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神近委員 何も私は戸籍調べをするわけじゃないのですから、その人の年令が何才で、いつ出身であるということは必要ないのです。ただ皆さんもお聞きになったと思うのですけれ
ども、司法官の試験の問題でいろいろの
先生方がきのう御
意見をここで開陳なさったそのときに、小林という弁護士でしたか、あるいはもう一人の永田とおっしゃる
先生ですか、大へん私はいろいろ有益なことを伺った。そのうちの小林さんであったかがおっしゃった、この
裁判というものの非常なむずかしさ、やっと人生をここまで渡ってきて、どうやらやれるかなという感じを
自分は今持っているのだ、あの大家がそうおっしゃったのです。ですから、年令の若い
人たちが
裁判をするということ、あるいはこの問題を扱うということは非常に困難である、むずかしいということをおっしゃったので藤掛さんが一体どの年代の人だろうかということを考えた。それでこの論拠としてというのは、藤掛さんは、この問題で
阿部が出てきて
前言を翻す、あるいは
西野が
証言を翻す、こういったときに新聞に発表されている
意見というものは、
自分のこの
判決を守ろうという闘志に燃えているというようなことを言っていらっしゃる。私は
裁判の
判決文を読んでおりません。
判決の一番
きめ手となっているのはこの
阿部と
西野、
現場にいた
店員、しかも十六才と十七才という
年少者、それをたとえばあるいはドスを
篠原澄子から
受け取ってきたということで刀剣不法所持でやっておる、こういうことがある。それから野田という巡査が、暗いから中が見えないから電線をつなげと言って、上ってつないだというのが本音らしいのですけれ
ども、そうすると電話何とか法にひっかけて二十八日の勾留にする、そういうような調べ方が一体
ほんとうの正しい調べ方であろうかどうかということが考えられる。それから私が若い人か年寄りかということをお聞きしたのは、女の心理というものについて、この人は非常に皮相な考え方から発足しているのです。隣の葛西という
電気屋とこの三枝という
電気屋は競争相手であって、三枝という
電気屋がこの
冨士茂子の内助よろしきを得て繁盛して、ビルを建てるまでにいく、
自分の方は商売ががったりと落ちるというようなことから、いろいろデマ的なことを言い立てたということもちょっと聞いております。そこを根拠にして
調査を始めて、藤掛さんがおれのやったことが
ほんとうだということをいつまでも固執されるということは、
——私
どもはきのう、
裁判官は正義と公平と慎重と、何か七つぐらいの資格をおっしゃったのを伺った。なるほどそうあってほしいと考えるのに、この藤掛さんがごく若い少壮
——どの程度の少壮かは知りませんが、少壮であれば多少の行き過ぎあるいは過ちは犯さないとも限らない。そのうちに正義があり、公平であろうという司法官としての大事な要素を
ほんとうに持っておる人ならば、しまったと思えば、あと返りしてやり直すということも考えられる。ところが御
本人自身が、
自分の成績とか保身とかいうことにからんでくると、これは非常に厄介になるというのが、きょう私があなたに伺いたい問題の一番の焦点だったのです。ですから、年令のことを伺ったのですけれ
ども、今坂本
委員の
質問に対しまして、適当な御考慮をいただけるということ、それからこれはもっと
調査を必要とするというお考えがうかがえたので、きょうは時間もそろそろでございますので、私はこの問題を打ち切りたいと思うのですけれ
ども、今度は私も材料をもっとたくさん持って参りますが、何としても取調べのやり方というものに非常に不当な、今一、二申し上げたようなことがある。私は
外部犯人、内部
犯人というようなものをそこできめてしまったということが一番手落ちじゃなかったかと思うのです。この松山何とかというのは、
大阪で自首して、私が
真犯人だといって出てます。そして
現地に照会したら、あれはもう解決して、
冨士茂子はもう服役しているのだから必要ないといって、今度は
大阪でおっ放してしまった。それで今度は
徳島に帰っていったのかどうか、
徳島で検挙して調べようとすると、あの問題はもう解決したのだから必要ないといって、二度釈放されているのです。調べが十分あってから釈放されたのならよろしゅうございます。だけれ
ども、問題は解決したのだから要らないという釈放の仕方、私
どもはこういうことは今の法治国家としてやり方が非常に不親切だと思うのです。
裁判というものは、立法、行政というものと比べてみても、一番清潔で公正でなければならないのは司法だと考えております。そして、司法がくずれたならば、もう国民のよりどころはないというくらい信頼と期待とを持っているのに、こんな露骨な人権じゅうりん的な、この次もっと人権じゅうりんの実例をお出ししますけれ
ども、こういうようなことでは女が
——ごく能力のある、そして実際に
子供たちにも
ほんとうに理想的なよい親であり、妻としてもあやまちのなかった人、それが十三年も獄窓に泣かなければならない。その前には四年監禁されております。こういう不幸をなぜなめなければならないかということに、私は
局長の御配慮を願いたい。きょう法務大臣がお出にならなかったのはまことに残念ですけれ
ども、この
法務行政の部分についてはおそらくまた他の
委員からもお尋ねすることがあろうと思いますが、これは地方の問題ですけれ
ども、こういうことがあってはならないという
一つの実例として、
調査とこの後の対策をお考え置き願いたい、そういう希望をもちまして、私の
質問は終ることにいたします。