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清澤俊英君
農林大臣に二つ、時間がないですから、
養蚕問題について、午前中に蚕糸局長にいろいろ質問して伺ったのでありますが、この中で、現在
繭価協定が全国で
決定いたしましたのが三カ所、これから
あと、大体八月の中旬くらいまでには、
農林省が意図せられているような形式で八千七百五十掛、それと格差百二十掛のし引きになっている、そういうふうにきまりましたが、ただし、今までやっておりました
指導費の
製糸家支給、この五十円乃至三十円という額が、これが皆持ち出しになっている。従ってこれは、今までの
繭価協定から参りますれば
糸価を中心にして
生産費を引いて、そこで額を出す。この
生産費の中に
指導費というものが入っておって、これは非常に不合理だということで、しばしば問題になっておりましたが、このたびのやつに、それが
繭価協定の正当の掛値を出す場合に、今までの慣例でいきますと、
協定の二週間前とか、二十日前とかという前の糸の
価格を中心にして、
生産費を控除していく、こうなっておるのでありますが、そうしますと、十七万円もしくは十八万円くらいの非常に
価格の安いもので
繭価協定すれば、従って千四百円という
繭値は維持できない、こういう
事情があるから、
製糸家に今までのような理屈で必ずしも出せというわけにはいかない。これはまあ一応の理屈だと、こう思いますので、その点大体一応了承したい、こう思っております。しからば、
製糸家が出さぬとしたならばだれが出すのか。だれがその五十円というものをここで出すのか、こういう問題が出て参ります。これでいろいろ、そういう場合になったならば、後ほど養連の責任者についても聞きたいと思うが養連としても、一応
養蚕家からそれを出してもらわなければならぬ、これだけ
指導員をつけるのだから、
養蚕家から出してもらわなけりゃならぬということになるだろう、こういうお話でした。そういうお話のようで、大体
養蚕家ものみ込んで、養連の責任者ものみ込んだような御
説明であった、聞き方が悪いかもしれないが……。
そこで問題になるのは、われわれが長い間、一応農民から取っておるものを
製糸家から出るという形をとることは間違いじゃないか、そういう間違いのことを
一つやめたらよかろう、むしろこういうふうにして君らが出しているのだから、将来皆さんから出した方がよかろうというふうに取り計らったらどうだろうということを何べんも言っておる。ところが、
養蚕家等の責任者も、
政府はあまり品を出されぬが、その線の答弁というものは、それは、農民はそういうものを出さない、そういうものを出せと言うても農民は出さない、出さないから、こういう間違った手ですか、形の変った方式で出しているのだ、こういうお話なんです。出さないと言うけれ
ども、今まできまったものがここへきて出せと言うても、出せないことはわかりきっておることなんです。出せるものだったらば、なぜ今までそれを実行しておらなかったか、不合理な、そういう形で
製糸家が出しておるというような形をなぜとっておったのか、出せないからといっておった、ここに矛盾がありますが、私は、
政府として、そうなった場合、出場のない場合、非常蚕糸対策として私は
政府がもってくれるのがほんとうじゃないかと思うのです。全部もてないとするならば、半分もってやるから、
あとは
製糸家と
養蚕家でもてというような話ならば、これはおさまるのじゃないか。
製糸家はもてないの一だ、現に今やっておりまするのは、百五十億という経費を使って、
生糸の
値段は十九万円というものを維持したという形で
価格が
決定されておる。そうしたならば、十九万円を中心にした
繭価協定の中には、当然私はその五十円というものは入っていると思う。現にこの
法律ができた
あと、十九万円単価で大体において売買ができておる。きょうも聞きますと、約二割は
政府買い上げでやってできました。約八割は売買しているのだ。そうしますると、これは一方的なものの見方になるのじゃないかと思うのです。一方的なということは、この際どうも、
製糸家がもうかるとか、あるいは
養蚕家だけに犠牲をかけるとかいうような、そういうものの言い方をしたくないから私は申し上げるのですが、
製糸家の方では、そういう異常な
繭価協定をやっているのだから、それを承認せられる、現にその
協定せられた
価格に近いもので現物は−これは
相場ですが、ここにちょうだいしておりますのは
相場だが、現物は十九万円、新聞で
規格糸は十九万円と、はっきり毎日出ておるのですが、それをさっきも質問しますれば、ここに出ておる十八万幾らというものは、これは
相場である、こう言われるのです。現物は十九万円と、毎日の新聞を私は注意して見ていると、それは維持しておられるのだ、入っておるのです。そうしますれば、それを
製糸家がどうしても出さぬ場合には、
養蚕家が出さなければならぬというような
考え方は、全く私は納得できない問題だ。
農林大臣はこれをどうお考えになりますか、どう処置せられようとしておられるか。これが第一点。
第二点といたしましては、このたびの
繭価協定それ自身は、先般の
糸価安定法によりまする一部修正によって、百五十億の手当によって一応の
糸価安定を見た形になっておりますが、本日頂戴した資料によりますれば、糸は先物として逐次下る
傾向を持っている。先般も、
糸価安定法の
審議の最中に、
農林大臣にも何べんもお伺いしたのです。結局すれば、
夏秋蚕に対しましては何ら手当がないが、その場合、下るような場合は一体どうなるのだ、こういう話をしましたときは、そのときはそのときで、必ず臨時処置をやって、迷惑のかからぬようにする、こう言いきっておられたのですが、
現実の問題は、今ここへはや当面してきています。八月の中旬過ぎになりますればもう夏蚕は出て参ります。この場合、まだ
春繭の
値段がきまらない、ようやくきまるといっておったときに、こうした繭価において
夏秋蚕の繭が
価格が維持していけるかどうか、いけないという証拠は、私は証拠というわけではないのですが、不安の裏書きをしておりますのが、十月になれば十七万円というふうに先物
相場が下りつつある。昨年は十二月から下り出して、六月を
最低として十六万円まで下ったというような、より以上の反発が来るとはたれも保証してくれない。この際よほどしっかりした御宣明をいただかなかったならば、私は、とんでもない問題ができ上るのじゃないか、こう考えますが、
農林大臣はその点に対してどうお考えになるか。同時に、職を賭してもこれをお守りになる腹がまえか、
一つはっきりお聞きしてみたい。