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1958-10-16 第30回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十六日(木曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 吉田 重延君    理事 中井徳次郎君       相川 勝六君    天野 光晴君       飯塚 定輔君    加藤 精三君       金子 岩三君    田中 榮一君       高橋 英吉君    津島 文治君       中島 茂喜君    森   清君       山崎  巖君    太田 一夫君       加賀田 進君    佐野 憲治君       阪上安太郎君    北條 秀一君       下平 正一君    安井 吉典君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木  正君  出席政府委員         自治政務次官  黒金 泰美君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君  委員外出席者         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 十月八日  委員鹿野彦吉君辞任につき、その補欠として田  中榮一君が議長指名委員選任された。 同月九日  委員小金義照君、松田鐵藏君及び三田村武夫君  辞任につき、その補欠として山崎巖君、内田常  雄君及び加藤精三君が議長指名委員選任  された。 同月十三日  委員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として西  村直己君が議長指名委員選任された。 同月十四日  委員野原正勝君及び渡邊良夫辞任につき、そ  の補欠として長谷川峻君及び高橋英吉君が議長  の指名委員選任された。 同月十六日  理事纐纈彌三君委員辞任につき、その補欠とし  て内田常雄君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十月十一日  警察官職務執行法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  警察官職務執行法の一部を改正する法律案内閣提出第二七号) の付託を取戻された。 同月七日  遊興飲食税減免に関する請願永田亮一紹介)(第二号)  同(鍛冶良作紹介)(第三号)  深夜喫茶取締りに関する請願今井耕君外一名紹介)(第四号)  同(臼井莊一君紹介)(第五号)  同(川野芳滿紹介)(第六号)  同(木下哲紹介)(第七号)  同(坂田道太紹介)(第八号)  同(櫻内義雄紹介)(第九号)  同(志賀健次郎紹介)(第一〇号)  同(始関伊平紹介)(第一一号)  同(西村力弥紹介)(第一二号)  同(橋本正之紹介)(第一三号)  同(吉川兼光紹介)(第一四号)  亜炭鉱業に対する電気ガス税撤廃に関する請願(佐々木更三君紹介)(第一五号)  同(西村関一紹介)(第一六号)  中小企業事業税撤廃に関する請願赤澤正道紹介)(第一七号)  同(淺香忠雄紹介)(第一八号)  同(今井耕紹介)(第一九号)  同(臼井莊一君外二名紹介)(第二〇号)  同(遠藤三郎紹介)(第二一号)  同(大橋武夫君外二名紹介)(第二二号)  同(櫻内義雄紹介)(第二三号)  同(坂田道太紹介)(第二四号)  同外一件(田中榮一紹介)(第二五号)  同(田中正巳紹介)(第二六号)  同(津島文治紹介)(第二七号)  同外一件(中村幸八君紹介)(第二八号)  同(原田憲紹介)(第二九号)  同(濱田幸雄紹介)(第三〇号)  同(粟山博紹介)(第三一号)  同(山口好一紹介)(第三二号) 同月九日  亜炭鉱業に対する電気ガス税撤廃に関する請願外一件(大石武一紹介)(第一三一号)  遊興飲食税減免に関する請願北山愛郎紹介)(第一三二号)  同(亀山孝一紹介)(第二六四号)  同(渡海元三郎紹介)(第二六五号)  同(松澤雄藏紹介)(第二六六号)  特別区の組織及び運営に関する請願野田卯一紹介)(第一三三号)  深夜喫茶取締りに関する請願綾部健太郎紹介)(第一三四号)  同(大原亨紹介)(第一三五号)  同(片島港君紹介)(第一三六号)  同(堂森芳夫紹介)(第一三七号)  同(森本靖紹介)(第一三八号)  同(柳田秀一紹介)(第一三九号)  同(辻原弘市君紹介)(第一四〇号)  同(秋山利恭紹介)(第二六一号)  同(鈴木一紹介)(第二六二号)  同(濱田正信紹介)(第二六三号)  中小企業事業税撤廃に関する請願外一件(植木庚子郎君紹介)(第一四一号)  同(大石武一紹介)(第一四二号)  同(小島徹三紹介)(第一四三号)  同(武知勇記紹介)(第一四四号)  同外一件(富田健治紹介)(第一四五号)  同外一件(中村幸八君紹介)(第一四六号)  同(野田武夫紹介)(第一四七号)  同(松澤雄藏紹介)(第一四八号)  同(愛知揆一君紹介)(第二五四号)  同(植木庚子郎君紹介)(第二五五号)  同(加藤常太郎紹介)(第二五六号)  同(菅野和太郎紹介)(第二五七号)  同外一件(長谷川四郎紹介)(第二五八号)  同(平岡忠次郎紹介)(第二五九号)  同(山崎巖紹介)(第二六〇号)  不動産取得税撤廃及び固定資産税軽減に関する請願野田卯一紹介)(第一五〇号)  市町村職員共済組合法の一部改正に関する請願櫻内義雄紹介)(第二六七号)  公衆浴場業固定資産税軽減に関する請願渡海元三郎紹介)(第二六八号) 同月十一日  中小企業事業税撤廃に関する請願小川半次紹介)(第三三〇号)  同(大倉三郎紹介)(第三三一号)  同(岡崎英城紹介)(第三三二号)  同(岡部得三紹介)(第三三三号)  同(岡本茂紹介)(第三三四号)  同(小山長規君外一名紹介)(第三三五号)  同(笹山茂太郎紹介)(第三三六号)  同(中井一夫紹介)(第三三七号)  同(中垣國男紹介)(第三三八号)  同外一件(廣瀬正雄紹介)(第三三九号)  同(藤枝泉介紹介)(第三四〇号)  同(今井耕紹介)(第四〇一号)  同(大久保武雄紹介)(第四〇二号)  同(田中榮一紹介)(第四〇三号)  同(前尾繁三郎紹介)(第四〇四号)  深夜喫茶取締りに関する請願松平忠久紹介)(第三四一号)  同(植木庚子郎君紹介)(第三九五号)  同(柏正男紹介)(第三九六号)  同(中村時雄紹介)(第三九七号)  同(日野吉夫紹介)(第三九八号)  同(船田中紹介)(第三九九号)  軽油引取税課税免除対象拡大に関する請願池田清志紹介)(第三九二号)  亜炭鉱業に対する電気ガス税撤廃に関する請願塚原俊郎紹介)(第三九四号)  地方交付税率引上げに関する請願松平忠久紹介)(第四〇〇号) の審査を本委員会に付託された。 十月十日  喫茶店等の深夜営業に対する法的措置等に関する陳情書(第五号)  大都市の学校用地買収事業費起債認可に関する陳情書(第一四号)  消防施設費国庫負担増額に関する陳情書(第六二号)  消防制度改正に伴う財源措置に関する陳情書(第六三号)  消防団員等公務災害補償責任共済基金法補償規定改正に関する陳情書(第六四号)  町村住民税準拠税適用による財政収入減収補強に関する陳情書(第六五号)  岡山市の下水道事業費起債に関する陳情書(第六六号)  喫茶店等の深夜営業に対する法的措置に関する陳情書(第六八号)  中小企業事業税撤廃に関する陳情書(第七八号)  労働行政担当職員に対する組合より除外の法的措置に関する陳情書(第九七号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  新市町村建設促進法の一部を改正する法律案内閣提出第二三号)      ――――◇―――――
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  まず理事補欠選任に関する件についてお諮りいたします。委員異動に伴いまして理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、これは先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは内田常雄君を理事指名いたします。     —————————————
  4. 鈴木善幸

    鈴木委員長 前会に引き続き、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑通告順によってこれを許します。亀山孝一君。
  5. 亀山孝一

    亀山委員 町村合併の問題が、政府並びに関係市町村協力によりまして、大体所期の目的を達したと思いますが、この際、政府が新市町村建設促進法の一部を改正する法律案をお出しになりましたのは、私はまことに時宜を得たものと思うのであります。今までの市町村合併について、いろいろと紛議あるいは闘争、その他衆多の問題を惹起しておることは、私から申し上げるまでもないと存じますが、この法律改正のねらいは一体どういう点にあるのか。提案理由きわめて簡単にして、われわれその政府の真意をこの際はっきりとお伺いしたいと思うのであります。承わるところによりますと、青木国務大臣は、本日はやむを得ざる御用がありますので、大臣に対する質問だけをこれから集中して申し上げたいと思いますから、そのつもりで御答弁を願います。
  6. 青木正

    青木国務大臣 町村合併の問題につきましては、私が申し上げるまでもなく、私どもは新市町村建設によって、近代国家としての日本の国作り基盤を作りたい、かような念願のもとに町村合併促進法を制定し、自来今日まで五カ年間、それぞれの関係当局はもちろんのこと、関係住民皆さん方の非常な御理解と御努力によりまして、おおむねその目標に近い合併を達成いたして参ったのであります。  しかしながら、いわゆる知事勧告に基く町村合併につきましては、まだ実現を見るに至らないものも五百幾つか残っておるのであります。従いまして、町村合併目的とするところがおおむね達成された今日、残っております未合併町村につきまして、いつまでもこの問題を成り行きにまかしておくというようなことでありましては、なかなか解決しがたいと考えられますので、一応の目標を立てまして、大体本年度内に大よその町村合併を終了いたしたい、かような目標のもとに、この問題に終止符を打ちたい。そのためには、さきに都道府県知事から勧告いたしました合併計画につきましても、勧告した当時と今日と、情勢変化のあるところもありますし、また勧告した当時は、計画あるいは調査等において多少足らない点があったために、今日から見ると、これを変更する必要もあるんじゃないかというところもありますので、そういうところにつきましては、知事勧告合併計画変更することも、この際はやむを得ないんじゃないか。また、そうすることがむしろこの問題を円満に処理できるゆえんではないかと考えられますので、そういう知事勧告による合併計画変更のできるような道を開く必要があるんでないか。また、いわゆる新市町村と、そうでない他の市町村との合併——そうすることが適当であろうかと思われる点もありますので、そういうところにつきましては、これを合併を認めて、新市町村並みの国としてのいろいろな便宜を与える道も開いて、そういうところについても終止符を打つ。また県境を越えた分村計画の問題で、まだ残った問題もありますので、そういう問題につきましても、円満に処理できるような道を開きまして、そうして全体として、今年度内終止符を打つことができるように処理して参りたい。かような考え方のもとに、今回この改正案提出を見たのであります。  従いまして、基本的に申し上ますれば、年度内町村合併計画というものに終止符を打つ。そうして来年度からは、もっぱら新市町村建設全力を傾倒することができるようなあり方にしたい。そうすることによって、新しい国作り基盤としての村作り——私、たびたび申し上げます通り合併はあくまでも手段でありまして、目的ではないのでありますから、一日も早く目的とする市町村行財政能力向上、あるいは行政水準向上、こういう問題に全力をあげることができるようにいたしたい、かように存ずるのであります。  なおこの機会に、私といたしまして、特に関係町村住民方々にむしろ感謝を申し上げたいのでありますが、今回の町村合併に当りましては、長い伝統あるいは因襲、その他いろいろな従来の行きがかりを一擲されまして、そうして合併実現する。そのためにずいぶん関係住民方々に御迷惑をおかけしたことを、私どもまことに恐縮に存ずるのであります。しかし、大局から見まして、やはりお互いに新しい村を作って、お互い住民の福祉を向上する、こういう点において御協力を願ったことと存ずるのでありまして、新市町村建設に当り、この合併後今日までの間、ただいま亀山委員の仰せのごとく、住民の力にもいろいろ御迷惑をおかけし、難儀をおかけしたことをまことに恐縮に存ずるわけでありますが、しかしその困難をよく克服してここまでやってこられました関係住民に対して、深く敬意感謝を表するわけであります。
  7. 亀山孝一

    亀山委員 ただいまの青木自治庁長官の御答弁、まことにわれわれは今回の改正法案提案につきましての御趣旨を買いまして、大いに敬意を表し、賛成をいたす次第でありますが、なお、今御説明のごとく、この町村合併の問題は今年度内に打ち切るという方針はまことにけっこう、これ以上町村合併の問題についてとかくの物議を起すことにつきましては、私どもは避くべきであると思う。今お言葉のように、円満にいっておるところもありますけれども、いろいろ紛議を招いておるところを考えますと同時に、これによって起る関係市町村民混乱考えますと、まことに時宜を得たものと思うのであります。  ただ、ここで二点ばかりお伺いしたいと思いますことは、従来もいろいろこういう問題を実行されるときに起ったことですが、いわゆるまじめな町村がばかを見て、今までがんばったものが得をするという問題となっておるいわゆる未合併町村に対する今後の措置をどうなさるおつもりか。先般来、藤井行政局長の本委員会における御答弁は、これを三種に区分して、適当に措置をするということでございましたが、一つ大臣からその御方針をお伺いしたい。  いま一つは、先般九月三十日をもちまして、一応懸案でありました越県合併の問題も一応は勧告を出されたようでありますが、これに関連して、県内町村合併及び越県合併についての内閣総理大臣勧告は、今後も引き続いて行われるものであるかどうか、その点をお伺い申し上げたいと思うのであります。
  8. 青木正

    青木国務大臣 第一点の御質問でありますが、現在都道府県知事から勧告を受け、まだ合併実現するに至らない町村が三百五十六ほどあるのであります。私どもは、この未合併町村につきましてどう処理するか、この問題につきまして、今年の夏から、慎重に検討する必要があろうと考えまして、自治庁からもそれぞれ係の者を各ブロックに派遣をいたしまして、各都道府県当局とも十分打ち合せはいたさせ、また未合併町村実態についても、できるだけ詳細に調査いたしたのであります。いろいろ調べてみますと、その結果として、およそ三つに類別することができるんじゃないか。第一は、これはどなたが見ましても、あるいはまた客観的に考えまして、どうしても合併することが最も適当である、またそうすべきものだと考えられるもの、つまり合併必要性と申しますか、合併することの必要性が最も顕著であるというグループがあるわけであります。第二は、合併は必要と思われますが、しかし現在の状態におきましては、いろいろ人関係であるとか、また町村民間話し合いの進行の度合いであるとか、そういう点から見て、いま直ちに合併実現するということはなかなか困難であり、混乱が起る。しかし、これはどうしても合併することが適当であろうと思われるところは、合併を将来の計画として、つまり合併すべきものという目標のもとに、今直ちにやるということでなしに、将来にこの実現を期待するというグループ。それからもう一つの第三のグループといたしまして、県側といろいろ調査して、当初合併が適当であろうということで勧告はいたしたのでありますが、その当時と現在とでは若干情勢変化があり、あるいはまたその当時の調査におきまして、間違いとまではいきませんけれども、多少認識の違った点等もありまして、今日見ると、これは合併をすることが不適当ではないか、むしろ合併不可能の町村あるいは合併をせずにそのままおいて差しつかえない町村、こういうふうに見られるところもあるのであります。  そこでそういうような三つのおよその区分を立てることができますので、三つ分類をいたしまして、合併必要性の顕著なもの、合併を将来の目標として進むところ、それから合併からはずすところ、この三つ分類をいたしまして処理をしていきたい。もちろん、どの町村がそのどれに該当するか、このことをきめることは重大問題でありますので、私どもといたしましては、十分実態調査し、また関係都道府県とも十分に打ち合せをいたしまして、慎重にその分類をきめ、その分類に従って本年度中にそれぞれの方法によって処理するようにいたしたい、かように考えておる次第であります。  それから越県合併の問題でありますが、越県合併総理勧告につきましては、御承知のように、あの法律は九月末をもって効力を失うことになっておりますので、今後この前やったような法律に基く勧告ということはいたさない、かように考えております。
  9. 亀山孝一

    亀山委員 今、未合併町村に対する御措置を伺いまして、これは私から申し上げるまでもございませんが、この未合併町村を三種類に区分しておやりになる御方針、まことにけっこうであると思います。ただ、その結果に基く処置をなるべくすみやかに、あまりあとに残さないように、といってまたそのためにいろいろ紛議を起さないように、非常にむずかしい御注文でありますけれども、お願いを申し上げます。  そこで町村合併でやはり一番問題になります点の一つは、境界変更の問題だと思います。これは申し上げるまでもなく、現行法の第二十七条第一項のあっせんまたは調停に付し得る期限の昨年の三月三十一日までに、あっせんまたは調停に付さなかったものが相当あると聞いておる。また、昨年三月三十一日の期限経過後生じた争いもかなりあると聞いております。境界変更に関する争い処理期間を延長することがやむを得ないといたしますと、この際、これらの争論をすべて取り上げることができるように法律改正をすべきではないかという考えもあるのでございますが、その点についての自治庁長官の御所見一つお伺いいたします。
  10. 青木正

    青木国務大臣 境界変更に関連しての紛争の問題でありますが、当初問題となりました二百数十のうちで、話のできたものもありますし、また現在もまだ処理のつかないところもあるわけであります。この問題は、県内はもちろんのこと、県外等との関連もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、非常に困難な問題でもありますので、私どもといたしましては、この問題のために地方住民にできるだけ紛争による御迷惑をかけないようにしなければならぬものと考えるのであります。そこで、今日までの経過等におきまして、ある程度打ち切りと申しますか、関係住民の間で話し合いもできて、一応打ち切りのような形になっておるようなものにつきましても、無理にそれをさらに問題を起してどうするということは、かえって全体から見てどうかと考えられますので、そういうことはできるだけ避けまして、もっぱら知事勧告に基く県の計画によるものについて、まだ未処理のままになっているというところだけについて、いろいろあっせんまたは調停をするというふうな行き方でいくのが最も適当ではないか。一応落ちついているところまで無理にそういうことを提起することはどうか、かように考えております。
  11. 亀山孝一

    亀山委員 次にお伺い申し上げたいと思いますことは、県内町村合併は、いわゆる越県合併に比べますと比較的に争いとしては少いと思います。越県合併の問題については、先般九月三十日に総理大臣勧告が出ておりますが、残されておる越県合併、分町問題というのがまだ若干あるように聞いております。私どもとして考えますことは、あの越県合併が非常に物議をかもしたことは今さら申し上げるまでもないことであります。従って、むしろこの際現状のままでこれをそっとしておく方がいいのじゃないか。私も、関係地方におりますのでひしひしと体験しておるのでありますが、どうも越県合併という問題がまことにいやな、しかもそのために関係市町村のみならず、府県間の争いとなり、あるいは県をまたがる総合開発にまで影響するような、私どもとしてはまことに憂慮にたえぬ問題が起りそうな気配にあるのでありますが、この越県合併の問題につきまして、長官の大体のお考え一つお伺い申し上げたいと思います。
  12. 青木正

    青木国務大臣 基本的には、私ども亀山委員のお説に全く同調いたします。このことのためにずいぶん私どもも苦労いたしまして、また関係住民方々にも御迷惑をかけて恐縮に存ずるのでありまして、基本的には全くその通りであります。ただ、問題として私ども処置しなければならぬと思いますのは、例の栃木と群馬との矢場川の問題、あるいは審議会等のこういう答申もありますので、こういう問題につきましても、やはり自治庁としてできるだけ調整をとっていかなければならぬ。しかしながら、言うまでもなく、この問題は私どもというよりは、関係住民の間で話し合いをつけるように、われわれは側面からこれに協力をする。こういうふうな考え方でもって参りたいと思うのでありまして、他にもたとえば神奈川の問題が残っておるようでありますが、そういう場合におきましても、私どもとしましては、できるだけ関係住民の間で真に意見が一致してそうなるということが、これはもちろんこれに対してとやかく言うべき筋合いの問題ではございませんが、われわれといたしましては、できるだけ関係住民の間で話し合いをつけていただく、またつけることができるところを、それに従って処理していくというふうにいくべきではないかと考える次第でございます。
  13. 亀山孝一

    亀山委員 越県合併の問題につきまして、ただいま青木国務大臣から、私は時宜を得た適当な御答弁を得たと感謝をいたします。どうか単に今お述べになりました府県間の問題のみならず、他の府県間にもございますので、そういう点につきましては、どうか当該市町村方々の御意向もさることながら、関係する市町村及び関係府県意向、その他その越県合併の問題の真相を十分おつかみ願いまして御処理願いたい。ことにその後に起る問題も十分御考慮をお願い申します。  次にお伺いしたいと思いますことは、今までの町村合併によりまして合併をいたしました市町村につきましては、従来もある程度の建設育成に関する指導をされ、またこれに対しては国庫の補助もされておるのでございます。ところが、この問題については、新しくできました市町村には、なお不満の声もありますことは大臣御存じ通りでございます。今後これに対してどういうように新市町村育成されますか。これにあわせて、いわゆる府県あるいは自治庁の御指導によらずして合併いたしました、いわゆる自発的に合併をした市町村に対しては、これをどういうように取り扱われますか。私ども考えをもってすれば、自発的に合併をせられました市町村に対しても、しからざる市町村合併と同様な育成の方途を講ぜらるべきではないかと思いますが、その点についての御所見をお伺いいたしたい。
  14. 青木正

    青木国務大臣 でき上りました新市町村育成の問題につきましては、お話のように、いろいろ法律で規定してありながら、新市町村建設について、国のそれに対する援助が足りないというような御非難もありましたので、私どもといたしましては、従来の計画に基く新市町村建設に対する助成、これは明年度予算におきましても、残った市町村に対し、従来通りの助成をいたすような予算を要求しておるのであります。さらに一歩を進めまして、今度は個々の市町村育成ということでなしに、全体として各市町村行政水準を上げるというような観点に立ちまして、全般的に、もう新市町村建設ということでなしに、全部でき上った市町村を対象として、行政水準向上なりその他近代的な市町村としての内容を備えるように、できるだけの予算措置等もいたして参りたい。また今後の情勢いかんによりましては、新市町村建設促進法は三十六年をもって終るわけでありますが、その後の問題等につきましても、さらに情勢を見て検討いたしていく必要があるのではないかと考えるのであります。  それから第二段の、自主的に合併をした町村に対する助成の問題でありますが、私どもといたしましても、県あるいは国の勧告によりまして合併した町村、これもその住民方々の御努力には感謝をいたすのでありますが、しかし、勧告を受けずして自主的に合併したという方々に対しまして、これはむしろより以上にあるいは感謝する必要があるんじゃないかとも考えられますので、やはり自主的に合併をいたしました町村、つまり前の新市町村と今度は別の勧告を受けずしてさらにまた合併をしたというような場合もあろうかと思うのでありますが、そういうような場合におきましても、勧告に基く新市町村と同じような扱いをいたしまして、その建設に、国としても協力し助成をするようにいたしていきたい、かように考えております。
  15. 鈴木善幸

    鈴木委員長 天野光晴君。
  16. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私、勉強していないでまことに恐縮なんですが、時間の関係もあってきょうやることになったものですから……。  第一点にお伺いしたいのは、この要綱に書いてある一、二ですね。「一 都道府県知事勧告した町村合併に関する計画について、期間を限って、計画変更ができるものとすること。二 新市町村が他の市町村町村合併をした場合においても、新市町村としての取扱いができるものとすること。」この二つの問題は、いわば県の勧告をした今まで関連性のあるもの以外は認めないという基本的な考え方なのか、それとも町村合併促進法から新市町村建設促進法に変ったこの法律全体を、三月三十一日までこのまま延ばすというお考え方なのか、どちらなんですか、それをお伺いしたい。
  17. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ただいまの御質問でありますが、今回改正案提案いたしておりまする骨子は、大臣から申し上げておる通りでございますが、まず第一点といたしましては、本年度内に、現在の未合併町村の状況にかんがみまして、場合によっては勧告されております合併計画について変更を加えることができるということの処置をとることによりまして、町村合併をすみやかに終結に導きたいということでございます。第二点といたしましては、すでに新市町村となっておりまするもの、これが他の市町村合併を自主的にやった。いわばこれは計画外の合併ではございますけれども、しかし、知事といたしましても、その合併計画自体というものがそう非常識なものじゃない、さらに大規模に町村の規模を拡大するものとして歓迎をすべきものとして、計画にはなかったものであるけれども、これを県会に付して議決をいたしたという種類のものでございます。そういうものにつきましては、法律上新市町村として取り扱うことができるかどうかということにつきまして、若干疑義がございます。たとえば新市町村と新市町村とが合併をした。その場合に、でき上ったものが新市町村になるかと申しますと、その点若干疑義がございます。そういうような点につきましては、やはり本来の趣旨自体が、町村規模の拡大をなしたことで、別に不適当でも何でもないことでございますので、そういう点についてはこれはやはり新市町村と同じような取扱いをしていきたいということでございます。全体といたしまして本法自身というものを延ばしていこうということではなくて、でき上っておるものについては、それはもちろんそれでいく。ただ現在未合併として残っておりますものにつきまして、このままでは、どうもいろいろな状況から申して合併の終結に持って参ることがなかなか困難だ。そういうものについては、本年度内すなわち来年の三月三十一日までの期限を区切って、大体の見通しをつけた上で、最終的な合併計画というものを策定をして参りたい、このような考え方で立案をいたしたわけであります。
  18. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そういたしますと、第一の問題は、現在まで計画を立てておったもので、その計画変更を余儀なくしなければならないような客観情勢にあるものだけ、要するに、今までの計画を県の審議会、知事変更して、新たなる計画を策定する。いわゆる知事の主観的な考え方で行われるもの、今までの計画関係のあるものはもちろんであるが、関係がなくても、新たに知事がこれを加えてもいいという変更までは認めるというのでしょうかどうでしょうか。わかりますか、ちょっとややこしいのですが、今まで計画が立っていますね、その計画変更しなければならないという考え方のもとに、計画外にあったもので、知事が新たなる今度のこの法律によって計画に入れたものまでも了承するのかどうかということ。  それから二番目の問題は、新市町村は、すでにすべての恩恵をこうむってできておる。その新市町村がまた合併をするというようなものに対しては、またさらに新市町村としての恩恵までも与えるのかどうか、その二点だけとりあえずお聞きしておきたい。
  19. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 第一点でございますが、簡潔にお答えを申し上げますと、今まで計画になかったものを計画の中に取り込むということも、法律上はあり得ることだと思います。ただ今度の措置を講じますこと自体が、なるべく早く合併というものを終結に導きたいということでございますので、われわれ行政指導方針といたしましては、全然計画に今までなかったものを、この際また計画の中に入れるということはなるべくさせたくない。これは地元でそういうような声が盛り上る、また県の審議会あたりでも、そういうようなことがむしろ妥当じゃないかというようなことで、勧告をかければ直ちにその合併が行われる見通しがあるというようなものについては、あるいは県の方から持って参りますれば、われわれとしても相談に乗るということにはいたしたいと思いますけれども、しかし、大体の方針といたしましては、今まで計画になかったものまで新たにここに取り入れてくるというようなことでなくて、現在合併勧告にかかっておりますものについて、合併の方法について変更を加えたり、あるいは思い切ってこの際合併計画からはずす。そういう方向で事柄を処理いたしたいというふうに考えておる次第であります。  第二点につきましては、新市町村と新市町村合併をする、そういう場合におきまして、新たにできました市町村を新市町村として育て上げていこうということでありまして、法律上は、新市町村として期待されておりますようないろいろな措置というものは当然かぶってくるわけであります。ただ、たとえば一体化のために補助金その他につきまして、従来新市町村としてすでに補助金の交付を受けておるというような場合におきましては、二重交付ということにもなりまして、そういうものはこの対象からはずれる。しかし、新市町村として当然行われますところのいろいろな財政措置、すなわち交付税の問題でありますとか、起債の問題でありますとか、そういうような一連の措置につきましては、当然これは新市町村としての取扱いをいたしていく、こういう趣旨でございます。
  20. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そうしますと、新たに計画を別個に立てるのではなくて、今までの県が立てておった計画の中において、さらに計画変更をしなければならぬというものに対してのみ主力に考えておる。しかし、新たなるものでも、合併ができ得る見通しのものがある場合において、それが直ちにでき得るというような見通し、あるいは地元の要請がもだしがたいものがある場合においては、これもこの中に加えてよいとお考えになっておるのかどうか。  それからその期日は、三月三十一日まで延ばされたようですが、三月三十一日の幕切れの場合の扱い方、それはあの三十二年の三月三十一日のときの扱い方と同じ形で、その後にまでも調整をする形においてこれは認めるというお考え方であるのかどうか、その点一つ……。
  21. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 第一点は、お述べになりました通りでございます。第二点につきましては、われわれの気持といたしましては、三十二年の幕切れのときとは若干異なったものを持っております。と申しますのは、幸い本改正案が通過をいたしまするならば、われわれといたしましては、事前にいろいろ県とも大体の方向においては打ち合せをいたしております。その他、正式に各県においてそれぞれの審議会にお諮りをいただいて、計画の再改定をやっていただきまして、われわれの方とも御相談をいただく手順になるわけでありますが、一つこれはなるべく早くやっていただきまして、最終の期限といたしましては三月三十一日ということにめどは置いておりますが、われわれの気持といたしましては、なるべく早くめどをつける。そしてむしろ合併問題の完結ということを一つ年度内に達成をいたしたいというくらいの気持でおるわけであります。そう思っておりましても、なかなかむずかしい問題がありまして、やはりどうしても尾を引くものが若干残ってくると思いますが、われわれの現在のめどとしては、本年度中にできるだけ合併問題は終結をつける。従って、勧告その他の措置も、三月三十一日とはなっておりますけれども、もう少し早く繰り上げてそれらの措置を完了いたしたい、かような含みで思っておるわけであります。
  22. 天野光晴

    ○天野(光)委員 その目標はわかるのだが、法律の扱い方としては、やはり最終的に三月三十一日までに調停に付するという形のものは、その後に延びたものも扱うということにはお変りはないでしょう。ただ行政的な指導としては、でき得るならば年度内に解決のできるようにしてほしいというその気持はわかりますが、最終的なけじめをつける三月三十一日の段階においては、やはり調停に付する段階のものまでと了承していいのかどうか。  それから新しく計画変更が行われますと、またそこに新たに分村争論という問題が起きてくる。これは要するに今度の法律を延期することによって起きてきた新しい事実だと思うのであるが、そうした場合において、その分村も同じく扱うということに了承してよろしいのか、その二点を伺いたい。
  23. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いずれもお述べになりました通りであります。
  24. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そこでお伺いするのですが、今までもそうであったのですが、問題になるのは、先ほど亀山先生からもお述べになったのですが、合併をするために末端では相当無理をしている。ところが、その無理に乗ってこない。どうしても合併しなければならないというように客観的、主観的に考えておるのにもかかわらず、合併をしない町村が数多く残っておる。それが現実の状態であり、パーセントからいっても、各県とも九〇何%までいっておるが、残りの五、六%というのは難物ばかりが残っておる。その難物を処理するためにこの法律が延びたのだと思うが、そのわずかばかりの期間ですっきりした形に持っていくことはなかなか容易でないと思うのです。そこで最終の段階において、合併計画からはずして、独立可能であるというふうに新たに認めるものもできるわけでございます。そこでどうしても合併が必要だということで計画ができたもの、そしてそれがいつまでも合併には応じないというふうな段階のものがまた数多く出てくると思うのですが、そこで第二十九条の二項の規定ですね。これは私が申し上げなくてもわかると思うのですが、合併に応じない小規模町村に対する国の財政上のすべての援助は打ち切ることができるというふうに規定してある。お前たち合併しないと村の財政は立たないぞという手を用いて、おそらくどこでもやっておると思う。ところが、肝心かなめのその手が完全に用いられたのは、いまだ全国でごくわずかであるというふうに考えておるのですが、こうなってくると、われわれ無理して合併しなくてもよかったのじゃないかという声がちまたに相当数多くあるということであり、今後残ったものの始末をすることには一番大きな障害になると思うが、この二十九条の二項をすっきりした考え方でおやりになるという意思表示をきつくされて、そうして合併指導されるというようなお気持があるかどうか、できるのですから、やらなくてもいいのですから、その法律の解釈からいって非常に問題か残ることでございますので、そこらあたりの心がまえをお聞かせ願いたいと思います。
  25. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 未合併町村の態様につきましては、お手元に御配付いたしております「町村合併及び新市町村建設に関する資料」それの六ページに一応の見通し、見込みとして掲げておるのであります。これはこういうふうに書いてございますが、御承知のように本改正案が通過いたしましたあかつきにおきまして、それぞれ県で従来の合併計画を再検討いたしまして、県の審議会にも諮って、当庁とも御協議をいただいた上で決定をいたしますものでありまして、これは単なるわれわれが県当局と従来打ち合せをいたしましたものから推測ができる見込みでございますが、ここに掲げておりますように、町村合併必要性が顕著なものが未合併町村の中で二九%、それから合併方向を示して今後合併実現を期待するというものが五八%、計画からはずしてしまってもよろしいというものが一三%、大体こういう見込みをわれわれとして立てておるのです。これは具体的に県でもって審議会と御相談をなさって決定をいたしますものというものとは、具体的に違ってでくるのじゃないかというふうに考えておるのであります。大体の見込みでございますので、その点御了承賜わっておきたいと思うのであります。  そこで今残っておりますものは、お述べになりましたように、それぞれ非常にむずかしいものばかりでございます。従いまして、そういう未合併町村合併推進につきましては、従来県当局においても、二十九条の第二項を援用していろいろやっておるところがあるようにわれわれも聞いておるのであります。その点につきましては、私たちといたしましては、やはり意識的にこれを振りかざして、いわば強制をしていくというようなことになるような態度はなるべく慎しみたいとは思っておりますが、しかし、制度的に全国に新市町村が続々と誕生をいたしまして、むしろ未合併町村というものが例外になってくるということになりますと、新市町村を優先的に取り扱わなければならぬという原則からいたしまして、全体の傾向としても、もちろん未合併町村がいろいろな面で不利を受けてくるということは、これはやむを得ないところではないかというふうに考えておるのであります。そこで例をあげますと、交付税の問題にいたしましても、従来標準規模の人口段階というつものをだんだん上げて参っております。本年度からはこれを八千ということに引き上げまして、そうしてそれ以下のものについては、自然にやはり不利とならざるを得ないというな取扱い方——と申しますよりは、八千以上のものについては優先的ないろいろ有利な取扱い方ができるような措置を講じて参っておるのでございます。ただ、従来は御承知のように、毎年々々の財政措置の問題ともからみまして、交付税の総額等が他の要因によって相当ふえて参っております。そういうようなことから、現実に町村に参りまする交付税の絶対額というものが、新市町村であればさらにふえたであろうところのものが、未合併町村についてはそのふえ方が少かったということはございますけれども、しかし、全体としては絶対額がふえておるというところから、未合併町村自体も、県ではあんなことを言っておるけれども、実際はふえてきておるじゃないかというようなこともあったかと思います。しかし、これらの点については、私たちとしても、大体町村合併がここまできておる段階でありまするので、この点のけじめを来年度あたりからはもう少しはっきりした方がいいんじゃないか。現在、全国の町村の平均人口というものが一万二千以上になっておりますが、大体これが完結をいたしまする際には、一万三千から一万四千というようなところに落ちついてくるのであります。そういう標準規模というものを大体めどといたしまして、交付税の取扱いというものも考えていくというふうな点を推し進めることによりまして、おのずから二十九条の二項が働くというようなあんばいに持っていくことが適当であるという考えでおるわけです。
  26. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そこが一番むずかしいところだと思うのです。私の言っているのは、こういう未合併町村ではなくて、いわゆる合併計画に乗っかっているものであって、合併をしない町村のことを言っておるのであります。いわゆる合併不能町村は新市町村と同じに扱っていただかなくちゃならぬ、これはもうやむを得ないことじゃないかと思うのです。それはそうだろうと思うのですが、そうでなければ、それも一つ御意見を伺いたい。ただ合併をしないといっておるものは、大体において、その町村の首脳部関係の動きによってのみできないのが数多いわけであります。それを住民投票等によってやるというような場合は、特殊な事情でないと、全村をあげてやるということは重大問題ですから、なかなかできかねるというような格好になっておる。この町村合併促進法ができてから五年という歳月を経ており、今後何年間でけじめをつけるおつもりかわかりませんが、相当長く尾を引くと思います。そうした場合において、新市町村の恩恵をこうむっておる町村すらも財政的に容易でないにかかわらず、未合併町村であるがゆえに、その町村がいつまでも逆にその恩恵をこうむらない、財政的な援助に相当手かげんが加えられるというような段階に入ってくると、やはり同じ国民であり、その町村民にはそれほど大きな責任はないと考えられる面が相当大きくあるのですから、そういう場合に手かげんといいますか、その扱い方はどういうふうにおやりになる考えか。合併してしまった町村はいいのですけれども、残っておる町村は、財政的な窮状から見ますと容易でない。  参考に私の方のことを申し上げますと、町村有の財産が無断で伐採をされて処分されておる。これは警察を動員してやれというようなことで盛んにやっておるのですが、なかなか容易ではない。村が困ってきますと、自分の財産を処分して、これは刑事事件にしなければどうにもならないのです。そういうような形になって参りますと、なかなか容易でない。そこのけじめを、今からこうつけるんだと言ったんでは、なかなか容易ではないと思いますが、とりあえずは強く出なければいけない。強く出て、そうして一定の期間がたてばやはり軌道に戻すような格好にしないと容易でないと思うのです。そこらあたりの考えをどういうふうに持っておられるのか、そこを一つお伺いしてみたい。  特に学校なんかは非常に老朽になってきている。そうすると、合併してないからこれは計画に沿わないからというので、県の審議会では、その学校に対する起債を承認することを許さない。学校がつぶれてしまったらどうするという問題が起きまして、学校の腐朽程度の度合い等をしさいに検討を加えて科学的に計算した結果、どうしてもこれはもうだめだというものに対しては、何とかしようという措置は現在まで各県とも講じておると思いますが、いろんな面で災害等も起きる。災害は無条件だというのですが、そういう場合も、おそらくあり余った金が出てくるのじゃないのですから、おのずから合併をしてないところは災害復旧も延びるというような現実の問題にぶつかってくると思うのです。そういう観点からして、その未合併町村になったもの、なりそうなものの扱い、それからなってしまってから将来の扱いはどのように考えておられるか。
  27. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 第一点は、県の計画自体におきましても、山間の僻地等で、合併不可能であるというふうに認めておりまするところにつきましては、もとよりこれは本人が合併をいたしたいという意思があってもできないというものでございますので、その取扱いについて不利を与えることもないし、どうこうということはない、これは当然でございます。  第二点につきましては、やはり新市町村を優先するという全体の建前からいたしまして、県なり政府なりの方針に従いまして、合併をして新市町村になったところと、そうでないところには、おのずからやはり差別が生ずるということは、ある程度やむを得ないという考え方をいたしております。ただお話にございましたような、その町村というものが自立していくため、また普通の行政水準を何とか維持しなければならぬ、そのために当然必要であるような仕事まで、これを未合併であるからといって押えていくということは行き過ぎであると思います。たとえば学校等につきましても、すでに老朽化してしまって、くずれかけておるというものにつきましてまでこれを押えていくということは、これは明らかに行き過ぎであろうと思うのでありまして、そういうような点につきましては、あまり行き過ぎにわたらないように、従来も気をつけておるつもりでございまするし、今後もその点十分注意をして参りたいと思っております。
  28. 天野光晴

    ○天野(光)委員 希望だけ申し上げておきます。そこで一番問題になるのは、やはりこの三月三十一日まで延期するという扱いが、私は最初に質問したように、法全体を延期するのじゃないかというような考え方が相当強く末端には流れておるようです。それですからその啓蒙運動を、誤解のないようにしていただきたい。一番問題になるのは分村の争論ですが、これがようやく下火になってきたにもかかわらず、また新たにやろうというような考え方があるようですから、今までの計画にあって、三十二年三月三十一日までの争論の調停等を出したもの以外にはかけないということでいいのじゃないかと思います。それと新たに特に合併計算によって起きる争論、そういうものしか考えないという形にならないというと、短期間のうちに末端の町村にはまた大へんな騒ぎが起きると思いますから、その点を十二分に政府において注意されまして、そういうことが起らないように、事前にその啓蒙宣伝をされるようにしていただきたい。以上であります。
  29. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)委員 ちょっと今の天野委員質問に関連して一言だけ行政局長にお伺いをいたします。ただいま天野委員からの御質問に対しまして、未合併町村に補助金を交付する場合には、未合併町村といえども不公平なことはしない、必要なものは最小限度は交付をするというお話でございましたが、これは当然しごくのことだと私は思うわけでございます。大体私は、自治庁のお骨折りによりまして、新市町村建設というものは予期以上の大成功をおさめておるということを確信する一人でございますが、また地元の市町村といたしましても、合併促進の波に乗りまして、政府の皆さんの意図するところに合流いたしまして、非常な合併を見た次第でございますが、それにもかかわりませず、まだ合併できない町村が幾分残っておる。これが一番の問題だと思うわけでございます。これは県の計画という点におきまして、ただ適正規模にしなくちゃならないという表面的の数字、表面的の面積、表面的の人口、そういったものを見て、地元の意思を無視しまして、一方的に机上で作ったところに問題が残っておるわけです。ただいま茨城県の私らの郷里におきましても、そういったようなところが二、三ございますが、これらの問題につきましては、地元の住民は望んでおるが、一部の有力者がこれをさえぎっているというような点につきましては、断固あらゆる障害を排しまして合併促進をなさることはもとよりけっこうでございますが、住民が、もう上も下もこぞって合併を今のところは希望しない。しかも、相当規模は小さくても今までは模範町村といわれておる、実際の実質も非常に上っておるというようなところにつきましては、やはり地元の実情ということを十分注意されまして、補助とか、その他の場合におきましても、不公平のないように、行き過ぎのないような行き方をしていただきたいと私は思う次第でございますが、その点につきまして自治庁当局から責任のある御回答をもう一ぺんしていただきたい、こう思う次第でございます。
  30. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ただいま出ております知事勧告というものは、それぞれ慎重な手続を経て出されたものであるというふうに考えておるのでありますが、ただ中には、今御指摘になりましたようなうらみのあるものも絶無ではなかったと思うのであります。そういうような点がやはりしこりとして残っておりまして、今日なお、全国的に大体の町村合併が完了に近づきつつあるにもかかわらず、当該町村では合併ができないという原因にもなっておるのじゃないかと思うのです。従いまして、今度の合併計画変更考えます際には、今のお話のような点は十分一つしんしゃくして、慎重なる配慮のもとに町村合併計画の再検討をいたすように、われわれといたしましても考えておりますし、また県当局に対してもそういう指示をし、運営に遺憾なからしめる措置を講じて参りたいと考えておる次第でございます。  なお、未合併町村に対するいろいろの行財政上の指導の問題につきましては、先刻も申し上げましたように、新市町村優先という建前から申しまして、そこの間にある程度の段階がつくことはやむを得ない事柄ではないかと思いますけれども、しかし、当該町村が普通期待されまするところの行政水準を維持いたして参りまするために必要な財政援助までこれをストップするということは、明らかに行き過ぎでございます。そういうような点のないように、今後とも一つ指導に万全を期したいと考えておる次第でございます。
  31. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 あるいはすでに質問があって重複する点もあるかもしれませんが、その点は御了承願いたいと思います。今の未合併町村分類の中で第三番目の「適正規模町村に準ずるもの」というものについて、具体的に一つ簡単に伺いたい。それがたとえば人口八千という場合に、八千にまで達していないけれども、村有林だとか、そういう村の従来の財産が大きいために、他の町村合併するのがいやだという気持、これは少しえこじかもしれませんが、そういうような気持の町村もなきにしもあらずどころじゃない、実際あると思います。そういう町村に対して、あるいは県の問題になるかと思うが、自治庁としてどういう指導をされるか、これを一つ伺いたいと思います。
  32. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 適正規模町村に準ずるというようにわれわれが考えておりますのは、第一義的には、人口段階におきまして八千には満たない、たとえば七千四百なり五百なりというようなところがございます。そういうところも、従来県では、やはりもう少し広域の合併が適当ではないかということで勧告をかけておるところもあるわけなんです。ただその後の情勢から見まして、人口こそなるほど町村合併促進法で期待をいたしておりまする八千にはなっておりませんけれども、しかし自立能力もある、また他の町村に対して大して迷惑もかけないというようなところも事実出てきておるわけであります。そういうようなものにつきましては、私たちといたしましても、人口が八千に満たなくても、これを適正規模町村として取り扱うということにしていきたいと思うのであります。ただ八千以上というものでございましても、これがたとえば四カ町村なら四カ町村合併計画で、そのまん中に人口が少し足りない町がある。その周囲に小さい村がある。その小さい周囲の村は、それぞれまん中の町と合併したいという熾烈な要望を持っている。ところが、まん中の町が、われわれはどうしてもあなた方と一緒になりたくないというように、いわゆるえこじでがんばっているというものにつきましては、やはり全体の合併計画の遂行に支障を来たすことになりますので、そういうものは原則的にはやはり計画からはずすわけに参らない、こういう考えであります。
  33. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 それからこれも丹羽委員の御質問と似通った問題でありますが、すでに合併した場合——合併するときに県の指導が果してよかったか悪かったか、これは別問題といたしましても、旧来の人事の交流であるとか、あるいは経済的な多くの問題から考えて、やはり昔の方がよかった。合併する前には甲という町と非常に人事の交流が多かった、経済的にもそこからいろいろ仰いでおった。ところが、今の新市町村になって思いがけない別の乙という町と一緒になった。自分の方は純農村として、その乙という町とは合併してもどうしても思うようにいかない。その村全体ではないけれども、ある部分の部落が一つか二つ、どうしても別の村の方と合併したいというようなことで、今、分村を投票できめるとかどうとか何かいろいろごたごたしておる向きも出ておりますが、そういうものに対して、県ではどういう方針でどういうふうにやる——あるいは県でももてあましているかもしれませんが、そういう場合には、自治庁としては、どういうような御方針で県に対してあるいは当該町村に対して御指導をされるか。これはこうやれということはなかなかやり得ないと思いますが、そういう点を一つ伺います。
  34. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 分村問題に関する紛争につきましては、すでに調整委員の調整に服しているものと、それから県知事といたしましては、調整委員の調整に服するまでもなく、何とか自主的な話し合いで片をつけた方がいいのではないかというので、調整委員の調整にかけておらぬ、この二つがございます。大体におきまして、全国的に多かった紛争も現在のところでは相当片がついてきております。分村問題につきましては、調整の手続に服しておるものにつきましては、法的に調整委員が結論を出す。その結論でもって投票に付すというようなものもございます。それから打ち切りになってしまうものもございます。また調整を受諾して問題を解決するものもございます。最終的には、投票をやって結論を出す道が開かれておるわけでございます。その点につきましては、私たちの方といたしましては、どの県にはどの手を用いろというところまでは指示はいたしておりませんが、相談を受けました場合には、それは投票までやることもやむを得ないというような指導をいたしております。なお、法的手続によって調整に服しておりませんものにつきましても、大体去年からの例を見ますと、半分以上は自主的に県が中へ入って当事者の話し合いで問題の解決を見ておるという実情でございまして、この点につきましては、今後も大体そういう方針で、しかも早期解決ということを目途にいたしまして問題の解決に当りたいと考えております。
  35. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 今調整委員のお話が出たからその点についてもう一つ。実は私も、分村であるとかそういうごたごたはなるたけ避けさせるようにやりたいと思っておりますけれども、現実の問題として、今調整委員が選ばれて、その調整にかけられておる村でありますと、その調整委員の中にも、その問題については、この部落はやはり分村をしてもいいじゃないかという気持が動いておる。そうすると、合併した新しい町村はそうしたくない。自分の方から分村させたくないために、今度は知事なり調整委員に対して非常に強く要求する。それでなかなかきまらないという問題等もありますから、そういう場合には、県に対してどういう御指導をされるかということを一言……。
  36. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そういう事実がございますならば、いろいろ県としての事情もあることでありましょうが、大体われわれの調査によって、分村の方向に話をまとめていくことが合理的であるというふうに考えられるものにつきましては、県に対しまして、そういう方向でやってみてはどうかというような指導方針を、実際上従来もとってきております。今後も具体的案件については、そういう処置を講ずることも必要であると思っております。
  37. 鈴木善幸

    鈴木委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は明十七日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することといたします。  これにて散会いたします。     午後零時十二分散会