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1958-10-17 第30回国会 参議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十七日(金曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   委員異動 十月九日委員井村徳二君及び植竹春彦辞任につき、その補欠として林田正 治君及び梶原茂嘉君を議長において指 名した。 十月十日委員林田正治君及び梶原茂嘉辞任につき、その補欠として井村徳 二君及び植竹春彦君を議長において指 名した。 十月十五日委員高良とみ君辞任につ き、その補欠として野田俊作君を議長 において指名した。 本日委員野田俊作辞任につき、その 補欠として森八三一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三浦 義男君            柴谷  要君    委員            有馬 英二君            中村 正雄君            森 八三一君            森田 義衞君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 永野  護君   政府委員    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省鉄道監督    局長      権田 良彦君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   —————————————   本日会議に付した案件 ○小型船海運組合等助成のための関  係法律整備に関する法律案内閣  提出) ○運輸事情等に関する調査の件  (私鉄及びバス運賃に関する件)  (第二十二号台風による被害に関す  る件)   —————————————
  2. 柴谷要

    理事柴谷要君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動がありましたので、御報告いたします。十月一日に天田勝正君が辞任、その補欠として相澤重明君が、十月十五日、高良とみ君が辞任、その補欠として野田俊作君が、十月十七日に野田俊作君が辞任、その補欠として森八三一君が、それぞれ選任せられました。   —————————————
  3. 柴谷要

    理事柴谷要君) 次に、小型船海運組合等助成のための関係法律整備に関する法律案議題としいたします。  本法律案については、先般運輸大臣から提案理由説明を聞きましたが、本法律案に対して御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  本案については、質疑もないようでありまするから、直ちに討論に入ります。——別に御発言もなければ、これより採決に入ります。  小型船海運組合等助成のための関係法律整備に関する法律案を問題に供します。本法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  4. 柴谷要

    理事柴谷要君) 全会一致でございます。  よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。
  5. 柴谷要

    理事柴谷要君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。   —————————————
  6. 柴谷要

    理事柴谷要君) 次に、私鉄及びバス運賃に関する件を議題といたします。
  7. 森田義衞

    森田義衞君 私は、運輸大臣私鉄運賃調整の問題に関連をいたしまして、質問を申し上げたいと思いますが、まず第一に、運輸大臣都市交通に関して、どういった考え方を持っておられるかといった点からお聞きしたいと思うのでございますが、私ども、戦後の都市人口の膨大なる集中といった現象を見ております。それに対しまして、国鉄初めその他の都市交通機関が、非常な努力をいたしまして、今日までその通勤輸送の使命を果して参ってきておりまするが、その状態は、必ずしも満足すべき——というよりは、むしろ私鉄関係におきましては、混雑が増大しているというふうに私ども感ぜざるを得ないのであります。そういった面につきしまて非常な大きな役割が、この都市交通通勤輸送に関しまして持っておるわけでありまするが、それに対しまする、大臣はいかなる緩和方策を持っておられるか、あるいは交通状態に対して、どういう緩和方策をもって今後やっていこうかといった点からお聞きしたいのでございます。  大臣は、まず第一に、運輸大臣になられましてから、たとえば国鉄の大井町とかあいるはその他の場合における混雑状況、あるいはまた各私鉄におきまする通勤ラッシュ時における輸送状態をごらんになったことがあるかどうか、そういった点、一般につきましても、一応の御見解を先にお聞きしたいと思います。
  8. 永野護

    国務大臣永野護君) まことに相済まんことでありますが、都市における、特に東京、大阪地方における非常なる混雑の仕方ということ、話にはよく聞きます。それから見たことはあります。けれども、ここしばらく自分で、これを利用したことがないものでありますから、切実感は、おそらく十分でないかと存じます。しかし非常に混雑している状態を見、ことに私ども孫で、学校に通っておるのがたくさんおりますのが、往復、いかに苦しんでおるかというようなことをよく話をいたしますから、その点は、十分お察しはしているつもりであります。
  9. 森田義衞

    森田義衞君 私ども、数字的に見まして、大体ラッシュ時の混雑、あるいは昭和二十七年といった最近年次に比較してみても、その後三三%程度、大体総輸送量においてふえておる。そのうち定時客が三六%増しておる。特にまたふえた区間、こういったラッシュ時においては、六二%もふえておるという定期乗客の非常な激増ぶりだ。それに対しまして、各私鉄も非常な努力をして、五ヵ年間に約四百五十億程度の金を出しておる、非常な無理をして、これを出しておるといったことで、その緩和をはかっております。その客車走行キロは、全体に対して三二%程度しかふえていない。むしろ走行キロは、客車走行キロはふえていない。まして六二%、そういった激増した区間は、とうてい追いつけないといったような実情になっておるのであります。  そのうち普通の区間を見ましても、こういったラッシュ時には、一・八倍とか、あるいは三倍近いといった程度の定員を超過した輸送をやっておる。これでは、その中に学生もおりますし、あるいは労働者もおります、非常な混雑の中に体力を摩耗しておる。ほとんど朝の通勤と帰りの関係等において、むしろ労働ほんとうに使うためよりは、こういった意味でも体力をずいぶん摩耗しておるのじゃないかといったことを感じます。こういったことを緩和してやらなければ、ほんとう労働時間内に最高能率を上げるといったことは無理じゃないか。そのために、相当神経も摩耗しておりますし、そういったことが、すべてこういった都市におけるノイローゼ現象の大きな原因になっておるのじゃないかといったような気もしておるのでありまして、そういったことで、追い着いていないといったことに対しまして、輸送量増加、これに対しまして大臣はどうやっていわゆる主管大臣責任においてこの緩和をはかっていきますか、このままでいいのかどうかといったことをその次にお聞きしたいと思います。
  10. 永野護

    国務大臣永野護君) もちろん、今の状態に放任していいとは、決して考えておりません。考え方には、根本的の考え方と応急的の考え方があると思います。あまりに都市人口が集中し過ぎるということに対する対策が基本的の、根本的の対策だと思います。しかし一たん非常に密集しております人口を分散さすということは、言うべくしてなかなか行われ得ないことと思いますから、私ども現実行政を預かっておる者といたしましては、この現実状態に即する対策を考えなければならぬものと考えております。  それには、いわゆる官民一致しまして、官営または国鉄のような設備を十分に拡張する必要があるとともに、民間輸送機関整備拡充を必要とすると、こう考えております。
  11. 森田義衞

    森田義衞君 必要はお感じになっていると、今御表現になったのでありますが、果して具体的に、その必要に対しまして、各私鉄がやることに対しまして、大臣としての法策についてお伺いしたいのでございますけれども、今後の増加といっても、大体この計数から見ますと、各私鉄とも四%ないし五%の各年度の定期旅客の伸びを見ております。これに対応いたして参りますためには、この将来五ヵ年間においても、まあ対応するために千二百五十億といったような膨大なる資金が要るのだといったことを私ども聞いておるわけでありまするが、しかしこれまでの経過から見ても、昭和三十二年度までの拡充実施状況に対しましても、本年の分でも六〇%程程度しかできていないのだ。前からも、すでに不足分を来たしておる。これに対しまして相当な膨大な資金が要れば、やはり私鉄経営が、コストを割るような経営をやっていったんじゃ、この対応計画ができないのじゃないかということを、私ども実は心配しておるのであります。  その点につきまして、一体将来の拡充計画に対しましてどういった御方針をおとりになって、現実の焦眉の急から将来の増大計画をお考えになっているか、この点についての大臣のお考え方を必要は認められても、ただ役所も、あるいは私鉄も、一緒になってやろうと申しましても、やはり主管大臣としての責任から、どういった方法でこの問題を解決されるかといった基本的なお考え方をお伺いしたいと思います。
  12. 永野護

    国務大臣永野護君) お説、ごもっともであります。営利事業でありますから、その公益的の必要は認めておりましても、そろばんが、コストを割って、それで、それを拡充強化しろということの無理なことは、十分承知いたしております。従いまして何らかの形で最低限度のそろばんが合うような行政運営をしていかなきゃならぬと考えております。  そこで現在の実情が、今申しますような合理的な運営になっておるかどうか、まあ、ごく端的にせんじ詰めますと、運賃のきめ方が、今申しますような目的を達成するために必要なるきめ方になっておるかどうかということにつきましては、私自身、非常に疑問があるのであります。何かの機会に、この委員会ではございませんでしたが、どっかの機会に、私はとりあえず運輸省行政の中で不合理なことの是正だけはしなきゃならぬ、これにまず力を注ぎまして次に今度は、積極的にいいことをやっていこう、まず不合理是正をしよう。その不合理是正という中で、この運賃問題なんか、最も優先するものだと、こう私は考えておるのであります。  ただ問題は、そういう不合理が、何がゆえに起ったかという、その原因についてでありますが、今の運賃問題が不合理であるということは、実は多くの人が認めておるのでありまして、この運賃が非常に不合理、または不公正になっておるということは、そう、あまりるる説明しなくても、みな常識になっておる程度に、よくわかっておるのであります。問題は、何がゆえに知りつつ、そういう不合理なことを放任しておるかという問題になると思うのであります。私も就任以来、一刻も早くあらゆる面における不合理、特にその中で大きいこの運賃政策について、合理化する、正当なあるべき姿に運賃を戻さなきゃならぬということは、最初から考えておるのであります。問題は、不合理と知りつつ、その不合理を強行してきました理由が、完全になくなっておるかどうかという、その一点に帰するのであります。いわゆる、一口に申しますると、神武以来の好景気が神武以来の不景気に急転落しましたときに、それに対する応急処置といたしまして、不合理とは知りつつ、ドラスチック対策を各方面にとった、その一つが、やはりこの運賃政策に現われておるのであります。私は、大体において応急手当として、不合理と知りつつ各方面に、いろいろなドラスチック方策をとっておりましたその必要性は、私はやや——全然なくなったとも思いませんが——よほど軽くなったと、こう観測しておりまするので、ぼつぼつこの運賃政策も、正当な常識的な点までは是正されなければならぬと考えておるのであります。ただ、多少ここにまた疑義が残っておりますのは、せっかく病気がずっとなおってきて、もう、かれこれ平常食を食べてもいい程度になったというときに、ちょっとの、あとちょっとのしんぼうができなくて、固い飯を食ったために、長い間苦労した療養が、その効果を失って、また再び非常な重態になるようなことを起すような危険がなくなったかどうかということが、問題に残っておるのであります。  運賃を上げれば、これが万般の物価の上昇の契機になって、連鎖反応を起すことによって、最もおそろしいインフレーションのきっかけになりはしないかというような懸念を持っておる人が相当あるのであります。鉄道運賃が上れば、すぐそれに伴うて、ラジオ、テレビジョンも上る、新聞も上る、そうすると、ふろ銭から髪賃もみな一斉に上ってくるというような憂うべき状態が起りはしないかということに対する態度が、絶無になったとは言いがたいのであります。御承知通り、この運賃を押えます前には、閣議でこれをきめておますので、あの問題をまず是正してかからなければならぬのでありますが、それには大多数の人が、運賃不合理是正すべき時期に達し、そうしてそれの連鎖反応は、まず心配ないという確信を大部分の人が持ちませんと、あの決定を動かしにくいのであります。私は、先ほど申しましたような理由で、十分にその不合理性は認識しおりまするし、そうしてその不合理是正しても、まず差しつかえない時期に体力は回復していることを私は確信しております。従って、絶えず私は、運賃是正しなきゃならぬということを主張しておりますことは、すでに御承知通りだろうと思います。ただ、率直に申しますると、それに対する反対論が全然なくなったとは言い得ないのでありまして、先ほど申しましたような連鎖反応を心配している向きが相当あるのであります。私は、一刻も早くこれらの人に、日本経済実態に関する認識を改めてもらいまして、そうしてこの運賃問題も、あるべき姿、ほんとうに必要を感じている整備拡充をするのに十分なる資金的の手当もできるような運賃をきめなければならぬと、こう考えております。  ただ、その時期をいつにするか、つまり、いつになりましたならば、そういういわゆる連鎖反応する必配をする人が、私の説に納得してくれるかということに関する見通しを、ここではっきり申し上げることのできないのは、まことに遺憾でありますが、私は、一刻も早くこの私の主張が通りまするように尽力を続けていくつもりであります。
  13. 森田義衞

    森田義衞君 きわめて、私といたしましては、不満足な答弁としか、私には感じられないのでありますが、少くとも大多数の人がおっしゃっても、あなたは運輸行政に対する主管大臣である、最高責任者であると私は考えております。ほかの人より、先ほども交通調整の必要があるのだ、交通緩和の要があるのだ……、信念を持って特にお答え願ったと思うのでありますが、それに対しまする運輸大臣として、なかなか万難を排しても、あるいはやはり群小の議論もありましょうが、それを説得するのは、運輸大臣責任じゃないか。それを、何といいますか、まだそういった声もある、ドラスチック政策をおとりにならざるを得なかったということ、神武景気の転落を境として、いろいろな方針の誤まりもあるでございましょうが、そのとき、やはり国鉄がずいぶん行き詰った関係から、国鉄運賃をたとえば一割八分上げてくれとか、いろいろな問題があって、一割三分に落ちついている。そうして、行き詰った通勤輸送緩和もやるのだ、あるいは貨物輸送力増強をやるのだということで、五ヵ年計画を立てて、毎年一千億円程度の金が出るような方策をとって、その欄、幾らか調整もありましたが、その方向に進んでいるのだ。また、ほかの私鉄でも南海鉄道はすでに調整を終って、そうしてその後、顕著な輸送力増強政策をとっていることを私ども聞いております。また、中小私鉄もやっている。何がゆえに残された私鉄だけが、ドラスチック政策に引っかからなければならなかったか。私は疑問に思うわけであります。ほかのものでも、必要があれば、私は何も、運賃を上げることは好ましいことではないと思っております。  しかし、現実輸送交通地獄を見ていれば、大臣、お乗りにならないからわからないので、毎日お乗りになっていれば、とても、じゃないが、そんなことで、最高能率を上げるような労働力を発揮できるとはお考えなれないでしょう。そういった面からも、一ぺんお乗りをいただくということ、御案内申し上げますよ。そうして、これなら何とか実態感がお沸きになり、ほかの人々の言っていることもありましょうが、最高責任者としてもっと説得力がお増しになるのじゃないか。御承知のように定期運賃というのは七割から最高九割一分まで割り引いておる。学生割引なんか九割幾らになっている、こういったような全くコストに合わない、何といいますか、輸送をやっているんだ。私鉄でもほんとう公益性がなければ、こんなラッシュなんかそんなにやりたくなくて、混雑はそのままにしておいて、今のままじっくり経営をやっていけば、決して引き合わなくなりませんですよ。やはり公益事業ならこそ、この引き合わない輸送をやっていこうとしているんです。今、電車一両作ったって三千万円近い。しかも何ですか、定期旅客の一キロ当りの運賃というのはわずか六十三銭とか聞いております。普通運賃なら二円十六銭なんです。実費を割っているんですよ。三千万円の車を作ったって朝夕しか働かないで、昼間はあくびをしているといったのが実情なんです。公益性のためにやっているんだということが私鉄としての誇りだろうと思うのですが、これに対しましてどうしたってやはり——それなら私鉄財政投融資でももらっているわけでもなければ、隆子の補給ももらっているわけでもなければ、普通一般並み事業としての税金も払っているんだ。前々からの借入金だとか、あるいは資本利子だけでも十分じゃないのだ。ほぼ私は今の現状は、大臣と幾らか違うのだが、もてない状態になっている私鉄があるのじゃないか。保守費をよほど前よりは食っているんだ、配当しているからいいじゃないか、大臣事業家だからおっしゃるかもしれませんが、実際タコ配をやって、保守費から食って払っているのが私は現状だろうと思うのです。まず昔に比べれば七割程度保守しかやっていないので、むしろ危険線ぎりぎりのところを何とか安全輸送をやっているんだ。それから現状は一三%も戦前に比べれば保守費が減っているんだ。レールもだから取りかえる状況も悪くなっていれば、枕木もそうだろうし、あるいはバランスの突っ込み工合もそうだろうし、しかも今後ふえるものは、今言った新しい電車を作るために合わない輸送をするのだろう。それから同時にもうすでに線路容量が詰まっていますから、ある線区によっては線路増設もしなきゃいかぬ、あるいは電車の回数がひんぱんになれば、変電所も増設しなきゃいかぬ、あるいは増結数を多くすればホームの延伸もしなきゃならぬ、あらゆることでいろんな増強政策が要るのだ。これは正直に、大臣、一朝一夕にはできないことですよ。このままもっていけば、鉄道状態は、まあ何といいますか、今より悪くなっていって、これ以上伸びないといった状況で、しかも長年かかって緩和していかなければならぬ輸送力を、そう簡単に大臣から便々として、皆さんの御理解を待っているといううちに情勢は進んでいくと思うのです。今妙な事故でも起りかねないと思います。そのときになって大臣監督上の責任だと言ってみても、一人の大臣責任を負ってもらっても始まらないと思います。そのとき多くの死傷者が出たりなんかしたのでは困るのであって、必要なものからだから調整をしろ、値上げしろとは私は言っておりません。ですから調整の必要があるならばおやりになったらいいのじゃないか。前にも南海がおやりになった、今度十三社が残っているから、これを一斉におやりになれとは言わない。必要なものからおやりになったらどうか。何も、何といいますか、世間の声とか、あるいはこれがインフレーションになるというような感覚はとんでもない私は今の時代錯誤的な感覚だろうと思います。むしろみんな通勤緩和を望んでいる、それに対処する主管大臣として、あなたの党に六役会議であるとか総務会があるとかいうことは、私は党内事情ということで別に問題にしているわけではないのです。やはり主管大臣責任においてこの通勤地獄をどう緩和していくかという所信の表明と、そうなれば調整をしなければならぬ私鉄があるのじゃないか、その点を大臣としては、即刻にこれはやらなければならぬところもたくさんあると思います。一日おくれればおくれるだけ、その鉄道は現在の保守程度以下になっていくのだ、それは車両の寿命を見ましても大体なんでございましょう。今、二十年以上越したものは大体三八%、あるいはレールでも耐用年数を越えたものは非常に大きな割合を占めているといった状態で、今のままではだんだんとボロになっていくだけです。
  14. 柴谷要

    理事柴谷要君) ちょっと森田さん、発言中ですが、内閣委員会公企体法律案提案大臣からなされるというので、五分ないし十分という時間を中断をして、大臣が帰られてから引き続き質疑を願いたいと思います。十分間ほど大臣提案説明を隣りの部屋で行うことを御了承願いたいと思います。——じゃ御了承願います。  ちょっと速記をとめて。
  15. 柴谷要

    理事柴谷要君) 速記をつけて。
  16. 森田義衞

    森田義衞君 途中中座されましたので、前からの続きになるかどうかわかりませんが、先ほど大臣、いろんなドラスチック政策をおとりになった、とらざるを得ない、その事情が全解消されてないような、何か一部に議論があるといったような意見なんですが、私、この前の、昨年の国鉄運賃値上げのとき、たまたま運輸委員会に出ていたことがあるのですが、そのときの運輸大臣の全説明では、この程度運賃値上げ物価には影響しないのだ、といったことのはっきりした御見解の表示があったわけです。今の御説明を聞いていますと、その次の私鉄運賃調整の問題になったのに、その私鉄運賃の方がむしろ国鉄運賃よりも範囲が私は狭いと思うのですが、あれは貨物運賃から全国的な運賃改正になったのですが、それでも物価に影響しないのだ、それよりも、むしろ通勤輸送力緩和なり、あるいはまた貨物輸送力緩和増強をはからなければいかぬのだといったのが主たる運賃値上げ理由だったように、私どもは聞いておるのです。その後、衆議院選挙があったか、いろんな事情があったか知りません。しかし、こんなことは選挙とは関係ないことで、問題は、輸送力増強は、必要があれば、主管大臣として、やはりお認めになっておるというお話を聞いておれば、それに限って、輸送力緩和のために、もし御理解のない人があれば、説得されるのが大臣の御責務ではないかといったような感じがするのですが、先ほどるる御説明あったようでございますが、もう一ぺん大臣の強い決意といいますか、もし通勤緩和の必要があるということをほんとうにお認めになっておるならば、それに対する打開策大臣、もう少しはっきりと御言明になっていただきたいと思います。
  17. 永野護

    国務大臣永野護君) ほんとうにその通りでございます。その運賃問題の適正化と申しますか、是正という点から、非常に必要に迫られておるという点は、私といたしましては、これ以上研究の必要のないぐらい知っておるのであります。  しからば、そういう確信を持ったなら、なぜそれを実行に移さないのかというのが次の質問の要点になると思うのでありますが、二つの点が考えられるのであります。第一は、この運賃ストップ、これは運賃だけではありません。およそ物の値上げはストップしようということが閣議決定になっておりますと、これは今の行政運営の上から、運輸大臣一人では、この決定をくつがえすことはできないのであります。従いまして、十分なる了解を得て、その閣議決定をくつがえさなければならない段階があるということが一つであります。決して私は努力をしないというのではございませんが、運輸大臣だけの力では今のところはどうにもならない段階になっておるという点が一点。  それから、次に、むろんこの交通の問題も非常に緊迫な状態になっておりますけれども事情を聞いてみますると、実にやむを得ないような状態になりながら、一年一年と放擲されております他のいろんな問題があるのであります。たとえばラジオの料金の問題、さらに非常に問題になっておりますのは、新聞代金、そのほかいろんな問題が、それ自体だけについて考えますると、自分たちが最も不合理状態に据え置かれておるというふうに考えておられる問題が、そのままになっておる問題がありますので、全部の物価値上げ運賃の上昇をストップするという一般閣議決定をひっくり返しますと、これが一斉に上ってくるということが、先ほど申し上げました連鎖反応がとどまるところを知らぬ、運賃だけの問題ではない。  それから、この前の運輸大臣が、どういう根拠で、どういうふうに説明したか知りませんけれども、この運賃、いわゆる通学その他の旅客運賃が生活費に占めまする部門がそう大きいものでないということは、私も同感でありますけれども、その直接のその運賃値上げのほかに、そういう各般の問題が連鎖反応を起しますると、それが総合し、家計に響く影響は相当大きいものがありはしないかという問題が考えなければならぬ問題ではないかと思うのであります。しかし結論的に申しまして、私は決して、だから運賃値上げの必要はないと言っておるのではないのであります。努力を続けて参ります。しかし、その努力が今日まで実を結ばなかった。言いわけがましいような説明ではありますけれども、今申しましたような理由で、皆様の御期待に反しておることはまことに微力のいたすところだと思って恐縮いたしておるのでありますが、しかし、私は、あくまでもその運動を継続して、一刻も早くそのなにを実現したいと、こう考えております。
  18. 森田義衞

    森田義衞君 閣議決定といったお話がございましたが、私は、運輸大臣は交通行政最高責任者であると思います。やはり所管所管によって大臣が国務を扱っておるのだといった関係から、やはり大臣考え方がはっきりしておれば、ほかの閣僚を説くことが私はできるのではないかというふうに考えます。そういった点で、私は大臣の御認識が足りないのじゃないか。もし閣議の皆さんが御反対であるなら、毎日私は八時半ごろ、どこかの電車通勤していただきたい。もし御反対の人があるなら、自動車でなく、電車で御通勤になったら、初めて御体験になって、御認識も改まって下さる閣僚もあるのじゃないか、こういった強い確信を持ちます。  それから、運賃を上げるために連鎖反応といったことを起す危険があるといった御見解ですが、先ほど申しましたように国鉄運賃調整期に入った四月一日に上っておるといったようなことですが、その他、ほかの私鉄もすべて調整は終っております、十三私鉄以外に……。そういったバランスをとれといったことばかりが重点ではないのですが、少くとも南海鉄道においては相当交通緩和をはかられたような実績を聞いております。しかしこっちの方のほかの私鉄は、なかなかそれどころではない状況で、しかも資本増加をするためには、株価の維持をはかるために、無理な配当をやっていかざるを得ないような私鉄現状だ、それがタコ配をやっておる現状だと思うのです。でありますから、今必要なものはやるのだ、たとえば物価関係からいっても、私鉄運賃昭和十一年に比べて百三十九倍程度しかなっていない。ほかの公益事業は、たばこが四百倍、あるいは電信電話料は三百倍、郵便料金は三百三十倍ですか、相当の率で上っておる。何もこの率で上げてくれといっておるのではないおよそ公共事業の料金というものは、積極的に社会福祉の増進に役立つことが重大だと思います。そういった料金でなければならぬということも知っております。しかし消極的にやはり原価を償うものでなければならぬ、タコ配では困るのだいったことが言えるのではないかと思います。そうしてまた、利用者の負担の能力においてといったいろいろな要素が私はあると思います。そういった関係で、少くとも利用者には損をかけないで、利用者には支払いの限度だといったもので考えれば、ある程度調整をしなければならぬといったことが、先ほどから申し上げましたような、いわゆる通勤輸送が完全に原価を割っておるのだ、そうしてほかのものでどうやらつじつまを合せて、しかもタコ配をやっておるのだといったことからいって、私は正直に言って、今後の通勤緩和を今ここでしてやらなければ、将来相当の危険の度合いが私鉄経営において、交通の安全上から見ても、続いてくるのではないかといったことが言えるのではないか。  だから、そういったような党内事情といいますか、閣議決定ということが、そんなことは許されない段階にきておるのではないか。今後もあるいは地方選挙もございましょうし、あるいは来年私ども参議院選挙もございましょうけれども、こういった問題じゃないのじゃないか。通勤緩和といった問題は、そういった点で大臣がやはり責任をとって、そういった点で大臣がやはり責任をとって、この交通の緩和を私ははかっていただくことが、大臣としての大臣たるゆえんであろう、こう思います。もっと私、はっきりした大臣の御答弁を実はお伺いしなければ、この通勤緩和に対する私どもの見方と違った見方を大臣がなさっておるとしか断言できない。そういった点で、もう一度はっきりした大臣の今後に処する態度をお聞きいたしたいと思います。
  19. 永野護

    国務大臣永野護君) 今、はっきり申し上げ得ることは、私の全力を尽してこの不公平の是正をしたい、その私の決意を申し上げる以上のことはむずかしいと思います。御期待に沿う答弁は、何月何日までには必ず運賃値上げをする、という私の答弁をおそらくお求めになっているのだろうと思いますけれども、最も早い機会に御期待に応ずるように努力をいたしますということ、これは実績で見ていただきたいと思います。
  20. 森田義衞

    森田義衞君 私は十三社一斉とは申しませんが、少くとも年内には、会社は、相当やってやらなければ、とうていやっていけないのではないかといった感じを持ちますから、その程度のことは大臣として言明を願いたいと思うのですが。
  21. 永野護

    国務大臣永野護君) 私も、実は目標をそこらに置いておりますけれども、先ほども申し上げますように、私だけの権限でできないのでありますから、私の主張ができるように態勢をリードと申しまするか、作り上げていくためには全力を尽すつもりであります。
  22. 森田義衞

    森田義衞君 私は、大臣ほんとう責任をおとりになれば、大臣の権限でできると思うのです。その点どうでしょうか。
  23. 永野護

    国務大臣永野護君) 行政運営の面から申しまして、一応の閣議決定というものができておりますときに、大臣だけの権限でできるということは、必ずしもそう簡単に言い切れることではないと思います。
  24. 森田義衞

    森田義衞君 重要なことだけにつきましては閣議決定だと申しましても、少くとも主管大臣として運輸行政をあずかっておられるなか、そうしてその必要を絶対にお認めになっておるというのならば、私は大臣ほんとう責任をとる腹でおやりになれば、閣議決定というそういった型式があっても動き得ると思う。そういう意味から、形式的なことになりますが、大臣として私はできるのだと思う。
  25. 永野護

    国務大臣永野護君) 閣議決定に反した主務大臣の行為が、法律的にどれだけの効果を持つかということにつきましては、いろんな議論があるかと思いますけれども、少くとも同じ内閣におって仕事をしております以上は、政治的には不可能だと思っております。
  26. 森田義衞

    森田義衞君 そういったような妙な答弁を私は聞くつもりじゃなかったのですが、大臣が、やはり運輸大臣として閣議に出られれば、運輸行政のいわゆる主管大臣であり責任者であるといった立場から、先ほどからくどく申し上げるようですが、ともかくほかの、農林大臣は農林大臣としての主管行政を持っておられるのだし、そういった面から、運輸行政上どうしても必要だとすれば、大臣発言が絶対強いはずだというふうに私は考えるわけです。少くとも運輸行政については、このおれに責任を持たしてくれということを閣議で言えるのではないか、そういう立場におられるのだと私は思う。そういった意味から大臣責任を持っておやりになっていただきたい、こういう意味なんです。いかがでしょうか。
  27. 永野護

    国務大臣永野護君) 実は堂々めぐりで同じことを幾たびか繰り返すようでありますけれども、私といたしましては、私の政治理念に従って最善を尽すつもりであります。実は、この問題は同じようなことが、他の所管大臣にもあるのであります。みんな懸命の努力は続けておるのでありますけれども、そういうふうにみな実現できない状態であります。引き続き懸命な努力をいたしまして、御質問の趣旨はよくわかっておりますから、しばらく実績を見ていただきたいと思います。
  28. 柴谷要

    理事柴谷要君) ちょっとお諮りしたいと思いますが、大臣は三時から会議がある、それは運輸省において行われますので、大体、十分前まで質疑を続けていきたいと思うので、関連の質問のある方の御発言を願いたいと思うのですが。
  29. 中村正雄

    ○中村正雄君 今、森田君の質問に関連して大臣御答弁になっておりますが、ちょっと私二、三、時間がありませんので、気のついた点を御質問したいと思います。といいますのは、前の岸内閣のときの運輸大臣のもとで国鉄運賃法をお出しになった。で、そのときの提案理由説明なり、あるいはその委員会におきまする質疑応答等から感じました岸内閣運輸大臣運賃に対します方針と、今、永野運輸大臣から御答弁のありました方針とはちょっと違うような感じがするのです。しゃべる人は別々でも、聞いておりますのは同じ委員が聞いておりますわけなので、その点ちょっとお尋ねしたいのです。  と申しますのは、この前運賃法を出しましたときに、運輸委員会で一番心配いたしましたのは、国鉄運賃が上る、続いて私鉄運賃が上る、バス運賃が上る、これじゃ困るじゃないかという質問がほとんどだったわけですが、そのときの大臣の答弁は、国鉄運賃私鉄なりバス運賃とは関係ないのだ、国鉄運賃が上るからといって私鉄運賃を上げる必要はごうもないということを再三再四当時の大臣は答弁なさったわけなんです。ところが今、大臣が答弁なさった話を聞くと、運賃不合理性はもう世間周知の事実だ、何とか直さなくちゃいけない、こうおっしゃておりますが、遺憾ながら私は世間周知の事実である運賃不合理性がわからないわけなんです。大臣のおっしゃる運賃不合理性とは何であるか、これを実は御答弁願いたいと思うのです。
  30. 永野護

    国務大臣永野護君) まずもって、前運輸大臣説明と私の扱い方と違うじゃないかという御質問でありますが、私は当時のことはよく存じませんから、果してどういうことを言ったかということは、これは想像で申し上げる以外にはありませんから、違いましたら訂正いたしますが、おそらく前大臣も、この閣議の問題が起る前とあととでは扱い方が非常に違ってきておった、と私は聞いておるのであります。従いまして、かりに前大臣が今なお継続しておりましても、おそらく今私の申し上げることと大差のない答弁をして、私の答弁と前大臣の答弁との間には食い違いはないと思います。その間に時の移り変りがあって、そういう食い違いのような感じを与える質問応答になったのではないかと、こう考えております。  それから、今の運賃不合理性ということでありますけれども、それは先ほどすでにお話のありましたように、営利事業でありまして、どうしても最後のところはコスト割れの運営というものは不可能だと思います。それが今日ではそういうコスト割れの運賃になっておるのが実情だと思いますから、そのコスト割れの運賃運営を強要することは不合理だ、こう考えておるのであります。
  31. 中村正雄

    ○中村正雄君 大臣の話を聞いておると、ほかの私鉄運賃が上っているが、大手十三社は上っておらない、従って大手十三社の運賃値上げを押えておるということは、これは不合理だ、これは世間並みに上げなくちゃいけない、こういうふうに運賃不合理性の内容が聞えるわけなんですが、ところが今の大臣の答弁を聞いておると、コストを割っている運賃不合理だと、これは確かにそうだと思う。ところが現在の国鉄運賃は、コストを割った運賃かあるいはコスト以上の運賃か、あるいは今の大手十三社の運賃コストをまかなう運賃になっておるかどうか、これはどうでしょう。
  32. 永野護

    国務大臣永野護君) 今の国鉄運賃コスト割れであるかどうか、ということに関しましての責任ある答弁は留保しておきます。私の今知っております限りではコスト割れではないと思っております。しかしこまかい数字——なぜ、それじゃコスト割れでないかという御質問になりますと、今手元にすぐ材料がありませんが、私は国鉄運賃コスト割れではないと存じております。それから他の会社の運賃がいわゆる値上げになったところでも、なおコストを割っているところがないとは保証できません。しかし運賃値上げしてもコスモ割れになっておるところがあるということは、この十三社の今の運賃を更訂せしむる資料にはならぬ、別の問題だと、こう考えております。
  33. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうすると今、大手十三社の運賃コストを割っておる、こういうふうにお考えになっておるわけですか。
  34. 永野護

    国務大臣永野護君) 内容が非常に違いますので、一律一体には申し上げられませんが、主要の旅客運送という点だけをとってみますると、厳格な意味においては運賃を割っていると思います。ただ、たとえば償却すべき金額を償却しないとか、あるいは他の兼業なんかの収益によって、一通りの表面のバランスを合わしておる会社はあります。しかし厳格な意味におけるコストと申しますると、もちろん割っておる、こう考えます。
  35. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、運賃値上げをするかどうかというときの算定の基準は、鉄道経営だけを見て、それでコストを割っているかどうかという点でお考えになるのか、企業全体の収益から見てそうしてお考えになるのか、どこに中心を置かれるわけなんですか。
  36. 永野護

    国務大臣永野護君) 先ほどからるる御説明いたしましたように、日本、ことに都市における旅客輸送実情が、今の設備じゃ間に合わぬ、どうしても増設をしなけりゃならぬ事情に追い込まれておるのでありますが、たとい他の兼業——主要業態でないところである程度の収入があったといたしましても、明らかに採算を割っている業態に、大きな投資を求めるということは無理だと思うのです。それだけ切り離して考えてみても、非常な暴利はもちろんいけませんけれども、ある程度のそろばんの合う数字を認めなければ、その部門に対する投資、すなわち設備の拡充強化に力を入れさすということを求めるのは無理じゃないかとこう考えております。
  37. 中村正雄

    ○中村正雄君 まだはっきりしないわけなのですが、そうしますると、輸送力を確保するという理由運賃値上げをやろうとおっしゃるのか、あるいは現在の経営ではコストを割っておるから運賃値上げをやるという意思なのか、どちらです。
  38. 永野護

    国務大臣永野護君) 前者であります。
  39. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、今までの大臣の話を聞いておりますと、輸送力増強するためには運賃値上げ以上にはないと、こういうふうな印象を受けるわけなのです。事実現在いろいろ大手十三社の私鉄努力はしていると思いますけれども運賃値上げ認められないから輸送力増強はできないのだという、一つのこれは隠れみのにして、回避しているような感じを受ける私鉄もあるわけなんです。従って、運輸大臣としては、輸送力の問題は、私鉄もやはり運輸大臣監督下にあるわけですから、運賃値上げができなければ輸送増強できないという、そんな狭い考えではなくて、それ以外に、行政指導としてやはり私は輸送力増強する道は幾らでもあると思うのです。しかも現在国といたしましても、相当公益事業に融資のできるような銀行もこしらえているわけですから、大手十三社に融資のあっせんを考える方法も私はあると思うのです。特に特定の利用者だけに負担をかけなければ輸送力増強はできないということは、運輸行政の指導、どうかと思いますが、こういう点についてどう思われるか。
  40. 永野護

    国務大臣永野護君) 運賃値上げが全部ではない、しかしこれが骨子だと思います。お説のように公共事業に融資をする銀行のあることも事実でありますが、しかし銀行は、結局そろばんの合わない仕事に融資はいたしません。特殊の場合の例外はあるかもしれませんが、大体銀行が金貸しますときには、その事業がりっぱに元利を償却し得るという見通しのつかない事業には融資はいたさぬと、こう考えております。従いまして結局そろばんに合う、つまりコストが合わない限り設備の増強はむずかしいと考えております。
  41. 中村正雄

    ○中村正雄君 大臣のお考えは、大手十三社はほとんど現在の運賃ではコストを割っておる、従って、輸送力増強のためには、閣内の問題等が解決つけば値上げ認めざるを得ないと、こういうお考えのように聞えるわけなのです。従って、前からのお話を総合して聞いておりますと、運賃不合理性というのは、コストを割っておるという運賃不合理性の内容だと、従って、ほかの私鉄は上っておるけれどもこれは上っておらない、国鉄私鉄とは運賃が不均衡、こういうことを考えているわけではなくして、コストを割っているのが不合理性だ、こう解釈していいのですか。
  42. 永野護

    国務大臣永野護君) 一言にして申しまするとそうだと思います。コストを割った運賃で設備の増強をしろということは無理だということであります。他の産業との比較ではなくて、それ自体に不合理性と申しますか無理な点がある、こう考えております。
  43. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうしますと、国鉄運賃値上げを契機にして、大手十三社以外はすでに運賃値上げをやっておる会社も相当あるわけなんです。そういう会社でも、今なお輸送力増強のために、また現在コストを割っておる運賃であれば、個々の事由で申請すれば、やっぱり運賃値上げ認める、こういう解釈になるわけですが、それでもいいですか。
  44. 永野護

    国務大臣永野護君) それはいろんな理由があります。そのコスト割れになった理由が正当な理由で、経営者の手腕力量、いろいろ問題があると思います。できるだけの最善の方法を尽してもなおかつ運賃割れの状態が続き、しかもその設備の増強を求める客観的情勢あります場合には、私は理論的にそれを是正する必要があると思います。必ずしも十三社には限らない、こう考えております。
  45. 中村正雄

    ○中村正雄君 今の大臣の心境は、大手十三社については、経営者も最善の努力をしておるけれども、なおかつコストを割っておるから運賃値上げをやらなくちゃいけないと、こういうふうにお考えになっている。こう理解していいですか。
  46. 永野護

    国務大臣永野護君) 逆説必ずしも真じゃないと思います。ただ、今私が運賃値上げする必要を認めるということが、直ちに尼の私鉄十三社の社員——従業員及び重役は一点非難のない経営をしているということにはならぬと思います。現状のままでは、少くも今の運賃に据え置くことを強要したのでは、大衆、公衆の要求するだけの設備の増強はできない。こう考えておるのでありまして、今度は、かりにそれができましたときに、監督者といたしまして、経営に対して不合理のところがあれば十分これを是正させたいと、こう考えております。
  47. 中村正雄

    ○中村正雄君 最後ですが、今、大手十三社の運賃値上げ理由なり、あるいは大臣の判断の基礎になる経営状態というものと、すでに値上げをされておるけれども、大手十三社と同じように困っている私鉄も相当あるわけなんですが、それの値上げについては、大手十三社は前押えているからという優先的な考えをやっぱり大臣はお持ちになっておるわけですか。それとも同一的な、さっき大臣のおっしゃった理念に従って、十三社以外の私鉄についても検討するお考えか、どちらか、それをお聞きしたい。
  48. 永野護

    国務大臣永野護君) この問題は、大手十三社とそれ以外の会社全部について、一括した議論はむずかしいのじゃないかと思います。ケース・バイ・ケース、その個々の問題について考えなければならぬのでありますが、ちょうど同じように十三社残っておりますから、一括して大手十三社と、こう扱っておるのでございますけれども、それ以外の会社は非常に多数ありまして、条件も非常に違うと思いますから、総括的のその以外の会社はどうするというような御返事はいたしかねると思います。
  49. 中村正雄

    ○中村正雄君 最後ですが、やはり運賃不合理性という大臣考え方は、ほかの私鉄が上ったのに十三社は上っておらないから、それは不合理だということがやっぱり基本になるように僕らに受け取れるのですが、どうです。
  50. 永野護

    国務大臣永野護君) それは感覚的にはそういうふうにお考えになるかもしれませんけれども、実質は、私はあくまでもそういう感覚の問題ではなくて、冷酷な数字の問題だと思っております。
  51. 江藤智

    ○江藤智君 先ほど来、私鉄の十三社の運賃改定については、同僚議員から十分御質問がありましたし、また大臣も、不合理是正については全力を傾けて努力をするという御確約がありましたので、時間の都合もあり、私はもうきわめて詰めまして、要するに、ただいま鉄道政策として最も重要な問題の大都市交通をどうするかという面から、一つ大臣に、さらにこの問題について決意を新たにしていただく意味で質問いたしたいと思います。  申し上げるまでもなく、戦後の鉄道輸送で非常な問題になりましたのは、大都市における通勤輸送の問題でございます。これは御承知のように、戦後いろいろな事情から通勤輸送というものが逼迫して参りました。とにかくもう殺人的な輸送をやっておる、これではどうにもならないというので、この私鉄運賃改定よりも、はるかに影響の大きい国鉄運賃改正というものも、五ヵ年計画によって輸送力をつける、その中では通勤輸送対策というものが最も大きな一つの柱になっておるわれなのでございます。幸いにいたしまして国鉄の方では運賃改正の結果、現在の二〇〇%余りのいわゆる乗車効率というものも、できるだけ早い機会に一五〇%までには低下させるという目的で、着々と今東京付近あるいは大阪付近の通勤輸送対策が実行に移されておるわけなんであります。ところが、この国鉄とちっともウェートにおいては違いません東京、大阪、あるいは名古屋、北九州というようなところで、通勤輸送に対しましては国鉄と同じような役割を果しておりますこの十三社に対しましては、そういう処置は何ら見通しがついておらない。ここに運輸省でお出しになった資料がございますけれども、このラッシュ・アワーのときの乗車効率というものは、みな二〇〇%を超えております。京浜のごときは二七二%、これなんか国鉄でもこんなラッシュ状態は呈しておらない。しかも現在のように、昭和二十八年以来運賃はストップせられ、しかも人キロ当りの指数というものが戦前に対して百四十倍、とにかくこの百四十倍というような程度運賃で、しかも、これに要する材料費と申しますか、車両にいたしましても線路にいたしましても、これはおそらく平均の卸売物価指数よりもはるかに高い、おそらく五十倍ぐらいもの資材を投入しなければ、車両も整備できませんし、線路も増備できないのでございますからして、今のような運賃のままで、しかも、われわれが国鉄のときにも問題にしたような交通地獄緩和させるということは、これはできないことは当然でございます。  いろいろ運賃のアン・バランスということを言っておられましたけれども、とにかく、現在の私鉄のようなラッシュというものはいけないというので、すでに国鉄運賃改正もやっておるのでございますからして、しかもそれと同じような使命を果しておる私鉄を、先ほどのようなお話だけで、とにかくこの上さらに据え置くということは、ますます私鉄通勤輸送に対する使命が全うされないということに私はなるのではないか。でありますから、どうしても、少くとも国鉄で考えておるくらいの程度にはやはり、これは私鉄国鉄を問わず、同じバランスで、やはり増備してやらなければならぬということは、これは都市交通の面から考えられることでございますから、そういう面で一つ、ぜひこの際、運賃改定ということも考えていただきたい。  この際、大臣として非常に御心配になっております閣議決定の問題もあり、あるいはそれが物価にはね返って連鎖反応を起すだろうという御心配もあるのでございますが、ここにきょう配られた資料がございます。これは参議院の運輸調査室の資料でございますが、運輸省でも、もちろんこれと同じような資料をお持ちなのでございますが、たとえばこれで小田急を見ましても、新宿—小田原間が百七十円、国鉄では二百円。新宿—藤沢間が百十円、国鉄が百三十円。結局のこの国鉄並みぐらいに運賃を上げたから、それが物価連鎖反応を起すであろうということは、これは少し考え過ぎるのではないか。むしろ物価に対する連鎖反応というものを心配したのは、この国鉄運賃値上げのときにこそ、これは非常な検討をしたのでございますけれども、一応そのときに検討済みであり、しかも、そのときのわれわれの結論というものは、非常に無理な運賃に据え置いて、そうして悪いサービス、極端に言えば危険なサービスをするくらいなかば、早期に運賃を改定して、そうして輸送力をつけ、サービスを向上した方が、むしろ国民は喜ぶのじゃないかというような結論でありますから、運賃改定ができたものと私は信じますし、その後の結果を見ましても、十分とは申しませんが、相当に国鉄の設備や車両なども改良されてきておるのでございまして、これは国民の要望にある程度沿っているのじゃないか。でございますから、これと同じようにやはり私鉄に対しても、どうしてもこの際責任者としての運輸大臣は、一つ腹をきめてやっていただく必要がある。  それからまた、運賃の体系から申しましても、これはアメリカあたりのたくさんの私鉄があるところを見ましても、所から同じ所に行くというようなところは、ルートは違いましても、運賃というものは同じにきめております。そうして、それぞれの特徴を生かし、あるいはサービスを生かして競争をするというのが、これが鉄道のやはり運賃政策の原則であると思えるのであります。そういう意味から申しましても、また同じ貴重な投資をした場合に、一方だけに偏するというようなことがないようにバランスをとって、そういうような投資の効果を上げるという意味におきましても、ある程度運賃調整を考えなければいけない。こういう事柄を考えますというと、やはり主管大臣として、一つ閣議においても強力に発言をなさり、できるだけ早く通勤輸送というものの対策が立てられるように一つ御努力を願いたいと思います。
  52. 永野護

    国務大臣永野護君) 一々ごもっともございまして、実は私が、私の説に賛成しない人に対しては、ちょうど今のあなたの言われる通りのことを言っておるのであります。むろん百パーセント御同感であります。ただ私の説得力が江藤さんに劣っておったことが、まことに遺憾であります。今後大いに勉強にいたしまして、一刻も早く御趣意に沿いたいと思います。  ただ、つまらんことのようでありますが、ちょっと訂正しておきますのは、私が連鎖反応と申しますのは、物価の上にというのは、この運賃自体が上るというのじゃなくて、同じように全部今ストップしているときに、次々に、ラジオも上る、新聞も上る、ふろ屋とか床屋とかもずっと値上げというように、右へならえしないかということお懸念しておるという意味で連鎖反能という言葉を使ったわけであります。
  53. 柴谷要

    理事柴谷要君) 本件については幾多の方々から異なった意味を多数お持ちだと思うのです。ところが、先ほど御説明いたしましたように、大臣は次の会議がございますので、本件はこれで一応打ち切って、またの機会に十分皆さんの御意見を述べていただく、こういうふうに計らいたいと思いますが、御異議ございませんか。
  54. 柴谷要

    理事柴谷要君) では、さように決定いたします。   —————————————
  55. 柴谷要

    理事柴谷要君) 次に、先般の第二十二号台風による被害に関する件を議題といたします。  まず、被害についての説明を願います。
  56. 権田良彦

    政府委員(権田良彦君) お手元にがり版刷りでございますが、第二十二号台風によります国鉄私鉄の被害状況をずっと刷ってお配りしたと存じますが、その表について御説明いたします。  二十二号台風では、国鉄で三十八線区二百五区間が被害を受けまして、不通区間と相なりましたが、ここに書いてありますように、それぞれの日付で復旧開通いたしてございます。災害金額は、今のところ、見積額といたしまして、大体鉄道経費で八億三千八百万円、工事経費で十七億一千六百万円、合計二十九億五千四百万円、なお、災害に伴いました収入減は平日から見ますれば、予定よりは一二億くらいの収入減があったと推定されるのでございます。  それから、私鉄につきましては、ここにございますように、東京都、青森県、秋田県、宮城県、福島県、千葉県、茨城県、埼玉県、長野県、神奈川県、静岡県、三重県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府と、非常に広範囲にわたりまして不通線区を出しました。非常に大きな台風でございまして、その被害の場合並びに復旧費は、ここの表にそれぞれ書いてございますが、総計で約二億一千七百八十一万一千円という額に達しました。しかし、不幸中の幸いには、それぞれの線区で見ますると、比較的被害は広範囲でございましたが、被害に要しました復旧費、これが大体被害の程度を表わしますが、それぞれ相当比較的少く、不幸中の幸いに済んでおりますが、一番大きいのは、御案内の静岡県の伊豆半島におきまして非常に未曽有の出水がございまして、その出水のために伊豆箱根鉄道が一番大きゅうございます。これは幸いにして各関係方面の協力も得、全線開通をいたしましたが、今のところ概算一億に達するのではないか、これはまだ精算が済んでおりませんので、おそらく、このくらいの規模には達するであろうと考えておりますが、これが一番大きゅうございました。被害の状況は、大体以上の通りに御報告申し上げます。
  57. 柴谷要

    理事柴谷要君) ちょっと速記をとめて。
  58. 柴谷要

    理事柴谷要君) 速記をつけて。  ただいまの説明につき、質疑は次回に回し、本日は、これにて散会いたします。    午後三時三分散会