○
岩崎説明員 引き続きまして
国難車の
技術水準はどの
程度のものであるかということを御
説明申し上げたいと思います。
新型の車が発売される前に私どもの方で
新型自動車の
審査をいたしておるわけでございますが、そういう際に詳細な
データをとっておりますので、そのうちから代表的な
数字を若干申し上げてみたいと思うのでございます。わかりやすく
自動車の
性能で比較いたしますのには
走行性能でお話するのが一番手つとり早いのじゃないかと思うのであります。その
最後のページに「
国立座卓の
性能について」というプリントがございます。それで
最高速度が、この表に書いてありますように一九五〇年と一九五八年と比べてみますと、
相当の向上を示しておるわけでございます。たとえば
一般用の
バスにつきましては、一九五〇年当時は五十キロないし七十五キロであったのでございますが、現在では七十キロないし九十キロに及んでおります。それから最近いろいろと
高速道路が近くできますので、この
高速車両についての研究がされておるわけでございますが、最近試作されたもののうちでは九十キロないし百十五キロに及ぶものが現われておるわけでございます。それから
普通トラック、これは俗称の
通り大体五、六トン
程度までの
積収量のものを
普通トラックと書いたわけでございますが、これも最近では七十五キロたいし百キロ
程度までの
最高速度を示しておるようになっております。
大型トラックと申しますのは、七、八トンから十トン
程度までの非常に大きな
トラックでございますが、これがやはり以前から比べますと二十キロ
程度スピードが上っております。
三輪トラックは車の
性能上そう上げることもできないのでありますが、十キロ
程度は上っております。特に
小型四輪
乗用車、いわゆるプリンス、
トヨペット、オースチン、
ヒルマン等のクラスでありますが、これは
最高百二十五キロを示すものが呪われておるわけでございます。このように
最高速度については非常に
性能が上っておるわけでございます。
それからもう
一つ加速性能、この
数字は停止から二百メートルまでに達する時間でございます。車をスタートさせて二百メートルまでどんどんと
速度を上げていってそれで二百メートルに到達するのに何秒かかるかという
数字をここに書いておるわけでございます。それで見ますと、これもよくなっております。砕いて申しますと
出足が早くなった、こういうことでございます。これが
一般用バスでは前には二十
ヒ秒ないし三十秒かかったのが、二十一秒ないし二十五秒で到達できるようになった。
つまり五秒
程度速度が向上した。
あと順次そのように短縮時間を示しておりますが、このように
出足も非常に早くなってきております。
それからもう
一つ、わかりやすく
性能を比較する
データといたしまして、
馬力当りの総
重量という
数字をとっておるわけでございます。
つまり車の重さの
割合に
馬力が非常に大きくなっておる。逆に言うと
馬力が大きくなっておる。言いかえますと
エンジンの
性能が向上しまして
馬力が非常に出るようになった。そうして
設計製作技術が進歩しまして車が軽く作れるようになった、こういうことになるわけでございます。それがこの
数字に端的に現われておりまして、
馬力当りの
重量が
相当程度軽くなってきておるわけでございます。従いましてそれだけ
スピードも上るし、
出足も早くなるし、それから追い越しも早くなるというようなことに、いわゆるのろのろした車じゃなくて非常にスピーディな車になって参ったわけでございます。
なおこういう
数字以外に二、三の例につきまして、たとえばどの
程度あるかという具体的の例についてほんの一例で申し上げますと、富士重工が最近作りました
スバルという軽四輪
自動車がございます。これは小さいもので、まだ町ではあまりたくさん目についておりませんが、
分類は軽四輪に属するものであります。この
最後の表に
乗用車の規格というのを書いておきました。これに
小型四輪車と軽四輪車というものの
車両法に基く効率上の
分類があるわけでございますが、長さ、幅、高さの
限度を示しております。それから
エンジンの大きさが一・五リッター以下とかあるいは〇・三六リッター以下というようなきめになっておりまして、
運転免許証ないしは
自動車税等もこれによって
分類されておるわけなんでございますが、この軽四輪の範疇に属するもので今申し上げました
スバルというものは、
エンジンの大きさがちょうど
限度一ぱいの三百六十立方センチでありますが、これで車の
重量は三百六十キロで非常に軽くうまく作っておるわけでございます。そうして
最高速度が八十三キロ出ますし、
馬力は十六キロ出ます。これを換算しますと、一リッター当り四十五
馬力ということに
相当いたしますので、これはこの
程度のクラスならば世界の
水準に十分に達しておるということが言えると思うのであります。それからよく御承知のプリンス・スカイラインでございますが、この
エンジンの大きさは千五百ccをちょっと欠けた千四百八十四ccという大きさでございますが、これで六十
馬力を出しておるわけでございます。これはまあこの
程度の大きさの
エンジンで六十
馬力を出しているというのは、ヨーロッパでももう超一流
水準を行っておる
程度の
性能でございます。最近新三菱が技術提携いたしまして、ウイリス・ジープの国産化をやっておるわけでありますが、その
エンジンはもともとは
ガソリンでございますが、それをディーゼル・
エンジンに置きかえたものが最近作られております。それは、こういう
小型の
エンジンのディーゼル化ということは非常に技術的にむずかしいのでございますが、よくそれを克服いたしまして、二千二百ccの大きさの
エンジンでありますが、それが六十
馬力を出しております。まあディーゼル・
エンジンのメーカーの世界的にトップ・レベルといわれているドイツのベンツが、リッター当り二十四・九
馬力というのが、これが今まで
最高と言われておったのでございますが、この新三菱はリッター当り二十五・五
馬力を出す
程度の
性能でございまして、世界
最高水準に達しておる。なお最近トヨタがモーター・ショーにも出したのでございますが、これはさらに千五百ccの
エンジンでもって四十
馬力を出すというようなことでございまして、この
小型ディーゼル・
エンジンの製作におきましても、
日本は
最高の
水準を示しておるわけでございます。さらにきょうの午後御視察されるそうでございますが、いすずの
自動車では
大型のディーゼル・
エンジンで約六千百二十五cc
程度のもので百二十
馬力を出しております。リッター当り二十
馬力に
相当するわけでございまして、これも世界的に誇っていい
水準の
エンジンでございます。このように最近の
国産車の
性能というものは飛躍的に上りまして、あるものについてはもう世界の
最高水準に十分達しておるというように進んで参っておるわけでございまして、先ほども
通産省からお話がありましたように、今や
輸出というような段階にいっておるわけであるのであります。
しからば
一般に
外国車との比較はどうかということにつきまして若干敷衍的にお話申し上げますと、このように先ほど申しましたように
国産車の
性能は飛躍的に進んで、あるものはもう世界的にも
最高水準に達しておるものもあるのでございますが、この車、特に
乗用車について見ますと、これは
日本では
日本の
道路事情等から見まして、どうしてもがんじょうに作らざるを得ないというようなハンディキャップもあるわけでありますが、また
乗用車の製作ということにつきまして、どうしてもまだ経験、技術その他が不十分な点があることもいなめないと思うのであります。やはりちょっと目につきまするのは、たとえばオースチンとヒルマンがそれぞれ技術提携をいたしまして、国産化をいたしておるわけたんでございます。ですからそれらの車はヨーロッパの
水準を示しておる車と言っていいと思うのであります。それからスカイライン、
トヨペットは純国産で生まれたものでございます。それらと比較しても、あるいはその他——
アメリカの車は大きいので
日本との比較になりませんが、ヨーロッパの車と比較いたしまして、
日本の車はまだ重さが重い、
エンジンはいいが重さが重いということがあるのでございます。たとえばいわゆる中型車と称するものが、国産のものは大体重さが千三百キログラムくらいでありますが、欧州車においては大体千七十キログラム、それから四人乗りの
小型、たとえばダットサン、コロナ級でありますが、これが国産のものは九百五十キログラム
程度とすれば、欧州のものは七百五十キログラム、そういう点からいうと、結局重い車を走らせるものでありますから、
走行性能その他においてどうしてもハンディキャップがつくのでございます。今後この点につきましては、軽くすれば鋼材の使用量も減って参りますし、材料費も安く済むという点もございます。燃料
消費量も少くて済む、
スピードも上ってくるということがありますので、この点まだ
国産車としては努力していただかなければならないとわれわれは思っておるわけであります。従いましてまだ
最高スピードで、一部には
最高が百二十五キロに達するものもできたのでありますが、全般としては高速
性能において劣っておる。これは
日本の使用条件が御承知の
通りた状態でありますからやむを得ない点でございます。従って
最高スピード、加速の
スピードあるいは高速時におけるハンドルの安定性、走行の安定性ということについては、今後大いに研究する問題があるわけでありまして、やがて高速
自動車道もできることなんでございますので、この点につきましては
相当の勉強をする必要が、
乗用車のみならず
トラック、
バスにつきましてもあるわけなんでございます。ただ残念ながら
日本では高速車を作っても試験する
道路が現在ないわけでありまして、たまたま路上で警察の了解を得たりして、まあないしょでちょいちょいやっておるという
程度なんで、まことにその点は不十分なのでございます。これは
輸出等の問題も考えますと、当然そういうことについては十分に配慮をしていかなければいかないのではないかと思っておるわけであります。
それからもう
一つ値段の問題でございますが、やはり
日本は
欧米諸国から見ますると
相当値段が高い。昨日の朝日新聞の夕刊に
アメリカの車の値段が出ておったようであります。たしかあれは、車は忘れましたが、とにかくある
一つの車、
日本でいえば
大型車でありますが、二千ドルで売り出しておる。二千ドルというと七十二万円です。その他欧州車の価格から見ましても、まだ特に
乗用車においては価格のハンディキャップが
相当あるのでございます。この点はもう少し克服していかなければいかぬ点じゃなかろうかと思います。
以上で簡単に
国産車の
性能的の
技術水準についての
概況の御
説明は終ります。