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1958-10-15 第30回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十五日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 松浦周太郎君    理事 大野 市郎君 理事 吉川 久衛君    理事 助川 良平君 理事 丹羽 兵助君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 石田 宥全君 理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    赤澤 正道君       秋山 利恭君    五十嵐吉藏君       今井  耕君    大森 玉木君       金丸  信君    倉成  正君       田口長治郎君    高石幸三郎君       内藤  隆君    永田 亮一君       濱地 文平君    松岡嘉兵衛君       八木 徹雄君    保岡 武久君       足鹿  覺君    角屋堅次郎君       神田 大作君    久保田 豊君       栗林 三郎君    中澤 茂一君       中村 時雄君    西村 関一君       松浦 定義君  出席政府委員         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         農林事務官         (農地局長)  伊東 正義君         林野庁長官   山崎  齊君  委員外出席者         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    諌山 忠幸君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      武田 誠三君         通商産業技官         (公益事業局水         力課長)    篠原  清君         建設事務官         (河川局次長) 曽田  忠君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月十五日  委員倉成正辞任につき、その補欠として森下  國雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森下國雄辞任につき、その補欠として倉  成正君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林漁業災害に関する件      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。  農林漁業災害に関する件につきまして調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。倉成正君。
  3. 倉成正

    倉成委員 私は今次の静岡伊豆地方中心として襲いました台風二十二号の災害中心として御質問をいたしたいと思います。  今次の台風が、その規模の大きさ、また被害の深度において未曽有のものであったことは言を待たないところであります。この災害によりまして、家財道具を全部流され、家畜を失い、人命を失い、部落壊滅状態に達したところがあるのでございます。たとえば静岡県の白山堂あるいは熊坂、御門、こういうふうな部落などは、部落が全部なくなったと言ってよいほどの状態でございます。こういったところの再建のためには、従来のような融資制度その他ではとうていこの災害復旧、民生の安定ができないのでありまして、抜本的な対策を講じなければならないというふうに確信いたす次第でございますが、まず、こういった壊滅状態に陥った部落、こういったところに対してどのような施策を講じて復旧対策に当られておるかということについて政府の御方針を伺って、順次私の質問に入りたいと思います。
  4. 石坂繁

    石坂政府委員 ただいまの倉成委員の御質疑でございますが、御質疑通り、今回の伊豆地方台風二十二号によって受けました損害というものは非常にひどいのであります。私も対策本部長と一緒に農林省係官と同道いたしまして現地をつぶさに視察いたしまして、現状は一通り認識をいたしております。従いまして、農林省といたしましては、その所管事項に関する限り、時期を失せず食糧、飼料、建築用材等の供給に迅速的確を期しますと同時に、順次調査を進めて、今日までできる限りの対策を講じておるわけであります。ことに、家を流され田畑を荒廃された人たちの惨状に対しては、最も急を要するのでありまして、それぞれの処置をやって参っております。なお、田畑荒廃等につきましては、その被害現地に臨みまして、係官より県の当局に対しまして、それに対する助言をなし、あるいは指示を与えて参っておるような次第でございます。政府といたしましては、御承知通り、とりあえず対策本部を立て、現地を詳細に視察いたしておりますが、各省各係におきましては万遺憾なきを期するように努力をいたしておるような次第でございます。
  5. 倉成正

    倉成委員 ただいま政務次官の御答弁で、この対策について対策本部におかれて万全を期しておられるということで、私も非常に力強いものを覚えたのでございます。問題は、これらの壊滅状態部落方々が学校とかあるいはお寺とかあるいは親戚の家に仮宿いたしておりまして、今後の生活をどのようにしたらよいかということを非常に不安に思っておるわけでございます。従って、対策は、抽象的ではなくて具体的に、住宅をどうするか、あるいは今後の生活資金をどうするか、また、壊滅状態に陥った農地復旧、そういったものをどのようにやっていくか、負担能力の全然なくなった農民が今後の再建の道をどのような方向でやっていくかということを具体的に示すということが政府のとるべき道であろうかと思うのであります。そういった意味において、もう少し具体的に、住宅生活資金あるいは営農農地復旧というようなことについての、またこういった当事者の負担能力ということを考えて、被災者立場に立って、安心のできるような施策を御答弁いただきたいと思うのでございます。
  6. 石坂繁

    石坂政府委員 まことにごもっともな御質疑でございまして、順次政府のとって参りました具体的の処置及び今後の方策について当然申し上げなければならぬと思います。  そこで、ただいまの御質疑のうちの第一の問題は住宅の問題でありますが、この仮設住宅用の資材といたしましては、静岡県から要請のありました分はたしか五千二百石の要請があったそうであります。それに対しまして、沼津営林署及びその他から三千八百石をとりあえず送ることにいたしまして、その大かたは現地でもうすでに製材、切り込み等をやっておると思いますが、その余の分につきましても、県の要請があり次第適宜に間に合いますように処置いたす手だては立てております。  農地復旧につきましては、先ほども一言いたしました通りに、できるだけ早期に復旧のできますように、現地におきましては助言なり指導をして参ったわけでありますが、農林省といたしましては、耕地の復旧につきましては、明年度の作付にぜひとも間に合うように、こういう方針のもとに、今鋭意検討計画を立てて参っておるような現段階でございます。  生活資金の欠乏しておる人たちに対しまして、これまたごもっともな御趣旨でありますが、これに対しましては、天災法の適用なり、あるいは農林漁業金庫融資等によりまして、できるだけ当面の生活の立つようにいたしますと同時に、救農土木事業あるいは失対等関係におきましても、できるだけその人たち生活資金が得られるようにいたしたい考えであります。
  7. 倉成正

    倉成委員 ただいまの政務次官の御答弁は、その御誠意はよくわかるのでありますが、非常に抽象的な域を脱しないのでございます。仮設住宅の起請がございましたが、厚生省所管仮設住宅というのは全く臨時的なものでありまして、農家がどうしても営農を営んでいくためには、この仮設住宅でいつまでも生活するわけにいかない。どうしても生活の本拠となる住宅を作っていかなければならないわけであります。その住宅を作るのに具体的にどういった施策があるか。現在の制度から申しますと、住宅金融公庫のワク——大体この地区乙地区丙地区と思いますが、二十二万程度資金融通がかりに得られたととしても、そういった資金が来るにすぎないのであります。そういったことではとうってい、私どものかっての諌早経験からいたしましても、農家住宅建設はできでないのでありまして、そういった点についてどういったあたたかい御配慮があるかどうかということをお伺いいたしたいのであります。  同時に、農地につきましても、現在の農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助暫定措置に関する法律によりますと、被害激甚地につきましてはある程度補助率が上るようになっておりますけれども、このように壊滅状態に達しあるいは労働力を失った農家等におきましては、とうてい負担能力が出てこない。表現を極端にいたしますならば、全額国庫負担をもってこの復旧をやってやるというくらいの気がまえがないと、これらの被災農家は立ち上ることができないのであります。従いまして、二十八年災害政府がとりましたような、あのような施策をもってこういった農地復旧あるいは農業施設災害復旧に当るかどうか、こういった点のお伺いをいたしたいのであります。  なお、生活資金の問題につきましても、自作農維持資金というのが現在の制度の中において一番役に立つ資金であるということを私どもは従来の経験から徴して考えておるのでありますが、こういった伊豆地方のみならず二十二号台風被害を受けました地域に対して、現在自作農維持資金ワクがどれだけあるか、また、これが足らないとすれば、どういった心組みをもっていつこの資金を配布するか、そういった具体的なことを被災農家にお示し願わないと、ただ抽象的に誠意をもってやっているということでは、被災農家の立つ場に立って仕事をしているということにはならないのであります。そういった点をもう少し具体的に、被災者立場に立って、あすの生活に困り不安におののいている被災者気持になって御答弁をいただきたいと思うのでございます。
  8. 石坂繁

    石坂政府委員 決して責任を転嫁いたしましたりあるいは被災者実情に目をおおうような気持は全然ないのであります。私も、先ほど申し上げました通りに、現地をつぶさに見、被災者方々にも直接会って参っております。一通り気持は私は持っておるのであります。従いまして、できるだけその被災者のことを考え被災者の今日の状況を一日も早く除去いたしたいという一念から、役所をあげて努力をいたしておるような状況でございまして、抽象的に申し上げましたことに対する重ねての御質疑でありますけれども、この点は、ただ抽象的の表現ですけれども、御了解願いたいと思います。  仮設住宅の問題につきまして、なるほど、倉成委員の仰せの通りに、いつまでも仮設住宅に住んでもらうわけには参らぬのであります。しかしながら、農林省の当面の処置といたしましたことは、先ほど静岡要請の五千二百石に対しまして三千八百名は処置いたしましたが、さらに被害構築材の二百戸分二千五百石余りは、いつでもこれは処置できることにいたして起ります。  なお、そのほかの営農資金なりあるいは金庫資金問題等、具体的の問題につきましては、農地局長がきょう見えておりますから、農地局長から一通り答弁をいたします。
  9. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問のありました自作農資金でありますが、これは御承知通り、ことしのワクは七十五億でありましたが、この二十二号発生までに七十億五千万円使ってございまして、四億五千万円残っております。そのうち、とりあえず、まだ統計調査部から作物被害報告は出なかったのでございますが、被害激甚地でありました静岡県だけに対しまして、残りの四億五千万円の中から一億五千万円を実は内渡しとして渡してございます。残りは三億しかございませんので、われわれといたしましては、被害報告がはっきりいたしましたならば、それに基きまして、これの増額につきまして、農林漁業金融公庫の中に予備費もございますので、その交渉もいたし、また、足りません場合には、これは当然財政当局に話をするというふうなことを、やりまして、なるべくこの自作農資金ワク増額に努めまして、災害地復旧促進のため適正に配付して参りたいというふうに考えております。
  10. 倉成正

    倉成委員 住宅の問題については、政務次官まだよくそういう制度の内容を御存じないと思いますので、十分御研究なさって、具体的に農家住宅をどういうふうに建設していくか、——現在の制度ではとうてい農家住宅建設できない。たとえば住宅に付設する納屋がございますが、そういった納屋を入れた農家を建てるとなりますと、幾ら粗雑なものを作りましても五十万以上かかるわけであります。そういったことを少し具体的にお示しいただいて、安心して生活ができるような方向を示すということが政治の要諦ではないかと思うのであります。この点は、重ねてただいま御答弁を求めませんが、早急な研究をお願い申したいと思うのであります。  なお、自作農維持資金の問題につきましては、ただいま農地局長から静岡の場合約一億五千万というお話がございましたが、かりに一戸当り十万円としましても、わずかに千五百戸の分でございます。ところが、一戸当り自作農資金十万円という金は、これだけの災生を受けました場合にはもう焼け石に水のようなものでございまして、とうていこういったものでこういった悲惨な農家の窮状を救うわけには参らないのであります。現在自作農資金頭打ちが二十万円と聞き及んでおりますが、どうしてもこのワクを打ち破って大幅に自作農維持資金制度を活用してこの被災農家生活の安定を期するというのが現行制度の上において一番適切な方法であろうかと思うのでありますが、自作農維持資金ワク財政投融資計画を変更することによって大幅に増大して、被災農家にこれを割り当てる、こういった準備をされておるかどうかということをまず第一にお伺いいたしたいのでございます。
  11. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問通り自作農資金ワクは全部で一応二十万といこうことになっております。これは、昨年の災害平均率等をとってみますと、大体一戸当り十四、五万平均になっております。静岡県に対しまして、私今一億五千万円と申したのでございますが、これはまた被害がはっきりいたしません段階におきましての内渡しとして出したのでございまして、私はこれで十分だとは思っておりません。被害のわかり次第当然追加ということもあろうかと思っております。ただ、二十万のワクをはずしてもっとこの限度を増加するかどうかという御質問でございますが、われわれといたしましては、これはまた償還等の問題とも関連がございますし、過去の災害等におきましても大体その限度の率でやって参れたというように考えておりますので、二十万というワクは一応そこに置きまして、この限度一ぱい貸していくというようなことを考えワクの増大をはかっていきたいというふうに考えております。
  12. 倉成正

    倉成委員 重ねて自作農維持資金について申し上げますが、自作農維持資金は、決して災害資金でもなければ生活資金でもないのであります。しかし、現在の制度の中ではこの資金を活用する以外にないということがわれわれの従来の体験からまた研究から出ました関係上、自作農維持資金を特に強く強調しておるのでありまして、償還能力の問題その他いろいろ自作農維持資金には大きな制約がございます。しかし、こういった壊滅状態に達した農家に対しましては、自作農維持資金のいろいろなそういう償還期限の問題あるいはいろいろな制度上の制約、こういったのを改正してでもこの資本金を活用していくというのがほんとう対策ではないか、さように私どもは確信いたしておるのでございますので、そういった点について、この自作農資金についていろいろ繁雑な手続が要る、いろいろな制約があり、また二十万という大きなワクがあるわけでありますけれども、こういった手続をもっと簡素化して、制限をもっと緩和してワクを拡大する、こういったことについて農地局長のお考えをお伺いしたいと思います。
  13. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問がございましたように、自作農資金の本来のねらいといいますのは、災害対策ではございませんで、別な方にございますので、これは先生のおっしゃる通りでございます。われわれとしましても、災害の場合にこの自作農資金を活用するということは当然のことでございますが、このほかに、天災融資資金でございますとか、いろいろ各方面の総合対策考えまして、その一環としてこの自作農資金考えていくというような態度でおりますので、今このワクをすぐに二十万を破りましてもっと増額するというところまで実は考えておらぬ次第でございます。  ただ、手続きの問題につきましては、御質問が、ございましたし、また、災害にかかられた方々が未られまして陳情の際にも、この手続が非常に繁雑であるということを再三私も伺いましたので、これにつきましては法令によりましてある程度の書類の整備も要理されておりますので、その範囲内において何とかこれを簡単にしていくということにつきましては、公庫側ともう少し相談をして、なるべく御要望に沿うようにいたしたいと思います。
  14. 倉成正

    倉成委員 自作農資金について、くどいようでありますが、もう一言申し上げておきたいと思います。自作農資金をかりに一億五千万静岡県に割り当てましても、これが末端の農家にまで行くのにはどれくらいの期間がかかるか、おそらく政務次官農地局長御存じないと思うのでありますが、非常な時間と手間がかかります。これが最後の農家に行き届くまで一つ責任を持ってやっていただく、そのくらいの御熱意と御研究を特にお願い申し上げたいと思います。  なお、農地局長は、いろいろほかの施策を総合的に進めて自作農資金考えていくというお話でございます。抽象的にはまことにごもっともでございますが、現在、被災農家に対する施策としましては、住宅資金自作農資金天災資金、大体これだけであります。このほかにもし農家のそういった生活の安定に資するような資金があったら御教示いただきたいと思うのでありますが、ないのです。ですから、どうしても自作農資金が大黒柱になっていく。本来の立場から言えばいろいろ理屈はございましょうけれども、現在の被災農家ほんとうに救う資金としてはこの自作農資金というものを一つの大きなよりどころとして、これらのいろいろな制約を乗り越えてやっていかなければならない、こういうことを特に強く申し上げているようなわけでございますから、この点についてもっと具体的に現地実情、そういった総合合的なものをお考えいただきまして、御検討願いたいと思うのであります。たとえば、現在の住宅資金限度一ぱい二十二万もらう、自作農資金を二十万もらう、天災資金で十万、これでせいぜい五十万足らずの資金、全部政府資金をまるまる利用できた農家ですら入ってくるのはこれだけであります。これによって果して生活ができるかどうか、たくさんの労働力を失ってぼう然自失している農家がこれから先ほどのようにして立ち上っていくか、こういった壊滅都落の問題を一つ真剣に具体的に今後も御検討いただきたいと思うのであります。  なお、農地局長先ほどからお尋ね申し上げている点で御答弁がない点がございますが、二点だけお尋ねしたいと思います。  その一つは、この農林水産業施設災害暫定措置法によりますると、被害激甚地については補助率がある程度高くなる。しかしながら、また相当程度地元負担、特に農地災害については——農業用施設についてはある程度補助率が高くなってくるのでありますけれども農地災害については相当地元負担をしなければならないということになるわけであります。これはとうていこういった非常に被害のはなはだしい地域については耐え切れないと思うのであります。従って、二十八災当時の特別立法のような処置を講じて、こういった農家負担を軽減する、こういう御用意があるかどうかということをまず第一にお尋ねしたいのでございます。
  15. 石坂繁

    石坂政府委員 特別立法の問題につきましては、被災者官民からの要望もかなり強うございます。昨日はまた当委員会におきましての決議のうちにもそのことがうたってあるようでありまして、私どもも十分に検討いたしたいと思っておりますが、今日の段階におきましては、まだ特別立法をするかしないかという点につきましては慎重検討をいたしておる段階であります。
  16. 倉成正

    倉成委員 農地局長にお尋ねしますが、農地被害復旧の場合に、被害激甚地は、おのおの事情が違いましょうけれども、大体どのくらいの負担になるか。これはかつての熊本あるいは諌早その他の水害地等の実例がございますので、そういった点をまずお尋ねして、それのお答えをいただいて、果してそれだけの負担力農家にあるかどうかという御見解をお伺いしたいと思います。
  17. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問でございますが、今の法律は、二十八年の大災害経験にかんがみまして、三十一年に法律を改正して現行法になっております。今先生のおっしゃいます通り農業用施設につきましては最高十割というところまで補助率が累進してございますので、これは昨年度の例でございますが、練早等に大水害があったのでございますが、その際の例で考えますと、現行法で参りまして、高いところは農業用施設につきましては補助率が九六%くらいになっております。でありますので、激甚地につきましては、おそらくほとんど九割以上の補助率になると思います。それから、農地でございますが、これは実は農業用施設と若干違いまして、最高が八割で頭打ちになっております。それで、昨年の例で参りますと、これは伊万里市でございますが、適用しましたものは、農地は七劇七分の補助率ということになっておりまして、これも激甚地はおそらく七割と八割の間に入ってくるのじゃなかろうか。でありますから、農民負担としましては二割何分というような、これははじいてみませんと結果はわかりませんが、二割何分かの地元負担が出るということになろうかと思います。
  18. 倉成正

    倉成委員 ただいま農地局長から御答弁ございましたが、農業用施設については、ある程度、八割から九割程度補助率になるという点については私も認めたいと思うのでありますが、農地につきましては、伊万里の例をお引きになりましたけれども被害激甚地等すべて一応試算してみたところによりますと、大体五割から七割の間です。ですから、どうしても四割ないし三割の負担をしなければならないということになっておるようでございます。これは今までの被害実績地実情調査したところによりますとそういうことになっております。そういたしますと、四割ないし三割、あるいは場所によっては五割というような負担をしなければならないということになりますと、非常に農家のこういった負担能力という点から言って無理な負担になってくるわけであります。そういった点については、先ほど政務次官から特別立法について検討中というお話がございましたが、負担能力の点から、これはどうしてもある程度の特別な処置を講じないとやっていけないということになるわけであります。この点の御見解をもう一度お伺いしたいと思います。
  19. 伊東正義

    伊東政府委員 数字のことでございますが、先生から五割ないし七割くらいの国の補助たというお話でございましたが、私ども昨三十二年度に法律を適用しました町村が全国で八十町村ございます。これは長崎が一番多いのでございますが、これを平均いたしますと、農地補助率は七割三分になっております。それから、農業用施設は、先ほど高いところは九割六分と申し上げましたが、平均いたしますと九〇%になっております。率から申し上げますとかなりの率になっております。また、農地農業用施設の違いにつきましてどうかという先生の御質問でございますが、これは、先ほど政務次官から御答弁がありましたように、特別立法の問題になりますと、おそらくその点が一つ大きな問題になろうと思いますので、政府といたしましては、先ほどの御答弁通り検討中でございます。
  20. 倉成正

    倉成委員 農業用施設がある程度公共的な色彩を持ち、農地が個人的な色彩を持つということはよく承知しておるわけであります。ただ問題は、そういった三割ないし四割、あるいは場所によっては五割近い負担をしなきゃならない、これが現在の農家負担能力で耐え得るかどうか、そういった見地から、やはり、この災害復旧ほんとうにやってやるためには、そういった特別の処置が必要じゃないか、こういうことを申し上げておるのでありまして、農地農業用施設と本質的に性質が違うのがおかしい、そういったことを御質問しておるんじゃないのです。農家負担能力から考えてこれは無理じゃないか、どうしてもあたたかい処置を講じてやらなきゃいかぬのじゃないか、二十八災の例があるじゃないか、これが私が申し上げたい点でございます。この点についてまだはっきりした政府の態度はきまってないようでございますが、しかし、この点は、農家負担能力という点から考えましても、ぜひこういった特別な処置を講じていただくことが適切であるというふうに考えますので、なお一段早急に結論を出していただきたいと思います。  なお、従来災害でいつも問題になりますのは、十万円以下の小災害の問題でございます。この小災害は、ちょっと考えますと、会計検査院等の関係上、あまり小さい災害を取り上げると非常に繁雑で困るという点もございます。二十八災のときの例から考えますと、そういう点がありますけれども、しかし、農家にとっては、十万円以下の被災でありましても、農地等について非常に大きな負担になってくる。どうしても復旧ができないということになりますので、何らかの形においてこの十万円以下の小災害を救済していかなきゃならないと思うのでありますが、こういった救済の方法についてどういった具体策をお持ちになるか、お伺いいたしたいと思います。
  21. 伊東正義

    伊東政府委員 小災害でございますが、これにつきましては、私どもといたしましてはなるべく、今の法律で救えるものは、ある程度法の解決のできます範囲内で救っていくというような考えを持ちまして、実は通牒を出したりいたしまして、従来は、農地農業用施設がおのおの接続いたしておりましても、おのおの十万円以上でないと取り上げぬというような格好になっておりましたが、これは農地農業用施設と一緒でもいいじゃないか、それで十万円であればいいじゃないかというようなことも、具体的な例示をいたしまして、ある程度法の許される範囲内で救っていくということを実はいたしております。それでも救い切れぬものにつきましては——実は、私どもの方といたしましては、これを全部二十八年災のときのように、あれは三万円以上でございましたが、そこまで広げてやっていきますことは、いろいろ査定の能力の関係からいたしまして、そこまでやることがほとんど不可能に近い。実は二十八年災の際もそれが十分できませんのであちこちで問題を起したのでございますが、われわれの事務能力からいたしましても、件数が実に膨大になりますので、われわれといたしましては、先ほど法律の解釈で救えるものは救いまして、そのあとは、実はできますれば地方公共団体が起債でやっていく、その起債の大部分のものを交付税で見ていくというような形でやりますことが、一々こまかい分の査定をせぬでも済みますし、一番実情に合うのではなかろうかというような考え方からいたしまして、今自治庁に起債の問題について話をしましたり、政府部内でよりより相談をいたしております。それが私どもとしては一番実情に合うのではなかろうかというような考えを持っております。
  22. 倉成正

    倉成委員 小災害について農地局長の御所見を伺いましたが、私も局長の言われる通りごもっともと思うのです。たた、問題は、こういった小災害について、町村等が事業主体となってやった場合に、自治庁が災害債として認めるかどうか。それがはっきり確認されないと、こういった小災害が非常に見捨てられてしまう。末端において不幸に泣く農家が出てくるということになりますので、ばく然とそういった点は災害債で見るということではなくて、最後まで十分詰めて一つ検討いただきたいと思うのです。  なお、諌早災害のときと記憶いたしておりますが、同一水系の中に立つこういった災害は一カ所にまとめて取り上げる、こういった処置を、今度も小河川の氾濫が非常に多かった災害でありますから考えていただけば、非常に実情に適するのではないかと思いますが、そういったお考えはやはりお持ちであるかどうか、重ねてお伺いいたしたいと思います。
  23. 伊東正義

    伊東政府委員 災害債の問題は、お説の通りでございますので、十分自治庁の方とも最後まで詰めたいと思っております。  それから、諌早の例で、同一水系のものは、これは普通河川のお話でございますが、われわれとしましては、当然従来と同様という考えでございます。
  24. 倉成正

    倉成委員 次に農地局長にお尋ねいたしたいと思いますのは、反当事業費の最高限、——従来、いろいろな計算方法によって災害復旧をやります場合に、非常に経費がかかる場合についてはこれを見捨てるというようなことが行われておりますが、現在の二十二号台風についてどういったお考えをお持ちになっておるかということをお伺いいたしたいと思います。特にワサビ田の場合には復旧費に相当経費を要すると思うのでありますが、少し具体的に御教示いただきたいと思います。
  25. 伊東正義

    伊東政府委員 反当の復旧事業費の限度の問題でございますが、これは実は法令に規定がございまして、計算の方式を法令で示しております。われわれ、その法令を使ってやりますと、二十五、六万から三十万くらいの見当の反当の事業費の限度というものが出て参ります。でありますので、今度の場合もその法令の方式でやはり反当の事業費の限度考えていくつもりでございます。ワサビ田の問題は、普通の農地とだいぶ復旧費が違いまして、百万をこえるということを言われているのでございますが、われわれとしましては、ワサビ田の問題は普通の農耕地と同じ限度考えまして、その限度を越えますものにつきましては、融資その他の画で世話をしていくというような考え方でやりたいと思っております。
  26. 倉成正

    倉成委員 従来、災害が起りまして、農林省それから建設省が査定をやられるわけでございますが、この査定の場合に、農林省建設省とが非常に意見の食い違いが起ってくるという点で、現地で非常に困っておるような実情があるわけでございますが、この査定について、特に普通河川の場合にこれを建設省でやるかあるいは農林省でやるかというようなことはいろいろむずかしい問題があろうかと思うのであります。また、準用河川の場合におきましても、河川の復旧建設省所管でやるといたしましても、これと関連する農地が当然あるわけでございますから、よほどうまく個々の関連をとらないといかないわけでございますが、そういった査定についてどういう順序とお打合せをされておるかということをお伺いしたいと思います。
  27. 伊東正義

    伊東政府委員 査定の問題につきましては、災害の場合に時を急ぎまして非常に早くやらなければならぬという問題と、今お話のありましたように、特に河川の問題をどこまで建設省で見るか、どこまで農林省で見るかという調整の問題と、二つあろうかと思うのでございますが、今の後段の建設省の問題につきましては、現地でそういう問題が起きますことははなはだまずい問題でございますので、農林省としましては本省で建設省と打ち合せて調整をとってやっております。それが下部に徹底せぬことがございましたら、一つわれわれの方でも今後十分注意をいたしたいと思います。それから、査定を急ぐ問題でございますが、これは、農地の問題は河川と若干違いまして平面的に非常に広がる問題でございますので、はなはだおくれていて申しわけないのでありますが、二十二号につきましては、十一月の上中旬までには県から資料をもらい査定を終ってしまいたいという考えでおります。
  28. 倉成正

    倉成委員 次にお尋ねしたいのは予約米の概算金の問題でございますが、農家がすでに政府から受け取っております概算金、これは、静岡県のみならず各県、二十一号、二十二号、非常に大きな金額になっておると思うのでありますが、これを被災農家にすぐ返せと言うことは非常に無理なことではないか、どうしても延納処置を講ずる、あるいは利子補給を考えるということか必要になってくるわけでありますが、この額はどのくらいあるか、またどういう対策を講じておられるかということをお伺いしたいと思います。
  29. 石坂繁

    石坂政府委員 金額の問題についてのお尋ねもありますので、その点をまず事務当局の方から……。
  30. 諌山忠幸

    ○諌山説明員 災害程度も今集計中でございますので、概算金が返らないという金額はまだ数字的に出ておらないわけでございます。で、先般も、非常に災害を受けた東北地帯に対しましては等外米も予約の中で買い上げるというような処置も講じておりますし、それから二%水分アップのものも買うというような処置も講じまして対策を講じておりますので、予約で相当のものが出てくる、——普通でございますれば、このくらいの災害になりますと百五十万くらいの補正が出るのじゃないかと考えておりますけれども、実際上は、それが、品質が落ちても政府が買うということによりまして、概算金の米返納になりますのはそう多額には上らないのじゃないかというような気持でおりますが、まだ全国的にどのくらいの数字というところまでは県の方も把握しておりませんし、私どももまだそこまでいっておりませんので、実際に供出が進んで参りましてある程度出てくるという事態になりませんと正確なところはなかなかつかめないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  31. 倉成正

    倉成委員 延納と利子補給の点はどうですか。
  32. 諌山忠幸

    ○諌山説明員 延納に関しましては、災害程度が十分に把握されておりませんので、どの程度災害になって、実際上農家が返すことができない数字というものがどのくらいになるか、今のところ新潟が一番多くて一億円ぐらい、それから宮城が三千万円くらいというところで一応陳情としては聞いておりますけれども、その程度しかまだ判明をいたしません。私ども、従来の立場では、少いところの災害といいますか、常時局部的には災害がございますので、概算金の返納の額が小さいような場合は、これは何とか系統機関の中で、あるいは県の力その他によって、そういう農協に対してある程度の援助ができるようなことを一つ考えてもらいたい。そういう意味では、従来からも北海道災害のような特別大きな災害以外は国で利子補給をいたしておらないようなことになっておるわけでございますが、ことしの問題は、ここらあたりの数字がまだ十分に把握されておりませんので、相当これが多額に上って参りまして、系統機関の相互扶助その他によっては、あるいは県の力ぐらいではなかなかやりにくい、そういう線がはっきりいたしますれば、一応そういう線も大蔵当局と折衝いたして参りたいというような考えでございます。
  33. 倉成正

    倉成委員 数字の問題はいろいろ御検討の余地があろうかと思いますが、今度の災害は非常に深度の深い激甚な災害でございました。従来は、農家とお米を出す契約をしているのは集荷団体である農協あるいはその上部機関であるというような見解に立って、どうしてもそういった概算金の返納とか利子補給の問題は政府がある程度うしろの方に引っ込んでしまった関係があるわけでございます。しかし、現実の問題としては、農協も相当資金繰りが苦しいし、実際問題としてはそのしわが寄ってくるのがやはり農民になってくるわけです。ですから、これほどの大きな災害になって参りますと、どうしても政府責任を持ってこの延納の問題あるいは利子補給の問題について対策を講じていただくことが適切であるというふうに考えるわけでありますので、この点についても、十分実情に適するように、単に法律上の契約に基いて農協が集荷機関であるというようなことによって政府責任を回避されないように、特に強く御要望申し上げたいと思います。  なお、被害農家に対して国が都道府県市町村を通じまして自家消費量を基準とした食糧を生産者価格で売り渡す、これは、麦の場合には逆ざやでありますので問題でありませんが、お米の場合に特に問題が出てくると思いますが、こういった売り渡し処置と、それから、これを無利息、無担保、また延納を認める、これには立法措置が要るわけでございますけれども、今次の災害において飯米に事欠くような農家に対しては、ぜひこういった処置が必要だと考えるわけであります。この点についてどういった御準備ををなされているか、政務次官にお伺いしたいと思います。
  34. 石坂繁

    石坂政府委員 政府の全体としての考え方は、今まで申し上げております通りに、現在の法令の範囲内において最大限度対策を講ずる、こういう考え方を持っておるわけでございますが、ただいま倉成委員お尋ねの飯用米の点についての無利息、無損保等の問題につきまして、あるいは立法措置が必要ではないかとも考えられるわけであります。従いまして、私が冒頭にお答えを申し上げました通りに、特別立法をやるかやらないかというような問題を含めまして、ただいま慎重に検討中でございます。
  35. 倉成正

    倉成委員 二十二号台風が過ぎましてから相当な時日がたっておるわけでございますから、慎重な御検討はけっこうでございますが、一日も早く政府最高方針を示すということが、やはり被災農家に対する最も大きな救済策であろうかと思うのでありますので、この点特に強く、政府方針を一日も早く確立する、そしてこれを農民の前に示すということをお願い申し上げたいと思います一。  最後に、治山治水の問題であります。今度の災害は特異な地形、火山灰地域あるいはその他特殊な問題があったようでございますが、どうしても将来こういった災害を最小限度にするためには治山治水、砂防工事というものをもっと積極的にやらなければならないと思うのでありますが、現在この災害を契機としてどういった施策を講じようとされておるか、お伺いしたいと思います。
  36. 石坂繁

    石坂政府委員 治山治水の問題はまことに仰せの通りでございます。ことに、伊豆半島におきましての山くずれ等が非常に個所も多く、被害も激甚であります。この際恒久的な治山治水を一日も早くやる必要を認めておるわけであります。それに対する具体的な方策につきましては林野庁長官からお答え申し上、げます。
  37. 山崎齊

    ○山崎政府委員 今年度の山地の被害一万七千町歩、国費にいたしまして八十億円の復旧費を要するという現状であります。このうちで住宅関係その他施設あるいは農地等の関係で緊急に復旧を要しますものか国費にいたしまして七億三千万円程度必要と思うのであります。治山事業におきましては年度当初から年々の復旧状態から見まして四億二千万円程度の経費を留保いたしまして緊急復旧に備えておるのでありますが、本年度におきましては先ほど申し上げました額には三億余円の不足を来たすという現状にあるのであります。これにつきましては早急に予算措置を講ずるようにいたしたいと考えております。  なお、山地の荒廃か下流の災害の原因となっておるという現状にかんがみまして、今後におきましては、復旧の治山事業を強化してやっていくということのほかに、予防治山という面もあわせて考えまして、両者を通ずる恒久対策を立てまして、それによって治山事業を進めていきたいということを考えておるのであります。
  38. 倉成正

    倉成委員 私の質問はこれで終りたいと思いますが、最後に一言申し上げておきたい問題がございます。それは、大きな災害が起りますと、新聞紙上その他関係方面に非常に大きな関心を持たれまして、政府当局においてもこれに非常な熱意を示されるわけでありますが、だんだん時間がたつにつれてその対策について忘れられがちになる、こういうのが従来の災害経験から見ます実情でございます。従って、一日も早く確固たる政府方針を立てていただくと同時に、それが末端においてどのような効果を示しておるか、どういうふうになっておるかという最後の見届けまでを一つ責任を持ってやっていただくということが私は一番大切なことではないかと思うのであります。その点について、特に今次の災害によって悲惨な状況にある農民立場に立って、そういう格段の御努力を御要望申し上げる次第でございます。これで終ります。
  39. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 倉成委員質問の中で、政府答弁のはっきりしていない点が一つございます。今羅災農家で非常にお気の毒な人々があるのに、その飯米の安売りの問題を、目下検討中であるというようなはっきりしないお答えがございましたが、検討の余地はないのです。すみやかにそのような措置をとるような明確なるお答えをいま一応委員長から要求をいたします。
  40. 石坂繁

    石坂政府委員 ただいま委員長から特に念を押されました問題でありますが、政府といたしまして決してこれを遷延しておるわけではございませんで、ただいまとりあえずの飯米の措置はいたしております。問題は代金の支払いあるいは売り渡し価格の問題でありますが、ただいま委員長から御質問のありましたような線に沿って大蔵省と折衝中でございます。
  41. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 久保田君。
  42. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 ただいま倉成委員から重要な問題についてはほぼ総ざらい的に御質問がありましたので、私は特に現地の伊豆の被災者の一人ですから、そういう観点からこまかい問題につきまして詳しくお聞きをいたしたいと思いますので、その意味で——これは単に伊豆だけに限りません、おそらく被害激甚地では同じような問題が将来も今日も出ておると思います。そういう意味でお聞き取りをいただき、またお答えいただきたいと思うのであります。  その第一は治山治水関係でありますが、今も倉成委員からお話がありましたけれども、今度の災害を見ますと、山くずれが、伊豆で見ますると、大きなものだけで九百以上、小さなもので大体勘定がついているもので二千近くあり、もっと小さなものを入れますと数千で、勘定がし切れません。私も現地をつい四日ばかり前に歩きましたが、ほとんど無数であります。実際にはこの山くずれがありまして、それが豪雨とともに下流に来て、下流のいわゆる普通河川、小河川を押し流しまして、その周辺の人家や農地を全部つぶして、それが準用河川に出て、そこで橋や何かにぶつかってせかれて、そうして土砂と本材とそれから家屋の流れたりしたものが次々にせきを切ったような格好になって来て、沿線はもちろんの話ですが、下流に大きな被害を厚えたものと私は考えるのであります。  そこで、さっきごく概括的な問題がありましたからお伺いいたしますが、伊豆の場合、これはどこでもそうだろうと思いますが、大体において、主務大臣の指定の防災地域といいますか、そういう地域がどのくらい設定されて、今まで農林省としてはどれだけの金を入れているのか、地すべり防止等についてはどの程度の治山を実際にやっていのか、そういう点。  それから、国有林についてはある程度おやりになっておるようにまあわれわれも見ておる。しかしながら、民間あるいは公有についてはほとんどやっておらない。そして、規定によりますというと、県がやって、それに対して三分の二の補助をすることになっておりますが、その補助金がどのくらい出るのか、こういう点。  それから、今日の段階建設省に聞いてみますると、早急を要する緊急砂防だけはことしのうちにやると、こう言っておる。では基本的な計画はどうかというと、これから調査をしてやるという。どれだけそれに対して予算をつぎ込むかというと、それは見当つかぬという。こういう実情です。御説明を願いたい第三点は、そういう点について建設省所管のものと農林省所管のものとが具体的にどういうふうにマッチをして計画が立てられておるのか、実行されておるのか、天城地区全体の砂防計画が、国全体として、あなたの方と建設省とどういうふうに計画を立てておるのか、あるのかないのか、そういう計画が全体としても何カ年でやる予定であるか、あるいはないとすれば今後どういうふうに立てられる予定であるか、これをはっきりお伺いしたい思う
  43. 山崎齊

    ○山崎政府委員 第一点の御質問であります天城地区におきまして治山工事をやるものとして指出定されたものが何カ所あるかという点の御質問でありますが、これにつきましては、現在手元にその詳細な資料がないので、直ちにお答えできないことはまことに残念であります。後ほど詳細調査をいたしまして御報告いたしたいと思いますが、全体として概括的に申し上げますと、静岡県におきまする年々の林野庁関係の治山事業の工費としましてば約八千万円程度のものであると考えております。このうちの約二〇%前後が伊豆地方で行われておるというふ)に考えておる次第であります。  それから、天城地区に対しまする建設省、林野庁、林野庁におきましても民有林と国有林、この三者の治山その他の計画はどういうふうにやっているのかという点の御質問でありますが、林野庁の治山事業と建設省の砂防事業につきましては、年々県におきまして林務と土木両者におきまして主要な地点ごとに工事の計画を打ち合せまして両者の調整をはかりますとともに、それの調整のつかないものにつきましては林野庁と建設省で話し合うという形でこの両者の調整をはかっておるというのが現状であるのであります。伊豆地方災害の査定につきましては今月中に主要なものを全部終りたいという考え方でありますが、これにつきましても、現地におきましては林務と土木の両者と打ち合せまして両者の調整を十分に行う予定でございます。また、それで調整のつかないものは同様に建設、農林両省において早急に調整するという考え方で進めておる次第であります。  それと、林野庁といたしまして各河川について治山事業をどういうふうに基本的にやる考え方であるかという点についての御質問もあったのでありますが、現在の林野庁としての考え方は、各河川につきまして崩壊地その他の現状を実態把握をいたした結果に基づきまして、農地その他住家等に直接関連を持ちます緊急なものは今日体の約三分の一あるわけでありまして、この三分の一を三十七年度までに完成したいということを基本的な方針といたしまして治山事業に臨んででおる現状でございます。
  44. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一度お伺いいたしますが、今の御答弁だというと、緊急のものが今実態調査をして大体三分の一くらいの見当だ、そして三十七年度までにやるんだ、これは今まで起ったものの単なる手当でしょう。私のさっき聞いておるのは、もちろんこれは災害復旧としてやらなければならぬものですが、そうではなくて、もっと基本的な、一例をとってみれば、日本の場合におきまして、災害といいますか台風の通る地域というものは大体において見当がついておる。時によってはあっちこっち動く場合があります。しかし、伊豆のごときはほとんどいつの台風でも中心になるかその近くになる。九州等においてもそうだろうと思う。大体においてほとんど山はきまっておりますよ。そういうところについては私はもっと全体的な基本的な計画がなくてはならぬと思う。くずれたところはあとで調べて、その緊急な手当は三十七年度までにやります、そういう程度のものでなく、建設省と農林省が一体になった基本的な治山計画というものは立っておるのか立っていないのか、天城を中心として考えてみた場合、立てる気があるのか気がないのか、この点をお聞きしているわけです。
  45. 山崎齊

    ○山崎政府委員 先ほど私から御説明いたしたのは非常に不十分であったのでありますが、経常的な治山事業としましては先ほど申し上げた通りでありますが、新しく大きい崩壊等が発生したという時点に立ちまして、われわれといたしましては、この復旧治山、それから今後また崩壊するおそれのあるというところに対します崩壊防止の治山事業と両者をあわせまして、その流域に対する保全事業を行うという基本的な考え方に立ちまして、この狩野川流域につきましても、早急に建設省と打ち合せいたしまして、全体計画を立てたいというふうに考えておる次第であります。
  46. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そうすると、今お考えになっているのは、大体崩壊をしたところの復旧のための砂防工事であり、地すべり防止ということとまあ今後さらにくずれるかもしらぬからそれに対して一応の手当のあれをしよう、そういう計画を大体三十七年度ぐらいまでに一応立って実行しようと、こういうわけですね。もっと基本的な全体の総合的な計画というのはないんですかあるんですか、それを聞いているんです。
  47. 山崎齊

    ○山崎政府委員 緊急的なものに対します全体事業量の約三〇%に対しましては、先ほど申し上げましたような三十七年度までに全部やる、その他のものに対しましては、昭和四十年度までに全部の復旧をやりたいという考え方で計画に臨んでおるわけであります。
  48. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 くどいようですが、その五十年度といいますと、これから何年たつんですか。大体伊豆地域ではどれだけ金を突っ込むつもりですか。私は、こういう特に台風の進路になったようなところについては、全体の計画もさることながら、重点的にそういうところを科学的に検討をされて、もっと早期の総合的な対策を立てられる必要がぜひあるんではないか、そういう面で予算なら予算の計画がどうなっておるのかという点をお聞きしておるのです。というのは、建設関係のあれでも、治山計画は立っております。しかし、五年計画とか何とかというのは一向に実行されない。今までおそらく新しい治水計画でもって実行されたのは文書によりますと一千%ですよ。これではいつまでたってもだめであって、どうにもならぬ。そういうふうな意味で、気長に五十年度までというのは、金がないからいいかもしれませんが、もう少しやっぱり重点主議でもっと効果の上るようなものをやらないと、今後この手の台風があった場合にはいつでも下の方の川を幾ら補修してみたところが無意意味だというふうな点さえ私ども考えるわけですが、この点についての想を新しくして総合目的な計画建設省とともに立って実行される気があるのかどうか、この点を一つお伺いいたします。
  49. 山崎齊

    ○山崎政府委員 林野庁関係の治山事業に必要としまする全体計画に伴う経費は約千七百億円前後を要するものと考えておるのであります。台風の常襲地帯というふうなところに対しましては、先ほど申し上げましたような復旧治山というもののほかに、崩壊防止というものをあわせました、これを重点的にこの地帯に実施するという考え方で臨みたいと考えて、現在努力している次第であります。
  50. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それではもう一点お伺いしますが、大体林野庁所管の最上流河川の改修なり何なりはどうやっておるか、それも計画に入っておるのかどうか。かりに伊豆地域に例をとってみますと、今度は非常に上流地域が荒れておるんですね。そこは、ちょっと歩いてみますと、ほとんど改修が行われておらない。実際問題といたしましては、そういう地域の改修も含めて考えておるのかどうか、今までどうやってきたのか、この点を一つお伺いしたい。
  51. 山崎齊

    ○山崎政府委員 河川につきましては建設省が原則として工事をやることになっております。林野庁といたしましては、いわゆるほんとうの上流の渓流というものが林野庁の所管になるのでありますが、林野庁といたしましては、これの必要な地帯には簡易ないわゆるダムを作るというふうな方法を講じまして、土砂の流出を防止するという工事を現在主体的にやっておるというわけであります。
  52. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 またどうもはっきりいたしませんが、あまりこれだけに時間もとれませんから、もう一点たけお伺いいたしますが、さっき倉成さんからも御質問があったのですが、実は今の住宅の問題です。応急住宅については政府から木材を出した、これはその通りです。非常にけっこうなことだと思うわけです。しかし、あれは全くの応急でありまして、これからいよいよ本格的に家の復興をしなければならぬ。ところが、金を借りる方は、住宅金庫の金を借りましても、これまで最高二十二万円程度しか借りられないわけです。しかもそれはワクが非常に抑えられておって、それでは農家住宅なりあるいは農業経営をやるような態勢か整わないのであります。どうしてもできない。大体八・五坪とか何とかということではとうていやっていけないわけであります。かといって、また反面で、伊豆の特殊性といいますか、今の農民の実力から言って、復興のためにあまりたくさん金を借りれば、片方におきましては、この借金のために、農地あるいは公共施設の復興ができたときには農民は大体においてその借金につぶされて自分の土地を売らなければならぬという窮境に今日では立たされておるわけであります。そこで、こういう例は私は年々どこにも出ることと思います。そこで、今国有材をどうしても半値で払い下げるという程度の措置は、——無償というのは少し虫がよ過ぎると思います。ですから無償とまでは言いませんが、少くとも半値では払い下げる必要がある、うこ思うのです。特に、これは国有材だけではありませんけれども、今度の水害等では、流木だけが四万二千立米、国有林は四百石とかあるいは八百石とかいいますけれども、これらの流木なり何なりが下で非常に大きな災害をしておるのであります。しかも、現在では、その流れて来たものは非常な障害になっておるにもかかわらず、これは拾得物たというて警察が町村長に保管を命じており、動きがとれない、こういうふうな実情であります。その点は別といたしまして、私は、片万においては、農家が立ち上るための最低限の住宅をできるだけ安くやるためには国有木材の半値払い下げという程度のことはぜひする必要かあると思うのであります、これに対しては一部の法律改正でできるはずであります。法律改正さえすればできるはずであります。この意思がおありになるのかどうか。全体としては大した数量ではない。国有材の扱いから言えば、その程度の扱いをすることは、結局は、住民全体、被害者全体の救済のための根本的なあれになると思う。ふだんやかましいことばかり言っておいて、いざというときには国有材は一つもこれに対して援助しないのです。こんなばかな国有制度はありません。そし、下流の者はそれによって被害を受けるだけである。こういうばかなことはないと私は思うが、現在の法律では非常に困難なようでありますが、一部改正をすればできるはずであります。これに対して政府としては法改正をする御意図があるのかどうか。こまかい点は別といたしまして、この点だけははっきり一つお聞かせいただきたいと思います。
  53. 山崎齊

    ○山崎政府委員 災害復旧に対しまして国有林材を五割減額して売り払うことができますのは、県の行います収容施設等の罹災者の救済に必要な資材、あるいはまた市町村が管理します事務所とか学校、病院、道路、橋とかいうふうなものの応急復旧に要する資材につきましては、五割の減額によりまして、かつ無担保で売り払うことができるという程度になっておるのでありまして、これを適用して参りたいと考えておるのであります。ただ、個人の住宅の用材につきましては、現在におきましては随意契約による売り払いはできるのでありまして、また代金の延納につきましても六カ月の延納かできることとなっておるのでありますが、減額売り払いは、先ほど先生からお話がありましたように、法律事項でありますので、現行の法規では行うことができないこととなっておるのであります。農家等の応急の復旧用材につきましては、われわれといたしましては、他の災害復旧事業に対します特別措置というようなものとの関連におきまして今後研究を進めたいと考えておる次第であります。
  54. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私どもは今公共用材について五〇%でもって払い下げできるという法律の規定があることは承知しております。それから特に緊急の今度の仮住宅のようなものは無償でできることも承知をしております。個人のものは随契で、これは六カ月延納のできることも承知はしております。しかし、それでは、今度のように何千戸も家を流され、ないしはほとんど建てかえ同様のことをしなければあとの家の用をなさぬというふうな農家ができた場合、しかも、ほかの農地もだめた、食糧もだめだ、農機具も全部なくなった、こういうのに対しまして、個人用の復旧材として国有木材の半値払い下げをしてもらいたい、こういうわけです。これが現行法では困難なことはわかっておりますから、この法律の一部改正を行なって、そうして半値払い下げ、延納、こういう臨時立法を少くとも今回はしていく必要があるのじゃないか。同時に、これは単に今回だけの問題ではなく、この種のひどい災害のあったときには、国としてこの程度のめんどうを見ることが当然ではないか。それを林野庁の会計上のいろいろの点から見てだけ現行法を固執されるということは、国としてはあまりに非人情であると同時に、こういうときにこそそういうことをやらなければ、国有材の意味をなしません。この点について次官のお答えをいただきたいと思います。
  55. 石坂繁

    石坂政府委員 国有林材の払い下げの問題につきましての現行法令の規定は、先ほど林野庁長官からお答えいたしました通り、主た久保田委員のとくに御承知通りでありますか、現在の、少くとも今日の段階におきましては、われわれといたしましては、法令の範囲内においてできるだけの便利をはかるつもりであります。しかし、半値払い下げという問題になりますと、直ちにそういうわけには参らぬわけであります。この後の立法措置に待たなければなりませんが、事情は種々ごもっともな点もございますから、われわれといたしましては十分に検討いたしてみたいと思います。
  56. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つ次官に重ねて申しますが、すべて検討中では困るわけです。重要な問題についてはすべて検討中では話にならぬわけですっぜひこの際はこういう程度のことは、——次官がここでお打ち合せができておらぬときに言明をされることは非常に困難だと思いますが、もう少しはっきりした決意をお示しいただかぬと、これも検討中、あれも検討中では、やるのかやらぬのか、政府の方で提案をすればよろしゅうございますが、政府で提案をしなければ、われわれはみずから議会側から提案をしなければならぬように考えているわけです。しかしながら、こういうことについてはできるだけ政府提案でおやり下さった方が事が円満にいく、こう思うのでありますから、この点についても至急にこの次の機会までには大臣なり庁内の御意見をおまとめいただきまして、はっきりしたお答えをいただきたいと思うのであります。
  57. 石坂繁

    石坂政府委員 私も明快なる答弁をいたしかねますことは好ましくありませんしかしながら、今日の段階において、これ以上のことを追及されましても、前言を繰り返すだけでございます。先ほど答弁を一応御了承願いたいと思います。
  58. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 午前の会議はこの程度とし、午後一時より再閉し、質疑を続行いたします。  これにて休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  59. 松浦周太郎

    松浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林漁業災害に関する質疑を続行いたします。久保田豊君。
  60. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 次に政府側の方に特に農地復旧関係についてお伺いをいたしたいのであります。  これは最初に委員長政府側にお願いしておきますが、実は資料でありますが、戦後から最近までの毎年の農地関係被害面積、それから被害の額、それから復旧事業費、これに対します内訓、国庫補助額がどのくらい出ておるのか、補助率がどういうふうになっておるのか、あるいは復旧の進捗度がどうなっておるのか、こういう点を、できれば府県別の一覧表、大へんめんどうなお願いですが、これだけ一つ、きようでなくてけっこうでありますから、できるだけ早く御提出をいただきたい、こう思うわけであります。  そこで、その次に具体的な問題について質問いたすのでありますが、第一の問題は例の小災害であります。十万円以下の小災害の措置、これに対しては従来現行法の中では三つの救済策が示されておるわけです。一つは、二つ以上の施設にまたがるものという規定と、一つは、五十メートル以内にまとまっておるものというものと、もう一つは、五十メートル以上上の間隔を持っても一つの施設につながっておるもの、こういうことでありますが、今度の伊豆の災害を見てみますと、この十万円以下の小災害が非常に数が多い。この数の多いのを、今申しました三つの基準によって大体どういうふうに具体的に救済をされる方針でやっておられるのか。現地の方ではほとんどまだ調査も、はっきり言いましていたしておりません。私どもついこの間日曜と月曜日にわたって特に山間部でこういう小災害の多いところを歩きましたが、今やっと部落で一部早いところがこういう小災害調査に着手したくらいであります。しかも、その結果を見ますると、多いところでは一部落で百二十カ所くらい、こういうふうに非常に多いのであります。それで、町村長は総理大臣が来られたときもそういう要望をしておりましたが、これの現行法による救済ということが果してできるかどうか。そういうふうにたくさんありますと、とてもこれは補助も御承知通りつかないわけです。起債もつくということになってはおりますけれども、これもきわめて——これはあとで聞きますけれども、危ないものだ。そういうことになると、こういうところでは、ことに奥地の方のものについてはほとんど救済の方法がないわけてあります。これについて、どういうふうにこういうものを拾っていくつもりか。そして、拾ってなお余りが相当出ると思う。これについて、具体的にどういうふうに救済をやっていかれるつもりか。この点をはっきり、すでに対策ができておれば対策を示してもらいたい。もし対策ができておらぬというならば、これは今後どういうふうにやられるのか。特に、現地の方を回ってみますと、ざっくばらんの話を言って、査定官がこういうこまかいところを見ておりません。ほとんど大部分が落ちるのではないかという心配があるわけであります。これはざっくばらんに言うと、県の方もあまり責任がありませんからほうっておくというわけであります。おそらく今の状態でいくというと村も逃げの一手ということになろうと思います。これの救済策がないわけであります。非常にこの点が憂慮されますが、今の二点について、現在当局としてはどういうふうに考えておられるか。なお、現地の査定官その他については現にこの点をどういう具体的な指示をされておるか。あるいは現地当局に対して特別にこういう点について指示されたものがあるならば、そういう点についてもお答えをいたたきたい。なお、この点については、もう一点、これは伊豆の特殊性でもありましょうけれども、私は必ずしもこれは今度の伊豆の災害たけではないと思う。どうしても、こういう点から見て、今の十万円という単位を、三万円なりあるいは五万円なり、もう一けた下げてやる必要があるように思うのであります。特に、これは、治山計画がずっと進んでくる、あるいは河川の改修等が進んできてこういう小災害がたくさん出てくる心配がなくなればこれでいいでしょう。しかし、当面当分の間、午前中お聞きしました通り状況で、ほとんど政府側には確たるところの治山計画というものはお立ちになっておらないとすれば、こういう小災害についてどうしても法的に救済の措置を明確にする必要が今日の段階においてあると思う。この点については次官にお答えをいただきたい。前の二点については、三点心についても連関して局長から特に詳細なお答えをいただきたいと思うのです。
  61. 石坂繁

    石坂政府委員 小災害復旧につきましては、現行法の運用を最大限度に活用いたしまして助成を行いますとともに、これらの事業を市町村等の単独事業で行うに必要な起債を認める措置を講ずる考えであります。この基本的考えのもとに具体的の施策を進めて参りたいと思いますが、具体的のことにつきましては農地局長からお答えをいたさせます。
  62. 伊東正義

    伊東政府委員 どんな指示をしているかというお話でありますが、午前中倉成委員からの御質問にありましたように、たとえば、昨年諌早で、これは普通河川の問題でございますが、その河川の水系に起った災害は一カ所と見なして工事をするということは去年の諌早の場合に考えたのでございますが、もちろんそういうことは考えております。それから、従来は、十万円といいましても、農地で十一万、あるいは農業施設で十万、おのおの十万というような考えに立ったのでございますが、それも、接続出ております場合には、農地農業施設一緒に考えまして十万でもいいというような考え方も指示いたしまして、今の法律で読める範囲でなるべく広く読んでこの小災害は救い上げていこうということを指示いたしております。しかし、今先生がおっしゃいましたように、これは予想でございますが、小災害被害額は、今まで過去の例で見ましても、大体被害額の一割ぐらいになっております。しかし、その件数たるや、それ以外のもののおそらく倍以上の件数になるというようなことで、これを査定して参るということは現実の問題としてなかなか困難だというふうにわれわれは考えておりますので、これも午前中にお答えしたのでありますが、なるべく救えるものは救うという考えで、今は県の概要書をもらいましてそれを待って査定をするわけでございますが、それを作ってもらっておりますが、それで救えない分につきましては、これはやはり市町村が市町村営で復旧をしていく。その場合に、今政務次官からお答えがありましたように、起債なり特別交付税というものを考えてやっていきますのが一番実情に合う、こういうように私どもとしては考えますので、実は今大蔵省なり自治庁に、そういう方法でやれぬかということで、実は小災害については相談をいたしておるところであります。
  63. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今のお話で、大体現行法規を最大限活用するということで救っていこう、あとのものについては、大体一〇%で、査定が困難だから、これについては起債、そしてそれに対する特別交付税でやろう、こういうお考えのようですね。大体において現行法は変えないという考えですね。この点について、実際問題としては起債がなかなか困難だろうと思う。これはあとで自治庁に聞きますが、しかもこれに対する交付税は御承知通り二八・五%です。これでは、町村でかりにやらせる場合でも、二八・五%の交付税で、しかも起債が相当に制約を受けるという段階では、そのほかのいろいろの負担が町村には相当ふえて参りますし、しかも税収入はかたっと落ちざるを得ない、こういう状態では、この小災害の復興ということは町村でやらせるにしても現行制度では私はやれないと思います。私も長く町村長をやりましたから多少そういう経験があるわけですが、おそらく私はやれないと思います。町村としても逃げの一手を打つよりほかにない。従って、これに対しては、単に起債を一〇〇%認めるという措置、これもできればいいが、起債の問題についてはいろいろの制約が御承知通りありますから、法律の文章の上では一〇〇%といっても、実際にはなかなか来ない。しかも査定が困難だということになりますと非常に困難だ。私は町村でやらせるという点については賛成です。というのは、一々上へ出してこまかい設計書を出したって実際問題としては合わない。設計料に食われてしまってほとんど工事の方に回らないというのが実情です。従って、これらについては相当県なり地方なりで荒っぽい概略調査程度のものをして、ある程度のつかみでいいのじゃないかと思いますが、これに対してはどうしてもある程度町村に対しまする国の補助というものを考えてやらなければいかぬと思います。それなくしてはこういう小災害のあれはできない。それが困難ならば、もっとはっきりするのは、どうしても法律の今の十万以下の特殊の災害の場合については、三万円なら三万円、五万円なら五万円というふうに切り下げて、それ以上のものにはめんどうでも政府の方でめんどうを見るという体制をとる以外にないと思うのであります。私は、今の体制から言いますと、おそらく今後こういう小災害というものはほとんどネグレクトされて、回復するには住民の負担がよけいになる、また町村でやろうとしても町村かこれは持ち切れないということから放棄をされる、片方において耕地造成、農地造成に対して非常に金をかけておりながら、そしてこういうような——しかもこれは山村です。山村の場合にはこういう小さな田畑その他も単なる経済的な要素ではないのです。御承知通りこれは生活の一部に加わっておるものであります。こういうものを荒廃させるというばかなことは、今日の農地政策としてとるべきではない。ですから、私は、基本的にはとれは三万円なりあるいは五万円なりの適当な限度でもってこれを法律的に救い上げる、補償をすることが必要である、そうでないまでも、これに対してある程度の国庫補助を、少くとも半額程度の国庫補助をつけるのが当然の措置だと考えるが、この点については農地局長はどうお考えになりますか、一つお答えをいただきたいと思います。
  64. 伊東正義

    伊東政府委員 小災害考え方でございますが、私の考え方としましては、これも法律で三万円とか何か下げてやるということは、また現実に合わぬ点といいますか、手続の方から申しましても、そういうものを一々査定するということは経験に徴しまして不可能であります。でありますので、私の方といたしましては、やはりこれは何とか市町村営でやっていくという基本方針で、午前中も答弁いたしましたが、その場合の起債、交付税の問題等について関係当局と何とか交渉してやっていきたいというような態度で今進んでおります。
  65. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 次官、一つこの点のお考えを聞きたいと思います。
  66. 石坂繁

    石坂政府委員 重ねての御質問でありますけれども、ただいま農地局長から御答弁申し上げましたような考え方でやっております。
  67. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 重ねてこの点について申し上げておきますが、現行法ではこれは救えない。ですから、基本的には法律を改正しなければならぬが、その法律の改正の要点として二万円以上のものを拾うという点も確かにあれがあると思いますが、その場合は、少くともこういうものについては町村でやらせるということは私はけっこうだと思います。これに対しては、少くとも国の補助金をある程度つけてやるということが最低限必要なことである。それがなければ、これに対して起債を一〇〇%現実に認めさせる。そしてこれの元利償還についての交付税を、今の二八・五%なんということから少くとも七〇%程度までは上げていくのが当然である。この補助金をつけるか、あるいは起債を全額認めてそれに対する交付税を少くとも七〇%にすることが必要だと思う。七〇%程度のものをやるということでなければ、現在の制度の二八・五%のワク内でなるべく起債をよけいつけるという程度では問題の解決はしないと思いますが、この点について重ねてお考えを、次官なり局長なりどちらでもよろしゅうございますが、お聞きしたいと思います。
  68. 石坂繁

    石坂政府委員 局長から……。
  69. 伊東正義

    伊東政府委員 起債、それから特別交付税の問題でございますが、現在は、起債を見ておりますと、起債のワクは大体五〇から六〇くらいじゃないかと思っております。それから交付税は御質問のように大体二八・五くらいになっております。われわれとしましては町村営でやって参ります場合は、やはり起債をもっと上げて、交付税の率も二八・五ではなくて——これは何十パーセントということまでは無理で、今言明はいたしかねますが、もう少し率を上げるということで交渉をいたしたいと思っております。
  70. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それではこの点についてもなお一応御研究をいただきたいと思うわけです。  その次の問題といたしまして一つお答えいただきたいのは、現行法では御承知通り原形復旧が原則であります。そして、原形復旧ができない場合あるいは若しく困難な場合、もしくは効率を非常に害するという場合には改良復旧でよろしい、こういうことですね。さらに、これに必要な場合にはいわゆる関連の改良工事を加える、御承知通りこういう大体三本建の原則になっておる。これについてでありますが、これは、大きな農地政策の上から言っても、持に今度の伊豆災害等実情から見ましても、問題は、原形復旧ということが不可能な場合が多い。特に上流部の方はほとんど不可能であります。どうしても改良復旧ということが初めからの根本にならなければ、改良をなしても意味をなさぬということが多く出て参ります。その場合に改良復旧のいわゆる限度をどの程度見ておられるのか、たとえば区画整理あるいは小水路あるいは小農道——基幹農道は別ですが、この点をどの程度現実に生かされるつもりか、この点が第一点。  それから、下流の問題ですが、これはおそらく平坦地ではどこでも起る問題ですが、単に改良復旧だけではなくて、どうしても連関土地改良事業をやらなければほんとうの効率を発揮できない場合が相当多い。そうすることの方が全体の農地政策の農地保全なり生産力向上という観点から必要であめる。たとえば、基本的な土地改良事業に百万円かかる、ところがいわゆる改良復旧の範囲でもって七十万円かかるという場合には、これを二つ切り離してやるということは意味はないのです。むしろ復旧の際に改良復旧ワクの中でもって連関事業を相当こなしていくということがどうしても必要になってくる。これを二つ総合してやった方が農地政策の点から有利でもあり、国としてもまた住民としても負担が軽くなるというふうに考えられる面が非常に多い。これについてどういうふうに考えて、現実にどういう措置をされておるのか。特に今度の二十二号台風なり二十一号台風に対してどういう措置をされておるのか。  それに連関してもう一つの問題は、関連の土地改良については御承知通り補助率は五〇%、普通の土地改良でも五〇%です。それを災害地のこういうものについて特に五〇%とした理由はどこにあるか、私は当然この五〇%の国庫の補助率はもっと上げていいのではないかと思う。そしてこの関連事業のワクを上げる立法措置なりあるいは行政措置なりをこの際当然とるべきではないか。そうしなければ伊豆の農地災害復旧のごときはほとんど意味をなさない場合がたくさん出て参ります。こういう問題について、関連の土地改良事業について補助率を上げる考えがあるのかないのか、これについては法律の改正も必要になるのか必要にたらぬのか、この点もはっきりお答えをいただきたい。
  71. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の第一点の、原形復旧ができない場合にどうするかというお話でございますが、これは、被害激甚地につきましては、まさしく、原形復旧ということは地形も変っておりますのでしごく困難でありますが、こういうところにつきましては、耕地整理も当然やる、そこまで考え復旧したらどうだということを考えております。  それから、関連事業の土地改良の問題でありますが、これは二十一号、二十二号にどういう措置をとったかという御質問でございます。実は、これはまだ被害調査をしている段階で、どういう処置で、どうするということまではいたしておりません。ただ、関連事業——関連事業といいましても一種の土地改良でありますが、これについて予算の要求はいたしておりますが、補助率につきましては、これは大体内容自体が災害に伴います土地改良的なものでございますので、土地改良と同じ補助率でやっておるということであります。これは今補助率をかえまして災害復旧と同率にするということまではまだ考えておりません。
  72. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 この点についてぜひ補助率の変更の点を、これは行政措置でいくものならば行政措置でやるなり、特に関連の土地改良事業の実施上のワク復旧と合せて大きくしていただく、こういう措置をぜひ一つとるように今後特段の——特に被害激甚地についての土地改良については特にそうですが、これは私は伊豆だけに限らないと思う。ひどいところでは必ずこの問題が出てくるはずであります。特に山間僻地等においてはこの問題が必ず出てくる。これをやらなければ、農地復旧してもらっても仏を作って魂を入れないという結果になる場合が多い。この点をぜひ農林省としては積極的にお考えをいただきたいということを要望して、その次の質問に移ります。
  73. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ちょっと関連して局長にお尋ねしますが、今の農地及び農業用施設災害の普通は五〇%の補助率になっている。ところが、政令に定められたいわゆる高率補助の適用というのがあって、農地は八〇%、農業川施設災害は九〇%、こういうことになっているわけですが、この場合に、政令の中で、市町村の一年間の被害総額が関係農家数に八万円を乗じた額以上の場合、そのこえる部分についてこの高率補助の八〇%の適用ということになっているのですが、この場合に市町村ということは、町村合併の行われる以前の町村で計算をするか、あるいは新しい合併の行われた非常に広い関係で行われるかということが第一点。  もう一点は、関係農家数とは一体どういう数字か、その市町村内における農家数を基準とするのか、あるいはその災害関係のある農家数ということにいくのか、この点を明らかにしていただきでたい。
  74. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問は二つでございますが、最初の市町村合併をした場合に、非常に広い地域になったのでそういう適用が受けられないおそれがあるのではないかという御質問てございますが、その場合は市町村合併前の旧町村でよろしゅうございます。これは市町村合併法の方でそうなっております。ですから、古い前の市町村の範囲でけっこう、こういうことになっております。  第二点の農家数の問題でございますが、これは災害関係にある農家数というように読んでいただけばけつこうであります。
  75. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 実はこの点が末端まで浸透しておらないのじゃないかと考える節があるのです。実は、阿賀野川の今度の水害で、すでにこの二十四、五日ごろ査定を行うということになっておって、金沢の農地事務局と県の農地部の技術者が出かけていきまして設計をいたしました際に、ほとんど耕土から下一丈くらい全く壊廃してしまっておる、流されてしまっておる、そういう深刻なところであるけれども、山間地帯だから農地が非常に少い。ことに水田は非常に少い。全耕地の六〇%か七〇%くらいが土砂の流入または壊滅的な打撃を受けておるわけなんです。ところが、その金沢の係官と県の係官とは、高率補助の適用は困難である、農地については五〇%であるし、用水路については六五%である、こういうことを話をして行った。それがために、ちょうど私参りましたところが、その部落では会議を開きまして、農地について五〇%いうことであり、その施設について六五%だということならば、施設は水の取り入れ施設であるからこれはやむを得ないけれども農地はもう放棄するほかはないじゃないか、実はこういう協議をしておったところに私は行き合せたのです。     〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代   理着席〕  今の御説明によれば、そういう局地災害でも災害農家数に一定金額を乗じた金額ということになれば、当然高率補助の適用がなさるべきであると私は考えるのですが、もし末端に徹底していないうらみがあるとするならば、これは大きな問題になると思いますので、そういう心配のないように一つ御配慮をいたたきたいと思います。
  76. 伊東正義

    伊東政府委員 今の点は何か誤解があってはなりませんから、私の方からさっそく関係災害県につきましてその点ははっきりいたしておきります。
  77. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その次に、やはり農地ないし農業用施設復旧についてお尋ねいたします。  御承知通り、二十八年災のときは農地並びに被害地の堆積土砂について、県が行なったものについては事業費の全部を国庫負担でまかなったわけであります。今度の伊豆の場合でも、上流はこういう大きなごろた石がたくさん農地に流されている。これは堆積土砂といっていいかどうかわかりませんけれども、とにかく人力ではちょっと動かないもの、それから、下流の方はこまかい土砂がはなはだしいところは二メートル以上堆積してしまって、これまたほとんど皆滅的な状態になっておる。その上に約四百町歩ないしは五百町歩近くにわたって木材とごみが堆積をしております。これを死体捜査の関係で自衛隊その他がこの木材とごみをひっくり返したために、その中に入っておりました家財関係のガラスがこわれて全部たんぼへ入ってしまう、くぎが入る、鉄片が入る、こういうことで、上の木材の排除なりこみの排除——ごみは燃やせば燃えてしまうからいいが、あとのたんぼはおそらく田植えはできないだろう、あるいは田の革はとれないたろう、こういう深刻な困難な問題が出ておるのであります。そこで、私どもは、ほかの伊東とか狩野川の被害地の堆積土砂の排除という問題もありますが、しかし、伊豆の方の農地の上流部の大きな石、下流部のたくさんな土砂並びに今言った塵埃並びに木材、こういうものの排除のためには、やはりこれは相当額の二十八年災と同様の全額国庫補助でやるのが当然であり、もしそれをしない場合には、復旧工事費がべらぼうに高くなる、こういうことは免れぬと思うのであります。その場合に、こういうことを含めて、つまり、高率補助の適用なり何なりをやるときに、こういう点をよく見て査定なり設計なりをおやりになっておるかということをお聞きしたいのであります。私ともが現地で拝見しておるところによりますと、査定官もあるいは設計者も、非常に急がれておる関係もありまして、大体においてこういう点を十分見て起らぬようであります。おらぬということになりますと、あとでこういうところがいろいろ負担限度の問題その他にひっかかって参りましてめんどうな問題になると思いますが、これについては現実にどういう措置をとられるつもりか、また二十八年災と同様の特別立法措置等をお考えになっておるのかどうか、この点もはっきりお伺いしたいと思います。
  78. 伊東正義

    伊東政府委員 堆積土砂の排除の問題でございますが、二十八年災の場合も、実は農地に適用いたしましたのはほとんどございませんで、これはおもに都市のものとそれから漁場に入りましたものに適用がありましたので、農地に使いました金はほとんどわずかでございます。これはどこまでも堆積土砂の排除であり、それから、どこまでが農地復旧かというところにいろいろむずかしい問題がございます。今度の場合は、この堆積土砂につきましては、農地復旧ということでそれは当然農地復旧の中に入れて考える。ですから、それにかかりました事業費は当然農地復旧の事業費ということに考えております。ただ、特別立法その他については今のところ考慮いたしておりません。
  79. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そうしますと、今のような堆積土砂あるいは塵埃等については復旧の方の経費に入れておる。従ってこれは復旧の単価なり限度というものは相当上ってくるわけですね。こういう点も十分考慮されて復旧費なり何なりを計上する、もし落ちておった場合には先に行って入れるというお考えですね。
  80. 伊東正義

    伊東政府委員 大体、今までの実例によりますと、土砂の排除だけでございますと比較的経費は安くて、そのあとに心土を入れましたり耕土を入れるということになると実は経費がよけいかかっております。土砂の排除たけでそう膨大な金がかかるということはこく例外で、やはり心土なり耕土を入れることで経費がよけいかかると思っております。それで、そういうものが落ちておりますれば、それは査定いたします場合にあとから当然追加すべきものと私は思っております。
  81. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一つ、こまかい問題ですが大事な問題ですからお尋ねしておきます。実は、河川改修と農地との関係であります。これはどこでも山間部はそうであって、伊豆だけではないと思いますが、大体、上流の山間地になりますと、河川改修、つまり河川復旧の堤防なり護岸なりが完全にできませんと農地復旧はできないのであります。やりましてもまたすぐ流されてしまうという関係になります。これは準用河川等について特にそうであります。ところが、必ずしも進度はうまくいってない。今度の場合につきましても、建設省の方に聞きますと、下流の本流部分はできるだけ早く復旧をするということで破堤部分はやって起ります。ところが、上の方は大体三カ年計画。今までの例を見ますと、大体において政府はよほど腹をきめてかかりませんと三カ年ではとてもできっこない。おそらく五カ年、六カ年を要するのではないか。ついせんだって行って見ますると、上狩野村のごときは二十八年災当時の処置がまだついていないという実情です。そういうことになりますと、今度のように命から二番目の川沿いの耕地がうんとやられて川の護岸なり堤防なりがおくれておるために、農地が作れない、あるいは作ってもまた流されるという危険があるわけです。こういう点について建設関係と、設計の上において、同時に工事旅行の上においてどういうふうに協調というか統一をされておやりになろうとしておるのか、またやっておるのか。現地の査定官の動きを見ますると、そういう点はまだ出ておりません。それぞれ大ざっぱな査定を今やっておるところのようであります。ついこの日曜と月曜に現地で査定官にも会っていろいろ話を聞きましたけれども、こういう点についてはほとんど考慮されておりません。これについて現在までにどういうふうな交渉を建設関係と固められておるか、固められておる事実があれば御説明いただきたいし、なお、今後の実施上においてどうおやりになるつもりか、この点もお聞きしたい。  それから、もう一つは、これも今度の特性ではなくてどこでもあることと思いますが、普通河川と言えないくらいの小河川が今度の山くずれ等でもって非常に荒れております。そしてその周辺の農地がたくさんつぶれております。しかもひどいつぶれ方をしております。これらについては、河川の方はおそらく県営でおやりになるのではないかと思う。あるいは町村に委託をしておやりになるのではないかと思いますが、これらの川の復旧工事をしっかりやっておきませんと、農地は今後復旧しても持たないという問題がある。しかもこれを河川の方だけを県の河川課が勝手にやり、片っ方で農地課が農地復旧をやっても、うまくいかないし、早くいきません。実は、これについては、準用河川以下の小河川の改修並びに農地復旧についてはあなたの方から通牒が一部出ておりますが、これを明確にもう一度具体的に建設省と打ち合せをされて、こういう小河川の復旧農林省所管にした方がいいのではないかというふうに私は考える。人によりましては、そうすると現地負担率かよけいになるから工合が悪いという意見もありますが、もし両者に分けてやった方が負担が重くなるならば、これは当然立法措置なり何なりをして調整をすべきである、こう考えますし、また、立法措置まで必要でないとすれば、これについては行政措置でできる範囲においてはすべきである、こう考えます。とにかく、この点についてさらに根本的な解決策としては、こういう普通河川より小さな小河川の改修並びに沿岸農地復旧については、法律ではっきり農林省所管ということにして、そういう経費を見た法律の体制にすべきじゃないかというふうに、法改正をする必要を感ずるのですが、この点についてはどういうふうに考えられておるのか、これを一つ御説明をいただきたいと思います。
  82. 伊東正義

    伊東政府委員 今まで、たとえば静岡の問題につきまして、山奥の小河川と農地の問題をどういうふうにやっていたかということでございますが、これは、私どもの方で県に話をしまして、農地と土木の関係でよく連絡をするようにというように今やっておりますが、先生のおっしゃるように、今そういう段階までまだ至っておらぬと思います。狩野川の地区にいたしますと、そこまでの計画的な復旧というものはまだ至っておらぬと思います。実は私企画庁におりましたときも感じたのでございますが、今後は、災実のときだけでなくて大きな問題につきましても各省間でいろいろな事業のアンバランスがございまして、一カ所でも調整費を使ってそれを調整するというふうなことをやっているのでございますから、こういう災害の場合には今先生のおっしゃったようなことがかなり出てくるのじゃないかと思って心配しております。この問題につきましては、よく河川局と打ち合せをして、特に狩野川のようにああいうふうに全面的な被害のあったところにつきましては、これは農林省建設省といわず、そこは十分連絡をとりまして、同時に効果が発生していくような——片方だけできまして片方はできないでまた災害を受けるというようなことのないように、十分に建設省と連絡いたしたいと思います。  さらに、小河川の問題につきまして、一方的に農林省でやるようにしならいいじゃないかというような御意見でございますが、これにつきましては、いろいろ河川全般の問題でございますので、私どもの方といたしましてはもう少し検討させていただきたいと思います。
  83. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 諌早災害のときは、準用河川以外の小河川、特に農地災害に連関のあるものについては一括して農地関係所管の災害復旧事業として取り扱うという部長通達が出ておりますが、これは諌早限りですか、それとも今度の場合にも準用されるつもりですか。
  84. 伊東正義

    伊東政府委員 その点は、今度の災害につきまして建設省へ再確認はいたしておりませんが、同じ方針でやっていきたいと思います。ただ、災害の起りましたつどそういうことでやりました。もう少し先生のおっしゃいました根本的な問題もございますので、今度の災害についてば諌早と同じ方針でやりますが、全面的な問題につきましては、これはもう少し検討させていただきたい、こういうふうに考えます。
  85. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それではその次の問題に移りますが、この国庫補助の基準は、御承知通り農地については普通災害の場合は五〇%、八万円、十五万というのを一つの基準にしておりますが、この八万円、十五万円という基準はどこからはじき出されたのか、この点を、少し迂遠な質問のようですが、どうもこの点にも少し疑問が持たれるわけです。この実際的な基準なり理論的な基準、なぜ八万円あるいは十五万円というものを一定の区分の限界にしたのか、この点を二つお聞きしたいと思います。
  86. 伊東正義

    伊東政府委員 この点につきましては、これは、三十一年の法律改正のときにこういうふうに変ったのでございますが、その当時は、昭和二十八年度の農家経済調査をもとにいたしまして、一体農家負担限度はどのくらいかという、農家経済調査をもとにしてこれは作ったのでございます。ただ、その場合、二十八年の農家経済調査の金額その他につきましては私は今ちょっと覚えておらぬのでございますが、そうなりましたのは、農家経済調査を基礎にいたしまして、それに基いて農家負担限度はどのくらいかというところからこれは実は算定したわけでございます。
  87. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 この点についても私は再検討の時期に来ているのではないかというふうに思うのでございます。これは非常にむずかしい問題ですが、農家経済の状態も相当変ってきておる、特に、工事費等については、相当これは機械化も進んでおりますし、その他いろいろな条件の相違が出てきております、これはもう一度再検討して、これを私は引き下げるべきではないかというふうに考えるのですが、この点についてはどう考えておりますか。
  88. 伊東正義

    伊東政府委員 これは農家経済調査の問題でございますが、二十八年と三十一年、三十二年あたり比較しますと、おそらく先生のおっしゃるのと逆な結果もあるいは出てきやせぬかと思うのでありますが、これは私どももう少し検討いたしてみませんと、下げるとか上げるとかということはお答えいたしかねます。検討いたしてみます。
  89. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点はどういう結果が出るか、もう一度一御検討をいただきたいと思うのであります。  そこで、その次の問題ですが、これに連関した問題で、農地については、御承知通り、八万日をこえない分については五〇%、八万円をこえる分については一律に八〇%、それ以外にはないわけです。農業施設については、八万円までは六五%、それ以上のものについては、十五万円までは九〇%、それ以上のものについては一〇〇%、こういうふうに三段構えになっているわけです。私はちょっとおかしいと思う。なぜ農地についてだけ八〇%で打ちとめにしたのか。十五万円以上なり何なりのものについては当然農業施設と同じに扱うべきものではないか。あるいはこれが、農業の方の農道あるいは川排水路等は多少公共的な意味を持っているから一〇〇%にしても、農地の方は純個人財産だからというところで多少の区別をするといたしましても、これを八〇%で打ち切る、一本というばかなことはないと私は思う。当然これは法改正なり何なりして、かりに八万円、十五万円というものが正当な基準であるとするならば、十五万円以上のものについては当然補助率を上げるべきであると思う。この点の法改正というものは当然私はやるべきだと思う。これを特に八方四一本にした理由は私にはうなずけないが、この点はどういう理由でそうしてあるのか、また、今後これを改正する意思があるのかないのか、この点をはっきりお答えをいただきたいと思う。
  90. 伊東正義

    伊東政府委員 今御質問農地農業施設の差別の点でございますが、これは、先生が御質問の中でおっしゃっておりましたいわゆる公共性の農業施設につきましては公共性があるということからいたしまして高い補助率が適用されております。理由は私はそれが一番大きな理由だと思っております。この農地農業施設補助率をどう考えるかという御質問でございますが、これは午前中も政務次官からお答えかありました通り法律改正につきましては政府で今検討中でございますので、今私からこれにつきましてどうというお答えはいたしかねますので、午前中の政務次官のお答えでごかんべん願いたいと思います。
  91. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 特別立法については、これは政府全体の問題ですから、局長からお答えをいただくことは困難だと思う。ですから、その点はよいと、しまして、そこで、私は、どっちにいたしましても、八万円までは五〇%、八万円をこえるものは八〇%一本たという体制は不合理だと思う。これは当然農業施設と同じように、十五万円以上一〇〇%でなくても、あるいは九〇%あるいは九五%、こういう程度の高いものについては高率補助補助率の内容を引き上げるべきだと私は考える。こういう必要があるかないかという点です。この点については局長はどうお考えになっておりますか。
  92. 伊東正義

    伊東政府委員 御質問の点は、やはり法律を改正するかせぬかという点の問題でございまして、先ほど答弁でごかんへん願います。
  93. 石坂繁

    石坂政府委員 特別立法につきましては、午前中からたびたびお答え出し上げております通りでありまして、いろいろな問題にも関連があることでもありまするし、検討いたしていきたいと思っております。ただいまの農地農業用施設に対する補助率の相違という点で、これは農地農業用施設と同様に差等をつけるべきではないかという御趣旨でありますが、確かにそういう御意見もあろうかと思いますが、ただいま農地局長からお答え申し上げました通り農業用施設というものは公共的の性格を持っており、それが、破壊されたりあるいは損害を受けた原因は、天災地変にいたしましても、用途あるいはその性格は公共的な性格を持っておるということで、この補助率の区別をつけてある、こういう趣旨に解釈いたしております。
  94. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 きょうはその点の議論はこれ以上やりませんが、どうもそれだけでは不十分です。特に非常な災害を受けた場合においては、これだけの措置では農地復旧はできないのであります。現実の点から言って、これだけでは非常に農民負担かよけいになる。どうしても、農業用施設と同率でないまでも、多少の差はつけてもいいにいたしましても、今日の日本の農地事情なり農民の経済事情等、特に災害との関係考えてみるならば、これだけでは現実に復旧が非常に困難になる。あるいは復旧ができてもそのために農家の借金が非常によけいになって返せなくなる、こういう心配があって、せっかく復旧をしていただいたが、そのあとで借金のためにその復旧してもらったたんぼを売らなければならぬ危険が相当ありますので、この点を特に再検討をお願いしたい、こういう意味で申し上げておるのですから、今の次官のお話のように、片方は公共的、片方は私的だからこういう区別をつけたのだという程度のお考えでなく、もう一歩日本の農業なり何なりの現実を深くお見詰めをいただきまして、この点については再考をお願いしたいということでありますから、この点は一つお願いをいたしておきます。  それから、次の問題に入りますが、今の政令で大体補助対象の限度額というものがほぼきまっております。これは法律事項ですか政令事項ですか、この点をお伺いいたしたいのと、それから、もう一つは私、私どものいただいた農林委員会への資料によりますと、五つ反歩で二十戸というのが一つ限度になっており、これが二十六万五千九百三十四円になっております。これが三反歩になったらどうなるのか、二反歩になったらどうなるのか、こういう点が逆算的に出ておると思うのでありますが、これの内容を知らしていただきたいし、それから、今度伊豆災害が一番ひどかったと思いますが、二十二災なり二十一災はこの基準でそのままいくか、あるいはこれをさらに改定をされて現状に合うように補助限度を引き上げられる予定か、この点のお答えをいただきたいと思うのであります。
  95. 伊東正義

    伊東政府委員 今の限度でございますが、これは法律と政令と両方でございます。法律で経済効果の少いものには出さぬということでございまして、政令の九条でございましたかにその限度が書いてございます。ですから、法律と政令と両方でございます。ただ、計算の基礎は政令の方になっております。お手元に差し上げました資料の中に、たとえば五反歩だけで書いてありますが、二反五畝の場合はどうかという御質問でありますが、これはまた戸数が変ってきまして、戸数がふえますから金額がよけいになる。それでいきますれば限度は倍になる。これはそういう計算方法でありまして、たとえば狩野川の場合には復旧面積は一団地で何十町歩になるのかということはその場合その場合に出てきまして、一戸当り平均耕作面積というものも場所によってまた違ってきます。それを当てはめて計算していきますと、そこに書いてある通りの数字ではなくて、その上下が出てくるわけであります。政令の改正とか何とか考えませんで、今のままで私どもの方はやっていけるのではないかと考えております。
  96. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その場合に、こう一応の限度は出ております。それ以上にオーバーするものが狩野川流域の場合には非常に多いと私は推定する。今あなたの方の査定では大体そういかないような計算になるかもしれません。しかし、現地の査定ぶりを見ておりますと、ごく大ざっぱな査定で、あれでこれが出るとはどうも考えられない。実はどうも相当高いところまで——県の調査でも、一番高いところが、伊豆全体の基準で平均して約四十万、三十九万九千円となっております。大体においてその面積と戸数のあれになりますが、団地ごとに計算をやると、その基準以上になったものの取扱いをどうされるつもりか、これをはっきりお伺いしておきたい。これを殺して、やらないで放棄するのか、あるいは何らかの操作を加えてこれを生かしていくのか、生かす場合にはどういう措置をとられるのか、これをはっきりお示しいただきたいと思います。
  97. 伊東正義

    伊東政府委員 今の御質問でございますが、過去の例で申しますと、大体これは場所によってもちろん計算に違いはありますが、高いところで三十万前後くらいの事業量で大体今まで復旧できております。今先生のおっしゃいました計算はやってみませんとちょっとわかりませんが、この地帯でもおそ、らく三十万前後で大体終るんじゃないかと私は思っておりますが、この計算の方式でやりまして、たとえば三十万、三十五万を出た場合には、もちろんそこまでの限度までは出すわけでございます。先生のおっしゃいましたそれ以上という問題でございますが、これは今私どもこの場でどうするというお答えはちょっとできかねるのですが、おそらく、ワサビ等を除きますれば、この計算でいったところで、大体まかなえるんじゃなかろうかという予想はいたしております。今の査定の問題でございますが、これは実はまだ大蔵省は査定いたしておりません。今は県の段階で、おそらく手のない忙しいところでやっておられるのだと思いますが、われわれといたしましても、なるべく本省等から人を出しまして、親切な目で査定はいたしたい。人手が足りぬでそのまま査定したということにならぬように、その点は十分気をつけたいと思っております。
  98. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点については、そういうふうな例が団地によっては私は相当出て参ろうと思います。これは今度の災害一つの特例になろうかと思います。そういう点については、政令の許す限度におきまして、一つ適宜農地となるように格別な善処方をお願いいたすわけです。  それから、今出ましたワサビ沢の問題です。さっきお答えもあったわけですが、これは、人によっては、ワサビというものはべらぼうにもうかるものだから、こんなものは国家が補助しなくてもいいじゃないかという御意見も方々にあるようであります。しかしながら、私もワサビ沢の農地解放闘争等をやったのでありますが、あの当時ははっきり一般農地と同様に扱っておるのであります。しかもあれは伊豆の特産物でありまして、あの山村では、村といたしましても、農協といたしましても、ワサビを作っている者はもちろんそうでありますか、ほとんどこれに依存しているというのが実情であります。しかも、これは、そんなことを言っても農林省関係ないと言われるかもしれませんけれども、伊豆の温泉地帯はあのワサビというものと強く結びついている特産品です。これがほとんど壊滅的な打撃を受けております。ですから、さっきの御答弁では、これは一般農地と同じに扱うというが、その場合の負担限度あるいは補助限度をとういうようにお扱いになるのか。伺うところによると、二反歩当り二十五万円程度の査定にして、あとは融資でやるということのようであります。しかし、御承知通り、大体、床固めから水路等を含めますと、どんなにしても一坪二千円なり三千円——いいところで二千円、悪いところで三千円以上かかりましょう。しかも、あれは、御承知通り、床固めをしまして砂をよそから持ってきてやりましても、これがほんとうにものになるまでには約十年かかります。どうしても十年はかかります。十年かからなければほんとうの所得にはならぬのであります。なるほど、今までワサビ尾は、ワサビを作っおる連中は、ある程度うまい汁を取っておったということも事実であります。しかしながら、そうかといって、連中に復旧をするだけの大きな資力があるものではありません。ですから、この点についてはどういうふうに損害査定なり補助限度を設定されるか、それに対してどの程度の国の補助をするのか、さらに、国の補助以外の分については融資というようなお話がありましたが、その融資は何によってどの程度のあれにするのか、これをもう少し具体的に一つ御説明をいただきたいと思います。
  99. 石坂繁

    石坂政府委員 詳細なことは農地局長からお答えを申し上げますが、私ども現地を見ますときに、ぜひワサビ田についても復旧の対象に入れたい、こういう考え方でずっと見て参りました。従いまして、ワサビ田を作るときにどの程度の金が要るかというようなこと、あるいはまたワサビ田はほとんど全滅したということも十分聞いておりますので、できるだけ農林漁業金融公庫等から低利の資金を融通いたしましてこれの復旧をはかりたい、こういうふうに基本的には考えております。
  100. 伊東正義

    伊東政府委員 今の政務次官の御答弁に若干補足いたしますと、私午前中に農地と同様に考えるということを申したのでありますが、土地台帳に載っておりますものはこれは当然農地でありますので、近傍の一般の農地復旧費のおそらく一番高いところ——さっき先生が二十万とか限度をおっしゃっておりましたが、そういうようなところまでは一般のものでこれを見ていく、それをこえますものにつきましては農林漁業金融公庫復旧資金の対象にもなっております。指定になっております。これでも過去において四十万ばかり出しております。そのほかに、天災法等でも、種苗関係でワサビの苗の融資をしますとか、あるいはワサビ育成施設の補助をしますとか、いろいろな資金融資ができるにとになっております。ですから、いろいろそういうようなものを合せまして復旧考えたらどうだろうというふうに私は思っております。  それから、もう一つ、ワサビ田につきましては、これは実は、上の方が復旧されませんと、ワサビ田だけ直しましても、また上から土砂が流れてくれは、また復旧ということが起きてくるのであります。それで、われわれの方としましては、上の方を直してから初めて金を出すということをやりませんと、何回やっても同じ結果になりますので、その点は、ものを考えます場合にも、上が直ってから金を貸します、あるいは復旧しますというような条件をつけて復旧していくべきではないかというふうに思うのであります。
  101. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 この点は、今のお話では、普通農地最高限の適用をする、こういう話ですが、それはおそらく三十万前後でしょう。これではちょっと私は気の毒だと思うのです。やはりこれは特殊な農地でありますので、もう少し特殊に考えてもらいたい。そしてそれでなおかつ足りない面については融資なり何なりの措置をとっていただくこともけっこうだと思うのです。普通農地最高限ではせいぜいおそらく三十万前後でしょう。それでやったのではとうていワサビ田の復旧ということは困難ではないか、こう思いますか、この点考える余地があるかないか、もう一度局長にお尋ねします。
  102. 伊東正義

    伊東政府委員 私どもとしましては、先ほど答弁したような趣旨で、近傍の一番高いところという限度でやっていきたいとと思います。繰り返すようですが、そのほかにも、農林漁業金融公庫からは、大臣の指定がございまして、過去においてもワサビ育成施設として四十万くらい出すというようなこともやっておりますので、やはりそのほか天災法等を合せましてそういう総合対策考えていくべきものではないか、このワサビ田だけに相当高い補助金を出してやっていくということは、私はちょっと無理ではないかと思います。
  103. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 次の問題についてお伺いをするわけですが、大体、今度の私どもの方の災害は、これは特にひどいところでは同じになると思いますが、二十八年災の一律九割高率の補助をした場合と現行法による場合とでは相当実際は違ってくるのであります。県の試算をしたところによりますと、八体一番ひどかった田方郡だけとってみましても、農業用施設は九六・三九くらいのあれになるようであります。それから農地関係は七六・一くらいの適用の補助率になるようであります。政府の方としても、もちろんまだ資料は整っていないようですが、大体の試算はされておるようであります。こういう点もどの程度のあれになるのか。それから、二十八年災と同じように高率一律九〇%にした場合はどうかということになりますと、これは相当違いがあります。県の方の試算したところによりますと、今のところ農地、農業関係で大体二十四億の被害です。それに対しまして現行法の高率適用をした場合は、これに対して約十八億のあれですから、六億が現地負担ということになるわけです。九〇%を適用いたした場合においては、これが約二十二億になる、ですから二億の負担で済む、こういうことになるわけです。これは荒っぽい計算ですが、高率適用をした場合と現行法でいった場合とはこれだけ差があるのであります。とにかく、何もなくなって困っているのに、その農民に六億の負担をしろといってもできない。それではその被害町村で持てるかといったら、ざつくばらんに言って持てない。ここにいろいろ問題が出てくるわけであります。もちろん、そのうちの一部については、御承知通り起債もできる、起債についての交付税もあるということでありますが、これがはなはだ不確かであります。結局町村は自分が苦しいから借金をする。そのほかの借金で苦しんでいる連中にさらに六億——政府が出される復興資金は全部でどのくらいになるか、さっきのお話だと自作農創設資金がわずか一億五千万、ほかのものを全部入れましても十億を出ないと思います。ところが、反面において六億の負担現地関係農民だけがしておったということになるならば、ちょっと立ち直りはできないのじゃないか、こういう考えですが、しかもこれが農林省の査定の際には相当落ちるわけです。おそらく率はずっと落ちましょう。それに小災害負担が加わってくるということになりましたら、農地関係の復興のための負担というものは実質上千億になる。それでは借金をして農地復旧をしても、政府の方としてばずいぶん出していただいたような格好になりますけれども、実際はどうかといえば、プラスマイナスすればとんとんで、借金だけが残るという結果になるそうであります。この点についての政府の試算の結果はどうなっているのか、こういう現実をよくお認めの上——どもが高率適用の二十八年災と同じようにお願いしたいと言っているのは、決して抽象論で申し上げているのじゃない。こういう切実な問題がありますから、これがほかの方法で救済されればよろしいのでございますけれども、知事が言っておりましたが、ほかにも五十万ないし六十万の借金をしなければならぬ。これも借金です。これもなしていかなけれなばらぬ。これは実際問題としては農地関係以外にさらにほぼ同額の借金になりましょう。それではやっていけないのじゃないか。町村なり県なりが負担してくれるならいいのですが、この点を十分お考えいたたいて全体の御処置をいただきたいと思いますが、この点については、どんなふうに試算の結果がなっておられるのか、総括的な措置についてはどんなふうにお考えになっているのか、一つ起伺いをいたしたいと思います。
  104. 伊東正義

    伊東政府委員 数字をあげての御質問でございますが、われわれの方といたしましては、まだ被害関係農家数がつかめませんので、実は静岡県においてどのくらいの率になるだろうかということについての試算はいたしておりません。いたしておりませんが、昨年の長崎の諌早水害の例を考えますと、今県の調査といわれました九六なり七六という数字は、おそらく田方郡あたりはこれに近い——若干違いましてもこれに近い数字だろうと予想はいたしております  それから、今の法律の場合と二十八年災害の全部九割にした場合の差額の問題でありますが、二十八年災より農業施設の方は上っておるわけであります。問題は農地の七五、七六という問題でございますが、われわれとしましては、この点は、先ほどから申し上げますように、被害の激甚なところでは、あとは個人負担になりますので、なるべく市町村がこれを仕事としてやっていく、そうして、国から補助金が出る以外の起債については、今まで、比較的満足と言ってはなんでございますが、百パーセントに近い起債を認めて、また交付税でそれをまかなっておりますので、なるべく市町村営にいたしまして、農民負担は軽くしていく、そして、国の負担の残った分については、起債でもって市町村でやってもらって、交付税で考えていくというように、なるべく市町村営というところへ今度の災害復旧を持っていった方が、農民負担は少くなるのではないかという考えで今いろいろものを考えております。
  105. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点は、今の現行法による限りそれよりほかに救済策はないわけであります。ぜひ一つ農林省のお立場からも、自治庁、大蔵省等にも、言葉が過ぎるかもしれませんが、町村も実はやれないのでありますから、ぜひその点もお考えいただきまして、一つ本気な御交渉をお願いいたしたいのであります。  農地関係の重要な、二点だけお伺いたします。  その一点は、今度の農地は、普通の行き方でいきますと、御承知通り三、五、二ですね。これでいきますと、来年度植付のできないところが大部分になりはせぬかと思うのであります。私は、来年度稲の植付が全部できるようになんて、そんなぜいたくなことは申しません。できるだけそういたしていただきたいのでありますが、せめて来年度は食糧くらいは植付をさして、今年も食糧は一年だけ貸してくれとお願いしているわけでありますが、来年度はせめて自分の食糧だけくらいはとる程度にやっていただきたい。それについては問題が二点あります。今の三、五、二という比率ではこれが実竹不可能ではないか。従って、でき得ればこれを四、五、一というふうな比率にかえていただいて、特別措置をお願いするということがぜひ必要ではないかというふうに考えますが、この点についてはどうお考えになっておるのか、また、現実に補正予算の編成の過程においてどういうふうな数字、パーセンテージを基準にしてやられておるのか、この点も一つはっきりお答えをいただきたいと思うのであります。
  106. 伊東正義

    伊東政府委員 三、五、二という問題でありますが、実は災害の折衝をいたしておりまして三、五、二が欠ける場合が多いのであります。われわれといたしましては、今までこれが欠けるような場合が多いものでございますから、できるだけこの原則は守ってくれということで、予算要求は今三、五、二でやっております。ただ、来年の植付の問題がありますので、これにつきましては、先ほどから申し上げます起債の問題でありますとか、あるいは農林漁業金融公庫資金でありますとか、そういうものをいろいろ動員しまして、なるべく多くのものが来年度植付に間に合うようにということで、万金の手配をいたしたいという考えであります。
  107. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それについてむずかしい問題が必ず起るわけであります。かりに三割を予算としましても、これはどうなんですか、やはり普通の五〇九、六五%の補助率でやっておられるわけでしょう。それとも高率適用を加味されておられるのかどうか、この点か一点。そうして、これに対して、たとえば地元負担分についての起債か果して確保されるのかどうか。来年度どうしても植付ができるようにするためには、どうしても施越し工事をしなければならぬ。施越しについては、御承知通り八〇%は公庫の金が借りられます。しかし、施越しについて起債がつくのかつかないのか、普通ではつかないはずであります。そうしますと、実際には、高率適用をいただきましても現地ではそれ以上にひどい負担にならざるを得ない。さっきお話のような、九七でござるの、七六でこざるの、平均で九一になるのという数字ではなくて、現実に農民負担ははるかに大きなものになる、こういう心配か実際にはあるわけです。どうしも相当施越しを認めて、これに対して公庫の金を借りてやらざるを得ない。公庫の金を八〇%、あとの二%はもっと高率の金をどこかから借りなければならぬ。そして、これが三十四年度の予算に大体との程度繰り入れられるのか、さらに三十五年度でこういうものの穴埋めがどれたけできるのか。こういうところを最後まで勘定しませんと、査定の食い違いと同時に、この措置の問題が、表面ではうまく行っているようですけれども、実際にはこういうことになりますと現地農民負担は非常によけいになる。町村もこれではやり切れないということが必ず出てくると思うのです。これに対しては農林省としてはどういうふうに対処されるつもりか。だから、本年度もまず第一にこれに対して現行の高率適用を相当織り込んだものを要求してもらい、そしてその要求を農林省で通してもらうということ、そして施越しにつきましては起債なり何なりの措置を講ずるような交渉をしていただきませんと、これはやれない、こういうことになると思いますが、これらに対する現在のお考えなり、今とりつつある措置あるいは今後とられる方針についてはどういうふうになっておるのか、一つお答えいただきたいと思います。
  108. 伊東正義

    伊東政府委員 第一点の、予算の要求は五割、六割五分という補助率で要求しておるかというお話でありますが、これは実は補正予算で今大蔵省等に話しておりますのは、補助率を上げまして——補助率を上げてというのは、高率適用を当然やるという考え方で、農地につきましては六八%、それから農業用施設につきましては八〇%という昨年の高率適用をやりました比率で予算の要求をいたしております。この比率は実は昨年の実績そのままを使っております。二十二年度の災害が、全国平均しますと、農地は六八の補助率になっておる、農業用施設は八〇の補助率になっておるというのが出ております。この高い比率のものを持ってきまして要求をいたしております。  それから、施越し工事と起債の関係でございますが、御質問にありましたように、施越し工事については実は起債を認められておりません。これは共同施行をやる場合などでありますので、起債を認められておりません。われわれとしましては、なるべく農民負担を軽減するという意味からいきますれば、市町村営でやってもらって、起債というものをなるべく活用したやり方をやるべきでありますが、もう少し農民負担がある程度できるというところにつきましては、これは施越し工事を極力やっていただきまして、来年の植付に何とか間に合せていくというやり方で、この手段を分けて考えておる次第であります。
  109. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今のお話ですが、現地では、いろいろな事情で、農民あるいは町村負担力のあるところはほとんどないのです。ですから、施越しについて、今まではないにしても、何らか起債なり何なりでこれの穴埋めの措置を講じていかなければどうにもならぬと思いますが、この点を重ねてお伺いするわけですけれども、何とか方法はないですか。
  110. 伊東正義

    伊東政府委員 今のところは、その手段はちょっとないのであります。
  111. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それでは、農地関係でもう一点だけお願いします。  それは、救農土木というか、これは災害程度によって相当出さなければならぬと思いますので、この点についても十分お考えをいただきたい。私どもは、救農というよりは、むしろ今の農地復興その他の復興事業で、これは罹災農民にみな出て働いてもらって、それで食っていくよりほかに手はないと思うのであります。ところが、この点でやはり問題がある。それは、今の単価が幾らになっておるか、たしか労働省告示で二百八十五円じゃないですか。ニコヨン並みではないですか。これではしようがないと思います。これで施越しその他をやりますと、その一部を町村がはずすということになる。二割ぐらいはずすと、二百四十円ぐらいしかとれないという実情になると思うのです。これではほかに何もない連中が、借金をしてどうにもならぬ。せめて特失の場合が御承知通り四百五円です。特失までいかない。あるいは私どもは基本的には五百円を保証すべきだと思う。女は少くとも三百五十円、男は五百円を当然保証する、これは法律的にあるいは行政的に措置ができるのかできないのか。あるいは、現地において実際にかかる場合に、こういう便法、——便法というと語弊がありますけれども、実際的な措置をとられる道があるのかないのか。現在の労賃基準はいろいろの種類によって違いましょうけれども、一般労賃、これによって働かせるよりほかに手はないのか。私はどこへ行っても、あまったれちゃいかぬ、土方でいくのだと言っておりますけれども、みんないいごきげんじゃありませんか、やらざるを得ません。その土方の賃金が、今のようにたしか三百八十五円だと思います。間違っておれば訂正しますけれども、もしそうでないとしても、ニコヨン並みだとすると、そう高いものではない。ぜひこれは臨特程度、四百五円最低限度組むようにお願いしたい。もしそうでなければ、何とか現地的に処理のできるような方法なり施行方法なりというものをお考えいただきたいと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  112. 伊東正義

    伊東政府委員 これは実ば建設省の工事とも直接関係があるわけでございますが、今先生のおっしゃいます通り、労働省で大体きめておりますのは、この主体が、私は三百三十円ぐらいではないかと思うのですが、土工です。これは雑役とかいろいろありまして達うのですが、これもあるいは数字が達っておるかもしれません。よく調べますが、おそらく三百円内外だと思います。これをどうするかの問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように建設省の関係でもございますし、われわれだけでこれを動かすということも実はできないのでございますので、その点はもう少し検討させていただきたいと思います。
  113. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一点だけ農地関係について御質問しますが、この工事は大体において大きいところは県が実施主体になろうと思います。小さいところは県の方の指定、委任によって町村がやるということになろうと思います。ただ、あの実情を見まして、しかも来年の植付に間に合せるということになりますと、私は、今の県の技術能力、土地改良なり何なりの技術能力ではとうてい不可能ではないかということが考えられる。私ども土地改良をやって県の土地改良区の人たりとずいぶんつき合ってきましたが、実に能力が低い。しかも、そう言ってはあれですが、決して訓練がよくできて高度の技術にたえるような人は少い。しかも町村には御承知通りほとんど現場の工事監督をやる人間がどこの町村にもおらないのが実情なんであります。おっても、私の知っておる範囲では、ごく一人か二人です。あの地帯全体においてそういう実情において今度長期にやらなければならぬ。こういう点について、この人員の配置についても、県の方で、これは事務費といいますか、何かこれについて特別の配慮をいただきたいし、もう一つは、あの泥の排除にいたしましても、大きなこんな岩石の排除にしましても、従来のモッコ主義ではとてもいけません。やはりブルトーザー以下相当進んだ機械を貸与なり何なりしなければ、工事は早くまた安く上らないと思います。こういう点については実際どういう措置をされておるのか、この人員の点、こういう点を具体的に措置をしていただきませんと、工事は一向に進捗しないと思います。この点についてはどういうふうに措置をされておるのか、この点もお伺いして起きたいと思います。
  114. 伊東正義

    伊東政府委員 今静岡の御質問でございますから、私の方も静岡県とよく相談いたしましてやりたいと思いますが、たとえば、もしどうしても早く工事をやるために機械が必要だということでありますれば、これは私の思いつきでございますが機械公団の機械等を活用することも私はけっこうじゃなかろうかと考えます。  先ほどの人員の問題、これは県の人員の問題もございましょうけれども静岡県と農林省とよく相談をしてやっていきたいと思います。
  115. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私はあとで技術的な点を固めた上でまとめて大きく大臣に政治的考慮を願わなければならぬ点がありますが、農地局長に対する質問を先に続けます。  次に自作農創設維持資金の問題でございますが、午前中倉成さんの質問で大体要点を得ているのでございますが、ただ、問題は、あの質問の中で、ワクが果して今の程度で間に合かというと、静岡だけではなくて、全体の今度の二十一災、二十二災を考えてみると、ワクがとうてい不十分だと思います。ワクの拡大は法律改正を要しません御承り知の通り、今の四億何千万ではとうていしようがありません。ほかの資金ともあわせて考えなければなりませんけれども現行法ワク内でいくのでは、自作農創設資金はこの程度ではしようがない。どのぐらい全体として増される予定か。大体七十五億、あと四億幾らしか残っていないというのですから、とてもこんなことでは二十一災、二十二災の始末はできませんよごれについて、資料が出てこないと今ごろ言っている手はないと思います。大体の見当がついておらなければならぬと思います。これらについては現在どう考えているのですか。
  116. 伊東正義

    伊東政府委員 自作農創設資金ワクの問題でございますが、実は残っておりますのは三億だけでございます。静岡にとりあえず内渡しとして一億五千万出しましたので、あとは三億でございます。私ども三億で間に合うとは全然考えておりません。それで、午前中答弁いたしましたのは、実は統計調査部の農作物の被害統計が出ましたならば、そのうちで何割以上の被害は幾らということをつかみまして、それをもとにして自作農のワクをはじいておりますが、それを実はまたわれわれはもらっておりませんのではじけたいのでございますが、統計の方も早急に出すわけでございますから、それをもとにしましてワクをはじきまして、公庫のワクの中で何とか操作してもらいたい。実は今公庫には予備費が八億あるはずでございまして、これも自作農で全部もらうわけにはいきませんが、償還金その他いろいろ財源があるかもしれませんので、この問題は経済局長からお話があるかもしれませんが、われわれとしては早急にワクをはじきましてやりたいと思っております。おそらく十数億のものには当然なるだろうと思っております。
  117. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 はっきり私もわかりませんが、今三億しか残っておらないうち、二億が開拓関係、そうすると何もないのじゃないですか。一億しか残っていない。これで二十一災と二十三災を乗り切ろう、そうして今の公庫の予備金の中でというのは、私は無理じゃないかと思う。どうしてもこれは政府資金計画を変えてもらうなり何なりしなければ、その面から押えられてくる。自作農創設資金が、今度の二十一災、二十二災を全国的に救う唯一のあれに、少し言葉は過ぎますけれども一番たよりになるものです。それの問題がほとんど片づかないということになるだろうと思います。ですから、この点は経済局長とも十分お打ち合せの上で、現行の公庫の資金ワクの中で予備金なりあるいは返還分で操作をしようなんというけちな根性でなく、もっと本格的に考えられて、この二十一災、二十二災全体に対応するだけのワク一つ獲得することに特にお骨折りをいただきたいと思います。ほかの点についていろいろ私ども注文もありますが、しかし、いろいろ御注文申し上げてもちょっと今は無理ではないかと思うので、ぜひこのワクだけは一つ十分にとって、二十一災、二十二災に対処していたたきたい、こう考えますが、この点はどうですか。
  118. 伊東正義

    伊東政府委員 私も今残っております三億のワクでまかなえるとは全然考えておりません。でありまするので、先ほど申しましたように、公庫の資金繰りの関係、いろいろございましょうし、自作農資金はこれだけ必要だというものをはじきまして、その上で農林省の中で相談をしまして、何とかしまして自作農資金でまかなえるものは十分私の方はまかなっていきたいと考えております。
  119. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 関連して……。  自作農資金ですが、実はこれは災害地に行かれる与党の議員も農林大臣も、いずれも自作農資金に大きな希望を持たせるようなことを言って歩いているんですよ。たとえば私の県などでも、やはり農林大臣も与党の幹部もそういうことを言っておるのです。そこで、十一号から八月にわたるあの災害の際たけで、新潟県で九月末に集まった申し込みの額が二億一千万円に上っているわけなのです。当初新潟は三億を要求しましたけれども、実は、大臣も私も、一億を下っては処置がつかない、こう言っておったわけです。ところが、割り当てられた額がわずか五千万円なんですね。その手続たるや、午前中にもお話があったように、何分にも膨大な文書を提出しなきゃならないので、新潟の場合などは災害のない地域から事務にたんのうな職員を全県下から動員して、非常なたくさんの経費を使って、滞在費を使って手続をしておるわけなんです。ところが、せっかく手続をして二億以上にも及んだにもかかわらず、それに対して五千万円。これでは全く処置がないんですね。今の久保田君の質問に対しても、ただふやさなきゃならないというお話ではあるけれども、一体どの程度めどを置いておられるのか。それからまた、七月、八月の災害等に対しても配分の見通しが立つのか立たないのか。今申し上げたように、農民の手で簡単に二日か三日かかってできるような手続じゃないのです。専門家でなければこれはできやしない。実はこれは作文なんで、実態とは離れたものができる。これは法律そのものが間違っているんですけれども、それは別としてせっかくむずかしい手続をしてやったにもかかわらず、そういう少額な割当ではどうしようもないわけなんです。今その災害程度に応じてというお話でしたが、一体今までの災害に対する自作農資金災害ワクという一定のやはり基準があって、その基準によって災害が深刻であればそれに応じたワクの拡大というのは可能なのですかどうなのですか。
  120. 伊東正義

    伊東政府委員 先ほどの御質問の中の、二億出したが、それが五千万しか来なかったというお話でございますが、これは、先般二十一号台風の前までの分につきまして、旱害対策を含めまして十二億実は配分したわけでございます。そのうちの五千万だと思います。先生がおっしゃいます二億要望したということ、各県からの要望を集めますと百二十億になっております。ことしの自作農資金ワクは一年で七十五億でございますが、県の要項をそのまま集計いたしますと百二十億をこえております。これは二十一号の実は前でございます。それで、われわれとしましては、これを算定いたします際にはやはり統計調査部被害報告をもらいまして、何割以上被害は幾ら、たとえば保険、共済は幾らもない、それを何ぼ以上のものにどう見るという基準を作りまして、配分の算定基礎にいたしております。それで大体中庸を得たようなところをねらうというようないろいろな基準を考えて実はやっております。  今度の場合どのくらいになるかの問題でございます。先ほど申し上げましたが、まだ計算はいたしておりませんが、おそらく十億を下らぬワクは当然出てくるのだろうと私は想像いたします。そういう数字が出ましたら、その数字をもちまして、農林省の中でこれをどうするかということを相談しまして、自作農資金——これは災害資金では実はないのでございますが、ほかのいろいろな融資の一環として、自作農資金ではどのくらい受け持ってやっていくのだということを考えていきたいと思います。
  121. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私の申し上げておるのは要望じゃないのです。二億一千万円というのはすでにめんどうな手続をして申し出をした数字なんです。まだ次々と出てくるのですよ。大臣を初めとして与党の役員諸君などが、いかにも幾らでも出るようなことを放言して歩くものたから、幾らでも出てくるのですよ。そこで、一体、予算のワクからはじくのか、必要な程度から予算を盛るのか、それが問題なんですよ。今後予算があと五億しか追加されない、あと三億しか追加されないということになれば、ほとんど希望は持てないということになる。希望が持てないということなら、そんなしちめんどうくさい手続などしませんよ。ところが、何か幾らでも広がるかのごときことを大臣などが放言して歩くもんだから、だから次々とめんどなことをやってくる。それでまた、今までの例から言うと、手続をしてから半年も一年も一年半も、おそいのは二年くらいかかってようやく金が届く、そういうような実情なんだから、これを一体どう処理するかということについては、やはり確固たる方針を持って臨んでもらわないと、迷惑するのは農民なんですよ。農民が迷惑しないように、あらかじめやはり県を通して地方に対して、あまり期待ができないなら期待ができないというふうに、方針かその見通しというものを指示する。それから、今言うように、災害がすっかり明らかになったならば要求すると言われるけれども、すでに二十一号、二十二号台風以前に百二十億もの要請が出た、こういうことでありますから、そうすると、おおよそその要望要望であるけれども、実際に今農林金融関係ではいろいろなものがあるけれども、これは年限といい利子といい、自農資金にまさるものはないわけだ。だから、みんなここにしわ寄せが来る。それでまたこれが農林金融としてはこのワクを拡大する以外にはやはり方法がないのです。それだけに一つ農地局長はそういう点をよく考えてやってもらいたい。これは局長だけでなくて、もちろん大臣も次官も農林省一体となって強力に一つ交渉をやってもらわなければならぬのであるが、さっき言ったように、必要度というものから予算を考えるのか、予算のワクがきまったところで配分をきめるのか、そのどっちなんです。
  122. 伊東正義

    伊東政府委員 当初は、御承知のように、一応自作農資金は七十五億というワクでやっているわけでございますが、今先生のおっしゃる問題は、そのワクをはずして、七十五億で足りなくなったら幾らまで追加できるのか、そういうものは必要があればどんどん増していくのか、あるいは何か縛るものがあってその中でこれ以上できないのかという御質問でございますが、これは、われわれの考え方といたしましては、七十五億で足りぬ部分で幾ら必要なのだということをはじくことがまず第一段階でございまして、それが出ましたならば、公庫の資金繰りの中で幾らそれに使えるものがあるか、どうしても足らぬものはどうするかということを考えていくのが順序でございまして、今われわれとしましては、必要なものを早急に統計調査の数字に基きましてはじき出して、その上で、次の段階でこの農地局の中でどうするかという相談をしようと思っているのでございまして、ワクがあってそれ以上は絶対に出ないのだという意味のワクはございません。それから、必要だといって出せるものはみな出せるかというと、そこまではいかぬ問題だと思いますので、その辺のところは、公庫のワクをも考えて、中で相談していきたいというふうに考えております。
  123. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私は残余の質問はたくさんありますけれども、経済局長、振興局長、畜産局長、食糧庁の長官等をぜひ一つお呼びいただきたい。なお、あす私も続行さしていただきますが、その際は一つ農林省関係の締めとしては大臣に対しては大きな点をまとめて四、五御質問を申し上げたいと思いますので、その御手配をお願いしたい。そのほかに、自治庁関係、厚生省関係あるいは建設関係等、いろいろ連関をした問題で御質問したい点が多々ございますので、こういう点についても一つ格別にお取り計らいをいただきたいということをお願いしまして、残余の質問はあすに持ち越すことといたしまして、保留をいたしておきます。
  124. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 久保田君の申し出のようにいたしまして、次は松岡君に発言を許します。松岡君。
  125. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 午前中の倉成委員また久保田委員の長時間にわたる御質問を伺いまして、いろいろ私は考えさせられたのでございますけれども、結局、今次の災害におきましての特徴は、すでに御存じ通り、一千戸以上の農家が押し流されて、手数百名もの犠牲者を出し、農地におきましても埋没荒廃等が二千百数十町歩だ、かような状態でありまして、その被害は実に深刻の度をきわめており、かつこれが個人的にいろいろの面から考えまして全く壊滅的の打撃を受けておるわけであって、容易に立ち直るということは不可能であろうと存じます。今度の伊豆の災害におきましての被害の特徴は、実にこの個人の壊滅的打撃を受けたところの農家をいかにして救済することができるかどうか、こういう点か一つ。なおまた、部落的にも十数戸の部落が全く押し流された、あるいはまたほとんど壊滅状態に陥ったということであって、これらの部落再建できるかどうかというような問題が大きな特徴であると考えます。そこで、両委員質問を私聞いておりまして、政府当局政務次官あるいはまた局長あたりの御答弁が、結局現行法最高度に活用してその救済をいたす、あるいはまた考慮いたすとかいうようなことで、いわばぴたっと了承することができないような点があると私存じます。それは、考えさせられることは、昨日もこの委員会におきまして、すみやかに補正予算を組んでもらいたい、なお特別立法を要求するという決議をしたわけでありますけれども、結局、この農村の荒廃は、こうした特別立法によらずんば根本的の救済はできない、そこに私は重点がしぼられて参るのではないかと存ずるのであります。こういう点につきまして、もちろん農林大臣はこの災害地状態をつぶさに検討されて特別立法の成立に対しまして大いにお働き下さっておることとは存じますけれども、結局農林省において今度の災害を救う根本問題がここに集約せられるということを考えるならば、この点について農林当局といたしましてはあげて政府に対しまして強力な特別立法の措置を要求せられまして、一日も早くこの挙に出でられんことをお願いするわけであります。もう再びお尋ねするのは愚問のようで、すでに久保田委員からもたびたびこの問題には触れたわけでありますけれども、私といたしましても、結局はこの特別立法が農村の災害地の救済ができるかできぬかという焦点にしぼられておると考えますので、重ねて一つ政務次官の御決意のほどを伺いたいと思うわけであります。
  126. 石坂繁

    石坂政府委員 ただいまの松岡委員の御質疑でございますが、今回の伊豆地方災害については、他の委員諸君の質疑に対して申し上げました通り、まことにひどい災害でございまして、私も実情を見ていたくその点を感じておる次第でございます。しかるに、松岡委員の御意見では、政府はこの災害に対しては現在の法律、政令の範囲を最高限度に実施することによって対策を講ずると言うておるけれども、それではだめだ、要するに特別立法を出すにあらざれば今回の災害を救うことはできない、こういう御趣旨に拝聴いたしたのであります。特別立法の措置を講ずるかどうかという点につきましては、午前中他の委員諸君の御質疑に対しましても私はお答えいたしたのでありますが、これは単にその場限りのおざなりで検討をいたしておりますとお答えしたわけではないのであります。昨日の当委員会におきましての御決議の趣旨は、補正予算をすみやかに国会に提出すると同時に、所要の特別立法等の措置を講ずる、こういうふうな御決議でございましたが、これに対しまして、大臣は、お聞きの通り政府といたしましてはできるだけこの要望の線に沿うという答弁をしておられるのでありまして、特別立法につきましては十分われわれは検討いたしておるのであります。しかも、特別立法という段になりますと、農林省だけの関係でも参りかねる点が多々あろうかと存じます。従いまして、私のあらためての決意という御質疑でありましたが、この点は、私の決意というよりも、むしろかかって大臣の決意にあるのではないかと考えます。
  127. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 ただいま政務次官からの御答弁で了承いたすわけでありますけれども、久保田委員からの質疑もございましたので、重ねて失礼とは存じますが、この営林署の個人の災害者に対する木材の半額払い下げ、あるいはまた小災害においての農地関係の点であるとか、すべてこの特別立法でないことには処理できない、結局答弁もできないんではないか、かように私は思いますので、一つよろしく御配慮のほどをお願いいたします。  次は、被災農家再建営農資金についての問題でございますけれども、これもやはり、結論的には、先ほど申し上げました通り、非常に災害の打撃がひどい、普通の状態ではとうてい立ち上ることができないというような状態でありますので、ものによっては全額の補助もいたして、農家を元気づけて再建をさせるというようなことにいたさないことには、私は真の目的は達成できないと考えるわけであります。狩野川流域は、御承知のように、米作と、それから酪農の地帯でございます。そして全国的にも農業施設は相当高度に進んでおるところであるわけであります。そこで、この農業施設の固定資産というものは、大体最小限度百万円程度にはなっておる。なお、この地方において、たとえば開拓地の創設農地の経費を差し引いても百五十万円となっておるようなわけで、この付近は百万円程度は最小限度要るというようなわけであります。いろいろ融資関係もあるのでありますけれども、先般知事の陳情合のときにありました通りで、結局は、いろいろ算計いたしましても、六十万円程度政府で見てやらないことには、とうてい立ち直ることはできないんじゃないかというようなことを申されておりました。いろいろこまかい計算もここにはあるわけでありますけれども、結局政府といたしましてこの程度の金額を何とか見てやらないと、この地方の農家再建ということはできないと考えるわけであります。そこで、営農資金補助といたしまして、種子あるいは種苗その他育苗等の資材、施設、それから土壌改良、こうした方面における施設に対しまして、政府としてどのような考えでこの補助に臨まれるのであめるか、一つ承わりたいと存じます。
  128. 石坂繁

    石坂政府委員 狩野川流域の農家状況が米作並びに酪農を主とした経営農家であり、相当高度の経営をやっておる農家であったことは、私も現地視察の結果大体認識をいたして参ったのあります。しかるに、これに対する復興、再建の方法でありますが、松岡委員のお気持は私も十分に拝察いたすことができます。そこで、これに対します政府の措置でありますが、午前以来たびたび私どもから御答弁申し上げておりますように、この経営資金なりその他の復興資金につきましては、天災法による融資なり、あるいは自作農資金融資等のことをできるだけ最高度に、また最大スピード・アップいたしましてそれを交付するように努力いたしたい所存でやっております。ただいま御指摘の種子確保に関する問題でありますが、この点につきましては、県内における被災農家の再生産用の稲の種を確保いたしますために、経済連が種もみの集荷、保管及び配付等の事業を行う場合におきましての金利、保管料等について助成を行いますと同時に、特に被害激甚地被災農家の稲、雑穀等の種の購入費につきましても助成を行なって参りたい所存でございます。
  129. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 災害農家の救済融資につきましては、自作農創設資金により、また、住宅公庫資金、その他天災融資等あるのでありますが、先ほどお話では融資ワクがないということでありました。災害地のこうした羅災民の資金の申し出は申請通りお願いできる状態であるか、一つお伺いいたしたいと存じます。
  130. 伊東正義

    伊東政府委員 先ほどから御答弁いたしますように、静岡に対しましては、さしあたり一億五千万円ということにいたしたわけでありますが、その他のものにつきましては、今の残りワクではとうてい足りませんので、われわれとしましてば、先刻からお答えいたしますように、なるべく御希望に沿いますようにいろいろ検討いたしたいということで、今後農作物の被害がはっきりいたしますれば、それに基きましてそういう手段をとりたいというふうに考えております。
  131. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 自作農創設のことは今伺ったわけでありますが、天災融資その他住宅公庫の資金融通はいかがでありますか。農地局長お話ですと、結局ワクをふやさないことには応ずることができない、そういうわけなんですか。
  132. 石坂繁

    石坂政府委員 自作農創設資金ワクにつきましては、ただいま農地局長から御答弁申し上げました通りであります。一億五千万円の静岡に対する交付はとりあえずの交付でございますから、これは今までの七十五億のワクを広げるのは不可避ではなかろうかと考えて起るわけであります。その他の資金につきましては官房長から詳細お答え申し上げます。
  133. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 農家再建資金あるいは営農対策費につきまして御質問がございましたので、それに関連いたしまして、現在考えておるところを申し上げたいと思います。資金関係につきましては、農家の所要資金は罹災地につきまして相当の額になるだろうと想像せられるわけであります。それにつきまして、ただいま御答弁いたしましたように、長期の資金としては自作農資金、それから短期の経営資金としては天災法資金があります。そのほかに、個人施設としての資金あるいは各種の共同施設につきましては農林漁業金融公庫資金というものもあるわけでございます。われわれも、今回の災害対策に対しましては、できるだけ早く、かつまたできるだけ需要に応ずるようなかまえで処理して参りたいということで、自作農資金につきましては、先ほどもお答えがありましたように、さしあたりできるものについての即刻の割当を行いますほか、天災法の適用につきましても、大体最近の農作物被害の統計の方もほぼ判明いたして参りましたので、速急に、できれば時間の問題として発動いたすということにいたして、これまた従来の運用の範囲においては最大限に経営資金を活用する。たとえば飼料であるとか肥料、農薬等のほかに、天災法の方で経営資金として、たとえば小家畜のごときものは、運用上も、その購入資金の、経営資金の対象に入れるというふうな方法によりまして、天災法資金によってもできるだけ幅広く運用上対象にして取り上上げていきたい。それによって漏れますような個人施設、たとえば農舎でありますとか畜舎でありますとか、先ほどお話がありましたワサビ田の施設であるとか、そういうような施設につきましても、従来の各種の個人施設として、災害のつど主務大臣が、農林大臣並びに大蔵大臣が施設を指定することにいたしております。お尋ねにつきましても、今回の場合におきましては新たに指定をするということになるわけでありまして、その面におきましても、現在静岡当局から御要望のありますような施設につきましては、この災害に伴いまして新たに融資の対象に指定するという措置をとらまして融資を行なって参りたい。現在これらの施設につきましては大体二十万円、自作農資金とほぼ同じでございますが、そういうふうな資金も大体二十万円見当といたしまして出すことにいたしておるわけでございます。従って、農林省関係につきましては、自作農資金あるいは天災資金あるいは改良資金あるいは公庫資金、そういったあらゆる画から、それぞれの融資対象に応じてできるだけ活用するということで措置して参るような手配をいたしておるわけであります。  それ以外の一般的な営農対策についての所要の助成につきましては、現在まで、わかり次第、これらにつきましては調査をいたし、それに対する対策検討いたしておるわけであります。先ほど政務次官からお話しになりました種子確保に対する助成等も、もちろんその一つでございますが、これら以外の措置につきましても、今後の災害の態様に応じまして、できるだけ迅速に的確に把握すると同時に、それらの措置を目下検討いたしておるというのが現段階でございます。それによりまして必要な助成は今後検討して参りたい、かように考えておる次第であります。
  134. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 そこで、お伺いいたしたいことは、今度補正予算を組まれるということでありますけれども、この補正予算の農業方面に関しましての経費は大体どのくらいでございましょうか、おわかりになりましたう、一つ御説明を願いたいと思います。
  135. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 今回の災害に伴う補正予算として農林省関係かどのくらいになるかという御質問だと思いますか、この点につきましては、実は、この災害のみならず、以前に引き続くいろいろの災害につきましても補正予算を組みまして——すでに臨時に出したものもございますけれども、それ以外の予備費要求未済の災害についても、まだ場当農林省としては残っておるわけであります。従って、今回分ということでなくして、現在まで処置済み以外の災害すべてを含めまして、当面の所要額につきまして大蔵省に要求をいたそうということで準備いたしておるのでございます。  従って、そのうち予備費に回るもの、補正に回るもの、これらは財政当局におきまして全体のワク考えながら最終的にきまるものであろうと思いますけれども、施設災害につきまして、一応現在まで判明いたして大蔵省に要求しておるものは約五十億ということになっております。
  136. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 今度の災害は、先ほども申し上げましたように全く壊滅的の打撃を受けておるようなわけで、いわば開拓地と同じような状態に置かれておるわけでありますか、閣拓地におきましては相当の優遇をされておるのでありますけれども、今度のこの復旧につきまして、開拓地と同じような取扱いを願えないものかどうか、承わりたいと思います。
  137. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ちょっと今の御質問、何の開拓地ですか。
  138. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 たとえば開拓地におきましては補助率等が非常に高いということを聞いておるのでありますが、そういう点を、今度の災害地におきましての状態はほとんど開拓地と同じように非常に荒廃しておるわけでありますので、そういうような工合に取扱いができるかどうかということであります。
  139. 石坂繁

    石坂政府委員 官房長から説明いたさせます。
  140. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 開拓地との関係におきましては、具体的には、たとえば住宅の全壊に対する補助が開拓地についてはあるわけであります。一般農家にはないわけであります。これらは従来の取扱いにいたしまして、開拓者の住宅建設につきましては農林省で助成をするという措置をとる、それ以外の一般住宅建設につきましては住宅金融公庫の融資措置によるという方法をとって参ったように思います。これをどう今後取り扱うかということにつきましては、被害実情から見まするとまことに同情すべき点かあるのでございますけれども、一般住宅までについて直接的な方法ということにつきましては、農林省としては現在まで扱っておらない。ただ融資の面である。これも直接的なことにはならないと思いますけれども、たとえば自作農資金が一部このようなものに結果的に利用されるというような、資金の面において利用される部分はあるだろうと考えておりますけれども、それ以外の一般の施設につきましては、現在、実情につきましてもう少し検討し、営農対策等ともあわせまして検討して、その上で必要な措置をとっていきたい、かように考えております。
  141. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 今度の災害復旧につきましては、いろいろ補助政策あるいはその他のことにおいて復旧していくわけでありますけれども、それと同時に大切なことは営農指導ということでございます。営農指導につきまして、政府といたしましても、長期にわたって現地に指導員を派遣いたしまして指導していくということで、農地復旧についての金の面の補助と同時に、技術の面の補助ということが非常に大切ではないかと思いますが、その点についてのお考えを承わりたいと存じます。
  142. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 災害あと地におきまする営農指導につきましては、従来も災害のつどわれわれの最も重要な事項として考えておるところでございまして、先般の霜雪害のあと、あるいは早魃のあとの復旧技術指導につきましては、特に留意し、重点的に扱ったのでございます。今次の災害の場合におきましては、ともかくもまず何をおいても復旧事業に主力を注ぐということが第一の事業であろうと考えておりますけれども災害あと地におきまするところの今後の営農技術指導につきましてはもとより、農林省としては従来通り重要な事項として考えておりますので、これらは当然今度の一般的な営農対策の一環として十分考慮いたして参りたいと、かように考えております。
  143. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 次にお伺いいたしたいことは、災害地においての新農村建設という問題であります。  伊豆におきましては、新農村律設に対しまして向う三カ年で行うわけでありますけれども、これから行うものが八カ町村、三十三年度において現在行なっておるものが六カ町村あるわけであります。御承知通り、新農村建設にいたしましても、今度のこのような災害にあったわけで、容易に財政負担がこの町村においてもできないというような状態であります。これに対しましてどういうように処置をお考え下さるか。なおまた、新農村建設を今後この災害地の残ったところの町村に対しましてどのように行なっていきますのか、お伺いいたしたいと思います。
  144. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 新農村建設を今後どういうふうな形において災害地については指導していくかという問題でございますが、私から詳細答弁する用意をいたしておりませんが、この問題につきましては当然いろいろの問題があると思います。よく県当局と振興局と相談いたしまして、それらに対する措置を考えて参ろうと思います。
  145. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 ただいま官房長の御説明でございますけれども、何分にも今度の災害壊滅的打撃を受けているわけであって、新農村建設につきましても、私希望を申し上げるわけでありますが、ぜひ一つ、新しい観点に立って、できれば特別の立法のようなことを考えられて、特別な方法によって完全にできますようにお願いをいたしたいと存じます。  なお、災害地にございますところの農協の問題でございますが、農業協同組合が災害地に三十四組合あるのであります。それで、農協が農家資金を貸し付けておるわけでありますが、御承知通り農家壊滅して、その資金も払うことができない。また、農協自体も、米作地帯でありまして、米ができれば、農協の資金も、いろいろと手数料か入ってくる、それからまた購買高も売れるというようなわけで、農協自体の経営もやっていけるわけでありますが、今度のような災容を受けますと、農協自体が赤字にならざるを得ないというようなことで、しかも貸し付けた債権は回収できないというようなわけでありますので、この点について利子補給をお考えいただけるかどうか、また、農協を再建する上において何らかの措置を講じていただけるかどうかということを御説明願いたいと思います。
  146. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 被害を受けた地帯における農協の各種の事業資金あるいは施没資金に対して今後いかにすべきかという問題でございます。これは、私も現地の農協等の被害状況を見まして、あるいはそういうふうな組合で現実に資金繰り等に相当困っておられるようなものもあるかと承知いたしておるのでございます。組合自身の直接のこうむった事業資金については、たとえば購買資金あるいはその他の経済事業の事業資金につきましては、これは天災融資法の対象になる場合におきましてはそれらの方法を通じまして資金措置を講ずることができるわけでございますが、今お話の中の一部にありました、たとえば貯払い資金であるとかいうような資金につきましては、これは、農協本来の系統金融の強さをこういう際には最も発揮すべきである、そういう意味におきまして、そのような事態に対する資金措置については、もちろん系統金融機関、特に農林中金等においても適切な措置をとるようにということで、関係者の方についても話し合ったのでありますがそれ以外の、つまり天災法融資の対象にならないような資金全体につきましては、やはり系統資金全体の活用によりまして、この際の措置として今後指導に当るべきではなかろうかというように考えております。まだ具体的な問題につきましては詳細承知いたしておりませんので、それらをお聞きいたしました上でまた善処いたしたいと考えております。
  147. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 いま一つお伺いいたしたいことは、久保田委員からの御質問によりまして、自作農創設の資金ワクは金額を明示されなかったのでありますが、その点何ほどくらいでありましょうか。
  148. 伊東正義

    伊東政府委員 先ほどお答えいたしたのでありますが、自作農資金ワク残りは三億でございます。これだけで足りぬのは当然でございますので、われわれ農地局としましては、統計調査部から農作物の被実が出て参りましたならば、それに基きまして、われわれが一応きめておりますような、考えております基準によりまして、どれくらいになるかということをはじいてみるわけでございますが、おそらくそれは十億を下るということはないだろうというふうには思っておりますが、またはっきり今幾らくらいということまでは出ておりません。
  149. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 先ほど斎藤官房長から、補正予算は五十億一般会計から出すということでございましたが、財政投融資は各種別に何ほどでございますか、お伺いいたします。
  150. 齋藤誠

    ○齋藤(誠)政府委員 ちょっと今手元に資料がございませんので、後刻調べましてお知らせいたします。
  151. 松岡嘉兵衛

    ○松岡(嘉)委員 私はこれで質問を終らせていただきたいと思いますが、最後にお願いを申し上げさせていただきたい点は、先ほど冒頭にも申し上げました通り、今度の災害を完全に復旧させるにはどうしても特別立法を必要とする、しかもそれをすみやかにやらないことには復興ができないと思います。こういう点からいたしまして、農林省当局といたしましては、各局におきましてそれぞれこれに対処するところの準備が完全にできておると存じます。しかし、くれぐれもお願いいたしたいことは、この点を一つよく御研究になっていただいて、すみやかに今度の復旧ができますように、ぜひ一つ農林省当局の絶大なる御支援をお願いいたしまして、私の質問を終らしていただきたいと思います。
  152. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 石田宥全君。
  153. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私は、一般の農林災害については質問を本日は留保いたしまして、二十一号台風、二十二号台風における阿賀野川の洪水に際しての堰堤の操作に関する被害について若干御質疑を申し上げたいと思います。  御承知のように、二十一号、二十二号とも、福島県から新潟県に流れております阿賀野川は、大洪水に見舞われたのでありまして、非常な被害を与えたのでありますが、特に二十一号台風におきましては、その被害はほとんどダムの操作よろしきを得なかったところにあると考えられるのであります。ここにその出水のグラフがありますが、出水もそうでありますけれども、このひき水が非常に急速である。これは下流の被害というようなことを全く考えないで堰堤第一主義にダムの操作をやられたのではないかということであります。大よそその最高位に達した際に、さらにこのダムの放水による水量は七千トンないし八千トンといわれておるのであります。これは大体夜の九時ごろ放水したらしい。その被害状況をずっと見てくるとはっきりわかるのでありますが、その三十分後に津川町にあるキリン橋という永久橋か流されておるのです。それからさらに二時間後ごろに五泉市の花温泉が流失をしておるのです。それからさらに二時間半後ごろの時刻に横雲橋が流失をしておるのです。これは非常な山のようになって、大洪水の上にさらにオーバーしてきたものでありますから、片っ端から、建物や橋架はもちろんであるけれども農地、農作物等に被害を与えたのであります。このダムの操作については、聞くところによると、阿賀野川水系の発電のダムは豊実、角神だけが新潟県内であって、この間の連絡はよくとれておるけれども、その上流はほとんど福島県の関係であるので、その間の連絡が十分とれていなかったのではないか、そういうために、上流のダムを開放する場合に、一応予告でもあればまたそれに対する対策もあるでしょうし、それから、災害地域におきましても、家屋の流失等の場合においては、ダムの水を何時ごろに開放するという予告等がありますれば、その家屋等においても避難をするのであります。あるいは家財道具のとりまとめ等かできるのでありますけれども、全然その予告なしにこれが開放されておる、こういう状態であります。堰堤操作というものは、河川堰堤規則というものによると、知事の処理事項のようでありますが、しかし、河川を直轄管理しておる建設省においても、これに対しては相当行政上あるいは監督上の責任かあるのではないかと思うのでありますが、これらの点について、今申し上げるような建設省の行政上または監督上の責任の所在を明らかにしてもらいたい。同時に、今申し上げたような事実に対して、どの程度報告があり、承知しておられるか、これをまず建設省の方から承わりたいと思います。
  154. 曽田忠

    ○曽田説明員 お答えいたします。ダムの堰堤の操作の問題でございますが、御承知のように、建設省がやっております多目的ダムにつきましては、洪水期の前におきまして予備放流をやりまして、その空間に豊水時の水をためておく、そういう操作のためのダムでございますから、こういう問題はほとんど起る問題でございませんけれども、電力会社のダムにつきましては、要するに電力のための用水の貯留というのが主目的でございます関係で、洪水の場合にどうするがということが問題になると思います。先ほどお話のございましたダムの操作規程といいますのは、各ダムごとにできておるわけでございますが、その原則といたしますところは、ダムに入って参ります水以上に水を放流してはいけない、そういう規定になっております。つまり、入ってくる水の量は出せる、それ以上の量は出せない。といいますのが、普通の場合におきますとそれでいいわけでございますけれども、あるいは上流の方が急に水がたまってきて、下流の方でダムが危なくなるから、あわてて満杯にならない前に水を放流するということが——現実に起るかどうかは別問題といたしまして、そういうおそれがあることはあると思っております。この問題につきまして、実は、われわれの方も、そういう相当の被害が起きておりますものですから、一応電力会社の方を呼びまして事情を聞いたわけでございますけれども、まだ非常に明白でございませんものですから、十月九日付の文書をもちまして、福島、新潟両県知事あてに、洪水時におきまする流量とか、あるいは水位の時間的変化とか、そういう点につきまして詳細な報告を徴しております。それによりまして早急に実情を把握いたしたい、そういうふうに考えております。
  155. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これははなはだ怠慢と言わざるを得ない。こういう惨害を生ぜしめておるダムの操作について、文書をもって問い合せるなどということはあり得べからざることです。これは政治の責任者はすみやかに係官を派遣して、その操作よろしきを得たかどうかということを調査すべきなんです。そうじゃないですか。ちょっとやそっとの被実じゃないんですよ。それを文書をもって問い合せたが、いまだに詳細な報告がないとは、全く怠慢もはなはだしい。しかも、もう関係市町村は、いずれも関係市町村議会においてこれを取り上げておる。県議会もまたこれを取り上げておる。県知事はちゃんと県議会において、東北電力に対し善処方を要望しておるということを明らかにしておる。県議会は調査員を派遣して今調査をやっておる。そういう事態の中に、河川の直接管理に当たる建設省の河川局が、ずっと時期はずれて九月十日ごろになって、文書で問い合せ中でいまだに報告がないという。一体建設省には電話はないのですか。そういうことだから被害が起こるのですよ。ちゃんと電話で問い合わせをやったらいいじゃないか。またいつ洪水がこないとも限らない。蒸留にある黒又川の堰堤は完成して、もはや水がたまり始めておる。こういうときに、一体そんなのんきな話がありますか。そういう態度でおられると、沿岸民はまことに恐怖心を持っておる。さっき私が言ったように、もしもう少し親切気があって、上流の降雨量が庫の程度であって、上流のダムはこういう状態である。上流の方も非常排水をしなければならない、下流の方にもこういう措置をしなければならないということになったら、今はラジオもあるし電話もあるから、そういうことが下流に報告されれば、下流の沿岸民はちゃんと家財道具のとりまとめをするなりあるいは避難をするなりできるんですよ。それを、そういうのんきなことをやっておるから、こういう甚大な被害を起こす。そう思いませんか。
  156. 曽田忠

    ○曽田説明員 まことにごもっともでございまして、実は御存じのように、本年度におきましては非常に災害が相次いで起こりまして、そういう調査の方が非常に不充分であったことはまことに申しわけないと思っております。われわれといたしましても、一応電力会社を呼びまして実情を聞いたわけでございますけれども、何せあの上流には十数カ所の発電所がございまいて、それを一々詳細に口頭でということも非常に時間をとりますし、第一次的には県の管理者の方で実際の各発電所ごとの実情を把握したい、そういうつもりでおったわけであります。いろいろおくれておりますことはまことに申しわけないと思っております。
  157. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 先ほどから申し上げておるように、直接には地方長官の責任になっておるのです。しかし、阿賀野川のように両県にまたがっておって、そして多数のダムがあるところにおいては、やはりある程度建設省の責任のもとにこれを管掌してもらわなければならないのです。それかこういう結果を招いたと思うのでありますが、今また調査ができておらないということなら、これはどうも追求する手はないわけです。しかし、少くとも今日電話もあり電信もありあるいはまた無電という機会もあるのでありますから、そういう際における施設をちゃんと完備して、できるだけその被害を少からしめるというのが政府責任だと私は思うのです。今のところ具体的にそういうふうな連絡とそれから全体的な管掌把握についての何の措置もないのですかどうですか。
  158. 曽田忠

    ○曽田説明員 先ほど申し上げましたように、一般的には各ダムにつきまして操作規定ができておるわけでございますが、本年度におきまして数カ所において電力会社のダムについてそういう問題が実は起こって参っております。これにつきまして、私の方といたしまして、九月十九日、事務次官名をもちましてダムの管理に関します監督の強化につきまして各都道府県知事あてに通達をいたしてございます。これは特にダムの操作規定にもあるのでございます。これは特にダムの操作規定にもあるのでございますけれども、第一には、出水時にいきましてはダムの流入量をこえる流量の放流は行わないこと、それから、ダムの地点の下流における水位に急激な変化を与えるような放流は行わないこと、それから、先生先ほど申されました連絡及び警報については、下流の沿岸に被害を生ぜしめるおそれのある相当量の放流を行おうとする場合におきまして、放流開始前に、その時刻、放流量の見込み、その放流の方法、そういうものを下流の関係機関に電話その他の方法によって連絡させる、また必要に応じましてはサイレンを鳴らす、そういうふうな通達を知事あてに一応出しまして、厳重に監督をお願いしたわけでございます。
  159. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これからではすでにおそいのですけれども、今後のためにこれは、一つぜひやっていただかなければならない。同時に、今の規則や規定では直接にはどうも知事の責任になっておるようでありますが、しかし、地方長官にどういう手続上の失態があったかということは別の問題といたしまして、やはりすみやかに万全の措置をとり、明年度はやはり予算に計上して、再びこういう被害が起こらないように、洪水そのものは豪雨による被害でありますから、雨そのものはどうすることもできないけれども、少くとも人間が機械の操作によって左右できるものをやらないということはないのですから、これは、一つぜひやっていただきたい。  それから、なお、先ほど申しましたように、関係市町村や県議会等が発電会社に対して、県では見舞金という名称で大体陽性をしております。地方の市町村議会ではそれぞれいろいろな形で補償の要求をしておるわけであります。きょうの新聞にも、ある町の議会で問題になったことが載っておりますが、少くとも今回の場合のごときは、会社から見舞いくらいは出すべきじゃないか。見舞いのあいさつにも来ない、これは実にけしからんと言って、非常に憤慨しておるわけです。こういう点についても、やはり、川そのものを管理される建設省としては、沿岸の被害民の立場に立ってそれぞれの措置があろうと思いますので、一つお心づけを願いたい。  建設省の関係はその程度にいたしまして、次は公益事業局の課長産に伺いたいのでありますが、今お話をお聞きの通り、こういうふうな状況でありますが、この新しい発電ダムの設置については逆調整の施設をしなけば許可しないというように承わっておるのでありますが、既設のものについては、これは古いものでありますから、今の最下流は角神発電所でありますが、逆調整の施設というものは全然ないのです。今申し上げたような状況でありますが、これについては、新たに発電所を作るときのみでなしに、やはり既設のダムについても逆調整の施設を行わしめるということは今の法令の上ではできないのかどうか、これを一点伺いたい。
  160. 篠原清

    ○篠原説明員 現在あるダムは逆調整することが法律上できないかという御質問でございますが、現在あるダムが最下流にある場合には、そのダムには下流に悪影響を与えるような調整は認められておらないというのが普通でございます。たとえば水道用水とかその他多種の利水に影響の全然ないものにつきましては逆調整の命令が現在ございません。鹿瀬につきましては、私も命令書をよく見ておりませんが、あれは下流に支障を与えない程度の調整が認められておると記憶いたしております。完全な逆調整でなくて、支障を与えない程度の調整をしなければならないということが数字の上で表現されております。
  161. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 平時におきましても、夜中の十二時ごろに、意までは一メートルか一メートル弱くらいの、いわゆる鉄砲水と言っておるのですが、調整の水が流されるわけです。そうしますと、魚族が思うように育たない、またサケ、マスなどが海から上がってこない、こういう問題が起り、あるいは船などを簡単につないでおくとすぐ押し流されてしまうというような事故もあって、これについては当初は会社側で若干の補償をしたようです。また、船通しなどについても、この鉄砲水の関係であっちこっちに浅瀬が深くなったりいろいろ影響があるということで、船乗りの組合に対して当初数年間は川の深度を調整する若干の人夫代を出しておりましたけれども、最近は非常にずるくなって、横着になりまして、全然これに応じない、こういう状況になっておるのです。これについては、やはり公益事業局の関係でも、今後この逆調整の施設については、今その下流にまた新設の予定があるようでありますから、そこである程度やや完全なものができるのではないかと期待しておりますけれども、これらの操作については、これは会社に対する直接の監督権というか、そういう立場においてそれらの点について実は沿岸民が非常な不満を持っておるわけで、この点について一つ十分留意を願いたいと思うのです。  それから、さっきもちょっと触れたのでありますけれども、黒又発電所などができますと、人造湖といわれるような大きなダムができるわけです。そういう場合に、今回のような集中豪雨等があった場合に一体どうなるのであろうか、下流の沿岸民は非常な危険性を感じておるわけです。ある人の話によると、これはやはり上流にたくさんダムができるが、一たび集中豪雨等があって、上流の方に非常排水とか流水が行われるというようなことになると、次々とこれをやるようになって、もう収拾すべからざる事態が起るのではないか、こういう説をなす者もあるわけでありますか、そういう点については、新しい法会に基いて、新しい建設計に基づいて通産省が認可、許可を行われたのでありますから、私ども政府のその措置に信頼をしておるわけでありますけれども、果して信頼に値するものかどうか。私はこういう点はしろうとでありますが、今非常な被害を受けた沿岸民のそういう脅威に対して御説明を一つ承わっておきたいと思うのです。
  162. 篠原清

    ○篠原説明員 ただいまの御質問の前段は、鹿瀬の調整によって下流にいろいろ支障を来たしておるようなお話でございますが、実情につキましてはまた私の方も承知いたしておりませんが、現在与えられている水利権の範囲内では文障を来たさないように運転しなければならないように河川収堤規則で取り締られているわけであります。ダムには堰堤主任者という責任者が置かれまして、もし操作規程に抵触するような操作をして下流に被害を与えるようなことがございますれば、これは電力会社としても当然見純金というようなことをされるものと思いますが、その辺のことはよく承知いたしておりません。  それから、後段の御質問でありますが、やはり、大きなダムを作りますと、誤操作がありますれば、下流に人工洪水を起して被害を与えるということも考えられますので、ダム操作規程には、下流に被害を与えないような非常山にやかましい規定を盛ったそういう条項を入れてあります。しかしながら、堰堤主任者が誤操作をしたというような場合には、これは明らかに誤操作であることが明確になれば、当然人工被害に対して電力会社としてはしかるべき措置をとるものと考えておりましす。
  163. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その操作が誤操作であるかどうかというこの認定の問題になると、これはなかなかむずかしいと思うのですよ。むずかしいと思うのですが、最高洪水量のところへ七千トンなり八千トンの水がオーバーして山のようになって出てくれば、これは被害が起るのは当然なんです。そのことが避くべからざることであったかどうかというとですね。そうすると、やはり上流の雨量なり上流のダムの堰堤の操作との関連においても考えなければならないし、最高の洪水量のときにこれを放水しなければならないということは常識上考えられないのです。従って、今は沿岸の被害者はこれはもう誤操作であるという考えのもとに騒いでおるわけです。これは相当むずかしい問題だと思いますけれども、今のような状況であるとすれば一体どういうふうになりますか、一つ課長のお考えを承わりたい。
  164. 篠原清

    ○篠原説明員 お答えいたします。わが国のタム発電所は、ほとんど現在の段階では上流から下流までずっと発電所がほとんどできておるような段階であります。御承知のように、只見川につきましては、主として東北電力でございますが、ほとんど階段状にずっとできております。これは一挙にできたわけでございませんで、一つ一つ段階を経て建設されたわけでございます。そのつど、一つのダムが新たにできますときに、そのタムができたために下流に特に支障を与えるような操作のないような規定を操作規程に盛りまして知事の承認を得ているような次第でありますが、このたびの災害でそういう人工洪水を起したのかどうかという点につきましては、これは阿賀野川水系が只見川だけでございませんで大川その他の大河川も入っておりますし、水の問題は非常にむずかしいので、実は通産省といたしましては出先の仙台の通産局がこれを管轄いたしておりますので、東北電力の説明は十分聞きましたが、なお仙台通産局に公正な立場調査を依頼いたしております。
  165. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次々と一つ一つぽつんぽつんとできてくるので、一つ一つの場合に下流に悪影響を与えないようにということで作らせておるのだという話ですが、先ほど建設省の方にも申し上げたように、それであればこそなおさら全体をつなぐところの連絡機関がなければならないのじゃないか。それがどうも完全な連絡機関がないのではないか。これをかりに仙台で集約してやるというようなことでは十分ではないのじゃないか。やはり現地で全体を掌握して、それらの洪水量や降雨量あるいは堰堤の操作等についての万全を期するような措置が必要なのではないか、こういうことなんです。それについては別に今のところは対策はないものですかどうですか。
  166. 篠原清

    ○篠原説明員 お答えいたします。ただいまの御質問でございますか、大規模な貯水池が上流にありまして、その放流が下流に非常に大きな支障を来たすようなものにつきましては、すべて連絡機関がございまして、いつどれだけの水を放流するというようなことは下流に連絡があることになっております。只見川水流につきましては、ダムと申しましても、毎日々々の時間の調整をする小さな貯水池でございまして、これについて上下流に一貫した通信連絡があるかどうかについては私ちょっと記憶にございませんが、こういう点もあわせて通産局において調査いたしたいと存じします。
  167. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これはいつ洪水が起らないものでもないし、いつどこの堰堤に支障が起らないものでもないのでありますから、一つ早急に十分考えていたたきたい。  もう一つ、これは課長に伺うのはちょっとどうかと思うのですけれども、先年下流増に関する法律というのができましたね。これは私ども当時から、下流にある既設発電ダムの会社が電発会社に対して補償というか何というか金を出さなければならぬということで、これはどうも当を得ないじゃないか、むしろ堰堤なりダムなりの構築によって被害を受ける沿岸序民に補償するような措置をとるべきではないかということを当時から主張をいたしておったのでありますが、今回のような被害が起りますというと、一そうその感を強うするのです。誤操作であるかどうかということの認定が非常にむずかしいことになる。そうすると、会社は、かりに誤操作であっても、誤操作でないと主張してくる。裁判してもこれはなかなかむずかしい問題になる。そういう際に、明らかに人工洪水なんですか、被害民はどこからも何の補償も受けられないというようなことになるわけです。これはひとり阿賀野川だけではないだろうと思う。先ほどの御説明では全国各地にあるということでありますが、少くとも下流増による特別負担金というようなものの一部は、やはりそういう面に与うべきではないかと考えるのですか、これは課長さんにはちょっとむりな質問かもしれませんけれども、お考えはどうですか。
  168. 篠原清

    ○篠原説明員 まず下流増の問題でございますが、御承知と思いますけれども、これは一つの河川に同じ電気事業者の発電所だけができておればこういう問題は起らないわけでありますが、別の電気事業者、たとえば東北電力と電源開発会社あるいは他の電力会社との関連において上流にダムを作って、その利益が下流の施設者のダムにプラスの影響を与えているものは、それに応じた負担を上流のダムにしてもらうというのが下流増でございます。その逆の場合はどうかというようなお話でございますが……
  169. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 逆じゃないですよ。その場合に下流の沿岸民に補償すべきじゃないか、こういうのです。
  170. 篠原清

    ○篠原説明員 大体、今の下流増の問題で、上流にダムを作ります場合には、一般に、大きな貯水池を作ることによりまして、今回のようなああいう洪水は貯留して下流に悪い影響を与えない、むしろプラスの影響を与えるのだ、河川の水を調節するのだという建前になっておるわけでございます。従いまして、むしろ下流が受益者負担金を出していかなければならぬのではないかというふうに考えております。
  171. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それは平水の場合ですね。平水や小洪水の場合においてはそういうことはちゃんと立証できるんです。一たび洪水という場合になると、もう逆の場合が多くなるので、これは非常な問題のわけです。従って、下流増のあの法律ができるときにも、私どもそれを主張したんです。主張したけれども、私どもの主張は通らなかった。これは今課長にはっきりした答弁を求めるのは無理だと思いますから申し上げませんが、最後に、仙台の通産局を通じて実情をよく精査されるというが、少くともだれが見てもこの操作が下流の沿岸民の利害を全く無視した操作であったことは、これは間違いがないと思う。それにもかかわらず、東北電力は見舞すら、あいさつすらやっておらない。これは最近の独占資本の横暴さというか、そういうものに県民は非常な慎激をしておるわけです。これこそは、会社に直接あなたの方はつながっておるわけだから、これはやはりちゃんと手を尽すべきであることを勧告すべきではないか、こう思うのです。これは早急にそれぞれの手配をされるようにお願いしたいと思います。
  172. 篠原清

    ○篠原説明員 先ほども申し上げましたように、公正な判断は通産局が詳細に調べておりますので、その結果を待ちまして、御趣旨に沿うようにいたしたい、こういうように考えております。
  173. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員長代理 本日の議事はこの程度とし、明十六日午前十時半より開会して、農林漁業災害に関する質疑を続行いたします。  これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会