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説明員(三治重信君) これは前々から問題になっているところなんですが、現在の失対事業の
仕事の性質からいきまして、やはり土木事業が主になる。それで、現在においてもまあ初めはそれほどでなかったのですけれ
ども、だんだんやはり婦女子の適格が多くなってきた。だから、市町村としても、県としても、失対事業の
内容は土木事業である。土木事業に非常に未経験な婦人を安定所が適格者としてどんどん入れるということは、失対事業の施行に非常に困るわけです。その点について、厚生省に対してもわれわれの方として、全然未経験な、今まで家庭の中におって職業にもついたこともない、せいぜい内職はやったことがあるかもしれないけれ
ども、未経験、こういう人たちを果して失対事業に入れて、シャベルやくわを持たしてそれで
生活を保証するということが果して失対事業になるかどうかということについて、
労働省としては、非常に反省——そうでなくても、失業問題というのは今まで職のあった者、それは
雇用者ばかりでなくて、自営業にしても、とにかく働いていた者についての失対事業であるべきじゃないか、それを
生活が困る、たとえば今まで主人が——主人と言っちゃ語弊がありますが、夫が働いておったけれ
ども、病気で入院した、だから、妻を働かしてくれというのは、われわれの方も、いわゆる
失業対策事業ということからいくと、今まで無
業者だった者を有
業者が一人倒れたのだからそれで失対事業に吸収するというのは、今まではやってきておりましたけれ
ども、それが積り積って結局未経験な婦女子や虚弱者の集合所になってしまうのでありまして、これは
地域によって非常に違いまするけれ
ども、ことに先生御出身の京都においては、非常にそういう
関係が強いわけなんですけれ
ども、そうでないところも相当ございます。たとえば、ほとんどの小さなと申しますか、人口密度の少い町村においては、これはまあ
一般に農家が主で、半農半商というような家庭も多いわけですから、大体において家族全員が肉体
労働の経験をもっておる。そういうところにおいては、婦女子が出てきてもやはり相当の作業ができるということにおいて、非常に問題はないわけですが、問題はいわゆる中都市以上のところにそういう現象が起きている。その点でわれわれの方としては、やはり失対事業といっても、それは
一つの一家の家計の主たる
担当者というものを適格者にするのだという基準を、悪く言えば運用、よく言えばそれによって一家の生計を支持するのが失対事業だというふうな社会的な通念と申しますか、そういう慣習みたいなものになりつつあるけれ
ども、やはりこれは反省しなくちゃいかぬじゃないかというのがわれわれの立場であります。そうかといって、現実にやっている人を、先ほど政務次官も御
説明いたしましたように、すぐ直ちにそれを切りかえるということは、これは非常にむずかしい問題ですが、やはり
方向としては、われわれの方としては、そういうふうにもっていくべきじゃないか、従って、
生活保護法との
関係においては、
生活保護法ではやはり
生活に困っている有業家庭が無
業者ばかりになって働く人がいなくなったために、
生活に困窮する場合には
生活保護でやってもらいたい。それを主婦が行けば、あなたまだ若いのだから安定所に行って、せめて失対事業でもやりなさいというのはやめてくれ、こういうような交渉になっておるわけであります。従って、現在われわれの方としては、
生活保護世帯において、失業して
生活保護を受けておる人については、われわれの方としてできるだけ失対事業の方に入れましょう。しかしながら、現在これから、いわゆるそういう今までの世帯主が病気とかその他で非労力になった場合に、代人を
労働化するということについてはやめていこうじゃないかというのが、われわれの方の現在の立場であって、そういうふうにもっていきたいと思って、厚生省の方ともそういうふうで話し合いをしつつあるところでございます。まだ最終結論には至っておりませんが、われわれの方としては、現在の
情勢では、
生活保護世帯について、そういう保護の対象になるような世帯について、今までの非労力を失対事業に入れてまで
生活保護を制限していくということについては、厚生省の方も
考え、それからわれわれの方として、現在厚生省の方で失業を原因として
生活保護を受けている世帯については、やはり
一般の民間就労ができるまで失対事業として、その家庭を
生活保護世帯から離脱さすように話し合いをしましょう、そういうふうにして、まずそっちから解決していくべきじゃないかということで、今話をしておるところであります。