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1958-09-10 第29回国会 参議院 文教委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月十日(水曜日)    午前十一時三十七分開会   —————————————   委員異動 八月十一日委員坂本昭辞任につき、 その補欠として吉田法晴君を議長にお いて指名した。 九月九日委員佐野廣君、西田隆男君及 び大谷贇雄君辞任につき、その補欠と して大沢雄一君、紅露みつ君及び谷口 弥三郎君を議長において指名した。 本日委員近藤鶴代辞任につき、その 補欠として寺本広作君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 勝男君    理事            後藤 義隆君            中野 文門君            松永 忠二君            常岡 一郎君    委員            大沢 雄一君            川村 松助君            木島 虎藏君            紅露 みつ君            下條 康麿君            谷口弥三郎君            寺本 広作君            吉江 勝保君            岡  三郎君            高田なほ子君            湯山  勇君            吉田 法晴君   国務大臣    法 務 大 臣 愛知 揆一君    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    警察庁長官   柏村 信雄君    法務省刑事局長 竹内 寿平君    文部大臣官房総    務参事官    斎藤  正君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文化財保護委員    会委員長    河井 弥八君    文化財保護委員    会事務局長   岡田 孝平君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選派遣委員報告教育、文化及び学術に関する調査の  件  (教職員の勤務評定に関する件)   —————————————
  2. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それではこれから文教委員会を開会いたします。  前回以後の委員異動について報告いたします。  八月十一日坂本昭君が、また九月九日佐野廣君、西田降男君、大谷贇雄君、また本日、近藤鶴代君がそれぞれ辞任され、補欠として吉田法晴君、大澤雄二君、紅露みつ君、谷口三郎君及び寺本広作君が選任されました。   —————————————
  3. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) この際理事補欠互選を行います。現在欠員が一名ございます。互選は慣例により、委員長の指名によりたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 御異議ないと認めます。  それでは理事後藤義隆君を指名いたします。   —————————————
  5. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 先刻開会いたしました委員長及び理事打合会経過について報告いたします。  本日の議題といたしましては、まず派遣委員報告を取り上げ、次に、勤務評定に関する諸問題について質疑を行うことといたしました。以上の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは派遣委員報告を行います。  第一班の中野委員の御報告を願います。
  7. 中野文門

    中野文門君 ただいまより第一班の調査報告をいたしたいと存じます。  私どもは、竹中委員長吉江委員、私とそれに調査室より工楽調査室長瀧調査員が参加いたしまして、九月一日より四日まで愛知県、京都府を回りました。そして三つ国立大学、六カ所の文化財保証状況を初めとして、定時制高校博物館図書館等実情調査し、あわせて関係の府知事、市長、大学学長教育委員会代表の方々と種々懇談をして参りました。以下重点的にその結果を御報告申し上げます。  最初に、大学関係から申し上げますが、まず名古屋大学につきましては、、第一に取り上げねばならない点は、施設整備の問題であります。御承知のように本大学は、旧帝大の後身であり、大学院を擁するいわゆる一流の大学でありますが、施設は非常に劣っているということであります。これは第一には、戦争のため、施設整備事業が挫折したこと、第二には、戦災を手ひどくこうむったこと、第三には、第八高等学校名古屋経済専門学校というような旧高専諸学校を合併吸収したこと等によるものと言えましようが、ともかく施設市内各所に散在し、著しい老朽建物を利用しているものが多いのであります。  大学当局はこの実情を打開するため、広大な敷地を持つ東山丘陵地帯に工学、理学、経済学、法学、教育学、文学の六学部を集中せしめる計画のもとに努力をしてきておりますが、本年度より特に施設整備五カ年計画を立てており、一方では現在市内にある校舎、校地名古屋市と交換するとか、後援会寄付を仰いで大講堂等建設するとか、いろいろと仕事を進めながら、他方本年度予算として文部省に対し二千八百四十九坪分、約三億円の建設費要求いたしましたものの、結局は八百八十坪分、一億三千万円に削られたことに対して非常に失望しております。これでは五カ年計画の完了が何年先に延びるかわからないと言っているのであります。このような事情は単に名古屋大学のみにとどまりません。全国七十一の大学がそれぞれ痛切に施設不足を感じているわけで、これは文部省国立文教施設費増額に期待されねばならないところであります。  国立文教施設費は本年度約三十一億円で、前年度に比べ若干増されましたが、全体計画遂行のための予算六百億円から見れば、まだまだ少額であり、飛躍的増額がはかられることが先決であり、政府善処を強く要望したいのであります。  次に、大学院の問題でありますが、これは名古屋大学大学院のみでなく各総合大学大学院は、みな学生定員に対して現員は著しく少いことがわかりました。この事情はいかなる理由に基くのかといいますと、第一には、学生生活が経済的に困難であるということ、第二には、大学院を苦労して出ても、これに対応する待遇社会から与えられないことによるものだということであります。これはせっかくの大学院制度が生かされていないということのみでなく、日本学術研究水準維持向上の点から見ても、きわめて遺憾であります。従って大学当局側も指摘されましたが、大学院学生に対する育英資金のあり方、また、大学院修了生に対する待遇改善の策としての公務員の給与法における研究職俸給表是正等の検討が、政府において緊急に取り上げられる必要があると思うのであります。  また、医学部の問題としては、特に名古屋大学国立移管当時からの歴史的経過もあるようでありますが、非常に定員不足している。従って以前には患者を見るために無給の副手が、また、新制度になっては研究生が多数協力してきたものの、旧博士制度昭和三十五年をもって打ち切りになれば、博士号を取るために在学するこういった研究生がいなくなり、病院の運営に大きな支障を来たすので、この点ぜひとも考慮してほしいと訴えられました。  以上、ごく問題の点のみを申し上げましたが、私どもはさらに一般的な問題として、教官研究費研究旅費増額待遇改善等陳情も承わったり、りっぱな先生方研究状況も拝見してきました。  最後に一点、名古屋大学はさきにも申しましたが、戦災校であって、施設が非常に少い、従って学長初め教授方地元の財界や会社等を回られて、建設資金を頼んで歩かれたり、設備の機械を非常に安く提供してもらったりして、一生懸命大学建設に努力しておられますが、先生方にこういう御苦労をあまりかけないよう、文部省がもっともっと予算の裏づけをするよう努力してほしいと痛切に感じたわけであります。  次に、愛知学芸大学名古屋分校について御報告いたします。本学の問題については、かねがね請願、陳情等委員会に寄せられており、皆さん御承知のことと存じますが、簡単に申し上げますと、教員養成のために、特に愛知県には名古屋大学とは別に、愛知学芸大学が戦後の学制改革の折設置され、これが岡崎に置かれたのであります。しかしながら、愛知県は地域も広く、しかも従来から名古屋には第一師範岡崎には第二師範があった関係もあり、名古屋分校が置かれ、前期二年課程が置かれたのであります。ところで、教員の需要は、名古屋中心とする尾張部が当然多いわけでありますが、尾張部出身学生は、名古屋で二年を終了して、さらに岡崎へ二年行くことは、経済的にも通学の便からも困難であり、結局二年終了のままで就職してしまうものが多いのであります。しかし、今日では教員の質の向上が強く叫ばれ、四年制卒業生がほしいとの社会的要求はこれまた当然であり、その解決策として、名古屋分校後期課程設置の声が地元に高まっておるのであります。  私どもは、名古屋市役所においても、大学分校においても多くの県会や市会の議員諸氏から熱心な陳情を受けました。地元では、名古屋分校整備後援会を設置して、旧三菱発動機本社建物であった鉄筋三階建のりっぱな建物を買収し、さらに約二億円の金をかけて、運動場、プール、テニスコート野球場等建設しております。これらはみな地元寄付によって進行中でありますが、四年制誘致の話が思うように進まないため、現在六千万円の赤字を背負っているという焦慮の声もありました。私どもの率直な結論としては、国の教員養成制度に関する方針大学教授会の意向をも十分尊重はしなければならないわけですが、この地元の熱烈な希望と、現に動きつつある態勢も省みないわけには参らないと思います。従ってこれらの諸点について慎重考慮の上、文部省は早急に解決策を打ち出してもらいたいと思うのであります。ともかく私ども実地に見たところでは、名古屋分校施設も大へんりっぱであるという点は、この際つけ加えておきたいと思います。  次に、京都大学についてでありますが、本学の最も大きな懸案事項は、教養課程施設統合という問題であります。御承知のように教養課程は、当初は、宇治の旧陸軍火薬廠跡建設計画したのでありますが、建設途上にして、約半分の敷地を旧警察予備隊に取られたため、現在は一年生のみを宇治教育し、二年は旧三高跡施設教育しております。宇治までは京都大学から自動車で約三十分を要します。学生最初の一年を宇治で、あとの三年を京都で過ごすこととなり、従って下宿はほとんど京都に置き、宇治まで通学いたしております。先生も同様であります。これがため教官学生の労苦は大へんなものであり、また、経営上の諸種のむだも多いわけであります。大学当局は、旧三高跡に千八百坪の施設を増設することによって、教養課程を一カ所にまとめ、宇治の方にはもっぱら研究所を集中していく計画を立てております。私どももその方法を最もよいように思いますので、これは文部省当局十分話を聞いておられると思いますが、早くこれが実現できるように努力してほしいと考えます。  以上で、大学の問題を一応終り、次に、文化財保護状況に移りたいと思います。  私どもは、愛知県では、犬山城名古屋城二の丸庭園を見ました。犬山城は、四百二十年前に造られた日本でも最も古い型の貴重な城の由でありますが、何分相当痛んでおります。修理が早急になされる必要があると思います。また、二の丸庭園も、同様現在は非常に荒廃しております。これも、もう少し国が目をかける必要があります。この庭園は、旧歩兵第六連隊の将校集会所の裏にあり、現在は名古屋大学管理下にありますが、名古屋市は、名古屋城再建と同時に、これも管理し、広く市民に開放させてほしいという希望を持っております。現在はまだこの一帯は大学本部、法文学部建物倉庫等があり、無理かもしれませんが、大学当局は、前にも申しました通り東山地区統合する計画を持っておりますから、ここ数年後には市の希望通りになるよう私ども要望するものであります。  京都府では、黄檗山宝蔵院平等院醍醐寺を見ました。宝蔵院は、今から約三百年前鉄眼禅師が十八年を費して作りました世界にただ一つという一切経原版である版木六万余枚を納めた寺でありますが、現在の版庫は、本堂とは離れた山の上にあって、相当老朽しており、床などもその重さのために著しく落ち込んでおります。管理人もおりません。従って、火災盗難等に対しては、全く施すすべがない状態であります。保存会では、できるだけ早い機会に重要文化財として指定されたこのかけがえのない宝物の収蔵庫を、国の補助によって建設してほしいと、予定地をもきめて待っておりますので、文化財保護委員会では十分考えていただきたいと思います。次に、平等院は、先年来文化財保護委員会京都教育委員会文化財保護課の手によって、りっぱに解体修理ができたところを見て参りました。また、醍醐寺では、現在解体修理中の五重塔や、その塔内の壁画の模写を多くの画家によってなされている状況、あるいは、国宝建物美術品特別名勝史跡になっている庭園等を拝見して参りました。  これらの文化財を見て私どもは大いに感激しましたが、ひるがえって思いますことは、わが国民は、長い歴史の間に実に優秀な文化財を数多く創造したこと、そして、これをほんとうに受け継いできたことであります。従って、これらをさらに後代に伝えることは、わが民族はもとより、世界人類のためになすべきわれわれの義務だと思うのであります。このためには、文化財保護委員会がますます。力を発揮されるとともに、実際にそれらを所有している人々、また、管理している人々責任をこの際より一そう喚起したいと思います。このような管理責任について万遺漏はないかどうか、もう一度文化財保護委員会当局にも考えていただきたいのであります。と申しますことも、私ども京都国立博物館内を視察しましたが、館内を見て回りますのに、二カ所もかぎのあかない所がありました。京都中の名品を委託され、収蔵までしておる委員会おひざ元の博物館において、あのようなことがあったことは、火災等万一の場合を想定したときに、実に寒けのする思いをしたのであります。確かに施設は古い、事務所は仮建築定員不足のようであります。それにしても、構内は雑草がおい茂り、参観者もまれであるという、いかにもさびれた、悪く言えば沈滞した投げやりにさえ見える空気は、博物館当局がりっぱな施設要望しておられるだけに、十分反省していただきたいことであります。また、さらに言えば、私どもがわずか一時間を限って博物館を公式に調査のため訪問したのにもかかわらず、館長はいかなる用事があったのか詳しくは存じませんが、約十五分にして席を立たれたことも、まことに意外千万でありました。  多少手きびしい批判になったかと思いますが、もう一点、博物館では、国宝である美術工芸品修理状況視察しました。まことに手狭まな、しかも元倉庫であった建物の中で、広島県厳島神社平家納経などが修理されておりましたが、これは文化財保存管理の上から重大な問題であり、館側から要望されました事務所本館新築よりも、まず、ここの修理場整備こそ必要であると痛感した次第であります。  次に、比叡山観光道路について御報告いたします。この観光道路とは、京阪電鉄の手によって、比叡山の頂上まで全長八八キロ余にわたる自動車道路建設され、この四月から開通しておりますが、その間五キロは史跡天然記念物指定地域であるにもかかわらず、あまりに工事が雑で、地はだが赤く露出したり、砂ぼこりが多くて、神聖で美しい霊域が損われるという批判の出た問題であります。私どもは、実地にこれを見ましたが、確かにそういう点は観察されました。しかし、すでに道路は一応完成し、今や京都一つの名物となってきた観があり、利用客も非常に多いようであります。従って、現在工事進行中の舗装を十分に行うことや、道路ばたの土を削り取った部分や、土を落した赤土の露出部分には草木を積極的に植えてもらうこと、小鳥の巣箱を作ってもらうこと、というような、手をつけられつつある方法で十分徹底的に欠陥を補ってもらうことが望ましいと考えた次第であります。  次に府立図書館を見ましたが、これは、利用者が多いのに比して、施設は手狭まで、かつ、老朽しているので、ぜひとも起債等によって新築をはかりたいという要望でありますが、これはもっともなことであり、知事等ともこの点よく話し合いをいたしました。  また、名古屋では、定時制高校を見ましたが、一番強調されたのは給食のことでありました。生牛乳の四円補助打ち切りになって困っていること、生牛乳協同組合等から直接購入してもよいが、低温殺菌でなければいけないという県衛生課方針に困っている。高温殺菌でもよいという厚生省通達通りに何とかできないものかという話もありました。  以上、雑駁になりましたが、これをもって報告にかえたいと存じます。  なお、最後になって申しわけありませんが、京都調査には、後藤委員高田委員が特に参加され、御協力をいただきましたことを申し添えましてここに報告を終る次第であります。
  8. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ありがとうございました。それじゃ、第二班高田委員から御報告を願います。
  9. 高田なほ子

    高田なほ子君 第二班の御報告をいたします。  第二班は、八月三十一日から九月三日までの四日間、後藤委員及び私、調査室から前田調査員菊池調査主事、それに法制局安達参事文部省から松平事務員が随行して、兵庫県及び大阪府に出張いたしました。  調査事項は、すでに御承知通り文化財保護状況国立大学実情等が掲げられましたが、私どもは、この調査のため、神戸及び大阪において各教育委員会についてそれぞれ実情を聴取いたしました。また、姫路においては白鷺城の解体工事状況書写山円教寺視察し、大阪においては大阪大学大学附属病院並びに新設蛋白研究所定時制高校の都島第二工業高等学校視察いたしました。御承知通り大阪大学における各学部施設の所在地は、いずれも分散している上に、新設蛋白研究所や、老朽化し、かつ、不備な大学附属病院視察や、学長部局長とのきわめて活発な懇談会予定以上の時間を費し、さらに、日程になかった神戸商船大学の新施設視察と、大阪大学管理に当っている文化財建造物である緒方洪庵塾視察したため、当初予定していた依羅小学校視察は、自動車往復二時間にわたる関係から割愛することを余儀なくされましたことは、はなはだ残念と存ずるのであります。  以下各項目につきまして、順序を追って申し上げます。  まず、第一の文化財でありますが、姫路においては、わが国の城郭の代表であり、現存する唯一の名城である姫路城の天守閣の解体修理現場視察いたしました。同工事昭和三十一年度に始まり、同三十八年に全部完成されることになっておりますが、目下木造り、加工、基礎工事の作業中であります。工事事務当局者から特に要望されたことは、予算不足につき、その不足分市当局からの協力を仰いでいる現状でありますから、この点を留意されまして、しかるべく善処方取り計らっていただきたいということでございました。  次に、姫路市の西北近郊にある法燈一千年仏教修業の道場として性空上人によって開かれた書写山円教寺視察いたました。この円教寺は、室町末期の大伽藍をそのままに残した三つの堂、すなわち大講堂食堂常行堂中心として、重要文化財に指定されている建造物が八棟もあり、西の比叡山ともいわれているほど名高いのみならず、文化的にも日本で有数のりっぱな寺院であります。本年三月、登山用のロープ・ウエーが完成したため、好適な観光地として、にわかに大きく浮び出たのであります。三つの堂のうち、大講堂昭和二十五年から同三十一年一月までに国費によつて解体修理されましたが、食堂及び常行堂もまた早急に解体修理しなければならないほどの荒廃ぶりを示しているので、説明を聞くまでもなく、文化財保護委員会善処方を痛感いたしました。  なお、書写山にもドライブ・ウエー建設の問題も起っていることを聞きましたから、県教育委員会係官には、正倉院比叡山における例にもかんがみまして、この建設に関する正式通知を受けられた際は、仁王門から内は史跡地として指定されているのでありますから、仁王門内は現状のままの霊地にしておくことがふさわしいのではないかと思われます。従って、ドライブ・ウエーもその地域以外に建設されるよう要望していただきたい旨を申し述べておきました。  さらに、県教育委員会から、文化財保護行政担当者として、文化財主事を置くことの法的措置を講じ、その資格身分について、一つの基準と保障を与えていただきたいという強い要望がありました。御承知通り文化財保護法は百三十条から成る詳細かつ大部な法律であり、幾多の専門的知識技能を必要とする内容を具有しておりますが、これを取り扱う都道府県においては、担当者の数や資格身分においてはなはだしい差異があり、また、都道府県教育委員会財政事情によりましても種々の差異を生んでおります。これでは文化財保護法規定する文化財保存行政の実効をあげることがむずかしく、先年来、文化財保護委員会開催都道府県文化財行政担当者会議においても、これが設置方を要請し、そのためには法律改正まで要望したのでありますが、現在なおそのままにて、具体的な改正の動きも見られませんので、参議院文教委員会においてもこの問題を検討していただき、何とかこの問題を推進していただきたいというのでありました。兵庫県教育委員会社会教育課において取り扱っている博物館図書館社会教育等事務についてみても、それぞれ博物館法図書館法社会教育法などには、それぞれ担当者についての身分資格規定があり、待遇保障等のことが書かれています。すなわち、博物館での学芸員図書館での司書、社会教育での社会教育主事がそれであり、学校指導では指導主事も置かれています。文化財保護のような専門的な知識技能を必要とする行政担当者について、何らの法律規定がないということは、はなはだ不可解な事柄でありますから、早急にこの問題を解決してほしいというのでありました。  次に大阪大学に移ります。大阪大学は、御承知通り、その施設は大体六カ所に分散しており、現在南北両分校統合工学部蛋白研究所並びに付属病院新築等の問題がありますので、私ども北校付属病院及び工学部視察いたしました。南北両分校統合問題に関しては、事務当局者から近く解決途上にあるということを聞きました。  また、付属病院視察して、まず何よりも毀損のはなはだしい老朽病院であるのには驚きました。説明によりますと、同病院わが国において鉄筋コンクリート耐火造建築の施工された初期のもので、かつ、大阪市としては初めての建築でありますので、技術面等において幼稚、不完全な点があり、その上堂島川畔沖積層から形成され、自然地盤も逐年沈下してゆき、その影響を受けて破損がきわめて大きく、天井、壁面は随所に脱落、梁型継手毀損も多く、病室はもちろん、手術、診療上においても多大の危険と支障を伴い、昭和二十六年度一部の補修が認められて以来、毎年補修を継続的に受けて鋭意その保存に努めているのでありますが、補修面積に比して損傷を来たす部分がさらに増大する傾向にあるような始末で、このまま数年をこすことは、結果において、貴重な国費の消費に対して効果少く、十分に活用し得ないように見られたことでございます。特に火災地震等の際に、患者緊急避難措置等、考えただけでもはだえにアワを生ずるという説明もあり、また、われわれもそのことを強く痛感した次第であります。  そこで、現実設備の改造が目下の急務となって参りますが、前述の通りこの建物老朽かつ不備なものとして、とうてい現時医療設備または教育研究要求に合致し得ないものと認められ、かりにこれを改造して要求に沿い施工するも、莫大な経費を要し、新築とあまり大差なく、改造は無理なる設備となることは免れ得ないものと考えられますので、特に毀損のはなはだしい部分老朽にして将来の使用に困難なるものと思われるものは取りこわし、国家百年の大計に備えるとともに、科学医療の完璧を目ざして、数カ年計画のもとに改築しようとしている設計の説明がなされました。  次に、本年四月国立学校設置法の改正により共同研究施設として創設されました蛋白研究所視察いたしました。本研究所は、初代所長赤堀博士指導のもとに、蛋白質を基礎として種々の生命現象発現の物理化学的機作を明らかにし、ひいては国民の保健栄養に関する耀礎的諸問題を解決せんとするものでありますが、研究組織は、創設早々で未完成であり、現施設は蛋白質有機化学、蛋白質溶液学及び蛋白質代謝の三部門にすぎませんが、三十四年度におきましては蛋白質化学機造、蛋白質物理構造、酵素反応学及び蛋白質生合成の四部門の増設と、設備の充実が強く要望されていると聞きました。わが国唯一の、しかも世界にも例を見ないこの種研究機関が、きわめて貧弱な延べ坪数二百六十坪の小さなビルの中に誕生されたのでありますから、私どもは研究者に対してまことにお気の毒な感じさえ抱いたのであります。しかし、三十四年度以降二カ年計画をもちまして、中之島地区に本格的な研究所建設される計画のあることを聞きまして、一日も早くこれが実現されることを切望したのであります。  次に、定時制高等学校の問題について申し上げます。大阪兵庫両府県教育委員会から、定時制高等学校教員の給与費を、設置者である市負担とされたい旨の陳情がありました。すなわち、市町村立学校職員給与負担法によって、市立定時制高等学校教員給与は県費支弁でありますが、授業料は各市に収入されております。この不合理の是正と、市立の全日制高等学校教員との均衡を考慮して給与費を設置者負担とするよう法の改正をお願いしたいというのであります。もし、全面的な法の改正が困難な場合は、せめて五大市のみについて法の改正をお願いしたい意向でありましたが、結局今日の定時制高等学校教員待遇改善のためには、四割国庫負担の問題も強く希望されたわけであります。また、定時制高等学校分校に対する建築補助金を、市町村が建築した場合にも交付できるよう特別措置を考慮していただきたいというのであります。兵庫県の定時制分校施設は、設置当初からすべて市町村有施設を県が借用することにしているため、分校建築に際し、国庫補助金を受け入れることができない実情にあります。もちろん、設置者である県において建築すれば、国庫補助金は交付されますが、兵庫県には分校が六十数校もあり、それぞれ整備を要する段階にありますので、市町村が建築する場合といえども、国庫補助金が交付されるよう特別措置をお願いいたしたいというのであります。同時に、定時制高等学校のうち、特に分校については設置当時市町村当局との了解事項として、運営費、設備費の相当額を市町村負担として今日に及んでおりますが、地方財政再建促進特別措置法制定以来、分校運営補助に大幅の制限を受け、定時制教育振興上ゆゆしい問題を投げかけております。幸い定時制教育振興法により、設備補助金を交付されておりますが、兵庫県においては、ようやく文部省基準の二四%にすぎませんから、大幅の増額をお願いしたいというのであります。  また、大阪教育委員会からは、義務教育に要する経費、特に教職員給与費の実支出の二分の一を国が負担することを建前としているのでありますが、大阪に対しては、政令第百六号を設けているので、本年度約八億五千円の減額に達しているから、これを撤廃していただきたいという強い要望がありました。  最後に、大阪大学部局長との懇談会について申し上げます。この懇談会は、前にも申し上げたように、断片的でありますが、大学行政全般に対する諸問題が実に活発に述べられましたので、その二、三をお伝えすることにいたします。  まず、大学教員待遇が画期的に改善されなければならないという話が出ました。それには、何よりも大学教員の給与について両検討していただきたいというのであります。最近大学教授をやめて民間会社、たしか住友化学だと思いましたが、に入った例があります。その人の給料は一躍十倍に上ったともいわれております。こんな状態では、将来有為の人材が民間に走るようになり、この傾向が顕著になることによって、大学としての本来の使命である有為な人材を育成して、これを社会に送ること、大学の将来の教育研究をになう貢献者を養成する責務という線に、大きな亀裂を生ずることになる。優秀なる教授陣と優秀な卒業生を研究生として大学に残すためには、教員待遇改善こそ第一条件だというのであります。  次に、管理職手当に関する問題も出ました。現在では小中学校の校長が管理職手当が支給されているにかかわらず、大学においては部局長のみが管理職手当を受けている。大阪の場合、南、北分校の主事が除外されているというのであります。広く管理職手当を支給することによって待遇改善の一環とすることなど、大いに考慮していただきたいというのであります。  また、施設設備の拡充整備の問題についてでありますが、これもお話しにならないほど貧弱なものだということであります。その一例として、戦前は民間会社が大学の研究室にたよったものでありますが、最近は逆に大学が民間会社にたよるというありさまで、これが諸外国の驚異的な科学技術の発達に比較しますと、まことに寒心にたえないものがあるということであります。さらに、研究費の極端な窮乏も看過できないから、この際早急に大幅な増額を実現してほしいという要望も強く出されました。また、人文、社会科学の非実験講座についても、もっと重視されていいのではないかと思うという話も出ました。旅費が不足しているために、出たい学会は毎月一つぐらいあるにかかわらず、ほとんど出ることができない。出ても旅費の不足のため、大学宿舎にもぐり込む状態であるから、その場合、せめて汽車賃ぐらいだけでも免除という方法はないものかという痛切な話も出たわけであります。そのほかいろいろな諸問題が聴取されましたが、これは省略させていただきます。  以上をもちまして大体第二班の報告を終りたいと存じます。  なお、補足といたしまして神戸商船大学は、日程外の短時間の視察ではありましたが、本校創設については、本院が満場一致の決定をみたものである関係上、後藤委員ともども大学に立ち寄ったわけであります。建設途上における大羽学長を初め、学内一致の協力によって、逐次その完成を見ておるのでありますが、今回、学生寮白鴎寮がその名にふさわしくまことに美しく雄大に完成され、卒業生は引く手あまたであるにかかわらず、まだまだ定員不足ではないか、日本の海外貿易振興の線に沿っても、本大学のもっと学生定員が増さるべきではないかなどの感じを持ったわけでありますが、以上申し述べまして、補足にかえさしていただきたいと思います。
  10. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ただいまの報告に関し質疑のある方は、順次御発言願います。本件に関し、現在河井文化財保護委員会委員長、同じく岡田文化財保護委員会事務局長、春山文部省大学学術大学課長、小林管理局工営課長が出席せられております。
  11. 吉江勝保

    吉江勝保君 私、第一班というのでありますかに参加をいたしまして、大学あるいは文化財関係施設調査いたしたのでありますが、ただいま私ども一行三名の意見をまとめまして中野委員から報告されたのでありましてそのことに関しまして一、二御質問を申してみたいと思います。ちょうど委員長御出席になっておりますが、文化財関係のことにつきましてお尋ねをいたしてみたいのでありますが、今回見ましたところの二、三の文化財施設につきまして全般に及ぼしますることはどうかと思うのでありますが、たまたま視察いたしました数カ所の文化財の保護につきまして感じたのでありまして、これがあるいは日本全体の文化財の保護ともし同様であるとしたならば、非常に心配をいたします意味におきましてお尋ねをいたしたいのでありますが、あるいは大きいところは数億の金を投じ、あるいは数千万の国費を入れまして修理保存をいたしておるのでありまして、地元要望も強ければ、皆が非常に熱願をいたしておりまするので、文化財がかように修理保存されますることにつきましては、まことに適切なことと拝見いたしたのでありますが、ただ私は、こういうような文化財が数億の金を投じながら、あるいは思いもよりませんことで、次々に喪失されておりますることなんでありまして、古くは奈良の法隆寺の焼失というようなこともございまするが、今回見ましたものの中にも、あえて文化財と蓄えないかも存じませんが、今、報告の中にありました国立の博物館というものの管理におきましても収蔵庫のかぎが見当らない、たまたまそういうことがあったのかと思いまするが、その保存管理という点におきまして、文化財の保護につきましても、ややそれに近いような印象を受ける場所もあったのでありまして、文化財保護委員会におきましては、所管の文化財保存とか管理とか、こういうことにつきましては、平素どういうようになさっておりまするのか、その権限というようなものにまで触れまして、一応お伺いをいたしてみたいと思います。
  12. 河井彌八

    説明員(河井弥八君) まずもって先日委員長みずから数日間京都方面の文化財を御視察になりましたので、ただいま中野委員からの御報告も承わりまして、非常に何と申しますか、激励せらるるところが多いと同時に、また管理上の手落ちと申しますか、はなはだ遺憾な点のあったということも、何とも申しわけないという感じを強く抱いておる次第でございます。  ただいま吉江委員からお話しのありました点でありますが、文化財の保護事業といたしましては、何としましても、これは保存修理ということが大切でありまして、その方面に文化財保護委員会のほとんどが全力を尽しております。各種の文化財につきましてそれぞれ委員会を開きまして、適切な手段を講じておりまして、まあ修理のことにつきましては、これは特殊の技術が要りまするし、それからその対象となるものが、日本文化財と申しますものは、非常にこわれやすいものであります。絵画にしましても彫刻にしましても、あるいは建造物等にいたしましても、また、その他のいろいろな美術品等がございますが、みんなこわれやすいものでありまするので、長くこれをそのままに置くということは、どうしてもむずかしいのであります。従いまして、予算の大部分を、この修理保存ということに使っておるわけなんでございまして、そうして委員会の方の仕事の大部分は、この方面に集中をいたしておるといって差しつかえないというような事柄なんであります。それからもう一つは、同時にまたそれが非常に日本文化財の特質といたしまして、災害にかかりやすいというような点からも、たとえば各地に、重要な文化財の集まっておりまするところには、収蔵庫を設けるとか、あるいはその防災の設備をするとか、いうようなことをいたしましてこれまた予算文化財保存修理に次ぐところの巨額の金を使って、そうしてそれの仕事を進めておる。概況から申しますと、そういうことでやっておるわけなんであります。  ただいま御指摘のありました京都博物館のことでありますが、これはどうも、ほんとうに申しわけないことであります。私どもといたしましては、とにかくかような文化財を、博物舘のごとき重要な文化財を預りまして、自身が持っておる部分はそうたくさんありません。それよりも、あの地方における文化財を預かってそうしてこれを保護する、しこうして、そういうことと同時に、それの利用を、利用と申しまするか、研究あるいは観覧ということを便にするために、博物館というものが置かれてあるのでございまして、これは御承知通り制度なんであります。ところが、先日ごらんいただきましたときには、ちょうどかぎがちょうどその部屋の陳列がえをしておったときで、御案内を申し上げまする部屋のかぎがかかっておった。ところが、そのかぎが非常に古くってどうもあかぬのであります。(笑声)実際私もそれを聞いてびっくりしたのでありますが、古くってうまくあかない、こういうことであったそうなんであります。それが再三そういうことを繰り返しまして、これはどうも、また取扱者もそうなりますと、何といいますか、だんだん上ってしまいまして。ますますあかなくなったというようなことのようであります。  これは何といっても、どうも申しわけないことであります。ちょうどおいでになったときだけそうであったとは考えられません。従いましてそのかぎの修理といいますか、新しく作りかえるというようなことは、館長側もすでにとうに命じてあったのであったけれども、まだそれが、催促もしなかったのでそのままになっておったというような、だらしない話しでありますが、ありのままに申しますというと、そんなふうなことであったと聞いております。これはしかし、そんなことをここで申しましても、どうも説明にも何にもなりません。なりませんが、私どもといたしましては、委員会といたしましては、そんなことはもちろんないはず、相当に始終館長も参っておりまするし、またこちらの委員会事務局の職員も参りまして、常にいろいろなことについてはずいぶんこまかい相談等もいたしておりまするから、かようなことは万ないということを考えておったのでありますが、不幸にしてそういうことがありました。これは何とも申しわけありません。私はどうも、こういう機会に委員会を通じておわびを申すほかない、かように考えておるわけであります。そんな点につきましては、まだまだわれわれがいろいろなことを心配いたしておりますが、大は予算の問題から、小は、小と申してはどうかしりませんが、微細な点までまだまだ注意の行き届かない、遺憾なことが多いということをここに率直に申し上げまして、御了解を願いたいというようにお願いする次第であります。   一応それだけお答え申し上げておきます。
  13. 吉江勝保

    吉江勝保君 河井委員長が率直に当時の事情をお話しいただきまするので、私どもも、別にあの事件だけを特に取り上げるという意味ではないのでありまして、そうした事態のところに国宝を失っていくようなことが起っていくんじゃないか。一朝災害がありまするような場合、あるいは内部からも管理者の管理意識というものがゆるんでおりますので、そこに、木造でありましたら焼失してしまいましたり、あるいは盗難に会うておってもわからない、こういうような事態が、日本の重要な文化財の中に起ってもおり、また起るのではないだろうかというようなことを実は心配しておったのであります。従いまして文化財保護委員会が、こういう文化財補修というような点でなしに、管理というような点についてどれだけの権限をお持ちになって平素管理についてどれだけの努力をされておるかということを一つお聞きいたしたい、こういう意味でございます。
  14. 岡田孝平

    説明員(岡田孝平君) 管理につきましては、全く吉江委員のお話の通りでございまして、 私どもも平素非常に心配いたしておることでございます。これは、管理につきましは所有者もしくは管理者の責任になっております。従って所有者、管理者のみずからの経費において平常の管理をいたすことになっております。これに対して、国から補助金を出せるような法律規定がございますけれども、遺憾ながら今のところ、平常の管理に対しては補助金は出ていないのであります。保存修理費に対して出るという状況でございます。これに対しましては、平素常に私ども管理意識の高揚をはかるように注意いたしておりますが、一昨年でございましたか、防災方面を中心にいたしまして管理の心得というものを作成いたしまして、これを全所有者、管理者にもこのパンフレットを配付させた。平常管理人を必ず置きまして、そうして毎日文化財に事故があったかどうか必ず点検させる。また、平素常に消防庁とも連絡をとって、万一の場合には直ちに緊急の措置がとれるような点、その他環境などできるだけ整備するように平素から心がける点、そういういろいろな点につきまして詳しく書きましてこれを配っておるわけであります。その他保存修理等の場合には、建造物等におきましては、必ず文化財委員会委員実地に出張いたしまして、この修理を指導いたす。その際には、具体的にこの文化財管理方法につきまして指示をいたすというようなことをもちまして、すでに心がけてはおりますけれども、確かにお話しの通りまだ十分でない点は、私どもも十分に認めております。今後一段と努力いたしたい。つきましては、多くの文化財でありますので、なかなか各個の文化財管理状況が、全部的確に私どもにわかっておるわけではありませんので、来年は文化財の国勢調査というような意味で、全部文化財については、具体的の管理状況を明らかにしよう、現況を調査しようというふうにも考えておる次第であります。また、防災の点からでなく、管理全体につきまして、つまり平常の文化財の手入れ、簡単なる修理というような、そういう保存の技術という点につきましても、あるいは管理の法的な問題につきましても、いろいろこまかい心得を書きまして、まあ管理者必携というものを作りまして、これを全部の管理者に配付いたしたい、かようなことで当っている次第でございます。
  15. 吉江勝保

    吉江勝保君 一般的な御答弁としてはまあそういうことでございましよう。今話されましたように、もっとこの文化財管理ということにつきましてあるいはその管理は、所有者から国立の博物館が預っておる。そうして預って管理しておるものはそこの何というか、公務員といいますか、この人が管理者として預っておる。そういう場合には、管理者の責任というものは非常に重大な責任を持っておるのではなかろうか。その管理者が管理者としての意識もなければ、あるいは管理者としての不適任者である。そういう者を平素置いておかれますから、こういうときにたまたまこういう事態が起ってくるのじやないか。必ず国宝を焼失いたしましたり、あるいは盗難されて、そのあとで調べてみますと、管理者においての不適格者が出てくるのじゃないか。私はあえて町立の博物館のことを言うわけではないのです。私は一般的に申すのであります。そういう役所の人といいますか、これは国の公務員だろうと思いますが、公務員がもし国宝管理しておる責任者であるならば、この管理者というものは、もっと自覚をしてもらいたいと思うのであります。そういう点につきまして、文化財保護委員会におきましても少し平素の御指導といいますか、河井委員長がおられますが、そういう点が少しぬかっておられるのじゃないだろうか。いわば河井委員長が在任されておりまする間に国宝を焼失するといいますか、そういう事態が起れば、これは文化財の保護委員長責任であるというくらいのお覚悟といいますか、気持を持たれまして文化財保存に当っていただきたい。そういうような方面に強い関心をお持ちになっておれば、自然にそれが公務員の管理者にも響きまして国宝管理が完全に、十分になされるのじゃなかろうかと思うのであります。私はそういう点におきまして、公務員の預っておりまする国宝に対しまする管理者の意識というものも不十分なのではないかと、こういう点に一つ御反省をいただきたい。さらに、もしそれが民間の他の社寺の所有であって、これを所有者が管理をしておる、こういう場合には、あるいは保護委員会の権限というものがどこまであるものか。そういうところには自分たちとしてはここまでは言えるのだが、これ以上には言えないのだと、そういう保護されまする上におきまして、もし権限に不十分な点があるならば、そういう点もよく御検討いただきまして、所有者が他の者でありましても、国が数億の金をかけまして補修いたしましたものについての保存管理については、遺憾のないような態勢をお立てになるように研究されますることも、やはり文化財保護委員会委員長の職責ではなかろうかと思うのであります。平等院を見ましたが、平等院で聞いてみますというと、二つのお寺の所有になっている。こういう共管のような立場になっておりまして現在は一緒になって管理事務所を作っているようでありまするが、そういうように個々に検討いたしてみますというと、所有者がはっきりしないとか、管理態勢が十分でないというような、そういう財宝、これは国宝でありますから、国が数億の金をかけるのもやむを得ませんが、それだけの金をかけるときには、もっと保存管理のことにつきましての十分な御検討があってしかるべきではなかろうかと、かように見たのでありまして、こういう点につきまして将来御留意をお願い申し上げまして、質疑を終ります。
  16. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 日程の時間の都合がございますので、なるべく簡単に……。
  17. 河井彌八

    説明員(河井弥八君) ただいま吉江委員から、管理に関しまして適切なる御注意をいただきました。私はなはだふなれなものでありまするけれども、しかしながら、管理につきましては全部責任を負うて、これを直接に役人が管理するものはもちろんのこと、それから民間の所有者がこれを管理する、あるいは公共団体が管理するという場合におきましても、遺憾のないように努めるということをはっきり申し上げておきます。
  18. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) おおむね御質問がないと存じますので、この報告の件に関しましては、これにて終りたいと思います。  文化財は、愛国心の養成だとか、道徳教育ということが重要だと言われているときにおいて、民族の文化に対してもっと国が力を入れ、国民が熱意をもってこれに当るという、こういう態勢を参議院の文教委員会としてはぜひ作っていただきたいと考えております。幸いに河井委員長のようなもっとも適任の委員長がおられるのですから、予算の点につきましても、管理機構の点につきましても、また、これをもっと国民の利用に奉仕するというような精神につきましても、ただいま報告の中にありましたし、吉江委員の御質問の中にもありました通り、欠けるところが多少あるのではないかと懸念いたしますので、さらにこれに力を入れていただきたいと委員長からお願い申し上げます。
  19. 河井彌八

    説明員(河井弥八君) ありがとうございます。
  20. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは一時十分まで休憩いたします。    午後零時四十二分休憩    ————・————    午後一時四十三分開会
  21. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは午前に引き続きまして、ただいまから文教委員会を再開いたします。  教職員の勤務評定に関する件を議題といたします。本件につきましては、現在文部省から灘尾文部大臣、内藤初等中等教育局長、法務省からは木島法務政務次官、竹内刑事局長、警察庁からは柏村長官が出席されております。法務省はただいま呼んでおります。法務大臣もただいま呼んでおります。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  22. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣にお尋ねいたしたいと思います。それは大臣もすでに御承知のように、今日勤務評定の問題は国民注視の的になっておると思います。現在文部大臣もそうお思いになっておると思いますけれども、こういう状態がいつまでも続くということは、とうていこれは耐えられないことであると、このように思いますが、文教行政の最高の責任者としての文部大臣に、こういう事態をすみやかに解消しなければならないという御決意がおありになるかどうか。私は当然大臣としてはそういうことについてお考えにもなるし、また、いろいろそれについての御決意がおありになると思うのですが、基本的に大臣としては事態収拾をすみやかにはからなければならないというお考えがあるかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。
  23. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 勤務評定の実施をめぐりましていろいろな争いを生じ、混乱を生じております事態につきましては、申すまでもなく私はまことに残念なことだと存じております。すみやかにかような事態がなくなりまして、円満に勤務評定が実施せられるようになることを切に望んでおる次第であります。それを一つ承知を願いたいと思います。
  24. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣が円満な解決を望んでおられるということはよくわかりました。で、私はこれは非常に何といいますか奇妙な関係と申しますか、以前に勤務評定の問題が初めて起ったのは、やはり灘尾文部大臣の大臣御在任中であったと思います。そのときには大臣は文部省としても勤務評定の問題で起っておる事態の円満な解決については、全力をあげて努力するというお約束を、これは昭和三十二年の四月の九日ごろでございましたか、当委員会においてはっきりおっしゃっておられますが、その考えは今日の時点においても、やはり同じようにお変りがないものであって、文部大臣といたされてはすみやかに事態の解決を望むというだけじゃなくて、それについてやはり最初のときにお話しになったように、円満な解決のために、文部省としても全力をあげて努力するということでなければならないと思いますが、この点については、そうお考えでございましょうか。
  25. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私の考えの基本といたしましてはもちろん、この問題がすみやかに解決することを望んでおる次第でございます。そのために、いろいろ努力をして参ったつもりでございますけれども、事態なかなか好転いたさないので、憂慮いたしておるところでございます。
  26. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は教育行政の最高責任者としての文部大臣は、望むという表現ではなくて、円満な解決のために努力を続けてきたけれども、今日なおこういう事態だということであればまた別ですけれども、しかし、今日の時点においてもなお最後というのがあるかどうかわかりませんけれども最後のぎりぎわの時点に達するまで、なお文部大臣としては御努力を全力をあげて続けるべきではないかと考えますが、大臣の考えを伺います。
  27. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 最後の時点というのは、何をさしていらっしゃるのかよくわかりませんけれども、先ほど申しましたように事態が円満に解決することは、何より仕合せなことだと思うのであります。ただ、努力につきましても、私は私としてなし得る努力はいたしておるつもりでございます。不幸にしてこれが聞き入れられておらないというのが現在の状態でございます。
  28. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、お伺いいたしたいのは、教育行政というものは、教育基本法の第十条にありますように、全国民に対して直接責任を負って行われなければならない、それは大臣も御承知通りでございます。それで今日学界、あるいは言論界、さらにまた、これは内容の是非を私は申すのではありませんけれども社会党におきましても、この事態をこういうふうに解決したらどうかという具体案を公表いたしております、おいれになるならないは別といたしまして。ところが、政府、特に今申しましたように全国民に責任をもって文教行政を行わなければならない文部大臣から、この事態を収拾するための具体的な案がまだ何も示されていない。ただこういうことを聞くか聞かないかとか、そういうことを新聞等で拝見いたしますけれども、具体案というものが今までのところ示されていないように思います。そこで、大臣としては具体案をお持ちになっておるのかどうか、円満解決の方向に努力をする、その努力のための具体的な構想を一つあれば御発表願いたいと思います。
  29. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 政府なり、また、私のこの問題についての考えは私はかなりはっきりいたしておると思うのでございます。直接の関係者であります日教組の諸君におかれましても、私がどういう考え方をしておるかということは十分おわかりであろうと思うのであります。私はその私の考えをぜひ受け入れていただきたいと思うのであります。従って、現在日教組の諸君のやっておられますところのいわゆる反対運動というふうなものはやめていただきたいのであります。そうすれば、問題は解決すると思うのであります。(「一方的じゃないか」と呼ぶ者あり)
  30. 湯山勇

    ○湯山勇君 私が文部大臣にお尋ねしておるのは、そういう点ではなくて、文部省が日教組なら日教組に、ああしろこうしろという、これは文部省のお考えでやっておられることで、事態を円満に解決するためにどうするか、ただ十五日のをやめろとか、やめないとかいう問題ではなくて、それならばこういうような具体的な路線が敷かれなければ、ただやめろやめろということだけでは、私は円満解決の方向ではないと思います。もう一つ進んだ建設的な大臣の御意見を伺いたいと思うのです。
  31. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は特別この問題を解決いたしますために、具体的にそれじゃ文部省はこうしょうとか、ああしようとかいう解決案を現在持ち合しておりません。と申しまするのは、現在の日教組の諸君のやっております反対運動というものは、われわれの容認できないことであります。その点を日教組の諸君が、考えていただかなければ、文部省としてはやりようがないのであります。従って先ほど来申しておりますように、ぜひとも考え直していただきたいということを私は申しておるわけであります。
  32. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、文部大臣としては、直接解決のための具体案を持っていない。問題の解決は、もう日教組が反対運動をやめることだ、それ以外には文部省には何もないということに解釈してよろしゆうございますか。
  33. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 基本的に申し上げれば、その通りでございます。あの間違った、むちゃな反対運動はぜひやめていただきたい。平静な状態になって、しかも勤務評定実施の基本線はぜひ認めてもらいたいと思っておるのであります。それを認めていただかぬ限りは、こちらの方からこういう解決策があるとか、ああいう解決策があるというふうなことはないのであります。
  34. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは大臣にも似合わない御答弁だと思うのです。で、今の反対闘争をやめればこうするということがなければ、ただとにかくやめて来い、そうでなければ話しにならないという言い方は、私は大臣の御答弁とも受け取れないので、従来大臣は、これも私は実例をあげて申し上げたいと思うのですが。あの円満解決文部省としても努力をするという御答弁のあったときに、なおこういうことを私はお尋ねしています。それは勤務評定をただ単に権力を持っておる者、上司という、そういう立場の者がとにかく抗抵干犯の所為あるべからずというようなやり方をやったのではいけないではないかと言ったのに対して、大臣もそれをお認めになって、きわめてこれは抽象的なことですから、抽象的な御答弁ですけれども、「きわめて抽象的なものの言い方でやりますならば、抗抵干犯あるべからずというような思想が許さるべきでないということは、これはわかり切ったことであります。もちろん今日の事態におきまして、何でもいいからきめた通りにやれ、やらなかったら処罰するという式の行き方が適当でないということは、これは申し上げるまでもないことだと思います。」これが三十二年四月九日の大臣の当委員会における御答弁でございます。で、こういう基本的なお考えを持っておられる大臣とされては、それではこれはかりに十五日なら十五日の反対闘争がやめられるならば、文部省としてもこういうことはこういうふうに考えていこう、具体的なものが示されなければ、私はこの大臣のお考えとも若干違っている。そういう印象を受け取りますが、大臣のお考えを重ねて伺いたいと思います。
  35. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま御引用になりました私の答弁は、現在でもその通りに考えております。別に変った考えはいたしておりません。ただ、今回のこの勤務評定の問題につきまして、私の立場は法できまっておることを施行しようと、私が実施するんじゃございません。地方の教育委員会が実施するんでございます。これをあくまでもいかなる手段に訴えても拒否するという運動を、現に毎日やっておられる。私はこれが何とか考え直してもらわぬことには、話も何もしようがない。こういう工合に考えております。基本線をぜひ認めてもらいたいのであります。そうしてあのいわゆる闘争々々というのではなくして、平静な状態に返られてやられることならば、かれこれ私がやかましいことを申さなくても、地方の教育委員会とあるいは教育関係者の諸君と、いろいろ意見を交換せられることも、何ら妨げるところは私はないと思う。従って、そこから先をどうするというようなことを、特に申し上げる必要もないのであります。願わくばその前提たるべき勤務評定の実施の基本線を認める。今のような無謀な闘争態勢は解く。そうして平静な状態に戻る。これを一つ事実に現わしていただきたいと思う。
  36. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は大臣のお考えもだんだん変ってきておられるのではないか、というような印象を受けますが、それは大臣が御在任にならない期間に、いろいろいきさつがあったと思います。で、今大臣は法律のあることだから、どうしてもやるという意味のことをおっしゃいましたけれども、当初の文部省の考えは、決してそういう考えではなかったということを、大臣は御存じでしょうか、どうでございましょうか。
  37. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 古いことは私もよく存じませんが、この前の愛媛県の勤務評定第一回の問題ですね、あのときは湯山君もいろいろ御心配になりましたが、あの第一回の愛媛県の勤務評定の問題がありました当時、私の考えましたことは法律にきまっておることでありますから、ひとり愛媛県だけのものではなく、これは全国的に実施すべき問題であるという考えに私は到達いたしました。その案の内容をどうするかこうするかということは、本来各地方の委員会の決定することでございますけれども、なるべく一つ合理的ないい案を作ってそうしてこれが実施せられるようにいくのがいいのじゃないか。愛媛の問題は、必ずしも全面的に私はあの内容、計画というものを是認したとか、けっこうであるとか言ったことはないと思うのでありますが、全国的に考えて合理的な案を作って、そうして全国的に実施すべきではないかという考えを私はその当時持ったのであります。
  38. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは文部大臣の御答弁の中にもそういう意味のことがありますけれども、特に内藤局長の発言をあげることの方がよくわかりますから、申し上げたいと思いますが、それは昭和三十一年の十一月二十七日です。このときに内藤局長は「この教職員の勤務評定の問題は、お話の通り、教職員の職階制とも関連がありまして、教職員にいかなる職階制を適用するかという点が非常にむずかしい問題でもあります」それからなお、そのさらに教職員の勤務評定ということは非常に困難ではないか、むしろ不可能ではないかということに対して、なお内藤局長は、それは前後の言葉はなくただこれだけの答弁ですけれども、「非常に困難なことは想像されます」それからさらに、法律にあるから実施すべきではないかということに対する答弁として、こういうことを局長は答弁しております。これは十二月の六日です。三十一年十二月六日の文部省の考え方から言えば、「勤務評定がこれが不可能だとおっしゃいますけれども、すでに法律勤務評定をすることになっておりますので、これをやるということは決して私は不当ではないと思うのでございまして、」とあり、いろいろその間の事情を述べたあとで、最後にこう言っています。「また法律通りおやりになることを妨げることもいかがかと思うのであります。従って、この問題について、私どもとしては円満なる解決を期待するということでございます。」つまり非常に消極的で、法律にあるから、こういう無理な困難なことを、やっておっても、しかし法律にあるから、文部省としてやらないということはできない、非常に消極的な態度をとっております。なおそれを裏書きするような資料は、これは松永文部大臣の御発言の中から申し上げたいと思うのであります。それは閣議でこの問題が論議されましたときに、これは三十二年の十月十四日です。矢嶋委員の質問で閣議で官房長官から提案があって、全公務員に勤務評定をやるということを決定した。そういうことは教員の特殊性を考えた場合に、しかも文部大臣は、これもその事例をあげよとおっしゃれば私はたくさんあげること  心ができますが、当時の文部大臣としては、万人の納得するようなものを作りたい、という方針で、それはなかなかできないといういろいろ難儀をしている、こういうことを吉っておったまつ最中でした。そこでそのときに、これは三十二年十月十四日ですけれども、「今言うように、そのお仕事が教職でありますから、従ってそれをものさしを作るのは非常に困難じゃないか、要するにメディウムをこしらえるのに困難じゃないか、こういう難所があるのであります。でありますからこれに声を大にして反対するという勇気もなかったのであります。」こういうように、むしろ文部省としては、現実行き過ぎているのに対して、法律にあるのだから、積極的にとめるということはできない、非常に消極的な態度をとっておられたと思います。ところが、最近では文部大臣もそういう御意見でないかどうかわかりませんけれども、最近の御発言をみますと、そうじゃなくて非常にこの点については積極的な態度をおとりになっておられる。そういう積極的な態度が反対運動を非常に強めているというような印象も決して印象だけではないと思います。こういうふうに見て参りますと、文部省自身の態度、考え方というものも、ずいぶん変化してきたのじゃないかということを私は心配するのですけれども、その点はいかがでしょう。
  39. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省事務当局の考え方についてのお話がございましたが、あるいはそういうことをお答え申し上げたこともあったでしょう。しかし、この問題は大臣が考えなければならぬ問題だと思うのです。私は前に在任いたしておりました当時は、これは全国的によく研究してやるべきじゃないかという考え方をいたしておりましたけれども、御承知のような事情で退任いたしました。その後のことは私はよく存じませんけれども、私がこの問題を引き継ぎました際には、文部省としては勤務評定の実施ということについては、非常な熱意をもって努力をしている最中であったのであります。
  40. 湯山勇

    ○湯山勇君 経過的に言えば大臣のおっしゃる通りで、私もその点は認めますけれども、大臣が御在任にならない期間中に、非常に文部省の態度が変ってきたという印象を大臣はお受けになりませんでしょうか。
  41. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は格別さような印象を受けておりません。
  42. 湯山勇

    ○湯山勇君 現実の問題として変っているということをお認めにはなりませんか。
  43. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 年月の経過という点から考えますれば、本来だいぶ前に法律ができている。それが実施されていないというふうな関係を考えますれば、その間にいろいろな事情もあったと思いますが、あるいはその当時の文部省というものは、勤務評定の実施について、なかなかむずかしい問題でありまするから、あるいはまた、地方教育委員会等の状況も始終変化のあったことでありますから、文部省として積極的に熱意をもってこれを断行するというようなところまでは行っていなかったときもあったのじゃないかと思うのでございます。そういうことはあったかと思いますけれども、私が在任中にこの問題について非常に文部省が消極的であったとか、積極的であったとかという格別の印象を私は受けておりません。問題は私が愛媛県のあの問題で実は初めて勤務評定というものはなかなかむずかしいものだということを知ったのでありますが、これはひとり愛媛だけの問題でもないし、やるとすれば、できるだけ合理的な案を作ってそうして全面的にやるのが適当じゃないかというふうに私は判断をいたしたのであります。その意味で一つ研究してほしいということを申しておったような次第でございます。
  44. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、大臣に重ねて御決意を承わりたいのは、何かここで円満解決方法があれば、それを採用することは大臣はやぶさかでないという御言明がおできになるかどうか伺いたいと思います。
  45. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 円満解決という言葉だけをそのままにちょうだいいたしますればこれに反対する理由は私はないと思います。ただ、その円満解決とは何かというところに、私は問題があると思うのでございます。先ほど来申しましたように、私の考えております点というものが満足せられません限りは、容易にこれに応諾するわけには参らぬと私は考えます。
  46. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、私は大臣にこれは言葉を返して大へん恐縮なんですけれども、大臣は勤評実施ということを前提にしなければ話し合いに応じない、これは今私の質問に対して大臣が反論されたのと同じ反論が私はできると思うのです。勤評というのはどういうものか。つまり円満解決というのがどういう内容かわからなければ意思表示できないというのと同じように、勤評ということについても、その内容がどうであるか、それをどうしていくかということがわからなければ、なかなか一方の側も話ができにくいのじゃないかということを申し上げるだけにとどめまして、私が今かりに文部大臣がおやりになるという立場を認めたとしても、今日の事態を解決する道は、皆無ではないと思いますし、それから大臣もまた皆無だというふうにはお考えになっておられないと思います。それはもっと端的に申しますと、行政の責任者である内閣は、これは国会に対して責任を持つと憲法で明記されております。しかし、文教行政に関する限りは、これは国民全体に対して責任を持つ、こう示されておりますので、その点では私は国務大臣としての灘尾大臣と、文部大臣としての灘尾文部大臣との間には若干違いがあってもいいと思うのです。また考え方にそういう配慮がなければならないと思います。そうすれば、だれが悪い、だれがいいということじゃなくて、国民全体に安心を与えるような方法というものは、やはり大臣としては日夜お考えいただかなければ、この教育基本法の精神に反してくると思います。そういう観点からいろいろお考えになっておられると思うのですが、ちょっとここで御答弁を先にいただいて、私意見を述べたいと思います。
  47. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 国務大臣として国会に責任を負うのは申すまでもないことで、同時にまた国務大臣といたしまして何ごとによらず、全国民の前に責任を負うという考えのもとに仕事をして参らなければならぬことは、これは当然なことだと思うのであります。私はその意味において私の責任を回避する、さような気持は毛頭ございません。
  48. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、大臣はいろいろな各方面から事態収拾の意見が出ておることは御存じだろうと思います。新聞紙上にも、個人の意見もあるし、あるいは機関としての意見も出ておりますし、各方面の意見が出ておりますが、それらをごらんになっておると思います。それらの中に、とってもって参考にするというようなものはございませんですか。
  49. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題について、まあいろいろな方からのいろいろな御意見が毎日の新聞に出ておって、私もできるだけ気をつけて拝見しておるつもりでございます。そのどれをとるか。そのどれに左和するかというふうなことは、これは私が判断しなければならぬ問題だと思うんです。私は先ほど来申し上げております私の態度につきまして、これが私の責任を尽すゆえんであると考えて、さような判断をいたしておる次第であります。
  50. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういう中に、大臣がこれは参考にしたい、事態収拾のための参考にしたいと思うような意見が、全部が全部あるとは私も思っておりません。そしておとりになる、ならないは大臣の御自由でございますけれども、しかしやはり、これだけ大きい問題でここまで来ておれば、大臣としても、これはどうだろう、これは採用してやったらどうだろう、この点は考えなきゃならないいろいろな点がおありになるんじゃないかと思うのです。そういうようなのはございませんでしたですか。
  51. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) たくさんの御意見の中には、私としてもちろん今後の参考にすべきものもあろうと思います。ただ問題は、世間の皆さんも非常に御心配になっており、私どももよくわかる、われわれも心配しておるわけであります。九月十五日と始終言われるのでありますがそれを控えて何か考える手はないかというふうな御意見がずいぶんたくさんあるようであります。おそらく、それを指しておっしゃっているんじゃないかと思うのでございますが、その中に、あるいは少し文部大臣、頭を冷したらどうか、あるいは実施を延期したらどうか、あるいは実施を中止したらどうか、こういうふうな御意見がございますが、私は先ほど申しましたように、さような御意見に対しましては、今日の場合、私としては受け入れかねる御意見と、かように考えておる次第であります。
  52. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣のお考えは大体わかりましたが、文部大臣が、法律がありながら、ずいぶん長い間寝かしておいて、急に今のように非常に強腰でこれを推進するということに変ってきたのは、一体どこに原因があると大臣はお考えになられるのでしょうか。先ほどは、まあ地方教育委員会のあり方というふうなお話もちょっとございましたけれども、これは大臣はどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。
  53. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 前のことでございますので、詳しい事情もよくわかりませんですけれども、いろいろな事情がその間にあるんじゃなかろうかと私は思うのであります。一つには、始終申しておりますように、私は委員会制度が変ったというふうなことが、かなり大きな要素をなすものだと思う。同時にまた、この問題はそう簡単に計画のできるものでもない、相当な研究と準備を必要とするというふうなこともあるところでありましょう。あるいはまた一部の方からは、そういうことは無理だというふうな御反対の声もあったのじゃないかと思いますけれども、いろいろな事情があっておくれて参っておったと思うのでございます。従って湯山さんから、なぜおくれたかという御非難があれば、これは何とも御返事のしようのない問題でございますけれども、今日では、なぜやるかというふうなおしかりをときどきこうむるので、私は当惑しておる次第でございます。
  54. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこできょう、文部大臣が言われるように、私は十五日を回避する、しないという問題じゃなくて、かりに十五日がどうなったにしても、こういう勤評が続く限りは、やはり今のような、大小にかかわらず、国民が頭を悩ます問題は絶えないと思います。で、根本的にそういう問題をどうしていくかということは、文部大臣としては非常に至要な問題だと思いますので、今度はもう少し私の意見を述べながら伺いたいと思います。一つは、この評定者に対する信頼感、こういうものが私は非常に反対運動の一つの大きな要素になっているのではないかということを感じます。そこで、この大臣の今御答弁の中にありましたように、地方教育委員会制度が変ってきたということと、そのこととは、必ずしも関連づけないで考えることはできないのか。と申しますのは、地方教育委員会制度の変った最も大きい点は、地方各県の教育長は文部大臣の承認が要りますし、それから各市町村の教育長は、県の教育委員会の承認を要する。つまり行政の系列づけができた。これは言い方によれば、中央へのつながり、もっと表現が穏当でないかもしれませんけれども、中央集権的な態勢ができ上った。こういう態勢になって、初めて文部省勤務評定を強行するということに変っていった。こう考えて参りますと、その評定者というものが、従来のように国民の意思によって直接選ばれた者でなくて、教育委員会にしても任命制になるし、その事務責任を負っている教育長にはそういうつながりができている。こういう系列に対する不安ですね、これが私は相当あると思います。そこで、こういうような不安をなくするためには、そしてこういう摩擦をなくしていくためには、今のような、直接国民に対して責任を持たない形をとった委員会ではなくて、やはり公選による委員会、こういうものであれば、文部省も今のような無理なことはできないと思いますし、形態は今の状態とはうんと違ってきたと思いますが、大臣はそういう点についてどうお考えになられるでしょうか。
  55. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 現在の教育委員会制度は、これは皆さんはもちろん御反対だったと思うのであります。かって公選制であったものが、任命制に変えられておるわけであります。それにはそれだけの理由があって私は変えられたものと考えるのであります。従って、これを公選制にした方がいいというような考えは、ただいまのところ持ち合しておらないのでございます。また、公選制であれば、安心ができる、任命制であれば安心ができないという御議論も、いささかどうであろうかという感じが私はいたすのでありまして、要はまあ人の信頼の問題ということになって参ると思いますけれども、この任命制を取ったから信頼ができないというふうな結論は、私は直ちに持ってくるわけには参らぬのじゃないかと思います。これは結局今の制度のもとにおいてやった場合に、果してどうであるかという実績を見なけりゃわからぬ話だと思うので、昔の制度のもとにおいて、しからばほんとうに信頼の置けるような人事が行われるものかどうかということになりますというと、私どもは当時多大の疑問を持っておったものであります。
  56. 湯山勇

    ○湯山勇君 私がお尋ねしておるのは、少くとも公選制の場合は、住民の意見を聞くということがかなり励行されておったと思います。そのことは教育行政の基本になる、直接国民に対して責任を持つという態勢と、それは実質的には大臣の言われるような点もあったかもしれませんけれども、少くとも重要な問題に関しては、そういうことをやらなければ進めなかった事情にあったことだけは事実です。ところが、今日の場合はむしろ逆だ。文部省がどう言った、どこに行って文部大臣がどう言って、文部省がどう言ったということが強く言われて、そして住民がどう言った、うちの部落はどうであったというようなことは、あまり議論されておりません。これも大臣はよく御存じだと思います。そこで、もし公選制が続いておったとすれば、今日のような事態にまでは達しなかっただろうということを私は思うのですが、というのは、内藤局長は、これも会議録からお示しできますけれども、やらないところには措置要求をすると、こういうことまで言っております。こういうことでやるのと、あくまでもこれも文部大臣が当時言っておられたように、一から十までとやかく言うのではなくて、委員の自主性は尊重していきたいと言っておられた、あの考えとはだいぶ違っておると思う。そこで、公選制であれば、私は今日のような無理は文部省もできないし、また、こういうトラブルも起らないで済んだという判断をしますし、そういう論調も相当あるのですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  57. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまのお話しでございますが、私は今日文部省が無理をしておるとは思っておらぬのであります。当然なすべきことをなしておると、かように考えておる次第であります。決して無理なことを強圧するというような、そういうような心持ちは毛頭ございません。また、今日の教育委員会制度にいたしましても、先ほど湯山委員は中央集権と、こういうふうにおっしゃいましたけれども、私どもはさようには考えておりません。できるだけ法の自主性というものは尊重して参りたい。こう考えております。その御批判は御自由でありますけれども、私はさような考えのもとに、今日の教育行政をやっておるわけではございません。
  58. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう少し今の点具体的にお伺いしますが、文部省は一体この問題について何をなさったのでしょうか。つまり勤評実施について文部省が何をやったか、これは私は疑問な点があるのです。大臣はわれわれのやっておることはこうだというようなことをおっしゃいますが、一体文部省は何をおやりになったか、これを伺いたいと思うのです。というのは、これも会議録の中から拾い上げていけばずい分各所にあります。文部省がこの勤評についての実施の参考案を作ることは、文部省責任だということを、これは内藤局長はこの委員会で何回あるいは何十回繰り返しています。それから、それについての批判に対しては、とにかく文部省の案ができてから言ってくれ、これも私はこの資料の中からあげることができます。三十二年十月十四日にそういうこともはっきり言っております。その文部省が何にもしていないのです。今日ただいままで。私どもの作るものを見て、一つ御意見があれば言ってもらいたい、それから作るのは文部省責任だ、それによって批判を受けていいものを作っていくのだということを、ここで何回、何十回言っておったことを、ちっともしていないのです。そしておいてただやれやれだけです。やっておることは。一体文部省としては教育行政の責任者がこの問題について何をしたか、大臣は御在任中でなかったけれども、おそらくもういろいろ御連絡があって御存じだと思いますので、大臣はその辺どういうふうに御把握になっておるか、伺いたいと思います。
  59. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省の立場は、端的に申せば、勤務評定を実施してもらいたい。これは文部省の立場であります。従って地方に対しましてはぜひ一つ勤務評定は実施してほしいということは、私は現に申しておりますけれども文部省はそういうふうに申して参ったのであります。いわゆる参考案の問題につきましては、文部省の立場は地方の教育委員会のそういう決定と申しますか、指導助言等をなす立場においてさようなものを取り扱う、こういうふうに私は考えております。
  60. 湯山勇

    ○湯山勇君 文部省がそれを作ることは、文部省責任であると言っておるのですが、これはもうその責任は果さなかった、こういうことになりますね。
  61. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) どういう言葉のやり取りでそういうふうになったか存じませんが、文部省事務当局として考えますれば、全国的に実施するという場合に、あまりまたほったらかしておいて何の相談にものらない、指導もしないという状態のもとに各県がまちまちに、勝手ほうだいといっては語弊があるのですが、やることもいかがと思いますので、そういう問題については、文部省が相談に乗るべき立場にあるのではないか、こういう考えのもとに私はそういうことを申したと思います。
  62. 湯山勇

    ○湯山勇君 違いますけれども、今のは文部省がそういうことをすべきでない、法律通りでやれば文部省がすべきじゃないかということに対して、やることが責任だということになっているわけです。大臣がおっしゃるような意味でなかったわけです。それはそれとしてどうですか、何か私はこういうふうな問題は、公選制の教育委員会を今後法改正によってもう一ぺん復活させるか、あるいは勤評については公選制のような性格を持った審議会のようなものを設けて、それによってその適否をきめていくというようなことをやる考えは、将来の問題として大臣にはおありになりませんか。
  63. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 御承知のように、この制度はこれから実施するということで、せっかくみな努力をいたしているわけであります。現在の法律というものを、一度も実際に移したことが今までなかった、初めてやるわけであります。やりまして、その実績によって、もし改善すべき点があれば改善する。これは当然のことだと思うのであります。今後の実績を一つごらんになって御批評も願い、われわれも十分検討いたしまして、よりよいものができるということであれば、これを採用するにやぶさかじゃないつもりであります。問題は今直ちにそういうものを考えているかどうかと言われましても、やはりさような考えは目下のところはございません。しかし、これを末劫末代変えちゃならないというまでには考えておりませんし、もっぱら今後の実施の状況によりまして私は考えたいと思うのであります。
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 それから大臣にお尋ねしたいことは、大臣は非常に法律をたてにとっての御答弁ですから、そういうものを私も持ち出してお尋ねしたいと思うんです。それはやはり勤務評定の内容なり、性格というものが非常に不安です。それから、大臣御自身もおそらくこれで完全なものだとはお思いになっていらっしゃらないと思います。ことに教職員に対する勤務評定がどんなにむずかしいかということも、これも大臣がよく御存じの通りです。そうすれば、人事院規則の十の二に、あらかじめテストを行う必要がある。はっきり書いてございます。ちょっと局長、私申し上げているのだからだまって下さい。——はっきりテストを行う必要がある、こうなっているので、そうすれば、テストをやってみれば果してできるものか、できないものか、それがら、そういうことの検討もできるし、それからいろいろ心配する点も解消できるかできないか、そういうこともわかってくると思うんですが、今のように、とにかく実際実施をしてみて、その上で悪ければ直すというのは、いかにもこれだけむずかしいことを、しかも文部省自身何年もかかっても案ができない、そういう中でテストもしないでいきなり本番というのけ、いかにも軽率のそしりを免かれないし、先般大臣は抗抵干犯というふうなことではないとおっしゃいましたけれども、印象としてはそういう印象を受けると思うんです。あらためてどっかで精密な、学者を加えてテストをするというようなお考えはお持ちになりせまんか。
  65. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) これは関係者で十分検討をいたしまして、作りました参考案を基準にして各都道府県でやっておると思います。私はこの実施計画というものができないものであるというふうには考えておりません。できるものとしてみんな計画を立てておることと思うのであります。従いましてすでに実施に移っておるのであります。これを一つ実施さしてもらって、その上でもし工合が悪いところがあるということでありますなら、それぞれの都道府県教育委員会においても十分検討してこれを改善すべきである、こういうふうに考えておるわけであります。今お話しになりましたようなことをこの際やろうというような考えは全然ございません。
  66. 湯山勇

    ○湯山勇君 そのやらない理由がわからないのですが、人事院規則に基いてだんだん国家公務員から地方公務員に及んでいき、そうしてついに教職員にまで及んできた。そうしてその人事院規則において、明らかに科学性を持たせるために十分テストを行う必要がある、こうなっておるのですから、もし行政の責任者である文部省がこれを見た場合には、あるいはどこかの県でそういうテストも行わないでいきなりやっておるというような場合には、それこそ指導、助言の責任が文部大臣におありになる。それをただいきなりやれやれというので、あおって、そうしてここまできたのだから仕方がないと言われますけれども、これはまだ提出しておる県というのは、そんなにたくさんあるわけじゃありません。突施をかりに決定しておったとしても、さらに慎重なテストをして、これを延期するなり、あるいは実施を見合わせるなり、それは府県の自主性に待つことであって、今ここまできたのだからどうにもならないというのでは、私は大臣の御答弁としてはどうかと思うのですが、重ねて伺いたいと思います。
  67. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 事務的にこれに関係を持つ中央、地方の諸君は今のお話しになりましたような人事院規則があるということもよく承知いたしている。それらのことも十分考え合わした上で今回の案を決定したのでありまして、従って今これを変えるというような考え方は私にはございません。ただ、先ほど来申しておりますように、何と申しましても、いいものを作ったつもりでやりましても、初めてのことでございます。いろいろやって参ります上において不都合があるとか、足らないところがあるとか、余ったところがあるとかいうことでありますれば、今後の問題としてこれに善処していったらいいと思うのであります。従って関係者としましては、この実施につきましては十分実情というふうなものについて検討を加えて、テストというと語弊がありますけれども、ともかく初めてのことでありますから、この実施については、慎重な細心な注意をもってやってもらいたい、かように私は考えている次第であります。
  68. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は別に大津に何を変えよとか、どうとかいうのではなくて、文部省として別にこれについてどうこうやっておられるわけじゃないのですから、だからやろうとしておる県に対して今のように慎重にやれという場合に、十分テストをして、そうしてそれで評価ができるかどうか、教職員の勤務評定として適切かどうか、そういうテストを十分にして、その上でやる、やらないをきめても決しておそくないわけです。ですから、そういう指導を新たにする必要があるんじゃないか、こういうことを申し上げておるわけで、大臣に別に何を変えろとか、どうということを申し上げておるわけじゃございません。そういう点で御答弁願いたいと思います。
  69. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 各県でやっております今日までの状況は、御承知通りの実施計画を立てて、これでやっておるわけであります。それはそのままにやっていくことを私は望んでおります。
  70. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは勤務評定についてあらかじめテストをするというようなことは必要ない、こう大臣は御判断になるわけですか。
  71. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) いろいろな御意見もあろうかと思いますけれども、十分各般の事情を参考にいたしまして、慎重に計画を立てて進めておることでございますので、私はこの際テストをするというような建前で進む必要はないのじゃないかと思います。
  72. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは、大臣、あまりおこだわりにならないで御答弁願った方がいいと思うのです。私は人事院規則を言っておるのだから、人事院規則でははっきりとそういうふうに書いてある。普通の場合でもそうだけれども、教職員の場合、特にむずかしいということを人事院も指摘しているし、大臣自身もお認めになっているところで、それをいきなり本番でやって、それがいいのだというようなことは、私はこの慎重な灘尾文部大臣としては、少し何かこだわっておられるのじゃないか。ただ、各府県がもう実施しておるのだから、今言ってもなかなか効果が出にくいということであればまた別ですけれども、これはもう一ぺん御検討願いたいと思います。それから大臣の御答弁を聞いておりますと、各府県とも十分慎重に審議をして計画を立てたから、現在やろうとしておるものには、今見たところでは、欠陥がないのだというように御把握になっていると思いますが、現在やろうとしているあの教育長協議会の案は、全然これは大臣、今ごらんになって欠陥らしいものは見当らないのでございますか、どうでございましょう。
  73. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) こういうふうな問題になりますというと、われわれは、しろうとでありますので、専門的に意見を申し上げるというわけには参りませんけれども、私は見たところ、別にそれほどむずかしい勤務評定をやろうとしておるというふうには思わないのであります。それはいろいろ難くせをつけるとかというような立場からいえば、幾らでも文句を言う余地はあると思いますが、すなおに、さらっと、お互いの間でやるのだというふうに考えれば、そんなめんどうなことになっていかない、このように私は思っておるのです。
  74. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこが私は非常におそろしいと思うのです。教員勤務評定というのは、教員の職務の内容について評定するわけですが、それが今大臣の言われるように、しろうとが見て、簡単にさらっとしているということであれば、文部省もあんなに苦労なさらなかったと思う。また法律が施行になって、何年も寝かしておくことがなかったと思います。それがそういかないところに、さっき大臣自身もおっしゃったように非常にむずかしい問題がある。こういうことはお認めになっておりながら、今あれをごらんになって、えらいすらっとしておる、こういうことはちょっと受け取りかねるので、そういうときにこそ、危険はそういうところにひそんでおるわけですから、十分専門的な人を網羅して、そうして検討するということが、これがやはり大事なことではないかと思うのですが、いかがですか、大臣のお考えは。
  75. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私の申し上げ方が悪かったかと思うのでありますが、私はこの問題については、それぞれ関係の者が慎重に検討いたしましたものであります。それらの諸君といたしましては、これでやっていけると、こういう考えのもとに案は作ったと思うのであります。従ってそう無理な、できないような相談をやっているとは私は思わない。ただ、専門的な意見を私が言うのも妙な話になって参りますが、さらっとと申しましたのは、いろいろこの問題を見ます場合に、言葉はおかしいのでありますが、少し難くせをつけるとか、けちをつけるとかいうようなことになれば、幾らでも文句を言う余地があると思うのであります。しかし、お互い同士の間で、われわれのきめた勤務評定をやっていこうというのでありますから、むしろさらっとお考え願って見ていただければ、そう問題になるようなことはないのじゃなかろうか、こういうふうな私ども感じを申し上げたのであります。
  76. 湯山勇

    ○湯山勇君 内藤局長もそうですが、大臣も勤務評定というものをほんとうによくおわかりになっていらっしゃらない点があると思います。それから岸総理に至っては、私は、きょうぜひ来ていただきたいと思ったのですが、これがまた全然てんでわからない。ただ勤務評定勤務評定ということを言っておられるので、大臣一つほんとうに勤務評定というものを大臣も御検討願わないと、ただ今のような御議論だけでは、かえって心配がふえると思います。第一、さらっとやったとして、どうしても不当な勤務評定をまれたものは一体どうしたらいいのか。どこへ持っていったらいい、こういうことについて何にもされていません。しかも、それが人事、身分を決定いたします。ある場合には、こんな切り捨てごめんのようなやり方が、大臣さらっと、いかにもさらっとしておるようですけれども、おそろしいことだということは、お思いにならないでしょうか。それから今度は評定する側です。教員の職務の内容は、学校教育法に明瞭に児童の教育に当る、こう示されております。ところが、実施の責任者である地教委に果してそれができるかどうか。ただ服装がきちっとしているとか、おじぎをよくするとか、あるいはそのほか帳簿がちゃんと整っているとか、これはできますけれども、しかし、教員の職務というのは、そういうのじゃなくて、学校教育法にある通り、児童、生徒の教官をつかさどる。その内容を一体今の地教委、専門職でない教育長です、現行法では。そういうものでできるかどうか。しかも、これは行政面ですから、文部大臣としてお考えにならねばならぬ、これらの点、どうお考えでしょうか。
  77. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) まあ、学校の教師の勤務評定については、校長がやることになっております。書くことになっている。自分の部下の職員について今回各府県できめておりますような内容の評定をしていくということは、私はこれは不可能じゃないかと思う。校長の評定ということになりますと、教育長でございますけれども、私はそのくらいのことは、教育長ならばできるものと思っております。
  78. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣言葉じりをとらえて大へん恐縮ですけれども、それくらいのことというのは、どの程度を意味しておられるのでしょうか。私はもっと申し上げたいのは、一体校長が評定したのを今度は地教委が修正します。そしてしかも、責任は地教委にあるのですが、これは御存じでしょう。校長がやったのを地教委がどう修正したかというのは校長に全然わからない。校長自身がどうされるかもわかりません。で、その最低の評価をされた校長のつけたものを地教委が信用するかしないか。そういう点にも問題があります。常識論でいっても。で、もっと申せば、教員の職務というのは、免許法との関係でそれを教えることが職務です。それ以外のことの評定は問題にならないと思いますが、校長だって、必ずしも全科の免許状を持っているわけじゃありません。一番大事なその教育面、学校の教室の中でどういう教育をしているということについては、校長さえわからない面がかなりあります。まして全然免許状もないし、そういう資格のない教育委員会教育長というようなものがそれに関与するというようなことについて、それが安心しておれるかどうか。しかもさっき申しましたように、たとえどんな間違った評定をされても、それがどう間違えられたということが本人にわからない。そしてそれによって人事異動なり、その他人事がなされる、こういう不合理なこと、これは放っておいていいかどうか、行政の常識としてどうですか、大臣。大臣のお考えを伺いたいと思います。
  79. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は今回の勤務評定の実施計画として掲げられておりますような事項について記入をするということは、校長にもできるし、また教育長にもできると、こういうふうに思って、そうでなければ、これを実施するわけには参りません。できるものとしてやっておるわけであります。
  80. 湯山勇

    ○湯山勇君 今私がお尋ねした項目について、もう少し詳細な御答弁をいただきたいと思うのです。免許法との関係、それからきわめてその今申しましたような不当な評価をされた場合、ほかの場合には、みんな救済措置があります。勤務評定だけにはそういう救済措置がないわけです。どうなりましょうか。
  81. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 人間のやることでありますので、ときにはそれは間違いということもあろうと思います。ただ、少くとも現在やっております人事管理のやり方よりも、この方がよりよくなるという確信のもとに仕事は進めておるわけでございます。その点は御了解いただきたいと思います。同時に、この評定を一般に公開するとか何とかいう性質の問題じゃないと思いますけれども、この評定の結果によって、あるいはその先生に御注意をするということもあろうかと思う。そういうふうなことも内部的にはあり得ると私は思うのであります。また一般論としまして、初めから信用ができない、信頼ができないというふうな立場でものを考えることもいかがであろうかと思うのでございます。要はやはりお互いの信頼関係ということが必要になってくると思うのでありますが、何とかこの勤務評定の結果というものを、ほんとうに教育の効果を上げる上に、また、御本人のためにもなるように活用するということが、一番必要なことじゃないかと私はさように考えております。救済方法云々ということもございますが、これにつきましては、なるほど特に勤務評定の点数そのものに対する救済方法というものはないかもしれません。これも人事の参考材料、その人事をやりました場合に、いかにも不利益な処分を受けたというふうなときには、御承知方法もあるわけでございます。まずこの辺で一つやったらどうであろうかと私は考えるのであります。
  82. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣の御答弁では、私はますます心配がふえるばかりですが、ちっともそういう不安を解消してもらえないことは大へん遺憾です。どうでしょうか、今のように、大臣がそれだけこの勤務評定を信頼しておられながら、しかも私を納得させることができないということは、いかにこの評定に無理があるかということを意味しておると思う。私はできるだけ大臣のお言葉は善意に解釈してそのつもりでお尋ねしておるわけですから。そうだとすればもう一ぺん今のような点含めて、内容もさることながら、そのシステム、こういうことも考え直してそうしてたとえば町村なり、それから県の教育委員会、これは私は公選にすべきだと思いますけれども、大臣、お考えが違うようですが、そうでなくても、専門職でなければ教育長にはなれないということにすることも必要じゃないかと思うのです。その専門職の教育長がいろいろ検討して、教育長協議会で案を作ってみる。それでどうもできないという結論になるか、やれるという結論になるか別ですけれども、そういうことにしないと、今の状態では、助役さんから町村合併で横すべりした教育長もかなりあります。これは御存じだと思います。大臣は。それからそうでなくて教育に全然経験のない教育長も相当町村にはあると思います。これは事務当局からでけっこうですが、免許状を持たない教育長が、府県でどれだけ、市町村でどれだけあるというのを、おわかりだったらちょっとお述べを願いたい。
  83. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 今御承知通り教育長には特別の免許状を出しておりませんが、ですから教育長として適格な人が教育長に選ばれるわけでございます。で、教育長は現在学校の校長以下教職員の人事の内申をするわけであります。ですから、人事の内申をする以上、当然に私どもは校長、あるいは教職員のある意味での勤務評定が現在でもされておるわけであります。ですから、従って、教育長が校長の勤務評定をすることは、これは必要でもあり、また可能であろうと思います。
  84. 湯山勇

    ○湯山勇君 そんなことを聞いているのじゃないのです。(「答弁が違う」と呼ぶ者あり)市町村の教育長で教員の免許状を持ってない者が何名おるか。各府県の教育長で教員の免許状を持っていない者が何名あるか。というのは、学校教育法の規定からいえば、教員の職務の内容というものは、児童、生徒を教育することです。それ以外にありません。ちゃんと学校教育法に書いてあるのです。そういうことは普通の人にはできないことです。そこで、今のような点どうなのか、数を聞いているので、理屈を聞いているのじゃないのです。
  85. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 今ここに資料ございませんが、後刻御答弁申し上げます。(「そんなことがわからないで、こんなことをやるのはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  86. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 御静粛に願います。(「どういう状態になっているのかわからぬのか」「調べてから答弁すればいいよ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)私語を禁じます。
  87. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは大臣、ちょっと局長は大臣の前で言いにくいと思うのです。それは言えばずいぶん悪い材料になると思います。相当たくさんおります。そうなると、実際はそういう点で非常に心配ですが、この問題は一朝一夕にどうこうという問題でありませんから、一つ将来は局長に、将来でなくてやはりこれは法律が要ると思います。法的な措置を講じて市町村の教育長なり、あるいは県の教育長はやはりそういう専門職を充てるというようなことについてお考えがおありになるかどうか、これも伺いたいと思います。
  88. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 市町村の教育長、また都道府県教育長、いずれも大事な職責でございます。できるかけいい人を迎えてこれをやってもらうようにしなくちゃならぬことは当然のことでございます。一般論として申し上げますれば、私は市町村の、特に市町村の教育長等につきましては、何らか考えなくちゃなるまいというようなことを考えておる次第でございます。具体的に今おっしゃったような具体案を持っているわけでも何でもございませんけれども、私は市町村の教育委員会教育長というものは、もっと何と申しますか、力のある識見のある人を迎えられるような態勢にはしなくちゃならないと、かように考えておる次第でございます。
  89. 湯山勇

    ○湯山勇君 同時に専任の問題についてもお考えになっておられますか。現在はみんな兼務になっています。
  90. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) まだ具体的にどういうふうにしようというふうな具体案を持っておりません。この問題は、しかし、考究すべき問題だと考えております。
  91. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで話を元へ返しまして、今私は地方教育委員会には、今大臣も検討しなければならないし、そういう問題も考えてみようと言われたように、いろいろな意味での欠陥が相当あると思います。そこで、それが実施の責任者です。これは他からの容喙を許さないぐらい法律的な根拠を持って実施をします。そこでやはり、そういう態勢のもとでやるのじゃなくて、今言ったような態勢を整えて、そこでやれるかどうかということを十分検討してテストをやって、それからやるならやると、これが私は常道だと思うのです。で、大臣自身も、現在のよりは強化しなくちゃならないと、強化の意味がこれもまたいろいろお聞きしていけば問題だと思いますけれども、とにかく、現在強化しなければならないというのは弱体だという裏返しだと思います。それを強化した上で十分検討してこれを決定してからやることになっても、決しておそ過ぎるという問題ではないのであって、今直ちにどうこうという問題じゃなくて、そういうことは大臣としても十分お考えにならなければならない問題だと思うのですが、これについても大臣のお考えを伺いたいと思います。
  92. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) よくわからなかったのですがね……。
  93. 湯山勇

    ○湯山勇君 つまり現在の教育委員会というのは、今の教育長の問題、その他を含めて強化しなければならないというお考えです。で、これは現在の地教委というものは、ある意味で欠陥が多いと、欠陥があるということを肯定されたものだと思います。そこで、大臣が今お考えになっておるように、強化された後にこういう重要な問題は、やるやらないを含めて検討し直していく、あるいはあらためて検討するということの方がよりいいのであって、今はそういうふうに欠陥が感じられるような委員会責任者になって実施するということには、別な意味で不安がいろいろつきまとうというのであって、まあそういう意味からやはりこれをそういう態勢ができるまで待ってやるということはどうかということをお尋ねしております。
  94. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) だんだんのお話しでございますが、私は今回の地方で計画いたしております勤務評定の実施ということだけをとらえて考えますれば、別に今の陣容でえらく困っているというふうには考えないのであります。しかし実際問題として、この問題が御承知のような大きな問題になりまして、いろいろ論議が重ねられ、またかなり責め立てられておる、こういうような事態のもとにおきましては、地方の教育委員会が現在では何と申しましても弱体である、かように私は考えますので、これを健全な方向に向って強化していくというふうにものを考えておる次第であります。従って今の教育委員会があの状態だから勤務評定を少し延ばしたらどうか、こういうふうな御意見には御同意申し上げかねるのであります。
  95. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣にお尋ねしたいのは、一体教員の職務ですね、教員の執務、職務というのは、学校教育法の二十八条の「児童の教育を掌る。」ということ以外にあるとお考え出てしょうがないとお考えでしょうか。
  96. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) はなはだ抽象的なお尋ねなので御返事に困るのでありますが、基本的には学校教育法によってきまっておるものによって教員の職務は定まると、こう申し上げてよろしいと思います。
  97. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっと今の御答弁、明瞭でなかったのですが……。
  98. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 大へんまあ抽象的なお尋ねなので御返事に困るのでございますが、基本的な考え方から申し上げますれば、教員の職務の本体というものは、学校教育法できまってくるものと考えております。
  99. 湯山勇

    ○湯山勇君 勤務評定の対象は人事院規則によりましても、割り当てられた職務の責任を遂行した実績を評定すると、こうなっております。そうすると教員に割り当てられた職務というのは、校長はまあ学校を云々すると、養護教員はどう、それから助教諭は教諭を助けると、それから教諭については児童の教育をつかさどると明瞭になっております。そうすると評定対象になる点は、もうこれ以外には人事院規則に照し合して見ましてもないわけですが、この児童の教育以外には、評定対象になるものはないはずなんですが、そういうふうに現在の案はなっておると大臣はお考えでしょうか。
  100. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 教員に割り当てられた仕事というのは、それぞれの学校においてはっきりしておる問題だと思うのです。だんだん話が細密な問題になりますので、私もお答え申し上げかねますので、政府委員からお答え申し上げます。(「大臣はそこまで知っておらなけりゃ勤務評定強行する資格がないよ。官僚に言われたまま踊っているということになる。ほんとうに重要な問題だ、これは」と呼ぶ者あり)
  101. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 学校教育法には、御承知通り教員は児童、生徒の教育をつかさどる、こういうふうに規定されております。現在の勤務評定の試案を見ますれば、学級経営、これはまあ当然学校教育活動であります。それから子供たちの学習指導、それから、学習指導のほかに、生徒の生活指導がございます。こういうふうな生活指導、それから、その他学校の学級経営をするためにいろいろな校務がございますが、そういう校務の分担がございます。こういうものが規定されております。なお、今申しましたのは職務の性質の方から見たものでございますが、同時に、職員の特性、能力の点から勤務の実態を見ていきたい、こういう点から、指導力とか、あるいは責任感とか、あるいは政治思想、あるいはえこひいきをしない、公正、協力、こういうような評定要素となっております。(「教育愛というのは言わなかったじゃないか」と呼ぶ者あり)
  102. 湯山勇

    ○湯山勇君 内藤局長の言われるのは、全くよくわかっていないことを言っておられるので、(「政治思想なんてさっき言ったが、おかしいじゃないか。どうして調べなきゃならないのか。政治思想なんて調べることができるか」と呼ぶ者あり)一体あなたは教育をつかさどるという、教育というのは、どこがどうなのかということをわかっておって言われておるのかどうか、どうですか、よくわかっていますか。(笑声)
  103. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教育というのは、子供たちの学習効果なり、あるいは生活指導なり、要するに、子供たちの教育を全般をつかさどるものであります。(笑声、「おかしいな今の答弁、なっておらんよ」と呼ぶ者あり)
  104. 湯山勇

    ○湯山勇君 内藤局長といえども、ある先生が授業しておるその授業を、お前のはここはこうだからこうしろとか、校長といえども、免許状のない教科についてその教員を指図する、その採業についてですよ、指図することは許されますか、許されませんか。(「許されない」と呼ぶ者あり)
  105. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 校長は、所属職員を監督する立場、にありますので、もちろんどういう教授要目を作るのか、教案を一応見ます。(「湯山勇君ちょっとそれは違う」と述ぶ)なお、実際教育にあずかる場合、校長は、当然、私は、必要があれば指導もし、助言もし、監督をすることは可能だと思います。
  106. 湯山勇

    ○湯山勇君 免許状のない校長が、音楽なら音楽の免許状を持った教員が授業をしておる、お前の授業はこうだからこうしろということは言えますか、授業の内容について。
  107. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 免許状がもちろんなくても、校長が所属職員に授業の担当を命じます。この場合に、もちろん、教諭は、少くとも学校教育法なり、あるいは施行規則なり、学習指導要領の中で行われるべきものであります。従って、それからはずれるようなことがあれば、校長は注意すると思います。
  108. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういう非常識なことの場合じゃなくて、一般的に言っておるわけです。たとえば、内藤局長なら内藤局長が行ってそういうことをできるかどうか。それから教育長ですね、市町村の。そういう人が行ってできるかできないか、教育委員が行ってできるかできないか。これはどうですか。(「できっこないよ。できないならできないとはっきり言えばいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  109. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) このことは、大体教育の指導に当る指導主事がいたすのが原則でございます。(「違う、答弁が」と、呼ぶ者あり)
  110. 湯山勇

    ○湯山勇君 できるかできないかを聞いておるのだから、そのことを答えていただきたい。(「指導主事がやると言ったのだね、教育委員はできないということを言っておるのだね」と呼ぶ者あり)
  111. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 静粛に願います。(「答弁があったら委員長しっかりさして下さいよ」「答弁がなっておらん、聞いていられない」と呼ぶ者あり)
  112. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 先ほど免許状のお話が出ましたけれども、免許状というのは、その教科を担任することができるという意味でございます。従って、指導の任にある者が指導することは当然可能だと思います。  それからただいまのお尋ねの、教育委員が一々具体的な教育内容を指示できるかどうか、こういうことになりますと、私は、教育委員が具体的に教師の教育内容を指導することは妥当でないと考えます。
  113. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣にお尋ねしたいのですが、今のように、実際はそういう資格もありませんし、それからそういう能力もない教育長が、今のような評定をするということにな問題があると思うんです。大臣は、全然問題はないとお考えになっておられますか、やはり問題はあるとお考えになりますか。
  114. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 実施の結果に徴してみなければ、私何事も言えないと思うのでありますが教育長の任にある者として、校長の勤務評定をするということは、可能であると考えております。
  115. 湯山勇

    ○湯山勇君 校長のだけじゃなくてですね、教員のも責任は地教委にあるんです。校長には責任はありません。校長がどんなでたらめの評定をしても、それは校長の成績には関係はあっても、責任は全然ないんです。責任は地教委にあるわけです。大臣は、校長の評定は差しつかえないということを、ずっとおっしゃっておりますけれども、一々の教員について、そういうことを責任を持ってやるということがどうかということについては、どうお考えになりますか。
  116. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 教員勤務評定につきましては、校長にやってもらうことにいたしておるわけであります。校長にやってもらうのが一番適当であろうということでやっておるわけであります。万が一その校長のやっておることが、いかにもおかしいというふうな場合がありましたら、調整をするということになっておるわけでございますので、これはきわめてまれな場合と私は考えております。
  117. 湯山勇

    ○湯山勇君 まれな場合かどうかはだれがわかりましょうか。大臣だって見るわけにはいかんと思います。それからやった校長も、自分が出したものがどうなったかということはわからないような組織になっています。これは、大臣、どうお考えになっておられるのでしょうか、その辺はですね。今大臣が言われたように、校長のやった通りだ、校長に一番信頼が置けるんだ、その校長のやったことを今度直す、どう直したか校長には全然わからないんです。だから、それじゃ悪い校長さんは同じあやまちをいつも繰り返している。それから教員の方だってわからないのですから、どうでしょうか、その辺は。今のやり方でいいとお考えですか。
  118. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 大臣に対してですか。
  119. 湯山勇

    ○湯山勇君 ええ、大臣。
  120. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 局長にかわって答弁させます。(「あやふやだな。大臣、確信を持てと言うけれども、確信がないよ」と呼ぶ者あり)
  121. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ただいまのお尋ねでございますが、もちろん、ただいま大臣からお答えがありましたように、教員勤務評定は、校長がする、校長の勤務評定教育長がするというのが建前でございます。しかし……(「そんなことどこの法律にある、書いてないよ」と呼ぶ者あり)これは委員会の規則でございます。(「書いてないよ」と呼ぶ記者あり)そこで、教員の分について著しく不当のような場合には、もちろん第二次評定者として教育長が論定を調整することは、これはあり得ることなんです。もちろん、その場合に、教育長は単独には私やらんと思います。事実上は校長と十分協議するだろうと思います。(「そんなこと教員にはわからん」と呼ぶ者あり)
  122. 湯山勇

    ○湯山勇君 教育長と協議するというのは、責任持って言えますか。校長と教育長が協議するというのは、責任持って言えますか。私はやっていない事実を知っておるんですが、どうですか。
  123. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 事実上教育長が本人を十分に存じておる、こういう場合には、あるいはしない場合もあり得る。しかし、一々教育長が全部の教員を掌握することは困難かと思う。こういう場合には、教育長は校長に意見を聞くだろうと思います。
  124. 湯山勇

    ○湯山勇君 こまかいけれども、内藤さんにもう一つお尋ねしたいのは、ある長は、校長さんたちが出して委員会が修正した、そこで、一つどういうふうに修正したか、今後のこともあるから見せてもらいたいと言ったところが拒否された。そういう事実があるのですが、どうですか、そういうやり方は。
  125. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) お尋ねの件は、教育長が校長に見せることを拒否したとこういう意味でございますか。
  126. 湯山勇

    ○湯山勇君 どこをどう直したか、あとで参考のために見せてもらいたい、知らせてもらいたいと言ったところが、そういう必要はないということで拒否された。
  127. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教員の人事管理のことでございますから、できるだけ、少くとも私は校長には直した場合には、親切に指示するのが妥当だと考えております。
  128. 湯山勇

    ○湯山勇君 妥当だと思っても、実際はそうなってないのですから……。それからもう一つ大臣にお尋ねいたしたいのは、今度校長に管理職手当がついて、管理職というような呼び方をある場合にはされることになっておりますが、管理職というのは、本来勤務評定の対象にしないのが普通ではないでしょうか。文部省でもされておるのもありますけれども、局長なんかはおそらく評定対象になっていないと思うのですが、その点いかがでしょうか、大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  129. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 校長がまあ学校管理する立場にありますので、管理職というふうな言葉を使っておるわけでございます。しかし、その校長もまた委員会の支配の下に勤務をいたしておるわけでございますから、この校長の勤務について評定をするということは、別に私おかしくないと考えております。
  130. 湯山勇

    ○湯山勇君 文部省の局長についてはやっていられますか。
  131. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) これは文部省には、いろいろ事務全般について決裁の規定がございまして、たかしかその点は次官に委任されてあると承知しております。
  132. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっとだれに委任されておるのですか。
  133. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 事務次官に委任されております。つけ加えますが、もちろん大臣の責任でございますけれども事務の処理といたしまして、事実上委任されております。
  134. 湯山勇

    ○湯山勇君 局長の勤務設定やっておるのですね。
  135. 斎藤正

    説明員(斎藤正君) 局長の評定につきましては、人事院で人事院規則において現実にやらぬことができるというふうな規定がございます。ただ、大臣の名前で評定を実施すべき職員につきましても、一つの処理方法としては事務次官に委任してあるという点を申し上げておる。
  136. 湯山勇

    ○湯山勇君 それほどいいもので効果のあるものなら、局長にもやってもいいのですけれども、やらぬごとができるという除外例が規則にあることは、私も知っています。これは少数の場合とか、部長以上とかいうものは除外していいという規定がありますが、これはしてはならないというのではないのです。にもかかわらず、そういう管理職は除外しています。そうすると校長なんかも除外しても、特に町村にそうたくさんはない。市にはかなりありますけれども、町村の場合は、小さいのはやはり二つか三つしかないのもあります。ですからこれなんか除外してもいいんじゃないでしょうか、大臣にお尋ねいたします。実情は今申し上げたから、大臣よくおわかりですから。
  137. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 除外していいか悪いかというようなお尋ねでございますが、私は義務教育費を府県で負担いたしております学校の教職員の勤務評定という場合におきまして、校長を除外する必要はないと思います。
  138. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは大臣、局長も除外する必要ないんじゃないですか。
  139. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省の局長の数は少いのです。日々大臣と接触いたしておるわけです。従って特にそういうふうなものをしなくても、大臣にはよくわかっているつもりです。課長以下になりますというと、文部省でもやっておるように思っております。この局長の場合と、それから校長の場合と同じように並べてどうだということも、いかがであろうかと私は考えております。
  140. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういう問題尋ねていきますと、もっといろいろなことがあるのです。大臣は今評定書の内容には、あまり問題ないとおっしゃいましたけれども、服装は清潔かなどというのも、一体上着から下着まで全部清潔かどうか実際問題として調べられることじゃありません。そういう非常識なことがあるのです。文部省そんなところまで調べていないと思います。やっていけばずいぶんありますけれども、ただ、私がきょう申し上げておることは、要約して申しますと、とにかく行政の最高責任者である文部大臣としては、本日お尋ねしたところでは、具体的にこの問題を解決するための案というものは持っていないというようなお話しでしたけれども、これは当然お持ちになるべきだ。しかも二、三日向うをどうするとかしないとかということでなくてもっと先を見通して灘尾文部大臣の文政はこうであったというような見通しの上に立ったこの問題の処理方法は早くお立てになって、早く御発表になるということが必要だと思います。それが今日国民にこたえる道だと思います。で、すみやかに事態を収拾し、それから勤評問題に対してのいろいろな懸案の解決ができるような具体策を発表してもらいたい。これが第一ですが、これについてはどうでしょうか。そういうことをお考え願えますでしょうか。
  141. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私に対する御希望でございますが、ただいま当面いたしております勤務評定の実施に関する私の考え方につきましては、最初に申し上げました通りでございます。これを実施の線に同って私は努力して参りたいと思うのでございます。願わくはこの実施に対して、先ほど来湯山さんのような御意見を伺っておりますというと、いろいろ参考になる点もございます。ございますが、この実施という問題について、ああいう絶対拒否というような、しかも法に許されないような手段にまで訴えてあくまでも反対闘争をするこの態度をぜひやめていただきたいと思うのであります。そういうふうな状態でなくて、実施は実施でやっていく、しかし、この実施についてまた実行上いろいろ問題が起ってくるということであれば、お互いにすなおな気持でながめまして、改善すべきところは改善していったらよろしいのじゃないかというふうに私は考えます。今府県でやっております実施計画そのものを、金科玉条というふうには考えておりません。その府県の実情に即してきめられたらいいことでありますし、また、一度きめられたことについても、改めるべき点は改めた方がいいと思うのであります。なごやかに、意見交換のうちに行われることが実際私は一番好ましいと思うのであります。現在のいろいろなあの絶対拒否の態度につきましては、どういたしましても私は受け入れかねるのであります。さような抵抗に対しましては、私どもはこの実施の線を曲げるわけには参らないということを重ねて申し上げておきたいと思います。
  142. 湯山勇

    ○湯山勇君 今大臣のおっしゃった中で、それは絶対反対だということに問題があれば、それは問題があるとして、今ここは大臣が私どもの質問の相手になっていただいておるわけですから、私どもまたほかへ向って言うべきことは言う機会があると思います。そこで、文部省の方に要望したいことは、大臣が今ここで絶対反対の態度はどうしても承服できないと言われるのと同じ気持で、国民の中には、私も含めて、絶対やるのだという態度もまた承服できない。このことをどうしても強行しなければならないというのは、文部省自体かたくな過ぎるのじゃないか、もっと弾力性を持って、そうしてこれは万人が納得するという言い方があいまいかもしれませんけれども、反対があれば、反対の人こそまず了解させるというようなことも逆に考えてもいいんじゃないかと思いますので、そういう幅のある態度で根本的な検討をしていく、そのためには、さっき申しましたように、今直ちに、将来は委員会公選ということも考えられると思いますけれども、今直ちにそういうことはできないとすれば、それに近いような性格を持った機関を作って検討する、その検討する機関は、万人が納得するような機関を大臣の責任において設置する、さらにまた、その案については、必ずしも万全とは思わない案であるし、問題の多い案であるから、それではテストをする、テストの結果いいものだということがわかれば、これは実施する。こういった私は幅をとるとすれば、幅のできる余地は幾つもあると思います。今の文部省自身がそういう態度を一応緩和していく方法もあるし、第三春による機関を設ける方法もあるし、あるいは精密な今度は専門家によってテストを行うという方法、もあるし、私は必ずしも今石で手を詰めたような考え方でなくともいいし、むしろ国民全体も、それは批判はいろいろいずれの方向にもあると思いますけれども文部省に対して要求しているところは、やはりそういう点ではないかと思うのですが、これは一つぜひそれらの点について、大臣において御考慮願いたいと思うのですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  143. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) たびたびお答え申し上げたつもりでございますが、現在勤務評定の実施の問題は、かなり進行いたしておりますことは御承知通りでございます。文部省といたしましては、各地方の教育委員会におきましてこの実施に向って努力をしてもらいたいと思っておるわけでございます。従って今やっておりますことをどうする、こうするというふうなことになりますというと、まことにお答えがいたしにくいのであります。テストするとかいうことも一つのお考え方だろうと思いますけれども、そういう建前のもとには進んではおらない。しかし、法の施行ということは、決して改善を妨げるものでは私はないと思うので、やりまして、直すべきところがあれば、また将来直していくという心持ちはお互いに持たなければならないと思うのであります。従って勤評制度というものを全体についてよりよきものにしていく、よりよき実施を見るということについては、不断の努力もわれわれはしなければならぬと思うのでありまして、そういう心持ちは持っておりますけれども、今のこの状態のもとにおきまして私は、ただいま申しましたような私の考えは変更する意思はございません。
  144. 湯山勇

    ○湯山勇君 最後にお尋ねいたしたいのは、大臣は今各府県できめておるということをおっしゃいましたが、その点は私もそうだと思います。しかし、法律にある通りに、実施は市町村教育委員会責任においてやることであって、市町村の教育委員会が実施をきめておるという段階まではまだ行っておりません。これは大臣御承知通りです。府県はただ計画だけであって私は実は昨日人事院の局長にも尋ねてみたのですけれども文部省では期日等も計画の中に入るという御説明をしておったように承わっておりますが、正式の御発言でなかったかもしれません。まあ、それにこだわらないことにして、期日の決定というようなことは、やはり実施の中に入ることなので、そうすると実施はまだされていない。各府県で計画ができただけで、つまり設計図が引かれただけで建築にはかかっていないのです。建築にかかる前に材料検査をするとか、そのほかに、これはたとえて言えばあり得ることなのであって、今府県がこの案でやろうということを決定したことそれ自身がどうこうなるということはないにしても、実施だけはまだこれからの指導なり何なりで、今のような緩衝地帯、緩衝機関を入れる余地があると思いますが、そういう点について大臣の御答弁は何か県段階だけおっしゃって実施の責任者である地教委のことについては、まだあまりお触れになっていらっしゃらないような気がいたします。その余地は多分にあることを私は十分大臣に御認識願いたい。  それからやはり、まあ大体大臣の言われることは私の申し上げることと大体合ってきたのですけれども、ただ一点だけ、どうしても、今のように実施についてのこの線だけは譲れない。これは譲り得る、譲らぬじゃなくて、それだけの幅を持つ御用意があるかどうかの問題ですから、これは一つ大臣としても率直にお聞き入れ願いたいと思うのです。そうでないと、今各府県で計画をきめた、そのことが直ちにもう実施だということになると、これは別な問題が起ってきて、また私はいろいろなことを別にお聞きしなければならなくなりますので、これは意見として申し上げます。ですから大臣が言われたように、もうここまできたのだから、その点ではどうにもならないのだということじゃなくて、府県で作った計画計画として、実施に当っては、これはこの人事院規則もそう書いてあります、実施の前にはテストをするということを要望しているわけですから、そういうことをやって、そうしてその上で最終的に地教委は実施を決定するということであれば、決して大臣の意思に反するわけでもありません。そういうふうにぜひ運んでいただきたいと思うのですが、これは御答弁いただけると思いますし、その通りするとおっしゃられると思うのですが、いかがでしょうか。
  145. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) これはもう湯山さん十分御承知通りでありますが、文部省といたしましては、とにかく実施してほしいというのが、文部省の立場であります。何年何月何日にこういう内容をもって実施しろというような規則を文部省が出しているわけじゃございません。その問題は各地方の教育委員会の問題になっております。各都道府県教育委員会といたしましてまだ現にそこまで至っていないところも何県かございます。大多数の府県におきましては実施計画を定めておるわけであります。その際に実施期日はこうだということも、私はこの実施計画の一部に入っているものと考えている次第であります。そうきまっておりますところでは、市町村の教育委員会もこれに従ってやってもらいたいと思うのであります。
  146. 湯山勇

    ○湯山勇君 最後にしようと思ったのですが、もう一回言わなければならなくなったのです。期日は、実施する期日というものは実施の中に入ると思います。いつ家を建てるというのはやはり実施になるわけで、これは大臣の方がそういう点では専門家ですからよくおわかりだと思うので、もし大臣がそういうことを言われるとすれば、はなはだ私は心外だと思います。人事院でお聞きいただいても、実施期日の決定ということは、実施の中に入るということをはっきり申しておりますから、それは私はその方が正しいと思います。それからそういうふうにかりにまあ期日も含めて決定したとしても、それを採択するかしないかは、地教委の自主性にあると思います、地方教育委員会のですね。いつやるか、それからその通りやるかどうかというようなことについては、市町村教育委員会の自主性にあることで、そこまで干渉は文部大臣としてはなさらないだろうと思います、従来の御方針から申しましても。で、やってもらうことを希望しておられることは、それはもうその希望を捨てよということは申し上げることでもありませんし、そういうことを申しているのじゃなくてそれにしても、とにかく実施に当っては慎重を期さなければならないことは、大臣もお認めの通りなんです。その慎重を期するという意味においてぜひ今のようなテストをするなり、それから第三者によって十分検討するなり、この案が果してこの町村に適当かどうかというようなことは、地教委で検討しなければきめられない問題ですから、それらの点はまだこれからの問題なので、あまりどうしてもやらせるのだとか、そういうことじゃなくて、一つ幅のある態度でやっていただきたいと思います。これはもう答弁はけっこうですから。
  147. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 遺憾ながら湯山委員の御見解と私は多少違っております。都道府県教育委員会において、こういう内容をもって何月何日に実施する、こういうことをきめました場合においては、市町村教委は、これに従って実施すべきものと考えております。
  148. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は昨日実は人事院で確かめて参りましたから、一つその解釈は大臣の解釈であって、それが正しいかどうかということは別だと思います。そこで、間違いだったら大臣大へん困ることになりますから、そういうふうに大臣が今判断しておられるだけであって押しつけられたら因ると思うのです、そういうお考えを。だから、今まあそういうふうに考えておるという、そのことだけで、それだからやらなければならないのだということはちょっと行き過ぎではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  149. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律、この法律の解釈につきましては、まず一つ私の意見を尊重していただきたいと思うのであります。
  150. 湯山勇

    ○湯山勇君 その法律は大臣御承知でしょうけれども、国会でどういう審議をされたかといいますと、七条か九条あたりまでしか行っていないのです、実は国会審議におきましても。実施の責任者は地教委であるということは、これはもう文部省も再三再四答えておりますし、それから、これも記録を出して申し上げなければならなくなりましたが、内藤局長は、四月の九日に、勤評実施の責任者は地教委であって、そしてその県教育委員会計画を実施するしないの決定は、地教委がすると、はっきり書いてありますよ、答えております。ですから、大臣その辺も必ずしも今そういうふうに言われても、以前の考えと必ずしも同じじゃないのですから、だからこのことに関する限り、この法律に関する限り、解釈は最高責任者である文部大臣の解釈に従えとおっしゃるなら別です。そうおっしゃるなら何をかいわんやですけれども
  151. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) この法律の解釈につきましては、もちろん法律の解釈でありますから、どなたがどう解釈せられようと、それは御自由であります。ただ、行政的な意味において考えます場合においては、この法律の解釈については、文部大臣の解釈を一つ尊重していただきたい、これは私の希望であります。私はただいま申し上げました解釈で間違ってはいないと思います。
  152. 湯山勇

    ○湯山勇君 一応まだこれで保留しておきます。
  153. 吉江勝保

    吉江勝保君 湯山委員の非常に詳細な御研究の御質問をいただきまして、私も非常に参考になったのでありますが、少しく所見を異にしておるところや、また事実の少し私どもの見ておりますることで違ったように思いまするところもあるように存じます。そういう点につきまして二、三質問をいたしてみたいと思います。別に湯山委員の御答弁を求めることもなかろうと思います。  まず、問題とされておりまするのは、現段階におきまして、九月の十五日の教員の一斉の教壇放棄と申しますか、こういうような闘争をどういうように未然に防ごうか、あるいは子弟の登校拒否というような問題を避けたい、こういう念願から質問をされておったように存じまして、そういう点につきましては私どもも非常に同感をいたすのであります。ただ、私はこの問題が本日ここで論議をしておりまするというと、いかにも文教関係の方におきまして今まで努力されていなかったかのような印象を与えますので、そういう点について少しく違った立場から御質問を申し上げてみたいと思います。  まず第一に、今回規則が制定されまして勤務評定の規則が制定されましてそれに聴いて勤評が実施を漸次されようといたしておるのでありましてこの勤務評定そのものに対しましてテストの期間をここに置きまして、今しばらくその内容をテストしてみたらどうか。大体こういうお考えが主眼のようではなかったかと思うのでありますが、私の考えまするところでは、もう勤務評定そのものはすでに申し上げるまでもなく国家公務員法が制定になりました昭和二十二年以後におきまして、あるいは地方公務員法におきましては二十五年以後におきまして、それぞれ国家公務員に適用になり実施になり、また、地方公務員にも適用になり実施になっておるのでありまして、残っておりますのが教育公務員、いわゆる今問題になっておりまする先生方、教師の人たち、こういう人の勤務評定だけが今日残されておるのでありまして、わが国におきまする公務員は中央地方合せまして約二百万をこえる公務員がおるのでありまするが、この公務員の中におきまして、現在日教組五十万というておられますが、五十万までもありませんでしょうが、五十万の、二百万のうちの五十万の人たちの勤務評定最後に残されておる段階になっておるのでありまして勤務評定に絶対反対というようなことを打ち出しますることが、私は公務員としてどうであろうかと思うのでありまして勤務評定そのものにつきましては、法律にきめてあり、国家公務員もすでにこれを受け、知事部局の地方公務員もこれを受けておりまするので、勤務評定そのものはこれを認めまして、その内容は教育公務員については、こういうふうな適当な内容で実施してもらいたいという意味におきまして、地方公務員であるところの教員が反対を申し出られるというよりも修正といいますか、意見を積極的に申し出られることは私よかろうと思うのでありまするが、およそ誤解を招きまするような勤務評定そのものを全面的に阻止するようなそういう決定をされ、そういう闘争をされるということは、いかがかと存ずる次第でありまして、しかも、ただいま教育公務員に対しては猶予の期間、テストの期間を置いてやれ、こういう御発言でありまするが、すでに国家公務員につきましては、ここ数年もうやって参り、その実績が国家公務員に上りまして、国家公務員の能率というものは教員よりもずっと上っておる。地方公務員も、知事部局の公務員も、非常にその成績が上っておる。これは勤務評定制度を受けました実績なんであります。それが今日教員に実施されようといたしまして、すでに勤務評定そのものを実施したときには、こういう結果が現われておるということを見ました上で、すでに実施された内容を適当な内容に改めまして、教育公務員に適用しようといたしておるのでありまして、その内容の作り方も、関係のない人が作ったのではなくして、各都道府県教育委員長でありますとか、教育長でありまするとか、一番教育関係の深い人たちが集まりまして、実態に合う一つの試案を作ったのでありまして、それを今度は持ち帰りまして、各都道府県において、その府県のまた実態に合いまするところの実際の案を、各都道府県で作っておるのであります。その実態に合いまするところの案を説明しようといたしましても、教組の人たちはその説明会もボイコットをしてしまって、それを聞こうともしなければ、それに意見も述べない、こういうような期間がすでにどれだけの間空費されてきたかということを申し述べたいのであります。すでに今日言われますような意見を、あの試案を出しまして説明をやり、これを聞いてもらいたいという教育委員会の催しの際におきまして、教組がそれを申されましたならば、私はこういうような事態にならずに、もっと円満な解決になったのではないかと思うのでありまして、(「演説をやらないで質問をやりなさい」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  154. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 静粛に願います。
  155. 吉江勝保

    吉江勝保君 そこで私は、次に意見を述べながら、私の意見が文部省におきましてどういうように御判断になっておるのでありまするか承わりたい、こういう意味で少し長くなって、まことに社会党の委員の方には御迷惑になったかもしれません。そこで、ただいま私が申しましたのは、教員を除きまして、国家公務員、地方公務員については、すでにテストができておる。それを教員についてはまだテストがないから、ここで教員についてはテストをやったらどうか、こういうような御意見のように私も聞いたのでありまするが、事実教員につきましても、御承知のように昭和二十七年から富山県におきましてはすでに適用いたしまして実施をいたしておるのであります。これは私が昨年地方行政の常任委員をいたしておりまするときに、富山県を視察いたしまして富山県の勤務評定状況視察いたしましてすでに昭和二十七年から富山県の教組というものは、勤務評定を受けておるのであります。こういうように、昭和二十七年からすでに八年、九年、十年、十一年、十二年、昭和三十二年まで見ましても、まる五カ年の間すでに教員そのものが勤務評定を受けまして今言いまするような、校長がつけにくいか、あるいはまた地教委がやりにくいか、こういうことにつきまして相当具体的な経験を経ておるのでありまして、その内容等におきましては、幾分違う点もありましょうが、大体におきましてこういう点につきましては、国はすでに経験が積まれておるのであります。しかも、富山県におきましては、従来の内容のものをあまり変えずにやっておるのでありまして、それに、基準に沿うように持っていっておるのであります。こういうように、県々におきまして実情に合うような勤務評定にいたしておるのであります。すでにそのことにつきましては、ここに御列席の方々も御承知のように、日教組の内部におきましてもお認めになっておるのであります。昭和三十三年の六月六日から開きました日教組の第十七回の上ノ山でやった大会でありまするが、この大会におきましても、これはすでに皆様御承知のように、日教組自体が反省をいたしておるのであります。今まで自分らがこういうように富山教組が勤務評定を実施して何らの支障もなかったけれども、今卒然と自分らが反対だということは、これは無理がある、今まで自分らはうかつにこれを見逃しておったのだ、こういうことにつきまして内部の反省もやっておられるのであります。私は、今まで富山県の教組、あるいは他の県にもあります、しかし、日教組の反省会であげておられるのは、富山教組を例に引いておられまするが、たとえばそれを読みますというと、『富山教組をして「従来の勤務評定だけにあまり騒がずに、話合いで解決したいという気持が組合にも執行部にもある』、と反対させる事態になってまた敵に』、敵にというのはどうかと思うのですが、『敵に「今になって反対するのはおかしい」という攻撃の口実を与えてきた』、こういうような批判も内部でされておるのでありまして、すでに昭和二十七年から、教組に対しまする、教員に対しまする勤務評定も実施になっておる。そういうものを、従来のものを実態をよく参照いたしまして、今度できた基準に基いて各都道府県教育委員会がやろうといたしておるのでありまして、そうでありまするから、絶対反対というようなことを言わずに私は、最初からそれぞれの県におきまする実態に合うように、その県の教組が反省をされていったならば、今日のような事態にならなかったのだ。それを、何でもかんでも全面阻止だ、こういうような事態に持ってきまして、いよいよ最後にそれがのっぴきならぬところに来まして、ただいま湯山委員が文部大臣に言われたように、何とかここで猶予期間をおいてみないか、こういう質問になってきた。しかし、それでも私はまだ解決をしようという御努力に対しまして共感を感ずるのでありますが、従来のいきさつが、国家公務員、地方公務員に実施をし、教育公務員にも勤務評定は適用実施になってきたのだ、そういう事実だけははっきりと認めておられまして、その上に立論をしていただきたい。私はこういう点につきまして文部省は、富山県の教組の勤務評定につきましては、調査をされたことがあるか、その勤務評定の施行の状況はどういうふうになっておるかということにつきまして、大臣あるいは局長から御説明をいただきたいと思います。
  156. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 富山県につきましては、先ほど御指摘になりましたように、昭和二十七年から実施しておりまして、別に支障はございません。大へん、富山県の教育の効果は上っておると私どもは考えております。(笑声、「何言っている、それを八百長というのだ」と呼ぶ者あり)
  157. 吉江勝保

    吉江勝保君 そういうようなことを承知されておるならば、私は、もっと大臣も、そういうことの重要な資料は、こういうところでお出しになりまして、はっきりと御答弁にならないと、いかにも全国の教員組合に対しまして、初めて今度勤務評定を強行しておるような感じを国民に与えますので、そういうような点につきまして、文部省に十分に御留意を促しておきます。  次に、今度は少し簡単な質問をいたしてみます。勤務評定というものが行われまするときに、今、騒がれておりまするのは、これを阻止しようとする実力行使なんであります。いわゆる争議なんであります。こういうような労働組合法上におきまして、労使双方がその主張を、経済的な条件をめぐりまして争いまする争議、こういうような勤務評定をめぐりまして両者が争いをしておるような姿を国民の前に見せておるのであります。しかし私は、こういうような問題の一番大事なところは、これは一般争議と同じような対象になるものかどうか。私の考えまするところでは、大体文部大臣も言うておられまするが、これは国家公務員に対しましては、国の行政行為であり、知事部局のものに対しましては、これは知事の行いまする行政行為である、あるいは教育委員会はそれぞれの教育委員会の法に基きまする行政行為でありまして、これは団体、職員団体が団体交渉の対象といたしまして争議のような形で争うことの許されないところのものである、こういうことを明白にまず第一に持ちますることが必要ではないかと思うのであります。こういう点につきまして、重ねて文部大臣に対しまして、国家公務員、地方公務員通じましての答弁としてはどうかと存じまするが、少くとも教育公務員に対しまして、この勤務評定というものは行政行為になっておるのか、闘争の対象、つまり勤務条件というものに解釈されるのかどうか。こういう点の解釈は、最後には国家公務員であれば、自治庁の長官、教育公務員であれば文部大臣が最終的には私は解釈をされる方と思うのでありまして、そういう意味で、はっきりとこれが争議の対象になるところの勤務条件であるのかどうか、そういう点につきまして、はっきり御明答をいただきたいと思います。(「さっきと矛盾するじゃないか、話し合いにならぬ。こういう矛盾したことではだめだ」と呼ぶ者あり)
  158. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 勤務評定の実施は、申すまでもなく、法に根拠を持って、その法の根拠に基いて実施をしようとするものでございます。明らかに私は行政の作用であると考えるのであります。その行政作用をやっておりますことに対しまして、日教組を初め各種の団体の諸君が反対闘争をしておられるわけでございますが、もちろん、これはいわゆる労働争議というような性質のものとは考えません。同時にまた、職員団体の交渉する権利というのも、御承知通り法律でもって制限されておる。勤務条件に関しましては、交渉する権利が認められていることは明らかであります。われわれはこの勤務評定を実施するという問題は、勤務条件の問題ではないとはっきり考えておりますので、従ってこれをめぐって職員団体が交渉をする権利を持つものとは考えておりません。
  159. 吉江勝保

    吉江勝保君 勤務評定は行政行為であるということは、たびたび明言されており、また、これは立場を異にいたしました指導者の人たちも、大体法律を見られる方はよくおわかりになっておるのであります。しかし、地方に参りますと、先生方あるいは先生を指導する人たちは、いやこれは勤務条件なんだ、だから幾らでもこれは団体交渉の対象になるのだ、こういうような解釈をされておるのであります。私はそういう点が世人を非常に誤らせておるということを感じるのであります。具体的にもっと、——こういうことを抽象的に申すよりもはっきり申しますれば、一昨七日の日に私新潟県におきまして、勤務評定、是か非かという政治討論会に出たのであります。そのときに、最後にこの勤務評定というものは行政行為であるかどうかというときに、社会党を代表されております国会議員の方は、いやこれは行政行為ではないのだ、団体交渉の対象になる、これは勤務条件なんだ、こういうようにはっきり政治討論会でもおっしゃっておるのであります。たびたび大臣も言われ、われわれも地方行政委員会におきましても、当委員会におきましても、行政行為をやりまするときに、国家公務員というものがこれに反対をし、阻害する行為につきましては、明らかに限度があるのでありまして、それを越えてやりますときには、国の給与、都道府県の給与を受けます地位から去って自由な人として自由にやるならば幾らでもよろしいが、公務員という立場において、国の、あるいは地方の行政行為を阻害するというようなことは、私は国の給与を受けておる人がやりますることは、これは絶対に考え直していただきたいと思うのであります。  勤務評定につきましては以上にいたしますが、一番最近問題になっております講習会、この講習というものです。私はいかなる講習、理科実験の講習にいたしましても、あるいは道徳教育の講習にいたしましても、講習というもの、これは講習と申しましても研修でありまするが、研修というものは地公法を見ますると、地公法におきましては、第三十九条に、「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない。」ということが地方公務員法に書かれております。(「内容が違うんだよ」と呼ぶ者あり)この研修というものが行われまするときに、職員というものは機会が与えられなければならないという、この機会が与えられました場合に、本人が出席するかしないか、あるいはその研修にどれだけの共鳴、共感を感じるかどうか、あるいは出席いたしましても、自分はそういうようには思わない、これはやむを得ないと思います。しかし国がやりまする、また地方自治体がやりまする、あるいは教育委員会がやりまするこの研修会というものに出席をしようとする人を、実力をもって阻止する行為は、私は教育者として許すべからざる行為であると思うのであります。なぜ、その講習が悪いのならば、その講習を受けた後におきまして、常々と講習の内容を公表いたしまして、こういう講習は自分らとしては満足がいかない、こういうようにその内容について御批判をなさらないのか。講習そのものを頭から受けさせないような、しかも自分自身が出席をしないのならばともかく、人が自由に出席をしようとするのを、それを阻止しようとするような行為に出ておられますることは、まことに私は教育者として、あるいは教育者の団体といたしまして、これは自重をしていただかなければならないと思う。世人は非常にこのことにつきまして憂えているのであります。こういう点につきまして私は文部省が昨日をもって終りました道徳教育の講習会のやり方につきましても、ピケを避けるようなやり方をされまして、いかにも摩擦を避けるという意味ではけっこうであったかもしれませんが、しかし、国がやりまする講習に、あるいは教育委員会がやりまする講習に、こういうようにピケ隊がいるからそれを避けるというような不見識なやり方に対しましては、納得がいかないのでありまして、こういう点につきまして文部大臣の御所見を承りたいと思います。(「文部省が命令を下してやる講習会なんかわね」と呼ぶ者あり)
  160. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 私語を禁じます。
  161. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 最近に行われました講習会につきまして、かなりの人数をもって講習を受けることを阻止しよう、妨害しようという計画があり、同時にまた、それが実行に移されたのでありまして、われわれといたしましては、白昼東都においてさようなことが行われるということが、実に不可思議千万と言わなければならぬ事態であると思いますが、ともかくそういうことがまじめに計画され、また、現実に実行せられるということになったわけでございます。政府としましては、われわれの主催する講習会につきましては、たとえ妨害がありましても、それによって講習会をどうする、こうするということは考えません。しかしながら、そのことが途中において、かりにも何らかの混乱を生ずるというようなことにつきましては、講習会を平穏にやっていくにおきましても、また効果的にやっていく上におきましても困る問題でございますし、受講者も迷惑することでありますし、また同時に、秩序を維持するために多数の警官の出動を求めなくちゃならぬということは、まことに残念でありますけれども、ともかく警官の出動を求めなくちゃならぬ、それだけ警察にもまた迷惑をかける。なるべくならば混乱を避けて所期の目的を達したいというので、数日間御承知のような措置をとりましたわけでございます。何と申しましても、講習会をやるということにつきまして、ああいうふうな事態が起りますことは、返す返すも私は残念に思っているのであります。これからもいろんな講習会をやることでございますけれども、願くは無事平穏に講習が受けられるようにということを心から念願いたしております。
  162. 吉江勝保

    吉江勝保君 さらに、都道府県教育委員会におきましても、県々でさらに研修会が行われると存じます。私はこういう研修会が行われまするときに、先ほども勤務評定を自主的に地教委がやるときには、地教委の自主性を尊重せよというような御発言があったのでありますが、講習会が行われまするときに、それに参加をいたしまするものの自由というものを保障いたしたい。その自由を阻害するような行為はやられない方がよかろうと思うのであります、その内容が悪いのならば、その内容を常々と私は国民の前で論議をいたしまして、こういうような講習は内容がよろしくないと、こういうように言うことが正しいのであり、内容に触れずにただ行為を、自由を束縛するというようなやり方は、民主主義の今日許されない暴力行為であると、私は断定をいたしたいのであります。私は昨日の夕刊に出ておりまする記事を読みました。そしてこういうように新聞におきましても論評されておりますることを皆さんにお聞きをいただきたいのであります。私はこれは労働大臣に出ていただきまして、実際労働大臣からも所見を聞きたいのでありまするが、一応今日は文部大臣並びに各位にお聞きをいただきたい。「文部省の『道徳教育指導者講習会』を、日教組、総評、全学連などがビケを張って阻止しようとし、文部省の方はまた、会場を変えてピケ隊に肩すかしをくわせたり、警官隊の出動を仰いだりする苦肉の策をとっている。どこの国にも見られない、日本独特の光景である。護衛つきで会場に送りこまれた受講者の一人は、「全くの悲劇です」といっているが、悲劇であると同時に喜劇であるかも知れない。  日本独特の光景だという理由の一つは、ピケ戦術の明らかな乱用だからである。ピケが労働争議の戦術の一つとして認められるのは、スト破りに対する対抗手段としてである。労働組合や何かの団体が、ある催しに反対の示威運動をする場合はあろう。だがその場合には、示威運動者は会場の入口に、反対の意思を表示しながら、静かに立っている程度が、許される行動の限界である。入場者を実力をもって阻止したりまでするのは、明らかに行き過ぎである。  文部省が会場の変更をしたのは、ピケ隊との無用の衝突を避けるためという気持も分らないではない。しかし、組合側がピケで、あくまで講習会の開催を不可能にするつもりでいるのなら、それはピケ戦術の乱用だということだけは、ハッキリいっておきたい。  第二に、組合側の行動でフに落ちないのは、この反対運動で何をどうしようというのか、第三者には一向に明らかでないことである。「官製」の道徳基準を、道徳教育の時間の強制的設置で押しつけるのがいけない、というのが、日教組の言い分のようだが、それならそれで、だれが道徳教育の基準をつくり、どういう方法でそれを教えればよいのか、あるいは、道徳教育は現在のやり方で十分で、変える必要はないのだということを、第三者にも納得がゆくように示さねばなるまい。  それをしないで、ただ反対に狂奔しているのでは、反対のための反対だと見られはしないか。しこれは昨日の朝日新聞であります。これは「今日の問題」として取り上げたものです。私はここで文部大臣に伺います。民間の労働争議におきましては、最後には会社がつぶれますので、これは組合側においても、また経営者側においてもやる手離に最後には限度があります。しかし官公労におきましては、官公労、公共心業体はつぶれないのだ、そこには争議の限度があります。国家公務員や地方公務員というものは、これは労働争議が許される立場には置かれておらないのであります。労働法関係のものを適用すべき立場ではない、すべての公務員というものは、すべての人に奉仕しなければならぬ立場に立っておる人が官公労に許されておらぬような労働争議のやり方を、教員の人たちが、人の師範に立つべき人たちがおやりになっているということは、まことに遺憾にたえないのであります。しかし、こういうことを実際やっております。人たちは、私は先生方ではなかろうと思うのであります。ほんとうの日教組の先生方ではないのでありまして、それは日教組の先生のようなカモフラージュをしておりましても、これは先生以外の人たちがほとんど動かされまして、そういう人が日教組の名前をかりまして、こういう行動に引きずっておるのではなかろうかと思うのであります。本日の委員会の発言をみましても、社会党の委員の各位は何とか円満な妥結を見出したい、こういうようなお考えを披瀝されておりますので、私どももそういう意味におきましては、ともにこの解決に当っていきたい、こういうような行き過ぎた行為に対しましては、どうか労働組合の指導者、あるいはそういう方面の代表であられます人たちが十分に行き過ぎをたしなめていただく、こういう立場において御努力をお願いいたしたいのであります。文部大臣は、こういう行き過ぎました行為に対しまして、きぜんたる態度をもちまして筋を明らかにして進めていただきたい。法治国家におきまして、文部省の法を堅持されまする立場に対しまして。声なきと国民の世論というものは、これを支持しておることを信じて疑わないのであります。私の意見を申しまして、最後に文部大臣がそういう態度を堅持されますかどうかをお伺いいたします。
  163. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私はまことに不敏でございますが、文部行政をおあずかりいたしているわけであります。従って文部行政についての責任は全部私が負うつもりでやっているわけでございます。今回の勤務評定の問題につきまして、これはいろいろの方がいろいろな御意見を持つことはよくわかるのであります。反対の方もいらっしゃる、賛成の方もいらっしゃる。それを別にかれこれ申すのではございませんけれども政府なり、あるいは地方の委員会なりの、すなわち行政機関が法に基いて行政をやろうというふうな場合におきまして国会においてわれわれの行政がけしからぬと責任の追及をなさることは、これは御自由であります。ちっとも妨げないところでございますけれども、あくまでも実力をもって、この作業を憎んでおりますわれわれに対しましてこれを阻止する、妨害するということは、これは許されないことではないかと思うのであります。従って反対するにいたしましても、筋道を立てた一つやり方で反対していただきたい、かように思うのであります。いやしくも日本の国として、行政を担当する者といたしましては、不条理な、むちゃな、いわゆる実力闘争というようなものによって、行政の進路が妨げられるというようなことだけは断じてないようにいたしたい。これが私の考え方の基本でございます。ことに公務員の諸君が、公けの仕事を政府なり、教育委員会がやっております場合に、これを妨げ、これに反対するというようなことは、公務員として許されないことと私は思うのであります。願わくばすみやかに一つ反省してもらいたい、こういうような念願に燃えている次第でございます。
  164. 松永忠二

    ○松永忠二君 二、三御質問したいと思います。法務大臣は今見えておりませんようですが、先ほど湯山委員から御質問があったのですが、東京新聞の九月八日の世論調査を見ると、文部省と日教組両方悪いと言っているのが四〇・五%、それから文部省が悪いというのが二〇・六%で、日教組が悪いというのは二〇・五%、こういうふうに出ているわけであります。私はこの世論調査が絶対的なものだということを言っているわけじゃないけれども、やはり今の世論の中に日教組、文部省両方に責任があるのではないかというようなことが、やはり強く一般の世論として出ていると私は思う。文部大臣はこの勤評の問題について文部省のやり方が少し批判を受ける点があるとすれば、どういう点に批判を受けるものがあるというふうにお考えになっているのか、やはりはっきりこういうことについてお考えになっておられると思う。この点について一つ大臣から御答弁いただきたいと思うのであります。
  165. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 外部からごらんになるというと、いろいろ御批判の点もあろうと思うのであります。ただ、今日まで文部省がやって参りましたことについてどういう点がいけないのかというふうなことを、言えとおっしゃいましても、私には申し上げることはございません。
  166. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうなりますと、結局世論が誤解しているというふうにとれます。先ほど湯山委員から、勤務評定をやりさえすれば、人事管理の公正が得られるというように考えているけれども勤務評定そのものは、もうすでに抽象的なものでなくして、具体的に案ができているわけなのです。その案について問題点が多いということを指摘しておられたわけであります。それからまた、大へん長くいろいろと質疑が出たのは、評定者、調整者としての教育委員会というものは、果して妥当なものであるかどうかという点についても意見が出たわけなんです。それからまた、後ほど少し質問申し上げたいと思うのですが、今吉江委員からもお話しのありました点について、これは当初話し合いを十分すべきではないか、現に話し合いをするということを、相当前文部大臣も現在の灘尾文部大臣も考えられておるのに、これは勤務条件の対象にならないから、話し合いをする必要はないというような通達を出すというようなやり方、それから先ほどから言葉を強めて言われているのは、実施を前提にしなければ話し合いはできないのだと、内容のいかんにかかわらず、とにかくこれは実施をしなければできないといったような、こういうまあ極端なことを言えば、強引なやり方、しかもまたもう一つは、文部省責任をもって一つの試案を作ると言ったものが、現実に出されていないというようなずるさというようなものが指摘をされていると私は思うわけですが、やはりそういう点、この世論に現われてきている批判が相当あることについて、先ほどお話しの御回答の点を、もう少しやはり言葉を改めて申される必要はないのでありましょうか。やはりそういう点があると私は思うのですが、率直にもう一度一つお答えを願いたいと思うのです。
  167. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回の勤務評定の試案と申しますか、基準案と申しますか、これについていろいろ御議論があるということはよく承知いたしております。御議論があるということはよく承知いたしておりますが、しかしこういうふうな問題につきまして、おそらく万人が全部賛成するというふうなものはまずないだろうと思う。それから同時にまた、ほかの考え方からして、何とかけちをつけようというような考え方もないとは言えぬと思う。いろいろな意味においての御議論はあろうと思いますが、実施する側におきましては、ともかくまじめに検計いたしまして、まずこの案で行こうということでやっておるわけでございますので、そうなっておりますればやらせて、その実施を見てまた考える。こういうふうにお考えいただくのが一番私はよろしいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。  それから評定者の問題でございますが、これもいろいろな御意見もあろうと思いますけれども、現行法のもとにおきましては、今回地方でやっておりますところの実施計画というものが一番妥当であると考えております。それから話し合いを拒否するというふうなお話しでございましたが、勤務条件でない、従って地公法にいわゆる団体として交渉する権利はないということは、これは申しております。これは法律上の意見でございます。現実に組合の諸君と地方の教育委員会の諸君とが会って、いろいろ意見の交換をせられるとか、話し合いをせられるとか、それを一々けしからぬとか、不都合だとか、やるなとかいうふうなことを私ども考えたことはございません。また現に行われておるわけでございます。ただ願わくば、問題はいわゆる団体交渉ではないのだということを、一つよくお考えをいただきたいと思うのでございます。  それから非常に強引なやり方だということでございますが、今日まで昨年以来の経過をよく一つ御観察をいただきたいと思うのであります。ともかくやろうとしておってもやらさない。話し合いというものは何かといえば、それはつるし上げであるとか、あるいはカン詰であるとかあるいはすわり込みであるとか、こういうふうなことがしばしば行われている。これでは話し合いにも何にも私はならぬと思う。穏やかに、ほんとうに建設的に意見を交換する。それによって教育委員会で取るべきものがあれば謙虚に取り上げていく、こういう姿で物事が進んでいくということが最も好ましいのでありますが、実情は強引なむしろ反対闘争を排除しつつ今日まで行政を進めて参ったというのが私は実情じゃないかと、かように考えるのであります。文部省がずるいというようなことでございますが、どういういきさつであったか存じませんけれども文部省としましては、私はやることなら全国的につり合いのとれた合理的な勤務評定が実施されることが望ましいと思いますが、文部省の連中がそれに対して相談に乗るとか、あるいは指導に当るとかいうことは差しつかえないと思いますが、文部省責任をもって案をきめてこれを強行するというような意味合いにおいて責任があるとか何とかということは、私が申したのじゃないと思うのでありまして、文部省はさような立場で考えております。
  168. 松永忠二

    ○松永忠二君 今のその点については、評定の内容もいろいろ批判はあるけれども、これでいいではないかあるいは評定者の教育委員会のかりに機構でもいろいろ問題があるが、これでいいのではないかというお話もあるわけでありますが、これについてはもうここでいろいろ議論しても対立するだけでありますけれども、今のいろいろ新聞紙上の問題ではここに非常に問題があるということを指摘されておるのであって、文部省が言われるような、大臣の言われることにそのままそうだということを受け取りかねるということを、私たちは申し上げておかなければいけないわけでございますが、特に私は文部省が強く批判を受けておる点について、こういう点にあるということを考えておるのですが、この点については全くの誤解というふうに考えられておるかどうかという点ですが、やはり同じ世論調査の中で、文部省は、勤務評定は絶対に実施をすると、この前提がなければ、勤評の内容については話し合いにも応じないということに対するところの世論の結果を出しておったわけでございますが、それは行き過ぎだというのが七一%ある。しかも、これについては他の問いでもって保守的態度を見せた人たち、それから高年令の人たちにも例外なくこれについては行き過ぎだというふうに出ておったのでありますが、これは全く誤解であるし、理解が足りないことだというお考えであるのか。この点の世論の批判については、大臣はどういう御意見をお持ちであるのか。一つお聞かせを願いたい。
  169. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) どういう方がそういうふうな批判をなさったか、私どもにはわからないのでありますが、従って一がいに言うこともできませんけれども、私はその勤務評定を実施するということが前提であると申しますのは、今日の現在の段階において申し上げておるのですが、すなわち政府といたしましては、昨年以来勤務評定の実施に向って努力して参ったのであります。また、地方においてもそれぞれの立場において勤務評定の実施について努力いたしておるわけでございます。これが一体行き過ぎであるというふうなことは、ちょっと私どもにはわかりかねる御批判であります。(「官僚たちではわからないよ」と呼ぶ者あり)あるいはそうかもしれません。そうかもしれませんが、政府は御承知のように国で定まった法律を執行するのが政府責任であります。その責任を果しておるのに対して、法律のその存在というものを御存じない方があるいは言っていらっしゃるのではないか、こういうような私は気がするくらいでありまして、今やるのはけしからぬというおしかりなら、これは何とも申し上げようがないのでありますが、やるという方向に向って進んでおります場合に、勤務評定の内容のいかんはともかくといたしまして、この制度を実施するということについて、これは行き過ぎであるとかという御批判はちょっといただきかねるのであります。
  170. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点は一つ私の意見を申し上げて、それについてだけお答えをいただきたいと思うのであります。それは私は先ほど質問したと同じように、内容にいろいろ問題があると、従ってその内容にこういう具体的ないい内容があると、そういうふうなことを具体的な内容がよくて、これをやれば、確かに評定の客観性も得られるし、教育効果も上がるという、そういうようないわゆる内容が得られて、それを実施をするし、あるいはそれを拒むというようなそういうふうに行くべきなのであって、実施をするということをまずのみ込んで、それから実施の内容のよしあしというものを話し合いをするというようなことはおかしいという意見だと私は思う。実際問題として、やはり私たちも自信をもって実施をするということであるならば、客観、妥当なよい内容を作ってそれでそれを一般の国民にも示し、そして納得を得られて、そしてその上でそれを実施していくということを考えていくことが妥当だと思うわけです。ところが、その内容のとやかくは別問題である。実施をするということがまず前提なんです。それをのみ込まない限りは、内容の話し合いをしないと、こういう態度では、いわゆる毒まんじゅうを出しておいて食ってからの話だというのと、中に何が入っているかわからないのに、食べてからの話だというのと似たような、全く卑近な例かもしれませんけれども、そういうことになりはせぬか。全く国民の一般の人たちの批判として出ているものは、やはり文部省自身がそれだけの実施についての熱意を持っているとするならば、そういう面についての今具体的に取り上げられているこの勤務評定そのものの内容についても十分な指導と助言、あるいは話し合いも行われて、そうしてそういうものについてこういうふうにやはり実施できるのだという可能性のしっかり証明をつけて、それからやっていくということが必要だという批判だと私は思うわけなんであります。こういう点については全く法律があるのであるから、法律にあることを知らない人の言だというお話しであるけれども、私はやはりこれが最も常識的な物の判断だと思うわけであります。こういう点についてまあどうこうということは、いろいろ意見の対立があるわけでありますので、あえてそれを申し上げませんが、私たちはそういうふうに考えておるわけであります。  そこで一つ、ちょうど法務大臣も見えられたので、一点だけ文部大臣に関係してお尋ねしたいのは、日教組との話し合いの問題でありますけれども、まあ、私たち様子を聞くと、八月の二十七日に文部大臣に会っていろいろ話し合いをしたいという要求をなさったそうであります。しかし、大臣は会う気持がないというようなお話し、いやぜひ会ってほしいというお話が、要求があったならば文部大臣の方では書面で、お申し出の交渉に応ずる意思はありません。御要望の要旨は文書をもって御提出願いますというような内容をもって内藤局長の名前で返事が来られた。その後日教組との間に速達でこれを送ったりしてやっておるというのを私ども聞いておるわけであります。私たちはこういう問題が大きな問題であるし、しかも、当面いろいろ問題も起っていることであるので、大臣が日教組と会うということは、私たちは先ほどお話のあったように非常にいいことだと思うわけなんであります。そういう点を文書で、速達で出したり送ったりし、しかも、会う意思がないというようなことが出ておるのですが、こういう点については、先ほどお話があった趣旨と非常に違うように思うのですが、どういうふうなお考えでありますか。
  171. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 実施が前提だとか、実施が先だとかというようなことを言っている、こういうことでありますが、これはまあ一つ今日の実情というものをよくお考えをいただきたいと思うのであります。日教組を中心とするきわめて力強い、絶対拒否の反対運動が行われておるのであります。全面的に拒否する、あらゆる手段に訴えてこれを拒否するというような、きわめて強力な反対運動が行われておる中において私はものを申し上げておる、こういうふうに一つおくみ取りを願いたいと思うのであります。私はこの勤務評定の実施という事柄については、政府としてはどこまでもやるつもりでございます。これに対しまして理不尽な、まあいわば、むちゃな実力闘争というようなことによって、この政府の行政方針を変えるわけには参らない、どこまでも実施の線を押し進めて参りたいと思うのであります。先ほど吉江委員からのお話もありましたが、事の起りました当時から、穏やかにお互いに建設的な話し合いをしておれば、こういう事態もあるいは来なかったかもしれない、こうも思いますが、とにかく内容が問題じゃない、頭からこれを拒否する、こういうことでの御議論ばかりでありまして、しかも、それが実際に実施されておるわけでありますから、政府としましては、そういうふうな反対闘争の前に屈するわけには参りません。どこまでもこれを進めて参りたいという考え方を持っておる次第であります。  日教組との話し合いのことについてのお尋ねでございますが、確かにお話しのように、日教組の方から私に対して会見を申し込み数カ条の項目をもって交渉したいということのお申し出があったのであります。その問題につきましても、やはり現在かようないわゆる実力闘争を毎日々々繰り返しておられる日教組の諸君が、勤務評定の問題その他について 一体私に何の交渉をせられようとしているのかそれが私にはわからない。私どものものの考え方というものは、しばしば国会におきましても明確に申し上げておるつもりであります。ですから政府なり、あるいは文部大臣なりの態度なり、方針というものをよく御承知だと思う。しかるに、そして切に反省を私どもはお願いしておる、それに対しまして毎日ああいうふうな反対闘争をなさる、そういうふうな状態のもとに交渉を申し入れるということは、一体どういうことであるか私にはわからない。でありますからして、私は特にまた日教組と私はものを交渉するというふうな立場にはいない。これは最初に私文部大臣になりましたときにも、日教組の方に交渉とか、談判をするつもりは私は持っていないということを申し上げたことがあるのでありまして私はいわゆる日教組との団体交渉をやるというような気持はさらさらございません。従って交渉の申し入れにつきましては、これは応ずることができないと申し上げました。もし何か私に御要望があるというならば、書面をもってお出し願いたい、こういうふうにお答えを申し上げたわけでありますので、さよう御了承を願いたいと思います。
  172. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点はあなたの前々からの持論であるわけでありますが、私たちの聞いているところでは、勤務評定だけではなくて、ちょうど予算編成期であるので、教育予算の問題であるとか、あるいは給与の問題等含めて話し合いを持ちたいというようなことが要望されている。こういうことにまで、いや話をすることがあるなら文書で書いて出してこいというような言い方をなさるよりも、やはりお会いになってお話をなさり、また、勤務評定にしたところが、先ほど申し上げましたようにあなたの方から、あるいは先ほどから話のあったように、実費的に実施を前提とした場合には、こういう最もよき案があるというようなところまで、突込んだ内容を持った案をもってお話しなさるならば、そのときの状況はまた別だと私たちは考えているわけですが、ただ実施を、のむかのまないか、のまなければ話はしないぞということで、ただ一本やりでやられるということならば、片方もやはり同じ態度で出てくるだろうということは、先ほどからたびたび論議のあったところであります。それで私たちも、向うもそういうことをやるなら、こちらもそうだというお考えもおありとは思うわけではあるけれども、とにかく教育行政の円滑な運営をはかる責任者である文部大臣として、とにかく要求項目の中の勤評については話し合わないとしても、この項目については話し合おう、何もそれを文書で書かないでも日で、説明したいということならば、日で説明をさして聞くというようなそういう態度がやはりすべての問題を解決する根本だというふうに私たちは思うわけです。話に聞けば、十二日あたりには再度交渉を持ちたいというようなことで要望をしているけれども、それに対して拒否的な態度であるというお話を聞いておるわけです。大臣としても、十五日という当面の問題等についてやはり向うから話し合いがあるし、勤評の問題について話し合いがあるとするならば、積極的に私は応じて話し合いをすべきだと思うのですが、こういう点はいかがなものでありましょうか。
  173. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 私はいろいろな問題もあるわけでございますが、何と申しましても、今日一番大事な問題は、勤評問題実施をめぐっての問題だろうと思う。この勤評問題実施をめぐっての問題について、一体日教組は何か変ったお考えでもあるのかというようなことを思うわけであります。(「聞いてみなければわからぬよ」と呼ぶ者あり)日教組の諸君と交渉する意思は今までもございませんし、今後もないつもりであります。もし御意見があれば、御要望があれば伺う、あるいは御質問があればこれにお答えするというようなことは、何ら差しつかえございませんけれども、いわゆる団体交渉みたいな形において、私が日教組の諸君と会う意思はないのであります。また、そういうことがいろいろな問題についていろいろ問題を残しておる。私はやはり物事は筋道を立てて、その筋に乗ってのお互いの関係を保って参りたいとこういうふうに思っておる次第であります。今日教組がどういうつもりで何か言っておられるか、それは存じませんけれども、相変らず今日のような態度をおとりになり、相変らずあの闘争態度をもって物事を進めておいでになるというのでありましたら、私は今日の場合お目にかかっても意味がないと思う。(「話し合ってもいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
  174. 松永忠二

    ○松永忠二君 まあ当面の、十五日の問題等について、国民も非常な関心を持って、何とか方法はなかろうかというのが全体の意見だと思うわけであります。そういう点についてむだであったとしても、向うから積極的に会いたいという話があるならば、そういうふうなことについて筋を通してあなたが御説明をなさることが、一番筋を通す方法だと私たちは思うわけであって、その態度を改めてこなければ会わないぞというようなことが、一体大臣としての態度なのか、それともそれを前にしていろいろと話し合いたいということをそのままに受けてその場において大臣の筋を通した御説明もなさるし、また、そういうことについて向うの態度を聞くし、あわせてまた、大臣としての要望される点があると思うわけであります。そういうことをやはりやってもらいたいし、そういう努力も重ねてほしいというような、また受けてほしい。結果はどうなったとしても、やはりそういうふうな態度で大臣に対処してもらいたいというのが、私は国民の全体の意向だと思うわけです。やはりこの事の成り行きいかんにかかわらず、また、その筋道のいかんにかかわらず、やはり筋を通してその態度を御説明なさってお話し合いをなさるのが妥当だと私は思うのですが、やはりそういう点については、(「だめだよ、むだだよ」と呼ぶ者あり)もう会う必要はないというようなお考えなんですか。(「寛容の徳がないんだからつっぱねるだけだ」と呼ぶ者あり)
  175. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今日までの状態から申しまして依然として同じような状態のもとにお目にかかりたくない。また、会うとしましても、どういう用事で、どういうことで会うということなら、またそのことによっても考えなくちゃならぬと思いますけれども、ただ勤務評定に関する件、何とかに関する件で、大臣に交渉を申し入れるというようなことでは、お目にかかるわけには参りません。
  176. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点は一つ前の松永文部大臣が東京都における一斉休暇のときにも、そういう事態の際にも、とにかく最大の努力をなさったわけなのであって、やはりその大臣としての態度を御説明するという意味からも、そういう点についてはその会う人の数とか場所とか、そういう点については希望は述べるとしても、一応やはりそれを受けて話し合いをもって最後の大臣としての努力をなさることを、私どもとしては希望もするし、おすすめもしたいわけであります。  そこで、今警察庁の長官と法務大臣がおられるようでありますが、警察庁の、長官に今日全国の管底の警察局の公安部長会議をお開きになったということを聞いておるわけでありますが、ここで今度の十五日の問題等についてどういうふうな、つまりお打ち合せをなさり、また、御指示をなさっておるのでありますか。ここでお話しできる範囲でお話しを願いたい。それが一部新聞にも出ておりましたので、もし、(「もしじゃないよ」と呼ぶ者あり)話し得る内容であるならば、一つここでお話を願いたいと思うわけであります。
  177. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 本日管区の公安部長会議を庁内で開いておるわけであります。これは大体年に数回行政の報告とか、そのときに注意すべき事項等についてやっておることでございまして、今回もそういう趣旨で集めておるわけでございますが、しかし、ただいまお話しのように九月十五日に行われます一斉休暇等につきましては、事態によりましては、違法行為も発生するおそれがあるわけでございまして、そういう点についても十分に慎重に、正確に事を運ぶように注意を喚起することにいたしております。
  178. 松永忠二

    ○松永忠二君 新聞等の報道によりますと、違法行為は見逃さない。警察庁の態度として。そうして今度は早期検挙に重点を置くというようなことがまあ出ておったわけでありますが、こういう事柄について警察庁の長官としてどういうふうにお考えになっておられるのか、その点をお聞きしたいわけです。
  179. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 警察の任務は、法の厳正なる執行というところに大きな重点があると思います。従いまして今度の勤評問題等につきましても、前々私申し上げておることでございますが、この勤評に反対するとか、あるいは賛成するとか、そういう態度そのものについて警察がどうこうという問題がないことは当りまえでございますが、その行為が賛成の運動にしろ、反対の運動にしろ、法に触れるような行為がある場合には、これは違法行為を見逃さないということは、当然の責務だと考えております。それから、ただいま早期検挙ということでございますか、私まだ夕刊を見ておりませんが、早期検挙ということは、やはり事態によると思うのですね。(「どういう事態だかはっきり言え」と呼ぶ者あり)早期検挙をしなければならぬ場合もあるだろうし、それから慎重に検討した上で検挙しなければならぬ場合もある。その事態の態様によって私はきまるべきものであって今回の事案については、早期検挙でなければならないというようなことは、指示していないつもりでございます。
  180. 松永忠二

    ○松永忠二君 そうすると、その他の言葉では現行犯でも検挙するとか、あるいは早期検挙に重点を置くとかということが、相当大きな活字で警察庁の今度の行動に対する態度だというようなことを書かれておったわけです。そういうことはないということであって要するにやはり厳正な執行ということを考えておるのである。しかもなおかつ、事態については違法行為もあるかもしれないので慎重を期してやりたいという、そういう態度であることは変りはないわけでありますか。
  181. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 法の適正、厳正な執行ということに重点を置いております。
  182. 松永忠二

    ○松永忠二君 法務大臣にお聞きをしたいんですが、七月十七百の全国の公安労働係検事会同で、法務大臣は一斉休暇や職場大会闘争は、従来の違法争議の行為に比べて捜査権の発動についてきわめて複雑困難な問題を含んでいるから、これについての処理については、十分な準備と対策が必要だというふうなことを訓示をされておるというふうにまあ聞いておるわけであります。で、こうした考え方には、やはり変化はないというふうに考えるわけなんですが、いかがでありますか。
  183. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお尋ねの七月の十六日でございましたか、全国の公安労働担当の検事の会同を開催いたしまして、私からもただいま御指摘がございましたような訓示をいたしました。ただいまにおきましても、もちろんこの気持に変るところはございません。検事諸君がただいま御指摘のような私の説に対しまして、これを誠意を持って公正に順法してくれることを、将来とも期待いたしている次第であります。
  184. 松永忠二

    ○松永忠二君 長官と法務大臣からお答えを願いたいのですが、この地公法の六十一条の違法な行為については、これがその事前にも検挙をするということは考えられるというようなことを一部に伝えられているわけです。こういうことについては、私が今大臣や長官から御答弁のあったように、厳正な執行というような意味から考えてみて、こういうことはあり得ないことだというふうに私たちは考えているわけです。そういうような解釈で間違いないと私たちは思うのでありますが、大臣と長官から一つ御答弁願いたいと思うわけであります。
  185. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは法理解釈としては、私は事前においても発動ができると考えます。しかしながら、私はいろいろの機会に、この種の問題について意見を明らかにいたしておりますが、これはそのケース、ケースによって当然異なるべきことは申すまでもないことでございます。一がいにどういう場合にということは申し上げ得ないわけであります。
  186. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) ただいま法務大臣からお話のありましたのと見解は同一でございます。と申しますのは、この教唆、あおり、そそのかすということは、一応法理的には独立罪ということでございますので、事前に検挙はできない、常に絶対にできないものであるというふうには理論上はならないと思います。しかし実際の場合におきましては、あおり、そそのかしの事態がどういうふうになっているかということを究明する必要がありますので、多くは事後検挙ということになると思います。
  187. 松永忠二

    ○松永忠二君 地公法の六十一条には、違法行為の遂行というような言葉がはっきり出ている、「遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者」というのが出ているわけです。従って私たちはこの遂行というようなことは、全部にわたっている事柄であるので、現実的に行動が行われない、事前にこれを共謀し、そそのかし、あおったというようなことをもって、これを事前に検挙をするということは法的には考えられない。また同時に、事実問題として今お話の出てきたような厳正な執行というようなことを考えてみるし、またあわせてこの容疑、こういう地公法六十一条の容疑の備うべき条件というのは、一体どういうふうに考えておられるのか。その条件をここで考えてみたときに、当然それは遂行ということとからみ合せて、容疑の条件がととのってくると私たちは思うわけであります。こういう点について重ねて一つ法務大臣その見解を明らかにしていただきたいと思うわけであります。
  188. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどお答えいたしましたように、法理上の問題としてはできないことはないと申し上げたと同時に、厳正にこれを執行するということから申しまするというと、たとえばあおり、そそのかし、あるいは指令を出したというような事実が明白で、証拠上も明確にこれがなっているというときでなければ、これは現実に捜査をいたさないのが、私どもの建前でございますから、実際の問題としては、そのケース、ケースによって証拠関係その他によって現実の捜査権がどう発動するかということは場合によって異なるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、一がいに言うことはできない、こういうふうな考えでございます。
  189. 松永忠二

    ○松永忠二君 実際問題として、今後ほど説明のあったように、容疑の条件の備うべき条件というものを考えてみましたときに、それは現実的にその遂行がなされない、事前にそういうことの条件が揃うというようなことは、普通の場合考えられないので、こういうことは法的には実施できないというふうに私たちも思っているわけであります。そこで特に警察庁長官に、伝えられるように違法行為があった場合には、早期検挙をするということに重点を置くのだと、今度の場合に重点を置くのだというようなことは、全くのこれは誤解である。これは先ほどお話しのあった通り、厳正な執行をなさることであり、厳正な執行ということについては、容疑の条件についても十分な調査がなされなければできないと思うわけであります。特に今までの事例を考えてみても、佐賀においても二月十四日に起った事件が、事実上被疑者として取調べの行われたのは四月の二十四日である。あるいは東京においては四月二十三日が六月八日に逮捕が行われており、和歌山等においても二月程度の十分な余裕が持たれているということを考えてみたときに、こういうふうな報道というものは、全く誤まった報道であると私たちは思うわけであります。また、こういうふうなことを前提として、今度の問題に対処をしていくというふうな考え方は、正しい厳正な法の執行にはならないと私たちは思うのでありますが、その点は私の今申しました検挙については、長官はどういうふうなお考えをお持ちなのでしょう。
  190. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 早期検挙ということを事前検挙というふうにお考えにあるいはなっておったのではないかと思いますが、そういう意味におけるところの早期検挙ということは考えておりません。ただ証拠も十分に備え、そういうことについては慎重にやらなければなりませんが、この前の四月二十三日の問題にしましても、今ごろになってなぜ検挙をするのかといりようなおしかりもあったようなことで、われわれは慎重に慎重を重ねてやっておったことでございますが、そういうおしかりを受けておる。従ってあまりにも時間を、慎重にはやらなければなりませんが、できるだけ皆さんの記憶のはっきりしている間、そういうときに検挙するということは、これは考えられるのでありまして、必要な時間というものは当然要しなければならない。しかしながら、これをあまりにも長引かせないように注意する、慎重に、しかも確実にやるという意味において検挙の問題を考えておる、こう考えております。
  191. 松永忠二

    ○松永忠二君 初めに返って再度念押しをするわけでありますが、この事柄について早期検挙に重点を置くというような、そういうふうな態度を持っておるわけではない、この事柄に関して、それはそう確認してよろしゅうございますね。
  192. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 原則論といたしましてできるだけ慎重にやるが、時間をなるべくかけないでやるということは、これは捜査の常道でございます。しかし、今度の事件をことさらに早期にやる、急いでやっちまうというような考えを重点にはいたしておりません。
  193. 松永忠二

    ○松永忠二君 そこで、長官と法務大臣にお聞きをしたいのでありますが、和歌山においていろいろな問題が起っておるわけでありますが、衆議院の文教委員会でも問題になりましたのは、警棒使用規程の乱用といいますか、本日のデモ隊に対しては、警棒を使用せよというようなそういう命令というものが事前に出されていたというようなことも指摘をされたわけなのであります。それについて長官等、十分調査をし、また善処をしていくというようなことについても御答弁があったと思うわけであります。そういう点についてどういうふうな一体措置を現実におとりになっているのか。また、もう一つの点は、合せて法務大臣にお聞きするわけでありますが、その際和歌山で右翼の団体がデモ隊に対し、あるいはすわり込みの者に対して暴行を働いたということも、事実として委員会等で論議をされたわけでございます。で、こういうふうな事柄は、たとえば今度好むところではないとしても、あるいはそういう事態が起るというようなことをわれわれも心配をするわけでありますが、そのことについて、前の和歌山の事例等から考えて、この右翼の団体に対する対策、また警棒使用規程の問題等についてどういうふうな措置を一体とられて、今度の場合にそういうふうな不祥事を避けていくということを考えておられるのか、そういう点について大臣並びに長官から御回答いただきたいと思うわけです。
  194. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 警棒使用につきましては、和歌山の場合におきまして、十五日には使用を許しておりません。十六日の五百名程度のデモでございますが、これは事前情報におきましても、かなり先鋭にわたる場合があり得るということで、これに対しては、やむを得ない場合は警棒を使用して、たとえばジグザグ行進等の規制をするということを認めておったように報告を受けておるわけであります。しかし、その際といえども、常にこれはいたすことではございますが、本部長、そのまた部下の指揮官等から十分な注意を与えておるわけでございます。今度の勤評反対の九月十五日、これはそういう事態が起らないことを切に望むわけでありまふすが、この場合に、警察庁といたしまして、その際に警棒をどう、使えとか、あるいは使うなということは申す立場にもございませんし、これは各県々々の実情に応じて、われわれが平素教育し、注意しているところに従って、本部長の責任において考えておることと思います。  それから右翼の問題でございますが、これは、たまたま和歌山におきましてすわり込みの際に、右翼の、右翼と申しますか、勤評賛成派の者がそこに参りましていろいろと小競り合いが起った事実は聞いております。その前から、いわゆる右翼という者が数十名和歌山に入り込んできておる、そういうことで、これらと勤評反対の連中との間にトラブルが起らないようにということは、再三注意、警告をいたしておった次第でございまして、不幸にして当日十六日、本町二丁目で、これは勤評賛成派の車とデモ隊とが触れて、そこでお互いの争いになって混乱が大きくなるという一つの因子になったかと思います。またすわり込みの際にも、小競り合いがあるというような事態が起りましたが、その前におきましても、またはデモ行進の際におきましても、すわり込みの際におきましても、これらの者については十分に注意警告をいたしておったように報告を受けておるわけであります。今後もこうした右翼、いわゆる右翼等の動きについては、やはり事の混乱を招くような事態に至らないように、十分注意をし、警戒をいたすつもりでおるわけでございます。
  195. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 大体警察庁長官からお答えいたしました通りでございまして、特につけ加えることもないのでありますが、ただ、問題の一番大切なところは、あらかじめ右翼と結託して云々というようなお尋ねであったかと思いますが、そういうことはないのでございましてその点について、ただいま警察庁長官の申し上げた通りで、当局側としては、あらかじめ右翼が策動するというようなことについては、特に意を用いたのでございまして、そういうことはございません。それから第二の点で、具体的にただいまも御発言があったようでございますが、衝突があったかどうかという点でございますが、これは御承知のように、今双方から警察庁としては告発の受理もいたしておるようなわけでございまして、それらの捜査が進むに従って、事態ははっきり申し上げ得ると思います。しかし、ただいまの私の心証から言えば、勤評に賛成だというものを、すべて右翼だと断ずることは私は行き過ぎであると思います。およそ右翼といい、左翼といいましても、左翼の方にもいろいろあるようでございますが、私は勤評に賛成する団体、あるいはそれが行動を起すということそのこと自体は、私はいわゆる右翼の範疇に入るものなりやいなや、こういう点について、私のただいまの心証といたしましてはそうではない、こういうふうに考えます。
  196. 松永忠二

    ○松永忠二君 私が質問いたしましたのは、和歌山においても、この事前に亀田議員が、右翼の問題について警察本部長に対して、特に衝突を避けるように警戒を厳重にしてほしいということを、事前に要望されておる、そういうふうな中でああいう事態が起ってきているということ、それからまた大臣は、私の言葉を誤って聞いたでありましょうし、またあとの方で、賛成をする者がみな右翼だというふうに私たちは言っているのではなくて、もうすでに現実に私の県庁あたりにも、右翼の団体が県庁に出て来てビラをまいているわけであります。そういうことをやっているわけなんであります。そういうことを考えてみたときに、今度もし混乱が起ると予想した場合に、一番十分対策をしておかなければならないものがこれであるということについて、私は別に異論のないところだと思うわけであります。また、この警棒使用規程についても、この前は本部長のあれであるとはいうようなものの、これについてやはり行き過ぎがあったというような事実等についても、指摘もされているわけであります。今度の場合に、長官やあるいは法務大臣は、どういう混乱が起るであろうというようなやはり予想を立てて、その予想の上に立って対策というものを立っていくということが、やはり必要なことではないか、そういう意味において、右翼の団体に対する対策を、特にどういうふうに考えておられるのか、前の事例から考えてみて、やはり明確にしておく必要があるのではないかということを、私は質問をしたわけであります。そういう点については、ただ抽象的に十分に注意をするということであるけれども、現実にそれについて、特にこういう問題について、各県の本部長等において、十分な指示をなさって万全を期していくというようなお考えを、具体的にお持ちなのかどうか。そういうことを私はお聞きをしているわけであります。
  197. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 右翼につきまして、この右翼と申しましても、いわゆる昔言われております右翼団体といわれるものの構成員が数十名入っておったということを、私さっき申し上げ、それから右翼とは申せないが勤評賛成であれは何と申しますか、日本教育対策協議会というのの宣伝カーが、本町二丁目でデモ隊と衝突したということを申したのでありますが、これについて、この事件のあります前から、あの和歌山におきまする大会前から、十分に関係者に注意を喚起して、当日もデモ隊と並行して、そのオープン・カーが走っているのに対して、お互いに悪口を言い合っているというようなことに対して注意、警告も与えておったようなわけでございます。これは決して私は警察が、そういうことの措置を怠ったとは考えておりません。ただ御承知のように、そういう賛成派の行動であるにしても、あるいはいわゆる右翼であるにいたしましても、これが不法越軌の行動に出ない限りにおいて、これを取り締るすべはないわけなのであります。従ってできるだけ衝突を避けるというようなことについての措置はいたしますが、これは、勤評賛成派、勤評反対派ともどもに注意を喚起いたしているような次第でございます。  それから警棒につきまして何か行き過ぎがあったというふうなお話しでございますが、私どもの今まで報告を受けておりますところでは、全体として行き過ぎがあったというふうには考えておらないのであります。もちろん、被害者、けがをした者等から、警察官が告発を受けております。これは検察庁に告発されておりますので、検察庁のお調べによって事態は明らかになると思いますから、全然一人も行き過ぎがなかったということまで、私は申しませんが、全体として、いかにも警棒使用についてずさんであったために、はなはだしい行き過ぎがあったように言う方もございますが、われわれはその点は認めておらないのでございます。  それから右翼があったために、あるいは勤評賛成派があったために、非常な混乱を生じたということも言われますけれども、これは私は、本町二丁目においては一因子にはなった。一因子にはなったけれども、その前にデモ隊が道幅一ぱいにジグザグ行進をしてこれに対する規制をせざるを得ない状態にあって、規制をしたのに対して抵抗をしてきたということで、けが人が非常に出たわけでございまして、これはいわゆる勤評賛成派と反対派の衝突のためにのみ混乱が起きたというふうには、私どもは考えていないのであります。また、すわり込みの際におきましても、確かに先ほど申し上げましたように、小ぜり合いがございました。しかし、これを制止しまして、このまま放置しては事態が非常に紛糾するおそれがあるということで、数十回にわたる警告の後に、二時間ほどすわり込んでいたものをやむを得ず解散の措置を講じた次第でございます。この点も右翼がおったために、あるいは勤評賛成派がおったために、あのすわり込みがああいうふうにふしだらに続けられ、またこれを解散させるのに非常な混乱を生じたという事態は、必ずしもそれが原因だというふうには言えないと私は考えます。
  198. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっと私、今の柏村長官の御答弁に関連して、私は和歌山の十五日、十六日、現場におった者として、また十六日に調査に当った者としまして、こういう点について疑義を持っております。十五日は無事に済みましたが、これは約三万人の人が反対の大会に集まりました。そのときには、この賛成派、いわゆる長官の言われる賛成派が飛行機で相当ビラをしつこくまきました。そうして会場の入口で、社会党の政策審議会長をしている勝間田清一君が入ってくるときに、こう胸ぐらをとってきた団体があります。これは明らかに右翼暴力団と私は見ております。しかしながら、三万のこの日教組関係者が集まっているので何らその日は、ジグザグ行進も多少あったようですけれども、何らトラブルはなしでした。翌日はわずか三百五十人から五百人の者しかいなかったのです、こちらの勤評反対の連中は。それにもかかわらず、私は面接国警の警備部長に亀田君らと一緒に尋ねたのですが、警備部長の答えでは、朝のうちにすでに警棒使用を許可したということです。これは私にはどうしてもわからないのです。前の日は三万からの人がおった。そして右翼、いわゆる右翼団体が相当策動したにもかかわらず、警棒使用を命じていない。ところが二日目の十六日には、わずか三百五十か、五百くらいのデモ隊しかいないのに、朝のうちから警棒使用を許可しておるのです。そこに、私の疑義は、いわゆる右翼団体と称するものが相当活動する。そこで混乱が起きるということを前提にして、警棒使用を許したのだと私どもは見ざるを得ない。すなわちすでに右翼が策動をするということを見通しておったということ、そこに何かその右翼と警察との関連があるのではないかという疑義が生じてくるのであります。そして事実、いわゆる右翼の車がデモ隊を目がけて、非常なスピードを出して突っ込んできたのです。これははっきりしておるのです。突っ込んできたのです、向うから。そしてそれから混乱が起ると同時に、警察隊が警棒を使用した。しかも、警棒は防御でなくて、上段からきたことは、たくさんの証拠があります。目撃者がありますし、傷のあとがあります。それからいわゆるすわり込みの中に、右翼団と同時にごぼう抜きに警官隊が入ってきた。それも警棒を上段から振りかざして入ってきた。そうして婦人の足を、二人の警官が婦人の両足を引きずって車にほうり込む、警察陣営に引き込んで、ほとんど瀕死の数十人の負傷者を出しております。こういうところで、今の長官の、あるいは法務大臣の、右翼団体と警察とは何らの関係もなかったということに対しては、私どもは疑義を持たざるを得ないのです。わずかの者がデモをやるときに警棒使用を許可しておる。それも午前中から許可しておる。そしてこの負傷者も、非常な大きな負傷者、ことに同志社大学学生ですが、頭部を割られて人事不省に二日間陥っている。今なお病床にあります。こういうことは、これは早期逮捕とか、今度の十五日に対する長官のお考えの中に、そういうあやまちを犯さないような十分の警戒を私ども希望しておるわけですが、右翼といっても、ただ賛成する者はすべて右翼とは私どもは考えておりませんけれども、明かに暴力をもって臨んできたところの団体でありましたからして、私どもはこれを右翼暴力団というふうに当時呼んだのです。警察も暴力団が入ったということを認めておりました、そのとき。で、そういう点について、長官が当面の責任をとられる方ですから、この長官の心がまえを伺いたいのです。
  199. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) ただいままず第一点といたしまして、十五日には警棒を使わせていないにかかわらず、非常に数の少い十六日に警棒使用を認めたということについて、何か右翼との衝突があることを予想してそういうことを許したのだろうという委員長のお話しでございますが、少しその点を申し上げますと、十五日は非常に注意深く社会党の方々も御指導になり、そうしてもちろんその中に相当先鋭分子も入っておりますが、全体が私どもはあそこに集まったのが一万ちょっとと思っております。従ってデモに参加したのは七、八千人ではなかったかと思いますが、そういう全体としてはさほど過激なものではないのであります。ところが、十六日に予定されたデモの参加者は全学連であるとか、これを中心としまして相当先鋭な分子が入っておる、しかも、警察の入手した情報におきましては、これは百パーセント確実とは申し得ないと思いますけれども、この十六日のデモに参加する連中の言として、和歌山の警察は大したことない、きょうの状況を見れば大したことはない、こちらの相当数をもってすれば、あんなのやっつけてしまうのは何でもないというような情報も入手しておったわけであります。従って、これはことによると、かなり荒れることもあり得る、荒れないことを望んでおりますが、荒れることがあり得る。従って警棒使用を許可したと申しますのは、そうした道幅一ばいにジクザグ行進をし、何回の警告にもこれを聞かないというような状況のときには、いわゆる警棒を横がまえにしまし、てこれを制圧する、規制するということは、これは一般市民の交通を確保する、商店街等の迷惑を起さないようにするという意味からして、警察の私は当然の職責だと思うのであります。従いましてそういうことが起った場合については、ときに素手でなし得ない状態も起ることがあり得るという判断に立って、時間は私存じませんでしたが、今委員長のお話によると午前中確かにそういう情報を入手したあとに、そういう警棒使用の許可を与えた。しかし、これは警棒を使用しろと命じたことはございませんが、そういう事態が起ったときには、警棒を使用してもよろしいということを一般的に与えておる。現実の使用については、その部隊の隊長がこれを命ずるということになるわけでございます。それから今振りかぶって、それは確かにけがした人も出ておるようでありまして、それが何によってのけがであるかということは、糾明を要する問題であろうと思いますが、私は警察官によるけがが全然なかったということを申しているわけではございませんが、少くとも警棒を振り上げたことはあった、ということは、旗竿等でなぐりかかってくるというデモ隊があるわけであります。その証拠には警察官の人さし指のつけ根のところに傷を受けた者が相当あるわけであります。これは自分の警棒で人さし指をけがするわけでなくて、人になぐりかけられたのを受けて、つばのない警棒のために指のつけ根が打たれるということがあり得るわけでありまして、委員長のお話しでございますが、私どもとしては検察庁に係属した事件については、十分に御糾明を願いたい、反省すべき点は反省しなければならぬと思いますが、決して右翼との衝突、いわんや右翼との結托というような問題を前提として警棒使用というものを許したということは絶対にございません。その点は御了解を願いたいと思います。
  200. 吉江勝保

    吉江勝保君 簡単に、今の問題はもう少しはっきり御説明願いたい点がある、というのは、十五日の日に負傷をした者が警察側には何名ありました、そうしてデモ隊側には何名あった、十六日の翌日には警察の方に何名の負傷者があってデモ隊に何名あったというふうにですね。その負傷者につきましてもおよそとか、ざっとこう話しておりますが、そういう抽象論で警察官が負傷したとか、デモ隊がけがしたという議論でなしに、もう少しそういう問題を取り扱うならば、はっきりと、デモ隊側にはこれだけの負傷者がある、こういうように数字もはっきりおっしゃっていただきたい。(「質問のポイントをしっかり」と呼ぶ者あり)
  201. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) ただいまのお尋ねでございますが、八月十五日には、これはただいま委員長のお話しにもございましたように、全体としては大したトラブルはなかったのでありますが、一部ジグザグ行進を規制した際に、巻き込まれたりなどしまして、警察官が十五日に十七名負傷をしております、それから八月十六日には全体で六十五名負傷をいたしているのであります。(「どっちが……」と呼ぶ者あり)警察官でございます。それから(吉江勝保君「両者の」と述ぶ)デモ隊の方は、十七日に、これは向うの発表でありますので、何か二十数名かと思いましたが、それから十六日には百数十名という発表でございますが、その実態は警察の方には、現在まで少数をのぞいてはわかっておらないのであります。これは警察といたしましては、こちらの負傷はよくわかる、また逮捕した者の負傷というものは、程度もよくわかるのでございますが、逮捕した者は少数でございまして、百数十名がどの程度のけがで、どういう治療を受けているかということは、おそらく大勢入ったと見られる病院等について調査をいたしたわけでありますが、一部わかったものがございます。ほかはほとんど口を減らして警察官に知らしてくれないという状況でありまして、遺憾ながら現在までわからない状況であります。
  202. 松永忠二

    ○松永忠二君 今のことは、私は和歌山の問題についてはですね、やはり十分に調査をして、明確なところで一つ討議していきたいと思うわけでありますが、特に私自身も今委員長の話したような事態について、テレビ等を見て現実にそういう感じを強く持っているわけでありますが、前の混乱から考えてみて、また今度の混乱を予想して、こういう点について一つ十分なる措置をとって混乱の起らないような措置を願いたいと思うわけでありますが。文部大臣に最後一つお聞きしたいと思うのは、こういう状態の中で、文部省も譲らない、日教組も譲らないということになれば、出てくる混乱というのは、われわれは非常に憂えるけれども、現実にそういう事態が起らざるを得ぬという気持ちも持っているわけであります。そこで、文部大臣としては、同じ事態が起るとしても、ああした混乱を起すという、現実のああいう混乱を起さないためには、どういう方面に要請をし、どういう面について十分な配意をしていく必要があるというふうにお考えになって、具体的にどういう御措置をとられているのか。この点についてやはり大臣は十分お考えだと私は思うので、今後の問題ではあるけれども、大臣のお考えをお聞きをしたいと思う。
  203. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) この前の和歌山等において現われました事態というのは、まことに不幸なことと私は考えているわけであります。何かそれに対してと、こういうことでございますが、私としましては、勤評の実施に反対せられる人にしても、適当な方法によって反対をしていただきたいと思うわけであります。デモ行進もあるいはいいかもしれません。しかし、それにしましても、やはり普通のデモ行進をやっておれば、格別の問題にはならぬ。ただ、ああいうことをなさる場合に往々にして違法にわたる場合がございます。従って、文部省としましては、違法な反対運動はしないようにということを強く希望いたしているわけであります。そういうふうな見地からいたしまして、これまでもそうでございましたが、今後の問題にいたしましても、地方の教育委員会等にも指示をいたしまして、事前によく教職員諸君の御理解も深めまして、何か喧騒にわたることのないように、ことに違法にわたるような行動にはぜひ出てもらいたくないということを要望いたしておるわけであります。
  204. 松永忠二

    ○松永忠二君 その点についてはまことに抽象的なお話でありますが、私たちは現実の事態として今話の出てきている右翼団、右翼の団体というものとのトラブル、あるいは特に私たちが心配するのは、PTA等が全国的に態度を決定をされて、あるいは各県、各地方でPTAが具体的な行動をなさる、そのために、あるいは行動として阻止の運動等が行われるという中から問題が非常に大きくなって来はしないかという点についても心配をしておるわけです。あるいは警察官等の行動等についてもやはり問題点も考えられるし、あるいは地教委や県教委がこれらに対する指導の仕方、対処の仕方ということについてもやはり問題が起ってくると私たちは思うわけです。違法の行為であるというふうに文部省は断定をするし、あるいは問題あることでありますが、たとえば措置要求ということを含めます勤務評定の反対というような場合には、これを一方的に単にこれが違法であるということのみの断定ばかりもできないと思うわけであります。そういう場合における措置要求の教職員の行動等、右翼の団体あるいはPTAの非常な積極的な阻止運動等に基く混乱等が非常に心配をされるわけです。こういうことについてはその行なった行動が違法であるか、違法でないかということについては、その後に措置をされることであるので、やはりその場における大きな混乱を避けていくということについては、私はこの時点に立ってやはり必要な場合が出てくると思うわけです。こういうことについてやはりどういう混乱が予想されるかということを考えて、必要以上の混乱を起さない具体的な指示とかいうことについてはやはり文部省として配意を願いたいというふうに私たちは思うわけです。こういう点について私はむしろ具体的に文部大臣がそういう点について、こういうふうな措置を考えているとか、あるいは万やむを得ない場合の措置等について十分な配意をしていくというような考えを私は実はお聞きしたい。別に和歌山の行動をどうとかいうことを申し上げているのではなくて、現実のそういう事態の場合において最も起りやすい可能性の混乱をどう阻止していくかということについては、文部省として具体的に考えていくべきではないかということを私は申し上げたわけです。
  205. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回のようなああいう問題につきまして、右翼の連中が出てきてかれこれするということも望ましいことじゃございません。同時にまた、左翼の連中が出てきてやるということも望ましいことじゃないと思っております。私はもちろん事態がきわめて平穏のうちに推移することを強く望んでおるものでございます。これにつきましては、今いろいろお話がございましたPTAがどうであるとか、何がどうであるとかいうことがございますが、まず何よりも組合の諸君自体に問題をよく考えていただかねばならぬと思います。問題は、勤務評定絶対反対、絶対阻止という立場における運動でございますので、これが違法にわたるとかわたらないとかいうことはしばらくおきまして、公務員としてそういう行動に出るということは、これは穏やかならぬことであります。私は切に教職員諸君の自重を望んでいる次第であります。
  206. 湯山勇

    ○湯山勇君 一つは、法務大臣にお聞きしたいことは、逮捕が違法であるというような場合に、その後の勾留が正当かどうかという問題です。これは和歌山で、他の人の逮捕状で逮捕されたということがわかりまして、これは間違いじゃないかという抗議に対して、こういう回答が来ているのです。かりに前記の逮捕が緊急性を欠き違法のかどがあったとしても、これがために本件の勾留が違法であるとはいえない、という裁判所からの回答が来ておりますが、逮捕が違法であって、その後の勾留が正当だという解釈は、私にはちょっとわからないのですが、これは法務大臣はどういうふうにお考えでしょうか。  それからもう一つ、判事のことですから直接関係がないかもしれませんけれども、勾留尋問等の場合に、判事が警察署の中で勾留尋問をやるというようなことはどうなんでしょうか。  それから警察庁長官にお尋ねをいたしたいのは、今回の逮捕の場合に、今のように他人の逮捕状で逮捕したというようなことは、これは一体妥当なのかどうなのか。今の点については警察庁長官の御意見も伺いたいし、それから人権問題が若干起っていると思います。東和歌山署の中で背負い投げをしたとかどうとかというような問題が起っているはずですが、お聞き及びであるかどうか。以上お尋ねいたします。
  207. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 刑事局長から御答弁いたさせます。
  208. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) ただいまお尋ねのような事故があったかどうか私ども報告を受けておりませんが、ただ法律問題として答弁を申し上げますと、違法の逮捕と、その後に続いて起る勾留という問題は、裁判所の回答だとおっしゃって今お読みの考え方は、私どもも正当だと思います。それは逮捕の理由と勾留の理由とはそれぞれ違ったものでございますので、法理論としては今のように解釈せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。  それから、勾留尋問を警察署でやることの可否の問題でございますが、これは勾留尋問につきましては、裁判所でしなければならぬという規定もないのでございまして、これは便宜やるわけでございますが、できれば裁判所でやるのが妥当だと思います。けれどもいろいろな事情で、時間も早く調べるとかというようなことで、警察署に臨んで裁判官が尋問をして逮捕を決定するということもあり得るわけであります。現にやっております。それは違法ではないと考えております。(「関連質問」、「もういいじゃないか」、「関連質問させないことになっているのですか」「二時間もやったら遠慮せい」と呼ぶ者あり)
  209. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 静粛に願います。今、柏村長官から答弁があります。
  210. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) ただいまお尋ねの、逮捕状を間違えて逮捕したということは、私聞いておりません。ただ、逮捕状が出ている旨を告げて、逮捕状を持たずに行って、二名逮捕したという事実は聞いております。  それから、人権じゅうりんにわたるような問題があるということな、現在まで報告を受けておりません。(「関連」、「議事進行」「まだこちらの時間があります」と呼ぶ者あり)
  211. 岡三郎

    ○岡三郎君 議事進行について。どうせ一ぺん取り上げるのだったら、さっきから言っているのになぜ取り上げなかったのか。時間が今大体五時半になって、向うから言われているのでありますが、われわれにもやらせますね。(「順番だ」と呼ぶ者あり)順番て、そんなことはない。国会法の中において順番なんということはない。本来からいえば、質問がある者はやっていいのだよ。あとから来たものが、今議事進行もできないような形は、それはむちゃだと思う。だからそういうふうな点で関連質問があったらやらせるということでなければ、黙って聞いて、これで時間切れになって、一言も言わないで帰るというばかげたことが起る。だから、そういう点で、関連質問もさせるか、させないかという、こういうばかげたことはない。委員長は関連質問は常々とやらせるべきだ。その点ははっきりしておいてもらわないと困る。だから何時までやって、どういうふうに運営するのか、私はきょう夜行で帰ってきたので、こちらで聞かないから、そういう点については一言教えてもらいたいと思う。
  212. 湯山勇

    ○湯山勇君 議事進行委員長が許した関連質問をああいうふうに理事がとめるとか、妨害するとかいうのははなはだ心外にたえない。以後注意願いたい。(「妨害じゃないよ」妨害だよ」「進行進行」と呼ぶ者あり)
  213. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体何時までやるのか、見当つけておいて教えてもらいたい。(「もらう必要ない」と呼ぶ者あり)
  214. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) どうです、夕方までやろう。(「関連質問させないのは委員長けしからぬ」「夕方賛成」「帰る、そんなことでは。ばかげたことがあるものか、夕方になっているよ、もう、そう短気起すなよ」「進行進行」と呼ぶ者あり)
  215. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は本日初めて当委員会に所属した者でありまするが、朝来先輩各位の御質問を拝聴いたしておりまして、与野党いずれも、旬日の間に迫っておりまする十五日を前にいたしまして、勤評問題を中心として円滑な推移を見たいということを希望しての御発言と受け取ったわけでございまして、この点につきまして、私も全く憂いを同じくいたしておるものでございまするが、そういう観点から問題にまだ取り上げられてないと存じまする点を一点お伺いいたしたいと思うわけであります。その前提といたしまして、私当局にお伺いいたしたいのは、十五百は先ほど来御心配になっておりましたように、あるいは職場放棄、授業放棄あるいはまた登校の拒否というような問題の発生も憂えられるわけでありまするが、同時に少からざる県におきまして、私の知っております県におきましても、十五日が勤務評定提出の期日になっておるように承知しておるのであります。私の承知しておる県におきましては、すでに五十数校の県立校のうち三十数校が、すでに期日を前にして評定の提出を見ております。提出は続々と今行われておるものと思うのでありますが、この点につきまして、現在の状況はどうでありまするか、私のお伺いいたしたい問題の前提として、当局の方にお伺いします。その点わかっておりましょうか。
  216. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 東京都におきましては、大体現在のところ八〇%こえております。それから茨城、埼玉が、十五日までが提出期日でございますが、まだ今のところ全部出そろっておるわけではございません。ぼつぼつ出ておるという程度でございます。
  217. 大沢雄一

    大沢雄一君 ところで、定められた提出期日に勤務評定書を提出せざる場合の校長の責任はどういうことになるんでありましょうか。私はその責任が明らかになるように、一つ関係法令を示して御説明をお願いいたしたいと思います。
  218. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 地方公務員法三十二条に、「職員は、その職務を遂行するに当って、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」この条文によって職務命令として行うべきものと考えております。
  219. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっと御注意いたしたいんですが、法務大臣が非常に——会議中をこちらに来ておっていただきますので、法務大臣に対する質問がなお残っておりますので、そのおつもりでお願いいたします。
  220. 大沢雄一

    大沢雄一君 そういたしますると、私はもし期日に提出しない校長なりが相当あった場合、私はおそらく校長は良識がありまするから、大部分の校長は期日に提出することを私は期待しておるのでありまするが、しかし目下の状況からいいますれば、そう甘くも考えられないようにも憂えるわけであります。そういう観点からいたしまして、文部省といたしましては地方教育委員会に対しまして、その場合に適切な指導助言を私は行う必要があるように思うのでありまするが、それに対して文部省は、どういう御用意がありまするか、私その点をお伺いいたしたいと思います。
  221. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ただいまのお尋ねは、都道府県教育委員会が、勤務評定計画を立てて実施いたしますので、当然都道府県教育委員会から、まず適切な指導助言、必要があれば校長に対しては職務命令あるいは市町村の教育委員会に対しては措置要求の道が開かれておるわけです。私どもは指定の期日までに確実に出るものと期待しておりますが、お尋ねのような事態が起きますれば、校長に対しましては二十九条の懲戒の問題が起きてくるわけであります。
  222. 大沢雄一

    大沢雄一君 私もそういう問題が起ることは承知しておるのでありまするが、それに対して文部省といたしまして、当然そういうことが起きてくるのを見ておるという態度でおりまするのか、あるいはまた適切な指導助言を府県の教育委員会なり何なりに対してする用意があるのかどうか、そこをお尋ねしておるわけです。
  223. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 現在のところ都道府県教育委員会の判断に待ちたいと考えております。
  224. 大沢雄一

    大沢雄一君 私はその点については多く意見を述べませんが、文部当局の良識ある御措置と、そうしてそれによる円滑な勤務評定進行希望するものでございまするが、その問題はそのことに一応いたしておきまして、私は勤務評定の提出期日が過ぎましたあとにおきましての事態を、別の方面から憂えておるのでありまするが、それは一たん提出いたしました勤務評定書を、先ほど来問題になっておりましたような、これはいわゆる法で言う団体交渉ではありませんが、話し合いと称してこれが撤回を求めるという運動が継続して行われるということを、私は実は非常に先走っておるようでありますが、心配しております。と申しますのは、すでに私の知っております県におきまして、期限を前にして提出されました勤務評定書を教員の職員団体が校長に執拗に撤回を迫りまして、そうしてついにその校長が貧血を起して倒れて入院しておるという事態が現実に起っておるわけであります。そういう問題が現実にあるわけでございますし、もしそういうことがあったといたしますれば、撤回要求を一たん提出したものに対して執拗に迫る、そのために校長がついにこれを撤回要求するというような事態が起ったとした場合に、地方教育委員会はこれを返す義務があるかないかということをまず第一にお伺いしたいと思います。
  225. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 一たん提出された勤務評定書を返す義務はございません。
  226. 大沢雄一

    大沢雄一君 そういたしますると、返す義務がないにかかわらず、もし市町村の教育委員会等がこの運動によって返してしまったということが起った場合に、一たん出された評定書の効果というものはどういうことになるか、その場合について、義務のないものを返したという場合に、地方教育委員会はどういう責任を負うかということを一つお伺いしたいと思います。
  227. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 教育委員会がそういう、私どもは違法な処置をされることはないと信じておりますが、不幸にして御指摘のように、一たん提出された勤務評定書が再び返されたというような事態がございますれば、さらに都道府県教育委員会は再提出を命ずるべきであろうと考えます。
  228. 大沢雄一

    大沢雄一君 私はこの問題につきまして某県の具体的事例につきましての教育委員会の考え方というものを新聞で見たのでありまするが、現実の問題といたしましては、この職員団体から入院しておる校長が強要されまして、そうして職員に撤回の委任をしたということを理由に県教育委員会にその返還を求めてきておるわけであります。これに対しまして県の教育委員会の当局は、委任でなく、校長自身から撤回を文書で要求してくればこれは返すというふうに回答しておるように新聞紙上で報道されておるわけであります。そうすると、そういう考え方というものは文部省のお考えとしては否定されておる、こう解してよろしゅうございますか。
  229. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) さようでございまして、一たん提出された勤務評定書はいかなる理由がありましても返す必要はないと思います。
  230. 大沢雄一

    大沢雄一君 そういたしますると、もし誤まって教育委員会の当局が、誤まってといいまするか、これは返却する義務はないのでありますけれども、しかしながら一たん提出されたものを訂正して出すとか何とかいうようなことで返却を求めて、そうしてついに出さない、こういうような場合に、もし出された評定書によって人事措置が行われておっても、その人事措置についてはそれが不当であるというような問題は起きないと考えてよろしゅうございますか。
  231. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) さように存じます。
  232. 大沢雄一

    大沢雄一君 私はかような問題が今後単に私の知っている県だけでなく、相当各地方に起り得るということを憂うるものでありますが、どうか今私が申しましたように、責任のある教育委員会の当局においても今のようなことが新聞紙上伝えられるくらいでありますので、私は提出期限に提出せざる校長の職務、責任の点と、なおまた一たん出しましたこの評定書に対する問題、こういう点を明らかに一つ地方に示されまして、今のような事態の起りませんように一つ善処されんことを希望いたします。  なお、もう一つ関連してお尋ねいたしたいのでありまするが、午前中吉江委員からも御質問がありまして、私どもかねて考えておりますように、勤評は勤務条件には入らない、従っていわゆる団体交渉の目的外である、従って現在行われておりまする各府県庁あるいは各地方の市町村学校等で行われておりまするいわゆる団体交渉は、これは話し合いである、こういう観点でこれに応ずる義務は委員会当局としてはない、しかしながら円滑に事を運ぶために話し合いに応じておる、こういう観点から見てよろしい、こういうふうに承知したわけであります。そうといたしますれば、なおさら私はいわゆるこの話し合い、団体交渉と称せられる話し合いにおきまして、当局の方から話し合いの時間について、あるいはまた人数について、常識的な制限を出しておるにかかわらず、それに従わない、百人も人をそろえてマイクを持ち込んで、そうして交渉を要求する、それでなければいつまでもこの交渉を打ち切らない、そうしてすわり込みをするとか、管理者から退去を求められても退去しないで、そうして庁舎を占拠するというような現在の事態というものは、私は何といいまするか、これはただ単に不当ということではなく、この庁舎の不当占拠とかいろいろこれは現行犯的な様相を帯びておる、そのために倒れて入院をしておる、あるいは入院までしなくとも病気になっておるというものは他にも発生しておる、こういう事態を私はそのまま単に放置しておるということはいかがかと思いますが、これについてどういうように警察御当局のお考えなり、その点を一つお伺いしたい。
  233. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 私の方ではその実相をまだ聞いておりませんが、そういう事態があれば、容疑のある場合については十分に捜査を進めることになろうと思います。
  234. 大沢雄一

    大沢雄一君 私は警察の御当局が、たとえば現実に要求があるというような場合に、実力をもってすわり込みを退去させるというようなことを要求によってやっているという事例は知っているわけです。しかしながら、さらにしさいに置かれている実態を見ますれば、単にこれは退去させれば済むというような問題じゃないのじゃないか。さらにそこにはもっと突き進んだ違法性を持った犯罪的な嫌疑があるのじゃないかと私は思いますので、そういう点について一つ十分警察当局の方にも善処希望いたします。私はたまさか本日はこの委員会に所属いたしましたので、いわば文部行政についてはしろうとでありますので、いろんなことを申し上げたのでありますが、一つ要望を申し上げて私の質問をこれで打ち切ることにいたします。
  235. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) ただいま私お答えしましたが、容疑がある場合には十分に捜査を進めると申し上げたのであります。要求ではございません。容疑でございます。
  236. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  237. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記をつけて。
  238. 吉田法晴

    吉田法晴君 湯山さんの関連質問は、私の法務大臣なり警察庁長官に対する質問のあとでお許しを願うことにしてお尋ねいたしたいと思います。先ほど問題になっておりました和歌山の十六日の事件、これは各地でございます。右翼団体が暴力をふるうというところまでは参りませんけれども、先ほど同僚議員からも御指摘がございましたが、福岡等でもそういう動きがございます。十五日の事件はとにかくとして、十六日の事態は、いわゆる右翼団体がすわり込みをしておる、これは釈放要求にすわり込んでおったと思うのでありますが、それに対する右翼団体の割り込みあるいは実力行使と引き続いて警察の実力行使があった。あるいはその警棒を振りかざして頭を割るというような事件もその中にあったようです。こういう右翼の右翼的な行動あるいは勤評賛成なりあるいは勤評反対に対する反対の意見の表明はとにかくといたしますが、暴力をふるってこの国民に襲いかかってくるという事態に対して、どういう法務大臣なりあるいは警察庁長官として、対策をお持ちになっているのか、これは先ほど明確でございませんでしたので、今後も危険性があることでございますからはっきり承わりたい。  それから、この右翼団体の暴力と警察の実力行使ということは計画はなかったというお話でございますが、実際には右翼団体の暴力に引き続いて警察官の実力行使しかも限度を越えた警棒の行使というものがあったのであります。この事実について今後どういう工合にこれを防いで参りたいという御方針を持っておられるのか、この一点を最初にお聞きしたいと思います。
  239. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まず第一のこの右翼の問題について御指摘がございましたが、先ほど警察庁長官からも申しましたように、かりにいわゆる右翼であろうが、左翼であろうが違法あるいは越軌の行動があった場合に、これを法の命ずるところに従って公正に処するということは、私どもの基本方針でございますから、右翼であるからどうであるとか、左翼であるからどうであるというようなことは絶対に私どもは考えておりません。要は左翼に対しても右翼に対しても越軌行為や違法行為をなさないように一つしていただきたいということを切に法務当局としては念願いたしておるわけでございます。
  240. 吉田法晴

    吉田法晴君 その越軌行為というお話でございますが、暴力がふるわれたこの具体的な事実にかんがみてそういう暴力行為が繰り返されないようにどういう対策をお持ちになっておるのかということを具体的にお尋ねしておるわけです。
  241. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 対策は今後においてどうするかということよりも、私どもといたしましては、従来ともにたとえば問題になりまするような法律の解釈その他につきましては政府としての見解を明らかにいたしまして、もって良識ある国民の行動に対する指針にしていただきたいということをもって何よりの私どもとしての対策にしておるわけであります。
  242. 吉田法晴

    吉田法晴君 方針を明らかにして防ぎたい。このようなお話でありますが、和歌山の場合にも、あるいは自民党の有力者野村吉三郎氏等も現場においでになっておったというお話がございますが、そういうこともあって、右翼に対する態度というものが非常に何と申しますか、緩慢であるという印象を私ども受ける。  もう一つ伺いたいのは、全県的にPTAとかあるいはこれは全国的にあるかどうか知りませんけれども、自民党の方針が、あるいは勤評反対闘争に対して対抗する具体的な方針が流れているのかどうか知りませんけれども、そういう右翼的な団体が使われておるという私ども現象を各地で見るからお尋ねをするのであります。なお、態度はきわめて右翼に対する態度は緩慢のようでありますが、左翼に対しては相当強い態度をもっておられるかと思うのでありますが、右翼に対してはどうもはなはだ緩慢な態度であるかのように拝承をするのであります。そのことと、あるいは和歌山における、あるいは福岡等においても現われておるところを見ますと、文部省の強行方針、勤評強行方針あるいはこれに伴います反対闘争に対する賃金カットの強行であるとか、あるいは行政処分であるとか、こういう方針と、それから警察、検察庁の検挙勾留等のいわゆる検察権あるいは警察権によるこの強行方針というものが関連があるのではなかろうか、これは自民党の方針なのかどうか知りませんけれども、私どもには関連があるように拝見をされる。和歌山においてもそうでありますし、それから、それに続いての、特に自民党の方針、あるいはそれにのっとりました右翼の方向というものについてはきわめて緩慢な態度から見ると、具体的に自民党の方針政府方針か知らぬけれども、強行方針あるいは弾圧方針というものが一貫して自民党にあり、あるいは政府にも関係機関に相談をされて、そういう方針があるように考えられるのでございますが、その点はどうでしょうか伺いたいと思います。
  243. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申し上げました通りでございまして、右翼に対して取締りが緩慢であると古田君は断定されての御質問でございますが、その前提が誤まりでありまして、私どもは厳正公正に検察権は発動しなければならぬ、またそうやっておるつもりでございます。それから勤評を、先ほど来文部大臣の言われておりますように、わが岸内閣としては、絶対にこれを実行することが妥当でありまして、そしてその実現を期待しておるというのが内閣としての基本方針なのであります。たまたま、これに賛成をするPTAの人たち、その他の方が、堂々と意見を開陳され、あるいは宣伝広報に努められることは、われわれとしては非常に欣快に思っておるのでありまするが、それだからといって、それ以外の方々に対して不法な弾圧をするというようなことは毛頭ございませんから、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  244. 吉田法晴

    吉田法晴君 強行方針政府方針だということで、そこにちょっと政府の強硬な態度が見えておりましたが、福岡における事態は私ども終始見て参りましたから、これは自信を持って申し上げることができるのでありまするが、五月七日の事態に対して、その後警察で百数十カ所の捜査をした。あるいは、捜査ですから、これは検察庁も入っております。それから七百数十点の書類の押収をし千数百名について組合員の出頭を求めて参ったりいたしております。ところが、補欠選挙の終盤になりまして最初四十名検挙して一名帰し、三十九名でありますが、これを検挙いたしました。で、検事勾留をいたしましたが、勾留を最初に請求をいたしましたときには、勾留請求が却下せられました。しかるに、その勾留請求が却下せられた直後において十一名、おくれて女子の職員一名でありまするが、逮捕をいたしております。これは、強行方針と弾圧方針とが結んで、そしてこれは私が言うのじゃなくて県民が全部言うわけでありまするが、補欠選挙の終盤になって、そういう勾留の理由なしという最初の判断が下った直後に、さらに十一名の検挙をするというがごときは、これは明らかに選挙に影響を与えようとしてなされたことではないか、こういう判断をいたしましたが、そのことを含めて、県民は、とにかくあまりな強行方針あるいは弾圧方針だとして、むしろ、選挙の結果に現われておりますように、政府の弾圧方針に対しては批判がなされておる。強い批判がなされている。県民の判断は選挙の結果から現われておるところでございますけれども、こういう事態から見ても、政府が、あるいは各教育長——その背後に文部省がございましたが、あるいは警察、検察庁と連携をとって、弾圧を選挙の終盤戦においてやられたのではないかとみんなが考えておるのでありまするが、これについてどのようにお考えになるか。県民の批判もございましたが、政府の所懐を承わりたいと思います。
  245. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) いわゆる福岡県の教組の事件は、ただいま御指摘のように、五月七日に端を発するものであります。五月七日に十割の一斉休暇闘争が行われました事実に対しまして、地方公務員法違反事件として捜査を開始いたしました。五月十日に押収捜索を行いまして、多数の証拠品を押収してこれを検討いたしました。それから直ちに、御指摘のように非常に広範な事案でございますから、参考人の多数の取調べを開始いたしました。順序として、ます管理者側の者を取り調べ、次第に組合員の取調べに移ったわけであります。その結果、犯罪の容疑を確認いたしましたので、八月中旬から被疑者の逮捕を開始いたしたのでございます。こうした捜査経過に徴しても明らかでありまするように、これは普通の事件の捜査と全く同じでございまして、順次証拠固めを行いました上、被疑者の逮捕に至ったものでございまして、ことさら選挙の時期に逮捕を行なったというものでは毛頭ございません。弾圧というような考え方も毛頭ございません。関係者がきわめて多数であり、また率直に申しますと、被疑者、参考人等が捜査に協力をしていただくことがきわめて困難でありましたために、相当の予想外の日時を要したのでございまして、特別の政治的意図というものはございません。それから相当数の容疑を受けられた方々に対して、逮捕状を請求いたしました、これが裁判所で却下になりましたことはきわめて遺憾でございます。しかしながら、広範囲な捜査の結果、県教組の最高の責任者の十一人の人に容疑がますます濃厚になりましたので、夏休み中にできるだけこの措置は完了いたしたい、そうして児童生徒等に対する影響をできるだけ支障ないようにいたしたいという配慮から十一人の組合の幹部の人を逮捕いたしました。この逮捕につきましては御承知のように福岡地方裁判所におきまして準抗告の結果勾留が認められております。そういうような次第でありますことを御了承願いたいのであります。
  246. 吉田法晴

    吉田法晴君 経緯は、今答弁になった通りであります。しかし述べられなかった点でこういうことがございます。警察は、最初これは教育の問題、それから学校先生の問題であるとして、強制捜査の点についてはきわめて慎重でありました。で、問題は文教委員会等でも論議せられましたが、教育は教職員の理解と協力なしにはできたい、教育委員会とそれから教職員との間は、たとい一時的に信頼関係が破壊されようともこれは回復に努力しなければならぬ。こういうことで警察の、あるいは検察権の入ることについてはできるだけ遠慮をしなければならぬ。こういうことを私どもも言ったし、あるいは警察もそういうつもりでありました。ところが県の警備部長の交代をいたしました。これは警察庁長官の指示であるかどうかは知りませんが、警備部長を交代をして、そうしてその直後から強制捜査あるいは検挙という問題が起って参ったのでありますが、そうしてこの検挙の口には、警察庁長官が郷里に墓参りをした、こういう口実で、墓参りは岡山かどこかでありますが、その墓参りをしたことと福岡に来るのがどういう関係にあったか説明でも十分でございませんでしたが、警察庁長官がその検挙の当日福岡に来て、文部省の監督、あるいは強行推進のもとにこの検挙あるいは弾圧というものについて何と申しますか圧力をかけたという客観的な事実もございます。しかし、そうしてやって参りました事態に対して、これは私が申し上げるのではなくて県民がみんな申し上げておることでありますが、総選挙の際に、教組なりあるいは全逓に対して検挙の手を伸べてそうして悪いことをしたような印象を国民に与えることによって選挙を有利にしたけれども、今度の場合には、福岡の言葉で申しますとあまりにひちこいじゃないか、あまりにひどいじゃないか、こういう判断が県民の中に一般にございまして、そのほかの理由もございますけれども、岸総理が来たり、あるいは有力閣僚が来て応援をされるというようなことがあったけれども、このことも一つのやはり批判になって福岡の補欠選挙に自民党も全力をあげられたけれども、総裁以下が全力をあげられたけれども、負けるという事態が起った。はっきりこれは県民の批判というものがあったという——これは県民の判断であります、これは県民に聞かれたらわかることでありますが、そういう批判がなされておる。こまかいことはあとでお尋ねいたしますが、そういう批判をなされるような、やはり、度を過ぎた検挙なり、勾留というものが行われたということは、これは間違いのないことだと思う。そういう、県民の判断にかんがみて、法務省、法務大臣としてあるいは警察庁長官として、これはいかように自己反省をされるか承わりたい。
  247. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの御批判は御批判として承わりますけれども、むしろ、率直に申しますれば、私は、先ほど申しましたように、政治的意図というようなことは全然考えず、また、その影響というようなことも考えずに、淡々として普通の事件の捜査と同じように積み上げてやって参りました、その結果が、できるだけ夏休み中に一切を処理してけじめをつけたいという捜査当局のきわめて真剣な誠意のある態度によって、こういう捜査をいたしたわけでございます。どうか御了承願いたいと思います。
  248. 柏村信雄

    説明員(柏村信雄君) 警察がかかる事犯につきまして慎重にやるということは、これは当然のことだと思います。慎重というお言葉に対しては、まさにその通りでございますが、警備部長がかわりまして方針が変ったようなお話がございましたが、こういうことは一切ございません。それは、警備部長の上には本部長がおり、全体の指揮をしておるのでございます。  それから、これは前長官の石井さんでありますが、十七日に確かに福岡に行かれたのでありますが、検挙は十七日の朝でございました。十八日に西日本の管区の局長会議がずっと前から予定されておった、それに出席のために十七日の午後、福岡に行かれたということで、これは何ら関係ございません。
  249. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 吉田君、簡単に願います。
  250. 吉田法晴

    吉田法晴君 簡単にやりますが……。事実は事実として認めなければなりませんが、警備部長がかわって方針が変ったごと、あるいは警察庁長官が十七日に来て、理由は別の、墓参りだとか、あるいは管区云々というお話でございますけれども、圧力を加えた形跡があるということを申し上げるにとどめます。ただ、警察あるいは検察庁も十分の説明ができませんでしたが、書類の押収捜査をやりあるいは組合員の任意出頭を求めて調べた、中には黙秘権を使った人もありますけれども、しゃべってる人もあるで、もう事実は明らかになっておるんだ、こういう段階で勾留を請求をして、検挙勾留の理由はないではないか、逃亡のおそれはないではないか。そうすると、逃亡のおそれはございません。それでは証拠隠滅のおそれはどういうところにあるか。証拠隠滅のおそれというのは、それは捜査の都合上だけだ。捜査の都合という説明し、ございません。事実は全体明らかになってそして、検挙勾留するというのは、逃亡のおそれがないとするならば、これは本人に自白を強要する以外にないではないか、こういう質問をいたしますと、これには答弁ができない。ただ、捜査の都合しと、こういうことであります。こういう、本人に自白を強要するためにのみ勾留ということが許されるでありましょうか。不当な私は検挙であり、勾留であると言わなければならぬと思うのであります。  もう一つ、百数十名について、公判前の証人尋問が行われた。しかも、あるいは検挙をせられた三十九名あるいは十一名について弁護士をつける権利、これは法上はっきり認められておりますけれども、弁護士をつけ、十分その弁護士の弁護権を発揮させることも発揮させておりません。それで証人尋問をいたしておる。これらの証人尋問は証言を拒否したという理由で過料に付しましたけれども、これはあとでその理由なしとして過料は取り消されております。裁判所の最終的な判決をもっても公判前の証人を、自白を強要しようということで検挙し、あるいは被疑者としての供述が得られないから証人尋問に切りかえた、そうしてその証人を、証言を拒否したということで証言拒否罪で過料を課しようとする、しかし自白を、そういう不当な検挙勾留、あるいは証人尋問で求めることは、これは刑事訴訟法も、あるいは憲法もはっきり否定をしておるところだと思うんです。憲法三十八条を引くまでもございませんが、こういう検察権、あるいは検察権に引きずられて裁判所も、あるいは十一名についてはあとで準抗告で勾留を認められた、あるいは証人尋問を検事の請求によって行われた、こういうことは、これは憲法違反ではございませんか。少くとも憲法の精神に違反すると思いますが、法務大臣の所見を承わりたい。
  251. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 本件については、自白の強要というようなことは毛頭考えておりません。これは証拠隠滅と、それから通謀の疑い、これを勾留の理由といたしておりますし、事態もまさにその通りなのであります。従いまして、憲法に違反するなどというとんでもないお話は全然ございませんから、御安心をお願いいたします。
  252. 吉田法晴

    吉田法晴君 その証言拒否の問題についても、あとから判決があってるんです。ですから、検挙勾留をして、あるいは公判前の証人尋問を求めるのは間違いであるという判断は下っているわけでありますが、それでも公判前の、この事件の証人尋問が自白を求めて本人に不利な供述をさせようとして違法に行われているものだということが言える。しかも弁護権の十分な発動もなさせなかった、あるいは証拠隠滅を云々と言われますけれども、警察なりなんなりは、もう事態がだんだん明らかになっておるんであります。こういうことで、証拠隠滅と言われるけれども、その証拠隠滅というのは、本人の自白を求める以外に何がありますか。検挙から明らかでありますけれども、憲法違反の捜査、あるいな検挙勾留がなされたということは、これは裁判の結果からも明らかであります。重ねて答弁を願います。
  253. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申し上げた通りでありまして、自白の強要ということを強調せられますが、私どもの立場としては、あくまで証拠隠滅、あるいは通謀——非常に広範囲にわたってこれは通謀の疑いがありまする場合におきましては、法律の定められるところに従って捜査権を発動したのでございますから、憲法違反というようなことは絶対にございません。  なお、弁証人の云々等の問題も御指摘でございましたが、さようなこまかい点につきましては、刑事局長から詳細に御説明申し上げます。
  254. 竹内寿平

    説明員(竹内寿平君) 大臣のお答えに敷衍いたしまして、私からお答えさしていただきます。  自白の強要という問題がございましたが、これは逮捕とか勾留とかいうことに関係なく、いかなる場合におきましても捜査の過程において被疑者、被告人から自白を強要するということは憲法の許さないところでございます。それはもう仰せまでもございませんが、しからば逮捕するということはすぐ自白の強要であるというふうにおとりになっているようでございますが、さようなものではなくて、大臣からもお答え申し上げました通りであります。それからまた取調べで黙秘をし、あるいは証言を拒絶した場合、裁判所に向って検察側が証人尋問を請求したという点について、自白の強要だというお言葉でございましたが、これは日本の現在の裁判所は、被告につきましては自白を強要することはできない。また黙秘することもできますが、証人には証言をしてもらって、これによって裁判というのは行われる、証言による裁判でございます。そのような証人、参考人は、これは捜査の段階におきましては、協力をしていただくということになるわけでございますが、どうしても協力をしないということになりますと、事案の真相をきわめますためには、裁判所に向って裁判所による証人尋問をしてもらうということになるわけであります。これは刑事訴訟法に規定があるのでございます。その規定に抜いて検事は証人尋問を請求し、裁判所はその請求に基いて調べをしたのでございますが、正当の理由なくして証言を拒絶したということで、これは裁判所が独自にやる懲罰でございます。百六十条でございますか、刑事訴訟法の規定に基いて過料の裁判があったのでございます。しかしながら、その裁判は後に関係者からの準抗告の申し立てによって取り消しをされましたけれども、その取り消しの理由は、そういうことは憲法違反だから取り消したというのではなくて、過料の裁判まで、あやまち料までもつけるほどのことでないということが、裁判の取り消しの理由になっております。それは検事の請求いたしました証人尋問の請求が不当であるというのではなくて、裁判所みずからが下した過料の裁判が不適当であるということで却下になっておるのであります。大体それで御了承願ったと思いますが、被疑者と証人との自白ということを混同してお考えをいただいているように思いますので、申し上げておきます。
  255. 吉田法晴

    吉田法晴君 議論が長くなりますが、問題は刑事訴訟法にも勾留が不当に長くなって、それによって自白させられた、その自白には効力がないと規定してありますように、この被疑者あるいは被疑者になられるかもしれない……全然関係のない、その事実を被疑者と関係なしに、その人だけしか知っていないという参考人、実質的な参考人の証言を求める云々というなら、これは問題ありません。しかしながら、勾留についても事態はすでに明らかになっておる、捜査は済んでおる、こういう人について事態は明らかになっているという人について勾留したというところについて問題がある。あるいは勾留した理由があるかないかという判断がなされる。あるいは証人についても、証言を求めた者についても、そして証言を求めることによって、あるいはその証言が、自分の何と申しますか、被疑事実になるかもしれない、こういうところに問題があるのです。そういう人から公判前の証言を求めることは不当ではないが、そういう関係にあります組合員なり、あるいは組合の役員等について証言を求めることは刑事訴訟法の精神にも反するし、憲法の精神にも反するのではないか、こういうことを申しておるのであります。  それから、時間がございませんけれども、法務大臣について最後に一点だけお尋ねしたいのでありますが、先ほどから承わっておりますと、地公法三十七条違反の事実があった、地公法三十七条違反ということが初めからきめられて、福岡の問題にしても、あるいは東京の問題、その他の問題についても言われている。ところが地公法三十七条違反が佐賀の場合にあったかどうかということは、まだはっきりしておりません。これは裁判があったわけではありません。行政府として打ち合せをしたところが、文部省の地公法違反の疑いがあるという解釈によって、あるいは検察、警察の意思を統一したと、こう言われておりますが、そのいわゆる行政府の解釈で、そうして問題になって臨んで参るその捜査の仕方あるいは勾留の仕方についても、先ほど申しましたように一つ一つについて問題がありますが、行政府の解釈によって警察が動き、あるいは裁判所が動き、しかも法の精神、憲法の精神をも越えて検挙をやる、あるいは勾留をする、あるいは証人尋問をやる、こういうことになりますと、これは民主的な政治というよりも、むしろやっぱりファッショ的な行政権優越な行政のやり方じゃないか、こういう意味において私は弾圧方針じゃないか、こう言うわけでありますが、法律の解釈については法務大臣は責任者でございましょうからお尋ねをいたしますが、三十七条違反というこの行政府の解釈で、警察あるいは検察あるいは文部省も、これに合わせて強行方針をとるということは、これは昔の官僚政治あるいはファッショ政治、行政官僚によるファッショ政治だというそしりを免れないのじゃなかろうか、もう少し謙虚に事態に対してお当りになる必要があるのじゃないかと考えるのでありますが、重ねて御質問申し上げます。
  256. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は全く誠実に、謙虚に法の筋を守りたいと思っているのであります。なお行政府の間で法の解釈云々というお話がございましたが、これは警察権におきまして捜査をし、あるいは起訴を決定する——起訴を決定するというのは、警察庁としての独自の自主的な判断によって行なっておりますことは、申すまでもございません。従って先ほどから言っておりますように、広範にわたって次々と捜査の結果を積み上げて参りまして、その具体的な事実が法に触れる場合には、遺憾ながら勾留をお願いしなければならぬ。さらに捜査をしなければならぬ、そうして起訴ということに行かざるを得ない。それから先は御指摘の通り、これは裁判所の問題でございまして、公正な裁判所の判断を求めるということになるのが、私どものやっておるやり方であり、またきわめて合憲的な、妥当なやり方であると確信いたします。
  257. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  258. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記を起して。
  259. 吉田法晴

    吉田法晴君 検挙、勾留についても裁判所から批判をされたことがあり、あるいは世論の批判を受けて間違いであった、行き過ぎであったという批判もあるのであります。地公法三十七条違反として検挙、勾留おかまいなし、こういう方針はやめられるべきだと最後に申し上げて、法務大臣への質問を終ります。  ただ最後に文部大臣に一つ伺いたいのでありますが、問題は、法律問題じゃなくって、すでに政治問題になっておると思います、勤評問題は。そして昨日かおとといの新聞ではございませんが、国際的に兵隊が出た、そして利害対立をして、あわや戦争にもなろうという問題についても、あるいは政変の問題についても、アラブ諸国の問題についても、話し合いによって解決せられようとしておる今日、国内の問題が、どうして話し合いによって解決せられないだろう、こういう疑問の提出が、新聞と申しますか、これは良識から出ている問題だと思います。何といいますか、いや強行するのだ、法律違反だと、こういうとにかく、いわば行政優先の、私に言わせれば昔のやり方でなしに、話し合いで、大きく政治的に解決せられるべきではなかろうかと思うのであります。これは総理が来られれば総理にお伺いするところでありますが、一人来ておられますから、二人国務大臣として御答弁願いたいと思うのですが、こまいかい法律解釈あるいは行政解釈ということでなしに、もっと大きく、話し合いで解決せられるべきだと思うのでありますが、その点について御意見を伺って私の質問を終ります。
  260. 灘尾弘吉

    ○国務大臣(灘尾弘吉君) いろいろな問題につきまして、できるだけお互いの意思が疎通して、お互いの納得したことを行うということが一番望ましいことであることは申すまでもございません。私も決してそれに反対するものでも何でもございません。ただ今回の問題は、よく一つお考えをいただきたいと思うのでございます。われわれは、決してむちゃな圧政をやろうとしておるのではないのであります。またわれわれのほしいままの意思によってやろうといたしておるのではないのであります。皆さんがおきめになりました国会の法律を施行しようといたしておるのであります。それに対しまして、筋道の通らない、きわめてめちゃくちゃな反対をいたしておるのであります。これでは話し合いのしようもないのであります。そういうことを、それを一つよくお考えの上でお尋ねをいただきたいと思うのでございまして、私は、ただいまの日教組の諸君ないしはこれに同調した諸君のあの実力行使に対して、一緒に戦うとかいうような態度は、どうしても納得しかねるのであります。この行政の筋だけは、政府のものといたしましてあくまでも通していきたい、これが私の願いであります。
  261. 吉江勝保

    吉江勝保君 最後に、法務大臣が一時間半というのがこんなに長くなりまして、まことに恐縮なんでありますが、おられます間に、簡単に一つお伺いをしておきたいと思います。今日は、異例な文教委員長委員長の座席におりまして、発言せられまして、質問されたのでありまするが、そのことに関連をいたしまして、先ほど和歌山の乱闘事件をあげて、警察が、相当行き過ぎた行為をしたということにつきまして、社会党の諸君から質疑が行われておったのであります。で、それに対しまして、私は抽象的なそういう話でなしに、警察庁長官に対しましても、警察官は一体どれだけの被害を受けておるのか、またデモ隊といいますか、デモに参加いたしました人たちはどういう被害をどれだけ受けているのか、こういうことを明白にいたしまして、和歌山の流血デモ事件というものは、これだけの被害をデモ隊が受けたのだと、こういうことを言われませんというと、ただ抽象的に警察官が警棒を振り上げておどり込んで、非常に、百何十名ですかの人たちがけがをした、こういう抽象論では、(「事実じゃないか」と呼ぶ者あり)国会におきまして論じますることは、非常に不見識だと思うのであります。でありますから、先ほど質問いたしまして、なおその次に聞こうとしたときにはもう発言は許されなかったのでありますが、問題は、十六日の事件にあったようであります。十六日のけが人は、警察庁長官は、警察の方においては六十五名の負傷者を出しておるということを言われたのであります。それに対しまして、デモに参加した人たちの発表は、百数十名というように覆われているが、その実態は明らかでないというように先ほど聞いたのであります。さようでありますならば、ここで警察の行き過ぎを難詰されます方々は、なぜその百数十名のけがの状況、その氏名、どういう人がどういうけがをしたかということを、百数十名おあげになりまして、そうしてこれは警察がやったとは言わないが、これだけのけがを受けている、その中には警察官もあるいはあるであろうというように論じられるならば、私、納得がいくのでありますが、一人もそのけが人の方につきましての氏名の発表もなければ、けがの状況も言うておられません。ただ委員長は、同志社大学学生一人をおあげになったようでありますが、百数十名に対しましては、あまりにその氏名が少な過ぎる、だからここでもし国会がこの和歌山の問題を論じますならば、どうかその住所氏名を明らかにいたしまして、それらを診察、治療いたしました病院の医師が、どれだけのけがを診断したか、そういうことを調査いたしまして、社会党の諸君は、その材料をもって私は難詰をされるべきだ、何らの調査もなしにおっしゃっておられますということは、私は納得がいかない、(「調査に行ってない」と呼ぶ者あり)その氏名を明らかにお聞きいたします。これは何ぼ時間がかかりましてもかまいませんから、この場所でもけっこうでありますから、百数十名と言われた人の住所氏名と、そのけがの程度を御発表願いたい。もしそれが発表されないならば、いたずらに流血デモ、これは警察の行き過ぎであるということの、私は何と申しますか、その、人に罪をしいるような発言でありますので、非常に残念に存じます。警察の方も、被害を受けた人の氏名と、被害の程度を、医師の診断書を添えて発表になればいいのであります。そういうように明らかにして、問題がどこにあるかということを究明していきたい。これは警察に関連いたしまして、あるいは警察官が訴えられているというような状況にもあるように聞きますので、法務大臣におかれましては、そういうような証拠を明らかにいたしまして、そうして裁判所におきましてもこの問題は慎重に判決を下されますように、御指導いただきたい。私は特に社会党のこの問題を論じる方々に対しましては、警察が調べても言わないというその被害者の住所氏名と、傷の程度を、御発表になりますように、特に希望しておきます。
  262. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともな御質問と思います。(「質問じゃない」「質問だよ」と呼ぶ者あり)いや、御意見でもよろしいのでありますが、これは先ほど申し上げましたように、八月の十九日に、特別公務員暴行凌虐等の告発が、告発人、不当弾圧糾弾委員会の名において、数名の方から、被告発人として、県警木部長以下に対して告発状が出ておりまして、ただいま警察庁で鋭意捜査をいたしている次第でございます。ところが、私のただいま受けております報告によりますと、告発事実の中に、被害を受けた人の名前が十一名、それについて年齢の記載はございます、被害の程度も十一名についてはございますが、そのほかデモ参加の二百数十名、これについては、なぐる、けるの暴行を受けたとあるだけでございまして、この告発状にも、実は二百数十名については、名前も何も書いてないわけでございます。従って今後御意見の筋に従いまして、十分これらの点は調べまして、黒白を明らかにいたしたいと考えております。
  263. 湯山勇

    ○湯山勇君 内藤局長さんにお尋ねしたいと思うのですが、先ほどの質問に対して、一たん提出した勤務評定は、非常に明確におっしゃったのは、いかなる理由があっても返すべきじゃないという御見解の御発表がありましたが、これは間違いございませんか。
  264. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) その通りでございます。
  265. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで以前、こういう事件があったことを、局長も大臣も御記憶だと思うのです。それはこの愛媛県の周桑郡の校長さん連中が勤務評定を提出した、これが四月三日という期限付であって、提出されたのは四月三日以前に提出になっています。そこで四月三日以前に提出になったものであれば、期限内の提出だから処罰の対象にならないのではないか、これを一斉に四百五十名の昇給をストップするということは、提出しているんだから不当ではないかということを、私は当時三十二年の四月九日に灘尾文部大臣にお尋ねをいたしました。灘尾文部大臣は、「詳しいことは聞いてないから、それはとにかく出されてないと聞いておる。」こういう御説明があって、詳細は政府委員から御答弁しますという中で、あなたの御答弁はこういうふうになっておるのです。「ただいま大臣が申し上げましたように、地教委が結局は返しておる。」こうあなたはお述べになっています。それから私が、それではいつ返したかということについて、あなたは「その場で突っ返したかどうか私も存じませんが、ともかく勤務評定の企画立案者は県の教育委員会でございますので、県の教育委員会のあるいは意見を聞いた上で返したかもしれませんが、」云々です。それからなおあとでこういうふうにも言っておられます。「これはまあ受理の仕方でございますけれども、地教委がこれはよろしいと言って受理したものでは私はないと思うのです。  ただその間の事情をつまびらかにいたしませんが、おそらく私の聞いたところでは、封書のままただ取り次ぎにきたのだと、こう聞いておるのです。」というようなことを述べておりますが、いずれにしても一たん提出したものはいかなる理由があっても返すべきでない、このただいまの御答弁と、このときとはうんと違っております。ここではあなたは返したということを強調しておるのです。ただいま言っているのは、返すべきでない、そして今のあなたの返すべきではないという立論に立てば、四百五十名の昇給をストップしたということは、今日振り返ってみると大へんな間違いを犯しておる、今あなたは提出されたものはいかなる理由があっても返してはいけないと明確に言ったのですけれども、これは非常な間違いではありませんか。どちらかが……あなたの言った二つのことが両立は絶対しないと思います。  大臣は、そのときのことは大臣にお聞きしたんだから御記憶だと思います。こういうことが一体許されるかどうか、あなたのこういう意見によってともかくも四百五十名の人は昇給ストップを食っているのですから重大な問題だと思います。これは一つ、局長の見解は今のでおわかりになりましたし、前回のは記録で明らかになりましたから一つ御答弁願いたいと思います。
  266. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この前の、今の速記録でお読みになった分は、愛媛県の周桑郡の件だと思います。この場合は地教委は県の計画に合致してない勤務評定なので受理をしてない、受理をしないで返還したのです。今回、先ほど大沢委員のお話には、一たん受理したものはいかなる理由があっても返してはならない、こう申したのです。私は何ら矛盾はないと思います。
  267. 湯山勇

    ○湯山勇君 今私の聞いたのは、受理したという言葉は使っておりませんよ。提出された勤務評定はいかなる理由があっても返すべきでないと、こう言われた。そういうふうに言っているのです。  それから返すということは、受け取ってないものを返すということはあり得ないのです。返すということは、手に渡らないものを返すということはないのです。あなたはそんなでたらめなことをおっしゃらないで、もっとまじめに考えてもらわないと因るね。返したということをあなたは強調しているのですよ。返すというのは、受け取ってもいない、何にももらっていないものを返すということはないでしょう。局長から今私が聞いたのは、一たん提出されたものはいかなる理由があっても返すべきでない、そのいかなる理由という中には受理する、しないというようなことではないのです。不備だったとか不備でないということは理由にならない。あなたの言ったようにいかなる理由があってもということは、いかなる理由があってもという通りです。返すべきでないのに返しておるでしょう。返せないものを返すのじゃなくして、返せる状態にあったのだから受け取っておるわけです。それを返しておるのだから、これはあなたの言ったことと違っておる、そうなりましょう。
  268. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 愛媛県の場合は愛媛県の教育委員会計画に合った勤務評定が提出されなかった。ですから、これはお返しした。受理してないのです。先ほどお尋ねの件は、一たん受理されたものは返す必要はない、こういう意味に申したのです。
  269. 湯山勇

    ○湯山勇君 質問者がいないからわかりませんが、とにかく質問者の要点は、返す、返さないの問題です。受理する、せぬの段階でなくて、返す、返さないの段階です。返す。返さないの理論においては、あなたはどういう理由があっても返してはいかぬということを言っておる。たとえ様式が不備であっても、書いてある内容がどうであろうと返すべきでない、理由のいかんを問わず、——私はそれはわかるのです。なぜかといったら、評定者は地教委ですから不備だと思ったら、校長を呼んでそこで書かせればいい。返さなくてもいいことです、あなたの言う通り。その点はその点で肯定するから、だめを押したらその通りだ。しかし、ひょっと思い出したのは、あのことで、そうするとこれは大へんなことだ。この場合だって返さなくても、不備なら呼びつけて誰かせたらいい。これは一つあとで大臣に私はゆっくりお話して当時のあやまちを訂正できるものなら訂正してもらいたい。そうしないと、これは大臣もこのことを憂慮せられてはっきり言っておられるのです。このことはまことに遺憾なことであるということを言っておられるのだから、読めといえば大臣の御答弁の速記録を読んでもよろしゅうございますけれども、これは内藤さん、違っておることは間違いないから、あなたの御答弁を……。これはあとで一つお話したいと思います。
  270. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  271. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記を始めて。  本日の委員会は、これにて散会いたします。    午後六時四十七分散会