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1958-10-30 第30回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月三十日(木曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 綱島 正興君 理事 福田  一君    理事 坊  秀男君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       奧村又十郎君    押谷 富三君       鴨田 宗一君    西村 英一君       濱田 幸雄君    細田 義安君       山下 春江君    山村庄之助君       山本 勝市君    春日 一幸君       神田 大作君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山花 秀雄君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社理         事         (生産部長)  駿河 義雄君         日本専売公社生         産部生産課長  榎園 光雄君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 十月三十日  委員横路節雄君辞任につき、その補欠として田  万廣文君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 十月二十九日  国及び地方公共団体有の寺院旧境内墓地返還に  関する請願小澤佐重喜紹介)(第一一九三  号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第一一九四号)  同(山口好一紹介)(第一一九五号)  同(吉川久衛紹介)(第一二五一号)  準教科書出版物物品税撤廃に関する請願(早  稻田柳右エ門紹介)(第一二〇〇号)  たばこ小売手数料引上げに関する請願早稻田  柳右エ門紹介)(第一二〇一号)  同外一件(野田卯一紹介)(第一二五四号)  境川廃堤跡無償払下げに関する請願外一件(  早稻田柳右エ門紹介)(第一二一七号)  漆器の物品税撤廃に関する請願八田貞義君紹  介)(第一二五五号)  映画、演劇等入場税軽減に関する請願山下  榮二君紹介)(第一三〇三号)  酒税法施行令の一部改正に関する請願下平正  一君紹介)(第一三〇四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業投資特別会計貸付財源に充てるための  外貨債発行に関する法律案内閣提出第三六  号)  専売事業に関する件      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案を議題として質疑に入ります。質疑の通告があります。これを許します。  横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 先般に引き続きまして、外債についての質疑をいたしたいと思います。  私から委員部を通じてきょうじゅうに出してもらいたいとお願いをしておいたのですけれども、手元に来ていない。それは、今国が直接間接に将来外国に対しまして負っておる債務等は何がどのくらいあるか、そしてその償還計画はどういうふうになっておるか、という点について資料要求をしておいたのですが、どうして出てないのですか、また、出てないとするならば、どういう実情にあるか、まずそれをお伺いいたします。
  4. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答えを申し上げます。  昨日伺いまして、ただいま書類は急いで作っておりますが、とりあえず私から、横山先生の御質問に対しまして、その輪郭だけでございますが、ここでお答え申し上げたいと存じます。  本年九月三十日現在におきまして、わが国の対外債務総額をできる限り正確に計算をいたしたつもりでございますが、いろいろ動いておりますので、若干の食い違いがあるかと思いますが、大体の数字は六千四百四十六億円、こういうことになっております。このうち、いわゆる外貨債、これは、御承知のように、戦前英貨債米貨債あるいは仏貨債というような通貨によって発行いたしましたものの総額が八百七億円でございます。これが一番古い債務でありまして、その次に、御承知のように、ビルマフィリピンインドネシアというふうに賠償決定を見たのでありますが、これが三千九十億円、それから政府関係借款、これは、御承知のように、IMFあるいは余剰農産物世銀農産物綿花というふうなものがございます。その総額は千四百八十億円、これに民間が導入いたしました外資が千六十九億円、大体こういう数字に相なっております。そのトータルは六千四百四十六億円というふうになっております。  このうちで、外貨債につきましては、御承知のように、英米貨処理協定というものができまして、また仏貨債につきましても若干おくれましたが処理協定ができておりまして、三十三年度からそれぞれ償還計画がございます。大体のところを申し上げますと、三十三年から三十五年あたりは二十五、六億から三十七億見当を毎年償還することになっておりますが、三十六年度はこれが相当ふえまして、二百三十三億ぐらいになっております。なお、三十八年が次のピークでございまして、これが百八十二億余になっております。  次に、賠償につきましては、これはもう横山委員非常に詳細に御承知通りフィリピンにつきましては、最初の十年間に二億五千万ドル、その次の十年間に三億ドルというふうに、協定上明記されておるわけでございます。ビルマにつきましては、御承知のように、年々二千万ドルをこれまた十年間に提供することになっております。インドネシアにつきましては、最初は年間二千万ドル、それから若干の端数がございますが、その端数はあとで返すことになっております。タイの特別円は、御承知のように五十四億円を一定年限——詳細は書類で申し上げますが、大体九十六億円だけの問題を残しまして、五十四億円は協定ができておるわけでございます。その他こまかいクレーム関係連合国財産補償関係、それに、ラオスにつきましては、今次国会経済協力協定を出しておる次第であります。以上が賠償関係数字であります。  次に、借款でございますが、御承知のように、これはいろいろなヴアリエーションがあります。IMF余剰農産物世銀農産物綿花、これらの詳細につきましては、口頭では非常に繁雑でございまするから、迫って資料を提出いたしたい、かように考えております。  次に、民間外資でございます。これまたきわめて多種多様になっておりますが、これを大きく分けますと、先ほど申し上げました千六十九億くらいのものが、株式その他というふうな見当になろうかと存じます。このうちで株式が約二百億円になろうかと存じます。その他は技術援助技術協力関係等その他でございますが、これまた為替局等関係がございますので、連絡をとりまして、できるだけ早く資料を出したい、かように存じておる次第でございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 概括的な御説明ではございますが、今承わっただけでも、日本外国に対しまして直接間接に将来支払うべき債務は、膨大なものになっておるわけであります。このほかに、今後さらに多くの賠償なり、経済協力なり、あるいはイロア資金ガリオア資金なりを、われわれとしては債務として新たに計上しなければならぬ。ここへ今度の外債であります。  私は、そういう前提のもとに、二、三お伺いをしておきたいのですが、まず、補正予算の中へ出ておる問題であります。財政法の第四条によって、百八億の外債についての償還計画を出すことになっておる。拝見いたしますと、補正予算の中に償還計画は出ておりますけれども、一体これは償還計画といえるのであろうかどうであろうか。法規課長がおいでになっておるようでありますが、法理的に、財政法上の償還計画とは一体何であるか。単に百八億を三十四年から十五年間に返しますということだけで、一体償還計画といえるのであろうか。私は法律的な償還計画意味というものを一ぺんお伺いしたいと思います。
  6. 小熊孝次

    小熊説明員 お答えいたします。  財政法四条第二項におきまして、同条第一項のただし書きに基きますところの借入金、あるいは公債発行する場合におきまして、その償還計画国会に提出する、こういう規定になっております。今回の外債発行についての償還計画につきましては、特別会計法の一部改正によって、そちらの方に償還計画表書類として出す、こういう根拠になっておりますので、特別会計において出しております計画表は、特別会計法規定に基く償還計画でございますが、精神としては、ただいま先生のおっしゃいましたように、財政法四条第二項の償還計画表でございます。この償還計画表につきましては、具体的にどういう内容でなければならぬかということは別に書いてありません。従いまして、従来やっておりますものにつきましても、その具体性と申しますか、それにつきまして、各実態に即応して、その当時におきますところの状況に応じた償還計画表というものを出しておる次第でございまして、具体的にどの程度でなければならぬということは、別にきまっておりません。
  7. 横山利秋

    横山委員 そういう答弁はないと思う。少くとも百八億の金を借りる。法律によってその償還計画をあわせて国会に提出しなければならぬ。そうして、法律によって提出されたものは、この償還計画表によれば、百八億を三十四年から四十八年に返します、これだけではありませんか。何のために償還計画表国会に出せというのか。法律のよって立つ基盤というものは少くとも後年度納税者なりあるいは後年度財政負担に対して及ぼすべき影響を与えて、いかなる年度にどのくらいの財政負担を及ぼすかを示して国会承認をもらうということが、法律に定めるゆえんではないかと思う、それを三十四年から四十八年までに百八億返します、こういうずさんな償還計画がありますか。外債を募集するに際して、新聞の伝うるところによれば、中期債長期債をやると言っている。七年だとか十五年だとか言っている。骨格はある程度きまっておる。条件はどうか。利率は五分七厘五毛ですか、六分ですか、そういう水準もある程度きまっている。そうだとすれば、十五年の間に百八億は返します、こういう人を瞞着した償還計画は、全くずさんきわまるものではないですか。こういうばか償還計画表を出して国会承認を求めたいというのは、まことに言語道断だと思いますが、常識豊かな政務次官はどうお考えになりますか。
  8. 山中貞則

    山中政府委員 これは、計画表そのものから議論すれば、おっしゃる通り言葉をもらっても仕方がないと思います。しかし、現実には、これを提出するに当って、産投特別会計を同時に出すか出さないかについても議論が分れたのでありまして、それは、今後外債市場状況等を見きわめて、有利な条件等が勘案されるときに、すみやかに時期を失せず出したいということが主であって、現在利率というものを予定して、それに伴って計画をして償還計画をはっきりと年度別にあげるというところまで、実はまだ固まっていないものだと私は考えているのでありまして、要は、今回の外債発行政府権限法と、それに伴って予定される百八億相当の産投特別会計の修正と、それからそれに伴う償還計画と、一応そういう体裁を整えたというにすぎないので、おっしゃる通りの点もあると思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 あなたのおっしゃるのはもっとものようであるけれども、相手のあることだから、相手が何と言うか知らぬけれども、国民皆さんよ、わしにまかしてくれ、こういうことでしょう。それはやむを得ぬじゃないか、相手があるのだ、何ぼで貸してくれるかわからぬし、何年で貸してくれるかもわからぬが、格好だけはこれで出すから、国民は黙っておってくれ、こういうことではありませんか。それでは財政法四条は全く意味がないことになる。いつの場合でも同じようなことが言えるでしょう。それであるならば、財政法四条償還計画表を出すことにきめた立法の意義が、実質上無意味なものになる。そういうことがわかっておりながら、償還計画表を出す以上は、それでは済みませんよ。そういうあなたはわかっておって言うのであるから、もう少し親切な償還計画表を出して、あるいは償還計画表が固まらないならば、法案を出すのをもう少し待って、固まってから、大体こういう償還計画でありますから、どうぞよろしくお願いいたしますというのが筋じゃありませんか。どうです。
  10. 山中貞則

    山中政府委員 立場相違で……。
  11. 横山利秋

    横山委員 立場相違じゃない。
  12. 山中貞則

    山中政府委員 そう言えばそれで通る点もあるのです。しかし、利率というものが発行の一週間くらい前に最終決定をするというような微妙な点もありまして、当初からきちっとしたものが出せるか出せないか、大体のところおわかりのこともあろうと思うのですが、そういう点を勘案して、今回は御趣旨のようなおしかりは覚悟の上で、しかし出させていただきたいという意味で出しておるので、その点は御了承願いたいと思います。
  13. 横山利秋

    横山委員 おしかりを受けるは覚悟の前……。(山中政府委員「御批判」と呼ぶ)御批判もおしかりも同じですが……。(山中政府委員「違う、違う」と呼ぶ)御批判を受けるのは覚悟の前だ。そうすると、御批判を受けるであろうけれども、そんなものはまあいいわという、なめた態度じゃありませんか。私は国会議員をなめたとは言いません。国民をなめた態度である。今回の外債というのは、先日も私佐藤さんに言うたんですけれども、予期されて外債の問題が出てきたわけじゃない。あちらでころび、こちらでころんで、どうにもならなくなって外債が出てきたわけです。従って、国民外債を募集すること自体について御相談も御報道も受けてはおらぬ。そこへ突如として外債というところへころげ込んで、さあ何とかしてくれというわけで、しかも何とかする場合に、どういうふうに国民皆さんに御迷惑をかけるか、これは全くわかりませんけれども、どうぞ一つまかせて下さいませんかという御批判を受けるというわけですね。これはあまりにもずさんきわまる話だと思うのです。これはどういうつもりでお考えになっているか知りませんけれども、もう少し償還計画について、かりにこの文章がこういうんだとしたら、具体的に今国会を通じて償還計画について御説明をなさる必要がある。いかがですか。
  14. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 基本的な考え方は先ほど政務次官からお答え願ったのでありますが、法律論実質論二つの問題があろうかと存じます。法律論につきましては、主計局法規課長が先ほどお答え申した通りに、ただいま横山委員御指摘の償還計画というものは、これは産業投資特別会計予算に関連いたしました添付書類として出したのでありますが、これがいわゆる財政法四条第二項の要請にもこたえた趣旨である、こういうことを言ったのであります。そこで、私もしろうとでありますが、一応法律規定趣旨をそんたくしてみますると、御承知通り財政法四条と七条に公債と一時借入金規定があるわけでございますが、第七条の大蔵省証券等、あるいは一時借入金につきましては、これは当該年度歳入をもってこれを償還しなければならない、こういう規定がございます。そこで、当該年度歳入は、すなわち国会の議を経ますところの予算は明らかなところでございますから、これはいわば予算がその償還計画明示しておる、こういうふうに一応解釈ができるかと存ずるものであります。しかるに、これに対しまして、第四条に基くところのいわゆる公債または借入金につきましては、予算的に明らかにされてございませんので、一応大体のところどのくらいの年限にわたって償還をするかということを国会明示することが最小限度要請として明らかにしなければならないことだろう、こういう趣旨で第二項が設けられておるのかとも思うのであります。しかるに、今回発行したいと存じますところの外国起債はこれは、ただいま政務次官からお述べの通り、今後相手方との折衝あるいは客観的にニューヨークの市場情勢等によりまして、おのずからその条件がきまるというものでございまするので、これをいたずらに、いわば見当をもちましてここに出すということも、実態としていかがであろう。そこで、一応この財政法四条趣旨にもこたえるような意味におきまして、産業投資特別会計といたしましては、二十四年から四十八年度にわたりましてこれだけのものの償還を確保して参ろう、こういう意味におきまして、私どもといたしましては、一つ考え得るところの計画、こういう意味でこれを提出いたしているのであります。  なお、それに関連いたしまして、御案内の通り、先年減税国債について国会の御承認をいただきましたときの前例等も調べてみたのでございまするが、当時におきましては、この点に関する明白な計画もございませんで、大体短期間に償還をするというふうな説明をもって、御了承を得ておるようでございます。御趣旨は非常にわれわれもよくわかるのでありますが、かと申しまして、あまりにもこれを精緻に書きます場合、現実相違して参るおそれもございます。一応産業投資特別会計として最小限度に今後において確保すべき償還年次を示せば足りる、こういうように御了解を願いたいと思います。
  15. 横山利秋

    横山委員 それはいかぬのですよ。なぜかというと、向うの相手仕事については、これは行政問題としてある程度幅はゆだねられておる。けれども、行政問題以上に、法律償還計画表を出せとなっておる。償還計画表を定めたゆえんのものは、後年度財政負担国民負担というものについて、無条件委任をするわけにはいかぬ。だから、借金をするときには、また外債をするときは、綿密な償還計画表を出せ、こういう立場なんです。私も、だからといって、何歩で何が何で何年には幾ら、そうまでは言わない。そうまでは相手仕事のあることだから言わないけれども、この国会に出された償還計画表というものは、十五年間に百八十億を返します、これだけではないか。あまりにもばかにしておるではないか。あまりにもばかにしたやり方であって、もう少し——償還計画表というからには、表ですよ。これは単に十五年に百八億返すと書いてあるだけで、表になっておらないではないか。表というものは、何年には大体どのくらい、何年にはどのくらいと、三つ四つ並べて初めて表になる。これは表じゃありませんよ。ばかにするにもほどがあるじゃありませんか。
  16. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。  お言葉を返すわけじゃございませんが、財政法四条第二項は、その償還計画というふうになっておるのであります。これが第一であります。  それから、第二に、横山先生のお話はごもっともの点多々あるのでありますが、産業投資特別会計がこの償還——これは要するに負担会計でございます。産業投資特別会計負担するところの公債でありますが、この産業投資特別会計がこれだけのものを十五年間負担をいたしますという形において提出されておることは申し上げるまでもない。そこで、産業投資特別会計は、いきなり税金をもって歳入にはいたしません。どういうものが歳入になって参るかというと、御承知通り産業投資特別会計は、いろいろの原資を持ちまして、出資をしたりあるいは貸付をいたしておるわけであります。この出資の配当なり納付金あるいは貸付金の回収、これが一定の利子を生んで返ってくる。そういうものをもって、返すわけであります。そこで、今お示しをしておりますところの十五年百八億ということは、大体において今後十五年の間に百八億の元利償還のものが産業投資特別会計原資を食って参る、こういうことをここに明示をしたわけでございます。すなわち、今後におきましては、本年は百八億の歳入があるかわりに、今後は年々これが元利償還に必要なものをまず優先的に産業投資特別会計支出として予定しなければならない、これだけの意味を持ってここに明示をいたしたのでございまして、表は簡単でございますが、その意味するところきわめて重大である、かように考えております。これが第四条第二項の償還計画というものの意味といたしましては最小限度意味を持つ、かように考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 言葉というものは体裁のいいもので、何とでも言えると思います。正示さん、あなたのように、表は簡単でございます、持つ意味はきわめて大きい、ようぬけぬけとそう言えると思う。政務次官のつめのあかでも——といっては失礼だけれども、やはりもう少し親切に、御批判を受けるのは覚悟の前でございます、まだ山中さんのように言うならいいけれども、しゃあしゃあとして、りっぱなものでございます、意味は大きい、そういう瞞着したことを言ってはいけない。強くおしかりをいたしておきます。御批判じゃない。  それから、二番目にお伺いしたいのは、三千万ドルを限度として米貨債発行し、あるいは米貨借入金をすることができるようにしておる、こう言っておる。この限度以内においてこの法案包括委任をする、こういう意味でありますか。
  18. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 この点先ほど政務次官お答えの中に一部触れておられたわけでございますが、この外債発行権限をお与えいただく場合に、二つの方法があろうかと思います。ただいま横山委員仰せ通りに、いわゆる包括的に一定の限界を示しまして、そしてそれを、たとえば一億ドルというふうな一つのユニットを考えまして、一億ドル程度のうちで、さしずめ市場状況によって得られるものを得ていくという一つ考え方があろうと思います。戦前日本国債発行は、ややそれに近かったかと思うのでありまして、いわゆる公債金特別会計というものを設けておきまして、一方法律によりまして授権をしていただいておったわけであります。公債金一種資金会計とでも申しましょうか、この公債金歳入歳出につきましては、年度の区分を一応排除するような考え方があったかと思うのであります。今回外債を出します場合に、やはり一応の一つ考え方といたしましては一種資金を設けまして、そのときそのときによって得られるような外貨債の収入を資金にして持って参る、こういう考え方もあったかと私は思うのでありまするが、先ほど政務次官がお触れになりました通りに、さようなことは初めて外債を出す場合に適当でない、これはどこまでも、予算をもって、歳入歳出という形においてはっきりと国会の議決を経べきである、こういう結論に到達されまして、今回法律案と同時に予算補正をお願いしておるわけであります。従いまして、これは包括的権限委任でありますよりは、むしろはっきりと予算において予定したところの歳入が三千万ドル、百八億円、そうしてまた、その歳入をもって支弁する歳出はこれに相当するところの産業投資支出である、こういうことをはっきり明示しておる趣旨と御了解願いたいのであります。
  19. 横山利秋

    横山委員 わかりました。その趣旨に私も賛成であります。  そうしますと、歳入上これだけの金が必要であるから、その必要な額だけ外債を募集したいのだ、ないしは米貨借入金がほしいのだ、こういうことでございますね。そうだといたしますと、年次が三十三年度及び三十四年度の二年度にまたがることが財政法上適法であろうか、という疑念が私は出てくるわけであります。少くとも、その年次において歳入という以上は、一会計年度、三月三十一日で終りなんであるから、年次における歳入、一会計年度歳入上必要であるということが法の示すところであり、あなた方の考えるところであるとするならば、これが三十四年度にまたがるということはインチキではないか。こういうインチキが許されるならば、うまいこと限定委任だと言いながら、それでは、今後また外債を募集するとき、米貨借入金をするときに、五年次にまたがり、十年次にまたがるのだったら、それは限定委任ではなくて、実際的には包括委任になってしまう。それはどうなんですか。
  20. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 御趣旨はごもっともでございまして、先ほどお答え申し上げました通りに、今回の外貨債の収入は、特定の支出財源と一致して、予算上はっきりと示されておるのであります。ただ、しかしながら、これまた、外貨債の特殊性から申しましても、現実に契約を結びまして諸般の手続をとりまして、現実歳入として取り入れるというふうな段階に参りますると、一方日本会計年度は厳として法律によって規定されておる。そこで、現地の諸般の手続等との関係から、万が一この年度がずれまして、せっかく三千万ドル、百八億円まで実質的な話が成立しておるにかかわらず、年度の区分とのすれ違いから、そのうちの一部だけが歳入になって、一部は不成立になるということは、これは、国会においてお認めいただく場合の基本的な趣旨からいたしましても、いかがでございましょうかというような点をも考えまして、いわば一種の手続的な規定を設けまして、さような不始末を生じないように備えておくことが必要だ、さように考えた次第であります。御承知のように、日本予算におきましても単年度主義をとっておることは、申すまでもございませんが、にもかかわらず、毎年度繰り越しという規定を設けまして、また繰り越しの承認につきましては、事前に——歳出でございますが、国会の議を経てお認めを願っておるようなところもございます。今回の外貨債の収入の問題につきましては、先ほど申し上げましたように包括的に考えないで、これを限定的に考えておる関係から、今申し上げたような年度区分との手続的な面において食い違いの生じないように手続をとりたい、かような意味におきまして、一種歳入の繰り越し関係をあらかじめお認めいただこう、こういう趣旨に出ておる次第でございますので、御了承を得たいと思います。
  21. 横山利秋

    横山委員 だめですよ、あなたの議論は。歳入の話をしておるのに、歳出の話を持ってきて、それでごまかそうなんて、だめです。限定委任をしておる。しかもそれは一会計年度における歳入の問題である。こういうことは法律上はっきりしておる。ただ、それを認めるけれども、手続上そごを生じないようにしたいというのであるならば、法律に違反しないような運用措置、立法措置を講じなければだめだ。この法律案のどこに財政法第何条の規定にかかわらずということがありますか。ないじゃありませんか。財政法のどこに、両年度にまたがって外貨を募集し得るということが書いてありますか。これは歳出の話をしておるのではない。歳入の話です。もう少しはっきりなさい。
  22. 小熊孝次

    小熊説明員 繰り越しの問題でございますが、先生のおっしゃいますように、歳出予算の繰り越しは、現在、産業投資特別会計におきまして、各年度歳出予算支出残額はこれを繰り越すことができる、こういうことになっております。ほかの特別会計におきましても、事業特別会計、たとえば多目的ダム特別会計とか、それから特定の農地の特別会計、あるいはそういう種類のものにつきましては、歳出予算の繰り越しと合せまして、財源の繰り越し、すなわち財源を取得するための権限の繰り越しというものを認めております。道路特別会計についてもそういう制度がございます。そういうような意味合いにおきまして、この産業特別会計支出残額の繰り越し制度を認めておりますので、一方財源を取得するための権限すなわち起債あるいは借入金権限につきまして、これを相手方の交渉その他によりまして年度内に終らないというような場合におきまして、起債の権限あるいは借入金権限を翌年度に限りまして認めるということは、従来の制度からいっても、これはやむを得ない制度である、そのように考えておる次第であります。
  23. 横山利秋

    横山委員 従来の例によってやむを得ないかどうかということは、私は今法律論を言っておるのであるから、従来やっておったことが違法なことであるならば、それは改めてもらわなければいかぬ。財政法のどこに歳入を両年度にまたがって約束し得るようなことがあるか。歳出については、限定して、繰り越しとかあるいは債務負担行為を継続的に五年以内なら五年以内、そういう条項はあるけれども、歳入の問題についてそういうことを規定しておるということはないじゃないか。従って、この三千万ドルを二十三年度において借りたい、三十三年度歳出上必要であるというならば、三十三年度にやりなさい。三十四年度になってほしければまたやりなさい。こういうふうにはっきりすべきなのは法律上当然ではないか。法規課長、一体どこにそういうことが書いてあるんですか。
  24. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 法律改正については、先ほど法規課長からお答え申し上げた通りであります。ただいまの横山委員の御質問につきましては、今回の法律案の一条と二条をあわせてお読みいただけば、一条の一項におきまして昭和三十三年度において、」云々というので、はっきりと年度規定を設けておるわけであります。この点、横山委員のおっしゃるように、それでいけば御満足をいただくわけでありますが、そこが、先ほど申し上げました通り外貨債の特殊性から、三十三年度においてこういう権限を行使することをお認めいただく趣旨でございます。これが、相手方とのいろいろの交渉等の関係におきまして、万一できない場合におきましては、横山委員は、それをあらためて国会の議を経ればいいじゃないか、こういう御趣旨にただいまのお言葉を拝聴いたしたのでありますが、それを、この際、先ほど申し上げたように三千万ドル、百八億ならば適当であろう、こういう趣旨で御承認をいただいた場合には、せっかく実質的にはその趣旨に沿うた諸般の話し合いがついたにかかわらず、単に会計年度——この会計年度規定は、申し上げるま一でもなく財政法第十一条にはっきりとございます。そこで、そういう規定との関係におきまして、第二条におきまして限度の繰り越しをお認めいただきまして、そして三十四年度に限り——これ以上に延ばすことは認められないのでありますが、三十四年度においてそういう手続ができることだけをお認めいただく、こういう趣旨でございます。横山委員財政法第何条の規定にかかわらずという規定をここに示すべきではないかという今お話がございましたが、年度の独立の関係、今回の外貨債発行が限定的に予算とぴたりと合わせた趣旨に出ておる、そういう趣旨から申しまして、一条と二条はあわせて規定をすべき必要がある、かように御了解願います。
  25. 横山利秋

    横山委員 だめですよ。あなたの理論は勝手過ぎる。なぜかというと、そういうことならば、一億ドルを三十三年度に募集いたします、それができなかったら三十四年度、それができなかったら三十五年度、それができなかったら三十六年度、幾らでも脱法行為ができるじゃないか。あんたは自分の仕事のことだけ考えるから、三十四年度にまたがればしまいますと言っておるけれども、法律論から言うならば、それはだめだと言うのです。一億ドル募集するといって、三十三年度にできなければ三十四年度、そこでできなければ、ずっと延ばしていけば、どこにとめどがつきますか。同じことじゃないですか。だから、あなたの言うのはだめだというのです。だから、担当者としてのあなたの言い分じゃなく、僕は立法論を聞いておる。法律論としてこれはだめじゃないか。法律上もう少しきちんとしたもののやり方をしなければだめじゃないか。慣習はだめですよ。慣習は悪かったら直さなければならない。法律等でそういうことが許されておるかということを聞いておる。
  26. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 これはあるいは法規課長がむしろ得意であられるのでありますが、私の貧弱なる法律知識を一応申し上げます。財政法四条は、国の歳出については普通財源をもって支弁しなければならない。しかし、こういう特別の場合には「国会の議決を経た金額の範囲内」、ここに非常に意味があるのです。「範囲内で、公債発行し又は借入金をなすことができる。」そこで国会の議を経る。その一番のかなめの点は金額、こういうことにあろうかと思うのであります。今回も、三十三年度においてということを第一条第一項に規定すると同時に、第二項におきましては金額の限度は百八億円、この点が一番ポイントであろうかと思うのであります。しかるに、この規定を設けますと、どうしましても三十三年度、すなわち三十四年三月三十一日ということが財政法の第十一条から当然出て参りますが、それまでに必ずこの権限が行使できるかということになって参りますから、立法論といたしましては、さような場合を想定いたしますれば、はっきりとそれについての安全弁というものを規定をする。一億ドルでも二億ドルでも同じじゃないかとおっしゃいますが、それは横山委員がわざとそういうふうにわなをおかけになるのでありまして、常識をもって考えれば、おのずから金額の限界、従って繰り越し規定をもっていろいろできる限界が明白でありまして、基本的な考え方は、どこまでも三十三年度においてこの権限を行使したい、こういう趣旨にほかならないのであります。
  27. 横山利秋

    横山委員 財政法四条では幾らを限度としてということになっておるか。限度ということは、たとえば三千万ドルを限度としてやれということである、それが残った場合は、いつやってもよろしい、あんたはこういう理論だ。私は、そうじゃない。限度ということはその限りである。その中でやるのであるから、それがやれなかった場合には、それで終りなんだ、これが限度なんです。限度が余ったら何をやってもよろしい、いつやってもよろしい、そういうばかなことを言うべきじゃないです。いわんや、私がわなをかけておるというのは、何をもってわなを私がかけたか。少くとも両年度にまたがるものについては、法律上の建前で言うならば、これは欺瞞がある。もしもあなたの理論で言うならば、今後外債が出たときに、実は今三千万ドルでもいいけれども、この際六千万ドルにしていこうかということで、六千万ドルを限度としてというふうにして、それを三年でも四年でもやって、あなたの言い方でいうならば、違法ではない、財政法違反にはならないという論理になるではないか。どこが違うか。どこが私がわなをかけたというのか。いいかげんにして下さい。
  28. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 最初に申し上げました通りに、二つ考え方があり得る。しかし、私どもとしては、その考え方のうちで厳密な考え方をとる、こういうことを申し上げたのでありまして、この点は、先ほど、大体において賛成であるというお言葉を承わったのであります。第一条において年度というものを第一項に、金額というものを第二項に、こまかく限定的に規定をいたしたのであります。しかるに、その年度規定が設けられ、金額の限界が設けられれば、これに対応するところの予算が提出される、こういうことになっておりますから、ただいま重ねての御質問でございますが、私どもは、さように一定年度におきまして発行し得る限界、また必要とする限界というものを予算明示するという今回の方式をとりますならば、巨額の金額を一定年度発行すると称しておきながら、これを多年度にわたって発行するということは、これはただいま基本的な考え方からとうてい相いれない、こういうことを実は申し上げたのであります。あるいは言葉が不適当であったかと思いますので、その点は慎んでおわび申し上げます。  そこで、第二条の繰り越し規定でございますが、これは、なるほど、こういうふうなことをしないで、もう一回新しくとったらいいじゃないかという立法論は、私はあり得るということを申し上げた。しかし、それでは、相手方と交渉いたす場合に、昨日予算委員会でも大臣から御説明をし、私も補足的に申し上げたのでありますが、今回一つの好機至れりとして、外貨債の本格的な交渉を、その金額は三千万ドルという比較的小さな金額でございますが、とにかく出す場合に、相手方がこれに応じた、しかるに、国内的手続が、三十四年三月三十一日までにぴたりと歳入にならない場合には、この権限が行使できないということでは、せっかく授権をいただく基本的な趣旨から申しましても不適当ではないか。そこで、法律論として一応繰り越しの規定を設けまして、事前に国会の御承認を得るならば、さような不信義をいたす必要もない、かような判断から設けた趣旨でございまして、決してこれをもってルーズに一定資金的な方法にすりかえようなどという不届きな考えではないということを、重ねて申し上げます。
  29. 横山利秋

    横山委員 あなたの説明の中で納得し得ることは、最後の実情論だけです。法律論としては断じて納得できない。実情として三月三十一日までにもし満たなかった場合においてはどうなるかということを考えるときに、どうぞかんべんしてくれということならば、これは実情論として納得できる。僕はそれを言っておるのではない。法律論として納得できないと言っておる。法律論になると、あなたはあいまいもこにして、最後はよろしく頼むと言うんだから、いけないというのです。  時間もありませんから、政府にお願いしたいのですが、多年度にまたがるということが財政法何条あるいは特別会計法の何条によって認められておるかということを、文書をもって本委員会に提出を願いたい。それが納得できないうちはだめです。  時間がないから、次に移ります。発行者利回りの問題であります。この欄佐藤さんにお伺いしたら、どうも発行するがごとくせざるがごとくというような御返事なんです。一体せざるがごときということは、どういう場合にしないのかということを前もって聞いた方が、話が早そうであります。少くとも世銀の金利が最近六分になった。それから産業投資特別会計が御母衣の電源開発に貸すのが六分五厘、五厘の違いしかないわけです。六分五厘以上になるのだったら全く無意味ですね。六分五厘以上になるようだったら外債は募集しない、それから米貨借入金はしないというふうに判断してよろしいか。これが第一です。  それから、第二番目に、そういう簡単なことばかりでなくて、何かフアースト・ボストンの手数料、あるいはつなぎの米貨借入金をする場合、その利子及び雑費等で、補正予算では、五億一千五百万円ですか、計上なさっていらっしゃる。これらをすべて含めて、一体発行者利回りはどのくらいになるのであるか、それを聞きたいのです。今、利回りはこのくらいですと、はっきり言うことはできないと思う。だから、僕は、逆説的にいって、どういう条件の場合には外債発行しないのか、それをまず答えてもらいましょう。
  30. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。  まず最初の御質問でございますが、最近アメリカの市場においては金利漸騰の傾向にあるということは、先般も公定歩合が二次にわたって引き上げを見たような関係もあって、承知いたしております。ただ、アメリカの金融事情は日本の金融事情とだいぶん趣きを異にいたしております。申し上げるまでもありませんが、日本では、むしろ日本銀行の公定歩合が市中金利の趨勢に非常に大きな影響力を持っておるのでございますが、アメリカにおきましてはむしろ市中の金融情勢に追随する。というよりは、これが一応馴致されまして、その上に公定歩合が動くというような形になっておるかと思います。この点が、若干私は趣きを異にしておると思います。第二には、いわゆる長短期資金の分野が相当日本とは違っておりまして、日本では御承知のように相当短期資金をもって長期的なものをまかなう傾向があり、これが日本の経済の一つの弱点であるというふうにもいわれておるのでありますが、米国等においては、この長期、短期の資金の分野が非常に画然としておるようでございまして、単に短期の金利の趨勢だけから長期の金利の趨勢を判定することもいかがか、若干のリザヴェーションを必要とするかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、今やアメリカはいろいろな条件から金利先高の見通しの情勢にあることは、お説の通りかと思います。そこで、世銀がすでに六分になったというお話でございますが、私は、あるいは今後において若干それに近いものになるかと思いますけれども、今日までのところわれわれの入手いたしました最近の世銀条件は、五分七厘五毛になっておるわけであります。これは、世銀も、市中の方から資金を調達するのでございますから、市中金利の情勢によってだんだん動いていくことは、お説の通りかと思います。  そこで、六分五厘を限界にして、それを超過するような場合には発行しないか、こういう御趣旨でございますが、われわれといたしましては、初めて外債発行することでもございまするので、できる限り有利な条件をもって発行いたしたい。そして、申し上げるまでもなく、今回の外貨債の収入は電源開発会社にこれを貸し付けるということに予定いたしておりまするので、電源開発会社に対する資金の供給の条件は、大体六分五厘ということに今なっておる。これは従来とも運用部等の貸付条件がさようになっておりまするので、できればこれよりもできる限り下回る条件資金を確保したいと考えておることは、もとより当然でございます。また、大体においてさようなふうにできるよう関係各方面で努力をして参りたい、こう思っておる点をまず第一に申し上げておきます。  次に、第二の御質問でございますが、いわゆる諸般の手数料、諸掛り、あるいは公租公課というようなものを全部入れて、発行者利回り、最終的な負担はどうなるかということでございます。これは今後におきましての交渉にもよることでございますし、ここで私が軽々にどういうふうになるという予想を申し上げることはいかがであろうかと存じまするので、むしろ最近におきましてのニューヨーク市場の起債の実例を申し上げて、御参考に供したいと思います。一番最近におきましては、ローデシア連邦といいますか、これが表面利率六分で出しておれまして、他に経費が若干かかっておりまするので、大体六分三厘五毛くらいになっておりましょう。これが一番不利な条件になっておるかと存じます。それから、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体、これが五七年の四月一日に出しまして、これには条件が二通りございます。表面五分、これに引き受け手数料一%、従って最終的には六分になりましょうが、このほかに、五分半で、なおそれに手数料を加えますと約六分四厘くらいにつくものも出ております。そのほか、若干古くなりますが、ベルギー、南アフリカ、これは大体五分半くらいのものであります。そこでわれわれの方といたしましては、この権限をお認めいただけば、今後において年度末までの最も有利とする時期に交渉を進めることによりまして、世銀借款等と実質的にバランスのとれるようなものを確保したい。なお、この機会につけ加えて申し上げますが、世銀の方では、御承知のように、契約が成立いたしましても、キャッシュを現実に引き出し得るのは、こちらの必要とする、たとえば電源開発の工事の進捗の度合に応じまして引き出しております。この点が今回の外貨債発行は趣きが違うのであります。これは、話が妥結いたしますと、一括してそれだけの金額を利用できる点が若干違って参ります。これは発行者の方におきましては逆にプラスの面でございますので、その点もあわせて実質的に世銀借款とバランスのとれたところでやって参りたい、かように考えておる次第であります。
  31. 横山利秋

    横山委員 時間がないようでありますから、また後刻やりますが、少くとも、今の話を聞いても、これは血道を上げて外債を募集し得る条件ではありませんね。六分五厘、それがどのくらい下るか、一分か二分か三分か知らぬけれども、こんなことで、何でそうすったかもんだかやってインドまで行って、そうして国会外債々々、三十年ぶりの外債でございますと、鬼の首でも取ったような顔して、だめじゃありませんか。正示さん、あなたも担当の局長として外債についてはえらい努力をされるようだけれども、努力のしがいがないと思いませんか。腹の中ではそうでしょう。今あなたの言われたローデシア連邦、これは小山長規先生の話によればアフリカだそうですね。そんなところの六分だとか六分三厘五毛だとか、そういうところと日本とは比較にならぬとあなたはいばるかもしれぬけれども、今の状況でアメリカの金利がずっと高くなっていくことを考えれば、佐藤さんでも、この間、時期はもう失した、実際の話は早く借りればもっと安く借りられた、こういう率直なお話でしたけれども、それならもうおやめになった方が私はいいと思う。これは私のこの問題についての意見です。  時間がありませんから、今度は政務次官一つ深遠な御意見を承わりたい。そのものずばりで申しますと、山中さん、僕はこう思うのです。とにかくあなたが大蔵次官におなりになる前までの状況といいましょうか、政府としては今までインパクト・ローンについては非常に警戒をしてこられたのですよ。円資金調達のための外資導入については非常な警戒をしてこられた。これ、与野党ともに、ウエートの差はあるけれども、今まで一緒でした。それから、今でもそうですけれども、国内で円資金を出して行う経済開発には、非常に政府は消極的なんですよ。ところが、今度は、外資を借りて行う経済開発には非常に積極的におなりになった。これはどういうものでありましょうか。私はその意味がよくわからないのです。第三番目に、自己資金である外貨は今どんどんたまっているのです。政府は、二億ドルだとか三億ドルだとか呼号して、外貨がどんどんたまっていばっていらっしゃる。そういう外貨がたまっておるのに、今外国からの借金に血道を上げる、これは一体どんなものでありましょうか。これもまた私にはよくわからぬ。第四番目に、国内の不況対策は断じていたしませんと言っている。それでもって外資を借りて経済成長率を伸ばす、こうおっしゃる。第五番目に、それではこれは予期されて外債を募集することになったのか。あちらこちらかけずり回って断わられて、それならしようがないというお気持になっての外貨です。ですから、これも、今までの御方針と今提案されている御方針とは違うわけです。こう考えてみますと、今まで、ドルの問題にしても、外貨の問題にしても、あるいは円資金調達の問題にしても、国内の経済開発の問題にしても、外に対するものの言い方と、今回中にいて議論しておられることとは全く違う。一貫性がないのですよ。いうならば、私は御都合主義だと悪口も言いたいわけです。どうしてこんなばかなことになるのです。結局回り回って、どうも予期しなかったことでもあるけれども、ここまで来たから、一つまあこれでやろうかということじゃないのでしょうか。私は、どうしても、この経済理論からいって、今の岸内閣の国内政策、経済政策のもとにおいてこの外債を準備することは、矛盾撞着もはなはだしいと痛感するのです。あなたの常識豊かなところを一つ聞かしてもらいたい。
  32. 山中貞則

    山中政府委員 きわめて常識のない答弁をしたいと思います。それはあなたのおっしゃったような環境の中でなぜ今急いで踏み切るのか、しかも、さらに、踏み切り方についてあなたが具体的に法理論を展開されて指摘された点は、僕の肯定をする点もある。そういう点について、しからばなぜやるかという問題については、大蔵大臣に聞いて下さい。大蔵大臣がどうしてもやらなければならないということについて、果してどういう決意を持っておられるのか、そこらについては政務次官として立ち入って聞いておらないので、あなたからお聞き下さい。  ただ、私が申し上げておきたいことは、こういう裏返しにしたものの言い方ですが、かりにこれをやるということについては、決意は変らないでしょう。そうすると、じゃ政府が、とにかく固まらなければ、国会で今おっしゃったような御批判やおしかりを受けたら、説明に窮する点もあるいはあるかもしれないから、はっきりきまってから相談しようというので、一方的にこっちが話を進めていった場合には、さらに裏がえしの皆さんの御批判を承わることになると思うのですよ。一体どういうつもりでそれをやっているのか、政府権限はないじゃないか、権限をもらいたいならはっきり法律を出せ。法律を出せば、予算をはっきり組まなければならぬじゃないかという御意見が出るだろう。そこで、さっきから正示局長とやりとりをしておられるところでわかりますように、外債市場状況が果してどういう変更を示すか、それらについてだれも自信がないわけなんです。はっきり見通しはない。従って、最も有利な条件をよりタイムリーにとらえるための政府外債発行権限法案をどうしても本国会で確保したい、それについて国会の御承認を得たいというのが、まず発足の第一歩となって参りました。従って、ただ権限だけを与えてもらって、あとの折衝は、今のところ大体三千万ドルを予定しているが、利回りその他がはっきりしなければ、国損になるような発行はできないし、ましてや現在の産投融資の利潤を上回ったようなことでは意味をなさないから、それまで内容は預けてもらいたいということでは、これまた承知されまい。それなら、とりあえず、内容はそうであっても、権限法をお許し願うと同時に、さしあたり予期できる範囲のものとして二千万ドル、邦貨換算百八億円というワクを明示して、産投会計というものを修正し、先ほど御批判を受けた償還計画も出して、そうして御承認を得ておいて、具体的な折衝に乗り出したい。しからば、その際に当然出さないこともあるのかという疑問も起ってくる。その際においては、私の大臣の心中を察する範囲においては、先ほど言ったような条件で不利になってまで、一ぺん国会に出したものはやらなければ困るから強行するかといえば、そういう御意思はないように思います。やはり、最も有利なる条件をつかまえて、そうして最もタイムリーにやるためには、どうしてもこの条件国会で堂々と御承認を得ておいた後でなければできまい。従って、それをつかまえるためにということは、不利な状況でない場合に発行できる権限というものを、その準備を整えておきたいということから出発をして、いわゆる裏からものを言ったわけですが、こういうような御提案を実は申し上げているわけです。ですから、はっきりきまっておらないものでありますから、年度を越えた残りの分というものも出てくるおそれもありますから、それもうたったわけです。それについても法律的に疑義があるとおっしゃる点があるいはあるでしょう。そういうようなことがあって、実際はこういうような権限並びにそれに関連する法律予算等の御承認を得ておいて、そうして乗り出したいというのが、大蔵大臣の切なる希望だと思います。しかし、なぜ乗り出すんだということについては、政務次官として私からちょっと申し上げられない点があります。
  33. 横山利秋

    横山委員 常識豊かな御答弁でした。私はこの際これでやめますが、なお申し上げたいのはこれが二、三年先の問題であるならば、そういう御答弁も、私は、大臣の御答弁としても、また政務次官の御答弁としてもいいと思うのです。けれども、外債をやろうときまってからわずか半月かそこらで国会に出てくるのは、来年の三月三十一日までにけりをつけるという原則なんです。わずか四カ月や五カ月の見通しがきまらぬようでどうするかと私は言いたいのです。わずか四カ月や五カ月の先の問題が、いつ発行することになるのかならぬのか、悪かったらやめますというような不見識な態度が見えているのです。そういうことになるゆえんはどうかというと、情勢が悪いということなんですね。アメリカで外債を募集する条件というのはよくないということを実は意味しているのです。だから、私はやめなさいという立場に立つわけです。いやしぐも政府国会外債を募集したいと言う以上は、断じてやるという気でなければおかしいですよ。公けの席上で、悪かったらやめますわ、権限だけは一つくれぬかというのはおかしい。不見識もはなはだしいと私は思う。だから、佐藤さんはああは言っているけれども、乗り出した船は向う岸へつけずにはなるまいと覚悟をきめていらっしゃると思う。ところが、さてその向う岸では、おそらく評判のいい話はちっとも出ないだろう、だから今のうちにやめたらどうだと私は言うんです。
  34. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 先ほど、私が担当局長として内心賛成でないんじゃないかというようなお話がございましたので、この際一応はっきり申し上げます。  昨日予算委員会で補足的に申し上げたのでございますが、私どもは、非常に事務的に考えましてこれが必要であるということだけを申し上げます。  本年の財政投融資計画を出しましたときに、電源開発等を主にいたしまして四百十億円というものが、どうしても年度内に資金的に世銀借款の形で手当をするということの必要性を申し上げたことは、御承知通りであります。そのうちで、全体の額は話はついておりますが、年度末までにくるのが田子倉、奥只見で、この間も大臣からお話がありましたように若干ずれてくる。そこで、総額としては世銀借款は非常に順調に行っておるのですが、年度末までの資金において、外貨に期待いたしました資金が、今回の外貨債を予定しました百八億円を若干下回りますが、大体その程度のものが年度末までに必要である。これが第一点であります。  第二点は、世界銀行というものは申し上げるまでもなく、一般の市中におきまして相当の条件資金が得られないときに初めて借款を与える、こういう建前になっておりますので、今回出し得ることになって、一方に必要がありますので、こういう両方の点から、事務的にもきわめて必要であるということを申し上げたのであります。  なお、先ほど発行条件につきましての私の説明で若干不明瞭な点があったかと思いますが、たとえば売り出し価格を百ドルとして、五分五厘で、先ほど御指摘のようないろいろな費用を入れた場合にはどうなるかということでございますが、この場合は五分七厘七毛四糸くらいになります。それから、発行価格を九十九ドルまで落しますとどうなるかと申しますと、六分一厘六毛七糸くらいになります。従って、これは横山委員が先ほど御指摘の六分五厘という一つの電源開発への融資条件というものが一方でありますが、私どもとしましては、交渉のいかんによりまして、また市中の情勢によりましては相当有利な条件でこういうものを発行できる、こういうふうに考えておることを、事務的な立場からはっきりと申し上げます。
  35. 横山利秋

    横山委員 最後っぺというのがあるんですが、言わぬでもいいのにああいうことを言うから、言っておかぬと気が済まぬのです。この間百八億がどうしても国内でまかないきれないものではないとおっしゃったんです。御母衣のお金が国内でどうしてもできないものではない。けれども、外債を募集した方が安い金利でいけるからということであった。まあ世銀から断わられたというのも原因でありましょう。だから、御母衣がどうしても今銭がいるんだというなら、佐藤さんにお頼みなさいよ。ある。やろうと思えばできると言ってるんですから……。  僕は、今の国内及び国際的な経済情勢で外債を募集した方がいいかどうか、妥当であるかいなかということで、佐藤さん自身も政務次官も、条件が悪かったらやめますという、率直な意見かどうかは知りませんけれども、そういう御意見だったら、これはあかぬともう腹をきめたわけです。  これで終ります。     —————————————
  36. 早川崇

    早川委員長 この際お諮りすることがございます。すなわち、本案につきまして、来たる十一月四日午前十時三十分より、学識経験者二名の出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選並びに参考人に対する手続等につきまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。     —————————————
  39. 早川崇

    早川委員長 次に、専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  神田大作君。
  40. 神田大作

    ○神田委員 時間も過ぎましたので、できるだけ簡単に御質問申し上げますが、総裁におかれましても一つ率直に御答弁を願いたい、こういうように思います。  まず第一に、総裁は、専売法の改正並びにたばこ耕作組合法の制定以来、各地においていろいろと公社あるいは耕作組合に関連いたしまして不祥事件が起きておるように見受けられますけれども、こういう問題について御存じであるか。御存じであれば、それが詳細なる御報告を願いたいと思います。
  41. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 ただいまお話のありましたように、専売法の改正、たばこ耕作組合法の制定に伴いまして、各地においてたばこ耕作組合が設立されつつあるのでありますが、その間におきましていわゆる不祥事件というようなものが起っておりますることは、私も承知しております。詳しいことは生産部長から申し上げますが、その中で、公社の職員が、汚職と申しますか、そういうことの関係で検察当局に検挙されておる者もございます。それから、新しい組合ができるにつきまして、旧組合が清算行為を行うわけでありますが、そういう機会におきまして、旧組合の役員あるいはその職員が組合の資金を不正使用しておる、こういうようなことが発見されて、問題になっておるとろもございます。そういう場合においても、それは組合内部だけの問題でありまして、必ずしも公社の職員が直接関係しておるということはない、こういう事件が大部分でございます。必要でありますれば、詳しいことは資料で提出してもよろしゅうございます。
  42. 神田大作

    ○神田委員 総裁の言明だけでは、われわれよくわからないのでありますけれども、これはあとで資料を提出してもらいます。と同時に、われわれの知るところによりますと、たとえば三重県の鈴鹿市における事件あるいは高松支局に出た事件等は、総裁の言われるように公社の職員が関係してないというようなことはあり得ないと、われわれは考えるのであります。そういうふうに、おれはいいんだ、組合だけが悪いんだというような考え方はいかがかと思いますが、その点はどうですか。
  43. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先ほども申し上げましたように、地方によって事情が違っておるのでありまするが、三重県の津の支局管内の事件につきまして、公社の職員がごちそうになったということ、及び金をもらったというようなことから、検察庁の調べが始まっておりまするが、金をもらったという事実ははっきりしておりません。御馳走になった、供応を受けたということについては、その事実が認められまして、私が承知しておるところでは目下書類が地方検察庁の方に送られておる、こういうことでありますが、最終決定がなされたかどうかは、今のところはっきりしておりません。  それから、次に、御指摘にありまった高松の耕作組合の方の事件でありまするが、これについても詳しいことは資料で申し上げますが、この場合におきましては、公社の調べたところによりますと、高松地方局には二つ事件がありまして、高松たばこ耕作組合の不正事件、これは、先ほど私が申し上げましたように、組合長と知事が組合の資金を不正使用したのでありまするが、組合に対しまして債務の完済が行われておるようであります。それから、これに関しては公社の職員は事件と全然関係がない、こういう報告を聞いております。それから、なお高松地方局の管内に三豊たばこ耕作組合というのがございまして、ここでも、肥料の購入に当って前渡金を渡したところが品物が入らないというようなところから、焦げつきが起った。そしてそれを補てんしまするために組合員が立てかえ負担をしておる。こういうふうな事実はわかっておりますが、この場合においても、前渡金を渡した相手方である富士通商株式会社は、公社と何ら関係はない。これから、肥料を購入するかどうかということは、肥料委員会が富士通商株式会社を自主的に決定したものである、こういう報告を受け取っております。
  44. 神田大作

    ○神田委員 われわれは、この公社のいろいろな事件は、氷山の一角じゃなかろうかと考えておる。それで、表面刑事問題になったのはわずかでありますけれども、各所において、耕作組合あるいは専売公社に対して、耕作者は大きな疑惑を持っておることは実情だと思う。その一端の現われにすぎないと私は思うのでありますが、総裁は、こういう問題について、公社の側の不正行為というものに対しまして極力弁解しようという気持はわかります。これは総裁とあればわかりますけれども、われわれは、この委員会において、少くとも専売公社のあり方あるいは五十年来変らないところの独占的な企業が慣習的にもたらした大きな弊害、こういう問題に対して、真剣にこれを検討して、そして心から協力できるような公社、耕作組合にしたいというような考えのもとに、われわれ検討しておるのであるから、こういう事実に対しましては、たとえば三重県の鈴鹿市におけるところの問題等ができた。この問題は非常に重要な示唆をわれわれに与えておるわけです。耕作組合と公社の不正に対しまして、協同組合の職員が見るに見かねてこれを摘発したところが、その職員を公社の圧力でもって首にしようとしたわけでございます。そういう問題は非常に重大な意味を持っておる。われわれは、何も、協同組合がどうの、耕作組合がどうの、公社がどうのと言うのじゃなしに、現在における公社のあり方をこの際反省する大きな機会だから、この際公社はほんとうに心から反省して、機構改革その他の方法について考え直さない限りにおいては、いつまでたっても禍根を除かれない。こういう立場に立ってわれわれこの問題を検討しておるわけであります。  私は、総裁に言いますが、総裁は、金はもらわない、ごちそうになっただけと言われておりますけれども、これはごちそうになったって金をもらったって同じようなことでございます。こういうような事実をあなたはもっと率直に認めて、公社のあり方に対しまして反省の意を示すべきであろうとわれわれは考える。こういう事件が起きた原因は一体どこにあるかということについて、あなたの見解をお聞きいたしたいと思います。
  45. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 ただいま神田委員から御指摘がありましたその精神においては私全く同感で、決して反対等を申し上げるわけではございません。公社におきましても、耕作農民と指導員のあり方につきまして、従来通りでいいとは決して考えておりません。なぜそういうような耕作指導員が耕作農民との関係において深入りしたかということについても、公社として検討いたしたのでありますが、少し弁解のようになりますけれども、戦後においては非常なたばこ不足でありまして、またこれを作ります肥料とか資材等も不足しておりまして、公社といたしましては、ぜひ葉タバコを増産して、必要な原料を確保したいということを考えるのは人情の常であり、また公社の職員のある意味での務めだ、こういうことからいたしまして、耕作農民と一体となって、手取り足取りして葉タバコの増産に努力してもらう、肥料が足りなければ肥料の世話をする、資材が足りなければ資材の購入あっせんをするというような点、ある程度深入りしたようであります。その結果といえば結果でありましょうが、今日では葉タバコの耕作技術も相当進歩して、品質、収量ともに満足すべきものができ上ってきておる。従って、今日では、そう深入りしないでも、耕作農民が自主的に耕作を進めていける段階に立ち至っているとわれわれは見ております。それから、増産の時代におきましては、新規耕作者というものが相当あるわけでありますから、どうしても新規の者は経験が乏しいというので、そういう耕作者については手取り足取りする指導が必要であります。ことに、最近においては、そういう新規耕作者があまり多くない。大体反別も現状維持でいける、あるいは少し減らせる、こういう状態になっておりますので、公社としても指導の行き過ぎは厳重に反省すべきであるということで、すでに一両年前からそういうことの注意はいたしておったのでありますが、やはりある程度惰性と申しますか、そういうことでなかなか方向転換ができない。こういうことで、公社の中央の考えが末端まで通ずるのにある程度時間を要しますので、耕作農民に迷惑をかけ、また公社としてもはなはだ不名誉な事態で御答弁申し上げなければならぬということは残念でございますが、今回さらに新聞記事となり、また国会でもたびたび問題にされておりますので、先般局長会議も開きました。また生産部長会議も開きまして、従来と情勢が変ってきておる、従って従来と同じような考えで指導をしないでも、耕作農民が成長発達して、自主的に耕作ができる。肥料にしても資材にしても、買いたいと思うものは買えるような状態まで来たのであるから、従って、公社の耕作指導というものも、事務的に割り切って考えるべきである。耕作農民と一体となるというようなことになると、つい人情がからむ。これが行き過ぎると今度はごちそうになる。こういうことになるので、事務は事務として割り切って指導すべきである。そういうような関係からいたしまして、耕作指導員の指導要領というものも、従来と同じでなくて、新しく指導方法を作る。それから、耕作農民を指導する場合に、個々の農民について指導するということは極力避ける。まあ病害等ができて、特別見に来てくれというような場合であれば別ですけれども、そうでない限りにおいては、なるべく集団的な指導をして、個々の農民のところを回って歩くということは避けるようにする。それから、期間中に耕作指導員を必ず一定の場所に集めて、局長あるいは支局、出張所長等が耕作農民の耕作の指導方法を監督指導する、そういう必要があるということで、かなり従来の点について反省を加え、方向転換をしなければいかぬということを、局長、生産部長を通じて地方に流したつもりであります。なかなか御期待に沿い得ないかと思うのでありまするが、反省し努力しつつあることだけは申し上げることができると思うのでありまして、御了承を得たいと思います。
  46. 神田大作

    ○神田委員 総裁のそういうような努力に対しましては、われわれもある程度わかります。わかりますが、今日の専売事業の弊害というようなものが、単なるあなたたちの指導だけで、あるいはそういう言いつけだけでこれが改善されるかどうか、根底はもっと根が深いんじゃないか、こういうように私は考えます。これは、あなたがそういうように言いますから、私は何回もこのことを申し上げるのはもう差し控えたいと思いますけれども、あなたがそう弁解をいたしますれば、私は例を引いて一つ一つそれを反駁しなくちゃならぬ。私は、あなたが指導員にそういうような深入りした指導をしてはいかぬと言った。それはどういうつもりで言ったかわかりませんけれども、いつか私が、本委員会において、いわゆる肥料問題を取り上げ、肥料問題に対しまして、公社が立ち入った指導をしているのではないか。あの肥料を買っちゃあいかぬ、あの肥料はいい肥料だから使えというように、そうしてあたかも公社の指定の肥料と何か業者と関係があるがごときことでもって売りつけておるというような実例を私は示した。ところが、さっそくそれが現地の鑑定官に響いて、どうも委員会で問題になるから、今度はお前たちの指導はやらぬと言って、収納直前、葉分けの指導をやっておるにかかわらず、そのときに腕をこまぬいて多くの耕作者を困らしておった。こういうことができるということは、いわゆる公社が、生産から、種まきから、育苗から、これを本圃へ移すから、肥料をかけるから、それから葉分けから、収納から、鑑定から、金の受け渡しから、金の預け入れまでも、一手にあなたたちが思うがままに農民を指導し、指示することができる、この機構に大きな欠陥が存在しておるのではなかろうかと私は思う。これに手をつけないと、ただ単なる言葉でもって指示して直ると思いますか。その点どうです。
  47. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 耕作指導員につきまして、従来のような耕作指導について行き過ぎがないようにということを注意し、新しい耕作指導要領を定めて、これに基いて耕作指導をするように申し上げたことはもちろんでありまするが、肥料の点につきましても、公社といたしましては、肥料を分析して、タバコにはどういう配合の肥料がいいという成分とか効力とかいうものについて発表することはいいけれども、特定の会社から購入するというような指導は厳に行なってはならない。それから、従来非難を受けておりまする事項として、公社の職員が耕作組合において肥料の購入をきめるような会合の席に列席しておるようなことがあったようでありまするが、そうしますると、直接指導はしなくても、公社の職員がおるところで、耕作組合が肥料の購入の相談をするということになると、どこから買うということをきめたについて、公社の職員が指図をした、こういうような疑いを受けるおそれがあるから、今後耕作組合において肥料の共同購入をするような場合においては、その席に同席してはいかぬ、疑いを受けるような種は絶対なくするようにという具体的な事項を指定して、地方に指図してありますので、もしこういう点について公社の指図を具体的に承知したいというのであるならば、地方に流しました事項の一部を資料として差し上げてもいいと考えております。
  48. 神田大作

    ○神田委員 そういうように言葉でもって幾らそういうことを言っても、これは現実に現地でもってそういうことが行われているのです。しかもそれらの職員に対して公社は何らの処置もしない。かえってそういう職員はだんだん出世をしていっているのです。こういうことでは、これはどうにもならぬと思う。総裁はよく御存じだろうと思いますが、高砂商事株式会社という会社があります。これは昭和二十五年ごろに創立されたのですが、当時五十万円の資本金だったものが、今は一千万円の資本金にして、しかも利益率は大へんなものなんです。会社の利益率というものは普通四八%か、あるいは多くて——東邦物産とか、岩井産業とか、あるいは相互貿易、片倉肥料というようなものと比較いたしますと、片倉肥料は同じ肥料を扱っていて四八%、それから東邦物産が四〇%、岩井産業というのは八七%、ところがこのタバコ肥料を扱って一手に引き受けているという高砂商事は四四八%の利益率を上げている。しかも、この配当は、普通の会社では一割五分あるいは一割六分というような配当にもかかわらず、三割の配当率を上げている。こういう暴利をむさぼっている。どうしてこういうような利潤率が上るのですか。ここに大きな疑惑があると思う時間がありませんから、このことについてはあとで徹底的に追及いたしたいと思いますが、同時に、こういうような問題を含んでいるところの公社の今までのあり方を、この際もっと切実に反省しなくてはいかぬと思う。たとえば、一番大きい問題は鑑定の問題だと思うのですが、鑑定の問題はもうほとんど五十年来変っておらぬ。この鑑定問題等についても、この大きな問題をあなたたちはどうお考えになっているか。今まで通りこれでやっていくつもりであるか、それとも何らか機構上においてこれを改善するつもりがあるかどうか、この点をお伺いいたします。
  49. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 高砂商事につきましては、バランス・シート、役員名簿等も出してございまするので、それで御了承を願いたいと思います。なお、会社の内容等については、公社は直接関係しておりませんので、それのお調べは、公社でなく、別にお調べを願いたいと思います。  それから、鑑定につきましては、従来やっておりまする肉眼鑑定の方法でありますが、これは、他の商品と違いまして、科学的に機械等ですぐに等級の差別をつけるということはなかなかできにくいので、世界各国とも日本と同じような肉眼鑑定をいたしておりまするが、それにいたしましても、できるだけこれに科学的要素を加えるということで、簡単な水分検定器も取りつけることにいたしましたし、また光線の工合等で幸、不幸があってはいかぬ、つまり鑑定の公平を期しがたい場合があってはいかぬというので、簡単な人工光線をとりつけるということについても研究をいたしております。なお、鑑定に立ち会う者につきましても、従来よりは、仕事に差しつかえない範囲で、当該耕作農民以外の者で、あるいは総代であるとか組合長等も立ち会う、こういうようなことにいたしまして、できるだけ鑑定の公平を期しますように改善を行いつつありますが、なお今後においても研究は続けて参りたいと思っております。
  50. 神田大作

    ○神田委員 それは要するに今まで通りにやるんだというだけにすぎない。だから、それは、努力するつもりであるというけれども、何ら具体性を持っていない。大蔵委員会では、この前の法律案を通すときに、鑑定については非常に大事であるから考究をしてもらいたいという附帯決議をつけてあるわけです。だから、この問題については、肉眼鑑定であっても、もっと耕作者が納得できるような方法があると私は思うのです。たとえば、再鑑定を申し込むについても何らかの便宜な方法があるだろうし、あるいは審査委員会というようなもので再検討する方法もあるだろうと思う。これは、私が言うまでもなく、公社でもってそういう問題は一つ御検討願って、こういうふうにして納得させるんだという努力をすべきだと私は思う。ところが、ただ今日までの言いわけみたいなことで、何ら進歩していない。この点について何らかの具体的な問題が今考究されておるとすれば、その点を御答弁願いたいと思います。
  51. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 技術的なことについては生産部長から説明させます。
  52. 駿河義雄

    ○駿河説明員 鑑定の公正につきましては、従来とも十分注意をし、かつ努力をいたして参っておるのでありますが、再鑑定等につきまして、公社の鑑定員のほかに、地方のいわゆる葉タバコの耕作者で、十年以上の経験のある方々を入れまして、これは他の区域も同じだろうと思いますが、立ち会って再鑑定をする、こういう用意をいたしております。
  53. 神田大作

    ○神田委員 生産部長の答弁は何ら今までの域を脱していない。その後何ら改善の意向はわれわれには見られない。これは、きのうも小委員会で言ったように、長崎県の大浜地区におけるこの事件のように、鑑定の拒否というような問題が起きて、いろいろとこれに対する補償問題等が起きておるのです。こういう問題についてはあのとき一年半も論議したのであるから、ほんとうに公社が改善する誠意があるならば、ちゃんと具体的な問題をもってわれわれに示すべきだと思うのです。何年かかっても同じだ、十年かかっても同じじゃないか、百年かかっても同じじゃないか、こういうことではとうてい公社の民主化というものはでき得ないと思う。  時間もありませんが、こういうようないろいろな不詳事件が起きたというのは、鑑定の問題、耕作の問題、公社の機構の上において、あるいは独占的な公社のやり方において、弊害ができておるということであろうとわれわれは考えるのであります。この間の朝日新聞を見ますと、専売公社の専売法改正案の審議の過程を見ると、社会党がいやがらせにこういう問題を起しておるのだなどといっております。これはどうです。この問題はどうお考えになりますか。
  54. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 ただいまの鑑定方法の改善に努力せよということについては、御趣旨を十分尊重いたしたいと思います。  それから、新聞記事のことについてお話がございましたが、このことにつきましては、昨日も私が心境を十分に申し上げた通りでありまして、公社といたしましては遺憾に存じ、陳謝を申し上げた次第であります。
  55. 早川崇

    早川委員長 神田君に申し上げますが、本会議が大体一時でありますから、小委員会で……。
  56. 神田大作

    ○神田委員 総裁が陳謝をしたということは私も知っております。しかしながら、これは陳謝をしたで済ますべき問題ではないと思う。対外的に、とにかく朝日新聞という全国にばらまかれた大きな新聞に——社会党という公党に対して、いわゆる公社とあろうものが、このように社会党がいやがらせにやっておるとか、自分たちの不祥事件を社会党にかこつけるようなこういう言明に対しては、断じてこれは承服できない。ただ陳謝では済まない。それに対してどのような措置をとるかということを御答弁願いたいと思います。
  57. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先ほど来申し上げた通りでありますので、御了承願います。
  58. 神田大作

    ○神田委員 今の答弁では、これは党としてもこの問題については断じて……。
  59. 早川崇

    早川委員長 神田君に申し上げますが、この問題についてはすでに公開の席で総裁が陳謝されておりますので、いろんな経過につきましては小委員会においてお聞き願いたいと思います。理事会の決定でそうなっております。     〔「質問をしておる」と呼び、その他発言する者あり〕
  60. 早川崇

    早川委員長 神田君御了承願います。——理事会でそういうようにきまっております。専売事業の一般のことについて御質問願います。
  61. 神田大作

    ○神田委員 どういう処置をとるかということについて聞いておる。それについて答弁してない。
  62. 早川崇

    早川委員長 陳謝をいたしておりますので、この問題は小委員会においてなおお聞き願いたいと思います。
  63. 神田大作

    ○神田委員 措置の方法を知らぬでは、僕らは了承するわけにはいかない。総裁にいま一回答弁してもらいたい。
  64. 早川崇

    早川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  65. 早川崇

    早川委員長 速記を始めて。
  66. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 専売公社といたしまして、日本社会党に御迷惑をかけましたので、公社を代表して、総裁として陳謝を申し上げるわけであります。なお、総裁室長の談話がもとになったのでありまして、総裁室長に確かめましたところ、総裁室長としては、日本社会党を誹謗するというつもりはなかった。ただ用語が不用意であったり、あるいは新聞記者との応対において不注意の点があった、そういうことの結果、ああいう記事になったということで、非常に恐縮しております。これにつきましては、十分考慮いたしまして、訓戒を加えたい、かように思っております。
  67. 早川崇

    早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十一月四日午前十時半より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十四分散会