○松本(七)
委員 そのコールダーホール型が、元来は軍事用のプルトニウム生産が主だったということになると、その改良型の経済性なり安全性がはっきり証明されてくれば、実用の
段階に入ったところまでくれば、これは今佐々木さんのおっしゃるようなことで理解できると思うのです。問題はそこにあると思う。もちろんプルトニウム生産が主であれば、それは
日本がわざわざイギリスから高い金を払ってプルトニウムをこっちで生産してやるというようなことになるのですから、それだけでは私どもは納得できないけれども、その言われるところの改良型が、しからば商業的に成り立つ
段階まできているかどうかというところが今度は問題の焦点になってくると思うのです。ところがこの点については現在はまだ探求の時期じゃないか。ほんとうに商業的に使用することのできる原子炉というものはまだないのではないかということが、いろいろな科学者の説明から、私どもは疑いを持つわけなんです。科学者の中には、この動力発電炉というものは、まだ商業的に採算のとれる事態ではなくて、むしろ基礎理論を深めるべきときだということを言っておる科学者もいろいろおることは御
承知の
通りだと思います。そうだとすれば、今あわてて動力用の原子炉に踏み切らなくてもいいじゃないかという
結論が出てくるわけですから、その点の説明をもう少ししていただきたい。というのは、
ジュネーヴ会議に出られた東大の海沢助教授ですか、この方の言にも、いわんや原子動力利用の安全性や採算性については見通しのつかない現状にある、こういうことを
指摘されているわけですね。これは
ジュネーヴ会議に行ってみてそれがわかったんだ、こう言っておられるわけです。ですから、先ほど
ジュネーヴ会議以来特にその経済性や安全性について多くの人に疑いが持たれたのではないかという御質問を
大臣にしたのも、私、そういう
意見が学者の間にあるからです。この助教授の言葉の中には、こういう
ジュネーヴ会議の様子を見ていると、
結論的には原子動力利用の科学技術が、国際的に見た場合に、まだ実用の
段階ではない。むしろ、研究
段階にあるという
日本の基礎物理学者の発言が正しかったということを述懐しておられるのです。こういう点から、
ジュネーヴ会議後の
世界の現
段階が、
日本の
政府が今言うように、どうしてもすみやかに動力炉を入れたいという
考え方と少しギャップがあるのじゃないかという気がするのですが、この点をもう少し詳細に御説明を願います。