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1958-10-14 第30回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月十四日(火曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 木村 俊夫君 理事 長谷川 峻君    理事 堀内 一雄君       宇田 國榮君    岡部 得三君       川崎五郎君    川野 芳滿君       菅家 喜六君    小枝 一雄君       佐藤洋之助君    關谷 勝利君       高橋 英吉君    高橋清一郎君       羽田武嗣郎君    前田  郁君       三池  信君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 永野  護君  出席政府委員         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         専  門  員 志鎌 一之君     ――――――――――――― 十月十四日  委員石田博英君、小枝一雄君及び原健三郎君辞  任につき、その補欠として佐藤洋之助君、岡部  得三君及び川崎五郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員岡部得三君、川崎五郎君及び佐藤洋之助  君辞任につき、その補欠として小枝一雄君、原  健三郎君及び石田博英君が議長指名委員に  選任された。     ――――――――――――― 十月七日  甲府長野間国鉄電化並びに輸送力強化実現に  関する請願原茂紹介)(第一一七号)  同(増田甲子七君紹介)(第一一八号)  信越本線改良促進に関する請願原茂紹介)  (第一一九号)  同(増田甲子七君紹介)(第一二〇号)  長野県の国鉄バス路線拡充に関する請願原茂  君紹介)(第一二一号)  同(増田甲子七君紹介)(第一二二号) 同月九日  信越本線改良促進に関する請願中澤茂一君紹  介)(第二三三号)  同(松平忠久紹介)(第二三四号)  同(中澤茂一紹介)(第三一五号)  甲府長野間国鉄電化並びに輸送力強化実現に  関する請願中澤茂一紹介)(第二三五号)  同(松平忠久紹介)(第二三六号)  長野県の国鉄バス路線拡充に関する請願中澤  茂一紹介)(第二三七号)  同(松平忠久紹介)(第二三八号)  高速自動車道路バス停留施設設置に関する請  願(西村関一紹介)(第二三九号)  広丘駅を一般貨物取扱駅に昇格の請願増田甲  子七君紹介)(第二四〇号)  岡山市に空港設置請願亀山孝一紹介)(  第三一四号)  国鉄幹線鉄道工事利用債割当廃止等に関する  請願松浦定義紹介)(第三一六号)  津軽海峡連絡鉄道トンネル着工等に関する請  願(松浦定義紹介)(第三一七号) 同月十一日  新潟市に日本国有鉄道支社設置に関する請請(  田中彰治君外三名紹介)(第三七九号)  福知山線三田、広野両駅間に駅設置に関する請  願(原健三郎紹介)(第三八〇号)  磐越東西両線の電化及び野岩羽線開通促進に関  する請願武藤武雄紹介)(第三八一号)  でん粉の鉄道運賃引下げに関する請願池田清  志君紹介)(第四五九号)  津軽海峡連絡鉄道トンネル着工等に関する請  願(石山權作君紹介)(第四六〇号)  高速自動車道路バス停留施設設置に関する請  願(今井耕紹介)(第四六一号)  飯田市、三留野間鉄道敷設促進に関する請願(  小沢貞孝紹介)(第四六二号)  信越本線改良促進に関する請願下平正一君紹  介)(第四六三号)  甲府長野間国鉄電化並びに輸送力強化実現に  関する請願下平正一紹介)(第四六四号)  長野県の国鉄バス路線拡充に関する請願下平  正一紹介)(第四六五号)  日豊線国分駅、古江駅間鉄道敷設等に関する請  願(二階堂進紹介)(第四六六号)  北陸本線、複線電化工事促進に関する請願(  益谷秀次君外十三名紹介)(第四六七号)  北陸に国有鉄道工事担当機関設置に関する請願  (益谷秀次君外十三名紹介)(第四六八号)  道路運送法の一部改正に関する請願塚原俊郎  君紹介)(第四七四号) の審査を本委員会に付託された。 十月十日  信越本線改良促進に関する陳情書  (第四一号)  甲府長野間の国鉄電化実現に関する陳情書  (第四二号)  国鉄志免鉱業所払下げに関する陳情書  (第四三号)  小牧飛行場返還後の使用に関する陳情書外一件  (第四四号)  香港航空大阪空港寄港認可に関する陳情書  (第四五号)  大宮、新潟間の電車化実現に関する陳情書  (第四六号)  六大都市における都市営バス路線の免許に関す  る陳情書(第  四七号)  国鉄魚住駅設置に関する陳情書  (第四八号)  国鉄貨物運賃割引率存続に関する陳情書外一件  (第四九号)  瀬戸内海観光船建造費融資に関する陳情書  (第  九二号)  民間観光中央機構強化拡大に関する陳情書  (第九四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一五号)  小型船海運組合等の助成のための関係法律の整  備に関する法律案内閣提出第一六号)(予)  陸運海運及び空運に関する件      ――――◇―――――
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  これより陸運海運及び空運に関する件について調査を進めます。堀内君。
  3. 堀内一雄

    堀内委員 この際海運局長にお伺いしたいのでございますが、日本観光につきましては、すでに当運輸委員会としては非常に関心を持って今日までやってきておるのでありますが、ことに今度の岸内閣においては、観光事業を特別の取扱いをなしていこうというような重点政策に取り上げておるのでございます。それを考えましたときに、従来運輸省でもって過去二年にわたって太平洋横断客船予算を出しておるにもかかわらず、それが毎年日の目を見ずに終っておるというような状況があるやに聞いておるのでございますが、その点に関して運輸当局では現在どんなお考えを持っておられますか、お伺いしたいと思います。
  4. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまのお話客船でございますが、御承知通り戦前太平洋におきまして日本優秀客船が非常に多数就航しておりまして、太平洋旅客日本客船が断然トップを切っておったのでございますが、戦争によりましてこれがあるいは航空母艦なりあるいは兵員輸送船なりまして全部壊滅いたしました。ただいま残っておりますのはすでに船齢三十年という郵船氷川丸一ぱい、こういう情ない状況であります。従いまして、海上旅客輸送という面からいたしましても、あるいは観光外客誘致という面からいたしましても、ぜひ太平洋客船がほしいと思いまして、数年前から予算要求を続けておるのでございますが、何分御承知かと思いますが、これから太平洋客船を浮べますには相当優秀な、スピードも早い船を持っていかなければならないという状況でございます。しかも一方、各外国でもこの太平洋客船航路をだいぶ注目いたしまして、早くからやっておりますアメリカのほかに、イギリスあたりでもあるいはカナダでもこれを注目していろいろ計画を進めております。従いまして、私どもも今日の状況ではすみやかに日本客船航権というものを確立しなければ外国に立ちおくれると存じますので、昨年度あたりからはできるだけその実現を期して予算要求を強力にいたしたわけでありますが、何分にも先ほど申し上げましたように非常に優秀な旅客船を建造しなければならぬというために、船型もあるいはスピードも非常に大きなしかも早いものを要求されますので、船価が非常に高うございます。昨年度要求いたしましたものは二十二ノット、二万トン余りの船でありますが、これは一隻八十五億という金がかかるということでございます。少くとも二はい、できればこれが三ばいなければ太平洋旅客航路定期にしかも十分旅客を充員して運航するということは不可能でございますので、最小限度二はい、そういたしますと百七十億という多額な金が要るのでございます。しかも御承知通り、最近のオーバーシーの旅客につきましては、航空が非常に発達しております。それが各航空機関で協定をいたしまして、一定の旅客運賃を定めておりますが、これが今日航空が発達するに従いまして、だんだん料金を値下げをするという傾向にございます。従いまして、客船もそれに押えられまして、運賃というものがやはりある程度決定して参るわけでございます。従って、旅客船巨額の費用を投入して運航いたしましても、その旅客定員というものは限定され、しかも国際条約がございまして、水線下には旅客を積むわけにはいかない。従いまして相当大きな船でも旅客定員というものは限定される。しかも運賃は、航空関係等もございまして、そう高いものはとれない、こういう関係がございますので、旅客船は今日新造いたしまして運航すれば必ず赤が出る、こういうことがいわれております。従って各国とも旅客船につきましてはあるいは特別の国家的理由、たとえば戦時の場合にこれを兵員輸送船に使う、あるいは航空母艦に使うというような考え方もございまして、多額建造補助金を出し、さらに運航に対しまして運航補助金を支給して新船建造に当ろう、こういう状況でございます。従いまして、わが国におきましても八十数億という巨額を投じても船会社としてはこれによってペイするわけにいかない、こういう事情がございます。そういう関係から財政資金多額に要る、あるいは一時的に建造補助金が要る、あるいは将来ずっと毎年運航補助金を使わなければいかぬというふうな点から大蔵当局は非常に難色を示しまして、昨年までついにこれが実現を見ていないわけでございます。今年も私どもは引き続き客船予算要求をいたしております。昨年よりもなお一そう力を入れて予算要求をいたしたいと思いますが、できれば船価の低減をはかりたいという点からいろいろ船会社とも検討して、本年はトン数は二万トン余りでありますが、スピードを二十ノットに制限いたしまして、これによって船価も約六十五億になるという見当がつきました。六十五億の二十ノットの船を来年度より五年間にわたりまして二はい作りたい、こういう要求をいたしております。建造補助金はそのうち一隻十億円出しております。あと六十五億円との差額は政府資金融資ということで要求をいたしております。
  5. 堀内一雄

    堀内委員 今海運局長が非常に詳細にお話しになりましたが、お話の中で私はあとへ戻って質疑をすることになりますが、一体、現在日本大洋客船氷川丸一ぱい、しかも船齢三十年をこえておるという話でございますが、そういうような状態において立ちおくれている日本が将来海運界において相当活躍しようとすれば、そこに相当負担、犠牲を伴うことは当然のことだと思う。そこで今海運局長のおっしゃったように二はいで百五十億かかるから困るというようなことは、それは一応事務的にはお考えになることも無理もありませんが、ここで日本海運の将来を見越して立とうというときでありまするので、そういうような弱気でなくてやってもらいたいと私は思うのであります。ことにわれわれのねらっておるところは外貨獲得であり、その外貨獲得ということが日本の今度の岸内閣政策でもあり、またホノルルの日本商工会議所等からもぜひアメリカ人としても安い価格サービスのいいという点において今まで定評のある日本の船を作ってもらいたいというようなことも言ってきておる等の筋合いもあるのでございますが、この際日本の円を余分に使うなんということは右のポケットから左のポケットへ金を移すような程度で大した問題でない。そこで、いかにして外貨獲得するかということが問題でありますが、今のお話の二万二、三千トンで三十ノットという話ですが、その船の程度一体一年間にどのくらいの外貨獲得ができるか。その点についてお伺いしたい。
  6. 粟澤一男

    粟澤政府委員 算定はいろいろございますが、大体ただいま海運会社でもこの程度ならばいけるのじゃないかという程度算定をいたしたものがございますが、一年間に五百数十万ドル、約六百万ドル近くの外貨獲得できる、こういう計算が出ております。それは貨物船にいたしますと、ニューヨークの高速定期船の大体五隻分くらいに当る外貨収入になるのではないかと思います。
  7. 堀内一雄

    堀内委員 今のお話貨物船五はいくらいに相当するということでありましたが、しからばその建造費というような点から考えて、今あなたのおっしゃる客船一ぱい貨物船との比率はどんなふうになるのですか。
  8. 粟澤一男

    粟澤政府委員 これは年によりまして変りますけれども、今年度で見ましたら大体貨物船船価の方が五隻分として幾らか高くなると考えます。
  9. 堀内一雄

    堀内委員 それであるならば、貨物船五はいの相当額であなたの考えておるような客船が一ぱいできるとして、そうして外貨獲得においてもほぼ同じだ、むしろ客船の方が多い、われわれの調査によりますれば、客船というものは単に船賃ばかりでなく、船内における旅客の使用する金というものは大体三割ないし四割というようなことも聞いているので、そういうふうな意味からいえば、外貨獲得という見地からいえば、貨物船よりも旅客船の方が有利であるというふうにわれわれは考えておるのでございますが、そこで次にお伺いしたいのは、今二万三千トン級の船で二十ノットの速度というお話でございますが、太平洋における列国の船の現在の速度状態、並びに近い将来イギリスあるいはカナダ等が進出する場合における、今わかっている程度の船の状態についてお伺いしたい。
  10. 粟澤一男

    粟澤政府委員 詳しい資料を持ち合せておりませんのですが、大体近い将来では二十二ノットくらいが最低という線に行くのはもう近いのではないかと考えます。二十六ノットくらいの船の計画もございますので、二十六、二十四というふうなものが相当多い、二十二ノットくらいが最低に近いというふうに考えております。
  11. 堀内一雄

    堀内委員 船の速度については大体二十二ノットが最低で、将来二十六ノットというような船が欧米の船などでは多いようでございます。にもかかわらず日本がこれから作る船に二十ノットというおそい船でいこうというお考え基礎はどこにありますか。
  12. 粟澤一男

    粟澤政府委員 一番の問題はやはり金の問題かと思うのでありますが、御承知通り日本の特に太平洋航路では、郵船会社でございますが、日本客船サービスというものは非常に定評がございますので、日本客船を始めれば旅客相当乗ってもらえるだろう、ただいまの船齢三十年という氷川丸でも半分以上は外人が乗っております。スピードも非常におそく、現在の氷川丸は十四ノットというようなスピードでございますが、それでもそういう状況でございますので、できれば二十二ノットくらいにしたいのでございますが、金の面で二十ノットに押えられても、所期旅客吸収というものは可能であろうというふうなことで一応やっておるのでございまして、金さえあれば私どもも太刀打ちのできるような優秀船を使いたいということはやまやまであると考えております。
  13. 堀内一雄

    堀内委員 そこで二十ノットを二十二ノットにするのにはどのくらいの経費の差があるかということが第一。同時に私の申し上げたいのは、お役所がビルディングなどの建物を建てるというようなことになれば、十億円安いとか十五億円安いとかいうようなことも一応考えられることですが、とにかく旅客相手とするサービスで、よそよりも競争相手があるということになれば、私はそこにかりに十億や二十億の差があっても、どうしても二十二ノツトというふうな優秀なものにしておかなければお客はつかない、こういうふうに思うのですが、その二十ノットを二十二ノットにすることによってどのくらい金額の差がつくか、その補助方法融資といったようなことなのか、さもなければ補助金を出さなければならぬのか、その辺についてお伺いしたい。
  14. 粟澤一男

    粟澤政府委員 先ほど申し上げましたように、昨年度は八十数億という算定でございましたが、御承知通り今年度は造船価格相当下っておりますので、大体の今の見当では約十億程度低く、七十五億くらいでいけるのではないかというような見積りが立っております。スピードのございます場合には大体所期旅客が吸引できるだろうと申し上げましたが、速い方が吸引力があることは間違いございませんので、ただいまの算定では、旅客船床消化率を七〇%程度と見た場合に、約三%くらいはスピードの速い方がよけいに旅客をとれるのではないかと考えております。
  15. 堀内一雄

    堀内委員 そこで、その次にお伺いしたいと思いますのは、先ほど航空機の方に旅客が非常に移るということで、これはその通りでございましょうが、一般旅客観光客といったような場合においてはいろいろ状況が違うので、われわれの判断からいえば観光客というようなものは時間があって金が余っておる人、時間があるが金が少い人というような特殊のクラスというものも相当考えられるのですが、そういうような観点から将来航空機と船とでどんなふうに旅客というものは移ると判断されるか、できましたらヨーロッパの状態等々と比較してお考えをお伺いしたい。
  16. 粟澤一男

    粟澤政府委員 太平洋の場合には、当初海運輸送力が非常に少なかったので、パーセンテージは下っておりますが、最近の状況では大体三〇%ぐらいが海運旅客になっております。私どもも大体算定いたしますには、空の方が七〇、海運の方は三〇ぐらいの見当計画を進めております。なお外国の例でございますが、たとえば大西洋でございますと、あれほど航空機も発達しておりますが、なお約半数というものは依然海運による海上旅客というようなことになっております。
  17. 堀内一雄

    堀内委員 ただいままでのお答えを総合いたしますれば、要するに将来飛行機が発達した場合においても、その旅客は三〇%は船で来るだろうということになりますれば、近い将来にわれわれは、かつて政府で立てた計画の中にも三十万人の旅客アメリカ方面から誘致するというふうな計画にもなっておるようでありますが、そうすればそのうちの十万人ぐらいのものは船に依存するということが期待できるというような関係から考えて、私は太平洋における旅客船を建造するということは、非常に必要なことであり、ことに外貨獲得観光の振興というような点から非常に必要だと考えておるのでありますが、ただその際、船に七十億なり六十億なりの金がかかる、だからこれは非常に大蔵当局等がむずかしいというようなお話でありまするけれども先ほどから申しましたように、今まで壊滅しておるところの日本海運がこの際再出発しようというときに、そのくらいの負担というものは私は大した問題ではないと思うのであります。ことに今度の岸内閣におきましては、観光重点を注ぎ、外貨獲得のために観光に大いに働いていこうというようなことで、ことに運輸大臣着任早々から観光に非常な力をお用いになり、われわれはその意味において非常に意を強うしておるのでございますが、この際運輸大臣から観光に関連して太平洋客船の問題について一つ考えをお伺いしたいと思います。
  18. 永野護

    永野国務大臣 お答えいたします。御説の通り、私就任以来日本で従来最もおくれている観光関係施設改善重点的に努力を続けております。今の御説の、太平洋優秀旅客船を置くということもその施設の中の大きな部門を占めているのであります。来年度の予算においてはぜひともその貫徹を期したいと考えております。何しろかなり膨大な来年度の予算要求になっておりますので、大蔵省との折衝はかなり難航を続けるものと考えております。従いまして、私は最善の努力をいたしますけれども、これはむしろ国会の問題になるわけでありまして、私の方から皆様方のこの上ともの御協力をお願いしたいと思っております。重点的な施策一つとして取り上げたい、こう考えております。
  19. 堀内一雄

    堀内委員 御承知のように国会委員会の中で当委員会観光を担任しており、当委員会には観光小委員会もあってその審議に当っておるような事情もありますので、われわれも大いに今の運輸大臣の方針に協力していきたいと思っておるのでございますが、どうぞ運輸省においてもがんばっていただくことをお願いいたします。  次にお伺いいたしたいのは航空の問題でございます。先般全日空の事故あと運輸大臣から、この事故対策のために内閣懇談会を作って検討するのだというお話がありましたが、その懇談会における対策の進捗の状況またはある程度きまったような点がありましたならば、この際それを一つ御披露になっていただきたいと思います。
  20. 永野護

    永野国務大臣 お説の通り内閣航空災害対策を目的とする懇談会を作りまして、たびたび会合を開いております。構成メンバーは各種の審議会のいわゆるエキスパートを網羅してやっておりまして、それぞれの部門に小委員会を作りまして、今せっかく研究中であります。単に機材の面とかあるいは運営方法とかいうことのほかに、企業形態そのものに関しても根本的に考えなければならぬと考えておりまして、その方面の小委員も今せっかく勉強しております。まだ答申案が出ておりません。しかし引き続き勉強してやっておられますから、あまり遠くないうちに何らかの答申案が出ることと考えております。わかりましたらさっそく御報告いたします。
  21. 堀内一雄

    堀内委員 そこで主として国内航空の問題についてお伺いしたいのでございますが、飛行機が将来進歩して、おそらく明後三十五年からですか、日航でもジェット機を使うことになるように承知いたしておるのでございますが、将来このジェット機が発達したような場合におきましても、私は日本国内航空というものは依然としてプロペラ飛行機でやるというようなことに、国の広さから考えてもなると思うのでございますが、そういう意味において、国際航空国内航空との持つ分野というようなことについて、現在航空行政といったような方面からどんなふうにお考えになっておられるか。
  22. 永野護

    永野国務大臣 ただいま日本航空運営機構の問題を検討中であるということを申しましたが、その一番大きい問題は国際航空国内航空をどういうふうに処理していくかという問題に触れてくると思います。いろいろな議論がありまして、国際航空国内航空は全然切り離して別個の会社にやらした方がいい、その方が実情に適するという意見もあります。しかし全然無連絡でもいかぬから、その間の相互連絡を資本的にあるいは技術的に持ちつつ、形は別個に分けた方がいいという意見もあります。あるいは今の形態のままでも運営の仕方によってはうまくいくのではないかというような意見もあるのであります。これらはすべて今の委員会検討中でありますから、私どもはその答申案が出ましてから考えたいと思いますけれども、お説のような点が重要な点であることは了承いたしております。    [委員長退席天野(公)委員長代理着席
  23. 堀内一雄

    堀内委員 私はこの航空の問題について申しましても、日本国内においてジェット機を使う地域というものは非常に制限される、国際航空との連絡においてはある程度使う余地もあるかもしれませんが、大体非常にスピードの早い飛行機であり、国が狭いというようなことからそこにおのずから違いが出てくると思うのでございまして、言うならばその会社の持っておる飛行機そのものから違うのだ、そうすればパイロットそのものも違ってくるのだというようないろいろな状態がありますので、依然として私は国際航空国内航空は分離していくべきものだというふうな大体の基礎観念を持っておる。そこで国内航空をどういうふうにして育てていくかということにつきましては、いろいろな施策があると思うのでございますが、私がこの際運輸大臣にお伺いいたしたいのは、一体日本運輸の中に飛行機というものがあり、それがジェットとプロペラに分れ、それから汽車があり、自動車があるというような関係から、それらの関連をどんなふうに今運輸省としてはお考えになっておられますか。最近読売新聞かに出ておりましたニューヨークの商工会議所の発表によりまするアメリカの鉄道の状態におきましても、もう十年足らずしてアメリカ旅客列車というものは博物館に行ってしまうだろうというようなことをいろいろな立場から論じておりますが、私はこれはまことにごもっともな意見だと思うのでございます。私の私見を申し上げますならば、大体今の自動車というものは、あの所論では自家用自動車を取り上げてやっておりましたが、日本状態で自家用自動車がどれだけ発達するかということは一応たなに上げておきまして、乗合自動車旅客列車と旅客航空ということになるのでございますが、それに対して私の意見を申す前に、政府のお考えを、どんなふうにお考えになっておるかお伺いしたいと思います。
  24. 永野護

    永野国務大臣 旅客運送に対する飛行機の重みがだんだんに重くなっていく、これは世界的な大勢だと思います。そこで私かってこの委員会でも申し上げたかと思いますが、人間は大体飛行機で運ぶようにするのが理想のように思います。従いまして今の飛行場のごときも、私の夢でありますか理想は、一県に少くとも一つのエア・ポートは持ちたい。でありませんと飛行場に行く時間が非常にかかりますために、飛行機に乗ってからは時間が短かいのだけれども、飛行場に行くまでの時間を加算すると汽車とあまり時間が違わないという結果になる場所が非常に多いのであります。従いまして理想としては、国内でも旅客の輸送は飛行機重点を置くような時期のくることを念願しておるのでありますけれども、それにはそういう飛行機の受け入れ態勢を完備しなければならない。ところがこれは非常にむずかしい問題でありまして、用地の買収その他非常に困難な問題が伴いますので、急速にこれを実現することは困難だと思います  が、できる可能性のあるところは着々進めていきたい、こう念願しております。従いまして来年度の予算にも、できそうなところはいわゆるローカルの飛行場を数カ所提案いたしまして、皆様の御審議を願いたい、こう考えております。  それから国内航空国際航空との機種が全然別になるという御意見であり了承いたしますけれども、何しろ飛行機の進歩発達は目まぐるしいようなことでありまして、飛行機でもジェット機でも、そう今のような長距離の飛行場を必要としないようなものも考えられておるようであります。従いまして、あながち国内は全部プロペラ機であり、ジェット機国際航空だけに限るということは、現在の状態では、御説ごもっともでありますけれども飛行機の進歩ということを考えますと必ずしもそう断言できない点もありまするので、それこれ考え合せまして、国内航空国際航空関係を調整していきたい、こう考えております。
  25. 堀内一雄

    堀内委員 国際並びに国内航空のことに対してお答えいただいたのでありますが、私のお伺いいたしましたのは、航空ばかりの問題でなく、鉄道の問題、バスの問題というこの関連性においてお伺いしたのでございます。私は大体バスというものは、道路の状況によって違いますけれども、百キロ以下くらいがバスの普通の運行の範囲であって、同時に同じ県内においては県庁の所在地までは行けるというくらいのものが乗合自動車としての一応の常則的な運行の範囲で、ときに縦貫道路とかいうような特別のものができますれば長距離の場合も起りましょうが、大体そんな程度がいいのじゃないか、こう考える、鉄道に対しましては、大体五十キロ以上三百キロ以内くらいが鉄道の領域で、大体二百五十キロくらいから以上が飛行機運輸するというくらいを大体運輸の方針として考えておったらいいじゃないかというふうに考えておるのでございますが、それは御承知のように、現在国鉄にいたしましても準急というものが大体五十キロ以上を走っておりますが、あれ以下に四キロくらいのところに停車場が一つくらいあるということが、国鉄が採算上非常に苦しんでおる原因である。また私鉄に至りますれば、一キロ、二キロのところに停車場があるということで、人件費が非常に食われる。現在民間の地方鉄道におきましても、すでに人件費が五〇%をこえておる。国鉄においてはすでに六〇%になっておるというようなことから、私鉄の維持補修の費用というものが営業費の七%に落ちておるというようなことが現状でございますが、そういうような意味からやはり鉄道というものは五十キロくらいから上で、そうして今のやつを取り上げてしまうわけにもいかぬかもしれませんし、サービス関係が若干ありますが、そこは大方針としては、やはり自動車はこのくらい、鉄道はこのくらい、飛行機はこのくらいというふうにきめてやることが私は交通行政としていいのではないかと思うのでありまして、同時に二百キロないし二百五十キロ以上を飛行機ということにつきましては、飛行場の関係ということもありますが、私はやはり将来はヘリコプターというものが相当発達するのではないかと思う。現在外国におきましては六十人乗りのヘリコプターといったようなものがもう見本に出ておる時代でもありまするし、また滑走距離も非常に短かくていいというような飛行機も研究されておるというような関係から、今の運輸大臣のおっしゃった飛行場までの距離が非常に遠い、そこへ行っておるうちに飛行機で向うに着いてしまうというような関係もあるのでございまして、それらの点から私はぜひともこの交通行政といたしましては、将来自動車と鉄道と飛行機と、しかもその飛行機の中でもプロペラ飛行機ジェット機とか、そういうようなものに対しまして大体の国内交通の大方針というものをお立てになっていただいて、それに伴っていろいろの行政をやっていただくということになりませんと、将来アメリカの鉄道の二の舞をするようなことになってくるのではないか、現にもう地方の私鉄道ではそういう状態になっておるように思いますので、そういう点につきまして一つ運輸大臣の御意見を伺いたい。
  26. 永野護

    永野国務大臣 旅客の輸送機関として飛行機と鉄道とバスとの分野を大体どういうふうにきめたらいいかということにつきましての御質問であったのでありますが、先ほどから申しますように、大体の大勢として旅客運送の間に占める飛行機の位置がだんだん重くなってくるということはお説の通りであります。ただ問題は、アメリカのような非常に飛行場及び道路の完備した国と、日本のように飛行場が数えるだけしかない、そしてまた非常に不完備な国と同率に見ることはできさない点がかなり多いと思います。理想は先ほども申しましたように、人間が汽車に乗って一日がかりで旅行したというようなことが、ちょうど昔の東海道をかごに乗って歩いたというような昔語りになる日の一日も早からんことを念願しておりますけれども、しかし現実の問題といたしましては、ここしばらくはやはり汽車の持つウエートは相当期間続くのではないか。要するに飛行機については飛行場の問題、自動車については道路の施設、これは運輸省の所管外の仕事が多いものでありますから、理想が一日も早く実現することを念願いたしますけれども、当分はやはり旅客は汽車を中心にするということであろうと思うのであります。その方針でやっております。しかし岸内閣の最大の公約としておりまする道路の改良、一兆円に及ぶ道路費用を予算に盛ろうというのでありますから、お説の五十キロくらいまではほとんど乗合自動車によるというような時期がくることも予想されますけれども、しかし現在ここ数年間の問題としましては、やはり主力は鉄道によるものと考えて鉄道の運営をやっていきたいと考えております。それからヘリコプターのお話が出ましたけれども、これは私は同感でありまして、日本のような土地の狭い国に長い滑走距離を必要とする飛行場を作りますと、どうしても飛行場までの距離が遠くなりますが、ヘリコプターならば、極端なことを言うならビルの屋上からでも飛べるというような事情もあります。それともう一つは、ヘリコプターが非常に早いスピードで進歩しております。今まではヘリコプターには利点もありましたけれどもスピードがおそいとかいろいろな関係で発達のスピードがおそかったのでありますけれども、ヘリコプターの機体あるいはエンジンの進歩と、それから日本の特殊事情で、ヘリコプターの将来は相当明るいのじゃないかと思います。従いまして、ヘリコプターに対する行政も今までと違った意味考えなければならぬ、こう考えております。
  27. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま運輸大臣の御答弁もありましたが、私はやはり将来の日本の交通運輸という点から、ぜひ大臣のような練達の方がおいでるときに、将来バスと鉄道と飛行機との関係をいかに調整していくか、またその方針をどうするかというようなことをおきめいただいておくことが、将来の日本の交通行政上非常に意義のあることじゃないかと思いますので、その点さらに御研究を願いたいと思っております。     〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕  次に航空の問題について、今の国際航空国内航空との関係でございますが、国内航空につきましていろいろ運輸省の過去の予算その他を拝見いたしましても、ややもすれば会社そのものの経営に対してといったような予算が多いじゃないかということで、やれ補助金だとか何だとかいうことを大いに心配しているようなことでございますが、私はこういうものを助成する場合において一番力になりまた一番必要なことは、いわゆる路線を与えることだと思うのでございまして、そういう意味から現在全日本空輸が持っておる路線と日本航空が持っておる路線とを比べてみますと、それはローカルの航空であるとは言い条、あまりに全日本空輸に対する路線の許可を制限し過ぎておる、もう少しこういう全日本空輸というようなものを補助する意味におきましては、たとえば東京から大阪に行きますにしても、名古屋におりてそれから大阪に行くとか、こんなのは距離の関係があるから日本航空にもやらせることが必要だが、全日本空輸にもそのくらいの長距離飛行くらいはやらしてやったらいいじゃないかというようなことがその一例であり、またわれわれ観光の見地から考えますれば、あの釧路に対する交通系統なんというものは、札幌の方を回ってきまするために非常にぐるぐる回って一晩泊りで行かなければ行けないというような点がある。こういう点につきましても、むしろもう少し全日空の航路というものをあてがいましてやるようなことにしたらいいじゃないか、こう思うのですが、この航路などを許可なり指名なりいたします場合に、どんなようなお考えでやっておられるか、その辺の御意見を伺いたい。
  28. 永野護

    永野国務大臣 全日空を援助するのに、補助金なんかの問題よりは航路の面でも考えるべき点があるのではないか、一番具体的の例として大阪—東京間の直通の航路を考えたらどうかという御質問でございましたが、この点は非常に熾烈な要望が前からありまして、ぜひ直通を認めてくれというような請願をたびたび受けておるのであります。決して考えないわけではないのでございます。けれども先ほど申しましたように、日本国内航空のあり方を根本的に今考え直さなければならぬ。北海道だけ別に切り離しておくのがいいのか、あるいは全体を一体にしてやった方がいいのか、あるいは国内航空に、ごく近所の、船でいうと近海航路だけは外国でもやっぱりくっつけた方がいいのか、いろいろつな案が考えられておるのであります。それを今検討中でありますので、この答申案が出まして、それらを総合的によく勘案いたしましてから御報告申し上げると思いますけれども、御意見はその案を作りますときに十分尊重して考えたいと思います。
  29. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま私が申し上げました民間航空の援助に対して云々ということに関しまして、やはり国でやることと会社にやらせることをもう少しはっきり、御認識というと失礼ですが、考えておいておやりになる必要があるのではないかと思うのでございます。たとえば飛行場の充実に関しましては、この前も私質問いたし、大臣からも御答弁があったのでございますが、一体飛行場の問題、航路というような問題につきましては、自動車に対しては道路を作らなければならぬ、鉄道に関しては鉄道を敷かなければならぬというようなことから非常に多くの経費を使っておる。航空の場合につきましても、やはり国としてそのくらい重点的な力を入れまして、そうして航空路を整備するというようなことが必要じゃないかということをこの前も申したのでございまして、それと関連して私はこの際航空要員の問題についてお伺いしたいと思います。航空要員の問題につきましては大臣が非常に関心を持たれて、先般も航空大学を御視察になったというようなことを聞いておるのでございますが、現在の日本航空大学では要員を十名だけ養成しておるというような程度でございますが、元来船にいたしましても商船学校があってこれを養成しており、戦前におきましては逓信省に民間航空の要員の養成所があった。しかも陸軍、海軍の方に別にまた養成する機関がありまして、その方面からも融通がついたということであったのでございますが、終戦後は、あるのは航空大学ただ一つだ。しかも十人だけ養成しておる。そうしますと、それがためにパイロットが足りないために、外国人を雇ってこなければならぬ。それが会社の非常な負担になるというようなこともあり、さらには将来の航空の発展を考えますときに、やはり思い切ってこうした国家施設を充実して、航空要員をもっともっと養成することが必要じゃないかと存ずるのでございますが、それに対して当局の御計画を承わりたいと思います。
  30. 永野護

    永野国務大臣 航空要員の必要性につきましては全く同感であります。ことに将来世界一周航路を目ざして努力していきたいと思っておりまする私といたしましては、それに相応する搭乗員を一刻も早く養成しなければならぬということは、これは必然的の任務だと思っております。航空大学で十人やそこらの人を養成しておったのでは、ただいま私が申し上げましたような要請にはとうてい応じ切れないのであります。従いまして航空大学の拡充整備ということにつきましては具体的に考えておる次第であります。御意見まことに御同感でありますから、できるだけその方面に尽力をして参りたいと存じております。
  31. 林坦

    ○林説明員 ただいま乗員の問題について大へん御心配をいただきまして、われわれとしてもこの問題は最も関心を持っておる問題でございます。それで今大臣からも御説明申し上げましたように、航空大学校の整備によりまして現在の十人規模を三十人規模にするというようなさしあたり計画でございまして、大体それによりまして今後三十八年ごろまでには、大体数においては足りるという状況に持っていくというのがただいまの計画でございます。ただ問題といたしましては、やはり優秀なパイロットを必要とする場合に、出てきた者を全部使うという現在の態勢、果してこれで十分であるかどうかということになりますと、なかなかいろいろな意味における歩どまり等を考えました場合に、さらにこの問題についてはもう少し検討を今後の問題として続ける必要があるのではないか。さしあたり数においては今の計画をもって大体三十人規模、本年度よりそれに取りかかったのでございますが、来年度の予算といたしましてもそのためにビーチ・クラフトの航空機を三機購入すべく現在大蔵省とも折衝中でございますが、かりにこれが達成されるといたしましても、なおかつ将来の問題を考えていきますときに、まだまだ乗員の問題については問題がたくさんあると考えております。なお航空大学校におきましては、ごく初度の操縦士の養成しかできておりませんので、これを出ました者はもう百パーセントにこれを航空会社に入れまして、そこで今度は相当多額の費用をこれに注いで一人前にし、あるいは外国航路に従事する操縦士にしなければならぬ。その一人を養成するためには二千万円近くも要るのでございまして、なかなか多額の費用をとにかく負担しなければならない問題があるのでございます。この点につきましては結局ほかの、たとえば船の場合等におきましては商船学校あるいはその他の施設におきまして相当程度のところまでとにかく養成され、しかも相当の人数養成されているのに比べますと、実はあまりにも窮屈な養成ではなかろうか。またその後における程度を高めるという意味における養成がもっと必要ではなかろうかという点については、しばしば議論にもなるところでございまして、私どもも将来の問題としてはすぐにその問題も今度は考えていかなければならないと考えております。
  32. 堀内一雄

    堀内委員 今のパイロットの養成につきましても、三十人、一応の計画はできておるようでございますが、将来東南アジア、いろいろな方面の援助といったようなことも考え日本がかっての海運において太平洋を牛耳っておったというような意味において、将来東南アジアそのほかの未開発地域に対する航空のパイロットといったようなことも一応考えるべきではなかろうかと思うし、それからまた今局長の言ったように、パイロットを養成しますのにはどうしたって七、八年はかかる。昔の陸軍、海軍でも七、八年はかからなければ一人前になれない。私の聞いている範囲では、今度のジェット機にしましても、ロッキ—ドなどをほんとうに操縦できるのは防衛庁でも源田空将一人だそうだ。あとの人では危なくてほとんどロッキードなんか操縦できないということをわれわれは聞いているのです。そういうことから考えれば、将来ジェット機の時代になってきて、操縦士は非常に優秀な者を抜擢しなければならぬということになるから、私はパイロットの養成ということについてはもっともっと思い切って積極的な御計画をお立てになることが必要ではないかと思うのであります。同時にこの際、パイロットの方はともかくとして、私はエンジニアの方の教育がどんなふうになっているかということを一つお伺いします。
  33. 林坦

    ○林説明員 現在エンジニア方面につきましては、航空大学校におきましては養成をいたしておりませんので、これらは広く他の給源と申しますか、養成機関にたよっておるという状況でございます。
  34. 堀内一雄

    堀内委員 私はそこが大へん心配になっておるのです。昔でも海軍には機関学校というものがあり、商船学校にも機関の方はあるのです。パイロットの方はともかくとして、技術関係航空要員というものは、よそで技術をやってきた者を会社ですぐやるということになっておるようだが、そこでどうしても航空の方の要員にする場合には航空大学に機械科というか、補修科というか、そういうもので少くとも六カ月くらいでもいい、そこでほんとうに航空に関する専門の教育をして、それから会社へ渡すということにすることが適当だと思う。先般、日本空輸の二回目の浜松に着陸したときのあなたの方の報告によりましても、何か燃料の行く穴が間違っていたというようなことが出ておるようで、そんなことから考えても、やはり私は技術の方に関しても航空大学の中にそういう部門を作って、技術要員の養成ということも考えることが事故の防止の上に非常にいいじゃないか、これは私の意見でございますので、それらも一つ考えになっていただきたいと思います。いろいろまだ質問をいたしたいこともありますけれども、時間の都合もありますので、本日の私の質問はこれで打ち切ります。—————————
  35. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、海上運送法の一部を改正する法律案及び小型船海運組合等の助成のための関係法律の整備に関する法律案を一括議題として質疑に入ります。質疑の通告がありますので、これを許します。岡部得三君。
  36. 岡部得三

    岡部委員 海上運送法の一部を改正する法律案につきまして、二、三お伺いを申し上げたいと思います。提案理由の説明にもございましたように、わが国におきましても定期航路の今日の過当競争というものは——これはわが国ばかりではないと思いますが、特にわが国においてはこの過当競争によって海運界運営基礎が非常に不安定になってきておる。また、ひいては運賃等の競争におきましても非常に各自まちまちでございまして、そのためにわが国の貿易にも響き、また国際収支の上におきましてもこれが大きく影響してきている。かような原因によりまして、今度この海上運送法の一部を改正して、これによって縛られているところの海運同盟に対しても、非常に強い制約が加えられていたのを、ある程度ゆるめて何とかこの過当競争を阻止していきたいということで提案されたと思いますが、私としては、現在の海運同盟の実情というものは大体どうなっているか、そういう点につきましてお伺いを申し上げます。
  37. 粟澤一男

    粟澤政府委員 御承知のように定期航路と申しますのは非常に公益性がございますが、一面におきまして、海運は昔から非常に自由競争ということで発達して参りました。各国ともこれにあまり大きな規制を政府が加えるというふうな政策はなるべくとらないということにしております。従いまして、そこにやはりお話のような過当競争ができてくる原因があるわけでございますが、これに対しまして、各海運業者では、航路を維持安定させるために海運同盟あるいは運賃協定をだんだんに作りまして自衛手段にする、こういう実情でございます。大体今世界の海運同盟は二百をこえる数字になっておりまして、おもな定期航路にはほとんど海運同盟あるいは運賃協定ができている状況でございます。  日本を中心といたします関係で見ますと、海運同盟は現在二十六ございます。日本を起点といたしますのが十三、日本を終点とするものが十、合計二十三、さらに日本を中心として往復航の同盟を作っているものが三、合計二十六になるわけでございます。そのほかに運賃協定が七つある、こういう状況でございます。合計いたしますと、日本を中心として海運同盟、運賃協定が三十三できている、こういう状況でございます。
  38. 岡部得三

    岡部委員 ただいま海運局長からの説明で実情がわかって参りましたが、同盟外の船主が相当にまたこれに介入して、統制を乱していっておるというようなことも聞いておりますが、現在海運同盟外の船主の現状と申しますか、そういう面について一つお伺いいたしたい。
  39. 粟澤一男

    粟澤政府委員 現在でも同盟と盟外船との競争状況はいろいろあるわけでございますが、具体的に例を申し上げますと、日本—バンコック間の定期航路、バンコック同盟というものができておりますが、これに対しましてアメリカのエバレットという船主が盟外船の配船をいたして競争しております。それから日本船で申しますと、川崎汽船がシンガポールとインド、パキスタン、あるいはペルシャ湾等にも参ります。そこに同盟がございますが、川崎は盟外配船を最近いたしております。これは三国間航路でございますので、日本を起点とはいたしておりませんが、日本船が入っております。なお過去の例を申しますと、ニューヨーク航路等も相当混乱をいたしまして、運賃のダンピングというものもございます。それからインド、パキスタン航路でも、日本船が相当盟外配船をいたして混乱しておる状況もございます。これは現在は終息いたしております。最近の例については、ただいま申し上げましたエバレットとかあるいは川崎というような盟外船がある、こういう実情でございます。
  40. 岡部得三

    岡部委員 まだ海運局長にお尋ねしたいこともありますが、大臣も時間がないそうですから、ちょっと大臣に一、二点お伺い申し上げたいと思います。それはこの改正案の三十二条におきます「定期航路事業の健全な発達を阻害する」この点につきましては、これが主たる目的ではないかとも思いますが、具体的にはどういう場合をさすのか。これは局長さんの方がいいかと思いますが、それにつきましていろいろと弊害も生じると思いますので、この改正におきましては運輸大臣の勧告ということが強くうたわれております。大体これは法律上の効果はいかがなものですか、特に外国船に対していかなる効果があるのか、この点についてお伺い申し上げたい。
  41. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ここに書いてございます「過度の競争を生じ、又は生ずるおそれがある場合」というような事例といたしましては、たとえば現在の航路状況を見まして、荷動き状況その他近い将来の荷動き等を見ても、現在の航路配船で十分まかなえるというふうなときに、特に今日のような不況のときには考えられるようでございますが、少くとも定期の航路は安定いたしておりますので、不定期船よりも運賃がやはりよろしい。従って収入も多いというようなことで、あえて船腹は過剰状況にあるにもかかわらず、盟外配船をして定期船に割り込むというようなことが考えられます。それが近い将来を見ても大体こういう程度であるというふうならよろしいのでございますが、それが非常な過剰というようなことになりますと、どうしてもやはり運賃のダンピングということが予想されますので、そういう際に運輸大臣はやはりある程度の勧告権を持ちまして、これに勧告し得る、こういうふうに考えておったわけでございます。  なおお話のうちに、この程度で効果があるかというお話でございますが、現実の問題といたしましてはこういう法規がございませんので、実際上行政指導で私どもいろいろ指導しながら航路調整をやっておるわけであります。それでもある程度の目的を果しておるわけでございますが、法律に明文のございます勧告権というものがあります場合には、この勧告をいたしますときには文書等をもちまして、当然正式に勧告をいたすわけでございます。これは当然外部にも公表されますので、船会社といたしましては道義的に相当の責任を感じます。なお、さらに運輸大臣といたしましては、助成その他いろいろな行政措置を講じておりますので、この勧告に万一従わないという場合には、そういう方面からの運輸大臣としてのお考えもあるかと思いますが、業界としてはこの勧告が明文で規定されました場合には何といいますか、受ける方には相当大きな力があるというふうに考えております。
  42. 岡部得三

    岡部委員 運輸大臣にお伺いいたしますが、従来海運界におけるところの不況というものに対しましてこういう法律の改正も必要でございまするし、これによって過当競争もできるだけ未然に防いでいくということが非常に必要でございますが、根本的なお考えをこの際お伺いしたいと思います。
  43. 永野護

    永野国務大臣 海運界の景気、不景気等を予測いたしますことは非常に材料が多岐にわたります。ことに日本国内の材料のウエートが非常に軽くて、世界的の諸材料がおもな決定的要素になっておりますので、残念ながら日本で持っております資料よりは、外国の世界的船主の方が、われわれが納得する材料を持っておるように私は考えるのであります。従いまして、私数次外国海運業者の意見を聞いたのでありますが、大体において底をついている。そうして二、三年先には相当の景気回復を期待ができると考えておるようであります。これは単に理論ではありませんので、この現在多数の船を係船しておりながら、次の新造船計画を立てておる会社が多いのであります。私は、現在係船しておりながら、何で船を作るのだという質問をいたしましたところ、そんなことは心配しないでよいのだ。目先の波はわれわれは驚かないのだ。少くも今現に作っております船は、御承知通り船価が、ついこの間作っておりますものよりは二割か二割五分も下っておるのでありますから、あれだけのマージンを見れば今の船価でもって作っておる船は必ずペイするという、非常に確信を持っておるのであります。そういうような材料から海運界の大勢は少くも今より悪くはならない。むしろ積極的に明るい見通しがある。個々の海運業者としてはいわゆる金利に追われますから、理論ばかりは言っておれないと思いますけれども、国策として日本海運政策をきめますときには、目先の小さい波で日本の基本国策を変えるべきではない。少くも日本の商品を運びますのに外国の船腹を借りてやっておる今日の実情は一刻も早く克服いたしまして、少くも運賃に関する国際貸借の残が今日のような大きな赤字は一刻も早く克服をいたしたい、そういうふうに考えております。
  44. 關谷勝利

    ○關谷委員 関連して一点だけ伺います。この海上運送法の一部を改正する法律案は私は賛成であり、今の海運同盟等の状態から見て当然かくあるべきだと思います。これで一番重要なことは運送秩序に関する勧告でありますが、大臣がこれが「過度の競争を生じ、又は生ずるおそれがある場合において、その競争が定期航路事業の健全な発達を阻害するおそれがあると認めるときは、当事者に対して競争の停止又は防止のため必要な措置をとるべきことを勧告することができる。」こうあるのでありますが、この勧告の効力といいますか、効果、これがどういうものか。またこの勧告に従わない場合に大臣はどのような措置をとり得るのか。その効果的な、具体的な方法をとることができるのかできないのか。これが空文に終るのか、あるいは実質的にほんとうにこれが効果があるような運用ができるのかどうか。この改正案がほんとうに実行できるかどうかはこの点にかかっておると思いますから、この点をお尋ねいたします。
  45. 永野護

    永野国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますのに、法律的の効果と経済的の効果があると思います。法律的の効果はこれに違反した場合にどうこうということは規定がございませんから、その意味から申しますとあるいは不十分だと言えるかもしれませんけれども、御承知通り今日の日本海運界の実情、ことに造船はほとんど計画造船の政府の力にたよっておるというような実情におきまして、海運界政府政策によって影響を受ける点は非常に多いのであります。単に金融面ばかりではなく、いろいろな点で政府の指導方針によってその会社の受ける影響が大きいのでありますから、そういう意味におきまして、つまり行政上の手かげんによりまして、政府の勧告に従わない場合には、少くもその会社運営政府が協力しない、好意を持たないということが、法律上の罰則よりはむしろ痛いような実情、これは今のような海運界の不況のときには特に著しいと思います。海運界が非常に盛んでありまして、何ら政府の力をかりる必要がないというようなときには、政府の勧告ぐらい何だというようなことも考えられますけれども、今日のような実情では、政府運輸行政に協力しない会社だという刻印を押されることは相当な影響があると、私はこう考えております。
  46. 關谷勝利

    ○關谷委員 大臣の言われる通り、好況時において船腹が不足するような状態ではこういう法律は要らないのでありますから、不況の場合を前提として考えられておる法律です。今いろいろお尋ねいたしますと、この法律は罰則も何もないのだから法律において縛ることはできないが、行政措置においてこれを圧迫するのだという、何やらそこにおかしな、私たちが考えますと何やらいやらしい行政措置が生まれてくる、こういうふうな気持がするのですが、もう少しすっきりした条文にして、これをやらなかったら法律によってこうするのだ——何か法律にないのに制裁を加えてやるようにするという、そこに私は何やら割り切れぬものが一つあると思うのですが、大臣はそんな感じがしませんか。
  47. 永野護

    永野国務大臣 御質問ごもっともでありまして、これはいわゆる歯切れのいい、びしつと、そのままずばりというような法文ではないのであります。従いまして、何かもやもやするじゃないかというような感じをぬぐい去ることができないのはお説の通りであります。しかしどうも経済問題にはよほどそういうことが多いのでありまして、お前に今後好意を持たぬぞというような言い方は、好意を持たぬと一体どういうことになるのだといいましても、現実にはそれがかなり有力なる影響を与えることがあるのでありますから、法律問題としますとお説の通りまことにもやもやしておりますけれども、経済的には相当効果がある、こう私は考えております。経済的の感覚で申し上げます。
  48. 關谷勝利

    ○關谷委員 現実的には御説の通りでありますが、国家行政組織法ができて、それ以来はすべて行政は法律に基いてやれということです。その精神を踏みにじって、この勧告を聞かない場合には、おれの言うことを聞かなかったらそのかわりこの方でかたきを討つぞ、お前には差別的な扱いをしてそれでお前を押えつけるぞという、この形態はどうも私は感心しない、すっきりとしない、割り切れぬやり方だ、こういうふうに考えるのですが、もう少し法律を何か考えてやらなければ——ほかの条項にはみな罰則があるのです。すっきりとして、もし何条に従わない場合には罰金とかいろいろなことがあるのですが、法律に基いてやむを得ないのだ、その際に、お前これのかたきをここで討つのかというふうなことを言われたときに、大臣のお立場は少しつらいようなことができやしませんか。そんな点を私ちょっと考えますので、ここらに割り切れぬものがこの法律改正では残る、こういうふうに考えます。これ以上大臣といろいろ言い合いましても、これは考え方の相違といいますか、これ以外にはないといえばそれまででありますが、どうもそこらに割り切れぬ、おもしろくない法律だという感じを持ちます。しかし今の事情としてはやむを得ないと思います。この不況時に、自分が損をして政府補助を受けておるものが、それがなおさら競争を熾烈にするような不当競争をやる、過当競争をやるということに対して、それは悪い、そのことはそのことで処分をして、あとはまた平等に取り扱ってやるというような格好が、これが望ましい行政の格好であろうかと思います。この法律ではこれではくくれないのだ、くくれないのだが、しかし裏で何とかしてやるのだというこのやり方というものは、行政の面として私はちょっとおもしろくない、最上の策ではない、こういうふうな気持がいたしますので、これは御参考に申し上げたわけであります。将来これはまたお考えになる時期があると思いますが、実際にやってみてそういうふうないやらしい場面が出るという場合にはもう一つ考え願いたいということで私の質問を打ち切ります。
  49. 塚原俊郎

    塚原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五分散会