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1958-07-08 第29回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月八日(火曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   委員異動 七月三日委員前田佳都男君辞任につ き、その補欠として近藤鶴代君を議長 において指名した。 七月四日委員大谷贇雄君辞任につき、 その補欠として佐野廣君を議長におい て指名した。 七月五日委員剱木亨弘君及び吉田法晴辞任につき、その補欠として木島虎 藏君及び山本經勝君議長において指 名した。 七月七日委員松野孝一君、秋山長造君 及び山本經勝君辞任につき、その補欠 として前田佳都男君、海野三朗君及び 吉田法晴君を議長において指名した。 本日委員野本品吉君及び海野三朗君辞 任につき、その補欠として平井太郎君 及び秋山長造君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 勝男君    理事            中野 文門君            三浦 義男君            松永 忠二君            常岡 一郎君    委員            川村 松助君            後藤 義隆君            近藤 鶴代君            下條 康麿君            吉江 勝保君            秋山 長造君            高田なほ子君            湯山  勇君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   政府委員    大蔵政務次官  佐野  廣君    海上保安庁長官 島居辰次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省大学学術    局長事務取扱  稲田 清助君   参考人    南極地域観測統    合推進本部副本    部長      茅  誠司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選継続審査要求の件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件(南極地域観測に関する件) ○学校教育法第二十八条改正に関する  請願(第二二号) ○学校教育法第百三条改正に関する請  願(第二三号) ○建国記念日制定に関する請願(第七  四号) ○焼失学校建築物再建等に関する請  願(第八五号) ○公立学校設置のための土地購入費等  国庫補助確立等に関する請願(第八  六号) ○福岡県杷木町における中学校統合反  対に関する請願(第一〇一号) ○愛媛大学工業学部工業専科大学部  設置請願(第一一五号) ○公立小学校屋内運動場整備費国庫負  担等に関する請願(第一二九号) ○女子教育職員の産前、産後の休暇中  における学校教育の正常な実施の確  保に関する法律完全実施に関する  請願(第一五五号)(第一五六号)  (第一五七号)(第一五八号)(第  一五九号)(第一六〇号)(第一六  一号)(第一六二号)   —————————————
  2. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは、これから文教委員会を開会いたします。  委員異動がありましたから、御報告いたします。  七月二日、塩見俊二君が辞任され、補欠として前田佳都男君が選任されました。三日には、前田佳都男君が辞任され、その補欠として近藤鶴代君が、また四日には、大谷贇雄君、五日には、吉田法晴君、剱木亨弘君、七日には、秋山長造君及び松野孝一君が辞任され、その補欠として佐野廣君、山本經勝君木島虎蔵君、海野三朗君及び前田佳都男君がそれぞれ選任されました。また同日、山本經勝君辞任され、その補欠として、吉田法晴君が選任されました。さらに本日、野本品吉君及び海野三朗君が辞任され、補欠として、平井太郎君及び秋山長造君か選任されました。  以上であります。   —————————————
  3. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) この際、理事補欠互選を行います。方法については、慣例により委員長の指名によりたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 御異議ないと認めます。よって、委員長理事中野文門君を指名いたします。   —————————————
  5. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 昨日開きました委員長理事打合会の経過について報告いたします。  本日の議題につきましては、まず、請願審査を行い、次に、南極地域観測について、南極地域観測統合推進本部本部長茅誠司君に参考人として出席を求め、同君及び政府に対し質疑を行うことに意見一致を見ました。  閉会中の委員会の開催につきましては、七月三十一日及び八月一日の二日間に決定いたしました。  教職員の勤務評定に関する各地の紛争について、政府が事態の収拾に当るべきであるという趣旨の決議を行なってはどうか、という提案がありましたが、本件については後刻懇談を行うことになっております。  最後に、高等学校定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案の取扱いについては、これを継続審査に付したいという提案があり、協議を行いましたが、結局継続審査することに意見一致を見ました。  なお、本院規則第五十三条によりまして、議長に提出いたします要求書の作成につきましては、委員長に御一任願います。  以上、報告の通り取り運ぶことに決定いたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 御異議ないと認めます。  それでは、ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  7. 竹中勝男

  8. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ただいまから南極地域観測に関する件を議題といたします。参考人には、委員会のため貴重な時間をさいていだだき、まことにありがとうございました。本件は、その観測継続が世間の注目を集めておるところであります。本日は、いろいろ有益な御意見を拝聴するわけでありますが、その点、十分御理解の上御説明を承わりたいと存じます。  なお、参考人は御都合によりまして十二時に退席されますので、各委員もその点お含みの上御質疑を願いたいと存じます。  まず、参考人茅博士からただいま議題となっております南極地域観測に関する現状並びに今後の御計画などについて承わりたいと存じます。
  9. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 私は、最初にごく簡単に南極地域観測はどういう意味を持っているかということを申し上げたいと存じます。  この事業は、地球観測年と申しまして、二十五年ごとに地球をよく調べると、国際的によく調べるという事業一環として行われておるものでありまして、地球観測年が昨年の八月からことし一ぱいにわたって行われているわけであります。で、地球全体を非常によく調べる、ことに最近発達しました科学計測の結果——計測機械が非常にりっぱになりましたので、それを使って調べるということの一環でありますが、地球をよく調べますのには、どうしても極地をよく調べるということが必要であります。と申しますのは、たとえば南極にして申しますと、南極の面積はアメリカ合衆国の一・八倍ほどでありますが、非常に大きな氷におおわれておりまして寒い。その寒い所から気流が流れ出て参りまして、いろいろの気象条件地球に与えるのでありまして、南極をよく知るということが地球全体の気象条件を知ることの非常に大きな手がかりになります。また、太陽からエネルギーが放射されまして、地球に来るのでありまして、われわれはそれによって生きておるわけでありますが、太陽から出て参りますいろいろの光とか熱とか、そのほかいろいろのこまかい粒子が飛んでくるものでありますが、御承知通り地球一つ磁石でありまして、地球南極磁石北極がございます。地球北極磁石南極がございます。そういう点で、太陽から電気を帯びました粒子が飛んで参りますと、それは北極または南極だけに集まるのでありまして、その中間のところに飛んでくる粒子の数は非常に少いのであります。そういう粒子がどういう役目をするかと申しますと、たとえばそれが空気中の酸素とか窒素とかに当りましてそれを電離いたしまして、従って電離層というようなものを作り、それが電波の反射、つまり電気通信ができますのはそういう電離層があるからでありますが、そういう電離層を作る。従って太陽からも、太陽にいろいろの爆発その他の現象が起りますと、それはすぐに北極南極一等大きく響いて参ります。従って太陽からの活動の、地球に与える影響を調べますのには、南極もしくは北極に参りまして観測するのが一番便利なのであります。たとえばデリンジャー現象と申しまして、太陽黒点が現われてからしばらくしますと、無線通信ができないというような状態が起りますが、それは黒点から粒子が飛んで出まして、それが地球の外層に当りまして電離層を撹乱するからであります。そういう現象南極に行って調べますというと、非常に変化が大きく出ますので、南極観測が非常に重要だということになります。こういう意味におきまして、南極地域における観測地球観測年一環としてきわめて重要であるということなのであります。この地球観測年におきましては、南極を徹底的に調べたいということで計画が作られまして、このアメリカの一・八倍に当る全地域に、私は正確な数を記憶いたしませんが、二十点近くの点が作られまして、その基地各国が担当して、そこで基地を設けて地球物理学的な観測をするということになりまして、日本が与えられましたのは御承知プリンス・ハラルド海岸におきますところの一点であります。一昨年の十一月の初めに参りまして予備観測を行い、そして十一名の越冬隊員を残したのでありますが、昨年は十月の末に出発いたしまして本観測のために参ったのでありますが、気象条件が非常に悪くて氷が厚く、従って宗谷基地に近づくことができない、ただ越冬隊員を収容して帰ってきたということにとどまったのであります。その後地球観測年は本年一ぱいで終りますけれども、南極地域各国が相当大きな基地を設定いたしまして、金をかけたのでありますが、十分な観測ができないうちに地球観測年は終りますので、ぜひこの観測を継続したいという希望が起って参りました。と申しますのは、現在は太陽活動の非常に盛んな時期なのでありまして、この盛んな時期が来年もまた続く、太陽活動は大体十一年を周期とし行われておるのでありますから、ほんとうを申しますと、十一年間南極にあって観測するというのが理想的なんでありますが、それではあまりに長過ぎるというので、とにかく現在よりも、まあ何年かわかりませんが、いま少し観測を続けたらどうかといった話が起りまして、ICSUと申しましてインタナショナル・カウンシル・オブ・サイエンティフィック・ユニオン、国際学術連合と訳しますが、そこで南極地域特別委員会というものが作られまして、それには南極地域観測に従いました国から委員が選出され、またそれに関係を持つ国際学術会議の中から委員が選ばれるというようなことで委員会が作られたのでありまして、その第一回はことしの二月オランダで開かれたのであります。日本からは永田東大教授委員として推薦されましたが、南極に行っておりまして留守でありましたので代理を派遣しているのであります。その結果、国で申しますとアルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、フランス、英国、ニュージーランド、南アフリカそれからアメリカ及びソ連、これらの国々が引き続き南極にとどまりまして観測を継続するということになったのであります。日本としては、どうするかということが非常に問題になりましたがまずこの問題は、学術会議の中に南極地域観測特別委員会というものがございますので、そこで審議いたしまして、学者の希望といたしましては、その専門家希望としましてはぜひ継続したいということをきめたのでありますが、それをことしの四月に行われました学術会議の総会において審議いたしました。学術会議におきましてもずいぶんと論議がございまして、相当費用のかかるこういう南極地域観測をするよりも、国の科学研究に使う方が有利ではないかというような意見も多々あったのでありますが、相当長い討論、十分な討論を重ねました末、学術会議としましてはこの観測をやるということを希望したいという決議が出たのでありまして、それを内閣総理大臣あてに申し入れたのであります。  計画はどういうのであるかと申しますと、今度は十二名の隊員を一年越冬させたいというのが主眼であります。昨年の本観測の場合には、三十名の隊員を一年間越冬させてそして観測したいというのでありましたが、不幸にして氷の状況が悪くて近寄ることができず、ついに越冬隊を残すことができないで引き揚げてきた次第であります。そういう状況考えまして、今度は十二名の越冬隊員を残す。十二名というのは、どういう点から考えたのかと申しますと、現在昭和基地にはむねが三つございます。パネルの家が三つございまして、それはベッドが十二ございます。それから発電機室の別の建物がいま一むねございます。そういう点から申しまして、十二名が越冬するには今さらに建物を建て増す必要はない。それから食糧は、この十二名が一年間食べていくのに十分な食糧が、種類はあまりありませんでしたが、十分ございます。さらにそのほかに非常食糧として一年分とってございます。燃料も一年分ございます。そういう点から申しまして、十二名が越冬するということが可能なんじゃないか。越冬するには、観測器材その他食糧でも不足のものがございますので、そういうものを運ぶとしまして約三十トン、観測器材が三トンほど、残り二十七トンほどの越冬器材を運ぶといたしますと、十二名が一年越冬することができるであろう。この十二名の者並びに三十トンの荷物を運ぶにはどうしたらいいかというような問題になるわけでありますが、過去二年の経験にかんがみまして、氷の状況は相当悪い地域であります。しかしながら、昭和基地と申しますのは、ほかのソ連基地等に比べますと、気象条件はきわめていい土地であります。ただ不幸にして氷の条件が悪いために近寄りにくい。たとえばソ連基地におきましては、最低温度がことしはマイナス八十度をこえたことがございます。それから風も秒速六十メートル近いことがございましたけれども、昭和基地におきましては大体北海道の旭川程度気象条件でありまして、零下三十五度くらいが一等低い温度でありまして、風も三十メートル程度のものでございました。そういう、気象条件は非常にいいのでありますけれども、不幸にして地勢、風その他の点から氷が吹き寄せられるところでありまして、海岸から相当遠くまで氷がはみ出ております。しかしながら、大体八十海里程度のところまでは船が閉じ込められるおそれがなくて入り得る。その程度のところから荷物をかりにヘリコプター等で運ぶことができれば、十二名の越冬隊員並びに三十トンの荷物を運ぶことができるのじゃないかということで、いろいろと検討いたしてみますというと、ヘリコプターで、バートールF21というヘリコプターと、それからシコルスキー58というへリコプターはともに一トン半近くの荷物を八十海里近くの行動半径において運ぶことができます。そういうシコルスキー58ないしバートールF21というものを持って行ったといたしますれば、それを二機持って行ったとしますれば、十分向うに一カ月以上滞在することができますので、十分その期間に運ぶことができると考えます。現在までの気象条件から考えまして、正月の初めから二月の中旬近くまで滞在したといたしますと、ヘリコプターの安全に行動できる時間は百時間もあると考えられるようでございますので、今申しました程度荷物を運ぶということはきわめて可能、安全に実行できるという見通しが立ったのであります。そういう点で、今度は宗谷砕氷能力をさらに強めるということを考える必要はなく、ヘリコプターの力によってこれを実行できるのではないか。しかしながら、気象条件から見まして、昭和基地気象条件、ことに氷の条件は昨年は相当よかった。つまり、予備観測のとき、一昨年の暮れから昨年の正月、つまり南極の夏にかけては相当気象条件がよくて近くまで接岸することができた。その前の年はなおよかったようであります。その前々年は相当悪かったようであります。ことしはかなり悪かった。そういうような条件をいろいろと考えてみますというと、ヘリコプターを持って参りますと、気象条件がかなり悪くて氷が相当はみ出ておりましても、十二人、三十トン案というのは実現できる。しかし、幸いにして気象条件がなおよければ宗谷は砕氷して接岸し、そこから雪上車をもって運んでいくことができる。さらにそれ以上の荷物を運ぶこともできるだろう、そういう準備を整えて行ったならばどうかということで準備を進めたのでありまして、学術会議におきましては、そういう点についてずいぶんと論議がございました。ことしの失敗と申しますか、失敗を顧みてみますのに、ことしは二十人を越冬させる、三百五十トンの荷物を運ぶ、そのためにいろいろの準備をして行ったのでありますが、ついに実行することができなかった。これは結果論でありますから、大へんわがままな批評かもしれませんが、もしわれわれが最小限の案を最初実行する、たとえば一番最初越冬隊荷物を落す、手紙を落す等のことをする、その次に越冬隊員を収容する、その次に数名の隊員基地に送るというようなところから始めて、工合がよければ逐次接岸していって荷物を運ぶというようなやり方をかりに考えていったとしますれば、ある程度の、たとえば六名程度の人間が、越冬隊員を残すことができたのではないかと思うのでありますが、御承知通りに、宗谷最初に閉じ込められてしまいまして、小さい案を実行しようとするときには、すでに時おそかったというわけであります。今度はまああつものにこりてなますを吹くということになるおそれがあるかもしれませんが、最小限実行可能な案というものを頭に置きまして、それを実行することを目標として、進んで条件がよければ、その上で逐次大きな案に変っていく、そういう準備をして行ったならばいいのじゃないか、そういう考えに立って準備を進めたのであります。そういうわけで学術会議におきましては、その説明が大部分の会員の了承するところとなりまして、学術会議としては、つまり学会の立場からは、ぜひこれを行わせていただきたいということで政府に対して申し入れをしたのであります。幸いにいたしまして、閣議におきまして、これが認められたということになりましたので、われわれ今そのためにいろいろ準備している最中でございます。詳しいことは御質問ございましたならば、なお申し上げたいと存じます。
  10. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ただいまのお話によりまして、南極地域観測に関する御質疑がございましたら逐次御発言を願います。
  11. 湯山勇

    湯山勇君 茅先生にお尋ねいたしたいと思いますが、この第三次南極観測実現方につきましては当委員会におきましても、先般の第二次観測隊の引き揚げに当りまして、前途に希望を持って帰っていただきたいというような、委員会としての決定もいたした次第もございまして、今回の御決定につきましては非常に喜んでおる次第でございます。しかしながら、最初出発のときに当りましても、事前のいろいろな討議が十分なされていなかった、こういうことを今反省しておるわけでございまして、そういう点から考えまして、今回の第三次観測実施と今日とではそんなに期間的な余裕もない段階でございますから、特にきょう御説明を承わったわけでございますが、端的にお尋ね申し上げたい点は、この観測は、やはり前回と同様に人命尊重と申し上げましては少し大げさかもしれませんけれども、とにかく前回が一名の事故もなく、あのような観測ができた、これは非常に大きい成果であったと思いますが、今回もやはりこの原則は守っていかなければならないと存じます。こういう観点に立って考えて参りますと、一つは十二名、三十トンという計画で一体二カ年間の観測をするとすれば、食糧等はぎりぎりのところへあと観測隊は追い込められるのではないか、そういう危険があるのではないかという心配がございますが、これについてはどういうふうにお考えになっておられるか、この点が第一点。  それから第二点は、いろいろ申されておりますけれども、やはりヘリコプター飛行機に比べてはるかに風に対する抵抗が弱いと思います。そういうヘリコプターでもって、まあ過去の観測からは三十メートル程度というような想定がされるそうでございますけれども、これも激しい気象条件の中で、果してそういうヘリコプターで、今あらしに対して耐え得るかどうか、こういう点については、やはり私ども若干不安な感じがいたしますので、それらの点も一つ明らかにしていただきたい点。  それから第三点は、今回の計画は従来の計画とは非常に変った構想のもとに行われることになると思いますので、そうなりますと、すいぶんいろいろな訓練が必要ではないかと存じます。伝えられるところによれば、この訓練も相当困難な訓練であって、直ちに着手して、そうして百パーセント働けるような態勢に早くしないと、十一月の出発も安心できないのではないかというようなことも言われておりますが、これらの技術的な面についてまずお伺いをいたしまして、それからあと二、三お伺いいたしたいと思いますが、その三点、まずお願いいたしたいと思います。
  12. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 第一点の食糧余裕があるかというお話でございますが、最初お話しになりました、二回の観測の際に人命一名も損することがなかったという点、大へんお認め下さいましたことを私も非常に喜ぶのでありまして、その点は世界今までどの観測隊におきましてもなかったことでありまして、わが日本の自慢することになりますが、観測隊においてだけでございまして、人命の損傷がなかったということは、何にもまして私はよかったことであると思っております。この方針は、これから以後の観測におきましても、一つの一番重要な点であるとして貫く考えでおります。  それから、食糧の問題でございますが、私先ほども申しあげましたように、現在あります食糧等で、たとえば、米とか、そういう点等には、幾分疑問がございますので、そういうのは三十トンの中に含めて参ります。その他嗜好食等、つまりおいしいものだけさきに食べてしまうということをいたしましたので、そういう点は相当調整しなければならないと思いますが、申し上げておきたいと思いますのは、非常食糧は一年分別にございます。ほんとうに困ったときには非常食に手をつけるということになっておりますので、万が一、二年目に行ったときに、ついに近寄ることができなかったという場合においても、あと一年は生命を支え得るだけのことはしてございます。そういう非常食の用意は、さらにしてあるということをここに申し上げておきます。  ヘリコプターの強さの問題でございますが、この点は、私も専門でございませんから、はっきりと私の知識で申し上げるわけではございませんが、これにつきましては、学術会議では、航空の専門家によって委員会ができておりまして、海上保安庁と協力いたしまして、この委員会で十分検討いたしまして、そうして、その強度、それから気象条件、そういったようなものを検討いたしました上で、十分、四十日くらいの滞在期間中に百時間程度安全飛行飛行時間があり得る。風の問題もずいぶん問題でございますが、心配なのは霧でございまして、視界が見えないということであります。御承知通りに、南極に参りますと、方向を定めるということが非常に困難になります。そういう点で、霧が出るということが困難な問題になり、風と霧との両方を考慮に入れまして、百時間の安全に飛び得る時間があり得るということになったのでございまして、強度といたしましては、これも学術会議でもずいぶん問題になり、たとえば、ある一部分がこわれたときに、それを修繕することができるかというような問題がございましたが、そういう点につきましては、専門、ここにも海上保安庁の方の、特にそういう方面をお調べ下さった方がございますので、あとで御答弁願いたいと存じます。  第三点は何でありましたか……。
  13. 湯山勇

    湯山勇君 訓練です。
  14. 茅誠司

    参考人茅誠司君) ヘリコプター訓練が一番大事な訓練だと存じますが、このヘリコプターが到着しましてから、これも海上保安庁の方から答弁していただいた方がいいと思いますが、一月程度訓練がなければいけないと思いますが、その程度訓練期間が、十分あるかどうかは私もあまりはっきりいたしませんが、一月程度訓練期間はあることになります。その程度訓練を受けた上で、これはヘリコプター要員が十二名必要でございますが、十二名のヘリコプター要員に対して一月程度訓練が施されることになっております。
  15. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっと今御答弁をいただく前に、きょうここへ御出席の方を申し上げておきます。  参考人としては、今の茅誠司博士、それから文部大臣灘尾弘吉君、それから政府委員としまして、海上保安庁長官鳥居辰次郎君、それから大蔵政務次官がただいま大蔵委員会の方でどうしても手が放せませんので、大蔵省主計局の相沢主計官が見えておられます。その他説明員には、文部省大学学術局長の事務取扱として稲田清助君、それから海上保安庁船舶技術部長水品政雄君が見えておられます。  それでは鳥居長官。
  16. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 先ほど茅先生からお話がありましたのを多少補足さしていただきますと、さっき、百時間とおっしゃったのは、非常に好条件のときが百時間。もっと詳しく言いますと、風速五メーター以下というときが百時間と、非常に大事を踏んだ時間なのであります。今のシコルスキー58ですと、大体風速五十メーターくらいであれば平気で飛べるのでありますが、霧とか風速の問題がありますので、非常にかたく見積って、そういうふうなことになるのであります。  それから、先ほどお話のありましたように、昭和基地そのものは非常に天候はいいのでありますが、極寒高気圧が取り巻いておりますので、宗谷が行動する周辺は非常に悪いので、そこで、濃霧とかその他のことでなかなか飛べない時間があるというので、百時間になったのでございます。  それから、シコルスキー58と申しますと、まだ日本には、今防衛庁に来たばかりでありますが、能力を申し上げますと、大体巡航速度は八十から八十五ノットであります。搭載力は、普通は一・五トンでありますが、かたく見積りまして一トンから一・二トン、積載力は十立方メーター、航続距離は二百から三百海里、まあ、大体こういうような、馬力といたしますと千五百三十五馬力でありまして、私どもの方で持っておりますシコルスキー55の馬力の約二倍になるわけであります。  それから訓練でございますが、これはまことにごもっともなことで、われわれといたしましても、実は、閣議をもっと早くやっていただいて、早くきまれば非常に好都合だったんでありますが、いろいろな御都合からおそくなりまして、非常に、まあ、困るわけでありますが、しかし、先ほど茅さんから言われた一月というのは、あの飛行機が日本に到着してから、その飛行機で練習が一月ということでございまして、飛行機が来る前、ぼんやりしておるわけに参りませんので、私どもは、自衛隊の方に、海上幕僚の自衛隊の方に依頼いたしまして、操縦の訓練の方、大体六十八日と見込んでおります。それから整備の訓練、これは相当要りますので、これを百五日、これはつまり、その飛行機で整備なり操縦の訓練をするのでございますが、しかし、何といっても、自分が乗って行くその飛行機で訓練をするのが一瞬いいのでございますので、本物の飛行機が到着してから一月、少くとも最小限度一ヵ月はそれで訓練いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
  17. 湯山勇

    湯山勇君 次に、お尋ねいたしたいことは、文部大臣及び茅先生からお答えいただきたいと思うのですが、その一点は、外国との協力の問題でございます。前回観測で、四十日間漂流したというようなことについては、外国との協力態勢が事前によくできていなかったというようなことがあげられておりますが、今回の観測について、外国との協力態勢はどのようになっておるか。計画の中に一、二名の米人が参加するというようなことも伝えられておりますけれども、それは、一体どういう意味で参加されるのか、これが第一点でございます。  それから、第二点にお尋ねいたしたいことは、前回、必ずしもその批判が当っておるとは私ども思いませんけれども、しかし、伝えられるところでは、指揮系統が一本化していなかった、こういうことが言われております。まあ、例をあげて言えば、持って行った飛行機は観測用であって、隊のものであるし、ヘリコプターは船のものだといったような、指揮系統の一本化といいますか、これは、本部長がおられるのですから一本化しておったはずでありますけれども、何かそういう点について若干誤解もあるのではないかと思いますので、今回の計画の中でそういう誤解がどのように解かれる措置がとられているか、これが第二点でございます。  それから第三点は、少し立ち入ったお尋ねになりますけれども、隊長がまだおきまりになっていないのではないかと存じます。これについては私ども伝えられるところでは、永田隊長はなお引き続いて隊長として行かれる意思を持っておられるように私ども推測しておるわけですけれども、茅先生の方の御意見では、できれば他の人を出したいというような御意見もあるやに聞いております。しかし、隊長がいずれにもせよ早くきまるということは非常に重要なことだと思いますので、そのいきさつをお伺いいたしたい。  それから、この点に関する第四点といたしましては、今日まで非常に貴重な観測がなされたのでございますけれども、その成果を整理し、さらにその研究を出版する費用がなくて困っているということを聞いておりますが、その実情は一体どうなっておるのか。  この四点、これは文部大臣に関係のある分は文部大臣から、それから茅先生に関係のある分は茅先生から一つお答え願いたいと思います。
  18. 茅誠司

    参考人茅誠司君) お答え申し上げます。まず第一点の外国との協力の問題でありますが、この予備観測の場合に、ソ連のオビ号に救ってもらった。それから今度の本観測の場合には、バートンアイランド号によって協力してもらったことがございまして、これは御承知通りに、地球観測年にからむ観測はすべて国際協力という線がはっきり出ておりまして、お互いに因ったときに助け合うということは当然のことなのであります。ところで、今度やる場合につきましても、学術会議の議論等でも最初から、宗谷のような砕氷能力の小さいようなもので行かないで、アメリカなり、ソ連なりの船に協力してもらって、それに運んでもらったらどうかという議論もございました。もちろんわれわれもそういうことはこちらから頼んで不可能なことではなかろう。しかし、まず、われわれとしては最小限のこと、自分でできるということが考えられないものだろうかということで考えましたのは、ヘリコプター二機、大型ヘリコプター二機によってやるという考え方でございます。もちろんこの上にさらにソ連なり、アメリカなりの強力な砕氷能力を持っておる船が助けてくれるということはきわめて望ましいことであります。そういう点で、幾分、私は公式であるとは思いませんけれども、幾分周囲の状況等を聞いてみたのでありますが、まだその辺では助けてくれるともくれないとも、くれないとは決して申しませんが、くれるという話にもなっていない状況でありまして、しかし、それが確定した時期におきまして、もし喜んで協力するということであれば、われわれは喜んでそれを受けたいと思っておるのであります。  それから、米人参加の問題が問題になっております。これは予備観測をやりますときからすでに問題になっておるのでありまして、お前の方もだれか来い、われわれの方も人を出してお前の方の基地をぜひ知りたいということであったのでありまして、われわれの方がこちらから出すのはいたしました。予備観測のときに、日本から一人隊員を参加させまして、向うの砕氷の工合、設営の工合等について詳しく調査して参りました。しかしながら、本観測の場合に、アメリカからのそういう人を乗せていくかどうかという点はずいぶん検討いたしましたが、その際なかなか船員、船の中のベッドの余裕とか、生活条件の通いとか、その他いろいろなことを考慮いたしました場合に、どうも実行できそうもないというので断わったわけであります。ですが、ことしは、向うから申し込んできた場合には断わるわけにはいかないだろうということでありまして、現在米人二名というのではなくて、もし米国から申し込みがあれば受けよう。それからまた南アメリカや、ケープタウンから連れて行ってくれというようこともありはしないか。そのときにどうするかということを考えてみよう。まだ決定したわけではありませんが、そういう申し込みがあった場合には、すぐ拒絶するというのではなくて、十分に与えよう。問題としては差し迫っておりませんから、きまっているわけではありませんが、十分考慮の対象にしたいと考えております。  それから、指揮系統の点は文部大臣からお答えいただきますか……。  第三番目の隊長の点でございますが。これは私どもの考えております考え方は、隊長は、今度は地球観測年の一躍としての仕事ではございませんので、系統から申しますと、一応これは、観測はおしまいになりまして、新しい事業として今度始めるのであります。でありますから、今度すべて、形の上ではすっかり一新されるわけでありますが、そういう点で、今度隊長をどういう形で推薦するかと申しますと、やはり、学術会議の中に南極地域観測特別委員会というのがございますので、そこで相談した上で隊長候補者を出しまして、それを統合推進本部に推薦するという形をとりたいと思うのであります。現在は、学術会議の特別委員会の中で、私どもがあれやこれやと討論をしている最中でありまして、まだ結果を御報告する段階に至っておりませんが、先ほどお話しになりました前永田隊長の問題は、私個人の考えといたしましては、つまり永田君は御承知のごとくIGY、国際地球観測年のエキスパートでありまして、最初隊長に任命されたときからすでに学者の反対もありまして、こういう学者を南極に連れて行く必要があるのかという疑問があったのであります。ことに世界的なアメリカの学者から私あてに抗議がありまして、どういうわけで永田などを隊長にするかという抗議があったくらいでありまして、そういう点から見ましても、少し、ある程度ルーティン・ワーク的になりつつあるのに、再び永田君のようなりっぱな学者をわずらわさなくちゃならないのか。むしろそれよりも今までの、一回、二回の予備観測、本観測、それからIGYの現在まで行われてきた観測結果をいかにまとめていくかに力を入れていただきたい。そうして南極観測の全体の点に、みずから隊長として行かれるよりは、全体に目を注いで、全体をよくする、この面にかわっていただけないものかというのが、われわれの現在の考え方であります。しかし、それにしても隊長としてのいい候補者がない場合には、やむを得ず永田君にお願いしなくちゃならないかと私ども思っているのでありますが、しかしその点そういう、そこまで話がまだ進んでおりません。それで当人は、自分にかわってやる人がないというような考え方をだいぶ持っておられまして、心配の余り自分がやりたいとい……。私は、あなたのようないい学者が行かれるより、それよりもメリット、デミリットを比較し合おうと言っているような現在の段階でありまして、そういうところまでいっておりません。発表の点は、文部省の方から現在発表はしているのでありますけれども、その点について、全般的な点は文部省の方からお答え申し上げます。
  19. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 大体茅先生のお説に尽きているものと思うのでございますけれども、外国との関係につきましては、御承知のように全般的に、お互いに協力しようという建前のもとにやっている次第であります。従って従来の、まことに残念なことでありますけれども、外国の御協力をいただいたという事実があるわけであります。ああいうふうな場合における協力については、これはもう私は問題はないと思っております。ただ最初から、あるいは外国の船に乗って行くとか、あるいは外国から海を誘導してもらって行くとかいうようなことにつきましては、まだ特別のことを御報告申し上げる段階に至っておりません。非公式には多少外国の意向を打診している向きもあるようでございますけれども、まだ申し上げるような時期になっておらぬと思います。  それから、指揮系統の問題でございますが、これもいろいろ御心配をいただいておるわけです。またいろんな御批評もあるわけでございますが、従来の結果から考えまして、実際問題としてそれほど大きな支障があったというふうには私ども考えません。だんだん経験も積んで参ったことでありますので、この問題につきましては、お互いに十分協力することによってそれほど支障がないものと考えておる次第でございます。  それから、この研究の成果でございますが、これまでにも若干のものは実は発表いたしておりますが、全体がまとまりました際には、さらに政府といたしましてもまとめまして、発表をいたしたいと考えておる次第でございます。
  20. 湯山勇

    湯山勇君 あとの質問は、文部大臣及び大蔵大臣にお尋ねいたしたい質問でございますが、茅先生にもう一点だけ念を押してお聞きいたしておきたいことは、やはりこの観測がうまくいくか、いかないかということは、隊長を早くきめるということにかかっておると思います。今のお話の御趣旨はよくわかりましたけれども、一体いつごろ隊長がおきまりになる御予定なのか、これは早くしないと、今申しましたように、私は非常にいろんな点で支障を来たすと思いますので、なお重ねてお尋ねいたしまして、それからあとの問題は文部省及び大蔵省の方へお開きしたい問題で、茅先生の方の御時間の関係もありますから、私の質問これでちょっと中断いたしまして、他の委員から御質問願いたいと思います。
  21. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 隊長の問題について申し上げます。私どもの話し合いは、もう今週のうちに何とかこぎつけたいと思っております。ただ問題は、実際問題としましては、医師の診断というのが相当問題になります。これは相当時間のかかる診断をいたします。肉体的だけでなくて、精神的な安定性の問題等につきまして診断をいたしますので、そういうのがきまりませんと、ほんとうに形式の上での推薦はできないのであります。やはり隊長がきまりましてから、隊長の責任のもとに隊員というのが選ばれるわけであります。そういうわけでありますから、今お話しになりましたように、早く隊長をきめるということが必要でございまして、私ども全く御説の通りなんであります。われわれとしてはできるだけ早くきめたいと思いますが、またあまり無理をいたしますと、皆さんの意見が統一しないところで一方的にきめるということのないように、よく考えてみたいと思っております。
  22. 松永忠二

    ○松永忠二君 簡単に一、二伺います。国際地球観測年が終ったあとは、国際協力の形で、ユネスコの中でこれをやっていきたいということを言われておるのです。こういうふうな問題について、日本がどういう形で参加をしていくのか、こういう問題について御検討されておられるのか。  それからなお、南極大陸の平和利用について十二カ国で国際会議を開きたいというような問題が言われておるのです。こういう問題について、積極的に参加をしていくというような点等については、学術会議等で検討をされておられるのか、そういう二つの点についてまずお伺いしたいと思います。
  23. 茅誠司

    参考人茅誠司君) ただいまのユネスコというお話でございましたが、私の承知している範囲では、ユネスコはまだあまり聞いておりませんが、ユネスコから補助金を受けております国際学術連合というのが、ICSU、インタナショナル・カウンシル・オブ・サイエンティフィック・ユニオンというのがユネスコから補助を受けておりまして、これが……万国の学術会議が加盟しておりますのがこれであります。このICSUが今までいろいろと音頭をとって地球観測年ということをやってきたわけであります。それが南極地域特別委員会、スペシャル・コミッティ・アントアークティック・リサーチというものを作りまして、日本はこれに永田東大教授委員として送り出しておるわけであります。それの会議が八月の初旬にモスクワでございまして、そこでよく南極全体の連絡をとった上でこの観測が行われることになっております。どこまでもこの国際協力、国際観測一環として日本は行うということであります。単独で行うという意味のものではございません。  それから新聞に出ております、アメリカが申し出まして、南極に関係のある国が国際会議を開こうという問題でございますが、本日は外務省から出ておらないようですが、私ども学術会議ではこの問題にはタッチしておりません。われわれ新聞、その他、それから統合推進本部で外務省の説明を伺った範囲におきましては非常に賛成でございます。こういう国際会議が行われて、そして領土権、その他ということは一応たな上げしまして、国際的の観測が国際協力のもとに自由に行われるようなことにしたいということでございますので、われわれとしては非常に賛意を表しております。あらためて相談する必要のない程度に私どもは賛成であります。
  24. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今の国際会議の問題につきまして補足して申し上げたいと思います。去る五月二日に外務省の方から南極における科学的研究の自由、南極の非平和的利用の禁止及び国際憲章に矛盾しないその他の平和目的のため、南極に関する面接関係国が、これは国際地球観測年において、南極地域観測に参加した十二カ国が条約を締結するため、近いうちに合意する場所で開催される国際会議日本政府の参加を招請したマッカーサー米国大使の、外務大臣あての書簡があったのであります。それに対しまして五月八日に外務大臣は、この書簡に述べられました国際会議の趣旨を支持するとともに、日本政府は、この国際会議への招請を受諾するという旨の同等をいたしているのでございます。このアメリカ提案は、ほとんど招請国各国の質問を得まして、近く国際今会議の開催期日、開催地等が決定される、かような見通しになっております。
  25. 松永忠二

    ○松永忠二君 今、茅先生からお話のありました国際地球観測年が、そういう国際協力で行われるということについては、お話を承わっているわけでありますが、一応国際観測年の終った後も引き続いてユネスコを中心にしてこういうことが行われるというようなことをいろいろのもので見ているわけであります。そういう点がどういうふうに今後行われていくものか、観測年が終れば、それでもうこれは各国独自の立場で行われるものなのか、日本はこの観測年について参加することが完全にできなかったというところから、今度独自といいますか、そういうふうにおやりになるようだが、それを引き続いてどういう形で今後やられていくのか、そういう点についてお聞きしたいということが一つであります。もう一つは、いろいろ非常に論議はあるとしても、ここで閣議決定をし、また学術会議等も率先してこの仕事をやることについて御尽力いただいているのでございますが、どうしてもこの仕事をやらなければ、やはり観測年における仕事は非常に欠陥があるというふうな点が指摘されるのではなかろうかと、私どもは思うのでありますが、そういう点について専門的な立場から、やはり日本がこれを実施しないことに伴うこういう欠陥があるという、おもなものがありましたら御指摘をしていただきたいと思います。
  26. 茅誠司

    参考人茅誠司君) お答え申し上げます。  今回行おうとしておりますのは地球観測年の終ったあとの全く別な計画でやることでございますので、これはその通りであります。それで、私どもが続けてやりたいと申します意味は、本観測失敗したということは関係ないのであります。つまり、切り離した一つ計画として国際的なこの観測業務に参加したい。で、最初に私申し上げたいと思いますが、地球観測年は今年一ぱいで終るわけであります。来年からは全く別個の観測になるわけでありますが、南極地域各国がその地球観測年に参加するためにずいぶん準備をいたしまして、相当の金をつぎ込んだ。日本でもずいぶん金をつぎ込んだ。で、基地ができてデータを取り出したけれども、一年だけ取ったのでは残念だと、いま少し続けようではないかというので、ユネスコのもとにありますところのICSUというのが主催いたしまして、国際科学同職会議が主催して相談会を開きまして、昨年の十月にストックホルムで最初の非公式な相談会がありました。そしてその結果、公式な会合が今年の二月にオランダで開かれて、日本からの代表も行きました。その結果として複数でありますが、イヤーズ、つまりある期間南極における観測を国際協力のもとに続けていこうではないか、その一環として日本もそれに続けて中に入ってやろうというわけであります。そういうわけでありまして、どこまでも日本が単独にやろうということではありませんで、国際的に南極全体の、こう点ができておりまして、この点をおのおのの国が受け持たされた観測基地と、その受け持った場所において与えられた仕事を与えられた機会、与えられた方法によって観測していこうというわけであります。それから時間的にもお互いに打ち合せて、そして観測したものは本部に皆通報するのであります。気象はどこどこの本部、 ラジオの方はどこどこの本部、その結果が世界的にまとまって発表される。そういう形式のものでありまして、単独でやるものではないのであります。そういう意味におきまして、日本がもし欠けたならばどうであるかというのであります。が、つまり与えられたこの観測個所があった場合に、一つの点が欠けますと、それだけ南極全体の気象とか、電離層条件を判断する材料としては不正確になっていくわけであります。全体のためということではございませんが、やはり困る。これだけの点があれば十分資料ができると思ったその点が一つ欠けるということ、そういうことによって全体の結果が不正確になる。そういうのは日本としても引き受けた以上ははなけだ残念だからそこをぜひやってみたい、そういうことでございます。地球物理方面の日本科学技術はほかの技術に比べまして相当進歩しておりますので、そういう点でぜひ国際協力の線で日本の学者が働きたいという念願なのであります。
  27. 松永忠二

    ○松永忠二君 先ほど湯山委員からもお話があった点、この点について指揮系統の統一というようなことのお話が出ておるわけでありますが、南極地域観測統合推進本部というのは、従前は四十八名で作られていて、本部長が文部大臣であったというようなことであったのですが、これについてはやはり従前通りのやり方でやっていくということがいいというふうにお考えになっておられるのか。なお、新聞等によりますと、七人連絡委員会というようなものをこしらえて、それによって実施まで推進していくというようなことが出ておるわけなんですが、こういう点について特に具体的に、これはまあ当っているのかどうかは私たちもよく知りませんが、当時船の行動というものは全部保安庁の指令に基いて行われたと、特に出発するときにすでに接岸の日と離岸の日がきめられて、そういう指令を持って宗谷が出て行ったというようなことがいろいろ問題にされて、いろいろ記事にも出ておったのでありますが、その後、たとえばバートンアイランド号に求援をする場合もその指揮が保安庁の関係の方から出されて、永田隊長とか、観測隊の方には何らこれが知らされなかったというようなことが当時記事に出ておったのでありますが、こういう点で指揮系統について、やはり検討を要するといいますか、われわれはよく承知しなかったのですが、指令書というものが統合本部の検討の上に出されたものかどうか、あるいはこういう船の指揮というものはすベて保安庁の責任においてなされているものか。こういう点については、やはり検討して改めていくというような必要を考えておられないかどうか。こういう点を直接海上保安庁の長官の方からお話を承わりたいと思うのです。
  28. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 連絡でございますが、連絡につきましては、先ほど七人連絡委員会というお話があったのでございますが、もう平素から、先般の国会でも稲田文部次官からも御発言がございましたように、毎日私のところは二へんも三ぺんも会いましたり、あるいは電話連絡もとっておりますので、その点今度は形式化されたようなふうに考えられるのであります。  それから、こちらのバートンアイランド号に対する援助の依頼でありますが、これはもちろん統合本部で打ち合せをいたしまして、そうして私の方は私の方のルートを通じて、というのは船の運航についての無電等はこちらの方でやっておりますので、その問題について船長に指令したのでありまして、もちろん現地でもこの永田隊長とは十分連絡がとれておるものと思っております。  それから、よく問題になる点でございますが、初めから接岸と離岸の時期を示すのはどういうわけかというのでありますが、大体船の行動というものは最初に大体のもくろみ、計画を立てまして、そして実行するというのがこれは常道でございまして。そしていつ大体南極圏に着いて、そしてどの程度余裕を見て、どういうふうに行くかということは燃料その他食糧とも関係があるのでありまして、こういう大体の計画は当然なことであります。しかし、一日とか二日とかそういうことは、もちろんあれで拘束されるわけではないのであります。  それから、離岸の時期につきましては、これはもう最初南極へ行く前にずいぶんいろいろ各方面の文献をあさり、そして研究した結果、二月の中旬ということに結果はなったのでありますが、最初はどうしても三月の初旬には離岸しなければいけない、あるいは一つの説には二月一ぱいは大丈夫だというような説があったのですが、結局検討の結果、ああいうことになったのでありまして、そして第一回の結果から見て、南極の天候、気象その他から判断して、できるだけ危くない時期に離岸した方がいいというので、第二回目の離岸時期を早めたようなわけでございます。しかし、もちろんあれは、一時間とか一刻というのではないのでありますが、大体その時期に離岸しろということで、もちろん行ってからは、天候その他変りやすい状況につきましては、船長の判断にまかせておるような次第でございます。もちろん船長とは毎日こちらと無電で連絡しておりますので、全く手にとるごとく話をしておるような次第でございます。ですから、連絡の点については十分うまくいっておるように考えておるのでございます。
  29. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  30. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記を始めて下さい。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 時間もありませんから簡単に四つの点ばかりお伺いしたいと思います。  地球観測年が終ったので、新しい事業として今度始められる、こういう御説明でありますが、このことについてアメリカは国際会議を持つということで、日本は外相がこれに参加の意思を決定され、また茅会長としてもこれに賛成の意を表されたわけですが、この持たれる国際会議の性格というものは、南極地域観測特別委員会としての性格を持つものか、それともアメリカ南極に七つの基地を持っておるわけでありますが、その七つの基地を中心として観測を続けていくというための性格を持っておるものなのか、この点が一つです。  それから第二点は、各国観測隊の協力組織について、先ほど湯山委員から御説明がありましたが、各国からの協力の申し出があれば、喜んで受けたいという会長のお話でございました。しかし、仄聞するところによると、この南極地域観測のためにある約三十ばかりの基地、その基地では観測でかなり領土的な、あるいは軍事的な意図もあるために、他国の介入をなるたけ避けたいという意向もあるので、十分な協力ができないというようなことも聞いておるのでありますが、この点についてどんなふうになっておりますものか、これが第二点です。  第三点は、学術会議が今度の観測で二カ年の計画を立てられたわけであります。これに際しまして工学関係の方では、かなり意見があったようであります。つまり、宗谷砕氷能力については、別段支障がないと、今われわれにお示し下さいました。しかし、工学方面ではこの宗谷の能力について、技術的な面にかなり不安がある。しかも、技術的な面について十分な研究資料を持ち合わせておらないので、もし今度観測を継続するというならば、条件をつけなければならないというようなことを新聞の報道で承知しておりますが、その条件というのは一体どういうものであるのか。その次の問題は、宗谷に今度二機の大型のヘリコプターを積んで、輸送能力の万全を期したいという御説明であります。しかし、もしその一機が、ヘリコプターの性能から言って、離陸、着陸にかなり不安定であり、また南極の気象から見て、なかなかその二機が完全に機能を果すことができない。従って二機だけではない、別に小さいものも二機持っていくのだというお話もあるわけですが、そうだとすると、宗谷にはこの四機のヘリコプターを積載する能力がないのではないか、どうするのかという疑問もかなり出ておるように思われます。この宗谷の能力という点について、工学方面の条件と、それから、今言うように、ヘリコプターの能力自体について、どういうふうな御方針で臨まれるものでしょうか。さらにヘリコプターの、特に大型ヘリコプターの操縦については、日本には非常に経験がない。従って、約一カ月間の訓練を経てという話でしたが、新聞等で仄聞するところによると、大型ヘリコプターの操縦のために、外国人の操縦士の手をわずらわさなければならないというようなことが出ておりますが、果してこの間の消息はどういうものであるか。次に今度の継続する事業に対して、人文科学陣からかなりの意見が出ておるようであります。つまり、今度の陣容には約十二億の予算が要る、そうしてまた昨年の予算も、使ったものを合せると約三十億の金が要る、こういう三十億の金があったならば、もう少し国内の科学陣というものが振興するのではないだろうかというような御意見もあるようでありますが、私どもとしては、この事業が学問的にかなり高く評価されるのではないかというふうにしみじみ考えるのですが、要するにやはり一般の民衆の学術的な評価というものが、十分よくわからない、このためにやはり民間からも、そんなに大金を使ってあまり効果のないものならば、やめた方がいいのじゃないかというような意見もあるので、この人文科学者陣の意見なども、そういうところからきているのではないかと思うのでもう少しPRの方法などについても、新しい観点にお立ちになる必要があるのではないか、こんなことを考えております。以上の点について御説明をわずらわしたいと思います。
  32. 茅誠司

    参考人茅誠司君) 先ほど文部大臣から御説明がありました、アメリカ提案しました南極地域についての国際会議の問題でございますが、新聞その他に散見しておりました状況によりますと、各国がそれぞれ領土的野心を持っているというので、自分の土地にほかの国の人を入れたがらないというようなことが言われておりますが、そういう傾向があることを、われわれは非常に心配しておりまして、少くとも日本だけはそんなことは全然ない国であるということを、自慢しておったのであります。このアメリカが申し出ました会議は、どこで開かれるかまだわかりませんが、近々のうちに開かれることになると思いますが、そういう、お前の領土権はないのだぞとか、あるとかというようなことを言いますと、全然地球観測年の際に行われたような、自由な国際協力のもとに観測事業が行われないということを憂えて、こういう申し出がアメリカからされたわけであります。つまり、精神は地球観測年の際と同じような考えに立って、数カ年の間南極で自由な研究が行われるようにしたいという、そういう話し合いをすることでありますので、われわれは非常に賛成しているのであります。  それから、アメリカが七つの基地を持っているというようなお話でございまして、アメリカ等は相当そこに膨大な施設をいたしておりますが、しかし、そこには御承知通り日本からもうすでに人が行っております。新聞記者等が参加しておりまして、必ずしもアメリカが領土的野心を持っているという証拠には私はならないのだと思います。そういう意味におきまして日本の作った基地にも、アメリカないしは南アの人が、越冬はしませんけれども、一応参加するということは、国際協力の上で、非常にけっこうなことじゃないかと私どもは思っております。  それからその次の、学術会議で対論がされましたときに、工学関係の第五部会から条件付で賛成である、そういう報告が五部長を通じてありました。その条件と申しますのは、私今ここであまり正確に記憶しているわけではありませんけれども、特に私の印象に残っておりますのは、大型ヘリコプターが、たとえば一部分風に吹き飛ばされてこわれたようなときに、それを修理することができるかどうか、その点に非常に不安を持っておるのだ、そういう意味でそういう点の、技術的な点の不安がないならば賛成だというような意味条件であったと私は思うのでありますが、そういう点につきましては、先ほどもございましたように、これは相当専門家が長い期間かかって調べましたので、その点につきましては、十分条件を満足できるだけのことがいっておると私は思います。  それであとの問題は、島居長官からお答え下さった方がいいかと思うのでありますが、大型ヘリコプター二機持っていく、その上に現在ありますのは、ヘリコプター一機ですか、それとビーバー一機でございます。そのための十分甲板があるかというようなお話でありましたが、これはやはり宗谷の改装をいたしまして、十分それを入れていくことができるようにいたすことになっております。詳しくは、島居長官からお答え下さることと思います。  私が特に申し上げたいのは、一番最後のお話の点だと思いますが、その点は私でさえも議論したい点なんでありまして、つまり、こういう大きな費用を使って、それがその科学的成果が果してそれに価するかどうかということでございます。学術の成果を金額と比較するのは非常にむずかしいのでありますけれども、しかしこの金を少くとも——たとえばこういう議論をした人がございました。一人当り百万円、科学研究に出せば、千二百人の人が百万円の研究費をもらってやれるじゃないか、そうした方がよほど成果が上る、こういう議論がされたこともあります。私はそういう議論が起るのは当然だと思うのであります。そういう意味で、それはまた一面におきまして、日本学術研究の費用がいかに足りないかを私は二面物語っているものだと思います。それほど少い費用でやっているときに、こういうような費用を使うというのはという意味の私は反語にとったのであります。ぜひ科学研究にいま少し増していただきたいと思うのであります。しかし私どもが、日本がこの基地において観測するということを引き受けて、不幸にして地球観測年期間は本観測はできなかったけれども、続けてやると、そういう線が出されたのでありますから、そういう点において引き続きこの土地に対して責任を持って続けてやろう、こういう機会を得た、これが一つの機会でありまして、ほかの機会にやっても仕方がないのでありますから、そういう点で非常に考えなければならぬ点があると思いますが、この機会をおいては国際協力に乗り出すことができないので、つまり戦争後世界中がやります最も典型的な国際会議日本人がフルに参画したい、そのためにやむを得ずこういうような大きな金が必要なんだという、これは私ども学者だけの意見ではなくて、国の世論でいいか悪いか判断していただきたいというのが私どもの立場で、学術会議等におきましても、一時は学術会議でさえも反対論があるような、国民に問うかというような議論があったのです。学術会議も十分率直な議論をしよう、その議論をまた国民の皆さんに見ていただいた上で国民の皆さんの御意見も承わるべきなんじゃないか、そういう意味からいいまして、PRについて欠ける点があるとおっしゃるならば、私はその意見を甘んじてお受けしたいと思います。
  33. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ほかに茅本部長に対する御質問はございませんね。それではありがとうございました。
  34. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) それでは、茅先生からの説明を補足させていただきますと、ヘリコプターでございますが、大型のシコルスキー58、今のベルとは用途が違いまして、大型ヘリコプターは器材とか食糧、あるいは人員を輸送するために今度使うのでございます。それから、前から持って行っております。ベルの二機の方は氷海において宗谷自身を誘導するために使うのでございまして、それぞれ用途が違うので、どうしても両極のヘリコプターを持って行くようにしたような次第でございます。それから、船にはもちろん両種のヘリコプターを積める能力はあるのでございまして、ただし、それには多少の改造その他をしなければならぬかと思います。いいことにはシコルスキー58は多少小型に畳めるようなことにもなりますので、スペースはそうたくさんもとらないようになっております。この辺は大へん好都合なんであります。それから、ヘリコプターの離発着するために大型ヘリコプターの発着の甲板を従来のヘリコプターの甲板の上に重ねて新しく作りたいと思っております。その長さが二十三メートル、幅が十七メートルで、その周辺に幅一・五メートルのネットを設けるようにしたいと思っております。  それから、飛行機の操縦訓練でございますが、おっしゃる通りシコルスキー58は私ども操縦するのは初めてでございますが、私ども従来から同じ系統のシコルスキー55型、これは中型でございますが、これを三機持っておりまして、これで従来海難がありました場合に操縦をして船が寄りつけない所に行って真上からロープを下して救助に当ったり、相当北海道その他で活躍をしておりますので、これについては相当訓練操縦ができております。そういうわけで、同じ系統のヘリコプターでもございますし、割合これは入りいいように考えます。それで、ほかの全然新しい種類のヘリコプターでございますと、それはもちろん非常な長い時間を要するのでございますが、同系統でございまして、ほとんど変りないような、もちろん馬力は先ほど申しましたように二倍になるわけでございます。操縦その他については同系統でございますので、訓練も非常に早いと存じておるような次第でございます。大体以上でございます。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁でございますが、学術会議等でもこのヘリコプターの使用等についてはかなり議論があったように私聞いておるのです。今御答弁を伺うと、ずいぶん自信満々のような御答弁ですが、欧州航空会社あたりでは定時的な旅客あるいは荷物の運搬等にはヘリコプターはやはり安定性がないという意味で使わないというようなことが言うわれておる、しかも日本の場合には、なかなかまだ大型のヘリコプターの操縦には不なれであるというのに、南極の非常に気流の激変しやすい所で、今あなたのおっしゃるようにことほどさように簡単に、安全に、自信を持って操縦できるものでしょうか、この点についてずいぶん議論がありますので、もう一回伺っておきます。
  36. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 先ほど申しますように、非常に簡単だとは申し上げていないのでございまして、私どもが今まで使っておりますシコルスキー55型は同じ系統でございますが、これにつきましてはもちろん発展の段階でございまして、欧州、アメリカの方におきましても種々の改良、改善が行われておりまして、事故もあったと思っておりますが、これをだいぶん長く使って訓練操縦その他について実際の海上に出て効果もしけておりますので、ほかの全然新しいヘリコプターよりもシコルスキー58の方がより入りやすい、こういうふうに申しあげたのでございまして、もちろんこれから相当なる訓練を積まなければならない、こういうふうにわれわれも考えておる次第でございます。
  37. 湯山勇

    湯山勇君 時間がありませんから簡単に最後の質問をいたしたいと思います。  その一つは、大蔵政務次官お見えになりましたから、本件に対する予算措置はどのようにされるか、それをお伺いいたしたいと思います。それで、答弁はあとで一緒に願いたいと思うのですが、先ほど来の御指摘がありましたように、この観測自体に対しまして相当誤解もあると思いますし、当然な批判もあると思います。それらの点をこの委員会を通じて明確にすることも一つ重要な役目ではないかと思いますから、そういう意味でお尋ねいたしたいのですが、その一つは閣議で大蔵大臣は相当批判的であった、しかし、いろいろな意味でこれが通過したのには政治的な意図があったのではないか。と申しますのは、先ほど御指摘がありましたように、アメリカ提案による南極の平和利用及び学術調査の自由についての条約締結の提案には、領土問題がからんでいるのではないか。そして日本が、とにかくこれによって、領土に対する手がかりを得ておこうというような点が一点と、それから第二点は、昭和基地の付近でウラニウムの鉱石が見つかった。このウラニウムの鉱石が果して直ちに役に立つか立たないかは別として、とにかくこの権利だけは一応確保しておこう。第三の点は、政府はどうも科学技術、科学技術と言っておきながら、学問をあまり予算的には優遇していない。そこで、こういう事業を通して学問を尊重しているという、ゼスチュアに使おうとしているのではないか。これは、私が申し上げるのではなくて、あるいは大臣はごらんになったかもしれませんが、ある週刊雑誌、有力な週刊雑誌にこの三つのことがはっきり書いてございます。そこで、ただ、そうじゃないのだという否定的なお答えだけではなくてそういうことが国民にもわかるように、この委員会において文部大臣から御解明を願いたい、これが第一でございます。  それから文部大臣にあわせて御答弁を願いたいのは、今茅先生の方からもございましたが、とにかくも二カ年間で約十三億近い費用がこの観測に出される、これに比較しますと、国内の科学振興費というのは、本年度予算においてわずかに十四億程度しかありません。そうすると、二カ年間、この観測に使われる費用と、それから一年間における全国の科学研究費とが匹敵する、これはやはり私はいろいろな意味をおつけになっても不均衡だと思います。そこで、このような批判を起さないようにするためには、なお二カ年間の観測を後顧の憂いをなくしていくためには、やはりこれにつり合うだけの国内の科学研究費を増額しなければならない、そういう不均衡な状態が、今日学術会議で非常に議論された最も大きな点だと思います。そこで、今申しましたように、政治的な意図はないのだということのまあPRと同時に、今度はこういう観測というものは決して今申しましたように、他のものを圧迫して行うものではなくてむしろやはりこういうことと同時に、国内の科学研究というものも大いに振興しなければならない、そのためには三十四年度の予算において、画期的な科学研究費の増額をするということが約束されなければ、私はこの問題はやはり将来残る問題だと思いますので、その点について文部大臣の御所信及び大蔵政務次官の御所信を伺いたいと思います。
  38. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。どういうつもりで今度の南極観測のことを継続するようになったかという御趣旨の御質問だろうと思います。私どもの方としては、閣議でだれがどう言った、こう言ったかということを申し上げるのもいかがかと思いますが、閣議といたしましては満場一致決定したことでございます、さように御了承願いたいと思うのであります。  その継続しようということにつきましては、先ほど来お話がございましたが、南極観測が学問の上におきましてきわめて重要な意義を持っている。これに対して日本も国際的に協力しよう、この心持ゆえ観測を継続しようということになったわけでございます。そのほか国際会議というふうなものが開かれるというふうな場合におきましても、日本もやはり南極観測をやっているというふうなことが国際会議における日本の発言といいますか、そういうものを有力ならしめるだろうというふうなこともこれは話には出ておりましたけれども、もちろん非常に意義のある学問の発達のために、日本も国際的に協力しようという心持を持って今回継続の方針を決定したわけでございます。  それからもう一つは、予算の問題に相なるわけでありますが、御指摘の通りに、南極観測の経費と、それから一般の科学技術の振興に関する経費というものを比較いたしました場合には、まことに残念なことでありますけれども、御指摘のような感じがしないわけではございませんが、しかしながら、私といたしましては、南極観測の問題は、これは永久に今後やるというわけの問題ではございませんし、今回の機会をはずすというときわめてまずいというふうなこともございますので、この費用を取ったわけでございまして、これを取りましたために、ほかの経費が減るとかというふうな気持では全然おりませんので、できるだけ私といたしましても、科学技術振興に関する予算増額ということについては、今後ともに努力して参りたいと考えておりますので御了承願います。
  39. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 南極観測につきましては、大蔵省でもいろいろ議論もございましたし、それから一般世論といたしましても、さらに各国が継続するからといって、日本の現状からいってこれを継続するのがいいかどうか、こういうふうなこともいろいろ御議論になったことも承知いたしておりましたが、先ほど文部大臣のお話のように、閣議決定で十二億ということが決定せられ、かつ、金額というものについてもいろいろ議論があったことも承知をいたしておりますが、各国におくれないようにするということもまた必要でありますので、こういうふうな御決定を見たような次第であります。従いまして大蔵省といたしましても、この間いろいろ検討いたしましたのですが、この科学技術の振興につきましては、これは予算をごらん下されば私が申し上げるまでもありませんが、昨年二百十六億で一昨年よりも三十五億ばかりは増額になっております。また、国立学校の研究費というふうな意味で十分の額の増額もいたしておりますが、これで足りるものでもないことは承知をいたしておりますので、主管省ともよく相談をいたしまして、また、御議論もよく承わりまして、できるだけ増額に努力したい、かように考えておる次第でございます。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 本年の予算はどういうふうな操作でお出しになるのですか。
  41. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) 南極観測でございますか。これは予備費から支出することになっております。
  42. 松永忠二

    ○松永忠二君 今、予算の話が出ておったのですが、この前いろいろお話の出たときに、一体ぎりぎり最小限の経費で南極観測を行うという、こういう大事業をやったというところに実は大きな問題があるのではないかということも言われておったので、たとえば西ドイツ等は辞退をされたというようなこともあったので、今度の予算については、やはり予算要求をされて、文部省が要求されたものがそのまま大蔵省で通したのか、それとも、やはり文部省としては予算要求をされたけれども、やはり予算の関係上、一応とにかく査定が行われて通過したものなのか、その辺の経過を一つ大蔵省の方からお聞きをしたいのです。
  43. 佐野廣

    政府委員佐野廣君) これは、私は閣議に出席いたしておりませんでしたので、はなはだ恐縮でございますが、数字につきましては、なお検討の余地があると思いますが、この十二億というのは、大体御要求のあった額であると承知をいたしております。
  44. 稲田清助

    説明員(稲田清助君) では私から……。今、大蔵政務次官からお答えがございましたように、目下大蔵省と協議中でございまして、数字の最終結論はまだ出ていないのですが、ごく最近の機会に出していただきたいと、相談いたしております。
  45. 松永忠二

    ○松永忠二君 文部省の方から今御説明があったんですが、やはりその数字を検討中だというお話があるんだけれども、私はやはり大蔵省と数字を検討するということよりも、まず一応この学術会議、それから保安庁、それから文部省が、大体この前のことも考えて、どうしても必要な数字というものを検討されて、しかる後に大蔵省との間に協議が行われるという順序であろうと思うのでありますが、そういう点については、協議しつつその数を出すのか、それともおよその検討をされてなさっているんだと私は思うんですが、その辺はどうなんですか。
  46. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) この今度の計画につきまして、学術会議その他関係者が十分相談をいたしまして、大体この程度のことはぜひ必要だということで計画を立てておるわけであります。ただいま文部省と大蔵省との間に、いろいろ事務的な予算の相談もいたしておりますが、私はこの観測というものは、なまやさしいものではないと考えております。従いまして、その予算の折衝の経過はどういうことに相なりますか、私としては、安心のいかない予算については、これはどこまでも安心のいくところまでがんばっていくつもりでございますので、さよう御承知を願います。
  47. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは参考人及び政府委員説明員に対する質疑は、この程度で終ります。   —————————————
  48. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) これから請願審査を行います。便宜、学校教育法第二十八条改正に関する請願、第二十二号ほか十五件を一括して議題といたします。  速記をやめて下さい。    午後零時三十三分速記中止    ————・————    午後一時速記開始
  49. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは、速記を始めて下さい。  ただいまの審査に基き、請願第二十二号、第二十三号、第八十五号、第八十六号、第百三十九号、第百五十五号から百六十二号までの八件、以上十三件の請願はいずれも議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  51. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記をつけて下さい。
  52. 中野文門

    中野文門君 今期国会において当委員会の運営につきまして、一、二ごく簡単に、委員長の御所見を承わっておきたいと思います。それは、将来の委員会運営等のことが危惧されますのでお尋ねをする次第でございます。  まず、委員長にお尋ねをいたしたい第一点は、参議院規則の第百五条に、「委員長は、報告に当って、自己の意見を加えることができない。」と相なっておりますが、この第百五条を委員長はどういうふうに御理解なされておりますか、お尋ねをいたしたいのであります。  次は、ただいまのは参議院規則でございましたが、国会法第四十九条に、「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き」、これは開会も再開を含まれることでございますが、「議事を開き議決することができない。」となっておりますが、委員長はこの国会法第四十九条をどういうふうに御理解なされておりますか、簡単でよろしゅうございますから、お尋ねをいたしておきたいと思います。
  53. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 委員長から御返事いたします。  参議院規則の百五条、委員長は主観をまじえずして報告をいたしております。  それから国会法四十九条、半数以上ということの解釈は、あの場合ですね、半数以上と認めて開会をいたした。それから一つは、こういう慣例があるものと認めて開会を宣言——開会は宣言しておりません、あの場合には。開会を宣言する段取りをいたしたのであります。それだけ。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  54. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは速記を起して。
  55. 中野文門

    中野文門君 委員長、そういう点でございますが、参議院規則第百五条によります委員長報告に当って、「自己の意見を加えることができない。」ということに相なっております。先般来の委員長報告に、委員長御自身は私見を少しも交えてないというふうにただいま申されたのでございますが、先般の本会議場における委員長としての中間報告の内容をつぶさに検討いたして参りますと、いろいろな場所に、私の見解をもってすれば私見を強調された点が明らかであるようでございます。たとえば、その報告の一部に、委員長は、とはなっておりませんが、私は、この法案審議に対する政府与党の態度と、今日までの審議態度と思い合せて、政府与党は、最初から参議院文教委員会では、この法案を審議する意思がなかったのではないかというように考えざるを得ないのであります。(拍手)と、これはその他は時間がありませんので省略いたしますが、この一点を指摘いたしましても、私はこの参議院規則第百五条に言われておるところの、自己の意思を加えることができないのに、明らかにこの委員長報告の主文の中で、この私見を強く述べておると、私はかように判断をいたしているのでございます。これについてどのようにお考えでございましょうか。  それから、国会法第四十九条の場合の「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」こうなっておることは、ただいま御答弁をいただきますと、委員長みずからも十分に御承知のようでございます。しかしながら先般、本月二日のあの委員会状況の中には、半数以上の出席がないのに委員会を再開して質問者を指名したというような作業が行われておることは、委員長みずからも御承知であろうと思うのでございます。その点につきまして、これまた簡単でよろしゅうございますが、委員長の御見解を承わっておきたいと思います。かく私がまさに議会閉会せんとするこの段階において静かにお尋ねをいたしますのは、将来の文教委員会会議というものがあくまでも国会法さらにまた参議院規則等に照合して、それにのっとって運営をされなければならないと思うからでございます。さらにまた委員長は、他の国会法その他を拝見いたしましても、たとえば委員長意見があって、意見を開陳する場合は委員長席からおりる、そのおりた場合、意見を開陳するんでございますが、その場合はその意見が適当に処理されるまでは委員長が席に復しないというような規定もあるのでございまして、そういう点から判断いたしましても、あくまでも委員長は私見を交えずして、これは言葉は妥当かどうかわかりませんが、いわゆるこの法律条章に従いまして機械的に委員会を運営するという面があるわけでございます。特にただいま申し上げましたように、委員長報告というようなごとき場合に、私見を交えるなということは、あくまでも委員長委員会全体のその模様、その取扱いの報告であって、委員長がかく判断するというような報告があってはならぬと、私はこれは議会の平和の上から考えましても、静かな運営の点からいたしましてもそうなければならぬと思うのでございますが、さらにまた委員長はその後、例の本会議におきまして御報告後、議員の質問に答弁をされたのでございますが、なかなか激越な内容が相当あったようでございます。しかし、私が今お尋ねせんとするのは、まず劈頭なされた中間報告の内容を今、内容としてお尋ねしておるのでございますが、さらに申し上げまするならば、議員の質問に対して答弁をされた場合も、竹中一個の私見で答弁されるべき筋合いのものではなくて、あくまで私は委員長の御答弁としての発言でなければならぬと思うのでございますが、その点は今ここで省略いたします。  そこで、ただいま申し上げましたこの二点につきましてごく簡単に御所見だけをこの機会に承わっておきたいと思います。
  56. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 私見の点は、私は私見を交えていないということを御答弁するよりほかにないのですが、たとえば政府与党の方で十分これを審議する意思がなかったのではないかという報告をいたしましたのは、提案理由説明に審議をしろとも、衆議院とは違った提案理由説明が出されたので、それに基くと、その客観的な提案理由説明書に基いてこれは審議というものを要請していない、こういうことをはっきりしたわけであります。  それから、この四十九条による半数以上というのは、そのときの情勢の判断で、大体これは慣例上こういう場合はあり得ると判断してやりましたので、それが国会法に触れておることであれば、こういうことは他にもあったと思いますけれども、触れておったとは私は考えないのですが……。
  57. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと今の点……。  まあ、第一の点は、私が申しあげる限りではありませんけれども、第二の点は、前委員長として慣例を申し上げるならば、各会派そろっておる場合には、了承を得て定足数に達していなくてもやった前例ございます。ただ、どれかの会派からそれはけしからぬという御意見が出れば、それはもちろん工合が悪いわけです。本日のこの会議にしても、今、緑風会御出席ありませんから、本来ならば緑風会の御了解を得てでなければ、たとえ定足数に達しておっても、まあ委員長としては了解を得た上で開くというのが前例だと思うのです。先般の場合は、たしか常岡理事も見えておったし、野本理事も三浦理事もお見えになって、委員の御出席はなかったけれども、(「僕はしていない」と呼ぶ者あり)ああそうですか。まあ、とにかく両理事が出ておったので、前例によってやった場合であったかもしれませんけれども、まあその前例はそうです。これは前例だけ……。
  58. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  59. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記起して。  それでは、本日の委員会は、これで散会いたします。    午後一時二十一分散会