○今村
委員 時間もあまり長いようですから、長く質問はいたしませんが、私はどうも今の御
説明には納得ができないのです。今
調査をして、はっきりさせた、そう仰せになるならば、現在の九州あたりの
炭鉱の図面というものは明瞭になくてはならない。明瞭にあるとすれば、おそらくは
古洞あたりに突き当って、そして浸水の結果行方不明になるということは起らないはずだ。ところが先般から承わっておりますと、戦災で図面を焼いてしまった、その図面が明瞭なものがない、そういうところに一つの危険がある、こう私は受け取っておるのです。図面の整理ができておらないのに、ボタ山の整理ができるなんということはおそらく不可能です。大体古いボ夕山というものはすでに松の木や杉の木が植わって家の用材になるようなところもあります。終戦後に石炭が足らないときには、そういうものもどんどん水洗した。水洗したところがたくさんの石炭が出て、水洗業者はもうけたというような山になっておるところがある。そうすると、そこは役所はわからないといえ
ども、村の古老の人は、そういう問題が起ってくると、これはだれそれがやっていたときのボ夕山だ、だからこの人にも
責任があるという問題が必ず起ってくるのです。そういうような場合に、法、法と言われるけれ
ども、この
法律では法それ自体によって何の価値もないという結果になるのです。取扱いができやしないじゃないですか。それで
鉱山保安が完備し、かつ
鉱害問題が完全になるなんという甘っちょろい考え方が非常に間違っておるのではないかと思うのです。要するに
鉱害問題のごときも、ボタ山問題で争うて
鉱害問題の
解決をつけるような政策ではなくて、もう少し石炭
産業に対する大方針を
政府はお立てになる考えはないのかと私は考える。
鉱害問題は何としても
予算が伴います。
予算が伴うからというので、山は営利
産業として経営者が掘ってもうけて、掘った
あとはほったらかして、
鉱害問題は社会問題として、あるいは問題が起って騒いでくるからというので、
政府がこれに
対策せねばならぬというばかばかしいことはあり得ないことだが、実際はそのばかばかしいことをやらなければいかぬというのが今日の
現状なんです。そこでやはり経営者に対しても負担をさせるという方針を立てられる方針はないのかと私は考える。
鉱害問題が起った場合は
政府に、どんどんしなさい、団体を組んで、団体の圧力によって、どうするかこうするかとやる。先般
商工委員が九州を回って、飯塚あたりで旗を立てて歓迎を受けた一面、そういう問題でどんどん騒がれる。われわれも取り巻かれて、わいわい言われなければならない、こういうことですから、この問題を
処理していくについては、やはり
鉱害対策に対する一時的なものでなくて、永久性の、何か保険制度性のものを作るという、もっと飛躍した考えを当局はお持ちにならないか。たとえば石炭経営主が一トン掘り出せば、
鉱害の負担金としてかりに一トンから百円なら百円、五十円なら五十円を積み立てさせて、そしてその金を集約して、そういう問題の
処理に当るとか、何とかそこに
対策を立てなければ、
法律の一部
改正をしておいて
鉱害問題の完全を期するなんということは、私
どものような
炭鉱を知っておる者から見ますると、実にばかばかしいような気がする。たとえば今度の
鉱業法の
改正でも、かつては違反を犯した者は罰金が三十万円ですか、それが五十万円に上げられて、そういう罪を重くした。金で済むこと、あるいは三年を五年にしたとしても、一体今まで五年も三年も監獄に行った者がありますか。今までは三年という刑期をちゃんと
法律上認められておるが、そういう違反を犯して三年もたたき込んだ、またたたき込まれた者がおりますか。何にもならないような
法律を
改正されておるのですよ。三年間を五年間に上げたのはおどしになるかもしれぬけれ
ども、これは
鉱山保安監督官あたりがやっておいて、
炭鉱の者をつかまえてぶち込むというようなことはとんでもない。そんなことをしておればえらいことになってしまうのです。国が法治国であるから
法律を尊重しなければならぬということは、お互いにわかるのです。しかしだれだってつかまえられてぶち込まれるのはいやだから抵抗します。ことに
鉱山はそういうことが非常にやりにくいではないかと考えられる。それでありますからおそらく
鉱害問題のごき、もっと大臣あたりは飛躍したところのものを考えていただきたいと思うのです。
法律だけ
改正しておいて
鉱害問題の
解決がつくでござるの、
保安法だけ
改正しておいて坑内の保安が完全にいくなんていうことは、現在の状態においてはとうてい不可能なんです。本来ならば私
どもは
鉱業法からも
炭鉱関係を除いて、今度は
炭鉱だけの独
立法を作って、そうしてこの
対策を立てていくのがほんとうではないかと思う。そういう思い切った政策をとられなければ、明治時代からのやんやらやっと一部々々作り上げてでっち上げたところの
法律を、今当てはめて、それで全体を安全にしていくというようなことは、どうも私たちは納得がいかない。さいぜんから六十日間も休んで、そして
炭鉱は優先権を持った者にやらす、
鉱害問題については、ボタ山はだれそれのものであると大体整理がついたと、あなた方は言われるけれ
ども、整理はついておりませんよ。何十年間の歴史を持つところの
鉱山が、ボタ山はどこが持っておるかというような整理はついておるわけがない。そういうことをおやりになることよりも、もう少し進んで飛躍した
対策を立てられることが必要ではないか、こう私は考えますが、これに対して一つ大臣の御意見を承わりたいと思うのです。