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濱田政府委員 私の答弁がまずうございまして、賢明な
金丸先生を納得申し上げられないことを遺憾に思います。
ただいまの御質問の緊急やむを得ないというお話でございますが、緊急やむを得ないというよりも、きわめて必要なことをこの際
改正していく必要があるのではなかろうか、こういうふうに私
どもは
考えているのでございます。消極的な
意味ではなくて、必要なことはこの際どうしても
改正する必要があろう、そういう
考えに立脚しているわけでございます。その主要な点を申し上げますと、先般概要説明の中でも申し上げましたが、
番組の
向上適正化という問題についてでございます。過去数年間
ラジオ、次いで
テレビジョンが急速に
発達して参りました点につきまして、世上非常にこの
番組について論議が多いことは御承知の
通りであります。どうしてああいう一般の家庭におもしろくない
放送を許しているのかというような質問さえあるくらいで、このことは多くの新聞雑誌等にもいろいろ
ラジオ評や
テレビジョンの
番組の評論がありますので、私たちは絶えずこれにつきましては
国民の側になって、聞く方の側になってこのことを考慮しておった次第であります。
この
放送法改正の着手に当りまして多くの人の御
意見を伺いました結果はどの方も
番組については何とかいい方法がないものか、決してこれを
言論の
統制だとか、あるいは
政府が規制するという
意味ではなくて、何とかして
国民のために
放送が活用せられることが望ましい、そういうことについて
放送法の中の第三条の、何人にも
番組は干渉されないという条文に背馳しないでいい方法はないものかという要請がございました。そういう次第で、
番組の
向上適正化というものはどうしてもこの際においてこれを企図する方法を
考えなければいかぬということに基きまして、今回かような
番組審議会という一つの方法を
考えた次第であります。
この
番組の
向上適正化ということの具体的方法は、
番組審議会を設置するということでありますが、これは
放送法第一条にございますように、
放送は
公共の
福祉に適合するように使われなければならない。すなわち
公共の
福祉のためにということが最も
根本的なところでありまして、この
公共の
福祉ということは、私
どもの
考えでは、
政府の側からあるいは
放送業者の側からという
意味ではなくて、これを受信するところの多くの聴取者ないしは
国民一般大衆の側からこれを
考えなければならない。そういう
意味で、この
考え方を徹底さすためには、その具体的方法として
番組審議会というものを作る必要があるだろう、しかも自主的に
国民の約束としての
放送を行うことについての
放送法第一条の
目的を達成するための具体的方法として、
番組基準をきめたり、あるいは聴取者の代表としてこの
番組審議会に参加して、そうして
放送された
番組の批判をしたりいたしまして、そうして
放送業者すなわち
NHK会長とか、あるいは
民間放送の社長とか、あるいはプロデューサー、そういう方々にのみ
番組編成をまかすのではなくて、
国民一般の聴取者大衆の
意見がここに盛り込まれ、そしてその
意見が反映せられて
番組が作られることこそこの
公共の
福祉に適合するような
番組になる、結局この
放送が
公共の
福祉に適合するような結果を招来するのだ、そういう
考えからこの
番組審議会というようなものの方法を
考えていただいた次第でありまして、決してこれが
政府から押しつけて
番組審議会を作るとか、あるいは
政府が
番組を規制することになろうとかいうのではなくて、
放送を
公共の
福祉に適合するために活用する具体方法として最もいい方法に違いない、そういう
観点から
番組審議会という構想を
考えていただいたわけであります。それがこの
番組審議会の問題であります。これはどうしても今回においてかような措置を講じませんと、ただでも、現在のままでもいろいろ批判がありますところの
番組が、娯楽過剰になったり、先般あたりから御議論がありますように、家庭で見て小さい子供やあるいは若い青年におもしろくない
影響を与えるような
番組が出てきたり、あるいは
番組の間に調和を失ったり、いろいろいたしますので、どうしてもかような措置はこれこそ最小限にこういうお約束をしておく必要があるだろう、これは
国民の間のお約束でありまして、決して
政府から押しつけられた、あるいは
放送事業者の利益のためのものではない、そういうふうに
考えております。
次に
NHKの問題であります。
NHKにつきましてのいろいろな
規定は八年前に作られたのであります。当時は
NHKも小さかったのでありますが、今日は
ラジオ以外に
テレビジョンが
相当な比重を増して参りまして、事業の経費等も今日では百五十億円以上になりました。やがて二百億円あるいは二百五十億円になろうというような情勢にあります。その扱いますところの
業務も、
ラジオから
テレビジョン、FMあるいは
カラー・
テレビというように多岐にわたって複雑化して参りました。つきましては、どうしてもこの
組織を変える必要がある。あるいは
組織を拡充するのみならず、
組織の
考え方を変える必要がある。すなわち
経営委員会と
業務執行
機関との
区別を明瞭にする必要があるというような
考え、これはなるべく早く実行する必要があろうというふうにわれわれは
考えて参りました。その他
業務につきましては、先般来申し上げましたように、
NHKが
国民に対して必須の
機関である、
必需品であるというようなことになりましたにつきましてはこうこういう
放送を行う必要がある、すなわち
標準放送を行う必要がある、超短波
FM放送を行う必要がある、
テレビジョンを行う必要があるというふうに明確にこれを義務としてきめるのみならず、
日本における
放送事業の
研究開発のためにも
NHKは奉仕する
任務があるというようなことを今日明確にうたっておく必要があるというようなことがいろいろな
観点から
考えられるのでありまして、そういう
業務の
内容につきまして明定する。それ以外にまたいろいろな、
放送法第七条にあるところの
協会の
任務とか、ただいま申し上げましたような主要な
任務を達成するためにいろいろ付帯的な事業を行う必要もあります。そういうこともきめておく必要があろう。それから、かような事業を行いますにつきましては多額な費用が要ります。これにつきましては、
放送債券の額が従来は三十億円であったものを、少くとも純財産価額の三倍くらいにする必要があろう。その他、そういうふうに
放送協会の
性格、
任務等を明確
にしましたにつきまして、この
任務、
使命等を達成するために必要な
業務、
組織等をこの際拡充強化することは刻下の急務であろう、そういうことに基きましてぜひ御承認を願いたいと思う次第でございます。このことは、特に昨年
テレビジョンの大量免許を行いまして、
NHKの事業はある
意味におきましては大きな岐路にきたわけでありまして、一挙にたくさんの
テレビ局を作らなければならないことになります。そのほか
FM放送の実用化
放送というようなものも近く迫っております。その他たくさんの事業の計画がございまして、これに対して
協会はその
組織においても、
業務においても、あるいは資金計画においても、思い切った、今までとは違った画期的な
考え方をしなければならないときにきていると思うのでございます。そういう
意味で、
協会の
内容をこの際において、どうしても
放送法によってはっきりときめなければいかぬというのが第二点であります。
第三点は
民間放送の問題であります。
民間放送につきましては、
金丸委員が御指摘のように、
民間放送とは何ぞやということを明瞭にきめておく必要があろうと思うのでありますけれ
ども、先刻来申し上げましたように、
NHKの
性格をきめますことによりましておのずから
民間放送の担当すべき分野、
使命等も明らかになろう、そういう
考えで、今回はかような
根本的な定義等はいたさずに、
民間放送は自主的な運営を強く要望する、そうして同時に
公共に奉仕する
精神を
NHKと同様に認識していただくような表現をいたさなければならない、この三つはどうしても緊急に指向しなければいけないだろう、そういう
考えにおきましてかような
改正案を
提出いたした次第でございます。