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1958-06-24 第29回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十四日(火曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————   委員の異動 六月二十日委員佐藤清一郎辞任につ き、その補欠として横川信夫君を議長 において指名した。 六月二十三日委員大河原一次君及び北 村暢辞任につき、その補欠として千 葉信君及び松本治一郎君を議長におい て指名した。 本日委員千葉信君及び松本治一郎君辞 任につき、その補欠として大河原一次 君及び北村暢君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重政 庸徳君    理事            柴田  栄君            藤野 繁雄君            東   隆君            北村  暢君            梶原 茂嘉君    委員            秋山俊一郎君            田中 茂穂君            仲原 善一君            堀  末治君            堀本 宜実君            横川 信夫君            大河原一次君           小笠原二三男君            河合 義一君            清澤 俊英君            小林 孝平君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 三浦 一雄君   政府委員    農林政務次官  石坂  繁君    農林政務次官  高橋  衙君    農林省振興局長 永野 正二君    水産庁長官   奥原日出男君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    経済企画庁調整    局参事官    富谷 彰介君    農林省農地局管    理部長     庄野五一郎君    通商産業省鉱山    保安局長    小岩井康朔君    建設省河川局次    長       曽田  忠君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選農林水産政策に関する調査の件  (漁業水質汚濁防止に関する件)  (農林水産基本政策に関する件)   —————————————
  2. 柴田栄

    理事柴田栄君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  最初委員の変更について御報告いたします。六月二十日佐藤清一郎君が辞任され、横川信夫君が選任され、二十三日大河原一次君及び北村暢君が辞任され、千葉信君及び松本治一郎君が選任され、本日千葉信君及び松本治一郎君が辞任され、大河原一次君及び北村暢君が選任されました。   —————————————
  3. 柴田栄

    理事柴田栄君) 次に、理事補欠互選の件についてお諮りいたします。北村委員委員辞任に伴い、理事が一名欠員になっておりまするので、その補欠互選を行います。互選方法は、成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 柴田栄

    理事柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、私より北村暢君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 柴田栄

    理事柴田栄君) 漁業水質汚濁防止に関する件を議題といたします。  最近鉱工業の発達によって、水質汚濁害毒がいよいよ高まり、これが防止対策を確立することが急務となって参りました。かかるところ、先日、本州製紙株式会社江戸川工場における排水による漁業被害に関し、不祥事件を引き起し、当委員会におきましても現地視察を行なったのでありますが、さしあたっては、これらの事件収拾に遺憾なきを期するとともに、根本的には、鉱工業排水による水質汚濁防止に関する制度を確立することが肝要でありますので、これが実現の促進に資するため、本日は、鉱工業排水による水質汚濁と、これが漁業、農業及び農地等に及ぼす被害並びにその対策等について、水産庁農林省振興局、同農地局通産省企業局、同鉱山保安局建設省河川局及び経済企画庁調整局当局から、それぞれ説明を聞くことにいたします。  なお、説明に対する委員からの御質疑は、各説明者説明だけに限定される御質疑は、そのつど御質疑をお願いいたし、他に及ぶ総合的なものは、機会をあらためることに御了承願いたいと存じます。また、時間の都合がありまするので、説明はできるだけ資料に基いて、その要領を簡明にお願いいたします。  最初に、委員長から、本州製紙株式会社江戸川工場排水による捕安及び葛西浦等関係沿岸漁業被害について、当局の善処を求めておきたいと存じます。  去る六月十八日、当委員会から浦安沿岸現地を視察したのであって、かような不祥事を引き起したことは、まことに残念なことであります。  そこで、水産庁及び通商産業省等政府関係当局において、千葉県及び東京都等と協力し、事態収拾に遺憾なきを期し、漁業及び漁家の保護に万全の措置を講ずるよう強く希望するものであります。  しかしてこのためには、第一に、被害原因及び被害状況を明確にすることが肝要なことであって、速急、水産庁中心となり、関係当局連係協力して、被害原因及び被害状況について詳細な調査を行い、その結果を当委員会報告されたいのであります。  第二には、浦安及び葛西浦沿岸には、水産資源保護法に基く保護水面が設定されており、国の水産政策の上からもきわめて重要な使命を持っており、また、あの地帯住民は、大部分直接間接に漁業にその生活の基盤を求めているのであるから、国の漁業を育成する上においても、また、あの地帯住民の生活安定のためにも、事態収拾し、被害を救済し、害毒を防除し、漁業を育成することは喫緊の要務であって、このため、水産庁中心となり、各関係当局においてすみかやに遺憾なき措置を講じ、その結果を当委員会報告されたいのであります。  以上について、当局の御都合はいかがでございまするか、また、できるだけ早きを要するのでありますが、いつごろこれらの調査報告が可能にお考えでございまするか、当局のお考えをお聞きいたしておきたいと思います。
  6. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 本州製紙の問題は、水質汚濁により常に被害をこうむっておりまする水産側といたしまして、現在の工場事業場水質汚濁についてのものの考え方というものを、端的に露呈した事件といたしまして、われわれも非常に残念に思いまするとともに、今後の事態収拾を円滑に進めたい、かように考えておるのでございます。そこで、本州製紙工場から排出いたしまする水質につきましては、東京都におきまして、五月六日にまたがりまして六回、また、千葉県側におきまして同じく三回、それぞれ日を異にして資料を集めまして調査をいたしたのでございます。また、被害自身の数量的な調査に関しましては、都県とも、潮の関係がございまするので、六月十七日にこれが調査をいたしたのでございます。水産庁担当技術者もまたこれが調査には立会指導をいたしておるのでございますが、これらの結果の取りまとめにつきましては、まだその最中でございまして、もうしばらく時を置いていただきたい、かように存ずるのでございます。また、問題は、今後の除害施設をどうするかということでございまして、六月の二十日に一応沈澱池ができ上ったのでございますが、沈澱池のみでは十分とは考えられませんので、その他の除害施設を完成さしました上におきまして排水調査を行い、排水が無害だという心証を得ました上で操業を開始させる、こういう運びにいたしたい、かように関係県におきましても方針を取りきめておりまして、われわれもこれを了承いたしておる次第でございます。それらの事項を今後具体的に処理いたしますにつきましては、都及び県並びに漁業者会社、この四者で委員会を組織いたしまして処理をしようと、こういう運びに相なっておるのでございまして、水産庁といたしましても、それぞれの段階において十分連絡をとり、相談にあずかり、また指導をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 柴田栄

    理事柴田栄君) 何かこの問題に関して御質疑がございますれば……。
  8. 東隆

    東隆君 今の六月二十日に沈澱池ができた、突貫工事でこれができた、こういうことがあるのですが、その後においても排液が無害だということが立証されなければ放流をさせない、こういうことになっておりますが、しかしこれは、会社の方は一日も早く操業をしたい、こういう考え方に立っておると思いますし、非常に問題があろうと思う。従って、これを決定するのには、どういうような形のものでそれを決定をされるのか、その辺のことをお伺いいたします。
  9. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 従来、会社側は、当初はこの操業によって害は起らない、こういうことを申し、工場の建設について東京都に説明する際にも、そんなような話をいたしたようでございます。一方、水産試験場におきまして、この悪水の問題が起りましてから、悪水の排水口のすぐ下及びさらに下流及び上流につきまして生物試験を行いました。これは明らかに悪水によって、そのすぐ下ではほとんど魚が全部死ぬる、こういうデータをそこでつかんだ次第でございますが、いずれにいたしましても、それぞれ別々にやっておるということでは、これはお互いにやはりなかなか納得がいかないのではないか。そこで、あくまでも共同をして、一つ委員会組織を作りまして、そうして調査及び調査資料分析及び結論を出す、こういうことにいたさなければならないのではないか。しかし、また同時に、そういうことをやりますについては、きわめて技術的な問題でもあり、あるいはまた、あっせん役を必要とする問題でもございますので、われわれの専門技術者相談にもあずかり、立ち会いもいたしたりいたしておりますが、なお今後の解決につきましては、その両者の組織します委員会に対しまして、中央といたしましても適切な連絡方法をとって、統一された認識の一致が出てきますように指導いたしたい。かように考えております。
  10. 柴田栄

    理事柴田栄君) それでは、この問題に関しまして、御報告をいただくお見込み等、まだ明確にはお答えいただけませんでしたが、あるいは今すぐお答えもいただけぬかと思いますが、なるべくすみやかに一つ処理を願って、御報告をいただきたいと思います。  続いて、各御出席の御担当から、一応問題に関しまする担当の御説明をいただきまして、それに応じて御質疑をお願いしたいと思います。  水産庁長官、本問題に関しまする水産庁の御説明を願います。
  11. 千田正

    千田正君 委員長、今のあなたの御説明は、本州製紙の問題に関してのみ一応御報告を求める……。
  12. 柴田栄

    理事柴田栄君) 水質汚濁防止に関する問題として取り上げておりますので、それに対しまするそれぞれの担当見解説明を一応求めて、それからそれぞれに関しまして、それぞれ一つ質疑をお願いいたし、また、総合的な問題に関しましては、実はきょうは関係が非常に広く御出席願っておりますので、整理のために、それぞれの担当に関して御質疑をお願いいたしまして、総合的な御検討を必要といたしますれば、あらためて御相談をいたして進めたい。かように考えております。
  13. 大河原一次

    大河原一次君 そのことに関して、先ほど委員長説明の中では、問題の出し方において水質汚濁の問題と、それから浦安の今回の問題とを別に切り離して問題が出されたように感じておるのですが、そういう方式でいくのですか。浦安浦安としての別個の問題としてやっていくのか、水質汚濁の問題の中にこの浦安の問題を含めてやるのか、それを明確に出していただきたいと思うのです。
  14. 柴田栄

    理事柴田栄君) 浦安の問題に関連しまして、全体的な水質汚濁防止に関する態度を明確にして、これが対策を進めていただかなければならぬというふうに考えまして、浦安の問題に関しましては、一日も早く適切な詳細な調査と、それに対しまする緊急な対策を、それぞれで御相談を願いたいということで、これはそんなに深く入る筋合いではないのではないかと思っておりますが、それを契機といたしまして、本質の問題を、一つぜひ当委員会としては取り上げて質問させていただく。こういうふうに考えます。
  15. 千田正

    千田正君 それだと、今の水産庁お話しは、本州製紙の問題、ただいま東委員の質問に対するお答えだけであって、あなたのおっしゃるところの水質汚濁に対する水産庁方針並びに今までとってきた経過等に対しての説明が不十分だと思うのです。
  16. 柴田栄

    理事柴田栄君) 千田委員に申し上げます。  そこで別途に——今はこれに対しまする緊急の措置に対する報告を求めたわけでございますが、別途に各省担当におきましてその問題に対する見解説明を求めて、御質疑を願う。こういう順序にいたしたいと考えております。これからまず水産庁を初めといたしまして、それぞれ御説明を求めるつもりであります。その後において御質疑をお願いいたしたいと思います。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはやはりあれだと思うのですがね、御説明を願うにしても、本州製紙のものを中心にして、全般というものの御説明を願えばいい。こう思う。そうして、あらかじめ取り上げ方についても、非常に独断的ですがね。これは不満なんです。この間の理事会のときでもわれわれの意見とは対立しているのだが、それは譲歩せられるものだけはわれわれは譲歩はいたしておりますが、やはり本州製紙の問題の取扱い方を深く掘り下げているうちに、本質的な問題にも入ってくるのだろうと思う。実際問題として、そこにあるものを掘り下げているうちに、どこにどういう欠陥があるというものがわかってくるのですから、それから本質的なものに入っても私はおそくないと思う。やはりこれからの取扱い方は、本州製紙中心にし、汚濁水問題を一応質疑していただいて、そうしてそこで出てくるいろいろな疑問点を次に残して、一般的なものに持っていく、これが一番いい方法だと、こう私は思うのです。何か本州製紙にさわらぬよう、さわらぬようとするような傾向が見えるのです。私は、やはり本州製紙に真っ向から持っていくべきだと、こう思うのです。
  18. 柴田栄

    理事柴田栄君) お答えします。  本州製紙の問題を避けるとか避けないとかということではなしに、この間の理事会でもお話しいただいたように、本州製紙だけでの問題ではない。しかし、本州製紙の問題は、非常に差し迫った問題であるから、これが具体的処理科学的調査に基いてすみやかにさせるということが一つと、それを契機として、根本的に、全国的な水質汚濁防止に関する問題を速急進めなければならないということで、本委員会で取り上げるということに御相談をいただいたと、私も承知いたしておりまするし、その方向によって進めさしていただくということに決定したと、かように考えております。
  19. 清澤俊英

    清澤俊英君 私は、本州製紙の問題を解決するための、ということは、補償問題であるとか、あるいはどちらが悪かったとかいうような点は、なかなかそれは水質調査等ができ上ってしまわなければわからないが、しかしながら、こういう問題の起きたのはどこにあるのだというようなことは、一番いい例として、本州製紙中心に掘り下げていくことが、私は一番いいのじゃないか、こういうことなんです。本州製紙解決のために、われわれは、何か、この水質汚濁のことに関して行うごとく感じられるけれども、そうじゃないのだ、私の言うのは。だから本州製紙というものをやはり中心にして、水質汚濁の問題を掘り下げていくという方針が、やはり堅持せられなければならない。何か、聞いておりますと、本州製紙の問題はたな上げして、すぐ水質汚濁の問題にぱっと飛び越えて入るように聞こえるのです。これは、だから報告も、本州製紙中心にしたやはり御報告になればいいと思う。それを中心にした一般の報告、こういう形を出す場合には問題にならぬと思う。
  20. 柴田栄

    理事柴田栄君) お話通りの進み方になると、かように考えておりますが、今回説明をそれぞれ求めまするにも、本州製紙不祥事件中心として、本問題に対する見解を御説明いただく、こういうことに相なると存じますので、そのように一つ質疑をお願いしたいと思います。  それでは、水産庁長官
  21. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 水産庁及び厚生省、これは水質汚濁問題について、もっぱら被害を受ける立場に立っておるのでございますが、実は、ここに、先ほども、私、ちょっと申し上げましたように、今日の工場事業場水質汚濁についてのものの考え方というものが、今度の本州製紙問題に露呈されたこういうことを申し上げたのでございますが、それは、今日、中小規模製紙工場あるいはパルプ工場等におきましては、除害施設をしない。あるいは除害施設があっても、夜間等のある時間は、除害施設を通さないで悪水を流すということを、当然の工場経営上のことのような頭でおるのでございまして、これは私は、地方的な事例をあげますれば、幾つか具体的に例をあげ得ると、かように存ずるのでありまするが、それは省略をいたさせていただきます。そこでしからば水質汚濁問題についての対策は一体どうなっておるか。これは、被害の側から見ますれば、非常に残念でございまするが、一向に前進をいたしておらないということを申し上げざるを得ないのでございます。少くとも、これについての制度的な解決というものをやはり至急に立案しなければ、当面の緊急の事態に間に会わないと、かように考える次第でございます。そこで、昭和二十七年でございましたか、資源調査会におきまして水質汚濁問題に関しまする勧告を出し、そのあとを受けまして、各省の間でいろいろ懇談を重ね、経済企画庁がその間をあっせんされまして、一応の中間的な取りまとめを過般の通常国会前に見たのでございますが、しかし、これも実は過般の通常国会で法律として提案ざれるには至らなかった次第でございます。そこで、本州製紙問題等の問題が起りました今のこの緊迫した情勢下におきまして、水産庁といたしましては、さらに至急水質汚濁対策の根本的な制度の問題の解決を進めていただきたいと、こういうことで、さらに関係各省及び企画庁にお願いをし、連絡を申し上げたい、かように考えておる次第でございます。しからば、今日被害側から見ましたところの水質汚濁問題の対策についての考え方について、われわれ農林省内部で、まだ相談して話を固めたわけでもございませんので、私限りの一つ私見としてお聞き流しを願いたいと存ずるのでございまするが、若干申し上げたいと思うのでございます。  水質汚濁問題に関しましては、根本的にはこれに関する科学的な究明をいたしまして、海域につき、あるいは河川につき、さらにまた、個々の工場事業場の流しまする水につきましての水質汚濁許容限度というものが固められることが、私は非常に望ましい、これが当然解決の根本である、かように思うのであります。しかしながら、実際問題といたしまして、一つ海域についての許容限度というものを科学的に固めていくということは、これは非常に長い時間を要する問題であるのであります。今日現実に起っておりまする問題、おそらく水質汚濁問題として、われわれは、年間に三、四百件のやはり問題が、全国的には大なり小なりの問題が山積をいたしておりまするが、これらの問題は、そういう根本的な解決までは実は待っておれないのでございます。そこで、何らかの制度的な解決がないと、その問題を取り上げてくれる行く先がない、こういうことのために、いろいろ紛糾が起り、そして、騒げばそれによって解決が促進されるという、こういう非常に残念な状態にあるのであります。そこで、こういう現実に起っておりまする紛糾自体についての調停、あるいはあっせん、さらには当事者が希望すれば仲裁等までいくところの一つ解決の場を、至急に私は考える必要があるのではないか。これが私が申し上げたい第一点でございます。  それから、次の問題といたしまして申し上げたいのは、水質問題は、これはいろんな方面に多岐にわたっております。しかし、これについて総合的に処理する制度、あるいは総合的に処理する行政組織というものは、これは残念ながら今はないわけでございます。水産庁におきましては、水産資源保護法で、漁業に有害なものの排出を制限し得る根拠規定を持っております。しかしながら、被害という立場だけからこの規定を発動きせることにつきましては、これは一方において、工場事業場生産力を維持していくという側から立てば、やはりそこに、その被害側立場だけからこの条文を振り回すことに対しては、いろんな困難を見出されるのは、これはもう当然である。かように思うのであります。また同時に、水質問題は、一方、被害側といたしましては、厚生省の問題であり、また河川管理という関係からは建設省の問題であり、あるいは運輸省等港湾関係というようなことで関係をしてくる。そこで、やはり私は、水質問題を総合的に処理する行政組織というものがどうしても必要なんじゃないか。それとともに、被害側、あるいは加害側というふうな立場を総合いたしました水質問題を処理いたします行政的な権限を、その行政組織に与えた基本法というものがやはりどうしても必要なんではないか。まあかような考えを持っておる次第でございます。  そのほかいろいろございまするが、その二つの基本的な考え方だけを、私限りの私見として申し上げまして、なお御批判をいただきたい。かように思います。
  22. 柴田栄

    理事柴田栄君) それじゃ、一応、被害側といいますか、農林省関係から御説明いただくことにして、振興局長から一つ説明を願います。
  23. 永野正二

    政府委員永野正二君) 私の方の関係におきましては、水田におきまして相当多量の水を利用し、また、利用が終った場合にそれを下流に放出いたします関係で、水質の問題につきましてもいろいろ複雑に関係をいたしておるわけでございます。よく問題になります農薬によります被害の問題でございますが、これにつきましては、先般有明海等で非常に大きな問題のありましたことはよく御承知のところであると思うのでございます。問題になります塩素を含みます有機塩素剤並びに燐を含みます有機燐剤使用につきましては、私ども末端技術指導を通じまして、なるべくその水が流れ出た先におきまして、人間あるいはその他の生物悪影響がないように、厳重な使用方法規制をいたしておるわけでございます。たとえば塩素剤でございますドリン剤−エンドリン、アルドリン、ディールドリンというようないろいろなドリン剤がございますが、これらにつきましては、特に魚類につきましては相当な被害があることはわかっておりますので、これは水田使用しないで、畑にだけ使う、畑に使う場合にでも、近くにため池とか養魚池があるというような場合には使用しないというようなこまかい末端使用規制をいたしておるわけでございます。  問題になりました有明海の問題につきましても、当初パラチオンによる被害であるという一部の研究者研究発表がございましたけれども、その発表根拠になりました分析等を検討いたしますと、必ずしてパラチオンによる被害であるということは、科学的にも断定できない事柄であるということが、その後、明らかになったのでございます。それに基きまして、先ほど水産庁長官からもお話がございましたように、水の中の農薬濃度というものを検定する技術的な方法、あるいは濃度が幾らになったらば、どういう生物悪影響がどの程度にあるかという毒性の影響の問題、これらは農林水産技術会議におきまして、最近の数年間にわたりまして、こまかい研究を続けております。私どもといたしましては、そういう問題を一応極力進めるとともに、農民に対しましては、他の業種に対しまして悪影響を及ぼさないような農薬使用法ということについて、極力技術指導をいたして参りたい、こう考えているわけでございます。なかなか零細な農民が、値段が安くて、しかもよくきく農薬を使いたいという希望は、これは当然のことでございますので、その希望を満足させながら、ほかに迷惑がいかないように、極力指導いたして参りたい、こう考えております。  また、今度の江戸川の問題につきましても、一部水稲の苗等につきましても影響があるというようなお話がございましたので、私どもといたしましては、統計調査部を通じて、現地被害の実態をただいま調査をさせておるのでございます。何しろ水稲の場合は、魚が死んだという場合と違いまして、まだ生育の途中でございます。おそらく非常に多量の有機物が分解をいたしますと、酸素を非常に使いますので、水稲の芽の呼吸作用というものが障害を起すということも考えられるのでございますが、なお今後の調査を待ちまして、その結果を見て、問題を処理して参りたい、こう考えておるわけでございます。   〔理事柴田栄君退席、理事藤野繁雄君着席〕
  24. 藤野繁雄

    理事(藤野繁雄君) それでは次に、農林省農地局管理部長の庄野五一郎君に説明をお願いいたします。
  25. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 私、農地局一の管理部長でございますが、農地局におきましては、御承知のように農業の基盤でございます農地と、それから水といったような基本的なものの行政なり管理を所管している部局でございますが、御承知のようにこの工場汚濁水あるいはマイニングの鉱業の方から排水されますいろいろな毒水、そういったものが農業用の用水に放出されまして、そのために直接作物が被害をこうむる、あるいはそういった有毒物が田畑に沈澱いたしまして、土が悪くなって、そのために災害が作物に起ってくる、そういったような事態が、マイニングの方の鉱業なり、あるいは最近におきますパルプとか繊維工業とか、そういう化学工業の周辺に見受けられる次第でございます。  この被害状況につきましては、少々調査が古いのでございますが、二十五年ごろに調査いたしました資料によりますと、大体全国でそういった被害を受けておる所が約二百五十カ所以上に及んでおるわけでございます。そういった水質汚濁による被害を受けておる田畑の面積が約三万八千町歩、そういうふうに二十五年度の調査ではなっておりますが、その後の国民経済の発展、工場の増設、そういう点から、この影響がさらに大きくなっていると想像される次第でございます。これにつきましての対策といたしましては、先ほど水産庁長官から基本的な、制度的な問題として、いろいろ御説明があった次第でございまして、われわれも全く同一のように考えている次第でございます。そういった水質汚濁の許容基準の設定、あるいはそれを越えた場合の一除外施設の設置命令、あるいはそういった場合の操業停止の強制的な、合理的な措置なり、あるいは紛争が起った場合の調停の機関の設置なり、これは各省の上にあるような調停機関が望ましいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございますが、そういった機関の設置なり、あるいは現在の化学上必要な除害施設、それをさらに研究する研究機関といいますか、研究を助長させる、あるいはそういう被害が起りました場合の工場に対する除害の施設に対して設置命令をやった場合の国の助成あるいは融資のあっせん、さらにわれわれといたしましては、被害者の方で——これは特に農民なり漁民と考えられるわけでございますが——被害者の方でそういった被害がある場合に、みずから除害の施設を講ずる、たとえば水源をほかの所に求める、あるいは有害な物質が田畑に沈澱して、それを除去して客土する、そういった除害なり土地の改良施設、あるいは専用放水路を作るような施設を、工場でできない場合には、被害者側でこれを作る、そういったような場合の被害者に対する除害施設の助成の措置等も講ずるような法律の設定が必要じゃないか、こういうふうに考えております。それはまあ今後の問題といたしまして、現在起っておりますそういった被害に対しましては、農地局といたしましては、これは特に自然的有毒物の噴出、これは火山とか温泉地帯等が中心でございますが、そういったような所、最近に至りましては、鉱業権者の製練所から出ます排水による毒水の問題、そういうものを取り上げまして、現在水源変更の工事、あるいはそういう有毒物の入りました農地の客土の工事といった除害工事の補助をいたしましてやっている地区が十カ所ほどございまして、昨年までで大体五地区完了しまして、ただいま五地区工事中でございますが、三十三年度の予算では、総事業費が五千二百万円で、それに対します国の補助金が三千三百万円を計上いたしておる次第でございます。まだこれでは非常に不十分でございます。そういう点については、さらに調査して推進いたしたい、こういうふうに考えております。この補助は、県に対して補助いたしまして、県で水源変更施設なり、客土工事を施行するというような場合でございまして、水源変更の場合は六割五分、客土の場合は五割補助をいたしおる、こういうような次第でございます。こういった点はさらに推進をいたしたい、こういうふうに考えております。  以上、被害の現状とそれに対してとっております対策方法とを、簡単でございますが、御説明申し上げました。
  26. 藤野繁雄

    理事(藤野繁雄君) それでは次は、通産省の企業局長
  27. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 私の方から提出いたしました資料に、「水質汚濁防止措置に関する当省の対策について」という資料をお配りしてございます。それに要約して盛らしておりますが、先ほど来農林省の方からいろいろ話がございましたように、水質汚濁防止の全般的な問題といたしましては、すでに以前に資源調査会の勧告から発足をいたしまして、自来この問題の連絡協議会を組織して、実態調査を進めて参っておりましたが、通産省自身といたしましても、前に産業合理化審議会の中に産業関連施設部会の排水分科会という分科会におきまして、学識経験者を中心といたしまして、この問題の実態調査なりあるいは水質基準の検討、排水処理技術の研究排水処理施設に対する助成措置というような問題を、いろいろな角度から検討をして参ったのであります。そういたしまして、先ほどもお話がございましたように、経済企画庁中心としまして、本問題につきまして一応関係各省相談がまとまりまして、水質汚濁規制に関する法律案が一つのこの問題に関する基本法というような考え方で、成案が一応出て参ったのであります。この成案が、この基本法ができますれば、このような基本法によってきめられますところの水質基準を、各工場事業場に順守させるための、いわば実施法を、同時に通産省としてもこのような立法をしたいというので、実は、この前の国会当時、すでに準備を進めておったのでありますが、いろいろな事情で、この前、提案の運びに至らずして今日に至っておるわけであります。ただ、この問題につきましては、工場事業場から出ますところの排水あるいは汚水等につきまして、もちろん従来、工場事業場等におきましても、当然自分のところで及ぶ限りの除去施設は、従来もいたしておるのであります。その状況は、同じく一覧表で、どの程度の工場においてどれくらいの除去施設をやっておるかという比較表が出ておりますが、そのような努力はいたしておりますけれども、特に問題になりますのは、中小の工場等におきましては、そのような除去施設を十分施設するだけの余裕がないというようなときに、特に問題が各地に発生しておるようなことが多いのであります。今回の本州製紙の場合は、そのような例ではございませんので、私どもも非常に遺憾に存じますが、一般的に申しますと、工場事業場におきまして、そのような、今申しましたような立法措置をもって除去施設を強制するということになりました場合に、そのような法律の実施をする際に、それが実効が上るような運用を期待いたしますためには、やはりそのような中小工場事業場等につきましては、施設がやり得るようなことを同時に考えてやらなければならぬのではないだろうかという点が、私どもの強く希望している点でございますが、基本的には、このような法律を作って、この問題の解決を進めなければならぬということは、当然私ども考えている次第であります。  なお、この問題につきましては、今申しました排水処理技術の問題があるのでありますが、これは、今お配りしております資料の二ページ目の所に掲げておりますように、従来通産省の工業技術院傘下の試験研究におきまして、このような排水処理の技術につきまして、研究所自身が特別研究をやって参りました。また、民間の試験研究所に対して補助金を交付して、そのような研究をして参っております。また、この試験研究の結果は、すでに相当程度その排水処理技術が実施をされておりまして、御承知のようにパルプ廃液の中からアルコールでありますとか、あるいは酵母でありますとか、そういうものを取りながら、同時に排水処理をやるというようなことが、ある程度はすでに実現されているわけであります。今後もこのようなことをできるだけ推進して参らなければならないと思っております。  なお、最後に、ここに掲げておりますが、先ほど申しました中小企業の場合におきましては、そのような汚水処理につきまして、非常に中小企業自身の能力の点について問題がありまして、従来におきましても特に中小企業が密集しております地域におきまして、それぞれの中小企業の工場事業場が、自分でそれぞれの施設をやることは非常に困難であるわけでありまして、たとえば染色工場が密集している地域でありますとか、中小の製紙工場が密集しているような地域におきましては、そのような場合には、むしろ共同の排水処理施設を作ることにつきまして従来ある程度の国庫補助をいたしまして現実にはこの国庫補助の予算は建設省の予算に計上してもらっております。ここに掲げておりますように、昨年度三千万、本年度五千九百万円、もちろんこれでは十分ではございませんが、このような助成施設をやって、汚水処理についてはとりあえずできるだけのことを進めているというような状況でございます。
  28. 藤野繁雄

    理事(藤野繁雄君) 次は、通産省鉱山保安局長。
  29. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 鉱山及び製練所、選炭場、そういう所から出ます鉱廃水につきましては、従来しばしば大きな問題を起しております。従いまして、保安法におきましては、特に四つの目的の一つに鉱害の防止というものを入れまして、当局としましては、慎重に、強力に、以下申し上げますような項目につきまして努力をいたしているわけであります。  まず一番最初に、除去設備の整備促進、これは非常にやかましい問題が起りますので、まず施業案によりまして、大きい大綱を押え、さらにその内容につきましては、こまかく一々設置の認可をいたしております。もちろん多数の監督官を巡回させまして、設置設可通りのものをやってない場合には、厳重にこれが改善を命令するという方向をとっているわけであります。  それから第二番目には、鉱廃水処理の新技術の研究と、これの実用化、非常に種類によりましてはむずかしい問題がございます。特に石炭は比較的簡単でありますけれども、金属も銅、鉛、亜鉛、硫黄、こういうようなものになりますと、かなり場合によりましては大きく被害を与えることが予想されますので、こういう面につきましては、技術的にいろいろ研究をいたしまして、特に害を及ぼすような排水につきましては、地下深く地下水に吸収させるとか、あるいはまた、そのほか技術的には酸化濾床を採用したり、あるいは分別沈澱法により銅を回収したり、あるいはウルトラ・フィルターによる亜鉛の回収というふうに、害を与える成分につきまして、でき得る限りこれの回収をはかっていく、こういうような方向をとっているわけであります。  それから三番目といたしましては、鉱害を発生し、あるいは発生のおそれのあります鉱山の下流の流域にあります水質及び土壌といったものにつきまして、こまかく調査をいたしております。すでに相当な鉱山数を三十一年度から調査にかかりまして、三十一、三十二とこの両年度のものは、ほほ近いうちにその結果がまとまることになっております。今年度につきましても大体三十鉱山ばかり詳細に調査いたしたい、かような予定にいたしております。  それから四番目といたしましては、鉱害関係の文献資料をできる限り収集いたしまして、刊行をいたしております。これはかなりりっぱなものを出しておるつもりでありまして、一々名前を申し上げませんけれども水質の基準あるいはいろいろ排水関係の膨大なる資料を国内、国外ともできる限り収集いたしまして、これが刊行を続けております。  それから五番目といたしましては、鉱務監督官の鉱害に関する特別の研修、これは監督官を相当多人数を擁しまして、各鉱山の巡回をやっておりますが、私の方の関係は、何と申しましても人に対する危害の防止、これが一番大きな目的になっております。最近も相当変災が頻発しておりますので、人に対する危害の防止に主力を置きまして、その次に鉱害の問題を大きく取り扱っております。これらの監督官にもたびたび研修をいたしまして十分な監督指導ができますようにはかっておるわけであります。  以上、大体こういう項目につきまして目下強力に推進いたしておりますけれども、鉱山の関係では、やはり各所に鉱害の問題が起っております。現在もかなりな問題になりました鉱害の問題も相当ございますけれども、目下のところ、大きく社会的に問題を投げ出しておるというような鉱害はございません。大体平穏に、円満に解決いたしております。特に現在起っております鉱害のうちで大きいものは、札幌の余市鉱山の関係、あるいは仙台の蔵王鉱山の関係、それから東京都内の安中の関係、天然ガスの成田鉱山の関係、それから長崎の対州鉱山の関係東京都内の足尾、仙台の東北大畑、それから三倉の大畑、このくらいがごく最近起りました比較的大きな鉱害の問題でありますけれども、これらも大体解決いたしておりまして、大きく今後トラブルを起すというような問題はございません。まあ現在のところは、比較的円満に進んでおりますが、なかなかむずかしい問題でありまして、今後も鉱害の問題は起り得ないということの確信を持つまでにはまだ至っておりません。今後十分にこういった方面を検討いたしまして、万全を期して参りたい、かように考えております。
  30. 曽田忠

    説明員(曽田忠君) 河川局の次長でございます。お手もとに一枚紙で長くなっておりますが、「河川における水質汚濁防止について」、こういう資料を差し上げておりますが、これに基きまして簡単に御説明いたしたいと存じます。河川法におきましては、河川の管理者という立場におきまして、水質の清潔、汚濁防止、そういうものにつきまして河川法の第十九条に規定がございまして、それに基きまして都道府県で規則を作って取り締って参っておるわけでございますが、非常に法律も古いことでございますし、また抽象的でありまして、最近のように非常に産業の発達等に伴います汚濁被害の増大ということに対しましては、必らずしも十分ではないという実情にございます。従いまして、建設省といたしましてはいろいろ河川関係の法令の整備ということも実は考えて参ったわけでございますけれども、各保健衛生、農林水産、工業等、各産業にまたがりまして関係いたします各省も相当多くございまして、従いましてこれは河川法の法令の整備ということではとても解決できないような大きな問題でございますので、いろいろ各省とも御意見の打ち合せを行なって参ったわけであります。昨年の三月になりまして、経済企画庁中心としてこの問題の制度的な研究をして参ったわけでありまして、ことしの二月に企画庁の方からの水質汚濁規制に関する法律案というものの御提示に対しまして、建設省といたしましては、この案につきまして基本的に賛成の意を表して参ったわけであります。やはり問題になりますのは、河川法にいたしましても、あるいは水産資源保護法にいたしましても、いろいろ水質汚濁防止に関しまする取締り法令は相当多数に上っておりますが、これの基準となりますものが、今までのところ全然定まっていない。従って、取締りいたします場合におきましても、その程度が非常に不明確でありますために、勢い所期の成果を収めていないというのが、実情ではないかと思っております。こういう法案を作りまして、まず第一に水質の基準を定める、これがためには、学識経験者によりまする水質審議会を設ける、そういうふうにいたしまして、水質の許容基準が定まりますと、各省におきましてそれぞれの現在の法令に基きまして取締りに遺憾なきを期していきたいということでございます。  以上は、制度的の問題でございますが、なお建設省といたしましては、具体的にたとえば隅田川につきましては、御存じのように非常に汚濁しておりまして、水面の上にも相当泥土が露呈している、そういう所も多うございますので、これにつきまして本年度は事業費一億二千万円で浚渫をやっていきたいというふうに考えております。大体約一四十万立方メートルの泥土をこれで浚渫する予定でございます。それからもう一つ水質汚濁の実態を明らかにするという意味におきまして、本年度におきまして約百六十四万円の費用をもちまして汚濁の著しい江戸川、隅田川、それから大阪の淀川、福岡の遠賀川、こういう河川につきまして水質の実態調査を行う、そういうふうに考えております。  それから、ここには書いてございませんが、本州工場の問題につきましては、これは先ほど申し上げましたような河川法第十九条に基きます都の布令が出ておるわけでございますが、当初、工場側の方で大体無害である、そういう前提と思いますが、この河川法に基きます許可は受けてない状況でございます。別途、自治法の第十四条に基きます工場公害防止条例というものを東京都で作っておりますが、それに基きます許可申請が出ておるわけでありまして東京都も、一応無害という前提で許可をやっておるようでございますが、御存じのようなああいう問題が起こりましたのでございますので、建設省といたしましては、あの問題の起りました翌日の六月十一日に河川管理者という立場におきまして、何らかの措置を講ずる必要があるということを東京都に指示をして参ったわけでございます。で、東京都といたしましては、この水質汚濁につきましては、河川法の問題、あるいは水産資源保護の問題、あるいは先ほども申し上げました工場公害防止条例、こういう三つのものがございまして、それぞれの法律に基きまして各別個に勧告を出すということも、総合行政をつかさどっております知事の立場といたしまして適当でないというような考えから、これらの法律関係を考慮いたしまして、一本の通牒といたしまして、適当な除害設備を完備するまではその使用を停止されたいということを会社あてに警告を出したわけでございまして、会社の方からは、六月の十六日に、この知事の通牒を受領した、なお貴見の通り御庁が適当と認められる除害設備の完了するまで、問題になりました設備の使用を停止することをお請けいたします、と、そういう請書が参っております。  簡単でございますが、以上でございます。
  31. 藤野繁雄

    理事(藤野繁雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  32. 藤野繁雄

    理事(藤野繁雄君) 速記をつけて。  それでは次に、経済企画庁調整局参事官の説明を願います。
  33. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 経済企画庁でございますが、水質汚濁防止に関します経済企画庁の従来やって参りましたこと、これを御説明申し上げます。  お手元に資料といたしまして、水質汚濁防止に関する勧告、資源調査会の勧告第十号でございますが、これが御配付になっておると思います。これは、従来わが国におきます水質汚濁防止のオーソドックスな考え方を網羅してあるというふうに考えております。昭和二十六年にこれが出まして、自来今日まで関係各省の間で農林省あるいは厚生省中心になって連絡協議会を持たれたのでありますが、成案を得るに至りませんで、ついに昨年の三月から当経済企画庁がこの問題の調整を依頼されまして、去る二十八通常国会に提案すべく法案の準備を急いで参りましのですが、残念ながら提案に至りまけんで、現在は引き続き次の通常国会はぜひ提案すべく努力中でございます。考え方の内容は、大体この勧告に示されておる通りでございますが、勧告は、二十九ページに水質汚濁防止沖の骨子というものが出ておりますが、要するに、鉱山、工場その他いろいろ都市下水でありますとか、あるいは農業用の下水でありますとか、そういったところから汚濁原因が出るのでございますが、その発生源について、水質の許容基準、つまりこれ以上よごしてはいかぬという基準をきめて参るという考え方であります。経済企画庁の根本的な考え方は、現在でも、河川法でありますとか、あるいは鉱山保安法でありますとか、それぞれの各省所管の法律がございまして、これで公共水をよごしてはいけないという規定があるのであります。ただ、何ゆえにこれが動いていないかといいますと、これ以上よごしてはいかぬという共通の尺度がない。で、この共通の尺度をつくるのが今回の立法のねらいであります。その尺度は、ただいま申しましたように、川なら川の水そのものの尺度、これを公共水基準と申しますが、その公共水基準のほかに、放流水基準——工場なら工場の出口からこれ以上よごした水を出してはいかぬ。たとえば本州製紙の場合ですと、SCPの廃水をここまで処理して出さなければいかぬといったような基準を、各河川ごとに、しかも工場ごとに個別的にきめて参るという考え方をとっております。以上のような考え方で、現在努力中でございます。
  34. 藤野繁雄

    理事(藤野繁雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  35. 藤野繁雄

    理事(藤野繁雄君) 速記をつけて。  ここでしばらく休憩して、午後は一時から再開いたします。    午後零時一分休憩    ————・————    午後一時二十七分開会
  36. 柴田栄

    理事柴田栄君) それでは、午前に引き続いて委員会を再開いたします。  農林水産基本政策の件を議題といたします。  この件について、三浦農林大臣から発言を求められております。
  37. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 先般岸第二次内閣の成立に伴いまして、不敏をもちまして農林大臣の任に当ることに相なりました。私も従前一官僚といたしまして長い間農林省に世話になっておりまして、自来政治に出まして以来も、心がけてその方面の仕事に精進して参ったのでございますが、何分時もだんだん経過いたしておりまして、今日のような多難な農林行政を担当しますにつきましては、容易ならざることだと実は考えております。つきましては、皆さまの格別の御支持と御鞭撻を賜わりまして、そしてその任の重きにかんがみまして、重責を果したいと考えております次第であります。つきましては、従前に変りませず御支援を賜わり、かつ格段の御協力を切望する次第でございます。就任いたしましたにつきまして、一言ごあいさつを申し上げる次第でございます。  なお、政務次官には石坂繁さんと、それから高橋衛さんが政務次官となられて就任されたのでございますが、これまたどうぞよろしくお願いいたします。  なおこの機会に、私の農林水産政策に対しまする基本的な考え方を申し上げまして、そうして、皆様の御協力を得て、適切な農林水産施策の遂行に努力して参りたいと存ずる次第であります。  申すまでもなく農林水産業につきましては、その性質上、基本的には、従前の各種の根本施策を積み上げ、これを拡充強化して着実にその成果をあげていくことが必要であると考えております。従いまして、私といたしましては、施策の目的と効果については謙虚に検討を加えつつ、長期的な観点に立って農林水産業の進むべき方向を把握し、その対策に誤まりなきを期し、いわば安定した農政を推進いたしたいと考えている次第であります。  言うまでもなく、わが国の農林水産業が国民経済の安定的成長の基盤として果す役割の重要性は、今後とも一そう大なるものがあることはもとよりでございまして、最近における各種技術の進歩発達と相待って、農林水産業の振興をはかると同時に、農山漁民の福祉向上を目途として生産性の向上に努めることが必要でありますが、このためには、農林水産業の発展のための基本施策を堅持するとともに、内外経済諸情勢の変動に対応して、当面する諸問題に対しましては敏速適切な対策を講ずることによって、農林漁家の安定向上をはかる方針でございます。  従いまして、すでに成立した昭和三十三年度予算の実効を上げることに努めることはもちろんでございますが、今後における農林水産施策の重点といたしましては、  第一に、新長期経済計画のもとに生産基盤の強化拡充を計画的に推進し、開拓事業の刷新、土地改良事業の拡大、森林資源の開発、漁港の整備等につき、各事業とも計画目標の達成に遺憾なきを期したいと存じます。また、この生産基盤の強化拡充と相待って、営農の改善、畜産の振興、沿岸漁業及び山村経済の振興をはかって参りたい考えであります。  第二に、農林水産物の商品化傾向の進展にもかんがみまして、その価格いかんは、農林漁家の所得に影響するところ大なるものがありますので、特に所得の安定的向上をはかるため、米穀管理の継続、主要農畜産物の価格維持と安定について、既往の施策に加え一段と適切な施策を進めるほか、市場の拡大と安定、農林水産物の流通過程の改善合理化を一そう推進していく所存であります。なお、これとあわせて農林水産業に対する融資の拡大、特に低利資金の充実についても格段の努力を払って参りたいと存じます。  第三に、これら一連の施策を一そう効果あらしめるため、特に施策の地域性、総合性を考慮して研究、普及、統計調査等の諸事業を充実するとともに、立場に応じ、寒冷地、畑作等の農業振興、新農山漁村建設等の事業を初め、一そう地域的特性を生かした農林漁業の安定施策を総合的に進めて参りたいと存じます。  なお、今日の複雑な農林漁業経営の実態は、ひとり農林水産業における対策のみをもってしては、その十全を期することはできないのでございますから、特に、雇用、社会保障、貿易、交通運輸等各般の施策と相待って、農山漁村の発展を助長する方向に努力して、安定した農林漁家の維持育成をはかって参りたいと存ずるのであります。  以上、私が農林水産政策について考えておりますことの大要を申し述べたのでありますが、この際、最近において緊急に解決を要する問題について所信を申し述べ、皆様の御協力を得たいと存じます。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕  まず最近の天災による被害対策であります。御承知の通り本年は、年初以来の異常な気象事情により、累次の災害が発生し、そのため農家が多大の被害を受けられたことにつきましては、まことにお気の毒と存ずる次第でありますが、私としましては、これが救済には万全の努力を払い、農民諸君の今後の営農に不安なからしめるよう措置いたしたい所存であります。先般の霜雪害については、四月十八日の閣議決定に基いて、各般の措置を講じた次第でありますが、最近における関東東北における早魃の被害は、特に激甚でありますので、建設省とも協力の上、利根川を中心とする水利調整に必要な措置をとり、また、農林省に保管中の小型ポンプを動員する等の緊急措置を講じたのでありますが、さらに被害の実情に対応した適切な措置を講じ、万全を期する考えでございます。また、西日本の長雨による被害につきましても、営農資金の融通等について遺憾なきを期して参る所存でございます。  次に、繭糸価格の安定対策につきましては、前国会において糸価安定特別会計法、繭糸価格安定法の改正を行い、昨年末以来の糸価下落傾向に備えたのでありますが、その後も異常な需要の減退により、価格が低落気配を示すに至りましたので、六月三日臨時応急針策として、本年の生糸及び夏秋蚕繭の出産抑制、保管会社及び農協連合会による生糸及び繭のたな上げ、生糸の新組用途の開拓など、需要の増進をはか三等の方針を決定し、すでに保管会社による生糸の買い入れ、乾繭共同保管の手配、夏秋蚕繭の生産調整の趣旨の徹底等につき、具体化を進めてきたのでありますが、さらに今回繭及び生糸の取引の実情にかんがみまして、農家の繭収入の確保と糸価維持のために一段と施策を強化することとし、所要の立法措置も準備いたしましてこの国会に提案する運びになっておりますので、近く御審議をわずらわすことになると存じます。  次に、牛乳乳製品の需給調整については、従来引き続き努力を重ねてきたところでありますが、なお需給のアンバランスな傾向が持ち来たされ、最近において全般的に乳価値下げといった事態が予想される状況が出て参りました。これに対処するため、牛乳乳製品の消費拡大と牛乳共販体制の確立について、早急に具体案を備えて、逐次実施に移して参る所存であります。  最後に、水産業をめぐる国際情勢は、日ソ漁業交渉による北洋漁業の安定後も、なお他に多くの困難な事態がありますことは御承知の通りであります。しかしながら、これら遠洋漁業関係国間の相互理解に基いて行われねばならないことは、今や国際的な趨勢となりつつある事態にもかんがみまして、私どもといたしましては、資源の保護と漁獲の持続という観点に立脚して、関係国間の相互理解をはかる努力を継続し、これによって出漁の保持に今後とも鋭意努力して参ることといたしたいと存じます。  以上、所信の一端を申し述べ、各位の切なる御協力を願う次第でございます。
  38. 石坂繁

    政府委員(石坂繁君) 私は、新たに農林政務次官を仰せつかりました石坂繁でございます。私は、今まで農政のエキスパートであられる皆様方の騨尾に付しまして、いささか農政問題に努力いたして参ったつもりではございまするけれども、何分にも生来はなはだ不調法者でございまして、責任の重大なるを感じて、はなはだ心もとなく考えておる次第でございます。幸いにいたしまして、大臣には御承知の通りに農林省の御出身であり、農林行政のたんのうなる三浦大臣をいただき、また、同僚には、大蔵省出身のきわめて優秀であり、かつまた皆さん方と同じ当院に席を有せられる高橋政務次官を得ておりまするので、この点、はなはだ力強く感じておるような次第でございます。とは申しながら、何分にも、この後のことにつきましては、皆さんの絶大なる御支援と御鞭撻がなければ、私の責任を尽すことも容易でないと思いますので、私は、最善の努力を尽しまするが、同時に皆さん方におかれましても、この後も一そうの御支援と御協力をお願い申し上げます。  簡単でございますが、一言ごあいさつを申し上げました。
  39. 重政庸徳

    委員長(重政庸徳君) 説明に対する質疑は、日をあらためることにいたしますが、三浦農林大臣におかれましては、せっかく御健闘いただき、農林水産委員会にも努めて御出席願います。  ちょっと速記をとめて。    午後一時五十二分速記中止    ————・————    午後二時十二分速記開始
  40. 重政庸徳

    委員長(重政庸徳君) 速記を始めて下さい。  午前に引き続き、漁業水質汚濁防止の件を議題にいたします。  午前の関係当局説明に対し、御質疑の向きは御質疑を願います。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 企画庁にお尋ねしますが、二十六年の答申に基いて、各省関係を調整して、水質汚濁防止法案を去る通常国会に出したいと思ったが、残念ながら出しかねた。最も大きな理由は何ですか。それができなかった理由は。
  42. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 何分にもこの水質汚濁規制に権限を持ちます関係者が多いために、この意見の調整に非常に骨を折るわけです。企画庁案で、一応の試案を示したのでございますが、なおこれでは不十分である、一そう効果の上る方法を求むべきであるという意見がございまして、ついに前国会には間に合わなかったわけでございます。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたに言っても、それは無理なことですけれども、二十六年、吉田茂内閣時代から、内閣が何世代か変っておる。その間大いに考究、検討せられて、なお意見の調整ができないということは、結局、各省のなわ張り争い、権限争いを企画庁としては調整しかねた。力がなかったんだということなんですか。
  44. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 経済企画庁がこの問題の処理を依頼されましたのは昨年の三月からでございます。それまでは厚生省なり農林省なりにそういう要望がございましたけれども、全般的一な動きに至っておらなかったのでございます。昨年三月以来、経済企画庁がこの調整を行なったのでありますが、各省のなわ張り争いというのでなしに、結局、経済企画庁の建前といたしましては、各省の権限はそのまま尊重していく、現行法令でも取締りの可能なところがあるから、その取締りの共通の基準を作っていこうじゃないかというつもりで準備をして参りました。  そういう、何と申しますか、見解の統一のために時間を食ったというわけでございます。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 午前の御説明では、次の通常国会に提案したいということでしたが、自信おありですか。
  46. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 極力、そのつもりで努力いたしております。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ほかの例ですけれども、やはり企画庁が調整に入ったのに、ダム等の補償の問題、補償の基準等の問題もここ数年来やっておって、今立ち消えになっておる。これもやっぱりろくな結論も出ないで、各省間の意見が合わぬというようなことで、何か薄ぼんやりしたことになっておる。大体が各省にまたがるものということで、役人だけの手では始末がつかないのだということであるならば、それならそれで国会の方で始末をつけてやるということもあるのですから、そういう点をはっきりお聞きしたい。ほんとうにやれるか……。
  48. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 今のダムの問題は初耳でございますが、今度の水質汚濁規制に関しましては、私どもは次の通常国会を目標に必ずやり遂げるつもりで努力しております。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからその水質の許容基準をきめるというような、委員会の権限というものを、その程度のものにするのか、実際に問題が起ったものに対して調停なり仲裁なり、裁定なり補償等の問題もからんで、そういうこともやらせるような権限を、この委員会に与えるというような考えがあるのかないのか、この点伺っておきます。
  50. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 今の御指摘の点が次の通常国会までの調整の焦点になっております。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから鉱山保安局長にお尋ねしますが、鉱山関係では、全国的にもう問題になっておる所は少くなってきた、ほとんどないのだということですが、じゃほとんどないのだという所は、何といいますか、鉱山の施設、設備というものが完全になっておるのだということを意味しますか。
  52. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 先ほど私がお答えいたしましたのは、鉱害問題がないということではございません。相当施設も改善させ、厳重に監督をいたしておりますので、目下大きく社会的に問題を起している鉱害問題は、今のところはございませんというお答えをしたわけでありまして、一番最後に私が山の名前をあげましたのは、現在ごく最近起りつつありました鉱害で、大体現在のところ円満に解決しそうな見通しのついている、あるいはついたもの、それらを最後にあげたわけでございます。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 企画庁と今の保安局長にお尋ねしたいのですが、基本的な考え方としては、その被害を受ける人とその企業との間に、ある程度の補償関係が成立するならそれでいいとするのか。そうでなくて、補償等の問題を除いて、そういう鉱害なら鉱害というものを全然除去する、あるいは工場排水——汚水というものを完全に除去する。補償ということはそれは過渡的な段階における便宜的な方法なのであって、そうでなくて完璧を期するということが基本的な建前なんですか、どっちなんですか。
  54. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 経済企画庁からお答え申し上げます。  根本の目的は、汚水がそのまま放流されることを規制するにあるのでありまして、汚水を処理して放流するような方法さえ講ずるならば、こういった紛争というものが根絶できる。われわれは、従って紛争の起らぬように根本的な対策を立てるということをねらいにやっております。おそらく鉱山の方でも、鉱業法で、損害の賠償につきましては民事調停法の方にゆだねられておりまして、一般的な監督的な規定が法律の中にあるということになっておりますので、同様の考え方で進んでいると思います。
  55. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私の方でちょっと今の説明の足りないところを補足させていただきたいと思いますが、鉱害の加害者と申しますか、鉱業権者と、それから被害を受けた方の側が両者が協定できまして話し合いがついて解決してしまったもの、端的に申し上げますと、官庁の方に申し入れがなくて、両者で解決がついてしまったようなものにつきましては、一応私の方では鉱害とは考えておらないのであります。もう少し端的に申し上げますと、鉱害が起って、そして官庁側に申し出がありまして、それに官庁が入って解決をはかったというものを鉱害というふうな考え方をいたしておるわけであります。この考え方につきましては議論の余地はあると思いますけれども、両者が単独に相互で解決をはかって、円満に解決を終了したものについては、鉱害という考えから一応はずしておるわけでございます。しかし、今申し上げましたように、要するに、汚濁水を流して問題の起ったものは、実際にはもちろん鉱害ということになるわけでありますけれども、両者で単独に話し合いのついたものは、私どものいわゆる鉱害問題という範疇からは除いて考えておる次第でございます。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこなんですよ。私たちうわさにも聞き、現地を二、三カ所私ども見ていますが、中小鉱山で選鉱後の、何というのですか、くろうと語を知りませんが、残滓物をちょっとしたため池のような格好の施設を作って、どんどん堆積しておる。そして大雨が降るとその機会に流してしまう。また流そうと思わぬでも、自然そういうことで処理される。ふだんは確かにためておく形であるけれども、そういう雨のつどつど便宜便乗して処理してしまう、こういうような形のものがあるやに聞くのです。そんなことはないですか。
  57. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 私が今御説明申し上げましたのは、単独に解決がつけば、もうそれは鉱害ではないのだ、かまわないのだという意味では決してないのでありまして、先ほどもちょっと触れましたように、汚濁の問題につきましては、鉱山廃水の問題につきましては、施業案で大綱をうたい、そしてその詳しい内容につきましては認可をいたしておるわけであります。その認可通りに実施しておるかどうかという点につきましては、監督官をしまして随時巡回検査をしておりまして、認可通りになっていなければ、いつでも通達を出しまして改善をはかっておるわけであります。また、生産量の増加その他でいろいろ施設に不足を来たすような場合には、もちろんこれが改善につきましても万全を期しておるわけでありまして、そういう問題の起らないような方法は、十分にやっております。たまたま起りましても、両者が単独で円満解決した場合は、私の方としては一応鉱害問題としては取り扱えないような状態になっておりますので、両者が相互に両者だけで解決のついたものについては、もちろん連絡がございませんし、一応無事におさまっておるというふうに考えておるわけでございます。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも私専門家でないからわからぬけれども、あなたのお話のことは、ある場合にはいい話になり、ある場合には一面のところだけとった話になって、どうも私完璧な答弁とは聞きとれないのですよ。ほんとうにあなたが今言明しているように完璧な措置をとっておるのですか、各鉱山で。
  59. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) もちろん完璧な方法をとっておるわけでございます。しかし、特に私がお話し申し上げたいのは、大鉱山におきましては、私どもの指示通りにほとんどやっております。しかし、中小の鉱山におきましては、一応認可をいたしておりますけれども、その認可通りに全部が全部やっておるかどうかという点につきましては、もちろん先ほどのお話のように、監督官を派遣いたしまして巡回したときに十分にやっていない場合が相当ございます。これらにつきましては、十分に通達を出して改善をはかっておる、かような状態でございます。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、現在、将来にわたっては鉱害という問題はもう起らないとわれわれは承知しておいていいわけですね。
  61. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) これは絶対に鉱害は起らないということは私どもまだ十分に確信ないわけでございます。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや私の聞いているのは、施設、設備が完璧になっておる、従ってその関係からの原因等がなくて鉱害というものは起るわけがない。突発的な自然的な条件等がある場合は別だ、そう言い切れるか。
  63. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 一応、理論的には激しい鉱害が起らない。全然毒物を除くということは今の技術ではできませんので、大体この範疇に入るものなら鉱害は起り得ないという程度のもので認可いたしておるわけであります。従って、その通りに完全にやって下さるならば、まず大丈夫ということが言い得るのでありますけれども、山う方で必ずしもその通りにやっていない場合もございまして、鉱害が起っておるような実情であります。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたはさっき監督官を派遣したりなどしてちゃんとやっておるのだということを午前から午後にわたってお話しているのですよ。だんだん聞くというと、やはり何か起りそうな気配もあるような答弁なんです。完璧でないなら完璧でないのだ、今後もっと努力するなりしたいのだというふうに言ってもらっておきたいと思うのです。どっちなんです。
  65. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) 説明が徹底していなかったかもしれませんが、方法といたしましては完璧を期した認可をいたしておるわけでございます。しかし、実情は認可通りにできてない場合がございまして、たまたま鉱害問題が起った、こういうような実情であります。
  66. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題ですが、さっき通産省で言われた言葉の中に、中小企業が集団的にやる場合、極度に水質が汚染する、こういう問題があります。これは、今の中小鉱山というのですかが、個々の場合には、なるほどこれでいいという目安がつきましても、それがもし付近に、炭鉱地帯というようなことでたくさんの工場が集まっておる、こういうような場合、それから出たものが集積すれば、場合によっては全体を汚染することが考えられる。そこで、今のお話を聞いておりますと、完璧を期した一つの予防法を講じておるが、どうもそれがうまく行われておるか行われていないか、これを監督しているのだということは、結局、見きわめをつけない不確定のものを許可して、これくらいならばこの川の水の中へ流れていてもさしっかえないのだというようなことで、そこで手ぬかりを、抜け道を鉱山局なら鉱山局で考えているのじゃないかと思うのです。そういうふうにわれわれは感じられる。それで、今の小笠原君に対する答弁の中に現われた割り切れない問題というものがそこにある。やはり私は、さっき企画庁の方で言われる通り、この範囲に水を出すことはいけないならばいけない、こういうことについてきちんとしたものを厳重に調べて、そしてやっていきますならば、今言われるすうな、何かあいまいな点が出るような問題は生じないと思うのです、この点はどうなんですか。
  67. 小岩井康朔

    説明員小岩井康朔君) これは、正確に申し上げますと、害を与えるいろいろのものに対するその恕限度というものが正確に決定ができてないのであります。これは非常にむずかしい問題で、これを今後共通的にきめて参りたいというのが企画庁の方の今度の案なんでございますが、はっきりした数字が決定されておりませんので、これ以上出た場合にはいかぬとか、これ以内ならよろしいという一つの線が引けてない関係で、大体まあ従来の経験からこの程度ならよろしかろうという従来の実績からやっておるので、その点は多少あいまいになるのではないかというふうに考えております。
  68. 清澤俊英

    清澤俊英君 しばしば一番被害をこうむられるのは水産庁だと思うのです。そこでこの問題が出て、いろいろ各省間にわたっての問題でありますので話し合いしたが、なかなかめんどうでつかなかった。従って、企画庁に立案のあっせんを願って進んでおられる。一番めんどうなのはどこなんです。私の知る範囲においては通産省だと思いますが、どこなんですか、それをまず一つお聞きしたいと思います。建設だか通産だか。
  69. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) ただいまの御質問にお答え申し上げまする前に、先ほど交換されておりました除害施設被害関係ですね、これについて私たちの考えを申し上げたいと思います。鉱山に関しましては、長い間の伝統もあり、かつ法制も整備しており、また当事者間の争いのある場合、たとえば鉱区の設定禁止というようなことをする場合には、土地調整委員会という一つの裁定機関もある。まあそういうことで除害施設についてのいろいろな制度は、私はおそらく一番進んでいるのじゃないか、こう思います。しかし、その他の部門については、これは正直なところ、断片的な法律はございます、水産資源保護法あるいは都市汚物についての清掃法、それからまた河川法の河川管理という観点から見ました規定はございます。しかし、法的な体系として汚水処理の問題がこれで整備されておるということは、私はこれは申し上げることはできないと思うのでございます。かつまた、先ほど鉱山側から、被害の恕限度というものが非常にむずかしい、こういう話でございましたが、工場事業場につきましてはなおさらのこと、この場合におきましてPHを一体どの範囲にとめるか、あるいは排水中における酸素の含有量をどのぐらいに保持すべきか、あるいは排水中の酸素の消耗要求量というものをどのくらいまでにするべきか、あるいはその中に浮遊物の混在するのをどの程度これを容認するか、そんなふうな限度をどこにきめるかということは、これは非常にむずかしい問題であると思うのでございます。もしも水産側のみで要求するならば、完璧な処置をするということは、おそらくこれはまた一方工場事業場のその経営という立場から見れば、何らかのそこに妥協をしてもらわなければ困るというふうな線が必ずあると、かように思うのでございます。そこで、私は除害施設をすればそれで被害は起らないのだ、そういうことでは私は相ならないと思うのでございます。総体的に、できる限りの除害施設はしてもらって、被害は最小限度にしなければなりませんが、しかしながら、それによって被害の発生の可能性というものが全然なくなるということは、これはとうてい求め得ないのではないか、やはりそこに損害を与えた以上は、これは賠償しなければならない、これは当然のことであります。そういうような紛糾というものは、従来よりも合理的な基礎の上に立ちますけれども、依然として私は残るのじゃないか、こんなふうなことを感ずるのであります。そこで、今企画庁でとりまとめようとしておられます調整案につきましては、私は、先ほど被害を受けております水産という立場からこれを眺めました場合におきまして、非常に不十分なものがあるということを、新らしくこういう制度をこれから考えるという場合の私の個人的な私見という形において申し上げたつもりでございます。すなわち、単に水質汚濁許容限度をきめるということだけでは、これはあくまでも不十分なのでありまして、それは一方において時間をかけて、科学的な基礎の上に立って究明をしていかなければなりませんが、同時に、個々の工場事業場に対して除害の施設についての行政的な命令をする、あるいは法的な拘束力を加えるという、そこに何らかの制度づけというふうなものが必要であるのではないか。また、当面起っておりまするいろいろな紛糾に対する調停あっせん等のやはり対策を、この際、至急に講ずることを、基本的な水質汚濁許容限度の審議会を作る問題と同時に、私は解決しなければならないのではないか、そんなふうなことを感じておる次第であります。従って、どこの役所が一番やかましいか、こういうお話でございますが、私の方はそういう立場で意見を申し上げておる次第でございまして、よその役所のことはどうぞ私から申し上げることは差し控えたいと思います。
  70. 清澤俊英

    清澤俊英君 大体の水産庁説明によりますと、語るに落ちている、結局通産省関係だ。そこで通産省の方では、さっき御説明がありましたが、この問題についてどうお考えになっていますか。と言いますことは、先ほども言われる通り、集団的な繊維工業等の地区において一番問題が生じておる。これは初めのうちは、なるほど小さい工場が一社川の中に放出するくらいのものは、これは許容量に対して大した問題がない。これは放っておく。次から次へとできる。それが一つの織物地区になって、染物地区になるということになりますると、全部から出るということになると、許容量もまたずっとオーバーしたものになるだろうと思う。そういう地区は私の地区にもあります。始終見ております。全く川の色が変ってしまって、問題を起しているというような地区もありますので、そういう点に対して通産省は、ただ中小企業を保護するという建前だけで始終この問題の解決にどうもめんどうを言うておられるのじゃないかと思う。それから既往のものに対してはこれは何らかの設備処置等の措置が必要としても、これからのものに対しては、徹底的な方策を講ずるというような心がまえが私は当然必要なのじゃないかと思いますが、その点はどうなんでしょう。
  71. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 私は、先ほどたまたま中小企業の密集している地域の被害の例を引いて説明したと思いますが、実際問題としましては、そういう地域だけではなくて、河川状況等を見ますと、その上流に遡っていろいろな原因が重なって、だんだんと水質汚濁していくというような、そういう因果関係を、精密に化学的に確定することは非常にむずかしいのでありますが、しかし、そういうことは別といたしまして、いずれにいたしましても、たとえば河川流域の企業なり工場事業場がいやしくも汚水を出して、それによって外に迷惑をかけているというときは、もちろんそれに対しては十分その状況を排除しなければならぬということは当然であります。従来といえども、企業は、それぞれの工場事業場でできるだけのことはしていると思いますが、現在のところ、必らずしも十分でない。十分でないためにいろいろな事故なり、事件が起っているというふうに考えます。従いまして、今後の問題といたしましては、先ほど御説明をいたしましたように、やはり制度として、あるいは法律制度をもってやはりある程度の強制をする必要がある。しかし、その強制をする際に、御承知のように先ほど申しましたようなそれぞれの自然条件、河川状況、水の量その他で非常な差があるわけでございますから、一律一ぺんにただ強制するだけでこの問題は片づかないので、先ほど来企画庁からも、あるいは水産庁からも御説明がありましたように、その状況に合うような基準を作って、その基準で強制をするということにやって参るということが、私どもの希望であります。しかし、これも先ほど申しましたように、排水をできるだけ処理するということではございますけれども、それが完全にまあ色もなく、あらゆる不純物も含まない、全くの蒸溜水みたいのものになるということは、とうてい不可能であります。その辺のところに、実際問題としてのこの許容基準を設ける、許容基準までは必ず強制する。あるいは強制する際に、中小企業のような場合に対して、ただ一律に強制するだけでは問題は解決しないので、強制すれば、その結果が必ず実行できるようなことをあわせて考えなければいけないのではないかということを、補足的に申し上げているだけでありまして、基本的には、やはり一定の許容基準までのところには必ず施設をするように、法律をもって強制するべきであるという基本的な考え方は、先ほど来企画庁や水産庁から説明のありましたのと一致した考え方を持っております。
  72. 清澤俊英

    清澤俊英君 許容基準というやつが、先ほどからも問題になって、むずかしいに違いないということは、このたびの本州製紙の場合でも二つの主張があるということからもわかる。本州製紙の方で、先般決算委員会で、言うているところを聞きますと、その一つは、自分が流した水でもって果してああいう被害が出たものか、自分の方ではないのだと、こう主張している。それが一つ。いま一つは、自分のところだけでなく、方々の製紙会社も上にも下にもある。またほかの工業会社もある。それだから出てきているのだから、自分が果してああいう被害を与えたかということもこれもわからないと主張しておられるところもある。そうしますと、ただ江戸川という水の量に対してだけの許容量というようなことでは、私は問題は片づかないと思うのです。結局するならば、一工場単位にした最低限の人間の及ぶ限りのまあ清浄な水を出してやる。それは完全なんということは、人間のすることで、できまいと思いますから、そんなむちゃなことは言いませんが、最低限の清浄水を流すぐらいのことは考えるべきではないか。急所は、私は、そこにあるのではないかと考えますが、どうお考えになっていますか。
  73. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 今御指摘になりました本州製紙の場合は、会社側がどういうことを言ったからそれがどうということを私がここで申し上げるのは、いかにも弁解がましい卑屈なことになりますので、差し控えたいと思いますが、いずれにしても、その工場の位置しておる場所、その周囲の環境と照し合せまして、その工場として当然やらなければならないぎりぎりの基準までは、もちろん当然やるべきだ、そのために費用がかかり云々といっても、それはできるだけのことはやらなければならぬのでありますが、現状では、御承知のように鉱山についてはすでに立法ができておりますけれども工場につきましては、一般的にはそのための基準の強制をする直接の法律がない状態でありますので、先ほど申しましたような意味で、一般的な基準とあわせまして、その基準に合せたところまで除去施設をするような実施法を、私どもの方でも用意しておる。それを立法化したいという希望を持っておる次第でございます。
  74. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうすると、それが何にもない。それは大体聞いておりますが、そこでああいう問題が起きますと、東京都がこれで十分という特別の配慮をした施設ができて、その水を流すということでなければ許可をしない、こういうことは、法律的根拠なくして、局部的な申し合せでやっているのですか。
  75. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 東京都の場合には、都の条例でそういう認可を経なければ施設ができないということにしてあるのでございます。これは東京都の場合でございますから、私からかれこれ申し上げにくいのでありますが、実際問題としては、なかなかその運用がむずかしかったのではなかろうかと私は思います。現実問題として、本州製紙の場合にはああいうような非常に申しわけない事故を起しております。これについては、今沈澱池の問題その他の除去施設を早急に実施させるということでいく必要があるだろうと思います。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 東京都のその条例は、あなたの方の持っている法律の何かによって作られているのだろうと思いますが、ただ、東京都単独でぱっと作った法律ですか。それとも農林省の漁業法による省令のあれで作られたのですか。
  77. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 漁業法には関係ございません。それは地方自治法によりまして自治団体が条例を制定することができることになっております。ただし、この条例でどこまで拘束を加え得るかということは、いろいろむずかしい憲法論がございます。その条例によってそういう規定を設けたことと了承いたしております。
  78. 千田正

    千田正君 通産省に聞きますが、従来起きておったこういう紛争のケースがここにありますが、今まであなた方の方では、そういう問題の処置として、設備に対する助成金は出しておるのですか。
  79. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 従来できるだけの除去施設をやるように行政指導はいたしておりますが、それ以上に、特別の助成金、補助金等は出しておりません。ただ、先ほど申しましたたまたま中小企業の集団地域について共同施設をやる場合の国庫補助金を、建設省の予算から出していただいているというだけであります。
  80. 千田正

    千田正君 私は、今後、これは企画庁にも聞いてもらいたいのですが、あなたの方では立案しているそうですが、一方においてはこうした施設をさせなければならない。法律において強制するためには、その裏づけとしまして一応施設するだけのある程度の、それは強弱があるでしょうけれども、設備資金に対する助成をしてやらなければ、法の完璧は期せられないと思います。そういう点において、通産省としましては、何らかその問題について考えておられますかどうか。ただ法律だけ作って、やっちゃいけない、こういうことをやってみたところで、中小企業者などは金がないし、出てくる製品がコストが高くなるというと、そういうことなどやっているひまがないということになると、結論において相変らず汚水を流していく、こういうことになるのであって、法的に完全なものを作っていても、その実施に当っては、そうした国の法としての便法を考えない限りにおいては、その法律は完全を期せられないとわれわれには考えられるが、その点はどうなんです。
  81. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 私から御説明いたしますが、先ほど私補助金のことだけに限って御答弁申し上げたと思いますが、従来ともやはり大きな処理施設、除去施設を作ります場合には、開銀資金のあっせんをいたしております。従来の実績で申しますと、三十一、二年度におきまして大体五億程度の開銀資金の融資をしてもらっております。
  82. 千田正

    千田正君 それで、将来及びこの次の国会に企画庁としては汚水防止法案を出す。出すとするならばもちろん罰則がつくはずですが、つけてくるでしょう。罰則がつくほどの強制立法にするためには、一応のそうした国において見てやるという一つの恩典を、ある程度考えない限りは、決してこの問題は解決できない。私は、過去十年間にわたって水産委員として各地のそうした問題に出張してきましたが、中小企業者に限って、なかなかやっていけない。そういう点まで考えておられますかどうか。
  83. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 私の方で考えておりますのは、許容基準をきめます基本的な立法を考えております。これに基きまして、たとえば河川法なら河川法に、汚水を流してはいかぬ、流した場合の禁止措置及び罰則がついておるわけであります。ただ、ただいま企業局長お話通り工場に、そういう許容基準まで水をきれいにするといったような施設を強制する根拠はないわけでありますから、そういう工場に対する監督法規と申しますか、規制法規、これを通産の方で用意していただきますその際に、先ほどお話通り除害施設の設置その他についていろいろ御考慮がある、そういうふうに了解しております。
  84. 千田正

    千田正君 先般、アメリカの政府から日本に対して、日本の民間の指導者を水質汚濁防止について、アメリカ国内における施設、設置の状況の視察に招聘しているわけです。それらの人たちの報告の一端を聞きましても、アメリカあたりは、日本とは国情は違うにしましても、厳重にそうした環境衛生の立場、あるいは水産資源保護立場、そういう点からは、厳重な罰則を作って、なお一方においては、そういう面における事の起らない、ような実際の方法を行なっておる、両面のいき方によって、一応完成しておるということを聞いたのです。あなた方の方でも、十分そういうことは研究しておるでしょうけれども、どうなんですか、ほかの国と比較して考えまして。
  85. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) アメリカの立法は、州によって非常にまちまちでございますが、非常に進んだところでは、ただいまお話しの通りのことをやっております。ヨーロッパの方の立法になりますと、大部分が日本の河川法式の考え方の立法になっております。アメリカでも、ただいま申し上げましたように、州によっては日本の河川法と変らぬような取締りをやっておる。従って、私ども考えておりますように、基本法としまして水質の許容基準をきめ、工場事業場にそこの基準まで持っていくような除害設備の設置命令ができるということになりますと、大体、所期の効果は上るんじゃないかという考え方でございます。
  86. 千田正

    千田正君 そうしますと、通産省にお伺いするのですが、今、企画庁としての考え方は、基本法をきめる、そして各省の行政的な立場から、実施に当ってはそれぞれの各省における省令なりあるいは別個の法律ができるとしましても、今私が申し上げたようなことをやらない限り、かりに基本法が一本の柱が出ましても、十分なあれができないんじゃないか、私はそう考えるが、あなたの方においては、そういう面に対する実施に当っては、十分助成なり、補助なり金融のあっせんなりをして、損害が及ばないような方法考えておられるのですか、その点どうなんですか。
  87. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 先ほど申し上げましたようなことで、当然私どももその点を非常に強く熱望しておるわけであります。先ほど申しましたように、中小企業の集団地区のようなものは、一人々々一つ一つの企業が施設をすることが非常にむずかしければ、共同で一つ施設を作るようにという指導をしてそれには補助金を出すということをぜひ考えたい。大企業については、必ずしも補助金ということは要らないかもしれませんが、少くとも資金のあっせんということで、実際上施設ができるようなお手伝いをしてやる、さらにまた現在では、このような公共のためにも役立つような除去施設についても、固定資産税その他すべて税金がかかっておるのであります。その点も、固定資産税等についてもやはりある程度の国の配慮があってしかるべきじゃないか、そういうことをやりながら、必要なまでの除去施設その他は必ずやるように、法律を作って強制をして必ずそれが実効があがるようにということが、私どもの強い熱望であります。もちろん税金は別でありますが、補助金とか資金のあっせん等は必ずしも法律に書かなくても、実際上やればいいじゃないかという議論があるのでありますが、われわれとしましては、できるだけ法律にもそう趣旨をうたって、補助金なり資金があっせんできるようにということを、法律の建前としても宣言的に置いておきたいというのが、われわれの従来の立法に対する強い希望であります。今お話通りに、私ども強く希望しておる次第であります。
  88. 千田正

    千田正君 水産庁長官並びに通産それから企画庁にお伺いするのですが、今から五年前にこういう問題は起きておる。あるときは、島根県のある市では、市会が混乱に陥ったような事情もあるわけです。その際も、農林水産委員会といたしましては、国家において、政府において、あるいは内閣直属でもよろしいから、そういう紛争を解決するところの強力な委員会というものを設置して、まちまちな考え方でなく、断を下すだけの強力なものを持たなければ、これが解決しないのじゃないか、法律がない以上は、それ以外にないという考えを持っておったのです。そうしてたびたびそれを進言しておったのでありますが、政府は、その当時から、吉田内閣時代から、考慮しておきます、考慮しておきますと言って今日に至っておる。今度こういうような事件が起きて、さらにわれわれがそれを深刻に考えるのですが、その基本的の法律の中に、いわゆるそうした審議会なり、あるいは調整委員会的なものができて、そこで断を下したならばそれに従うような、強力な何かのことを考えておられるかどうか。企画庁では、何かその法律案の中に、そういう問題を取りあげておるかどうか、その点はどうですか。
  89. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 経済企画庁の方で基本法を作りますと、水質許容基準がきまります。たとえば具体的に申しますと、江戸川の本州製紙工場の場合に、その工場から流す水は、ここまできれいにしなければならぬという許容基準を作るわけです。それを工場がそのまま実行してくれればいいのでありますが、かりに実行しない場合には、ただいま通産のお話のあったように、工場に対する規制立法でそれを規制して参る、こういう二段がまえになっております。ただいま千田先生のおっしゃいましたような委員会でそれを強制するのでなしに、委員会の方は、これは私どもの方では水質審議会という名前をつけておりますが、その審議会で許容基準だけをきめます。その許容基準を政府が告示をして、その告示を受けて通産の立法で規制する、こういう二段がまえになっております。
  90. 千田正

    千田正君 もう一点だけ。  水産庁長官に聞きますが、この間の本州製紙の問題がこの通りクローズ・アップして参りましたけれども、決算委員会におけるところの証人の言葉を聞くというと、東京都の部長は、いわゆる地方自治法において東京都条例によってこの程度の施設をしておれば間違いが起らないという観点のもとに許可した、こう言うのですね。そうして、従って自分らとしては損害賠償等にタッチするだけの権限も持たないし、そういう問題に対してはタッチしたくない、こういう考え方をとっておるわけです、東京都においては。しかし、漁民からいえば、そんなことでは承知できないわけです。たとえばその許可、不許可の問題も出てくるし、また、実際の損害に対しての問題も出てくるわけですが、許可する場合におけるところの東京都条例なるものは、水産庁水産資源保護法に基く魚族保護に対するいわゆる防御の意味の条例なのか、それとも通産省関係の法律に基くものか、または地方自治法に基く条例なのか、その分が分明しておらないのですが、長官はどっちに考えておられるか。
  91. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 東京都で出しておりますのは、これはあくまでも条例でございまして、従いまして、水産資源保護法とは何ら関係もございません。東京都が都行政を運営する上におきまして、工場事業場等の建設を認可する、その際の取扱いを取りきめたものにすぎないのであります。なお、そうでありましても、私は、これはあくまでも東京都知事の処分であることには間違いないと思います。東京都知事の処分である以上は、その工場事業場の施設の内容の問題のみならず、それによって起りまする周囲の被害等の問題をも勘案して、そういう総合判断のもとにこれが処分をするというのが、これが、私は常識じゃないか。必ずしもすべり出しにおきましてそういかなかったということが、今日こういう問題を紛糾させる原因に相なったのではないかと、かように考えるのでございますが、幸いにいたしまして事態収拾については、東京都及び千葉県におきましても、確固たる考えを持っておるようでございまして、われわれも相談にあずかっておる次第でございます。
  92. 東隆

    東隆君 今、企画庁の方でお考えになっておるのは、二月の五日ごろにお出しになった、——これはアドバルーンを上げられたのじゃないかと思うのですが、水質汚濁規制の基準に関する法律案、これがお考えの基礎になっておると思うのですが、そうですか。
  93. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 前国会に間に合せようと思って準備したのはさようでございます。
  94. 東隆

    東隆君 この法案をめぐって、漁業協同組合関係であるとか、その他から猛烈な反対がありまして、そうして私どもの方で、水質汚濁防止法案というのを二十八国会に出しております。これとの違いはおわかりだろうと思いますけれども、政府の方の案は、先ほど二段がまえでやるのだと、こういうふうに言われましたけれども、加害者とそれから被害者と、これが全然違う場合に、たとえば通産省が中に入って、通産省関係の法律によって云々と、解決をつける、こういうようなことは、これは非常に困雑なことに相なっておるのじゃないか、こう思うので、やはり二段がまえでなくて、一段がまえでもってやるべきじゃないかと、こういう考え方を持つのですが、そういうような点で、一つもあれからお考えに進歩がないのですか。
  95. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 通産側の方で、つまり加害者側として、そこの監督官庁でやるのは無理じゃないかというような御趣旨に伺ったのですが、基準をきめますのは通産省でなくて、中立の機関であります水質審議会が答申しまして、これを内閣、政府が出すわけでございます。ですから、そこの基準というものをぴしゃっときめますのは、あくまでも公平な機関がきめる。それを工場に履行させる担保を監督官庁である通産省が履行する、こういうことになっております。この点に関しましては、前国会以来、私どもの基本的な考え方に変化はございません。
  96. 東隆

    東隆君 水産庁、それから農林省関係の方で、この企画庁でもってお出しになった案に全面的に賛成をされておるのですか。
  97. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 水産庁といたしましては、水産庁の意見を申し上げておった段階でございまして、まだその意見に従っての調整が終らない間に法案は提出されないと、こういうようなことに相なった次第でございまして、全面的に賛成を申し上げるというふうな意思表示はいたしたことはございません。
  98. 東隆

    東隆君 私は、農林省と今申しましたのは、単に水産関係だけでなくて、作物の方の関係でもってだいぶ問題を起しておるものがあると、こう思いますが、そちらの方の事例がありますか。
  99. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 午前中御説明いたしましたように、工場事業場等の排水によりまして、灌漑水が汚染して、その結果作物等に被害が相当各地に出ておる、そういう事案がありまして、それに対しましてこちらといたしましても、午前中に申し上げましたように、水源のつけかえの工事をやるとか、あるいは毒水を深層の地層に浸透させる工事を実施する、あるいは毒水の入りました水田の客土、天地返しをやる費用を助成する、そういう点をある程度推進しておりますが、まだ十分ではございませんので、今後さらにそういう点をやりたい、こういうような対策は講じてはおりますけれども、何分にも基本的な法律において、なお十分じゃないのじゃないかというふうな点もありまして、前国会には企画庁から、先ほど御説明がありましたような法案提出の運びも、準備もありまして、その際作物関係、特に水なり土地の管理をやっております農地局としては、企画庁案に対しまして、いろいろ各省の打ち合せがありました際に、先ほど水産庁長官からも御説明がありましたように、さらにやるにつきまして一そうの実体的な、取締りなりあるいは除害の規定なり、あるいは仲裁、あっせん等の機関を設置するなり、そういった実体的な規定をさらに付加されてはいかがなものかと、こういうような意見を申し上げて、調整されておる段階で、提出にはならなかった、そういうような状態でございます。
  100. 東隆

    東隆君 企画庁の方では基本法をこしらえる、これは水質汚濁規制の基準に関する法律というのですが、これは名前は変ると思いますけれども、この法律はこの前の勧告を骨子としてやはりお作りになったものと考えておりますが、この場合に、ここで示されたたとえばB・O・Dの関係であるとか、PHの関係について、こういうものは、たとえば植物の生育に非常に幅の広い、たとえばPHになりますと非常に広い許容の範囲がある、こういうなまやさしいものでいいのですか、これは農林省の方もやはりお考えにならなければならないのじゃないか。たとえばこの勧告の二十ページの水素イオン濃度、PHの範囲が五・八から九・〇、こういうふうになっておる。普通ですと七でしょう。それで微酸性のところにできるものもあるかもしれませんけれども、アルカリ性のものも出てきます。これだと非常に許容の範囲が広いのですが、七ぐらいのところできちんとやって、それにつける範囲を近づけるような厳格な規定にこれはなぜできなかったのですか、許容の範囲を……。
  101. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) その勧告の考え方は、全国一本の共通の基準を作ろうという考え方なのです。私ども考えておりますのはそうでなしに、工場事業場ごとにその放流口に、工場ごとにきめていこうという考え方なのです。ですから、場合によってはそれは共通の、ある河川、江戸川なら江戸川のPH幾らという共通の基準はできるかもれませんが、原則といたしましては、工場の放流日ごとにきめていくという考え方をとっております。従って、そこに示されました基準は外国の立法例を参照にされましたごとく何といいますか、腰だめ的な考え方でございまして、私どもが現在検討いたしておりますのは、それとは違っております。
  102. 東隆

    東隆君 そうすると、何ですか、農林省の方ではこの範囲につきましても、たとえば本州製紙の場合ですね、あの場合に河口の方の貝の死んでいる状態、そういうようなものを見たときに、あれはどういうような方法でもって試験をされるのですか。あの場合における貝類が死滅をしていっているあの状況を、どうやって試験をされるのですか。
  103. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) それは、放流をいたした当時におきまする水をすでに採取して水質試験をいたしております。従って、その水質試験と、それから同時に生物試験と、この両方から見まして、それぞれの害の程度を総合的に判断すると、こういうことでいかなければならないと思っております。  それから、今のお話は、全体の漁獲の減収による損害量のお話かと思いますが、これについてはいろいろ今調査をいたしておりまして、近く取りまとめることに運びたいと、こう考えております。
  104. 東隆

    東隆君 僕は具体的な本州製紙の問題を持ち出しましたけれども、あの場合に、あの地域における貝が死滅をしておる。そしてその原因本州製紙の水によって死んだのか、あるいはその中に流れておるあの黒い水で死んだのか、あるいは前から流れておる白い水が蓄積されて、あるいはまたその中にある有機物が沈澱をして、そしてちょうどあの地域が有機物がいつも停滞をしておって、それが腐敗をしてと、そういうような形に置かれておるところだからああいうような状態になったのかもわかりませんし、まあいろいろな条件が総合されて、あそこの形が出ておるわけです。そういう場合に、単に河口におけるところの廃液を調べて、そしてそれの生物的な試験を行なって、そしてこの程度のものでよろしいのだと、こういうので、たとえば黒い水を出してもよろしいと、放流してもよろしいと、こういうような決断を下されたら、これは実に変なものができ上ってくるのではないか。私はやはり、先ほどのペーハーのような問題にしても、完全に水の状態を中性のものにして出すと、そういうことは可能だろうと思う。それを許容量をこしらえてやるのは、これは間違いじゃないかと思います。それから浮遊物をこれはもうできるだけなくすること、これが問題なのであって、それに限度をやるというのは、これは簡単にはできないかもしれませんけれども、そういう問題がある。だから、その場合における化学的な試験によってといいますけれども、そのとり方が非常にむずかしい問題になってくると思うのです。だから、あそこにおけるところのただ補償というものでもってやっていったのでは解決がつかないので、あそこでもう一回貝がとれるような状態に作り上げていく態勢を作らなければいかぬので、それは全然違った形のものになるのではないですか。
  105. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 結局、今後の対策を立てるに当りまして、会社側及び被害者の組合側、両者が相対峙した形でなしに、都及び千葉県、会社及び組合と、この四者を網羅いたしました一つ委員会を作りまして、そしてその委員会において、先ほど申し上げましたように、水産試験場等ですでに採取しているもの、またこれから採取一するもの、そういうものについての十分なる検討をし、また被害につきましても、その委員会において話し合って話をきめる。そうして、実は科学的な究明で出し得る結論にはやはり一つの限界があるだろう、科学的には究明されないが、しかし常識的にはそこまでの被害があると考えるのが当然であり、あとの漁場の回復に力をささげるのも当然だというような常識的な線があると思う。そこら辺をあわせましてその委員会で十分話し合いをさして取りまとめていく、こういうことによってただいまのお話のような問題もそれぞれ解決されていくと、かように考えております。
  106. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほど水産庁の長官にお伺いしましたとき、東京都が単独の条例で今本州に対する取締りをやっておると、こういうお話でありましたが、水産資源保護法の第四条の四号が存在しておりまして、これが「省令又は規則」となっているが、都道府県知事ですから条例だろうと思うのですが、一応ああいう非常の場合すぐとめられるというようなことがきめてありますれば、非常にあとの処理が、あれまでの紛糾をしないで済むのではないかと思うのですが、これについて何か考えておいでになりましょうか。と申しますことは、第一回にとめてあったと思うものが出ておったというので、ああいう紛糾が出た。とめてあったと思うというのを、完全な規則でこれをきちんととめておく。そのとめる場合には、ときによりましたら、とめてあった期間に全く損害がなかったということが明確になれば、それに対する補償条例をつけておけばいいのでありますから、そういうふうなものをお作りになっておったらああいう問題出ないと、こう私は考えるので、これからでもおそくはないと思いますが、お作りになる御意思があるのかないのか、私はぜひ作った方がいいのではないかと思う。
  107. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 実は水産資源保護法第四条の省令を制定するに当りましては、この法律の規定によりまして通産大臣に協議をしなければならないと、こういうことに相なっておるのでございます。そこで私は、私限りの個人的希望という意味で申し上げておるのでありますが、それは農林省の中の省議等の相談の段取りも経ておらないところで申し上げておるのでありますが、私は水質汚濁についての規制の法令の発動というものは、被害側、あるいは加害側、それが別々に権限を持って、別々に発動するという形でなしに、やはり総合された形において発動されるのが望ましいのではないか。そういう意味におきまして、今後企画庁でこれに関しまする法律をまとめられるに当りましては、そういう総合的な水質汚濁についての規制の法的な権限を明らかにしてもらいたい、こういう希望を申し上げたいと、かように考えておるのでございます。従いまして、今日今の段階におきまして、この水産資源保護法第四条に基きまする省令を通産大臣に協議申し上げても、おそらく通産大臣も返事にお困りになるだろうし、私の方もむしろそれよりも全力をあげて新しいりっぱな法律を作ることに力を注ぎたい、こう考えております。
  108. 清澤俊英

    清澤俊英君 僕はそこなんだと思うのだね。いずれ時期はわずかだと思いますが、通常国会を期して完全なとまあ一応言っておきましょう。不完全であるかもしれません。総合的な御意見のような希望を盛った法律を作ることが望ましいと、私らもそれは望ましいと思います。それの成立には全幅の努力を傾けたいと考えておりますが、その間やはりそういう考え方があれば、あることを一応通産大臣並びに建設大臣等とお話し合いになって、そうして臨時的な省令としてでもよろしいと思うが、一応、こういう不測の場合が出た場合に、直ちにこれが第五号の「水産動植物の保護培養に必要な物の採取又は除去に関する制限又は禁止」の省令をお作りになっていた方がいいのではないか、四、五を中心にして……。これは答申も得られると思うのです。ただ問題は、その場合、果してその効果があるかどうかの判定がなかなかむずかしいから、ただその場合に、言うがごとき有害のものでなかったという場合に、損害の問題が出ますから、それだけさえ規定しておいたら、すぐとめると、こういうことで農林省の大臣の認定によってとめていくと、こういうことになりますれば、一番被害を少くして、次の立法に対してまことにこれは有効なものができる基礎にもなると思うので、私はこういうふうな努力をまずせられるのが妥当なのじゃないかと、こう思うのです。いま一度一つ見解を伺っておきたいと思うのです。
  109. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 水産資源保護法昭和二十六年に制定せられましてから今日まで、第四条の省令はまだ発動いたしておらないのでございます。しかし、これが発動しなかった点につきましては、私、先ほど申し上げましたように、害を加えます産業の間の調整ということが非常に困難であったから今日まで発動されなかったのではないかと、かように私は考えます。そこで、もちろん今被害側からまっしぐらにこれをかつぐというのも、これは一つ方法かと思います。方法かと思いますが、私は、できればそういうものを超越した一つの総合的な法的な規制というものを解決し得れば、それが私は最善じゃないかと、こう考えております。
  110. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこで、物事をやっていくには時期というものが大体非常に必要である。これか平穏無事で五ヵ月なり六ヵ月なりたつと忘れてしまう。忘れたところで水質汚染の根本立法を作るなどというと、なかなかまた問題はめんどうになると思うのです。今、現在ぶすぶすといぶって、全部がそういう一つの根本立法を作らなきゃならないという意向がまとまっているときに、あなた方がそれを出せば、通産省といえども建設省といえども、これは大した問題ないと思うのです。御協賛願われ、できるまでの間でも、直ちに省令を出されてやられる絶好の時期だと思うのです。今一番燃え上った時期だと思うのです。水質汚濁という問題は、われわれが聞いた範囲におきましては、数年前からです。ことに大阪湾における沿岸漁業の壊滅等のときから、これはほとんど取り上げられない。今燃え上って、漁民は全部立ち上って大会を開くなんという、これは今までにない一つの形勢が出ているのです。おのおの認識も違っていると思うのですから、この機会におやりになった方がいいのではないか。このことを考えるのですが、どうぞ引っ込み思案でなくおやりになっていただきたいと思う。
  111. 北村暢

    北村暢君 今、清澤先生から出ていた問題なんですが、水産庁長官農地局理部長の主唱しているあっせんもしくは調停が、できれば仲裁、こういう措置までやるということを希望したい、こういうことを言っておるのだが、基準を作るだけなら、これは作ったって作らなくたって同じで、守られるか守られないかという問題で、ざる法を作ったって、基本法として何べん作ったってだめなんですね。そこでその水質の基準を審議会で作ったものがいかに守られるかということを監督することについて、それを通産省なら通産省に一つ監督権がいく、通産省側も工場を認可する場合において、その毒水排除の施設をしなければ工場を認可しないというなら、それが完全にできて、そして毒水が出ないような監督、実際にはこの資料にもありますように、毒水排除の施設は大部分がやっているのですよ。やっておってなおかつ紛争が起る、問題が起る、そこに問題があると思う。であるから、私はやはり監督官庁が、予防措置として行政的な、その基準に示されたものが一体実施されているかされていないかということを、いつだれが監督するのか、ここがやはりはっきりされてなければいけないということが一つ。  それから、その監督にもかかわらず、問題が発生した場合に一体どうするのか、それは農林省は調停なり仲裁なりでやりたい、そういうことを言っているのです。これに対して通産省側は、農林省がこういう意見を持っておるのだが、一体そういう仲裁なり調停なりというものに応じ得られるのか、それはとてもそんなものをやったって背負い切れないので、それはだめだというのか、そこのところを明確に一つ答えていただきたい。
  112. 松尾金藏

    政府委員(松尾金藏君) 従来も実際に紛争が起りました場合には、当事者同士だけで話し合いがつくというのはむしろまれであります。事実上むしろあっせんなり何なりが入って解決されているのが大部分であろうと思います。従いまして、そのような紛争問題について公平な、また実際的な紛争の処理ができるということは私どももちろん賛成であります。ただ実際問題として、全国一律に、全部問題はここへ持ってくれば解決するようなものが果してうまく構想できるかどうか、むしろもっと実際的な問題を考えて紛争処理をやっていただくということは、もちろん賛成な気持で考えております。
  113. 北村暢

    北村暢君 通産省が監督官庁として、基準がきまったものに対して常時監督されなければならない、そして監督するのも、被害が往々にして起るのは、先ほども言ったように、水が出たときを利用してやるとか、実際に問題が出ていても調べに行ったときには放流していない、ところが水質を検査に行ったときには確かに基準外だ、夜の夜中、わからないときに放流している、こういう問題が出てくる。ですから、実際に何といいますか、監督といっても工場の施設を徹底的に監督しただけでそれで事足りるということはできない。そうしますと、やはり常時の監視というものが必要なんでありますから、それはやはり通産省でやろうったって膨大な機構を持っているわけでもないし、私は不可能だと思います。これを監督するということは、やはりそういう水質面におけるいろいろな——工場だけでないのです、これは厚生省関係の下水の消毒、下水の処理の問題も、最終処理の問題もありましょうし、いろいろな関係が出てくるのだから、やはり水質を維持するための機関というものは、そのセクション、セクションでもって監督するのは、もちろん行政指導としてやるのは当然なことなんだけれども、それだけで目的が達せられていないから、今まで問題が起ってきておる。だから、私は企画庁に考えてもらいたいことは、そういう監督機関というものが、もっと権限のあるもので、知事に委嘱するにしても何にしても、その方法等についてはいろいろあるかもしれませんが、とにかくその監督を厳重にする、常時監視のできる機関というものが絶対にこれは必要じゃないか、そういうことはやはり法律で規制をしておく必要がある。こういうふうに考えますが、企画庁の法律の立案にあずかっての先ほどの説明だというと、そこまではいっていないようだが、一体そこまでやる意思があるのかどうか。企画庁に一つお伺いをしておきたい。
  114. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 具体的に水質基準がきまりました際に、それが励行されているかどうかという担保でございますが、これは現在都道府県の衛生部がございまして、これが上水道の水源に使っております河川の場合には、常時検査をいたしております。従ってそういう河川については、工場側は故意でなしに、過失で薬品を流してしまったというような場合にも、立ちどころに発見できるというしかけになっております。そういう方法もございます。さらに、根本的には、河川法による建設省の監督もあるし、ましてや今通産省でお考えのように工場に対する規制立法ができますれば、これを待ちまして十全の働きをなし得る、必ずしもこのために新しい行政機関を作らないでもいいのじゃないかという考え方でございます。
  115. 北村暢

    北村暢君 それでは、先ほどの調停仲裁の機関ですが、これは原因工場側にあるのか、鉱山にあるのか、汚水処理にあるのか、あまりはっきりしない。それで、それをやはり裁定する機関というものが各官庁ごとに監督するが、監督漏れでもって問題が起るのだから、それはやはりどこにも所属しない公正な第三者が調停なり仲裁なりをする機関が必要だ、こういう点については、通産省の方では一律のものは困るけれども、そのやり方は地方に置くか、中央に一方にするか、いろいろあるだろうと思いますが、しかしそういう機関を設けるということについての考え方はどうでしょう。
  116. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 問題が二つ出てくるかと思うのであります。たとえば水質基準をまだきめていない場合、その際、今の江戸川の工場のような場合が出て参りますと、その際に水質許容基準を何ほどにすべきかということに関しましては、水質審議会が動きます。この際には、当然下流産業の状況その他も全部調べまして、その上で江戸川工場の許容基準が何ほどかということがきまってくるわけであります。これが紛争の調停と申せば調停かもしれませんが、私ども考えておりますのは、紛争調停という言葉で現わされる内容は、損害賠償の解決じゃなかろうか。これは現在鉱業法においても、紛争調停はすべて民事調停法にまかされております。昭和二十六年に民事調停法ができておりまして、当事者双方が互譲の精神で協議するということになっております。しかも調停委員には学識経験者である公平な第三者が選ばれることになりますので、これが一番公正な裁定方法じゃないかと思います。  さらに水質基準がきめられたあとの紛争、これも当然出てくるかと思います。たとえばB・O・D、5PPmというような基準がきまりまして、それ以外でも被害は出ることは出るのであります。その場合の紛争の調停はどうか。これはやはり当然民事調停法によって、そっちに持っていかれるべきじゃないか。かように考えております。
  117. 千田正

    千田正君 どうもほんとうからいうと、立法機関のわれわれが執行機関の君らに、この法律を作れ、作れというのはおかしいことであって、便宜上、あなた方から提出をさせて、われわれがもっと国民のために訂正をさせなければならぬから言っておきますが、水産関係のわれわれから言えば、むしろ基本法と今の水産資源保護というような面から一致した流れの、一致した法律を作らなければ、また今までのように外部からわれわれが見るというと、今までもたもたしているのは、これは通産官僚と、農林官僚とあるいは厚生官僚とのセクショナリズムのけんかにすぎないとしか見えないのです。そういうことであっては、骨抜きのざる法案が出るのだったら、作らないで、むしろ今までの通産省の法律なり、あるいは水産資源保護法を改正して、そこにはっきりした厳罰主義なり何なりというものを入れた方がむしろいいくらいであって、だから、その点においては基本法というけれども、やはりむしろ一本にまとめて総合的な法律を作った方がいいのではないかと思いますが、どうなんですか。どういうわけで二つにも三つにも分けなければならないか、その点に私は非常に疑義があるのですが……。
  118. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 基本法経済企画庁の方で立案しますのは、取締りの権限を持っています官庁が、河川行政の建設省でありますとか、あるいは下水の厚生省でありますとかというふうに、非常な多岐にわたっております。従って、そういう取締りの共通のものさしになります水質許容基準というものを作っていこうというので、私の方がその任に当っているわけでございます。
  119. 千田正

    千田正君 たとえば下水の問題でもそうです。厚生省の方では衛生的な見地から、一応工事中に検査を要求した場合に、建設省建設省で、いやあなた方の指図は要らないのだ、そういうような問題が末端でしょっちゅう起きている。だから各省がおのおののなわ張りで、一つの問題に対して、争いを生ずるようなものは、一括してこの際はっきりした基本法で縛るようにやらなければだめだ。そうでなかったら、結局ざる法案にすぎないと私は思うのであって、作る前にあえてそういう苦言を呈したいと思う。ここへ来てわれわれが、あなたの方の出した法案をあっちこっちいじる前に、そういうふうにいじらないで済むような法律を作ってもらいたい、あなたの方が提案するならば……。どうもどこへいってもそうです。たとえば今鉱山保安局長が言っていたけれども、鉱山の問題でもそうだ。十分にやっていますと言うけれども、片方に被害を受けた方から言えば、十分ではないわけです。いつでもそういう争いが現地において毎日のように起きている。だから、それをあなた方の方の今度の法律では、そういう紛争をなくすところの根本法を作るとするならばやはり総合的な問題をはっきり明確に重点を置いて作ったら、今までと同じように、基本法は作ったが、お互いのなわ張りで、現地においては相変らずおのおのの役所の方の言うことが正しいのだという争いしか出てこない。あなた方の今度の構想しているので、十分そういうことは徹底できるという観念で大丈夫ですか。
  120. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 前国会までに準備いたしました法律によりますと、水質許容基準の条項は、関係する法律の基準とするということになっております。従って、河川法のたしか十九条だったと思いますが、そこで、流水は汚濁してはいかぬと書いてあります。その汚濁というのは、こっちがきめた許容基準によるものである。それから、厚生省所管の終末処理場を出ました水質の基準も、こっちがきめました基準をそのまま受けている。すべて法律に具体的に基準が書いてなくて、ばく然とよごしてはいかぬというふうに書いてありますのは、私ども基本法を出しますことによって、具体的な数字がきまってくるというふうになるわけであります。従って十分効果の上る法律になし得るというふうに考えております。
  121. 千田正

    千田正君 隔靴掻痒の感がありますが、出てきてから大いに論議することにして……。
  122. 田中茂穂

    ○田中茂穂君 基本法ができてからお伺いしたいと思いますけれども、ただいまのお話の中で、許容基準の問題がだいぶ重要な問題でございますが、このきめ方の方針、これは工場側から見た許容基準と、それから被害者側から見た許容基準というものは非常に違うと思います。同じ被害の場合でも、魚の種類によって、あるいは貝であるとか魚であるとか、そういう種類によって、同じ許容基準でも被害があったりなかったりする場合がありますが、その標準をきめる場合の方針ですね。どういうところをねらいにしておきめになるのか、その辺ちょっと参考のために聞いてみたいと思います。きめ方、非常にむずかしいと思うのです。
  123. 富谷彰介

    説明員(富谷彰介君) 水産の場合には、農林省水産庁が管下に持っておられるいろいろな試験研究機関、このデータを水質審議会の方でとりまして、その結果できめます。なおいずれ、具体的に法案になりましてから御審議願いたいと思うのでありますが、必要に応じて専門委員を随時任命することができるのでございますが、現在あります各省所管のあらゆる研究機関を動員いたしまして、その現在達成せられている成果による基準というものをきめていく。非常にむずかしい問題でございます。
  124. 仲原善一

    ○仲原善一君 これは全国一律でなしに、工場事業場別に、また地域別におきめになるというので、それぞれきまっていくと思いますが、ただいまのいろいろの御質疑を通して考えますのに、これはやはり工場被害者の側とは根本的に両立しない問題があろうと思います。これはもっと高い国家的な立場で、国の経済の発展の立場で、どちらの方に重点を置くかという判断をする機関を一つ作って、そうして工場の方を押えるならば工場を押える。それから、たとえば被害者の漁民の方を救済するならば別なやり方で考えるというやり方で、単なる調停とかあるいはあっせんということでなしに、転業なり、たとえば沖合いの方に出ていくようなことを考えてやったり、あるいは淡水魚の養殖を考えてやったり、そういうものをあわせて何か考えないと、どうしても二つの対立した問題だけに、取っ組んでおっても根本的な解決ができにくいと思うので、もっと高い立場から、国の経済発展という立場から考えて、犠牲になる方も救済するような対策もあわせて法律の中に考えることが適切じゃないかという、そういう意見を持っておりますので、御意見がありますればよく承わりますが、法律の中にそういうことが入れ得るならば入れてもらいたいということを考えております。これは私も長い間の経験がありまして、非常にむずかしい問題に当面して、そういう救済策、転業策でようやく落ちついた問題がありますので、御参考までに申し上げました。
  125. 重政庸徳

    委員長(重政庸徳君) 本件は、本日は、この程度にいたします。これをもって散会いたします。    午後三時四十三分散会    ————・————