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説明員(渡部
伍良君) 明
肥料年度が八月一日から始まります。明
肥料年度の肥料の
関係につきまして御
説明申し上げます。
まず第一に、アンモニア系窒素肥料につきましては、肥料需給安定法に基きまして、肥料の需給計画を肥料審議会にかけてきめなければいかぬ、それから硫安の最高販売
価格をやはり肥料審議会にかけなければならぬということになっております。七月の八日に需給計画の審議会を開き、二十八、二十九日に
価格の肥料審議会を開き、
あとから御
説明申し上げるように決定いたしました。
まず、そこへお配りいたしております
資料についてごらん願いますが、第一
ぺージは、三十三
肥料年度におきますアンモニア系窒素肥料の需給計画であります。前年度からの繰り越し数量が三十五万トン、生産
見込み数量が四百四十三万六千トン、国内消費
見込み数量が二百四十九万九千トン、需給調整用としての計算上保留する数量が十六万トン、輸出可能の
見込みが百九十四万三千トン、三十四
肥料年度への繰り越しが十八万四千トン、こういうことになります。
これを今までの実績と対比いたしますと次のページの肥料別需給実績及び計画という表でごらん願いますと、硫安換算のアンモニア系窒素肥料でありますが、国内生産は左のこの表で見ていただきます。(1)の中にある石炭窒素の分を引いた
数字がアンモニア系であります。この表は石灰窒素も含めました窒素肥料全体の数量を硫安換算で出しております。そこで、前年度の
状況を申し上げますと、(1)の表でごらん願いますように、アンモニア系では生産が三百七十九万一千トン、これが来年度は四百四十三万六千トン、こういうふうになっているわけであります。内需は、アンモニア系は二百四十一万五千トンが二百四十九万九千トン、こういうことになっているのであります。従いまして、内需の三十三年度の比較は、調整保留を加えますと二百六十五万九千トンになりますから、今
肥料年度の二百四十一万五千トンに比べますと、約二十数万トンの余裕を見ております。昨年も十六万トンの保留数量を見ておったのでありますが、これはそのうちわずかばかりを、約五万トン程度を食い込みまして、二百四十一万五千トンという内需の実績の数量になっております。それから輸出は昨年度は百三十万五千トンであります。ことしは、在庫を十八万四千トンと見ますれば、百九十四万トンは輸出できる、すなわち六十万トン以上の輸出の増加が見込める、こういう
数字になります。今のはアンモニア系肥料のトータルを申し上げましたが、その内訳は、今の
資料で硫安、尿素、塩安、硝安、流儀安その他ということになりまして、(2)の表では三十三年度の
数字の、今の硫安、尿素、塩安、硝安、硫燐安その他の内訳を書いておるのであります。石灰窒素は、同様の表で見ていただきますように、三十二
肥料年度は四十五万五千トンの生産でありまして、四十万五千トンの内需がありました。輸出はわずか千トンでありますから、従って、来三十三
肥料年度への繰り越し七万三千トンであります。来年度の生産四十五万トンと見ますと、適正在庫を五万二千トンとしますれば、四十四万トンの消費が可能であり、三万トンの輸出が可能である、こういうことになります。石灰窒素につきましては、尿素とか塩安のような無硫酸根肥料が出てき、ことに尿素の生産は、三十二
肥料年度は八十五万六千トンの生産でありましたが、三十三
肥料年度は百二十万八千トンでありまして、飛躍的な増産が見込まれております。尿素の
価格は、無硫酸根肥料としては非常に石灰窒素に比べて安いので、石灰窒素の伸びも石灰窒素のほんとうに必要なところに使えばいい、そういうふうな
指導方針をとっておりますから、だんだん尿素に転換していっておるというのが実情であります。
次に、燐酸質肥料の需給、第三ページをごらん願います。これは燐鉱石はAA制でありますから、生産の制限なり、
価格の制限をやっておりません。しかし、御承知のように国内の需給は非常にだぶついておりまして、
価格も非常に低目になっております。最近はレバノン事件で船賃等の値上りを心配いたしましたが、今のところはその影響は出ておりませんし、もし船賃等が上りますと、燐鉱の輸出シフ
価格が高くなりますから問題が出てくると思いますが、現在のところではそういう予想をいたしておりません。三十三年度の生産
見込み二百四十八万一千トンであります。その中でこれは過燐酸化成肥料を全部過燐酸で換算しておりますが、二百四十八万一千トンのうち百八十二万三千トンが過燐酸、その差額は化成肥料という格好になります。内需は、昨年二百二十六万トンが三十三
肥料年度は二百三十三万トン、こういうことになっておりまして、輸出は十五万トンを見込んでおります。窒素肥料とは違いまして、燐酸肥料の輸出は、南方
地方では燐酸としての需要がそうありません。台湾、中共等につきましては、
現地の生産機能も、これは非常に簡単な工業でありますから、
相当進んでおる、そういうふうな
関係等もございまして、窒素肥料とは違って、輸出はあまり伸びる可能性は持っておりません。
それから次は、カリ質肥料でありますが、これは全部輸入でありまして、昨年度の三十二
肥料年度は、当初は九十万トン以上の輸入を計画しておりましたが、国内の消費が伸びないほかに、三十一
肥料年度に非常に多くの輸入をいたしておったような
関係がありまして、六十五万九千トンの輸入が大体これが実績になって、内需もそれで七十七万五千トンといたしました。本年度は八十万トンの内需を見まして、八十三万九千トンの三十三
肥料年度は輸入をいたしたい、こういうふうに考えております。
それからその次の四
ぺージは三十二
肥料年度、すなわち今月末までの仕向地別の各種肥料の輸出。実績及び
見込みでありますが、ほとんど実績とお考えになっていただきたいと思います。一番大きいのは台湾、その次が中共、そのほか
各地に出しまして、硫安として八十九万トン、尿素が十五万六十トン、硫安に換算しまして三十四万トン、そういうふうになっております。この中で、中共は本
肥料年度中に硫安四十万トンの約束をしておったのでありますが、中共貿易の中断で半分が輸出不能になった、こういうことになっております。尿素はほとんどやっておりません。そのほかの種類も少しずつ出ております。
それから需給
関係は以上の
通りでありまして、
価格について申し上げます。別の縦
書きの表にございますように、二十八、二十九日の肥料審議会で、来
肥料年度の硫酸アンモニアの生産業者の販売
価格の最高額をきめていただきました。これによりますと、正味三七・五キログラムにつき、すなわち十貫について七百五十五円、これは消費地最寄駅着貨車乗渡、あるいは港着乗渡、こういうことになっております。それでかます入りでありまして、そのほかのものについては、容器の差による格差をつける、容量の違うものについては、容量によってきめておる、こういうふうになっております。このもとは、お配りしております縦
書きの方でなしに、裏の方に横
書きの硫酸アンモニアの生産業者の販売
価格の最高額を肥料審議会に諮問することについての諮問第十七号の裏側を見ていただきますと「
昭和三十三年
肥料年度の硫酸アンモニアの生産業者の販売基準
価格を七百四十三円十八銭(正味三七・五キログラムかます詰、着駅貨車乗渡)とし、これを基準として限月別に最高販売
価格を定めることとする。」、こういうことになります。七百五十五円は、この最高販売
価格をさすのであります。基準
価格は七百四十三円十八銭となります。これは前年度に比べまして、二十五円八銭の引き下げとなっております。これは元の
資料の七ページを見ていただきます。三十三
肥料年度の工場別硫安推定生産費一覧表であります。ここに十九の工場の生産費を調べまして、第八までの生産費の低い方から取りまして、その
数字で国内の消費量がまかなえる、いわゆるそこにバルク・ラインを引きまして、その中の各工場別の生産費をもって加重平均いたしましたのが右の方の角の中にあります百五十三万七千四百三十三トン、トン当り一万九千八百十八円、かます当り七百四十三円十八銭、これがさっきの諮問案の
数字になっておるのであります。すなわち、十九工場のうち、八工場までの生産量で国内消費がまかなえるから、国内消費をまかなう工場の生産費をもって生産費をきめる、こういうふうになっておるのであります。昨年の各工場の生産費を比較いたしますと、第一順位は一万八千七百円余りであったと思います。それから最高が二万七千円余りでありました。従いまして、最低のものは大差がないが、最高の生産費の工場は、約三千円以上の合理化によるコストの低下を来たしておる、こういうことになっております。八ページの表の右側のバルク内平均、これで前年度との比較を願いたいのでありますが、一番下の基準
価格、三十二
肥料年度トン当り二万四百八十六円八十二銭、かます当り七百六十八円二十六銭、これが三十三
肥料年度では、一万九千八百十八円十五銭のトン当り
価格になりまして、かます当り七百四十三円十八銭、この七百六十八円二十六銭と七百四十三円十八銭との差額が二十五円八銭ということになるのであります。ごらん願いますように、おもな値下りの要因は材料費、昨年度はかます当り四百三十二円十五銭を見込んでおりましたのが、本年度はそれが四百円五十六銭、労務費百十円十七銭が、九十四円六十五銭、そういうところが大きい値下りの要因になっております。
それから表の六ページに返っていただきまして、硫安の輸出
価格の問題、いわゆる出血輸出の問題がやかましい問題になっておりますが、硫安の輸出
価格と国内
価格を対比いたしました。これによりますと、一番左の方の欄で、トン当り輸出の最低と最高の
価格の開きを見ております。三十年の一月では、最低が五十八ドル四十セントから、六十一ドル五十セントの最高になっておりますが、三十三年の六月、一番下の欄を見ていただきますと、六月で最低が四十七ドル八十セント、最高は五十九ドル、こういうふうになっております。これをトン当り平均にならしますと、三十年の一月で、五十九ドル八十セント
相当しておったのが、この六月では、四十八ドル八十セント、こういうふうになっております。
相当高い輸出のものがありますけれ
ども、先ほどの輸出の表で見ます。ように、中共や台湾の
価格は、安い
価格でありますから、平均は非常に安く出ている、こういうのであります。これを国内
価格と比較いたしまして——国内
価格は右から二つ目の欄でございますが、それを国内
価格分の輸出
価格のパーセントを出しますと、一番右の欄であります。大体国内
価格に比べまして八五%という
数字になっております。今度二十五円下りますと、今の輸出
価格と同等でありまして、それだけの比率が上ってくる、こういうふうになります。
それからもう
一つ、前の五ページの表に返っていただきまして、これには最近の窒素質肥料の国際入札
状況を調べたものが出ております。フィリピン、韓国、韓国、韓国、パキスタン、こういうふうに分けまして日本、米国、西独、その他でありますが、値段はトン当りで書いてありますが、非常にまちまちであります。そのときの入札によって、競争の程度によって変っております。
それから九ページを見ていただきまして、主要肥料の卸、小売の
価格の推移を三十年の一月から最近まで別々に明らかにいたしております。これは
農林省が共同通信社に委託いたしまして、各
地方の実情を調べさしているので、各月の中旬の
価格ということになっております。大体石灰窒素を除きましては、非常に毎月下ってきている、こういう
状況になっております。
それから十ページをごらん願いますと、硫安二法を作りまして、来年四月で五カ年の期限が切れるのでありますが、三十三
肥料年度までの合理化の比較を表にいたしているわけであります。当初二十八年度の生産費が六十五ドル近くあったものが、合理化の目標を五十五ドルに置いたのであります。五十五ドルまで三十三
肥料年度の
価格だと達成できるわけであります。こういうことになります。一番下の欄でごらん願います。で、これには主要材料の値上りとか、あるいは労賃の値上り、そういうものを見込んでおらないなまの
数字でありますから、このままで比較することは、合理化のほんとうの効果ということはできませんが、二十八年度の原材料その他のいろいろな
価格にそのまま換算して比較しても、これもちょっと工合が悪いわけであります。とにかく、現在ではこの裸の値段で諸外国と対抗しなくちゃいかぬのでありますから、
相当の問題がある、こういうことであります。
それからその次には、合理化を果してどういうふうにやったかということを十一ページに出してあります。これは大きいのはガス源の合理化というところに出ております。要するに天然ガスなり、炭坑ガスなり、石油廃ガスなり、あるいは石油の重油ガス化というふうな従来の電解法、あるいはコークス法、そのほかのいわゆる固体原料法、これは第十三ページを見ていただきますが、そういった原料が高いし、それからまたそういう石炭、コークス等を使いますと、夾雑物を除去するいろいろな装置、手続がかかる、そういうものがなくて、重油ならば重油の全部がガスとして使える、天然ガスならもう全然捨てるものがない、あるいは夾雑物がない、こういうふうな
関係でございます。三十四年の一月の能力を推定いたしますと、十三ページの一番右の欄でごらん願います。三十四年の四月一日現在の能力で比較しますと、一番上の電解法は全体のうちの一三%になる。これは二十八年のときには、一番左の欄を見ていただきますと、二六%あったのが半分になっております。それからコークス法、ウインクラー工法、その他石炭法、いわゆる固体原料を使っておったものが、これが六八%のものが四四%まで下る、そのかわりに流体原料、いゆわるガス源の安いものが二十八年では五%であったものが、四二%にまで上ってきた、こういうふうに変ってくるのであります。従いまして、今の五十五ドルも、物価その他の
関係が逆に作用しなければ、さらにわれわれは合理化を期待しておるのであります。そのほか、いろいろなガス精製の合理化とか、アンモニア合成設備の合理化、硫酸設備の合理化ということをやってきております。もっと大きいのは、先ほど需給
関係で御
説明申し上げましたように、硫安の伸びに比較しまして、硫酸を使わない尿素が百二十万トン、今後もふえてきます。非常に窒素製品あたりとしては安い肥料が肥料形態の変化として出てきているのであります。それからアンモニア利用の合理化、これは一ぺんアンモニアをほかの繊維原料等の製造に使って、その廃液として出てくるものを回収する、こういうふうなやり方による合理化も
相当大きいものがあるのであります。
以上、来
肥料年度の肥料の需給と
価格、輸出の見通し、そういうものについて御
説明申し上げました。