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1958-10-28 第30回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月二十八日(火曜日)     午後零時三十六分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 吉川 久衛君 理事 助川 良平君    理事 丹羽 兵助君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    秋山 利恭君       金丸  信君    倉成  正君       笹山茂太郎君    田口長治郎君       高石幸三郎君    内藤  隆君       永田 亮一君    濱地 文平君       松岡嘉兵衛君    八木 徹雄君       角屋堅次郎君    神田 大作君       久保田 豊君    栗林 三郎君       實川 清之君    中村 時雄君       西村 関一君    芳賀  貢君       松浦 定義君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房長) 斎藤  誠君         水産庁長官   奥原日出男君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         政課長)    小林 誠一君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農 林 技 官         (農地局建設部 河口  清君         災害復旧課長)         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    諌山 忠幸君         農 林 技 官         (林野庁指導部         長)      茅野 一男君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      武田 誠三君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月二十七日  委員大森玉木君及び高石幸三郎辞任につき、  その補欠として正力松太郎君及び椎名悦三郎君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員椎名悦三郎君及び正力松太郎辞任につき、  その補欠として高石幸三郎君及び大森玉木君が  議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員栗原俊夫君及び高田富之辞任につき、そ  の補欠として實川清之君及び足鹿覺君が議長の  指名委員に選任された     ————————————— 十月二十五日  蚕糸業振興対策に関する請願羽田武嗣郎君  紹介)(第一〇一五号)  同(小川平二紹介)(第一〇九九号)  同(原茂紹介)(第一一〇〇号)  乳価安定対策に関する請願羽田武嗣郎君紹  介)(第一〇一六号)  同(小川平二紹介)(第一一〇一号)  同(原茂紹介)(第一一〇二号)  牛乳の生産者価格引下げ反対に関する請願(五  島虎雄紹介)(第一一〇三号)  生糸価格に関する請願田中伊三次君紹介)(  第一一〇四号)  熊山町の治山事業施行に関する請願淺沼稻次  郎君紹介)(第一一一二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業災害に関する件  農林漁業災害対策に関する小委員長より報告聴  取      ————◇—————
  2. 松浦周太郎

    松浦委員長 これより会議を開きます。  農林漁業災害に関する件について調査を進めます。  この際農林漁業災害対策に関する小委員会調査経過並びに結果につき小委員長報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認めます。農林漁業災害対策に関する小委員長助川良平君。
  4. 助川良平

    助川委員 私は、台風第二十一号及び第二十二号による農林水産業災害対策について、農林漁業災害対策に関する小委員会における審議経過並びに結果について御報告いたします。  御存じの通り台風第二十一号及び第二十二号は、静岡県、福島県を初め二十三都道府県に及んで、農地農業用施設林業用施設及び水産業関係施設に対し、およそ台風第二十一号で五十九億円、第二十二号で百五十二億円、合せて二百十一億円の被害を与え、また、農作物において、第二十一号は水稲倒伏等により九十五億円の被害を、第二十二号は未曽有豪雨による水稲の流失、埋没等により百十六億円の被害を与え、果樹、蔬菜等を合せて総被害額二百八十二億円になっているのであります。以上の総被害額を総計いたしまして、農林水産業の受けた損害は実に四百九十三億円に達するのであります。  農林水産委員会といたしましては、災害発生するや直ちに現地調査を行い、また善後措置に関してしばしば審議を重ね、十月十四日の委員会においては、応急の諸措置を講ずるとともに、所要特別立法のための措置を講じ、もって急速なる災害復旧を行うよう決議を行い、大いに政府を督励して参りましたことは、各委員の御承知通りであります。しこうして、委員会といたしましては、災害対策の細部について政府意見を聴取しまするとともに、適切妥当三な結論を取りまとめますために、農林漁業災害対策に関する小委員会を設置せられたのであります。  よって、小委員会は、去る二十一日以降、両党より提示せられました対策要綱を中心に鋭意検討を続け、本日おおむね両党の意見調整を終了することができたのであります。以下これを御報告申し上げます。  一、農林水産業施設等災害復旧に関する事項  (1) 農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律の一部を改正して、農地補助率八〇%)及び一般林道補助率七五%)の災害復旧に対する補助率を、それぞれ九〇%及び八五%かに引上げる。補助残については全額起債を認める。  (2)「昭和三十三年の風水害により被害を受けた地方公共団体起債特例に関する法律」を制定して三万円以上十万円未満の農地及び農林水産業施設等災害復旧事業につき被害公共団体による全額起債を認め、これに対しては国から農林水産開業施設等については六五%の、農地については五〇%の元利補給を行う。  二、推積土砂等寺の排除に関する事項  農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律改正して、これに九〇%の高率適用を行う。  三、農林水産施設災害復旧関連事業に関する事項  区画整理農地災害復旧事業関連事業とし、用水路、道路等農業用施設災害復旧事業関連事業については、当該災害復旧事業費の倍額まで認める。  四、わさび田災害復旧に関する事項  農地災害復旧事業対象としてとりあげることとし、事業費不足分については、農林漁業金融公庫から一戸当り四十万円程度貸付ける。  五、天災による被害農林漁業等に対する資金融通に関する暫定措置法による資金融通に関する事項  現行法適用により善処する。  六、自作農維持創設資金に関する事項  農林漁業金融公庫資金枠総額二十億円を目途として拡大する。  七、農畜舎、農機具、家畜等農林漁業生産に必要な施設及び質材等に関する事項   家畜以外の個人施設等に対しては、農林漁業金融公庫主務大臣指定施設災害復旧の枠内で融資する。  八、米穀安売りに関する事項   「被害農家に対する米穀売渡し特例に関する法律」を制定して、指定地域内の被害農家に対し、自家消費量基準として概ね生産者価格で売渡すこととし、代金は一年間の延納を認める。  九、予約概算金に関する事項   概算金の返納と利子の減免に関しては、現行制度範囲内で措置することとし、代位弁済した農協連合会の負担する利子補給については、所要予算措置を講ずる。  一〇、早場米の時期別格差に関する事項   期間の延長を行う。  一一、等外米政府買入れに関する事項   政府買入れを実施する。  一二、国有林安売りに関する事項   随意契約により被害市町村にまとめて売払いを行う。   対価についても特段の考慮を払う。  一三、農業共済保険金に関する事項   再保険金概算払及び共済金の仮払いを迅速に行う。  一四、農作物種子対策に関する事項   種もみ及び代作種子購入について助成する。  一五、救農土木事業に関する事項   既定予算範囲で実施する。  以上をもって報告を終ります。
  5. 松浦周太郎

    松浦委員長 ただいまの小委員長報告はこれを了承いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  6. 久保田豊

    久保田(豊)委員 一点だけ確かめておきます。ただいま御報告になったうちで、これは小委員長のお間違えだと思いますが、ワサビ田については、この前のお話から言って、これを農地として扱って、一反歩当り百二十万円ばかりかかりますから、この補助残については公庫農地復旧のための特別融資を行なって、その上でいま四十万円、こういう意味でありましようね。
  7. 助川良平

    助川委員 ワサビ田復旧につきましては、ただいま久保田委員から御指摘になりましたように、非常な復旧資金が要るわけでございますので、農地災害復旧事業対象として取り上げ、さらにそれにつけ加えて一戸当り四十万円の融資を行う、そういう考え方でございます。
  8. 松浦周太郎

    松浦委員長 御了承、いいですね。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 松浦周太郎

    松浦委員長 御異議なしと認めます。よって、小委員長報告はこれを了承することに決定いたしました。  この際農林漁業災害対策に関する政府当局の所信の表明を求めます。石坂農林政務次官
  10. 石坂繁

    石坂政府委員 ただいま当委員会において御了承になりました小委員長報告は、いずれも重要な問題でございまするし、かつ多岐にわたっての御検討でごさいましたが、政府といたしましては、十分にその御趣旨を尊重いたしましてこれに適当なる検討を加え、必要な措置を早急に講じまして、すみやかに災害地の復興をはかりたい所存でございます。
  11. 松浦周太郎

    松浦委員長 次に、質疑に入りたいと存じます。質疑の通告がありますので、これを許します。石田宥全君
  12. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま本委員会台風二十一号、二号等についての決議をいたした次第でありますが、さらに、ただいま政府から三十三年災害関係補正予算一覧表が配られまして、それぞれ各項自の予算総額は三十五億八千三百万円ということに相なっておるわけであります。この際政府の所見をただしておきたいと存じますることは、私どもは、十一号台風並びにその後の災害対策ついては、さきに本委員会において決議をいたしておりまするし、本日は二十一号、二号等についての決議をいたした次第でございます。政府予算は三十三年度災害としての農林省関係予算一覧表が提示されたのでありますが、そこで、この予算の配分は当日然三十三年度の災害一般を含むものと理解すべきものと思うのでありますか、一部には、大蔵省等においては、この予算は二十二号に限るというような意意見も聞かれたようでありまするし、あるいはまた二十一号、二号に限るというような意見も聞かれたようでありますが、この点について明確な政府考え方をただしておきたいと思います。
  13. 斎藤誠

    斎藤(誠)政府委員 ただいま御質問になりました三十三年度災害関係補正予算一覧表としてここに計上いたしておりますものの中には、お話通り、二十一号、二号ばかりでなく、過去の災害も含めての予算も計上いたしてあるわけでございまして、特に災害復旧項目ばかりでなしに、霜雪害対策等につきましては、この間における麦その他の霜雪害予算も計上いたしてある次第でございます。
  14. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、その次に、この予算執行当りまして、ただいまの官房長説明では春以来の災害予算であるということでありまして、これは了解をいたしますが、執行に当っては、それぞれ地域指定等を行うことによって、きわめて一部分に極限されるおそれがあるのではないかということが心配されるのでありますが、この点はどうですか。
  15. 斎藤誠

    斎藤(誠)政府委員 霜雪害対策につきましては、     〔委員長退席吉川(久)委員長代理着席〕 これは先般当委員会におきましても御報告いたしましたように、対策要項をきめて、その結果実施いたしました所要経費を計上いたしたものでありますので、新たな地域指定というような問題はございません。それ以外の災害につきましては、三十三年災を通じまして、従来の復旧事業費につきまして、御承知のような当年災について一定の出す比率がございますから、それを基準といたしまして計上いたしたのでございまして、実施の段階において地域を特にしぼった予算だという形にはなっておりません。
  16. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に二、三の事項についてお尋ねをしたいのでありますが、先ほど来当委員会で問題になっておりました早魃に対する対策として、植付不能地に対する農業災害補償法共済金の支払いの問題でありますが、急従来の法令範囲では五〇%をこえることはできないということになっておるようでありますが、損害評価基準の変更をすることによってこれを修正することができるという御意見もあったのであります。今日、共済組合というものについて、農業災害補償制度については各方面にいろいろな非難の声が高まっておりまして、あるいは解散をする組合が出たり、あるいは業務休止状態に入るというような組合が出ておりまするときに、このような、事実においては収穫皆無よりももっと甚大な被害を受けておる植付不能地に対して、当然収穫皆無としての取扱いをなすべきものであると考えられるのでありますが、これに対してはどういう措置をおとりになる考えでありますか。
  17. 斎藤誠

    斎藤(誠)政府委員 早魃の結果植付不能の場合に、共済取扱い上は収穫皆無として扱うべきではないかという点につきましては、当委員会におきましてもたびたび御質問がございまして、また、われわれも、それに対しまして、現在までとっております考え方を述べたわけでございます。要約して申し上げますと、植付不能の場合と、植え付けた後における収穫皆無の場合におきましては、おのずから現金の支出等において相違があるということで、本来植付不能の場合にいろいろの場合が予想されるわけでありまして、たとえば植付不能の結果代作を行うとかいうような場合もあり得るわけでございます。そういうようなことで、一応、現在までのところ、植付不能地につきましても、それまでにいろいろ投じた経費もありますし、そういうことも考えまして、現在のわれわれの扱いとしては五〇%ということで扱っておるわけでございます。しかし、当委員会におきまして先般決議がございまして、これについては早急に改善をはかるべきである、こういう御趣旨が盛られたわけでございます。それに従いまして、われわれも、農業保険課関係官現地に参りまして、この植付不能の場合、それから収穫皆無の場合と、いろいろ実情を見て参ったわけであります。その結果によりますと、なかなか一線を画することが困難な場合もあるし、同時に、植付不能の場合におきましては、代作を行なってある程度の収穫のできるようなところもあるというようなことで、なかなかこの問題は現在の実態に即してどこに一線を引くかということについては、事務当局としては、もう少し検討をしないと、一概に全部植付不能な場合を収穫皆無として扱うことについては、現地自身においても割り切れないものもあるというようなことでございまして、われわれとしましても、この問題は今後の問題もありますので、なお検討を続けさしていただきたい、というのが現在のわれわれの考えでございます。
  18. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいま官房長答弁通りで、むずかしい点はあると思うのですが、全く収穫皆無以上に深刻な打撃を受けておる地域が相当あるわけでありまするし、農業災害補償制度そのものを守っていこうとする建前からすれば、やはりそういう点についての法令改正をやって、それらの農民を救済するということが必要であると思うので、行政措置によってこれを救済することができないとすれば、やはり法令改正によるほかはないと思うので、今後さらに積極的にこれについての対策検討を希望いたします。  次に、やはり七月、八月の災害についての本委員会決議の中にもあり、また、当時政府はそれぞれこれについては努力をする旨の答弁がなされておるのでありますが、共同防除等による散布農薬補助金の問題であります。聞くところによると、一時農林省から大蔵省に相当強硬な交渉が行われて、大蔵省もこれについてはやや乗り気になって、成立しそうな形勢であるということも伝えられましたし、また、自民党災害対策特別委員会としても、農薬に対する助成措置という一項目を設けまして、所要助成措置を講ずるという決定が行われておるよりであります。どうも最近農林省自主性をしばしば欠いておるようでありますが、党の決議となると、これには従っておるようであります。党の特別委員会でも決定をしておる次第でありまするので、これはこの予算の中にすでに組まれておるものであろうと存ずるのでありますが、農薬補助についてはどうなっておりますか。
  19. 斎藤誠

    斎藤(誠)政府委員 ただいま石田先生お話通りでございまして、先般の決議もございましたので、われわれとしましては、その趣旨に沿って検討をいたしたいということで本日まで至っておるわけであります。ただ、あの当時におきまして、確かに、新潟方面におきましては農薬散布通常施用量をこえて相当やったものがあるのではなかろうかと聞いておるのでございますが、御承知のように、農薬散布助成をする場合に、現在までの扱いでは、通常施用量をこえた場合において、こえた分について助成するというのが従来のやり方であったわけであります。最近になりまして、常時散布する画数もふえるというようなことで、それをこえてどれだけやったかということになりますと、特定の県以外におきましては必ずしもその量が多くないというような結果になりまして、地域的に非常にしぼられるような助成措置を講ずるようなことになるのではなかろうかという点が一番本件の問題になっておるわけでございますが、この予算の中におきましては今のところまだ計上いたしておりませんけれども、しかし、今後の災害におきましても、必要なある程度措置は講ぜなければならないと考えております。それらの所要量につきましては、いまだ全部の数量も整っておりませんので、それらとあわせて一つ検討さしていただきたい、かように思っております。
  20. 石田宥全

    石田(宥)委員 七月、八月災害の当時ずいぶん議論が行われておりまして、今さら繰り返すことはないと思うのでありますが、普通の防除以上に薬剤散布を必要とするということは、これは常識でわかる。冠水地域においては通常防除の倍以上にこれをやらなければならない実情にあったことは、これは何人も否定することのできない事実で、県等からはそれぞれ克明な資料が上っておるわけでありまして、まだ資料が整わないなどということは、これは怠慢のそしりを免れない。どうです、そうでしょう。七月ですよ。七月の災害にまだ資料が整わないとか、せっかく三十三年度の災害予算がつくときにその予算の中に入れられなかったなどということは、これは農林省の怠慢です。これは常識から考えたってわかるじゃないですか。ただ部分的な病虫害発生などと違って、広範な豪雨冠水地域が相当な面積に及んでおる。そういうときに、病虫害発生ももちろん危惧されて、それぞれ、農林省指導当り県当局指導に当って、膨大な薬剤散布をやっておるのです。これは早急に一つ大蔵省と話をつけて結果を明らかにしてもらいたい。これについては、特に本委員会においては大蔵省主計官も呼んで、主計官もまた慎重に検討を加えて出すようにしたいということを言明しておるのです。これは農林省の怠慢です。一つしっかりやって下さい。  それから、次に、これもやはり本委員会決議する前に特に建設省の係官を呼んで検討を加えたのでありますが、特に新潟県の災害が非常に当時深刻でありまして、水防資材、これは俵、かます等資材費でありますが、当時四千万俵に及ぶであろうと言われておった。新潟県は一千九百万円の予算県当局独自で上げてこれを処理しようといたしておるのであります。御承知のように、これらの水防資材は、地域によっては、他県からまでこれを持ち出して、新米用に使うべき新しい俵をこれに振り向けるというような非常手段をとって、それか、当時は市町村農協等の責任を明確にしないで、とにかく災害防除ということでそれを持ち出し、あるいは購入をしてこれを充当させておった。これについては、建設省に対しても、あるいは農林省に対してもしばしば要望をいたして参ったのでありますが、この水防資材費補助については、聞くところによると相当額計上されたということでありますが、どの程度の金額が計上されておるか、また、それはどこの省の管轄でやっておるか、本予算の中に含まれておるか、おらないのか、これを承わりたいと思います。
  21. 斎藤誠

    斎藤(誠)政府委員 ただいまお話になりました水防資材についての助成でございますが、これはこの三十三年災害関係補正予算農林関係の中には計上されておりません。ただいまお話しになりました助成関係でございますが、具体的なことについては私ここで明確なことを申し上げかねるのでございますが、建設省におきまして建設関係水防関係資材助成ということで計上されるというふうに承知いたしておるのでございますが、その考え方は、水防組合等ができた場合におきまして、その水防組合緊急資材の補てんに必要な助成を行うという建前になっておるということを聞いておるのでございます。農林省関係のこの経費の中には計上いたしてございません。
  22. 石田宥全

    石田(宥)委員 この問題は、建設省関係であるいは計上したのではないかということでありますが、実際問題としては市町村土地改良区等かこれに当っておるのであって、しかも、法律関係では公共用水害防除関係法律では非常に困難な事情にあるということを明らかにしておったわけであります。これは清野建設部長はだいぶ建設省の方とも折衝をされ努力をされたという話も聞いておるのでありますが、水防資材についての助成措置の具体的な内容を、おわかりでしたら承わりたいと思います。
  23. 清野保

    清野説明員 水防費のうち水防資材に対する補助の問題につきましては、農林省といたしましても、その重要性にかんがみまして、種々大蔵省当局折衝いたしまして、現在のところ、水防費補助金につきましては、水防法によりまして建設省の方に約三千万円程度予備費が計上されておることになっております。ただし、その場合の水防費の使途につきましては、水防法によりまして組織されました水防団体に対する今後水防に必要とするための資材、そういうものに使用されるものでございます。従いまして、今回の新潟県の水防資材につきましては、新潟県におきますそれらの地帯に水防組合がない場合には水防組合を組織するように、水防組合がある場合には、その水防組合に対しまして、ただいま申し上げましたような方法によるところの、今後必要とする資材に対する補助金の交付をいたすように、建設省の方に折衝をいたしております。なお、この問題につきましては、農業災害一つといたしまして、われわれの方といたしましても、今後なお大蔵省との折衝を加えて、極力農民の負担の軽減をはかりたいと考えております。
  24. 石田宥全

    石田(宥)委員 なお、資材に関連しまして、やはり自民党災害対策特別委員会決定の中に、水防資材費及び排水ポンプに使用した動力費について国庫助成措置を請ずることということがきめられておるのです。本年の早害に対する灌漑用のポンプに使用した動力費、これについてはそれぞれの助成措置が行われたようでありますが、水害の際における排水ポンプに使用したところの動力費については、本委員会でもしばしば問題になっておりましたが、今日まで実現を見なかったわけでありますが、これは自民党災害対策特別委員会決定でございますので、政党内閣である政府は、その決定に従って予算措置が講ぜられたものであろうと考えるのでありますが、これはどう措置されておりますか。
  25. 清野保

    清野説明員 水害用の排水機の運転費につきましては、早魃と若干事情を異にしておりまして、おおむね従来から水害地帯におきましては排水川のポンプ等がございます場合が一般の状態と考えております。従いまして、それらの既設の排水ポンプを利用いたしまして排水いたしますことは、従来からの維持管理費の範囲に属すべきものと考えまして、そういう場合の排水機の運転費に対しては補助をいたさないということを原則といたしまして取り扱っております。
  26. 石田宥全

    石田(宥)委員 実は、災害に伴いまして、本年の米の供出並びに仮装問題等について食糧庁長官にいろいろただしたいと思ったのでありますが、時間の関係もございますので、この程度にいたします。  ただ、一点だけ官房長に伺いますが、本年の、特に東北、北陸における長雨の被害を勘案されまして、時期別格差の問題で、その期別を、それぞれ、第二期は五日、三期は三日の繰り下げが行われたのであります。それがために、多少農民も時期別格差の幾らかの奨励金を手に入れることができたわけでありますが、その後の天候がさらに悪化をいたしておりますことは皆さん御承知通りであって、これについては、第四期についても相当程度の繰り下げをしなければならないという実情にあると思う。東北、北陸各県がきょうも何か会合を持って政府に要望方の決議等をいたしておるようでありますが、これは天候等の関係でありまして、最近特に悪化している現状にかんがみて、第四期についても相当程度の期間の繰り延べをされる用意があるかどうか、伺いたい。
  27. 斎藤誠

    斎藤(誠)政府委員 時期別格差の延長につきまして、今御指摘の通り、第二期を五日、第三期を三日延長したのであります。その結果、集荷量も相当の成績を示して、おるように承知しておるのであります。今後のことにつきましては、食糧庁の第一部長が参っておりますので、それらの集荷の状況ともにらみ合せて検討されることになると思いますか、第一部長からお答えいなします。
  28. 諌山忠幸

    ○諌山説明員 第四期の問題につきましては、相当天候も悪うございますので、この天候の状況を最後まで見定めないと決定しにくい、こういうふうに考えておりますが、今までのところ、二十三日まで延ばしました実績から見ますと、今申しました東北、北陸地帯が前年に比べるとほぼ八、九〇%の線まで上ってきております。一部宮城あたりが前年に比べますと少し程度が落ちておりますけれども、そこらあたりまで程度が上ってきております。一番初めにこの五日ないし三日繰り延べました時期は、御承知のように東北におきましては前年に対しましてほぼ一〇%以下、新潟が二六%というような極端な時期でございましたので決心をいたしたわけでございますが、今後の問題は天候の推移というものを十分に見定めまして一応決定しなければならぬ、こういうふうに考えておりますけれども、現状におきましては、現在までのところすでにある程度の線まで上ってきておるというのが実情でございます。
  29. 石田宥全

    石田(宥)委員 きょうの新聞の発表によりますと、政府は従来の内地米の配給十四日を十五日にしたいということで集荷の特別措置などもされておるようでありますが、そういう趣旨にかんがみて、現在のような食糧状況から見ると、これはどうしても五日ないし一週間の繰り下げをすることが妥当でないかと思うのでありまして、なお現地方面との連絡等もございましょうが、農民の要望をかなえるように一つ御尽力を希望をいたしておきます。  なお、もう一点ちょっと伺っておきたいのですが、委託の代表集荷ですね。これは、何か今度の食糧庁の決定では、個人が予約量を売り渡した場合においては自由に売り渡せる、無名記代表制という売り渡しかできる、こういうことですか、これは非常に危険性があるのじゃないか。なるほど、農民が税金の対象になることをおそれてやみ売りなどをするのに対しては、一応これは賢明な措置のように考えるのです。ところが、たまたまことしは災害がありまして、災害で減額補正をずっとやりつつある段階において、それを今度、個人的に予約だけのものは責任を果したからということで、どんどん匿名代表で集荷をされますると、今の予約制度による集荷制度、これがくずれるおそれがあるのじゃないか。それから、来年からこの予約集荷というものがゆるんで、お互いに警戒をする。これは、だれしも税の対象になることはいやですからね。そうすると、予約というものをずっと内輪にしてしまっておいて、早く完納してしまって、また匿名の現金で売る。やみ売りと同じことになります。そういうことから、今の米の統制の制度それ自体にひびを入らせるという危険性がある。私は、少くとも市町村程度くらいの予約の完納の後でなければこれをやるべきではないと思うのでありますが、食糧庁は一体そういう点についてはどういう判断の上に、個人的に完納の後においては匿名代表制の集荷をお考えになったのか。また、これは要綱の発表だけでありますが、すぐ十月の一日ごろから実行されようということも伺っておりますが、果してこれは実行されるのかどうか、これをもあわせて一つ答弁を願いたい
  30. 諌山忠幸

    ○諌山説明員 代表制度の適用をことしはできるだけ早期にやって参りたい、こういう趣旨はおっしゃる通りでございまして、その中で将来の予約制度の関連においてどういうように代表制を政府考えておるか。この問題は非常に重要でございますので、私どもとしては十分に研究いたしたのでございますが、現在のところ、この代表制度と申しますのは、常に一応割当数量を完了した者から買い上げるという制度にはなっておるわけでございます。しかしながら、価格は御承知のように申し込み加算金の百円かつきませんし、しかも、売りましても名前が明瞭になっておりませんから減税の対象にならない。それだけの非常に不利な点もあるわけでございます。それから、代表制というのは、従来やっております新しい商人が入って参りまするところのいわゆる匿名供出とは違っておりまして、現在の指定集荷業者で自分が予約を受けておる指定業者だけが、予約数量を完了した者から買い上げる制度でございます。そういう意味におきましては、何といいましても予約数字を出すことが農家のためには一番有利である、これは非常にはっきりいたしております。そういう前提で、しかも集荷をする業者自体が自分で予約をしておるわけでございまして、新しい業者か入って参りますと、いわゆる匿名供出のように商人の系統が入って参りますと、それは予約をしておる農家に対してある程度の混乱要素になると思いますけれども、その制度は今度やっておりません。従来はそれを並行いたしてやっておったわけでございますので、ある程度そこらあたりがいろいろな面で混同されやすいのでございますけれども、現在の指定集荷業者だけがやれる制度でございまして、しかも、価格の面におきましても、減税の面におきましても、ある程度不利になっておる。ですから、初めからある程度並行的にやってもそうおかしくない制度じゃないか。個人々々が完了をした場合におきまして、名前を出して売りたい場合はもちろん名前を出して売ることも一向妨げませんけれども、名前を隠した方が出しやすいという農家か相当ございますので、そういう農家だけはこの制度で売ってもらってよろしい、こういうような考え方で進んでおるわけでございます。  大体、今おっしゃいましたように、私ども考えておりますのは、東北、北陸のような早場地帯で、これは十月の末にはほぼ八、九〇%出る地帯でございます。そういうところでございますと、大体十一月一日からやりたいと思っておりますけれども、町村単位ではほぼ完了をしておるというふうにも見られる地帯でございますので、そう特別に非常に早目にやったというわけでもなくて、ある程度完了が町村単位でいきますれば大体見当がついた時期に始まる、こういうふうに現在考えておりますので、予約制度に対しましてはそう大きな影響かない。多少そういう懸命もございましていろいろ検討いたしましたけれども、縣念はないのじゃないかと確信をいたしております。
  31. 石田宥全

    石田(宥)委員 それは全国的な一般論としてはわかるのですよ。ところが、従来だって、予約奨励金にしても、あるいは減税の特例があっても、政府の買上価格よりも安いやみ値でどんどん出している地域がたくさんあるのですよ。だから、あなたの言うそんなことは理由にならないのです。農民の心理はそんなものじゃないですよ。そこで、予約制度がくずされ、結局は統制かくずされる道を開く端緒になる。私はきょうこれ以上あまりやりませんか、これはもっと慎重にやってもらわなければならない。  なお、今の御答弁だと、地域的に実施の時期を変えるということですか。一体どういう地域にそれを限定するか、たとえば市町村なり府県なりによって期日を変えるということですか、どうなんです。
  32. 諌山忠幸

    ○諌山説明員 地域は県単位で変えて参りたい。そういう意味で、早場地帯において十万一日からを大体目標にいたしましてやって参り、おそ場地帯の方は十二月一日ごろから実施いたしたいと現在考えております。町村のような小さいところまではなかなか制度としてむずかしゅうございますので、一応県単位で分けて考えて参りたいと思っております。
  33. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで、御承知通り、ことしの稲の刈り取りは実は予定よりずっとおくれておる。植付がずっと早くて、もっとずっと早く刈り入れが終らなければならない、また集荷も済まなければならないにもかかわらず、ことしは非常に遅延しておる。そういう実情を勘案されまして、今後に悪影響のないように、その期日を府県別にいたしまても十分検討をされて実施されるように要望申し上げておきます。  私の質問は終ります。
  34. 日野吉夫

    ○日野委員 ちょっと関連して……。  今の説明では、十月末には早場地帯は大半従来納入していた、こういう説明でありますが、天候が悪くてほとんど調製ができないという状況はもはや明らかであります。今食糧庁で入手した早場地帯における各県別の集荷の数量が出ておるならば、ちょっとお教え願いたい。
  35. 諌山忠幸

    ○諌山説明員 第三期の累計になっておりますが、青森が一万八千六百トン、岩手が一千八百八十六トン、宮城が一千二百十トン、秋田が十三万五千三百九十八トン、山形が八方六千八百一トン、福島が三万三千六百六十七トン、こういう状態でございます。それから新潟が三十八万六百六トン、こういう数字になっております。  前年に対しまする割合から申し上げますと、青森が九四・四%、岩手が非常に落ちまして一九・五%、宮城が八・七%、秋田が一〇七・九%、山形が七三十・三%、福島が七七・二%、新潟が九〇・八%、こういう状態でございます。
  36. 日野吉夫

    ○日野委員 だいぶでこぼこがあって、新潟の九〇や秋田の一〇七・九というのもありますが、宮城などの八・七というような状況。この間現状を見てきておるのですが、これは現実に今月末までにはどうしてもこれ以上伸びない。これは、今の天候がなおこうぐずついておる状況では、おそらくこの程度でストップするのじゃないか。こういうことになりますと、東北、北陸の早場地帯の供出というものは、全国の供出量の相当部分を占めるものなのです。こういうところがこう停滞して進んでいない。しかも三期の奨励金も出ないということになると、非常に生産意欲に関係することであります。匿名供出のことはあとでまた別に論じますが、天候の状況を見て考える、こういうようなさっきの答弁ですが、もはや決定的でありませんか。きょう二十八日ですから、これはやっぱり、石田君の言われるように、何日か、われわれは十日くらいの日延べをやってくれることが妥当じゃ、ないかと考える。そうすることによって、早場地帯、全供出量の半分に近い供出石数を持っているこの辺の諸君の生産意欲をつないでいくことが必要である。これは今度の災害関係で東北などが非常にひどい。もう減収の補正がずっと出ている。こういうことで、今のところでは、共済法、農業災害補償法によって若干のあれを見てやらなければならぬが、今の法令ではとてもやれない。実際上は何らの恩恵がない。だから、価格面でも、ほんのわずかではありますけれども、これをやることが生産意欲をつないで今後の食糧行政に協力するゆえんじゃないか、私はこう思うのです。そういう意味で、もはや天候は決定的なので、一週間か十日これを延ばしてやるという手続をぜひとってもらいたい。農林省が今こういう米の生産地帯のやみ防止というような、ことを考えておりますが、そういうことで政府の食糧政策、食糧行政に協力するというような意欲を持たせるならば、これは一石二鳥の効果があると思うので、そういう意味でもこの点は一つ重大に考えてもらいたい。これからなお考えるのじゃなく、もうすでに決定的だとわれわれは見ておるので、この措置一つ取り急ぎやっていただきたい、こういう希望をして、あとの匿名供出や、そうしたものと供出制度との関係についてはあとの議論に譲っておきます。
  37. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 角屋堅次郎君。
  38. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 台風二十一号、二十二号を中心にいたしました本年度災害に対する本委員会における災害対策につきましては、先ほど小委員長からその内容について報告があったわけですが、この臨時国会が開催されてから、本委員会会において災害問題か一つの大きな中心的な議題であり、久保田委員を初め同僚の議員から災害対策の問題についていろいろ具体的な追及が行われて参ったわけでありますが、その追及の過程の中で、農業関係の問題については相当こまかく触れられたわけでございますけれども、水産関係の問題についてはほとんど俎上に上らなかった観があるやに感ずるのでございます。もちろん災害対策全般としての中には水産関係も含まれておるわけでございますけれども、論議の全体的な中においては必ずしもこれが具体的に追及されたとは考えてないわけでございまして、私はすでに小委員長報告が出るまでに水産関係の問題について具体的に各項目について政府考え方をいろいろお伺いする予定でございましたが、本日は本会議等の予定の時間もあり、すでに相当に時間を経過しておりますので、簡単に触れまして政府の今後の施策をお尋ねしたいと思うわけでございます。  申し上げるまでもなく、水産関係の問題は、今日表向きには水産日本という形において表わされ、またいろいろ生意産量その他においても世界に冠たる成績をおさめておるわけでございますけれども、しかし、事災害に焦点を合わして、水産関係に対する災害対策というものか今日の法制上から見て万全の体制がとられているかどうかということになると、農業、水産、林業を合わしてのバランスをとった水産関係災害対策というものについては、もう少し根本的に考えるべき問題を含んでいるのではないかというふうに私は考えておるわけでございます。  まず第一に、各項目別にお伺いする意味におきまして、漁港の問題から入りたいと思うわけでございますが、御承知のように、先般松山で全国の漁港大会が持たれまして、漁港整備等の問題についての決議その他がなされたことは、われわれも承わっているわけでございますが、この問題については、衆議院の本委員会においても、あるいは本会議の段階においても、あるいは過般参議院の本会議の席上においても、漁港整備の問題が可決決定をされた経過等もありまして、この問題は今後の水産振興の重要な一環といたしましてきわめて重視しなければならぬ問題であることは論を待たないわけであります。  大体、本年度災害を通じての漁港関係災害は、水産庁の資料によりますと十五億三千七百十四万円、こういうふうに承わっているわけでございますが、これが十一号台風以来二十二号に至るまでの各災害別の被害等についての資料を私も持っておりますけれども、時間の関係上省略をいたしますが、この災害に対する本省側の現地に対する査定の状況等を見て参りますと、最近私がお伺いいたしましたところでは、十一号の災害の査定等について約八〇%、十七号の災害の査定については未着手、二十一号、二十二号については緊急査定として五分の二程度進捗をしているやに聞いているわけでございます。過般、私の地元の三重県の方からも、十七号台風等の漁港の査定の問題について、当初予定をされておった期日が延期をされて、一体本年度これに着干するのかどうかということについてお尋ねがわれわれの方にも来ておった状況でございますが、この査定の状況を調べてみますと、最近に至るまで十七号の災害の査定等につきましては全然未着手の状態に相なっているわけでございます。ややもいたしますと、農林関係等の災害は、非常に表面的に日立ちますし、脚光を浴びる問題でございますから、鋭意関係方面でも努力されることと思うのでありますが、やはり、漁港あるいは共同施設その他いろいろな水産関係の問題につきましては、人員の不足等の事情もあろうと思いますけれども、現実に緊急に手を打つべき災害の査定等の問題についてかかる現状に置かれているわけでございます。しかも、先ほど手元にもらいました予算関係を見ますと、漁港関係について一億三千七百七十七万円というふうに予算額が示されているわけでございますが、本年度の十五億に上る漁港災害について、従来の慣例から申しますと大体漁港については当年度二五%で出発して四カ年で完成するのが従来の慣例であるやに承わっているわけでございますけれども、そういう予算関係から見ましても、これの約倍額の予算を必要とするのではないかというふうに考えられるわけでございますが、予算的な内容については、予備費の流用等もあって現実には二五%を充当しているということに相なるかどうかについては、後ほどお伺いをしたいと思うわけでございますけれども、まず、漁港関係の問題について、従来から漁港の第一次整備計画、第二次整備計画、こういうことで計画が進められている進捗率についても、必ずしも計画通りいかなかった現状の中で、しかも今日相当数の、十五億に上る漁港の災害が出ている。こういう災害復旧の問題について、工費その他の状況からいけば、三、五、二というのを、本委員会の希望としては当年度五割という要求さえ出ている現状からいたしまして、この漁港復興について当年度同割で出発する予算的裏づけがなされているのか。さらに、冒頭に申しました災害復旧に対する現地査定の今日の状況は、十一月になろうとする今日の段階から見まして、速急にこれが完成を見る手段がととのっているのかどうか。こういう点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  39. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 漁港に関します現地査定の状況は、二十一号、二十二号を含めまして、被害の甚大でありました県につきましては、去る二十日前までに一応現地の査定を終了いたしたのでございます。しかし、査定をまだ終了していないところにつきましても、今回われわれが補正予算で要求いたしまする金額の中には、それぞれ一応推定によりまして計上いたしております。これが実行面におきましては、今後の査定により、また今まで査定したものに立脚いたしまして実行いたす、あるいは計画の完成をはかる、かように考えておる次第でございます。なお、今まで査定をいたしてないものに関しましては、十一月早々より直ちに現地に人を派しまして査定を鋭意推進いたしたい、かように考えておる次第でございます。  本年度の災害に対する漁港関係の計上額は、復旧所要額といたしまして十一億九千万円を要する、かように考えておるのであります。その中で国費分担分が八億一千万円でございます。予備費を使用いたしましたものか四千百万円ばかりでございまするので、補正予算といたしましては一億六千万円ばかり計上いたしたい、かように考えておるのであります。率といたしましては三割やや切れる、かように考えております。
  40. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 漁港の災害復旧の問題については、御承知のように、関係法規として農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律、ないしは公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、この二つの法律があるわけでございまするけれども、御承知のように前者は漁業協同組合の維持管理する施設という建前になっておりまして、今日漁港の中ではこれに該当するものはほとんどないことは御承知通りでございますから、後者の法律適用を受ける、いわば前者は法はあるけれども空文化しておるという現状に相なっておるわけですが、前者と後者の漁港災害復旧に対する補助率等を見た場合に、前者の方かきわめて右利にできておることは御承知通りでございます。こういう適用状況から見て、今日後者の方の適用の場合に、前者の方の解釈に基く有利なる災害補助率適用によって万全なる漁港の災害復旧措置をする、こういうことか農林省として真剣に考えらるべき問題だと思うのですが、これはすでに小委員会の答申の出た段階においては今後の善処を待つことになろうかと思いますけれども、この点について従来からの水産庁長官考え方についてお伺いしておきたいと思います。
  41. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 ただいま御指摘のごとくに、農林水産業施設災害復旧に関する法律は、漁港についてはほとんど適用がないのでございます。ただいまお話のように、公共土木施設災害復旧の国庫負担法による措置が講ぜられる次第でございます。私は、協同組合施設のものと、それから県あるいは市町村等の公共団体の管理するものについて、多少そこの間に行き方が相違するということは、これはあり得てもいいのではないか、かように思うのでございます。しかしながら、どちらにいたしましても、その被害の状況等によりまして、できる限り実態に即した災害復旧が行われまするように、なお今後も十分検討を加えて参りたい、かように考えております。
  42. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、共同施設の問題については、御承知のように、適用法規の関係からいけば、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置法で十分の二ということに相なっておるわけですが、わが党といたしましては、小委員会の提示する考え方の中で、十分の二の共同施設に対する補助については、最高限度十分の九にすべきである、こういう考え方でいろいろ相談して参りましたが、最終的にその線ではまとまらなかったわけでございますけれども、この共同施設等の問題についても、やはり、地方自治体ないしは地元の負担の状況、こういうふうなものから勘案をして、今後の災害対策の問題を検討する前段の段階において十分この共同施設に対する補助率の引き上げということを検討すべきではないかと思うのですが、いかがでございましょう。
  43. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 今後の災害対策のきわめて重要なる検討事項一つとして、ただいま御指摘のような問題があろうかとわれわれも考えておるのでございます。特に、水産庁の関係におきましては、共同施設そのものとは言いかねるのでございますけれども、共同漁業権あるいは区画漁業権の漁場と相なっておりまする貝類の漁場が埋没いたしました際の復旧の問題があるわけでございます。これらに関しましては、かつての熊本のあの災害の際、あるいは諌早の災害の際、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助に関する法律のあの規定によらず、別個に予算措置をして善処をいたして参ったような次第であるのでございますが、なおここら辺も関連さして今後よく検討さしていただきたいと思います。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次に、漁船の問題に入りたいと思います。  御承知のように、漁船については漁船損害補償法ができておりまして、これに入っておるものにつきましては、今次災害によって沈没その他損傷等の損害を受けた場合にはその保険を受けることができるわけでございますけれども、今日の全国三十七万隻からある漁船のうち、本法の適用を受けておるものの状況というものについては、これはまたこれからの段階というところであろうかと思います。私は、この漁船の損害等について、農林省から災害ごとにいろいろ資料が出る場合に、漁船災害補償法の適用を受けておる漁船の損害状況、適用を受けてない漁船の損害状況、こういうように区分をして損害の状況を報告せしめて実態を把握することが必要であろうかと思うわけでございますけれども、先般も水産庁の方にお伺いしましたところがそういう状況については今の段階でもわからないということでございますが、やはり、この漁船損害補償法の適用を受けていない漁船については、公庫融資で建造資金を準備しなければならぬ、こういうことにも相なって参るわけでございますから、そういう関連からしまして、そういう漁船に対する速急な手を打つためには、やはり、法の適用の部分と適用外の部分との災害の実態を速急に把握する、そうして漁船に対する災害対策の万全の措置を講ずる、このくらいのことは水産庁として災害の場合には当然やるべきではないかという工合に考えるわけでございます。今の段階において、この漁船の約二億一千九百万に上る、船の数にいたしまして二千八百五十五隻に上る災害の保険適用の問題と保険適用外の問題についての状況がおわかりでしたら、一つ報告を願いたいと思います。
  45. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 漁船の被害の状況、  これは県からの報告によってわれわれ掌握をいたしておるのであります。また、漁船保険に加入いたしております漁船の全損の状況につきましては、漁船保険組合から目下計数を整理中でございます。まだ本日の段階においてお手元にお届けできないことをおわびを申し上げたいと存じますが、御承知のごとく、毎年漁船保険の加入状況が進捗いたしまして、トン数にいたしまして全体の約六割見当のものが現在加入をいたしておる状況でございます。おそらく、災害を受けました船につきましても、大体その六割くらいは保険に加入しておるものではないか、かように考えておる次第でございます。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の点につきましては、先ほど指摘いたしましたように、やはり、災害対策の万全を期するという意味において、保険の適用を受けておる漁船の問題と、いまだ適用を受けてない漁船の問題についての災害の実態を早急に水産庁として把握する、こういう心がまえで今後対処してもらいたいと思うわけですが、この漁船の問題に対する公庫融資の準備金というようなものについては、どの程度であれば万全であるというふうに現段階においてお考えか、お伺いしたいと思います。
  47. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 漁船の災害復旧につきましては、十トン以上の漁船に関しましては漁船建造の一般融資のワクの中から建造の融資をし、十トン米満の漁船に関しましては、指定災害の中で指定をいたしまして、これを取り上げて融資対象といたしておる、こういう事情でございます。そこで、どのくらいな額なら十分かということにつきましては、ただいま申し上げましたようにまだ調査の段階でございますので、的確には申し上げかねるのでありますが、ただ、現在、漁船の建造に関しましては、たとえば昨年度は、三十五億の建造のワクがあるのに対しまして、公庫の方ではさらに十億ばかり余裕金を回しまして、これが建造に対して力を添えておる、こういうふうな状況でございまして、われわれといたしましても、さらにこの傾向を順次伸ばして参りたい、かように考えておる次第であります。
  48. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますので、次に漁具並びに養殖の問題に入って参りたいと思うわけでございますが、御承知のように、この二つの問題は天災融資法の適用下の問題でありますけれども、本年度災害では、この漁具、養殖にかけての被害総額は約十九億に上っておりまして、このうらで、養殖関関係では、特に東北方面のカキ、ノリ、あるいは私の選挙の地元であります三重県においては真珠関係、ノリ、こういうものが養殖関係では大きな要素になっておることは御承知通りでございますけれども、この漁具、養殖関係の天災融資法の関係において、損害が先ほども申しましたように約十九億に上っておるわけですが、具体的に、この天災融資法による融資等の適用状況等について、今どういう段階になり、いつごろまでにこの問題については措置できる、こういう点について少しお話し願いたいと思います。
  49. 斎藤誠

    斎藤(誠)政府委員 天災融資法の適用の状況はどのように進行しているかという点でございますが、漁港関係ばかりでなしに、今回の二十一号、二十二号を含めましての農林漁業者全部に対する天災融資法の適用の問題でございますので、私から便宜答弁いたします。  御承知のように、八月までの災害につきましては、すでに適用をいたしておるのでございまして、具体的に各県に通知しておるのであります。二十一号、二十二号、つまり九月以降の災害につきましては、ようやく農作物被害状況等も判明いたしましたので、目下大蔵省と法制局と最終的な折衝をいたしておる段階でございますので、折衝が済み次第最大限度時間の問題として進めて参りたい、かように考えております。
  50. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農業関係の問題については、御承知のように、農業災害補償法が現実にあって、減収その他の問題に対しては対処し得るということに相なるわけでございますけれども、今日、漁業関係については、昨年米漁業共済の問題が発足いたしましたけれども、現実にはまだこれはこれからの段階であって、災害による漁業関係の減収という問題については、これは十分対処し得ない。いわゆる天災融資法によるところの融資のみによらざるを得ない。しかも、農家については、自作農創設維持資金がございまして、その面からの融資という問題もあるわけでございますけれども、現実に漁業関係におきましてはそういう問題がいわゆる法の適用も受けない、こういうことで、やはりこれらの問題を彼此検討いたしました場合に、現段階において、災害を受けた場合の農家に対処し得る法の適用範囲、それから漁業者に対する法の適用範囲という問題については、今後の問題としてやはり十分検討を要すべき問題かあるのじゃないかというふうに考えるわけですが、この問題に対する水産庁長官のお考えを伺いたいと思います。
  51. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 われわれは、今、養殖関係に関しまする災害融資は、天災法でやりますのは天災法の性格上当面の経営に必要な資金融通であります。従って、長期に施設をいたしますのに必要な災害復旧と申しますのは、農林漁業金融公庫融資を仰がなければならないのでございます。たとえば真珠のいかだ等の施設双については、やはり農林漁業金融公庫融資を仰がなければならない。ところで、ただいま御指摘がありましたように、災害融資に関しましても、これはやはり返還という問題が常につきまとうのでございまして、従って、金融ベースに全然乗り得ないものについては、信用保証等のいろいろな措置を講じましても、なかなかにこれは乗せ得ない面があるように存ずるのでございます。漁業は、御承知のごとく、特に沿岸漁業の面におきましては、金融ベースに乗り得ない部分が非常に広いのでございます。そのために御承知のような特別な信用保証制度等も設けておるのでありますが、なお一そう信用保証制度の利率の引き下げ、その他この運用の合理的な改善、さらに単位漁協の強化等の方法をさらに進展させない限りにおいては、災害についての国の対策が末端まで浸透していくという程度が漁業においては非常に不十分であるということは、私ども率直にこれを痛感いたし、なお今後これか改善に努力をいたして参りたい、かように考えております。
  52. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間の関係もありますので、最後に、災害における農地等の関係の場合には、これは表面に出ておるところでございますから、農地復旧という問題が当然に法の適用で出て参るわけでございますけれども、この漁港あるいは共同施設その他いろいろの問題と違いまして漁場の災害による荒廃、こういう問題については現行法規上では何ら法の適用を受けるという形になっていないわけでございます。水の中でございますから、漁場の荒廃がどういう程度になり、どういう手を打つべきかということは必ずしも農地ほど明らかではございませんけれども、しかし、災害に伴いますところの漁場の荒廃ということは当然相伴う問題でございまして、水産庁では、本年度の災害関係でも、漁場復旧関係という項目補助関係を一項目起したわけでございますけれども、予算関係を見ますと、これは法もないわけですから適用除外ということになって削除されたのかと思いますけれども、こういう漁場の荒廃に伴うところの関係法規というものについては、当然今後検討すべき問題だと考えますが、いかがでございますか。
  53. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 ただいま御指摘がございましたように、漁場の荒廃に関しましては、この実態がなかなかつかみにくくて、従って、場合によっては非常に誇大にそれが言われるということもあり得るのでございます。しかしながら、実態が真に漁場が埋没しあるいは流木か沈んで操業に支障を来たしておるというものにつはましては、先ほども申しましたように、それぞれ、現在の法律の上には乗りませんれけども、予算措置として相当手厚い、たとえば棟早の場合について申し上げますれば、六割五分の高率の補助によりまして漁場の回復をいたしたような次第でございます。今回の二十一、二十二号災害につきましては、実は実態的には漁場の埋没というような問題は起っておらない次第でございますが、しかし、十七号台風につきましては若干そういう問題もございますので、目下検討をいたしております次第でございます。
  54. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に一つ希望を申し上げておきたいと思うのですが、先ほど来申し上げておりますように、農林水産関係の全体的な施策の遂行という場面で、災害の問題を一つとらえましても、農業関係、休業関係、水産関係、彼我想比較をいたしまして、これが対象である農家、漁家というものが災害を受けた場合の法の適用関係、あるいは災害によるいろいろ融資その他の問題の関係、こういうことについては今後十分抜本的に検討を加えられまして、そうして、水産関係について言うならば、従来から水産日本と言われておるその実績が、災害等によってジリ貧にならい形において、十分なる対処ができるように希望いたしまして、きょうは、時間の関係もありますので、私の質問は希望を添えて終りたいと思います。
  55. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 本号はこれにて散会いたします。     午後二時三分散会