○正
示政府委員 お答え申し上げます。
まず
最初の御質問でございますが、最近アメリカの
市場においては金利漸騰の傾向にあるということは、先般も公定歩合が二次にわたって引き上げを見たような
関係もあって、
承知いたしております。ただ、アメリカの金融事情は
日本の金融事情とだいぶん趣きを異にいたしております。申し上げるまでもありませんが、
日本では、むしろ
日本銀行の公定歩合が市中金利の趨勢に非常に大きな影響力を持っておるのでございますが、アメリカにおきましてはむしろ市中の金融情勢に追随する。というよりは、これが一応馴致されまして、その上に公定歩合が動くというような形になっておるかと思います。この点が、若干私は趣きを異にしておると思います。第二には、いわゆる長短期
資金の分野が相当
日本とは違っておりまして、
日本では御
承知のように相当短期
資金をもって長期的なものをまかなう傾向があり、これが
日本の経済の
一つの弱点であるというふうにもいわれておるのでありますが、米国等においては、この長期、短期の
資金の分野が非常に画然としておるようでございまして、単に短期の金利の趨勢だけから長期の金利の趨勢を判定することもいかがか、若干のリザヴェーションを必要とするかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、今やアメリカはいろいろな
条件から金利先高の見通しの情勢にあることは、お説の
通りかと思います。そこで、
世銀がすでに六分になったというお話でございますが、私は、あるいは今後において若干それに近いものになるかと思いますけれども、今日までのところわれわれの入手いたしました最近の
世銀の
条件は、五分七厘五毛になっておるわけであります。これは、
世銀も、市中の方から
資金を調達するのでございますから、市中金利の情勢によってだんだん動いていくことは、お説の
通りかと思います。
そこで、六分五厘を限界にして、それを超過するような場合には
発行しないか、こういう御
趣旨でございますが、われわれといたしましては、初めて
外債を
発行することでもございまするので、できる限り有利な
条件をもって
発行いたしたい。そして、申し上げるまでもなく、今回の
外貨債の収入は電源開発会社にこれを貸し付けるということに予定いたしておりまするので、電源開発会社に対する
資金の供給の
条件は、大体六分五厘ということに今なっておる。これは従来とも運用部等の
貸付条件がさようになっておりまするので、できればこれよりもできる限り下回る
条件で
資金を確保したいと
考えておることは、もとより当然でございます。また、大体においてさようなふうにできるよう
関係各方面で努力をして参りたい、こう思っておる点をまず第一に申し上げておきます。
次に、第二の御質問でございますが、いわゆる諸般の手数料、諸掛り、あるいは公租公課というようなものを全部入れて、
発行者利回り、最終的な
負担はどうなるかということでございます。これは今後におきましての交渉にもよることでございますし、ここで私が軽々にどういうふうになるという予想を申し上げることはいかがであろうかと存じまするので、むしろ最近におきましてのニューヨーク
市場の起債の実例を申し上げて、御参考に供したいと思います。一番最近におきましては、ローデシア連邦といいますか、これが表面
利率六分で出しておれまして、他に経費が若干かかっておりまするので、大体六分三厘五毛くらいになっておりましょう。これが一番不利な
条件になっておるかと存じます。それから、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体、これが五七年の四月一日に出しまして、これには
条件が二
通りございます。表面五分、これに引き受け手数料一%、従って最終的には六分になりましょうが、このほかに、五分半で、なおそれに手数料を加えますと約六分四厘くらいにつくものも出ております。そのほか、若干古くなりますが、ベルギー、南アフリカ、これは大体五分半くらいのものであります。そこでわれわれの方といたしましては、この
権限をお認めいただけば、今後において
年度末までの最も有利とする時期に交渉を進めることによりまして、
世銀借款等と
実質的にバランスのとれるようなものを確保したい。なお、この機会につけ加えて申し上げますが、
世銀の方では、御
承知のように、契約が成立いたしましても、キャッシュを
現実に引き出し得るのは、こちらの必要とする、たとえば電源開発の工事の進捗の度合に応じまして引き出しております。この点が今回の
外貨債発行は趣きが違うのであります。これは、話が妥結いたしますと、一括してそれだけの金額を利用できる点が若干違って参ります。これは
発行者の方におきましては逆にプラスの面でございますので、その点もあわせて
実質的に
世銀借款とバランスのとれたところでやって参りたい、かように
考えておる次第であります。