○北山
委員 その
経済計画というものが、
日本の計画はほんとうの計画じゃなくて、選挙のときには役に立つかもしれません、五ヵ年計画によってやれば五百万人の雇用を与えることができるというような、宣伝には都合がいいかもしれませんが、その計画の
通り実行されたためしがない。今まで戦後十一回
経済計画があった。五ヵ年計画が十一回くらい。毎年平均一回ずつ五ヵ年計画を作るというような
状態です。そんなような
経済計画では、今の問題は解決はつかぬのですよ。やはり現実は今大蔵大臣が言ったように、三十四年度は苦しいんです。ものすごく苦しいんですよ。これは自民党の政調会長が言うような、千五百億も財源があるのだというような
状態では私はないと思う。三十五年度になれば、なおさら苦しい。こういう際にしっかりとした計画のもとでなければ、
安保条約の
改訂なんかはやれないはずなんです。思いつきで、
自主性を与えるなんということで
アメリカとつき合っておったらひどい目にあうのですよ。こういう点はしっかりと
考えて、そうして軍人恩給をきめるにしても、あるいは
国民年金をきめるにしても、こういうような、将来において大きな財政需要を要するようなものは、
経済的な計画の中で十分
検討してやってもらわなければならぬと思う。現実につまずいておる。
まだいろいろ申し上げたいことがありますが、財政
経済の問題はその程度にいたしまして、最後に私は
総理に聞きたいのですが、労働者に対する
考え方です。私どもは
社会党の政策だとか、政党の基盤だとかいうのじゃなくて、
一体労働者を
政府や保守党の人はどう
考えておるか。この世の中で何が
一体大事か。労働者が一番大事なんです。われわれが現在着ているものだって、ここにある物みなだれが作ったかといえば、労働者が作ったのです。われわれが毎日食っているのは、農民が作り、漁民がとっているんです。そういう人たちの働きがなければ、一日として
社会は立っていかないのです。農林大臣はいなくてもいいが、農民がいなければ米はできないのですよ。(「中学の
社会科のようなことを言うな」と呼ぶ者あり)その
社会科をのみ込んでおらないから申し上げる。忘れておる。一番大事な労働者というものがこの
社会をささえ、人類の歴史をささえてきているのです。従ってその労働者に対しては、尊敬を払わなければならぬ。労働は神聖なりというけれども、これはうたい文句でなく、現実にありがたいのです。ところが今の
社会では、労働者というものは手間でもやってかせがせる道具のごとく
考えている。それで
一体いいんですか。昔はそれでよかったかもしれないが、だんだん諸
外国も進んできて、労働者の
社会的な地位が向上し、権利が与えられてきておる。ILOにしても、そういう線で
日本よりも、労働者に対する権利あるいは労働者に対する
考え方、こういうものが進んできているのですよ。ところが、
日本では、労働者が少し団体行動でもすると、不逞のやからは小菅へでも追っ払えと言うような労働大臣がいる。そんなことでいいのですか。もう少し労働者というものの
社会的な地位、その働きというものを認めた上で労働政策を
考えてもらいたい。資本家はなくてもやっていける国があるのですよ。しかし、労働者のいない国はないのです。そういう私の言うことが正しいかどうか。そういうところに立って政治をやることが民主主義であって、ただ
法律にきまっているから法秩序を守るんだ、違法は取締るんだというようなことでは、これは民主主義じゃないのです。
法律の秩序を守るということは独裁国でもできる。むしろ独裁国の方がやる。民主主義のほんとうの真髄は、その法秩序というものが民衆の
気持を時々刻々に反映して、悪いものはどんどん直していけるという態勢こそが民主主義なんです。
法律があるから何でもかんでも押しつけるんだというのは、これは独裁国じゃないですか。だから私は、本
会議で
岸総理が、法秩序を守ることが民主主義の支柱であると言ったことは誤まっていると
考える。むしろ、法秩序というものが、この
社会の実態と民衆の
意思に従って、固定しないで流動してだんだん変っていく、ここにほんとうの民主主義があるのです。ただ
法律の秩序を守るだけなら、ヒトラーの国でも守るのですよ。これは民主主義じゃないのですよ。これは答弁は要らないけれども、その点をよくお
考え願いたい。そして労働者に対する
考え方、この点については、
一つお答えを願いたいのですが、特にこういうような
経済不況の際においては——普通の場合には、資本家と経営者、それから労働者が一緒になって物を作っていく。ところが、不況になれば労働者はお払いですよ。お払いになれば生活の問題です。経営者や資本家は、損をして金をもうけそこなったという程度で済むかもしれないが、労働者は協力して、先ほど申し上げたような重要な
社会の働きをしておりながら、首になれば食えなくなる。こういう
状態でいいかどうか。もう少し労働者なり、あるいは労働
そのものについて正しい感覚を持っていかなければ、ほんとうの民主政治はできない。これは保守党においても同じことだと
考える。従って、今の何が何でも
法律に合わないやつは、警察権でもって取り締るというような労働政策は、私は誤まりだと思うから申し上げるのであって、その点についての
一つ岸総理のお
考えを聞きたい。