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1958-10-01 第30回国会 衆議院 商工委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月一日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 長谷川四郎君    理事 小川 平二君 理事 小泉 純也君    理事 小平 久雄君 理事 中垣 國男君    理事 中村 幸八君 理事 加藤 鐐造君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       新井 京太君    大倉 三郎君       岡部 得三君    加藤 高藏君       坂田 英一君    關谷 勝利君       田中 榮一君    中井 一夫君       野田 武夫君    細田 義安君       渡邊 本治君    板川 正吾君       内海  清君    大矢 省三君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       鈴木  一君    堂森 芳夫君       永井勝次郎君    水谷長三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       大島 秀一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      小岩井康朔君  委員外出席者         国家消防本部長 鈴木 琢二君         通商産業事務官         (重工業局車両         管理官)    若林 茂信君         通商産業事務官         (鉱山局鉱政課         長)      石井 秀平君         通商産業事務官         (石炭局長)  樋詰 誠明君         参  考  人         (日本自転車振         興会会長)   松本  學君         参  考  人         (全国競輪施行         者協議会事務局         長)      辻松  一君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 九月二十七日  委員保科善四郎辞任につき、その補欠として  野田武夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員生田宏一君及び黒金泰美辞任につき、そ  の補欠として細田義安君及び始関伊平君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 九月二十九日  鉱山保安法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案田中武夫君外十三名提出、第二十九回国  会衆法第一六号) 同月三十日  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案内閣提出第二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  鉱山保安法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三号)  鉱業法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四号)  競輪等施行に伴う弊害排除に関する件      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。  本国会におきましても通商産業基本施策に関する事項につきまして調査を進めて参りたいと存じますので、議長国政調査承認要求をいたしたいと思います。  調査する事項といたしましては、通商産業基本施策に関する事項経済総合計画に関する事項。電気及びガスに関する事項鉱業鉄鋼業化学工業機械工業、その他一般鉱工業に関する事項繊維産業に関する事項通商に関する事項中小企業に関する事項。特許に関する事項私的独占禁止及び公正取引に関する事項鉱業一般公益との調整等に関する事項といたします。  調査目的といたしましては、日本経済総合的基本施策樹立並びに総合調整のため。次に、通商産業行政実情調査し、その合理化並びに振興に関する対策樹立のためとし、調査方法といたしましては、小委員会の設置、関係各方面より説明聴取及び資料要求等といたしまして、議長にこの承認を要求いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。     —————————————
  4. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に鉱山保安法の一部を改正する法律案、及び鉱業法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査に入ります。  まず政府委員より趣旨説明を聴取することといたします。大島通商産業政務次官。     —————————————
  5. 大島秀一

    大島政府委員 本日は大臣が出て御説明申し上げるはずになっておったのでありますが、参議院へ出席のために出られませんので私かわって参りましたが、万事不行き届きでありますが御了承をお願いいたしたいと思います。  今回提出いたしました鉱山保安法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨について御説明申し上げます。  鉱山保安法は、戦時中及び戦後における鉱山災害頻発状況にかんがみ、鉱山労働者に対する危害防止鉱物資源合理的開発をはかることを目的として、昭和二十四年に制定されましたことは御承知通りであります。この法律施行以来すでに九年有余を経過いたしましたが、この間において鉱山保安状況は漸次改善され、鉱山災害は逐年減少を見て参りました。これを石炭鉱山災害について見ますと、この法律施行後間もない昭和二十五年に比べて昭和三十二年におきましては、出炭量が三千八百万トンから五千一百万トンヘと三五%も増加いたしましたのに対し、死亡者数は七百八十四人から六百五十三人へと一七%の減少を見ております。  しかしながら昨年秋から本年にか汁まして、御承知のような坑内出水災害を初めとする重大災害が頻発いたしまして、多数の被災者を見ましたことははなはだ遺憾とするところであります。政府といたしましては、従来とも鉱山災害防止には格段の努力を払って参ったのでありますが、これを契機といたしまして、中小炭鉱重点を置いた巡回監督強化と法規の厳正なる運用等徹底した鉱山保安対策実施をはかって参った次第であります。  従いまして今回の改正法律案は、鉱山災害防止重点を置いたものでありまして、保安を害するおそれのある侵掘行為及び被災者救出について所要の措置を講ずることができるようにするとともに、あわせて最近の社会情勢等にかんがみ鉱害防止について規定を整備することを目的とするものであります。  次に本法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、鉱害防止につきまして、この法律目的中に明確化いたしますとともに、捨て石、鉱滓の集積したもの等に関する鉱害防止義務を設けたことであります。鉱害防止につきましては、この法律保安に関する定義にもありますように、人に対する危害防止と並んでこの法律目的一つとして取り上げられてはおりますが、最近特に鉱害防止について一そう監督強化をいたす必要が痛感されましたのに対応いたしまして、この法律目的中に明記することといたしました。これに伴いまして、先般制定されました地すべり等防止法水洗炭業法とも関連いたしまして、捨て石鉱津の集積したいわゆるボタ山等につきまして、それらが鉱業権者管理を離れ、ために危害または鉱害を起すことがないよう規制する必要がありますので、鉱業権者ボタ山等を他人に譲渡または放棄しても鉱山保安法上の義務を免れることができず、また鉱業権移転等に際しましては、ボタ山等に関する鉱山保安法上の義務を承継するよう規定したのであります。  第二は保安を害するおそれのある侵掘があった場合に、保安のため必要な命令を出すことができるよう規定を置いたことであります。御承知のように鉱業権者鉱区外または租鉱区外侵掘する行為は、鉱業法違反行為として、当然鉱業法により取り締まられるべきものであります。このため鉱山保安法においては、侵掘に関する保安について何ら規定するところがなかったのでありますが、現実に侵掘によりまして重大災害発生を見ておりますので、鉱山労働者危害防止の見地から、鉱山保安法改正いたしまして、保安を害し、またはそのおそれがあるものにつきましては、原則として鉱山保安監督部長が、急迫の危険がありますときは鉱務監督官が現地において、侵掘の停止、侵掘した場所の閉鎖等保安のため必要な命令を発することができるようにいたしたわけであります。  第三は、鉱山における被災者救出について必要な命令を出すことができるよう規定を置いたことであります。不幸にして鉱山労働者が落盤、出水災害等により坑内に生き埋めになりました場合において、中小鉱山の中には、資力不足等のため適切な措置が講ぜられない場合もありますが、かかる場合には、直ちに被災者救出のため必要な命令を出すこととし、万一鉱業権者命令に従わない場合には、行政代執行法規定によりまして国がみずからまたは第三者をして救出作業を行わせることができるようにいたしたのであります。  以上がこの法律案要旨でありますが、鉱山災害防止のためには、この法律改正を行うほか、この法律に基づきまして鉱業権者及び鉱山労働者順守義務等を具体的に定めております各鉱山保安規則につきまして相当思い切った改正を行うべくただいま検討いたしておる次第であります。  何とぞ御審議の上御賛同あらんことを切に希望する次第であります。  次に鉱業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び法律案要旨について御説明申し上げます。  鉱業法は、鉱業に関する基本的制度を定めて、鉱物資源合理的開発をはかることを目的として昭和二十五年十二月に制定されたものでありまして、この現行鉱業法の骨子となっておりますところの鉱業権制度及び鉱業実施に対する監督措置等規定は、明治三十八年に制定された旧鉱業法規定をほとんどそのまま踏襲したものであります。従って、この鉱業法は、高度に発展し複雑化した現在の社会実情に照らし、相当検討を要する部分も見受けられるので政府といたしましては、できる限りすみやかに鉱業法の本格的な改正をいたすべく目下その準備を進めている次第であります。  ところが、最近に至りまして、石炭鉱山において重大災害が頻発いたしましたので、この災害防止のための法的措置について検討いたしました結果、別途提出いたしました鉱山保安法の一部を改正する法律案によってその予防措置を講ずることといたしますと同時に、鉱業法においてもさしあたってこれに関連する部分改正をいたしまして、極力災害発生防止するという目的のもとに今回の改正法律案提出した次第であります。次に本法律案要旨を御説明申し上げます。第一は、鉱業権者が施業案によらないで鉱物を掘採したとき、保安命令に従わないとき等においては、その鉱業権を取り消すことができることとなっておりますが、その鉱業権取り消しをした場合は、その区域に取り消された鉱業権者が再び鉱業権を取得することを極力避けなければなりませんので、鉱業権取り消しがあったときは、取り消しの日から六十日間は、その地域に取り消された鉱業権と同種の鉱床の鉱物目的とする鉱業権設定出願があったときは、これを許可しないことといたしました。  第二は、通商産業局長が、鉱業法規定による命令または通知をする場合に、その相手方が知れず、または所在が不分明であって命令または通知相手方に送達することができないときは、公示送達をすることができることとなっておりますが、この規定が適用される場合は限定されておりますので、この規定適用範囲を拡張して、鉱業権取り消しをしたとき、または鉱業権設定出願の不許可もしくは却下をしたとき等にも公示送達をすることができることとした次第であります。  第三は、最近、特に九州において石炭盗掘について取締りの強化が要請されておりますと同時に、鉱山災害鉱区外侵掘した所で発生するという事例も見受けられるに至っておりますので、別途鉱山保安法の一部改正を行うとともに、鉱業法の立場からもこれらの盗掘侵掘防止をはかるためその罰則を強化することとし、また新たに、盗侵掘によって得られた鉱物を運搬、保管、有償もしくは無償による取得または処分のあっせんをした者に対しても刑罰を課することといたしました。  以上が鉱業法の一部を改正する法律案の主要な内容であります。  何とぞ御審議の上御賛同あらんことを切望いたす次第であります。
  6. 長谷川四郎

    長谷川委員長 以上で両案の趣旨説明は終りました。  本件についての質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  7. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に、競輪等施行に伴う弊害排除に関する件について、調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についてお諮りをいたします。  本件調査のため、日本自転車振興会会長松本學君及び全国競輪施行者協議会事務局長辻松一君の両君を参考人とし、御出席を願うことといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  なお、ただいま決定をいたしました両参考人の方には、あらかじめおいでを願っておきましたので、所定の席に御着席を願います。  参考人の方には、御多忙中にもかかわらず御出席下さいまして、まことにありがとう存じます。  なお本件につきましての先般の委員会における調査の中で、二割五分の配当配分方法についての参考人の御発言は明確を欠く部分がございましたが、同問題につきましては、施行者側より御答弁願うことが妥当と考えられます。この点につきましては、重工業局長より説明をお願いいたし、なお提出した資料につきましても、あわせて御説明をお願いいたします。小出重工業局長
  9. 小出榮一

    小出政府委員 ただいま委員長からお話がございましたように、お手元に配付いたしております資料と、それに関連いたしまして、前回松本参考人に対しまして御質問がありました点につきまして、いわゆる二割五分配分内容等につきましても資料がその中に入っておりますので、一括して御説明申し上げたいと思います。  競輪関係につきまして、本日お配りしております資料は、通産省からお配りしておりますのは四種類でございまして、一つ競輪場内整理員に関する調査報告、それから競輪経理に関する調査報告、それからそれに関連する参考資料最後昭和三十二、三十三年度の特別競輪益金配分に関する報告書、この四種類が出ております。特別競輪の問題は別といたしまして、最初三つにつきまして、逐次御説明を申し上げたいと思います。  まず第一に、競輪場内の整理員に関する実態調査でございますが、競輪場内整理員に関する調査報告という資料がございますので、それをまずごらん願いたいと思います。  ここの資料にございまするように、本年の七月現在で、全国の六十の競輪場につきましての実態調査をした結果をまとめたものでございまして、その概要は次の通りでございます。  なおこの場内整理と申しますのは、競輪施行者あるいは振興会開催執務委員長、あるいは場内整理委員の指揮のもとに、条例または規則に基いて、入場者整理をしたり、あるいは場内の火災の予防をしたり、車券発売所なり払戻金の交付所等におきまする警備その他の場内秩序維持に当るのを場内整理と、こういうふうに呼んでおるわけでございます。  その内容を分けて申しますと、この資料の一ページにございまするように、雇用関係から見ますというと、場内整理のために、特に雇用者を雇っていない、全然使用しないものという欄がございますが、言いかえまするならば、場内整理は、施行者あるいは振興会自身が、自分の職員を使って直接行うものでございまして、これが、前橋、名古屋、和歌山、観音寺、武雄という五つの競輪場がございます。それから第二は、場内整理のために、雇用関係があって、何らかの専門の従業員を使っておるというものが、残りの五十四全部がそうでございます。その主要な主体といたしましては施行者みずから雇っておるものが四十四、振興会が雇用しておるものが四つ、それから施行者及び振興会が雇用しておるものが六つ、こういうふうな内訳になっております。それをさらにわけて申しますと施行者または振興会一般公募によりまして場内整理員を直接雇用しておるというものは四十一ございまして、札幌ほか四十でございます。それから施行者が組などに関係しておるものを雇用しておるものは五で、琵琶湖甲子園明石神戸西宮、それから第三に、施行者または振興会一般公募による方法と、それから、組に関係ある者を雇用する方法と、両者を併用しておるものが静岡伊東二つでございます。それから、施行者が組などと一括請負契約しておるものが奈良一つでございます。それから、施行者または振興会一般公募による方法と、組などと一括して請負契約による方法と併用しておるものが五つございます。なおそのほか一カ所だけ、宇都宮だけがまだ調査が十分に完了いたしておりません。  以上のような状況でございまして、言いかえますならば、以上のような概況の中で、場内整理方法につきまして、多少遺憾の点があると認められますもの、言いかえますならば、組というようなものが直接または間接に関係を持っておるというようなところがあるわけでありまして、それはここにありますように、静岡伊東、霞ケ浦、琵琶湖奈良大阪大阪中央、岸和田、甲子園明石神戸西宮、松山というような十三ほどの競輪場がこれに該当すると思います。それからなお、場内整理執務員といたしまして、施行者、あるいは振興会役職員が執務いたしておりますものが五十九競輪揚でありまして、合計で百二十五人であります。それから、場内整理員として雇用しております人員、五十四の競輪場全体で、合計千六百七十五人、一つ競輪場当り平均二十八人ということになっております。これに対しまする一日当りの支給されます賃金の総額は九十一万一千百五十七円、一人一日平均約五百四十四円ということになっております。年間支給総額は約六千十万円ということになるわけであります。これはすべて施行者または振興会開催経費の中から支弁しております。それぞれの競輪場別にこれの詳細な内訳が全部出ておりますので、二ページ以下の資料内容をごらんいただきたいと思います。以上がまず場内整理に関する実態調査内容でございます。  次に先般御質問がございました競輪経理に関する資料でございますが、競輪経理に関する調査報告というのが、その次の資料にございます。それをごらん願いたいと思いますが、最近の実績であります昨年の十月一日から本年の三月三十一日までの、言いかえますれば、昭和三十二年度の下半期分実績についての資料と、それから昭和二十三年、最初競輪が開始されましてから三十二年度末に至るまでの約十年間実績、この二つの資料があるわけであります。こういうふうに分けましたのは、昭和三十二年度下半期を特にとりましたのは、御承知のように昨年十月一日に自転車競技法改正されまして、振興会に対する施行者からの交付金制度が大幅に改正されましたので、従って制度内容が変りました関係で、昭和三十一年度の下半期だけは別に実績をとったわけであります。  まず第一に昭和三十二年度の下半期実績でございますが、この期間におきまする競輪施行者は、東京都ほか百十八カ所でありまして、競輪場は六十、開催日数合計千九百七十日であります。競輪に関する経理は、施行者、それから日本自転車振興会都道府県振興会、この三つのものの手によって処理されておるわけでありまして、競輪経理に関する調査報告資料の二ページの総括表というのをごらん願いますと、昭和三十二年度の下半期におきまする車券の総売上額は、約三百七十二億三千万円に上っております。このうちの七五%に当る二百七十九億円というものが車券の払い戻しに充てられるわけであります。車券を買って当った人に払い戻されるということになるわけであります。残りの二五%、九十三億円が施行者収入になるわけでありますが、この収入をいかに配分したかという資料でございます。施行者は、この収入のうちから競輪施行者自身開催経費といたしまして約四十二億円を支出しております。この四十二億円という数字は、車券売上額の約一一・二七%に当りますが、この支出内訳は、さらに総括表の次のAという表、昭和三十二年度下半期競輪施行者開催経費総括表のAというのに詳細に示してございますが、この支出の中で一番大きいのは、競輪の選手に支給されまする賞金あるいは賞品、これに要しまするいわゆる賞典費という名目で掲げられておるものでありまして、これは合計十八億七千万円になっておりまして、施行者開催経費の中に占めまする割合は四四・六五%に及んでおります。そのほかの費用は、施行者人件費競輪場の借上料、広告宣伝費あるいは印刷製本費というようなものがおもな支出項目でございます。これがまず第一点の四十二億円の、つまり施行者開催経費に充てられた分でございます。  それから第二は、日本自転車振興会に対しまして出されまする交付金、いわゆる一号交付金といわれまして、これは自転車競技法の第十条第一項第一号による一号交付金でありますが、これは機械工業振興費に大体充当されるわけであります。それが約四億八千万円、車券売上額全体の一・二九%に当ります。これは御承知のようにオートレースからの交付金も合せまして、機械工業振興のために、日本自転車振興会から支出されておりまして、その詳細はB表昭和三十二年度下半期振興費関係収支総計表というのがございますので、このB表でごらん願いたいと思いますが、要約して申し上げますと、自転車産業振興費として約一億九千万円、機械工業振興費として約三億円、このための事務費として約七百万円、こういうことになっておるわけであります。これは昨年度の下半期だけの実績でございますが、年間を通じましては、大体、自転車産業振興費機械工業振興費とが半々、五〇%五〇%で出すということになっております。これは昭和二十九年度からそういう方針でやっております。  以上が日本自転車振興会に対する交付金として出された支出でございます。  第三の支出は、日本自転車振興会に対しまするいわゆる二号交付金というものでありまして、自転車競技法第十条第一項第二号の規定によりますいわゆる三号交付金というものであります。これは日本自転車振興会自体運営費支出されるものでありまして、これはC表に詳細が出ておりますが、総額は約九千七百万円、車券売上額の〇・二六%に当ります。これが第三の支出であります。  第四の支出は、今度はD表に掲げてありますが、これは都道府県振興会に対しまする交付金でありまして、自転車競技法第十条第三項の規定によりまして交付されます、言いかえますれば競輪実施の委任に伴いまする諸経費に充当するものであります。その総額は約八億八千万円、車券売上額に対しましては二・三八%ということであります。こういうようなことでありまして、その後さらに内訳としましては、競輪開催経費として約四億七千万円、経営経費として約三億七千万円、その差額の三千九百万円は指定準備金として積み立てられております。この指定準備金と申しますのは、何か不測の事故によって競輪開催が不能になったというような場合に備えまして、大体開催経費の一カ月分、経営経費の二カ月分を限度として積み立てることになっております。  最後に第五番目といたしまして、施行者現金取扱い事故に伴いまする支出が百五十万円、これは車券売上額の〇・〇一%に当ります。以上のような五つの内容のものが二五%に相当する金額の支出内訳でございます。  そこで、さらにその差額の約三十六億四千万円というのが残るわけでありまして、これは車券売上額の九・七%に当ります。一割弱でございますが、これが施行者の純収入になるということになっております。従いまして入場料収入の約四億三千万円を加えました合計四十億七千万円というものが施行者の純収入合計になりまして、これは売上高の約一割に相当するわけであります。この収入は、さらに各地方自治体においてそれぞれの用途に使用されておるということになるわけであります。自治体の収入になっておるわけであります。  以上が昭和三十二年度下半期実績であります。  これに対しまして、先ほど申しましたように、制度が変りました以前の昔からの、昭和二十三年度から三十二年度末に至りまする間の実績を累計したものが、もう一つ別の参考資料という表に比較して載っております。この参考資料をごらん願いますと、二十三年度から三十二年度までの十年間におきまする車券売上総額は四千七百四十六億円でございまして、これに対しまする施行者の純収入は約四百三十四億円、売り上げの九・二%に相当いたしております。  それではこの施行者、主として地方自治体に入りました収入というものは、どういうふうに使われたかということにつきましては、この参考資料のFという表に競輪収益使途状況というのがございます。要約して申し上げますと、住宅建設に約九十八億円、純収入の二二・六%、学校建設に百十九億円、二七・五%、土木関係復興事業等に六十八億円、一五・八%、公共施設、社会福祉施設に三十三億円、七・八%、中小企業あるいは農業、商工業の振興に十四億円、三・二%、失業対策に十八億円、四・三%、競輪場の建設、補修費に二十八億円、六・五%、その他一般会計に対する収入として五十億円、一一・六%、それからオリンピック及び社会福祉事業に二億九千万円、一・九%ということになっております。またこの十年間に自転車その他機械関係振興費として支出されました金額は合計約四十八億円でありまして、そのうち自転車産業それ自体の振興費といたしましては約三十二億円、自転車以外の機械工業振興費として約十六億円が支出されておるわけであります。  以上が、簡単でございますが、配付資料に基きまして、前回松本参考人に対して御質問がありました点につきまして、通産省といたしまして調査をいたしました御報告でございます。
  10. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に質疑に入りますが、本件調査のため、本日はただいまの参考人の方々のほかに、大島通商産業省政務次官、鈴木国家消防本部長小出重工業局長出席をされております。  質疑に入ります。田中武夫君。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 まず最初松本参考人にお伺いいたしたいと思います。この前に来ていただきまして、本日また来ていただきまして大へん御苦労さんですが、この前にお伺いしたいと思って時間がなかったり、その他のことでできなかった点についてお伺いいたしたいと思います。松本参考人はこの前参考意見を述べられる際に、ガラス張りの中に入れるように大へん苦労した、こういうような趣旨の意見を述べておられるのです。そうしますと、昨年あなたが振興会長になられる以前にはガラス張りでなかったようなことがあったので、それをガラス張りの中へ入れるために苦労したのだ、こういうように思うわけなんですが、それではそれ以前にはガラス張りでなかったような事実があったのか、あるいはそれをガラス張りの中に入れるために具体的にどのような苦労をせられたか、あるいはどのような信念、どのような理念の上に立って苦労をせられたか、今後はまたどのような具体的な問題について指導していこうとしておられるのか、この点についてお伺いいたします。
  12. 松本學

    松本参考人 私が日本自転車振興会の会長になる前の段階において何か不明朗なことがあったのか、その意味においてガラス張り、または明朗にしなければならぬという意味で、この前御答弁した、そうではないか、というお尋ねでありますが、元来連合会当時におきましても、また地方の振興会においても、さような事実があったと私は認めておりません。明朗を欠くというようなことはないと思いますが、ただこの前にも申しましたように、世間でとかく何だか不明朗である、あるいは極端な言葉で言えば、伏魔殿であるというような批評がとかく起きておるのであります。事実さようなことはなかったのでありますが、どうもこういう業態において誤解を起されやすいものでありますので、将来はどこまでも明朗にしていかなければならぬ、そういう意味において申し上げたことであります。具体的にと申しましても、経理の面において不正がありますとか、不正を行うことをどこまでも防いでいかなければなりません。また経理の上において最も合理的にやっていかなければならぬ、そういう意味において、私がどこまでも明朗な、ほんとうにガラス張りに入ったような経理をやっていかなければ、こういう業態で、とかく世間から批評を受けやすいのでありますから、そういう意味において、私は自分の覚悟を申し上げたわけであります。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ議事録をちょっと読みましょう。この前に、途中からですが、「どういうふうにしてこの経理を最も適正明確にするか、これは私は非常に苦心をいたしまして、今日ようやくガラス張りの中に入ってやれるというような経理ができるようになった。」こう言われておる。今日ようやくガラス張りの中に入れるような経理になった、このように言われておるわけなんです。従いましてガラス張りの中に入れねばならないというような決心をせられるということについては、何かあったのじゃないだろうか、それからガラス張りの中に今日ようやく入れることができた。そういうことからあなたは非常に苦心をしたと言われたのですが、どのような気持で、どのような具体的な苦心をせられたか、そのことを具体的にお伺いしておるわけなんです。
  14. 松本學

    松本参考人 私は具体的にどういう事実があったから、不明朗な事実があったから、その一つ一つを改めるという意味において申し上げたのではないのでありまして、先刻も申した通りに、何があってもすぐに何か疑いをもって見られるような業態にあった事情でありますので、どこまでもこれは明確にしていかなければならぬ。でありますから、何か一つの事実があってそれを改める、こういうようなことでなく、私が今日自分の主観において、自分が信じて、自分が今後やっていく方針として、どうやらガラス張りに入れることができるような状態に自分が置き得るという自信を得た、こういう意味のことでありますので、さように御了承を願っておきたいのであります。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、まあ非常に苦心をしたと言われておるが、これはいわゆる気持の上の問題であって、具体的にこのような苦心をしたというようなことはなかったわけなんですね。今日ガラス張りの中にようやく入れるようになった、こう言われておるが、私はまだガラス張りの中に入っておるとも思わないわけなんです。  そこでそれでは若干日本自転車振興会の予算についてお伺いしたいと思います。日本自転車振興会の予算は、私の知るところにおいては——間違っておったら数字を訂正して下さい。昭和二十五年当時、競輪場の数が五十八カ所で職員が六十名、そのときの予算が三千六百万円であります。ところが、三十三年、本年度になりますと、競輪場の数が六十カ所と二つふえています。職員が倍の百二十名になっております。そうしてその予算は、先ほどちょっと半期のやつを見ましたが、一年で一億八千万円と上っているのです。昭和二十五年から二十三年のこの間において、職員が倍になるような仕事の量が具体的にどういう面でふえたのか、そうして予算の面において約六倍、五倍幾らというようになっておりますが、どういうような理由からそのように予算が膨張したのか、一つガラス張りの箱の中で説明していただきたい、かように考えます。
  16. 松本學

    松本参考人 昭和二十五年ごろと申しますと、競輪が始まって二年たったところであります。従って、まだ競輪場の数は相当ありましても、仕事の上において十分の整備もできず、いわば創業当時であって、十分に整備ができていないときではないかと私は思うのであります。従って、その当時における予算と、今日十年たって、数こそそれほどたくさんふえていませんが、仕事自体において、また競輪がこれほと盛んになっておるという情勢から考えましても、今日においては、その率が多い少いは別としまして、ふえざるを得ぬと思うのであります。相当額の予算が増額するのは当然なことではなかろうかと思うのであります。同時にまた、職員の人数なども、今申し上げたような理由において相当数増加せざるを得ぬ情勢ではないかと思うのであります。そういうような意味において、率が倍になったということの適否は別としましても、当然ふえるべきものである。また仕事自体においても、これだけだんだん盛んになり、整備された競輪の運営において、人の手も要するし、また事業そのものも相当ふえておるのであります。そういう意味において増額されておる、かように信じております。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 二十五年から比べで、すべての点でふえるということは一応うなづけるのです。ところがふえ方が、三千六百万円が一億八千万円と五倍以上にふえておる。ところが競輪場の数は二カ所しかふえていない。売上金は二・三倍にふえている。それに職員が倍になっている。これはいろいろと昭和二十五年ごろよりやることが多くなったので、ふえたと思うのですが、こう見てみますと、予算のふえ方があまりにも多いのじゃないか。人件費だけを見ましても、月に三百万円どいう人件費である。百二十人の人が三百万円の人件費です。そうすると、一般の賃金労働者の平均賃金をだいぶ上回っておる。しかも名だけの役員たちもたくさんあって、報酬だけをとっておられる人が相当あるのではないか、こういうような点も思うのですが、その三百万円の人件費内訳一つ明確にしていただきたいと思います。
  18. 松本學

    松本参考人 ただいま私が申し上げたことで、ある程度は田中委員の御了承を得たように思うのでございます。これは総額において相当の数がふえ、その率がどういうふうになるかということは別としましても、これは当然のことだと思うのですが、ただいまのお話の人件費の例を申しますと、この仕事は、私が考えますのに、人の手というものがほとんど要素のようになっているように思うのであります。たとえば製造会社とか何かのように、原料とか、あるいは工場の費用、設備費とかいうものではなくして、結局運営する上においては適当な人数の人を要するので、どうしてもこういう業態のものには人件費がパーセンテージからいってもとかく高くなるというものではないかと思うのです。現在人件費のパーセンテージが支出総額の三九・幾つでしたかになっております。これは私はほかの業態から見れば人件費が非常に多いのじゃないかということになると思いますが、これも今申し上げたような意味においてまたやむを得ないことじゃなかろうか、かように考えておるのであります。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 私の聞いておることとちょっとはずれたと思うのですが、それでは小出局長にお伺いします。競輪の事業の最終的監督の立場にあられる通産省として、具体的にどのような監督をせられたか。そのためにはある程度出張その他が必要だと思うのです。従って通産省では競輪監督のための予算が幾らあるか、それはどういう項目によって作られており、どれほど実質において使われておるか、それをお伺いします。
  20. 小出榮一

    小出政府委員 御承知のように通産省といたしましては、本省の重工業局の中に車両管理官という、課長と同じ性質のものでございますが、管理官がおりまして、ここに職員がおります。これの全体の人件費はもちろんございますけれども、そのほかに各地方の通産局、これが第一線の監督をいたしております。それは大体各通産局の商工部の中の、ところによりましては重工業課あるいは商工課というようなところでやっておりますが、特に競輪監督のための特別の予算といたしましては、それぞれ現場に出張したり何かいたしまする人頭割と申しますか、それの旅費が平均いたしまして一人一万円くらいを計上しておるということであります。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 一人一万円で何人おられますか、総計幾らになりますか。
  22. 小出榮一

    小出政府委員 先ほど申しました人頭割の旅費は、本省におきまして一人年約一万円、それから補足いたしますが、通産局においては特別旅費として総計十五万円程度の旅費がございます。それから人員でございますが、本省におきましては、車両管理官以下特別にそれに専念いたしております職員の数は十二名であります。それから各通産局におきましては、先ほど申しました商工課とか、そういうようなそれぞれの所管の中で、特に競輪の事務を取り扱っております者が、平均いたしますと二名という程度でございます。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 最終的な責任を持ち監督をする通産省で、ただいまのお話ですと、年間競輪監督のための予算が十五万円、自転車振興会の予算の月額が人件費だけで三百万円、こういうところにも私は問題があると思う。もうここまで一言えば、次に言おうとするところが大体おわかりだと思うが、よろしいか、通産省のお役人が地方へ出張するときに、旅費が自転車振興会から出ておる。行った先の地方の自転車振興会が接待をする。従ってその人たちはほとんど自分の金は使わない。しかも自転車振興会から出たところの旅費も使わずに済むというような実情があることを聞いておるが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  24. 小出榮一

    小出政府委員 先ほど各地方通産局の競輪監督のための特別旅費が十五万円と申しましたが、御承知のように通産局はそれぞれ全国八つのブロックに分れておりまして、本省から出張する場合と違いまして、割合に距離的にも近いわけであります。もちろんその旅費がそれで十分であるとは考えておりませんけれども、それでまかない得る範囲内——予算でありますから、予算で縛られております範囲内で事務をせざるを得ないのは役所の通例でございまして、ただいま御指摘のような事実はないと私は考えております。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん局長が当委員会において公式発言として、あるとは言えないと思います。首が飛んでも言えないと思う。しかし今お聞きのような十五万円程度の予算で十分な監督ができるはずがない。そこに、私ここ数回の質問を通じて言っていることは、二十五年に通産省から経理その他についての強い通牒を出しながら、それが何ら実施せられていない。八年間一体通産省は何をしておったのかということが私の質問重点です。今のような人件費あるいは監督に関する予算ではできないのが当然です。しかも今申しましたように、行った先とか、行くときに当って振興会等々からそういうものが出ておるというようなうわさがあるだけでも、そんなことで監督ができないのは当然だと思う。  次に松本さんに続けて質問をします。今私申しましたが、この人件費、旅費等の問題を掘り下げれば、おかしな問題が出てくると思う。やれとおっしゃれば、委員長の許可をもらってこれだけでも相当やれると思う。しかしながらそんなことを今さら言っても仕方がないから、十分気をつけてもらいたいと思う。去年の十月に日仏交歓競技ということで、フランスの選手を七名こちらへ招いて、各地で競技しております。あなたは、そのときの接待委員長をやっておられたということである。違っておったら、接待委員長がどなたであるかお伺いいたしますが、そのときの費用が、私の調べたところでは二千万円使っておる。一体こういう金はどこからどういうふうにして出たのかということが一つ。さらに私の聞いているところでは、これらの選手が各地を回った際、行き過ぎた接待ぶりというか歓迎ぶりというか、神聖な当委員会においては口にすることのできないような事態があった。すなわち屈辱的外交、スポーツの冒涜、こういう言葉で表わしておきましょう、もしどういう事実があったか聞かせろということなら、委員会を秘密にし、こういうことをやったということを申し上げましょう。従って、フランスから来た人たちは、あまりにも日本の競輪界が金回りのいいのに驚いた。なぜこんなに金回りがいいのか。そこで帰りましたフランスの選手たちがそういう話をしたのでありましょう。今文部省へフランスあるいはデンマークその他から、盛んに交歓競技として日本へ招待してもらいたいという申し入れがたくさん来ている。フランスあたりでは、こんなに競輪界は金が回らないのに、なぜ日本はこんなに金回りがいいのか、日本は競輪王国だと言って、帰って喜んでいるそうだが、そのときの実態について御説明願いたい。
  26. 松本學

    松本参考人 昨年の十一月だったと思いますが、四十日間、十四の競輪場において、フランス選手六名を招いて日仏の競技をいたしたのであります。ただいまお話の通りでございます。実はこれはその前年の八月ごろに、私がフランス大使と会いまして、日仏の文化協定のワク内において——御承知通りフランスという国は、自転車競技においては世界第一の国でありますから、日本の自転車競技を大いに盛んにする意味においても……。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 焦点をぽかさずに、私の質問したことだけを答えてもらいたいと思います。
  28. 松本學

    松本参考人 前提としてそのことをっ申しておくのでありますが、そういう意味においてできたものであります。これは文化協定のワク内においてでまております。でありますから、向うの政府と日本の政府とが、ちゃんとはっきり話をきめてできたたことであります。その委員長に私はなった。これは御承知通り、四十日間十四の競輪場で実行いたすのでありますから、相当の経費が要るわけであります。今正確な数字を覚えませんが、約一千万円くらいかかっておるように思っております。  今御質問の要点で、フランスの選手を地方において歓待し過ぎて、彼らにひんしゅくを受けておる、こういうことでありましたが、実は私の聞いておるところでは、フランスの選手が非常に規律正しい。従ってほとんど酒も飲まぬというふうな状況で、日本の選手にしても、これを学ぶべきところだと申しておるくらいで、選手そのものがそういうふうな供応を受けてということは、事実なかったろうと思っております。それから、実はフランスの選手は日本の競輪というものを初めて見まして、この制度こそ自転車競技を盛んにする一つの大きな手段であるから、われわれが帰ったならば、フランスにおいてもこの制度を取り入れようとまで言って帰っておるのであります。  最後に、デンマークとかその他から、フランスの選手が来て非常に歓待されたから、日本は競輪王国だから交歓競技を申し入れたというお話でありましたが、さような事実はないのであります。それはおそらく、私が競輪制度を海外に進出させようという努力をいたしておりますので、現在デンマークにおいては、小さい規模でありますが日本の競輪と類似したことをやっておるのであります。そこで今度フランスに日本の選手を送るということが、今の文化協定のワク内のことでありますがありまして、その調査と、それからデンマークの競輪はどういうふうなやり方をしているか、日本の競輪に非常に参考になるし、将来大いに連携をとるという意味において調査をさせることにいたして、その調査ができております。従って、そういうようなことから話が出ていると思いますが、まだデンマークとかそのほかの国から、どこからも交歓競技を希望して参っているところはないのであります。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 あなた、そういう答弁をされると言わざるを得ないですよ。委員長、これは一つ速記をとめてもらってしないと、今から私が言うことはこの神聖な委員会では、ちょっと言えないようなことを言わねばならぬということになるのですが……。一千万円と言われたが、私が承わったのは二千万円です。その金がどこから出たかということをあなたは言われていない。デンマークやフランスから申し入れがあったということは、文部省に来ているということもあなたはおっしゃらない。それから、私の言った屈辱外交、スポーツ冒涜のような行為ということは、これはちょっとここでは言えぬわ。言ったら私の顔が赤くなる。何なら当時通訳を勤めた薩摩某なる者を証人として呼びましょうか。その金がどこから出たのか、今さらあなたはそういうことがあったとは言えないだろう。まじめであったと答弁されることはいいでしょうが、その金の出どころだけ一つ言って下さい。
  30. 松本學

    松本参考人 十四カ所の競輪場に資金を仰いでおります。そういうような醵出によったので、資金源はそういうところにあるのであります。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもそういうことでは抽象的でわからぬ。どこから幾らというようなことでないと……。一千万円か二千万円か知らないが、私は二千万円使ったと聞いている。六人の人が十四カ所回るのに、二千万円というのは大き過ぎると思う。それがどういうところに使われたかということは、言わずとわかると思います。  大臣はいないが、次官とか通産局長、どうです。これでガラス張りの経理だと思いますか。委員会参考人として来て、経理がガラス張りだなんて大きなことを言えるか。そういうことを言うなら、何ぼでも事実があるからあげていきますよ。だがこういうことを、あなたに参考人として来てもらって、私ががんがん言ってみたっていかぬので、今後どうやっていくかということを聞きたい。あなたはこの間の当委員会における発言で、最後に、地方の振興会に対しても十分に指導していく、こういう意味で申し上げましたと言っている。今後どういうような理念の上に立って、具体的にどのような指導をしていき、どのような面を改めていきたいと考えておられるか。そういうことについての強い決意を一つお伺いいたします。
  32. 松本學

    松本参考人 ただいまの日仏交歓競技の経費ほ一千万円であったと私は思っておりますので、さよう御了承を願っておきます。金の出場所は、今申し上げました十四の競輪場と、その他の関係の方面からも出ておるのであります。  それから地方の振興会の指導のことでありますが、先刻も申しました経理の問題につきましては、あくまでも経理の指導をいたす。これは経理関係者の研究委員会などもたびたび開きまして、地方の振興会からその係の者を呼んで、事務的にもまた今のような精神的にも、いろいろ指導をいたしております。そのほか、いわゆる公正にして円滑なる競輪実施をするという意味において、いろいろな点において指導をいたしております。たとえば選手の保護管理のことでありますとか、あるいは審判のことでありますとか、それらのことが公正に行われなければなりませんので、審判の会議などを開き、たびたびそういう地方に連絡をとり、呼びかけて、監督はできませんが、そういう意味において濃厚な指導をいたしておるのであります。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 済んだことを今さら言ってもしょうがない。またこれを突き詰めていけば、それは背任だとかいろいろな問題になるかもわからぬとも思うが、そういうことをするのが目的でない。ほんとうにあなたが言われるようなガラス張りの経理の中に入れて、だれが考えても明朗な経理が行われておる、こういうことにだれもが納得できるように決意を持ってやってもらいたい。ほかのことは言わずに、それだけ申し上げておきます。ただしあなたの答弁によってガラス張りになっておると理解したのではないということ、今後もこの種の問題について私は十分注意を持って見守りながら、必要あればいつでもあなたに来てもらって質問をし、また追及もするということを留保いたします。  次に辻さんにお伺いしたいのですが、まずあなたに、この前においでのときに通産省と協力して調査をしておるから、こういうことで調査結果を伺いたいと思っていましたが、小出局長から一応の報告がありましたので、その点をあなたにお伺いすることをやめます。  次にあなたが適当か、松本さんが適当かは知りませんが、適当な方の御答弁を願いたいと思うのです。それはただいまの参考資料一つとしてもらいました特別競輪益金使途委員会の決定についてです。去年三十二年度はここにあげられているように結核予防会から日本消防協会に至るこれらの財団法人とオリンピック後援会へ渡されている。そこでこの点についてですが、これは大体委員の顔ぶれとかそういうものがここに出ておりますが、一体こういう特別競輪益金を分配する場合にどのような基準、どのような観点に立って分配を論議せられるのかお伺いいたします。
  34. 辻松一

    ○辻参考人 大体ただいまの特別配分委員会につきましては通産省事務次官より、委員会を作りましてこれを処理するようにというふうなことでございまして、お手元にございますような方々を委員にお願いいたしまして、そこで検討いたしていただいて決定を見た次第でございます。ただし、委員会におきましても、この問題はいろいろな観点から非常に検討を要する問題でございますので、その下にお手元にございますような補助役といたしまして幹事を置きまして、その幹事のところで十数回にわたりましていろいろ検討をいたしまして、そしてその検討の結果委員会提出いたしまして、両度の委員会におきまして決定をいたした次第でございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 私の聞いているのはそんなことじゃないのだ。配分するに当って配分の基準というものがあるのか。たとえば甲という業種と乙という業種があった場合、甲の方に優先的に渡すべきであるというようなことをきめる、何かいわゆる社会、公共施設が先である、あるいはスポーツ関係が次であるといったような基準があるのかないのか。それからこれは申し込みを受けて、それによって審議をしているのかどうか。そうするならば、こういう益金があって、こういう方面へ配分するからというようなことを一般が知るように、告知その他の方法がとられたのかどうか。そうでなかったならば、一応競輪の内輪を知っている者が、いわば早耳の者が聞きつけてかけつけ、いろいろな工作をすることによって、その金を持って帰るということにもなる。そういうような点について配分についての基準並びに一般に対する告知の方法及び申し入れによって受け付けるならば、昨年申し込みをしてきたところで当らなかったところがあるのかないのか、いかなる理由によって配分をしなかったのか、そういう点についてお伺いいたします。
  36. 辻松一

    ○辻参考人 告知はいたしません。申し入れ団体が十五ございまして、この申し入れの団体につきまして委員会で検討をいたしていただいたわけでございます。それからまた私が書記役でございますのでなんですが、いろいろ会に出ておりまして、たとえば基準というふうな問題についてどういうふうに扱われたかということを申し上げますと、大体こういう性質の金でございますので、国民全体共通の場で使えるようなものに出すというふうなこと、それから三十二年、三十二年両年度にわたりまして決定をいたしておりますが、三十二年度は金額も少い関係がありますので、ここに書いてございますように四団体に交付するということにきまったわけでございます。附帯決議がいわゆる福利厚生それから社会福祉、衛生といったふうなことと公共施設とございますので、これらの附帯決議を尊重して、公共施設も社会福祉もというふうなことで考えたように考えられるわけであります。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 告知をしないのですね。
  38. 辻松一

    ○辻参考人 はい。
  39. 田中武夫

    田中(武)委員 そうするとそれを知る日本の国民のうち、おそらく九十何パーセント以上の人は、こういうことによって申し込めば、金がもらえるということは知らないでしょう。それならばそういう金を配分してもらいたいといって申し込んできたところは、何らかのコネによってかぎつけてくるということになろうと思います。少くとも今委員の中にも赤い羽根をつけておられるが、今十月一日から始められている共同募金、この助け合い運動の基金を分ける場合等も、十分なる措置が考えられている。にかかわらず考え方によってはより重要な金であるこの金が、そのようなことによって配分せられておるが、そのように配分することが正しいと考えておられるかどうか。また国民全体の上に立って福利厚生、衛生、公共施設等に渡した、こういうことでありますが、今あげられておるこの四つが、そういうことにぴったりとくるものであるかどうか。しかも申し込み団体のうちで、より重要なものであるとわれわれ考えるが、その申し込み金額が少かった。少くとも一千万単位で金を分けるんだというようなことによって、これが分けられたということを聞いているが、そういう事実があったのか。これによると、小出局長は、当時は通産省の重工業局長でなかったから出席しておられなかったと思うが、一体通産省その他関係官庁から、ここに書かれておるような局長クラスが出ておるかどうか、おそらく出ていないと思う。もし出ているとするならば、その局長に今後の質問を集中いたします。
  40. 小出榮一

    小出政府委員 特別競輪の問題は、御承知のように、まず全国競輪施行者協議会の会長に対しまして通産事務次官から、これは二十二年度から今年度においても同様でございますが、オリンピック大会、あるいは社会福祉事業等の後援のための特別競輪開催承認についてという通牒を、まず出しておるわけであります。その特別競輪の益金の配分の基準は、これは私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、先ほどの辻参考人説明を補足する形で申し上げますと、国会における当時の附帯決議、これが明白な基準でございまして、この基準に従いまして配分をする、こういうことになるわけでございます。従いましてその第一項目に掲げてありまする社会福祉と公共の福祉のために支出する、こういうような格好になるわけです。そこで事務次官からの協議会の会長あての通牒の内容は、特別競輪開催の回数、開催日数、そういうものをまずきめまして、そして全体としてのオリンピック大会後援の特別競輪が何日、社会福祉事業後援のための特別競輪が何日以内ということをきめました。そうしてその開催によりまする純益は、全部醵出する。そこで醵出されました純益の配分につきましては、関係官庁、関係団体等で構成する特別委員会が、お手元の資料にございまする全国競輪施行者協議会——会長は東京都知事でございます。そこに委員の名前が書いてございまするが、私はこの委員といたしまして出席をいたしました。ここに掲げておりまする委員は全員出席いたしました。
  41. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、国会の附帯決議の社会福祉事業、公共施設、こういうものに出すという基準に立って、この一から四までをながめた場合に、その基準に適切に合っていると考えられるかどうか。なおそれを交付するときに、たとえば消防協会に交付せられる場合、交付を受けた消防協会がその金を何に使うかということまでも知った上で出されるのか。ただ消防協会なら消防協会に五千万円の金を渡せば、それから先はその割当を受けたところが勝手に使っていいということになっておるのかどうか、渡すときに、それをどういう目的に使うかということを知った上で出されるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  42. 小出榮一

    小出政府委員 お答えいたします。特別競輪益金配分に関しましては、先ほど申しましたように、まず各方面から助成の申請と申しますか、希望を受けるわけです。そして申請者と該当者、申請の助成の内容、どういうことに対して助成してもらいたいという希望事項と、それからどれだけの金額を助成してもらいたいということを附帯資料をつけましてとるわけであります。従ってその助成の内容については、もちろんあらかじめ承知しております。それから出しましたあとで、今度は特別競輪益金の寄付先並びに寄付金額決定に関する件を、東京都知事つまり会長から報告を受けまして、その以後において具体的に、個々の団体なり協会なりが、どういうふうにそれを使ったかということを、それぞれのところからさらに報告をとることになっております。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、一つ焦点を消防協会にしぼって申しましょう。あなたはそれが何に使われるかということを、もちろん知った上で渡したわけですね。そうすると、消防協会が五千万円をビルの建築に使った、すなわち消防会館の建築に使った、そういうことを承知して出されたのか。消防会館——なるほど全国の消防団員が来て泊まるとかいうようなことがあるかと思いますが、それはおそらく一部の人たちの利用にしかなっていないのじゃないかと思うのです。これが防火、消防の設備に使われるなら公共施設と言えると思うが、ビルの建築費に出した、しかもそのビルの使用は一部限定せられた人のみにしかうるおわない、そういうことを承知でやられたのであるか。  もう一つ、先ほど一般に告知しない、従ってこの内容を知る者が早耳によってかけつけることによって金を取るということ、消防協会へ出た金のいきさつを調べたならば、昨年自転車競技法及び特別競輪改正に当って、当時当委員をしており、現在はおりませんが、その人が質問か何かの中で、たとえば消防という言葉を使ったことを利用して——名は差し控えますが、財界の大物といいますか、大タヌキが出かけていって五千万円とったということを聞いておるが、そういう事実について、あなた方は知りながら出したのかどうか。しかも、消防本部から見えておりますからその方にお伺いいたしますが、消防協会と国家消防本部との関係、及び消防に金を出すのならビルに金を出した方が適当と思うか、それとも防火、消防施設の方へ回してもらいたいと考えておるのか。現在各地方の消防、防火施設は、どのような状態であるのか、この点について双方から御答弁を願います。
  44. 小出榮一

    小出政府委員 私にお尋ねの分につきましてお答えをいたします。消防協会に対しまして三十二年度の配分は決定したのでありますが、もちろん先ほど申しましたように消防事業に対する補助金の交付申請が出ておりまして、その申請の趣旨の中に、消防会館の建設施工ということは書いておりますし、また消防会館の必要性なりあるいは資金需要等につきまして具体的な内容が出ておりますので、そういうことはもちろん承知いたしております。ただ先ほど申しましたが、国民全般に対する周知徹底の方法に対するお尋ねがございましたが、最初申しましたよのに、社会福祉あるいは公共施設ということでありまして、厚生省関係が一番主でございますが、そういった社会福祉なり公共施設関係を所管しておられます官庁におかれましては、もちろん関係の方面に十分周知徹底をされておるものと私は考えております。それで私はもちろん特別競輪委員会委員として出席したわけでありますが、その委員会の論議の内容等につきましては、それは会長でありまする東京都知事のお許しがなければお答えいたすことはできませんけれども、もちろんその配分先の内容につきましては、それがこの特別競輪益金の使途、配分趣旨に合致するかどうかということにつきましては、幹事会さらに委員会において十分な論議を尽した上で決定になったものであると考えております。
  45. 鈴木琢二

    鈴木説明員 消防関係のことにつきまして私からお答え申し上げます。消防会館の建設は、全国二百万の消防団員のみならず消防関係者多年の要望でございます。と申しますのは、今日までありました虎ノ門の消防会館の建物は、まことにお粗末な狭いバラックで、消防協会の各種の事業をしますのには、ほとんど役に立たないという状況でございます。消防協会といたしましては、二百万人の消防団員の教養訓練に使うために、あるいは会議その他の開催のために、ぜひとも会館が必要だということで、多年要望しておったわけでございますが、たまたまこの競輪の方から寄付金がもらえるということで、消防協会が昨年十月に着手いたしました消防会館の建設が非常に基金難でございますので、全国消防のためにぜひとも一つこの寄付金をいただきたいということで、申請を出すに当りまして、私どももそれはまことにけっこうなことだということを内申をいたしまして、通産大臣並びに競輪施行者協議会の方に内申をつけて出したような次第であります。  地方の消防のことでございますが、これはすでに御承知と思いますが、必ずしも十分な施設ではございません。十分な施設でないというよりも、むしろ市町村の消防の施設というものは全国的に不足をいたしております。そのために国庫からも一部補助を出しておりますが、三十三年度の例を申し上げますと、国庫から五億五千万円の補助金を市町村に対して出しております。その補助の対象はポンプと水の関係、それから通信機械、この三種類に限っておりますが、もちろんもっと各種の消防機材について補助も出したいというふうに、われわれ事務当局としては考えておりますが、国庫の都合で必ずしも思うようにいかないような状況でございます。しかし今後とも市町村と協力いたしまして、市町村の消防施設の十分な強化ということには努力していきたい。国庫もまたできる限りこれに応援をしたいというふうにわれわれ消防当局といたしましては考えておる次第でございます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 重工業局長みずからがその目的を知っておって、その会議に参加して出した、こういうことなら何をか言わんやであります。しかし今国家消防本部長が答弁したごとく、地方の各都市、その他においては消防施設が不十分であるということはもう明らかだ、ビルを建てても、このビルによって火事を消すことはできません。しかも地方にあっては消防施設のお粗末なところから、特別な目的税を作ろうというような——これは自治庁等にも考えがある程度あるのではないかと思っておるような時期に、消防防火施設のために出すのならともかく、ビルを建てるのに五千万円の金を、しかも早耳によってかけつけて、委員会における発言を理由にしてそれを巻き上げた、しかもその人は胸をたたいて俺にまかしておけというのがどうも癖のようですが、消防会館を建設するに当って——私もかつては消防団関係をやっておりましたが、消防団全体から幾らやれ、俺は二億円を用意してある、こう胸をたたいたのです。もうこれ以上言わなくても、この特別競輪益金の分配法を一つ考えても不明朗である。しかもこれが一般に告知せられないということはもってのほかだ。しかも現在われわれが見た場合、たとえば原水爆の被害によって十三年このかた、まだ苦しんでおる人たちの救済とか、あるいは社会福祉施設、いろんな方面に出すべき場所はあると思う。ビルを建てる金に出すべきではないと思う。従って今後競輪の特別益金の分配については、一般に告知の方法を講じ、分配に当っての一つの基準を設け、この基準によって広く行きわたるように、一千万円単位で分けるというようなことでなく、一千万円どころか、その十分の一、百万円もらっても、今もっともっと大きなことができるというような施設はたくさんある。そういうところへ出すように考えてもらいたい。そういうことについて今後どのような決意で臨むか、私が言ったようなことを実施する用意があるか、重工業局長にお尋ねいたします。
  47. 小出榮一

    小出政府委員 先ほども申し上げましたように、この特別競輪益金配分方法を出すに当りまして、まず申請をとるわけでありまするが、申請をとるに当りましての周知徹底が必ずしも十分であったかどうかということにつきましては、さらに今後工夫をして参りたいと思いまするが、社会福祉関係の諸官庁におかれまして、あるいは公共施設関係の諸官庁におかれましては、関係方面に相当周知されておったのではないかと私は想像をいたしておったのでありますが、もし足りない点があれば厚生省なり、あるいは関係省にもお願いいたしまして、そういうような方法をとって参りたい、かように考えます。  それから消防協会、消防会館というものが、他の社会福祉施設に比べて、より公共的であるかどうかという点の御議論でありますが、特別競輪益金の使途委員会といたしましては、出てきました申請につきまして審議をする以外に方法はないわけでありまして、これをやめて、こういう申請を出せということまで指導するわけには参らないわけでございまして、出てきましたものが競輪の益金の配分の基準に照して誤まりがないかどうかという点にポイントを置きまして論議をいたしたわけであります。私はその委員の一人といたして論議をいたしたわけでありまして、私が決定したわけではございません。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 この競輪特別益金の分配については十分趣旨を明らかにし、そうして一般に告知をし、広く希望を募り、そうして国会の附帯決議の趣旨にのっとって、社会福祉事業、共同施設、そういう方面に十分な配分ができるよう考慮してもらいたい、そういう措置を早急にとってもらいたい。今の話では、一般に知らさなくて、出てきたものだけを協議するのだ。五人か六人で出してきたものだけを協議するなら、そこへいくことはきまっておる。そういうことのないように願いたいと思います。  それからこの特別益金は一応施行者の地方団体の経理に入る、それから割当によって吸い上げていく、そうするならば地方財政法の四条の四ですか、割当的寄付金等の禁止条項に違反するのではないかという疑いを持ちますが、この特別競輪益金競輪場から上ってきてから分配に至る経過、どういうようにして上るか、私の知っている限りにおいては一応地方自治団体の競輪益金は地方財政に入る。それから割当によって、お前のところは幾ら、お前のところは幾らで吸い上げる、そうするならば地方財政法四条二の割当的寄付禁止の条項違反である。少くとも疑いが残ると考えるがどうでしょう。従ってこの特別益金の分配その他については、今後十分なる配慮をしていただきたい。今後とも私はこれを監視する、こういうことを申し上げておきます。まだたくさん用意しておるのですが、時間がないのでということですし、あとで実は決議の提出もいたしたいと考えておるので、もうあと一、二点簡単に関係者にお伺いして、きょうの質問をおきますが、これをもって競輪関係のこういう不明朗なるものを正しくしよう、こういうことについてもう終ったと考えられては困るのです。今後とも時に触れ、機に応じて、いつでも取り上げてやるということを、この際明らかにしておきます。  それから警察庁の方が見えていないようですから、ここで私が発言をして、あとで文書でよいから答弁をもらいましょう。そうして委員長から読み上げて議事録に残してもらいたい。私は競輪場内警備費の問題について質問を開始したわけですが、警備費がボスに出ておって、それが暴力の組織温存の資金となっておる、こういう点から始めたのですが、警察にも同じように金が出ておる。大体一日に四百円ですが、その金はもちろん警官個人には入らない、それはそこの所在地の署長が受け取りを出して、県の本部の会計に入っているらしい。そうしてその日に出動した警官に対しては、普通の巡査程度で、出勤手当とか何とかと、こういうことだろうと思うが、一日百二、三十円の手当が出ておる、こういうことを聞いておる。従ってこういう金を受け取る根拠、これは消防の方も見えておりますので、消防の方にお伺いしますが、消防にも一回開催ごとに十万とか、十五万とかの金が出ておる。これはどういう根拠で受け取るのか。言うならば、金を出せば警察なり、消防を雇うことができるというようなことであるならば、個人が金を出したならば警官はそこの番に行くのか、昔の請願巡査の存在が許されるのかというような問題にもなるんですが、警察の方は見えていないので、そういう点についてはあとで一つ明らかにしていただき、消防関係の方にこの点だけお伺いします。やはり競輪ごとに、先ほど言ったように、十万円、十五万円の金が出ておる。こういうのはどういうことに使われるのか。もちろん非番の人あたりで出ていくから、手当等も出すべきであろうし、また出さなければならないかと思います。しかし消防署あたりがこれを受け取るのは一体経理の処理上どういうようになるのか、こういう点についてちょっと疑問を持つんですが、消防本部長はどうでしょう。
  49. 鈴木琢二

    鈴木説明員 競輪場の火災その他の災害、それから群衆の集まった場所ですから、その人命損傷のための警備というようなことは、消防の任務にもなっておりますので、その点から警備に当っておると思いますが、今お話のありましたような金をもらっておるというような話は聞いたことがございませんので、なお十分調査いたしてみたいと思います。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 話を聞いたことがないと言われると、事実出ておりますから間違いないが、だいぶ怠慢になりますよ。だから、どういうように処置するか、あるいは消防、警察がそういう金を取るというようなことがどういうような観点に立って——法律的根拠といえば事が大きいのですが、そういうようなことが許されるのか、そういう点についても疑問を持っております。なお、通産大臣がおられれば大臣、いないから次官、それから小出局長等にいろいろと聞きたい点がまだまだたくさんあります。これをもって競輪が明朗であり、ガラス張りであるなんとは、とうてい納得できません。こう考えてみますと、あまりにも機構が複雑である、こういうことも考えられる。一体競輪施行の最終的な責任者はだれなんだ。だれが責任を持っておるのか。従ってその競輪施行の責任者が、場内警備についても責任を負うべきだと思うが、一体だれが責任者なんだ。施行の県とか市とかであるのか、施行者であるのか、それともその委任を受けた自転車振興会であるのか。自転車競技法によると、施行者が責任者のようにも書いてあるし、それからそれを振興会へ委任することができるとなっており、十一条には、自転車振興会は、競輪実施のために云々、こういうことになっておる。どうもどっちがほんとうの責任であるのか、そういう点に疑問が出てくる。この前の当委員会における大阪府の自転車振興会長の増村氏の参考意見等を聞いておっても、私から警察を依頼するあれはない、それは施行者がやるべきものだ、こういうようなことも言っておる。一体最終的責任はどこが負うのか、それを明らかにしてもらいたい。
  51. 小出榮一

    小出政府委員 競輪関係のいろいろな施行内容によりまして、いろいろ問題があろうかと思いますが、競輪施行する施行権は都道府県が持っておるわけであります。その競輪実施につきまして、施行者振興会に委任をする、こういうような関係になっておるわけであります。その競輪実施する組織は、通産省が出しました一つの基準によりまして、それぞれの施行者、つまり各府県なり、自治体が条例を制定して、それで実施をする、こういうことになっておるわけです。従いまして、施行者経理につきましては、通産省としてはその開催経費の分につきましてのみ監督をしておる、こういうような関係になっております。各施行者それから各府県の自転車振興会、それから特殊法人としての日本自転車振興会、通産省とかいうふうな関係は、非常に複雑のように見えますけれども、それぞれの分野がございまして、国としりましての監督上の責任は地方自転車振興会なり、あるいは日本自転車振興会なり、それぞれにつきまして、法律に基きましての一般的な監督権限を持っておるわけであります。従いまして、その施行をいたしまする事項内容によりまして、それぞれの責任が法律上明らかにされておる、こういうことだと存じます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 法律上の話は今言われた通りです。しかし実際上になると、どうもどこがやっているのか——こちらをつつけばこちら、あちらをつつけばあちらで、自転車振興会施行者側とに聞けば答弁が食い違っている。こういう点についても機構が複雑であるから、もっとはっきりする必要があると思う。  最後に、大臣に申し上げることを、かわって次官に申し上げますから、十分お伝え願って御考慮願いたい。  競輪最初出発したときには二十競輪場、そういうことで、ごく簡素な方法によってやるというようなことであったと思うが、この競輪のうま味というものが広がっていくにつれて、現在六十何カ所を数える競輪場ができておる。機構もだんだんと甘いものにアリが集まるごとく人が集まることによって複雑になってきておる。従ってそこに伏魔殿と言われるようなわからないものが出てくる。岸内閣の前身というべき鳩山内閣が成立したときには、競輪、競馬等この種のものの再検討をし、明朗な方法でやると言ったが、その後何ら改革せられた点も見られない。その当時は日曜、祭日等を中心としてやるのだと言われたが、やはり今日火曜日から始まっておる。こういった開催日の点、やはり家族連れで自転車スポーツを楽しむというような競輪ならともかくも、ばくちが前提となり、これを火曜日から始めることによって、どれだけ勤め人、労働者の勤労意欲を阻害しておるか。そういう点を考えた場合には、競輪場の場所を再検討する必要がある、その開催回数を再検討する必要がある、さらに開催日を検討し直す必要がある。さらにこれに直接関係を持つ人たちの失業、転業の問題が解決し、地方財政に及ぼす影響についての何らかの処置が考えられるならば、即時実施をやめるべき存在であろうと思う。私あとで決議案を出しますが、実は私の提案者としての気持は、競輪はすぐ廃止しよう、ただし地方財政あるいはその関係者の問題については検討を加えながら、すみやかに廃止しよう、そういうことが提出の私の目的であったが、遺憾ながら満場一致を得るために趣旨はぼやけておる。だがしかし、その中を流れるものはそういうものであるということをくみ取っていただいて、競輪の問題について再検討をやる、同時に、先ほど来私が申し上げておる競輪場秩序維持の問題、並びに場内費支給に関する暴力的存在の者との縁切りの問題、あるいは益金の分配その他について、どれ一つ取り上げても満足なものはない。こういう観点に立って十分な検討をやり直し、今後こういった疑惑の目で競輪等を見られないように御処置を願いたい。これについて、大臣にかわって次官の御決意のほどをお伺いしたい。
  53. 大島秀一

    大島政府委員 先ほど来田中委員の数々の御指摘に対しましては、非常に尊敬いたすべき御発言であったと思う次第であります。ただその内容につきまして多少の疑義があると思うのでありますが、それはやがてまたいろいろな角度から研究いたしまして、御指摘のような問題がありまするならば、通産省の立場からいたしましても、十分これに対しましては研究いたしまして、御指摘の趣旨に沿うように十分の決意をする覚悟を持っておる次第であります。ただいまの競輪施行に対する問題につきましては、御承知のようになかなか地方財政にも大きく影響をいたす問題であることは、ただいま田中委員の仰せられた通りであります。だからといって、無制限にいいかげんにやってよろしいかどうかという問題に対しましては十分疑義があると存じます。つきましては、ただいま私がどうするというようなことは、これは大臣でございませんので申し上げかねまするが、御趣旨は十分尊重いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたすことをお約束申し上げておきます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 それではこれで一応質問を終ります。だがしかし、今後の実施状況、通産省の監督状況等については、十分当委員会においても関心を持っていただき、同時に私も十分な関心を持って見守っていく、必要に応じてまたこの問題を取り上げていく、こういうことを留保いたします。
  55. 長谷川四郎

    長谷川委員長 以上で本件につきましての質疑は一応終了をいたしたわけであります。  本件に関し決議をすべきであるとの御要望がありますので、お諮りをいたします。お手元に配付してあります文案は、自由民主党及び日本社会党の共同提案にかかるものであります。一応田中武夫君に朗読をお願いいたします。田中武夫君。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 委員長の命により、自民党各委員の御了解を得まして決議の案文を朗読さしていただきます。    競輪等施行に伴う弊害排除に関する件   政府は重要政策の一つとして暴力追放を掲げているにも拘らず、過般競輪施行に関し、場内整理費の支出について、好ましからぬ事態の発生したことはまことに遺憾に堪えないところである。   政府は、これを契機として、全国的に競輪等施行に関し、過去の悪弊を一切せん除して健全化の方向に進ませるため、左記事項につき、厳正な指導監督を行うべきである。      記  一、競輪等経理、特に支出経費の適正明確化について、常に厳重な監督を行うこと。  一、場内外の自衛警備員の雇入にあたっては、ボス的勢力の介入を排除するとともに、自衛警備については一定の基準を作成し、これに準拠するよう指導すること。  一、場内秩序維持に関し、通商産業省及び警察庁等から発せられた各通牒の趣旨を更に徹底せしめること。  一、競輪等社会に及ぼす悪影響に鑑み、この種競技の在り方については速かに検討を加えること。  右決議する。 以上であります。
  57. 長谷川四郎

    長谷川委員長 以上の通り決議し、議長に報告の上、関係方面に参考送付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 長谷川四郎

    長谷川委員長 御異議なしと認め、そのように決します。  次会は公報をもって御通知することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後零時二十四分散会