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1958-08-01 第29回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月一日(金曜日)    午前十時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     関根 久藏君    理事            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            東   隆君            梶原 茂嘉君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            重政 庸徳君            田中 茂穂君            安部キミ子君            大河原一次君           小笠原二三男君            河合 義一君            清澤 俊英君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   国務大臣    農 林 大 臣 三浦 一雄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    外務省アジア局    北東アジア課長 菅沼  潔君    国税庁直税部長 金子 一平君    農林政務次官  高橋  衞君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農地局建    設部長     清野  保君    農林省振興局長 永野 正二君    農林省蚕糸局長 須賀 賢二君    水産庁長官   奥原日出男君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (繭糸対策に関する件)  (農林水産基本政策に関する件)  (第二星丸に関する件)  (北海道底びき漁業に関する件)  (水質汚濁防止に関する件)  (農業課税に関する件) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから農林水産委員会を開きます。繭糸対策の件を議題といたします。  去る二十九国会特別国会において繭糸価格の安定に関する臨時措置法が成立したのでありますが、ただいまからこの法律及びこれに伴う諸措置実施状況、並びに本年春繭価格事情等について、農林当局説明を求めることにいたします。
  3. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 前国会で御審議をいただきました繭糸価格安定に関する臨時措置法の、その後の実施状況その他最近の蚕糸関係状況につきまして、簡単に御説明を申し上げたいと思います。  臨時措置法は前国会で通過をいたしました直後、七月の十日に公布いたしまして、即日施行をいたしたわけでございます。この法律は御審議の際にも御説明申し上げましたように、その内容は本年産の繭につきまして、日本輸出生糸保管株式会社政府に代行いたしまして、生糸買い入れを行う。一方農協共同保管をいたしました繭を、将来保管会社が引き受ける、ということが主たる内容となっておったわけでございます。それで保管会社業務を開始いたしますことによって、この法律が実際に動き出すことになる関係がございまするので、法律施行と同時に先月、七月の十七日に保管会社臨時総会を開きまして、定款の改正を議決をいたしたわけでございます。その直後登記手続をいたしまして、七月の二十一日に登記を完了いたしまして、正式に業務を開始する体制と相なったわけでございます。  この会社による生糸買い入れは、実際には政府買い入れをとめましたあと、一応、従前繭糸価格安定法によりまするこの会社付帯事業といたしまして、六月から現実には仕事を開始して参ったのでございます。六月には保管会社政府代行買い入れの形におきまして、二千二百八十六俵の生糸買い入れております。それから七月に入りまして、二十八日現在で四千四百二俵買い入れました。合せまして、六月七月で六千六百八十八俵の生糸保管会社買い入れておるのでございます。これが臨時措置法施行されましてからの保管会社買い入れ数量でございます。従来の政府買い入れ政府が直接買い入れをいたしておりました当時に比較をいたしますと、かなり少い数量でございます。これは暫定措置として買い入れをいたしておりました時期でありまするので、従来と多少趣きが変っておりまするが、今後は本格的に会社買い入れ体制をとって参りますると、多少この六月、七月の数量比較いたしますと増加をいたすということも予想されておるわけでございます。ここで御報告を特に申し上げておきたいと思いますのは、この法律によりまして保管会社買い入れを始めまして以来今日までの買い入れ数量は、約六千六百八十八俵でございます。  それからこの法律施行いたしまして、保管会社で五万俵の生糸買い入れるということになりました結果、生糸相場の方は元の水準に戻って参りました。お手元に「横浜清算生糸相場」の表が差し上げてございますが、御承知のように六月の半ばに十六万円台に下ったのでございますが、その後回復をいたしまして、七月の二十六日、七月限が十九万百円、これは一斤の値段でございますので千九百一円になっておりますが、これを百倍いたしましたものが一俵の値段になるわけでございます。従いまして、七月二十六日は七月限が十九万百円、十二月限が十七万九千四百円、こういう相場になっておるわけでございます。  次に券面の価格協定状況について御説明を申し上げたいと存じますが、春繭繭価協定は、最近になりましてようやく協定が軌道に乗って参りました。お手元に「三十三年産春繭価格協定状況」という刷り物が差し上げてございますが、七月三十日現在で正式に協定ができましたのは、ここに掲げてございます静岡宮崎山梨の三県でございます。協定内容標準掛目が八千七百五十掛でございまして、いずれも三県とも八千七百五十掛でございます。八千七百五十掛と申しますのは、これがちょうど繭格二等糸十六匁のものにつきまして千四百円に相当するわけでございます。いわゆる最低繭価相当額に当るわけでございます。従いまして、いずれも標準掛目最低繭価見合い協定をされておるわけであります。それから格差掛目はいわゆる等級間格差でございます、格差掛目は百二十掛。それから減耗率、例の水引きと称しておるものでございますが、これは昨年通り。その他の条件といたしまして、集荷指導費その他繭代以外の要素があるわけでございますが、この点が各県ともいずれもまだ最終的に決定をいたしておらないようで、なお交渉問題として残っておるようでございます。交渉状況を見ておりますと、従来この集荷指導費というものは、末端指導員の俸給の一部等の形におきまして製糸側負担をいたしておったのでありますが、本年の場合その負担割合等につきまして両者間に交渉が続けられておるようでございます。これは申し上げるまでもなく繭代以外の要素であります。従来とも製糸養蚕両者交渉によって取りきめられておりますので、本年の場合にも両者間の交渉にまかしておるわけでございます。われわれが臨時措置法のおもなるねらいといたしまして、繭代については本年春繭について最低繭価見合い代金農家に確保させる、ということをねらいました意図は、すでに出てきました各県の協定におきましてもその目的を達しておりまするし、あとで申し上げまする糸買い入れ条件として付しておりまする誓約書提出状況等を見ましても、この問題は本年春繭につきましてはわれわれの意図いたしました方向に進んで参っておるわけであります。  次に、春繭最低繭価確保の問題と関連をいたしまして、今回の臨時措置法によりまする保管会社生糸買い入れにつきましては、先般農林大臣から保管会社に対しまして指示をいたしました。その指示は、前回の法律法律条文の中に、農林大臣の定むるところに従い、製糸業者その他政令で定める者から生糸買い入れを行うこと、という条文になっておるわけでございます。その農林大臣の定むるところ、と申しますところが指示条件になって参るわけでございますが、先般指示をいたしました内容は、製糸業者から生糸買い入れをするに当っては、第一の条件として、本年産春繭について農協団体協約によって繭を受け入れておるものについては、最低繭価を下らない代金を払うということが第一の条件でございます。第二の条件は、現在製糸工業組合調整規定によって操短を実行いたしておるのでありますが、この生産制限を確実に守るということが第二の条件。この二つの条件を守る製糸から生糸買い入れる、これを守らない場合は保管会社生糸買い入れを拒んでも、これには異議を申し述べない、という誓約書保管会社に入れるべきことを指示したわけでございます。この誓約書が入った製糸だけから生糸買い入れるということに、保管会社に対してわれわれは指示をいたしたのであります。同時に、そのような措置をとりますことにつきまして、当該業界の方とも相当の時間をかけて折衝をして参ったのでございます。業界の方もそのような態勢に従う体制が整いましたので、先月の二十四日から正式に誓約書を入れさせておるわけでございます。昨日現在でただいま申し上げました趣旨誓約書保管会社に提出されました数字は、八十二社に達しておるわけであります。三十一日現在で八十二の製糸からただいま申し上げました趣旨誓約書が入っております。現在機械製糸業者は約百六十社ございますので、約半数の製糸が昨日までに入れた、あと製系につきましても今月初旬におきましてほとんど全部入ってくる見込みになっております。従いまして本年春繭につきましては、製糸の方も千四百円見合い価格を払うという体制を完全に整えた。またこれと対応いたしまして、現在まだ繭価協定のでき上っておりません各府県につきましても、近く繭代につきましては八千七百五十掛の線を基準といたしまして協定が成立する見込みになっておるわけであります。  次に乾繭共同保管状況について申し上げますが、乾繭共同保管は前国会で御審議の際に御説明をいたしましたのは、当時、本年春繭共同保管に持ち込まれます数量は約二百六十万貫と予定をされたのでございますが、その後政府におきまして保管会社において相当量生糸買い入れるというような体制も確立いたしましたし、またただいま申し上げましたように、本年の繭価協定も八千七百五十掛で協定されるという情勢になりましたので、共同保管数量も順次減少いたしまして、ただいままとまっております数字は百五十七万八千貫と相なっております。大体この辺の数字確定をいたす見込みでございます。八月五日ぐらいまでに取りまとめまして、正式に共同保管手続を終える予定に取り進めておるわけでございます。  なおこの共同保管に伴いまする農協融資は順調に進んでおりまして、大部分地元信連でまかなっております。農林中金まで持ち上ってきておりますのは山梨、秋田の二県だけでございます。あとの大部分の県は地元信連において資金を調達いたしておるわけであります。なおこの共同保管農協融資関連いたしまして、昨日七月三十一日付をもちまして農協財務処理基準令による告示改正をいたしました。これは従来の基準によりますと、繭代の八割相当額までしか融資ができない場合が出てくるのでございます。それでは不都合を生じますので、告示改正いたしまして、共同保管の繭につきましては繭代については最低千三百円、そのほかに農協が来年保管会社に引き渡しますまでの諸掛り、これを二百円まで見まして、合せて千五百円の限度まで融資ができるように、昨日財務処理基準令改正したのでございます。従いまして共同保管の方の融資その他の手続等も順調に取り進んでおるわけでございます。  次に申し上げたいと思いますのは、夏秋蚕生産調整のその後の経過でございますが、前国会で御説明申し上げましたように、今年の繭糸価対策は、春繭に対する百五十億円の裏付による生糸買い入れと繭の共同保管、それと夏秋蚕の二割生産調整、この両者によって繭糸価を維持して参る建前に相なっておったわけでございます。夏秋蚕のその後の状況は、初秋につきましては大部分の県につきましてすでに掃き立てを終り、あるいは近く掃き立てられる状況になっておりますが、本年は特に関東地区におきましては桑の生育が例年になくよろしいのでございます。非常に桑の生育が順調な状態にありますので、生産制限につきまして農家側といたしましては、かなり桑を目前に見ましてむずかしい立場に立っておるようでありますが、生産者団体の綿密な指導によりまして、本年度秋蚕生産調整を行なって糸価維持に協力をしてもらう建前は、各府県とも末端農協ないし単位農家までその趣旨は浸透いたしておるようであります。実際の掃き立て状況は目下調査中でございますが、先般来いろいろ照会あるいは現地調査等で取りまとめたところによりますと、初秋蚕につきましては前年に比べまして大体一割程度の掃き立て減になっておるようであります。従いまして晩秋蚕の掃き立てが一部初秋に繰り上って掃き立てられておる、というような状況になっておるようでございます。晩秋蚕の場合にある程度しわが寄っていくようなことが予想されておるわけでございます。この生産調整関連をいたしまして処置をいたしました余剰種繭処理につきましては、全養連買い上げ廃棄をいたしておるのでございますが、七月二十八日現在で実際に買い集められました余剰種繭は二万三千八百三十九貫と相なっております。その後持ち込まれる予定になっておりますものを合せますと、大体三万五千貫程度種繭処理をされる見込みでございます。当初予想しましたより若干少うございますが、種の生産数量その他からつき合せてみますと、三万五千貫集荷されますれば、本年夏秋蚕用の種の生産調整はほぼ目的を達するものと考えておりすす。簡単でございますが、前国会以後の経過につきまして取りまとめて御報告申し上げた次第でございます。
  4. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまの説明に対して御質疑の向きは御質疑を願います。
  5. 大河原一次

    大河原一次君 ただいまの説明お聞きしますと、操短ということが前提になって団体協約が成立されておるということを今説明されたのですが、この場合の操短限度というものは一定しておるわけなんですか。
  6. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 製糸操短は現在やっておりますのは六、七、八の三カ月について、工業組合調整規程できめたものをやっておるわけでございます。これは工業組合によりましてやっております操短でございますが、これは前年実績の一割減という計画でやっております。前年実績の一割減といいますと、ことしは去年に比べて、ことしの春繭は去年より約一割近く増産されておりますので、ことしの繭を通常割合で引きました場合に比較をいたしますと、大体二割近い操短に相なっておるわけでございます。その基準個々製糸業者生産調整数量が割り当てられまして、証紙を発行してやっておるわけでございます。その操短を確実に守るということが一つ条件になっておるわけでございます。
  7. 大河原一次

    大河原一次君 そうしますと、二割の操短ということが前提になって買い上げ団体協約が成立されておるということですが、二割の操短ということになれば、当然糸の場合も十九万円ということがこれまた保証されるというふうに考えて差しつかえないのかどうか。同時にこのことは、この前の説明にもあったように十九万円の糸の価格がきまることは、そのまま繭の千四百円になるのだということも、この法案審議の際に説明されておったのでありますが、同時にこのことも繭の場合は千四百円ということが前提になっておるのかどうか、この点一つ
  8. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 前国会で本年度生糸需給バランス等について御説明申し上げたのでございますが、その際の考え方といたしましても、本年産の繭及び生糸の年間を通ずる生産計画を策定いたしました結果が、ただいま申し上げましたように、前年実績の一割程度操短いたして参りますことによって、生産調整つじつまが合って参るようになっておるわけでありますが、それと夏秋蚕二割制限、二割生産調整、そういうものがそれぞれ織り込まれまして、全体の需給つじつまが合うようになっております。それで需給均衡建前のもとに十九万円の糸価が維持されるということを意図した、十九万円が維持されれば、当然これは今の繭糸価格安定の安定帯価格の積算の基礎等から考えまして、十九万円の糸価見合いまする繭代というものが千四百円ということに相なっております。十九万円の糸価維持、千四百円の繭値確保、それらがいずれも見合っておるわけでございます。
  9. 清澤俊英

    清澤俊英君 この横浜清算生糸相場というやつですね、これを毎日注意して見ていますと、大体政府買い上げ規格糸は十九万円、これが十日ごろから変っているのじゃないかと思うのです。つまり二十六日から十九万一千円になっておるが、この間、これがどういうことになるのですか、新聞の毎日の相場欄は間違っておるのですか。
  10. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) ここに出しております資料はそれぞれの日の、七月でありますと七月一日の相場、それから十日の相場、二十日の相場、二十六日の相場ということでございまして、それぞれの日のその相場そのもの数字を取っておるわけでございます。今の清澤委員のお尋ねの御趣旨、ちょっと私わかりかねますが……。
  11. 清澤俊英

    清澤俊英君 日経生糸という相場欄があるのですが、あれを毎日注意して見ていますと、大体買い入れ糸規格糸は十九万円と、こう必ず書いてある。判で押してあるように書いてある。ただし規格外は千八百円安とかこれにほぼ似たような価格で出ているわけなのです。だからここに出たのは、その規格糸を中心にして見ると、あの相場とだいぶ違うのじゃないか、こういうことです。
  12. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 日経に出ております十九万円は、おそらく現物相場をごらんいただいているのじゃないかと思いますが、これは取引所に出ております建値でございます。その日その日の値段でございまして、現物相場は今でも十九万円近いところにいっておるわけでございます。それから規格外品は、いわゆる格はずれのものは、これより二、三千円安いところで取引されております。
  13. 清澤俊英

    清澤俊英君 それから春繭の大体生産量はどれくらいになっておりますか。
  14. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 春繭生産量をまだ実は確実に申し上げる段階にまでとりまとまっておらぬのでありますが、今年の春繭は品質は概して非常によろしいのでございます。検定結果から見ましても非常にいい成績が出ておりまして、最近の検定状況でみますと、糸歩が一七・六八、去年が一七・三九でございますから約〇・三ばかり糸が高い。それから繭格が一・三四等、去年が一・八九、これは一から下の端数の数字が大きくなるほど繭格が悪いのでございます。今年は一・三四、去年は一・八九というようなことで、糸歩及び等級ともに今年は非常によろしい。ただ上簇の際の気温が高かったような関係で、一日ばかりみな上簇が早かった傾向があるようでございます。その結果単繭量つまり一個一個の繭の重さが少し軽いというようなことがありまして、最終的に糸の歩どまりからみて、どのくらいになるかという見通しが実はまだつきかねるわけでございます。あるいは将来農林統計調査部の実収が出ました段階では、今私が申し上げた数字をあるいは訂正しなければいけないかと思いますが、大体私どもの方の技術の方の諸君が見当をつけておりまする生産見込みは、千五百万貫あるいはそれを多少下回るくらいのところじゃなかろうか、という見当でございます。
  15. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、今六、七の生糸年度に入ってからの保管量が六千六百八十八でございますね、大体これは持ち越し繭も入っておりますね、全部春繭でない。そうしますと、その持ち越しはどのくらい六、七にあったのですか。今すぐ春繭を使って、持ち越し繭はほとんど入っておりませんか、六、七で。
  16. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 持ち越し繭ももちろんこれは入っております。持ち越し数量は、概算、目の子でございますが、通常の年は大体五十万貫ぐらい、これは通常持ち越しでございまして、これはもういつの年でも大体そのくらいあるわけであります。今年は四、五と操短をいたしました結果、通常持ち越し量より約五十万貫くらい持ち越し量が多かったのではなかろうかというふうに推定いたしております。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、六、七で六千六百八十八俵出した場合に、総生糸生産量の何パーセントが保管になっていますか。
  18. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) これは六月の生産量機械製糸につきましては一万六千三百六十四俵、それから七月の生産見込み数量が約二万であります。合せまして三万六千三百六十四俵程度生産になるわけでございます。六月の方はこれは実績で出ております。
  19. 清澤俊英

    清澤俊英君 何パーセントぐらいだろう。
  20. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 一割八分ぐらいでございましょうか。
  21. 東隆

    東隆君 この三十三年産春繭繭価協定状況の表がありますが、この表の中のその他のところですね。集荷指導費関係ですが、これはお話によると、製糸会社の方で従前はまかなっていた、そういうことでまだ決定をしておらない。こういうふうに書いてありますが、ここに出ておる例から言うと、宮崎県の場合はもう一応価格の中から差し引いて控除しておる。こういうのですから、これはもう明らかに生産者の方にかかってきておるわけですね、宮崎県の例は。それから山梨県の方はまだ発表されておらない。こういうのですが一これも宮崎県のように初めから差引をしておるのかどうか、その点もわかりませんか。それから静岡県の場合には追って協議をする。こういうのですが、これはその金額がどの程度になるか、これは今までの状態から言えば指導費関係はわかっておる、総額が。だからそれがどちらにころぶかということが大へん問題になろうと思います。せっかくこういうような法律をこしらえてこ入れをしておるのですから、従前通りにこれをはっきり進める意思はないのですか。
  22. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 集荷指導費は、これはあらためて御説明申し上げるまでもなく、従来繭代以外の取引一つ要素といたしまして、毎年両者聞において協議してきめておったのであります。全国各県によりまして額はまちまちでございますが、大体繭産額少い所はまあ概して高く、繭産額の多い所は安いという傾向であります。静岡の場合のごときは、昨年は、これは五十円になったわけであります。それで、これにつきましては、ことしの場合もこれは全く両者間の話し合いによっておるものでございますから、私どもの方でも集荷指導費についてはどうしろという指示は、どちらの側に対しましてもいたしておりません。両者間の話し合い一つの円満に処理をしてもらいたいと思います。製糸養蚕両者考え方は、できるだけ中央一つ何か基準を作って話し合いをしたいという考え方で取り進めたようでありますが、現実には各地区で各地区状況に応じて取りきめていきたい、という考え方が強いようでありまして、それぞれの県の実情によって取りきめるという形において今までは進んでおるわけであります。ただ全体の態勢がきまりませんので、今まで協定ができました県につきましても、この部分だけはいずれもまだ最終的には確定をしないままできておる、そういう状況になっております。
  23. 東隆

    東隆君 そうするとてこ入れはしない、中央で、農林省の方では両者間の力のなにでもってきめるのだ、こういうお考えですか。
  24. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 私どもといたしましては、繭代八千七百五十掛というものは絶対に確保してもらわなければ困る、これは先ほど申し上げましたように、誓約書条件といたしまして八千七百五十掛の繭代というものは、これは絶対に確保してもらわなければ困る。その他の要素につきましては、いろいろ個々事情によりましても交渉話し合いによって処理さるべき部分もいろいろあるわけであります。その問題につきましては、両者間の話し合いにまかしておるわけであります。
  25. 東隆

    東隆君 実はこの問題は、結局単協が非常にたくさん扱っておる所、それから数量の多い所、こういうような所で非常に問題が起きておるというのであるから、距離が非常に遠い所は、たとえば宮崎県の場合はもう完全に繭の生産者の方に入ってきておるわけです。それから中央に近い方、工場に近い方、こういうような所は会社が出す、こういうような形になってきておるわけです、事実上。これを見て参りますと、そうすると、非常に苦しんでおる所は取り上げないのですね、生産者が出しておる。だからそういう関係がはっきり出てくるのじゃないですか。
  26. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 必ずしもただいま東委員がお話になりましたような関係では私はないと考えております。むしろこれはやはり農協活動の、まあ何と申しますか度合によりましてかなり動きが変ってくる。今年の場合でも、現に長野地区のこときはかなり強い交渉態度をとられております。今でも決定いたさないのでございまして、そう簡単にはきまらない状況にあるわけでございます。やはりこれは農協製糸との交渉によってきまる問題でありますから、農協側で一つよほど腰を入れてやっていただかないと……。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 繭価協定の場合ですね。今年は特例的な政府指示で繭は千四百円即八千七百五十掛という線をきめられたので、今までやっておったような生産費から諸掛りを引いて云々というあの計算でやっておらないのですか。今年の繭価協定はそれはどうなっておるか。
  28. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) それは従来の繭価協定とちょっと趣きが変っております。今年の場合も去年までやっておりました通り繭価協定基準でいきますと、もっと低くきまるのでございますが、と申しますのは、ちょうど繭出回り期のあれは前後二週間でありますが、そういうものが基準としてとられておるわけであります。今年の場合もそれを準用いたしますと十六万幾ら、従いまして、今年の繭価協定は例年とは相当趣きの変ったあれとなる……。
  29. 清澤俊英

    清澤俊英君 まあそれが中心でこういう指導費の問題が宙ぶらりんになって、例年の繭価の決定の方式でいきますれば、指導費生産費の中に入っている。それが五十円もないということになれば、結局千四百円にきまっても千三百五十円の繭を売ったことになる、農民の手から見れば。結局頭から生産費を取られて安く買われているのだから。だからその点は政府が臨時のなにをせられるとすれば、出ばがないのですから……。
  30. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) これはどうも中央団体に対しまして、この集荷指導費については、もちろん完全な両者聞話し合いによってきまるべき筋合いでありますけれども、従来の実績その他もありますから、それらを勘案して適正なものをきめられるように希望いたしておった。ところが実際のあれを見ますと、今年の場合は八千七百五十掛できまりました繭を現実個々の繭に当てはめてみますと、繭が非常にいいというような関係で、今までの検定成績をもとにして見ますと、千五百二十八円ぐらいの繭単価についている。千四百円基準で、繭格がいいことと糸歩がいいことで千五百二十八円ぐらいの繭単価についている。そういうような関係もあって、両者の間で割合指導費の問題が簡単にきまっておるので、私どもも実は率直に申し上げて意外に考えておるわけですが、そういう実情であります。
  31. 清澤俊英

    清澤俊英君 簡単にきまらないでしょう。(東隆君「農家の方が承知しておるのだよ」と述ぶ)いや、簡単にきまらない。養連が中心になって、農民の方では指導費の問題が非常に問題になっておるので。それが一つといま一つは、かりに養連側が一応譲歩して指導費製糸側から出ない−実際要り用な経費なんです。これは指導員の経費として要り用のものができる。農民からもとれない、製糸家からもとれないとすれば穴があくわけです。これはどう処置なさるのか。私はこの後の協議のときにおいて問題になると思う。これは強くその間の処置を要求していかなかったら、最後の運用で困る問題だろうとこう思いますので、もしどこからも出ない場合は、実際要り用の経費はどこから出すお考えでおられるのか。
  32. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) これには製糸負担をしない、あるいは全額今までの通り負担をしないという形にきまりました場合は、やはりこれは経費を相当合理的に圧縮をする必要があると思いますが、どうしてもぎりぎりの分については、これは農家農協自身の負担になるわけでございますので、最終的にはやはり農家部分的に負担しなければならぬということになると思います。
  33. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは重大問題だと思うな。そういう了解を養連はしているのですか。中央の養連としてはそういう了解を最終段階においてしているのですか。
  34. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 中央の養連としましては、各県の交渉にまかしておるわけでございます、現在。従いまして、各県交渉によって話がついて参れば、その形においてきまるわけでございますが、各県交渉においてどうしても話がきまらぬということになりますれば、もう一度中央段階に持ち上げられるわけでございますが、今の段階では各県交渉にまかしておる状態でございます。
  35. 清澤俊英

    清澤俊英君 これが一つとその次に、まあいろいろあまり詳しくわかりませんので関係者に聞いてみますと、夏秋蚕価格の手当というものはほとんどない。幸い今御説明になるように、六、七月の買い入れ額が予想外に少いから、まあ大体この分で進めば夏秋蚕買い入れもできるので、今の買い入れ標準でいきますれば、何とか秋蚕買い入れも続けられると思うが、六月までの買い上げ状況のような形でいきますと、当然夏秋蚕の維持ができない。従って、春繭はこれくらいのことで片づくかしらぬけれども夏秋蚕の場合になってきたならば、もっと強化せられたものが出てくるのじゃないか。こういう心配をしておりますが、この点については、農林大臣も局長もその際は何とか方法は講じるのだ、こう言っておられますが、それに対してどれくらいの自信があるのでしょうか、これは問題だろうと思うのですが。
  36. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) これは秋蚕につきましては、早いものは八月の終りごろに出て参りますし、できるだけ早くそれに対する対応策も講じて参らなければならぬのでありますが、今の段階ではそれぞれ製糸養蚕両当事者間で、まず初秋からどういう体制で対応していくかということにつきまして、それぞれの考え方を今われわれの方では中へ入りまして検討いたしておるわけでございます。いろいろ諸般の情勢から、それぞれの両当事者が、夏秋蚕に対しましては慎重な態度をとっておりまして、さらに情勢をよく検討いたしまして対策を進めて参りたい、このように考えております。
  37. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただいまここで製糸会社等と、二つの条件を付して一応誓約書を入れしめて、繭価協定のこの誓約を支持する、というのが現在八十二社約半分くらいの社がそれに賛成して、大体今月中くらいにあとのものも賛成するだろう、こういうことですがこれは春繭の場合。だから夏秋蚕の場合にはこれは適用できないわけですね。そうするとこれはまたあらためて政府が骨を折って、夏秋蚕価格協定に対してはこれと別な建前一つまん中へ入ってやらなければならぬ。こういう形になると思うがそうした場合に、百五十億という裏づけを持ち、そうして買い上げ状況等も、非常な好転という言葉はどうかしりませんが、予想外に少ない。買い上げ条件というものが出ておって、相当額夏秋蚕の分に持ち越されるんじゃないか。こういうような見通しの上に立っておっても、今言うたような繭価協定状況で、全国においてたった三個所、あとは実勢価格という形が出ております。こういう状況下で夏秋蚕がもう来月に、三十日くらい早いですから、じき回ってくると思うのですが、そのときの自信ありますか、自信が。  それといま一つ春繭自身だが、大体これくらいの程度にでもきまるかどうか。  いま一点は、製糸が腹をきめてしまって買い上げてしまってよろしい、こういう腹がきまりますと、従って繭の買付が別になってきます。そういう危険性はないのですか。
  38. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 春繭につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、現実協定が一応でき上ったと報告されておりますのは、三十日までに報告のありましたのは、春繭八千七百五十掛を基準にして買入れるということは、製糸業界の基本的な態度としているいろ協議をして取りまとめて参りました。これは一つの結果の現われであります。現に八十何社誓約書が入っておりますのも、そういう結果の現われであります。一応全体の体制としてはこれはでき上っておるわけであります。従いまして、今の先ほど来何回も出ました指導費の問題とからんでおりますので、若干時間がかかっております。春繭につきましては八千七百五十掛保証という問題は、これはもう全体として春繭の場合問題ない、これはもう現実に申し上げてさしつかえないと思います。中に糸を買ってもらわぬでもいいから、八千七百五十掛では買えません、こういう態度をとるというような製糸は、目下のところわれわれの方では予想いたしておりません。
  39. 清澤俊英

    清澤俊英君 実際、相当、なんですか、千三百円くらいで流れているんじゃないですか。その線が大分出ているんじゃないですか。
  40. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 十六万幾らの相場が出ましたときに、その相場で糸を若干売ったようなものもあるわけであります。従いまして、そういう製糸は非常に採算上苦しいというような問題もあったのでありますが、そういう問題は一応たな上げをいたしまして、千四百円の繭を買うという態度をきめたわけでありまして、それらの問題も十分討議されました結果、業界全体としてそういう体制をとることになったわけでございます。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 前に話が出たかと思うのですが、実は地方でいろいろな問題を聞くのでちょっと質問してみたい。一例を福島県にとりますと、製糸工場で、二割制限がずっと続いてきておる。ところが本年において春繭の収納数量というものが八十万貫もある。これは昨年から見ると三十八万貫もふえた。それで二割操短ということは実際上非常に困難である。設備人員を減すにしても完全にそこまではいき切れないという状況である。そこで生糸生産費、一俵標準価額にして五万三千何がしのものについて七千円ぐらいの経費増ということになっておる。そういう中で今後最低価格繭価千四百円ですか、これで購入してやっていくということそれ自身が現在困難である。困難だが、さてそれで十九万円台ということが確保できるというのはこれは春蚕だけのことであって、夏秋蚕について将来十九万円台というものが維持できると一いう方途がどうなるのか、行方がかいもくわからぬという状況において、千四百円の買い入れということを承認するということは容易でない。そういうようなことが地方で言われている。それで結局これは議論があったことでしょうが、夏秋蚕以降やや永続的にこの価格維持ができるかどうかということが地方の製糸関係、繭の価格決定に大きな影響を持つ。こういうことをまあどこに行ってみても、福島県でも山形県両方私は歩いて実際聞いたのですが、そういう意見なんです。それで製糸のためのコストというものは七千円、あるいは七千五百円、料金においてそう変りはありません、経費増になったということは再三御答弁になっておることなんでしょうが、そういう事態に備えてどうされるということでおるのか。これは結局大臣に聞かなくちゃならないことであり、前の段階から何回も論議しておることですが、具体的な事実の上に立ってどうされるのか、これをお伺いしてそれから質問をしたい、それが第一点。  それからこの夏秋蚕の二割制限の問題ですが、実質的に非常に困ったということを言われておるのです。それは山形等においては、春繭処理するという時期と、この夏の最盛に当るという時期とがちょうど七月の七、八日ごろでかち合っておる。そのかち合った中で業者が自主的に二割掃き立て制限をやるということでも、それの割付をするときと、春の繭の収納処理、これと一緒にからんだために、非常に県は指導するのにてんてこ舞いの状態であった。突如として起ったものであるから、非常な困難をしたのだがという話があったのです。そういう実態は蚕糸局としても地方の実情としてはお認めになっておってこういう措置に出られたのかどうかということ。  それから第三には、もうはっきりとこれは申し上げますが、これは山形県の例ですが、農家戸数のうちで二八・一%が養蚕家でありますし、桑園というものが畑面積の二三%をこえている。そういうところにおける山形県の養蚕家の現金収入というものが、農家経済を維持するのに非常に大きなウエートを持っているのだが、その生産調整によって年間の収繭量というものは前年に比較して十七万貫減ってくる。それでこれを支持価格と申しますか、平均貫当りの千四百円で仮に取引されたというようなことになっては、総額において四億四千万円の減収になり、一戸当り一万四千円の減収になるということを言われているのです。それがその実勢価格取引されるという段階になりますと、一万六千円をこえるこういう収入減になるのに加えて、まあ夏秋蚕についてそういうことになる。それで現在これを畑作に桑園を転換するということになっても、東北には適地適産というような、そういう緊急に切り換えのきくような地域はない。特に畑作山村地帯において、桑園経営以上に収益を上げる転換法というものはない。そういうような状況の所とそうでない状況の所を一律に桑園整理をしていくというようなことをされれば、これの影響はますます深刻だ。これは何とかならないかという意見が非常に強かったわけなんです。それでこういう積雪地帯と申しますか、単作地帯と申しますか、こういう寒冷畑作地帯と申しますか、こういう地域における桑園整理というような方向は、どういう観点に立って今後進められようとするのか。これも念のために伺っておきたい。それでその前提として夏秋蚕の二割制限というものは、養蚕農家の減収ということで非常に大きな影響を与えるということについては、蚕糸局もこれをお認めになっているかどうか。それはどの程度の影響を与えるということにお考えになっておられるか。まあこの三点を一応お伺いします。
  42. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 東北地方の、特にまあ福島地帯の製糸業界における操短の影響が、他の地区についてよりもひどく出るというお話がありましたが、これはたまたま去年福島県、宮城県の一部、山形県の一部等において非常に大きな凍霜害がありました。それとの比較におきます関係で、きわ立ってそういうあれが出てくるわけであります。これらの点は生産調整の割当の場合におきまして、これは工業組合の調整委員会でやっているのであります。ある程度の調整はそういう要素を見込んでやっているわけであります。ただほかの地区比較いたしまして、やや去年実績との比較においては多少度合いがきつくなるというようなことが、あるいは工場によってあるかと思います。まあそういう場合は去年の冷霜害の影響がそこに出ておりますので、この程度のことはそういう特殊の事例としてやむを得ないのじゃないかと、こう考えております。  それから特に山形県の場合において、二割制限の末端割当の実際的の実務と、春繭の調整とが重複して困ったというようなお話がございました。これらはいずれも今回の割当の問題も、生産者団体内部の仕事として処理をしてもらったわけです。地区によりましてはたまたまそういう重複があったかと思いますが、今後こういうことはたびたびあるわけではありません。その際非常に負担をかけたことは当該地区の工場に対しては、大へん非常な負担であったと私ども考えております。  それから山形の実例をお引き下さいまして、生産制限をいたしました場合と、実勢価格に流した場合のいろいろ採算的な見方についてのお話がございましたが、これは実勢に流しました場合の価格の判断について、どういう価格の見方をするかということによって、その採算関係の判断は非常に異なって参るわけでございます。私どもがいろいろ試算をいたしてみますところによりますと、実勢に流しました場合の繭価というものは、おそらく、今農家生産制限をした場合と、しない場合とを比較をいたします場合に用います価格よりも、計算上はかなり低いものを前提において考えなければならぬのじゃないかと思うのでありまして、農家が実勢に流した場合には、このくらいであろうというものを予想しておりますものと比較をいたしまして、生産制限をしない場合、した場合との価格を単純に判断されますことは必ずしもこれは全体を十分ごらんになっての判断にならないのじゃないか。むしろ私どもといたしましては、二割生産制限をすることを裏づけといたしまして、本年度につきましては、繭糸価格の安定をはかりたいという建前で進んでおるわけなんです。特にことしの場合のごときは、桑の生育状況が予想外によろしいような関係もありまして、単に実勢に流れますと、相当これは予想しないような需給関係が生まれてくると、いうことも予測できないことではないような事態になっております。従いましてただいま両者の場合につきまして、いろいろ御比較のお話がございましたが、実勢に流した場合の判断はもう少し検討を要する問題ではないかと思うわけでございます。  それから桑園整理の方向につきまして、どういうふうに考えているかというお尋ねでございますが、この問題はことしの秋以降の問題として、私どももただいま検討に着手をいたしておるわけでございますが、先般来主要府県の当局にもお集まりをいただいて、いろいろ相談をいたしておるわけでございます。ただ現在の主要養蚕地帯の置かれております状況から考えますと、各地区ともただいまお話のような意見が強く出て参ったわけでございます。これは今主要養蚕地帯として残っております地帯は、たとえば北関東にいたしましても、東北の一部にいたしましても、現在の立地条件なりまた営農条件から考えますと、養蚕をやりますのが最も採算的に有利であるという所だけが残っているのでございます。これは単に東北だけの問題ではございませんで、関東地区等でもこれは共通の問題になっております。従いまして桑園の整理を考えます場合に、あと作の問題でありますとか、一部転換をいたします場合に、営農の設計の問題でありますとか、みないずれも非常に困難な問題に当面いたしているのでありまして、県当局にも今いろいろ検討いたしてもらっておりますけれども、そう簡単には適当な対策ができないというのが率直に申し上げて実情でございます。従いまして各地区、特に主要養蚕地帯につきましては各地区ともほぼ同じような条件にございますので、特に東北地帯についてだけ特別の考え方をするというわけにも、実際問題としてなかなか参らないのではないか、さらに各地区状況を突き詰めまして検討を進めていくつもりでございます。一応主要養蚕地帯は、関東にいたしましても東北にいたしましても、いずれも同じような条件に苦しんでいるということだけを、この機会に申し上げておきたいと思うのであります。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 前年度の実勢価格ですが、それの取り方で、千四百円ということであれば、量が減っても収入は前年度に比べてそう収入減ということはあり得ないはずだというような議論のような御意見だったのですが、具体的に申し上げますと、山形の養蚕家の一戸平均収入の変動というものを見ますと、昨年は三十九貫、本年は三十三貫、昨年のこれは上繭ですが、それは五万九千円になる。それから千四百円で見られた場合には四万八千円、ところが実勢価格で見た場合、山形の見方ではそれは四万四千円と見ている。そこで二五%の収入減というのが出てきている。四万四千円といいますと、これはざっと千円ちょっと抜ける価格に実勢を踏んでいる。これは不当ですか。この点について御意見があれば伺いたい。
  44. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) これはなお私の方でその積算の基礎になる数字をいただきまして、よく検討をいたしてみませんと、はっきりしたことは申し上げかねます。今伺ったあれでは、これは二割見当でございますから、おそらく千四百円と千二百円くらいの見当で積算されているのではないかと思います。なお資料をいただきましてよく検討してみたいと思います。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 このことは言いたくないのですが、農家は目先のことだけを考えますから、そういう限定された意見として、私の意見ではないのですが、申し上げますが千四百円がかりに維持できなかったら、維持できなくてもやむを得ないが、掃き立だけは自由にやらさせてくれ、そういう意見が聞かれる。これは千四百円以下に売れてもいいが自由にやらせてくれ、それで全体として現金収入がふえればいいという考えでしょう。それは市場との関係でそうはならないのだということを言っても、農民はその点はぴんとこない。そういう中に制限されるということは、非常に自分の収入を人為的に政治的に減らさせられるということについて、率直な本能的な不満を農家は持つ。われわれとしても、今日の事情というものはいろいろ話をし、説得をするということであるべきだと言うのですが、県の人たちが説得しても末端の農家では、はあそうですがと、ただ簡単に納得しないというのです。それで私は納得しない、こういうこと、それ自身はよくないことでありますが、さればといって、突如として二割制限、しかも、養蚕家団体が自主的にやったのだ、政府がやらせたのではない、自発的にやったんだという形で押しつける。実際は農家に対して押しつけておるのです。しかも、緊急な措置として押しつけておる。こういうことが非常に感情的に農民の不満を買っていると思うのです。あなたは、ほんとうに養蚕団体が自主的にこれをきめ、そのことについて農家が納得して、自主的に二割制限をやったんだ、二割制限の掃き立てをやるのだと、こういうふうにあなたはお考えですか。そこをお伺いします。そこで、私はそれをお伺いするということは、農家にもっと徹底した納得をさせる方途というものは、養蚕団体の責任においてのみならず、政府自身が積極的にやらなくちゃいかぬじゃないかということを結論的には申し上げたいのです。いや、われわれの知ったことではなかったのだということであるならばあるで、また私は意見を申し上げたいが、そこのズレなんです。農家がいろいろなことを言うのは、そこにズレがあるからです。養蚕団体というのは農家なんです。しかし、それらを自主的にやるということをだれも自覚したものはないのです。全国の団体の指導者だけなんです。しかも、こういう話も聞きました。輸出の振興を見るために、そのための宣伝費ですか、宣伝費を貫当り三円五十銭ずつ取られる。それは、取られるなら取られてもいい。しかし、これが減産になれば、その割合に逆比例して、貫当りの三円五十銭というものも、これはもっとよけい出さなければ、ほんとうの宣伝活動ができないだろう、そういうような点もどうしてくれるのですか。われわれの責任にみんな転嫁されるのかどうかということを−、これは、ものはわからないといえばわからないという部類かもしれませんが、それにしても、あまりに深刻なやはり農家の意見があるのです。御意見を聞かせていただきたい。
  46. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 今年の夏秋蚕生産制限につきましては、毎度申し上げておりますように、生産者団体の自主的な動きを中心としてやっておるわけでありますが、それなるがゆえに、政府において何らこれについて措置をしていない、あるいは責任を持っておらないというようなことは、もちろん私どもの方では考えておりません。これは、方針といたしまして閣議決定もいたしましてやっておることでございまして、もちろんこれは、政府としても、十分そのてんまつにつきましては、責任をもって進めておるわけでございます。ただいま御指摘がありましたように、末端農家に対する浸透の方法等について、必ずしも十分でないという御指摘がございました。それらの点も、われわれといたしましては、県当局もかなりの程度にわずらわしまして、趣旨の浸透等には努めておるのでありまして、何しろこれは、具体的には農家の利害関係に直接結びつく問題でございまして、全体の情勢からこういう事態にならざるを得ない事情を十分のみ込んでもらうということは、現実の問題として、なかなか時間もかかりますし、手数を要するわけでありますので、この趣旨の浸透につきましては、さらに必要な努力をいたして参りたいと考えております。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、まあ前に戻りまして、夏秋蚕がどういうことになるかというめどが立たないと、春繭の最終的な価格協定もきまらないという形にあるように私は考えられる。それで、これは中央で折衝して、それぞれ決定が団体と業者間で出るのだと思いますが、やはり夏秋蚕そのものについての見通しをはっきりするということで、最終的には今月のいつごろ全部きまって、精算払いが完了するのですか。いつごろこれははっきりきまるのですか。
  48. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 春蚕の協定が全部終了いたします時期は、これは、各地区状況を全部個々に取ってみませんと、確実なことは申し上げかねるのですけれども、最近の各県の交渉予定日等として報告されておりますもの等から判断をいたして、大体今月の初旬から中旬にかけて、逐次、協定は進めて参るものと考えております。  なお、御承知のように、盆の前には、従来の例からいたしましても、協定は大体でき上っておりますので、これは一つの目安となるものと考えております。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、そういう取りきめが過去の例によって盆前にきまるということのためには、やはり夏秋蚕の問題についても、ある種の方向というものを、今の市場その他の推移からいって、もう段取りをつけなければならぬのではないかというふうに思いますが、そういうものの影響を顧慮することなしに、千四百円というような水準で処理されるということについて、はっきりしたお見通しを立てておるのですか。
  50. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) もちろん、夏秋蚕以降の問題等も重要な要素でありますが、先般来われわれが業界話し合いを進めて参りました基本の考え方といたしましては、今年の春蚕については、春蚕の問題としてこれを処理をするということで話を進めて参ったのであります。従いまして、先ほど申し上げました協定の問題も、誓約書の問題も、春蚕の問題として切り離して処理を進めておるわけでございます。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よくわかりました。そうすると、切り離された夏秋蚕の問題については、何らその裏には含みも何もない。それはそれとして、経済情勢の推移に見合ってやはり今後検討をされ、処理をされるものだと、そういう事態に現在あるということで、今はやりの静観ということでおられるわけですか。
  52. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 夏秋蚕以降の問題は、諸般の情勢をよく分析検討いたしまして対処して参りたいと考えております。
  53. 清澤俊英

    清澤俊英君 二件ばかり、乾繭の問題ですが、乾繭の共同保管をやったところが、予想より少かったと、こういうお話ですが、私どもの方の実情を聞きますと、大体の糸なり繭相場が上って行くというような見通しに立てば、乾繭も危険を冒してできると思う。ところが、実情としては、値下りの懸念ある場合に、乾繭してしまえば保管中の減耗がある、目方が減る、それから、距離によりましては、なま繭を輸送する場合の汚損損失をしてまで乾繭をすることを恐れるのであります。こういう損失は買い上げ対象になっていない。これは全部乾繭の損失となってしまいます。繭の実際の損失になる。従って、今の法規の中で、相場の中で乾繭して、それを一応来春になって共管の方で買ってくれと、こう言いましても、ただ経費だけじゃおさまりがつかないのだ、従ってできませんと、こういう結論に達しているのだ、おそらくはこういうそろばんはどこでも立てているのじゃないか、それが乾繭の割合に減った理由である、こう思うのですが、この点の御考慮があるのがないのか。ただ、今まで通り、こういう実質上の損失は損失とした農協が持つと、こうなりますと、まあそれなら手三百円で売っちまえ、こういう姿が出るでしょう。めんどうして損するぐらいならば、めんどうはしないで早く金にした方がいいだろう、こういう、実際相場が下るようなことが現実乾繭共同保管を見るとある、それがためには、生糸換算二万五千俵、約二百五十万貫の繭の処理農協にさせるのだ、こういう点も実質においてはできないから問題が出てくる。従って、その今が余ったということと、それを現実においてやっていこうとするには、その損耗というものを考えてやる道があるのかないのかということと、それから、予算が余った場合には、先日の安定法の改正によりますと、生糸換算二万五千俵分、五十億円は乾繭と、こう明記してあるのです。従って糸の方へそれを回すわけにはいくまいと思うのですが、そういう場合には、余った場合には糸の方へ回されるのかということが一つです。  それから第二番目には、いつも問題になる、さっきも私ちょっと問題にしましたが、夏秋蚕には何ら保証がない。ところが、この相場表を見ますと、先物は、もう十二月に行きますと、全部七月の一日には十七万七千八百円、まあ十日にはちょっと上っておるようであります。十七万九千四百円、まあこういうところで、十七万台で行っておる。九、十、十一月と、カーブを描いて下っていく。そうしますと、昨年は、十二月から下り出して、年度がわり近くなって、三十三年度へ入ってから、急激な相場の値下りを見ましたことは、局長も知っておられる通りだが、こういう先見越しの中で、先物相場が下っておる現実の中で、夏秋蚕買い入れが正常にやっていけるかどうか、夏秋蚕の場合には、何らそこに裏づけがない、こうなりましたら、夏秋蚕にきて非常な紛糾と無理じいが出てくる。これは、午後からでも農林大臣一つ、どうしてもこの保証をとらなければならないと思うが、先般のあの法の改正案を通します際には、その際は何とか処置する、こういうお話でありました。だから、その何とかの処置は、だんだん具体化してきつつあるが、本気にやられるのかどうか、もうじきですよ。お盆が過ぎたら、もう十七日には夏繭が出るのではないかと思う。私らのところは、大体十七日が出回りの最後です。そうしますと、それが今の春繭値段がきまらぬところへ、そんなものが出てきて、うまくいくだろうかいかないだろうか、一まつの不安を見たら、私は、千二百円とか三百円で現金でも持って来て買っていくと言ったら、盆勘定に因っている者は、片っ端から売ってしまうのではないかと思うのだ。くずれが来たら、私は非常に早いんじゃないかと思うのだ。そういう場合の処置を何か考えておられるのかどうか。私は、どうしても午後からは農林大臣に聞かなければならぬことは、はっきり二つあると思うのです。さっき言われた指導費の問題を、最終段階においてどうしても処理ができない場合は、農民に持たせるというようなところにいくのではないかという予測に立っておられる。それから、夏秋蚕に対する目先は見えておると思う、この相場でいけば。その相場には、果して千四百幾らのものが無条件で維持できるかどうか、できない場合はどうするのだ、この二つの点をある程度まで明確にしてもらわなければならないので、私の質問はこの二点であります。
  54. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 最後の問題は、農林大臣にお聞きになるということでございますから、大臣からお答えをいただきます。  初めの二つの問題、いわゆる保管中の減耗がいかに扱われるかということが一つでございますが、これは、今回の共同保管では、保管中の減耗は農協負担として取り扱うという方針でこれは進んでおります。これは、農協保管をいたしております間におきます問題でありますので、これは農協側で負担してもらうほかないと考えております。  それから、五十億は糸に使えるかということでございますが、これは、糸を買い入れます分と、乾繭を買い入れます分と、二つに分離して法律できめてございますので、乾繭買い入れの資金が余りましても、生糸買い入れには使えないのであります。
  55. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  56. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記を始めて。  それでは休憩いたします。    午後零時十分休憩    ————・————    午後一時二十八分開会
  57. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 委員会を再開いたします。  まず最初に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  繭糸対策に関する件について、本日全国養蚕販売農業協同組合連合会の責任者を参考人として出席を求め、意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないと認めます。手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたしました。   —————————————
  60. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 農林水産基本政策の件を議題にいたします。ただいま農林大臣の御出席を得ましたので、ただいままでに議題になりました問題その他について、農林大臣に御質疑の向きは順次御質疑を願います。
  61. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 きのうもお尋ねしたのでありますが、早書対策であります。早書対策の水田に関することは、いろいろと御配慮をいただいて、ある程度進行しつつあるのであります。さらにこれを強化していただかなくちゃできないのでありますが、畑作に対する早書対策は、全くされていないようであるのでありますが、畑作に対する早害対策を農林大臣はどういうふうにお考えであるか。また、立てておられるとしたならば、どんな方法でやるということを立てておられるのであるか、それをお伺いしたいと思うのであります。
  62. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 畑作も、事態は、客観的条件として、水がないために畑にせざるを得ないという条件の所と思うのでありますが、それにいたしましても、近代の耕作の改善上、灌漑用水を持つということは、土地の生産性を高める意味で、立地的な条件が許されます所は、逐次それを進めてきておるわけでございます。今回の早害におきましても、畑作につきましては、用水の問題等につきましては水田と異なるものでございますから、その措置はとりませんでした。しかしながら、代作等はできるだけの奨励をしなければならないことでございますので、今、さらに振興局等に命じまして、代作の奨励のために、種子の購入の助成でありますとか、その他の施設を講ずるように指導しておりますが、その対策を立てております。将来の問題といたしましては、畑作地帯といえども、灌漑用水等を持つ場合には、その生産性を高めるゆえんでございますので、これは、その土地の事情に即応しまして施設を拡充して参りたいという所存でございますが、さように御了承願いたいと思います。
  63. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 畑作農家は、御承知の通り、大体において規模が狭小である。また経済的にも貧困である。負担能力も、水田農家比較してみまするというと低い、こういうふうなのでありますから、政府においても、畑作の振興については力を入れておられる。また、力を入れるんだと、こう声明をしておられるのでありますから、こういうふうな負担能力がない、経済力が低い、こういうようなものについては、特段の政策を講じなくちゃできないと思うのであります。そのためには、農林省内で設けておられる農林省の畑作振興対策委員会においても、畑作改善に対する対策として、いろいろ結論的のものを出しておられるのでありますが、その対策としてあげておられるのはいろいろとありますが、補助対象事業の拡大であるとか、利子補給に伴う融資制度の拡充であるとか、現行国庫補助率の引き上げであるとか、財政投融資の充実であるとか、こういうふうなことをやらなくちゃできない、こういうふうなことが結論的になっているようであるのでありますが、今日早書のために畑作農家は生活に非常に困っているような状態であるのであります。一例を申し上げてみまするというと、長崎県の一番カンショの主産地であるある村では、耕作反別が八百町歩であるのであるが、そのうちの二割か三割かが植え付けられておるが、それもほとんど早天続きであるのでありますから、いよいよのところは、一割ぐらいでなくては収入はないんじゃないか、こういうふうな状態であるのでありますが、こういうふうな悲惨な状況を眼前に見ておるのに対して、政府の方においては、この早害対策、畑地に対する早害対策を何とか至急に講ぜなくちゃできないんじゃないか、こう考えられるのでありますが、一方の方において代作をやるというようなことにしましても、ソバであるとか、あるいは秋バレイショであるとか、あるいは秋大豆であるとかいうようなことになってくるにいたしましてでも、いろいろと問題点があろうと思うのでありますが、一体こういうふうな、今日の生活に困るような状態にまで押し込まれているこの際に、畑地に対する早書対策は速急に立てていかなくちゃできない、こう考えるのであります。さっき、大体のことは大臣からお話があったのでありますが、この急場の場合をどうするとお考えであるか、お尋ねしたいと思うのであります。
  64. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 今、振興局の方でもいろいろ立案しておりますから、振興局の方から説明いたさせます。
  65. 永野正二

    説明員(永野正二君) 本年のことに九州方面の旱魃は、非常に異常な渇水続きでございまして、本年の緊急対策といたしまして、作物に最小限度必要な用水を利用するということは困難なような実情にあるのでございます。一部の平坦地に近い畑地帯では、井戸を緊急に掘るというようなことも可能な地帯もないわけではございませんが、ほとんど水を補給するという対策は実行ができないというのがむしろ実情であろうと思うのでございます。従いまして、旱魃に相当強い作物といわれておりますカンショ等につきましても、相当な被害が出ておるような実態でございまして、私どもといたしましては、末端の技術指導には、農業改良普及組織その他相当な陣容を持っております。またいろいろな技術も持っておりまして、技術指導は懸命にやっておるのでございますけれども、当面の旱魃対策につきましては、何と申しましても自然の力が強いことを痛感しておるのでございます。先ほど大臣からもお答えがあったと思うのでございますが、当面は、現在植え付けましたものが枯死をした、あるいは植付不能であるという畑地帯があるようでございますが、それらにつきましては、今後の降雨を待ちまして、適期にできるだけ経済的に有利な代作を植え付けるということが、ほとんど唯一の当面の対策であろうかと思うのでございます。それにつきましては、種子のあっせんその他必要な助成を考えたいと思っておるわけでございますが、今後の問題といたしまして、こういう水利の悪い畑作地帯につきまして、畑地灌漑その他の水利施設を考えますことが、非常に基本的に大事な仕事であると考えるのでございます。そのために本年度から、深層地下水等の調査も、予算を新しく取って手をつけております。省全体としての畑作振興対策の大きな一つの部門といたしまして、畑地の水利施設の改良ということを推進しなければならない、こう考えておるわけでございます。
  66. 清野保

    説明員(清野保君) 畑地に対する早書応急施設につきましては、東日本の旱魃の際には、主として水稲を中心にして考えておりました関係もございまして、西日本の旱魃の場合には、一応要綱等では除外されております。最近の西日本の旱魃状態をつぶさに調べますというと、相当畑地の日旱魃が深刻なのであります。従いまして、これに対する措置がもしでき得るならば、たとえば井戸を掘りますとか、水路を引きますとか、そういう施設がもしでき得るならば、これに対して水稲と同じような措置を講ずるように、緊急に目下大蔵省方面と折衝を開始しておりますので、極力その面につきまして努力をいたしまして、畑地の旱害応急対策につきましても、水稲と同じように措置したいと思っております。
  67. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今、大臣その他からお話を承わりますというと、畑地の旱害対策についても研究を進められておるということであるのでありますから、すみやかに対策を決定して、現在困りぬいておるところの畑作の旱害について、すみやかなる施策を決定しこれを実行に移されんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。
  68. 東隆

    東隆君 今、藤野さんのお聞きになったことに対してお答えになったのは、旱害に対する対策として、イリゲーションの灌漑ですが、灌漑のことをお答えになっているようですが、私は旱害並びに湿害、両方面に対して考えた場合には、灌漑の方ですね、イリゲーションよりも、私はドライネスの方ですね、排水の方、これを強力に進めていかなければならないのじゃないか。で、排水事業というのは、必要以上の水、それを排水するのであって、余剰のものを排水するのであって、必要な水は、これは維持するのが、これが排水事業の私は基本的なものだろうと思う。だからこの問題は、あつものにこりてなますをふくというようなことになって、旱魃のためにイリゲーションの方ばかり努めると、これはとんだ問題が起きてくると思う。私は、この際農林省は、根本的に排水事業を、暗渠排水だのなんだの、これは非常に合理的にやれば、十分に土壌作物の成育に必要な水分を耕地に維持することができるのですから、だから、そういうことをやることがこれがほんとうのやり方で、単に水を引っ張ってくる、こういうようなこと、これは非常な度はずれた考え、そういうような場合にはこれは当然必要なんだけれども、普通の土地を考えるときには、かえって排水によって人工的に耕地の水利に必要な水分を維持していく、こういうようなことを考えなければ、これは問題にならぬと思う。それから耕土の厚みを十分に深くする。表土を深くして、そうしてやわらかにすれば、水分は十分に維持されるし、それから過度の湿度の場合には、十分にそれを吸い込んで、そうして被害を与えないで済むわけであります。そういうようなことにしなければ問題にならぬと思う。今回の旱魃によっての被害の大きい所は、やはり表土が薄くて、そうして耕土が適正なものでないから非常な被害が起きていると私は思う。だから、そういうことを私は十分考えなければならぬのではないかと思う。そいつをやらないで、そうして単になますをふくような対策ばかり講じたら、これはもう非常に問題になると思う。ことしの旱魃のあとには、すでに水害が物凄く起きてきている。だから、そういうようにやってくるのですから、やはり中庸を得た方法で考えたときに、恒久的な対策としては、私は排水の方に猛烈に力を入れていかなければいかぬのじゃないか、排水事業にですね、これをやることが私は本筋だろうと思うのですが、どうですか、農林大臣は。
  69. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) これは、地質、土壌、それから地形、各種の条件に即応しまして、最も合理的な農地改良施策をとることが本義だろうと思っておりますが、ただいままで農地局がとりきたった問題、方針等につきましては、ちょうど建設部長がきておりますから、お説と同じであろうと思うのですけれども、一応御説明さしていただきたいと思います。
  70. 清野保

    説明員(清野保君) 畑地の旱魃対等に際しまして、排水をやって毛細管現象を切る。旱魃が続きますというと、地下水が毛細管現象によって地上に上って参りまして、そのためにますます旱魃を受ける、こういう事例は、今お示しのように、全国各地に起きているのであります。ただし、こういうような現象が起りますのは、特に、北海道で言いますというと、重粘土地帯、内地でもこれに類する地帯にそういう現象が起きていると思うのであります。このためには、お説のように暗渠排水をやるとか、あるいは深耕をやりまして、地下水の毛細管現象を防ぐということが根本的の施策でございますが、現在九州方面での旱魃地域を土壌的に見ますというと、埴土地帯でなくて、むしろ砂壌土の地帯であって、ともかくにも応急的に水をもしやり得るならばやらなきゃならぬ。畑作振興の計画を樹立する場合には、単に畑地灌漑とか、あるいはそれに類する仕事だけでなしに、今お話しになりました暗渠排水によるところの地下水の上昇を防ぐ、こういう問題もあわせ十分考慮いたしまして、対策を講じたいと思いますが、なおかつ、畑作地帯には相当な排水の不良地帯もございます。排水の排除、地下水の毛細管現象を防ぐ、こういう施策、並びに畑地灌漑その他をつけ加えまして、今後の畑地振興対策を樹立したいと考えておりますので申し上げました。
  71. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣に二つ、時間がないですから、養蚕問題について、午前中に蚕糸局長にいろいろ質問して伺ったのでありますが、この中で、現在繭価協定が全国で決定いたしましたのが三カ所、これからあと、大体八月の中旬くらいまでには、農林省が意図せられているような形式で八千七百五十掛、それと格差百二十掛のし引きになっている、そういうふうにきまりましたが、ただし、今までやっておりました指導費製糸家支給、この五十円乃至三十円という額が、これが皆持ち出しになっている。従ってこれは、今までの繭価協定から参りますれば糸価を中心にして生産費を引いて、そこで額を出す。この生産費の中に指導費というものが入っておって、これは非常に不合理だということで、しばしば問題になっておりましたが、このたびのやつに、それが繭価協定の正当の掛値を出す場合に、今までの慣例でいきますと、協定の二週間前とか、二十日前とかという前の糸の価格を中心にして、生産費を控除していく、こうなっておるのでありますが、そうしますと、十七万円もしくは十八万円くらいの非常に価格の安いもので繭価協定すれば、従って千四百円という繭値は維持できない、こういう事情があるから、製糸家に今までのような理屈で必ずしも出せというわけにはいかない。これはまあ一応の理屈だと、こう思いますので、その点大体一応了承したい、こう思っております。しからば、製糸家が出さぬとしたならばだれが出すのか。だれがその五十円というものをここで出すのか、こういう問題が出て参ります。これでいろいろ、そういう場合になったならば、後ほど養連の責任者についても聞きたいと思うが養連としても、一応養蚕家からそれを出してもらわなければならぬ、これだけ指導員をつけるのだから、養蚕家から出してもらわなけりゃならぬということになるだろう、こういうお話でした。そういうお話のようで、大体養蚕家ものみ込んで、養連の責任者ものみ込んだような御説明であった、聞き方が悪いかもしれないが……。  そこで問題になるのは、われわれが長い間、一応農民から取っておるものを製糸家から出るという形をとることは間違いじゃないか、そういう間違いのことを一つやめたらよかろう、むしろこういうふうにして君らが出しているのだから、将来皆さんから出した方がよかろうというふうに取り計らったらどうだろうということを何べんも言っておる。ところが、養蚕家等の責任者も、政府はあまり品を出されぬが、その線の答弁というものは、それは、農民はそういうものを出さない、そういうものを出せと言うても農民は出さない、出さないから、こういう間違った手ですか、形の変った方式で出しているのだ、こういうお話なんです。出さないと言うけれども、今まできまったものがここへきて出せと言うても、出せないことはわかりきっておることなんです。出せるものだったらば、なぜ今までそれを実行しておらなかったか、不合理な、そういう形で製糸家が出しておるというような形をなぜとっておったのか、出せないからといっておった、ここに矛盾がありますが、私は、政府として、そうなった場合、出場のない場合、非常蚕糸対策として私は政府がもってくれるのがほんとうじゃないかと思うのです。全部もてないとするならば、半分もってやるから、あと製糸家と養蚕家でもてというような話ならば、これはおさまるのじゃないか。製糸家はもてないの一だ、現に今やっておりまするのは、百五十億という経費を使って、生糸値段は十九万円というものを維持したという形で価格決定されておる。そうしたならば、十九万円を中心にした繭価協定の中には、当然私はその五十円というものは入っていると思う。現にこの法律ができたあと、十九万円単価で大体において売買ができておる。きょうも聞きますと、約二割は政府買い上げでやってできました。約八割は売買しているのだ。そうしますると、これは一方的なものの見方になるのじゃないかと思うのです。一方的なということは、この際どうも、製糸家がもうかるとか、あるいは養蚕家だけに犠牲をかけるとかいうような、そういうものの言い方をしたくないから私は申し上げるのですが、製糸家の方では、そういう異常な繭価協定をやっているのだから、それを承認せられる、現にその協定せられた価格に近いもので現物は−これは相場ですが、ここにちょうだいしておりますのは相場だが、現物は十九万円、新聞で規格糸は十九万円と、はっきり毎日出ておるのですが、それをさっきも質問しますれば、ここに出ておる十八万幾らというものは、これは相場である、こう言われるのです。現物は十九万円と、毎日の新聞を私は注意して見ていると、それは維持しておられるのだ、入っておるのです。そうしますれば、それを製糸家がどうしても出さぬ場合には、養蚕家が出さなければならぬというような考え方は、全く私は納得できない問題だ。農林大臣はこれをどうお考えになりますか、どう処置せられようとしておられるか。これが第一点。  第二点といたしましては、このたびの繭価協定それ自身は、先般の糸価安定法によりまする一部修正によって、百五十億の手当によって一応の糸価安定を見た形になっておりますが、本日頂戴した資料によりますれば、糸は先物として逐次下る傾向を持っている。先般も、糸価安定法の審議の最中に、農林大臣にも何べんもお伺いしたのです。結局すれば、夏秋蚕に対しましては何ら手当がないが、その場合、下るような場合は一体どうなるのだ、こういう話をしましたときは、そのときはそのときで、必ず臨時処置をやって、迷惑のかからぬようにする、こう言いきっておられたのですが、現実の問題は、今ここへはや当面してきています。八月の中旬過ぎになりますればもう夏蚕は出て参ります。この場合、まだ春繭値段がきまらない、ようやくきまるといっておったときに、こうした繭価において夏秋蚕の繭が価格が維持していけるかどうか、いけないという証拠は、私は証拠というわけではないのですが、不安の裏書きをしておりますのが、十月になれば十七万円というふうに先物相場が下りつつある。昨年は十二月から下り出して、六月を最低として十六万円まで下ったというような、より以上の反発が来るとはたれも保証してくれない。この際よほどしっかりした御宣明をいただかなかったならば、私は、とんでもない問題ができ上るのじゃないか、こう考えますが、農林大臣はその点に対してどうお考えになるか。同時に、職を賭してもこれをお守りになる腹がまえか、一つはっきりお聞きしてみたい。
  72. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 第一の集荷指導費のことでございますが、これは今度の措置によりまして、現物は十九万円を維持し、従って掛目協定も所期の通りにだんだん進んでいる。従って、繭価も、声明した通り、千四百円を維持されているわけであります。ところが、この集荷指導費は、もう私から申し上げるまでもなく、いわば繭価とは別遂に、取引の慣行と申しますか、いろいろな事情で出てきたもの、一つの慣行上で出てきたものだと思うのですが、これは地方によりましても、繭価も区々であるし、それからそういうような事情であります。この問題は、私は、従来の慣行通り、双方が話し合いでこれはさまったことでございますので、政府はこれだけの措置をして、そうして繭価協定もでき、糸価の安定もできたのでございますから、双方の話し合いでもって、良識のある解決を期待しているわけであります。しかし、今年の事情は、この通りなことで出てきたものでございますから、客観事情の変っておりますことは申し上げるまでもないのでございます。従って、この負担の何も、従前通り、こう昔から若干の変更があるというのも、これはやむを得ないと思うのでございますが、当局といたしましては、従前の双方で話し合いの結果、そうして取りきめてきた線に沿うて、やはり合理的に円満に話し合いがつくようにいたしたいということで、当局もその趣旨をもって指導と申しますか、あっせんといいますか、そういうようなことで進んでいるわけでございまして、繭価の具体的な協定に伴いまして、そうして今のような成果が得られるものと期待しているわけでございます。清澤さんは、出さぬ場合にはどうするかということでございますけれども、情勢は必ずしも出さないともきまっておらぬ、双方でだんだん話し合いを進めているような事情でございますから、さように御了承をいただきたいと存じます。  それから、夏秋蚕の対策でございますが、これから夏秋蚕の前期のものもだんだん出て参るわけでございますが、この前も申し上げました通り、異常な事態を生じた場合には、これを放任をするというわけには参りません。そのときには、もちろん対処しなければなりませんが、今的確に事情を把握するわには参りません。もう少し事態を見きわめまして、そうしてその事情を分析して、検討して、しこうして具体的な対策を立てるというふうに考えているわけであります。従いまして、その事態によってわれわれといたしましては態度をきめたい、こういうふうに考えております。決して私は責任をのがれるような考えはございませんことを申し添えておきたいと存じます。
  73. 清澤俊英

    清澤俊英君 一ぺんで済まそうと思ったけれども、今、この指導費の問題が慣行に従ってと言われるけれども、なるほど慣行だかもしれません、毎年やっているのだから。しかしながら、指導費というものは、繭価協定の掛目を出す際に、製糸家の必要経費の中に入っています。ワク外として入っている。そうして糸価からそれを必要経費として取って、そうして繭価をきめているんですから、農民の負担が出ていることは間違いないわけなんです。慣行だというけれども、そういう形において製糸家がだんだんこういう慣行の形をとっているわけであります。そういうことが悪いから、そういうことをやるならば、これはむしろ初めから農民にもたす形をとったらよかろう、こういうことをわれわれは何べんも言うているんですが、農民は出せない、こう言っている。ところが、今の様子では、午前中の局長との質疑応答の形においては、いよいよ出せないとなれば、養蚕家から出しても仕方がない、こういうことを言われている。私は、話し合いをつけていることはわかるのですけれども、これは、きょうあすの日に迫っている。それがきまらないということになりましたら、一体指導費というものをどこから出すというのか。何か目安がなかったら、しまいにずるずるべったり農民から取るということになる。農民は出せない。私のような理屈を言い出したらおさまりがつかない、どうしていただくのか、こういうことです。出さない場合にはどうするのか。現に今、全県的に春繭価格協定が八月中旬ころできるだろうと言われておられるけれども、私の見ているところでは、なかなか、表向きはそう言っても、そうはいかぬだろうと言っておるという目安もついている。どうも非常な圧力でそういうようなものが表向ききまっても、話し合いしてみたところが、繭価協定自身が無理なところにもってきて、五十円指導費を出せとか出さないとかいう問題は、私はなかなかきまりがつかない。こういうことを考えるときに、出さない場合はどうするか、話し合いがつかないときはどうするか、つかないときの場合を私は聞いている。そのときは農民から出させるというような、今までの局長の考え方でおられるのかどうか。そういった形で大体やることになりまして、農民の幹部だけがきめて、支払い代金から天引きということで、繭代金から差し引いたりするというように、意地の悪い引き方をするかもしれません、意地の悪い仕事を。そう力づくで、二割制限だ、何だかんだと言ってしまえば、しまいにしまりが……、人の承諾しないものを頭から引いたらこれは何になる、大問題じゃないか。私らはそれまでのことをやりたくない。だから、そういうものに対してどういう中和策を考えておられるか。これは最も確かなわかった話をしているつもりですが、農林大臣どうなんですか。
  74. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 清澤さんは、製糸家の方は出さないと、こう断定せられているわけではないでしょうが、そういうような印象でのお話ですが、今現に交渉をやっておる。別に拒否したとか、そういうようなことは聞いておりません。現にやっておる。ただそれで双方で話し合いを進めていくということでございますから、われわれとしては、決裂して、やらなかったというようなことも聞きませんし、現にやっている。こういうことだものだから、従来の慣行通り双方の話し合いできめていく、こういうふうに思っております。同時に、当局としても、その成果を待って、できるだけの指導もし、あっせんもする、こういうことでございますから、そう一律に、だめだ、こういうふうにも考えられませんし、同時にまた、長年のそういうような当事者間における慣行できておる問題を、この際集荷指導費政府で持たなければならぬ、こういうことに取りきめしなくてもいいかと思います。同時に、十九万円の糸価決定の仕方も、最低限度でありますけれども一つの安定した糸価なんで、製糸家にとりましても、同時に養蚕家にとりましても、千四百円を確保したということは、この事態として相当なる措置であると思います。そうしますと、双方が話し合いをすることによって、妥当な結論がつき得べき客観的な情勢にこの施策によって馴致されている、こう考えておりますから、私は、双方の話し合いによって円満に事を解決することを期待しております。
  75. 清澤俊英

    清澤俊英君 くどいようになりますが、どうもそこのところは、私の言っているところは、できないとは言っていない。もしできない場合にはどうしていただくか。局長が言われるように、養蚕家に持ってもらうのがやむを得ないという考え方であるのかどうかということを言っている。といいますことは、政府はとにかくにお売りになったものは十九万円で買うのだ、これは承知されておるのだ、そうして持っていかれるのだ。値が下った場合にどうなるということはわかりませんが、現に十九万円を中心にして、本日の質疑応答の中では、六、七月分の約五万俵のうち、六千六百八十何俵かという、約一割八分のものが政府買い上げになっているわけです。あとは全部安定価格で売られているのだ。売った価格とするならば、それを中心にして掛目を出したような場合は、指導費は入っているのじゃないか。五十円にしたか三十円にしたか知らないが、その指導費の分は経費の分としてあるのだ。そうして当然、今までの慣行とするならば、製糸家が出すことが当然の道行きであるが、出さなかった場合には養蚕家に持ってもらうより仕方がないと、こういうことは間違いである。局長は午前中にそういうことを言っているのだから、そこを聞いているのです。もし、だめだった場合にどうするのか。これは非常に不合理なやり方じゃないか。こんなことで養蚕家は納得するかどうか。納得のできないというのが前提で、今までそういうことにしておったのです。そういう支給方法の慣行を作ってきたじゃないですか。ここへ来て、それが一ぺんでくつがえって、養蚕農民が出すという目安を持てるか持てないか、これは私は、その点がまことに納得しかねるのだ。そこで、どうしてもできない場合にはどうするのだ、農林大臣はどう考えているのか、こういうことなのです。どこまでも説得して、養蚕家、製糸家をして出さしめるという、何とか別の方法を他に考えておられるのかどうか、こういう最後のぎりぎりの線をお尋ねしている。
  76. 須賀賢二

    説明員須賀賢二君) 私は、午前中にお答えしましたことと関連がございますので、その点についてお答え申し上げますが、けさほど来申し上げておりますように、本年は、蚕繭事情相当大幅に変っております。集荷指導費につきましても、去年とある程度変った形において交渉が現に各地で進められておるわけでございます。あるいは結果におきましては、従来と若干負担関係が変っているような形において取りきめられるということも一応予想されるわけでございます。これは、いずれ両者間の話し合いによりましてきめられるものでございますが、その結果まとまりましたものは、両者の納得づくで、話し合いをいたしましてきめたものでございますから、その形において負担関係はきまるということは、私は結果としてはやむを得ないかと、かように考えております。
  77. 清澤俊英

    清澤俊英君 話し合いできまるものなら、私はこんな問題は提起しません。きまらなかった場合どうなるのだというぎりぎりのところを聞いている。あすにもきめなければならぬ時期がきているのです。そこで先ほど、午前中のあなたとの質疑応答では、ぎりぎりの線においては農民に持たせるようにいたす、出してもらわなければならぬだろう、こう言われるので、問題がここに出てきた。だから、現に前提条件として私はのみ込んでいる、そういう異常なことでこの問題が紛糾することは、御説明通り、一応は私はのみ込んでいるのだ。けれども前提条件が前年とは違うのだ。ただ現実論として、十九万円したものを堅持しておる、それで糸は六、七月は八割売っているのだ、政府買い上げは十九万円で買ってきた、どこに違ったところがあるか。こういうものは現実には行われているのじゃないですか。しかし、前提条件が違っているのだから、そこまでの理屈は私は言えない。だから、そういう理屈を立てれば立てられるが、今紛糾して、話し合いを一生懸命にしている、おそらくこれは最後まで残るだろう、いやだったら指導をやめるというまでにはいかない、そのときはどうするのか、こういうことを聞いているのです。だから、どこまでも努力をして、話し合いをつけさせるというあれは、もう確信がありますのですか、話し合いがついて、農民の納得する程度、ところが、その納得というやつが非常に怪しいのです。きのう小笠原君に言って、否定せられましたが、夏秋蚕の二割制限、これは全農民は、糸価安定法の一部改正審議の際も、七月十七日か六月十七日の農民大会で全く拒否している。拒否しているのを他人の方からこれを、強制的とでもいうか、強引な施策をもってこれを制限して、養連の方の手から回って、他から一粒も入らない、こういう強圧的な方法で二割制限が行われる結果、養蚕農民と養連はどういう関係か知らぬが、養蚕農民との納得のうちに話し合いができたとは絶対思っておらない。そういう納得の方法ができるのか、できない危険性があると私は考えられる。二割制限でも、今まで非常に問題が起きている。起きているが、これはまだそうひどいものにはならぬが、私は非常な不満だ。だから、本年のような非常に桑の成長のいいとき制限せられているので現に先月の下旬に、群馬県においては、九億円の制限に対する損害でもないのですが、補償を要求しているはずです。こういう空気さえ出ている。そこにもってきて、また指導費をお前ら持てという話になりましたら、これは必ず次の問題が爆発すると思う。私は、話し合いなんてできっこないと思う。ただいろいろの方策で押えているだけのことだと思う。だから聞いているのです。つまり、だめのときは政府はどんな考えを持っているのか、こういう話し合いをつけるつけるというが、つかぬ場合はどうなるか、こういうことを聞いている。
  78. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 実は、養連の当事者も、それからまた、製糸家の当事者も、この問題については良識ある解決をする、それは、現地にそれぞれの事情があるから、現地でその話をつけるということで、その時期、方法等もよく話をするということで、当局へも申し入れがあったりなんかする経緯にかんがみまして、やはり従来の慣行によってやるということでありますし、われわれもその慣行通りに円満に解決することを期待しております。同時に、必要があれば、その慣行の通りに円満にいきますように、また指導も督励していきたい、こう考えております。ただ、これを強制的に、とうふを二つにぴしゃっと切るようにやるというわけにも参りますまいが、それらの事情は、とくと事情に応じて最善を尽していきたいと、こう考えております。
  79. 清澤俊英

    清澤俊英君 これでやめますが、旧来の慣行によるということは、私は、製糸家から出してもらうように政府としては努力していく、こういうふうに解釈してよろしいですか。そう解釈して私は質問を終ります。
  80. 島村軍次

    ○島村軍次君 農林大臣に。御就任後、来年度の予算編成を控えまして、いろいろ、新聞紙上等では、農林基本政策に関する問題が出ておるようですが、相当の期間も経過いたしておりますし、いずれ基本政策に関するアウトラインの、重要な施策に対しての大臣のお考えがあろうと思う。まずその点から一つ承わりたい。
  81. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 来年度の予算の問題につきましては、まだ具体的にお示しする段階ではございません。
  82. 島村軍次

    ○島村軍次君 その御答弁は、いずれそうだろうと思いました。しかし、目下経済閣僚懇談会等を開かれまして、経済不況対策等の問題に関連して、具体的の問題まで進んだ一つの御構想があろうと思う。同時に、基本政策に関して三浦さんのお考えになっておる−どういう点に重点を置いてやろうと、こういうことをお考えになっておりますか、その大要をお漏らし願ったらいかがでしょうか。
  83. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) 重ねてのお尋ねでございますが、本問題は、ただいま具体的に検討中でございまして、まだ遺憾ながらお示しする段階でございません。
  84. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで私は、具体的な問題の一、二についてお伺いいたしたいと思います。  新聞その他の報ずるところによりますと、農産物の流通対策の一環として、放送事業団というようなものが前々大臣河野氏によって提唱されて、会議が開かれたということを承わっております。これに関しては、どういう程度農林省の立場でお考えになっているんですか。また、その内容等に対する御意見がありましたら承わりたい。
  85. 三浦一雄

    ○国務大臣(三浦一雄君) これは、農村関係団体の間に、自主的にいろいろお話し合いを進められて、そうして社団法人等の設立の御計画あるやに聞いておりますが、当省としまして直接に関係しておりませんから、その程度のことしか私も存じておりません。さよう御了承を願います。
  86. 島村軍次

    ○島村軍次君 大臣直接御存じでないと言いますが、その問題については、ある程度まで官房長もしくは所管局の方で御存じだと思います。大要についての御説明を願えますれば……。なおかつ、それが農林省がかねて主張されておりまする、いわゆる流通対策の一環としての考え方として、果してそういうものは農林省が大いに取り上げてやるべきものかどうかという問題に関する御所見もあわせて承わりたい。
  87. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) ただいま島村委員の農林放送事業団のこれまでの経緯について説明しろと、こういうことでございますが、私の現在まで承知いたしておりますことにつきまして申し上げたいと思います。  放送事業団の問題につきましては、かねて農林省としましても、また農林団体におきましても、流通改善の問題と関連いたしまして、市況の早期普及というようなことが、非常にこの面において役立つのではないか、特に生鮮食料品であるとか、あるいはくだものであるとか、そういったようなものにつきましては、一面流通秩序の対策を講ずるほかに、早く農民に適時適確な情報がわかるということが、この面における改善の面になるのではなかろうか、こういう希望を持っておったのでございます。たまたま農林漁業関係の団体あるいはまたそれらを利用し得る末端の組織等の活用と、特に有線放送の活用といったような部面から、こういう話が持ち上ったのでございまして、われわれといたしましては、自主的なそういう農業団体間の話し合いによって放送事業団が発足するように、今日までたどってきたものと了承しておるのでございます。これに対して農林省がどういうふうに考えるべきかということにつきましては、これは、私からお答えするよりも、あるいは大臣からお答え願うべき筋合いかと思いますけれども、農林事務当局といたしましてはかような農業団体の自主的な団体ができ、自主的な意思に基きまして、かような団体ができ、経済市況についての適時な放送普及が行われ、そうしてまた、それによって流通改善にも寄与し得るということでありまするならば、われわれとして特にこれに非常な反対をするということではない、自主的な活動によってそういう効果がむしろ期待されることを希望する、こういうふうに現在のところ考えておる次第でございます。
  88. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  89. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記を始めて下さい。
  90. 千田正

    ○千田正君 大臣に質問するつもりでおったのですが、大臣が時間がない、次の機会にも約束ができない、大臣が次官あるいは官房長が答弁することに対しては一切の責任を負うという言明をされておりますから、私は、結論的にはっきり御答弁をいただきたい。ということは、昨日の委員会で旱害対策その他に対しての一応の担当者でありまするところの局長諸君からはお答えを受けております。しかし、事は大きな一つの国策の問題として、農林省の態度をはっきりしてもらいたい、こういう点を伺いたいのであります。それは、旱害対策に対しましては、先般閣議で決定した応急対策が今実行されておる、これは私も了承できます。しかし、今度の旱害のような日本の国土における広範囲にわたるところの天災に対しては、各県が要望しているような天災融資法その他を適用すべきである、そういう意味から言いまして、天災融資法に対して改正農林省では出す意思があるかどうか、まずこの点を伺います。それから、もちろん天災融資法は、単なる農林省だけの問題ではなくて、これは建設省その他の従来から言いますといろいろの水害あるいは暴風雨、そういうような天災を意味しておりますが、その中に今度のような旱害に対処すべきところの法案の基準がない。ですから、この法的な基準をはっきりさせるための意味において、もう少し範囲を拡大して、天災融資法の範囲に今度のような災害が十分に適用されるような標準を作るような改正法案をあなた方考えておるかどうか。もう一つは、応急対策を見ますというと、非常に農林省におけるところの建設事業が十分なる予算を持っておらないために当然、当初の計画通り進んでおるならば、ある程度の旱害等は防除できたにもかかわらず、十分なる予算の獲得ができなかったために、今度の災害等に関しては非常な災害が起きておる。根本的においては、そうした基本的な建設の面において、従来の予算以上の予算を獲得するという線を強く打ち出せるかどうか。もう一つ伺いたいのは、三十三年度の予算のうちにおいて、一般会計におけるところのこうした建設面の予算はどれだけかということと、全予算に対応しまする何%が一体農林省の予算なのか。私の知っているところによりますと、全予算から見ると一〇%にもなっておらない。日本の、ことに生産事業に携わっておるところの大きな農林省の予算としましては、はなはだ私は残念ながらその面においては少いじゃないかと思う。建設面におけるところの予算の確保ということに対して、農林省はあくまで強く獲得をしなかったならば、この問題の基本的な解決はでき得ない。その三点につきまして、私は次官なり官房長なりのはっきりした答弁をいただきたいと思います。それがいわゆる私は農林大臣に三浦農政が果してどういくかということについて聞きたかった点でありますから、一応伺っておきます。
  91. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) ただいま干田委員の御質問の第一点の天災融資法に旱害を適用するような方向に法律改正を考えるかどうかという御質問のようでございますが、具体的にどういうふうなことを意図しておられるのか、その点もう少し詳しくお話し願いたいと思いますが……。なお、千田委員もよく御存じの通り、今回の旱害は何十年に一回というふうな非常な異常な旱害でございまして、しかも、先般の閣議決定は、七月の四日に決定いたしましたのでございますが、その後相当期間が経過しており、なお、九州地方等におきましては、その後もなお旱害の状態が続いておるというふうな事情もございますので、政府といたしましては、これらの異常な旱害に対処するために、次々とこれに対処する方策について検討いたしたい、また現に検討を続けておる次第でございますから、その点どうぞ御了承願います。  また第二の点の応急対策もさることながら、とにかく建設に対するところの予算が不足であるために、この旱害がこの際非常に大きく露呈されたのではないか、御指摘の通りどももそう感ずるところがあるのでございます。ただ、財政全般を通じまして、どういうふうにその方面に割り振るか、あるいは農林予算自体の内部においてどういうふうな配分の仕方がいいかというようなことも、それぞれ関連する問題であろうかと思うのでございます。農林当局といたしましては、御指摘の通りわが国の農政の改善、推進のためには、どうしても財政的措置を絶対的に必要とする問題でございますので、特に農林関係は他の分野と違いまして、財政に対する依存度が非常に大きいということはよく承知いたしております。その面についてはあらゆる努力を傾倒いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  92. 千田正

    ○千田正君 天災法の対象にする、どういうことを意味しているかということがおわかりにならない、こういうお話でありますが、それならば各県からの要望である天災法に基く融資を要請しているのに対して、あなた方の方はそういう融資決定しておりますか。天災法によってやられるだけのいわゆる法的根拠と同じような、今度の早書に対しまして、そういう融資の方法を決定しておりますか。
  93. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 御質問の天災法に対する基準並びに今回の旱魃に対する天災法の発動いかんということでありますが、第一点の御質問につきましては、政務次官から御答弁がありました通り、旱魃に伴う被害につきましては、天災でありますので、これが天災融資法の対象になることは法律上明らかであろうと思います。ただ、本委員会におきましても、天災法を具体的に発動する場合につきましては、現在の法案の建前といたしましては、その天災によりまして、具体的には旱魃によりまして、具体的に損失が出ました場合に、その損失が一定の基準に該当する場合に適用するということになります。この旱魃によって損害が出ないような防除措置に対する融資ということについては、天災融資法はいまだ対象にいたしておられないのでございます。従いまして、現在第二の御質問でありましたすでに融資決定をいたしておるかどうかという御質問につきましては、防除についての助成措置につきましては、過般来本委員会におきましても旱魃対策を御説明いたしましたのでございますが、天災法に伴う融資決定につきましては、この旱魃に伴う減収量というものが確定し、それに伴う損失が確定いたしませんと、これに該当するかどうかということについての判断ができないわけでございます。従って、われわれといたしましては、旱魃あるいは今回の豪雨水害等につきましても損害が確定いたした、減収量が判明いたしました場合におきまして、発動するかどうかということにつきまして検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  94. 千田正

    ○千田正君 官房長のお考えは、いわゆる損害がはっきりしてから天災法による融資決定したい、これはまあ役所で考えるのはそうでありましょうが、昨日以来あなた方が提出しておるところのこの早書の状況の資料によりますと、これはおそらく天災法の融資によって融資しなくちゃならない対象になる以上の損害を予想されるところの報告ですよ。だから、あなたの考えとしては、おそらく損害が決定しなければという、そういう意味もわかりますが、しかし、私は損害が決定して、なおかつ、防除政策をやっても十分じゃなかったという場合において、その損害に対処すべきところの方法がもう少し法律のワクをある程度拡大する、パーセンテージをある程度ゆるやかにすれば救われるものが、救われないというような場合のことを私は予想していたから、将来そういう問題が起きた場合に、天災法のワクの拡大等を改正する愚息があるかどうか、それを私は聞いておるわけです。わかりましたか。もう一つは、さっき島村委員が聞いておりましたけれども、どうも予算のあれがわからない。大臣は予定ができない、こうおっしゃっておりますが、私は根本政策として三浦さんに、どうしても三浦行政として根本対策を立てるべきだ、従来のようにただ大臣に就任したら今までやっていたことを継承していればいいのだということであったら私は意味ないと思う。だから根本政策を立てる意思があるかどうか。そのためには予算の獲得に対して農林省としてはどれだけの意気込みをもって今後のこういう問題に対しての考えを持っておるか。その意思発表を私は大臣に聞きたかった。その意思発表がないから、だから根本政策に対する予算の獲得等に対してはどう考えておられるのか、今までのような予算獲得の仕方だったらできませんよ。根本政定に対しては、三年計画が五年なり十年なりではとてもできないじゃないですか。それに対しての今までの農林省において計画しておったところの根本対策に対して、予算獲得に対してはあなた方どういう熱意を示すか、その点を私はあなた方に伺いたい。
  95. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) この点に関しましては、昨日も酪農問題に関する御質問に関連いたしまして各委員から一斉に、同じような御趣旨のきわめて熱烈なる御要望、御意見の御開陳があった次第でございます。私どもは皆さんの御指摘の通り、また、その御熱情にこたえる意味におきまして、またさらに、ただいま千田委員の仰せの通り、三浦農林行政として画期的な施策を講ずるという点から申しましても、その面にあらゆる努力を傾倒すべきことはもちろんである、かように考えておる次第であります。
  96. 千田正

    ○千田正君 最後に一点だけ次官なり官房長なりに伺いますが、三十三年度の予算のうちから、そうした基本的建設面に対する予算が日本の全予算の何%に相当するか。
  97. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 農林予算の建設事業部分が全予算に対して幾らになるか、こういう御質問でございますが、どの点を建設事業として考えるかということでございますが、農林予算全額といたしましては、御承知のように三十三年度予算は千八億でございまして、全体の一兆三千二百十億ですか、これに対しましては七・七%という比率になっておる。
  98. 千田正

    ○千田正君 その七・七%のうち建設部門はどれだけ占めておるのですか。言いかえれば、今まで申し上げましたところの旱害対策あるいはその他の冷害、霜害等に対するところの建設部門では、あなたの方では灌漑排水とかダムの建設とかあるいは総合的なアロケーションの問題とか、そういうものを含めて農林省としての建設部門の予算があるわけです。そのパーセンテージはどれだけ占めておるのですか。
  99. 齋藤誠

    説明員(齋藤誠君) 建設事業といいますと、農林関係でありますれば大部分が公共事業になるのでありまして、農林関係のそういった公共事業総額といたしましては、三十三年度は五百十二億二千六百万円でございまして、これに対応する全公共事業費が幾らかということで比較になるかと思いますが、全体の公共事業費は千八百四十九億でございます。従って、約三割程度になろうかと思います。
  100. 千田正

    ○千田正君 今官房長から答えられたように、日本の人口のほとんど半数を占めるところの農漁村に対するところの予算はわずか日本の予算の七・七%しか出ていない、それでほんとうの日本の農林行政がやっていけるかということを私は聞きたかった。私はそういう意味におきまして、今後の基本的な問題の解決のために、少くとも一〇%をオーバーするくらいの予算を獲得しなければ、あなた方の計画しておるところのいろいろな面が進捗しないのではないか、そういう問題に対して、この秋を控えまして、予算を組み立てていくに際して十分なる対策ができるかどうか、こういう面について、ほんとうは大臣からはっきりしたお答えをいただきたかった。それで私は次官にお伺いしますが、今、官房長がおっしゃったように七・七%しか出ていない、少くとも一〇%以上を農林省の予算としてそういう面に取っていただかなければ所期の目的は達し得られない。これに対してはどういう考えを、予算の算用等に関しましては、あなた方はどういう考えを持っておられるか、そういう点をはっきりしてもらいたい。
  101. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) この予算総額に対して、農林省関係の経費が七・七%であることはただいま官房長から申し上げました通りであります。ただ、建設にどれだけ振り当てられるかという問題になりますと、国の一兆三千七百二十一億ですか、この経費のうち一般の経常的な行政費もございますし、その他の教育関係の経費等もございます。それで教育関係等の経費が果して建設と考えていいのかどうか、そこらの問題も、また、それらを農村に振り向けていくのか、どこに振り向けていくのかというような区分の問題もいろいろあろうかと存じますので、そういう分類の問題になると非常に複雑になりますので、先ほど官房長からお答え申し上げました通り、公共事業費のうち約三割程度は農林関係の建設に振り向けられるということで御了解願った方が非常にわかりやすいのじゃないか、かように考えておる次第であります。それはともあれ、とにかくわれわれといたしましては、昨年政府で、一応の目安ではございますけれども、こしらえましたところの長期経済計画に基きまして、あの一つの目安に基きまして、今後農村におけるところの経済の成長を確実に安定的に持っていくように、必ずこれを実現できるような方向に予算の裏づけをしていきたい、かように考えるのでございます。もちろん今日の予算が十分であるとは毛頭考えておりません。また御指摘のようにに、農村において三割八分の人口を包容しておる、この農村におけるところの所得の水準が非常に低いということもよくまた承知をいたしておるのであります。従って、この方面に対して何とかしてあらゆる努力をして、予算の獲得に努力をすることはこれはもちろんでございますが、同時に、内部の経費の効率的な使い方ということについてもせいぜい検討いたしていきたい、かように考えます。  この財政全般の問題といたしましては、これは農林関係でもってぜひこういうようにと考えました場合においても、結果的に必ずしもそうなるというわけにも参らぬ場合がございますけれども、しかし、われわれとしては、あらゆる努力をいたしまして、必ずその方向に実現をしていくようなふうに努力をいたしたい、かようにまあ申し上げておきたいと思います。
  102. 千田正

    ○千田正君 もうこれで終りますが、私はなぜそういうことを言うかというと、私はこれで失礼ながら官房長よりも古くからこの財政問題を担当しております、議員としては。それで過去十数年の間見たうちで、だんだん農林省の予算というものは減ってくる。しかも、町の大臣が力のある大臣の場合においては予算の獲得がふえていって、逆に弱い大臣のときは減っていく、こういう増減のあるような予算の獲得方法というものはちょっとわれわれはどうかと思う。それだから私は質問しておる。少くとも基本の予算のベースというものはきまっておるとするならば、それに対しての熱意の入れどころがどうなってくるかということは私が申し上げるまでもないのであって、私はどうかして、今、次官のおっしゃったのに偽わりがなければ、農林省の予算は一〇%も取るぐらいのことを一つやってもらいたい。大臣によっては一〇%を取り、あれは腕のいい大臣だ、ある場合には取れなくなってくると、あれは大蔵省から締め出し食っているんじゃないか、こういう世評を受けないように、あくまで農林行政というものは、日本のいわゆる農漁民の最高の官庁なんですから、農漁民のためのあらゆる手を考えて、一〇%以下なんということではなしに、あなた方の計画の所期の目的を達成するようにうんと取ってもらいたい、その確信ありやいなやということを私は伺ったわけです。あなたが確信あると言うから私は安心しました。予算決定後において、もし確信が見えないような結論が出たら、あらためて責任を追及することにして、私は今までのところではこれで終ります。あと水産の問題について別に伺います。   —————————————
  103. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件は、本日はこの程度にいたしまして、第二星丸の件を議題にいたします。  過ぐる第二十九国会におきまして問題になりましたこの件に関し、その後の事情について当局の説明を求めます。外務省アジア局北東アジア課長
  104. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 第二星丸の件に関しましては、海上保安庁からの連絡によりまして、外務省において次のような措置をとった次第でございます。  本船は、三十三年の六月二十五日に五島の荒川港を第一昭生丸の付属船として出港いたしまして、二十六日に五島列島西方李ライン外十四マイルの地点で、右網船が二回目の操業を行いまして漁獲してあじ三千貫を積み込んだのであります。この第二回目の積み込みを午前三時五十分ごろに完了いたしました直後に、濃灰色の船が無灯火で接舷をしてきて横づけし、銃を手にした者が四名同船に乗り移ってきたということであります。その後コース西方に曳航されたのであります。  現場の近くにおりました海上保安庁のパトロール船「いすず」が第二星丸及び韓国艇に午前六時ごろ接近いたしまして、手旗、マイク、発火信号等で拿捕船の釈放交渉をいたしましたけれども、韓国艇は全然応ぜず、巡視船は韓国艇の百メートル付近にまで近接いたしましたけれども、韓国艇から威嚇の射撃を受けたので、約二海里の地点まで退避したというふうに伝えております。  この間、第二星丸に乗っておりました甲板長と機関長は午前七時過ぎに海中に飛び込みまして「いすず」によって救助をせられたというふうな報告を海上保安庁から当時受けたわけであります。  外務省といたしましては、七月一日の日に口上書をもちまして第二星丸の拿捕地点、拿捕月日を明示いたしまして、第一点といたしまして、政府は李承晩ラインを確立された国際法及び国際慣例上根拠のないものとして認めておる。公海で操業中の日本漁船を拿捕したことは容認できない。それから第二に、今回の不法行為に対して厳重に抗議を提出するものであり、直ちに第二星丸を乗組員とともに即時に釈放、送還すべきである。将来この種の不法行為の再発を防止するため有効適切な措置を講ずること。本件によって関係者に与えた損害に対する賠償要求の権利を留保するという口上書を発しております。  なお、同日板垣アジア局長は韓国代表部の柳公使を招致して右口上書の趣旨にのっとり厳重抗議を行い、船体及び乗組員の即時釈放及び送還方を申し入れた次第であります。  その後、七月の十二日に至りまして、韓国側の方からは何ら回答がありませんので、第二回の抗議書を提出いたしました。第二回の抗議書は、さらにその後に帰還をいたしました二名の甲板長及び船長の詳細な報告と、その後の海上保安庁の調査その他によりまして拿捕の状況がつまびらかにされましたことと、さらに、特に拿捕の状況自身が李ラインの中であっても不法であることはもちろんでありますが、李ラインをはるかに遠ざかる地点であること、しかも、漁船ではなくて、いわゆる魚の運搬船であり、しかも、第二回目の魚を積み込んだ直後において、これを特にねらって拿捕したのではないかというような点におきまして、特に韓国側の行為は悪性のものであると考えられましたので、重ねて第二回目の抗議を行なった次第でございます。  以上で外務省が海上保安庁から得ました情報に基きまして、今までとりました措置について御説明を申し上げた次第でございます。
  105. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまの説明に対して御質疑の向きは御質疑を願います。
  106. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 外務省がとられた措置は、例によって抗議をせられたことになっているのですが、今お話のように、この事件は李ラインの外であることはもちろんであり、しかも、船からのがれて逃げた船員に対してあとから銃撃を加えているといったようなこと、また、今もお話の通り、魚を積んでおる船をねらっておる。その前に、いま一そうの付属船をねらって接舷しかかったところが、その船は船も小さかったし、何ら漁獲物も持っておらならなかったので、これを拿捕することをやめて、今魚を積んでまさに根拠地に帰ろうとしておるものを追っかけていってつかまえたというようなことを総合して考えますと、まさしくこれは海賊的行為である。単なる今までの拿捕の事情とはだいぶ情勢が変っておりまして、獲物をねらってつかまえたという点から考えましても、また人命に対して銃撃を加えたというようなことから考えましても、これはまさしく海賊的な行為であると考えるのでありますが、その外務省の抗議に対しまして韓国側がどういう答えをしたのか、何ら答えをしないのか。もちろん公文書では何も答えないようなお話でありましたが、柳公使を招致してアジア局長からその点を指摘した際に、そういったようなことで指摘して言ったのか、また、それに対して韓国側としては、ただ聞き置くという程度であって、何もそれに対する回答はなかったのでありますか、この点いかがですか。
  107. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) ただいま秋山委員から御質問のありました第一点でございまするが、従来、拿捕のたびごとに当方から口上書を出し、口頭で抗議をいたしておりますものに対する韓国側の回答はきわめて形式的なものでございまして、李ラインそのものを、むしろ従来の国際先例ないしは国際慣行に基いて確立されたる先例ないし合法的な措置であるということを述べて、むしろ日本側に対して、このラインの中で漁業を行うことを自制することを希望するというような回答をよこしておったわけであります。今回の場合も、韓国側はあるいは同様のラインで回答をしてくるのではないかと思いまするが、その点はまだ判明いたしません。  それからアジア局長が七月一日に柳公使を呼びまして抗議をいたしたときは、第一回目にいたしました口上書の趣旨にのっとって李ラインが不当である、しかも、拿捕の状況その他も、当時としてできるだけ判明した限りにおいて詳細に指摘をし、第三点として、特に全面海難の進行中にかかる行為に出たことは、はなはだ遺憾であるということで乗組員及び船舶の即時返還を要求したわけでございます。そのときの柳公使の回答は申し入れの趣旨は本国政府に伝達するということだけでありまして、特に出先機関といたしまして、直ちにその場で返還をするとかしないとかいうような回答はされなかったものだと、こういうふうに考えております。
  108. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その交渉について、韓国側は拿捕しておるという事実は認めているのか、事実についても何らの返事をしないのか、今申しましたような海賊的な行為は、まさに海賊の行為でありますが、そういうことを韓国の政府が命じてやっておるのであるかどうかということにわれわれは、その行為そのものから考えて、まことに疑わしいのでありますが、果して、そういう行為をすることによって拿捕したということを韓国政府自体あるいは出先機関はそれを認めておるのでありますか、その点はいかがですか。
  109. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 拿捕の事実そのものについては、韓国は否定をしていないのでございます。拿捕したということについては、拿捕されたあとに代表部にも通知があるのが通例でございまするし、拿捕の事実そのものを否定いたしておりません。それから韓国政府がこれを命じて行なっているか、あるいはそうでないかという点につきましては、裏づけございませんし、その点のはっきりした御答弁はできないのでございまするが、拿捕しておる船舶は韓国の商工部の海務庁の公船でございまして、名目は「李ライン」に基いて制定された水産資源保護法という韓国の国内法に基いて本法の違反として傘捕を行なっておるところから見まして、韓国政府の命によって拿捕しているのではないかというふうに考えております。
  110. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 まあ、拿捕は今回まで数十回にわたって行われておりまして、そのつど抗議はするものの、ほとんど抗議に対する効果というものはわれわれとしては認めることができなかったのでありますが、先般日韓会談を再開するという前提のもとに大部分の抑留者は送還されましたけれども、なおかつ百数十名の者が拿捕されたまま向うに抑留されておるのでありまして、ちょうど日韓会談も、ただいま休んでおるようでありますけれども、開会されておるさなかに、何らそういったような会談の時期も何も考慮をせずに、相変らず、しかも李ラインの外においてまでも日本の漁船を拿捕し、非常な脅威を与えるということは、漁業者としては耐えられない問題であるのであります。過般の委員会ですが、二十九国会中におきまして、この点を当局にお尋ねしましたけれども、その当時外務省当局がおいでになっていなかったので、海上保安庁当局にいろいろ当時の事情、あるいは今後に対する処置等についてお尋ねしましたが、全くわれわれとしては、極端にいえば、あまりにもふがいない態度で終始しているという一言に尽きるような御答弁で、各委員全くあぜんとしたのでありますが、そういう状態が今後も続くということになりますというと、日韓会談の将来につきましても、われわれとしては非常に暗い感じを持たざるを得ない。われわれが最も期待する問題は、この李ラインの処置をどう解決するかということが日韓会談の非常に大きな問題であると考えております。従いまして、わが外務当局といたしましては、そういう点を考えて、慎重の態度をとっておられることもわれわれとしては納得できない問題ではありませんけれども、毎日々々生活のためにその海において働いておる日本の、特に西部日本の漁業者の立場を考えますときに、どうしてもこのままで黙っておるわけにいかぬ感じがいたしますが、いかんせん今日までの状態は、何らの効果をもたらしておらぬことを非常に残念に思うのであります。今後、新聞等において見ますというと、今月の二十日ごろに日韓会談が再開されるやに伝えられておりますが、何とかこの李ライン問題に対するかような不法な行為は、もう今後一切行わないような約束をとりつける。同時に、今後李ラインの解決につきましては、真剣な努力を外務省のみならず日本政府としてこれはとるべき問題でありまして、水産当局はもちろん、日本の政府は総理大臣を初めとしてこの問題に取っ組まなければならぬ問題だと思いますが、外務当局は、これは、まあ課長にお尋ねしましてもどうかと思いますが、そういったような十分の信念を持っておやりになる意思があるかどうか。われわれ水産に関係するものは、もう非常な関心を持ってこの数年間この問題に悩んでおるわけであります。この点は、外務省の御決意と、それから農林省の御決意の両面からお答えを願いたいと思います。
  111. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 日韓会談が始まりましてから、四つの小委員会におきまして、漁業関係の小委員会、委員会が、もっぱら韓国側だけの事情によりまして、今日まで全然開かれなかった次第であったのでありますが、昨日林代表が外務大臣をたずねられました際に、十五、六日に先方の漁業関係の担任の委員が来日して、二十日から漁業関係委員会を開く、こういう見込みであるという話があったのでございます。われわれといたしましては、この日韓交渉の舞台におきまして、十分李ラインの本質及び日韓間に横たわっておりまする漁業上の問題の実際的な解決、こういう問題について懸命の努力を払って参りたい、かように考えまして、目下内部におきまして鋭意検討を進めておるのでございます。それにいたしましても、とにかく今日のただいま第二星丸問題で端的に露呈されておりますような操業上の不安というものを除去するということが非常に重要なことであるのでありまして、これは、一方において警備上の問題その他いろいろわれわれとして措置を要する問題でございまするが、また同時に、この取扱いについて韓国側の良識を求める、こういうことも必要であると、かように存ずるのでありまして、われわれといたしましては、韓国側で漁業関係委員会を開くという態勢に移ってくれたということを尊びますとともに、ただいま申し上げましたように、問題を実際的に解決するよう努力をいたしたいと、かように考えております。
  112. 安部キミ子

    安部キミ子君 今の問題と関連しまして。今、長官は、日韓交渉の中でこの問題が解決できると、こういうお話がございましたが、その解決のできる基本問題として、政府は、これは水産庁も外務省も込めて、日本政府として、この李承晩ラインをどういうふうに見ておられるか。基本的に認めるか認めないかという根本的な態度についてまず伺いたいと思います。
  113. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 私の一存でここでお答えするのは非常に重要な問題であるのでございますが、ただ、この問題は、従来日韓交渉が、よく経過的な段階におきまするいろいろな新聞記事あるいは当局の言明に関しまする新聞記事等によりまして、いろいろ紆余曲折を経てきました過去の経緯から考えまして、実はこの席で李ライン問題の本質はかくわれわれは考えるということを申し上げますることも、実はいかがかと、かようにも存じますので、まあわれわれといたしましては、この李ラインの本質につきましても、十分今度の交渉において解決をいたしたい、こういう決意だけを御披瀝申し上げまして、御了承いただきたいと思います。
  114. 安部キミ子

    安部キミ子君 それではおかしいじゃないですか。交渉しようという段階にきていて、日本の基本的な態度というものもきまらないで、どうして交渉ができますか。私は、この問題は、きょう三浦農林大臣に、三浦行政に対する根本問題として聞きたかったんです。けれども三浦大臣がおいでにならぬから、これは高橋次官でもよろしい。先ほど三浦さんは、高橋さんの答弁においては、全部責任を持つとおっしゃいましたから、これは当然大臣から発言がほしかったのでありますが、その点どうですか。長官は、そんな横から耳打して、高橋さんの自主的な意思というものがなくなっちゃうじゃないですか。ロボットにならないで、ちょっとお答えいただきたいのです。
  115. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) 私もこの問題につきましては、農林省に来てまだあまり時間がたっておりませんので、あまり詳しいことは承知いたしておりませんけれども、ただ、日韓交渉再開の非常にデリケートな時期でございますので、ただいま水産庁長官がお答え申し上げました通りで、一つ御了承をお願いしたいと思います。
  116. 安部キミ子

    安部キミ子君 それじゃ今長官のおっしゃいましたように言葉であれば、向うの出方一つでは李承晩ラインを向うで欲するままに認めてもいいということになるのですか。その点はっきり答えていただきたい。
  117. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 李承晩ラインの本質に関しまする日本側の見解というものは、これはすでに明らかでございまして、先ほども今度の第二星丸問題の経緯におきまして、外務省側からもお話を申し上げた通りでございます。ただ、これからの交渉でどういうふうにやるか、どういう論陣を張るかということにも関連をいたしまするので、今これから始まろうといたしており、せっかく韓国側が漁業関係委員を日本へよこして、そうしてこの二十日からやろうというやさきでもございますので、これ以上申し上げることを差し控えさせていただきたいということを申し上げた次第でございます。
  118. 安部キミ子

    安部キミ子君 そうしますと、第一回の、アジア局長が韓国側に抗議を申し入れた中には、李承晩ラインは基本的には認められないのだということ、こういうことをあえて侵した韓国側が間違っているという見解のもとに抗議をされた。こういう態度は、これは水産庁はもちろん外務省、日本の基本的な態度と、こう了解してよろしいわけですね。
  119. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) ただいまお話の通りでございます。
  120. 安部キミ子

    安部キミ子君 そういうことであれば、すでにこの李承晩ラインの問題は、ことしに始まったことじゃない。もうこの問題は、私がこの国会に出てからの最初の年から、ここへ私が出てからことしで五年になりますが、韓国問題、韓国問題で夜も昼も明け暮れておったと言っても過言でないほど大へんやっかいな問題であったわけですね。そうして私が当局に質問しますと、必ずあすかあさってか、あるいは今度の会談で、今度の会談でということで、延び延びになってきたけれども、ついに根本的な解決になっていないんですよ。こういうずるずるべったりな、当てもない態度で、しかも李承晩を相手にして、今後この日韓会談のワクの中でこの問題が根本的に、りっぱに解決できる見通しと確信が、政府及び水産庁長官におありになるのかどうか。
  121. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 解決をいたすために最大限度の智恵をしぼりまして、努力いたして参りたい、かように考えておる次第でございます。
  122. 安部キミ子

    安部キミ子君 あなたの気持はわかります。また、政府の今まで歩んできた通もそのような歩み方であった。しかし、それは決して解決点に至らなかったということは、これはもう世界の人が知っておるわけです。今後もおそらくこの問題は私は解決できないのじゃないかと思うのですよ。そういうことよりも、もっとはっきり、国連といったようなものもあることだし、今日の世界が戦争か平和か、こういうふうな二つに一つの大事な段階になっておる。この大きな問題でさえ国連で処理されようとしておるのですから、私は、もうこの辺で日本政府も見切りをつけて、国連に持ち出して堂々と国連のワクの中で、世界全人類の注視の中でこの勝負をしたらいいのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その決断があるかないか。これよりほかに私は解決の道がないと思うのですが、どうですか、当局の考え方は。
  123. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) お答え申し上げます。ただいま水産庁長官からも御説明申し上げましたように、先ごろ林代表が藤山大臣を訪問されまして、八月の十六日に漁業代表を送り、二十日から会談を開こうということになったわけでございまして、われわれとしては会談を迎えるに当りまして、最大限の努力を払って、本問題をぜひ解決いたしたいという熱意に燃えておる次第でございます。従いまして、現在の段階において国連云々というようなことを考える段階ではないというふうに考えております。
  124. 安部キミ子

    安部キミ子君 あなたの熱意がどのように燃えようとも、それほど熱意があったら五年も八年もかかっても解決しないということはないんじゃないですか。私は、こういうことは、この前日本の方から国連に持ち込もうとしたときに、韓国の大使がアメリカ大使に泣きついて、どうぞこの問題は近々日韓交渉を開くから、日韓交渉の中で話し合いたいから、国連へ持ち出すということは取り下げてもらいたいという韓国側の申し入れをアメリカに訴えて、アメリカの指示によって日本政府がこういうふうな行き方をいまだにやっているのだということが、これは国際通信や何かにみんな出ていた。だから日本の外交がアメリカ追随外交だということになっているのですよ。そういう点、私は、日本が今度のイラクの問題でも、追随外交だとか、あるいはよろめいたとか言われるところに日本の外交−あるいは外交だけではなくて、漁業問題においても、日本政府考え方がちょっとふらふらしていると思うのですが、やはり大きな目で見ていっても、できることとできぬことくらい、もう五年も、八年もかかっているのだから、この辺で見きわめなければ、だめじゃないか、こう思うのです。このことが漁民の不安やら、そうして今後の日本の漁業の成果ということにもかかっていると思うのですが、これは課長さん、あなたがせっかく熱意をもって御答弁下さいましても、あなたの答弁では大へん失礼ですが、この問題は、そうだというふうに私は了承しかねます。それで、根本的な問題は外務大臣と、それから農林大臣に、それからもう一つは総理大臣に出てもらわなければ困りますので、私はこの問題をあなた方に質問しましても、基本的な答えにはならないと思いますから、答弁はもうよろしゅうございます。私の意のあるところを聞いていただいて、今日は、この問題は先の機会に保留しておきます。
  125. 千田正

    ○千田正君 今、安部委員の質問に対して、外務省アジア課長からのお答えは、まあ熱意に燃えて、日韓会談において何とかいい解決方法をとろうと、これはまあその点はまことにけっこうですが、基本的問題として、国際法からいいまして、あるいは海洋法からいいましても、一方的宣言におけるところのラインによって、他国の船舶を拿捕したり、あるいは漁獲その他の海上における自由操業に対する一方的な武力の脅威ということは、これは断じて許すべからざる問題だとわれわれは考えるのですが、基本的においては外務省はどういう見解をもっていますか。これは、われわれからいえば国際法違反であるとして前々から当委員会で主張しているわけなんです。外務省としては、今、日韓会談の前において、そういうデリケートな問題はあまりここで公表したくないと、そういう気持はわかるけれども、基本的な考え方はどうなんだということ。今までの間未解決になっている問題としては、濠州のアラフラ海の問題、これも国際法からいっていろいろな問題がある。さらに海洋法の問題からいっても、大陸だなを中心とした国際的な問題としまして、これは御承知の通り一方的にかれこれ言うのじゃなくて、相手国が受諾した場合においては、ヘ−グのいわゆる国際司法裁判所に訴えれば解決の方法がとれるのに、この問題が未解決のままになっている。聞くところによると、昨年総理大臣がオーストラリアに行って、メンジス首相との間にこの問題は裁判所等にかけないで、平和的に日本とオーストラリアとの間において何かの妥協点を見出そうじゃないか、こういう話し合いがついておるということを聞いているのですが、確かにそれはついているかどうか、 この一点と、今の李承晩ラインというのは—大体李承晩ラインということを言うことそれ自体がおかしいのであって、あそこは何ら李承晩のラインというべきではない。われわれはそういうふうに考えるのですが、外務当局はどういうふうに考えるか、この二点。
  126. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) ただいまの御質問の第一点でございますが、李ラインというものを外務省として基本的にどう考えているかという点でございますが、この点は、先ほど第二星丸事件に対応して外務省が出しました公表書等もあるいはその一端に触れておるかと思いますが、この問題は、いずれにせよ、ごく近い機会に再開されまする日韓会談におきまして、先方の出方等も見つつ、わが方の主張を展開して、本問題を有利に解決をする、わが方の正当な基本的な主張はどこまでも堅持しながら、合理的かつ実際的な解決をはかるという方針で今後対応していくつもりでございますので、現段階においては、交渉上の支障もございますので、私の口から説明申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  第二点のアラフラ海の問題のメンジス首相との話し合いの点でございまするが、私の所管でございませんので、私がお答え申し上げる能力がないということで御了承願いたいと思います。
  127. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) ただいまお尋ねのございましたアラフラ海の問題に関しましては、過般ジュネーヴの海洋に関しまする国際法典案の会議におきまして可決されました大陸だなに関する条約草案において、ハクチョウ貝のような天然資源が、沿岸国の主権のもとに置かれる、こういうことに一応草案は相なっておるのでございます。しかしながら、そうでございましても、昨年の十二月、あるいはさかのぼれば昨年の四月でございましたか、岸・メンジス首相間の会談によりまして今日の不平等な日豪間の条約を、合理的な基礎の上に再検討しよう、こういう話し合いの線は、依然として続いておるのでございます。オーストラリア側は、その会談に入ります前に、両国の専門家によりましてアラフラ海におきまするハクチョウ貝資源の科学的な現状及び将来採取というものについての会談をまずやりたい、こういうことに相なっておるのでございます。その会談の期日といたしましては、大体五、六月ごろが予定されておったのでありますが、これはまだ延び延びに相なっております。しかし、これはその会談をとりやめるという意味では毛頭ないのでありまして、いろいろその会談に入ります前に固めまする若干の問題がありますために、まだ会談の期日がとりきめられない、こういう状態にある次第でございます。一方においてああいう法典草案はありながらも、相互の二国間においてそういう話し合いを持つという線で、目下進行いたしておる次第であります。
  128. 千田正

    ○千田正君 外務省を代表してアジア課長が来ているのですが、アジア課長に答えのできる権限というのは、どことどこなんですか。それをはっきりして下さい。
  129. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 第二星丸の拿捕事件についての御説明で伺ったのでございますが、私の所管は、韓国、沖縄、小笠原、南洋群島の四つでございます。
  130. 千田正

    ○千田正君 それでは外務省に、もう一つあなたの所管のものを聞きます。先般のアメリカの原子核実験によりまして、御承知の通り海上保安庁の巡視船が非常な放射能の被害を受けている。これに対してどういう措置をとったか。もう一つは、海流の汚染が非常にはなはだしいが、漁業、その他に対する影響はどういうふうになっているか。また、かりにそれによって損害を生じているかとするならば、どういう交渉をしているか、その点はどういうふうに考えておりますか。
  131. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) ただいま御質問のありました原子核の問題でございますが、これは外務省では米国がその実験を行なった場合におきましては、所管はアメリカ局で所管をいたしておりまして、地域と関連なく行われておりますので、私からお答え申し上げることのできないことを大へん恐縮に存じます。
  132. 千田正

    ○千田正君 委員長、われわれは少くとも北洋問題とか、海洋に関する問題について水産庁並びに外務当局に対していろいろ聞きたい。しかも水産問題は国際問題をはらんでいる。今までかつて外務大臣は出席しておらない。こういうことでは、ちっとも委員会の目的が達成されないと思うわけです。今のようでは責任のある答弁も何もできないじゃないですか。第二星丸の点だけを私どもは聞いているのではない。李承晩ラインの問題を中心としての問題等について、外務省の見解がみな責任回避であったらどうなるのか。  水産庁長官は、今のイギリス及びアメリカの核実験による海流の汚染等によって、日本の漁業に支障がなかったかどうか、この点はどうなのですか。
  133. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 従来クリスマス、あるいはビキニ、エニウェトク、ジョンストン等で核爆発の実験が行われるつど、われわれはこれに抗議し、かつ漁船を含めまして日本が受けました損害については賠償の権利を留保し、かつ賠償の要求を過去にやったものについては出している次第でございます。最近の拓洋丸等の遭遇いたしましたあの問題に関しましては、実は幸いにいたしまして日本の漁船でこれにぶつかったものはないのであります。一隻やはり拓洋丸の近くを通過した船がございましたので、直ちに帰国早々全員の健康診断をいたしたのでございますが、これは全然異常ございませんでした。また南太平洋でとって保蔵いたしておりましたマグロについて取り調べをいたしましたが、これも全然汚染されている形跡はございませんので、そのまま市場に販売をいたしましたような次第でございます。現在までのところは、そういう状況でございますが、なお、そういう問題が起りますつど、よく調査をし、必要なる措置を講じたい、かように考えております。
  134. 千田正

    ○千田正君 私は委員長にお伺いいたしますが、当委員会を開くに当りまして、外務省を呼んで第二星丸の問題を聞けば、当然これは李承晩ラインの日韓問題に波及してくる。それに対してさっきから各委員の質問に対してお答えはできない。ただいま政府は韓国との間の話し合いの直前だから話すことができないと言われるが、それじゃ外務省を何のために呼んだのですか。責任のある答弁のできる人を呼んで下さい。委員会がそれで目的が達せられると思ったらとんでもない話ですよ。どうして答弁のできる人を呼ばないのですか。
  135. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 第二星丸事件に、外務省を代表して答弁のでき得られる人を呼んだわけであります。
  136. 千田正

    ○千田正君 第二星丸でわれわれが聞きたいということを聞いてみると、明確な弁答ができないじゃないですか。これはほとんど日韓の問題に関係している問題なんです。
  137. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  138. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて。
  139. 千田正

    ○千田正君 日中の問題の漁業問題はあなたの方の管轄ですか。
  140. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 私どもの方の管轄でございません。
  141. 千田正

    ○千田正君 それはどっちの管轄ですか。
  142. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) アジア局中国課の管轄になっております。
  143. 千田正

    ○千田正君 それではとても話にならぬね。それじゃ今のアジア課長がおいでになるところにおいては、日韓問題以外の大した事件は起きておらないと、われわれはそういうふうに考えざるを得ないのですが、お答えのできるというのは、ただいまの問題になっておる日韓問題、それから第二星丸拿捕事件と、これしかないのじゃないですか。
  144. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 私たちのところで漁業問題として一番問題になっておりますのは、ただいまの御質問の通り、日韓問題、最近の第二星丸の拿捕事件、この二つの問題だけでございます。
  145. 千田正

    ○千田正君 それでは竹島問題とピヨートル大帝湾の問題はどうでrか、あなたの管轄ですか。
  146. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 竹島問題は私のところの管轄になっております。
  147. 千田正

    ○千田正君 ピヨートル大帝湾の問題は。
  148. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) これは欧亜局の所管になっております。欧亜局長が出席されませんと……。
  149. 千田正

    ○千田正君 そのような状況ですから、今後外務省から責任ある答弁をいただく場合は、はっきりどの点ということを指摘してやっていただきたい。きょうはもちろん第二星丸というので外務省が見えたのでしょうが、このわれわれが提示した中には北洋問題その他なんです。私は、きょう外務省の責任ある人が来ておられないから、北洋問題、日米安保条約の問題、日ソ条約の問題もありますが、質問をやめますが、やはり外務当局としては責任ある人を一つ出して下さい。こんなでたらめな委員会の会議をすることはないでしょう。  それでは、竹島問題についてはいつ解決できるか、竹島問題はどういうふうな解決の方法によって外務省としては考えておられますか。その点はどうです。
  150. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 御承知のように、竹島の不法占拠の問題というのは、国民の領土問題に対する感情その他からいいましても、私どもは非常に重視をしている問題でございます。この問題につきましては、昭和二十九年に国際司法裁判所に提訴することを日本側から提案をいたしたことがあるわけでございますが、その際、韓国側はこの提案を拒否したような例がございます。今後も国際司法裁判所に提訴をするという基本的な線を維持していきたいと考えておりまするし、また、この問題は国民感情にも触れるきわめて重要な問題でもございますので、今後の日韓間の話し合いの場において、日本側の基本的な主張を展開することによりまして、韓国側の反省を求めるようにいたしたいというふうに考えております。
  151. 千田正

    ○千田正君 竹島問題でも、あるいは今言った李承晩問題でも、おそらく今までのような外交折衝では、とうてい話し合いがつかないのじゃないか、そういうふうにしか考えられない。日本側が弱体であるということを言わざるを得ない。国際法の慣習からいいまして、たとえば一方的な宣言によって領有したと同様の行動が常に許されておった場合においては、一つのそこの権利として認められるおそれがある。李承晩のねらったのはそういう意味において領有権を一方的に宣言して、みずからある場合においては兵力を使い、あるいはその他の暴力を使ってまでも自分の方の権限を主張し、そういうことを慣習づけることによって、その国の領有という宣言を裏づけさせようという一つの外交政策であったとわれわれは考える。外務省としてはどう考えておられるか。
  152. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) 本件の拿捕につきましては、確かに今の御質問の通り、昭和二十七、八年ごろから灯台を構築いたしまして、そこに数名の見張り員を置いておるというような事実があるわけでございます。本件を既成事実にされるという心配は、日本側としても当然に持ったわけでございまして、この点につきましては、事実海上保安庁の巡視船が竹島の付近をたびたびにわたりまして哨戒をいたしましてこれによって不法占拠の事実を確認した上で、韓国側に対しては抗議をいたしておるわけでございます。確かに御指摘のように本件を長期にわたって既成事実としょうという考え方があるわけでございますが、本質的には、韓国側は竹島を、はなはだおかしな主張でありますが、自己の領土だと考えておる、これははなはだしい誤認でございますので、日本側としては、しからざるゆえんをしばしば韓国側に説明をいたしておるような次第でございます。また、これが既成事実化しないように、従来適切な措置をとっておってわが方の権益を守るように努力いたしておった次第であります。
  153. 千田正

    ○千田正君 これは非常に重大なことで、あなたはきょうはアジアに関するきわめて局限された問題に対してのみをお答え下さるようでありますが、先般ゼネバで行われたところの新しい国際法に準ずるところの海洋法の改訂によって、いわゆる大陸だなの問題が出てきておる、この大陸だなの問題が、たとえば国連においてそれが世界の一つの国際法として決定的な事項になるとするならば、これは李承晩ラインというものは残念ながら日本側が幾ら主張しても、そういう国際法が生まれてくるというと、そういうそれを適用されるおそれがある。そこで、そういう意味において、今後の日韓問題は非常に重大な問題であると私は思う。この資源保護という理由のもとにおいて、だんだん日本の漁業の発展が圧縮されてきておるということは、私が言うまでもありません。しかし、実際において最も痛烈に損害をこうむっておるのは、先ほど来言いましたところの韓国と日本の間に横たわっておるこの問題である。そうすれば、今度の日韓問題はよほど外務省としては慎重にかつ強力に主張されなければならない。なぜならば、やがては開かれるであろうところの、ゼネバにおいて創定された草案を国際連合において、あるいはそれが一つの将来における国際間を規定する一つの海洋の問題になってくるというと、当然韓国側の主張というものは、ある程度生きてくるというおそれがある。これに対しては、十分反駁もし、あるいは国際的な舞台において日本側の主張するだけの根拠は十分あると思いますが、それに対しては準備しておるかどうか、その点はどうですか。
  154. 菅沼潔

    説明員(菅沼潔君) ただいま御指摘のありました、先般ジュネーヴにおいて聞かれました海洋法会議につきましては、外務省及び水産庁、関係各省から日本の代表を派遣いたしまして、わが方の主張をできるだけ反映させるように努力いたしたのでございます。海洋法における会議の結論と申しまするものは、全般的に見ますると、李ライン問題等をめぐりまするわが方の主張を有利に助けるのではないかというふうに考えておりますので、この問題との関連も、かねがね外務省においては慎重に検討をいたしておりますし、今回の全面会談の代表といたしましても、外務省の大隈審議官なり水産庁の次長を任命いたしまして、すでに四月の十五日に開始される前から種々研究を続けておる次第でございます。八月の二十日から始まります漁業問題におきましても、過去における海洋法会議の結論、さらに将来における海洋関係の法規を規定する国際的な会議等も十分に念頭に入れまして、現実に紛争が起きておりまする地域における漁民、漁夫の拿捕、抑留等を生ずる禍根を一掃するように努力をいたして交渉いたしたいというように考えておる次第でございます。   —————————————
  155. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件は、この程度にいたしまして、北海道底びき漁業の件を議題といたします。かねて問題になっておりましたこの件に関し、その後の事情について、水産庁当局の説明を求めます。
  156. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 本委員会におきましても数回にわたって議題になりました北海道の底びきの禁止区域の拡張の問題に関しましては、かねがね当委員会において御説明を申し上げました通りの線をもちまして、目下具体的に進行をいたしておる次第でございます。北海道の底びき漁業を、沿岸から遠ざけて、沿岸に迷惑をかけない漁場に進ませるということは、これは当然そうあるべき方策である、かように考えておるのでございます。しかしながら、現状におきまして、しからば底びきの行くべき漁場はどうかということに関しましては、今年一月から北千島の漁場の試験操業をいたしております。また、氷が解けましてから西カム沖合いの漁場の試験操業をいたしておるのでありますが、その双方につきまして、どれだけの資源があり、どれだけの底びき漁船を収容できるか、それに対する底びき漁業の進出に対してどういう条件を与えべきかということについての基本的な回答は、まだまだ得られるだけのデータが出そろっていない次第でございます。これは、われわれといたしましてなお今後鋭意試験調査を継続して、その基礎の上に底びきに対しまする総合的な根本的対策を立てて参りたいと、かように考えておるのでございます。しかしながら、現段階におきましても、底びきと沿岸との関係におきまして、具体的に措置をしなければならない問題はやはりある、かように考えておるのでございます。そこで禁止区域の当面の拡大に関しまして、先週来、北海庁と水産庁との間におきまして話し合いを進めておるのでございます。まず、話し合いは、基礎的なデータ、それの事実の確認ということから出発をしていかなければならないと思うのでございます。そういう事実の上に立ちまして、今週に入りましてから、各海区につきまして具体的にどこまで禁止区域を拡張するかということについての話し合いを、逐次進めつつある状況にあるのであります。われわれのこの問題に対処いたしまする基本的な考え方は、底びき漁業と沿岸漁業との間に現実に操業上の摩擦が起っておる、その部門につきましては、これを除去するに必要なだけの措置一つ講じたい。ただ感情的に底びきをこの際沿岸から追っ放つちまえ、そういうふうな簡単な考え方では、この問題はとうてい解決しない、かように考えておる次第でございまして、そういう事実を今具体的にまず固めまして、そうして線を話し合いをいたしておる、こういうことであるのであります。御承知のごとく、昨年の八月でこざいましたか、北海道議会におきまして禁止区域拡大についての線が出、そうしてこれが知事から水産庁に若干の追加をして上申をされておるのでございます。これに対しまして、底びき側は、あの通りの線であれば、自分たちは今行くべき漁場なくして、しかも、その漁獲の、平均しましても約四割、所によれば五割数分の漁獲量を喪失する、こういう結果になるということで、猛烈な反対をいたしておるのでございまして、今、沿岸側の関係者も、また、道庁、道議会の議員の皆さんも、また同時に、底びき側の立場を支持する海員組合、あるいは沿岸の都市の代表者、あるいは加工業者の代表者の諸君も、いずれも東京に出て参っておりまして、私、毎日両方から少くとも一回ずつは激しいつるし上げ的な陳情を受けておる次第でございます。しかしながら、私は、そういう事実の上に立って、筋を通して、そうして双方が非常に不満な中に、とにかく仕方がない、一つの満足を見出すという措置を、この段階においてできる限り運んで参りたい。禁漁期が、大体海区によって若干違いまするが、八月一ぱいであがると御承知いただいてけっこうかと思ますので、その間におきまして、ぜひとも長い間の懸案でありましたこの問題を、現段階措置し得る範囲においてぜひ解決をいたしたい、かような決意のもとに今努力を重ねておる次第でございます。
  157. 東隆

    東隆君 今最後に言われた、現段階のもとにおいて処置し得るようなところでもって解決をつけたいと、こういうお話でありますが、私は、機船底びき関係のものは、海区を狭小にされることによって損害を受けることは、これははっきりしておるのですが、それを救済するために、試験操業その他をやられて、そっちの方向に向ける、これはわかるんですが、私はこの際、機船底びきの例のトン数の制限ですね、これを撤廃して、そうしてもう少し大きな船をこしらえるそれに対して融資その他の便を十分はかる、こういうような条件をつけなければ、この問題は絶対に双方で了承のできないことになるのではないかと、こういうふうに考えておりますが、そのことは、現段階において云々という中に考えられておるのですか。
  158. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) ただいま現段階においてと申し上げましたのは、底びきの行くべき漁場に関する結論が、まだ全然求められない、従ってまた、底びきに対する根本的な総合対策というものは、まだ立てられない、そういう状況下におきましても操業上底びきと沿岸との間に摩擦が現に起っておる所がある。例をあげて申し上げますれば、タコのから釣りなわ漁業、こういう漁業に関しまして、なわを敷設したのが底びきにさらわれて、そして非常な損害をこうむる、あるいはスケソウの刺し網漁業が、スケソウの回遊してきまする海区が割合に狭小である、そこで、そこに底びきと沿岸とが入りまじりました場合においては、やはり底びきのあの船の大きいというふうな関係から、刺し網が、海中に敷設いたしましたものが、引っぱっていかれてしまう、そういうふうな現実の摩擦が、やはり北海道の海区の中に現に起っております。そういうものに対しましては、この際、禁止区域の拡大等の措置によりまして、両者間の調整をはかるということをしなければならない。そういう範囲のことを、この際、ぜひとも具体的に解決をして参りたい、根本的な対策、すなわち大型化、あるいはそれに対する許可をどういうふうにしていくか等の、そういう根本的な対策は、これは行くべき漁場の調査というものによりまして、収容力等をにらみ合せた上において立てて参りたい、かように考えておる次第であります。
  159. 東隆

    東隆君 今度の解決ですと、その根本的な対策になる大型化の問題なんかは、一応考えておられないようですが、ただ摩擦というよりか、機船底びきが沿岸の漁業に対して現実に被害を与えておる所だけ一つ解決をしよう、こういうのですと、禁止区域の拡大はきわめて小さなものになってしまう、そういう原案ですと、これはとうの昔にそれぐらいのことはやらなければならぬことで、関係の者が水産庁長官のつるし上げを毎日やっておると、こういうことは、もう昔に解決をしなければならぬことである。そうじやなくて、大型化やあるいはその他の問題によって根本的に解決をするということを希望しておるのです、それは。最初からそこのところをねらっておるのですが、小さな問題だけでもって糊塗しようとするのか、今度の八月一ぱいでもって解決をしようというのは。それではお話がだいぶ違うと思うのですが、そんな程度の禁止区域の拡大に対する水産庁のお考えなんですか。
  160. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 北海道のこの問題についてよく言われますことは、北海道の沿岸はニシンを失ったと、あるいは最近はイカの回遊も思わしくない、沿岸は非常に貧困である、そこでこの際底びきの禁止区域を拡大して沿岸漁業を振興しなければならない、こういうふうな言い方が割合に行われておるようであります。しかし、実はニシンの問題にいたしましてもイカの問題にしましても、これは底びきと沿岸の関係とはほとんど関係はない問題であります。ただ、ニシンはオホーツク海におきまして沿岸が沖刺し網として出ておりますので、底びきとの間に若干の問題がございますが、これは当事者の了解によって現在は何らの紛糾も起っておりません 禁止区域の拡大についてのいろいろな要請の中のこれを分析して考えますれば、いろいろあります。すなわち、ただいま申し上げましたような現実の操業上の摩擦矛盾、そういうものを解決してもらいたいということも一つあります。しかしまた同時に、沿岸が漸次大型化して、そうして沖に出て行くのに底びきがそこに漁場を持っておるということが非常にじゃまになる。だから、現実に摩擦撞着はないけれども、この際、底びきを引かしておくべきだ、こういうふうな考え方もあると思います。また、底びきの区域をこれはもう底びきとしての操業のできないような非常な深い所にまで禁止区域を拡大する、そういうことによって、ともすれば底びきが沿岸の禁止区域を侵すという可能性を一掃してしまいたい、こういうふうな考え方もあるようであります。従ってわれわれは、具体的な事実について、当面起っております紛糾を解決するということによって、この問題の現段階における解決をはかっていきたい、こういう考え方であるのであります。今の段階における問題としては、私はそれで十分ではないか、かような考えを持っておる次第であります。
  161. 東隆

    東隆君 水産庁長官はいろいろな弁明をされるようですけれども、結局はきわめて小さな区域だけ拡大をする、こういうことのようでありますが、私は機船底びき業者が沿岸から排除されていくためには、やはり今の船のトン数の制限、そういうようなものをこの際十分に考えて、そうして大型の船を作る、こういうふうなことをやらなければならぬ。海員組合の反対の理由は、これは職場がなくなる、こういうことが中心なんで、禁止区域の拡大そのものに対する根本的な反対ではない。それで海員組合の諸君が反対をされているのは、自分の職場がなくなるから、そこで新しい自分たちが働き得る職場がありますれば、これは反対をしなくても済むんだ、こういうふうに私どもは理解をしております。そこで、根本的な問題は、海員組合の陳情その他は、機船底びき業者の行くべき道の解決によって海員組合の方も解決がつく。だから、この行くべき道に対して国が大きく手を打たないで、そうして糊塗的な沿岸の漁業協同組合の持っている共同漁業権ですが、その区域とそれから底びきの区域とがダブっているような所、そういうような所だけ調節するのだと、これではきわめて少い区域しかない。私はそういうような考え方ではなくて、沿岸の漁民が漁業をするのに必要な漁業資源をどんどん今なくしておりますから、そいつをふやしていかんならぬ、こういうふうな意味で主張されている。だから、根本的に漁業資源を増殖して、そうして沿岸漁民の漁業を振興さしていこうという根本的な考え方であって、そいつを単に簡単に、先ほど言われたような……。そんなような理屈でもって言っているのではなくて、今のままで続いていきますれば、底びき業者もつぶれます、それから沿岸漁民もつぶれてしまいます、これははっきりしている。両方ともつぶれるようなことになってきているから、そこで大へんだ、それでどうしても禁止区域を拡大して漁業資源の確保をしなければならない、こういうのがこれが根本的な考え方になっております。で、両方ともつぶれてしまいますから今のまま続けていくと、現にもうどんどん少くなっておる。そして噴火湾のような所はもうすでにどういうことになったかというと、一応つぶれてしまいましたけれども、禁止区域にすることによって割合にまた大きなものがとれる。そういうようなことが目に見えてはっきりしておる。それを根こそぎとっていく汽船底びきは今のままでもって続けていったら両方ともつぶれるということを言われておるのですから、それから大型化という方向で、そして今試験操業その他をやっておる方面に、水産庁のように特定の大きな漁業会社やその他に利権を与えるというようなことを前提に置いておやりになっていったら試験操業の結果がかりによくても、決してそっちの方向になかなか出ていけないですよ、汽船底びきの関係のものが。そこで、今のうちに汽船底びきの諸君に大型化をやらしてそっちの方向に出ていくようにやらなきやならぬ。大きな漁業会社やその他に試験操業をさしておいて、そしてうまくいったらそっちの方に利権を与える、こんなような形でもってやっておいて、そして汽船底びき業者をそっちの方向にやるときには大型化はまだできておらないのだからやらない、こんなようなことになったら、いつの時代に汽船底びきの禁止区域の拡大というような問題が解決しますか。そうじやないですか。
  162. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) まあ東先生のお考え方と私の申し上げますことと若干前提が違っておるように思うのでございます。私は、底びきについての根本的な総合対策というものはこれは至急に立てなければならない、しかし、それを立てるためには底びきの行くべき漁場の漁場価値というものを究明して、そしてそこに入り得るかぎりのものを吸収する、こういう方角でいかなければならない、そういう意味におきまして、北千島あるいは西カム沖合いはまだ漁場価値は全然わかっておらないのでございます。今底びきに大型化していけといっても、漁場価値のわからない所へやるわけにはいかない。そこで、その漁場価値を至急に究明するとともに、ここに進出するためのいろいろな要件、これは単に船を大型化するということのみならず、あるいは処理加工についての要件も具備しなければならない、そういうようないろいろな要件を総合いたしました一つの総合対策というものを至急に立てて、そしてそれはそれとして実行をしていかなければならないと思うのでありまして、もちろん今の段階において大型化に全然道がないということを申し上げておるわけではないのであります。公庫融資によりまして、希望のものに対しては逐次融資の道をお世話をいたしておるわけであります。しかし、これを今徹底して一斉にやっていくということのためにはもう少し漁場価値を調べ、あるいはまた補助、助成の問題等をも討究して、そして総合的な結論を出さなければならない、かように思っておるのでございます。で、資源の問題の話が出ましたから申し上げるのでございまするが、今底びき漁場としてどういう魚がとられておるか、スケソウが全体の四八%、それからホッケが二八%、カレイが五・七%、まあそんなふうな魚が大部分の構成魚種でございますが、これらの魚種につきまして、その資源の補充の構造というものについては、試験場等によっていろいろ調査いたしております。海況等の自然的な要因に更新が左右される要素が大部分でありまして、底びきの活動によりましてその更新が阻害されているというふうには、試験場等においては全然考えておらないのであります。ただ、日本海のカレイにつきましては、やや問題が異なると、かように考えます。従って、カレイの産卵場につきましては、これは禁止区域の拡大等若干の措置をどうしてもしていく必要がある、かように考えておる次第でございます。従いまして、それぞれ産卵期に現われ、そうしていつの間にか消えてなくなる、次の産卵期にまた現われてくる、こういう資源の消長というものについては、底びきが今とることによって非常に危険な状態にあるというふうなことにはとうてい認められない。そういう状況であれば、これは沿岸との操業上の摩擦をこの際具体的に調整するということを、そうしていければそれで当面の目的は十分遂げ得るのではないかと、かように考えるのであります。  なお試験操業の問題でございますが、これは別段大資本会社等にその利権をやろうとかというような考えは持っておりません。現に北千島に行っておりますのは、これは内地及び北海道の底びき業者自身でございます。また、西カムにおきましても、私は将来は底びき業者だけが自分で行くというようなときもあり得ると思うのでありますが、ただ、現在カレイの漁獲につきましては“母船式操業としていくということによって、比較的小さい北海道の底びき漁船が、まだ大型化されない過程においてようよう行っておる次第であるので、これはフィッシュ・ミール等につきまして、過般規則を改正いたしまして、母船式操業の許可をするということにはいたしましたけれども、しかし、オホーツク海につきましては、これはあくまでも試験操業だというふうな形態を堅持さして、沿岸が行けるような時期が来れば、それに切りかえていく、こういうような方針をとっておる次第でありまして、決して将来沿岸の行くべきものを資本企業をしてまず占拠させようというような考えは毛頭持っておらない次第でございます。
  163. 東隆

    東隆君 これは、第二十八国会ですかのときに、試験操業の場合に、これは非常に海のものとも山のものともわからないので、相当大きな企業家の漁業者にこれをやらしておるのだ、こういうお話を私は聞いておるのですが、それはそういう例はございませんか。
  164. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 今、将来予想される漁場についての試験操業の形態は、北千島に関しましては、北海道及び内地の底びき業者自体が底びき船を持っていってやっております。それから西カムにつきましては、底びき船とそれから母船会社が、底びき業者をキャッチャーといたしました、カレイの船団操業等が行われております。二つの形態があるのでございますが、その母船会社の行います船団操業につきましても、べーリング海におきますフィッシュ・ミール、あるいは南シナ海におきまする底びきの母船操業、これにつきましては、いずれも母船としての許可を与えておりますが、西カムに関しましては、母船操業としての許可を与えない、試験操業という形で今この夏もやらそう、かように考えておる次第でございます。
  165. 東隆

    東隆君 そうすると、汽船底びき関係のものが試験操業その他の結果でもって成績がいいと、こういうことになればそちらの方向にお移しになる考えでおりますか。そして現在の禁止区域の拡大というものを、ほんとうに沿岸の漁民が要望しているような区域に拡大する意思があるのか。
  166. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 沿岸漁民の要望しているということがどういう具体的な線であるか、これはとにかく希望があれば非常に広範なものを希望すると、かように存じます。そこで、われわれといたしましては、現段階においては、先ほども申し上げましたように底びきとそれから沿岸との操業上の摩擦を解消する、こういう範囲において実行する、なお、日本海のカレイについては、操業上の摩擦は現在ないが、カレイの資源保護という意味においての禁止区域の拡大ということを考えねばなるまい、こういうふうに考えております次第でございます。
  167. 東隆

    東隆君 この問題は、お話を伺ってみると、道の方で要請しているものとは非常な開きがある。それで八月一ぱいでもって水産庁の方では解決をつけるようなお話でありますが、これはなかなか問題が将来に残ると思うのですが、今の質疑応答によっては、どうも非常に狭い範囲しか考えられませんので、これはあらためて私は別な機会にまた質問したいと、こう思うわけであります。それではこれはこの程度にいたしたいと思います。
  168. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本問題はこの程度にいたします。   —————————————
  169. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 先刻繭糸対策について参考人の意見を聞くことに議決されましたが、参考人が急に支障が起りましたので、本日は取りやめることにいたしますから、御了承願いたいと思います。   —————————————
  170. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 水質汚濁防止の件を議題といたします。  この点につきましては堀本委員及び秋山委員等から質疑の要求がありますから、この際御質疑を願います。
  171. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 水産庁長官にお尋ねをいたしたいと存じますが昨日当委員会開会前に、愛媛県、高知県の関係漁民、イワシの不漁対策委員会の代表から、水質汚濁に関しまする陳情がございました。もうお聞き取りであろうと存じますが、きのうのことでございますが、これに対しまする見通しとか、将来に対する対策等につきましては、まだ確立されておらないだろうと存じます。そこで、この陳情書並びに私は先般この地方へたまたま参りまして、地方の漁民からいろいろ事情を聞いたのでありますが、これを承知いたしましたのはごく最近のことなんでございます。この水質汚濁といいますか、この海水面が汚濁されておりまする問題は、原因やその他についてはもう時間もございませんので、詳細に申し上げることを省略いたしたいと存じますが、三十一年以来、イワシの回遊が急激に減少して、地方漁民は塗炭の苦しみにある、こういうことなのでございます。その原因は、高知県の宿毛湾の沖合い、並びに愛媛県南宇和郡の沖合い、すなわち豊後水道に中国化薬株式会社が海上保安庁の第六管区本部の許可を得て、火薬を二千トン余り海中に沈めたということに原因をいたしているのであります。これらの詳細につきましては、すでに書類あるいは当該漁民から陳情を受けておられると思いますので、これに対しまするただ単に聞き取った上からの長官のお考えといいますか、見通しについて、もしおわかりになりますればお答えをいただきたい、こう思います。
  172. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 火薬が海中に投棄されて被害ができたという問題は、実は水産庁全然初めてのケースでございます。御承知のように銚子の沖におきまして、イペリットの原液がドラムに入った形において海中に拾てられましたものを、漁民が引き上げてその原液に触れたために肉が腐食して非常なお気の毒な目にあわれた、これは御承知の通りでありますが、あの際のわれわれの技術者の調査では、イペリットの原液は海中においては拡散しない、従って、魚類にはあの原液自身による被害というものはあまりないのじゃないか、こんなふうな考え方をいたしておったのでございます。火薬もおそらく、当然箱詰め、その他何かの形で包装されたものが海中に捨てられたと思うのでありますが、現場を聞きますると、二百メートル以上の水深だそうでございまして、それが底優性でないイワシ等の回遊性の魚に対してどういう影響を与えるかということについては、われわれも一応初めての話でありまして、技術者も調査した上でなければ返事を申し上げるわけにはいかないと、まあ若干その場での気持は申しておりましたけれども、しかし、それを申し上げることは、若干陳情した方々に対してもまた差し控えたいと思うのでありまして、もう少し調べました上で、その被害のいかんを認定しなければならないのじゃないか、かように考えておるのであります。大臣からも至急に調査をせいというお話もございまして、これをどういうふうに今後研究調査をいたしますか、われわれもまだ内部でよく相談をいたしておらない状況にあるのでございます。しかし、その研究調査をいたしました結果、かりに有害であるというようなことに相なりました場合におきましても、これの掃海ということが、掃海能力を持っておりますのは海上保安庁でございますが、それがしかく簡単にいくかどうかということについては、現場の海の状況、容器の関係等を考えますればなかなかむずかしいのではないか。また、中国化薬というものが一体賠償能力があるかということについては、これはほとんどゼロのようでございます。そこで、むしろこの問題は、私はそういう研究調査よりも、一般的な凶漁対策、凶漁地帯の漁業振興対策としてどういうことが取り上げ得るか、こういうことに帰着するのではないか、こう思うのでありまして、従って、つき添ってきました県の担当官にも私は補償問題ということにこだわらずに、一体凶漁地帯対策としてどういうことをやってもらいたいのかということを、具体的に、事務のベースに乗るように問題を整理して出してくれ、こういうことを申しておいた次第でございます。一方、私たちは相当な予算を持ちまして浅海増殖という仕事もやっております。また、今年度から沿岸漁業振興対策費というふうな予算も計上して、弾力性のある浅海増殖に限定しない漁村振興対策等も考慮いたしておるのでございます。さらに陳情の中には、宮崎県とのまき網漁業の調整、宮崎の方は豊漁だから、あすこへまき網漁業を入れてくれ、こういう陳情もございましたが、この問題は、実はこの火薬問題とは別に、長い間両県の間で論争があって、そしていまだに解決をしない。これは先ほども北海道の底びきの問題でいろいろ御議論をいただいたのでありますが、こういうふうに漁業の調整というのは、なかなか利害の対立を割り切って、両方に譲り合わさせるということがいかにむずかしいものであるかということを、私も二カ年間の水産庁生活で、しみじみと感じておる次第でございますけれども、なお、そういう問題も一つの研究課題として部内でも研究をさしてみたい、こんなふうにも考えておる次第でございます。
  173. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大体わかりましたが、しかし、受け取っておられるあなたのお考えが、少し陳情の趣旨と違っておる面がございますので、重ねて申し上げておきたいと思います。箱に清めて投下したのではないのであります。これを発見いたしましたのは、中国、瀬戸内海からわざわざあの佐田岬を回って、豊後水道を外に回って太平洋側に捨てておるのであります。で、海上保安本部では、そういう指示はしていないと言うておる。ところが、中国火薬は海上保安本部の指示を受けておると説明しておるのであります。そこで、広島県水産部長は、捨てる所を指示しておるのであります。つまり輸送証明書というものを出しておるのであります。これは公文書で出しておるのであります。輸送証明書の写しもここにございます。その輸送証明書を出すということの理由は、官庁が捨てることを許可したというか、認めておる結果、輸送証明書を出したものと私は考えておるのであります。そこで、かますに入れて捨てたものが相当たくさんであろうと思いますが、ばらで持ってきて、そして当然廃棄をすべき地域に至らないで、つまり請負でやったか、どういうものか、あるいはかますの関係か、潮の関係か、途中で捨てたものも相当あるやに聞いております。またそれを捨てますと、見る限りの海面がまつ黄色になるということであります。でありますから、箱に入れて、二百メートルの所へ沈めたんだから、そう大して害がないなんというような考えでこれを考えておられるということなら、それは私は間違いであろうと思う。ことに、あの宿毛湾あるいは高知県と愛媛県との県境にありまする海岸の貝類でありますとか、あるいはその他の海草類につきましては、これが枯死をいたしておるのであります。そういう現実の姿があるのでございますから、一応見ていただきたいと思います。それからまた輸送証明書を発行いたしまして、どの地点に放棄をせいという指定があるのにもかかわりませず、それがその途中までいかないで放棄をいたしておるのでありますが、もう一つ、その指定された地点が、海図によりますと、つまり火薬類取締法第二十七条及び同施行規則の六十七条によりますと、沿岸から八キロ、水深二百メートルの所になら放棄してもよい、こういうふうに書いてある。そしてそこを指定している地点が二百メートルない所を指定をしておるのであります。でありますから、これは水産庁直接の指示でもなければ、関係もございませんけれども、しかし、漁民保護の立場からいくと、その信憑性を明らかにする、また、先ほどイペリットのお話もございましたが、放棄いたしたのは二十七回にわたって放棄をいたしたのでありますが、その放棄いたしました火薬というものは、火薬、弾丸、爆薬等、いろいろな種類のものを投棄いたしておるのであります。でありますから、こういうもののサンプルが当然あると思いますから、そういうものを権威ある試験場において試験をし、また現地において貝類あるいは海草類が枯死しておるかどうか、そういう点も調査をして、もしこれが被雷があり、また、そういう毒物であるということなら、私はそういう他の行政上の処置で、沿岸漁民の保護という立場でなしに、この問題本質の問題の解決を当然なさなければならぬ問題が起ってくるのじゃないか。ことに、この輸送証明書を出して、官庁が廃棄をいたしますることを確認をいたしておるのでありますから、私はそう簡単ではない。ただ、漁民の人たちが言われるように、果して毒性がどこまであるのかということが問題になるわけであります。しかし、関係いたしておりまする漁民は非常にたくさんの人であり、ことに、豊後水道であり、また指示をいたしておりまする所は、イワシ漁場の、しかも、日本三大漁場の一つである豊予海峡の入口を指定しておるということが私は非常に不見識だと思います。そういうことに対しまして、水産庁はすみやかに現地へ行って調査をする意思があるのかどうか、この点から伺いたいと思います。
  174. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) まだどうするかということにつきましても、昨日この陳情を受けましたばかりで、まだ部内でも相談いたしておりません。何か今お話の輸送証明書を出したのは、広島県の林務部のようでございますが、これはあの辺でだいぶ火薬を治山工事等に使いますので、そんなふうな関係もあったかと思うのでありますが、それから海上保安庁は、その許可をしたことはないというようなことも申しておるというようなことで、これもおそらくその事実を突きとめる必要もあろうかと思います。いずれにしましても、これは水産庁に預けっぱなしで、現地に人を出してその海を回って見たところでわかるものではないのでありまして、そこで、一方そういう場合において、試験場等において、火薬がどういう影響があるかというふうなことを一方において調べると同時に、県も一緒になって調べてもらわなければならぬ。水産庁の係官が一、二行って見たところでどうにもなることではないので、そこら辺を県ともよく打ち合せをした上で、実際にどういうふうにしたら効果があるか、案を立ててみたいと思っております。
  175. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の問題ですが、私どもは初めて聞いたんで、果してどういう毒性があって、漁業にどういう影響があるかということは、ぴんとこないんです。しかしながら、今聞いてみますと、三十一年から二十七回にわたって放棄している。今後もまだ捨てていくかもしれない。しかし漁民は、これがために漁群が逃げてしまう、寄りつかぬということを言っておる以上、この事実はやはり究明する必要があると思うんです。そうしないと、今日陸上の内水面におきましても、沿岸においても、御承知のような水質汚濁防止という問題が非常に大きくクローズ・アップされている際に、こういう新しいケースが出てきて、それはそれでただうやむやであるということは許されないことであって、ぜひ水産庁としては、果してこれが害があるものであるかどうか、害があるとすれば、どういう成分によって害があるかということを突きとめていくということが絶対に必要であると思うのであります。従いまして、どうか水産庁自体から係官を派遣し、県当局あるいはまたその火薬会社、海上保安庁というようなものと十分調査をいたしまして、その実態を一つ今後の機会に私どもにお示しをいただきたい、そうしてそれに対する処置を講じていただきたいと思うんですが、ただいまお話のありましたような、これを他の、たとえば浅海増殖であるとかなんとかいうものによって処置するといたしましても、このイワシまき網漁業というものは、御承知のように、相当規模を大きくしてやっているものでありまして、それと、今申しましたような沿岸の浅海増殖とは、ちょっとそれによって救われるというようなケースでもないように思うのであります。それをまああわせて必要といたしましても、ぜひその害というものに対する実態をきわめるということは、今後の問題に対しても必要であるし、さらに、それを投棄するということも今後継続されるとするならば、それに対する処置−どうもはっきりしないから、まあ投棄することはそのままに今後も投棄させるということは、これはちょっと考えなければならぬ。陸上において処置するような方法もとれぬことはないと私どもは考えますので、もうこれっきり今後その中国火薬が投棄するのでないということであれば、その点はいいのですが、今後もぼつぼつやるのだということであるならば、それに対する処置も一つ考えてもらわなければならぬ。はっきりしないから、まあ投棄は投棄でやれということでは解決しにくいと思います。この点私は強く要望いたしておきます。  それからさきに起りました、本州製紙の水質汚濁の問題であります。これはその後どういうふうに解決いたしましたか。その点を、解決されたならば、どういうふうに解決したか、あるいは解決しなければ、今どういうふうに進行しているかということ、それからその際に、先般水産庁に対して資料の提出を、調査の資料提出をお願いしておりましたが、それはいまだに御提出がないようでありますが、これは至急に一つ御提出していただきたい。  ついでに要望を申し上げておきますが、この水質汚濁防止という問題は、本州製紙の問題を契機といたしまして、かねがね全国にもやもやしておったものが一ぺんに勃発したというような格好になっておりまして、どうしても何らかの手を打たなければならぬ状態になっていると思います。今、政府の方あるいは政党の方におきましても、これらの問題をいかにするかということを検討をしているようでありますが、これは関係割合に各省にわたっているようでございまして、一省だけの問題ではないので、なかなか複雑なようでありますけれども、問題がかようになって参りました以上、何とか早く解決しなければいけない。これは次の臨時国会に提出するように相なりますかどうか、お見通しを伺いたいと思います。
  176. 奥原日出男

    説明員奥原日出男君) 中国火薬は漁民の側の抗議によりまして、今後あの海域に廃棄はしない、こういうことを約束をした、かように陳情者から聞いているのでございますが、なおよく事実を確認するようにいたしたいと、かように存じております。  で、本州製紙の問題に関しましては、お手元経過概要、三十日付のものをお届けをいたしているのでございますが、東京都及び千葉県が目下被害の調査及び補償額の算定等をいたして、会社と漁業者と四者の話し合いでこの問題を解決しよう、こういうことで目下両行政当局がその調停、あっせんにつとめているのでございます。で、水産庁も時々連絡を受けまして、これが指導に当っているのであります。で、両都県当局は、六月の二十七日以後、最近は七月の二十四日まで四回にわたって被害調査をいたしているのでありますが、しかし、まだその要求すべき被害額についての算定の完了をいたしておらないのでございます。また会社側におきましては、防災施設を今やっているのでありまして、沈澱池はすでにできたという報告を受けておるのでありますが、その他の施設は二億ばかりの金を使って今やっておる、こういうふうに聞いておるのでございますが、またその完成を見ました上で実態調査をしまして、さらに不完全な場合には改善を求めるという決意でおる次第でございます。会社側は七月の八日に、東京、千葉両都県知事あてに、調停を是非やってくれ、こういう請願をいたしているのでございます。私のところにも会長、社長が一緒に見えまして、そして除外施設をぜひやる。しかし、会社としても、多額な資本をあすこに投下したことでもあり、ぜひ早くこの問題を解決してもらいたい、こういうふうなお話があったような次第でございます。で、現状は、抄紙だけでやっておりまして、SCPパルプの操業は、あの事件以来停止をいたしておるのでございます。一方、浦安の漁業者の方におきましては、この漁場の魚介資源が将来復活してくるように、漁場の耕釈清掃をいたしておるのでありまして、実は私の力にも、ブルドーザーでも使えば、それに対する助成費もあったのでありますが、人力であくまでもやる、こういうことで、現在の仕事を実施いたしておる次第でございます。また、これが、もとになりまして、千葉県におきましても、鉱害に関しまする何らかの条例を早急に制定したいということで、これについての検討を取り進めておる、現在ではそういうふうな進行状況でございます。  それから次に、水質汚濁防止法の上程の問題に関しましては、この次の臨時国会に上程をするという趣旨をもちまして、内閣の審議室におきまして、基本的な方針に関するワクを定めまして、そして法律の立案は経済企画庁がこれに当る、こういう打ち合せに相なっておるのであります。で、関係省それぞれ意見を内閣の審議室に出しまして、目下審議室において調整をいたしておるのでございますが、ただ関係省の出しました意見は、この問題の審議過程で十分すでにお聞きになりましたように、必ずしもすらすらと簡単にこの問題がまとまるような意見ではないのでございます。まあ審議室におきまして今苦労してこれが調査に努めつつある、こういう状況にある次第でございます。
  177. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 今の防止法の経過につきましてはよく了承いたしました。この一番大きな被害者は水産漁業者でありますから、もっとも関係の深いのは水産一庁であろうと思います。従いまして、私どももこの水質汚濁防止法の定制につきましていろいろ協議いたしつつあるのでありますが、非常に複雑であって、なかなかそうあっさり問題を解決するようなことはむずかしいと思うのでありますけれども、もう事、今日に至りましては、これをじんぜん、ずるずるべったりにするわけには参りませんが、水産庁といたしましては、一つ大いに馬力をかけて、漁業者の保護のために、一段の一つ奮起をお願いしたいと思います。要望いたしまして私の質問を打ち切ります。
  178. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件はこの程度にいたします。   —————————————
  179. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 次に、農業課税の件を議題にいたします。  この件につきましては東委員から質疑の御要求がありますので、この際御質疑を願うことにいたします。
  180. 東隆

    東隆君 北海道の農業、それから漁業関係の国税滞納の処分について、札幌の国税庁の方は、道に対して相当強いことの申し入れをされておるようであります。ところが、たまたまその件が新聞紙によってピックアップされまして、そうして新聞紙に登載をされたのであります。そこで、それに対して国税局の方ではそういうようなことはないと、こういうふうに釈明をされておりますので、その滞納関係の問題については、私は釈明でもって了承いたします。それで、その点については質問いたしませんが、私はこの際、所得税法の第六十三条とそれから第六十四条、この六十三条は収税官吏の質問検査権の問題、それから六十四条は、収税官吏の諮問に関連をした条文なんでありますが、北海道で農業協同組合関係の方は、これは長い歴史を持っておりますので、あまりトラブルはないようでありますが、漁業協同組合の方面では、相当この条文関連をしてトラブルが起きておるようであります。で、ある組合では、税務署の者が組合に行って、そうして帳簿を写真にとる、こういうようなことをしかけたものがあるわけです。それからまた、ある所では組合に参りまして、そうして実は販売代金を調べようとされて、組合に行かれたようでありますが、ところが、たまたま信用部の方にその人が間違って行りたので、そこで信用部の係のものは預貯金についてはお調べにならないと、こういうふうになっておるというので、これを拒絶をしたわけです。ところが税務署の人は六十三条の質問の検査権によって、何といいますか、わび状文ですか、それを取りまして、そうしてそれが回り回って札幌まで出てきたと、こうしうような問題が起きておるわけです。それからまた農業の方面で、実はこの米の予約金を調べたいという意思が相当強いようなんであります。たまたま北海道のある一部で米の前渡金を調べたいと、こういうような意思を表明された所もあるように聞いておるわけです。私は、この第六十三条を拡大解釈をされますと、何でもできるようになろうと思うのです。これには限度があるのじゃないか、それから第六十四条は、これは諮問をすることが認められておりますが、これに対しては罰則の適用がない、六十四条では。ところが六十三条には罰則の適用がある、こういうことになっておるので、非常にここの使い分けをされますと、協同組合関係は、これは非常に迷惑をするわけです。で、特にここでもって詳細に調べられると、こういうことになりますると、組合ではできるだけ預貯金を吸収しよう、それから共同販売に即せようと、こういうわけで、正直な組合員が相当ここには出てくるわけでありますが、それらに対してはぴしぴしと課税をする、そうして組合を利用しない者に対しては免かれると、こういうような問題がこれは起きてくるわけであります。それで税務署の考え方いかんによって、こういうようなことが起き、組合の事業が円滑にいかなければ、従って税金の徴収というようなことも基本的にはこわされていくのが、これが農漁村の経済組織からくるところの現状でないかと思う。従ってこの間の調節を当然しなければならぬ、こう思いますし、法律は、徹底的にこの六十三条を拡大解釈をして、そうしてやるというような意思は、私はないと思う。従って、この間のことを明瞭に一つ説明をしていただいて、そうして何らかの形で下部の方に通達をしていただきたいと、こういうのが、これが私の質問の要綱であります。
  181. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまの東委員の御質問でございますが、具体的にどういう事情があって今お話のございましたような調査のやり方をやっているのか、これは実はよくわかりませんが、お話のように、質問検査権、これは相当な権限でございますので、行使につきましては十分慎重にやるように、常々心がけさせているのでございます。やはり相当広範囲な権限を六十三条一号から三号まで規定しております。六十四条の諮問の方は、これはもう従来からやっておったことでございますが、同業者の組合員等に対しまして、組合員の所得の順位を一つ教えてくれぬか、税務署に一つ御協力願いたいがというようなことをお願いすることは、従来からやっておりました。ただ、そのやり方に当りまして、実際の場合におきまして、その間にボス的な方が介在されると、これは納税者も迷惑されますし、それから税務署としても課税を誤まる結果になりますので、所得の金額を一々言ってもらうとか、あるいは特に組合員から報告してもらうということをやらないで、大体この人はAクラスだ、この人はBクラスだというようなことを聞くということは、この点は従来からやっているのでございます。六十一条の方は、納税義務者あるいは納税義務があると認められる者、そういった方に質問をする、あるいは帳簿を見せていただく、あるいは源泉徴収の場合には徴収義務者につきまして帳簿書類を見せていただく、あるいは三号でございますと、納税義務者なり納税義務があると認められる方と取引がある方、あるいは現にあったと認められる方、こういった方についていろいろ質問する。おそらく今お話の点は、この三号の問題ではないかと思いますが、その場合につきましても、いきなり帳簿を写真にとる必要があったかどうか、もっとよく話を伺ってから、もう時間がないから一つこの点を写真にとらせて下さいと、一々ノートするのも大へんですからと、了承を得てやるのは別でありますが、そういうやり方につきましては、今御指摘の、いかがと思われるようなことのないように、今後十分注意してやって参りたいと思います。  それから信用部の調査でございますが、これは従来から私ども指導といたしましては、いきなり漫然と預金台帳を全部見せいというようなことで、預金台帳をいきなり漫然と調べるようなことはいたさないようにいたしております。しかし、実際の所得の調査に当りまして、どうも多くの所得がありそうだが、帳簿がない、あるいは相当脱税もありそうだというような具体的なケースの場合におきましては、その個人々々につきまして金融機関に行って、これこれこういう方を一つ見せてくれということは、やらしております。実際の調査に当りまして漫然と一般のものにいきなりやるということはいささかどうも……、またさような指導はいたしておりません。
  182. 東隆

    東隆君 今の始末書を出されたものは、これは実は島の組合でして、実に遠い所で、はなはだおかしな話なんです。それは信用部の方に行って、そうして拒否されたものだから、いたけだかになって始末書を書かして、そしてその始末書を上部の方に報告をしたと、こういうケースなんですけれども、しかしこれは笑えない話だと思うのです。それで、農業の方は相当歴史が古いものですから話し合いがだいぶ進んでいるようなんですけれども、漁業協同組合の方は、非常にこの点がむずかしくなっておるわけです。そして農業の方は主として米が中心になっておるものは、これはもう問題はないのですが、畑作地帯になってくると、たとえば共同販売というような場合においても検査数量だの何だのそういうようなものを調べましても、隣の村に大部分持っていくようなものが出てきたり、人によって、協同組合の数字を基礎にされてやられると、非常に間違いを起すようなケースがたくさんある。種類が非常に多い。それから協同組合を通さないものもある。こんなようなのが、これが実情じゃないかと思うのです。そうすると、そういうような所に行ってお調べになればなるほど、実は的確な数字だと思われる数字が、かえって的確なものではなくて、そして逆の形が出てくる。しかもそれが大きく、組合の共同販売であるとか、あるいは預金の吸収と、こういうような問題をこわすおそれがあるのです。それで、この六十三条の解釈は、たとえば特定の部分について調べると、こういうような場合は、私はこれは六十三条を削除してしまえというのじゃない。そういうことはいいと思いますけれども、何人も並べてそしてそれを調べさせると、こういうことになりますと、これはまた問題であると思います。一日に一件くらい調べて、そうして長いこと滞留しておるとか、そういうこともこれは笑えない話ですが、やり得るわけです、これは合法的にやろうとすれば。だから、その辺のところを、これもう少しけじめをはっきりして、一つ特に税務関係の方に通達をしておいていただかないと、相当トラブルを起してくると、こういうことになろうと思うのです。それで、私の聞いたところでは、専務理事であるとか、それから参事ですね、そういう者が非常にこれでもって泣いている所があると、そういうふうに聞かされておるわけです。特に漁村の方ですね。そしてこれは、税金を納めることについての協力は、協同組合の方が納税組合を組織したりなんかして、これはやることをきめているのですから、従って、できるだけそういうような権力をかさに着て、そしてやるというような道を、一つできるだけやらぬようにしていただきたい。そしてそういうような点について、何か通達のようなものを出していただきたいと思うわけです。
  183. 金子一平

    説明員(金子一平君) ただいまのお話でございますが、つまり、税の調査を協同組合等についてやりますと、同時に、信用部門についてやりますと、同時に、預貯金の吸収、これに非常に影響するのではないかというお話の点でございますが、これは私どもその点には十分注意いたしてやっているつもりでございます。ただ、法律論で、これはもうやっちゃいかぬのだと言われますと、やはり個々の具体的のケースの場合におきまして、どうしても調べた方が、やはり課税の公正が期せられるのではないか、帳簿その他から結論がなかなかつかめない、こういうような場合には、私はやはりやらざるを得ないかと思いますが、お話のような点、特に他への影響の点も十分考慮いたしまして、慎重にやるように、また、範囲等の点には十分注意いたしたいと思います。なお、漁村等、北海道の方の高等におきましては、おそらく調査に参りました者が出張の日時が非常に短縮されている、短期間にある程度データを集めようというような気持がございまして、特に北海道でそういうような問題が起ったのではないかと思いますが、特に北海道につきましては、私の方から十分協議いたしまして、注意いたします。御了承願います。
  184. 東隆

    東隆君 それで、ケースは、組合の法人税を取る場合に、組合員の関係のものをことさらに見ようとするケースがあるわけです。法人税を調べにいって、そしてその際に組合員のものを見ようと、こういうケースですね、これで泣かされているのですから、それで、そういうことはこれは間違いだと、実はそういうことを考えていないのだと、こういうことなんですよ。
  185. 金子一平

    説明員(金子一平君) お話の点は、十分国税庁の方へ伝達いたします。
  186. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件は、この程度にいたします。  本日は、これをもって散会いたします。    午後四時五十八分散会