○高碕国務大臣 一国の
産業発達の過程におきましては、第一次
産業つまり農業、
水産業がおもなるものでありまして、それが順次
工業方面に仲びてくる。そういう順序をたどってくるわけでありますが、現在の
わが国の状態から申しまして、面積が狭いところに農業は十分にやっていかなければならぬ、また
水産業はやっていかなければならぬ、そこにまた新しい
工業が伸びてくる、こういう状態でありまして、この間の
調整をどうするかということは一番重大な問題でございます。
工業が起らないという場合には農業、それから
水産業というものは何ら危害を加えられないと思いますが、
工業が大きくなればなるほどそこにいろいろな制約が加わって参りまして、いろいろな問題が起ってくる。特に
工場から出す
汚水だとか、あるいはガスだとかいろいろなものが、その付近における天然産物に対して危害を加える、こういうことでありますから、これをどういうふうに
調整するかということは、今日一番の重大な問題だと存ずるわけであります。そこで農業と
水産業からいえば、はっきりいえばもう
工業なんか起ってもらわない方がいい、こういうわけでありますけれども、それじゃ国が立っていかない、それじゃどういうふうに
調整するかということは、
工場から出る廃水だとかガスなんというものは、できるだけ
工場内において
処理をして、そうしてその危害を農業なり
水産業に加えないようにするということが考えられなければならぬ問題だ、こう思うわけであります。そこでそれはあまりに生産原価が高くついて、つまり
工場に対する
排水その他の危害
防止のために非常な費用がかかってしまうので、その
事業が成り立たないということになれば、これまた一方から
一つ考えなければならぬ、こういうことでございまして、そこでどういうふうな基準をもってこれを抑制すべきかということは、今日
排水する水がどの
程度の
水質の基準かという、そのものさしをきめなければならぬ。これを早く作る必要があるということを痛感した次第でございまして、ここにできるだけ多数の人たちに寄ってもらって、
汚水というものの基準をきめるということを早く実行に移したいと思うことが
一つでございます。もう
一つは将来
日本の全体から考えまして、どの
地域に
工業を発達せしむべきか、いわゆる
工場地域というものを考えなければならぬ。そういう点から考えまして、現在あるものはもちろんのことでありますが、将来等も考えまして、その
地域における淡水——これは
工場であるといたしますれば、どうしても今後の
工業は用水ということが非常に大事でございますから、その
工業用水を得た結果、これがどういうふうな危害を加えるかという、その
地域等についても
工場立地条件等からよく考えていかなければならぬ。まずもちまして
水質汚濁の基準をきめることと、もう
一つはどの
地域に
日本の
工業を伸ばしていく必要があろうかということから考えまして、
指定地域ということをきめる必要がある。この二つは
政府の役人だけの力ではだめだ、できるだけ衆知を集めて、そうしてその
審議会をもってこれをきめてもらうことにしたい、こういうふうに考えておるわけであります。単に今日は淡水の問題だけ、つまり
河川の問題だけを論じておりますけれども、引き続いてこれが海水に及ぼす状況等につきましても、
日本の
水産業というものの立場から考えまして、今後考えていかなければならぬ、こういうふうに思っております。