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1958-09-11 第29回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月十一日(木曜日)    午前十時四十二分開会   —————————————   委員の異動 九月十日委員北勝太郎君辞任につき、 その補欠として梶原茂嘉君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     関根 久藏君    理事            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            東   隆君            北村  暢君    委員            秋山俊一郎君            伊能 芳雄君            田中 茂穂君            仲原 善一君            大河原一次君           小笠原二三男君            片岡 文重君            河合 義一君            清澤 俊英君            梶原 茂嘉君            島村 軍次君            森 八三一君   国務大臣    農 林 大 臣 三浦 一雄君   事務局側    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省農地局設    計課勤務    高崎 謙二君    食糧庁総務部企    画課長     大和田啓氣君    食糧庁業務第一    部長      諫山 忠幸君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省河川局次    長       曾田  忠君   —————————————   本日の会議に付した案件農林水産政策に関する調査の件  (農林地等買収補償に関する件)  (農林水産基本政策に関する件)  (報告書に関する件)   —————————————
  2. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから農林水産委員会開きます。  最初に、委員の変更について御報告いたします。  昨日北勝太郎君が辞任され、梶原茂嘉君が選任されました。
  3. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 農地等買収補償の件を議題にいたします。  この件については、小笠原委員から質疑の要求がありますので、この際御質疑を願います。  なお、政府からの出席者は、農林省農地局長伊東正義君、建設省河川局長山本三郎君、同次長曾田忠君であります。
  4. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 企画庁は来ていますか。
  5. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 企画庁は来ておりません。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も、あとで勉強する都合がありますから、きょうは端的な御質問だけにとどめて、あと案件に移る都合もあるでしょうから、簡単にしておきます。  それで問題は、各種公共事業その他のために農地がつぶれ、あるいは転用されるという問題があるわけでありますが、概括してそういうことで従来年間住宅敷地その他も含めて農地が年々つぶれていくという点が大きいと思うんですが、そういう御調査は、農地局の方できちんと分類してできておりますか。
  7. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 御質問の点でありますが、農地局調査いたしております。農林大臣許可いたしますものと、地方長官許可でできるものというものの調査がございまして、三十二年度は、一万四千町歩ぐらいつぶれております。一番多いのは宅地でございまして、それからその次は、工場敷地というような順になっております。それで、長期経済計画を作ります際にも、つぶれ地は大体一年一万五千町歩というふうに見まして、長期経済計画のときも計画を作ったのでございますが、許可をいたしましたのは一万四千町歩であります。そのほかに、まあ許可を受けないでといいますか、小さいものもあるかとも思いますが、正式に調査に載っておりますのは一万四千町歩でございます。これに対しまして造成面積は、大体二万二、三千町歩というようなことになっておりまして、造成面積より若干つぶれ地が下回っておるというようなことになっております。また、資料で詳細は提出してもよろしゅうございます。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、農地局としては、いろいろそれについての長期計画等も見られて、十分事態を看取するということでおられると思うんですが、ところが、実際どうしても公共事業等で当然農地がつぶれるという場合に補償の問題が起るんですが、農業関係ダムその他も建設されて農地がつぶれるというものは、当然自分の方の所管ですから、十分な措置がとれると思うんですが、たとえば、建設省ダム建設あるいは道路建設、国鉄における路盤の建設に伴う農地買収、いろいろそういう面がありますが、それについては、農林省当局としては、どういう関心をもってこの補償関係というものを見ておられるのか、お尋ねしたい。
  9. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 補償の問題でございますが、農地補償につきましては、昭和二十八年に閣議了解がございまして、これは企画庁関係でございますが、電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱というものが昭和二十八年の閣議了解でできております。実は、農林省としましては、農林省自体損失補償要綱をまだ作っておりませんで、大体この電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱という閣議了解基準にして農林省関係ではやっております。建設省は、建設省からお見えになっておりますので、御答弁があると思うのでありますが、大体やはり今申しましたものを基準にして建設省関係では案を作っておられると思うのでありますが、われわれとしましては、大体農地補償につきましては、先ほど申しました閣議了解の線に近いもので各省でやっていただいておるというふうに実は考えておりまして、いろいろ御連絡や何かもしておる次第でございます。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、建設省の方も多分そういうことだろうと思いますが、ただ、一々の資料に当って申し上げる時間がありませんから、これは、後日にもう一度質疑をさしていただきますが、大体がそれぞれの基準を作る、その段階まではよろしい、ところが、その基準を当てはめて、具体的な特定のAならAという補償関係農地基準ができる、その場合に、農林省のやるダムにおける具体的な基準として示される数字と、建設省その他がやはり具体的に示す基準数字とは、これはもうそこで違いができる。けれども、その違いというのは相対的なものですから、その場所々々が違い、その農地のいわゆる価値というものがどう見られるかということでいろいろ違うから、一がいには差があるとは言いませんが、一方は反当四、五万と基準が出ておるのに、一方は二十万である、二十五万であると、こういうふうな基準が出ているという場合がある。そこにもう違いがある。それから今度は、具体的にその基準に伴って個々農家農地に対してお前のところは幾ら、お前は幾らときめる、そこでもう差異が出てくる。それがまして各省間の事業においては、なおまたアンバランス差異が出てくる。そういうことは私はもう実際上起っている問題だと思う。それがもう基準といい評価といい、全部適正で、全部同じ単位を使ってはかってそういうものになっているということであれば、これは、財産権を保障するということで一応納得せしむることができると思うのですが、基準基準として作りましたが、実際それを当てはめて個々のものに適用させるというときには、それは科学的に具体的なものであるとは言い切れない場合がある。どうしても、何と申しますか、予算関係もあるから、内輪内輪にと出して問題を解決したいということになってくる。ですから、話はくどいようですが、農林省当局のやる事業の中でも、その場所々々によって単価に相当な開きがあるでしょう。建設省においても相当な開きがあると思います。それは、こういう所で比較して数字をあげることは工合が悪い点もあるかと思いますから申し上げませんが、あると思います。そうであれば、その公平というか公正というか、そういう建前からいって、どうしても納得し得ないという問題が起ってくると思うのですが、一番問題になっておる建設省の方などにおいては、これを積極的に政府が一本にして、こういう問題についてもっと科学的なものを作って適用させていくというお考え、今はもうそういう意欲はなくなっているのですか。やろうと努力したいとは思っているのですか。どっちなんですか。
  11. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 先ほど農林省からお答えがございましたが、二十八年に、先ほどの損失補償基準閣議で定められまして、大体それと方向を一にいたしまして、二十九年に建設省でも、建設省直轄公共事業の施行に伴う損失補償基準というものを作りまして、建設省の行います直轄事業はそれによります。それからまた、補償事業等につきましても、それに準じてやっておるわけでございます。お話のように、私どものやっております関係につきましては、以上の基準によりまして統一はとれておると考えておるわけでございますが、他の事業との調整というような点につきましては、先生のおっしゃる通り、やはり多少の違いはどうしても出てくるというような点はあります。従いまして、それらの補償もなかなかまとまるまでに時間がかかるというようなのが実情ではないかというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましても、全部を統一するということは非常に困難なことであるというふうには考えておりますけれども、何とか一つ全般的な基準を作れないものかということは、常に私ども内部におきましても研究はいたしておるわけでございます。それらの方針に従いまして、今後も、私どもだけの関係ではございませんが、方々の協力を得まして、まとめて参りたいというふうな意欲は持っておる次第であります。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 建設省のこういう基準はある。だから、建設省内部においては、基準に基いて公正に行われておるということを言っておられますが、それでも、各地建用地なら用地担当者あるいは現地条件等からいって、相当やはり、これだけではなくて、これにプラスアルファされるとかされないとか、相当ニュアンスがあるのじゃないですか。そんなことはなく、きちんとこの基準通りで仕切っておるというふうに、はっきり言えるようになっておるのですか。
  13. 山本三郎

    説明員山本三郎君) この基準でございますが、お話のように、この中に定めておるものはおもなる事項でございましてもちろんこの中に入れられないような事項もございますが、それらの点につきましては、方々事例を見ましてやっておるわけでございまして、基準外の問題ももちろん多少はあるわけでございます。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから、建設省の方では、よく農地についても等級を定めておるようですが、同じ田なら田でも、最高が二十万で最低が五、六万だというようなくらいに、各種等級に分けておる。その何等級の田地であるということで格づけをするということは、これは客観的なものがあって格づけができるというふうに自信のあるものがあるのですか。
  15. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点、非常に問題はあるわけでございますが、この土地のよしあしをきめる基準といたしましては、旧賃貸価格のようなものがございます。それが一つの大きなよりどころになっておる次第でございます。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは、建設省建前としてはそういうことでやっておるので、それは、個々農家について等級設定したものを全般に公表されていますか。
  17. 曾田忠

    説明員曾田忠君) ただいまの等級の問題でございますが、これは、御承知かと思いますが、各土地ごと賃貸価格等級がきまっておりまして、たとえば賃貸価格が十八円とかいうのがございますが、それに対しまして相続税法倍率、つまり三十二年度におきましては大体三千百倍ですか、それをかけたものが一応相続税評価額というものになるわけでございますが、一応土地買収価格といたしましては、建設省は、相続税法に基きます評価額をそのまま採用しております。その評価額といいますのは、これは賃貸価格にある特定倍数、これは国税庁できまった倍数でございますが、それをかけて、その評価額を一応買収価格とみなしております。それ以外に離作補償料というものをあわせて補償として出しておるわけでございますが、これは、建設省基準によりますと、年収益額の三年分ないし六年分、この範囲内の離作補償をいたしております。これは、税務署あるいは農業委員会、そういう方面からの資料によりまして、反当りの収入額と、それから何といいますか、所要経費、それを差し引きしたものが、まあ一応総収益になるわけでございますが、それに三年、六年をかける。問題はそういうように幅を持たした基準になっておるのでございまして、この点が地方によりましては若干の開きが、違いがあるのではないか、そういう点はあるんじゃないかと思います。大体申し上げますと、ダムにつきましては、最高六年分の離作補償をいたしております。それからほかの、道路河川、あるいは場所が違いますと、若干の幅がある、そういう状況になっております。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、時間がないから、そういう個々内容については聞かぬのです。そういうものを個々農家に格づけをし、お前のあれば何等級だということできめた場合に、それが全農家、全補償者対象にしてそれが公表されるか、公表していますか。
  19. 曾田忠

    説明員曾田忠君) 湯田の問題について例を申しますと、先生のお手元にも差し上げてございますけれども湯田ダム水没基準単価表。これは配付してあると思いますが……。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことを聞いているのではない。こういう基準はもうわかっている。これを具体的に運用して、その個々農家に割りつけたそのものについて公表しているかということです。
  21. 曾田忠

    説明員曾田忠君) ただいま申し上げました補償基準単価表、これは、ここに至るまでは個々に具体的に、この土地賃貸価格幾らである、それから倍率幾らである、そういうことを個々説明いたしまして、双方の了解のもとにこの単価をきめていく、これを公表しているわけでございます。折衝の過程におきましては、個々に全部内訳は相互に話し合っておるということでございます。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、そういうやり方をやっていることは十分知っているつもりです。そうして大いに善意をもって個々折衝して解決しておるという事実も知っています。そういうことじゃなくて、そうして解決したら、解決したその内容が、百人対象があれば百人の農家について、その個々の水田について、何等幾らにこれは評価されたのだということが公表されておるかということです。公けに示されておるかというのです。その個人に対してだけでなく、イエス・ノーで言って下さればいいのです。
  23. 曾田忠

    説明員曾田忠君) 個々農家には話しておりますけれども、その他一般には公表してないと思います。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その一般公表しないということは、どういう事情が起ってくるからということをそんたくして公表しないのですか。ということを聞くのは、適正に、客観的に、科学的に評価をしてきめているのだ、そうして文句のありようはないのだということであれば、それが公表される方が公平でしょう。そしてまた、公表されたもので個々に具体的に比較検討をすれば、どこが不当であるとか、妥当を欠くとかいう問題も起ってきて、そうして修正もできるでしょう。それが公開されないということは、結局そういった紛争が起ることを避けたい、あるいは個々に問題が処理されればされたで、それで済ましたいというだけのことですか。私は、自信のあるものだったら公表したってかまわぬと思う。公表して、そして全体の納得の上で全部が処理されるという方が、かえって私は公正で望ましいことではないかとさえ思うのです。かえって問題が内訂していろいろな紛争が起る事態を公明正大に避ける道ではないかと思います。そういう関係から聞いておるのです。大体公表してはいけないものとしておるのですか。どうなんですか。
  25. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 現在の段階におきましては、御承知でもございましょうが、補償基準というものを示しまして、大体その方向で行こうじゃないかというお話し合いをまずいたしまして、先生のおっしゃるように、お前の土地幾ら、それからほかの人は幾らということを全部知らせろ、その方が公平に行くんじゃないかというお話でございますが、現在の取扱いといたしましては、補償を受ける人に対しまして、あなたの土地賃貸価格幾らだから幾らになりますという方法をとっているわけでございます。それを全部に、人の土地までの賃貸価格等を示して言うというような方法も、あるいは先生のおっしゃるように、公平に行われておるという立場から、いいのかもしれぬというふうにも考えられますので、今後このやり方につきましては、検討したいと思います。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここが一番切実な問題だと思うのです。個人がいろいろな等級自分財産評価される。そして補償額がきめられる。しかし、それが他の対象者はどうなっておるか、それと自分との関係はどうなっておるか、こういうことがわからない限りは、一般農家、農民は、これが適正であるかないかということは、それは判断の材料がないのですから、わからぬのだから、そういうことをわからせないままに、ただ調印だけして、そうしてそれについて調印した限りは、もう異議の申し立ても何もできないというような、そういう法律的な、個条個条について幾つかの判だけ押させて、そうして絶対法律的に権利を主張し得ない状態にしておいて用を済ませるというようなやり方は、国の望ましいやり方であるとはどうも私は考えられない。そしてまたそういう、普通犠牲者犠牲者といいますが、そういう事態に置かれた人たちに対する国の態度としてはおかしいと思うのです。ところがこの点は、どこの場合でもひた隠しに当局隠す。そしてこのあなたへの補償については、親類縁者の何人たりとも言ってもらっては困る、こういう形で問題を処理しようとしておるのではないですか。私は、そういうことでは不明朗だという感じを持つのです。どうしてもいろいろ折衝の経過からいって、そういうことが公表し得ないというなら、少くとも一段落割りつけが済み、そしてまた調印なら調印した場合ても、かりに調印してしまった場合でも、そういうものが全体として示されて、それで著しく不当な措置がとられておる、農業委員会その他が適正な計算をしてみて、あれは妥当を欠く、あれは高過ぎる、これは低過ぎる、こういう問題が起った場合には、それを調整していくというくらいのことが行われなければ、これは、やられたものはやられ損、がんばり通したものはがんばり得というような事態も起るのじゃないですか。そういう関係からいって、この公開されるされないということは、非常に影響するところが大きいと思うのです。農林省の方はどうしているのですか。
  27. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 私の方も、その点は建設省と同じでございます。ただ、補償の中でも非常にむずかしいのは、先生のおっしゃいました、上中下と分けてやっている、それははっきりしたらいいじゃないかというお話でございますが、実はそのほかに、補償の中には、また財産補償以外に、いわゆる精神的な打撃に対する謝金というようなものも実は補償の中に入れておりまして、財産補償のほかに、またいろんなファクターが入っているものがございますし、個人々々に大体は当りまして契約をして、最終的にはこれは全部はどうだという公表は実はいたしておりません。ただ、先生のおっしゃいました、アンバランスがそうなると出るのじゃないかという点でございますが、実は、これはどことは申し上げかねますが、農林省の例といたしまして、やってきましてアンバランスができました際に、振り返りまして最初補償した人に追加をしてやったというような実は事例はございます。しかし、全部にだれが幾らという公表は、これは建設省と一緒で、いたしておりません。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、これ以上申し上げません。実際処理していくものの立場になれば、公表することはまずいということは、十分私もわかるのです。わかりますが、しかし、その結果を見たときに、不当である、妥当を欠くとなったときの救済措置がなくして、それが最終決定だという形になるところに私は問題があると思うのです。それは地建であれ、農地局関係であれ、用地担当者終戦以来非常に多く、急激に用地関係が多くなったから、新たに事務を担当しておる人が多い。そうして終戦後の経験なんです。ですから、一、二の経験のある人たちが……全部が全部経験者であれば相当適正な評価ができると思うのですが、それぞれやはり人のことでありますから、それから個人個々農家を責任をもって担当いたしておる、こういう形では、なかなか適正な格づけというものができない場合がある。そういうようなものが救済されないで、そうして不当なものが泣き寝入り、そのままで済まされるというようなことが私は遺憾にたえない。そういうものが救済されるということが念頭にあって問題を処理していくというなら、私は、それはけっこうなことだと思うのです。そういう点が十分配慮されるような余地は、幅はあるのですかないのですか、現在。
  29. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 先ほど農林省からもお話がございましたように、非常に用地事務もふえまして、ふなれの人もいるわけでございまして、明らかに不当であるというようなことがはっきりいたしますならば、そういう措置はとりたいというふうに考えております。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、あと資料を調べておいて、もっと具体的にやりたいと思いますが、もう一つ最後に申し上げたいことは、さっきも伊東局長の方からお話がありましたが、精神的な部分が補償にもあるということです。私は、それはもっともなことだと思っております。それで建前として、建設省にも農林省にも伺いたいのですが、この種の事業によって起ってくる補償の問題の場合に、この補償というのは、その付近一帯地価その他を見合ってもきめるようでありますが、何と申しますか、低い方向で適正な価格を生み出そうという考え方なのか、やはり犠牲を受けておる地域のものであるから、一般の近郷の地価よりは幾ばくでも高い価値として評価していこうという考えなのか、どういう考えでこういう補償をやっていこうとしておるのか、根本の建前ですね。そういう農家であれ、商店であれ、何でもようござんすけれども、そういう事態に追い込まれたものに対する国の補償というものは手厚いのがいいという考え方で、親切な、善意を持った補償という気持で処理をしようとしておるのか、厳正に、一分一厘損しないように損しないようにというような形で、予算に縛られる縛られるということで、全体のそれを予算に見合って押えて補償をやっていこうという建前をとるのか、端的に心がまえというものを聞かせていただきたい。
  31. 伊東正義

    説明員伊東正義君) お答えいたします。この基本的な態度でございますが、農林省でいろいろやっております場合には、むしろ金銭補償といいますよりも、こういう事態によって移転をせねばならぬということができました場合には、なるべく代替地を見つけまして、営農を続けてやっていくというようなことを原則にしてものを考えております。そうでない場合には、金銭補償になるのでございますが、その基本的な態度としましては、やはりこれは、ほかの事由でこういう事態が起るのでございますから、私どもとしましては、同情的といいますか、親身になってといいますか、そういうような態度でそれは考えています。
  32. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 今、農林省から説明がございましたように、私どもといたしましても、同じ態度でやっておる次第でございます。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それであれば、今、河川局長お話しのような態度であれば、その点は、相当現地事務処理をする人たち心がまえとして、十分それはわかっておるような、何と申しますか、十分現地人たちにもその心がまえは徹底させておく必要があると思うのですが、そういうことについての教育、訓練等はどういうふうにしてやっておるのですか。
  34. 山本三郎

    説明員山本三郎君) この問題につきましては、いつも地建の局長会議をいたす場合におきましても、首脳部からそういう趣旨は伝えてございますし、また、用地関係事務は非常に複雑であるし、しかも多くの人に接するわけでございますので、常に招集をいたしまして、講習を開いたり、あるいは具体的の問題につきましての処置方法等を相談いたす等の方法をとっておりますが、そういう際に、常にそういう態度で指導をいたしておる次第でございます。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、また次の適当な機会に、そういう全体的な考え方に基いて、実際そういうことが行われているかどうかということは質問したいと存じます。あとは農林委員会の問題でありますから、それだけ質問しておきます。
  36. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちょうどいい機会ですから、お伺いしたい。大体今資料をもらって、こういうものがいろいろな関係の役所から出ているのを知らぬことはまことに怠慢でしたが、これを見ますと、大体ほとんど統一がとれておらぬようなものさしがきめられておりますが、これに対して農林省はどう考えておられるか。おもに農地の問題を中心にしてお伺いします。
  37. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 私の方といたしましては、大体先ほど申し上げましたように、電源開発関係閣議決定を基準にして考えております。建設省のきめられておられるのも、大体それとほとんど一緒でございます。でありますので、ほかの省がばらばらな基準を作って補償をやっておるというふうに私考えておりませんで、大体は、基準としましては、二十八年の閣議了解事項基準としてやっておるというふうに私は考えております。
  38. 清澤俊英

    清澤俊英君 そう言われるけれども、出された資料を見ますれば、至って簡単のものもあれば、こういう国鉄の購入のごとき非常に詳しいものもある。こういうふうなことで、果して農地の完全な補償等のものが取扱っていけるのか、農林省として。
  39. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 私どもが実は資料を提出しませんでしたので、どうも失礼でございましたが、大体農地につきましては、素地価格とそれから離作料というものの考えは、ほとんど建設その他電気と一緒というふうに考えております。
  40. 清澤俊英

    清澤俊英君 それで、離作等農地の問題でお伺いしますが、まあこれを見ますと、ここへ出ておる「農林地等買収補償対価及びその基準」という防衛庁の参考資料を見ますと、一番上に、買収単価二百三十三円、これは、反六万九千九百円になっています。それに、ただ簡単に「素地価格に離作料を加える」とあります。資料に離作料というものを簡単に扱っておられる形勢がある。これに対してあなたどういうふうに思われますか。
  41. 伊東正義

    説明員伊東正義君) この離作料の問題は、大体各省とも基準としましては、収益の四年ないし六年分というようなことが電源開発の方にございますので、それを基準として考えられておると私は思います。
  42. 清澤俊英

    清澤俊英君 それが私は大体間違いじゃないかと思う。これは、農地局でそんな考えをしていられちゃ、農林省がそんな考をしておるから間違えやすい、こう思われる。大体これはもう、国鉄の例をとってみますが、「(農地評価の諸条件)」「地味及び水利」「収穫高」「農地の配分状況」「消費地との距離」その他こうなっておるが、このほか関係条項がずっとなってきておりますが、離作農の、小作権の問題に対しましては、第二十条がちょっとここへ触れておる。「地上権及び永小作権の評価にあたっては、それぞれの権利の目的となっている土地について、価格構成上の諸条件の外、設定の目的、権利金、地代、契約期間、経過年数等を調査しなければならない。」こうなっておる、とにかく。それから「(小作権評価の諸条件)」こうなっておる。「小作権の評価にあたっては、小作権の目的となっている土地について、第11条の価格構成上の諸条件の外、小作料、契約期間、附近の地域における自作地と小作地の割合、地方の取引の慣行等を調査しなければならない。」、これだけの問題が中心になっている。しかも、これを評価するものがどういうものかといえば、第五条で、こういうものをやる場合には、「徴税機関、金融機関、不動産業者その他の土地精通者の評価を参しゃくして、評定するものとする。」、こうなっておる。これで、こういうものが集まって農地上における小作権というものと、土地価格というものをはっきり出せるでしょうか。これは出し得ないと思う。こういう人たちだけじゃ出せぬですよ。
  43. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 今お読みになりました国鉄の基準につきましては、あの中に、お読みになりました中に画業委員会等は入っておりませんのは、私としましても、若干改正してもらしなければならぬような気がいたしますが、そういう人たちだけで農地価格が一体はじけるかという御質問でございますが、農地価格につきましてはほとんど、この電源開発基準がございまして、賃貸価格評価倍数というものをきめておりますので、これにつきましては、各省とも大体同じ基準考えております。
  44. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体電源開発が中心というのはおかしいです。電源開発は山の一番奥だ。奥の場合、電源開発農地の問題などは大して出ることは……一番関係の少い問題だろうと思います。これは、鉄道等で耕地がつぶれる、あるいは道路建設で耕地がつぶれる、あるいはあんた方自身がやられる土地改良等で用水路がつぶれる、ここで問題が一番激しく出てくる。あの山の中で行われる電源開発だけの基準でもって事を決しようとすることだけが私は無理だと思う。実態に沿わないと思うが、どう思いますか。
  45. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 今の賃貸価格でございますが、これは、その場合の基礎になっております賃貸価格は、これは国税庁で作ったものでございまして一から百三までございまして、幅は百以上ございます。それで、それを、どの賃貸価格を適用するかということは、近傍類地の関係もございますし、百三の中で、低いのから高いところまでございます。そのとり方がございますので、何も山の中の賃貸価格だけを基準にして、それを考えておるというのではございませんで、非常に幅を持って見て考えております。
  46. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは所有権ですね、土地の所有権に対する見方ですよ。そこで問題になるのは、それにかぶさってくる耕作権並びに今言われる自作農という問題、これに対する基準のお考えはどうですか。
  47. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 自作農につきましては、これも電源で規定をいたしておりまして大体年間の農業収益額の四年ないし六年分を見ておこうという基準が出ております。これにつきましては、実は私の方農林省としましても、農家が農業から離れます際には、農家が企業者として失う分、それからもう一つは、農家が労働者として失う分というものをいろいろとはじいてみまして、それから出ました数字も、大体三年ないし六年というようなものが出ておりますので、われわれとしましても、電源でとりました四年から六年分というものは、計算上そう誤まっていないという考え方でやっております。
  48. 清澤俊英

    清澤俊英君 ところが、大事なことは、その土地を失う場合に、こういうことは中に入っておりませんか。土地を失う場合に、かりに一町歩持っておる、その一町歩全体を失う場合、それから五反失う場合、三反失う場合、一反失う場合、おのおの営農上に及ぼす影響というものは非常に違っております。こういうものは評価してあるのですか。
  49. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 今の点は、一町持っていた人が一町全部をなくす場合と五反なくす場合とどうだということでございますが、その点も、補償をはじきますときには参考にしてはじきます。
  50. 清澤俊英

    清澤俊英君 どういう標準ですか。これは、農林省の方ばかりではないでしょう、ほかの方も……。
  51. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 他の説明員から説明させたいと思います。
  52. 高崎謙二

    説明員(高崎謙二君) 今先生のおっしゃいましたことは、残存地の問題だと思うのであります。甲という人が一町持っておりまして五反歩水没した場合、あとの五反歩はどうなるか、どういう補償をされるかという問題だと思うのでありますけれども、これは、あとの五反歩は、一町歩に対しまして従来持っておった価値が、五反歩になりました場合には減少するだろうという問題が起って参りましてその減少した価格補償しなければならないという問題になって参りますので、その一町歩の人が五反歩水没して立ちのくといったような場合には、その五反歩が、そのままほっとけば原野になるかもしれない。従来たんぼであったものが畑になるかもしれません。そうしました場合に、従来のたんぼの価格、それから今後なるであろう畑あるいは原野、こういったものの価格、その差額をもって損失補償しよう、こういうような考え方であります。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 一町歩全部離す場合は。
  54. 高崎謙二

    説明員(高崎謙二君) 全部離す場合、それが一町歩全部水没しますれば、これは全部補償します。
  55. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは土地に関する関係ですか。営農の関係はどうなりますか。営農の関係並びに営農するために用意せられた施設その他のものはどうなりますか。それらの補償はどうするか。
  56. 高崎謙二

    説明員(高崎謙二君) 浮遊労力というものが出て参ります。この浮遊労力に対しては補償するわけであります。それからいろいろ、家畜、農機具等の資材、これの減価償却等も、これを考え補償いたします。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 そんなことじゃないのですよ。たとえば家があるでしょう。家と同時に農機具も持っている。これはもうなまやさしいものじゃないんです。一軒の農家が用いまするものは、これは、場合によりますれば、長い間の集積のうちにたくわえられた農耕の一切がそろっている。こういうものの補償はどう考えておられますか。
  58. 高崎謙二

    説明員(高崎謙二君) 減価償却上の損失を補償しますということでございます。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 それと同時に、そこからよそへ出なければなりませんですね。同時に、仕事を変えなければならない。そうすると、営業権というようなものの考え方が必要だと思いますが、そういうことまで考えてやれるかどうか。
  60. 伊東正義

    説明員伊東正義君) その点は、営業権という形じゃなくて、離作料という形でいまの補償は出しておりまして、営業権が幾らという補償は、農業についてはいたしておりません。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはまあそれでいいのですがね。実際に段がついておれば、そういう人たちも外に出やすい。しかし、現実に段がついておらなかったら、実際はうやむやにしてしまう。それはまあそれでいいです。これは十分考慮してもらうことにして……。  それから、その次にお伺いしますのは、こういった場合、農林省だけじゃないんですが、国鉄や運輸省関係はお見えになっておりますか。……見えていませんか。まあ建設省ではあんまりそういう話は聞かぬけれども、運輸省等でも、こういうものを決定せられるとき、土地の賠償、補償と、地上権、耕作権ならびにそれに付随したものの補償ははっきり分けて出される。大ていの場合には、中へ町村長が入るんです。町村長に、これを明確にしないで、一括して与えられる。そういうことが始終あるんです。従って、かりに三十万円来たとすれば、その三十万円のうち二十五万円は地主さんが取ってしまう。あとの五万円が現実に小作人のところへ行った。これで非常にいつも問題を起す。そのときに、たまたま関係官庁へ行って、その配分率がどうなっているか、こういう質問をしても、明確な答えは出しておられない。実際やられるときに、そういうものをはっきり出しておられるのか、ないのか。
  62. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 農林省でやります際には、その点ははっきりいたしております。地主に幾ら、小作人に幾らということで、はっきりいたしております。ただやり方については、今、先生のおっしゃいました、町村長なりに渡して、それから先が不公平が出るということは考えられますので、やり方としては、そういうことにならぬように私どもの方もこれは注意いたします。  それからもう一点、先生から先ほど御指摘がありましたが、若干各省考え方が違うのじゃないか。国鉄の場合を例に引かれましたが、この点は、先ほど建設省からも御答弁があったのでございますが、われわれとしましても、なるべく統一をとったやり方でやっていきたいと思いますので、きょうは企画庁は見えておりませんが、私の方としましても、企画庁あたりに音頭取りになってもらって、なるべく統一した基準でやっていくというふうにしたいと思っております。
  63. 清澤俊英

    清澤俊英君 これでやめますが、河川局長はどうですか。あなたの方でも実に不明確になっている。
  64. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまの土地代及び地上権等の問題につきましては、ただいま農林省からお答えのございましたように、分けて処置しております。
  65. 清澤俊英

    清澤俊英君 実際問題として取扱われる際、あっせんを市町村にまかされる。一番主力、市町村長が中心になってやられる。従って、そういう話し合いが進んでも、実際これの分け前を分けるときになればそれが不明確になる。だから、これは一つ、まだ私らも少しばかり材料の調べ方も足りませんから、この次にいろいろ聞きたいのですが、その点に対しましては一つ十分各省とも検討していただいて、そうして私は統一した一つのもっとくわしい基準を出してもらいたいと思うのです。こんなばらばらのことでは問題にならないと思う。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私やめたはずでしたが、基本的なことに触れて他の委員から質問があったので、私は原則的なことをもう一度お尋ねしてみたい、これは伊東さんの方にお尋ねしてみたい。  伊東さんお答えになっているように、補償は、水田なら水田は、地代と離作料というもので払われておる。ところが、それはたまたま地代と離作料との合算額が、その地域付近の売買価格に大体合う程度のものにでき上ってくる、たとえば一例としてあげますと、湯田ダム補償基準で出ておるものでは、一等級の一番よい土地の地代が五万五千円、そして離作料が十五万円も払われる。離作料というのは失業補償金という意味です。それを合算して二十万何がしと出て初めてその地域における売買価格に見合うものになっておる。ですから、精神的な無形の補償といわれるような離作料そのものが入って初めて土地の売買価格に見合うような形のものになっておる。それで、百姓は何も知らないから、まあそれでよかろうということで、これは承知しておるのです。ところが、この地代そのものの五万五千円というようなものは、相続税云々というようなことで、ただ形式上計算してスライドされてきた地代なのであって、何らその付近の売買価格などとは関係のない地代なんです。現在の登記価格をいじくったりなどしたのと同じようなことで、世間を通らない地代なんです。それに無形の精神補償である、失業補償である、地代の中に入ってはならないものを入れて、そうしてようやく売買価格に見合うような形が現実にある。そういう点を根本的に農林省の方ではお考えになったことがございますか。これで妥当だというお考えですか。少くとも勧業銀行なり何なり、金融機関等でお調べになっている売買価格とは、非常な懸隔があることだけは間違いないのです。それが、地代の評価が低過ぎるのじゃないかということが私の第一点の疑念なんです。  それから第二点としましては、こういう償償関係になる地域は、山間僻村というような地域が多い。従って、そういう所で持っておる水田というものは、それは平地における水田よりは収益は少い。けれどもそういうものを二、三反持って、それから飯米を得て、あるいは山林、その他の方の仕事をやる、こういうようなことから生活程度というものは、平地における二、三反百姓よりは、そういう所の二、三反持っておるものの方が非常に上なんです。そういうものが、ただ収益とか何とかいうような関係だけで地代が評価されて、そうしてそれをもらって平地の方に行って、三反売ったものが三反買って、その地域におったときの生活水準が保てるかというと、全然保てない。そういう所は何で補償するのか、こういう問題は、過去それぞれの地域で問題になったはずなんです。けれども、それは基本的な原則としては何ら解決されておらない、金銭補償の場合。そういう第二の点もからんで、そういう地域における地代の補償基準なんというものを、もう少し検討する必要があるのではないかというのが私の従来の主張です。先ほど次回に検討したいと言ったのは、その点も一つあるのです。お考えはいかがですか。
  67. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 二つの問題でございますが、後の問題で、外に出てまた営農をやる場合に、山の中でたとえば五反なら五反やっおった人が平地に出るなり何なりする場合、それで五反買えないという場合はどうかという御質問でございますが、農林省としましては、営農を続けていくという人につきましては、なるべく未墾地を買収いたしまして、その土地を払い下げるというやり方で、新しく入植をしてもらう。たとえば開墾地なり干拓地の入植の場合に、そういう人につきましては、優先的に考えていくというようなやり方でやっております。それで、山の中で五反やっておった人が干拓地なり、開墾地に入る場合は、必ずしも五反という意味じゃなくして、これは新しい営農類型を考えました面積にして、そういう人をなるべく救っていくというやり方でやっております。  もう一つの、素地価格が低過ぎやしないかという御質問でございますが、これにつきましては、賃貸価格は非常に低く、昔の数字でございますが、これに対しまして評価倍数という指数を使いまして、これはその時の経済情勢で変っております、たとえば田でございますれば、三十一年は三千百倍、三十二年は三千六百倍という倍数で調整することによりまして、なるべく近傍類地の価格に近づけていくというやり方でやっております。離作料を含めた近傍類地では、どうも低過ぎやしないか。素地価格が低いのが多いのです。われわれは、これはもう少し検討したいと思います。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 伊東さんにお尋ねしたのは、農林省のやっている事業そのものだけでなくて、農地を担当する農地局の意見として、各省どこでやっているものについても、問題はそういうところにあるのではないか、農地局として考うべき点があるのではないか。現在の売買価格評価価格とでは、相当の開きがあるという実態を御承知になっておられるか、こういうことなのです。そして離作料というものは地代というものに入る、べきものであるのかないのか、この点をはっきりしてもらいたい。離作料というものは、土地の値段というものに入るのか、それは営農という問題で失業補償というような性格のものなのか、それは物件補償のような考えのもので、計算上離作料というものを出しているのだということなのか、どっちなのかということなのです。
  69. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 先ほどの御質問、これは農林省だけでなくて、建設省みんな同じだと思います。それで、一つ水没者等がほかへ行って営農する場合は、建設省ダムを作られる場合でも、農林省としては同じ取扱いをしていると考えております。その点は一緒でございます。  それからもう一点でございますが、これは今は素地価格と離作料を含めまして、大体近傍類地という形で算出の基礎は考えております。ただ観念的には、やはり素地価格と離作料——離作料といいますと、今、先生は失業手当みたいなものではないか……。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 耕作権を補償したものでしょう。
  71. 伊東正義

    説明員伊東正義君) ということでございましたが、それを含めまして今は近傍類地でやっておりますが、観念的には、やはり素地価格というものと、それから離作料というものは、いわゆる素地価格の中に入っていない。これだけは観念的にはっきりしております。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで、この離作料というものの性格なんです。離作料というものは、あなたが前に御答弁になった無形の精神的な補償、そういう事態に追い込まれた者の一時耕作なら耕作から離れる、そして他の地へ行って耕作する、転業する、そういう関係での補償というふうに私は常識的に考えているのです。失業を補償する、営業権とか、耕作権とか、それを補償するというような形のものだというふうに考えているのですが、これがまるまる地代なんだという考えは、法律的にも成り立ちますか、離作料というものは。
  73. 伊東正義

    説明員伊東正義君) これは、今先生のおっしゃいました精神的の打撃の緩和の意味のものというものは、これは実は離作料とは別でございます。算定いたしますときに、離作料は離作料の算定の仕方をいたしまして、精神的な打撃に対しますものは、これは謝金という言葉を使っておりますが、これは全然別個に計算いたしております。精神的な問題は全然離料作とは別でございます。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすれば、離作料というものはどういう性格のものですか。もう一回はっきり……。何です、これは。物への補償ですか。権利補償ですか。物権の補償なんですか。それを両方合せて売買価格に見合うようにというふうに論理がいくことが、どうも私にはわからないのです。
  75. 伊東正義

    説明員伊東正義君) これは物権の補償という考え方でなくて、それだけ利益が減ずるだろうという、まあ期待でいっております。そういう利益が減ずるだろうということに対する補償でございます。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、土地代としてあくまでも示されるものは、それ自体が近傍の売買価格に近寄っているものでなければ筋が通らぬのじゃないですか。どうも私の言うのは無理ですか。
  77. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 先ほどお答え申し上げましたように、素地価格と離作料合せて、近傍類地の価格補償をしておるということを申し上げたのでありますが、その中の素地価格が低過ぎはしないかということが、先ほど来先生のおっしゃっておる点でございまして、この点は、われわれももう少し検討いたしてみたいと思っております。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 検討する前提として、素地価格そのものは、現在行われておる売買価格とみなされるものに見合い、離作料というものが合算されて売買価格に見合うものになるのだという考え方そのものは、やめなければならないということにはならないのですか。合算は、こっちのものでやればそれでいいということは間違いであるということにはならないですか。
  79. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 素地価格と離作料で近傍類地の価格と調整をとっておるのはおかしいじゃないか、観念的におかしいじゃないかという御質問でございますが、それで、先ほど来素地価格につきまして、私はもう少し検討してみたいというお答えをしているのでございますが、今できます例でも、売買価格よりは素地価格が若干低くなっております。そう大きな開きではございませんが、低く出ております。それで、それに対しましてそのほかに考えておりますのは、立ち消えの補償をいたしますとか、あるいはその田なら田のいろいろな工作、石垣があったり何かの工作物があるというようなことで、そういうものの補償とか、そういうものも加えまして、なるべく近傍類地の素地価格に近づけていきたいという操作は、私どもやっておりますが、そのプラス離作料という考え、そのほかに謝金というようなことをやっておるのでございますが、今先生のおっしゃいましたそういうものを含めて近傍類地の価格とバランスをとっていくのはどうかというお話でございますが、これにつきましては、離作料そのものの性格が、ある程度生活保障のようなこともあり、先ほど申し上げました利益が減少するであろうということに対する補償のような性格もあり、ぴしやっと離作料の性格を割り切ってございませんので、この点につきましては、もう少し私の方でも検討いたしてみたいと思っております。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 建設省の方では、湯田の場合に例をとって、土地代というものは、あの近傍の売買価格に匹敵しておる、見合っておるというお考えですか。
  81. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 湯田の場合でございますが、土地代と雑作科を合算いたしまして、近傍類地の取引価格に見合せるというものでございます。
  82. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をとめて。    午前十一時五十八分速記中止    ————・————    午後零時十八分速記開始
  83. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて。  じゃこの程度でよろしいでしょうか。  午後は一時二十分から再開いたします。  ではこれにて休憩いたします。    午後零時十九分休憩    ————・————    午後三時七分開会
  84. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 委員会を再開いたします。  農林水産基本政策の件を議題にいたします。ただいまから御要求に従って、農林大臣に対する御質疑を願うことにいたします。
  85. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大臣がおいでになりますのが、時間がおくれておりますので、簡単に質問申し上げたいと思います。私は、農業法人化についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。農業法人は、自主的な立場から、ほうはいとして全国に今問題になっております。ことに鳥取県におきましては六社、福島におきましては百三社設立がされておるのであります。民間におきましても農業法人についての研究会が最近発足をいたしまして、これが研究をいたされておるのでございます。この農業法人化の動機というものが、一般社会では税制上の問題のみのようにいわれておるのでありますが、単に税制上の問題ではございません。経営の合理化、近代化のために法人格を与える方がよいというような考え方から、この二つの動機で、農業法人化が発足をいたして今日参っておるわけであります。  そこで、この問題は農地法の問題と非常に関連がございます。また、団体法との関係もございます。そういうような立場から、これが現在のように強く推し進められようといたしておりまする段階におきましては、農林省といたしましても、当然研究をしなければならぬ立場に置かれておる、かように考えます。そこで、現在まで農林省がこの農業法人化についての研究をされておるかどうかということをお伺いして研究されていることがございまするならば、それの詳細について御説明をまず願いたい、かように存ずる次第であります。
  86. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 私、かわりましてお答えいたします。  今の御質問の点でございますが、今おっしゃいましたように、法人化の問題は二つの問題がございまして、税法上の問題から発端になりました問題、それからもう一つは、農業の経営合理化という面から出ました問題と、二つあるわけでございますが、前者の税法上から出ました問題は、これはわれわれとしましては、そういう問題から農業法人化ということを研究するという考えは全然持っておりません。ただ後者の経営の合理化の面からこの問題をどうするかということにつきましては、今御質問がありましたように、いろいろな動きがあることを承知いたしております。それでしかしわれわれといたしましては、御質問にありましたように、現在の農地法の精神から申しますと、農業の法人化の問題は、現行の法律からいきますれば、これはもう否定的に実は考えております。しかし、もう一面、それと離れまして、農業の経営の合理化、経営面積をふやしていくというようなことは、長期経済計画でも、農業の就業人口を減らしていくというような進み方もいたしておりますし、われわれといたしましても、これはそういう面からは研究をたしていきたいという態度でおりますが、今研究いたしまして、どういう結論に達しているというふうな、まだ段階にはなっておりませんので、その点御報告さしていただきます。
  87. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 この問題は、その動機が二つあるのでありますが、いずれにもせよ、農業、農民というものの利益になるということでありまするならば、これはいろいろな農地法の問題、あるいは税制上の問題等があって、それが阻害をするために、これらの設立なり、指導ということがうまくいかないということならば、その弊害となるべきものを除去いたしまして、農民、農業の利益をはかるという立場に立たなければならないはずだと私は思う。そこで、ただいま局長のお話によりますと、税制上の問題については農林省は知らないというようなお話のように承わったのでありますが、税制上の問題といえども、少くとも対農地あるいは農地を基盤として生産を行うところの農民の税金がどういうふうな問題であるかということは、関連的に当然お考えにならなければならないはずだと私は思う。単に事務的な問題としてこれを取り扱おうというところに、ものの根本的な間違いがあるのではなかろうか。やはり農地局といえども、あるいは農林省といえども、農民の税金というもの、税制に関する関係を十分持つ、至大な関係があるということなら、これまた当然私は関連して研究されるべきものじゃないかと思いますし、それは、私がそう思うのであるが、御同様だと思う。しかし、まあただいまのお話を聞いてみますと、直接事務的には税制上の関係はない。農地法の問題について将来考えてみたいと、こういうことだと思う。私は、聞くところによりますると、大蔵省に、二、三日前に決算委員会で質問をした答弁を承わりますと、合法的にできた法人であればけっこうだ。法人としての課税を将来しようというふうに、これは明快な答弁をしておるのであります。そうしますと、一にかかって農業法人の振興を阻害するということは、農地法の関係一点にかかっておる、こういうことが言えるのではないかと思うのであります。農地法というものは、私、申し上げるまでもないことでございまして、結局、農地法の趣旨といい、主眼となりまするものは、自作主義であろうと私は思います。すなわち耕地はその耕作者みずからが所有することを最も適当だと考える、そこに自作をするという、その一点にかかって、みずからが耕作する者が土地を持つんだ、所有するのであるということであると思うのであります。従いまして、これを法人にいたしまする場合は、農地法に定められておりまする法人というものは何もない。農地を持っておらないと農業でないのでありますから、新たに土地を買い入れるということがすでに農地法の立場から考えますると、法人格を与えにくいことになります。そこで、それだけではございません。最高の面積所有の問題にも抵触すると思います。そういうことが、この農地法その他たくさんございますが、もう時間がないのでありますので申し上げませんけれども農地法上の問題のためにこれができないということでありまするならば、その阻害される、最も悪い影響を与えるというものは、これはわれわれ農地法の趣旨というものを考えましたときに、耕作者を守るという立場からできておるのでありますから、それまで改変する、根本的な趣旨を曲げるということはできないと思うのでありまするけれども、もう農地法ができまして以来、すでに技術の進歩その他によりまして、一例をとってみますると、これは北海道と内地とは所有面積の多寡が違います。たしか北海道は十二町であったと思いますが、内地は三町ないし三町半あるいは四町の所もあるかと存じますが、そういう最高限度がきめられておる。今のように機械化の促進、発達につれまして、最高限度が三町なにがしであるというようなことすら、これは一つの例でありますけれども、相当考えなければならぬ段階にきておるのではなかろうかと私は思うのであります。そういうことを含めて、これはまたその他にたくさんありますが、農地法の問題について申し述べますと、たくさんいろいろな問題が包蔵されておりますが、そういう問題を含めて、農業法人というものがここに自然的発生で抬頭してきて、しかも、この農業法人にいたしますることの利益につきましては、私が申し上げるまでもないのでありますけれども、どうも先ほどのお話を聞いてみますと、われわれが考えておりまするものと少し距離があるように存じまするので、一、二を申し上げてみます。  つまり、第一の問題とされておりまするものは、相続によりまする農地の零細化というものがございますが、こういうものを防止することが一面できます。これはもう考えられることでございます。また、会社経営というものによって、農家の収支が明らかになります。また、今までの所得税等考えてみますと、農家は一律課税でございます。いかに損失があり、赤字がありましても、それを補てんする、あるいは社内保留と法人では申し上げますが、そういうものを保留するということを許されません。直ちに直接課税でございまするから、そういうものを社内保留をして次の年にこれを繰り越し、そうしてその収支決算をしていこうというわけにはいかないのでありまするが、法人になれば、そこが明確になるのであります。また、私現地へ行って見ますと、青年、婦人は非常に喜んでおります。自分が働いたという、その働いた労賃が、明確に賃金として上ってくるということが、家庭の経済の合理化の上から考えましても、非常に喜びである。自分の労働というものは直ちに賃金になって現われてきて、いわゆる一家のどんぶり勘定でないというところに、家庭の明るさ、農家の明るさというものが現われてきておる。非常に喜んでおるのであります。こういう利益もありまするけれども、また、先ほども申し上げましたように、つまり所有というものと耕作権というものが分離をするということになりますると、つまり自作農主義でありまする農地の根本精神、基本精神というものをこわされるということを心配するのであります。そこで、そういう問題があるということで、現在まであるいは今後も放任するというわけには参らない。たとえば農家には健康保険に入るとかあるいは厚生年金に加入するということが許されませんが、法人として五人以上の利益団体を作りますと、これは早速入れます。また、そこに勤めておりまする者は、それぞれ家族労働という意味から、今までどんぶり勘定でございますが、会社ならばそれぞれの控除が認められます。非常にこの点が明瞭でございまして、現にこれの収支をやり、あるいは会社の運営をいたしました結論から考えますると、税金の面におきましても半額になる、あるいは経営の近代化の面からいきましても、自分の会社の収入というものがはっきりと明瞭に出て参りまするために、たとえば農器具の購入にいたしましても、あるいは家畜の購入にいたしましても、一つ予算的な基礎が明確でありますために、経営の合理化が進められるのであります。計画的に進められるのであります。そういうような点がたくさんございます。これはもう時間がないから申し上げませんが、そういう合議制のために経営が計画化するという点がございます。これは農業がいつまでもつまり後退性の一途をたどり、ことに総体所得の面から考えてみますると、他の産業との比較から考えましても非常に低所得である。これをもっと明るい立場で農業を指導していこうという形に持っていこうといたしますならば、農業の近代化、あるいは集団化、あるいはこの経営の合理化ということを進めてやる必要がある。ことに日本のような経営の非常に過小規模——規模の小さい日本のような農業経営では、特にそういうことがいわれるのではなかろうかと私は考えるのであります。そういう立場から、まだそこまで研究をしていないということでございますので、私は、つまり農地法というものをもう少し考えて、そして研究をされて、農地法の精神をこわさない範囲内において、農業法人化ができるように促進し、指導するということが、農林省としての責任ではなかろうかと、かように考えるのであります。そこで、将来、これに対しまするお考えを伺っておきたい、かように考えるものであります。
  88. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 先ほど言葉が足りませんで失礼いたしました。われわれといたしましても、あくまでも農家の止揚に立って税の問題その他を考えることは当然でございます。先生の御意見には全然同感でございます。ただ、今その税法だけの問題で法人化ということが進みまして、これが現在の農地制度と実は矛盾する点もございますので、そういう面からだけこれは考えるべき問題でなくて、先生のおっしゃいました農業経営の合理化という面からこれを考えていくべきだ。その際に、先生がおっしゃいますように、現在の農地制度とは非常に矛盾を来たす点もございますので、これはみずから耕作するという者の耕作権を保護しておりますので、この点から申しますと、先生のおっしゃいました法人化しますことについての利益ももちろんこれはございます。その反面、今の現在の農地制度から申しますと、非常に大きく矛盾する点がございますので、その点につきまして、われわれは法人化ということを考えますときには、当然農地制度そのものもこれは慎重に検討いたしませんと、法人化だけというわけにも参りませんので、両方一緒にしまして、この問題は慎重に検討いたしたいと思います。
  89. 関根久藏

    委員長関根久藏君) もう時間が……。
  90. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 それでは簡単に、農林大臣からお答えをいただけなかったから、一言農林大臣から所信を承わりたいと、この問題について思うのであります。大体、今の農地局長のお答えで私はけっこうだと思うのですが、この問題は、今全国的に非常に大きい問題になっております。また、今までのような、農業というものは知らしむべからず依らしむべしというような立場で指導するわけにも参りません。もっと明るい立場で近代的な農業に組みかえてやるという指導が大切だと思うのでありますが、ただいま私から指摘をし、また、農地局長から御答弁がございましたので、大体了解をいたしましたが、農家が法人化するためには、農地についての所有権であるとか、あるいは賃借権、その他使用収益権というものを収得いたしますることが前提になるわけであります。ところが、これにつきましては農地法がございまして、許可をしないという方針が、今定められております。で、これが農業法人化の直接的な障害になっておるのでございますので、将来いろいろな問題がまだその他にも農地法にはございますが、これらを含めて、農林省は将来農業法人化というものの指導をするとかせぬとかいう問題ではなしに、根本的な調査一つしていただきたいと思うのであります。そういう意味においての大臣としてのお考えを伺いたい。
  91. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 今、農地局長から当局の考え方を申し上げたのでございますが、これは、もう大要私は是認しておきたいと思います。従いまして、よく調査、研究させまして、ある段階に達しましたならば、適当な機会にまた当局の意見等も述べさしていただきたいと、こう考えます。  今お尋ねの問題でございますが、この農地制度の改革のことをわれわれ一度考えてみなければならぬ。実は、法人の所有のものであっても、やはり農地改革の際にこれは改革しなければならぬというので、今度改めたことは御承知通りであります。従いまして、例をとるならば、従来一族の持っておったものが、かりにこれは合名会社等の組織でもって、そうして持っておったことは、これは御承知通りです。しかも、これは経営等について今御指摘になったように、合理的に相当やっておったにかかわりませず、やはり法人の持っておるというものにつきましては、農地制度の根本を確立するという意味から、これを開放さしたということも、これは堀本さん御承知通りであります。従いまして、これは沿革的に見まするならば、これらの時代の場合には革命的な措置をした。今度これを同様に逆な意味でもってこれを創設するということにつきましては、相当考えていかなければならぬと私は考えております。御指摘になったのは、あらゆる条件が非常にいい、もう百パーセントよろしいということを前提としてのお話でございますが、逆にいきます場合には、これは農地制度の根本をこわすわけでございますので、従いまして、先ほど農地局長が答えました通り、これはあらゆる観点から研究さしていただきたいと、こう申し上げたのでございましたが、私もさように思います。むしろ、この現在の農地制度、すなわち耕作する者に土地を持たすという根本義を、やはり維持しなければならぬ現在におきましては、これをやはり尊重しつつ、同時にまた、御指摘になったような一つの構想は、まああらゆる面で一つの条件を設け、これを規制し、厳格な統制的なものにしませんと、この農家の法人というのは創設が困難であろうかと実は思うのでございますから、農業法人につきまして、税法の面からは直截簡明に、非常に簡明な率直な答弁があったということでございまして、これは税金を取る方からならばそうだろうと思いますが、私たちの方は、この農地改革をあれだけの苦しみをもってこれを断行して今日になった経緯もありますし、ただいま当局からも申し上げましたような諸事情もございますので、十分に検討さしていただき、そうしてその成果がある程度できました場合におきましては、適当な場合に当局の意見を総合的にお示しするということにさしていただきたいと、こう考えるのでございます。同時に、農業経営の改善のためには、私が考えますのに、農家自体が一体二重帳簿制度の計算方式をとる、あるいは家計等につきましても近代的な帳簿組織をとる、経営の合理化につきましても、何も法人を作らずとも、実はすべきのが今日の事態ではないかと思います。わが農林省におきましては、そこまで徹底してまだ進んでおりませんけれども、これはあるいは共同購入、あるいはまた農地委員会等の御指導と相待って農家が近代的な経営をするには、それだけの近代的な組織をもとるということまで高めなければならぬと思うのでありまして、これがもしも理想的に進む場合には、いわゆる法人の利点だといわれますこと、農家個々の経営につきましても同様だと考えます。これはただ理屈を言うわけではございませんが、そういうような意味合いをもちまして、そうして高めた理想に進めなければならぬことと思うのでございますから、今後の農家の経営改善であるとか、あるいは生活改善等につきましても、そういうことを念頭に置いて今後指導して参りたい、かように考えておるわけでございます。
  92. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 農産物価格安定法によって、澱粉、カンショ、バレイショ、カンショなま切りぼしの支持価格はいつ決定されるお考えであるか。昨年は九月に決定されて、非常に取引上に便宜をはかったのでありますが、本年も九月中に決定される御意思であるかどうか、お伺いしたいと思うのであります。
  93. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) これは、法律の建前としましては、原料の基準価格であるとか政府買い入れ価格は、十月三十一日に決定することになっておるのでございますが、それでは時期的にも価格支持に十分役立たないというきらいがございますので、昨年は十月一日にこれを公表したような次第でございます。本年も、この先蹤にならいまして、その時期までには公表をしたいと、かように考えておる次第でございます。
  94. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 本年は、地方によっては非常な旱害を受けておるのであります。たとえて申しまするならば、カンショなま切りぼしの主産地である長崎県、愛媛県というような所は、非常な早害を受けて、カンショの生産は少いのであります。こういうふうなことから考えてきてみまするというと、カンショあるいは澱粉、カンショなま切りぼしの価格というものは、いろいろと検討をいただいて、生産費を基準として決定していただかなきゃできないじゃないか、こう考えるのであります。しこうしてまた、澱粉の値段、あるいはカンショ、バレイショの値段を決定せられる場合においては、政府手持の澱粉が価格の算定の基準になっているようなことも考えられるのでありますが、一方において、政府は結晶ブドウ糖の奨励をやっておられるのであります。そして前の国会では、農林漁業金融公庫法を改正して、その方面からの融資のワクも考えておられるのでありますが、今回の澱粉その他の価格決定には、政府保有の澱粉は、将来における結晶ブドウ糖の助長政策に組み入れるというようなことで、これを全部たな上げして澱粉その他の価格を決定するのが適当ではないか、また、砂糖問題その他から考えても、それが最善の方法ではないか、こう考えるのでありますが、価格決定に対する政府の御意見を拝聴したいと思うのであります。
  95. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) この価格決定につきましては、今御指摘になりました通りに、政府は相当手持澱粉を持っておるわけでございまして、このことが、御指摘のように、相当市場価格等に影響を及ぼしますことは、もう御指摘の通りであります。しかし、これを全然無視して経済事情を全然無視してこれを決定するということは、これはもういかがかと思うのでございまして、要は、長期に需給のバランスがとれますように、そして安定して一つのバランスがとれますような、そういう趣旨で決定するということは、従前と変りはございませんので、さような意味合いで決定いたしたいと、こう考える次第でございます。ただ、何分とも、この決定すべきところの基礎材料になります作柄等は、まだ資料が整備しておりませんので、しばらくこれはお待ちを願わなければならぬかと、かように考えておる次第でございます。
  96. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 政府は、結晶ブドウ糖の製造に、さっきも申し上げたように、法律まで改正して奨励しておられる段取りであるのでありますが、現在どんな方法でどの程度までこの問題が進んでおるか。また、大臣は、将来結晶ブドウ糖に対してどんな方策を持っておられるのであるか、その点お伺いしたいと思うのであります。
  97. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 結晶ブドウ糖は、かねての方針通り調査研究を進めつつ助成しておるわけでございますが、その実体的な模様につきましては、政府委員もしくは説明員から説明さしていただきます。
  98. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) ただいま結晶ブドウ糖に対する政府の助成方法についての現在までの状況いかん、こういうことでございましたが、御指摘になりましたように、澱粉の政府手持も相当の量に達し、今後イモの価格の安定、さらにまた、新規用途の開拓という意味から、結晶ブドウ糖については、将来とも政府としてはできるだけの努力を払って用途を開拓していきたいと、こういう趣旨には変りないのでございます。ただいま農林大臣からお話にあった通りでございます。さしあたり現在考えておりますのは、先ほど先生から御指摘ありましたように、結晶ブドウ糖につきましては、相当の設備資金が必要でございます。従いまして、先般の国会におきまして改正いたしました農林漁業金融公庫法に基きまして、新たに系統団体以外にもそういう新規用途の設備資金には、公庫から借り出せるということになっておりますので、現在までには、それらの融資の基準、融資の方法等につきまして大蔵省と折衝をいたしておるわけでございます。いずれ決定いたしますれば、本年度内におきましても融資の一部は道が開かれることに相なろうかと思っております。また、政府の手持ちの澱粉につきましても、結晶ブドウ糖の採算、あるいは、砂糖の価格と結晶ブドウ糖との価格関係等をも考えまして、政府手持ちの澱粉について、必要があれば採算に見合うような意味におきまして、若干の価格を引き下げて売り渡すというようなことも考えておる次第であります。また、これは将来の問題にもなりますけれども、やはり結晶ブドウ糖の育成ということを考えますと、高澱粉のイモの育成ということも考えられますので、そういう意味の指導について試験場等におきまして研究いたしますほかに、できればそれらの積極的な助成方法につきましても検討いたすということで、来年度予算等におきましては考慮いたしたいというようなことに相なっております。大体、現状までの事務当局として取り進めております状況は、以上の通りでございます。
  99. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ただいま大臣及び官房長からお話しの模様は、よく承知いたしました。どうか、できるだけすみやかに政府の支持価格を決定されて、その決定されるに当っては、現在の各種の条件を加味して生産費をまかなうような価格を考慮していただく、また、一方においては結晶ブドウ糖の製造を奨励するというような意味で、手持ち澱粉の処理については、十分な考慮を払って価格の決定をお願いしたいと思うのであります。これだけの希望を述べておきます。  次に、早害問題であるのでありますが、この前の委員会においても大臣に目干害問題を質問したのでありますが、現在の状態からすれば、今年の農作物は、非常に豊作の所もあれば、水不足で植付ができない、植え付けたけれども枯死してしまっておる。こういうふうな状況で、非常に差があるのであります。植付ができない、あるいは旱害にあったというような所であったならば、引き続くいろいろの災害のために、農家は収入の道が全くないのであります。その収入の道を得る方法は、ただ一つある。それは、将来にいろいろの農地その他の改善をやって増収をはかるという方法であるのであります。別な言葉で言うならば、救農土木事業を興して、農地改良その他をやる以外には、これらの疲弊困憊に陥っているところの農民を救う道はないと思うのであります。この点については、きのういろいろと村別に統計調査部で調査して、その結果によって救農土木事業も興そう、こういうふうな計画のようであるのでありますが、大体、大臣は、救農土木事業についてどういうふうな構想を持っていられるのであるか、その救農土木の根本方針を、大臣に伺いたいと思うのであります。
  100. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 旱害が本年は相当に激甚でございまして、特に九州方面につきましては顕著な現象であります。先般私もたまたま視察の機会を得まして、大分県、福岡県だけではございましたけれども、その実情にも接して参りました。つきましては、農林省としましては、すでに三十三年度として成立しております予算でも、これに役に立つべきいわゆる御指摘の農業土木的運用のできます経費等につきましては、これはもうすでにそれを動員しているような次第であります。特に林野庁関係のなには、既定経費等も運用しまして、そして林道であるとかあるいは仮払いであるとか、そういうふうな方面で雇用力を吸収しているような次第であります。  第二段には、農地局関係予算等につきましても、これに応じ得るものは、その方面に回すということで、今具体的に取り進めております。これだけでは不十分でございますので、統計調査部等を総動員しまして、救農土木のための基礎的条件を整備している。そういたしませんと、どの程度の雇用力を算定し、そして仕事の分量をやるかということでございますので、これを今取り進めております。すみやかにこの集計を終り、措置対策を立てたいと思うのでございますが、できまするならば、急速を要するものでございますから、あるいは予備金の運用とか、さらにまた、本年度予算の補正等を考え合せて施行して参りたいというふうに考えております。そしてその対象になりますところの地区は、旱害の激甚なる地帯ということ、それから対象といたします事業は、おおむね林道あるいは農道あるいは井堰の改修、ため池の補修等々、労銀に直ちに還元するような仕事をやる。かようなことで、私も現地の視察等もいたしましたし、同時にまた、省の職員も派遣し、そして今実情の把握と計数の整理をいたしております。これは遅滞なく取り進めております。
  101. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次に、私は農林水産委員として、今回、長野、愛知、岐阜の視察をし、愛知用水の畑地灌漑の試験場の状況を拝見して参ったのであります。私などが農業をやる場合においては、必要と認めたときにまき付けをやり、必要と認めたときに水が不足したい、こういうふうなことによって私らの力によって自然を克服するような方法を講じていかなくちゃできないのであります。そのためには、何としてでも、水田も同様であるのでありますが、畑地に対して灌漑をするということが必要であるのであります。本年は、四年続きの豊作ということであるのでありますが、これも技術の進歩のために今日を来たしたと思うのであります。それで、今後の問題というのは、技術の進歩によって、施設の改善によって増収をはかっていかなくちゃできない、そのためには、さっき申し上げたように水不足のあるようなことではできない、必要な場合においては植付ができる、枯死するようなことがない、こういうようなことからすれば、畑地灌漑というものを大きく取り上げなくちゃできないと思うのであります。きょうの話によってみても、畑地灌漑についていろいろと大蔵省と折衝をされておるということであるのでありますが、まことに喜びに堪えません。どうかこれがすみやかに実現するように、農林大臣の一そうの御努力をお願いしたいと思うのでありますが、畑地灌漑その他畑作物に対する大臣の今後の構想を承わりたいと思うのであります。
  102. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 畑地灌漑の施設につきましては、すでに今年度等からもだんだん取り進めて参っております。本年の旱害等の事情にかんがみましても、この問題は非常に重大であるということは、もう申すまでもございません。認識を一そう新たにしたところでもございますし、関係地方におきましての要望も特に熾烈をきわめております。これは当然なことだと思うのであります。従いまして、この方面の施設は、なお格段の拡大をして参るということで進めたいと存じます。なお、わが国の畑作の振興の問題でございますが、これはもうどうしても稲作と並んで重要なことでございますので、農林省では、この技術的な方面につきましても研究するように、農業技術会議の方面でこの問題を取り上げさしております。遺憾ながら、まだ総合的ないい案として打ち出す段階に参っておりませんけれども、この研究の過程におきましてできましたものは、逐次実行に移したいと考えます。特に本年度におきましては、畑地における土壌、日本には特有の土壌の事情があるそうでございますが、この問題はまず第一に取り上げていきたい。それからまた、畑作の作物は麦とかイモ類、大豆、菜種等が重要な作物でございますが、ここしばらくの間というものは、稲作に重点を置いただけとは申しませんけれども、畑作としての麦等については、相当手薄になっておるような感じがするのであります。従いまして、この方面の種類の改善、なかんずく大麦であるとか裸麦、こういうふうなものは、食糧としても非常に重要でございますし、今日、外国から輸入するような状況でございますから、この方面の改善を一そうして参りたい、かようなことでございます。同時にまた、適地適作の問題として考うべきこともありましょうし、先ほど澱粉の問題に関連して、なおカンショの品種の選択についても改善の方途を講じたい、こう申し上げたのでございますが、寒地地帯における農業振興の上から、テンサイ糖の問題と、さらにまた、昨今は暖地においてテンサイ糖の問題もだんだん実際の問題として出て参ったので、これらを総合的に取り入れまして、そうして畑地振興の一助にもしたい、かような考えでおります。
  103. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 なお二、三質問したいと思う点があるのでありますが、時間がきたから、これで私の質問を終ります。
  104. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、蚕糸と水害の問題でお伺いしたいと思いますが、初めに水害の件につきましては、御意見を伺うというより、農林大臣にぜひお骨折り願いたいと思うことが一つございますので、それを申し上げたい。  大臣は、先般非常にお忙しい中を、新潟県の水害地帯を御視察していただいて、大体地元における陳情もよくお聞きになったことと思いますので、新聞等でもよく拝見しておりますが、従って、福島潟の干拓等に対しまするいろいろの排水機の増設とか、あるいは新郷川の浚渫等の問題については申し上げませんが、私の申し上げたいのは、大臣も御視察になったと思いますが、あの潟一面に対する増水に対して十数万俵の麻袋、俵、かます等を使いまして、そうして水害を防止したという事実であります。これをただいまの法規から照らしますと、水防法等にもそういうものの補助というものがない、従って、大蔵省に対しては、二千数百万円に達するものに対して一つ何がしかの、半額ですか、半額くらいの補助を願いたい、こういうお願いをしてありますけれども、何か予算を打ち切られてそのままになっている、こういう話も聞いているのですが、また昨日、これをただしましたときに、農林省建設省も、課長さんでありましたが、こういう要求申請を受けておらない、こう言っておられる。われわれは、県の水害に対する要請に対しましては、いずれも農業関係、地元関係からそれは出ておりますし、私どもが水害地を農林水産委員会として視察したときも、その点が出ておりまして、非常に重要視して請願しておるのであります。そこで私は、一応水防法その他でこれをまかなってやることができないといたしましても、水防法自身というものが、河川が中心であったと、こう思うのです。そうしますと、河川の破堤その他のものを、われわれは過去の経験に照らしてみますと、大体六十間というと、これは最大の破堤個所である。大体は二十間から三十間くらい、これを防衛する、こういう建前でありますから、従って資材はごくわずかなものです。従って、これはまかなわぬでもいいと思います。しかしながら、ああいう周囲三里ですか、四里ですか、膨大な周囲を持ちますものが一斉に温水してきた、これを防衛するというようなことは、これはいまだかつて日本に例がないのではないかと思う。従って、昨日も申し上げたのですが、これからこれの間が建設省関係の堤防である、これからこれが農林省関係のそれに対する用排水の施設の分だということは、大臣も見られた通り、おそらく見当がつかぬと思うのです。そういう中に十河万俵も使った、こういう事実が出てきておる。これをほとんど収穫皆無の町村に全部持てということは、これは社会問題としても私は見のがせない問題だろうと思う。従って広範なそういう水害があれば、昭和二十八年の和歌山県における水害にはこれは適用せられた、新潟県におきましても過去一、二回あるそうです。過去そういうもらった例があるそうです。日時はちょっと忘れましたが、二回くらいもらっておる、こういう例がありますから、閣議決定でもしていただいて、これは一つ御尽力を願わなければなりません。あの潟の地方というものは、通常のときでも幾らかのまあ水害を受けて、そうして常に減収地帯になっておる、数年のうちにはこういう大水害というふうにはいきませんでも、三割ないし五割くらいの減収は常にある。非常に困窮しておる地帯が相当ある。それに二千万円も、お前がやったのだから、法律にはないからこれは知らぬというのは、農林省として一つ考えていただきたいことなのです。これは一つどうか農林大臣は片はだ脱いで、そうして大蔵省と交渉していただいて、これは閣議にでも何にでも持っていって一つ何とかしていただきたいというお願いをするわけですが、一つやっていただけますか。どうもこれはやっていただくのがほんとうだと思います。古今未曽有という言葉は全くこれに該当する……。
  105. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) きのう事務当局で、今までおそらくそういう例がないからということをお答えしたと思うのですが、やはり実際そうだと思います。私も見て参りましたが、今御指摘になった通り建設省がやるべきか、農林省がやるべきか判定の困難な事情もこれはあると思います。しかし、私はこう考えるのです。ああいうような緊急の事態に、やはり懸命にやったという事績、その財政的、経済的な負担というものは、やっぱり考えなければならぬと思います。しかし、どうも私一人が引き受けても、なかなか容易なことではございませんが、融資とあるいはまた助成と、両面で同時に工夫をこらしまして、従来の例があるとかないとかは別にしまして、そうして非常に重大な災害の場合に、相当の制約は受けますでしょうけれども、検討さして、ある程度の手を打ってみたいと、こう考えますから、具体的にはだんだんこれから進めてみたいと思いますから、さよう御了承を願いたいと思います。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうもありがとうございました。ことに、あそこの資材というものは、新潟県内で足りないで、山形、秋田等から集めてきた資材を使っているという事実がはっきりしているのですから、ぜひ一つ御援助をお願いします。  その次に、農産の問題ですが、先般臨時措置としまして春繭に対して百五十億の措置をしていただきます際に、私どもといたしましては、農林大臣に、夏秋蚕の場合がこれは非常に危険だ、しかも現在の相場は十二月においてすでに十五万円を割っているのじゃないか、これはもう夏秋蚕はとうていこたえ切れない価格になるのだから、夏秋蚕の対策をぜひここで農林大臣からやっていただきたいと、こういうような質問をいたしましたところ、農林大臣は、よくわかる、従って、農民の損のいかぬように、実際の実情を見て、その実情を中心にして、ただ仮想だけではわからぬから、その実情に沿った形において何らかの措置をとると、こうお答え下さいましたので、非常に御期待しておりましたが、いかような方向で現実の問題を処理していただけるのか、これを一つまずお伺いしたいと思います。
  107. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 夏秋蚕の問題でございますが、あの当時も御説明申し上げました通り、夏秋蚕につきましては、養蚕団体等もみずから積極的に忍び得ざるところを忍んで生産制限もする、調整もするということが相関的に一つの条件みたいになっておったわけであります。ところが、今年はどうも運よくと、こういいますか、悪くとこう申しますか、非常に桑の出来がよろしい、それから現実に養蚕団体等も種繭をつぶしてまで減産には努力したのでございますけれども、その実績が上らないということは、これは率直に申し上げざるを得ないと思うのです。従いまして、あの当時期待しておりました条件が満たされなかった、こういうことがございまして、この出来秋にも初秋蚕だけでございますが、相当の増産の気がまえである、晩秋蚕にしましても相当出て参る、こういうことでございますので、この需給のバランスは、依然非常に悪いという実態でございます。つきましては、この問題につきましては、やはりいろいろ考えなければならぬ問題でございますから、今現実に折衝関係省といたしておりまして、そうして成果を上げたいと思っているのでございますが、遺憾でございますけれども、ただいまのところ、具体的にこうするということをこの席で申し上げかねる段階でございますので、この点を御了承得たいと思います。
  108. 清澤俊英

    清澤俊英君 どうも困った問題だ、ただいま二割制限の問題に触れられておりますが、二割制限は成功しておらない、こうおっしゃるのですが、これはどの府県なんですか。少くとも私の関係しておる新潟県におきましては二割制限をはっきりやっている。従って、もう農民の不満というものは爆発しております。ただ問題は、あのとき申し上げました通り、農民は養連に対しまして二割制限は反対だ、ところが養連は養連の立場として、政府の意図をくまれまして、そして二割制限は農協を通じて種箱を統制することによって確かにやっておるわけです。そしてしかも聞きますると、強制的な処置をとられまして、その証紙を張った蚕種を売った場合には営業を禁止するとか何とかいうので問題になったのですが、そういうことがあったかどうか知らないが、それまでに厳重な処置をとられて、これは行政措置でもって、おそらく私は一部分を除いて二割制限は決行せられておると思う。どこへ行きましてもこの二割制限に対しては不満が爆発しているのです。これはいいとしましても、それでも量がふえたとするならばこれは天候等による自然増収であって、あるいは技術の向上等による自然増収であって昨年並みの作ができた、こういうことじゃないかと思っております。これは何とも仕方がない問題だろうと思います。だから需給バランスがないからそれでいいということは、これは問題にならんと思います。ただ問題になっておりますのは、二割減産をしたものに対して、政府やあるいは養連の幹部諸君は、政府も金を一生懸命出しているのだから、それから製糸家も操短をやっているのだから、農民もそれくらいのことはよかろう、こういうようにすることは当りまえじゃないかというような見解の相違もありますが、農民としてはまたこういう考え方もあります。下ったら下ったでいいんだ、どうせ下ったら下ってもいいんだ、下れば二割ことしはうんとできるのだからそれでまかなえるのじゃないか、下ったら下った分だけよけい作ればいいじゃないか、これは果して生産調整という面からいって正しい考え方かどうかしらぬけれども、そういう考え方がありますが、しかしながら政府の方策として二割制限をしたということは事実なんです。それがうまくいかなかったとするならば、少くとも千四百円という繭価格は堅持してもらわなければならぬ、こう考える。なぜ私はそういうことを申し上げるかといいまするならば、少くともこのたびの値下りに対して製糸家は損しておらないと思う。これからの糸の変動によって損はあるかもしれませんけれども、蚕糸の関係においては私は損はないと思う。三十二年度の持ち越し繭は結局手当によりまして、全部政府買い上げの措置によって十九万円は支持できたと思う。私は春繭措置の中にも持ち越した三十二年の手持ちがあったと思う。あの当時はまだ新繭は出ておりませんでした。あの当時作った糸は三十二年の繭からであって、これらはどう区別しておるか、そんなめんどうなことはこの際言いませんが、とにかく十九万円で政府に売り渡しますならば、千四百円の繭を買っても損のないことになる。ここへきまして急速に値が下ったというので突っ放され、製糸家にはもう下ってきておるからこれは困ります、買いません。買わぬという前提の中にはどうかというと、春繭の際にすでにしばしば申し上げました通り、千二百円で買った人もあれば、千三百円で買っている人もある、これは豊作で繭はどうせ先行きが下っているのだから、今のうちにあなた方は千二百円で売った方がよかろうというので、一場所全部買い上げてしまった。そこでそういう問題が出ましたあとで、ある部落のごときは、これは片倉なんです、はなはだけしからんじゃないか、君のような大会社がそういうばかなことをするのはけしからぬじゃないかというので、片倉だけは残額を持ってきましたけれども、来ないのがたくさんあります。糸の値が下っている、こんな安い繭で相場が下ってきたということです。乾繭保管としますにしましても、何か今措置を要すると言っておりますが、それをするにしましても、大体農協の支払いが千円だとか八百円だとか、大体八百円、それから繭価協定ができないで製糸屋さんに引き渡したものでも、八百円の概算払い、その先はほったらかしてあるということになりましたら、一体繭の代金は幾らわれわれ農民の手元に入るのか、全くこれからの糸価の安定というものを計画する場合において、全部農民の犠牲でやるということはむちゃなんです。来年からならいいですよ。来年から十三万円の糸にしようとか十二万円の糸にするから、従って、繭の値段は七百円、六百円でもいい、それでなければ作るな、こういう建前でやるならいいのです。その場合に作ることがいやなら、終戦前にありました、桑を戦争のためにはイモ作りでみなこいでしまって、今度いよいよ幾らか糸が売れるようになってきましたというので、桑園の改植だとかなんとかいうので金を投じてどんどん作らして、ようやくこれからもうけようというときになってきて、またひっこ抜かなければならぬようにするのは、これは政府としまして奨励したのだから、これに対する当然の手当ぐらいは考えられると思いますが、そういうことに対してどうお考えになっておられますか。私はどうしても三十三年度の、今年度の繭に対しましては春繭と同じく支持価格を、一応決定せられておる支持価格というものを、これはどうしても守ってもらわなければならぬ、これは守ってもらわなければならぬ。しかもそれを出しまするには、法律によりまして繭価格というものは生産費というものが基準になってきめられている。それを破りますことは直ちに農民の欠損となる。この糸価安定法自身がはっきり明示しているのです。そういう基準できめられておる糸価は取れないから、ここで八百円でがまんしろ九百円でがまんしろ、これはむちゃな話だ、農林大臣はどうお考えになりますか。
  109. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 今各方面にわたりますいろいろな事情についてお述べになりましたが、私の方でも非常に広範な関係を持ちますので、これを現実に検討して、そうして成案を得たい決意でただいまやっておりますので、ただいまのところ具体的にまだお示しするわけに参りませんから、さよう御了承願います。
  110. 清澤俊英

    清澤俊英君 ところがここ一両日、夏秋蚕から引き下げ、蚕糸、繭糸対策、政府与党首脳部で一致。これには農林大臣、もちろんでしょう、大蔵大臣、河野総務会長その他養蚕特別委員二、三名のお方が参加せられて、そうして要綱がここへ出ております。これはいかなる……これに対してどういう御見解をお持ちになりますか。
  111. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) いかにも政府の者と当局とはこの問題を中心にいろいろ懇談はしました。しかしこれは全く関係者だけでございまして、公開でもございませんし非公式のいろいろな協議だけでございますから、あたかもその会を見てきたように記事は出てきておりますけれども、必ずしも事実とは合っておりません。お話したことはなんでございますが、いろいろそういうようなことにつきまして相談の上に、ただいま農林、大蔵もここで緊密な連絡をとらなければなりませんから、その間で成案を得たいというので懸命に今努力しておる最中でございますから、具体的には申し上げかねると思います。
  112. 清澤俊英

    清澤俊英君 とにかく、これに近いものにきまるのじゃないかということは予想せられる。これが実際だとしましたならば、ここへ来て夏秋蚕を中心にして農民は消えてなくなれという考え方です。これが来年からこれをやられるというならよろしい。そうすると、作ることがいやならそれに対する対策はどうするということさえきまればこれはいいと思う。納得のいく話だと思う。これはなるべく早い方がいい。やめるなら改植してどうするならどう、それに対するあれはどういうふうにしてやらせる、これはそれでいいと思うのです。だがしかし三十三年度のものに対してこれを適用して押しつけられることは、これは全く一つの農民に対する詐害行為だと思う。少くとも繭糸価格安定法という法律をもって、そうして糸を中心にして十九万円を中心にして作られたものは、繭はこれだけ、こういうちゃんときまったものが明示してあるので、それを目標として作ってきておる。そうしてここへきてこんなことをしてぽんと八百円値下げということでは、現に生産価格を割っていることは明瞭なんです。これは一つ農林大臣としては必死に守ってもらわなければならぬ。その決心をお願いしたいと思う。まだきまらぬとおっしゃるのに、かれこれ言うことはやめます、時間もありませんから。まだまだ先も長いですから、繰り返し繰り返し自分の主張はやめませんから、農林大臣としては少くとも農民のそういう無理な目に会うことのないように、一つ御助力、御決心を願いたいと思う。
  113. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 事情に最も適するような措置を講ずるようにいたしたいと思います。
  114. 清澤俊英

    清澤俊英君 最もというのは、損させないとおっしゃって下さい、これだけ。ほんとうに損させない、三十三年度だけは損をさせない、こういう御決心を一つ御披瀝していただきたい。それはあなた一人だけじゃないのですから、あなただけで勝手にできないことはわかるが、農林大臣としてはそれくらいの御決心があるのかないのか、これだけのことをお伺いします。
  115. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 今具体的にまだきめかねておりますけれども、私が今申し上げた通り、事情に即応しまして最も最善の方途を得たい、こういう考えでございます。
  116. 大河原一次

    大河原一次君 蚕糸の問題については、当局でも相当頭を悩ましておると思うのです。われわれといたしましても、今日、将来の問題については全く暗いものを感ずるわけなんですが、そこで、やはり抜本的な根本的な対策を今のうちから立てなければならぬと思うのであります。先般私、大臣招待の席上でたまたまそばにおった蚕糸局長ですか、蚕糸局長に話をしたのですが、将来の問題については、私どもは米と同じように二重価格制というものを制度として設けるべきじゃないか、とお話申し上げましたら、須賀局長もそれは非常にけっこうである、しかし今日の価格の問題については問題があるということを言われておったわけでございます。たまたまきょう、けさですか新聞を見ましたら、大臣の何か構想として価格補償をやる、その場合に繭は貫当り千円にして、糸の場合は十三万ですか十四万ですか、出ておったのですね。こういうことを農林大臣が構想として持っておられることが新聞に出ておったのですが、大臣は将来の問題について米と同じように蚕糸の問題については二重価格制度をとるというような、そういうようなお考えを持っておられますか。
  117. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) ただいま御指摘のあったような構想なりと言われておりますことは、私はまだ発表もいたしておりませんし、そのことはお答えいたしかねます。  第二段の二重価格制度をとることにつきましては、ただいまその方途をとる考えはございません。むしろ現行の最低の支持価格というものは、いろいろ検討しまして何らかの方途を見出だして、そうして最低の繭価だけは支持するという方向に導きたい、こう考えております。
  118. 大河原一次

    大河原一次君 最低の支持価格を維持したいというお考えは、これは将来に対してですか。
  119. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) さようでございます。将来としてもそれを持っていきたい、こういうことでございます。
  120. 大河原一次

    大河原一次君 最低、この前の措置のように、臨時措置法によって一応方途が明確にされておりますが、繭の千四百円あるいはまた糸の場合の十九万円という、これを維持していくというお考えなんですか。
  121. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 将来それをどうするかということは、ただいまのところ今は具体的に申しかねる段階でございます。
  122. 大河原一次

    大河原一次君 これは大臣は明確にしておかなかったというのですが、きょうの新聞には大臣の構想だということで明確に相当大きく、これは日経ですかに出ておったんですがね。これは今申し上げる繭の場合の千円、同時にまた糸の場合には十四万円にしていくことによって、それに対しては価格補償をしていくのだ、こういうことがりっぱに新聞の中に載っておったわけなんです。
  123. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 新聞紙はいろいろ昨今この問題を注視しましていろいろ臆測記事は出ておりますけれども、それに対しましては私はお答えいたしかねます。
  124. 東隆

    ○東隆君 酪農の問題をする前に、ちょっと藤野委員のところで問題になりました点についてお伺いします。それはバレイショ澱粉の価格の支持ですね、これを九月中に支持してほしいという意味で昨年だいぶいろいろお願いをして、そうしてそういうような手続を取っていただいたわけです。その際に、ビートは春に支持されるわけです、ビートの価格は。そこでバレイショ澱粉の場合もやはり春に価格を支持することによって値段が引き合わない、こういうような場合には、おのずから作付を減少する、そういうような問題が起きてくると思う。従って価格が一定をいたしておりまするならば、農家は生産の増強のために一生懸命に励む、こういうような問題が生まれてくるわけです。今の価格の支持の方法は、作況が良好であればあるほど値段が安くなるという、そういうようなきめ方をやられると、そこで、あるいは故意に政府が買い上げておるところの品物を中にたたき込んで、そうして需要供給の関係から支持価格を決定する、こういうようなやり方をやっている、私は非常に矛盾があると思う。そこで、政府が発表されるならば作付前に発表をされて、そうしてこれならば反別をふやしてもいい、あるいは反別を減してほかのものに転換をした方がいい、こういうような問題がおのずからきまってくるわけです。今は一生懸命に生産に努力をして、たくさんとればとるほど値段は安くなる、こういう農家にとってはきわめて迷惑な支持の仕方であると、こう考えるわけです。そこで、この問題は九月に決定をしていただきたいということは、これはカンショの方はまだ問題ありませんけれども、ジャガイモの方はもうすでに澱粉になっているのですから、当然早くきめなければならぬ、こういう問題が起きてきているので、こういうふうに昨年からお願いをしたわけです。だから、その点は、ことしはいたし方がありませんから、九月中に一つおきめを願っていただきたい。  それから来年は先ほど申したように、やはり年度当初にきめるべきじゃないか、こういう考え方を持つわけです。ジャガイモの方はスイート・ポテトーと違うのですから、おのずからそういう点をお考え下って畑作振興の意味において一つ考えいただきたい。この点はどうですか。
  125. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 一つ犠牲的な価格で支持するという制度は、厳格にはそういう制度はとっておらぬと思うのであります。やはり当該年度の生産費等を加味して、そうしてそれをも重要な参酌事項として支持価格をきめていく、こうなろうと思う。ビートの例を引かれましたけれども、ことにカンショ、バレイショ等を通じて澱粉問題は相関関係をもちまして考えなければならぬ問題でありますので、やはり今までのとりきたった方式をとらざるを得ないと思うのでありますが、同時にまた豊作の際には下るのは困ると言われたが、まあたくさんとれたときには生産費も低減されるし、下ってくるのは当りまえと思うわけでありますが、今のところ事前に一つ犠牲的な価格を示してそうして支持価格にするという考え方はとり得ないと思うのであります。
  126. 東隆

    ○東隆君 今、たくさんとれれば安くなるのは当然だ、こういうお考え、もちろんそういうことになりますけれども、しかし農家は、一定の支持価格がきまった場合に、たくさんとることによって収入がふえるのですから相当な努力ができる。ところが気候の関係であるとかその他いろいろなほかの条件、農家の努力というような条件を除いた以外の条件でできた結果というようなことになると、これは非常に矛盾したことになる。私はそういうような意味でバレイショ澱粉の場合における考え方、一応カンショ澱粉と非常に関連があると、こう言いましたけれども、私はやはり澱粉は全部砂糖と関連があると思う。従って砂糖に対する輸入についての何をやはり農林省は持っているのですから、従ってカンショ政策と関連をして、そうして澱粉を中に含めてやはり計画を立てるべきである。そうして当然澱粉量の増大、こういうようなことが起きてくれば、おのずからブドウ糖などの精製の方法考えられるのですからこれと合せてやってもらう。もう少し事前に計画的に考えられて、そうして農民はその計画に従って自分の作付を決定する。こういうことをやるべきであって、もうまいてしまって何ともいたし方ない状態に置いておいてそうして政府がきめるのだ、支持するのだ、これはきわめて残酷きわまる話であって、今度の蚕糸の場合においても秋になってこの春蚕のときと違う形で、もしやるとするならば、これは無理な話である。清澤君が言ったように、来年の春にお示しになるならば、これはある程度自分で整理をしたり、あるいは増加をしたり、いろいろなことを自己の意思によってやるかもしれませんが、そういうふうにもう手の打ちようのない状態にしてそうしてきめるのだ。これでは農産物の価格維持というもののほんとうの精神からはずれておる。やはり価格の安定、そうしてその価格のもとに農家が一生懸命に作る、こういう態勢を作り上げることが価格維持法の根本的な精神だろうと思う。そういうような意味でできるところからおやりを願う。そうすると、さしずめこれがイモなどは春の四月一年一回切りなんですから、北海道では一毛作ですから……。だから今やっているような方法でやればきわめて冷酷なやり方です。だからそういう意味で一つ考え直しを願いたい。そうしてその方面に一つ考えを進めていただきたい、こう思うのですが、重ねてお伺いします。
  127. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) この問題はまあカンショ澱粉にも関連しますし、御指摘のように大きい意味では砂糖との関連もありましょう。当然非常に技術的な点にわたりますので、事務当局からそれを採用し得るか、なお検討の余地があるか等について答弁いたさせます。
  128. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) お答え申し上げます。農産物価格安定法の趣旨の問題にかかわっていると思いますけれども、私たちはこの澱粉その他農産物価格安定法に関係する物資の支持価格というものは、文字通りの最低価格あるいは支持価格でございまして、そのものは政府以外に売れない、こういう意味の価格ではないというふうに当然考えているわけでございます。従いまして、農産物価格安定法の支持価格というのは、あくまでも需給が長期的に見合うように、需給から遊離しないように、しかも農家の所得をできるだけ安定するようにという趣旨で設定さるべきものでありまして、従って実際にカンショあるいはバレイショの作柄を見て支持価格をきめるということが一番妥当なことでありまして、作付前に、需給関係を見越さないでもし価格をきめるといたしますと、それは極端に申し上げますれば、ホワード・プライスと申しますか予示価格であって、かなり低いところできめざるを得ない。私たちが農産物価格安定法できめている価格とまた性格の違うものになるのではないか、さように承知いたしているわけでございます。従いまして、もう一度要約して申し上げますと、カンショ澱粉等につきましては、需給をやはり頭におきまして、長期的に需給が安定するような価格というのが一つのめどになるというふうに承知いたしているわけでございます。
  129. 東隆

    ○東隆君 私は今のお話にはまだ賛成できませんが、しかしこの問題をそう長くやるわけに参りません。しかし大きな意味で、計画的におやりになるという意味で、畑作の安定ということを考えるならば、需給関係なんかという全国的なものを考えてみても、今年は関東の方は非常によくできている。しかし九州の方だのは非常にだめだ、こんなようなことになって、一本で価格を支持されたら迷惑しごくという問題もございましょう。従ってあくまで作付前にやることがあれば、農家は安定したやり方ができる。私は予示価格なんかは知りませんけれども価格安定のためには、あらかじめ作付前に示すことがこれがもっとも賢明なやり方だろうと、こういうふうに考えております。それで私は承知はできません。だから一つ考えおき願いたいと、こう思います。  それから実は畑作振興の場合に、先ほど北海道の豆類ですね、大豆を除いた豆類ですが、これがお話になかった。アズキであるとか、あるいはその他の色豆はあまり食糧にされないようですが、私は順調にできれば、日本で使用する分は北海道にできているわけです。そういうようなもので、これは北海道の畑作農家の作物としては非常に大切、ところがこれが御承知のようにアズキは一万円になってみたり、そうかと思うと、三千円、四千円を割るというようなことになる。それから色豆その他雑豆の関係、こんな関係が出まして、非常に困っておったのです。畑作振興ということを非常に重要視されておりますので、この際雑豆、アズキあるいはその他の色豆類、こういうようなものを農産物価格支持の中へ入れていただいてほしい、こういうことを北海道ではこぞって希望をしている問題でありますが、この点何とかお考えを願いたいと思うわけです。
  130. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 雑豆についての支持価格の点は、まだ当局としても考えておりません。シロインゲン等は昔は非常に国際的な声価をもちまして海外にも出たのでございますが、現状では高価のために輸出等も伸びないと聞いておりますが、その方面でも努力いたしまして、もっと国際的な面にも出てくるようなことをむしろ奨励していくべきでないかと思うのですが、ただいまのところ、アズキその他の雑豆につきましては、支持価格を採用する考えはございません。
  131. 東隆

    ○東隆君 悲観的なお答えなんですが、私は何とかこの実現に一つ御努力をお願いいたしたい、こういうことを申し上げておきます。  そこで酪農関係の問題でありますが、一番目は問題になっております九月以降の原料乳の価格引き下げの問題が巷間非常に伝わって心配をいたしておりますが、これはどういうふうに御措置なされるか、お伺いいたします。
  132. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 当局としましては、引き下げる意向はないことは御了承の通りであります。私の方としましては、先般来しばしば説明申し上げました通り、乳製品の買い上げを先般の措置によってだんだんこれから実施するわけでございまして、在庫数量を減らして、そうして乳製品の市況に好影響を与えて参るということでございます。それから同時に九月以降の飲用の牛乳によります学校給食を拡大して参りますから、この面につきましても消費は伸びるわけであります。すなわち在庫の減少と消費の伸びによります需給のバランス等につきましても、相当順調な足取りをとるのでございますから、メーカー側におきまして、あるいは乳業者側におきまして生産者に値下げを強要する要素がなくなる、こういうふうに見ているわけでございます。ただしかしながら、乳価の決定は、ただいまのところ生産者側、同時にまたメーカー側との間に協調してきめらるべき性質のものでございまして、政府としては、これに直ちに関与のできないことは御承知通りであります。従いまして、両者問に一つこの事態を前提として、そして双方歩み寄ってだんだんこの問題を片づけていただきたい、こう思っているわけであります。同時にまた乳価の決定につきましては、一方的に非常ななにを提案するということになって、紛争等をかもしては非常に好ましからざることでございまして、実は、将来におきましては、この酪農振興法等も若干の改正もいたしたいと考えているのでございますが、それまでの措置としまして、実は現行の制度すなわちあっせん委員等の制度があるのでございます。この人たちを介して両者間の調停のあっせんに努めさせるというふうなことも活発にやって参りたい。すなわち、過般政府が決定しました当面の乳価対策に対する実行と両々相待って、九月以降の乳価を安定したものにして参りたい、かように考えているわけでございます。
  133. 東隆

    ○東隆君 政府の今までとられた酪農振興政策というものが、生産の方面に重点を置いて、消費の面あるいは流通の面に力が注がれなかった。こういう面があるためにいろいろトラブルが起きているのではないか、こういうことをよく言われている。そこで、今の酪振法その他によっては、今のトラブルのあっせん等についてあまり力強くできておりませんが、調査等をやるとともに、あっせんその他を法制的にもう少し強力なものにするような、そういう機関を設定すべきじゃないか。漁業関係は非常に調査機関だとか委員会だとか、そういうようなもののだいぶ法制化はやっているようでありますが、農業の方面、特に畜産の関係はやはりもう少し調査を進めて、そして長期計画を確立するこういうようなこともおやりになる必要があろうと思う。それから先ほどの両者の間におけるあっせん、そういうようなこともこれは法制的にやるようなことも考えなければならぬじゃないか。こう思うのですが、そういう調査、あるいは何といいますか調停をする、そういうような機関を設定する御意思はございませんか。
  134. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 酪農の関係につきましては酪農審議会等がございまして、ここで恒久的な対策あるいは当面の重要問題等についてよく御意見を聞き、御相談を願うという機関を持っております。今、東さんの御指摘になりました点は、地方に乳価の決定なり、あるいはその他につきましていろいろトラブルがあった場合、これを調停し、あっせんし、あるいは仲立ちして合理的な結論を得るということ、あるいはまた、当該地方におきまする酪農に関するいろいろな諸調査等を進める機関の整備はどうか、こういうことであろうと思うのでございますが、ただいまのところはあっせん委員という制度はございますけれども、これでは十分われわれの期待を満足させるわけにはいかぬと思っているわけでございまして、これは乳価だけではございませんけれども、乳価調停委員の制度のごときものに高め、あるいは地方でもいろいろの相談をし得るような機関を整備するということにぜひ高めていきたいと思います。特に現在は集約酪農地区というものを設定しまして、その集約酪農区域を設定する場合には、これに対する酪農工場を指定をするわけでございます。現在は生産者側とこの指定工場とは直接に経済的なつながりはあるけれども、何ら法律的には関連がないような姿でございます。こうであっては、将来の問題としましてもいかがかと思いますので、これらの接触についての問題等も将来考究しまして、そして改善の方途を求めたい、かように考えております。
  135. 東隆

    ○東隆君 酪振法によって各地にできました中心工場、そういうようなものには、これはまだ融資が入っておらないのにかかわらず、将来を予測して相当多くの設備を作っておる所もあると思う。そういうようなものにつきましては、原料乳価へのしわ寄せ等の形で出てくるおそれが非常にあると思う。従って、そういうものに対して低利資金の融資ですね、建設設備資金、そういうようなものに対して農林漁業金融公庫の資金の導入、こういうようなことを考うべきじゃないかと思うのです。現在合併の途中にある北海道のクロバー印などは多少出ているわけです。それ以外のものには出ておりません。そこで、これをもう少し拡大して、農民の資本によってできておるところの法人、こういうようなものがやる場合には融資の対象にする、こういうような道を開くべきじゃないか。こういうことを実はさきの国会のときに私は機会あるごとにそういうことを述べておるのですが、これの実現についてどういうようなことになっておりましょうか。
  136. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 農民の資本のありますものにつきましては、特定事業に対しましては、農林漁業公庫等からの融資の道も開かれておるものもありますのは御承知通りでございますが、ただいまのところ中金の方からの融資のものはございませんそうでございます。前段でございますと、農民資本が相当の部分を占めると何か制限があるようでございますが、それに対しては農林漁業金融公庫の方からはこういう道が開かれておるのでございまして、現行の制度ではさようでございます。むしろ、私は今後は農協を中心としてのこれらの酪農の推進ということに重点を置いて、逐次これを育成して参りたいという所存でございますが、今後具体的に検討して参りたいと存じております。
  137. 東隆

    ○東隆君 実は農林大臣が御就任にならぬ、前の話でありますから少し申し上げますが、問題はこういうことなんです。農林漁業金融公庫の資金というのが、九〇%以上農民の資本であるとこういうふうに考えられたときには融資をする、こういうことに一応きまっておるわけです。そこで北海道のクローバー印が出ておる、こういう問題なんです。しかし先般の農林漁業金融公庫法が改正になって、そしてブドウ糖の工場設立のために必要な資金に、これは農漁民あるいは農漁民が組織するところの団体でなくても資金の融通をする、というふうに法律の改正によって道を開いたわけです。そこでこの酪農関係の問題については、これは農林漁業金融公庫における、何といいますか、業務規程か何か方法書によって、これは農林省がもちろん認可を与えるものなんですけれども、それによって道が開けるのでないかと、こういうことを前提において質問し、要請をしておったわけです。で前の経済局長、課長その他は考える、というようなお考えを披瀝されておったように記憶いたしております。従ってその点なんです。
  138. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 私の方は聞き違いをしておりましたのですが、今ちょうど経済局長も金融課長もおりませんので、その当時の事情その後の検討の結果等につきましては、私今材料を持ち合せておりませんので、適宜の機会に東さんの御理解の行くような説明をさせていただきたい、こう存じます。
  139. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  140. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記を始めて。
  141. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 先般当農林水産委員会で東北の生産県等を視察したのであります。また私も北海道その他の生産県の模様も見たのでありますが、本年の米作の状況は相当好調であるようです。八月十五日の農林省の発表によりましても、一応収穫の予想は八千二百四十六万石ですかになっておるのです。昭和三十年度のあの大豊作とほとんど同じような作であります。ところで本年の予約集荷の一応まとまりました数字は三千二百三十万石見当、前年の収穫推定高と本年の予想収穫高とを比べますと、六百万石ほどの増産に相なるわけであります。このことは食糧自給度の向上の点からいってまことに喜ぶべきことであろうと思うのであります。しかし予約集荷によって政府で買い入れられるところの量というものは、大体今のところは三十二年度とそう差はない。従ってこのままで行きますると、農林省の発表された数字を基礎にいたしましても、約六百万石見当の米が主として北陸、東北、北海道等の生産地帯に滞留するわけです。これを食管制度の運営の面から見ますと、私は相当憂慮をすべき事態になりはしないかということを実は懸念いたしておるのであります。そういう観点からごく簡単に二、三お伺いしたいと思います。  第一は買い入れの場合の検査の規格に対する政府の方針であります。三十年産米でしたか、あのときの豊作のときも相当検査の規格及びその実際上運営の方針、態度というものを当時政府は非常に厳格におやりになったのでありますが、結果、検査自体の成績というものは相当向上したことは事実であります。反面検査にパスせず不合格となってそういう地帯に滞留して、正規の扱い以外に流れた米がずいぶんあったのであります。主としてこれは含有水分量の問題であります。実情において若干の考慮は払われたようでありますが、本年のこの豊作を目の前にして、検査の規格及びそれに対する一つの運用の方針といいますか、そういうものをどう考えられておるかどうか。先般当委員会においても水分が若干多くても一つ買うようにしてもらいたい、という要望が非常に強かったのであります。ある程度実情から見ますると、そういう考慮を払うことが実際的ではなかろうか、こう私は思うのでございます。現実の問題といたしまして、御承知通り検査の制度は非常にこのところ向上して参りましていいのでありますけれども、反面ああいう生産県におきましては、いわゆる無検査米というか、検査によらない米の流通といいますか、これが事実検査にバスしたものよりも量としては多いのであります。生産県といいましても、御承知のように相当その内部には消費地帯もあるのであります。そういうこととにらみ合せますると、検査の面に若干の考慮が払われるべきではなかったか、こう思いますけれども一つ御意見を承わりたいと思います。
  142. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 若干の考慮を払いたいと考えております。従いましてこれらの扱いにつきましては、相当技術にわたりますから一応規格課長から一つ説明してもらいます。
  143. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) この場所からお答えいたしたいと思います。今の検査の問題でございますが、三十年産米のときは御承知のように相当天候が裏日本で悪うございましたので、予約をされた農家が水分の多いもので乾燥ができないものがございましたので、予約の中へ入れまして水分の一%まで多いもの、秋田とか特別の地帯におきましては二%オーバーするものまで買上げをいたしたのは御承知通りであります。今年の事態に対しましては私ども先ほど梶原委員のおっしゃいますように、去年よりは現状におきましても二百万石程度のものは余分に買えるという態勢でございますけれども、もっとそれを買うような努力を考える必要がございますのでいろいろ考えておりますが、おっしゃいましたように水分が多いために政府が買わないからやみに流す、そういうものがあるように思われますので、できるだけ買い入れの幅を拡げて参りたい。こういうふうに考えまして、水分の一%多いものも当然予約の中で買い上げるようにいたして参りたい、それから二%程度多いものにつきましても、これは特殊な地帯においては買い上げ措置を今後考究して参りたい、こういうふうに考えております。ただこの場合農家立場といたしましては格差がございますので、やはり水分を乾燥されまして上位等級として政府に売られることが一番いいのでありますから、奨励方法としてはできるだけ乾燥して政府に納めて下さいということで勧めておりますけれども、しかしどうしても乾燥ができないというようなものについては、買い上げて参りたいとこういうふうに考えております。
  144. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 御趣旨の点は私も了解するのでありますが、実際の問題といたしまして例の早期時期別格差の関係等もあり、とにかく一応政府に持ちこんで拒否されて、それをまた持ち帰って手間と金をかけて再調製をして、水分を減らしてまた政府に持っていくというようなことは、これは実際期待することに無理があろうと思います。従って今お話のように本年のこういう作柄と見合って、買い上げの幅に工夫をせられることは、私当然必要なことであろう、こう思うのであります。なおああいう生産地帯におきましては、政府の検査を受けて納める以外のものにつきましては、きわめて乱雑な、まあやみでありますから当然乱雑とはいうものの、いわゆる検査という観点からみると実に乱雑な米が横行しているわけなんであります。その方がしかも正規のものよりも量においても多く動いているわけであります。こういう点から言うと、やはり検査の制度の単に何といいますか、政府の予約買い上げの線だけに頼らずに、何か工夫があってしかるべきじゃないか。ああいうものを何か簡易な方法で買い上げていく、というようなことを考えていくべきではないか。そういろ工夫をすることが東北方面あるいは北海道の生産地帯における農家のために、また消費事のためにも非常に必要なことであろう。そういう考慮を一切払わないと、実際上食管統制の制度はありながら、ああいう生産地帯における配給制度というのは、全く壊滅の寸前に立つような感じがしきりにするのであります。今のお話では、現在よりも少くとも二百万、さらにもっと政府として工夫をするというお話でありますが、これはぜひ早急に適切な案をお立てになって、効果のある措置を講ぜられることを希望するわけであります。  それから新潟、秋田、ああいう方面でいろいろ水害等の災害地帯がある、そういう村なりそういう地帯における米の扱い方ですね、予約集荷及びそれを実行すること等については、相当難点が非常にあるわけであります。これを正規のルートを通じていくとその代金というものはいろいろの理由でその農家にはこない、勢いほかの方法処理をして、災害にあったあとのそういう農家の経営上のやりくりをする、というようなことに勢いなるようであります。従ってそういう地帯に対する米の集荷及び配給の面からの特殊な工夫というものが、私はやはり必要ではなかろうかと思うのであります。こんなことをお考えおき願えればけっこうであります。  なお水分含有量の二%程度まで認めるということを言うのでありますが、ただそのために価格がもちろん御承知のように若干は下るわけでありますけれども価格の下げ方といいますか差があまりにもひどく大きいと、農家としてはこれはやはり納得ができないのであります。そういう地帯においてそれを消費する場合においては、そういう一%の水分の多い少いによって米の価値自体にそう大きな変化はないのであります。従ってそれは長く貯蔵して大きな消費地帯に持っていくということになれば、これは別でありますけれども、やはり含有量の多いものを買い入れる特別な幅を考える場合においては、価格面においても若干の考慮というものを払われていいのじゃないか、こう思うのでありますが、これも一つ考えおきをいただきたいと思います。  それからいま一つ、これは大臣にお伺いしたいのでありますが、昨年初めて主産地、消費地、中間地帯等、需給の立地的な条件に即応して消費者価格に差等を設けたわけであります。統制ですから統制価格として全国一本という理屈もありましょうけれども、むしろやはり実体に応じて消費者価格に差ができたということは私は適当なことであろうと思います。ところが、本年の作況の模様から見まして従来中間的な立場にあったところも作がよくてほんとうに生産県になっておるところもあるわけでありまして、昨今相当の変化が起って参ったのであります。もちろん消費者価格の水準といいますか、ベースは、これはもう動かすべきではないと思いますけれども、段差のあり方については適当な再検討をすべきではなかろうかと、かように思うのであります。そういう要請も相当強く出て参るのではなかろうか、こう思います。今すぐ結論をどうこうというわけではありませんけれども、何らかお考えがあれは承わりたいと思います。
  145. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 配給上の問題につきまして特に非常に技術的な考えも要することでありますので、恐縮でありますが、関係の企画課長から一応説明させていただきます。
  146. 大和田啓氣

    説明員大和田啓氣君) 御承知のように、昨年の十月に地域別の消費価格をきめましたときの参考といたしましたことは、地域別の食糧費指数なり、あるいは当時の基本配給なり、希望配給なり含めての受配状況、そういうものをもとにして、甲、乙、丙、丁の四地域をきめたわけであります。その後、たとえば消費県でありましたのが生産県になったというような事情の変化が多少ございます。それで、そういう地帯から、実は、たとえば、級地を落してくれという要望が多少参っておるわけでございます。ただ、消費者価格の水準を動かしませんのでそのワクの中で級地をあるところで下げるといたしますと、あるところで上げなくてはならないという問題もございますし、それから多少今申し上げましたような事情は、一年だけの事実で判断をせずに、多少は長期的な傾向を見る必要もございますので、私たちは将来の検討問題とはいたしたいと思いますけれども、今直ちに緑地を変更するというところまではなかなか考えることがむずかしいというふうに存じております。
  147. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 昨年設けられました地域別の消費者価格も何と申しますか、はっきり考えて非常に合理的な基準があってそれによってきめられたわけでは必ずしもないと思います。現実のいろいろの動き、これを一応基礎にしておる意味においては腰だめ的な面もあってできたと思うのです。将来にわたって長い目で一つの地域的な価格を作っていくということは、これは私相当困難であろう、やはりその年その年の状況がむしろ支配的であって、言いかえればその年の作況、その一年間の状況等をやはり基礎にして適当なあんばいをしていくということがこの制度のおそらくねらいであったと思うのであります。もちろん消費者価格の水準を変えるということはこれはできないわけであります。その水準を維持しながらも若干のあんばいといいますか、これが当然なさるべきじゃなかろうか、こう思うのであります。まだ各県別のはっきりした生産の見通しとか、そういう点につきましては時間もあることであります。何らかの工夫をしないというと、生産地帯における今後の動きが私は異常な姿になりはしないか、それをそのままにしておけば必然的に本体の食管制度に思わざる何といいますか、悪い影響があると思う。やはりこういう事態に処する一つの臨時的な対策、考え方として今の価格の問題についても、これは、ぜひ大臣におかれまして御検討願いたい。これは大臣数量の問題ではないのでありまして、価格の問題であります。今後どうこうというわけではありませんけれども、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
  148. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 今当局の技術的な面からのお話は申し上げたのでございますが、梶原委員の含蓄のある御意見に対しましては、今後十分に検討させていただきたいと存じます。
  149. 仲原善一

    ○仲原善一君 関連してちょっと。食管制度の問題に関連して、実はこういうふうに四カ年間も豊作が続く関係で、非常に食糧が豊富になったという関係からくる問題ですけれども、従来大都市に玄米で輸送して二、三万月も貯蔵して配給するという制度になっておるわけであります。これをだいぶ豊富になった関係もあって精白を現地でやって、白米を消費地に送ってやっていくやり方、この点生産地の方から考えますと、倉敷料と申しますか、農協などの立場では非常に有利になる点と、もう一つは酪農関係で、ぬかなんかの関係で、委託搗精が現地でやっていただければ酪農のえさの問題で非常に助かる。現況から申しますと、非常に高いぬかを買い入れねばなりませんのが農家の実態でございますので、この配給のやり方についての方針を豊作に関連して戦後のああいう窮屈な場合の非常に困った消費地のことを予想する時代とだいぶ変ってきましたので、その点運営の方針をそういうふうに切りかえてもらえるかどうか、そういう立場一つどういうお考えであるかということをお伺いしたい。
  150. 諫山忠幸

    説明員(諫山忠幸君) 米の統制の問題でございますが、産地で相当数量を搗精をする、そういう非常に大きな数量になりますのは問題でございますけれども、現在私どもがやっておりますのは、ふすまを農村に還元するという意味から各生産地の県連とも相談をいたしまして、ある程度のものを委託搗精をやりまして配給に回しておるという制度はやっておるわけでございますが、大体百二十万石ぐらいのものを去年もやりましたわけでありますけれども、ことしはその政府買い入れが増大いたしますので、ある程度それを伸ばしましてできるだけ各府県の要望にこたえる数字になるように近づけていきたい、こういう努力はいたして参りたい、こういうふうに考えております。ただ精米になりますと、配給の面におきまして、今のところ大体四月までの消費地の配給に全部充当しなければならない、長期貯蔵が御承知のように精米にいたしますとききませんので、そういう点ではある程度制限される面も当然出て参ると、こういうふうに考えております。そういう意味では各県のいわゆる農協におきますところの搗精の施設の問題、そういう問題と関連をいたしましてできるだけ委託搗精をし、片や消費地に対しましていわゆる精米の配給に回し得る限度の数量でぎりぎり一ぱいのところまでは伸ばして参りたいと、こういうふうに考えております。
  151. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件は、本日は、この程度にいたします。   —————————————
  152. 関根久藏

    委員長関根久藏君) この際、調査報告書に関する件について申し上げます。農林水産政策に関する調査につきましては、本閉会中に調査を完了することは困難でありますので、参議院規則第七十二条の三により、調査未了の旨の報告書委員長より議長に提出いたしますから、御了承願います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時十一分散会