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1958-10-24 第30回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月二十四日(金曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 木村 俊夫君 理事 長谷川 峻君    理事 堀内 一雄君 理事 土井 直作君    理事 正木  清君       川野 芳滿君    菅家 喜六君       小泉 純也君    關谷 勝利君       前田  郁君    三池  信君       久保 三郎君    島口重次郎君       杉山元治郎君    中崎  敏君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君  委員外出席者         運 輸 技 官         (港湾局計画課         長)      東   寿君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  八木 利真君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      川村 満雄君         日本国有鉄道常         務理事     石井 照正君         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 十月二十二日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  永井勝次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  伊藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月二十一日  陸前中田を南仙台に駅名変更請願竹谷源太  郎君紹介)(第八四六号)  磐越東線の輸送力強化に関する請願武藤武雄  君紹介)(第八四七号)  常磐線複線及び電化促進に関する請願武藤  武雄紹介)(第八四八号)  野岩羽線敷設促進に関する請願武藤武雄君紹  介)(第八四九号)  関西本線複線電化に関する請願江崎真澄君紹  介)(第九五二号)  中央線列車運転区間延長並びに接続時刻改正に  関する請願小沢貞孝紹介)(第九五三号)  同(中澤茂一紹介)(第九五四号)  同(松平忠久紹介)(第九五五号)  甲府、長野間国鉄電化並びに輸送力強化実現に  関する請願羽田武嗣郎紹介)(第九五六  号)  信越本線改良促進に関する請願羽田武嗣郎君  紹介)(第九五七号)の審査を本委員会に付託  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運及び海運に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  陸運及び海運に関して調査を進めます。天野君。
  3. 天野公義

    天野(公)委員 運輸省伺いたいのでありますが、聞くところによりますと、今回運輸省当局は、臨海工業地帯を開発するという構想のもとに、臨海工業地帯造成公団というものを設けて、工業用地造成、またはこれに付帯する港湾施設整備をはかる計画を練っておるようでございますが、その構想概要をまずお伺いしたいと思います。
  4. 東寿

    東説明員 お答えいたします。運輸省では前々から、臨海工業地帯造成につきましては、港湾収益事業というワクの中で、起債あっせん港湾整備促進法でいたしまして、現に、二十八年以来工業地帯造成をやって参っております。本年は約四十億というものを——港湾整備促進法による基本計画でございますが、基本計画閣議で決定していただきまして、これを実施いたしております。  現在までできました工業地帯は、それぞれ会社がきまりまして、非常に効果を発揮いたしておりまして、それぞれ収支を償う適切な運用をやっておるのでございます。ところが、現在実施いたしておりますものは、会社誘導ということに全力をあげておりますが、それに対しても危惧がございます。また工業用水道その他の施設がこれに伴うかどうかということについても、多少の疑念を持って参りました。そういうようなことを考えまして、通産省工場誘導、それから工業用水道通産省所管となっておりまして、それに対して助成をいたしておりますが、その通産省における二点と、私の方の運輸省におきます土地造成臨港港湾施設というようなものをあわせまして、これを総合的に実施することを考えるのが一番適切ではないかというので、通産省と共同で、今御指摘のありました臨海工業地帯造成公団というものを計画いたしまして、来年度予算にそれぞれ要求をいたしております。  その構想を申し上げますと、新長期経済計画におきまして、三十七年度に示されました鉱工業生産指数というものは、三十一年度に対しまして約六割増ということが見込まれております。これを重化学工業に対して見ますと、約八五%というものが増に考えられております。これを土地について通産省といろいろ考えてみますと、少くとも一千万坪程度臨海工業地帯が必要ではないか。この臨海工業地帯になるのは、軍化学工業海上輸送というものを対象にして原材料輸送をやるのでございますから、当然に港湾に敷かれるようなものであるものですから、臨海工業地帯一千万坪という構想が出てくるわけでございます。そういうような情勢になって参りましたので、先ほど申し上げましたような趣旨によって、公団でそういう総合的な立地条件整備いたしまして、工場適地誘導とあわせて産業配置適正化合理化ということに資したい、こういうことでございます。そのやり方はまず初めに通産、運輸両大臣が相談をいたしまして、工業合理的配置に即応する臨海工業地帯整備計画というものを作りまして、閣議でこの決定を求めます。その整備計画工業用地造成計画港湾施設整備計画工業用水道整備計画そのほか臨港交通施設等の総合的な整備計画を決定するわけでございます。そこで今申し上げましたものが公団の直営の事業及び融資事業二つに分れて実施をされるのでございます。公団通産省における工場適地誘導工業用水道運輸省土地造成港湾施設造成等をあわせ行いますので、両省から独立いたしましたコーポレーションとしてこれを作るということにしております。公団で行う計画はその埋立地造成いたしましてそれを譲渡いたします。それから工業用地に供するための港湾施設、これは道路であるとか鉄道でございますが、それを整備いたします。それから造成される工業用地をおもな給水区域とする工業用水道の布設をいたしましてそれを管理いたします。そのような事業公団の内容となっております。そこで公団事業計画は、先ほど申し上げました五年間で約一千万坪の造成計画するのでございますが、この全体計画事業費にいたしまして約四百六十一億となります。その中で先ほど申し上げましたように、港湾収益事業という地方起債ワクあっせんをいたしまして、すでに公共団体実施をいたしたものを引き継ぎまして継続します分がほとんど大部分でございますので、三十四年度におきましては約二百二十七万坪というものを実施する計画として要求をいたしております。この事業費は百二億でございます。この資金につきましては約半ばを政府投資及び政府資金運用部資金等財政資金の借り入れを充てますが、その半分は公団債をもってまかなう資金計画といたしております。  以上、臨海工業地帯造成公団に対しまして運輸省計画いたしておりますところの概要を申し上げました。
  5. 天野公義

    天野(公)委員 そういたしますと、現在、この構想で進んでいくのでありましょうが、おもな対象土地というのは一体どこになりますか。
  6. 東寿

    東説明員 お答えをいたします。まず一番大きなものはとにかくといたしまして、現在引き継いで継続として実施いたしております分、つまり先ほど申し上げました起債としてあっせんをいたしております分、これはその計画も当然引き継ぎになります。ところが府県公団事業ということに引き継ぎをいたしませんで、自分の方でやりたいというものは、これは今までのやり方あるいは公団融資でもって続けることとなります。そのほかに通産省と今計画をいたしております大きなものにつきましては、まだ会社そのものと話もいたしておりませんが、構想といたしましては例の製鉄基地に対する埋め立て、つまり名古屋方面東海方面における建設予定地、あるいは四日市における製油工場埋め立て、広島における機械工業埋め立てというようなものが考えられております。それからまた八戸、塩釜、久慈、堺、高知、八代、鶴崎、これらは今までも継続をいたしております分でございます。そのほか千葉東京横浜等、これは現在も各府県が、それぞれ先ほど申し上げたようなもので事業実施いたしておるものでございます。
  7. 天野公義

    天野(公)委員 ちょっとお伺いしたいのでありますが、東京港でその対象になっているところがありますか。
  8. 東寿

    東説明員 お答えいたします。東京では例の大井地区で約三十五万坪というものを計画いたしております。それは、ちょっと御説明しておきますが、大井地区は、今東京港が約二百万トン程度の増を毎年いたしておりますが、これに対する将来の埠頭地区として計画をいたすのでございます。東京港は都内の消費を対象とするものでありますから、工業原材料その他のものの二百万トンの増というものは、それぞれ都内既設工場生産原材料の増であります。そういうような意味で大井地区にその埠頭というものを建設いたしておりますが、東京港の特徴といたしまして、当然そのうしろ工場地帯もあわせて計画することが必要でありますので、その分を計画いたしております。
  9. 天野公義

    天野(公)委員 次に問題を変えまして高潮防御の問題についてお伺いしたいと思います。ちょうど東京都の江東地区東京港に直結をいたしておるところであります。三角デルタ地帯、こういうことになっている地帯でございますが、ちょうどそこに港湾局所管堤防を作り、また閘門を作ろうという計画で進んでいるわけでございます。そこで来年はたしか水閘門を二カ所でありましたか建設をしよう、予算はたしか九億三千万、このように記憶しておりますが、そういう方針で運輸省港湾局は進んでおられますか、その点をちょっとお伺いします。
  10. 東寿

    東説明員 お答えをいたします。お尋ね通り計画をいたしまして、御指示の上にありました九億三千万円というもので、三十二年から実施いたしております護岸の引き続き及び水門防潮堤の築造をするように要求中であります。
  11. 天野公義

    天野(公)委員 水閘門堤防は、一体現在のあれでいきますと、何年で完成する予定でございますか。
  12. 東寿

    東説明員 お答えをいたします。三十二年から開始をいたしておりますが、三十七年までに水門閘門及び全体のプラス六メートルにあります防潮壁、これを完成するのが今の計画になっております。
  13. 天野公義

    天野(公)委員 堤防水門ができるということになりますと、予定線で参りますならば、ちょうど海の中にできるわけです。そしてそこを埋め立て地帯ができると思うのですが、そういう点はいかがでありましょうか。
  14. 東寿

    東説明員 お答えをいたします。お尋ね通りでございます。陸上部分をずっといたしますと、それよりもある程度ずっとまっすぐに現在水面でありますところに壁体を作る方が工事費につきましても安く上りますので、そういう計画をいたしております。
  15. 天野公義

    天野(公)委員 運輸省港湾局の方では、三十二年から三十七年の間に南の方の水閘門並びに堤防建設するということになっておるわけでありますが、建設省の方にちょっとお伺いをしたいのであります。ちょうどその続きのいわゆる江東地帯外郭堤防、これも五カ年計画でやっておるようでありますが、運輸省とのいろいろな連絡もございましょうし、また現在持っております計画は一体どういう工合になっておりますか、お伺いをいたします。
  16. 川村満雄

    川村説明員 お答えをいたします。外郭堤防の問題につきましは、東京都で相当調査をいたしまして一応の計画はできたわけでございますが、われわれの方といたしましては、河川関係からいたしまして十分計画を検討しなければならぬ。それは隅田川流量が非常にふえるというような実情もございますし、この二十二号台風におきましても石神井川、神田川そういう河川が非常な大出水で、隅田川に対する流量を増加しておる現状でございますので、隅田川流量をどういうふうにきめるかということで、昭和三十一年から調査費がつきまして調査をしているわけでございますが、大体三十三年度で調査が終ったわけであります。それで調査だけやっておって仕事をやらなければ、現場は非常に困る点が出てくるというので、公共事業費として事業予算がつきましたのは昭和三十二年度が最初でございまして、昭和三十三年度に国費で五千万円、昭和三十三年度に国費で八千万円、それは事業費に対しまして三割補助であります関係上一億三千万円、三で割りますから、四億何がしかの金が公共事業費でついたわけでございまして、その金によりまして水門工事をわれわれの方としては着手しておりまして、いろいろな計画に支障のない水門最初に取り上げたい、こういうことでやっておりまして、大体大島川の水門一つは本年度で完成いたしますし、現在着手しておりますのは仙台堀川と竪川、水門は三十三年度に新規に着手しておりまして、あと三つないし四つの水門が残っておるわけでございますので、それは三十四年、三十五年の二カ年で水門は完成いたしまして、外郭堤防といたしましては三十四年以降五カ年の間で完成する予定になっております。  工事費といたしましては、東京都で立てました計画は、水門外郭堤防とあわせまして河川局所管分といたしまして、三十九億を東京都としては計上しておりますけれども河川局としていろいろ調査した結果、それをもう少し十分に検討して数字を固めたいというので調査が終った結果によりまして、今盛んに計画を立案中でございますので、計画に無関係水門のみを現在先行している実情でございます。簡単でございますが、お答えいたします。
  17. 天野公義

    天野(公)委員 港湾局の方とよく連絡をとって、できるならば同時に完成するようにやっていただきたいと思います。  それから堤防の高さの算定は一体どういう工合になっているのか。今の計画でございますと、大体六メートルという計画をされているようでございますが、特にこの地帯は明治の末年あたりから地盤沈下が非常に激しくなっております。従って、今後もやはり地盤沈下というものを考えなければならない。そうした場合に堤防の高さというものは非常に大きな問題になるわけですが、年間生産二千億といわれているような地帯でございます、また低地帯という面を考えて参りますと、堤防の高さということは重大な問題でございます。この間ちょっと新聞で学者の方方が集まって今後一年ないし一年半で地盤沈下がとまるのではないかというような結論を出したということをちらっと見たのでございますが、そういうことが推定されるのかどうか、そういう点もあわせてお伺いしたい。
  18. 川村満雄

    川村説明員 今の点につきましてお答え申し上げたいと思います。河川局といたしましては、東京都に対しまして通牒を出しまして、江東地区においては地下水の採取によりまして地盤沈下を促進している現状について、東京都はどういうような対策を持っておるか、将来工業用水をどうするか、そういう問題について十分に東京都として対策を講じないうちに外郭堤防工事をやっていくとすれば、地盤沈下がますます増加していく現状で、それと同時に工事を進めていくという相矛盾した結果ができるので、東京都としてはどういうような対策を持つかを質問しておりまして、まだ東京都から回答をいただけないような状態になっております。
  19. 天野公義

    天野(公)委員 この地帯地盤沈下工業用水のくみ上げということが一番大きな原因だということがはっきりわかっているわけです。従ってこの工業用水をどうするかという問題と、低い地帯でございますから当然排水ということが考えられなければならぬ。港湾局所管堤防を作りましても同様のことが言われると思うのであります。排水工業用水とを一体今後どうするか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  20. 川村満雄

    川村説明員 お答えいたします。工業用水につきましては、通産省所管になっております関係上、建設省といたしましては、極力工業用水の手当は通産省がやるべきではないかという慫慂はいたしておりますけれども所管が違いますから通産省の御意見を聞いていただきたいと思います。
  21. 天野公義

    天野(公)委員 通産省意見を聞けというお話でございますけれども通産省の方がお見えになっておりませんので、今ちょっと聞けませんが、港湾局並び建設省においては、非常に大きな予算を投じて港湾設備計画を持っておるわけですし、しかも非常に災害が頻発しておる地帯でございますので、外郭堤防並びに水閘排水設備の完備ということはきわめて重大なことでございまして、早急にこの対策を立てて実行に移していただきたいと思います。  次に運輸省にお伺いしたいのでありますが、昨今非常に東京港というものが発達をしております。しかもこの低地帯発達というものは、非常に盛んになってきたわけであります。そこで小名木川の方に国鉄貨物線が入っておりますが、ずっと線路が延びて晴海阜頭の方まで国鉄路線というものが一応措軌道が延びておるというような状況です。従って、今後この晴海の方に入っている臨港線貨物営業線に切りかえるようなお考えはないか。そういう点について一つ伺いいたしたいと思います。
  22. 石井照正

    石井説明員 ただいま御質問のございましたように、江東地帯、特に晴海豊洲という方面が非常に発展して参りまして、ただいま国鉄の線は亀戸から分岐いたしました小名木川駅から入っております。現在のところ、いろいろの専用線もございますが、主として東京都の専用線として運営されておるのであります。これの増強計画もいろいろ拝聴いたしておりますし、またその点についてのいろいろのお話も承わっております。私の方といたしましては、御承知のように営業線でいくか専用線でいくかということは、その線を使用する状態が一般的な公共に開放されておるかどうか、特定の荷主さんだけでお使いになるのかどうかという点で決定しなければならないのでありますが、ただいまのところ晴海埠頭線あるいは豊洲の線というようなものにつきましては、営業線あるいは公共臨港線という扱いもございます。あるいは今までのように専用線でいくかということにつきましては、ただいま運輸省におきまして臨港線協議会というものを私的な——私的なと申しては何でございますが、そういう関係官庁並びに私どもの方も入れていただいた打合会を持っておりまして、港湾局鉄道監督局と私の方と一緒に御相談申し上げておる機関がございます。そういうところで東京都も加えましていろいろ御相談を申し上げておる最中であります。今後におきます出荷の見込みと、これに応じましてどういう作業成績であるか、あるいはこの線を御利用になる方々の性格が公共的なものかどうかというような点をいろいろ考慮して解決していきたいと思っております。さしあたり小名木川からは今は専用線扱いをしておりますが、途中の越中島というところまでは私の方の営業線として扱うことにきめて、近いうちにそういう措置をいたしたい、こういうように考えております。
  23. 天野公義

    天野(公)委員 仄聞するところによりますと、その線をずっと延ばして、総武線東海道線新橋あたりでつないでいこうという遠大な計画もあるようでございますが、そういう点の話が出ておりますかどうか。
  24. 石井照正

    石井説明員 現在の東京都の晴海埠頭線を延長いたしまして、これを現在の芝浦でございますか、俗に月島線と申しておりますが、これで汐留の方に結ぶというのは構想としてはあるわけでございます。しかし、いろいろ具体的な技術的な問題として、現在の線をそのまま延長することが可能であるか、あるいはやはり別の線路計画しなければならないかという点は技術的な問題としてはまだ十分検討されておらないわけであります。いずれにいたしましても、その線を結ぶということは、これは江東地帯並びに京葉工業地帯の発展のために必要なことであることは申すまでもございません。この点については東京都の方でもいろいろ御計画もあるようでありまして、まだ具体的な段階に入ってはおりませんが、そういう構想というものは当然あり得るし、またそういう方面についてわれわれも研究を進めて参りたい、こう考えております。
  25. 天野公義

    天野(公)委員 これは私の感じの問題でございますが、現在総武線関係千葉鉄道監理局所管になっているわけであります。その関係で、今の専用線越中島まで延ばす、また晴海の方まで新しい線でやるか今の線でやるか、これは将来のことでわかりませんけれども、延ばすというようなことになって参りますと、千葉鉄道監理局の線が銀座の裏までずっと延びてくるというようなことになるように考えられるわけであります。そこで、私は首都圏の方も今担当しておるので東京都内をいろいろと考えているのでございますが、総武線の方がなかなか発達がおくれている。その一つの大きな原因は、東鉄管内千葉鉄管内で非常な落差があるというふうに感じられるのです。あるいは関東支局でやっているのだからそれはいいのだという議論もあるかもしれませんが、できるならば千葉からこっち側は東鉄管内にでも入れて、そうして首都圏というようなものとのにらみ合せによって、東京都を中心とした交通網、また貨物線網整備ということを一貫して考えていった方が、首都圏発達のためにもいいし、国鉄としてもある程度合理性があるのではないかというふうに感じているわけでありますが、こういう点いかがなものでありましょうか。
  26. 石井照正

    石井説明員 お言葉のように、ただいまのところは隅田川向う千葉鉄道監理局管内になっております。これは御承知のように沿革的には、東京鉄道局という昔の鉄道局時代には東京新橋、上野の二つ管理部に分れておりましたし、また隅田川向う千葉管理部というものに分れておりましたが、全部東京鉄道局で一括して見ておりました。それをいわゆる組織改正によりまして監理局という制度ができましたために、一時監理局と本社とが直結いたしておりましたときにおきましては、東京都内の問題において千葉監理局でいろいろ仕事をするというときには、地元の方々にも御不便な点も確かにございましたし、あるいは一貫した構想が持てないというような御指摘のような欠陥もないことはなかったと思うのであります。昨年支社制をしきまして関東支社がいろいろ管下の鉄道監理局仕事中心になるということを確立いたしましたときに、こういう大きな大改良計画というようなものは鉄道監理局という現場管理組織でやるということは必ずしも適当でない、そういう計画業務はもっと上の広域的な所管を持っているところでやるべきだということで、そういう改良的な問題、非常に根幹となるような構想というものについては、各社とも全部支社中心になって仕事を進めていく態勢になって参りましたので、この点につきましては、今後御指摘のようなことは割合に少くなるんじゃないかと思うのでございます。ただそれにいたしましても一つにまとめた方がいいのじゃないかという御議論はまだ依然として残るかと思います。やはり監理局所管がえその他という問題は、いろいろ現場を持っております関係上簡単には参りかねる事情もあります。なお一そう研究いたしたいと思いますが、とりあえず私どもは、支社改良計画支社中心仕事を進めていくという態勢で、現にそうなっておりますので、今後はそういう一貫した構想十分検討をいたすことができることを信じておる次第でございます。
  27. 天野公義

    天野(公)委員 その所管がえの問題はよく御研究を願いたいと思います。  なお、東京港の整備ということは非常に重大な問題でございます。東京の玄関である東京港の整備ということは、経済価値からいいましてもいろいろな産業を背後に持っておる地帯でございますので、その施設の充実ということは大問題である。そこで今お伺いした鉄道の問題もそれに関連をしてくる問題でございます。それから港湾の諸施設整備ということももちろんやらなければならない。またそれと同時に、東京港には、北の方でございますと隅田川または荒川放水路というような大きな川がどんどん土砂を流してくる。そして長い間浚渫をしておらなかったので河床が上って隣接地帯に非常に危険な状態を見せておる。また隅田川のごときは非常に水が濁ってきたない、またその臭気は非常にはなはだしいというような状態でございます。そこで建設省にお伺いしたいのでありますが、隅田川及び荒川放水路の浚渫、こういう面はどうなっておるか。また港湾局にお伺いしたいのでありますが、東京港の整備並びに東京港内の浚渫というものはどういう工合になっているか、この点をお聞きしたいと思います。
  28. 川村満雄

    川村説明員 お答えいたします。隅田川の浚渫につきましては、三十三年度に公共事業費といたしまして一億二千万円で浚渫をいたすことにしておりまして、現在東京都において着手しておる実情だと思っております。それから三十四年度につきましても、われわれの方といたしましては隅田川の浚渫二億四千万円の予算要求をいたしておりまして、これによって隅田川を汚濁対策の一環として浚渫したい、こういうふうに考えておりますし、全体計画といたしまして隅田川の浚渫といたしましては、大体数字といたしましては二百二十万立米ぐらいの土砂を浚渫したい、こういうふうに考えておりますから、早晩隅田川の堆積土砂につきましては御要望の通りに相なるんじゃないか、こういうふうに考えております。次に荒川の放水路につきましては、荒川放水路といたしましては全体として沈下がはなはだしくて、昔洪水敷があったところが現在洪水敷がなくなっておりまして、全部水面になっておる、こういう実情でございますので、相当の土砂の堆積が河口においてはあるかと思われますが、全体としてはそう土砂の堆積がないような状態でございますし、そうして河口におきましては、民間におきましていろいろ浚渫事業を現在行なっておるような状態でございまして、建設省といたしましては、現在荒川放水路の河口の浚渫につきましてはまだ調査が不十分でございますから、やる意思はございません。調査した結果によりまして必要があればやりたい、こういうふうに考えておる状態でございます。簡単でございますが……。
  29. 東寿

    東説明員 東京港の修築についてお答えをいたします。先ほども申し上げましたが、東京港の最近の取扱い貨物の増は、毎年二百万トンがどんどんふえておるような状態でございます。その主なるものは、都内工場生産原材料の増でございます。従って、東京港が近代的な港湾修築にかかりましたのがほとんど終戦後のような状態でございまして、前から東京港付近あるいは横浜港からはしけで持って参りまして、川を上って小名木川から工場へ持っていくというようなやり方をしておりましたが、その港湾諸掛りを低減するために、大きな船で持って参りまして岸壁に繋岸する、それから陸路あるいははしけに積みかえてこれを物別に持っていくというふうにいたして、諸掛りを安くする計画をいたしました。当然岸壁の荷役機械化ということが起って参りまして、終戦後豊洲等における石炭埠頭あるいは鉄鉱埠頭というふうなやり方で進めて参りました。三十三年を初年度といたしまして三十七年に至る港湾整備五カ年計画というものを新長期経済計画の裏づけとして、東京港の計画を立てたのでございますが、その主なるものは品川埠頭整備であります。水深九メートル、デッド・ウェート約一万トンから一万五千トン程度の船を岩壁に横づけいたしまして、工業原材料を荷揚げするのに物別に専用化されて荷役が機械化されるというような近代的埠頭整備をその主眼といたしております。それに伴いまして航路の水深増及び泊地の水深増というものをあわせて計画をいたしております。
  30. 天野公義

    天野(公)委員 最後に、ただいままでお伺いした問題についての予算の獲得、それから諸計画の早急な樹立並びにそれの実行という面については、特に各省連絡をとっていただいて、そして早急にやっていただきたいと思います。一応終ります。
  31. 塚原俊郎

    塚原委員長 久保君。
  32. 久保三郎

    ○久保委員 国鉄当局に先にお伺いします。ビジネス特急の問題でありますが、ビジネス特急には大へん事故が多いということを最近聞いております。この事故の原因はどこにあるか、これをまず伺いたい。
  33. 石井照正

    石井説明員 お尋ねは、いわゆる「こだま」号のことだと存じます。「こだま」号は御承知のように十一月一日から営業開始をする予定で、ただいま試運転をしております。その試運転によって保安上の万全を期しますが、またサービス上の点につきましても、もっと改善すべき点があれば改善したいということでいろいろ検討したのでございます。私今はっきりは覚えておりませんが、一番大きなのは、何かパンダグラフに新しい型式を採用いたしましたが、これが思わしくなかったということでございまして、それは全部取りかえを完了いたしております。それから横ぶれが非常に多かったのでありますが、これも原因を追及して改善いたしまして、よくなりました。ただ、こまかな点でいろいろドアのクラッチでございましたか、運転室のすぐそばのドアの錠がかからないという点もまずいのではないかというので、これも直しました。大体主たるものはそういうような点でございまして、微細な点はまだございまするが、これらについてはほぼ二十八日ごろまでに全部整備が完了するという見通しでありますので、十一月一日に営業開始をいたしますときにはほとんど万全の整備をもってお客さんをお扱いできる、こう考えている次第でございます。
  34. 久保三郎

    ○久保委員 二十八日までにはそれぞれ整備ができて正規の運転には支障がないという見通しのようでありますが、大体聞きますと、いろいろな点でこの問題は無理がある。まず第一に速度の点で無理があるのじゃないかという話を聞いております。そういう基礎的な調査試験というものは、すでに試運転開始以来相当の期間になりますが、これまでの間に整備されるのがほんとうじゃないか、こういうふうに思うのです。それから横ぶれが多いが、直ったという話でありますが、横ぶれは車体によるのか、線路によるのか、そういう点も多分にあるわけだと私は思うのです。そういう点を確かめないでおいて、しかも相当速いスピードで走らせるということは、今後に大へん問題が残るのじゃないか。これは私は要望しておきますが、計画通り十一月一日から運転を開始するのでありますから、相当綿密な調査をし、手直しをして、正規に運転開始してからとやかく非難なり何なりが起きないように、前もって御注意申し上げたいと思うのです。これに関連して、今回のダイヤ改正について二、三お尋ねをしたいのです。今回のダイヤ改正はどういう基本方針に基いておやりになったか。  それからもう一つは、一般大衆が一番困る通勤輸送緩和にはどの程度の列車規模なり電車規模なりをもって配置をふやしたか。あるいは全面的なダイヤ改正に伴う要員を含めた施設改善等はどういうふうになっているか。  それからもう一つは車両増備の問題だが、三十三年度の車両増備計画は軌道に乗ってやっているのかどうか。  それからもう一点は、車両増備の問題に関連して民有車の問題であります。この制度は今後も続けていくかどうか。こういう点を含めてお伺いする次第です。
  35. 石井照正

    石井説明員 御質問の項目がたくさんでございましたので、あるいは全部お答え申し上げることをうっかりするかもしれませんが、そのときはあらためて御指摘をいただきたいと思います。  第一に、どういう基本方針で時刻改正を行なったかというお話でございます。今度の時刻改正の要点は、一つは非常に込んでおります長距離列車、これを改善いたしたいと考えておったわけであります。これは昨年までの時刻改正でほぼ列車数も入れましたので、非常な繁忙期はどうにもなかなかお客様の御満足を得るような状態にはなっておりませんが、少くとも普通の時期におきましてはできるだけ十分楽にいくように、こういう観点でやって参りまして、今度は特に鹿児島方面に対する特急と申しますか、長距離輸送のサービスが——今まで特急が長崎と博多までしかございません。鹿児島には二夜行というような非常にスピードのおそい急行が動いております。これをむしろやめて、特急として速い速度でサービスを申し上げる、その方が車両の運用上も経済的であるし、またお客さんも満足するということが一つ。それからいま一つは、全体的にまだスピード・アップの余地があるのではないか、特に山陽、九州方面ではもう少しスピードが出せるのではないかという点もいろいろ支社の方で検討いたしておりまして、その答えも出ましたので、それを織り込んで多少なりともスピード・アップ、特にローカル列車のスピード・アップを考えておる次第であります。それから東北方面には従来特急はございません。いろいろ御要望もございましたので、東北方面に特急を一本設定いたしまして、東北地区内の長距離輸送の方の御便宜をはかるとともに、北海道連絡にもよい設備の列車を作りたい、こういう観点が主でございまして、あまり大きな時刻改正ではございません。  それからもう一つ、先ほどお話の出ましたビジネス特急でございますが、これは東海道線が全部電車になりましたので、全部電車でもって長距離輸送するということにつきましては、従来の電車構造から見ますといろいろ難点があったわけでございます。ところが、技術の進歩によりましてこの難点を相当克服されまして、昨年以来東海道線には東京—名古屋間、あるいは名古屋—大阪間に準急というものを電車で動かしましたところ、非常な好成績でございました。こういうものに基礎を置きまして東京—大阪間の特急は現在「はと」と「つばめ」の二本で、繁忙期には「さくら」という臨時特急も動かしておりますが、非常に御需要が多いわけであります。そういうわけでございますのでもう一往復特急を作りたい、こういうふうに考えておったわけでございます。たまたま電車製作の技術が進歩いたしましたので、電車によった方がいいだろうという観点で、電車によるところの特急を作る。その場合に、電車となれば今までよりもある程度のスピードも上げられるということから、車両の運用東京—大阪間を一日に一往復ということにいたしますれば、同じ車両で今までよりは倍の列車ができるわけであります。そういう点でビジネス特急というような構想東京—大阪間の特急電車を計画いたしたわけでございます。  貨物列車につきましては、これも非常にスピード・アップをして荷主さんの御要望にこたえたいということでございます。いろいろ検討いたしましてできるだけ無用の停車回数—無用と申しては何ですが、今まで用がないのにとまっていたかということになるのでございますが、率直に申しますと、貨物を取り扱う駅におきまして一日に一回停車すればいいところも、全貨物列車が停車しておったというようなこともございます。そういう点について厳密な検討を遂げて、列車回数をふやすというようなことも検討いたしました。そうして貨物列車の速度アップもいたしたわけでございます。これを要するに、今回のねらいは全般的な時刻改正ということでなくして、多少スピード・アップできる点をこの際活用いたしまして、そうして同時に長距離のお客さんの御便宜をはかるように特急を設定いたしたいという点がおもなねらいでございます。  通勤につきましては、これはいわゆるローカル輸送の問題でございますので、この点につきましても十分意を用いてやっております。ただいま私の手元に数字を持っておりませんが、通勤につきましてはこの四月と今度十一月十日からのを合せまして電車が両数にして百数両できます。これを投入いたしまして、一例を中央線で申しますと、現在ラッシュ時間帯は十両編成の電車が動いております。時間帯が三十分くらいかと思いまするが、これを少し延伸いたしまして、この十一月からはラッシュの最盛期の一時間は、全部十両編成の電車を動かすというふうにいたしたい。あるいは横浜線、南武線というような、特に工場通勤者の多いところにつきましては電車をふやすという計画をいたしておりまして、この点につきましてもできる限りの努力をいたしていきたいと思っておる次第でございます。  次に本年度の車両計画は順調にいっているかどうかというお話でございまするが、ただいまのところでは私どもの方で実行計画といたしまして作りました車両政策は順調に参っておると思っております。  なお民有車両は来年もやるかどうかという御質問でございますが、これは来年度の本予算がきまって国会の御承認をいただかなければならないことでございまするが、その見通しが今日はっきりいたしておりませんので、私どもの方といたしましては、できるだけ予算でもって資金の調達を認めていただきまして、それによって順調な車両政策をやって参りたいと思っております。この点の見通しいかんによっては、あるいはまた民有車両というような計画も出てくることもないことはないかとも思います。ただいまでは私どもは来年も民有車両をやるのだというような積極的な気持は持ってはおらないのでございます。
  36. 久保三郎

    ○久保委員 先ほど質問した中で、要員並びに設備の面で、今度のダイヤの改正でどういう工合になっているか、こういう点の答弁が漏れておりますので、その点もお伺いします。
  37. 石井照正

    石井説明員 今回の時刻改正は先ほどお話しいたしましたように、特に全面的な大改正というほどのものではなくして、むしろ若干プラス・アルフアしたという程度でございます。要員及び設備面につきましても、現在各監理局あるいは支社等において、これに伴う手配を完了いたしまして支障なくやっていけるものと思っております。
  38. 久保三郎

    ○久保委員 それから今度のダイヤ改正では、特に要員の問題ですが、そういうことは現有要員によってまかなうということでやっていくように聞いております。そこで問題は、ある線区においては朝早くと夜おそくは駅員が全然タッチしないというような半端な扱いをしているものもあります。これはいまだかつてそういうのはないのであります。昼間のものだけは駅長以下駅員が扱う、こういうのが果していいのか、悪いのか。これはいろいろ議論があるところだと思いますが、少くともそういう要員の問題は、そういう半端な扱いといっては語弊がありますが、今回は異例の扱いをしている面が相当ある。あるいは異例な扱いをしないまでも、たとえば今まで二人で仕事をしていたところを一人でするというようなところがあるように私は聞いております。これはなるほどやればやり得るということでありましょうが、少くとも運転に直接タッチする場合は相当考えねばならぬと思うのであります。特に全般的にスピード・アップされたということでありますから、スピード・アップに伴う危険といいますか、安全度の向上、そういうものについては特に運転をじかに扱う者の人員配置等は適切にやらないと、これは飛行機ばかりではございませんで、相当な事故が出てくると思うのであります。そういう点は今後積極的にされないと、そういう問題から破綻を来たすだろうという点が一つ。もう一つは、先ほどお話の中にありましたが、たとえばローカルの貨物列車で、一日一回もとまればよいのに今までは二回も三回もとまった。これを通過させてスピード・アップをしたというようなこともございましたが、これは反面から見ますれば、いわゆるサービスの低下になるわけです。もう一つは全般的に長距離列車のスピード・アップあるいは長距離列車の増設、こういうことによってローカルの列車が犠牲になるというようなことがまたサービスの低下になっております。そこで私が申し上げたいことは、国鉄はいわゆる公共企業体であります。公共性と企業性を両方持つという相反対のものを二つ持っておる性格です。ところが最近の独立採算制になってからは特に企業性を強調されるように仕向けられておる。これは国鉄自体の自前の中で企業性を発揮させよう、こういうことでいろいろな押しつけというか、それを内部でも外部でも考えておると思うのであります。そこで、ともすれば特に今度のダイヤ改正では、私たちの見ている面では企業性が強く強調され過ぎて、公共性というものがあとに下っておる、いわゆる後退しておるのではないか。そこで日本の国有鉄道としての性格がゆがんできつつある。これは大へんな問題だと私は思うのであります。これに対して国鉄の幹部は今後どういうふうにやっていくのか。企業性を追求して、利潤追求だけに乗っかっていくのがこの際国鉄を守る唯一の道であると思っておるのか、それとも公共性というものが、今こういう時刻改正を契機にさらに後退していく、こういうのをどうしてカバーするのか、いずれをとるのか、一つはっきりこの辺を御答弁願いたい。
  39. 石井照正

    石井説明員 国鉄の経営につきまして、公共性と企業性と相反する面があって、最近では企業性が非常に強くなって、公共性が弱まっているというようなお話がございましたが、私どもは決してそういうように完全にこの二つが別のものである、相反するものであるというふうには考えておらないのでございます。何と申しましても、やはり国の動脈である国鉄の運営をお預かりしておる私どもといたしましては、やはり経営というものを非常に合理化と申しますか、あるいは能率化と言う方が適切かと思いますが、能率化しあるいは近代化いたしまして、できるだけ輸送のサービスの内容をよくする、それから、従ってまた国民経済上もロスを少くするというようなことに向っていくことが私どもの責務ではないかと思っております。そういう意味では、私はそういうことに邁進努力いたしておりますこと自体は、同時に公共の利益に奉仕することにもなるかと思うのでありまして、こういう点について、われわれの一番苦心をしておりますことは、いかに鉄道の経営を能率化してできるだけ安い費用で輸送が完遂できるようにするかという方向へ努力をいたしたい、かように考えておるのでございます。
  40. 久保三郎

    ○久保委員 ただいまの石井務理事の論法からいえば、公共性と企業性は別に相反するものではないという御議論のようであります。ところが今御説明になったような企業自体の中で合理化し、能率化し、サービスを向上するというのは、その範囲ではなるほど相反するものではないでしょう。公共企業体そのものでもそういうものは要求さるべき筋合いであると思います。ただし今私が言っていることは、長距離列車の犠牲のため、特殊な列車の犠牲のために一般大衆がしいたげられている、あるいは小荷主が、あるいは小都市が犠牲になっていくという姿は、これは違うのじゃないか、こういうことなんです。そういう点の代表的なものでは、今の「こだま」号のごときデラックスを走らす、これはまさしく企業性です。公共性ではない。こういうものがいいか悪いかはもちろん論議のあるところでありますが、そのためにその他の通勤輸送が劣悪になってみたりあるいはローカル貨物列車がサービスが低下していくということでは公共性は失われていく、こういうふうに私は思うのです。ここらの見解を、この時期に国鉄はいずれにすべきか、はっきり勇断をふるって結論を出さないと、年じゅう振子のように企業性と公共性の間を行ったり来たりしなければならぬ、こういうふうに思うのです。そういうことで今特に公共性が失われているというのは、閑散線区いわゆる非採算線区で、営業係数二〇〇以上がたくさんある。そういうものの合理化をしていこうという、合理化の半面には結局公共性が失われていく、こういう結果が所々方々に出て参っております。こういうのを国家的な見地から解決しないで、一国鉄内部において解決するところに私は大きな矛盾が出てきていると思うのです。こういう点について、次会でけっこうですから、国鉄総裁からお聞きをしたいと思う。  それから前に戻りますが、今回のダイヤ改正についての全般的な資料を後刻委員長を通じて提出していただきたい。  続いて監督局長にお尋ねいたします。先般の国会のときにお話がありました踏切道の除去の問題、いわゆる立体交差に関する法律の問題、これがこの国会に出てくるやにわれわれは考えておったのですが、出てきそうもないのですが、どういう点で出てこないのですか。
  41. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。前会御説明いたしましたような内容で、実は関係いたします省が多々ありますので、事務的に折衝を重ねておりますが、前会も御説明いたしました通り、問題は二つまだ片がついてない。その一つの問題は、立体交差に改良する場合の費用の分担の割り振りの問題、その二は、平面交差の場合の、いわゆる踏み切りというものにどういう範囲のものを施設として入れて、これを踏切管理者に管理させ、費用を分担するかという問題。ほかに小さな問題はございますけれども、大きな問題としてはその二点でございまして、この点について実は再三再四、あのときに申し上げましたように、ぜひわれわれとしては早期に国会で御審議を願いたいものでございますから折衝しているのでありますけれども、この問題は運輸、警察、建設という方に多々わたりますし、また道路費の関係に大蔵省の方も予算的に若干関係がございますので、何とか間に合せたいと思ってなお努力を続けておりますが、ただいまのところでは、はなはだ残念でございますが、この臨時国会に提出ができない段階になっておりますので、私どもはなお引き続いて最も早い機会に出せるように事務的折衝を続けている、これがありのまま申し上げたいきさつでございます。
  42. 久保三郎

    ○久保委員 大きな問題はやはり費用の問題でしょう。そうしますと、今たとえば国鉄建設省の間には一つの取りきめがあるように聞いておりますが、そういう分野でおやりになる御方針ですか。
  43. 權田良彦

    ○權田政府委員 御指摘通りに、いわゆる国鉄という企業体と、行政庁でなくて国道管理者の立場におきます建設省との間に、立体交差に直す場合の協定ができ上っております。国鉄と国道その他の道路との間には、あの協定で円滑に施行しております。これはやはり根本的には受益者負担の思想が入っておりまして、その方針がきまっておるのでありますが、一方私鉄との間の問題は、御承知通り事業者と各道路管理者の個々のその都度の協定になっておりまして、これは非常に事情が国鉄とは異なります。これは国鉄のごとく全国に広がっておりませんので、当該地方だけでございますから、その道路の状態なり交通量なり、あるいはまたその鉄道自体の運行も国鉄とは違っておりまして、同じ受益者負担の思想でいたしましてもいろいろその都度分担率がきまって参っております。これを一本にして国鉄の協定にしてしまうということは実際問題としてできないのでございまして、私鉄の方について私どもの方の意見と先ほど申した関係方面との意見がなかなか計算方式で折り合わないのでございまして、その点が今努力をして折衝しておる点でございます。
  44. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにしましてもこの問題は重要な問題であります。岸内閣にすれば重要法案は通常国会でなく臨時国会に出すということだが、これが一番重要なので、警職法などは重要じゃない。そういうものを出さぬというのは不都合な話です。せめて通常国会劈頭にはこれを出すように事務当局にもお願いしておきたい、こういうふうに思います。  次に、関連して、仄聞するところによると営業法の改正を考えておるというのだが、どういうものを中に考えておるのか、それを一つ伺っておきたい。
  45. 權田良彦

    ○權田政府委員 御承知のように現在の鉄道営業法というものが非常に古い法律でございまして、自来数次にわたって小さい改正はいたしておりますが、事務的には現在の段階では近代化と申しますか、そういう思想から見直すといろいろ不備な点があることは私ども認めております。これは事務的には実に古い問題で、私どもは寄り寄り部内的にいろいろ検討を加えておることは事実でございます。その大体の考え方としては、御案内のように鉄道営業法というものはその大半が商法の特別法になっておる。鉄道運送契約というものは商事行為でございますので、商法の適用を受けますが、一般商法の適用を受けたのではこういう定型的な大量輸送の契約は非常にまかなえない点がございまして、契約関係において、あるいは責任関係においていろいろな点で特別法を作らなければならない。鉄道営業法が明治時代にできたのもそれでございますが、その後の情勢の変化で、そういう点が実に各条にわたって検討し直すべき点がございます。事務的にはなお再三再四検討を続けておるというのが今日の段階でございます。
  46. 久保三郎

    ○久保委員 御説の通り商法の特別法で法規は古いものでありますから、改正すべき点も多々あるかと思うのですが、聞きますと、これを改正することによって何か労働問題も中へ含めていこうというねらいがあるというふうに聞いております。この運輸委員会は超党派的だというお話でありますから、あまりここで激突するようなものは考えないで営業法を切りかえ的に直すということにまず主力を注いでいただきたい、こういうふうに思います。そういうことでありますが、ただ委員長にお願いしておきます。この間海運局から出してきました計画造船の監査の結果の報告はあまりにもお粗末で、ああいうことなら御報告いだだかぬでもけっこうかと思います。内容をもう少し具体的に、指摘事項等はもう少し具体的に再提出をされるように一つお願いしておきます。以上です。
  47. 川野芳滿

    ○川野委員 久保委員の質問に対して石井常務の答弁がございましたが、これに関連して一言だけお尋ね申し上げてみたいと思います。今回のダイヤ改正の目的というものが、長距離列車の混雑を緩和したい、ことに九州方面におきましては鹿児島方面における長距離列車のサービスの改善をはかりたい、こういう目的のためにダイヤ改正を行なったという御答弁がございましたが、鹿児島方面に参りまする列車は、福岡・熊本回りと大分・宮崎回りの二つ線路がありますことは御承知通りであります。ところが今回のダイヤ改正の結果は、いわゆる大分、宮崎まで、すなわち日豊線におきましては従来特別二等列車と普通二等列車の二両が実は連結されておったのであります。ところが今回の改正の結果は二等車を廃止されまして、そうして特二だけ運行をいたしておるという結果になっておるわけであります。せっかく長距離列車のサービスを改善される、こういう目的のためにダイヤ改正をやられたという言明にかかわらず、結果においてはサービスの改悪という結果になっておる現地の状態でございますが、これはただいまの御答弁と実は相反する結果を生んでおりますので、この点についてお尋ね申し上げておきたいと思います。
  48. 石井照正

    石井説明員 日豊線の急行に普通二等車と特別二等車があったのを一両にしてしまったという御指摘でございます。おっしゃる通りでございますが、これは実は最近まで特別二等車には特別二等料金という別個の料金をちょうだいして座席の確保という仕組みをいたしておりますので、普通のそういう座席指定の御必要のないお客様のためには、普通の二等車というものはどうしても連結しなければならないという状態でございます。しかしながら日豊線のいろいろ御利用の状態調査いたしますと、結局一両でこの両方のお客さんにも満足していただけるのじゃないかというふうに考えまして、そこで御指定を希望される方には御指定の扱いをするが、御指定の希望のない方でも今までのいわゆる特別二等車というものを御利用になって一向差しつかえないという制度に改めましたので、私どもとしては現在特に御迷惑がかかっているとは存じておらないのであります。その余力をもちまして三等寝台を増結いたしまして、一般大衆の方々が非常に要望されております三等寝台の普及をはかって参るというつもりでやっておりましたので、全体として私はやはり若干のサービス向上になるのではないかと思っておる次第でございます。なお、日豊線につきましては最近ガソリン・カーあるいはディーゼル機関車を導入いたしまして、できるだけ快適な旅行をしていただき、また準急の快速のディーゼル・カーも入れまして、地方の御要望に沿いたいと考えておりますので、こういう点からも一つあわせてお考え願って御了承いただきたいと思います。
  49. 川野芳滿

    ○川野委員 二両の二等車を一両に圧縮いたしましても何ら不便を感じておらないような御答弁でございましたが、実際調査いたしてみますると、毎日十六人くらいの人が立っておる、こういう実情下にあるということでございます。この点について私は運輸省にお願いして調べてもらったのでございますが、なるほど季節的には乗客の少いときもございまするが、実は大へん人が多いときが多いという返事でございます。こういう点から考えますと、ただいまのあなたの御答弁と少し食い違っておるようでございます。私はあえて今回の点を追及しようとは思いませんが、サービスの改善は国全体の国民にサービスを及ぼさないと、熊本回りのあの沿線だけのサービスでは、これは日豊線の沿線の国民が満足いたしませんので、熊本方面のサービス改善とともに、従来のサービスの低下をされぬように一つ考えていただきたい。ただ、今実情を見ますると、二等もさることながら三等のお客さんは立ちずくめであるという実情でございます。従いまして、二等の増設はもちろんでございますが、さらに三等の増設をされて、大分・宮崎回りの日豊線においてもサービスの改善をはかってもらいたい。ただ問題は、そうすると機関車を一両つけねばならないという問題があるそうでございます。しかしあの莫大な費用を使って福岡・熊本回りの線のサービスの改善をやられる以上は、一つの機関車くらいは使って、日豊線沿線の国民のサービス改善にも当ってもらいたい、かように私は考えまするが、この点について御答弁を願いたいと存じます。
  50. 石井照正

    石井説明員 ただいまの御指摘によりますと、必ずしも私が申し上げましたようにお客様の数と輸送力とマッチしておらないというお話でございますので、なお私どもも省みましてよく調査いたしまして、できるだけそういうことのないように善処方を研究いたしたいと思います。また日豊線全体の輸送力増強につきましては、今後ともいろいろと考えて、できるだけ早く御要望に沿うように善処いたしたいと思います。
  51. 塚原俊郎

    塚原委員長 長谷川峻君。
  52. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 二十五日の鉄道建設審議会がいよいよ開かれるやに私は承わっております。これは今までこの委員会で何べんとなく、早い機会に会全体が組織されて、昭和三十三年度の調査線の中から着工線が決定されて、わが国の運輸行政の上に一つの基礎を築いてもらいたいという要望をしておったのですが、いよいよ二十五日にお開きになりますか。幹事役の局長に一つ
  53. 權田良彦

    ○權田政府委員 鉄道建設審議会は委員の方もやっと全員がおそろい願えましたので、ただいまのところ二十五日の十時から開いていただく予定になっております。
  54. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 昭和三十二年、前の年は十三線が調査線の中から新線に入ったことは御承知通りでございます。今日まで十六線が調査線に入っておって、それに対して幹事役の運輸当局がこの鉄道建設審議会にどういうふうなデータを出されるかということは、これは関係者一同注目の的なのです。そこで今年は約九十億円の新線建設費があった、しかも継続しているところの二十八線についてそれを割り振って、私たちの理解しておるところでは約十億円がまだ残っているやに了承しておりますが、いかがですか。
  55. 權田良彦

    ○權田政府委員 本年度の建設費の予算は九十億でございます。そのうち三億が東海道線の増強の調査費になっておりますので、建設費として八十七億でございます。それから海峡鉄道調査費が二億、総係費、車両費が十億ございまするので、いわゆる工事費が七十五億になっております。この七十五億の執行につきましては、これは国鉄が執行いたしております。これは今おっしゃいました二十八線に割り振って、そのつど国鉄が令達しているはずでありますが、御案内の通りにまだ年度も半ばであります。それから国鉄の、要するに工事勘定のもとになります収入から出て参ります自己資金並びに鉄道債その他預金部資金によります外部資金の入手方というものも、全額を完了いたしませんので、いわゆる工事勘定の収入に見合うそういうものとの振り合いを考えて、国鉄がいわゆる現場工事事務所に全額を配付はしてないと私思いますので、なお本社に保留分があるかと存じております。
  56. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 その保留分が私たちには大体十億——九億五千万円ある。それが今度の調査線の中から新線が初年度に入る場合に使われる金であるやに私たちは了解しているのです。そこで問題は現在調査線が十六線ありますが、いずれもこれは今までの資料によりますと、ほとんど調査済みのように私は拝見しているのです。どうしてもここにおいて、この新線に昭和三十三年度のうちに何線か入れることを、それに関係している方々並びにこの運輸委員会では要望していることなのでありまして、それはあのデータは全部そろっておりますか。
  57. 權田良彦

    ○權田政府委員 十六線の調査につきましては、建設審議会の御建議もあり、かねて国鉄に十六線全線の調査を一線ずつさせておりまして、国鉄における調査はほぼ完了いたしておるものと承知しております。
  58. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 そうすると手続としまして、その鉄道建設審議会に、十六線の調査している模様を幹事役の方で全部お出しになって、その場所において甲乙をつけて決定することになりますか。それとも財政状態とも見合ってやろうとする腹ですか。
  59. 權田良彦

    ○權田政府委員 その点は建設審議会でおきめになることでございますが、在来のいきさつから申し上げますと、これは前回も申し上げましたように、昨年ちょうど十六線が選ばれまするときに、予算の規模並びにすでに着手しておる線の工事の進み工合、こういうものを勘案して、この調査線については追ってまた別に報告を受けて審議をする、こういうようないきさつになっておりまするので、ただいま建設審議会を開いていただきますれば——まあ今度は委員がおかわりになって最初でございまするから、法律に書いてありますように、会長の選任でございますとか、会長代理あるいは小委員長の選任とか、いろいろ会を構成する手続をおやりになると思いますが、しかしそれとは以外に、建設審議会としては、在来から引き続いて、今おっしゃいました調査線の審議、それからなおこれは二十八年以来継続になっておりますが、敷設法を改正すべき問題の御審議その他等々、実態的な御審議が残っておるわけでございます。従いまして建設審議会があるいは明日開かれる今回の分、あるいはそれ以後開かれる分について、そういう問題にお取り組みになりますれば、私どもとしてはその席上に調査線の調査結果は御報告する、こういう予定になっておる次第でございます。
  60. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 私は大体この委員会において自分が関係しておることはあまり申さないことにしておるのです。しかし前々から皆さんの御了解を得て御質問もしておったのですが、たとえばこの三陸鉄道ですね。前に、局長からも、非常に状況のいい、しかも途中まで仕事をしてきておってあと残っている問題であるからよく研究しておくという当委員会においての御答弁なども聞いておったのですが、北上地域地方総合開発審議会が盛岡で開かれたのは十月の二日です。その資料を私は運輸省の方からいただいたのですが、それを拝見しますと、運輸省の方も御出席であります。そこで付議されたものを見ますと、調査線の中には前谷地——津谷、残っておる五五・二キロというのが今まで調査線として入っておる。ところがそこで審議されたのを見ますと、こういうようなことが書いてあるのです。三陸縦貫鉄道建設工事、柳津—気仙沼の線路増設、この一項が一つと、やはり別な項目で、三陸縦貫鉄道建設工事、宮城県柳津より前谷地あるいは石巻市に至る、こういうように書いておるのです。私はこれはおかしいことだと思う。調査線の中には、はっきりと前谷地—津谷、これが調査線としていろいろ調査されたデータがわれわれの手元に来ておる。ところがその幹事役をしておる運輸省の方が出られた特定地域の審議会においては、今のように地域の地名が違っておるところが二カ所も入っておる。それが御審議されておるということなどが地方の新聞に出ておりまして、今非常に問題になっておる。関係者も非常にびっくりしておりますし、また調査線の内容がいつの間にやら歪曲されたような誤解を生じておるやにも聞いておる。私はこの点について御説明をお聞きしたいと思います。
  61. 權田良彦

    ○權田政府委員 私の承知いたしておりまするところは、そういう特定地域の総合開発計画の会合のあったことも事実でありますし、いろいろ私の方の係官もそれに参画しておる。これは一種の長期計画、地域総合開発計画でありまして、交通問題が重要でございますからやっておりまするが、今御指摘のような資料をそういう会合で確定したということは承知しておりません。従ってどういう方がその資料をお出しになったか、知りません。私どもが入りましてから固めて参ります計画には、そういうふうにはなっておらぬはずでありますので、何かその会に御関係のある一部から出た、その会できまった資料ではない提出資料ではないかと存じますが、この点はなお御指示を得て調査をいたしたいと存じます。
  62. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 今の局長の答弁で大体了承いたします。運輸省からもらった資料の中に、検討することにはなっておるけれども決定はいたしませんでした。ところが不用意にそれだけの誤解を生じておる。でありますから、これが全然誤解であって、柳津—石巻、そういう線ではなくて、ここであなたの方で御調査されておるような前谷地と津谷の問題であるということを、この際ほんとうに御確認願えればけっこうであります。  そこでもう一つ伺いしたいのは、地方の新聞には、出席した者が本年度は新線は一本も着工しないのだと言ったというような記事が大きく出ておる。そういう誤解を生じたゆえんのものはいかなるものでしょうか。
  63. 權田良彦

    ○權田政府委員 その点は前回もお答えしたと思います。やはり長谷川先生の御質問ではなかったかと考えますが、ことしの建設費の予算の八十七億分の執行の問題と、それから先ほど私が御説明をいたしました、おそらく国鉄本社に保留分があるという問題、これは予算の執行上の一つの技術的な問題でありますが、その問題と、今御指摘の本年度にあの調査線の十六線の始末をどうするかという問題、これとは違うものだと私自身割り切って解釈しております。と申しますのは、この調査線十六線につきましては、再々申し上げましたように予算の規模並びに着手線の工事の進み工合、二十八線の工事の進み工合によってまた続いてこれを別にきめるということになっておりますので、これを建設審議会で私どもの方のいたします調査報告に基いてどうお考えになるかということの御建議がございませんと、運輸省なり国鉄でそれをきめるわけには、建設審議会、鉄道敷設法の関係もありましてできないことになっております。そういたしますと、予算の規模と申しますことは、私どもが幹事役としてお世話をいたしております在来のいろいろな経過から申しますと、この調査線が、今着工線に上りました十三線も同じでございますけれども、いわゆる予算規模ということはある程度単年度では考えられないのじゃないか。と申しますのは、建設線の性格として、手をつけますればやはり終点までやらなければ全く意味がないのでございまして、そうなりますと、今継続費の制度はございませんけれども、まあ継続計画的な予算で考えない限りこれは実効が上らない。そういたしますと、前々も申し上げましたように、現在三十線の残りが十五線、それから着工いたしましたものが十三線、この二十八線が今後どういう姿で工事が進んでいくか、それに対して調査十六線が、調査お結果によって大体総額が幾らで今後大体どういう年度割になっていくか、そういう年度割を合せてみますと、初年度から完成年度に至る全体の線の年度割が出てくるわけであります。そういたしますれば、この中から予算の規模をどう見ていくかということによって、それが二十八線の進み工合と合わさって工事線に上っていく御判断ができるわけであります。従いまして、これは先生の方がよく御承知でございますが、建設線の性格として、初年度というものは大体線路選定と申しますか、現実にどこをどう通すという、現場を専門家が歩きまして線路選定をする、それからいろいろ工事計画を立てて請負なり何なりの準備をするということで、いわゆるネットの意味の工事費に入れるのはどうしても二年度目ぐらいからで、三年度目四年度目、五年度目ぐらいになると、工区もぐんぐん進んで能率的な工事ができる。こういう姿でございますので、従いまして、この調査線十六線をどうお取り扱いになるか、これからの御審議でありますが、私どもが申しますと、結局これは来年度以降の建設費の規模をどう見るか、これは二十八線と合せてどうごらん願うか。実は私どもは前回の建設審議会でそういうことを御勘案の上十三線を工事線にお入れ願って、大体百三十億くらいの規模で進んだらいいじゃないかという御建議もございましたので、本年度の予算は百三十億要求してがんばってみたのでございますが、これは紆余曲折の末、先ほど御指摘の数字で成立したわけでございます。これと来年度と——来年の予算編成等も実はまだ固まってないのでありますが、私ども実は事務的には大蔵省には今建設費の規模としては大体百六十億、それに海峡鉄道調査費、ボーリング等の必要がありますから十億、合せて百七十億の要求をして説明をしているのでございますが、この見通しとからんできやせぬか。従いまして、予算的に申しますると、これは先ほどの先生のお話によりますと、十億何がしの保留分があって、それが調査線だというのでありますが、それは必ずしも——これは予算でどうにでもなることでございまして、ことしからやるのだということになれば、これはまたことしの分についてはどうにでもなるのでございまして、要するに来年度の工事に実際入るときの工事費、そのときに二十八線の進み工合、これにからんで参りますので、おそらくこの御審議に入れば来年度以降の予算年度割というもの、従って、一たん建設審議会が御建議になりました百三十億規模というものを今後どうお考え願うかという問題にからんでくるように考えますので、これは前回も御説明いたしましたが、そういうふうに私は理解していることを申し上げたいと思うのでございます。
  64. 長谷川峻

    ○長谷川(峻)委員 財政のやりくりの苦しいことはわかります。ただそこで、建設審議会が最後の決定権がありますが、それの幹事役として会合開催をいろいろお願いされる運輸省として来年百七十億ほしいという話も了承しております。だが、ことしにおいて新線を何本かでも入れて、そうしてみなに努力してもらうというお考えなのかどうか、そこを私はお尋ねしたい。
  65. 權田良彦

    ○權田政府委員 その点は前々申し上げてありますように、ことしの調査線の始末については、私どもとしては、くどくどと先ほど申し上げましたようなことと見合さないときまらないものでございすから、その財政規模の見通しなり何なりとあわせて考えておるのでありまして、そういう点もございますのでぜひ建設審議会で審議していただきたいと思っている次第でございます。
  66. 塚原俊郎

    塚原委員長 中崎敏君。
  67. 中崎敏

    ○中崎委員 私、三江線の問題についてお尋ねしたいと思うのでございます。これは、陰陽連絡の平坦距離の工事として地元民としてはすでに長年にわたっての要望であることは今さら申し上げるまでもないことであります。その線に沿うて鉄道建設がなされつつあるわけでございますが、約二、三年ほど前から突如として電源開発の問題がからみまして、現在においては相当強い動き等があるやに見受けられるのであります。当初私が仄聞するところによりますと、運輸省並びに鉄道側といたしましては、既定の方針を変えるということになれば鉄道建設の意義がだいぶ失われてしまう、そういう意味において、何ら方針を変える必要を認めないという線に沿って強く進められておったようでありまするが、最近の実情を見ますと、やや運輸省側においてよろめきが出てきているのではないかというようなことで、地元民としては非常に憂慮しているような実情にあるわけであります。  御承知通りに電源開発の工事は九万二千キロを予定されておりまして、水没家屋が約一千戸にも上るであろうという相当大きな犠牲の上に計画が考えられているように聞いているわけであります。御母衣ダムの工事の場合において、約三百戸余りの建物の処理についてさえ、数年もかかってなおかついまだに完全に解決していないという、こういう実情とにらみ合せて見ていったときに、発電のスケールが御母衣の約三十万キロに比べて九万二千キロというようなこういう工事を、しかも千戸も水没するというような大きな犠牲の上に計画している。しかもこれは島根県の知事といたしましても、あるいは島根県の議会としても、しばしばこれについて反対している。鉄道については既定の方針に従ってやってもらいたいということを明らかにしておるというふうな実情にあるのでありますが、そうした意味において電源の開発もなるほど必要でありましょうけれども、近年における傾向としては、火力発電によって十分にこれを埋め合せる、こういうことがすでに実際において行われておる。しかも原子力発電というふうなことを考えてみたときにおいても、この江川の電源開発が一年や二年や三年の間に解決されるとは思わないのでありますが、そうしたことをにらみ合せて考えてみたときに、鉄道の既定の方針を変えて、そうしてこれを犠牲にされるというふうなことがみすみすあってはならぬと考えておるのでありますが、この点についての最近の実情と、当局の考え方を一つこの際尋ねておきたいと思うのであります。
  68. 權田良彦

    ○權田政府委員 三江線を建設するという基本方針については、既定方針通り、何ら変更はございません。今御指摘通りに、電源開発の問題が最近起っておりまして、いろいろその間の調整をはかっておったことも事実でございますが、私どもの方と通産省と経済企画庁とが、これは現地にも参りまして、いろいろ事務的にも技術的にも深く掘り下げて検討いたしまして、最近その調整がついております。三江線の建設はする、特に口羽までの建設予定通り至急に行うということにいたしておる。電源の方につきましては、これは電源自体に今御指摘のようないろいろな問題もございますので、私から申し上げる筋ではございませんけれども、電源の方は、そういう今私が申し上げたことを前提として、電源としてのいろいろな基礎的調査、技術的研究、経済的効果、そういうものも検討し直して、あらためて電源側においては態度を決定する、しかし鉄道建設はそういった方針でやるということに決定をしておりますので、さよう御了承を願いたいと存じます。
  69. 中崎敏

    ○中崎委員 伝え聞くところによりますと、電源側において考えておる百十五メートルのダムの一高さを五メートルほど下げて百十メートル程度にして、鉄道の方でも今までの計画をある程度変えてやられるということに話がついておるのではないかというふうにもいわれておるのでありますが、そうなると、今までの計画よりも相当経済的にも——たとえば工費にしても四十億もよけいかかるとか、これはまあ電源で持つかどうかは別として、国費がそれだけ要るとか、あるいはすでに相当高さが既定の計画よりも高くなるために、経済的にも引き合わなくなる、あるいは時間的にもうまくいかない、そうしてみるというと、結局において、今度はつなぐところの箱の数にも関係があるということで、しまいには経済的にも引き合わぬということで、一応建設しても、将来において時間的にもあるいは運営的にも役に立たぬというか、十分に機能を発揮しない、こういうことになるのではないかということが心配されておるのでありますが、そこらの事情はどうであるかということをお尋ねしたいのであります。
  70. 權田良彦

    ○權田政府委員 今御指摘の点は、若干違っておる点がございますので、ちょっと正確に申し上げますと、この三江線は建設をいたします。工区が今口羽の手前まできて、現実に工事をしておることは、現地をごらんになっていれば御承知通りでありますが、それをさらに口羽まで建設をいたしまして、これは口羽の村の方もあり、いろいろな関係もあるので、私らとしてもその工事をやりたい。口羽までいたします。そうすると、たまたま口羽地点は目下計画中のダムの方の関係の地点に近づいて参ります。電源側はそこでやるのだという最終決定をしたわけではないのでありまして、鉄道の方はそういうふうにやって参りますから、それを前提として、そこでかりに基準を百十メートルとして見て、その地点にやるならば技術的に見てどういう結果が出てくるかを調査する。従ってこれを技術的にも経済的にも調査して、そういうできて参ります鉄道を前提にして、かりに百十メートル基準のダムでやれば一体どういう経済効果が出るか、その経済計算がどうなるか、いろいろな問題がありますので、それをやってみなければならぬ。電源側の方は、私の聞いておりますところでは、それをまだやっていないのであります。そういう意味の基礎調査、基礎研究、それを技術的にやり直してみて、電源の方はとにかくもう一ぺん検討する、こういうことでございまして、電源はもうやることにきまったのだということではないのであります。その点私の申し上げたようないきさつになっておるわけでありますので、先ほどお答えしたように、私どもの方は建設をいたします。こう申し上げた次第でごいざます。
  71. 中崎敏

    ○中崎委員 わかりました。
  72. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連して。さっきちょっと局長の御答弁にありましたが、一たんやりかかるとこれをやり上げなければならぬというようなことはその建設をして早く経済効果を上げよう、こういうふうな趣旨からそういうことになるのはごもっともでありますが、先ほど長谷川委員の聞いておりました気仙沼線は、津谷というところまで大体できておりますようで、残っておりますところが五十何キロというようなことになっておりますので、これは私は考え方としましては、ほかの現在着工しておりまする線と同じような扱いに考えるべきだ、こういうふうに考えます。あすこまでできておるので、それを早くつないで、あの線を経済的に興すようにしなければならない、こういうことになりますので、調査線が十六線ありますが、ほかの十五線とはこれは趣きを異にいたしますので、途中までできておるものがそのままになっておるというこの形はすでに着工しておるものと同じ扱いにしなければならぬ、こういうふうに考えるべきだ、私はこう考えておりますが、この点、局長はどう思っておられますか、お考えを承わっておきたいと思います。
  73. 權田良彦

    ○權田政府委員 気仙沼線については前回から御説明いたしました通り、私どもとしても今までのいろいろないきさつから見て、この線自体は、今關谷先生のおっしゃるような線ではないかと、まことに御同感でございますが、ただ扱い方としましては、やはり今までのいきさつから調査線の中に入っておりますものですから、どうしても調査十六線というものを私どもが先ほど申し上げたように御報告申し上げて、この予算の規模その他も一つ御応援を得て、私どもが今考えておりますような予算規模というものと実はあわせて私も考えておりますものですから、一つよろしく建設審議会の方にも十分御審議願いたい、こういう気持でおる次第でございます。
  74. 關谷勝利

    ○關谷委員 それでよくお考えもわかったのでありますが、これは別に扱うというふうな気持がなけばならぬと思いますので、そのつもりでこれを強力に推し進めるようにお願いしまして、私の質問を終ります。
  75. 塚原俊郎

    塚原委員長 次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこれをもって散会いたします。     午後零時四十八分散会