○佐々木(良)
委員 アメリカとの
関係におきましての協定につきましても、これは私どもの狭い
範囲で聞いておるところによりましても、たとえばスエーデンとの間の研究協定が数回改定をされまして、そして以たようなことで、まだ試験研究の域においては研究協定でやられておると私ども聞いておるわけであります。従いまして、私どもは具体的に、ほんとうに今度のような動力協定が必要だというふうには思わないわけであります。むしろ逆に、今
お話がありましたように、ずっとコールダーホール改良型を輸入しようとするところのイギリスとの
関係がだんだんと熟してきておりますがために、これに促進をされて、あるいはまたこれのために今度の協定を結ぼうという気になられたのではないかと思うわけであります。私はその点まことに遺憾に思うわけです。第一の問題は、
アメリカとの
関係ならば先ほど、スエーデンの例を申し上げましたように、あるいはステートメント方式が検討されましたように、従来の研究協定によって、あるいはこれの改定によって可能であると思う。従って私は今度の動力協定を急がれる必要はなかろうと思う。それから二番目に、イギリスとの
関係におきましての協定は、今
お話のように動力炉の輸入が前提となっておるらしい。ここで私は三木さんにはっきりとお願いをいたしておきたい。従来の原子力
関係の各
大臣に対しまして、私はこの問題に対してはあくまでも慎重にやられたいということを言い続けてきた。御承知のように、今度のスイスにおけるあの
会議におきまして、初めて
日本国民にもコールダーホール改良型というものが決して役所から言われるような安全なものでないことがはっきりと証明された。初めて
日本の
国民に果してそうかなというような思いをさせた。しかしながらもし、あの一時のように
日本におけるエネルギーの需給バランスが非常に強くくずれる危険があって、何としても外国に先んじて水、火力の発電以外に原子力発電を必要とするという状態であるならば、また別な
考えもあり得る。当時の担当
大臣はむしろそれを一番中心にたてにとって言っておられた。私はそれに対して、電力需給の長期性から見ればそうじゃないと思う。十五万キロや二十万キロを今から計画したって、その出るときを
考えれば、決してそうじゃない、私はむしろその電力の需給計画にしわ寄せされて、技術的にまだ非常に危険な状態とさえ
考えられるものを、そこに佐々木局長もおられるが、いかにもそろばんに合うようなことを言って、火力と同じくらい、とんとんくらいなそろばんだというようなことを言われて、そういう数字の検討によって押しつけられようとすることを、私はほんとうに強く心配した。佐々木さん、今あなたはそこにおられるけれども、あなたはあの
会議に出た人よりえらくないと思うが、コールダーホール改良型のそろばんがどれだけ立っておりますか。ちっとも立証も何もされていない。それどころか火力自身においても、据え付けてみなければあんなにこまかいそろばんが出るわけがない。一銭一厘一毛のその中の一厘一毛が低いとか、とんでもない話だ。そういう状態のときに、自分のなわ張りの仕事をあせって、ひょっとすると十分なる危険を帯びるかもしれないようなものを入れるとは何事であるか。御承知かと思いますが、もしこのコールダーホール型で最悪の事態に立ち至るとしますと、その地点から百六十キロ以内の住民の立ちのきを必要とする。
アメリカの例でもそうです。今度のやつは改良型を持ってくると、さし
あたりしょうがないから東海村に持ってこよう。東海村に据えて十五万キロを二基三十万キロでも据えてごらんなさい。最悪の危険があった場合には、わが
日本の東京はあそこから百二十キロです。これだけの人口に対して立ちのきが命ぜられますか。特に
日本におきましては、いろいろなダムを
一つ作る、道を
一つ作るのにも補償問題が起る。
日本のような密集地帯、人口過剰地帯におきましては、それ自身がどれだけ大きな問題であるかは御承知のはずである。そういう問題を捨象しておいて、イギリスのような補償費を一文も
考えぬようなところを前提として一厘一毛のそろばんをはじいて、大丈夫だ大丈夫だと言って、あげくの果てが、この間のスイスのあの
会議の結果を見てごらんなさい。ここにちゃんと記録も持ってきておる。ちっとも安定性がないじゃありませんか。最も
責任のあるイギリスの当事者自身が、まだまだ十分でないことを暗にはっきり言っておるじゃありませんか。それであるのにもかかわらず、原研を中心とする一部の人たちは、いまだにまだそのままの原子炉を入れようとする努力を非常にされておる、検討されておると聞きますけれども、その検討はいかにして有利な証明をとろうかという検討ばっかりです。商社の持ってくる話をそのままに受けて、そればかりやっておる。これは私は非常に危険であると思うわけであります。電力の需給事情は心配がないと三木さんははっきり言っておりますが、あなたのような聡明な方でありますならば、今余っておるところの石炭なり電力なりの見通しははっきり立つはずである。従いまして危険はちっともない。また世界の動きから見て、原子力の発電が今の佐々木局長が立てられたような
昭和三十七年度七百万キロですか四百万キロですか、そういうような大きな計画をもってやるような状態になっていないこともあの
会議で明瞭にされた。従いまして私は、時間もなさそうでありますから重ねて所見をただしておきたいと思いますが、
アメリカとの
関係におきまして、研究協定の改定等によってやられればその措置がとれるのじゃないかと思うから、従ってこれは大した問題がないとしても、動力協定を急がれる必要はないのじゃなかろうか。それから第二番目は、百歩を譲って、この協定は相当われわれの希望しておったような状態になったのであるから、従って協定を結ばれたとしても、現在問題になっておるイギリスからの動力炉を入れるという問題につきましては、それこそ
国民の全部が満足の行くような状態になるまで、少くとも今進められておるような話は中止して、十分なる検討、慎重なる考慮をお願いいたしたい。御所見を承わりたいと存じます。