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1958-06-25 第29回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十五日(水曜日)    午前十時開議   ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七号   昭和三十三年六月二十五日    午前十時開議  第一 市町村立学校職員給与負担   法の一部を改正する法律案(趣   旨説明)  第二 繭糸価格の安定に関する臨   時措置法案趣旨説明)   ━━━━━━━━━━━━━
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。    ――――・――――
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  この際、お諮りいたします。石黒忠篤君、天坊裕彦君から、いずれも海外旅行のため会期中請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。    ――――・――――
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) この際、日程に追加して、国会法第三十九条但書の規定による議決に関する件(米価審議会委員)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  内閣から、衆議院議員寺島隆太郎君、成田知巳君、日野吉夫君、平野三郎君、松澤雄藏君、本院議員鈴木万平君を、米価審議会委員に任命することについて本院の議決を求めて参りました。  これらの諸君が同委員につくことに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもってこれらの諸君米価審議会委員につくことができると議決されました。    ――――・――――
  8. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案趣旨説明)  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。灘尾文部大臣。   〔国務大臣灘尾弘吉登壇拍手
  9. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回、政府から提出いたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容概略を御説明申し上げます。  改正の第一は、市町村立の小学校、中学校等教職員に対する管理職手当都道府県負担とすることであります。すなわち、国立大学学長学部長等につきましては、これらの職員管理または監督の地位にあることにかんがみ、一般職職員給与に関する法律第十条の二の規定により、昭和三十一年度から俸給の特別調整額、すなわち、いわゆる管理職手当支給されておるのでありますが、国立高等学校以下の校長に対する管理職手当につきましても、本年度から、その支給に必要な予算措置が講ぜられたのであります。国立高等学校以下の校長に対して管理職手当支給されることになりますと、教育公務員特例法第二十五条の五の一「公立学校教育公務員給与種類及び額は、国立学校教育公務員給与種類及び額を基準として定める」という規定により、公立高等学校以下の校長に対しましても、同様、管理職手当支給されることになるのであります。この場合、市町村立義務教育学校等の経費のうち、教職員給与費については、従来、都道府県負担となっていたので、今回、校長に対する管理職手当につきましても、他の給与と同様、都道府県負担とすることが適当と考えられるので、この点を規定したものであります。なお、都道一府県が負担する管理職手当のうち、義務教育学校分については、義務教育費国庫負担法第二条の規定により、その実支出額の二分の一を国が負担することとなっているのであります。  管理職手当支給に伴う財政措置といたしましては、義務教育費国庫負担金として約四億四千五百万円を計上しておりますほか、地方負担分につきましては、地方財政計画等において必要な措置を講じているのであります。  改正の第二は、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律により、国家公務員に対し、新たに通勤手当支給されることになっておりますことに伴い、市町村立義務教育学校等教職員支給される通勤手当を、管理職手当及びその他の給与と同様、都道府県負担とするためのものであります。なお、通勤手当支給に伴う財政措置といたしましては、義務教育費国庫負担金として約五億五千六百万円を計上しておりますほか、地方負担分につきましても、地方財政計画等におきまして、所要の措置を講じているのであります。  改正の第三は、給与都道府県負担する事務職員の範囲が吏員に相当する者であることを明らかにする等、規定整備を行うことであります。  最後に、この法律は公布の日から施行し、昭和三十三年四月一日から適用することといたしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容概略でございます。(拍手
  10. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。湯山勇君。   〔湯山勇登壇拍手
  11. 湯山勇

    湯山勇君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました法律案のうち、特に管理職手当について、若干の質問をいたします。  管理職手当につきましては、これが前国会に提案されました当時から、いろいろ疑義を持たれておったのでございます。その最も大きいものは、校長管理職手当支給することによって、校長組合から離脱させ、それによって組合弱体化をはかり、教育権力支配を強化するのではないかという点でございます。このことは、すべての報道機関が一致して指摘しているところでありまして、また、文部省もしばしば校長組合離脱を勧奨した事実がございます。ことに、前国会中、この法律と表裏の関係にあるとして、校長教頭組合員化法案を出し、その政治的挑発によって対決の場を作り、これを衆議院解散の突破口にしよう、こういう策動が、当時の総務会長佐藤大蔵大臣によって進められたことは周知の事実でございます。これらの事実から、この管理職手当がきわめて政治的なものであり、勤務評定と同様に、教員組合対策であるという批判は当然起ってくると思うのでございます。なお、この手当の性格を明らかにするため、この際、当時、六役会議の中心となってこの問題を取り扱ってきた佐藤、三木両大臣から、それぞれの立場において、当時の経緯を伺いたいのでございます。もし、この管理職手当にそのような意図がないと言われるのでございますならば、政府は、将来においても、なお校長教頭を非組合員化するようなことはしない、こういう御言明をいただけるかどうか、岸総理に伺いたいのでございます。なお、当時伝えられましたごとく、地方公務員の全体について、管理職組合から離脱させるというようなことを考えておられるかどうか、この点もあわせてお伺いいたします。  第二の疑点は、この手当が不純な利益誘導ではないか、今日まで次第に権力による教育支配を強化してきた政府が、新たに金力、つまり金の力によって教育支配意図しているのではないかという疑問でございます。校長職員団体に加入することは、憲法で保障された自由でございます。もちろん、法的にも何ら問題がないことを、自治庁は、昭和二十六年、仙台市の照会に対して、明確に回答しているのでございます。すなわち、職員団体である組合校長が加入することは、本人の自主的判断によるべきものであるというのでございます。今もし管理職手当支給することによって直接間接を問わず、政府校長の非組合員化を促し、あるいは教育委員会側に引きつけるようなことがあれば、それは餌をまいて魚をつるのたぐいであります。校長憲法で保障された自由と信念を、金の力で拘束することになるのでございます。これでは多くの校長はかえって迷惑を感じ、さらには侮辱をも感じるのではないでしょうか。現に、高知県の校長さんたち管理職手当の返上を申し合せたと伝えられているのは、この間の消息を物語るものと思うのでございます。この手当を受けることによって従来に比し、校長の身分、職務内容権限変化はないかどうか、また、新たな拘束をいかなる形においても受けることはないかどうかということについて、岸総理の御所見を伺いたいのでございます。なおまた、自治庁長官からは、今もなお、校長職員団体への加入は、校長自主的判断によるべきであるという見解に変りはないかどうかを、念のために伺いたいのでございます。  第三には、管理職手当が、校長児童生徒をより疎遠にするのではないかという点でございます。子供たちとの接触が少くなるということが、今日、校長の最大の悩みでございます。この手当支給によって、校長管理者的意識が強化され、教育委員会側に引き寄せられることになれば、心理的にも、事実においても、一そう子供たちから校長を引き離すことになるのでございます。さらに、校長の中には、子供たちよりも教育委員会を重視し、これに迎合する者もできるおそれもなしとしないのでございます。これを裏づけるかのごとく、全国教育長協議会の作った勤務評定評定項目に、私どもが夢にも考えなかった「上司有力者にこびへつらい取り入ることはないか」ということがございまして、これを五段階に評定するというのでございます。校長がこのような情ない評定を受ける案を、文部省は最善のものとして賞賛しておるのでございます。ここに私どもは、大きな不安を感ずるものでございます。子供好きと言われておる岸総理は、こういうことについて、どうお感じになりますか。また、文部大臣のこれに対する御所見を伺いたいのでございます。  第四に、この手当は、校長プライドを傷つけるものではないかという点ございます。今回支給される管理職手当は、本俸の七%になっているのでございます。現行管理職手当最低は一二%でございますから、現行管理職手当最低の半分にしかならないのでございます。もともと、管理職手当超過勤務手当にかわるものとして始められたものでございますから、校長管理職手当支給されるならば、当然、一般教職員超勤手当支給されてしかるべきでございます。もしまた、文字通り管理職職務に対する手当であるとするならば、校長管理職としては、現行の一二%を受けている最低管理職の半人前であるという格づけがされることになるのでございます。それも時期をおくらせて、くれれば喜ぶだろうというような出し方は、かえって校長の職を侮辱し、教育を軽視するものであって、著しく校長の誇りを傷つけるものでございます。この点については、総理大臣、さらに予算関係もございますから、大蔵大臣文部大臣から御所見を伺いたいのでございます。  以上、述べましたような疑念は、単なる説明では解消するものではございません。具体的な事実をもって、快く校長が受けられるような条件を整えることが先決問題でございます。定期昇給さえも延伸し、あるいは足踏みさせておいて、何の管理職手当でしょうか、全国民待望すし詰め教室解消は、どうなつているでしょうか、科学技術教育振興も、道徳教育も、すべて教育の能率の向上は、すし詰め教室解消からであります。この観点から、先国会において、その予算も、法律も成立しているにもかかわらず、政府の怠慢から、二カ月たった今日、なおそのまま放置されているのは、一体いかなる理由によるのでございましょうか、その見通しはどうなのか、当事者である文部大臣自治庁長官大蔵大臣から、それぞれの立場で御解明を願いたいのでございます。  教育の問題で万人の求める政策は、たとえば、すし詰め教室解消のごとく、何ら対決の必要はないのであります。そういう政策こそ、政府は真剣に日取り上げるべきであって、教育政党間の対決の具に供せんとして、政治的意図のもとに、校長の非組合員化をはかったり、政治的意図のもとに、一方的に勤務評定を強行するようなことがあれば、それは教育教師をもてあそぶものであって、断じて許されないと思うのであります。総理のこの点に対する基本的なお考えを伺いたいと存じます。  最後に、岸総理池田国務大臣にお伺いいたします。  日本教育が大きく転換を始めて、教育の問題が政党対決の場になった最初は、吉田内閣大達文相時代でござ  いました。その直前に、あの有名な池田ロバートソン会談が行われたのでございます。その議事録草案には、日本憲法教育、愛国心、どんなことがあっても銃を持たない教育を受けた青年の問題等、いろいろ重要な問題があげられておるのでございまして、このことは新聞紙上にも発表になった通りでございます。この池田ロバートソン会談が、今日の文教政策と無関係であるとは、どうしても私ども考えられないのでございまして、当時、池田国務大臣は、ロバートソン国務次官補教育についてどのような話し合いをされたか、池田国務大臣からお聞かせを願いたいのでございます。ことに最近、池田ロバートソン会談関係もあって、池田国務大臣の再度渡米のうわさも出ておる折柄、どうか率直にお述べ下さいますように、これは特にお願い申し上げます。  これと関連をもって岸総理にお伺いいたしたいことは、かねて、総理憲法改正論者であると言っておられますが、御承知通り憲法教育基本法とは不離一体のものでございます。一憲法改正は、当然、教育基本法改正に直結いたしております。しかも、憲法改正論議の焦点が防衛問題であることを思い合せますと、何か私どもは、教育全体に不安を覚えるのでございます。教育の改変が憲法改正の前提であるか、憲法改正をして教育を変えようとするのか、それらの問題も含めて、この際、総理の所信をお伺いいたしまして、私の質問を終ることにいたします。(拍手)   [国務大臣岸信介登壇拍手
  12. 岸信介

    国務大臣岸信介君) お答えをいたします。  この管理職手当を出すことが、校長等の非組合員化をはかっておるのではないか、これをやらないということを、はっきり言明をしろというお話でございます。もちろん、この管理職手当というものは、校長等のこの職務から見ましていわゆる管理職としてこれに、すでに大学学長学部長等にも出しておるような管理職手当を出すことが適当である、こういう考えでこれを考えたわけであります。  組合員に入るか入らないかということは、今日校長の良識に待つということになっております。ただ私の考えによれば、この校長職務を中正に行なっていくためには、組合に加入しないということが望ましいと考えております。しかし、それを法律等において立法化すかどうかという問題に関しましては、いろいろな点もございますので、十分検討してこれに処すべきものである、かように考えております。  それから管理職手当を出すことが、何かこれによって、いろいろ校長職務を行う上において、規制を加えることになりはしないかという御心配でございますが、私どもは、この管理職手当を出すことが、むしろ校長として、教育法に定められておりますところの職員を監督し、校務をつかさどっていくという仕事を完全に、中正、公正に行うためにこれを出すわけでありまして、これによって不当に規制するというようなことは、毛頭考えておらないのであります。  それから校長管理職手当を出すことによって、校長児童との関係が薄くなって、むしろ教育委員会その他の方に非常に気を引かれるようになって行きはしないかという御心配でありますが、私の今申し上げたように、管理職手当というのを出すのは、御承知通り教育法で定まっておる校長の特別の職務に対して、われわれが出そうというわけでありまして、決して別の意図を持っておるわけではございません。そういう御心配は要らぬと思います。  なお、今回出しておる管理職手当が七%であるので、これが他の一二%出しておる従来の何に比して低いことが、校長プライドを傷つけはしないかという御心配であります。これをわれわれが七%にきめました理由は、もちろん財政的の理由もございますし、各般の事情考えて七%としたわけでございますが、私どもは御心配のように、これによって校長プライドを傷つけるものではないと、かように考えております。  それからさらに、憲法改正教育法お話がございました。私は憲法の問題に関して、かねて憲法を制定されたときの事情、その後における日本事情、これの運営、これを施行してきた実績等にかんがみまして、全面的に検討して自主的に憲法を制定すべきものであるということを私自身は考えております。しかし、これは言うまでもなく、国の非常な重大な問題でありますから、権威ある調査機関を作って、根本的に憲法に関する各種の問題を調査研究していることは御承知通りであります。私はその結論を待って、これに処して行きたいと思っております。教育法等関係につきまして、もちろん私がこういう考えを持っているということは、教育基本法根本を変えようというような考えではないのでありまして、教育基本法に定められておる根本精神というものは、あくまでも尊重して行かなければならぬけれども、しかし、教育基本法そのものが、一字一句といえども、これを修正したり、改正したりすることはできないという性質のものではないと私は思う。あくまでも実情に合う、日本の将来に適当である場合には検討していくことは、これは他の法律とともに当然であると思っております。  池田ロバートソン会談云々お話がございましたが、私は教育において、児童が正しく自分の国を愛していくということを教育するということは、これは私は、どこの教育であっても、いやしくも独立国家である以上は、当然であろうと思っております。従って、他からこういう問題を、いろいろ約束するとか、あるいは強制されてすべきものではなくして、あくまでも自主独立立場として、私はそういうように考えております。(拍手)   〔国務大臣灘尾弘吉登壇拍手
  13. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お答えをいたします。湯山君の御質問中、総理大臣並びに私、両方をお名ざしでの御質問がございましたが、その部分につきましては、ただいま総理大臣お答えになりました通りでございまして、重ねて私からお答えを申し上げる必要もないかと存ずるのでございます。  今回のこの管理職手当を出します問題につきまして、いろいろとわれわれの胸中を御想像になりまして、かれこれの御批判もあるようでございますが、他意ないのでありまして、要するに、学校長のその職責にかんがみまして、これに対して管理職手当を出そうというにすぎないのであります。この問題につきましては、何らきょうに始まったことではございません。年来考えておったことでありますけれども、先般は大学学長あるいは学部長等に対しましてこれを出し、続いて今回の措置をとっておることでありますので、他に格別の意図があるわけではないということを、ぜひ御了承を願いたいと思うのでございます。  この管理職手当を出すことによりまして、何か学童と校長との間が疎遠になってくるというような御心配でございますが、校長管理職であるということは、管理職手当を出そうと出すまいと同じことでございまして、その意味におきまして、何ら状況に変化はないのでございます。これを出すことによって、俗に疎遠になるというふうなことは、私はないと思うのであります。また、上司にこびへつらう云々のこともございましたが、人間の性情といたしまして、往々にして上司にこびへつらうということがないわけではないのであります。かようなことは、学校長にいたしましても、あるいは教職員にいたしましても、決して望ましいことではございません。さようなことは適当な教師の資格とは言いにくいと思いますので、勤務評定をいたします場合の観察事項として、こういうものを掲げておることも、これまた当然であろうと思うのでございます。  それからこの管理職手当を出すこと一によって、何か新たに学校長に対して特別な権限を与えるとか、あるいは義務を課するとかいうようなことは、今日何も考えておりません。現在のままの姿において管理職手当を出そうと考えておるのにすぎないのであります。また、その管理職手当の額について御意見もございました。あまりに少きに失するのじゃないかという御批評もあったわけでございますが、これにつきましては、大学学長あるいは学部長等に対する管理職手当関係ないしは財源等関係もありまして、一まず七%ということになっておるわけでございますが、この額につきましては、今後ともに私ども検討を重ねて参りたいと思っております。  それから、これが決して校長プライドを傷つけるとか何とかいう性質のものではなかろうと私は考えるのであります。  なおまた、この問題を実施する前になすべきことがたくさんあるじゃないかというふうな趣旨お尋ねでございますが、お説の通りに、文部行政の部門におきましては、お話にありましたような、すし詰め教室解消の問題、あるいは科学技術教育振興の問題、あるいは学校建設整備の問題、いろいろと大きな課題をかかえておるわけでございます。これらにつきましては、すでにわれわれもその実現に着手いたしております。今後ますます努力を重ねまして、これらの方面の整備充実をはかって参りますということは、当然の職責として努力するつもりでございます。それとこの問題とを一緒にお考えになる必要は私はない、この問題はこの問題といたしまして、学校長のその職責にかんがみまして、管理職手当を出すということは、私はきわめて適当なことであると考えるのでございます。すし詰め教室解消の問題につきましても、政令云々の御質問がございましたが、準備の上におきまして若干の時日を要したのでありますが、これは、なるべくすみやかにこれを実施するつもりで、今日鋭意努力いたしております。  なお、この問題につきまして、いろいろ 揚摩憶測せられることだけは、一つ御容赦願いたいと思うのでありまして、私どもは、単純に管理職手当を出そうということであります。そのことによりまして、校長管理職としての自覚を一そう明らかにして、その職責を十分努めてもらいたいという気持にほかならないのでございます。さようぜひ御了承願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えいたします。  私が総務会長時分に、ことしの三月時分、六役会議等において、組合の分裂を計画するようないろいろな措置を、また相談をしたのじゃないかということが第一のお尋ねであったと思います。総務会長当時、教育の重要な点にかんがみまして、種々教育諸問題あるいは教員組合のあわ方等につきましても、議論をかわしたことはございます。しかしながら、お尋ねになりましたように、組合の正当な活動を押える、あるいは健全な発達を阻害する、そのようなことを考えたことはございません。ただいま文部大臣お答えいたしましたように、今後の教育のあり方、これこそは、わが国にとりまして最も大事なことだと考えておりますので、政治関係する立場から種々協議をいたしたことはありますが、ただいま申し上げるように、特別な意図をもって悪意のある相談をしたことはない、この点は重ねて申し上げまして、御了承いただきたいと思います。  第二の問題で、管理職手当七%が低いのではないかということでございましたが、御承知のように、一般公務員とは給与の建前が違っております。また管理仕事内容等も違っておりますので、あらゆる点を勘案いたしまして、この七%程度が、私どもは適当だと考えておるのでございます。  第三の問題といたしまして、すし詰め教室その他に対する対策法案が通ったが、施行令がおくれておる。御指摘の通り施行令がなお公布されておりません。この点は大へん遺憾に思っております。しかし、文部省、大蔵省、さらに自治庁等関係事務当局の間で、ただいま協議中でございます。従いまして、近いうちにこの施行令を公布する段取りになっておりますが、大へんおくれておることは申しわけございませんが、御要望を達することができますので、御了承いただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇拍手
  15. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 湯山君にお答えいたしますが、六役会議で、日教組の弾圧を相談をしたことがあるのじゃないかというような御質問ですが、さような事実はありません。教育というものが、結局、民族の運命を支配するものであるから、教育を充実して行こう、教育の効果を高めようということは、しばしば論議の対象にもなったけれども、特に日教組を弾圧するというような、そういう考え方の論議はなかったことをお答えいたします。(拍手)   〔国務大臣青木正君登壇拍手
  16. 青木正

    国務大臣(青木正君) 御質問の第一点は、昭和二十六年七月、仙台市長から自治庁に照会のあった問題であります。照会の内容は、労働組合法第二条によりますと、管理または監督の地位にあるものは労働組合員にならない。その規定から考えまして、校長職員団体の構成員になることは違法ではないか、こういう御質問であったわけであります。これに対しまして、自治庁側といたしましては、申し上げるまでもなく、教育公務員には労働組合法は適用はないのでありますから、従ってそのことは違法ではないと、こういう回答をいたしたのであります。御承知のように、職員組合の結成につきまして、結成並びに加入につきましては、地方公務員法の第五十二条によりまして自由になっておりますので、その見解をとったわけでありまして今日といえども、その解釈につきましては何らの変更はないのであります。  それから第二点につきましては、先ほど文部大臣並びに大蔵大臣から御答弁申し上げた通りでありまして、せっかく事務当局間で折衝を重ねております。近いうちに政令の公布になるものと私ども存じております。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇拍手
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  私とロバートソンとの会談内容につきましては、昭和二十八年の十月三十一日共同声明を出しております。しかして、その内容は自衛力の問題、貿易の問題、MSAを中心とした外資導入の問題等でございまして、日本教育方針につきましては、一切触れておりません。会談の内容にはございません。(拍手
  18. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 湯山勇君。   〔湯山勇登壇拍手
  19. 湯山勇

    湯山勇君 簡単に再質問をいたします。  岸総理から、校長組合加入は望ましくないという意味の御発言がございました。この点につきましては、岸内閣自治庁長官から明確にされまとたように、法的にも校長自主的判断に待つ、こういうことになっております。ことに校長たちは、自主的に判断をいたしまして、義務教育諸学校においては約二、三〇%は入っておりませんし、高等学校等におきましては五〇%程度が組合に入っておりません。これは自分の職務を遂行する上に、果して入っているのがいいか悪いかは、みずから判断して善処しておることであってこういう問題について、法的に問題のないものを、総理がこういう壇上でとかくの意見を述べるということは、私は適当でないと思いますが、この点について再び総理の御所見を承わりたいと思います。  第二の点につきましては、大蔵大臣文部大臣のお考えが非常に食い違っておるということでございます。文部大臣が、七%は将来何とか考えなければならないという御答弁をなさったのは、たとえば、文部省の課長クラスは、この校長の七%の四倍近い二五%の管理職手当を受けております。ことに文部省の課長の下の初任クラスでも二五%の管理職手当を受けておる者もございます。国立学校の図書館の館長、学校の図書館の館長さえも一二%の管理職手当を受けている、こういう教育職員の具体的な事実から、文部大臣はそういう御発言があったと思うのでございますけれども、財政当局の大蔵大臣は、七%が適当だと、これでは政府の中のお考えが不一致であって私の答弁に対しての答えはまちまちでございます。これはあらためて岸総理から、この点について伺いたいのでございます。  それから第三点は、もし大蔵大臣が七%が適当だとおっしゃるのであれば、その理由を明確にしていただきたい。そうでなければ、ただ七%が適当だというだけでは承服できないのでございます。  第四番目にお尋ねいたしたいことは、あのすし詰め教室に対する法律について、三大臣とも、近いうちに実施すると、こういうことでございましたが、近いうちといっても、とにかく法律通り予算が通ってすでに二カ月を経過して、あと政令を待つばかりとなっておりますが、その政令が二カ月たった今日まだできていない。本来ならば、政府提案でございますから、法律を出すときには、政令の用意もできておるはずでございます。あの選挙でずいぶん公約された、すし詰め教室解消法律の実施が、今日までおくれて一おる責任は一体だれにあるのか、一体いつこれを政令を作ってほんとうに実施に移すのか、責任者であるこれも岸総理から伺いたいと思います。以上で再質問を終ります。(拍手)   〔国務大臣岸信介登壇拍手
  20. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 湯山君の再質問に対してお答え申し上げます。  第一に、一校長等組合に入るかどうかということは、私もさっきお答え申し上げましたように、現在の法制のもとにおいては、校長等の良識に待って、その自由意思によって決定をされておるという状態であることは、その通りであります。私は私の見解を申し述べ、政府自体が、法律でそういうことを規定することがいいか悪いかを研究を命じておりますので、その点を明確にいたしておいたわけであります。  それから第二の、管理職手当の七%という問題でございます。これは私ども七%にきめましたことについては、一応これで適当であるという見地に立ったわけでありますが、これが最後的にこれでいいのだという、こういう性質のものから申しますというと、そういうことはなかなか申し上げられないと思うのでございます。十分事情等を考え、財政の状態その他も考えまして将来の問題としては、これをさらに是正するということは、私ども考えて行かなければならぬ、かように思っております。  それから第三の点の、このすし詰め教室その他の政令の問題でございますが、これが今日までおくれておりますことは、はなはだ内閣の責任として私も相済まないと思っております。なるべく至急に、これが制定、公布、実施をするように責任をもってやるようにいたします。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま総理大臣からお話がありましたので、七%の問題には触れませんが、御承知のように、将来の問題としてはこれは別でございますが、今日きめたのは一七%、一般公務員に対する給与支給方法と教職員に対する給与支給方法は違っておりますので、そういう点を勘案して今回は七%が妥当だ、かような結論を出したのであります。  次の施行令を早く出せというお話でございます。ただいま事務当局間で折衝いたしております。早ければ今月中にもこれを公布することができるかと思います。ただ、期日のことでございますので、はっきりしたことは申し上げられません。ただ、できるだけ早い機会にということを申し上げる次第でございます。(拍手
  22. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は、終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。    ――――・――――
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、繭糸価格の安定に関する臨時措置法案趣旨説明)  本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。三浦農林大臣。   〔国務大臣三浦一雄君登壇拍手
  24. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 繭糸価格の安定に関する臨時措置法案につきまして、趣旨説明を申し上げます。  政府は、昨年末以来の生糸の需給事情の悪化に対処いたしますために、つとに三十三生糸年度においても、生糸及び繭の最低価格は、従前の水準を堅持する方針を明らかにいたしまして、これを実現するために必要な施策を逐次講じて参ったのであります。すなわち本年三月には内外市場の生糸価格に対する不安を解消いたしますために、例年より早く、生糸の最高、最低価格及び繭の最低価格を、従前通りこれを据え置くことと決定いたしたのであります。さらに、本年初め以来、生糸の政府買い入れが急速に増加して参りました事態に備えまして、前国会において、糸価安定特別会計の借入金を四十億円増額するために必要な法律改正を行い、糸価安定資金の総額を百六億円に増額して、糸価の安定をはかって参ったのでありますが、最近の生糸の需給事情は、内外の経済情勢と、昨年の夏秋蚕の豊作に引き続き、本年春蚕の作柄が良好であったことなどが重なりまして、生糸の供給が著しく増加する事態となって参りました。よって、四月、五月においても、引き続き相当量の生糸の政府買い入れを行なったのであります。  以上の推移にかんがみまして、政府はこの際、本年産繭及び生糸の価格の安定をはかるために、必要な施策をさらに充実することといたしましたのであります。その措置の大要を申し上げますと、その第一は、本年の春繭につきましては、余剰の生糸を市場からたな上げして、糸価の維持をはかりますために、新たに百億円の資金で生糸を買い応ずる体制を整えることであります。次に繭の生産者団体が、繭価の維持をはかるために、乾繭共同保管を行う場合は、将来その繭を最低繭価見合いの価格で政府で引き取ることを約束し、これに必要なる資金として五十億円を予定することといたしました。特に今回の施策に当りましては、糸価の維持を行うとともに、農家の繭収入の確保をはかることが、きわめて緊要な問題でありますので、生糸の買い入れにつきましても、この点に十分留意し、なお、生糸の買い入れ及び繭の共同保管に必要なる資金につきましては、適時円滑に供給せられるよう措置をいたしたい次第であります。  第二に、本年の夏秋蚕については、当面の生糸の異例の需給事情にかんがみまして、繭の生産の面からこれを調整して、需給の均衡をはかることが必要であると考えられますので、繭価の維持のために、生産者団体において、本年夏秋蚕については、自主的に二割を目標として生産の抑制をはかるよう指導して参りたいと思います。  以上の施策と並行して、蚕糸業の安定に必要なる恒久対策を策定することにつきましては、すみやかにこれを取り進める所存でございます。特に生糸の需要の喚起については、一段と積極的な施策を講じたいと考えるのでありまして、生糸の新規の用途並びに販路の開拓をはかりますために、業界に対して企業努力の促進を強く要請するともに、政府において必要なる施策を講ずるつもりであります。  以上申し上げました昭和三十三年産の繭及び生糸に関する価格安定の措置は、本生糸年度の繭及び生糸の異例の需給事情による臨時の措置でありますから、本日提案いたしました繭糸価格の安定に関する臨時措置法案により、これを実施して参わたいと思います。  以下、本法律案内容概略について申し上げます。本法律案内容の第一は、日本輸出生糸保管株式会社が、農林大臣の定めるところに従い、生糸及び共同保管の繭を買い入れ保管する等の事業を営むことができることとしたことであります。日本輸出生糸保管株式会社は、繭糸価格安定法に基いて設立されている特別会社でありまして、今回の臨時措置による生糸及び繭のたな上げ及びこれに伴う業務を行う機関として適当なものであると考えたからであります。なお、会社の買い入れ及び売り渡しの価格について、その基準を定めるため必要なる規定を設けております。  その第二は、会社が買い入れた生糸及び繭で、所定の時期を経過してなお保管しておるものは、政府がこれを買い入れることとするために必要な規定を設けるとともに、その買い入れについての債務負担の限度を明らかにする規定を置いたのでございます。  以上が本法律案趣旨でございます。何とぞすみやかに御審議賜わらんことをお願い申し上げます。(拍手
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次、発言を許します。小山邦太郎君。   〔小山邦太郎君登壇拍手
  26. 小山邦太郎

    ○小山邦太郎君 ただいま説明せられました法案に対しまして、まず、農林大臣お尋ねいたしたいと思います。  この法律は、昭和三十三年度の繭並びに生糸を、定められたる最低価格でこれを支持するために、政府にかわって輸出生糸保管会社をして、生糸は百億、繭は乾繭にして五十億を買い入れせしむるということでありまして、これをもって価格維持の目的を達したいというのでありますが、これは、すでに糸価安定特別会計の基金の能力を失っておりまする今日として、妥当な措置であろうと思いますが、ただこの方法で、ひとり政府の価格政策、市場操作だけでこの目的を達することはかなり困難であろう、十二分にその目的を達するには、政府がこの施策を行うと同時に、業界並びにその団体の十二分なる理解のもとに、協力を進んで求むるのでなければ、その効果を十二分に発揮することはできないのであろうということをおそれるものでありますが、これに対して政府はいかなるお考えと、またこれに対するいかなる処置をとっておられますか、これが第一点。  すなわち二十八国会におきまして、漸次惨落の傾向を示しておりました生糸価格を維持するために、ただいま御説明通り、百億の実力をもってこれに臨むことになりましたが、予想された通り、その金額はすでに使いつぶされ、不足の場合は金融措置をもってあくまでこれに当るという声明通り、直ちに政府はこの処置をとられたことはけっこうでありましたが、残念ながら、この百億の使途方法につきましては、民間団体及び関係業者の同意を求むることができない。あまつさえ春繭がどんどん出回って参りましたので、業界における立場を異にいたしました人々は、おのおの立場々々に閉じこもりまして、蚕糸業全体の経営の安定と、輸出の振興に対する思想統一を全く欠きました結果が、先に見ました繭の取引の混乱を招来いたしたものであると存じます。幸いにして、民間多数の憂うるところを憂いとし、現内閣は、すみやかに与党の要望を受け入れて、直ちに百億の金をもって大幅に生糸の買い上げに当り、五十億をもって乾繭の始末に当ろうということを声明せられたのでありまして、この神速果敢な経済措置が直ちに市場に反映をいたして、今や先に混乱いたしました繭取引は、みごとに一貫目千四百円の最低価格を維持し、近来、農村においては、あるいは畜産収入におきましても、また果実においても、麦類におきましても、農産物価格の低下からいたく悩んでおりまする折柄、ここに蚕糸業、繭を通じて一つの光明を与えるに至りましたことは、近来の欣快事と思う次第でございまするが、しかしながら、その目的を十分達するのには、ただ政府の施策だけではだめだ。どうしても民間の理解のもとに協力を得なければならないが、これが、この前の百億の使途を発表した際に、あの惨落を見ました当時の実情にかんがみましても、ただ一片の通牒をもって民間に臨むという態度は深く戒めて、あくまで市場操作のほかに、需給の調整に対して、忍びがたきを忍んでもらうにしても、その方途を講じて、理解を得なければならぬではないか、たとえば夏秋蚕の二割制限のごときに至りましても、永年作物でありまするこの桑を基礎とした養蚕に、直ちに需給関係というだけで、これを養蚕家に迫るということは、とうてい忍びないことで、またそれだけでは実績が上りません。どうしてもそれには、それを納得するに足るだけの方途を十分に講ずるの必要があると思いまするが、これに対して政府はいかがでございまするか。  さらにまた国用業者、国用の生糸を作りますものは、間接に輸出生糸の価格が維持されることによって好影響はあるでありましょうが、その原料の手当もしくはその生産しました生糸の買い入れというものの恩恵は受けて参りません。場合によりますると、むしろ原料入手の上に困難を感ずることさえもあると思いまするので、せめて、優等格の生糸を買い入れるばかりでなく、国用に向う低価格の生糸をも買い入れる道を開きまして、これらの方々にも国策の恩恵をあまねくせしむるということが大切でありまするが、いかがでございまするか。さらにまた、乾繭問題につきましても、養蚕家に乾繭設備がないのに乾繭を奨励しても、なかなか容易でない。しかも、長い間の習慣を破って、大量に乾繭を奨励しておるのでありまするから、この際こそ、十二分にその設備利用の点に政府みずからが努力を払うべきである。もし強制使用のごときことが許されるならば、これは問題はきわめて容易でありまするが、現在の法律秩序のもとにおいて、それは容易なことではあるまいと思いまするので、せめて養蚕家と製糸家の間に立ちまして、その持っておりまする乾繭設備を、おのおのの事業的、経済的立場を理解し、同情し合い、互譲、相互に譲り合う精神をもって、この急場に当るということに万全の努力を傾け、情熱をもって、この難局打開に当るべきだろうと思いましたが、この問題について、どれだけの方策を講じ、英知をしぼり、努力を傾けたか、この点が残念ながら不十分というよりも、地方にあっては、当局の働きが皆無であったために、いたずらに混乱を起したのではないか。特にかような御質問を申し上げるのは、せっかく多額の資金を国民の犠牲において使う場合、それは役人、官僚の一片の通達、通告ぐらいで目的を達すると思っては大きな間違いであるということを考えまするので、この際、この難局打開に当りましては、当局はさなきだに非常な御苦労をかけておる、ことに役人は事なかれ主義、何もしないのが一番いいかもしれないが、こういう難局に当ると、働いて非難を多く受ける方が多いので、御同情は申し上げまするが、この点は私情を捨てて私は特にお訴えをいたす次第でございます。  次に、この法律は一年間の時限立法でありまして、ことに昭和二十六年以来実施いたしました繭糸価格安定法の実績にかんがみましても、養蚕に対しましては、農村対策として十二分に考慮を払うことは当然でございまするが、他面、生糸並びに絹織物は、国際備品として他の物価の関係、相手国の経済事情等も考慮しなければなりませんので、この点を十分考えまするならば、まさに、ただいま御説明になりました恒久策を、この際抜本的に考慮研究をして樹立すべきであるということには全面的賛成でございまするが、これを考究する機関、あるいはこれを行わんとする時期はいつごろであるか。もしこの時期を誤まりまするならば、またしても、さきには増産を奨励しながら、今また減産、制限を訴えるというようなことで、あれやこれやと業界に不測の損害を与えることがありまするので、これらの根本策実行に当りましては、それらの摩擦と無用の損害を少くするために、相当の時間を置く必要があると思いまするので、この質問を申し上げる次第でございます。  第三に、今、政府が持っておりまする生糸がすでに五万を突破し、今後、五万の生糸を買い上げるこの生糸の買い上げは、ひとり最低価格を維持する上に必要であるばかりでなく、ねらうところの暴騰を防ぎ、最高価格を押えようとしても、これを押え得るに足るだけの持ちごまがなければ、ついにその目的を達しない。従って、昭和二十七年でございまするか、どのように政府がやきもきいたしましても、最高価格を突破して二十七万をこえる八万になんなんとした。かようにして、糸価の暴騰から、ついに業界の需要の著しい減退を招来したということもありまするので、従って、この買い入れた生糸のある程度の数量は保有しておくことが大切であろうと思いまするが、年額今や三十万俵少しこえる程度の産額に対しまして十万俵を保有しておるということは、いたずらに不当の経費を負担することと相なりまするので、これの処置をどうすべきかと憂慮しておりました。繭糸価格安定法によりましては、たとえ新用途とに振り向けるときといえども、農林大臣の了解のもとに、時価に準拠してという規定でありました。その幅はきわめて狭かった。今度の法律が成立いたしますならば、その第四条によって時価で、農林大臣の了解を得るならば、市場を圧迫しない範囲において随時これを処分することができ、さらに新用途開拓のためには、大幅にある程度下値で、安い値段で、新用途開拓の研究に充てしめるという道も開かれたようでございまするが、まことにけっこうのことと思いまするが、されば新用途とは、いかなる標準で査定するのであるか。これは大臣一存ではあるまいと思う。何か特別な専門機関でも作りまして、そうしてその処分には、後日、問題の起らないよう適正なる調査のもとに、新用途開拓に対する犠牲をも考慮いたしまして、相当幅のある価格で処分して、なおかつ問題の起きないような用意が必要であろうと思いまするが、これらの査定機関は特別にお作りになる御意思がありますかどうか。もしありとすれば、その機関は、従来はややもすれば、蚕糸業は農林省だけで支配をいたしておりましたが、この新用途開拓に対しましては、進んで通産省の力を借りまして、……
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 小山君、時間が過ぎました。
  28. 小山邦太郎

    ○小山邦太郎君(続) 広く通産省と協力いたしまして、その道を開くようにいたされたい。  さらに、通産省にお尋ねをいたしまするが、通産省はその場合に――大臣はおられませんが、次官でけっこうでございますが、通産省においては、これに協力いたすとしても、今までは化繊その他に非常に力を入れまして、生糸に対する研究、生糸に対する人的要素等はほとんどないにひとしいようでありまするが、この際こそ、十分一つ通産省でこの点に留意されまして、わが国の蚕糸業を、生糸の輸出から、さらに織物の輸出べと大転換をするように、お骨折りをちょうだいいたしたいと思うのでございまするが、通産省においては、いかがでございまするか。  最後に外務大臣お尋ねをいたします。外務大臣は、……
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 小山君、時間が過ぎました。
  30. 小山邦太郎

    ○小山邦太郎君(続) それではこれでやめます。(拍手)    〔国務大臣三浦一雄君登壇拍手
  31. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 小山議員のお尋ねお答えを申し上げます。  第一の点は、このたびの臨時措置を実効ある効果を上げさせるためには、業界の協力が絶対的に必要だと、こういう御指摘でございました。ただいままでも、この春以来、業界の協力と相互の協力によって効果を上げるために尽力してきたことは御承知通りでありますが、その後の生糸の需給の事情の激変に従いまして、今度の臨時措置を必要として参ったのでございますが、何せ、この問題は重要なことでございましたので、終局的な解決の線が未確定であったのであります。今度はいよいよ具体的にこの方策をきめましたので、業者間の協力等も非常に進んで参りました。すなわち裏づけのある施策が伴うのでございますから、逐次この業者間の効果を生じて参りまして、今後繭価の協定だとか、あるいはまた、これに伴います糸の買い上げ等につきましても、だんだんの了解が取り進められて参ったのであります。当局としましては、先ほど当局を御激励がありましたが、いやが上にも努力をいたしまして、その効果を上げたい所存でございます。  その次に、蚕糸業の抜本的対策を確立するの要はないかということでございますが、最近の事情にかんがみまして、養蚕の面、さらに養蚕と製糸の関連事項におきましても、さらにまた、製糸の合理化の問題につきましても、これは再検討し、そして合理的な方策を立てる必要があると考えるのであります。その時期並びに機関等をどうするかというお尋ねでございましたが、これは現在、蚕糸業に関する審議会等もございますが、これにさらに学識経験者等も大幅に加えまして、そして近くその対策の審議等に入りたい所存でございます。なお、その際、御指摘にありました桑が永年作物でござ、いまして、これらに対する問題等も、農業系統には重大な影響を及ぼすものでございますから、これは各地域等の特殊性をも考慮しつつ、これにふさわしい農業経営の指導等もいたして参りたい所存でございまして、一方的に桑の問題等を強制するようなことはしない考えでございます。  次に、お尋ねの恒久対策の一環としての生糸等の新規用途の開拓、特に絹織物等に対する問題でございまするが、当局といたしましては、過般来、通産省とも連絡をとりまして、そして考究中でございます。なかんずく織物方面には相当の、これは新分野を開拓しなければならぬと思うのでございまして、本日は通産大臣がお見えになりませんけれども、先般の御説明によりましても、御協力を賜わる段階になっております。従いまして、両省緊密に連絡をとりまして、そして新規用途の開拓等に努めたい考えでございます。なお、買い入れ生糸等をその面にこれを供給します場合には、ゆるがせにせず、厳密な方策のもとに取り進めたいと思っておりますが、ただいまのところ、いかなる機関をもっていかなる人々の御協力を得て、この最終的な措置をするかは取りきめかねておりまして、目下考究中でございます。  最後に、乾繭等の問題につきまして乾繭装置等は、ここ当分の情勢では、農協等は十分持っておりません。従いまして業者との間にいろいろの問題のありますことは、御指摘の通りでありますが、最近、業者間の話し合いもだんだん進み、かつ実効のある裏づけのあります施策が伴いますので、逐次好転して参りました。なお、政府は熱心に当事者間にあっせんいたしまして、この効果の十全を期したい考えであります。  大要、以上お答えを申し上げます。(拍手)   〔政府委員中川俊思君登壇拍手
  32. 中川俊思

    政府委員(中川俊思君) 小山議員の質問に対してお答えを申し上げます。  生糸の主要需要国は、比較的生活水準の高い国であり、輸出需要の増大をはかるために、相手国市場の消費生活の変遷と競争繊維の日進月歩に対処して一般大衆に対する宣伝と新用途、  新製品の開拓普及に努めなければならないと考えます。通産省におきましては、生糸の主要市場である米国における生糸の新規用途開拓の事業に対し、昭和三十年度以来、補助金を交付して助成をいたしておりますが、本年度は補助額も二千七百万円と、大幅に増加した次第でございます。この事業は、米国の有力なる繊維業者、あるいはメリヤス業者に生糸を交付して、米国消費者の嗜好にマッチしたドレス地、セーター、肌着類等の新製品を試作せしめ、これを商品化するために宣伝するものでありまして、すでに米国業界の大きい関心を得ておる次第であります。なお、一般大衆に対する宣伝を目的とする事業に対しましては、農林省からも補助金が出ておりますが、業者の補助金等のその交付使用は、中央蚕糸協会を通じて実施しておりますが、業者間の供給につきましては、今後とも十分留意したいと思います。  次に、織物の改善等、技術面につきましては、当省所属の繊維工業試験所を中核として、全国主要産地五十四カ所に、都道府県公立試験所、指導所があって、おのおのその産地の特殊性一一に応じた研究指導を行なっております。繊維工業試験所におきましては、主として新規製品の造出に力点を置いており、公立の試験所、指導所につきましては、その助長のため、中小企業輸出振興技術研究補助金、中小企業技術指導費補助金を交付しております。また、織布業者に対しては、毎年、中小企業試作奨励費補助金を交付いたして、その助成をはかり、相当の効果をおさめております。これら宣伝技術の面につきましては、最近の生糸情勢にかんがみ、今後さらに強化拡充に努めて、生糸需要の増大をはかる所存でございますので、御了承願いたいと存じます。(拍手)   ―――――――――――――
  33. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 清澤俊英君。   〔清澤俊英君登壇拍手
  34. 清澤俊英

    ○清澤俊英君 私は、日本社会党を代表いたしましてただいま提案になりました繭糸価格の安定に関する法律案に対して、若干の質問をいたし、政府の所信を承わりたいと存ずるのであります。  昨年の末から始まりました生糸の生産過剰の状況は、繭価の安定法施行以来初めての政府買い入れによって、糸価を辛うじて維持して参ったのであります。三月初めに至りまして、滞貨の増大は価格の落勢を生じましたが、政府は、先ほど言われる通り、四十九億一円の買い入れ資金の増額や、製糸業者一に対する二割の操短等を慫慂することによって、四、五月は辛うじて維持価格を支持することができたのであります。だが、六月に入りまして、買い入れ資金もまことに少くなりまして、従って、製糸業者並びに業界に不安を招来して、非常に生糸の暴落の傾向が見えて参ったのであります。そこで政府は、生糸換算五万俵のうち、買い入れ資金として百五十億円の増額案を打ち出しました。生糸換算で五万俵の買い入れを決定して、そのうち、生糸二万俵に対しましては、メーカー別に買い入れ限度三千俵としたため、買い入れに対するワクをはめた等の措置が決定せられたのでありますが、かかる方法では、事実上恒久的に価格の維持は困難である、かつ、春繭の作柄の影響等を受けることもありまして、春繭が安く買付ができる等の観測から、ついに十六万円台に生糸の大暴落を来たしたのであります。この十六万円ということは、繭糸価格安定法ができて以来七年にして、初めて出て参りました市場価格であるのであります。この大暴落に当りまして、政府、自民党は、六月二十日に至りまして買い入れ資金を五十億増額し、百五十億円としまして、生糸の無制限買い入れを発表したのであります。この無制限買い入れがききまして、大幅に生糸は大暴騰して参りまして、現在十八万円台に相場は引き戻されたのであります。さきの大暴落といい、あとの大暴騰といい、いずれも政府の心がまえ一つで定まる政策価格であることは間違いないのであります。従って政府は、本法案を提出なさるに当りまして、価格維持に対してどれまでの確信があるのでありますか、この法案をもって確信を持たれるのでありますか、その点をお伺いしたい。同時に、万一、政府が企図せられまする価格維持が困難の場合は、次善の策を直ちに講じて、あくまでも法律に定められた価格の維持をやり通す決心をもって本案を提出せられたのかどうか、価格維持に対するその決心をお聞きしたいのであります。  すなわち、五月の大暴落は、不用意にも買い入れ条件に制限をつけて、買い入れのワクをつけたり、あるいはまた、買い入れ資金をちくちくと増額する等、大局的な見通しに立った大幅な増額を行わず、いつも小刻みにやったりする自信のない蚕糸対策が、関係業者をして、政府は安定価格の維持をどこまでやるのかやらぬのか、何が何だかさっぱりわからなくしてしまったのであります。業者の気迷いから不安になり、ついに暴落を演じたのであると思うのであります。私は、かりにこの法案内容が、価格の維持に適正であったといたしましても、いろいろ、こんがらがった現在の市場情勢から見まして、確信を持ってこの法案で糸価の安定を期するとは申されないと思うのであります。それは、政府の施策に対する不信と不安とが中心になって、それにいろいろの思惑が加わって生ずる結果が、そういうことになると思うのであります。従いまして、本法案の施行とともに、政府が価格安定法の精神をどこまでも守り、企図せられたる糸価の維持をどこまでもやり通す決心であるということを、この場合、はっきりと御証明して披瀝していただきますことが、本法案よりもなお重大の影響を及ぼすことと私は考えまするので、特に政府の所信をお伺いしたいのであります。  次に、輸出業者団体は、支持価格十六万円台引き下げを、現在、政府に要請しているのであります。これに応ずるごとく、全国織物業者団体もまた支持価格の引き下げを決議いたしまして、現に買い控えをやっているやに伝えられているのであります。これと相呼応するがごとく、製糸業者も千二百円繭価、十六万円糸価等を叫ばれているということを聞いているのでありまして、こういう情勢に対しまして、政府は一体どう考えておられるのかどうか、こういう諸情勢を克服して、どうしてもこの法案で企図せられましたる価格維持を続けられる決心であるのかどうか、これを明確にお尋ねをしたいと思うのであります。  次に、本法案に盛られました百五十億の安定資金は、三十三年度養蚕年度中の使用資金として取り扱われております時限法であることに間違いありません。提案説明書によりますと、春繭対策として百五十億円が用意せられたようにも書かれてあり、また、自民党一の蚕糸業に最も関係の深い代議士等からお聞きしますならば、五十億円の乾繭資金は、これは春繭にだけ使うのであって、春繭だけに使えば余るくらいであるから、少しも心配は要らない、従って、自余の夏秋蚕等に対しまする処置に対しましては、金が足らぬ場合には、政府は直ちにこれに対して対応する処置ができておるのだと、こういうように説明せられておるのであります。従って、ただいまの提案説明をお伺いいたしますると、生糸の買い入れ及び繭の共同保管に必要な資金については、適時円滑に供給せられるよう処置したいと存じますと、農林大臣はこれに答えておられるのであります。私は、この存じますは、いつでも政府で行われまするところの逃げ口上であって常識的には、何をしたいと思うという意味に解することが適当であると思うのでありまして、この場合、まことに不明確な表現だと思います。従って、いま一歩突っ込んで、だれしもが安心のいける説明をお願いしたいと考えるのであります。  第三番目には、政府は、本法案提出の前提条件としましてただいまの蚕糸界の不況情勢を一時的なものと見ておられるのか、恒久的な現象と見ておられるのか、従って、本法律によって目前の緊急状態を切り抜ければ、三十四年度からの見通しは明るくなるのかどうか、どう考えておられるのか。提案の説明を見ますると、本法案によつて目前の緊急事態を臨時に措置しておいて、なお根本的に、恒久的にいろいろ施策を決定せられるようにも説明せられておりますが、一体全体、この見通しに対しては、どちらを中心にして本法案を提出せられたのか、明確にお答えを願いたいと思います。  次にお伺いしたいことは、本年の夏秋蚕を自主的に二割制限させようという点であります。政府は、養蚕連幹部との話し合いによって養蚕農民に自主的に二割生産制限の話し合いをさせようと考え、これを政策に盛っておられるのでありますが、私は、政府意図の実現は、まことに困難であり、不可能であると考えるのであります。それは、去る十七日、共済会館で開かれました養蚕農民全国大会におきまして、原案でありますところの二割の生産制限案を、圧倒的多数でもって原案はくつがえされ、否決せられ去ったのであります。この情勢下において政府は、夏秋蚕二割減は実現の可能性ありと考えておられるのかどうか、ないといたしますならば、その対策はどう考えておられるか、その点を明らかにしていただきたい。聞きますれば、政府は強硬に二割減を遂行するため、六月四日の閣議決定に従いまして、蚕種の売り出し制限を行わしめて、蚕種で押えて行く、そうして蚕種で押える強硬手段をもって、その売りどめされた蚕種には、損害賠償をいたすことを中心として、政府と蚕種業者の間に話し合いが進められておるということを聞いているのであります。従って、一般の養蚕関係者、ことに指導的立場にありまするところの人たちは、かようなことをいたしますれば、蚕種のやみが横行して参りまして生産制限を無効に終らせるばかりでなく、繭の生産上に混乱を来たすばかりでなく、将来、繭の生産業に対して憂慮すべき状態が残るということを心配しておるのであります。政府は、表に民主的納得によって、話し合いをもって制限を打ち出そうと言いながら、裏からは強力な権力的行政措置によって、二割制限の目的を達成しようとしておられるのでありまするが、この点はどうなっておるのか、明確なお答えをお願いしたいと思います。  思うに私は、これらのことが、先ほどお伺いいたしました現今の蚕糸業態が一時的なものか、また恒久的なものかによって、政府意図が明確になるに従って、減産に対する桑苗の補償、作付転換の指導または営農資金の融資等の処置とあわせて明確な見通しに立った農民の納得する方針を指示、指導せられますならば、いま少し別な結果が大会において出たものと考えるのであります。政府の自信のない蚕糸対策が大会の空気を支配したのではないかと思うのであるが、重ねて、現今の不況が一時的なものか、恒久的なものかを、明確にしていただきたい。同時に、養蚕農民の大部分は、主要生産県の一部の農民を除きましてその大部分は山間部におきまする零細農民が、盆の小づかいの現金を得る主要な財源であるのでありまして、一割でも二割でも、減産が農家経済に重要な影響を与える実情をよくお考えの上、慎重にして懇切なる御答弁をお願いしたいと思うのであります。  次に、乾繭の共同保管につきましてお伺いいたします。本法律案によりますと、五十億の乾繭資金は、保管会社が生産団体の乾繭いたしました繭を買い入れるようになっておりまして、繭の生産者団体が乾繭するまでの手続については、提案説明にも明確を欠いておるのであります。従って、繭代金の支払い、乾繭の種々の費用等は、いかに措置せられ、指導せられようとしておるのでありますか、この点を明確にしていただきたいのであります。  次に春繭出回り、夏秋産の近く出回りを前にいたしまして、各県ごとに繭価協定や数量について団体契約等が行われておると言いますが、ある地区では、春繭の大部分が玉繭の価格で売買を完了しておる地区もあるのであります。ただいま小山さんが言われたように、長野県のごとく、千四百円で保証された価格で協定のできておる所もあるのでありますが、大体におきましては、価格協定は不成立のまま、指定価格の八割ないし六割からの支払いをすることにいたしまして、繭を引き取ることだけは了承せられておるようであります。こういう状況下において、政府政府決定の千四百円の繭代金の確保をいかにして達成しようとしているのか、また、はなはだしく残金の支払い等がおくれました場合には、いかなる措置考えておちれるのか、お伺いしたいのであります。  かような情勢が出て参りましたことは、余った繭に対し、生産団体として乾繭共同保管をいたさせようと考えておりましても、ただいま小山君が言う通り、戦前の乾繭設備はほとんど使用不可能となり、その能力はわずかしかないのであります。しかも、各地に散在して実際に利用し得る施設というものは、わずかに限られた地区にあるだけであります。政府はかかる情勢に対して、生糸の買い入れについては、政府指示の千四百円で買い上げた繭で作った生糸だけを業者から買い上げようとするという、ワクをつけておられるということが伝えられておるのでありますが、その点はどうなっておるのでありますか、明確な御答弁をお願いしたいのであります。万一、実勢繭価を主張する製糸家が、政府指示を実行せず、消費者側の一要求に負けて、実勢糸価の決定に傾き、下値売り出しをしました場合には、せっかくの維持価格は御破算となり、本法案趣旨も一片のくずと消え去るのであります。養蚕農家は、究極的には相場のしわ寄せをこうむり、泣きを見ることになるが、この点の危険に対しまして政府はいかなる用意があるか、こういう危険をどうして防止しようとしておられるのか、明確な御指示をお願いしたいと思うのであります。  以上をもちまして私の質問を終ります。(拍手)   〔国務大臣三浦一雄君登壇拍手
  35. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 清澤さんのお尋ねに対しましてお答えを申し上げます。  第一点は、この法案は需要の減退と豊作とによる暫定措置として立てられているが、真の恒久対策はどうかという御質疑だと拝聴いたしました。先ほども申し上げました通り、昨年秋の豊作と、本年春の引き続きの豊作等によりまして、生糸の需給事情が激減して参りました。これに対処しまして臨時緊急の措置をとりましたのが、今回の法案趣旨でございます。さようでございますから、昨年以来、政府が、農民に貫当り千四百円の繭価を保持してやるという基本方針をもちまして、これを解決するめどといたしたのでありまして、同時に、これが糸価が最低十九万円程度の支持ができなければなりませんので、両方の面を取り定めまして、そうしてこの対案を作った次第であります。  それでございますから、今後の蚕糸業の全体に関する恒久対策でございまするが、先ほども小山さんの御質疑に対してお答えいたしました通り、御承知通り、現在は長期経済計画等におきましても、相当のこの対策を実は織り込んでおります。これらも事情を再検討して、その上に、これはいろいろ考えなければならぬ時期に至っているとも思いまするし、同時に、養蚕の面におきましても、営農の関係、さらにまた桑畑を転換する等の問題につきましても考えなければなりませんし、養蚕と製糸との関連におきましても、なお地元の変遷に応じた、また実態に即応した施策も講じなければならぬと思っております。これは恒久な対策といたしまして蚕糸業振興に関する審議会等の御意見も聞き、そうして広く学識経験者等の御意見も聞いて立てて参りたいという所存であります。従いまして、今回の措置は、昨年秋と本年の春繭の増産に伴いまする異常の事態に備える、こういうことでございますので、この点を御了承を得たいと存じます。  第二点は、この措置として取り組みましたのでございますが、資金を適時円滑に供給すると言っているが、不足した場合にどうするか、こういうことのお尋ねでございますが、現状をよく分析いたしまして、買い入れ数量等も相当な数量でありますが、事態に即応して、この資金等で十分なる運用をし得ると確信を持っております。なお、今後の問題につきましてのお尋ねでございますが、今回は、先ほど申し上げました臨時緊急の措置でございまして、これをもって、おおむね所要の安定したものを得られると、こう考えておりますが、今後の推移に応じては、政府はさらにまた、養蚕家その他を保護するために考うべきことは別でございます。  第三の、二割制限についての実効はどうかということでございます。この問題につきましては、御指摘の通り、種繭等の買い上げを農協等に要請いたしまして、これを助成し、そしてこれをもとにして進めておるのでありますが、遺憾ながら、まだ徹底してこの調整につきまして、御理解の進んでおらないことは率直に認めざるを得ないのであります。先般の養蚕の大会等におきましても、その空気の出たことも承知しております。しかしながら、かような異常な事態に際しましては、やはり業界みずからも自衛的な考えをもちまして、それぞれの協力をしていただかなければ、国の施策の十全を期し得ないことはもちろんでありますがゆえに、われわれとしましては、どこまでも、この緊急な事態に処して、そうして養蚕の人々も、製糸の人々も、協力してこの難局を打開するようにさしていただきたい。同時にまた、基本的にやりましたところのこの蚕種の制限によっての生産調整は、ぜひとも実効を上げたいと努力いたしておる次第でございます。  次に、繭価協定に際しての問題でございます。従来、画然たる施策の線が出ておりませんために、やはり不安定なことのありましたことは御指摘の通りでございますが、いよいよ政府は、この臨時措置法案によりまして、繭価の維持、糸価の安定を期することがはっきりなって参りましたので、この線に沿うて、養蚕家並びに製糸業界の繭価協定に関しますことも、一つの合理的な線に進んでだんだん参っておりますし、これまた、その協定を前提にして買い上げその他が当然行われなければならぬものでございますがゆえに、従来、概算払い等できめておりますものも、生産の過程におきましては、政府のねらいました通り、繭価を千四百円を保証し得る効果を上げ得るものと考えておる次第であります。同時にまた、実勢価格がだんだん下っておると、こういうことでございますが、すでに、この政策を打ち出して、画然たる態度が出て参りましたところ、生糸市場等の状態も変って参りましたことは、皆さん御承知通りでございます。従いまして、かようなことを考えますと、ただ、いたずらにスペキュレーションをやることだけじゃないのでございまして、製糸方面におきましても安定した操業をし、同時にまた、安定した企業の実績を期待しておるのでございますから、一時的な現象によって、いろいろな養蚕家の方面に悪影響を及ぼさないようなことに指導して参りたい。これは話し合い等を進めておる実態でございますし、その実効を上げ得るものと考えておる次第であります。  次に、乾繭の共同保管の場合に、農協に対する融資等の問題がございましたが、これは、ただいま農林漁業金融公庫等からの融資の道が開かれております。しかしながら、御承知通り、最近は共同保管等の勢いの停頓しておりますことも承知いたしております。今後その必要に応じましてはこの施設を拡充して参りたいと存じます。なお現在、共同保管の施設を持っていないために、いろいろな不便のありますことは出て参りました。しかしながら、今度の対策が出て参りまして、共同保管し、さらにまた、製糸業界におきましても自主的に生産調整をする、さらにまた、政府の繭糸価の安定方策が相即応しまして効果を上げますことになりましたので、この乾繭装置の共用等も逐次円滑になって参りましたし、われわれは、さらにこの両者間の調整を十分にいたしまして、親切、懇切なあっせん等もいたしまして、所期の目的を達したいと考えておる次第であります。  以上、お答えを申し上げます。(拍手)   ―――――――――――――
  36. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 八木幸吉君。   〔八木幸吉君登壇拍手
  37. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は、本案に関連いたしまして、蚕糸業の根本対策について若干の質問をいたしたいと存ずるものであります。  第一にお伺いいたしたいのは、政府が、今回さらに百億円を限度として日本輸出生糸保管会社から生糸を買い入れて、将来損をせずに売れるお見込みがあるかどうか、もしあれば、その時期と根拠をお示し願いたい。  第二に伺いたいことは、生糸と繭を、百五十億円を限度として買い入れましても、私は将来、生糸が二十三万円で売れるとは考えないのでありますが、国庫に負担をかけないとの御確信がおありになるかどうか。また、国庫の負担を覚悟して本案を御提出になったとすれば、その金額の見込みは大体どれくらいであるか、このことを伺いたいのであります。  第三に、政府は夏秋蚕の二割制限を企図しておられるようでありますが、昨年の七月に経済企画庁が経済五カ年計画を立案せられましたときの決定は、繭が三千七百万貫、生糸は三十八万俵を生産目標としておられました。これをいかように御変更になるお考えであるか。新しい繭の生産額、生糸の生産額並びに絹織物を含めた輸出目標をそれぞれどの程度におきめになるおつもりであるか、承わりたいのであります。  第四は、養蚕並びに製糸の指導目標についてでありますが、過去二十年間に、蚕品種の改良、糸歩の増加、自動操糸機の普及と、この方面は相当進歩の跡が見られるのでありまするけれども、養蚕の反当収繭量は、繭の総生産高が一億貫を突破いたしました昭和四年、五年、八年の平均が、反当十五貫六百六十匁であります。最近の三カ年の平均は十五貫八百六十匁で、ほとんど進歩の跡は見られません。現在でも、山梨県の反当収繭量は二十五貫、最高は八十貫もあるし、平均五十貫内外の記録は各地に見られるわけでありますから、農林大臣としては、反当の収繭量、繭の生産費並びに機械製糸の加工、販売費の目標をどの辺に置いて指導されるお見込みであるか、具体的こ伺いたいのであります。  第五に、現在の最低価格十九万円は、相場の実勢をはるかに上回った価格でありますので、最低価格を実勢相場に適応せしめて、十六万円くらいに定めて、輸出を伸ばし、養蚕家対策は農村救済策として、別途お考えになるお考えはないかどうか、これを承わりたいのであります。  第六に、従来、繭や生糸の値ぎめに当っては、専売品のように、生産費に重きを置きまして、他の主要繊維価格との相関関係を軽く見る傾向がありました。しかし、この考え方は、輸出品としてその販路を拡張せんとする場合には、これを改めなければならぬと存するのであります。生糸と人絹との価格の比率をどの辺に求めるかということは、これはかなりむつかしい問題でありますけれども、最近、生糸が十六万五千円の見当で相当引き合いが活発になったということは、これを米貨に換算いたしますと、三ドル五十セントであります。すなわちビスコースの百五十デニールのものは一ポンド九十一セント、アセテートの百五十デニールが七十九セントでありまして、おのおの生糸はそれの三・八四倍、四・四三倍に当るのであります。そこで私、農林大臣に伺いたいのは、人絹と生糸の価格の比率がどれくらいであれば生糸の輸出が増進するとお考えになるか、その点を伺ってみたいのであります。  第七は、輸出生糸の宣伝費の問題でありますが、現在、国際絹業協会は、生糸の宣伝費を百万ドルを希望しておるということであります。アメリカで合成繊維の宣伝に使っている金が五千万ドルと言われておりますが、今日、買上げ生糸五万俵の一カ年の保管料は一億数千万円に上る勘定になります。かような方面に金を使わずに、消費分野の開拓のために思い切った宣伝費を使う考えはないかどうか、これを伺ってみたいのであります。  最後に、私は総理に伺いたいと思ったのでありますけれども、御出席がありませんので、とりあえず、この場合に農林大臣所見を承わりたいと思うのであります。  それは、問題は蚕糸行政のあり方についてでありますが、従来、蚕糸業の局に当っているのは、言うまでもなく農林省であります。しかし結局は、生糸がアメリカで売れるということが一番大切なことであって、この方面の分野は、もはや農業の問題ではなくて貿易の問題であります。また同時に、他の繊維との関連も十分に考えて見なければならぬと思います。そこで、少なくとも製糸工程以降、貿易並びに価格の問題については、これは従来もしばしば言われましたが、通産省がその局に当るのが当然であると考えられるのであります。すなわち養蚕技術指導の面は、従来通り農林省に残しておいても、貿易の面は通産省にこれを移管する、と同時に、蚕糸業というものは輸出産業であるという見地に立って、農村の保護政策とは別個にこれを考える、そうして対策を樹立するということが、結局、蚕糸業全体の発展向上のために私は必要である、かように考えるのでありますから、どうか農林大臣は、農林行政の責任者という狭い見地ではなくて、国務大臣として日本の蚕糸業をこれから十分発展させる、ことに中共が政治的の考えから、生糸でも十五万何千円で売っておるというようなヨーロッパ方面ではなくて、アメリカには幸い中共との競争はないのでありますから、十分、外交面、貿易の面で、通産省中心に積極的にその消費の分野を開拓して、そうしてそれが同時に養蚕農家も潤すというふうに、大きな行政の転換が私は必要である、かように考えるのでありますが、この点に関する大局的な農相の御意見を伺って、私の質問を終りたいと思います。(拍手)   〔国務大臣三浦一雄君登壇拍手
  38. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 八木幸吉君のお尋ねに対しましてお答えを申し上げます。  第一点は、現在のこの臨時措置法によって百億の買い上げ生糸を、将来、損失なくして国庫の負担なくして処理し得るかどうかということに対する見込みはどうかということでございます。この問題は、まず第一に、糸価が安定しますということが非常に大切でありますことは申すまでもありません。わが農林省等の経験によりましても、アメリカにおける糸価が安定するということが、アメリカの需要を持続するゆえんでありまして、これは御承知通りであります。従いまして、今度のこの異常な低落、これによって、むしろアメリカ方面でも不安定でありますから買い控えておる、こういうようなことで安定しますならば、アメリカの絹業者といえども、所要の数量は入れなければならぬ業態になっておりますので、これが一番肝心であろうと思うのであります。従いましてこれらの問題等を見きわめることと、同時にまた、経済上の事情に応じまして、そうしてこの需要の伸張を努力いたさなければならぬと考えております。かような事態を見まして、そうして悪影響を及ぼさないように運用して参る、そうじゃなければ、くずれますことは当然でありますから、さように考えております。そうして国の会計に損失を及ぼさないようにしたい。農林省はこの蚕糸問題と取り組みまして、非常な暴騰のときの経験も積んでおりまするし、低落して非常に苦しんだ場合と両面、その他の経験を積んでおりまして、生糸の処理等につきましては、これらの経験を十分に生かしてそうして国損のないように、あらゆる施策を講じて参るつもりでございます。  第二番目の、長期計画においては二十八万俵の製糸を目標として三千数百万貫の繭の生産を目標にしておるが、これに対してどうかということでございますが、先ほど申し上げました通り、いろいろの事情の変遷もございますので、この長期計画につきましては、厳密なる検討を加え、そうして養蚕、製糸の両面にわたって、これらの数量等につきましても検討を加えて参りたいと存じます。ただ単に減産をさせるという考え方じゃございません。  それから養蚕、製糸に関する指導の目標でございますが、申すまでもございませんが、養蚕につきましては、ただいま詳しい御指摘がありました通りでございまして、地域によって非常に差等がございますから、われわれとしましては、平均反当りの目標は二十貫程度を目標といたしまして、そうしてこの方針のもとに指導して参る、桑園の改良その他の養蚕の改善について努力して参るし、それから製糸の方でございますが、現在はその加工、販売費等は、一俵当り五万三千円程度となっているということでございますが、これはもっと合理化をしまして、切り下げることに努力して参るほかはなかろうと思っておる次第でございます。  人絹との関連についてお尋ねでございますが、率直に申し上げまして、これは化学繊維に生糸が相当もう劣勢を示した、負けたという事態でもございますが、現在の糸価を見ますると、大体、生糸と人絹との関係は七・九倍程度になっていると承知いたしております。それぞれこの人絹と生糸とは、  生産の構造であるとか、需要構造等に  つきましても相違がありますが、何と言いましても生糸の需要の増進を期待するためには、この面におきましてコストの低下は最も大切でございますので、その施策を一そう強力に進めて参りたい所存でございます。  なお、宣伝等のことでございますが、ただいまも相当のことはいたしておりますけれども、なお十全は期待できません。今後とも拡大いたしまして、そして需要の喚起に努めたいと考えております。  なお、生糸十九万円の保持をするということであるが、これについては事情に適せぬではないかということでございますが、本年の春繭が昨年来非常に返遷して参りました事情にかんがみましてこの春繭の繭価千四百円を保持してやると同時に、それの前提として、あわせて十九万円で糸価をこれは安定させなければならぬものでございますから、これに現在取り組んでおるということでございまして、将来十九万円を保持するということと同時に、また繭価を維持しまして、農村方面の安定のために資したいという信念には変りはございません。  最後に、行政機構の問題でございますが、製糸と養蚕とを分ち、そうして養蚕方面は農業政策として、これの保護政策をとり、そして製糸以下の何は通産行政に移すというお考えでございましたが、これは分離しますと、一貫した政策は実際はとれません。いかに努力いたしましても、養蚕家を泣かせるような事態になりますので、生糸の面まで一貫してここまで来ておりましてその後の問題等につきましては、なお両省の協調等によって増進する余地があると思いますので、現在のところ養蚕家を保護し、同時に生糸を安定させるという一貫した施策は、やはり一省に統轄して運用することが適当だと考えておりますから、右お答え申し上げます。(拍手
  39. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 簡単に、自席でお許しを願いたいと思います。  生糸が輸出商品であるということを頭に入れて、私が具体的に伺いました計数一について、なるべくすみやかに御研究いただいて、資料をお整えになりまして、御提出をお願いいたしたいと思います。
  40. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は、終了したものと認めます。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時三分散会    ――――・―――― ○本日の会議に付した案件  一、請暇の件  一、国会法第三十九条但書の規定に   よる議決に関する件(米価審議会   委員)  一、日程第一 市町村立学校職員給  与負担法の一部を改正する法律案   (趣旨説明)  一、日程第二 繭糸価格の安定に関  する臨時措置法案趣旨説明)    ――――・――――