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清澤俊英君 ところで、自民党の内部においては、今、
大臣はやめられましたが、前の大蔵
大臣は、六月三日に閣議後の新聞記者との会見で「
生糸は戦前に比べると
輸出量もがた落ちだし、国内消費もずっと少くなっている。新しい
化学繊維の登場でその重要性はきわめて小さくなった。三日きまったのは差し
あたりの応急
対策だが、ここらで
生糸の
生産を他に転換する根本的な
対策を立てる時期だと思う。応急
対策に使う金も、ほんとうは桑の作付転換その他の根本
対策に使いたいと思うくらいである。」今は閣僚ではないが、その当時は閣僚であったそういう主要な有力な人の中に、まだこういう空気が存在しているということなんです。そうしますると、なかなか好意ある
農林大臣の
考え方がスムースにいくかいかないか、非常に心配なんです。だから私はそういう老婆心で聞いたが、言われた
通りだと思いますので、その上は、私は申し上げません。結局、閉会中に出て、順々にあれするというようなことを言われても実は困る。できれば大蔵
大臣からでも、出てきて、予備金からでもその場合には出すことになるんだ、そういうような御言明があれば一番安心するのですが、それも要らないほど御確信をお持ちのようです。
一つそういう配慮において私は了承して、質問を打ち切りたいと思います。その点は、めんどう言えば、意地悪すれば、大蔵
大臣に出てきてもらって、
農林大臣が言う
通りか、
一つ予備金からでも何でも出して持っていって、そのときに何とかする、こういう
お話を実は承わりたいと思うのですが、そこまでいきません。
そこで第二点としてお伺いしておきたいことは、先ほどから
輸出の振興とかいろいろな議論が午前中からありました。その振興それ自身を
考え、十六万円に暴落以後の経過につきまして、きのうもちょっとお伺いしましたが、
輸出業組合の人たち、こういう商社
関係の人たちが寄りまして、そうして糸は十六万円にするなら相当
需要量がふえるから、そういう
価格に支持
価格を持っていってもらいたいと言うのであるか、その内容ははっきりわかりませんが、新聞に、そういう要請を
農林省にした、こういうことが新聞に出ておりますが、そういった事実があったのかなかったのか、これが
一つ。
それからその次には、やはりこれも新聞でありますから、確認しておきますが、国内の消費者
関係である織物の全国協議会とでもいいますか、協会のようなものが、全織物地の、内地消費の織物を売っている人たちが集まって、どうしても化繊やその他の
関係上、やはり十六万円くらいにやっていただかなければ、この上の消費拡大はできない、こういう決議をいたしまして、そうして現実にその
需要を制限している、こういうようなことが新聞に伝えられている。それにマッチしますがごとく、製糸業者も大体の内外の
需要状況を見て、一応今までは十九万円の最低支持
価格を維持しておったが、もうこういう
情勢になって、一俵十六万円という線が出た限りにおいては、まあこれを十九万円に引き上げるとしましても、なかなか海外市場においてこれは受け入れるのに困難性を持つのでありますから、ここらで十六万円くらいに一応落ちつかせることが妥当じゃないか、こういう空気が、あらゆるそういう
関係機関におきましても充満している
一つの空気だと思う。私は世論だと思う。だから、このたびの暴落騒動に対して、結局はこの支持
価格にしました安定法自身が非常に間違いのもとなんだから、これを
一つ根本的に
考え直さなければならぬということは、安定法ができましたことは、とりもなおさず終戦後非常にまだ養蚕業が回復しないで、回復しない中に
需要の方が先行してしまった。そういうことで繭が不足でありましたから、従って、天井知らずの
価格になりまして、問題を起して二十七、八万まで行ったことがあるのです。そういう際にできましたのが糸価安定法であって、これは
一つの抑制法であった。ところが最近の場合には、繭が余る
状況に入ってきているのだから、従ってこの際は、
価格の線を
考えて、そうして支持
価格をやはり十六万円くらいに下げて、そうして、そこに
需要の増大をはかるべきが振興の中心ではないか。私は、昨今いろいろ議論を聞きますが、消費する人にしましても、売る人にしましても、それはいずれもが
価格を中心にした経済的
関係によっている。こういう空気が出ている際に、まだ農民の
生産コストというものが、そこまで追いっかないとき、こういうものが出たら大へんな問題だ、われわれはこう
考えておる。これはみんな農民にしわ寄せされるだけの話で、結局、今まで
政府の
振興政策にあやつられてどんどん作りましたが、もうここでいいから、お前らごみになれという話と同じことになるので、こういうことだからがん張るのでありますが、大体そういう空気ですが、今申しました三つの線がそういうものを出している。その世論に対するお
考え方、これを
一つはっきりしてもらいたい。それは間違った世論なんだ。だから十九万円でどうしても、どこどこまでも
政府としては押えていくのだから、
清澤そういう心配は要らない、こう言われるのかどうか。これは
一つの世論であり、私は
蚕糸振興の力であると思う。そういう
政府の力で、経済の振興を力で押えることはできないと思う。だからここに、夏秋蚕に対しましても、来年の問題に対しましても、私は非常な脅威を感じているのはそこにある。それが、どんどん上げ相場、そういう実勢上の力が
蚕糸業の上にあります、私はさほどの心配はないと思う。この点を
一つ明確にお教えを願いたいと思います。