雇い労務者を形の残らない事業に、ただ漫然と働いておるのか、働いておらないのかわからないような格好でやって、あとに形が何にも残らぬじゃないかと、そういう考え方、それからまた、一面から言いますと、就労能力のない者に形式的に賃金を払うということは、これはむしろ厚生省の方で引き取ってもらってやった方がいいのではないかというような議論も出ますし、この失対事業についてはいろいろな意見が出ておるわけで、それはもう御承知通りでございます。ところが、かりにそれをやろうとしてみますれば、生活保護の方に回してみますれば、今の現行法では月二千円ですから、三人家族以下であれば生活保護に回した方がむしろかわいそうな目をみる、こういうふうなこともありますので、これはなかなか踏み切ることができません。そういうことはあとに回しましても、それで少くとも何か百七十億あるいは何百億かの金を使ったものを形の残るようにしてみたいということになりますと、これに資材費を加えて、そしてずっと内容のある仕事がずっとあとに残るようなことにしようじゃないかということも、これは考えなければならぬことであります。そうしますと、今失対部長が説明しましたような失対事業の内容でいこうじゃないか、こういう考え労働省では持っておるわけであります。そして予算折衝上の関門がありますから、それがそのまま予算の中に出てくるかどうかということは、われわれとしましては、労働省考えたそれが現状においては一番いい方法であるということを決意しました以上は、その予算が、われわれの考え方が通りまするように、労働行政を担当しておる省としては努力をいたしますことは申すまでもございません。また、それは私たちの力の限りではいたすつもりでございます。それからまた、ここで、たとえば国家財政の関係だとか、あるいは予算編成上の問題だとか言って、そういう抽象的なことであるいは予算がうまく組めなかったとか、自分たちの考えが必ずしも百パーセント達しなかったからというような逃避的なお答えはいたしませんが、しかし、この労働問題は大きな雇用対策の問題でございますから、良心的に考えて自分たちが一生懸命にやったというところだけはいたすつもりでございますので、今の段階としては、この辺のところで御了承願いたいと思います。
  72. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それで、大体二人の話しを聞いて理解できぬことはない。前段の問題については、あなた方の御意思を述べられているのだから、私はそれを今ここで言っているわけではない。予算要求を、これがやっぱりよいと思って予算要求をしたんだから、考え方はここにまとめて予算要求をしたんだから、だからこれを貫くために努力されることは当然のことだと思う。しかし、一方、不安という問題に入ってくると、それは架空な状態で議論をしておるというようなことに論旨を進めるからけしからぬということになる。そういうことを私は言われるところに、もう労働省自身が混乱をしておるのではないかと思う。だから問題は、日雇い労働者が言っておることは、労働省方針——方針ですよ。いずれ予算折衝を、これから確保するために努力されるんでしゃう、結果はどうなるか——その方針に対して一つのきびしい検査であるとか何とかという不安があるということが一つ。  もう一つ、こういう方針が立っていくと、一般失対の方々、たとえば主として問題になってくるのは、高年令者だと思う。たとえば六十才を中心にしたような方々だと思う。私は、そういう方々がうわさや意見の端々に出てくるときには、生活保護法に切りかえるとか何とかという議論が出てくる。そうすると、生活保護法そのものがそれでは前進した姿であるのかどうかということになってくると、生活保護法の実態を見てみると非常に悲惨な状態である。だから両々相待ってそこへ調整していけるということであれば、これは労働省だけではできなことであろうけれども、そういうところに努力の目が向けられて、初めて生活保護法と失対の高年令者との関係が論じられなければ、単に機械的に高年令者は生活保護をやったらいい、そういう話まで発展すると、失業対策事業の労務者の不安というものがつのってくるのは当然だと思う。その関係を、私は根本的な問題はまたいずれここで質疑する機会があるから、技術的な問題を中心に私は聞いているわけです。
  73. 生田宏一

    政府委員(生田宏一君) お話のことは私たちもよくわかっております。ただ、ここに考えなければならぬことは、人間の生活のことでございますから、生活の安定ということは大切なことでございます。しかし、また、そこに社会通念から考えて合理的にものを運んでいくということも必要でございますので、政策を立てます場合に、一省だけの問題でございません厚生省の関係もございますが、これは温情を持ちながら、また、合理的ということも必要でございますから、そういうあらゆる角度から考えて、最善の道を考えるように労働省としては努力をするつもりでございます。
  74. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、私はそういう不安のないように、あなた方がほんとうに意図されているこの心がまえというものを、やはり実際に働いている人によく理解されるような、要するに懇談の場所といいますか、話し合いの場所というものをもっと積極的に持っておやりにならなければ、せっかくおやりになった事業というものが生きてこない。そこにやはり両方の不信の念が、せっかくこういう工合にしたらよいとお考えになってやっても、受け入れる側にしたら、それが生きたものとして受け入れられていくかどうかというところに今問題が出てきている。そこで、検定の問題や一般失対の問題、生活保護の問題が関連して出てくる。十分理解のいくまで話し合って、相互に理解すればするほど一つの生きたものというものがそこに浮び上ってくるということを私は主張したい。だから、そういう努力を今後、国としてはしてもらわなければならない。そうして今日までどういう努力をされたか、それを聞いている。
  75. 三治重信

    説明員(三治重信君) これは今後の予算要求にしても、先ほどから問題になっている体力検定の問題についてもいろいろ要求の形あるいは面会の形で出ておりますが、最近においては、われわれの方としては拒否したこともないし、十分時間をとって話し合っております。今年の問題につきましても、きのう午前午後にわたってやっております、きのうで四、五回やっております。今後もいろいろ問題につきましては、十分われわれの意図するところを説明して、納得のいくように努力していくつもりでございます。
  76. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこで、私は希望を申し上げておきますけれども、先ほど三治部長が言われたように、今予算折衝の段階なんだ、だから具体的に生きた事業としてやらなければならぬ問題だから、お互いに理解を深めて、百パーセントとはいかなくても、できるだけ理解を深めてこの仕事につく、また、施策もやるということが私はいいことだ。だから、そういう点では、おれの言うことは正しいのだから、おれの言うことが百パーセントなんだということじゃなしに、十分にやっぱり話をして、そうして希望をいれながら生きた事業になるように、一つ関係者努力していただきたいということを、今後うんと話し合いをされると思いますから、それを期待して、やはりその働いている方々の意見というものが、実際の生きた事業に加わって、ものになるようにしてもらいたい。  それから生活保護の関係なんですが、これは直接は厚生省の担当です。その生活保護法の問題として、今までよく出てきたのは、京都なんかよく出てきているわけですけれども、その地域の貧困の度合いに応じてやはりその問題が出てきていると私は思うのです。だから、産業の回転のよい民間就労の多いところにおいては、なかなか私は、生活貧困度の高いところとは違った様相として出てきておると思います。一つの問題を取り上げてみても、経済回転のいいところは十五、六日失対事業の予算を組めば、民間就労で二十五日就労の機会が大体与えられる、こういう場所もある。十八日、十九日組んだって民間就労一日もないというような現状のところもある。こういうところには、やはり特別な施策というものが必要になってくると私は思うのです。だから、そういう問題と見合わしてきて、単に生活保護法に高年令者を転換するのだというようなことについては十分に厚生省と話をして、そして何とかやはり生活ができるような関係で、僕は十分にこのような調整をしてもらいたい。それでなければ、軽々にこれは切りかえたらいいのだというような格好で私はやってもらっちゃ困るということを、二番目の希望として申し上げる。  それから次の問題は、登録者の適格の問題なんです。登録者の適格基準というものを今のままでいいのかどうかと私は思うのです。たとえば、私は全般にこの基準をとってしまった場合、どうなるかという問題が一つ出てくる。それから、五人家族で、夫が働いて四千円か四千五百円しかもらえない。妻も働きたいのだけれども、適格基準で排除される、こういうことになれば、四千円で食わなければならぬ。こういうやはり貧困な家庭の人は私は適格基準というものを広げるというか、現代のようなきびしい適格基準というものをはずして、そこに就労する機会を与える、こういうところまでいかなければならぬのじゃないかと私はそう思うのです。だから、その点の考え方について一つ聞きたい。
  77. 三治重信

    説明員(三治重信君) これは前々から問題になっているところなんですが、現在の失対事業の仕事の性質からいきまして、やはり土木事業が主になる。それで、現在においてもまあ初めはそれほどでなかったのですけれども、だんだんやはり婦女子の適格が多くなってきた。だから、市町村としても、県としても、失対事業の内容は土木事業である。土木事業に非常に未経験な婦人を安定所が適格者としてどんどん入れるということは、失対事業の施行に非常に困るわけです。その点について、厚生省に対してもわれわれの方として、全然未経験な、今まで家庭の中におって職業にもついたこともない、せいぜい内職はやったことがあるかもしれないけれども、未経験、こういう人たちを果して失対事業に入れて、シャベルやくわを持たしてそれで生活を保証するということが果して失対事業になるかどうかということについて、労働省としては、非常に反省——そうでなくても、失業問題というのは今まで職のあった者、それは雇用者ばかりでなくて、自営業にしても、とにかく働いていた者についての失対事業であるべきじゃないか、それを生活が困る、たとえば今まで主人が——主人と言っちゃ語弊がありますが、夫が働いておったけれども、病気で入院した、だから、妻を働かしてくれというのは、われわれの方も、いわゆる失業対策事業ということからいくと、今まで無業者だった者を有業者が一人倒れたのだからそれで失対事業に吸収するというのは、今まではやってきておりましたけれども、それが積り積って結局未経験な婦女子や虚弱者の集合所になってしまうのでありまして、これは地域によって非常に違いまするけれども、ことに先生御出身の京都においては、非常にそういう関係が強いわけなんですけれども、そうでないところも相当ございます。たとえば、ほとんどの小さなと申しますか、人口密度の少い町村においては、これはまあ一般に農家が主で、半農半商というような家庭も多いわけですから、大体において家族全員が肉体労働の経験をもっておる。そういうところにおいては、婦女子が出てきてもやはり相当の作業ができるということにおいて、非常に問題はないわけですが、問題はいわゆる中都市以上のところにそういう現象が起きている。その点でわれわれの方としては、やはり失対事業といっても、それは一つの一家の家計の主たる担当者というものを適格者にするのだという基準を、悪く言えば運用、よく言えばそれによって一家の生計を支持するのが失対事業だというふうな社会的な通念と申しますか、そういう慣習みたいなものになりつつあるけれども、やはりこれは反省しなくちゃいかぬじゃないかというのがわれわれの立場であります。そうかといって、現実にやっている人を、先ほど政務次官も御説明いたしましたように、すぐ直ちにそれを切りかえるということは、これは非常にむずかしい問題ですが、やはり方向としては、われわれの方としては、そういうふうにもっていくべきじゃないか、従って、生活保護法との関係においては、生活保護法ではやはり生活に困っている有業家庭が無業者ばかりになって働く人がいなくなったために、生活に困窮する場合には生活保護でやってもらいたい。それを主婦が行けば、あなたまだ若いのだから安定所に行って、せめて失対事業でもやりなさいというのはやめてくれ、こういうような交渉になっておるわけであります。従って、現在われわれの方としては、生活保護世帯において、失業して生活保護を受けておる人については、われわれの方としてできるだけ失対事業の方に入れましょう。しかしながら、現在これから、いわゆるそういう今までの世帯主が病気とかその他で非労力になった場合に、代人を労働化するということについてはやめていこうじゃないかというのが、われわれの方の現在の立場であって、そういうふうにもっていきたいと思って、厚生省の方ともそういうふうで話し合いをしつつあるところでございます。まだ最終結論には至っておりませんが、われわれの方としては、現在の情勢では、生活保護世帯について、そういう保護の対象になるような世帯について、今までの非労力を失対事業に入れてまで生活保護を制限していくということについては、厚生省の方も考え、それからわれわれの方として、現在厚生省の方で失業を原因として生活保護を受けている世帯については、やはり一般の民間就労ができるまで失対事業として、その家庭を生活保護世帯から離脱さすように話し合いをしましょう、そういうふうにして、まずそっちから解決していくべきじゃないかということで、今話をしておるところであります。
  78. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今話を聞いていると、一つの面では生産効率という問題が頭の中に入っておる、だから男がしている事業に対して女の人が入ってくれば効率が下るから困ると、こういうことをおっしゃっておる、それからもう一つの面からその問題を見てみると、生産効率を上げるということは生産につかすのだから当然のことだと私は思うのです。それならたとえば、生産効率の上るような事業をなぜやらせないか、やらせてこなかったじゃないか、今までそういう面に目を向けない、たとえば、道路を掃除するのにほうきがない、スコップがないという条件に置いておって、仕事をせよと言ったってできっこない、一般社会における生産効率を上げるという条件をそろえていないで、生産効率というものは、今後の問題は別として、矛盾があるじゃないか、それが第一。それからもう一つは、一昨年の調査においても、ボーダー・ライン世帯は千四百万もおるというこの社会情勢において、日雇いに行って働こうというのは、社会に貢献しようという、ただいて食をするのじゃなくて、社会に貢献して生産につこうという考え方、それは私はそういう人が寄ってくると思う、そういうことになると、寄ってきたけれども、四千円や五千円、五人の生活主体者の夫なら夫の人が出ていても食っていけないから、やはり同じような仕事にという問題が出てくる、一面においては、労働省は能力のある者は高い労働密度のところに転換して、一般労働者の仲間入りの道をつけるとこう言う、ところが、実際その問題が今議論になっているわけです、その生活している妻とかそういう何とか働かなくちゃ食えない、遊んで生活保護をもらうよりか働く方に目を向けるけれども仕事がないから失対事業で多少なりとも社会に貢献しようという気持のある者を、ただ、生産効率云々というところから排除するということになれば、今日まで緊急失対事業を十年近くやってこられた緊急失対事業内容を見ても、これに政府はどのような手を打ってきたか、資材がないから事業ができないというものがほとんどだったと私は思う。それで生産効率という、そこに理屈をつけるというところに私は問題があると思うのです。しかし、人間社会の流れですから、そういうところに方向が向くということは、ある意味においては私はいいことだと思う。これは根本的に私は否定いたしません——否定いたしませんけれども、しかし、それとうらはらに生活に困っておる人を、そのような貧困家庭のまた労働力を持っておる人を、今のような一般失対の中に吸収させていく、だから、適格基準というものをここで改めなければならない時期に私はきておると思う。これは日本の婦人の問題からいっても非常に重大な問題だと私は思うのです。その点、そのしわ寄せ方、今の方向は生産効率だ、社会の流れだというところだけに焦点を合わせて、適格基準の問題については、作業能率云々ということだけで今のような適格基準で排除しているということは、私はやっぱり少し改めなくちゃならないのじゃないか、こう思うのです。これは次官からも、部長からも意見一つ聞きたい。
  79. 生田宏一

    政府委員(生田宏一君) お話のような考え方も一つ考え方でございましょうし、私たちといたしましても、その問題は、三十四年度の予算を前にしてある程度進歩した考え方でやろうではないかということで方向をきめておるわけでございますので、また、私のような者のほかにもたくさん御意見もあるようなことでございますから、藤田先生のお話も含めて、進歩的にものを考えてゆく、そういうようにいたしたいと思っております。
  80. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、大筋の問題を言っているんじゃないんですよ、今は適格基準の問題を言っているんだ。だから、大筋の流れというものを、その方向努力をしようと、国が予算をとるということは予算折衝の問題だ、この問題は私は私なりに意見を持っているから、流れというものを頭から否定しているものじゃない。しかし、今生活に困っている、勤労で社会に労働力を提供し、貢献しようという人を——一つ貢献しようということと食べられないということがプラスされて今行われている、本来、歴史的に見ればそういうものなんですよ。何とか食いつなぎをしてやろうじゃないかということが緊急失対事業の初めからそういう流れなんですから、今だんだんと内容が検討されて進みつつあるんですけれども、今までの歴史から見ても、今のような厳密な適格基準というものは再検討するときが来ているということを私は言っているんです。だから、その点は、今次官が私の意見も含めて検討しようとおっしゃるけれども、そこのところは、一つ十分に御理解をしていただいて、この問題は検討していただきたいと思うんです。そうでないと、私は非常にたくさん困っている人があるということ、それから本来ここで一言つけ加えておきますけれども、私は人間の一生というものは、生活保護法で金をもらって食っておることほど不幸なことはないと思うんだ、僕は本来。何らか自分の労働をして勤労の喜びの中において生活してゆくという人生が生まれてこなければ、ただ金をもらって息をつないでいるということほど私は不幸なことはないと思うんです。そういうような立場から今のような議論をしているんですから、それも一つどうか理解をしてもらいたい。だから、その関係については生活保護法の国家財政のワクがどうなるとか、こうなるとかいうことでなしに、やはり労働力のある者には労働を社会に提供さして、その働いている人は勤労の喜びの中で人生を全うするという考え方に立って物事を処理してもらわないと食い違いが出てくるので、その問題は、私はとくとお考えを願いたいと思うんです。  それからいずれ今後お尋ねしてゆく問題については、また、今までの問題についてもいずれ日をあらためて詳しく労働省考えがまとまったらお聞かせを願いたいと思うんですけれども、次の問題は……。
  81. 紅露みつ

    紅露みつ君 ちょっと私その問題に関して、私からも聞いておきたいと思います。先ほどから藤田委員が御質問になった点ですが、生活保護法と失対で働く、こういう二つのかね合いですね、かねがね労働省にはそういうお考えがあることは私も伺ってはおりますけれども、大へんはっきりしてきたようでございますが、未経験の婦女子等が失対の中に入ると生産能力が上らないということ、これはもっともだと思うんですが、そういうような、荒い重労働の面は、それはもっともだと思われますけれども、藤田さんが言われるように、私も大へん同情するところがあるんですね、じっとしていれば生活保護法で食えるでありましょうところを、働こうという意欲があるんですから、そういう人たちにそういう重労働の面だけをお考えにならないで、相当労働力の強いと思う人が軽い仕事であろうと思われるようなところに働いているのをよく見かけますが、そういうところはどうなんでございましょう、軽い仕事のところには婦女子を使うというようなふうに厳密にそういうことを考えて、その軽い、たえられるような仕事の方に回していただくというようなことは考えられないのございますか。それとも、考えても、なおかつ婦女子の就労希望が多過ぎるというのでございましょうか。何かそこの点がどうも冷たいように受け取れるのでございますが、どちらからでも一つ
  82. 生田宏一

    政府委員(生田宏一君) 先ほど失対部長からお答えしましたこと、また、両先生のお話でございますが、これは人間を扱うことでございますから、その人その人が一人々々、おのおの違う条件、環境でございますので、それを一つの簡単な基準で律するということは、それは個々の場合にいろいろな問題が出てくると思います。それは私たちの考えとしては、ケース・バイ・ケースで、いろんな考え方もあろうと思いますから、やはり温情のある幅を持った考え方でやっていかなければならないとは思うのでございますが、しかし、一つの基準を立てて見ようということになれば、失対部長が申したようなことにもなると存じます。その辺のところは十分に考えさしていただこうと存じます。
  83. 三治重信

    説明員(三治重信君) 先ほど若干御説明に不足なところがございますから申し上げておきます。われわれの方で、婦女子を入れないというのじゃなくて、未経験の婦女子が福祉事務所へ行くと、あなたまだ働ける年令だから働きなさいと言って、無理やりに安定所の方へもってくる。そうして安定所の方では、体力検定をせざるを得ないというところに問題がある。われわれの方で、そういう未経験の方々が新しくほんとうに働きたいという御意思ならば、われわれの方でもそう全部拒否するわけじゃない。むしろ私が申し上げたのは、今までの婦女子の入られたうちの相当な部分が、まず自分の夫はこんな病気で休んだ、だから生活保護を下さいといって、福祉事務所へ出かけて行った場合に、生活保護の基準は、まず働きなさい、働きたくても、どこにも職場がなくてどうにもならない場合に生活保護をやりますから、まず職安へ行きなさい、失対事業もあるじゃないですか、こういう慣行で、やはり御本人の労働力があるといっても、未経験の人までもそれを労働力化するということを厚生省はやる必要はないのじゃないかということの説明でございました。われわれもちろんそういう未亡人家庭なり何かの方で、ぜひ働きたいという自由意思で来られた分までも、全部未経験者は失対へ入れませんということではないわけです。そういう点、若干御理解願っておきたいと思います。補足説明しておきます。
  84. 紅露みつ

    紅露みつ君 先ほど、政務次官のお話のように、これは、ケース・バイ・ケースは、いろんなものがあると思うのですが、ケースが。今の失対部長のお話もわかります。それは労働力のないような人がどうも年が若いから、まだ働けるだろうというようなことで、失対の方に回されるということは困るということはわかるのですけれども、それかと申しまして、その回された人がみんな労働力がないというふうに認定されるのは、これはまたちょっと無理なのですね。ですから、その方から、厚生省の方から回ってきた者はあまり労働力がない者だときめてかからないで、その中にも、労働力の実際ある者であっても、主人が働けないようになった、それで困ったというような状態で、どこへ持ち込んだらこれが解決するのかよくわからないような人もあるかもしれないので、これは、回してよこした者は、みんな一応切るのだというような画一的なお考えでなく、回された者についてもやっぱりめんどうを見て、そして判定をしていただきたいと思うのですが、そんなふうにもしていらっしゃるのでしょうか。
  85. 三治重信

    説明員(三治重信君) 従来、われわれの方の末端からの苦情を聞くのは、結局、福祉事務所へ行った。そしたら今度は安定所の方へ行け、安定所の方は、体力検定をやると、むずかしいから生活保護を受けなさい。生活保護はいやだ。結局あちらの窓口、こちらの窓口ということで時間がたつということで、非常に問題があるわけです。それについて、今厚生省と、やはり窓口へ現われたら、そこの一つの窓口で大体解決がつくように漸次調整しようじゃないか、これが労働界の諸先生からも非常にいろいろの人が困っているということの強い要望があって、厚生省も、われわれもおしかりを受けて、そこで話し合いに入って、交渉に入っております。その交渉の内容の一端を御説明したわけです。それからわれわれの方として、本省同士ではやはり基準線としてはある程度地方に流しているわけですが、その基準線からいくと、やはりそこの間に、あちらの窓口、こちらの窓口と御本人が惑うということになり、さっきも御説明したように、安定所の窓口へ来れば、そこで体力検定の問題でまずいというので、生活保護へ話して、どちらかで、両方ともが話し合って、その御本人を惑せないようにきめようじゃないかという話し合いでございます。その内容として、生活保護へ申し出た方で未経験者については、生活保護の方で引き受けたらどうか、それから安定所の窓口の方へ来られて、それはもちろん自由意思で来られて体力検定なり、御本人の体力が失対事業にかなえば、その分については安定所の方で引き受けるという、そういうふうに出頭された場所で自主的に解決していく、そうしてどちらがいいかということは相互で協力してきめていくようにしたらどうかという話し合いをしているわけです。その同じ中に基準をどうするかという問題があるわけです。
  86. 紅露みつ

    紅露みつ君 お話をだんだん伺っていって、一応の基準がなければやりにくくてお困りでしょうから、一応の基準はよろしいのですけれども、やはり問題は、まだそう決定的な線が出ていないと思います。まだ話し合い中だと思いますけれども、だから、その基準の中にも先ほど申されたように、福祉事務所から回ってきても労働力のある者があるが、女のことですから、様子がわからないから、どこに持ち込んでいいかわからないという場合がほんとうにあると思います。ですから、そこで検定をしまして、また、精密な検査ができればなおけっこうですけれども、その窓口一カ所できめることはいいことです、いいことですが、それがいい結果にきまれば一カ所でけっこうですが、悪い結果にきまって、働ける者が福祉事務所へ行ってしまったから、福祉事務所で生活保護の方に回してしまうのだということは、これは本人にとっても不幸であるし、その意欲をつぶしてしまう、働く意欲をつぶしてしまうということもこれは社会的に見ていいことではございませんので、そこのところは、一応の基準を置いてけっこうですけれども、そこは例外があっていいと思いますので、その点は、どうかもう少し幅を持って、今後御相談を進めていただきたいと思います。
  87. 小柳勇

    小柳勇君 今のに関連した質問ですけれども、適格基準について、ことしの夏、大牟田の職安でハンストを長い時間やっているのだけれども、県の段階、あるいは職場の適用の段階において非常にまちまちである、そういうものを労働省としてどのくらい把握しておられるか、かつ、これは撤廃していかなけれならぬけれども、これはどういうふうに修正しようとしておられるのか、そういう何があれば、腹案があればお教え願いたい。
  88. 三治重信

    説明員(三治重信君) 大牟田の問題ですが、これは御主人なり、むすこさんが失業——病気で一家の働き手がなくなったから失対へ入れてもらいたいということで入っておられたのを、あとで投書なり何なりで調査したところが、やはりそれは完全に復職している。たしか四人のうちで二人か何か二万なんぼ取っている。それでおやじさんは相当年寄りで、それからそのほか御婦人もたしか一人かあったと思いますが、御主人が病気で、しかし、それは完全に復職しているいとうことで、当然その前に、今の主たる家庭の担当者ということで入れたわけです。それが完全に主たる家庭の担当者が復職をしたから、しかもそれで相当な収入を得るようになったことが事実であるからやったので、これは前からそういうことについては、地方に——その間にまだまだわれわれの方の予算措置としても十分でないし、そういうまた申し入れをしている人も相当あるので、できるだけ予算を効率的に使うために、そういうふうな家庭の事情が変更した場合においては、そこの間のいわゆる適格者の出入りは当然あるべきだという指導をやっているわけです。それの具体的な例がそれだったわけです。われわれの方として、結局適格基準云々の問題で非常に問題になるところと、そうでないところとありますが、その中で一番問題になっているところは、大体において、そう申しては悪いかもしれませんけれども、非常に就労基準の悪いところ、いわゆる非常に作業秩序も悪いし、まあ単に行ってぶらぶらしているというところが非常に申し込みが多い。非常にしっかり作業をやつているところはやはりそれほどでもない。そういうところから見るというと、逆に解釈するというと、一般失対適格者になれば、とにかく二十一日分の金はもらえるのだというために非常に申し込みが多い。そうでなくて、きっちりその作業をやっているところは、やはりそれだけにそれだけの必要性があるところの世帯だけが申し入れてくるから、それほど申し入れがないというのが、大体においてわれわれの方としては見当がつくわけです。そういうところで非常にわれわれの方として、そういうふうなところはまずもって就労秩序をもっと確立して、やはり賃金なんですから働いて支払うべきなんです。そういうところをはっきりしないというと、単に適格審査をきびしくするということだけでは、やはりそこで安定所の窓口だけがいかにも制限しているように見えて、事業主体側から見るというと、安定所から受け入れて働かしているのに、全然一般の常識から見て遊んでばっかりいるじゃないかというような関係になることはまずいじゃないかということで、両方から規制していかなければならぬと思います。ことに大牟田の例なんか申しますと、今年度、三十一年度の決算委員会報告にもあります通り、非常に作業能率の悪い、一つの例をとると、道路の補修作業なんかになるというと、公共事業の二十倍もかかっているじゃないかというふうに、決算報告なんかにはっきり書かれているくらい、非常に大牟田の就労秩序というのは乱れておる。そうすると、どうしてもああいうふうにただ行きさえすればいいじゃないかというふうになると、いかにも安定所が制限しているみたいだけれども、それはやはり就労秩序が非常に悪くて、ただ行きさえすれば金がもらえるというふうな傾向がはびこるから、結局小づかいかせぎになるということにもなる。そこがまあ問題であるとわれわれの方は見ておる。従って、われわれの方の安定所の窓口の規制の仕方は一律であるけれども、具体的に各地方によって、事業主体の、いわゆる作業の管理監督部面のやはり正常か正常でないかによって、非常に適格者を制限しているみたいに見えたり、それほど問題にならぬところもあるというふうに、まあわれわれは考えている。そういうふうに極端なところは非常にわずかな都市でございますけれども、そういうところが問題になっている次第でありまして、この点われわれの方としても、予算を効率的にし、また、一般の世論から言っても、やはりもう少し正常化して、失対なら失対事業らしく、能率はたとえ悪くても、やはり一般市民からの非難を受けないだけの作業をやらすように指導しなければならぬというふうに考えております。
  89. 小柳勇

    小柳勇君 今の点、適格基準の問題についてはまあ明確に聞きとれなかったが、あとの作業秩序の問題ですが、いろいろ意見があるだろうが、私が大体聞いたところで、大牟田だけではないが、大体福岡県下の話を聞くと、夏、失業者が道路工事などをやっていると、栄養失調の諸君が非常に多い。たとえばちょっとひどい作業をして倒れるという労務者、それから二日か三日病気するとすぐ死亡するという現象が非常に多かったという話を聞いておる。それで、あとで賃金の話も出ると思うけれども、失対事業として、給与が、いろいろ等級をきめておられるか、ほんとうに最小限度の、労働の再生産ができないような現状であるということについて、今大牟田の場合は特殊な例であると言われたけれども、そういうものをとにかくやっていかなければ、家庭がぎりぎりの線であるという、そういう問題については、労働省として一体どういうふうなお考えがあるのか、基本的な問題ですから一つお話し願いたいと思います。
  90. 三治重信

    説明員(三治重信君) その点については、われわれの方としてもやはりその賃金の単価の問題につきましては、やはり土地々々の、そういう同じ作業をやる一般の民間作業より、やはり若干下げてきめないと、同じ作業で同じ賃金になれば、やはり失対事業の方に非常に多くなる。民間事業の方がやはり人を求めてもいかないという点で、そういうふうに考えている。ですから、全体の現在の失対の一月の収入が非常に低いということについてはわれわれの方は同感でございます。月収において少しやはり増加をするようにすべきじゃないかというので、先ほど御説明したように、就労日数を出している。もちろん今現在の就労日数の二十一日というのも、初めは実際は二十七年か何かの、非常に失業が出てきた場合に、予算が間に合わなくて登録者がふえ、結局就労日数が自然的に低下したというようなこと、それから実際の今までの運営からいって、安定所の民間の日雇いの労務者の就労が十六、七日というのが、一般の失対事業以外の民間の日雇い労務者の就労の実態なわけなんです。そういうところからいって、一般の民間の就労ともまぜてそういうふうな基準をやっていたわけなんです。だんだん一般生活程度も上がり、それから入ってくる方々も非常に家族をたくさんかかえて、その収入が少いという問題で、だんだん失対労務者の層がきまってきますと、非常にそこに生活問題が出てくる。初めは臨時的なまあ手間仕事的に入ってこられた、また、そういうことで失対事業を始めたわけですから、日雇い労務者の、結局、就労日数を確保するということから失対を始めたわけですけれども、それがいわゆる失対オンリーで生活をしなくちゃならぬ階層がだんだん沈澱してきたというところに問題がある。従って、そういう事実を事実として認めていくならば、やはり賃金で操作できなければ、就労日数で操作できるのではないかということで、就労日数の増加の線を逐次高めて、やっと三十一年で二十一日まで持ってきた。さらにわれわれの方としては、もう二日、二十三日まで持っていきたいというのがわれわれの希望なんです。しかし、現在の労務者を一日増加さすために、大体約十七、八億円の、今のままの単価でやって、一日増加さす予算でも、現在の労務者実員で大体十七、八億かかるわけです。そういうような関係で、予算の金額がちょっといじるだけでも十億単位の金がかかるというところにわれわれとして今まで残念ながら実現できなかったことなんですが、そういう方向へわれわれの方としてはもっていきたいというふうに考えております。
  91. 小柳勇

    小柳勇君 私ここに全国の賃金統計をもっておりますけれども、これは月額賃金収入の最高、たとえば東京などで八千三百六十円、それから最低は鹿児島などで四千六十円、こういう間に大体の、そういう自由労務者という人があると、一応見るとすると、これで関連して、たとえば、こういうふうなこれだけの収入があるから生活保護はだめだとか、いわゆる適格基準とそれに結びつけて、その作業秩序、これはあなたさっきの言葉でいうと、よくするためにはやはり適格基準についても考えなければならぬというように私取れたのだけれども、そういう点に結びつけていくと、やはり人間の生活、生存するだけのエネルギーを供給しなければならぬのであるから、もっとこういうものを根本的に考えることが先であって、適格基準によって作業能率を上げようとか、作業環境をよくしていこうとか、そういうような考え方にいくということは非常に危険ではないかと思うのですが、その点、今のところ、適格基準の撤廃などについては考えてもおられないようであるけれども、少くとも適格基準を緩和するというようなお考えになられないかどうか、くどいようだけれども、もう一回お話し願いたいと思う。
  92. 三治重信

    説明員(三治重信君) それはわれわれの方としても、今の失対労務者の収入関係からいって決して十分でないし、できるだけ増加さしたいということについては、同じ気持なんですが、ただそこにそれを増加さすからには、やはり仕事内容もやはり向上さして、それに見合うものとしての増加の対策をとりたいということで、われわれの方は考えているわけです。従って、単に労務管理とか、それから作業秩序だけを強化していくということではないわけであります。われわれの方としては、それはその働ける環境をよくすることによっての作業能率の改善をしなくちゃならぬ、それは両々相待ってしなければならぬということは十分考えておるわけであります。それから適格基準の問題につきましては、非常に問題があるところでございまして、先ほど申し上げましたように、単に生活ができないから、もっと五人世帯なら二人とか、八人世帯なら三人というだけの基準では、やはり今度は、事業主体として、失対労務者として、使う側から見て、非常にまずいのじゃないかということ、それでその問題をもう少し煮詰めていけば、われわれの方としても、もう一つは、一つの家庭において働いて、主たる家庭の担当者以外の者で、今まで賃金労働者として働いていた者が失業した場合に、失対事業に吸収する方法はどうだろうかという問題が一つあると思う。それからいま一つは、全家庭が非常に生活保護基準に近いボーダー・ラインにおって、非常に生活に困っておるという場合に、生活保護を一部適用し一人だけ失対に働かせて、足りない分は生活保護法という今の問題は、これは何とかして、保護世帯は保護世帯と、それから失対の世帯においてはやはり失対で、何とか生活保護以上で生活できるように考えなくちゃならぬじゃないかという二つの線で、現在検討中です。その中において出入りがとういうふうになっておるかというようなことについていろいろ調査しておるわけなんです。
  93. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その三治部長のお話を聞いておると、ちょこちょこと生産向上とか事業効果という話が出てくるのだけれども、あなた、もっと実態を明確に言わなければ私はだめだと思うのです、あなたの答弁は。資材費がないから仕事ができぬというところに追ひ込まれておるところに事業効果が上っていないのだ。それで資材費をどこが持つかというと、府県は資材費がない。府県が資材費を持ってやっておるところは事業効果を上げておるということが、今日までの失対事業の実態なんです。そこのところが、単に能率が悪いということだけでなしに、地方交付税の関係をどうしてやるとか、たとえば、二十一日組んでも、二十一日分だけ地方財政が組めないというところにはどういうサボリがあるのか、実際に地方財政が持てないのか、そういうところにおいては交付税の関係でどう処理してやるのかというところにいかない限りは、事業効果の問題をここであなたそういう抽象的な課題で論じてきたら、私は非常にたくさんの問題があると思う、実際問題として。だからそういう点は、私はくどくど言いませんから、もっとその地方の失業者、職安の窓口にくる日雇い労務者をどう吸収して、この人の労働力をどういうふうにしたら、その労働力が一歩々々前進した形で社会や事業に提供させるかということを私はやはり考えてもらわなければならぬと思うのです。これはあまりくどく言いませんけれども、それからたとえばさっきに戻りますけれども、二十一日を二十三日にすると言われましたけれども、地方財政が二十一日を二十三日に組めない場合、そういう場合にどういう手当をするのですか、たとえば、高額補助に組めないところについては、二十三日働けるようにそれだけの財源を提供してやるのか、または、地方交付税との関係で調整をしてやるのか、そこらの点は。この考え方だけ聞いておきたい。
  94. 三治重信

    説明員(三治重信君) 財政の非常に困るところにつきましては、先生も御承知のように、高率補助もやっておるわけなんでございますが、片方、失対労務者につきましては、地方負担分については大体自治庁との協議の上、地方に財源のないところにおいて、失対労務者の地方の負担分については九六%地方交付税で見るように、基本財政収入からいって計算をしておるわけです。その上さらに、非常に財政状態の悪いところには高率補助をやっております。来年度においては、従来一割の程度でございますが、われわれの方としては、これを二割に増加さしたい。しかも従来は労力費と事務費だけについての高率補助であったのを、資材費まで含めた金額についての二割の高率補助を出してもらいたいという要求にしております。
  95. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 先ほどからいろいろお話がございますが、失対事業の非常に能率の上らないという事例の場所を示されましたが、これは全国どこにでもあるというわけではないと思うのですけれども、しかし、大体定評になっているところがあると思うのです。あそこの失対は、先ほどおっしゃったように、ぶらぶらして、小づかい取りみたいでほとんど働かない、そしてその周辺からは指弾されておるというところが相当ありはしないかと思うのですが、あなたの方でわかっておるところがあったら、その場所をお聞かせ願いたい。
  96. 三治重信

    説明員(三治重信君) 今までの会計検査の結果からと、われわれの方の監察官の報告等を総合してみますと、大体において、新潟市、新潟付近、新潟の県と市でやってる新潟市の問題、それから和歌山県の御坊、それから奈良市、京都市、大阪市、それから九州へいって福岡市、福岡は大多数、それから先ほど御指摘のあった大牟田、現在は相当改革されておると思います。それから熊本。
  97. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 三重県はどうですか。
  98. 三治重信

    説明員(三治重信君) 三重県は……。
  99. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 今藤田委員がおっしゃいましたように、資材費が伴わないとか、あるいは材料費が伴わないとかということでもって能率が上らぬということもあるだろうと思うのです、全般的にいって。しかし、今あげられたようなところは、むしろそれよりも特殊の事情があるんじゃなかろうかと私は思います。そうしてこれらの問題には共通した原因がありはしないか。それらについて、世間からあまり評判になるようなそういう状態を改めるように努力をしておられるのかどうか。どういう方法努力をしておられるのか。もしおられるとすれば、もう一、二年か二、三年の間には、通常のような状態にしたいという目標でもきめてやっておられるかどうか。そこら辺の事情をちょっとお聞きしたいと思います。
  100. 三治重信

    説明員(三治重信君) その点、われわれの方の今までの予算措置が十分でなかった点に非常に原因もあったと思うのですが、やはり第一線の現場の監督者というものが置いてなかったというところに、最大の初めの原因があったと思うのです。その現場の、一般の民間の土木の現場へ行くと、いわゆる昔ながらの言葉でいえば棒がしら、現在からいえば現場監督、工場でいえば工場長といったような者の、結局それが置いてなかった。従って、失対事業をやる市町村とすれば、失対労務者の中で選定をして、そうしてそれらに若干の賃金の格づけをよくして、それに責任を負わしておる。しかし、それがだんだん労務者が多くなって、また、逐次扇動者なんか出てくると、自分たちの同僚じゃないか、なるべくそういうふうな無理な働きをさせぬようにする。休憩時間も少し延ばしたらどうかということにだんだんなって、休憩時間と働く時間が、休憩時間の方が長くなっちゃうというようなことになって、従って、それではまずいんじゃないかということで、われわれの方としては、地方にいわゆる現場の副監督員を、やはり相当、市町村の臨時職員として、やはり定数条例がありますから、数は定数に入れるわけにはいかないのですから、そういう現場の監督者については市町村の臨時の職員としてでも、やはり市町村側のいわゆる現場の監督者としての地位を与えるように、そのためにわれわれの方としても、やはり一般労務者の賃金よりも高くして、別の賃金体系でやるように別ワクを作って地方へ流すようにしておる。それが逐次改善されていると思います。従って、そういうふうな現場の監督者が、やはり予算措置も講じられなかったし、地方においてもそれらの指導が十分でなかったということが一つ重大な原因だったと思います。  それからいま一つは、やはり待遇、労働条件の改善についての市町村に対する圧力、これについての場合において、現場をとにかく放棄して、そうして交渉に動員してやった場合においての賃金を払ったというところに、非常に、結局そこに働かなくてもとにかく安定所に出れば金をもらえるのだという慣習とか、やはりそういうふうな団体交渉なり、集団陳情なりということにおいて、われわれの方は制限するわけではないのですけれども、それは自分たちの責任と自分たちの金でやっておるのだ、それをそういうふうな、作業をやらずしても全額予定通りの賃金を払うというところに、やはりそこに作業秩序が乱れるというような根本原因があるというようなところから、われわれとしては、そういうふうな交渉をやる場合には、賃金を差し引かない場合の条件としては、きちんと、時間内の交渉については、それぞれ一定の現場の証明書を出して、そうして一定の役づきの者についてだけ認めてそれで一般の動員についての現場離脱については、これは賃金カットをしなさい。この賃金カットについては、そういうふうなことから大部分改まりまして、まあ特殊な例を除いては、最近非常になくなってきているというふうにわれわれの方は考えておりますが、これでもまだ絶無ではないわけであります。その二つの問題が十分解決すれば、われわれの方としては、現在よりか相当よくなるのじゃないか。また、現在も一時よりか相当よくなってきたと思っております。
  101. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 私も藤田委員のおっしゃる御説に反対するのじゃない、同感なんですが、今あげられたような地域におきまして、まああまりにひどすぎると、国民のとにかく税金でやっている失対事業が、あるいは失対労務者のあり方が、一体ああいう状態でいいのかという批判を浴びるようでは、この失対事業に対する国民の熱意とか同情というものも失うと思いますから、そういう特に目立つところについては格別の方策をやられ、強く進められて、そうして失対事業のあり方というものを国民が納得するようなあり方に、一日も早く私は改善をしていただきたいという希望を申し述べておきます。
  102. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は尋ねたいことがたくさんあるのですけれども、たとえば賃金の問題をどうするかと、それから稼働日数の問題を二十三日でいいのかどうかという問題。または、いつも、夏と暮れとに年末の生活の補助をどうしてあげなきゃいかぬのだというような問題であるとか、また、それに付随して休暇の問題であるとか、たくさんの問題があるのですけれども、時間がおそうなったからちょっと遠慮しているのですけれども、まあ午後これの説明をずっと聞いて、それでやるならやることを委員長から一つ諮ってもらいたい。私はたくさんこの関係した問題を持っておりますから……。
  103. 久保等

    委員長久保等君) ちょっと速記をやめて。    〔速記中止
  104. 久保等

    委員長久保等君) 速記を起して。  本件に対する質疑は、まだ残っておるようでありまするが、本日はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 久保等

    委員長久保等君) それでは御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時九分散会