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帆足委員 私は今の
外務大臣の御答弁、まことに遺憾だと思うのです。これは時間を与えますから、
外務大臣としても
アジア・アフリカ諸国の文献も調べ、そして
アジア・アフリカ諸国の
外務大臣にもよく会って、もう少し深く
考えていただきたいと思います。
防衛庁長官に先ほどのことをお尋ねしたいのですが、
アメリカに
防衛義務を課したところで、それはきわめて相対的なものであるということもお
考え下さって、最初に今日は
原子力の時代であると言われた、その観点から
安保条約をもう一ぺん再検討してみる必要はないか。従いまして、
防衛庁長官は、
核兵器を国内に置かない。
基地に搬入しない。これは岸首相も言われたことだ。私は、今日ほど明確に
防衛庁長官が言われたことは、じかに耳で聞いてほんとうにうれしく思います。今日の時代はもはや初等数学の時代じゃない。高等数学の時代でもない。微分積分の時代であると思うのです。微分積分の上に生きていかなければならぬ時代である。従って、国
会議員でも高等数学のできないような国
会議員は、大体落第させてもいいというようなことも言えるほどのむずかしい時代でないかと思うのです。従いまして、
日本社会党の言うことに対しても、われわれもまた社会党であるばかりでなくて、
日本社会党です。
日本の祖国を愛する勤労者の党の声として、また
日本社会党の同僚諸君の学歴は、あるいは保守党の諸君よりも統計上からいいますと上ではあるまいか。こういう自画自賛を申し上げてまことに恐縮ですけれ
ども、社会党の方でもまあまああれならよかろうというような線を保守政党に出していただきたい。平和と
民族の安全保障に関する限りは、お互いに兄弟姉妹なんですから、虚心たんかいに語り合って、最後に時間がありませんから申し上げたことの項目だけを申し上げまするから、お答え願いたいのです。
アメリカの極東戦略と
日本の
防衛戦略について深く話し合ったことがあるか。それから
日本における
アメリカ軍の配置
状況について、
防衛庁長官及び幹部は、その詳細を明らかにしておられるかどうか。おられるとするならば、秘密
会議でも開いて私は一度伺いたいと思います。また
アメリカの
基地の配置
状況について、それが近代戦略から見て妥当であるかどうかということを十分に検討したことがあるかどうか。そして今後
安保条約を改定のときに、われわれは
安保条約の全面的廃棄を主張するものですけれ
ども、保守政党の
立場としてやむなく
安保条約を残すとかりに想定した場合に、その配置について
日本の戦略的考慮から、これについて
日本側の
意見を述べて指図する権能を持つ。または
日本の
基地から他国に
出動するときには、必ず
日本政府の許可を必要とするということを盛り込む
意思があるかどうか。またもと驚くべきことは、
日本の海辺の魚のとれるところが演習地に使われている。その演習地の名前が、五島列島に行って驚いた。フォックストロット地域、ホテル地域、ゴルフ地域、こういう名前がついておる。フォツクストロットならロスアンゼルスで踊ったらよさそうなもの。踊る場所がないならキャバレーかどこかで、適当当にそこらあたりの処女林ででも踊ったらよろしいでしょう。それをブリのとれるところ、
日本民族の蛋白質供給源のところで、フォックススロットを踊る必要はない。そういう演習は、子供だましのような新撰組や新徴組のような演習は、
ミサイル時代に過去の惰性でやっておるのでしょうから、カリフォルニアの沖合いあたりでやればいいのであって、全部そういうくだらぬ演習地は再検討して断わる
意思があるかどうか。ホテル地域、ゴルフ地域に至っては笑止千万だと思う。ゴルフはゴルフ場でやればいい。ブリの漁業地でゴルフをやる必要はごうもないと思う。一体そういうものが至るところにあること、そういう奇っ怪にして侮辱的なる名称がついていることを
防衛庁長官や
外務大臣は御
承知か。従いまして、これは徹底的に再検討していただきたい。同時にこういうことがきまったのは、そもそも行政協定です。一厘の税金を上げるのでも国会の承認を必要とするのに、
国民の権利と義務に対して至大の
関係のあるこれらの問題が、行政協定ということで楽屋裏でばたばたときめられる。私は気骨ある保守政党の諸君も、こういうことに賛成するはずはないと確信するものです。従いまして、行政協定の問題についても、国会の承認を得る
意思があるかどうか、これらのことをお尋ねしたい。
さらに、最後に三十六計逃げるにしかずという
言葉もありますけれ
ども、地球は狭いので簡単に逃げるわけにもいかないでしょう。私は
日本の
防衛のために一番いいのは、
アメリカの上院議員の奥さんを立川の
基地に全部来てもらうのが一番いいと思う。そうすれば、彼らはもっと慎重になるでしょう。われわれの妻子を非常事態のときに全部カリフォルニアに疎開させる
意思があるかどうか。それだけの準備なくして
アメリカから六千キロかなたにある前戦
基地、補給
基地、そうしてだれが見ても——
世界のあらゆる戦略家が、
日本を一週間の犠牲
基地と言っているじゃないですか、そういう
状況に身を置いて、そうしてこれまでのような
安保条約の延長では私は困ると思うのです。
アメリカの上院議員の奥さんたちを全部東京に駐在してもらったらいいと思う。われわれの家内はカリフォルニアとかサンサルバドル島に疎開させる。従いまして、三十六計のうちに、われわれに残された唯一の
方法は、戦いはもう済んだのです。始まろうとしておるのではないのです。しかも
原子力、
ミサイルの時代です。私は、国会で
日本の
国民の声、人間の声が速記録に残ることは必要だと思うのです。そうして三十六計のうちに、われわれ絶体絶命の敗戦の国に残されておるただ
一つの道は平和の道を諸君とともに手探りで探し求める、そのためにあらゆる
努力を傾注する、これが私は最高の
防衛であると思うのです。こういう観点からして、
安保条約の改定をお急ぎにならずに
一つ野党の声をゆるゆる聞し召されて、
国民の世論をよくお聞になって、またインドや
アラブ諸国の忠言も耳にされて、そうしてこの問題に対して慎重な
態度、対策あらんことを切に要望します。また、私は先日李ラインを見学して参りました。あの不幸な事態を見るにつけましても、私は外務省のこういう問題に対する御熱心さが足らないと思いました。もう漁期が始まりますから、早くあそこには巡視船を回していただきたい。また乗組員の生命を保護するための多少の法律的措置を急いでいただきたい。そのために今日は大蔵省の方にも来ていただきましたから、大蔵省の諸君は、こういう重要な問題については、もっと深い認識を持っていただきたいと思います。また韓国から釈放されました漁民の八割近くの人はまだ病気です。私は病人は一割くらいだと思っていましたら、八カ月たった今日八割までが病気です。それらの人たちに対する社会保障の充実等については、
戸叶議員または大西議員等が詳しくともに調べて参りましたので、逐次あとで御質問もし、要望もすることと思いますが、即時
解決していただきたいと思います。
最後に、昨日でしたか、大村収容所で李柄南という一人の朝鮮人が自殺をはかりました。幸い命は助かりましたけれ
ども、私が調べたところによりますと、南に行くか北に行くかということでノイローゼの状態になっているのだと思います。これは
外務大臣が今までにはっきり声明されましたように、北に行く人は北に行く、南に行く人は南に行く、その国際公法によって承認された
意思を
日本政府がみだりに干渉したり曲げたりするはずはないと思いますけれ
ども、それに対する不安を感じて、収容所の中にいろいろな不安動揺が起っていることを私は見て参りました。従いまして、日韓会談は開かれておりまして、多少の弾力性ある措置も必要でしょうけれ
ども、国際公法に規定されております神聖なる義務と道徳的権威だけはくずさないということは、
アジア諸国に対する信頼にこたえるためにも必要なことでありますから、その一線はくずさないということを
外務大臣に言明していただきたいと思います。幾つかの
条項を申し上げましたが、それにつきまして具体的な御答弁を伺うことにいたしまして、それについての私の再質問は次の機会に回さしていただくことにいたします。