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政府委員(小里玲君)
実情を御
説明申し上げます。PDの切りかえ問題が大きく取り上げられましたのは、ことしの一月以降でございます。当時、米軍から
日本政府に、PD切りかえの
計画なるものを申しこして参っておったのでございますが、これが三月の中ごろまでに米軍から言ってきておりましたのが、件数にいたしまして大体八件でございます。そうしてこれによって調達庁が
雇用しております
労務者が解雇になります数が約全体の二%である、こういうことを言っておったのでございますが、まあ傾向といたしましては、漸次
政府雇用の
労務者が減少して、これがPDに切りかえられるという傾向が出ておりましたので、
政府といたしましてはあらゆる手段を講じまして、これが防止といいまするか、最小限度にとどめてもらいたいという折衝をやって参ったのであります。これは単に調達庁だけではなしに、外務省、内閣その他
関係の御
協力を得まして、
政府全体として米軍と折衝をして参ったのであります。そこでこの三月の十二日に米軍から最終的といいまするか、手紙が
日本政府に参りまして今後は
日本政府とPD切りかえをやる場合には十分な事前調整をやろう、こういうことをはっきり言って参ったのであります。そこで先ほど総務長官からお話がございましたように、今後十分な事前調整をやろうということは、すでに米軍から
日本政府に、これこれこれこれについては切りかえの
計画があるのだということを、すでに米軍で
計画をきめて
日本政府に言ってきておるものについては、もう決定をしておるからこれは十分な事前調整の範囲には入らない、こういう
見解をとっておったのであります。私
どもといたしましては、アメリカ軍はそういう意向であるけれ
ども、
日本政府側としては、
計画はなるほど決定をしておるだろうけれ
ども、しかし、まだ
実施に移していない事件については、これは十分事前調整をやるという範疇に入れてくれということを強く要請をいたしたのでありますが、この問題については、米軍と
日本政府間のはっきりした
意見の一致を見ずに今日まできておる、これが
実情でございます。
それで米軍から言ってきております八件のうちで、今日まですでに
実施をされましたのが六件ございます。これによって
政府雇用の
労務者が解雇になりました数が千三百八名、そうして八件のうち六件が
実施されましたので、
あと二件が中止になっております。こういうような経過でございまして、この八件の問題については
意見の一致を見ないままに今日まで米軍が
実施をやってきた、こういうことになっておりまするが、それ以後の新しい問題といたしまして、米軍が提起をいたしております問題がこれが合計六件ございます。それは簡単に事件を申し上げますると、東京、埼玉管内における軍の施設の清掃業務でございまして、掃除をしたり、きれいにする清掃業、これが一件、二番目に埼玉県の朝霞基地における道路の補修業務。それから三番目に東京管内のバスの輸送
関係業務。それから四番目に神奈川県の座間キャンプにおけるモータープールの自動車修理業務、それから五番目に所沢の補給業務。六番目にキャンプ相模のやはり補給業務、こういう案件を米軍からPDに切りかえたいと、しかも、至急に
実施をしたい。
実施の理由といたしましては、基本的には米軍の配付された
予算が非常に少くなった、あるいは
日本人の
政府雇用の
労務者を直接に指揮監督する米側の人員の減少と、こういうことがおもな理由でございますが、これを至急にやりたいという意向を漏らして、九月の初めごろまでは米軍としては早急にこれを
実施に移したいということを強く言っておったのであります。これに対しまして、
日本政府といたしましては、調達庁、担当官庁といたしましてはもちろんのこと、
政府全体として強くこのアメリカのPD切りかえに対する基本的な態度というものに反省を求め、これを最小限度にとどめてもらいたい、しかも、
実施に移す場合には、
日本政府と納得のいくところまで十分な事前調整をしてもらいたい、こういうことで折衝を続けて参ったのでありまするが、米側は
予算、あるいは人員の削減ということでやむを得ずやるのであるから、必ずしも
日本政府の言うように、最終的には
日本政府の納得のいくところまで了解を解いてからやるということには同意ができないというような態度をとっておったのでございます。こういうふうにいたしまして、つい最近の
情勢といたしましては、米側におきましても
日本政府側の意向によって十分な
検討を加えるということの結果、新しく出ております問題の中で、座間キャンプのモーター・プールの自動車修理業務だけは、これはどうしてもやらざるを得ないということで、これはすでに
実施に移したといいまするか、業者と契約を結びまして、
労務者の解雇も来月の上旬に
実施されることになっております。他の五件につきましては、これは新しい見地からもう一度再
検討を加えたい。従って、すぐきょうあすにPDに切りかえるというせんだってごろまでの意向を多少変更いたしまして、もう一度新しい見地のもとに十分な再
検討を加えて、その上でどうするかということをきめたい、こういう態度に最近変ってきておるのでございます。まあ
日本政府側といたしましては、最初からの
方針通り、現実に仕事がありながら、そこに使われておった
政府雇用の
労務者を首切って、そこで業者にこれを移すと、しかも、業者に雇われる
労務者の
労働賃金が非常に低下すると、こういうことは
労働問題としても、あるいは
雇用しておる
日本政府の立場としても困るという一貫した態度で米側に今後におきましても折衝を続けて、できるだけこれを阻止し、最小限度にとどめるような
努力を続けて参りたい、こういうふうに思っておるわけでございます。一応
実情を御
説明申し上げました。