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1958-08-01 第29回国会 参議院 文教委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月一日(金曜日)    午前十時四十二分開会   ―――――――――――――    委員異動 本日委員吉田法晴君及び森田豊壽君辞 任につき、その補欠として坂本昭君及 び大谷贇雄君を議長において指名し た。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     竹中 勝男君    理事            中野 文門君            松永 忠二君            常岡 一郎君    委員            大谷 贇雄君            川村 松助君            後藤 義隆君            近藤 鶴代君            下條 康麿君            吉江 勝保君            秋山 長造君            岡  三郎君            坂本  昭君            高田なほ子君            湯山  勇君            加賀山之雄君   国務大臣    文 部 大 臣 灘尾 弘吉君   事務局側    常任委員会専門    員       工樂 英司君   説明員    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省社会教育    局長      福田  繁君    東京警視庁防    犯部長     近藤  貞君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (深夜喫茶に関する件)  (当面の文教政策に関する件)   ―――――――――――――
  2. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは、これから文教委員会を開会いたします。  委員異動がありましたから報告いたします。  本日、吉田法晴君及び森田豊壽君が辞任され、その補欠として坂本昭君及び大谷贇雄君が選任されました。  以上であります。   ―――――――――――――
  3. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 本日は、昨日に引き続き当面の文教政策について文部大臣質疑を行うこととなっておりますが、大臣は目下閣議出席中でありますので、高田委員から申し出のありました深夜喫茶の問題から取り上げることにいたします。  本件につきましては、警視庁から防犯部長近藤貞君、文部省から福田社会教育局長出席されております。
  4. 吉江勝保

    吉江勝保君 ちょっと議事進行について。  別にそれに異議はないのですけれども、きょう新聞で、きのうちょっと松永委員ども質問されておりました小学校中学校指導要領の発表が大々的に出ておりますから、大臣閣議を終えられてこちらに出席になりましたら、一応質問一つ次の段階に回していただいて、これの説明大臣なり関係の方から一つお聞きしたいと思いますが、さようにお取り計らいを願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  5. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは御異議ありませんから、大臣出席されましたら小学校及び中学校における学習指導要領についての御報告を優先的にお飼いして、そうして質疑を続行することにいたします。  それでは、時間の経過がだいぶんになっておりますので、高田委員から御質疑を願います。
  6. 高田なほ子

    高田なほ子君 深夜喫茶の問題は新聞等でこのごろ大きく取り上げられておりますが、かねてから青少年問題協議会等でも本問題についてはいろいろな意見政府筋に開陳され、また都議会としては一致した意見をもって、この深夜営業青少年に及ぼす影響から、条例の制定をほぼ決定しており、大体本日あたり都議会条例が設定されるような様子でありますが、私どもといたしましては、単に青少年喫茶店に入らせないというだけでは問題の解決はあり得ないというふうに考えておりますが、まずこの深夜喫茶現状、なかんずく青少年がこの深夜喫茶の中でどういうような状態で悪い影響が及ばされておるのか、警視庁の方からせっかくお出ましでありますから、現状等について一応承わりたい。また、これに対する意見等についても承わってから質問をしたいと思います。
  7. 近藤貞

    説明員近藤貞君) 深夜喫茶現状並びに取締り実態というようなことについて申し上げたいと思います。  この深夜喫茶というのは、大体今、都知事飲食店関係で、食品衛生法ですが、これに基いて営業許可を与えているのが大体今二万九千軒くらいあります。そのうち、私のところは深夜営業をやりますというので、都知事届け出をして、そうして許可をされている、いわゆる深夜喫茶というのが六千五百軒くらいあるわけです。従って、この形は、バーといった名前もあれば、お好み焼き屋といったのもあれば、喫茶店もあればというような、あらゆる形を持ったものが深夜喫茶をやるという届け出をして深夜に及ぶ営業をやっておるわけであります。で、食品衛生法に基く許可ですから、主管は結局都庁、しかも第一線保健所ということになるわけでございまして、この六千五百軒というものが現在当面して非常に大きく問題化しておるわけでございます。  実態を申し上げますというと、深夜に及ぶ営業をしておるのは、必ずしもこの六千五百軒だけではないので、もっと、十二時、一時まで及んで営業をしておる喫茶店、あるいはバー小料理店と、いろいろな名前がついた常業があるわけでございますが、少くともこの届け出をしたものだけでも六千五百軒の深夜喫茶というものがあるわけでございます。これが二時三時、あるいは明け方まで営業をして、そうしてその間に不良、愚連隊と称する者が出人をし、また善良な青少年もそこに出入りをして、そうしていろいろな悪習に染まっていくということから、いろいろと問題が高くなってきたわけでございますが、私どもがいろいろ取締り面を通じて見ますというと、この六千五百軒の全部が必ずしも非常に悪質な営業状態を続けておるという関係ではないのでございまして、常にこの愚連隊などが出入しておるというふうに認められるものは約七百数十軒という程度のものであり、また青少年が常に出入りしておると認められるものも約千七百軒くらいと、こういうふうに見ております。それから、そこが売春取引場所として利用されておるといったように考えられるものは四百軒余りある。こういうふうに、いわゆる悪の温床とも認められるものは、この六千五百軒のうちで全部が全部というわけではないので、ただいま申し上げたような数字の中に入るものは、これは相当深刻な悪影響世間に及ぼしているというふうに考えられるのであります。なおまた、いわゆるゲイボーイというか、男が女給のような格好をして女装をしたり、あるいはまた男装のままで露骨なサービスを行うといったような所も相当数いわゆる深夜喫茶の中に認められるのであります。そういうものの全部が全部というわけではありませんが、少くとも二千軒以上の非常に悪質な状態のものがおって、これらが深刻に悪影響世間に及ぼしておるという点は争われない事実なのであります。業者自体といたしましても必ずしも明け方までやって、それがもうかるという状態ではないので、業者自身の言葉をかりれば、もう二時以降はやってももうかりません、もうかりませんが、お隣がやっておるというと勢いこちらもやらなくてはならないというような関係で、必ずしも利益が伴うわけではないのですが、依然として月に二百軒内外ずつ増加しておるというのが実態なのであります。  これに対して取締りの問題でありますが、まあ保健所関係というものは非常に都の方の第一線人たちは手薄でございまして、実際取締りに当っておる人たちは、六千五百軒に対して三百名内外保健所人たち取締りをする。それから、これに協力して警察保健所関係と常にタイアップして取締りに当る。なおまた、少年補導の面などから警察が独自の立場で深夜喫茶取締りをする。こういう体制でもって臨んでおるわけであります。ことしになってから警察関係取締りをして、そして検察庁へ送ったというのか、いわゆる送致したというのが九十七件ございます。それから始末書を徴したのが六百四十九件、そのほか警告とか説諭とかといったような現場で注意をする、呼び出して注意を与えるというような、こういうことをやったのが千四十四件という数が出ておりますが、何分条例取締りでございまして、主体が都庁の方に存在するというような関係から、従来指導というような点に重きを輝いて、風俗上の問題については、あくまでも業者の自粛を待ってやっていかなければならないといったような方針がございまして、取締りという関係については、必ずしも数字上の上においてはたくさん上っていないのが実情でございます。  少年関係につきましては、深夜喫茶店の中に入っておる少年補導というものを相当回数を多くやっておりまして、本年になりましてすでにその中に入っておった青少年補導した数というのが三千名以上に上っております。そういう実態からも青少年が深夜喫茶利用しておるということは相当の数に上っておるということが言えると思うのであります。  保健所関係では、構造設備の問題やら照明の問題やら、そのほかでもって取締りをやっておるのでございますが、本年になりまして、営業停止という、いわゆる行政処分がありますが、営業停止処分をやったのが十九件ございます。設備その他で改善命令をやったのが三十三件ございまして、保健所としても手薄な陣容でやはり熱心にはやっておるわけでございますが、なかなか勢いのおもむくところと申しますか、非常に業者自体の競争といったようなことから営業状態がますます悪化するといった実情にあることは争われないのでございます。今回東京都におきましては、いわゆる東京都の青少年保護条例を作りまして、青少年の深夜喫茶へ出入することを禁止する。そして保護者にそれを義務づけるという内容条例を今日の都議会に提出しております。これはいろいろ議論があるようですが、あるいは通過するとは思います。しかし、十八才未満の者を入れないということだけで深夜喫茶の問題は片づくわけではございませんので、私どもとしては、今大きく取締り方針として考えておるのは、大体深夜喫茶というのがむしろ喫茶店形態よりも風俗営業形態になっておる。風俗営業取締法関係で、公安委員会許可をしている。いわゆる料理店、料亭、バー、キャバレー、こういったような風俗関係業態ですが、こういうものが約一が六千軒ございます。深夜喫茶店のほとんど大部分は実質的には風俗常業の範疇に入るべきもので、保健衛生立場からの業態ではないというようにわれわれは考えておるわけでありますが、遺憾ながら現在の風俗営業というものは非常に狭く考えておりまして、いわゆる婦女の客を接待するという行為がない限り風俗営業の中には入らないというのがございまして、喫茶店の中にはお客同士相当頽廃的な雰囲気をかもし出すけれども営業者婦女を置いて接待をするという行為がないものが相当ございますので、遺憾ながら風俗営業の中には入らないのでございますが、中にはまた婦女が出て相当接待をする業態のものもございますので、取締り方針として、いわゆる無許可風俗常業ということからこの深夜喫茶取締りというものを強化していくという方針をとっておるのでございます。そのほかいろいろと営業主に対して順守事項をうたっておりますので、その順守事項一つ々々を克明に取締り対象として強化していくという方針を現在とって相当の点数が上っておるわけでございます。根本は風俗常業改正でありまして、風俗営業の中に入る範囲を拡大していただいて、深夜喫茶形態のものは風俗関係から規制すべきものであるということで、風俗営業取締法改正というものをわれわれは期待しておるわけでございます。さらに都の条例につきましても、風俗営業法取締り改正があったあとにおいて条例の点については十分研究していかなければならない問題であるというように考えております。いろいろな点で非常に取締りが困難ではございますけれども、世論が非常に高まっておる際でもございますので、一そう今後の取締り強化という点について努力をしていきたいと考えておるわけであります。
  8. 高田なほ子

    高田なほ子君 取締り強化に重点を置いておられるようでございますが、むしろこの取締り業者の方に向けられる方が正しいのではないか、青少年の方、特に子供という方面に力を入れていただかなければならないと思いますが、今の御説明によりますと、大体届出をしてこれは許可を受けておるものですか、届出制によって届出をしておるものが六千五百軒ですか。
  9. 近藤貞

    説明員近藤貞君) これは条例によりまして、営業しようとする日の十日前に必要要事項を知事に届け出る、そういうことになります。
  10. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうでしょう。これは喫茶店営業等の深夜営業取締りに関する条例の中で届出さえすればよい……。
  11. 近藤貞

    説明員近藤貞君) そういうことです。
  12. 高田なほ子

    高田なほ子君 届出をした後にいろいろな基準に照らしてこれを許可するという許可制をとられていない。単に届出をしておるものが六千五百軒あるという今の御説明でしょう。そうですね。
  13. 近藤貞

    説明員近藤貞君) 深夜喫茶条例ごらんになればわかるわけですが、構造設備その他届出条件が定められてございます。その条件をそろえて届出をするわけですが、保健所としては一応その内容により実査をして、その条件に当てはまるか否かを審査の上、これを許可するということになっている、届け出っぱなしということではないわけであります。
  14. 高田なほ子

    高田なほ子君 届出をした後許可をしている、しかしなかなか許可をしておったものでも、照明などの点においてはかなり基準からはずれているものもあるようですが、それらのものを取り締っていこうというようなお話だと拝察するわけです。  それから年令別についての御報告が今ございませんでしたが、私の調査するところによると、十四才未満の者がかなり深夜喫茶に入っておる、なかんずく小学生が、昨年の八月から本年の六月までの間に六十八名の小学校の児童が深夜喫茶の中に入っておる。こういうような実情を実は調査をしているわけでありますが、一応この年令別に、どういう状態にこの深夜喫茶の中で遊んでおるのか、これが一つ。  もう一つ、先ほどの御報告の中で、思わしからざる喫茶店が約千七百軒ある、この中で売春利用されるようなものが約四百軒ある、こういうような御説明でありましたが、この千七百軒の思わしからざる深夜喫茶の中で、いろいろ犯罪者温床になって、そこから犯罪者がたくさん出てくる、いわゆる悪のたまり場所といわれるようなことがあるようでありますが、犯罪者はその中からどのくらいの数をあなたの方でそこから出しておるのか、またその思わしからざる喫茶店の中における不良行為というのは、具体的にどういうような行為をさすのか、私の調査によると、思わしからざる店において行われる不良行為は、四千五百六十三名という、かなり多くの数を示しておるようでありますが、一体この数は私の調査が正しいのか、この中で行われる不良行為というものはどういうものであるか、また取締りが必要だと思われる者が約五千名、これらの思わしからざる深夜喫茶の中で行われておるというようなことで、私の方の調査は行なってあるわけでありますが、取締りを必要と思われるものというのは、一体どういうものなのか、なかんずく売春防止法が制定されてから後の愚連隊、それからひも、そういうようなものがこの中でどういうように活動をしているのか、それがどういうふうに青少年影響を及ぼしているのか、なかんずく小学生並びに十四才未満、あるいは十五才未満の者がどういう影響を今受けているのか、具体的に数字をあげてお示しいただければ大へんけっこうごです。
  15. 近藤貞

    説明員近藤貞君) 青少年利用状況の点でございますが、これは何といいますか、常に深夜喫茶のところへ行って毎日取調べをしておるというわけではございませんので、実際のところと、われわれの方に現われている数字とは違うわけでございますけれども、われわれの方で取締りをやった際に、そこに青少年出入りしておった、こういうことで判明した青少年利用状況数字というものがあるわけでございますが、それによりますというと、これは深夜喫茶条例が制定された以後の数字でございますが、取締りのつど青少年補導に当って、その上から青少年がどの程度利用しておるかという点を見ますというと、青少年利用状況が大体四千九百名、そのうち十九才の者が千百五十七、十八才が千三百二十八、十七才が千百六十四、十六才が七百四十八、十五才が二百八十九、十四才百三十六名、それから十四才未満が百四十五名、こういう数字が出ておりまして、青少年の中でも高い年令層の者が相当利用しておりますが、十四才、十五才というものもその中に入っておるということもわかるのでございます。  それから、こういう悪の温床であるということの実際の事例といたしましては、これは私ども現実取締りをやった数字ということになっておりまして、実際はまだこのほかにもあるかもしれないのですけれども、本年一月以降害悪な嘉例といたしまして、深夜喫茶を根城としていわゆる売春関係を行うというのが二十五件取り締っております。それから、麻薬取引関係に使うといったようなものが八件、それから愚連隊出入りをして善良な人たちけんかあるいは傷害、暴行というような行為をした件数が三十件、それからわいせつ関係――その場所におけるところのわいせつ関係ですが、そういう点で取り締ったものが五件、非常に騒音を――やかましい音を出して近所迷惑というふうな点から取締りをしたものが五十八件、それから青少年が特にその中でもって犯罪を犯す、あるいはけんか、口論といったような点で取締り補導をしたのが九十二件、こういうふうになっておりまして、売春関係とかあるいは麻薬関係、あるいはわいせつ関係といったようなものも相当出ております。こういうところから見ても、相当深夜喫茶というものが、いわゆる悪の温床であるというふうにみなされるというふうなことがいわれると思うのでございます。
  16. 高田なほ子

    高田なほ子君 まあ麻薬とか、売春とか、愚連隊とか、そういうものの方がかなり数を占めておるようであって、十四才あるいは十五才、十六才、十七才というような者は相対的にいうと、そう多い数ではないように私は思われます。そこで、この特に十五才未満子供たち、なかんずく小学生、こういう者が深夜喫茶に入っておる場合に、警視庁の方としてもいろいろよって来たるところ等については御調査になっておるだろうと思う。で、私が仄聞するところによれば、大体その家庭環境がよろしくない、両親が無関心である、あるいは片親がいない、いろいろ家庭上の欠陥のある者が多いように思われます。従って、今回都条例保護者も罰則というよりは罰金刑、これに処するような方向をとっているようでありますが、果してこの親にそれだけの罰金刑を課して法的な拘束をしたからといって、必ずしも効果が起り得るかどうかということについてばかなり問題が残るのではないかと思います。従って特に若年の者の深夜喫茶に入っているいわゆる家庭状況というものは、総体的にどんなものなのか、原因はどういうところからきているのか、御調査がありましたら、御説明願いたい。
  17. 近藤貞

    説明員近藤貞君) 十四、五才というような非常に年少少年利用しておるという状況ですが、これは中には相当のいわゆるいかれたというふうに考えられる不良化した少年が、すでに親のもとも離れて、いわゆる浮浪状態になり、兄貴分愚連隊あたりのところに寝泊りをしておる。そういう者が深夜喫茶利用するということもあるわけであります。そのほか家出をして泊るところがない、銭もない、そこで簡単なわずかな金でもって利用できる深夜喫茶利用して、いわゆる宿泊場所利用しておるといったような者もあるわけでございます。中にはまた好奇心から友だちと誘い合って深夜喫茶に行った、こういうふうなケースもございます。概して年少少年利用というようなものについては相当悪質な不良化した少年が多いので、これらは必ずもう愚連隊兄貴分がついており、親との関係はほとんど離れておるといった実態が多いのであります。従いまして、今の都条例の問題で、親に科料を映することになっておりますけれども、親に課する程度につながりがあるかどうかという問題があるのでありまして、必ずしも少年出入りさせたといってすべて親に科料を課すことができるかどうかということについては、これは非常に疑問があるわけであります。大体利用状況はそういうようなことであります。
  18. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから特に伺いたいのは、警察庁で一応犯罪容疑者として取締りの必要のある者、被疑者として取締りの必要のある者、こういう者がかなり深夜喫茶に入りびたっておるようでありますが、大体私の調査によると、昨年度深夜喫茶に入りびたっておる――警察庁犯罪者として取締りの必要を感ずる者三千七十八名、このうち約二〇%くらいが深夜喫茶に入っておるというが、なぜこういうことがわかっておりながら取締りができないのか、この原因をお伺いしたい。
  19. 近藤貞

    説明員近藤貞君) 深夜喫茶利用者の中には相当犯罪を犯しておる者がおるのではないか、しかもそれがわからないのはどういうわけかというようなお話でございますが、どうもお客さんでございますので、営業主に対する取締りということはできますが、深夜喫茶に行って飲食をしておる人たちに、すべてこれ職務質問をするというわけにもいきませんし、また警察官としてその場に臨んでじろじろお客さんの風体をながめ回すということもこれまた実情に合わないのであります。従って、そこに十八才未満で深夜喫茶利用しておるといった者については、警察官として、君はまだ子供だからこういうふうなところに来てはいけないのだよというふうな取締りはできます。しかし、それ以上の年令でもって深夜喫茶出入りしてコーヒーを飲みあるいは飲食をしておるといったようなものに対して一々これを犯罪祝して、それに臨むということはできませんので、従ってその中にあるいは相当犯界を犯した者も客として入っておるだろうと思いますけれども、なかなかその発見が困難であるというような実情であります。
  20. 高田なほ子

    高田なほ子君 問題は、深夜喫茶に対して、十八才未満の者に対しては特に条例等によってある程度補導ができるような仕組みになるわけでしょうが、数字に示されているように、深夜喫茶に入りびたっている者の中の二〇%ば犯罪関係があるということになってくると、深夜喫茶そのものに対してメスを加えなければ、単に十八才未満の者は取り締るというような法令だけを、あるいは条例だけを強化しても、悪の根源を断つことはできない。従いまして、お説のように、風俗営業法の方の改正等が考えられなければならないのですが、現在でも、地方自治法の第二条の第三項第七号の風俗を汚す行為、これの制限並びに風俗純化に関する条例、こういうものを十分に適用すれば私はある程度取り締れぬことはないと思いますが、往々にして警察当局業者と不可分の関係を持ちながら社会純化に対して協力できないというような、そういう温床警察当局の中にあるということも私は見のがすことのできない点ではないか、こんなふうに考えるわけでございます。特にこれは、しろうとの方々が七月の十六日に深夜営業喫茶店実態調査をされたのですが、しろうとの方がごらんになっても、喫茶店、サロン、バー、純喫茶、それらのものが基準に合わないような営業ぶりをしている。これが現に放置されているというような状態の中で、単に十八才未満の者の保護者を拘束したり、これを追い出すというような措置だけではこの問題は解決できないのではないかということを強く憂うる一人でありますが、現在の風俗営業取締法でも、私は必ずしも強く取締り強化するような法改正をしなくてもある程度取り締れるのではないかというふうに考えられますが、このままでは必ずしも客に接待をする者だけが風俗営業取締法に該当するのではないというふうに私は解釈しているのですが、あなたの解釈によると、客に接待をする者だけがこの風俗営業取締りの対象になるのだというふうに御説明になったのですが、私の解釈とあなたの解釈は少し違うのですけれども、この点はどうなんでしょう。特にこの第三条の中で、「都道府県は、条例により、風俗営業における営業場所営業時間及び営業所の構造設備等について、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」――善良な風俗を害する者に対して必要な制限を加えることができることになっているのです。必ずしも接待婦がいるものだけがこの風俗営業取締りの対象になるものとは考えられない。ですから、この三条の規定というものを拡大していけば、善良の風俗を害する、そのものに該当する者に対する取締り――私は、業者の自粛ということを先ほどあなたはおっしゃっていますけれども業者の自粛等についてのめどというものがはっきり示されておらないのではないか、こんなふうにも考えられるわけであります。要するにこの法の解釈は、あなたの解釈と私の解釈ではかなり違っているのですが、もう一度御説明を願いたいと思うのです。
  21. 近藤貞

    説明員近藤貞君) 御承知のように、風俗営業取締法には三つの業態が示してありまして、一つは、今の料亭、待合といったようなものに代表されるいわゆる客席で客の接待をする、そうして遊興飲食させる営業、この中に入って、この接待ということが問題になるわけでございますが、今の私どもの解釈でいきますと、接待行為が伴わないというと風俗営業の範囲に入らないという解釈をしているわけであります。従いまして持ち運びをするだけのための婦女というのでは風俗営業とはいえない。またお客同士がどのように頽廃的な雰囲気をかもし出すようなことをしても、それで常業者を処罰するとか、あるいはまたそれだから風俗官業であるというふうには考えられない、こういう解釈をしておるわけでございます。従いまして私どもの期待しておるのは、この風俗営業取締法改正によって、たとえ接待行為が伴わなくても、施設あるいは客同士の間において非常に風俗純化を阻害するような業態のものが当然この風俗営業の中へ入るのだという、こういう改正が行われれば、深夜喫茶の問題はある程度解決するのではないか、これが風俗営業の中へ入れば、条例によって、たとえば十一時なら十一時、あるいは十一時半ということに営業時間の規制ができますので、それによって深夜喫茶の問題も解決できる、こういうふうにわれわれとしては期待して考えて、この風俗営業法改正ということをここに期待しておるわけでございます。
  22. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうしますと、法改正はこの風俗常業取締法の中に深夜喫茶という一項を入れる、こういうことがねらいのようですね。それでよろしいですか。  それからもう一つは、現在の都条例が今度制定されますが、新聞等で拝見すると、警視庁側では、この都条例が制定されても、実際の青少年に及ぼすところの悪影響というものを断つことができない、非常に不完全だというような見解を発表しておるわけですが、この間の消息と今の法改正との関連を御説明いただきたい。
  23. 近藤貞

    説明員近藤貞君) この風俗営業法改正は、深夜喫茶の形態をなすものを風俗営業の方へ入れると一いうことで、深夜喫茶名前を子のまま使うことは、これは不可能だと思いますが、非常に表現がむずかしいので、その点法改正も非常に骨が折れる問題だろうというふうに考えておりますが、いずれにしても現在の深夜喫茶の形態というものは風俗常業であるというふうに、法案の文句はいろいろあると思いますけれども、そういうふうな改正を期待いたしておるわけでございます。  それから、都条例のきょうの都議会に提出される予定になっておる東京青少年保護条例でございますが、これは十八才未満の者を出入りさせた、その保護者科料に処するという規定でございますが、それでこの深夜喫茶の問題が解決されるということではないのです。同時にまた新聞に現われた警視庁側の見解というものは、多分に新聞社の一つの書きっぷりでございまして、あの通りに考えておるわけでございません。今度の条例ができれば、青少年が全部出入りができなくなりへまた利用する青少年がなくなるだろうというふうには考えられませんけれども、従来よりもこの保護者に対して非常に責任を持たせる、今までのように出入りさしても親はかまわないのだと、こういうことでなく、やはりああいうところへ出入りさせるということについては、親も相当責任があるのにと、こういうところで、世の保護者に対する警告的な意味が非常に強く出たろうと思います。そういう点で、親も自分の子供の行動について、現在よりも注意を払うのではないか、ことに深夜出入りをしておって、それを放任しておるといったようなことが今までは行われておっても、今後は科料に処せられるというところから、親御さんとしても相当注意を払うのではないか、そういう意味合いの効果は相当あると期待いたしておるのであります。ただ一々これを処罰の対象にするかどうかについては、これはいろいろと実態を考えていかなくてはならないのでございますが、全然これが効果のないものであるというふうに考えておるわけではございません。
  24. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  25. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 記速つけて。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 親に対して警告を発し、また責任を持たせるというような意味でこの条例ができたようですが、どうもそういう意味での条例というものは、私はあまり感心しないのです。条例でもって親に警告するというやり方もまずいし、今の実態からいえば、家出をした子供、あるいは兄貴分がくっついているというのは、そういうのは全然家庭で見放したり、親というものがどこにいるかわからないというような場合に、親に対する責任警告だけでは、社会全体がこの責任を持たなければならないというような立場から参りましたときに、やはり夜明けまでも営業しなければならないというようなことは、これは全部私はやめてしかるべきだという考えを持つのです。私はよく自分で疲れますと喫茶店になど入りまして、涼しいところで一服いたしますと、大へん気分的に軽くなり、また、都民一般の方々もそういういこいの場所としての喫茶店にまで制肘を加えようとする考えは持たないだろうし、やたらに喫茶店に警官がじろじろ入り込まれてははなはだ迷惑なことなんで、要するに、夜夜中まで喫茶店営業するということ、そのこと自体を、病的なものをこれをやめさせるということでなければ、十八才未満の者、あるいはそれに対する親の責任だけを追及したからといって、この問題が解決しないというふうに考えておるわけです。都条例制定後も、一そう警察は、単にその業者とのなれ合い取締りではなく、十八才未満子供たちだけ対象にして取締り強化するというだけではなくて、不健全な娯楽機関に対しては、全国民的な世論の中でこれを解決していく方向をぜひ一つがんばってもらいたいということを申し上げて、以上で私の質問を終ります。社会教育局の方にも質問がございますが、ちょっと私の弟が今出張先で急死をしたという知らせが参っておりますので、身寄りもございませんので、失礼さしていただきたいと思います。
  27. 岡三郎

    ○岡三郎君 いろいろな問題があるが、風俗営業関係のみならず食品衛生法に関する営業ですね、この営業時間というものが、取締り当局が非常にルーズに考えておるのではないかというふうに見られる点が多いと思うのですが、営業時間というものが、相当業種によって明確になっていると思うのです、これがルーズになっておるために、いろいろと問題が起るという面があると思うのですが、こういうものを厳格に励行させるということによって、こういう問題の解決がある程度なされるのじゃないかと思っておるのですが、その点いかがでしょう。これは警視庁の方へちょっとお聞きしたいと思う。
  28. 近藤貞

    説明員近藤貞君) 営業時間というのは、本来自由なんですね。制限が何もないわけなんです。何時に商売しようと、そんなことほかまわぬじゃないかというのが原則なんです。ところが、風俗営業関係では、風俗営業法によって、風俗ということに非常に影響を及ぼす、そういう営業については、法律によって規制できる、東京都においては、十一時以降の営業はいけないと、こういうことになっております。それからその他の営業については、別に規制するものがないわけで、深夜喫茶条例というのは、深夜で営業するのだったら、こういうことを順守しなさい、こういう規定をしておるわけであります。結局営業の自由ということが非常に原則になっておる関係で、いわゆる公共の福祉というふうな立場から営業規制をすることが可能かどうかというような点について今非常に争いがあるところなんであります。何ともきまっておらない状態であります。従いまして、営業時間というものについてもう少し規制ができるということになりますれば、これは警察としてはどのくらい助かるかわからない。犯罪の発生予防といったような点から見て、深夜における飲食物の販売ということがどのくらい悪影響があるかわからない。深夜喫茶など警察から考えるならばほんとうは目のかたきのような存在ですけれども、ああいうものは一軒もなくなってくれればどれほど会社が平静になるかということを考えると、実際ありがた迷惑な存在なんです。うちの総監もどこか、国会の方で百害あって一利なき存在であるというようなことを言っておりますが、実際警察はその通り考えておるわけであります。従って営業時間が規制できるというふうな法解釈なり、あるいはそういう法律ができるということになわば非常に好ましいというふうに考えておるのでございますけれども現状においてはそういうところに解決しておりませんので、従って営業時間が非常にまちまちになっておるというような実態であります。
  29. 岡三郎

    ○岡三郎君 時間がありませんので簡単に聞きますが、一般の風俗営業についての十一時も非常にルーズだと思うのですよ。これは私がそれをどうして聞くかというと、夜通ると銀座あたりは割合早くひけるが、ターミナルのある、いわゆる新宿とか、池袋とか、渋谷とかああいうふうなところが自動的に時間がおくれている。それで電車に乗りおくれてしまったのが深夜喫茶に入るとか、いろいろな形の中で問題を提供しているから、まず第一に風俗営業関係のものをこれは時間を厳守させる。それからもう一つは、このすべての営業に時間を規制するわけにいかぬでも、一つの特定の、今言ったような種類の営業ですね、これを準というと言葉がおかしいのですが、準ずるですね、準風俗営業的な観点に立って、いわゆる照明度とか、室内の設備の仕方、そういったもの、いろいろと問題があろうと思うのですけれども、そういうふうな面についてはとにかく十二時以降なら十二時以降の営業というものについて法律的な規制ができるような研究を私はやはりやらなければいかぬと思うのですよ。こればすべての営業を規制するわけには営業の自由からいって私は参らぬと思う。ただ問題は、今言ったような風俗営業に類するものをどこまで拡大するかという問題については大きい問題であろうけれども、深夜喫茶等については準ずるという一つの過程を検討しても私は無謀じゃないと思うのです。先般旅館の問題についても、学校周辺の旅館の規制をしたことがこの文教委員会である。それは保健所指導しておるけれども、建前として旅館というものが特に風俗的に工合が悪かった例が千駄ヶ谷等の嶋森の例等によってあったわけです。そういう場合に、やはり特殊立法ということができなかったけれども、あのときに旅館業法の一部改正でこれに対する一つの規制をした。そういうふうな点で、道徳教育というものをいろいろと四病ばってやるという問題も今検討されておるような状態ですが、根本的にはそういうふうな児童生徒の環境の整備といいますか、こういうものをいいかげんにしておいてやはりやってはいかぬけれども、それが逸脱して営業の自由をあまり拘束するようなことであれば業者の方からいろいろ問題があると思うけれども、要は実態に基いてどういうふうにこれが利用されておるかという具体的の事例の上に立って、これはまさしく風俗営業に準ずる一つの商売であるというふうな観点が明確に打ち出されるならば、国会でこれを法制化して、そうして風俗営業取締法に類する一つの規制という仕方というものも私は賛同を得られるのじゃないかと思うのです。そういう点で、一つ百害あって一利なきというふうな事例ですね、こういう問題について、私は規制するということが常態になっては困るという意見に立っておるけれども、目に余るような状態でそれがまさしく青少年の生活を害しているということになるならば、それはやはり一面規制していかなければならぬと思うので、まず手始めに都がやっているようなこの青少年保護条例等ではこれは私はできぬと思うんです、実際は。実際問題として、今言ったような親を呼び出したって、親の手元から離れているものが一体どうするかということになれば、なかなかその問題の解決はつかないので、そういうような面について文教委員会等においても検討していいと思うんです。ですから、具体的な資料を、きょう質問された中でいろいろと御説明があったわけですが、深夜喫茶等における実態というものを一つまとめてこの文教委員会等に御提出願えれば、その中においてどういう仕方が大体いいのかというふうな一つの検討を文教委員会等でもしてみたいと思います、立法的な観点に立って。そういうふうな点について、資料等を文部省と御連絡の上一つ出していただければと思うんです。この点については、営業の自由の問題、いろいろありますけれども、そとまでいかなければならぬと思うんだが、これは文部省の方の考え方はどうですか。
  30. 福田繁

    説明員福田繁君) 従来深夜喫茶実情につきましては、警視庁の方からいろいろ御説明がございましたが、先ほど来高田委員、岡委員からいろいろ御意見のありましたように、私どもといたしましても、現在の青少年保護育成条例というような程度のもので深夜喫茶に対する対策が十分だとは考えていない。また、ただいま東京都でいろいろ条例の案ができているようでございますが、そういった青少年を深夜喫茶に近づけないとか、あるいはまたそれに対して保護者をある程度科料に処して警告を発するといった程度のことで実効を上げ得るかどうかということは非常に疑問があると思います。そのことは、私も非常に同感でございますが、根本的にはやはり深夜喫茶をなくするというような方向で考えるべきではないか、こういうような観点からいたしまして、文部省といたしましては関係省といろいろ連絡協議をいたしまして、目下のところ内閣に置かれておりますところの中央青少年問題協議会におきまして、この問題を関係各省集めていろいろ協議いたしております。国会におかれましても、いろいろ今のような御意見にございましたように、御研究いただくことは非常にわれわれも仕合せだと思いますが、政府といたしましては、そういったところで近々この結論を出して対策を講じていく、こういうような話し合いを目下進めているわけであります。私どもといたしましては、少くともこの風俗営業取締法の中にそういった深夜喫茶のような営業形態のものを含めまして、そうしてそれによって営業場所あるいは常業時間あるいは営業所の構造等について相当強い規制が行われて、実質上今のような営業の形態がなくなっていくということを私どもは非常に念願しているわけでありまして、そういった点のいろいろむずかしい問題はありますけれども、現在研究中であるということを申し上げておきたいと思います。
  31. 岡三郎

    ○岡三郎君 最後に、私は今の点で、その方向で御検討願いたいと思う。私は、今言った通りですが、一つ警視庁の方でなくして、文部省の方で大体基本資料ですね、これはそんな分厚いものでなくてもいいですから、各省と連絡の上、参考に、どういうふうに検討したならばこの問題の解決が一番いいかというふうな、資料としてお出し願いたいと思います。これと類似しているものではダンスホール等もあると思います。ダンスホール等なんかにおいても非常にいい面のものもあるが、非常に何というのですか、愚連隊の巣になって、一時新宿の日活のそばにあるダンスホール等においてはいろいろな問題が起ったというようなことが出ておりましたが、ダンスホール等においても、非常に不良化というのですか、そういう問題があると思うので、こういう問題についても、総体的に、再少年の保護育成という点とか、どういうふうになっているのかということも聞きたいと思っておったわけですが、時間がありませんので、警視庁の方の防犯部の方としても、そういうふうな面で、ごく幼いというか、十四、五くらいでダンスホールへどんどん入っているのがあるというふうにも聞いているわけですから、そういうふうな点についての資料がありましたならば、文部省の方へ連絡して、そういう面についての、純粋なダンスホールというようなものはいいけれども、深夜喫茶に類するような、悪の温床になるような部類のものは、これは婦女を置いて接待しないから風俗営業に入らないというようなことではなくして、もう一歩別の角度でこれを検討してみる必要があるのではないかというふうに考えているので、まあそういうふうな面の資料もありましたならば、あわせてどういうような状況でこれが利用されているか、こういうふうな面の資料も、なかなかむずかしいと思いますけれども、参考にもしもありましたならばお願いいたします。これは委員長の方から資料をお願いいたします。   ―――――――――――――
  32. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは、大臣が見えられましたから、順次御発言を願います。
  33. 湯山勇

    ○湯山勇君 最初に、昨日の青年局問題について、大臣調査されたものがありますならば、お答え願いたいと思います。
  34. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 関係の向きへどこからこの話が出たかというようなことでいろいろ聞き合せてみたのでありますが、先日内閣の総務長官が新聞の諸君と会見しました際に、いろいろこの青少年問題についての話が出た模様でございます。その中で総務長官の申しましたことは、御承知の内閣にある青少年問題の協議会に専門の委員を委嘱しまして、それらの諸君によって今後協議してもらうと、こういうような趣旨のことを話をせられた模様でありますけれども、青年局を内閣に作るというようなことは何ら言われたことがないと、かように聞いておる次第であります。内閣の事務当局におきましても、そういうことは全然考えておりません、こういうふうな話でございましたので、新聞の方でどういうところからそういうふうな記事を書かれましたのか、その点ははっきりいたしませんけれども、政府部内におきまして今さような考えば持っておらないということを申し上げたいと思うのでございます。
  35. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは、将来におきましても、青少年問題協議会がああいうふうな形で内閣に取り上げられたというような経緯から考えてみますと、そういう動きが必ずしも手放しで楽観してほうっておいてもいいということでもないような気もするのですけれども大臣はこれについては、そういうことがないように十分御決意を固めておられると思いますが、ぜひともそういうことのないように一つ御母力願いたいと思うのです。  それと関連いたしまして、最近各府県で青年団等の指導に当る県の教育委員会がかなり強い干渉を青年団にしておるというような事例がままあるようであります。たとえば、青年団が自主的に選んだ講師を委員会が拒否する、そういったような問題から青年団との岡にいろいろごたごたが起っておるというようなこともありますし、また幾つかの県では、青年団活動等に協力する社会教育主事を全部やめきして、そうしてそれらは全然行き方の違った主事を任命しておる。それらの人は、青年団とか婦人団体とかに対して指導する力もないし、そういう熱意も欠いているので、だんだんPTAの指導というようなことばかりに一生懸命になっているというような事例もあっちこっちで聞くのですけれども、今青年団の指導とか、青年問題というのは非常に重要な段階にあると思います。そこで、基本的には、私はやはり青年団体とか婦人団体とかいうようなものは、委員会の指導助言とかいうこともありますけれども、それらの指導助言というものは、あくまでも自主的な活動を伸ばしていくという意味において主としてなさるべきものであって、強い干渉等は避けるべきだと思っておりますが、今の問題のついでに大臣の御所見を伺いたいと思います。
  36. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 御承知のように、内閣に設けておりますところの青少年問題の協議会は、問題が多方面にわたっておりますので、関係方面の連絡をよくいたしまして、青少年問題の解決を推進していこうと、こういう建前でできておるわけであります。内閣がさような仕事に対するいわゆる実施官庁というふうなものになる性質のものじゃないと思います。従いまして、もちろん文部省だけの問題ではないと思いますけれども文部省といたしましては、青少年指導育成というふうな問題につきましては、やはり中心の役所としての自覚を持って事に当って参りたい、かように考えておりますので、御心配の点はまことにありがたいと思います。私もまことに同感に存じておりますので、将来そのつもりでやって参りたいと思っております。  なおまた、地方の委員会の青少年に対する指導の問題でございまするが、お話の通りに、青少年指導という問題につきましては、これが特に干渉とか何とかいうふうな姿になって参るということは、よほど気をつけなければならぬと思います。あくまでも青少年の自発的な活動ということに主眼を置いて参らなければならぬということについては、私も同感に存じております。問題はただ、そういう際に親切な指導助言をしていくと、こういう建前でもってやらして参りたいと思うのでございます。至らざる点がありますれば、気をつけたいと思っております。
  37. 湯山勇

    ○湯山勇君 ただいま大臣から行き届いた御答弁をいただきまして、大へん私も力強く思いましたが、ぜひ矛、ういう方向でお進め願いたいと思います。  それから次に、昨日お願いいたしました定数基準……。
  38. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっとその前に……、この青年局を設けるということは、今明快に大臣からお答えがあったのですが、青年の家ですね、ユース・ホステルの整備という問題について、これはしばしば青年の家というのを総理の方から言われてきたと思うのです。北富士演習場の跡に国立の青年の家を新設すると、こういうことが発表されておるわけですが、これは事実、なんですか。
  39. 福田繁

    説明員福田繁君) その点について、私から申し上げるのは筋道かどうかわかりませんが、私の知っております範囲を申し上げますと、富十の御殿場のところにございましたアメリカ軍のキャンプが返還になりましたので、この施設の利用をいろいろ地元の県といたしまして考えておりまして、とりあえず今年度は、この夏青少年の宿泊訓練その他野外活動の施設として、これは調達庁その他といろいろ連絡して計画しているようでございます。この夏やってみたいと、こういうふうな考えで進めておりますが、今後静岡県としては、このりっぱな施設を十分生かして国家的に利用したらどうかというような意向が地元で非常に強うございまして、そういった関係から、内閣の方におきしましても、何か利用方法を一つ考えようじゃないかというような観点からいたしまして、関係各省が集まって、そういうことが可能かどうか、また利用するとすれば、どういう方面にどういう利用方法を講じたらいいかということを研究しようということになっておるわけであります。それはまだ話の中途でございまして、結論が出ているわけじゃないと思います。
  40. 岡三郎

    ○岡三郎君 私はまあ中央青少年問題協議会ですね。これは内閣に設置されておるわけですが、こういう問題が、今こういうところでいろいろ結論を出したものを、実施する機関として社会教育課等で文部省が掌握していくというならばいいのですが、いつでも問題を打ち出されておるが、それをまとめて実際に円滑に、またしかも実益のあるように、ほんとうに効果のあるように運営するということになると、話ば出るが消えていくということが多いと思うのです。そういう点で、文部省自体が、青少年不良化防止のために、青少年保護育成法案ですか、こういうものについての検討というものもなされておると思うのですが、文部省社会教育一つの大きな基本方針として、こういうものを積極的に推進するということで仕事というものをまとめていくということにならぬというと、何か二元化された形で運動といものが動いていく心配が私はあると思うのですよ。これは、私は何も文部省の肩を持つわけではないけれども、ばらばらに行われる、そういう、実施というものがとかくすれば方向が逸脱する、教育というもののワクから逸脱した方向に私はいく心配があるのではないかと思って、これを聞いておるわけです。もう少し積極的に、社会教育局として一つこういう面についての指導と言ったらおかしいですが、積極的な行動を私の方として要望したいと思います。
  41. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の定数基準の問題と学級規模の適正化に関する資料について昨日お願いしておりましたので、簡単にお尋ねいたしたいと思います。  いただいた資料の中で、政令県については一応扱いが別になると思いますから省きまして、一般県について、実際はこの資料は仮計算ですけれども、かりにこれが本計算だと仮定して御答弁願いたいのですが、定数充足では、小学校が幾らになり、中学校が幾らになり、適正化では、小学校が幾ら、中学校が幾らになりますか。差引計算じゃなくて、実際これが実施された場合に幾らになるという数を一つあげていただきたいと思うのです。
  42. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 定数充足では、小学校で三千六百四十、それから中学校で五百四、これを合せた数が足らない数でございます。これだけを充足しなければならぬ。それから、この基準よりもはみ出た部分は、小学校で三百四十一、中学校で千八百四十五、このはみ出ておる分だけ学級規模の適正化に回りますので、次の欄に入ってくる数字でございますので、これはそのために減にならないで、二千百八十六というものが学級規模の適正化に入る数でございます。
  43. 湯山勇

    ○湯山勇君 それから次にお尋ねしたいのは、当初予算の計上額と、これの実施との差はどうなりますか。
  44. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 当初予算との比較でございますが、一応そこに出ております最終計の四千百四十四、この四千百四十四のほかに、さらに一般県で七百九十二、政令県で四百十四の不足になっております。
  45. 湯山勇

    ○湯山勇君 これはもう少しこまかく聞かないと、今の数字は了解ができないので、ちょっとこまかくお尋ねしたいのですが、結局、定数充足では、不足しておる二千六百四十は当然充足されるものとして、その下の三百四十一というのは、これは付則によってそのまま残される、だから実際は、この計算の上では引かれておりますけれども、この数は引かれないと思う。そうすると、定数の場合の小学校の場合は、これが残るのと、それから足りない分を出すのとで二千九百幾ら、約三千名になる、中学の場合は、同じような計算で、二千三百幾ら、こういうことになりますね。それからその下の、学級規模の適正化の場合は、これも大体このままいくと思いますから、そうすると、大ざっぱな計算をしますと、八千四百幾らという合計が出てくると思うのです。
  46. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 前の段はお説の通りです。小学校は、千六百四十の不足に、△の減は、学級規模の適正化でございますので、これが加わるわけでございます。この△の三百四十一と、中学校の場合の千八百四十五というのは、これは定数の関係から言うと、はみ出る分です。これは次の学級規模の適正化の方に入っているわけです。ですから、その辺がちょっと湯山委員の御了解が違うじゃないかと思うのです。
  47. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういう御答弁をいただくだろうと思ってお聞きしたのです。そこで、今の関係ですね。それをさっき御説明なかったものだから、その説明をお聞きしないと、どれだけ不足するかわからないので、その説明をつけてお聞きしたかったわけです。そういうように説明していただかないと、こっちもわかりませんから、一つお願いします。
  48. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 今申しましたように、一般県では二千六百四十人、中学校で五百四人、これは定数基準に足らない分です。ですから、これだけは今度の定数基準によって当然充足されべきものです。ところが、その定数基準を作りましたときに、この定数基準をこえておる県がそこに(イ)(ロ)(ハ)(ニ)という所に出ておりますが、(イ)は小学校でございます。(ロ)は小学校の政令県でございます。(ハ)が中学校、それから(ニ)が中学校の政令県ですね。これだけの分が減になりますので、その減は、付則によりまして、これらの教員定数は減らさないようにして、この余った教員数をもってすし詰め学級を政令に定める基準よりもさらに前進してやるようにということになっておりますから、この△じるしが当然にすし詰め学級解消に回りますので、次の欄の学級規模の適正化の中にこれが入ってきたわけです。そこで、定数の方から申しますと、小学校では、一般県では二千六百四十の増と、五百四の増との和の三千百四十四が定数増になるわけです。それから学級規模の方は、今の△が入り込みまして、両方で、学級規模の小学校は六十、中学校は五十五で抑えますと、その数が、内数でございますが、小学校で三百五十五、中学校で五百九十九が学級規模の適正化の中に入るわけです。その残りの分が今の△が下りてくるわけです。そこで、学級規模の適正化といたしましては、小学校で千八十六人、中学校で千九百九十一人、これが合計されるわけでございまして、合せまして、最後の計にございますように、定数と学級規模の両方で四千三十五人の増員と、こういうことでございます。
  49. 湯山勇

    ○湯山勇君 その計算はちょっと私はわからないのです。その一つは、足数充足で今のようにはみ出た分は学級規模の適正化に回すということはこれはこの炎を作って以後の操作になっておるのか、以前の操作か。これは私は今のお話ではこれ以後の操作のようになっておりますけれども、必ずしも実態はそうじやないと思うのです。それから、実際が五月一日現在でそういうふうになっておるとすれば、これだけ充足されておるとすれば、その数がそっくりそのままもう適正化の方に実際回ってくるわけですから、そうすると、その段階において学級規模の適正化がなされてないというものについてはやはりそのまま措置しないと。今のような機械的に回すということではなかなかできない点もあるのではないかと思うので、その辺がどうなっておるのか。これはやはりちょっと説明をお聞きしないとわからないと思うのです、非常にこまかいことですけれども。もしそういうことでなければ、むしろこの適正化というのは定数充足をこれだけこうしたあとになお適正化で残るのがこれだけだという数を示していただかないとこの下の差引ということが合ってこないと思うのです。その点どうなんでしょうか。
  50. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ちょっとこの数字がややこしくなりましたが、大体当初予算に計しいたしましたのは、すし詰め学級解消分として、五千人の増を見たわけです。定数関係では別に予算上は計上してなかった。その後定数標準法を作るときに大体一万人程度の増員を実は見込んだわけです。そうして一万人のうち五カ年で毎年二千ずつ増員しようと、こういうことでいろいろ大蔵省と折衝して参ったわけでございます。ですから、この表は定数の関係がどの程度不足するかと申しますと、小学校中学校合せまして三千百四十四人というものが定数関係で当然ふやさなければならぬ数字でございます。  それから、適正化の方で当然考えなければならぬのは、これは政令によって小学校は六十、中学校は五十五にいたしましたので、それをこえておるものを学級規模の適正化をするために小学校では三百五十五人、中学校では工藤九十九人の増員をしなければならぬ、こういう数字になってくる。それのほかに、これは国会で御修正になりました第三の学級規模の適正化の付則第五項ですね、定数をはみ出た分だけは学級規模の適正化に回すという付則がございますので、その分がさらに加わった、こういうことになるわけでございます。このさらに加わった分がここにある三角じるしの小学校三百四十一、中学校千八百四十五で、これが学級規模の適正化に回るものでございます。
  51. 湯山勇

    ○湯山勇君 非常にこれ厄介な計算ですし、説明もわかりにくいと思いますから、いずれあとで詳しく課長からお聞きしますけれども、ただ指摘したいのは、局長の群われることは非常に何というか、この表にこだわって、かなり無理な言い方をしておるということだけ申し上げたいのです。それはあなたの方の計算は小学校の一般県の場合は、オーバーしておるのと足りないのと差し引いてその二千二百九十九というのを出し、それから中学校の場合も同じように定数の中で操作しています。そしてこれだけふえるというものを出しています、実際は減っておりますけれども。とにかく減る数を出している。それと実際に適正化の場合と相殺して最後の計を出しておるので、そういう簡単な計算から今言われたような実際の動きというものは出てこないんで、そこで私は、当初予算との関係というのを聞いたのはそこなんです。それは出てこないと思いますから、このことは課長からあとで詳しく聞きます。で、問題は、こうやってみますと、当初予算で形状した数よりは相当上回ってくると思います、付則との関係で。そこでこのすでに財源措置をした国の方の貧打の方は、これは赤字が出れば赤字なりに措置できますけれども、地方の場合はその操作はかなり困難だと思います。で、この地方の財源措置についてはあの当時もいろいろ問題になりまして、自治庁あたりもまあ何とかするというようなことになっておりましたし、政令がおくれた原因もその辺にあったのじゃないかと思うのですけれども、これでオーバーしておる県、それからかなり大幅に充足しなければならない県ができておると思います。それらについての地方に対する財源措置、それは一体どういうふうになっておりますか、今の段階では。それから、地方はこれに対して大体いつごろどういう措置をするようになっておるか。これは少し正確に一つ御答弁願いたいと思います。
  52. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 財源につきましては、交付税の単位費用が八月三十一日で決定を見るわけでございます。その際にできるだけ地方の実情を考慮いたしまして、、五月一日の指定統計に若干の修正を加えていただくようにお願いしようと思っております。で、もちろんこのたびの標準法によりますと、この標準表によった定数が確実に地方財政交付金の中で単位費用に盛り込まれますので、保証をされるという道が開かれたわけであります。私どもの方は御承知の通り、実績の半額負担でございますから、これはあとで精算払いをいたしますので、この点は支障なかろうと思います。で、この間実は財政課長会議がございましたので、私も出まして、よく趣旨の説明もいたしましたので、地方においても御協力を願うようにいたしております。なお、ただことしはすでに当初予算が決定されておりますので、なかなか困難な事情もおありかと思います。で、しかし大体こういう線でやっていただきたいと、多少、来年度以降は比較的スムーズにいくかと思いますが、ともかく当初予算を編成したあとでございますので、どの程度の補正がきくかということになろうかと思いますが、おそらく各県とも九月県会に補正をされる見込みだと思っております。
  53. 湯山勇

    ○湯山勇君 最後に、大臣説明をお願いしたいのは、今、局長の御答弁がありましたように、せっかくこういうふうな政令もでき、それからいろいろ御努力も願いましたけれども、手放しでこれは楽観できない事情にあると思います。しかしそうかといって、これほうっておいて、ことしの分が来年に回り、来年の分が次に回るというような塩鱒になりますと、せっかくの法律の精神もこわれてしまうおそれがありますので、私はこれは本年の政令は、かなり――まあ私どもの感じからいえば、ずいぶん御努力願ってはおりますけれども、非常に不満な点が多いのです。暫定的に本年度だけこうしようというような点もありまして、そういう不満な状態であっても、とにかくことしは、との計算された数字だけは充足してもらいたい、こういう強い希望を持っておりますし、文部省の御決意もそこにあると思いますので、これがもし九月県会なり何なりで、地方の自主性という理由に基いて充足されないというようなことがあると、今後のこの法律の運営には非常に大きな問題になると思いますから、これは一つ大臣も十分この点については責任を持って御努力願いたいと思うのでございますが、一つ御所見を伺いたいと思います。
  54. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) ごもっともなお尋ねだと思うのでございます。われわれといたしましても、これで完全というところまでは参らないと思いますけれども、どうやらここまでこぎつけて参ったのでございます。これが完全に実施されるように心から願っておるわけでございます。従いまして、財政その他の事由によりまして、これがいいかげんにせられるというふうなことはわれわれとしてもたえがたいところでございます。自治庁当局に対しましても十分一つ御協力を願いたいと思います。先般知事の会議がありました際にも、特にこの問題につきましては協力方を私からも要望いたしておりました次第であります。大体そういうふうにやってもらえるものと期待はいたしておりますけれども、成り行きによりましては、さらにまた一そうの努力を払いたいと思っております。
  55. 湯山勇

    ○湯山勇君 最後に要望でございますけれどもこれは四月からの予算措置が一応考えられておったので、そこで地方財政の面から見ましても、国原財政の面から見ましても、大体当初の国が予定した人員の九月県会できまったとしても、十月実施になれば半年分見ればいいわけですから、極端に言えば三崎の充足が可能だというような理屈も成り立つわけですから、この段階で地方が地方財政の見地からこれはできないというようなことは、当然これは許されないところだと思いますから、一つ場合によれば措置要求も辞さないというくらいに強い御決意で一つぜひ実現するように御尽力を重ねてお願いいたしまして、質問を終ります。
  56. 岡三郎

    ○岡三郎君 この表は、実によくわかると言いたいのだが、わからない表なので、それでまあこれは別にして、きのうの内藤局長の話だと、十五日に具体的な各県別のやつが出ると、こういう話だったのですが、それはその通りですか。十五日には表が出してもらえますか。
  57. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 十五日には指定統計が固まる、こういう意味でございます。各県別に数字が出るというわけでございます。
  58. 岡三郎

    ○岡三郎君 出ますね。ちょっと今はっきりしないから、もう一ぺんはっきり言って下さい。
  59. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 各県別の数字が出るわけでございますけれども、これをここへお出しするかどうかは私ちょっと即答いたしかねます。
  60. 岡三郎

    ○岡三郎君 いや、即答しかねるとはおかしい。ちょっときょうはまあこれでがまんしてもらいたいというのだからがまんした。で、十五日になるというと、統計でぴたりと出るのだ。そうすると、それを数字に書いて出せばいいわけでしょう。あとの操作は、もうこれで十分やっているのだから、数字が出ればそれで修正して、それでずっと出るわけだから、これを隠なしてやる必要はないと思いますから、すなおにここに御提出願いたいと思うのです。そうなれば、今月の十五日にもう一ぺん委員会を開いて、われわれ税金のがれでやっておるわけじゃないので、それはやってけっこうだと思います。どうですか。
  61. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) できるだけ御趣旨に沿いたいと思いますけれども、ただまあいろいろ各県の事情もおありだと思いますので、こういう席で公表して適切なものかどうか、多少私も判断に迷いますので、その点はもうちょっと考えさしていただきたいと思います。
  62. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと何を考えるか、もう一ぺん考える点を言ってもらいたいと思うのだが、要するにきちっときめられると工合が悪いといっても、あまりまた融通性のあるものを作って、各県の陳情によってこれが左右されるとは思わないけれども、一体どこが都合が悪いのですか、それを出して。
  63. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 表は出しますと、各県がどこが定数に何名足らぬ、何名オーバーしておる、こういうような個々の事情が出てくるわけです。
  64. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうそう。
  65. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) そうすると、各県でいろいろこれから財政折衝をされるわけです。そういうときにいろいろと、かえって円滑に行くものが無用な刺激を与えては私相済まぬと思います。おそらく私ともの方も各県の教育委員会と、これから予算折衝が始まる段階だと思いますが、その前に出すことはいかがかと、こういう意味でございます。できるだけ教育委員会と知事の間で自主的に御折衝願おうかと思っております。
  66. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで、今お話だというと、出したくないというので出さないような話だけれども、それでは私は、何も教育委員会と地方が数字に基いてやるのだから、それを強力に今までの文部省方針がきまった点を遂行するようにがんばる、金があるかないかという問題については、とにかく法律に基いてこういうふうな標準法によって、こういうふうなスタンダードなものを作ってやったのだから、全国的な義務教育の最低水準を確保するためにはこれ以外にはないというところです。ぜいたくな表じゃないのです。そういうところで、それを元にして都道府県が工合が悪い、文部省にもっと金をよこせというような筋合いのものでは私はないと思うのです。ですから、そういうふうな点で教育委員会と知事との折衝がどこが工合が悪いのですか。工合が悪いような表を出すところの(「いろいろな事情がある」と呼ぶ者あり)われわれは、そういうことを明快にすることがこういうものを明快にするものだと思っている。これはこういう点について(「地方教育委員会の……」と呼ぶ者あり)地方教育委員会の折衝はわかりますよ。そういうものをいつまでもそういう形に置いておくから工合が悪いと思う。一応ここに明示して、こういう方向で予算を作るという形でいけば、みんながそれに従って、とにかくこういうものは弾力性があるとかなんとかいうものじゃないのです。(「数字の表が出るのだ」と呼ぶ者あり)その数字の表を出してもらいたいというのだ。
  67. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 私語を禁じます。
  68. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) できるだけこの標準法の施行が円滑にいくことを私どもは期待しておるわけでありまして、都道府県の知事部局、財政当局及び教育委員会がその線に沿って自主的に解決していたたくように両方にお願いをいたしたいと思います。まだ予算の折衝の途中において資料を出すことが果していいかどうか、その点を私ども懸念しておりますので……。
  69. 岡三郎

    ○岡三郎君 国会で要求しているのだよ、必要と認めて、資料を。
  70. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) その時期でございますから、その期待はいま少し待ってくださいと……。
  71. 岡三郎

    ○岡三郎君 いつまで待つの。
  72. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) もう少し見通しのつくまで待っていただきたいと……。
  73. 岡三郎

    ○岡三郎君 そんなあいまいな返答じゃ了解できないのだが、そんなべらぼうな話が……。
  74. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) なるべく早出したい。
  75. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういうふうないいかげんなことは――これはきのうの話だというと、きょうはこれでがまんしてもらいたいという話だったのですよ。だから、われわれはこれでがまんしているわけだ。きのうの話では十五日に大体明確になりますというので、念を押したならば、今のような返事だから、そういうなまぬるい返事じゃ私は因ると思う。一歩譲って、いつまで待てばいいのですか、こっちが親切に聞いているのに、もうちょっと待ってもらいたい。いつまでですか。見通しを明確にしてもらいたい。
  76. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 私が昨日申し上げましたのは、十五日にならないと指定統計が出ないから各県の数字ははっきりしませんと、この点だけを申し上げて、十五日過ぎたら出しますというお答えは私はしておらないつもりです。
  77. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういうなまぬるい返事は要らないよ。
  78. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) きのう申し上げましたのは、全体の資料で御納得いくように御説明を申し上げたいと、こういうふうに申し上げたわけであります。各県別の資料についてはもう少し、しばらく時間を償いていただきたい。と申しますのは、十五日に各県の正確な統計が出ると思いますので、その資料に基いて計算を直したい。そうして一方県の方にも私ども、県なり教育委員会及び知事部局の方についても資料はできるだけ流した後に当委員会にも出したいと思っております。
  79. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は流した後ではいかぬと思うのですよ。いいですか。だから、地方の方において、予算折衝をさせるためにあなたの方で御自由に流すことは、それは私たちが何もとめだてする必要はないのですよ。ただ問題は、国会の方として、法律を制定して、それを実施する段階でしよう。どういうふうに実施するか。その実施することが大体文部省できまって、これに基いてやるのだといったときに、その資料を出したときに、工合が悪いと言ったらば国会を冒涜しますよ、あなたの言うことは。これは秘密を守ってもらいたいならば秘密を守ってもらいたいということを言って、ここにそういう資料というものを出し切れないから、こういう事情があるからこうだというならばわかるけれども、都道府県には明示しても、国会には出さない。そんなばかな話が私はないと思うのです。そういうことは、これはあんた、ここで政府委員として来て、そういう答弁をするならば、今後どうもそういう問題をそういうふうに処理するならば問題ですよ。だから、私の方は、都合が悪ければ八月十五日でなくてもいい、二十日でも、八月二十五日でもそれはかまわぬと思っているのだけれども、いつだかわからぬような返事では、それは困るですよ。われわれもそればどういうように具体的に都道府県で実施せられるのか、それを知りたいと思っているわけだ。その資料を出してもらいたいと言えば、それは予算折衝に悪影響を及ぼす。そんなばかなことを言われたら、国会議員がここであなた方に質問する必要がなくなってしまうと私ば思うのです。明確にその点言ってもらいたいと思うのだ。工合が悪かったらば工合が悪くないように、こういうようにしてもらいたいと、あなたの方から言えばいいじゃないか。
  80. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 私別に国会において資料を出さないと申し上げておるわけじゃないので、これは行政事務の途中の内部的な問題でございますので、教育委員会、あるいは知事部局に対していろいろと行政事務をすることは私は当然だと思うのです。ですから、内部的な問題と、外部に公表する問題とは、少くとも国会に対して私ども責任を持って資料を提出する場合とは多少違うと思うのです。
  81. 岡三郎

    ○岡三郎君 だから、いつ資料を提出するのであるかということを聞いておるのです。
  82. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) それはなるべく早く、今月中には出したいと思っております。
  83. 岡三郎

    ○岡三郎君 今月中というと、三十一日まであるのですが、できるだけ早くしてもらいたい。私たちはまあ全然めくらで、どういうふうに標準法が施行されるのだかもわからないでは、国会議員としての役割りを果せないのですよ。だから、あなたたちの内部的の問題には触れませんが、そういうものが何も全部済んでから、こういうこと、でございますでは、あなたのところに陳情に行って聞かなければならないという、ばかげたことになるわけだ。そういうことはやりたくない。だから、少くとも国会において標準法が決定されて、それに伴う施行が行われるという段階になったときに、それぞれの県においてこういうものはどうですかと聞かれたときに、必要以外のものを言う必要はないけれども、ここのところはこうなっているが、その予算折衝をどうするかというこまかいことまで聞きたくないけれども、具体的に実施方針というものに基いて、具体的にあれがこうなっておるということぐらいは一応腹中に入れておいておかなければ、文教委員会を開いて法律は通ったが、あとは知らぬよ、それは文部省が適当にやっている、そんなばかげたことではいかぬと思うのです。立法が施行されていくという過程の中において、どういうふうにそれが施行されていくかという点について、国会はある意味において責任を負わなければならないと思うのです。文部省に全部まかせて知らぬ顔でいるわけにはいかぬと思うのです。だから、今言ったように、二十日なり二十五日なりということで、一応今すぐというのは無理だったらは、一つ専門室があるのだから、こちらの方に大体見当をつけて、そうしてそれに基いてわれわれも今後の文教委員会というものを開いて、それでその実施に伴うところのいろいろな問題についても聞きたいし、そういう点について明確に今答えられぬというならばいいから、少くとも委員長の方にでも専門室の方にでも二十五日なら二十五日ごろまでに出しますというようなことをお答え願いたいと思うのです。委員会が終って、それをまた知らぬ顔をしたら、この次にまたこれを問題にします。
  84. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 決してそういう気持はございませんけれども、各県の数字のことでございますので、私ども数字は正確を期したい、こういう趣旨でございますので、一ぺん県にも問い合わして数字に間違いがあるかないか、これを検討して確かめた数字を出したい、八月の二十五日までには間に合うように努力したいと思います。
  85. 岡三郎

    ○岡三郎君 そういうふうに言ってくれればいいのだ。
  86. 湯山勇

    ○湯山勇君 内藤さん、今の答弁は了解しますが、さっきおっしゃったような、委員会と理癖者との折衝の関係もあるから出せない、ということは取り消してもらいたい。これは大きい問題で、法律でちゃんときまっておるし、算定制度で計算の方法もきまっているのだから、私が計算しようが、あなたが計算しようが、県の理事者が計算しようが、委員会が計算しようが同じものです。しかも多少の含みがあるとか、オーバーしている県が、よその県より多少上回っているからこちらも減らそう、というようなことがあるから、これは法律の付則でちゃんととめてあるのだから、そうすれば今のように、政治的な含みで委員会と理事者の折衝上必要があるから秘密にするのだというようなことは取り消してもらわないと、いかにも私は不明朗な感じを受けます。あとの答弁なら了解します。どうですか。
  87. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 私が申し上げたのは、委員会と理事者の予算の問題でございますので、数字の正確を期するという意味で、今出すのはどうか、もう少し数字を確かめたしで出したいというのが真意でございます。
  88. 岡三郎

    ○岡三郎君 それならいい、そういうふうに初めから言ってもらいたい。
  89. 坂本昭

    坂本昭君 去る七月の六日、これば参議院の法務委員会において大臣に三つの点を伺いました。当時政府としては調査の上で答弁をするということでありましたので、もはや十分調査ができていると思いますので、若干お尋ねを申し上げます。  まず第一に、穴内中学の誓約書の件でありますが、この誓約書の内容は、一、校長は教組から退脱する、二、今後は勤評を問わず教組に関して教壇を放棄して行動しない。三、今学期終了後校下民の意に沿わない教師は円満裏に転勤する。四、今後教組活動による授業放棄のある場合は、校長の職をかけてこれを阻止する。右誓約するとして、校長以下七名が連署捺印し、それに右保証人として村教育長とPTA連合会長も署名している事件であります。このことについて脅迫による意思表示であるとお考えになるかどうかということ、教育長の署名捺印がありますが、このことについてどうお考えになるか、新しい調査に基いて御返事をいただきたい。
  90. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) その点につきまして、ただいまの事件でございますが、闘争に三つの点が述べられたように私ども報告には参って。おります。闘争に参加したことを陳謝すること、それから日教組を脱退し、今後一斉休暇のような行動をとらないこと、教員住宅を早急に立ち退くこと、この要求に対して学校側は第一の要求については、抜き打ちに休暇を行い、学習に混乱を来たしたことは陳謝する。第二点については、職員団体の加入、脱退は個人の自由意思に基くもので、父兄の制約を受けない。第三については、即時立ち退くことは困難であるから、時間的余裕を与えられたい、こういう回答をしております。その後折衝の結果西川小中学校を除く六校は日教組への加入、脱退についての自由は認める。今後重大な行動については必ず父兄側と相談するという条件を母子として解決したというふうにこの問題は承知いたしておりますけれども、ちょっと今お問いになった誓約書は、実はまだ資料に添付されてなかったので、正確に記憶がないのであります。
  91. 坂本昭

    坂本昭君 これは、この間の法務委員会でも相当問題になって、特にはっきりと穴内中学校という学校まで指摘して、文部大臣自身が、教育長がこういうような保証人として署名捺印することは、これは適当でないということまではっきり言明された事件であって、これについて人権擁護局の方でも詳細な調査をやっているのです。これを文部省の方で十分調査していないということは、はなはだ奇怪なことでありまして、ぜひ速急に調査の上、はっきりした態度を一応御説明をいただきたい。今は時間の関係もありますから、あらためてこういう誓約書に教育長が署名をするということ、これは一体どういうことであるか、こういうことをしてよろしいか。この前は文部大臣は、これはよろしくないと言われた。よろしくないとするならば、こういう誓約書のあとの取扱いはどうするか、文部省としては、高知県の教育委員会に対してどういうふうな処置をすべきであるという指示をされるか、そのことだけを何って、この穴内中学の誓約書については一応質問を打ち切ります。
  92. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この前私ども檮原町の事件についての調査を言われましたので、穴内事件ではなかったと記憶しておりますが。
  93. 坂本昭

    坂本昭君 それは速記録に載っております。
  94. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) そうでしたか、それは大へんどうも失礼いたしました。
  95. 坂本昭

    坂本昭君 実は、この問題の中には人権擁護の問題と文教の問題が両方あるのです。それでこの法務委員会においては、主として人権擁護のことについて論じたわけです。七月六日と昨日と論じて、そうしてこの文教に関係のある点については、この文教委員会において取り扱ってほしいというので、今そのことだけをここで御質問しているわけであります。ですから、今の教育長が署名……、校長以下教職員と並んで保証人として署名捺印したことについてどう思うか、そのことをお尋ねしているのです。
  96. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) よく調査してお答えいたしたいと思います。
  97. 坂本昭

    坂本昭君 それでは、今御調査になっている教員住宅くぎづけ問題について、私はこれは脅迫による教師の自由の束縛の問題であろうと思うのです。それで、まず教師に加えられた人権侵害の事実を文部省としてはお認めになるかどうか、その点をまず伺いたい。
  98. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 多少行き過ぎがあったように思っております。
  99. 坂本昭

    坂本昭君 それは当然だと思うのであります。人権擁護局長の方も、これは人権の侵害であるということを認めております。そこで、実ばこの問題は刑事事件としても取り扱えるのでありますけれども、教師の側では、それを希望せず、従って告訴もしておりません。しかし、これは教育問題として起ったものでありますので、私は地教委が当然処理の責任に当らなければならない、そう考えるのですが、このことについて、文部当局としては、地教委にどういうふうな指示をしておられるか、それを伺いたい。
  100. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 県当局に対しまして、学校の正常なる授業ができますように特に指示をして参ったのでありまして、本問題に対して、県の教育委員会も絶えず地教委と連絡をとりまして、ようやく七月の二十一日に解決を見たわけでございます。
  101. 坂本昭

    坂本昭君 実はこの問題は、脅迫により、圧力によって、いろいろな問題が出ているのであります。たとえば、今の住宅明け渡しの問題、あるいは教組からの脱退の問題、さらに教員の転勤を要求している、あるいは教師の家庭訪問の制限の要求、こういった人権侵害の問題もあれば、地公法違反の問題もあれば、あるいは身分上の扱い、あるいは教育内容に不当干渉するというような、こういういろいろな問題が含まれているのでありますが、私は、これらのことについて、文部当局がどう考えているか、今の、少くともこの中で人権侵害のことと地公法違反のことについて御所見を承わりたい。
  102. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この実情調査してみますと、問題の原因が学校と父兄との相当感情的な対立にもあるように思われます。私どもとしては、できるだけ現地解決の方針をもって臨み、学校側と父兄側との隔意のない懇談を続けて、なるべく早く事件を解決するようにと依頼して参ったのであります。村の教育委員会が、連盟が長引いて参りましたので、出席の督促を行うとともに、同盟の解除を説得して、できるだけすみやかに正常なる学校運営ができるように説得いたしたわけであります。  そこで、今お尋ねの人権侵害あるいは地公法の問題については、さらに詳細に調査をいたしたいと考えております。
  103. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  104. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記をつけて。
  105. 坂本昭

    坂本昭君 ただいまの文部当局の御説明はきわめて平板的だと思うのですが、もっと事態は深刻であって、いろいろな問題を含んでいるのであります。私は、この前文部大臣と、とのことに関連して勤評問題をどうこうということは議論しない、ただこれに派生した多くの問題について議論し、検討を加えたいということで質問したのですが、たとえば、住宅のくぎつけということの裏には、こういう問題があります。住宅は村の人間が建てたものであるから、気に入らない教師はこれに入れてやらないといってくぎづけをしましたが、何もくぎづけだけではないのであります。たとえば、学校の電話も、これは村民が五十万円出して引いた電話であるというので、この事件の最中に学校の電話を不法占拠している事実もあるのです。一体学校の電話を不法占拠したことについてどういうふうにお考えになられますか、どういうふうな今後措置をとられようと思われますか。
  106. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 学校の電話を不法占拠したことはよくないことだと思います。しかし、相当双方とも感情的な対立が私はあったと思うのです。初めに闘争に参加しないという約束をしているようです。ですから、闘争に参加しないという約束のもとに、もしこれを破れば教員住宅を出てくれとかいろいろの御要望があったようであります。そういう感情的な対立で、これを一々洗い立てることは私はいかがかと思うのであります。むしろ双方がほんとうに隔意ない懇談を遂げて話し合いを進められた方がいいのではなかろうか、幸いにこの問題は七月二十一日に円満に解決したので、今後の戒めといたしたいと考えております。(「名答」と呼ぶ者あり)
  107. 坂本昭

    坂本昭君 実はあまり名答ではないのです。まだ解決されていないのです。どうもそういう点で、はなはだ調査が不十分だと思うのです。一番大事な点が一つも解明されておらない。いろいろと時間の関係でお急ぎのようでありますから、まだあなたの方で御調査のない向きもおありだということですから、私はさらに細部の点にわたっては次の機会にお尋ねすることとして、最後に大臣一つお伺いしておきたいのであります。  それは、一番最初にあげました穴内中学の誓約書の問題、これは十数時間も多数の圧力による脅迫によって作られたところの誓約書であると考えられる、また、教員住宅のくぎづけというまことに野蛮な事件、さらにまた登校する子供を路上で待ち伏せてさらっていったり、あるいは村八分にするといって母親をおどかして一週間以上もにわたる同盟休校をやった、こういったことによって勤務評定を支持推進せんとする力が、純粋に教育を愛するというものによるのではなくて、この高知県のきわめて僻地の封建的な、そして保守的な政治力によることが、こうした事実によって客観的に明瞭になって、私たちとしては考えざるを得ないのであります。これらの多くの事件の宛先に対して、地方の警官が実は何もしないで傍観しておったし、あるいはくぎづけをするというような人権の侵害されるままに放置されておった。しかも同時に、地方の教育委員会は傍観というよりはむしろこれをそそのかし、さらに刺激した事実があるのですけれども、特に教育委員会のかかる態度についてどういうふうにお考えになられるか、また、どういうふうに処潰せられるか、大臣のお考えを承わりたいと思います。
  108. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 勤務評定の実施の問題をめぐりまして、地方によって今お話しのような事件が発生しているということは、まことに残念に存じております。各地でそういうふうな事態が起るということはまことに不幸なことであります。私といたしましては、勤務評定の問題についての論争は論争といたしましても、事柄が冷静に平穏に進んでいくことを心から願っておる次第でございます。高知県で起りました、お述べになりましたような事件につきましては、父兄の側におきまして御指摘になりましたような事実については、これはあるいは行き過ぎであるというふうなことも確かにあろうかと思うのであります。これも遺憾なことであります。しかし、同時にまた何が一体そういうふうに父兄をしてなさしめたかということについても考えていかなければならぬと思うのであります。お話の筋はよくわかるのでございますけれども、問題の解決のためには双方がやはり冷静になりまして、ことに各町村内部における学校と父兄との関係でありますとか、お互いにそういうふうな先鋭化した感情の対立にならぬように気をつけてもらいたいものと心から念願いたす次第でございます。父兄側のそういう行動に対しましても、もちろん教育委員会としてこれは扇動するとかそそのかすとかいうことは行き過ぎであろうかとも考えますけれども、同時に父兄側の気持というものも学校の教師諸君もぜひ考えてもらいたいものとこれまた私は考えておるような次第でございます。要は、そういうふうな事態の起らないようにみんなが気をつけて進んでいくというふうにありたいものと念願しておる次第でございます。
  109. 坂本昭

    坂本昭君 最後に一つ。どちらもどちらだからというふうな説明がありましたけれども、これは確かにそういう点も必要でしょうが、この高知県の十割休暇闘争については、法的に地公法三十七条違反になるかならぬかということでかなり検討がされているようであります。ただその当時、小中高六百八十五のうち学校長の許可がなくて闘争に参加したのはわずか二十一校程度であって、このことについて地公法違反であるということのきめ手がきわめて困難なような実情であります。だから文部大臣の言うように、一方が一方だから父兄が怒るのも無理はない、だからくぎづけをするというような、こういうきわめて野蛮なことをしてもそれがよろしいということには私はならないと思うのです。むしろそれよりも、こうした父兄の怒りは怒りで私はけっこうだと思います。そして教師がそれを十分説得できない点、あるいは教師が当然受けるべき批判は受けてもいいと思うのです。けれども、こういうことば、くぎづけをするというようなことは、これは人権を擁護するためには、これはいかぬことはいかぬとしなければならないし、また地方の教育委員会も同盟休校を三日も四日も五日も一週間もやるということについては、これについては法的にもいかぬことになっているのだから教育委員会が率先してとめなければならない。そういうことが十分に行われていないのです。そしてそういうことに対する文部省の指示がきわめて明確を欠いている。むしろ教育委員会ではやれやれとそそのかすような傾向さえある。実は西川小学校は片がついていると今局長は言われましたが、実はついておりません。そのついていないことは教育委員会自身も困っている。ちょっとあふり過ぎてしまって、引っ込みがっかなくなって実は困っている。こういうことは、やはりこれは、人権を侵害しているという点ははっきりしている。あるいは同盟休校を一週間以上もやることはいかぬ、いかぬことはいかぬことで、お互いにはっきりする処置がとられなかったことははなはだ遺憾だと思います。ことにきょうの穴内中学校の誓約書の点はきわめて重大であります。でありますから、この点についてはさらに十分お調べの上、特に文部大臣は先般これはいかぬと言っておられる。いかぬことを教育長はしているのですから、はっきりしたお調べの上再度またお答えいただきたいと思います。
  110. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) ちょっとお諮りしますが、きょうは先ほど申しました通りに、大臣に対する質問の通告が湯山、高田、坂本松永四君から出ております。それと同時に、今日のこの学習指導要領についての報告が配られましたので、資料が配られましたので、これについて御説明を文部当局から伺うということをきょうの委員会の日程にしておるわけであります。それで、松永君の質問はどれくらい時間をとりますか。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) 速記を起して。  学習指導要領の資料が今日われわれの手元に届きましたので、しかもけさの新聞にはこれが相当大きく取り上げられておりますので、委員会の中から、これをぜひ一つ今日大臣から御説明を伺いたいということでございますので、ただし、時間はそういう状態でございますので……。
  112. 灘尾弘吉

    ○国務大臣灘尾弘吉君) 現行の教育課程につきましては、これを十分再検討いたしまして、最近における文化、科学、産業などの急速な進展に即応するようにいたしたい、そしてまたほんとうに教育の実績を上げるようにいたしたい、かような考え方のもとに昭和三十一年以来この教科課程についての検討を進めておりましたような次第でありまして、御承知のように、今年三月教科課程の審議会の答申も得ましたようなわけでございまして、自来これを基準といたしまして、文部省内においていろいろ調査をし検討いたしまして、どうやら一応の成案を得ましたので、昨日これを発表いたしましたようなわけでございます。今回の改訂案におきましては、教育基本法の精神にのっとりまして、児童生徒の心身の発達に即応することはもちろん、わが国の実情にかんがみまして、教育目標達成のために、より適切な教育課程が編成せられるように、全般的に充実、改善をはかりたものでございます。特に国民としての正しい自覚を持ち、個性の豊かな文化の創造と民主的な国家社会の建設に努め、国際社会におきましても、真に信頼され、尊敬されるような日本人の育成というようなことを目ざしまして、いろいろ検討いたしました次第であります。  そのおもな点を申し上げれば、道徳教育を徹底すること、基礎学力を充実すること、科学技術教育の向上をはかること、地理歴史教育を改善、充実すること、情操の陶冶、身体の健康、安全の指導を充実すること、さらにまた中学校において、生徒の進路や特性に応ずる教育を十分に行うようにすること、また小、中学校教育内容について、義務教育としての一貫性を持たせるようにすること、こういうふうな諸点を特に重視いたしまして、その線に沿って検討を加えたものでございます。昨日お話にも出ましたように、今回の私どものこの案は、一応中間発表という形において世間に出したわけであります。さらに各方価の意向等も、あるいは批判等も承わりまして、慎重に検討をして最終的な決定をいたしたいと考えておる次第であります。詳細につきましては内藤局長から説明させることにいたしますので、御了承を願いたいと思います。
  113. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ただいま大臣から改訂の基本方針の御説明がございましたので、私から特にその要旨を簡単に申しますと、道徳教育につきましては、これは去る三月実施要領を出しまして、これに基いて現在各学校で実施されているわけです。大体その実施の状況は、朝日新聞報告によりますと、七、八割程度は実施しておるということ、でございまして、この道徳教育は現在のところ、従来の特別教育活動の中における生活指導あるいはホーム・ルームというようなものを、さらに発展的にいたして、生活指導の上に道徳的な判断力あるいは道徳的心情をつちかうという点について、特に配慮されておるわけでございます。決して一時間の時間だけじゃなくて、全教育活動で道徳教育を行うという建前を尊重しながら、この一時間によって足らない点を補い、さらに深く掘り下げて、断片的なものを統合するというような意味で、全体計画の中における位置づけを明確にするようにいたして、ただいま、いろいろ道徳教育には検討を重ねております。九月から学校教育法施行規則の位置づけを明確にいたしまして、指導要領を作成し、かつ全国において実施ができるように促進をはかりたいと考えておるのでございます。  それから、基礎学力の充実でございますが、これは先般の学力調査にもございましたように、最近国語、算数の基礎学力が大へん落ちております。こういう点を強化する意味で、特に国語、算数はあらゆる教科の基本でございますので、算数、国語の指導時数を増加した。大体五、六時間程度ふやしまして強化した。特に国語の場合には、大体従来は漢字配当がばらばらに出ておりましたので、学年別に漢字配当をして、他の教科を読みやすく、また学習の効果を上げ得るようにしたこと、あるいは従来ひらがなが中心で、かたかながおろそかにされておりましたので、かたかなの学習を一年から強化し、二年で大体終るようにするとか、あるいはローマ字は四年以上において実施する。従来はローマ字は選択でございましたが、非常に多数の時間をかけておりましたが、その割に効果が上らなかった。今後は、かたかなと同じような意味で、相当ローマ字が普及して参りましたので、ローマ字の教科書は使いませんけれども、四年から確実にローマ字を必修するようにいたしたのでございます。  それから毛筆習字につきましては、これは大体四年以上において課することにいたしまして、従来通り選択でございますが、大体一週間に一時間程度を履修させるようにいたしておるのであります。  それから算数は、大体ほぼ戦前の程度に引き上げた。終戦後、少し程度が落ちておりましたので、これを小数、分数等を入れまして、戦前の程度まで向上をはかった。  中学校の段一階に参りまして、国語の方は、日本のやさしい古典が理解できるように、読み書きの読解力をつけるように、あるいは作文の能力を充実するようにする。  それから算数の方は、数学の方は、二次方程式を加えるとか、あるいは幾何の証明等、少し数学の程度を高めたわけであります。しかし現在の数学が非常にある意味ではむだなものが多いと申しますか、株式計算とか利息の計算とか、あるいはそういうような数準の本則から申しますと、多少枝葉にわたっておる点が非常に多いのでございますので、そういう点を整理して、基本的な原理原則的なものをしっかり理解し、また応用する能力を身につけるようにいたしたのでございます。  それから科学技術教育の向上につきましては、特に最近の産業科半の急速な進展に対応いたしまして、科学技術の向上刷新をはかっていく。その中で数学や理科の指導時数を特に中学の場合にふやした。これは小学校中学校を通じて、従来とかく理科が内容が多過ぎる、実習が困難でありたと言われておるので、これは先般の学力調査でもよく現われておりますので、このたびは、内容が多過ぎるので、そういうものをできるだけ精選して、基本的な事柄を徹底的に学習するようにした。それから実験、実習、観察、こういうような点に重点を置きましたので、特に理科については、一つごらんをいただきたいと思うのですが、こういう点は実験、実習、観察が十分に行えるように、教育課程にも配慮し、また、設備その他教員の再教育等も行い、まして、理科教育、科学教育が忌速に進展できるようにいたしました。  それから、そのほかに技術・家庭科というものを新設いたしたのでございまして、これは物を生産し創造するという喜びを味わわさせ、同時に勤労に対する態度なり意欲をつちかいたいということが、一つのねらいになっておるのでございます。同時に日常生活において、あるいは生産において、近代的な技術に対処できるような、そういう基礎的な態度を養い、従来の職業家庭科は御承知の通り、実習におきましては、農・工・商・水産課程を少しずつつまみ食いをしておった。このたびの改訂では、必修にする。職業家庭科は、大体男は工内内秤を中心に、工作技術を中心に、女は衣食住等の家庭科的な内容を中心にしたわけでございまして、選択教科にした。職業家庭科というのは、これは廃止いたしまして、農・工・商・水産課程というふうに、はっきりと区別いたしまして、その一つ以上を履修させるようにしたのであります。これは社会へそのまま出て働く人たちに職業の準備的な教育を徹底し強化しようとするねらいでございます。特に中学校の段階では、理科の面で従来同然とかあるいは生物とかそういうものを含めておったのですが、このたびは物理、化学的なものを非常に重視した。従来物理、化学的な要素が非常に少なかった。物理、化学的な面を強化するために、物理、化学的な分野、生物、地学等の分野、二つの分野に分けて系統的学習ができるように、学習能率が向上できるように意図したのでございます。特に理科の場合には基本的な事柄を、原理上原則的なことを十分理解して応用能力が身につくようにいたしたわけでございます。  それから地理、歴史教育につきましては、これは目標なり、内容を精選いたしまして、特に小学校の場合、従来大体小学校社会科は家庭、学校を中心に隣近所、町村の辺までは割合子供が理解できるわけですが、郷土学習の四年に参りますと、この郷土学習というものが大体県を単位にいたしておりますので、この郷土学習というものは最小限にとどめまして、できるだけここから日本全国の地理的な特色のある概観を出していく。そうして瀬戸内海とかあるいは寒冷地なり、あるいは湿潤地帯とか、いろいろな面をスポット的に出していく。そうして同時に、日本の風景あたりも景色のいいところもついでに出していく、地理的なものが中に入りながら。そして五年にいって地理の大体のあらましを――日本地理のあらましを理解していく。  それから歴史につきましては、四年のころに、交通機関の今と昔というようなものは大体歴史的な芽ばえを四年におきまして、六年で日本歴史の概観が把握できるようにいたしたわけでございます。  中学校に参りまして、一年生が地理、二年が歴史、三年が政治、経済、社会、こういう三分野に分けて学年指定をしたのでございます。特に中学校の地理、歴史につきましては、日本の地理、歴史が中心でございますけれども、世界史との関連において、世界地理との関連において、日本がどういう地理的環境にあるのか、あるいは日本がどういう世界歴史との関係において歩みを続けてきたか、こういう世界史的観点において日本の地理、歴史をながめていこうという態度なり能力を養成するようにしたわけでございます。  それから情操の陶冶あるいは身体の健康、安全というような問題にりきましては、音楽や、図画、工作、美術というような教育を通じてできるだけ美的情操の陶冶をいたしまして、日常生活に潤いあるようにいたしたわけでございます。そして子供たちに健康なからだができるように、特にいわゆる基礎体格を充実し、また保健、衛生にも意を用いて、健康なる精神は健康なる肉体に宿ると言われておりますので、りっぱな健康体の子供たちを作ると同時に、いわゆるスポーツ精神であるフェア・プレーの精神をこの中で十分養成していくように配慮したのであります。  それから最後に、第六番目に生徒の進路、特性に応ずる教育を十分行えるようにしたこと。中学校は義務教育の最終段階でございますので、中学の二年において、半数はそのまま社会に出てしまうし、半数は高等学校、定時制に進むわけでございます。この点を十分考慮いたしまして、従来は外国語と職業、家庭が選択でございますが、この選択の幅をもう少し広めた、すなわち必修教科である数学、音楽、美術の上に、選択でも数学を課するようにした。つまり上級学校へ行く人には数学が必要でございますので、数学の力をさらにつける。これは、一般に数学を仲ばすことはかえって子供たちへの負担を大きくするという点もございますので、数学、音楽、美術を選択の教科にした。それから従来の職業家庭科の選択があいまいでございましたので、この職業家庭科という選択を廃止いたしまして、農・工・商水・産・家庭、こういうふうにはっきり分野を分けたのでございます。  それから、各小、中学校の間に一貫性、系統性がなかった。これは占領中司令部の関係が大きな原因でございますけれども小学校の係と中学校の係が別々にございまして、そこに系統的発展性が十分考慮されていなかった。こういう点は今回十分改めまして、系統性、発展性を考慮した。同時に、各教科間に非常に重複が多かった。むだがある意味では多かった。これも子供たちの身辺からいろいろの問題をとらえるということは非常にけっこうですけれども、これが行き過ぎになりますと、身辺の雑事だけを羅列するような傾向がございますので、こういう点はできるだけ整理いたしまして、それぞれ教科の正しい位置づけをいたしまして、重複のない能部的な学習ができるようにいたしたわけでございます。  それから、各教科の目標、内容をできるだけ精選した。今のところ非常に子供たちの負担が多いのでございまして、なかなか子供たちも自分の力でまとめるのに骨折りをいたしますので、できるだけ目標、内容を精選して、基本的な事柄に学習の重点を置いた点が大きな点でございます。  それから、この教育課程の最低の基準を明示いたしまして、できるだけ地方の実情なり、現場の先生方が創意工夫できるような余地を残して、できるだけよい教育が行えまするようにいたしたわけでございます。従来学習指導要領は、千何百、小学校だけでも二千ページくらいあったわけでございます。これを今回は二百ページ程度のものにいたしたわけでございまして、指導書、手引書に類するようなものはこれを学習指導要領からはずして別個に著作物として出したい。指導要領では大体各教科の目的、目標、ねらい、内容その取扱いに対する重点的な事柄にしぼったわけでございます。で、そういう意味で非常に簡潔になりましたのは、教職員の理解を便にし、また学習効果を上げるように一般国民の理解と御協力を得るに容易ならしめたわけであります。  以上が大体このたびの改訂案の御趣旨でございます。
  114. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) お諮りいたしますが、ただいまの御説明について緊急な御質問あるいは一般の御質問があると思いますけれども、これは非常にたくさんな内容にわたることでありますから、今日は御質問を省くことはいかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 湯山勇

    ○湯山勇君 内容については質問しませんけれど、通牒について簡単にちょっとたけ。
  116. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは湯山委員
  117. 湯山勇

    ○湯山勇君 今回の学習指導要領各教科改訂案につきましては、八月一はいに意見を述べろというこの扱いは、形としては非常にいいと思うんですけれども、これだけ大部のものを八月一ばいに意見を述べろといってもなかなかできないのではないかと思うんです。それから、この通牒は教育委員会、知事、国立大学の学長あてに送っておられますけれども、一部ずつ送ったのではとてもそれは検討の対象にならないと思います。で、どういうふうにされたのか、おそらく教科の数ぐらいを送られたんだろうと思いますが、もしほんとうに意見を聞くつもりならば、境休みの八月中というのではなくて、もっと延ばすわけにいかぬのですか。  道徳教育学習指導要領はどうなっているか。それだけ。
  118. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 実は本日、お茶の水で全国の各府県の教科の担当の指導主事約五百人、国立学校特に教員養成学部、付属学校含めまして約五百人、全国的にお集まりいただいておりますので、その方々には全部一冊ずつ差し上げております、それ以外に関係方面にこれを配付しておりますので二千数百冊は出ていると思います。各方面の御意見をできるだけ実は早くおまとめをいただきたい。これはそれぞれ教科が別でございますので、なるほど全部一人でごらんになりますと少し大へんでございますけれども、それぞれ各教科別に見ますと、割合ページ数も少いので、大体二十ページ程度でございますので、できるだけ早く御意見をいただきたい。また教育課程審議会の委員の方あるいは教材等調査研究会のメンバー等もおそらく数百名残っておると思います。中火教育審議会の委員の方、文教委員の方、各関係方面にも十分御意見を拝聴したい。ただ私どもとしても教科書を三十六年から出すという関係もごさいますので、なるべく早く成案を得たいので、できるだけ八月一ぱいには御意見をいただきたい。九月中にその御意見を取りまとめたいという気持で進んでおりますので、御意見がございますればできるだけお早く出していただくようにお願いいたします。  それから、道徳教育内容につきましては検討しておりますが、大体私どもはこの前出しました実施通達について各方面から別段御意見もございませんので、この線で指導要領をまとめたいと思います。
  119. 湯山勇

    ○湯山勇君 この前はこの前のとして、やっぱり道徳教育指導要領が出たら学習指導要領と同じような手続をとってもらいたいと希望しておきますからどうぞ……。
  120. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) この道徳教育指導要領指導通達そのままで実は使うつもりでおりますので、指導通達について御意見がございますれ、ば私ども各方面から伺いますが、今のところ実施通達についてはあまり御意見を伺っておりませんので……。
  121. 湯山勇

    ○湯山勇君 こういう手続をとっておらないからです。
  122. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) いろいろな機会に御意見を伺っております。そこで、大体教材等調査研究会ではこの実施通達の線でやりたいという強い御意でございますので、大体そういうふうにしたいと考えております。
  123. 松永忠二

    松永忠二君 今の学習指導要領の関連で一つだけ聞きたいんですが、どういうわけで学習指導要領の一般編というのをお作りにならないのか。そうすると、一般編というのは生きておるというふうに考えて差しつか、えないものなのか、その点はどうなんですか。
  124. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 一般編はお説の通りでございますが、実は先ほど申しましたように、教科書が三十六年から出るわけでございますので、各教科の目標なり内容というものはできるだけ早くお示しした方がいいということでございます。  それから一般編につきましては、これが成案を得て各教科の目標――今出しました指導要領の改訂案が成案を得るときまでには一般編は当然用意するつもりでおります。なお、あわせてそのときに最終にきめたいと思います。
  125. 松永忠二

    松永忠二君 その辺はまあ、きのう文部大臣説明でも全面的な改訂であるというようなことになれば、実は一般編自身の中に結局教科並びに特別教科、特別活動とかそういうものの指導の大綱が出ておるわけなん、で、そこから結局基本が変ってきて、そうしてこういう各綿が出てくるということになれば、まことに順序だと思うんです。そういうものがあとからであって、個々のものが出てくるというようなことは順序からいって全く逆だと私たちはこう思うんです。私の質問はこのことについてではないので、一つだけそこ聞かせて下さい。
  126. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 一般編と申しましても教育課程審議会から御答申があった線でございますので、教科と、道徳、特別教育活動、学校行事等と、大体この四本立で教育課程が細まれる、こういうことでございます。それでその場合に、これをどういうふうに扱うかということが出てくるわけでございます。大体教育課程の御答申もあるので、あの御答申の線を尊重して、今一般編の検討を進めておるわけでございます。
  127. 松永忠二

    松永忠二君 また一つ後刻機会を見て御質問したいと思うわけですが、ただしかし、今湯山委員からもお話があったように、それからまた今御答弁では、その道徳の実施要綱については通達についていろいろ意見もないというお話であったけれども、実はむしろ大ありであって、ずいぶん各般の意見があるので、果してどれだけそれを取り入れて実際におやりになるのかということを相当私も期待をしておったわけです。今度の改訂案にしても、実はこの頒布の仕方等についてもなかなか図書会社の方では意見を持っておるようでありますし、実費をもって発行するということですか、実費をもって発行していくという――寄贈とか、そういうことは会社としてはやっていきたぐないというようなことなんかもわれわれ聞いておるわけでございますが、そういう点で相当ほんとうの世論を聞くということになれば、本格的ないろいろな方法があろうと思うのです。そういうふうな点について、まあほんとうの意味の中間発表であって、あくまで世論を入れてこれを改めていくという、実際のことの具体的に行わ、れますようにぜひ一つ努力を願いたいと思うのです。  私は時間もありませんので、簡単に学校統合のことについて……。実はこういうことをあらかじめ用意もして、その通達についてもプリントをいただいたわけです、参考として分けていただいたわけでありますが、学校統合についていろいろ紛糾が各地に起っておるというようなことから、五月八日の通達がなされて、教育委員会に対する指導とか助言をされておるわけでありますが、鳥羽の鏡浦の小学校の統合紛争について御承知と思うわけでありますけれども、そのどこが紛争の要点であるということについて、もうすでに御承知だと思うのですが、御存じありませんか。
  128. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) ちょっと私聞いておりませんので、後刻調べて御返事いたしたいと思います。
  129. 松永忠二

    松永忠二君 実はこの問題については、鳥羽の鏡浦の小学校の問題については、前の松永文部大臣のときにすでに陳情が起り、当時稲田事務次官にも陳情が行われて、もうすでに一年も経過をした問題なんです。しかもその後、この四月以後今浦という部落の人たちが七人の先先を村の費用で雇って、そうして今までの施設で学習をしておるのです。それが四月以後行われておるわけであります。その学習の実情等も私もいろいろなことがあって見たわけでありますが、もうすでに四月から七月までそういう学習が行われておるということで、相当文部省には事前に、紛糾した当時から話があり、しかも紛糾したその後の経過も非常に長い。この文書等によっても、その際は詳細な経過及び教育委員会のとられた措置をすみやかに御連絡願いますということがあるにもかかわらず、現実にはそれだけの紛糾が行われても連絡されておらないという実情なんであって、やはり具体的な一つの問題として善処を願いたいと思うわけです。問題は、鏡浦という小学校へ今浦という部落の子供たちが統合のために通学をするということで、昭和三十二年のころから紛糾が起って、三十二年の十月に協定ができて、しばらく一、二年の生徒についてはその校長と地元との協議の上でそこで授業を行うという協定ができたのが、昭和三十三年の望月の末に地方の教育委員会が一方的に四月から学校へ来いというところから、そこで四月に、それでは協定違反だというところで、一年から六年までを地元のところでもうすでに三分の一になるというところまで授業をやっておるわけです。そういう事情なんです。ところがこの地元の人たちは、統合した中学校子供たちをやってはおるし、それから三月までは三年生までは統合した学校へやっておる。ただ一、二年生については、渡船で行って、しかも三キロの程度のところを通って学校へ行かなければならないので、一年生については、とにかく施設もあることであるので、そこで授業をやらしてほしいというのが要望なんです。私はいろいろ文部省とも連絡をし、いろいろ聞いた上で、地元の人たちの話も東京で聞き、この問題にからむ政治的な問題がないというような、そういう判断の上に立っての御要請があったので、統合した小学校から歩いて、渡船して、生徒の通うところをそのまま歩いてみたわけです。そういう点から考えて、三キロの距離の間にも、冬は相当潮風を受けることろもあって、三百メートルに上る渡し場を雨のときあたりにかさをさして渡っていくということは非常に困難だと、現実にそういうことになってからすでにもう五人も子供が落ちているような実情にある。そういうようなことで、実はこの通達に出ている、教育の効果を考慮し、地域の実情に即して慎重に実施すべきだというようなことから考えてみると、どういうわけで一、二年生の生徒を船に乗せて、三キロのところを歩かせて、なぜ統合した学校のところにやらなければならないのか。しかも、今浦という部落の一年生は十九人で、二年生が二十一人で、十分一学級としてのつまり教育効果を上げ得る数を持っているのです。私は、そのところが五人か六人の生徒であれば、どんな困難があっても統合する学校に通わすべきであるけれども、十九人、二十一人ということであれは、一学級としての編成の教育効果もある、しかも、将来は一つの中学に通わわせるというようなことから考えてみれば、教育効果ということからいけば、決して一つの学校に通わせることのみが教育効果ということにはなるまい。今後道路ができ、橋ができてくれば、当然通わせるべきであるけれども、そういう意味からいっても、通学の距離からいえば、そういう資料をいただいて、学校等の実施の手引等もいただいたのを見て、通学距離について文部省の考えられていることも、学校の通正配置計画を立てるには児童生徒の通学距離の限界が基礎的条件として考慮されなければならないというこのことから見ても、どうもこの統合について、低学年をここに通わせることについては、相当無理があるではないかという感じを私自身は持っているわけなんです。いろいろお尋ねをしたいのですが、その一つの点としては、統合の実をあけているということになるならば、完全に統合するというようなことでなくても、あるいは分教場とか分散場とかいうものを設けて統合に協力する実をあげているということであれば、補助金を返還するというようなことについては必要がないのではなかろうかと思う。その点が一つ。  それから、通学の認定は校長の認定によるというのが現在の法律の建前だと思うわけです。そこで、三分の一以上授業を受けてない、三分の一以上自分の学校で授業をやらないということは、一つの進学を欠く条件にはなるとしても、その閥どういうふうに授業を受けていたかというような実情を考えて校長ば認定をしていくべき性質のものだと思うけれども、その辺はどうなのか。三分の一を欠いているならば当然認定ができないというものなのか。そのときの実情を考慮して校長が認定をしていくべき性質のものだと思うのだが、その点はどうか、それが第二であります。  第三として、県教委が文部省が出された通達の趣旨に沿うように文部省として一つ指導をしてもらいたいと思うのだが、その点についてのお考えを聞かしてもらいたい。この二点御答弁願いたいと思うのです。
  130. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 本件につきましては、管理局長が実は聞いておるようであります。ですから、私の方には報告がなかったわけであります。管理局では補助金の問題と関連して実情を聞いておりますから、管理同長が来て第一の点についてばお答えをいたしたいと思います。  第二の進学の点について、学校長の認定の問題でございますけれども、今お話のように、三分の一を欠いた場合にどうかという点でごさいますけれども、これはその実情をよく調べないとお答えいたしかねると思いますが、必ずしも三分の一欠いた場合はできないという性質のものでは私はないと思います。その事情を十分調査した上、適当であれば認定していいと思っております。  それから県教育委員会に対しましては、この通達の線に沿って私ども積極的に指導する考えでございます。ただ、従来県の教育委員会はなるべく学校の統合には入らぬようにという消極的な態度がございますので、県の教育委員会が積極的に乗り出して解決するようにお骨を折っていただきたいというのがこの通達の趣旨でございます。今後ともこの通達の趣旨に沿うように県教育委員会を指導して参りたいと考えております。
  131. 竹中勝男

    委員長竹中勝男君) それでは、管理局長見えましたけれども、ただいまの御質問それでは後日に……。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十七分散会