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淡谷委員 愛知法務大臣に、最近ひんぴんとして起ります基地内外の
米兵の日本人射殺
事件につきまして、若干お尋ねしたいと思うのです。御承知の通り、相馬ケ原ではジラードが、パパさん、ママさん、たくさんたくさんと言って、えさでもまくように薬莢を振りまいて、しかも薬莢を鉄砲へ詰めて、慰み半分に坂井なかさんを殺した
事件が起った。それから今年の八月一日に青森県の大
三沢の基地内で、夜、人のいないところに誘い出して、停車さした車の中でジェミーという
米兵が
運転手の加賀昭さんをみごとに射殺をした
事件が起っております。その後例のロングプリー
事件として音楽大学の宮村祥之君をこれも電車に発砲するといったようなたちの悪いいたずら半分の気持で射殺をしておる。前回の当
委員会で、この青森県の大
三沢の射殺
事件につきまして、
警察が殺人として送検したものを
検察庁の方ではあっさり
過失致死で送検して、公判が進んでおる段階でありますが、こういうふうに行き違いが起った原因がどこにあるのか、またこういうふうに軽くあしらうだけでこの種の
事件が跡を断つかどうか、
質問を継続しておるのでございますが、そのはっきりした御答弁がないうちに、さらに十月六日にブラッカードという
米兵がやはり車の中で
運転手の
斎藤義雄君に重傷を負わした
事件が頻発したのであります。こういう一連の
事件を見ますと、この種の
事件に対する日本の
検察庁の態度が非常になまぬるく、何らこの
事件の根絶を期するという情熱を持たない態度で次々に軽くあしらわれて起ってくるというふうに見るよりほかに仕方がない。しかも相馬ケ原のジラード
事件の質疑応答を重ねている間に、さかのぼって、静岡県の東富士の演習場で坂井なかさんと同じような目にあっております婦人が明らかになりましたが、
警察は一回も
取調べをしていない。これからでも
取調べをしろということを追及しましたら、本人はもう
アメリカへ帰されて、行方がわからないという答弁を
委員会で言っておるのであります。あるいはジラード
事件にしましても、あれほど世間を騒がせ、非常に大きな関心を呼んだ
事件が
過失致死として
執行猶予になっている。日本の娘をつれて本国へ帰ったが、その娘に大へん難儀をさせているという報道が伝わってきている。日本の基地の中、あるいは基地の外でどんな
犯罪を犯そうとも軽く済むのだ、本国へ帰されたのだといったような気持がこれらの
米兵の間にびまんしておることから、この種の
事件を続々として出してくると思うのです。青森県の大
三沢の
事件のように、
警察が明らかに殺人と認めたものでさえ、これを傷害致死で送るといったような
検察庁の態度が、もうすでにブラッカード
事件でもこれは重
過失で済むだろうと言っているのです。その理由はほとんど
暴発です。
アメリカの
ピストルがそんなに
暴発するものだったならば、
神経衰弱になったりあるいはまた酒に酔っぱらったりした者に、こういう危ない武器を持たせること自体が間違っておる。しかもジェミーのごときは、この
ピストルを盗み出してやっているのであります。もう遠方へ向ってたまを撃つということは慰さみ半分で撃つことで、これで人の命をとることは最も悪い。けれども、狭い車の中で人を殺し、ないしは傷つけておる。それさえ殺意がなく
過失であったという態度は、私は非常に遺憾千万だと思う。しいてそういうふうな
事件の紛糾することをおそれて、ことさらに
米軍側の味方をして
事件を軽く済まそうといったような態度と強く疑われるのでありますが、そういうことに対する法務大臣のお考えはどうでございますか。