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1958-07-31 第29回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月三十一日(木曜日)    午前十一時五分開会   —————————————   委員長補欠 七月八日重政庸徳委員長辞任につ き、その補欠として関根久藏君を議院 において委員長に選任した。   委員の異動 七月九日委員左藤義詮辞任につき、 その補欠として田中茂穂君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     関根 久藏君    理事            藤野 繁雄君            堀本 宜実君            東   隆君            梶原 茂嘉君    委員            秋山俊一郎君            雨森 常夫君            伊能 芳雄君            重政 庸徳君            田中 茂穂君            横川 信夫君            安部キミ子君            大河原一次君           小笠原二三男君            河合 義一君            清澤 俊英君            島村 軍次君            千田  正君            北條 雋八君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林政務次官  高橋  衛君    農林大臣官房長 齋藤  誠君    農林省農林経済    局長      渡部 伍良君    農林省農林経済    局統計調査部長 藤巻 吉生君    農林省農地局長 安田善一郎君    農林省振興局長 永野 正二君    農林省畜産局長 谷垣 專一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査の件  (旱害台風十一号の被害及び水害  等災害対策に関する件)  (昭和三十三年肥料年度における肥  料の需給及び価格に関する件)  (酪農対策に関する件)   —————————————
  2. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  旱害台風第十一号の被害及び水害等災害の件を議題にいたします。この件につきましては、農林水産関係被害及び政府におけるこれが対策等について、農林当局説明を求めることにいたします。統計調査部長
  3. 千田正

    千田正君 だれとだれが出席しているか、はっきり言って下さい。
  4. 関根久藏

  5. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 旱害台風第十一号及びそのあと起りました豪雨等被害概況について御説明申し上げます。  資料はお配りしてございますと思いますが、一つは、「干害による被害状況」という縦に長いものでございます。もう一つは、「台風十一号、梅雨前線による豪雨等七月水害被害概況とその対策について」という表紙のあるものでございます。  先に旱害概況を申し上げますと、五月の下旬以降、全国的に非常に雨が平年より少うございまして、特に表東北から関東、山梨を含めまして関東、それから九州地方、この九州地方が特に雨が少なかったわけでございます。六月十一日から七月十五日までの降雨量を見ますと百ミリ以下でございます。このため、この地帯の一部には水の不足によるための田植えの不能、あるいは田植えの遅延、あるいは田植えしたあと生育の不良というような被害が現われております。また一部の地方におきましては、塩水の逆流による塩害も生じております。しかし、その後台風十一号やあるいは前線停滞等により、中国の一部及び九州を除く大部分地域には相当の雨がございましたので、さような地方におきましては、水不足は大部分解消いたしましたが、特に九州はその後も雨が降りませんで、かなり旱害が深刻に進んでおるのではないかというふうに考えております。  七月十五日現在におきまして、水稲についての生育不良面積あるいは被害推定量等は、お配りいたしました資料の一番あとに表がついてございます。その表に示すような状況でございますが、田植えは、全国的に見まして、完了いたしました面積が九九%でございます。田植えの済みました水田状況は、生育不良の面積が十六万八千六百十町歩、そのうち茎葉の枯れておるものが二万六千二百五十町歩。また、田植えの済みました水田状況を、水の方から見ますと、湛水しておりません——水の入っておりません面積が二十三万二千五百四十町歩、そのうちひび割れを生じておりますものは八万三千二百九十町歩、なおそのほかに、田植えの済んでおりません面積が、全国で、七月十五日現在で二万六千五百三十町歩、そのうち水が入っておらないために済んでおらない、こういうものが二万四千七百十町歩でございます。被害推定量は、塩害をも含めまして、四十九万四千八百八十石というふうに、ただいまのところでは見ておるわけでございます。  次に、台風十一号とそのあとで降りました豪雨等被害概況でございますが、最近一ヵ月の間に台風の十一号ならびに梅雨前線停滞によります局地的な豪雨等によりまして、全国各地災害発生を見ております。  まず、六月末から七月三日までの間にわたりまして、島根広島の両県下に梅雨前線による豪雨がございまして、降雨量島根下全域で二百五十ミリ、広島山県郡で二百三十三ミリというような豪雨がございました。このために、農林水産関係におきましても農地等を初め相当被害発生いたしております。特に島根県では浜田市を初めとする石見地方広島県では三次市、山県郡等の山間地帯被害中心地帯になっております。  これに続きまして、七月十三日−十四日ごろ、カロリン諸島付近発生いたしました台風十一号は、東方海上の高気圧の張り出し方が弱かったために、例年よりも東寄りに北進いたしまして、七月の台風としては秋の台風のようなコースをたどったわけでございますが、二十三日の早朝に静岡県の御前岬付近に上陸いたしまして、関東中央部から東北地方太平洋沿岸を北上いたしまして、その日の夕刻北海道東部方面に抜けております。このため図面にございますように東海関東東北北海道各地に百ミリないし二百ミリ、所によりましてはそれ以上の降雨をもたらしております。このため、静岡、神奈川、東京等の各都県を初め、台風コースに当っておりました各地にかなりの災害発生を見ております。  で、十一号の台風が去りましたあとも、梅雨前線が本州の中部に停滞いたしまして、活発となりましたため、東北北陸東山等地方に局地的な豪雨がございました。これは図面の第二図に示しておりますが、これらの地域では、河川のはんらん、あるいは堤防の決壊、山くずれ等による被害が非常に多く出ております。特に石川新潟岐阜等の各県に被害が大きかったようでございます。  以上の台風及び豪雨農林水産関係における被害状況につきましては、目下鋭意調査中でございますが、現在までに判明いたしておりますところによりますと、農地農業用施設等施設関係につきましては、資料の第一表にございますように、全国農地関係が約十四億、林野関係が約十九億、水産関係が約三億、計約三十六億円の巨額に達しておるわけでございます。  また、農作物の関係につきましては、島根広島県下の水害では第二表のように、被害面積が約六千町歩被害額が約一億八千万円と見込まれております。また、台風十一号及びその後の局地的の豪雨関係による被害につきましては、現在のところ、第三表に示してございますように、約十一万町歩にわたりまして損傷を受けておるものと推定いたしております。その損傷状況につきましては、水稲では東海関東南部早期栽培のものが出穂期あるいは開花期に当っておりまして、穂ずれ、不稔等の傷害を受け、その他一部の県におきましては、水田の流失あるいは厘没等が見られますが、大部分は浸水または冠水でございます。北陸早場地帯を除きましては、水引きが割合に早かったようでございます。従って、北陸早場地帯を除きましては、被害はそうひどくはなかったような見込みでございます。このほかカンショ、雑穀、野菜、果樹、タバコ等畑作物にも損傷が見られておるようであります。  大体の被害状況はそのようでございます。
  6. 千田正

    千田正君 ちょっとこの資料について要望を。  今の部長の御説明で、この資料を提出されておりますが、せっかく図表をお書きになっておるならば、これは数字を見ればわかりますけれども、その点線の分はどういうものか。あるいはまるく線をしたものはどういうものか。こういう説明を一応紙面か何かに書いていただいておりますれば、一目瞭然になるんで、せっかく図表をお書きになっても、数字だけでは、また説明の煩を繰り返さなければならない。今後資料図表を出される場合は、点線は何の意味点線か、そういうことをつけ加えて載せていただきたい。
  7. 藤巻吉生

    説明員藤巻吉生君) 図表説明が不十分でございまして、まことに申しわけございませんで、今後は注意いたしますが、別図降雨量でございますが、まるの中に入っておりますのが降雨の量で、単位はミリメートルでございます。前線は入っておりませんので、ちょっと品では申し上げかねます。
  8. 千田正

    千田正君 それはわかりますけれども、その説明の煩を避けて、われわれが見てすぐわかるように、点線は何の意味なのかということをつけ加えて出して下さい。この次から。
  9. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 旱魃と十一号台風関係の風水害につきまして、統計調査部長概略説明をいたしましたが、お手元農地局の「旱害に関する資料」という謄写刷りと十一号台風関係謄写刷りをお配りしましたので、重複をなるべく避けまして、被害状況対策現状を御説明申し上げます。  まず第一に旱害でございますが、この前の委員会で御報告しましたことにちょっと触れて、それ以降のことを申し上げます。農地局関係で御配付してあり御説明を申し上げますのは、潅漑排水期におきます水田作付段階前後におきまする水利関係からきまする被害のことを申し上げるわけでございます。六月一日には被害面積は十六万町歩余でございまして、関係県は東北関東北陸の十三県でございます。六月十三日には農林省対策を本格的に講じ出した時期でございますが、被害面積は第一ページをごらん願うといいと思いますが、面積は二十四万七千町歩東北関東北陸の十五県、六月十九日の調査におきましては、降雨等ございまして、当時の状況では八万三千町歩被害面積が減少しました。この間に利根川とか、宮城県とか岩手県とか、その他の地域水利調整をしましたり、水路の緊急掘さくをしましたり、ポンプ動員をしましたりした結果、相当効果があったと思います。そのあたりまでを前委員会で御説明いたしました。  その後の状況は、六月二十六日におきまして十三万九千町歩、この時期には、東海、近畿、中国地方にも、ちょうど作付時期にも当りまして、旱魃被害がありました。関係府県は二十八府県であります。七月の二日におきましては二十万八千町歩、このときは以上の各府県のほかに、九州におきまする異常な渇水、降雨の減少によりまして、九州を加えて、関係県は三十四府県でございます。七月十一日には十五万九千町歩被害面積は減少しておりまして、東北から九州に至りますまで二十七県でございます。ごく最近の調査によりますると、先ほども統計調査部長からお話がございましたように、九州各県の異常に降雨量の少いこと、これが非常に目立っておりまして、中国の山口県、九州各県、特に福岡、大分、鹿児島宮崎長崎等がひどいのであります。この被害面積は、降雨状況とか揚水努力農民の方々の努力水利調査等を加えまして、いろいろと面積が変ってくるわけでございますが、調査時までにおきまする最高の被害面積を表わしておるのでございまして、旱魃は、ある意味では防災措置——災害を防止する措置努力すべき面積対策を講ずべき面積という意味で、各時点の被害面積の多い所に注意を用いまして調査をいたしておるわけでございます。統計部長が十四万九千町歩ばかりと申しましたのは、七月十一日の十五万九千町歩が一万町歩増でございますが、私ども調査も、ほぼそれに匹敵するかと思います。  その後、実際には作付に障害を来たしておりますのは、八万一千町歩だということをつけ加えて申し上げたいのであります。旱害応急対策といたしましては、六月四日以降、農林省独自でまず対策を、水利調整公庫融資等中心にいたしまして、建設省の協力も得まして、ポンプ動員等をすること、その他講じまして以来、また七月四日にそれを受けまして、さらに各施設等の国の助成措置を講ずることに閣議決定をいたしまして、対策実施中でございますが、試みに今日まで閣議決定内容に照応するがごとく、各県で対策を講じてくれましたことは、第二ページの旱害応急対策事業実施額調、七月三日現在のがそれであります。青森から鹿児島に至りますまで、対策を講じました事業費は二十八億円になっておりまして、これは七月三十一日までに県からさらに補助金要求する、これに応じまして、私ども予備費を支出してもらうというために、県で必要な書類を提出することになっておるものでございます。この県の書類が提出されましたならば、本省におきまして査定をして、被害額を確定いたしたいと思っております。三ぺージは、同様の期間におきまする七月二十五日現在の被害応急対策としての農林漁業金融公庫資金需要額調でございまして、青森から宮崎県まで、七億をこえる要望額がございます。これは目下、大体におきましては、各県の公庫受託機関である信連において受理中でございますが、公庫の本所において処理しておりますものがこのうち十六県でございまして、間もなく全面的に処理できる見込みでございます。  次に、御説明のうちで申し上げました旱害応急対策のことを簡単に申し上げますと下の方にございますが、八ページに、「参考」といたしまして、六月中に農林省独自の対策を講じましたものを含めまして、さらに建設省等の必要に思うものを含めまして、また農地局のみならず、種苗の確保技術指導等につきましては農林省振興局融資等におきましては経済局農業災害補償関係ではまた経済局というような、担当各部門の対策をも加えまして、農地局関係のを中心にしまして閣議決定をいたしたものでございます。三十三年七月四日旱害応急対策実施要綱がそれでございます。一から五点までございます。これに応じまして、閣議決定要綱の一番、二番、これが水田灌排時期におきまする揚水関係助成及び資金融通対策の根本でございますが、これに基きまして農林漁業金融公庫資金等のほか、国費をもって助成する要綱をきめました。それが四ページ以降にあるわけでございます。旱害応急対策事業助成要綱、三十三年七月二十二日農林省農地局というのでございます。ここに書いてございますように、この助成対象は、三十三年五月以降の塁審期におきまする水田旱害に対しまする応急対策でございまして、対策実施しました都道府県市町村土地改良区、農業協同組合農民共同施行の場合、それをそれぞれ助成対象とする措置を講ずることにいたしました。助成措置内容は、都道府県市町村土地改良区、農業協同組合が行う事業の場合、また農民が共同して行う場合と、大別して二種類に分けまして、いずれも補助対象は、まず河川の仮締め切りをいたしましたり、水路の緊急掘さくをいたしましたり、深井戸浅井戸の掘さくをいたしましたり、ポンプ及びポンプ専用動力機電動機等をつける場合、そういう事業につきまして、輸送をいたしましたり、機械据え付け、特に仮据え付けが多いのでございますが、据え付けをいたしましたり、動力線の架設をいたしましたり、送水管の設置、また用水確保機械を借りる場合、買う場合もございますが、借りる場合等につきまして、このような用水確保のために必要な事業費に対して補助をしよう。また次には、ポンプボーリング機械専用動力機電気探査機及びそれらの付属品等を購入する場合の経費に対しまして助成をしよう。また、なかなかこれは困難がございましたが、揚水機燃料費、石油でありますが、その燃料費及び電力料金に対してもある程度の助成をしよう、こういうふうにいたしました。当時の関係県の知事会議要望にもおおむね沿うておるつもりでございます。  補助事業採択基準といたしましては、一般水害の場合等の農地及び農業用施設被害の場合、小災害と申しまする十万円以下の被害助成対象にいたしておりませんが、旱魃の実情に応じまして、その半分の五万円以上の場合は、団地ごとにとりまとめての話でございますが、補助をしたらどうだろうということで、補助することにいたしました。また、すでに持っておる機械を、応急対策をする人が、自分対策事業を講じて自分機械を入手する、そのために機械を購入する、こういう経費についても、同様に一団地ごと経費が五万円以上の場合、補助する、小災害をなるべく救おうと考えたわけでございます。機械等を貸しました場合等についても同様に考えようとしておるわけであります。また、燃料費動力費は、地元または農民負担にしてもらいたいし、経理、施行が非常にむずかしいという問題等がいろいろありまして、昭和二十二年にはこの助成をすることを避けた例がございます。それ以後は、旱害対策のこの種の政府措置を講じたことはございませんけれども、いろいろ大蔵省とも折衝いたしまして、大体油代は反当経費が五百円くらいの場合をねらいまして、そう一律にもいきませんので、水路井戸等の掘さくポンプ等施設等に要する費用ポンプ用燃料費動力費の両方を反当りに見積りまして、その合計が千二百円以上である場合には、そういう場合の燃料費電力料金助成をしよう、こういうことに、まあ政府部内で一致したのでございます。関係県の耕地課長その他と全国的に会議をいたしまして、趣旨をすでに徹底をいたしてございます。補助率はなるべく高率をねらいまして、施設を設置する場合、水路を掘さくする場合、ポンプ動力機等を購入する場合、燃料動力費と三種類ございますが、農民が共同して行う事業の場合を除きましては、すなわち都道府県市町村土地改良区、農協等事業をいたします場合は、補助率は六割五分を補助することにいたしました。六割五分というのは、ポンプ等施設購入費賃借料、それを輸送、備え付けする費用というものに対してでございます。燃料費は二割を補助することにいたしておるのでございます。また、農民が共同して行う場合に対しましては、補助対象事項は同じでございますが補助率も以上と同様にいたしまして、この場合は、ポンプにつきまして過去の対策を講じました場合、補助してもその後資材ポンプ施設が散逸してしまう弊害が過去に認められましたので、ポンプ等購入費につきましては、六ページに書いてありますが、共同施行者の場合はそのポンプ代の三割に相当する額のものについて六割五分の補助をしまして、その三割相当の三割五分の分を地元負担してもらう、三割の残りの、購入標準価格の七割でございますが、七割をもちまして国は経費を出しまして、それを買い上げてそして国有の機械にいたしまして、知事またはその関係町村にその管理を委託して、今後保管もしてもらい、今後の旱魃に対応して適時使っていただくように、国の買い上げ制度を今回は考えました。共同施行を先にやられたものは、三割相当分のものに対して六割五分の補助をしますが、残りの七割分で政府は買上げまして、これを地元に保管委託して使用していただくという措置にいたしたのでございます。この作業は、八月十日までに東日本、西日本を通じまして、書類の提出を願うように、目下都道府県農地事務局等手配中でございます。それが済みましたら、予備費要求をいたすつもりでございます。従いまして、この対策では畑地におきまする旱魃、特に九州等被害が多いと思いますが、畑地旱魃等についての措置では原則としてありませんこと、また、作付期を過ぎまして、収穫期に近くなってくる場合の対策を端的に講じているものではございませんので、それは、それぞれ作物被害を招来するようなものは一般被害対策として別途に講ずる要があると考える次第でございます。  以上が、旱魃農地及び農業用施設水利関係からしました現状と、被害状況応急対策の今日までの概況でございます。  十一号台風につきましては、別冊で農地関係台風十一号及び台風が直接に来ませぬでも、不連続線によりまする豪雨被害相当大きくございましたので、それを含みまして、これに伴う災害についてという、三十三年七一二十九日、農地局という書類がございますが、これをもって報告にかえて、ただきたいと思いますが、要点だけ重複を避けまして申し上げますと、十号台風は、七月二十三日に静岡県御前崎から上陸しまして関東、福島、宮城、牡鹿半島、三陸地帯北海道を経まして二十四日に千島に去りました。このために東海関東東北各地に、連続降雨量が二百ミリから三百ミリの豪雨がございました。また、北陸地方停滞しておりました不連続線が活発になりまして、この降雨量がより以上でございます。被害の多い所は静岡県が二億九千万円、岐阜県、石川等が、そこに書いてありますように、一番多くて関係十九都道府県合計十四億円と見積っておりますが、七月二十九日の調査でございまして、目下新潟山形等は、これよりも被害が多い状況でございます。これに対しましては、係官石川新潟その他各地に派遣しまして、八月中旬までにその対策を県から提出せしめまして、八月下旬に緊急査定をいたしまして、九月初旬には予備費要求を、従来の例に従いましていたし、施策を講ずるつもりでございます。  資金以下等は、目下農林省全体として研究中でございますので、また別に報告及び御説明を申し上げます。
  10. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 続いて農林省官房長
  11. 齋藤誠

    説明員齋藤誠君) ただいま被害概況並びに旱害についての対策説明が、それぞれ局長からありましたのですが、なおそれにつけ加えまして、台風十一号、その後の豪雨についての農林省対策につきまして、若干つけ加えて御説明申し上げたいと思います。  お手元にお配りいたしております台風十一号、それから豪雨等水害被害概況とその対策についてという資料がございますが、その中の被害概況につきましては、先に統計調査部長から御説明いたしましたので、被害対策のところを御説明いたしたいと思います。  応急対策につきましては、先般の特別国会の末期におきまして、本委員会におきまして農林省のとりました応急措置を御報告申し上げたのでございますが、ここにもございますように、まず現地にいち早く係官を派遣いたしまして、応急対策指導に当らせたわけでございますが、救助員あるいは被害者に対する食糧の手当など、あるいは生産者世帯保有米を流出した者に対する通帳の再交付を行って、配給の円滑を期する、あるいは災害に伴う資材、特に木材建築用木材等につきましては、それぞれ営林局なり、営林署を通じまして、地元の要請に応じて売り渡しの措置をとるといったような応急措置につきましては、先般本委員会に御報告申し上げた通り措置を、引き続いてとっておる次第でございます。  今後の復旧対策でございますが、今、農地局長から、農地並びに農業用施設復旧につきましては、八月の中、下旬までには緊急に現地査定を行なって、九月の上旬までには予備費要求をしたいと、こういう御説明があったのでございますが、農地農業施設以外の山林関係林野関係あるいは水産関係施設につきましても同様な考え方で、今各県を督励し、八月一ぱいには少くとも現地査定が了するようにということで、今手配をいたしておるような次第でございます。それまでに必要な資金の融資は、農林漁業金融公庫からさしあたり融資措置を講ずるということにつきましても、先に御説明のあったところでございます。  なお、今回の災害対策につきましては、大体従来霜雪害の対策なり、あるいは旱害対策等につきまして講じておりますような措置に準じて実施して参りたい考えでございまして、そのうち税の減免の問題につきましては、同様な措置をとるように関係省と打ち合せをやっておりまして、すでに十一号台風とそれから近畿地方豪雨につきましての被災者に対しましては、所得税の納期の期限延長の措置を、国税庁から通達いたしておるところでございます。  なお、それ以外の、たとえば農業災害補償法に基きます概算払いの早期手当につきましても、この前と同様、申請に基きまして早急に実施するという予定にいたしておることはもとよりでございます。  それから、さきの旱害対策におきましても、種苗確保等については万全の措置を講じ、技術指導についても徹底をはかるというようなことに相なっておるわけであります。今回の水害または旱害に伴いまして、この面における措置につきましては、たとえば予備苗しろの設置あるいは本田の仮植えであるとかあるいは種子のあっせん、あるいは代作種子の確保とかいうことにつきましても、それぞれ振興局を通じまして、各県に指導いたしておるところでございますが、これらの助成措置につきましては、詳細な各県の実情報告を求めておるのでございますので、それに基きまして、実施の要領なり基準なりを検討いたしまして、必要があれば助成措置を早急にとりたい、こういうことで今取り進めておるところでございます。  なお、旱害対策あるいは水害対策に伴いまして、先般の委員会におきましても、天災融資法の発動対象になるかならぬかというような御質問もございましたのですが、これは前回答弁申し上げました通り被害の実態の把握を持って検討するということにいたしたいという考えでございます。  先ほど来の旱害対策等の措置につけ加えまして、今までの被害対策のわれわれのとりました措置並びに今後とりたいと考えております概況は、以上申し上げたようなところでございます。
  12. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 以上の説明に対しまして、御質疑の向きは御質疑を願います。
  13. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 政府旱害対策及び台風対策について、すみやかに方策を立てて、具体的に進行されたということは、まことに喜びにたえないのでありますが、ただいまの説明によって見ましてでも、今までやられたところの対策は、すべて水田に対する対策水田に対する対策はもちろんやらなくてはできないのでありますが、現在雨が降っていない九州方面は相当畑地があるのであります。この畑地に対する対策は、いつどんな方法を立てようと思っておられるのであるか、政府の方針を伺いたいと思うのであります。
  14. 永野正二

    説明員(永野正二君) 先ほど官房長及び農地局長から御説明を申し上げました内容につきましては、おおむね水田旱害対策に直接当てはまるのでございまするが、畑地につきましても、ただいま御質問の通り、あるいは東北方面、あるいは九州方面に非常な旱魃の現象が現われておるわけでございます。これにつきましては、私どもといたしましては、被害の軽減並びに枯死その他の場合の代作の問題、これにつきましては水田と同様な対策を講じなければならないと、こう考えておるわけでございます。これはもうよく御承知のところでございますが、非常に異常な旱魃の場合には、植えつけましたサツマイモの苗等が枯れたというような事例もあるのでございまするが、畑につきましては、水田のようにポンプを使って水を補給するというような対策は、なかなか実施が困難でございます。私どもといたしましては、末端の技術陣を動員いたしまして、できるだけの被害防止の指導はいたしたつもりでございまするが、非常に天候が異常なために、すでに植えつけましたものが枯死をする。あるいは植えつけが不能であるというような事例もあるようでございます。これらにつきましては、先ほど官房長がお答えを申し上げましたように、ただいま各県に照会をいたしまして、緊急に必要な代作用の種子のあっせんをいたしております。まだ回答の参らない県もございますが、一部長崎県等につきましては、ソバの種子がほしいということでございましたので、これにつきましては長野県その他の生産県にこれを出すように、私の方であっせんをいたしておるのでございます。そういう場合に、またそのほかに秋作のバレイショのようなものが当然代作としては考えられるわけでございます。これらの代作用の種子を、県があっせんをいたします場合に、必要な経費について助成をしてもらいたいという強い現地要望があるのでございます。これらにつきましては、よく今後の実情を基礎にいたしまして、必要な資料を整えまして、私どもとしては対策を用意をいたしたい、こう考えておるわけでございます。
  15. 田中茂穂

    田中茂穂君 関連。今の畑作地帯に対する緊急対策が非常におくれておると思います。水田地帯に対する対策は、先ほど来局長の御説明で大体了解いたしまして、早急に実施をお願いいたしたいと思うのでございますが、この畑作に対する対策が非常におくれておる。今のお話では、今から現況を把握して、その上に立って対策を講じたい、こういうことでは、畑地農民がいかに今旱害で苦しんでおるかという現情をおわかりになっていないような魚がするんです。ですから、水田に対する措置と同様に、早急に畑作地帯に対する対策をお立て願いたい。  それと関連いたしまして私が申し上げたいのは、開拓地に対する旱害対策をいかようにお考えになっておるか。開拓地は、普通農家と違いまして、あらゆる営農の形態が劣っておる。その上に、今回の旱害によりまして、食べる食糧さえないような現状なんです。でありまするから、この開拓農民に対する旱害対策を、いかようにお考えになっておるか。たとえば食糧を早急に払い下げる措置であるとか、その払い下げる食糧の購入代金を何とか延期することも一つお考えを願いたい。また、災害資金の償還の問題につきましては、今度は一つ十分延期についての措置をおとり願いたい。なお、特に開拓地に対するかような被害によりまして、日常の生活もできないような現状でございまするから、何かここで救農の土木事業でも起すようなお考えはないかどうか。まずそれらについてお伺いいたしまして、また重ねて御質問をいたしたいと思います。
  16. 永野正二

    説明員(永野正二君) 畑地帯に対します旱魃対策といたしましては、先ほども申し上げましたように、考え方におきましてはやはり水田と同様に考えておるのでございまして、特に緊急な水の対策を講ずることによって解決ができるような場合には、これは同様に考えなければならぬと存じておるのでございます。ただ、私がつけ加えて申し上げましたのは、畑地帯についてはそういう水の対策では解決ができない、何ともならない実に困った事態があるわけでございます。それにつきましては、特に今後代作を考えなければなりませんが、今の状態では、まだいまだに雨を見ていないような状態でございまして、今すぐ代作をすることができないような実情にあるように思いますが、今後の降雨を期待いたしまして、適切な措置ができるように、代作の種子についてあっせんをいたしておる、それについて必要があれば、いろいろな対策を講じなければならないと考えておるという点を申し上げたのでございます。特に畑作について非常になおざりにしておるということでなく、私どもとしては、やらなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。  なお、開拓地に対します措置等につきましては、関係の当局からお答えをいたしたいと思います。
  17. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 開拓地の旱害相当状況にございまして、六月末を期限にいたしまして、陸稲、水稲、特に豆類の被害等はかなりありまして、農作物の被害だけでも全国で十億をこえております。それに対しまする対策は、振興局長が申しましたように、施策の困難は伴いまするが、平坦部の畑地地帯の畑作農家及び畑作物旱害に対する措置と照応しまして、対策は、一般農村平坦部畑地以上の措置を講ずる用意を持っておりまして、第一には資産の供給をいたしますること、第二は貸付の資金の償還を調節いたしますること等をあわせまして、目下県庁の要望するものも早く出しなさいと。開拓地では開拓連盟、開拓農協から意見をいただいて、地区別に状況把握と対策の骨子とその具体的措置に金額が伴いまするようなことを準備中でございます。  救農土木事業に関しましては、旱害恒久対策を利根川その他各地について行うべきことは、七月四日の閣議決定にもきめてございますので、これを具体化いたしまするとともに、まあ一応の農林省の成案は得ておるのでありますがこれを持ち出す時期だけを今研究しておるわけでございます。そのほかに、一般的に救農土木を取り上げるかどうかという研究が実は内部でされておるのであります。それとの関係もありまして、用意しつつ満を持しておるところでございます。
  18. 田中茂穂

    田中茂穂君 開拓者に対する食糧の払い下げの問題、そういった食糧の払い下げの購入代金の延期の問題、そういった問題についてお答えがないようでございまするから、重ねてお願い申し上げますが、ついでにもう二、三お伺いいたしますが先ほど局長は、助成要綱の期限を、八月十日ごろというふうに言われたようですが、これでは、九州全体として、期限が、今の現況から言いますと、少し早過ぎるような気がいたしまするから、少くともあと十日くらい、八月二十日ごろまでに助成要綱の期限を延ばしていただきたい。  それと、官房長にお伺いいたしますが、今度の旱害の件を、天災融資法の対象に入れるというふうに解釈していいかどうか。先ほどの御説明では、そこまではっきりおっしゃらなかったようですが、天災融資法の対象にするんだというふうに解釈していいかどうか。それともう一つ官房長にお伺いいたしたいことは、農業災害補償法に基く概算払いの問題ですが、用水不足のために植付不能になった田に対しては、収穫皆無と同様な措置をおとり願えるかどうか。この二点を官房長にお伺いし、その前に、局長から、例の開拓者の問題それと期限の問題、これらを一つお答え願います。
  19. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 先に私から。旱魃応急対策の出来高調書についての提出期限のことだと思いますが、それについて申し上げます。先ほど御説明申し上げました七月二十二日の大蔵と打ち合せてきめました旱害応急対策事業助成要綱なるものは、潅漑排水期におきまする水田作付中心にしました措置に対して国が助成することを具体化したものでございまして、東日本におきまして七月十五日を期限にしたこととのバランスを得るように考えまして西日本の方は八月十日までと一応いたしたのでございます。これは、九州におきましても、早期栽培及び普通の栽培では作付の時期は最終の時期が七月末であることを農林省は標準として認めておりますが、八月の上旬ぐらい、十日ぐらいは延ばすのが適当であろうという意味におきまして、振興局の従来の把握の仕方、考え方と実情とをあわせまして、県の御意向も聞いてきめたのでございます。八月十日以後のことに対しまして、国の助成による対策を講じないのではございませんそれ以後におきましても、必要なもの、作付時期におきまする対策に対する助成と、それ以後の対策に対する本年度における助成ですが、本年度における対策助成との重複を避けましたりしまして、必要なものを整理してまたきめるつもりでおります。
  20. 齋藤誠

    説明員齋藤誠君) 私に対する二点の御質問に対してお答えいたしたいと思います。  第一は旱魃被害を天災融資法の発動対象にするかしないかという点でございますが、これは先般も当委員会で御質問があったと思いますが、天災融資法は、御承知のように天災によって被害を受けた損失に対して、一定の損失額に該当する農家に対して融資の対象にする、こういうことになっておるわけであります。従って、この対策は二つの面において考えられるわけでございますが、一つは、 つまり旱魃に伴って防除していく、その結果被害が非常に軽減され、損失も少なかったというような場合におきましては、天災法は損失のできたものを対象にして発動することになっておりますので、今の天災法の対象としましては、さような場合におきましては対象にしにくい、つまり損失を生じないような防災事業といいますか、防災措置に伴う経費が支出増になるというようなことに対しましては、先ほど旱害対策に対していろいろの助成措置を講ずるとかいうようなことによってカバーされ、なおかつそれによっても損失を失じた場合、具体的に申し上げますと天災によって生じた農作物の収穫が三割以上の減収である、かつその損失額がその農家の平年の収穫量の一割をこえる場合とか、あるいは特別の被害である場合には五割をこえる場合とか、こういう場合に対象になるということに相なるわけであります。従って、防災に必要な経費に対する融通は、天災法においては一応できないのではないか、しかし、第二の損失があった場合におきまして、天災融資法の対象にするかどうかということにつきましては、これは最終的に被害額が確定いたしまして、大体これに伴う損失額というものがどのくらいになるかということが判明いたしますれば、われわれとしてはそれによって天災融資法の対象にするかどうかをきめたい、かように考えておるわけであります。従って、凍霜雪害の場合と違いますので、もう少し被害状況を見ました上におきまして、対象にするかどうかを検討したい、こういうのが現在の段階でございます。  それから第二点の、旱魃に伴う減収被災農家に対して農業災害補償法の概算払いの対象になるかならぬか、御質問は、植付不能の場合であろうと思います。なお、今落しましたが、植付不能の場合におきましても、これは一応損失というふうに考えまして、天災融資法が発動されれば、もちろんそれは損失というふうな対象に計算されることになるわけでありますが、農業共済法の概算払いの場合におきましても一応天災になる。植付不能の場合におきましてもそれは概算払いの対象にする。ただ、あるいはこれは経済局長から詳細御答弁願った方が適切かと思いますが、一応取扱いといたしましては、植付不能の場合におきましては、それを半分の減収に見る、こういう取扱いに現在なっておるというようなことで御了承願います。
  21. 田中茂穂

    田中茂穂君 開拓者に対する食糧の払い下げと、その代金を相当延期して支払うような措置をおとり願いたいということをさっき申し上げたのですが。
  22. 齋藤誠

    説明員齋藤誠君) 食糧の配給につきましての御要望は、霜雪害のときには麦の払い下げ等について相当の陳情がございましたけれども、まだわれわれのところで直接食糧についての安売りあるいは延納措置についての県からの御要望を、必ずしも聞いておりませんけれども、利子補給、延納につきましては、あるいは法規の範囲内においてできるということでありますれば、よく食糧庁当局と相談いたしまして、検討いたしたいと思いますが、かりに先般の北海道におけるがごとき措置をとりまして、延納あるいは安売りとかあるいは利子補給というようなことになりますと、法律を必要とすることになろうかと思います。延納のようなことが運用上できるということであり、また、その要望が非常に各方面からあるということでございますならば、食糧庁当局とも相談して検討いたしたいと思います。
  23. 重政庸徳

    重政庸徳君 私は、今問題になっておる開拓の問題ですが、その開拓政策は、終戦後のどさくさと混乱した時代においては、これは非常なる国のいい政策であって一応の役割を果したと思う。ところが、中途において世の中がだんだん静まってくる、しかし、そのままを農林省は継続いたしておる。のみならず、中途において農林省は政策に非常な誤まりを来たしておると私は思う。これが現在の開拓地区の農民の不振を来たしたゆえんだと思うのであります。というのは、中途において三ヵ年にわたって水の問題を切り離してしまった。開拓地における水の施設は取り合わない。要するところ、満州の畑地農業のみでやっていくというような、とにかく満州と日本の異なっておる、また農民の考えが違う、習慣が違うというようなこともちっとも考慮に入れぬで、そういう政策をとったということが、私は重大なる開拓地の不振を来たしたゆえんだろうと思う。今はそれも改めて、水の問題にも非常に関心を持ってこられておるのだけれども、私は、その点が開拓地の不振を来たした非常に重大なる原因だと思う。と申しますのは、開拓地はいろいろあるので、水を得ることが比較的たやすいような地帯においても、過去三ヵ年にわたって水に関する施設に関しては、一切取り合わなかった。こういうことが非常に重大な過誤で、このたびやはり旱魃に開拓地も第一番にあって、いわゆる不振な開拓農民がますます危機に到達しておる。閣議決定においてもいわゆる恒久対策をすみやかに講ずると、こういうように書いてありますが、また当然だろうと思うのだが、この恒久対策の中に入れて、一つの開拓地と水という問題をもう一ぺん考え直して、水田のこのたびの旱魃の恒久対策に加えて、そうして至急に計画を立てて実行してもらいたい、私はこう思う。これに対する農地局長のお考えと、なお、恒久対策は今どういう進行状態にあるか。それからなお、政務次官に一つお伺いしたい。これは、急いで、恒久対策を決定せい、こういうことになっておる。これは補正予算を出す考えがあるかどうか、農林省はどう考えておるかということを、一つお答えを願いたい。
  24. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 重政先生の御意見及び今後に対する御要望を含めたことにつきましては、別に異論はございません。開拓政策が戦後昭和二十五、六年まで、今から思いますると、いい安定農家を創設したり、安定した農業経営を営む耕地を作るという意味では、十分でない開拓政策を講じてきましたが、そのときどきには引揚者の就労とか、主要食糧の増産とかいう立場からは、役目を相当果したということもその通りであると私どもは思っております。あわせまして、これに対する反省及び今後の方向についても同様の意見を持っておりますが、過去三年、開拓地あるいは開拓そのものに、水のことの考えがない、それが非常に誤まりであるということも、大部分そうでありますが、少くとも私が参りましてからは、先輩より注意をいたしておるつもりであります。試みに本年の予算書をもちましても、深層地下水の調査をしましたり、調査をして、開拓地にこれを利用して開拓をすることにいたしましたり、岩手県、青森県の諸先生も多いのでございますが、造田開墾を、本来の国営開墾事業を目的としておる事業もたくさん含めております。上北におきましては、例の機械開墾地域においては、アメリカ等の指導も一時ありまして、機械開墾に乳牛を入れた大規模な多角的経営、新類型による経営というものをパイロットとしてやることも考えられておりますが、あの計画を取り出す当初から、すでに水を使って畑灌、または田畑転換を考えるとか、あるいは経営面積の一部は水田にして飲料水と水田経営の安定したものを加えて開拓することとかいうことの問題がありまして、本年度からはそれを取り上げて実行することにいたしております。今後は、一そうこれに注意をいたしまして、たとえば青森県三本木等においては、用水工事をつけ加えて手直しをする等のことを考えております。
  25. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) 各種の農林施設に関連いたしまして、ある程度の予算的措置を必要とすることは御承知の通りでございますが、それが予備金でまかなえるか、または補正予算をどうしても必要とするかどうかという点につきましては、十分政府部内において検討しております。
  26. 重政庸徳

    重政庸徳君 これはある程度というものじゃないのですよ、今度の旱魃の恒久対策というものは。そういう安易な考えを持っておっては非常に困る。もちろん予備金でやればそれにこしたことはないのですが、その予備金か、あるいは補正予算か、とにかくやるのだと、普通議会を待たずにやるのであるという強い決意があるかどうかの一つお答えを願いたい。
  27. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 旱害対策の特に恒久対策には沿革もございまして、そのあとで政務次官が御就任になりましたから、事務的なことだけ補足をして先に申し上げたいと思います。閣議決定で、旱害恒久対策を検討考慮するということは、もちろんきめております。これにつきましては、塩害中心にし、また河床が浅くなるとか深くなるとか、いわゆる一般に従来旱害恒久と称しておりますところの重粘土地帯に対する対策でありますとか、また、もっと国県営関連事業も、水路でも伸びておりますれば、恒久的に普通の用水事業としても旱魃がきた場合には被害がなくなる場合とか、防災事業をこの際は特に強化すべきであるということにつきまして、それらについて予算を計上し、事業を操り上げ施行、または増加して事業をするとか、そういうことは、最悪期をも含めることがあろうと思いますが、行うことになっているのであります。これを補正予算で行いますか、経済基盤強化のたな上げ資金の切りくずしでいきますか、通常予算でいきますかは、大蔵大臣もその他の閣僚も、経済閣僚懇談会等において検討されつつありますから、お答えをする時期ではないが、そういうふうに進んでいるということだけ補足して申し上げたいと思います。
  28. 重政庸徳

    重政庸徳君 そうすると、農林省は、とにかく今年度の旱害に対して一大恒久事業をやっていくと、こういう結論であろうと思うのであります。大体私どもが各県回って見るのに、とにかく土地改良の灌漑設備をやった所は、今年は全く、天水田今まで資本を入れなかった土地と、非常に明らかな効果を来たしているのに、それはまあ当然であろうと思う。こういうようなことで、今までじっとしておった農民が、こぞって、どうしてもこれはため池を作らねばならぬ、あるいは灌漑ポンプを設置せねばならぬというような意欲が、急激に勃興してきている。これも一日も早くやりたいというような気持になってきておる、それからまた、従来非常におくれておった経営に属する灌漑事業、大体五千万円足らずの事業が、七ヵ年もかかってまだ少しも進捗しない、それができておったならばこの百姓は救済できたのだということで、じだんだ踏んでいるというような状況がある、これも今あるワクをそっちにしわ寄せをするということは不可能だ、どこもおくれておるから。だからこの設備を、この事業を振興させる上においても、要するに担当の予算が要ると、こう私は思う。そういう御調査なり取りまとめがいつごろできますか、農地局、長一つ
  29. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 施策を講ずるのがいつで、予算計上をいつするか、どこでするかは別といたしまして、どこをねらって、どのくらいやるかは、規模によりますけれども、その規模の概計を、適宜私どもでいたしましての話でありますれば、今でもやれます。
  30. 千田正

    千田正君 先ほどから各委員からの開拓農家の問題が聞かれておりますが、特に田中委員からの御質問に対して、官房長なり農地局長から明確にこうするというお答えがなかった、それは応急対策として特に私ははっきりしたお答えをいただきたいと思うのは、大体東北地方その他は単作地帯、一作地帯であります。常に食糧の備蓄なんというようなことはほとんど望めない況状のもとにあって今度の旱魃を受けて、さらに何らなすところないような状況に放置されておる、あすからでも食えない、これが現状です。食糧庁と相談してからなんという問題よりも、今日からでも、あすから食う食糧がないというような現況に対して、どういう対策を立てるか、それに対して大臣のはっきりしたお答えをいただきたい。  それから換金作物その他を作ろうと思っても、今日のあれでは十分な成果を得られない、結局、現金収入というものがない、そういうものに対するところの救農土木その他に対する施策があるかどうか。この二つの面において、応急対策としての処置の実行に関して、はっきりしたお答えをいただきたいと思う。
  31. 齋藤誠

    説明員齋藤誠君) 食糧の配給の問題でございますが、食糧の手当につきましては、これはもう問題のないところでございまして、先ほども申しましたように、生産者世帯で、かりにそれが転落して消費者になるといったような場合におきましては、それに必要なる食糧の手当をする、これは問題ないと思います。ただ、御質問になりました点は、そういう農家に対する食糧代金の延納措置をとるかとらないか、こういう御質問であったわけでございます。その点につきましては、先ほども申しました通り、まだ、われわれの方へ凍雪害のときには非常にそういう飯麦の問題の御要望もあったわけでございますが、今までのところ特にそういう食糧代金の延納措置に対する各県の御要望というものもまだ承知しておりませんものですからら、今そういう御要望もございましたので、法律上の改正を伴うものでありますれば別でございますが、運用の範囲内においてできるということでありますならば、早急に食糧庁当局と相談してみたい、こういうことでございます。
  32. 千田正

    千田正君 ちょっとおかしいですね。開拓地から何らのそういう……、あなた方の調査によって、開拓地がそういう窮境に陥っているということを知らないというのですか、あなたの方は。転落農家のことを言っているのじゃないですよ。単作農家においては食えないのだから、食糧が現在ないのだから、それをどうするかと私は聞いているのです。
  33. 齋藤誠

    説明員齋藤誠君) あるいは言葉が足らなかったかと思いますが、食糧の確保が物理的に不可能だというようなことに対しましては、食糧庁当局としては、もちろん食糧配給の全責任を持っておるわけでございますから、それぞれ現地におきましてそういう手配をいたしておるわけであまりす。問題は、それを購入する代金についての延納措置をどうするか、こういうことでございますので、その点につきましては食糧庁当局と至急に検討いたして参りたい、かように考えております。
  34. 千田正

    千田正君 まだはっきりわからない。延納するだけの金さえもないのです。延納するだけの金さえもない現況において、現金収入としての何かの方途を考えているかということを片方においては聞いている。早急に金を貸して、現金収入がなければ食糧が確保できないのです。現実においてそんなずさんな話はないじゃないですか。
  35. 田中茂穂

    田中茂穂君 千田委員の質問と関連して……。千田委員も御指摘のように、私が言っているのは、普通の地帯の農家が食糧に不足しておるという状態と開拓地は違うのですよ。開拓地はもうきょう食べる物がないのです、今度の旱害で。だから、今日の食糧をどういうふうにするか、早急に払い不げの措置を講じてもらいたいというのがおもな私の要求しておる事柄なんです。だから、その代金の延納はまだ第二次的なものなんです。今日の食糧をどうしてくれるかということを言っているわけです。開拓地ですよ。だから、そこら辺のお聞き取りの仕方がちょっと僕はおかしいと思う。
  36. 齋藤誠

    説明員齋藤誠君) 御質問の意味を多少取り違えておったかと思いますが、今申しましたように、食糧の手配自身について非常に困窮している、つまり開拓地においては、その地方において配給を受けるべき食糧もないし、あるいは購入すべき食糧もないというような状態についての措置ということでありまするならば、これはもう問題ないところだと私は考えております。従って、そういうことに対しましては、もちろん早急に手配をする、これはもう問題ないところと存じます。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 農地局長の先ほどのお答えで恒久対策の問題ですが、これは大臣が来てお答えになっていただければ一番いいのですが、結局先ほどの質問にもあった通り、現在の農地関係の財政投資を新たなるこういう事態についてふやさなければいかぬ、そのワクの中で旱害対策というようなものに持って行かれたら、今やっておる他の事業の方が縮小される、あるいは繰り延べになる、こういうことをおそれる。それで、局長の方の事務当局の考えとしては、やはり予算の増額と申しますか、そういう方向でいくことは当然でしょうが、少くとも、その際に現在やっている国営、県営、それれぞのダムの建設なり、あるいは農業水利事業なり、これをタイミングを合わして完成を早めていく、こういうようなことについては十分な施策をお考えになっておられるわけでしょうか。  それから、これは大臣にお尋ねしたいところなんだが、事務当局としては、暖地等もあるのだから、補正予算で取れればなおけっこうなことだと思うのですが、やはり補正が必要だというお考えを持っておるのですか。明年度の予算でも間に合うというお考えなんですか、この点を伺っておきたい。
  38. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 第一点は、旱害恒久等の事業を考慮する、また講ずる、こういうことについての方針はきまっておりますが、それを行うときは本年度の予算の範囲内においてそれを講じて移用流用しまして講じていくのかどうか、そうすれば本年予定した他の事業が縮小されるのじゃないか、それは困るじゃないかということだと思いますが、本年度の予算の中で、すでにきまっている予算の中でそれを講ずるのではございません。そういうふうに考えてはおりません。もっとも、それは事務当局としての考えで、かつ強い希望であります。  第二点は、本年度すでにきまっている予算以上に増額を要すると思うかどうか、それが補正予算として出すものじゃないかということだと思いますが、これに対しましては、補正予算を出すか、どの予算措置を講ずるか、その時期はどうかということを私どもはお答えする能力を持ちません。その事業を行う方がいいので、行うことになれば、政府の方針が行うことになれば、幾つかの案を用意して、いつでもそれに応ずる準備を事務当局はいたしつつあるとお答え申し上げるよりしようがございません。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは前もって順序にお聞きするのがよかったと思うのですが、最高で二十四万町歩ですか、それが現在八万町歩。植付不能が調査部の資料では七万六千町歩七月五日現在で出ていますが、大体、局長のお見込みとしては、施策が伴わなかったためにそういう結果を見たのだと思えるようなあれは幾らぐらいあるか、人工が伴う旱魃旱害だとみなされる、ちょっと手をかけたらそれほどではなかったのだというふうに思われるような反別は幾らぐらい……。
  40. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 非常に重要ないい御質問だと思いますが、お答えするのが非常にむずかしいということも御了解願いたい。施策を講ずれば旱魃はなかったかということの面積は研究すると出るかもしれません。なかなか出ません。研究もいたしました。というのは、自然条件に水の量その他地形、農民の財力、国家の財力を考えまして、まずは自然的資源、あとは財的資源、工事能力等々をコンビネーションして、自然を改造すれば用水の道がつくところに、また、つき得るところに旱魃が起きますが、それがなかなか今の日本では不可能なところで旱魃が起きていることもございますので、なかなかそうわからないのが農業等の実態であることを御了承願いたいと思います。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことは一応わかっておって私もお尋ねしたのだが、先ほど、同僚委員の質問によると、あなたの方には調査も計画もできている、今後の問題——できていると言っている。だが、そのできている限度というものは、どの程度のものについてできているかということを聞きたいから、まずだんだん言ったわけです。
  42. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 私が先ほど申し上げましたのは、第一にはそれが大部分でございますが、すでに設計を終えまして、工事採択になり、継続事業になっておるもので、まあ簡単にいえば予算があればすぐ工事ができて、その他の条件は備わっておるというところをどれだけ伸ばすかということであって、例を言いますれば、猿ヶ石地区の国営事業でありますとか、豊沢川地区等の県営事業部分がおくれ過ぎておるとか、そういうような所を早く片つけなければならないと思います。しかし、これは人災ではないと思います。予算の災だと思います。(笑声)こういうものを早く解決するのが行政でもあり、政治でもあるのではないかと、こういうふうに思っております。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは工事を繰り上げてやるのにも、予算の限度があるからそれはできないとして、今日のような状況において、どれだけの予算額があれば相当官行を促進することができるというお考えですか。
  44. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 実はお答えの方に困るのでありますが、予算の御説明を申し上げましたときに、この予算をやれば、一年の進捗度はどのくらいでありますか、その事業種別はどのくらい、残年量と称しております残事業量がどの程度ありますか、去年及び今年度の予算額ではそれが何割くらい済みますか、御説明申し上げた通りであります。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう手放しな答弁をして事が済んで、そうしてうまくいくなら私はもう何も質問はしない。今、閣議決定でございますの、これこれのことをしなければいけませんのといっておって、その裏づけになるものを、それならどうするのだということを聞いたときに、政府を代表しておって御答弁がない。まあ事務当局としては答弁に事欠くでしょう、基本的な政府の態度がきまらぬという問題があるから。しかし、政務次官はここにおられる。この閣議決定の事項をどういうふうに具現していくという構想を持って今日政府部内で事を進めておられるのか、この点をお伺いしておきたい。閣議決定いたしましたわ、さてあとは予算待ちでございますが、さてそれは来年になりますか、今年の補正になりますか、またそれのどっちがいいのだということも、それは事務当局は答えられない。これは当然なことなんです。  で、政務次官に一つお尋ねしたい、安田さんは名答弁ばかりしますからね。政務次官一つ……。
  46. 安田善一郎

    説明員安田善一郎君) 閣議決定では御承知の通り、正確に読みますと、「なお、このような災害を防止するための恒久対策については、今後早急に 検討するものとする。」ということが閣議決定しておるので、私が説明したのは、これと同様に正確な言葉をもつて申し上げなかったことが悪かったかもしれませんので、もしそうならば御了承願います。重政先生その他の言われる旱害恒久対策というのは、小笠原先生の言われる旱害恒久対策というも  のと少し意味が違う点があるのじゃないかと思いまして、私が申しておりましたのは、総合しまする重政先生のおっしゃった意味だと思いますが、比較的狭い範囲の措置のことを申したのであります。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政務次官の答弁を求めておる。
  48. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) ただいま農地局長が答弁した通りでございます。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、農地局長が言うたような意味で、狭義のもの、河川事業をどうするとか、河床を下げるとか、何とかかんとか、そういう今々の水の問題について助成するということについて検討を加えて調査しておられる要求予算額は幾らくらいですか。
  50. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) 閣議決定で、先ほど農地局長が読み上げましたように、「なお、このような災害を防止するための恒久対策については、今後早急に検討するものとする。」ということでございまして、今後検討することを早急に政府としてはいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いいかげんなこと言ってもらっちゃ困るよ。旱害は、いわゆる灌漑時に、必要な水が足りないために植付不能や何かになった問題で、最大のときは、六月の十三日のときの問題ですよ。閣議決定は七月四日なんです。今後早急にというのは、七月四日からいえば、今日三十一日ですが、相当時間はたっているんですよ。じゃ、いつまでにこれは立てるんですか。もう少し、それは、誠意を持ってやっておることはわかっているんだから、その裏づけになるものをおっしゃっていただきたい。予算上のこと、金の問題については、政府も考えるだろうし、国会も考えるでしょう、そういうことなんです。作業は進めておると局長は言っておる。計画はふる、いつこれを持ち出すかということが問題なんだ、こう言っているんです。だから、その予算的な、要求されるものはどの程度のことか、もう持ち出すばかりになっておるのだということを冒頭に言っているのですから。
  52. 重政庸徳

    重政庸徳君 政務次官、ちょっと待って下さい。これは、政務次官ちょっと考え方が間違っておる。僕がずっと聞いておると、閣議で検討するということになっておるから、検討すればいいような考え方では非常に困る。これは、閣議にかける原案に僕は賛意をしておる。だから、そういう意味じゃない、これは、早く計画を立てて、そうして、恒久対策を講ぜよという意味なんです。だから、そういう点で一つ御答弁を願いたい。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 答弁を求めているんですよ。
  54. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) ただいま重政委員の御指示の通り、そういうふうな方向に向って目下検討中でございます。  なお、先ほど農地局長が申し上げましたことは、つまり、もちろん政府の立場においてではございますが、政府部内におきまして、それぞれ、たとえば大蔵省とのいろいろな折衝の問題、政府部内の統一の問題等がございますので、それらの問題についても、それぞれ時期を考え、また、それぞれ検討を進めておるというふうに御了承を願いたいと思います。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まだあるんですよ。私が終ったと言うまでやらして下さいよ。(笑声)笑う必要はない、不まじめな。  さっきからずっと聞いておると、田中さんの質問に対する答弁でも何でも、安田さんとしては、もうしっかりした準備ができておることを言っておるんですよ。そうして、それがどういう形で持ち出されるのか、これは政府の考えによるものだということなんです。それで、お尋ねしておれば、政務次官も、まあ適当な答弁をして済まそうとする。こうなれば、私はほんとうにこの恒久対策というものを狭義の意味で、今々旱害が直接起ってくる原因を幾分でも除去するというだけの、そういう意味の恒久対策さえも、これは本年中に取り得られるものかどうかということについては、非常な疑義と申しますか、心配を持つ。まして、私らが言っておるような、今、農林省のやっておる事業が、いろいろ延び延びになっておる。そのために、もう当然そういう水の利用ということが十分にできないという事態を排除するということが困難な事態なのに、それさえもいろいろな関連事業がタイミングを合せて仕事を進めるということについては、やはり従来以上予算の増額を必要とせられる向きがあるのではないか。そうなれば、なおのこと困難な問題が将来に起ってくる。そうであれば、二段、三段にかまえられても適時適切な施策を実際に具体的に進めていただかなければならぬ。そういうことについて、農林省一つがんばってもらいたい。こういう趣旨でのわれわれの質問なんで、それに答えるのにちゃらんぽらんな答え方で、まあまあまかしておけ、おれの方がやるのだということだけじゃいかぬと思う。今後どういうことになりますか、事態を見ますと、十分一つこの点は御配慮願って、目的を達成できるように、閣議決定の精神が生かされるように要請します。  それから次に、小さいことですが、最近山形に行きまして、新庄で雪の研究所を見せてもらったのですが、これは渡部局長にお尋ねしますが、その水資源の利用という問題について、東北その他においての関係から長くあの研究は持続せられている、調査を進めておられるが、経済調査の方と合せて定員があるために、雪の研究調査をする定員がたった二人しかいない。たった二人で、予算は全体で六十万かそこらのもので、全国的な農林省の雪、水資源の調査ということの権威になろうとしておる。これは無理だと思う。しかもここで出たデータというものは、人事院なりなんなりで、政府が実際いろいろな資料に、特別交付金の交付の資料にでも何でも使っておる。重要な資料を作っておるわけですね。そういうところが定員二名だ。それから、こういう旱魃旱害の問題を恒久的に科学的に検討を加えなければならぬときに、ああいう施設は何と申しますか、尊重されていい。もっと拡充、もっと熱心に研究されていいものじゃないかと思うのですが、局長のお考えを承わりたい。あの定員で果して十全なる目的を達成し得るかどうかということについても見解を承わっておきたい。
  56. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 総研の山形支所の問題でありますが、御指摘のように、これは積雪地方の経済研究を担当しておりますが、総研ができましたときに、あれが農村工業指導所と分れまして、経済的な研究の分だけをその方面でやってもらうということなんですが、その陣容が非常に不足であるということは私も認めておりますので、毎年その充実について努力をいたしておりますが、遺憾ながら目的を達成できない、こういうのが実情でございます。ただ、雪の研究はあそこにすわっておっていいというわけにはいかないので、これは各府県とも連絡いたしまして、各府県の協力もいただいて雪の研究を進めております。あそこは各府県の研究のセンターというふうに私どもは考えておるのであります。従いまして、それにしましても、もっと充実する必要があるということも私どもの方でも考えております。ただ何といいますか、一時積雪地方の研究、それからそれに対する対策、たとえば水田問題等については相当進んできておりますので、水田の収量の増というようなものも上っております。そのほかの部面については今後やはりもっと研究を深めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。さらによく検討いたしたいと思います。
  57. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、閣議決定の問題がだいぶん別の意味合いで取り上げられておりますが、どのくらいの権威がありますか。閣議決定せられたものに対する実施に対しては、どういう工合に権威があるのか、責任を持てるのか。
  58. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) 政府として閣議で決定いたしましたことは、その通り責任を持って実行する、文字に書いてある通り責任を持って実行するものでございます。  なお、先ほど来重政先生、小笠原先生等からいろいろ御質疑がございましたが、その御趣旨は、先ほど小笠原先生からお話しのありました通り、私ども政府を激励していただく趣旨と考えまして、ありがたくちょうだいいたす次第でございますが、私もいろいろと農林関係のいろんな仕事について検討して参っておるのでございますが、いずれも非常に不足がちでございます。なお、急速に仕事を進めなくちゃならないような点もずいぶんあるのでございますが、これは国全体の財政経済のバランスとの関係も考えまして、今後皆さんの御激励にこたえて、鋭意一つ一つ実現する方向に努力いたしたいと存じます。
  59. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、それに違いないだろうと思うのです。わずかの問題ですけれども、ここに官房長がおられるが、三十一年の、新潟県の豪雪に対して農器具の補助をすると、閣議決定でちゃんと出ているんです。いよいよもらいに行った。ところが、そのあとで、石川県の方からも同一の要求が出ている。これもやはり農器具の方が出ております。きょうは農林省関係の人が来られていますが、これは補助金は出しませんとはっきり言うていられる。ところが、この問題は、閣議決定書をちょうだいしたのがちゃんとあるのだ。しかも自由党の人たちが視察に行ったときに、これは出しますと、厳格には言わないけれども、ほんの十台分か、二十合分出してくれた。それはあなたが一番よく知っている。官房長が一番よく知っている。ここに閣議決定を全然無視してやっている現実があるわけなんです。こういうものを幾らきめてもらっても……。それを今さらどうというわけじゃないけれども、そういうことじゃ問題にならないと思うんですよ。現にこれはわずか三百万か四百万の問題だから、委員会の問題にもしないで、今まで黙っていたけれども、きょうはだいぶ問題が出ているので……。実際きめたことは、間違ってきめても、責任だけは負ってもらわなければ、これは大へんなことになると思うのです。もし何なら私は証拠書類を全部出します。これはどうなんですか。一つはっきりして下さい。
  60. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) ただいま清澤先生の御質疑の御趣旨が、いつの、どの事件であるかについて詳しく私承知いたしておりませんので、具体的にお答え申し上げることができないのを御了承願いたいと思います。とにかく政府といたしましては、閣議ではっきりと決定いたしました以上は、これは当然に最後まで責任を持って実行する、かように私ども考えております。
  61. 清澤俊英

    清澤俊英君 それは大蔵省が一番悪いのです。大蔵省が、予算がありませんとか、何とか言って、そうしてこれを流用してやるとか、これをこうしてやるとか、まあ閣議決定ですから、いろんなことを言って、果てには実行しない。結局わずかの金だから町村や県に行ってしまう。それは官房長が一番よく知っています。三十一年の新潟県の豪雪に対する補助金の問題なんです。(「休憩」と呼ぶ者あり)
  62. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ここでしばらく休憩いたしまして、午後は一時五十分から再開いたします。    午後零時五十一分休憩    ————・————    午後二時十九分開会
  63. 関根久藏

    委員長関根久藏君) それでは委員会を開会いたします。  昭和三十三肥料年度における肥料の需給及び価格の件を議題といたします。  政府においては、さきに昭和三十三肥料年度におけるアンモニア系窒素肥料の需給計画を決定し、また、最近硫安の最高販売価格を決定したのでありまして、ただいまからこれらの事情につきまして農林当局説明を求めることにいたします。
  64. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 明肥料年度が八月一日から始まります。明肥料年度の肥料の関係につきまして御説明申し上げます。  まず第一に、アンモニア系窒素肥料につきましては、肥料需給安定法に基きまして、肥料の需給計画を肥料審議会にかけてきめなければいかぬ、それから硫安の最高販売価格をやはり肥料審議会にかけなければならぬということになっております。七月の八日に需給計画の審議会を開き、二十八、二十九日に価格の肥料審議会を開き、あとから御説明申し上げるように決定いたしました。  まず、そこへお配りいたしております資料についてごらん願いますが、第一ぺージは、三十三肥料年度におきますアンモニア系窒素肥料の需給計画であります。前年度からの繰り越し数量が三十五万トン、生産見込み数量が四百四十三万六千トン、国内消費見込み数量が二百四十九万九千トン、需給調整用としての計算上保留する数量が十六万トン、輸出可能の見込みが百九十四万三千トン、三十四肥料年度への繰り越しが十八万四千トン、こういうことになります。  これを今までの実績と対比いたしますと次のページの肥料別需給実績及び計画という表でごらん願いますと、硫安換算のアンモニア系窒素肥料でありますが、国内生産は左のこの表で見ていただきます。(1)の中にある石炭窒素の分を引いた数字がアンモニア系であります。この表は石灰窒素も含めました窒素肥料全体の数量を硫安換算で出しております。そこで、前年度の状況を申し上げますと、(1)の表でごらん願いますように、アンモニア系では生産が三百七十九万一千トン、これが来年度は四百四十三万六千トン、こういうふうになっているわけであります。内需は、アンモニア系は二百四十一万五千トンが二百四十九万九千トン、こういうことになっているのであります。従いまして、内需の三十三年度の比較は、調整保留を加えますと二百六十五万九千トンになりますから、今肥料年度の二百四十一万五千トンに比べますと、約二十数万トンの余裕を見ております。昨年も十六万トンの保留数量を見ておったのでありますが、これはそのうちわずかばかりを、約五万トン程度を食い込みまして、二百四十一万五千トンという内需の実績の数量になっております。それから輸出は昨年度は百三十万五千トンであります。ことしは、在庫を十八万四千トンと見ますれば、百九十四万トンは輸出できる、すなわち六十万トン以上の輸出の増加が見込める、こういう数字になります。今のはアンモニア系肥料のトータルを申し上げましたが、その内訳は、今の資料で硫安、尿素、塩安、硝安、流儀安その他ということになりまして、(2)の表では三十三年度の数字の、今の硫安、尿素、塩安、硝安、硫燐安その他の内訳を書いておるのであります。石灰窒素は、同様の表で見ていただきますように、三十二肥料年度は四十五万五千トンの生産でありまして、四十万五千トンの内需がありました。輸出はわずか千トンでありますから、従って、来三十三肥料年度への繰り越し七万三千トンであります。来年度の生産四十五万トンと見ますと、適正在庫を五万二千トンとしますれば、四十四万トンの消費が可能であり、三万トンの輸出が可能である、こういうことになります。石灰窒素につきましては、尿素とか塩安のような無硫酸根肥料が出てき、ことに尿素の生産は、三十二肥料年度は八十五万六千トンの生産でありましたが、三十三肥料年度は百二十万八千トンでありまして、飛躍的な増産が見込まれております。尿素の価格は、無硫酸根肥料としては非常に石灰窒素に比べて安いので、石灰窒素の伸びも石灰窒素のほんとうに必要なところに使えばいい、そういうふうな指導方針をとっておりますから、だんだん尿素に転換していっておるというのが実情であります。  次に、燐酸質肥料の需給、第三ページをごらん願います。これは燐鉱石はAA制でありますから、生産の制限なり、価格の制限をやっておりません。しかし、御承知のように国内の需給は非常にだぶついておりまして、価格も非常に低目になっております。最近はレバノン事件で船賃等の値上りを心配いたしましたが、今のところはその影響は出ておりませんし、もし船賃等が上りますと、燐鉱の輸出シフ価格が高くなりますから問題が出てくると思いますが、現在のところではそういう予想をいたしておりません。三十三年度の生産見込み二百四十八万一千トンであります。その中でこれは過燐酸化成肥料を全部過燐酸で換算しておりますが、二百四十八万一千トンのうち百八十二万三千トンが過燐酸、その差額は化成肥料という格好になります。内需は、昨年二百二十六万トンが三十三肥料年度は二百三十三万トン、こういうことになっておりまして、輸出は十五万トンを見込んでおります。窒素肥料とは違いまして、燐酸肥料の輸出は、南方地方では燐酸としての需要がそうありません。台湾、中共等につきましては、現地の生産機能も、これは非常に簡単な工業でありますから、相当進んでおる、そういうふうな関係等もございまして、窒素肥料とは違って、輸出はあまり伸びる可能性は持っておりません。  それから次は、カリ質肥料でありますが、これは全部輸入でありまして、昨年度の三十二肥料年度は、当初は九十万トン以上の輸入を計画しておりましたが、国内の消費が伸びないほかに、三十一肥料年度に非常に多くの輸入をいたしておったような関係がありまして、六十五万九千トンの輸入が大体これが実績になって、内需もそれで七十七万五千トンといたしました。本年度は八十万トンの内需を見まして、八十三万九千トンの三十三肥料年度は輸入をいたしたい、こういうふうに考えております。  それからその次の四ぺージは三十二肥料年度、すなわち今月末までの仕向地別の各種肥料の輸出。実績及び見込みでありますが、ほとんど実績とお考えになっていただきたいと思います。一番大きいのは台湾、その次が中共、そのほか各地に出しまして、硫安として八十九万トン、尿素が十五万六十トン、硫安に換算しまして三十四万トン、そういうふうになっております。この中で、中共は本肥料年度中に硫安四十万トンの約束をしておったのでありますが、中共貿易の中断で半分が輸出不能になった、こういうことになっております。尿素はほとんどやっておりません。そのほかの種類も少しずつ出ております。  それから需給関係は以上の通りでありまして、価格について申し上げます。別の縦書きの表にございますように、二十八、二十九日の肥料審議会で、来肥料年度の硫酸アンモニアの生産業者の販売価格の最高額をきめていただきました。これによりますと、正味三七・五キログラムにつき、すなわち十貫について七百五十五円、これは消費地最寄駅着貨車乗渡、あるいは港着乗渡、こういうことになっております。それでかます入りでありまして、そのほかのものについては、容器の差による格差をつける、容量の違うものについては、容量によってきめておる、こういうふうになっております。このもとは、お配りしております縦書きの方でなしに、裏の方に横書きの硫酸アンモニアの生産業者の販売価格の最高額を肥料審議会に諮問することについての諮問第十七号の裏側を見ていただきますと「昭和三十三年肥料年度の硫酸アンモニアの生産業者の販売基準価格を七百四十三円十八銭(正味三七・五キログラムかます詰、着駅貨車乗渡)とし、これを基準として限月別に最高販売価格を定めることとする。」、こういうことになります。七百五十五円は、この最高販売価格をさすのであります。基準価格は七百四十三円十八銭となります。これは前年度に比べまして、二十五円八銭の引き下げとなっております。これは元の資料の七ページを見ていただきます。三十三肥料年度の工場別硫安推定生産費一覧表であります。ここに十九の工場の生産費を調べまして、第八までの生産費の低い方から取りまして、その数字で国内の消費量がまかなえる、いわゆるそこにバルク・ラインを引きまして、その中の各工場別の生産費をもって加重平均いたしましたのが右の方の角の中にあります百五十三万七千四百三十三トン、トン当り一万九千八百十八円、かます当り七百四十三円十八銭、これがさっきの諮問案の数字になっておるのであります。すなわち、十九工場のうち、八工場までの生産量で国内消費がまかなえるから、国内消費をまかなう工場の生産費をもって生産費をきめる、こういうふうになっておるのであります。昨年の各工場の生産費を比較いたしますと、第一順位は一万八千七百円余りであったと思います。それから最高が二万七千円余りでありました。従いまして、最低のものは大差がないが、最高の生産費の工場は、約三千円以上の合理化によるコストの低下を来たしておる、こういうことになっております。八ページの表の右側のバルク内平均、これで前年度との比較を願いたいのでありますが、一番下の基準価格、三十二肥料年度トン当り二万四百八十六円八十二銭、かます当り七百六十八円二十六銭、これが三十三肥料年度では、一万九千八百十八円十五銭のトン当り価格になりまして、かます当り七百四十三円十八銭、この七百六十八円二十六銭と七百四十三円十八銭との差額が二十五円八銭ということになるのであります。ごらん願いますように、おもな値下りの要因は材料費、昨年度はかます当り四百三十二円十五銭を見込んでおりましたのが、本年度はそれが四百円五十六銭、労務費百十円十七銭が、九十四円六十五銭、そういうところが大きい値下りの要因になっております。  それから表の六ページに返っていただきまして、硫安の輸出価格の問題、いわゆる出血輸出の問題がやかましい問題になっておりますが、硫安の輸出価格と国内価格を対比いたしました。これによりますと、一番左の方の欄で、トン当り輸出の最低と最高の価格の開きを見ております。三十年の一月では、最低が五十八ドル四十セントから、六十一ドル五十セントの最高になっておりますが、三十三年の六月、一番下の欄を見ていただきますと、六月で最低が四十七ドル八十セント、最高は五十九ドル、こういうふうになっております。これをトン当り平均にならしますと、三十年の一月で、五十九ドル八十セント相当しておったのが、この六月では、四十八ドル八十セント、こういうふうになっております。相当高い輸出のものがありますけれども、先ほどの輸出の表で見ます。ように、中共や台湾の価格は、安い価格でありますから、平均は非常に安く出ている、こういうのであります。これを国内価格と比較いたしまして——国内価格は右から二つ目の欄でございますが、それを国内価格分の輸出価格のパーセントを出しますと、一番右の欄であります。大体国内価格に比べまして八五%という数字になっております。今度二十五円下りますと、今の輸出価格と同等でありまして、それだけの比率が上ってくる、こういうふうになります。  それからもう一つ、前の五ページの表に返っていただきまして、これには最近の窒素質肥料の国際入札状況を調べたものが出ております。フィリピン、韓国、韓国、韓国、パキスタン、こういうふうに分けまして日本、米国、西独、その他でありますが、値段はトン当りで書いてありますが、非常にまちまちであります。そのときの入札によって、競争の程度によって変っております。  それから九ページを見ていただきまして、主要肥料の卸、小売の価格の推移を三十年の一月から最近まで別々に明らかにいたしております。これは農林省が共同通信社に委託いたしまして、各地方の実情を調べさしているので、各月の中旬の価格ということになっております。大体石灰窒素を除きましては、非常に毎月下ってきている、こういう状況になっております。  それから十ページをごらん願いますと、硫安二法を作りまして、来年四月で五カ年の期限が切れるのでありますが、三十三肥料年度までの合理化の比較を表にいたしているわけであります。当初二十八年度の生産費が六十五ドル近くあったものが、合理化の目標を五十五ドルに置いたのであります。五十五ドルまで三十三肥料年度価格だと達成できるわけであります。こういうことになります。一番下の欄でごらん願います。で、これには主要材料の値上りとか、あるいは労賃の値上り、そういうものを見込んでおらないなまの数字でありますから、このままで比較することは、合理化のほんとうの効果ということはできませんが、二十八年度の原材料その他のいろいろな価格にそのまま換算して比較しても、これもちょっと工合が悪いわけであります。とにかく、現在ではこの裸の値段で諸外国と対抗しなくちゃいかぬのでありますから、相当の問題がある、こういうことであります。  それからその次には、合理化を果してどういうふうにやったかということを十一ページに出してあります。これは大きいのはガス源の合理化というところに出ております。要するに天然ガスなり、炭坑ガスなり、石油廃ガスなり、あるいは石油の重油ガス化というふうな従来の電解法、あるいはコークス法、そのほかのいわゆる固体原料法、これは第十三ページを見ていただきますが、そういった原料が高いし、それからまたそういう石炭、コークス等を使いますと、夾雑物を除去するいろいろな装置、手続がかかる、そういうものがなくて、重油ならば重油の全部がガスとして使える、天然ガスならもう全然捨てるものがない、あるいは夾雑物がない、こういうふうな関係でございます。三十四年の一月の能力を推定いたしますと、十三ページの一番右の欄でごらん願います。三十四年の四月一日現在の能力で比較しますと、一番上の電解法は全体のうちの一三%になる。これは二十八年のときには、一番左の欄を見ていただきますと、二六%あったのが半分になっております。それからコークス法、ウインクラー工法、その他石炭法、いわゆる固体原料を使っておったものが、これが六八%のものが四四%まで下る、そのかわりに流体原料、いゆわるガス源の安いものが二十八年では五%であったものが、四二%にまで上ってきた、こういうふうに変ってくるのであります。従いまして、今の五十五ドルも、物価その他の関係が逆に作用しなければ、さらにわれわれは合理化を期待しておるのであります。そのほか、いろいろなガス精製の合理化とか、アンモニア合成設備の合理化、硫酸設備の合理化ということをやってきております。もっと大きいのは、先ほど需給関係で御説明申し上げましたように、硫安の伸びに比較しまして、硫酸を使わない尿素が百二十万トン、今後もふえてきます。非常に窒素製品あたりとしては安い肥料が肥料形態の変化として出てきているのであります。それからアンモニア利用の合理化、これは一ぺんアンモニアをほかの繊維原料等の製造に使って、その廃液として出てくるものを回収する、こういうふうなやり方による合理化も相当大きいものがあるのであります。  以上、来肥料年度の肥料の需給と価格、輸出の見通し、そういうものについて御説明申し上げました。
  65. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまの説明に対しまして御質疑の向きは御質疑を願います。
  66. 安部キミ子

    安部キミ子君 中共の貿易の額が今のままでほうっておかれると産業に非常に影響すると思いますが、この問題に対して政府はどのような手を打っておいでになりますか。
  67. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは私の方では肥料の輸出だけから見ておるので、これから言うともうとても大へんになっておるので、通産省なり企画庁の方へはその状況をよく話しておるわけであります。私の方は一部の問題でありますが、全体の問題は、これはいかんとも申し上げかねると思いますが、政務次官の方にむしろお答え願う方が……。
  68. 東隆

    ○東隆君 カリのところですが、大部分海外から入っているように思うんですが……。
  69. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) 全部。
  70. 東隆

    ○東隆君 これはどうなんですか。非常に数量が少いんだけれども、輸出しておりますね。
  71. 渡部伍良

    説明員(渡部伍良君) これは沖繩が輸出になりますから、沖繩の分が一括して日本でやっておりますから……。
  72. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 本件はこの程度にいたしたいと思います。  ちょっと速記をとめて。    午後二時五十四分速記中止    ————・————    午後三時十一分速記開始
  73. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて。  順序を変更いたしまして、酪農対策の件を議題にいたします。  政府における乳価及び酪農対策については最近いろいろと伝えられておりますので、これらの事情について、ただいまから農林当局説明を求めます。
  74. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 最近新聞紙上にいろいろと出ておりまする酪農問題、主として乳価の問題につきまして御報告を申し上げます。  以前にも御報告申し上げたかと思いまするが、ことしの、今年度に入りまして、昨年からの乳製品の滞貨の状況というものが必ずしも好転をいたしておりません。さようにいたしまして、この六月末におきまして、通常の在庫と考えられておりまするものに比較しまして、二倍に近い八十万石程度の在庫がある、こういうふうに推定をいたされておるわけであります。一方生産の方は、昨年の秋、冬等の乳価の値下げと、その他の状況がございまして、漸次下降の線をたどってきておるわけでありまするけれども、また一方、野菜の豊作等の事情も加わりまして、必ずしも所期の通りの生産のダウンを見ておりませんが、これは漸次スローダウンをしておる、かような状況に相なっておるのでありますが、それにもかかわりませず、乳製品の在庫量というものがかなりの数に達しておる、かようなわけであります。従いまして、これに対処いたしまする方法として、かなり乳製品の価格の切り下げ等をいたしまして、それの販路の拡大に努めておるのでありますが、一方、六月の下旬になりまして、七月以降において生産者に支払いまする乳価を引き下げる、こういうような申し入れが主として大乳業者から始まりまして、中小企業の乳業者がこれにならってそういう通告をした、こういう状況があったのであります。地帯によりましては、その交渉が妥結した所もございます。あるいは現在妥結をまだ見ていない地帯もございますが、大体におきまして、一割程度の引き下げを申し入れをしておる、あるいは妥結をしておる所がある、かような状況でございます。それに対応しまして、政府の方としましては、この在庫のあるという事態を見まして、また、それが乳製品の圧迫になり、さらに生産者乳価への切り下げという原因になっておると、こういう事情を考えまして、大よそ今年度の、すでに既定予算といたしまして考えておりましたところの生乳十五万石、乳製品五万石相当分の学校給食への実施という問題のほかに、この夏場におきまする滞貨を急速に吸収いたしまして、これを学校給食の方に回し、さらに生乳によりまする学校給食のワクを拡大する、大よそつけ加えましてなまミルク十万石、乳製品二十万石、大体の見当のものを追加をいたしまして実施いたしたい、さようにいたしてこの酪農の問題を解決いたしたい、かような考えを主といたしまして、さらには需要拡大のための集団飲用あるいは農村におきまする自家飲用の奨励、さらに一般的な需要喚起のための、消費拡大のための宣伝というような諸点につきまして施策を講ずるべきである、こういうことで必要な財政的措置を必要といたしまするものについては、財政当局と交渉を重ねて参ったわけであります。  一方、この財政的措置をいたしますにつきましても、少くとも七、八の両月におきまする生産者乳価を六月の水準に維持するということ、さらには消費を拡大いたしまするために、市乳の価格引き下げを実現するということ、こういうことの必要を認めまして、その旨を関係の乳業者その他に勧告をいたしたのであります。協力を求め、要望をいたしたわけであります。で、自後、関係の業界の方面と累次交渉を重ねて参ったのでありますが、種々の点につきまして、大よその了解をお互いに得ることができまして、市乳の問題につきましては、直ちにこの市乳の実質的な、実際的な価格引き下げという形を——ちょうど一円引き下げいたしますると、月に二本のミルクを増量する、おまけをつけるという形にいたしますと、実質的な一円値下げになる、こういう観点から、市乳値下げの問題につきましては、そのような案におきまして大体の了解点に達しておったのでありますが、この市乳の一円引き下げということは、ミルクの増配という形において実施することは不適切であるという意見が政府部内に起きましたために、現在その点につきまして、現実的に一円の値下げを実施するように、業界の方面と重ねて現在折衝を続けておる、かような状態でございます。
  75. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ただいまの説明に対して御質疑の向きは御質疑を願います。
  76. 清澤俊英

    清澤俊英君 今、実際僕らの方は三十五円というのができているのだ、堀の内のプラントでは三十五円だ。きのうも新聞に出ていた。非常に困っていると、そういう問題が出ています。  それといま一つは、先般の乳価の引き下げに対して、いろいろ十円牛乳とかなんとかいうのは、十円牛乳なんか、これにみんなしたら、僕は非常に今の乳業問題として、現状における取扱い上、事実上僕は今の経営じゃ十円牛乳に全部なったとしたら問題が生じると思う。これは市乳だけの問題で、生産者から見れば生産を縮小するという問題で、決して全生産を拡大するという線に入らないのだ。だから、ほんとうに乳価を引き下げるとするならば、先般も私は申し上げました通り農民の作る生産乳の価格と消費価格のあい差が約倍くらいある。四円で売ったものが十四円で売られる。四円五十銭で売ったものが十五円で売られる。その上営業政策で十七円牛乳と二十円牛乳を作ってさやをつけておる。片っ方はもうけ主義でやっているせいもありますが、とにかく中間が多過ぎると思う。これについて、いろいろ私はそういう中間性の問題は農産品全体の問題として、一体どうしたらいいかというのが一番今取り上げるべき重要点じゃないかと思うのです。そこで、これをするにはどうするかというたら、消費者と生産者がもっと自分のものを高く売るという考え方でなく、自分のものを安く売るという考え方を基本にして、中間経費政府としてはどうこれを安くするか、こういうことを考えてもらわんきゃならぬと思う。そういう考え方を、まあ環境衛生法の関係などはよくわかりませんが、たとえば集団——工場等で牛乳を買う、この場合には今現に生ビールなんというものがある。圧搾空気を入れてさっと出すように、ああいうものを今の科学の時代で考えたならば、牛乳でも消毒したりっぱなものがちゃんと、冬は相当の温度で出す、夏は相当の冷却度を持ったものを出せると、ひょっとまあひなたにでもあるようなものを市販で買って飲みますときに気持ちの悪いようなものをあずけられないで、そういうものを使うことのできるようにそういう衛生法を改正していくとか、そうすればそれは現金で売れるのだから、これは十円牛乳にする、そういう建前をとっていくことも考えられるし、それからそういうのを各商店に置いて、事実において子供をおぶって、そうして朝昼晩の三べんも無理ですけれども、買いに行った場合、それを非常に清潔な新鮮なものを、そういう科学的な市乳のできたものをずっと自分の持っていった容器に入れる、それの場合には十円にすると、そういうことにすれば、私は乳業会社としても困難性はなくなると思う。これはみんな現金なんだ、だから、中間経費が何で高まるかということをいろいろ乳業会社、自分もちょっと関係しておりますが、やってみますと、大体配達を今の一合びんでやっております。これは朝晩配達してまた空びんをついでだが持っていくのだ、それの破損、紛失、かりに三石の乳を配給するとしますと、ちっと距離が、配給する区域が広かったり場所が悪いと、百か百五十本しかやれないのだと、非常に密接な所で二百本が限度だというのだ。二百本というと約二斗、二斗の牛乳をあの重いびんに入れて持って歩くのは、これは無理なんです。ほんとうの重労働だと思う。そういう重労働をさせてろくな賃金もやらない。一本二円くらいの配達料をくれているようなところもありますが、ろくなあれがないことになるから、近ごろのぐれん隊まがいのものもおればなにもおるのですから、約一割というわけじゃないけれども相当額が持ち逃げされたり、いろんなことをして欠損になる。これは元も子もなくやられてしまう。そんなものに限ってびんなどは一つも回収していない。こういうようなことで、大体そういうところに消えるものが二割あるだろう。びんの破損、紛失、それから代金の未回収、代金の持ち逃げ等があるといわれる。そうすれば、かりに四円の乳に二円の経費がかかるといわれる。これはかりに三円としても、それの二割はどこかへ行くというのですから、十円牛乳はやっていけないという実際が出てくるのじゃないかと思う。これはなかなか交渉がめんどうだと思うのだ。ほんとうの乳を作っている工場というものが鼻突きつけてやればできるかもしれないけれども、学校給食の場合は八円でもよろしいけれども、そうでなくて一般の商売として考えるときには、そういうことはできないので、私は政府が本気にやるならば、そういう施設政府がして、こういうふうにして実際に、奥さんなどはただ安くしてくれ、安くせいということばかり言わないで、いかにしたら安くやはり自分が買えるかということを宣伝しなければならない。と同時に、それが安く買えるように、また政府としては施策を講じて、その点を圧縮して乳価を下げる。それで下げなかったら、これは問題だと思うのだ。同時に、農民の方でも、あっちの方でもわずかな一万か三千の都市を中心にしてプラントを作っている。こっちでも作っている。だから、ある程度まで行ってしまったら、原料なんか出てきたら鼻ついてしまって、どうにもにっちもできない。ああいうものを徹底的な総合的なものに直してそうして農協の共販体系を確立するとともに、これは相当、明治、森永と対立することのできる力に育て上げることの方法を講じなければ、私はこれは乳価値下げなんということは、全く今の状態ならば、なかなか考え及ばぬ問題だと思うのですよ。私はどうしても、そういう中間経費というものをどうしたら圧縮できるか、これにもうちっと骨を折られるべきだと思う。だから、学校給食はだめだとか、いかぬとかなんとか言うのじゃないのですよ。それができ上るまでは、そういうめんどうはしていただかなければならぬと思うし、また思い切ってめんどうをしていただいていいと思う。そうすると同時に、消費面におけるそういう中間経費がどういう方法で行ったら消費者もついてくるかということを基本問題として取り上げて、実際自分が買いに行けば五円安いのだ、三円安いのだということになれば、私は相当買いに行くと思うのだ。こういうことは考えられないかどうか。一つ中間経費を思い切って引き下げるべき努力がこれからあともらえるかどうか。まあ環境衛生のことはよくわかりませんが、聞きますと、環境衛生で押えられてそういったような他の方法で乳を販売することか押えられていると、こういうことになりまするならば、農林省中心となってこれをやっていったらよろしいし、なんか聞きますと、こういうことさえ言われる一なぜそういうことをやらないかというと、これは通産省が問題にしているので、ガラス産業に大いに影響するものだから、こういう一合びんでもってめんどうさしているのだと、まさかそれほどのばかげたことはないだろうと思うのだが、そういうことさえ言うている者があるというのですよ。ですから、まあそういう点を一つ考えたらどうか。ちょっとあなたの考えを聞きたい。何べんも言うているけれども、一体それが盛られておらないのだ。
  77. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 中間経費の節約という問題につきましては、これはみな関係のそれぞれにおいて努力をしておると思います。ただ、御指摘がございましたように、末端におきまする、ことに小売の段階におきましての経費の節減という問題は、今の形態におきまする各戸の家に一日に激しいときは三回も配らなければならないという現状における配達制度というものが行われていきますると、これは合理化の非常に重要な面が先に進まない点があろうかと思います。従いまして、それとかわる方法ということになりますというと、結局、先ほどお話がございましたように、一定の所へ品物を取りに行くというような、いわゆる置き売りの方法をとりますか、それとも、大量に飲みまする契約をとっておいて、小売の段階を省略して、卸から直接そこへ持っていくか、こういう方法に考えが落ちつくのではなかろうかと思います。この後者の、いわゆる職場におきます集団飲用という形は、この前も御披露いたしましたように、すでに方々においてその実現が行われつつあるわけであります。これは、大体十円あるいは十一円程度のところにおきまして大量の消費が行われておる。ただこれは、全体といたしますとまだ微々たるものではございますが、一つの配給の方法の新しいやり方であろうと思いますので、この方向は、私たちとしましても推進をしていかなけりゃならん、かように考えております。それの形の一つといたしまして、地域的な一種の生活協同組合等の形で、一定の場所に品物を集めてきまして、そこへ持っていく形、これはすでに行われておりますが、それも漸次伸ばしていかなければならぬ。ただ、これはなかなか長続きすることがむずかしい状況もございますが、これをできるだけ拡大をいたして参りたいと思います。それから牛乳屋さん、あるいはパン屋さんでもけっこうなんですが、一定の所にミルクを置いておきまして、そこへお客さんに来ていただいてやっていく、こういういわゆる置き売りの形でございますが、これは夏場によく見まするような、あるいは駅頭その他で見まするような、その場所で振りのお方に飲んでいただくという形のものは、これは、夏場におきましては相当出て参っております。これらも経費の節減があるわけでありまして、従いまして、それだけのことから考えますと、相当経費の節減がある道理であろうと思います。ただ、この置き売り、あるいはパン屋さん等が持っておりまして、毎朝家庭の方にそこまで取りに来ていただくというようなやり方は、現実には、その数量が固定いたしておりませんと、こういう腐りの足の早い品物でありますために、余分の仕入れができない、不確定である、そのために案外、そのロスを考えますと、経費が高くつかざるを得ない。従いまして、そういうある一定の場所に消費者の方々が簡単に取りに行っていただくという形のものは、そこに一定の数量の確約をいたしまして、安心してそこの扱っておりますものがある一定の数量を確保して置いておけるもの、こういう形のところまで考え方が実行できるようにいたしませんと、実は案外に経費がロスのために高くつく、こういう実情になっております。生産とそれから処理、あるいは配達いたしまする小売の段階、この三者を通じましての消費流通過程の合理化というものは、これはどうしても今後進めて参らなければならないのでありまして、生産の段階におきましては、その一つの考え方といたしまして、集約酪農地域のように、一定の地域にかなり濃度の高い飼育をいたしまして、それが工場に持っていかれる、工場も一定数量が確保される形において合理的に運営される、そういう形が考えられると思うのであります。工場の処理そのものは、集まりまする乳量との関係におきまして、急速に改善されておると思います。ただ、年々におきまする固定設備等の投資との関係その他はございまするが、機械そのものといたしましては相当な合理化が進んでおる、かように考えております。なおそれから、末端の小売業者に回る、小売業者から末端の消費者に回るという点につきましては、なかなかむずかしい問題がありまして、先ほど申し上げましたような形における別途のルート、また、小売業者そのものの経営の合理化という形において、今後種々な施策を講じていく必要がある、かように考えておるわけであります。
  78. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の場合、これはやはりさっき言う通り、消費者も協力するということが一番大事だと思うのだ、私は。といいますことは、切符制で前売りしている所がある。それを実施して非常に成功している所がある。これは、貸し倒れ、持ち逃げの危険性は全然ないわけです。その上、今言うたような、生ビールを圧搾空気で出すような、しかも、それに電気装置で冷却が適当に行われるとか、あるいは適当の温度で持たせるとかというような、これは痛むことも少いと思う。腐敗率は、ちゃんとそういう温度ぐらいのものは、今の科学でそれぐらいのものができないなんて絶対ないと思うのだ、研究すれば。今のままで考えているから、腐ることも考えられるし、何することも考えられるけれども、そういう特殊の機械を作って、それを作ってこうするということに対しては、政府は初期のうちはどれぐらい補助をして奨励していくとか、その上に立って、そういう置き売りと言われる方法を講じた場合に、そういう機械を使って、そうして置き売りで、一ヵ月の前売りでそれが何割の割引、それを取り行ったために何割の割引というものがついて、実際十四円のものが十円になる、こういうことになりますれば、これは先に食うのだから、金利までが今度生産費の中から落していかれるようになる。それくらいのところまで考えてやはりやることを奨励していただかなかったら、ほんとうの値下げ問題などは、今の生産者との交渉じゃだめだということだ。従って、何か知らん、私はここはまだ研究しておりませんが、そういうことをやるについても、環境衛生法でいろいろの処置上の問題が取り締られている。だから、一歩進んで出られないとするならば、それらも改正するという意気込みを見せていただかなきゃならぬ。環境衛生の方はどうなっているのですか。
  79. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 環境衛生は、牛乳処理は入っておりませんで、おそらく御指摘は、食品衛生法の関係だろうと思います。食品衛生法の関係につきましては、これは、いろいろ私たちも検討すべき問題があろうかと思います。ただ、この前も厚生省の方からお答えがありましたように、学校給食に関しまして、当委員会でも数年前に御議論がありましたような高熱殺菌の採用、そういうような問題は、一応解決はついておりますが、そのほかの種々な点につきましての問題については、まだ私たちも検討しなきゃならぬと思います。ただ、衛生的にいいものを飲ませるということは、これはいいことでございまして、問題は、そのことの程度と、それから国民大衆食といたしましてやりました場合の手かげんというものとの問題ではなかろうかと思います。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まず、この配付された資料でちょっとお尋ねしたい。  この各社での買い入れ価格全国的に見ますと、だいたい東北関係のほうが低い。これは結局、地域が広い所で集乳の中間経費がよけいかかるとか、あるいは乳の質が悪いとか、あるいはわれわれの所は、岩手あたりからでも東京へトラックに入れて生乳を運んでおるわけですが、そういうのも経費がかかるとか、そういうようないろいろな原因があるかと思いますが、何が主たる原因で、こういうふうに全国的な価格差があるわけですか。ちょっとお尋ねしておきます。
  81. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは、種々な原因がございまして、この価格を決定するのに、すでに相当歴史的にも長い過程を経てこういう形になっておるわけでございますが、いろいろな理由があろうかと思いますが、大ざっぱに申し上げますと、いわゆるなまミルクで、市乳として飲みますものが大部分になっておるところと、加工をいたしまして、原料乳として買わなければならない地帯、これによっての差が相当というよりも一番大きな理由になるかと思います。もちろん、御指摘のありましたように、集乳をいたします距離が非常に遠い、あるいは交通の条件がよくない等の問題はございます。あるいは牛乳の質の問題もあろうかと思いますが、ここで出ておりますのは、標準的な牛乳としての価格でございますが、ここで数字的に出ておりますものは、おそらく質の問題は隠れておると思います。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 会社自体としては、市街地に大消費地を持っておる酪農地域の乳は高く買う、加工するものは、安く買わなければ採算がとれない、それが工場工場で独立採算的な考えでいけばそうでしょうけれども政府として、こういうもう独占的な大メーカーの経営の中で、全国的に集約酪農地域等を設定してその振興をはかるとなれば、価格の平均化というようなことについては全然考慮されないのですか。ことに濃厚飼料を買い込んでやるところは、その飼料価格というものは全国的に大体平均されておる。そういう中で地域的に、運悪く地理的な環境がうまくないところは、大体どうも生産者価格もうまくない、こういうような部分がどうしたってこの中に見られるように思うのですがね。これは、五十何円というのと三十六円というのとは、その地域における経済的な条件は同じなんだということはちょっと言えない部分があるのではないかと思うのですが、これらの点、お考えをお聞きしたい。
  83. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 先ほど申しましたように、やはりその地帯から作りましたものが市乳に持っていくには、持っていけない地帯というものがあるわけです。やはり市乳にいたしまする近場の方が計算から申しまして高く買える、これはそういうことになろうかと思います。加工の方は、どういたしましてもその加工品の価格その他が安くなっておる、大体において安い、そういう地帯におきまする生乳の代金がやはり市乳地帯に比べると低くなっておる、こういうことであろうかと思います。この表で出ておりますように、たとえば東京のような大消費都市というものに比しまして、むしろ関西の方が乳価が高い、こういう状況になっております。これはやはり、実際に飲んでおりますなまミルクの方は東京の方が多いのであります。けれども、東京に供給し得るいわゆる市乳の供給圏というものが相当に広いわけであります。そのためにこういう相場になっておる。関西の方になりますと、京都にいたしましても大阪にいたしましても、そこへなまミルクとして供給いたしまする供給圏が割合に貧弱なわけであります。そういう形でこういう価格が出ておる。こういうふうに、同じ市 乳圏におきましても価格の差がある、こういうことでございます。ただこの問題は、いろいろな輸送機関の発達、道路の改良というような形で、そこへ供給いたしまする輸送手段が解決して参りますと、漸次市乳の吸収圏が広くなって参ります。この数年にいたしましても、東京の集乳圏というものが漸次そのために広がってくるということが出て参りまして、それが価格にもやはり影響が来ておると思いますが、ここで出てきておりますように、たとえば北海道でありますとか、東北の岩手でありますとかいうようなところに関しましては、遺憾ながら現在原料乳としての価格の取引が行われる、こういう状態であります。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで現状のことはわかりましたが、たとえば岩手で、四十円のものが三十六円という値下げの要求がある。ところが鹿児島の方では、四十三円を三十九円で、しかも夏相場としての奨励金二円がプラスされる。環境としてそう私は変りもない地域であろうと思うのですが、なおこういうことが行われておる。これは特殊なその地域における契約であって、全国的な趨勢で会社の経理内容その他一切がプールされてこういうものがはじき出されるのではなくて、部分的に問題を処理していく、押えるなら押える一というような形になるから、こういう価格差が出てくるのではないかと思う。たとえば岩手県なりその他市乳に出せない所は、原料乳として加工されるのだ、それで加工については、製品は安いから従って原料も安くするのだ、そうして政府は加工したものだけは買い上げるのだ、補償するのだ、それで生産者の方も、その価格の下落というものは押え切れない、原料乳を出しておる地域価格は値下りを押えることはできない、あるいは値上げなどということはなお全国水準にはできない、こういうことであれば、全くのしろうと論なんですが、こういうことでどうして酪農の振興ということができるか。たとえば東北開発の方の関係で、出すこれは審議会で決定になりますが、局長も多分承認されておると思う。この三十一年を初めとして十ヵ年計画で、三十一年度から見るというと三十九万五千頭にしようというのです。これは、率にしまして四五七%になる。これだけの乳牛を導入しよう、ふやそうという、そういうことを農林省も承認しながらふやそうとしておるが、一方現状においては、流通の問題とこれはむろんからむ問題ですけれども、生産者価格というものがこういうふうに地域によってアンバランスで、そうして生産者自身にとっては、原料乳になろうが市乳になろうが、その会社に売ろうということについては何ら変りない。プールして会社で計算ができない、地域的に価格差もあるということで、どうして農民が希望を持って積極的にこれだけの乳牛をふやしていくそういうことに協力してくれるか。私は、この点は非常に心配だ。で、流通の問題等もからんで、この地域的な価格差というものが何とかこれは考えられる余地はないものだろうか。この現状で将来もそのまま推移していくなら、これは、あなたも御承知のように、東北六県における開発で、米の生産それから酪農、乳で農家経済を高めていこうという基本的な理念や計画というものはくずれてしまう。そういうところからまあしろうと論としてお聞きするわけなんですが、政府として、積極的にこういう部面までも何らかの企画をもって、そうして一つの案を打ち出していこうというお考えはないものか。それは会社まかせなのだ、会社と団体の間の団体交渉でそれぞれ措置されればいい、おれの方は流通のけつのところだけを始末すればいい、こういうことなんですか。
  85. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 今、岩手と鹿児島状況が似ておるというお話でありますが、これは、実は酪農の自然条件から申しますと、非常な違いがございます。鹿児島の場合は、夏場におきまする生産が急速に落ちて参ります。しかし夏場におきまする需要がかなりふえておる。岩手の場合におきましては、おそらく冬場よりも夏場の生産がふえると思います。こういう事情でございまして、九州の型と東北、ことに北海道東北等の寒い地帯というものの型は非常な違いが生じておると思います。  それから御指摘の、価格がなぜこういう差があるのか、こういう問題でございますが、これはいろいろな事情があろうかと思います。たとえば農家の生産費にいたしましても、これは、その地帯々々によりまして非常な差がございます。たとえば近畿その他の状況でございますれば、牛を飼うための土地その他の面積、あるいは草場というようなものが、これは非常に窮屈な状況になっております。東北その他になりますと、相当そういう土地条件その他の広さの問題からいきますと、かなり広い状況になって参ると思います。その他いろいろな条件がそれにつけ加わることと存じますけれども、それぞれの生産の立地に応じての状況というものが変っておるわけでございまして、それに対しまして、先ほどの市乳の問題あるいは消費の問題、そういうところにおきましても、市乳の範囲が、市乳の分野が広がるということになりますと、やはりこの上にかなりいい影響が出てくると思いますが、そういうものがそれぞれこれにからみ合いまして価格になっておると、かように考えておるわけであります。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことを言われると、あとでも出てくるのですが、この養蚕の問題で、全国おしなべて生産者価格貫当り千四百円を維持していこう、そういうことのために、政府はあらゆる投資をもってこれを保証していこうと努力をする。あるいは、午前にやりました肥料会社の肥料価格の安定についても、各社とも綿密なデータを取って、そしてコストのうちの中間的なものを押えていって、政府は七百四十三円なら七百四十三円というものを中間価格にしようと、こういう努力をする中で、この農民の生産者価格といいますか、あるいは農業経営の一定の条件を維持していこう、こういう努力をやったところが、この問題については、実はあなたのお話のようなことなら、自分の経営努力、あるいはその他で鋭意専心してやって、コストが下れば価格が下る、濃厚飼料を買ってそうしてやったところは、それはそれだけのものが認められて高いものになる、それでいいんだというような形に聞えるのですね。しかしそうでなくて、全体的に消費という問題から言えば、これは、ミルクであろうが、バターであろうが、チーズであろうが、あるいはまた一般の市乳であろうが、消費される側においては、その価格というものは全体的に一律なんです。その方向をたどろうとしておる。それで、生産者価格のでこぼこの方は、これはもうしょうがないんだ、たとえば一歩かりに下って、しょうがないんだとなっても、これに対して何ら政府がタッチすることができない。基本的に、その生産者コストというものが客観的にこうなんだ、従って岩手のものの、この何々酪農地域における乳は何円何十何銭何ぼなんだ。それから宮城は幾らなんだ、基準は。埼玉のは幾らだ、長野のは幾らだ、こういうようなものが出ておってあれするなら、これは、農家というものは公平の原則で貫かれる、高低があっても。ところが、そういうところがなくて、かりに弱いところ、あるいは幾らでもいいから、まあ乳を出して現金収入を得たいからといってたたかれるところはたたかれる、あるいは交渉に弱いところは弱いままに押えられる、こういうようなことであれば、政府が大幅に今後金を出して、そうして酪農安定なりあるいは消費の拡大をはかろうということの趣旨が一貫して貫かれないというふうに私は思うんですよ。これはどうなんですか。
  87. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 御指摘のように、市乳価格というものは、これは全国まちまちでございます。一本の形があるわけじゃございませんで、市乳価格自体は非常に差がございます。乳製品の問題になりますと、ある程度の統一がございます。ただしバターでも、ごらんの通り、半ポンド百五十円のバターもあれば、半ポンド九十五円のバターもある、こういう事情でございます。また、原料乳の問題にいたしましても、先ほどお話がございましたが、市乳地域のミルクが必ずしも高くないときがあるわけでございます。と申しますと変に聞えますが、市乳地域におきまして、夏場における消費というものは非常にふえるわけでありますが、冬場の消費が非常に減退いたしておりまするようなところでは、冬場におけるいわゆる余剰乳、残乳というものの価格は非常に低くなります。岩手よりも低いような状況の残乳価格を一生じます。で、この残乳価格というのは、棄てるわけではないわけでありまして、それはそれとして、原料乳といたしまして乳製品に変っていく、案外に原料乳地帯よりも市乳地帯におきまして一見原料が高いように思われている地帯が、時期的な関係からむしろ安い乳製品ができる、こういうような状態があるわけでございます。で、まあそういうような事情がいろいろございまして、今御指摘になりましたような、一種の各地方々々におきまする標準価格と申しまするか、そういうものを作定をいたしまするための前提になりまする種々な調査統計というようなものが現在まだ不十分な状況でございます。今後そういう御指摘のありまするような点を何とか解決するための努力を十分にいたしたいと思いますが、現在今直ちに、この地帯において幾ら、この地帯において幾らという標準価格政府の方から示すというだけのまだ準備ができておりません。ただ、この価格の決定は、御存じのように、それぞれの会社と組合等が協定をいたしてやっておるのが大部分の形になっておりますが、それに対しまして、何といたしましても、生産者団体の共販態勢というものが強くならなければならないと、こう感じておりますので、現在共販態勢の強化という形におきましてその力を強くしていく、また、御指摘になりました種々な調査統計というものを鋭意進めて参りたい。あるいは、各社のいろいろな内容等におきましても、これは現在、私たちはそれに対しまする調査等の権限を持たないのでありますが、これも必要があると認められますので、そういうものの報告等を取り得る権限を一つ持つ必要があるのではないか、かような考え方を現在いたしております。こういうことであります。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、まあその点はその程度にいたしまして、今問題になっておる、よく大臣の公式、非公式の言明によると、政府が消費者価格等について強権をもって云々することはできない、まして、むろん生産者価格においても同様である。それで、これらについて、今会社の経理内容調査するようなことにしたいというようなことは、まあ立法的な措置をとりたいということでしょうが、やはり大臣が最近言っておられるような点で、困っておるということについては、やはり消費者価格、生産者価格等について政府が権限的なものを持つという方向に法改正等をやっていくということでお考えが進んでおるわけですか。その点はどういう程度になるか知らんが、いずれ政府相当な会社に対してチェックしていくことができるような方途をとっていこう、根拠のあるものを持とうと、こういうお考えで進んでおるのかどうかということです。
  89. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 消費者価格に現在一円の値下げを要望しておるわけでありますが、これは、御指摘のありますように、政府にそれだけの権限がある筋のものではございません。ただ要望を申しておるということでございますが、それは、現在このように乳製品の状況相当な暴落をいたしております。できるだけ市乳の分野でこれを拡大して消費をしていくということが、需給の関係から申しますと非常に望ましいわけであります。そういうような観点から、市乳の価格の値下げを、全体の需給の関係から見て値下げを要望しておる、こういうことでございまして、その要望を、権限をもちまして強制的に価格を指示する、価格を統制するというようなことは、これは重大な問題であろうと思います。現在のところ、そこまでの結論を私たちは持っておるわけではございません。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、まあ当面の問題とはちょっと離れますが、政府の長期経済計画による酪農の振興五カ年計画では、三十七年に大体二倍半近いものになることを計画されておる。多分二三七%かになる計画である。これは、内輪に見積っても、現在の乳量の二倍以上になる。本年から言えば、もうあと三年、四年の間に倍以上になる。これの需給の関係、それから価格安定の関係では、恒久的にはどういうことを検討しておられるか。学校給食だ、あるいは乳製品の買い上げだということについては、去年から当面の緊急措置としてやってきておるが、これらは、もう緊急措置というような状態では済ませない状態になるのじゃないかと思うのです。乳量はどんどんふえるのです。たとえば、最近私福島県に行っての調べでは、二十九年に八千頭台の乳牛が十一万六千頭になっておる。本年は去年よりは十万石も増産の見込みだ、こういう、もうものすごい勢いで集約酪農の地域指定、畑作振興その他のことで、東北各県は寄ってたかって乳牛を導入して、一生懸命その生産を上げようとしておる。そういう状況から見れば、おそらく乳業生産というものは、これはもう莫大なるものになってくると思う。それが学校給食と乳製品の一部政府買い上げということで済まされるとは考えられない。十分な施策がなければ、この計画は五ヵ年計画そのものでも達成できないと思う。それで、地方の方では、むろん政府は払い下げの自給飼料の価格を下げてもらいたいとか、あるいは草地買い取りに対する補助率を上げてくれとか、いろいろの要求を持っておるわけなんですが、畜産局としては、当面の問題とからんで、恒久的どういうお考えを持っておられて、この酪農農民に希望を持たせて、生産を高めるように努力させるのか、私寡聞にして、基本的なものを聞いたことがない。ありましたら、簡単でようございますから、あとはもう資料で、もしもあれば、ちょうだいしてもよかったら……。
  91. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 現在行なっております五ヵ年計画と申しますか、あれは一種の計画の見通しであるということでございますが、私たちの見通しといたしましては、三十七年に千三百七十五万石程度のミルクを出したい、かような計画を持っております。今年度約八百四十万石程度になっております。その程度のもの、生産の上からだけ考えますとむずかしい問題ではない。ただ問題は、消費のバランスの問題でございますが、この計画を立てましたときに、それぞれ全体の産業の所得の伸びに、それから国民の食生活の変化の状況、あるいは他の食物に比べましての蛋白質、特に動物性の蛋白質というものへの国民の食生活の移行の状況、あるいはそれの対比等から考えまして、この程度のものは十分に消費が可能である、こういう見通しをして参ったわけでございます。この見通しは、確かにそのときそのときの状況によりまして、消費の伸びが激しい場合は問題はないのでございますが、生産の伸びが予想の伸びよりも激しく出て参って、消費が景気の影響その他によりまして落ちてくるという場合には、やはり生産制限が急速に行われ得ない特殊性から、余剰の問題が生ずる、かように考えられるわけであります。現在のところは、残念ながらそういう状態になっておるわけでありますが、この態勢は、もちろん生産におきます合理的な経営の合理化が、たとえば、御指摘のありますような、濃厚飼料を現在やり過ぎていると思われますけれども、これは、経費も高くかかれば、牛自体の個体をも営養障害等に導いている現状もございますので、できるだけこれを自給飼料に切りかえていくというような形において、あるいは他の飼育方法におきましての経営の合理化を進めていく。消費の拡大におきましては、これは、何も学校給食だけに依存しているわけじゃございませんので、一般の消費を拡大し、あるいは農村におきまする自家飲用を勧めていく、こういうような努力を重ねまするならば、この計画そのものは達成できる、かよう一に私たちは現在考えております。こういう状況でございます。
  92. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも抽象的な形にしかならぬので、そのお気持は非常によくわかるのですけれども、どうも、それでしからばいいのかということになると、先の見通しについては、正直言うて、私は局長のおっしゃったことで安心したとはとても言われない。それで、端的にお伺いしますが、全国的にこういうアンバランスな価格を形成しておる、それが、千三百五十万石でもよし、最低それだけ伸びるのだということでいいのですが、そのときには、こういう地域の最も値段の低いところで、最低の価格はどれくらいのものにしてでも農民はやっていけるのだという、まあ農村における自給飼料の供給その他鋭意努力をしまして、農民に抵抗力を持たせて、どの程度まで生産者価格は下っても、農家は利潤を得てやっていけるのだというお見通しを持っておるのか。また、消費の方でいえば、市乳は全体として、今は十円市乳業のことをいっておりますが、どれくらいまで下げるという確信を持っておられるか。バターはどれまで下げることができるという確信を持っておられるのか。そのことが、めどとしてそういうところまでおれたちは努力しているのだというものをちょっとでも聞かせてもらわぬと、はあそうでございますかというわけにはちょっといかない。もしも、そういう農家についてはこういう努力をするのだ、流通の方ではこれだけの努力をして値段を下げ、それに消費を拡大する、値段を下げる、そういうよい循環で消費を拡大していくというめどがあるのか。三十七年度あたりになれば、乳の値段はどれくらいになるのか。市乳はどれくらいになるのか。バターはどれくらいになるのか。そうすれば千三百五十万石が消費できるということになるのか、お伺いしたい。
  93. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 現在確信を持ちましてそういうような発言をいたすまだ私勇気を持っておりません。できるだけ生産費を切り下げ、消費の拡大をしますように価格を引き下げていく、こういう努力をいたしたいと思います。これは、御承知の通り、消費を拡大いたします場合に、国民の一体所得がどういうふうに変化し、あるいは価格の弾性値がどういうふうに動くかという問題は、一応の試算的なものはございますけれども、これは、実は非常に見通しがむずかしいのであります。私たちもそれを苦労いたしまして、方々に研究を委託したり、また私たち自体もやっておりますけれども、まだ確信を持ちましてここでこの価格にするのだということを、私はまだ申し上げるだけの結論に達しておりません。これは少し時間をかしていただきまして、検討をさしていただきたいと思います。  それから、生産者の価格でございますが、この問題につきましても、いろんな前提がございます。現実の問題といたしましては、その地帯々々におきまする先覚者的な農家の方の経営というものを十分に検討をいたして議論をすべき問題だと思います。またここで、たとえば三十五円で十分やれるのだ、あるいはまた、三十円で十分やれるのだというようなことを簡単に申しまするのには、それに対しまするいろんな前提というものが、各個の農家の経営その他につきましての前提というものが、相当に綿密でなければならぬと思います。さように考えますので、その地方々々におきまするすでに合理的だと思われるような形の経営をやっておられる農家の方々のその生産費その他をやはり一つの研究の対象にいたしまして、それを出していく以外に、私は、はっきりした方法がないのじゃないか、さように考えております。
  94. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 農林省、農林大臣は、メーカーに乳価の引き下げを勧告しておられる。これは、ただいま御説明の中にもありましたように、二本の、何と言いますか、増配によって一円引き下げたことに金額的に相当するが、しかし、おまけであるというような印象を与えるというようなことから取りやめになって、価格を引き下げるということになお協力してもらうように交渉しておるということでございますが、農林省なり農林大臣は、価格を引き下げるということについての根拠は、どういうところにおいて引き下げることが至当であると考えておられるか。ただばく然と、乳が余ってきた、需給関係のバランスが破れた、そういうことで中間経費が多い、それがために引き下げたらいいというような、ばく然としたことでそういうことを言われておるのか。何かその計算の基礎があるのか、伺いたいと思います。
  95. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) これは、いろいろなところから究明をせなければならぬ結論だと思いますが、私たちは常識的に申し上げておるわけであります。常識的にと申し上げますのは、昨年の現在、夏場におきまする農民から買い上げました価格というものと、それが秋に値下げになり、冬場に値下げになり、また本来ならば夏乳価というものは上るべきものがことし上っていない、こういうような状況でございます。こういう状況が片一方にあるわけでありますので、少くとも昨年と比較いたしましてもそれだけの余裕というものが、メーカーあるいは小売業者全体を通じましての末端の消費者までの間に余裕があるべきものだと考えております。従って、その余裕を考えれば、一円程度の値下げというものは可能ではないか、かように考えております。
  96. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私はこういうふうに考えるのですが、まあ常識的にそう考えるということでは、少しやはり根拠が弱過ぎる、こう思います。それは、ただいま小笠原委員からお話がありましたが、これにも関連すると思いますけれども、乳価が地域別に異なっております。これは、この一覧表を見ましても、全国ほとんど、非常にこれは常識で考えられないほどの差異がございます。このことについては、ただいま局長からお話がございまして、そのよって来たる原因というものには想像がつくのでありますが、さりとて、そういう問題を、ただ市乳に売れる量と、工業原料に回す乳の量とのバランスがとれないというようなことが最大の原因であり、またその他まあいろいろありましょうけれども、乳製品というものが市場に出て参りますと、ほとんど全国同じような価格で販売されておるのであります。でありますから、価格を引き下げるということにも、もっと科学的な計数というものが必要なのではないか。ただばく然と、常識的に、昨年との比較において下りそうなものだというところに弱い理論がある、こういうふうに私は思います。  なお、そこで私は考えますのには、地域別に異なっておりますが、この地域別に異なっておりまする価格の、乳価の裏には、いろいろな奨励金がついておるのでございます。たとえば、五十六円で買っておるから、五十六円手取りがあるのかと思うと、またその上にオーバーして何々奨励金、何々奨励金というものがあって、ここに書いて、表示されておりまする価格というものは、単なる呼び名であって、その裏について何々というものが付加されておりまする奨励金、その他奨励金と呼ばない、たとえば、何と言いますか、市乳をされまするところの運送費その他の経費というものは、組合経費までまかなっておるから、価格においてはこれだ、あるいは運搬をする経費は酪農家が持つから、工場着のこういう価格である、こういうふうに、建値一覧表ではわからないような複雑さがあると私は思う。そこで何か法的に、この乳価というものをこういう価格表示をして、こういう取引の規制をすべきであるというような指導が必要なのではないかと思う。めいめいが思惑で、それぞれの会社で経営方針といいますか、というようなことで、あるいは奨励金をつけるとか、あるいは乳を集めまする経費をおれの方が出すとかというような、わけのわからないようなといいますか、何かごまかされやすいような方法がとられて、どこでも随時に名前をつけて行われるようなことは、私はよくないと思う。そこで、一般自由経済のもとでこれを売りますることを法律で規制するということが困難でありまするならば、少くとも乳業会社に対する乳価の安定を基礎とする指導的行政措置というものが適時とらるべきものである、こういうふうに考えますが、その点についどう考えておられますか。
  97. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 農民との関係におきましては、やはりこれは、生産者の団体というものがまとまりまして、そうして一定の方式による契約条項と申しますか、そういうもので会社の方と契約をしていくということが必要であり、また現在のところ妥当な方法であろうと考えております。従いまして、農林省の方といたしましては、共販の体制を強化するための指導と、それから契約をいたしまする場合の一種の契約の模範事例と申しますか、そういうようなものを示しまして、そうして契約をしてもらいたい、またそういう指導を現在いたしておるわけであります。ただ、御指摘の、いわゆる封筒代金と言いますか、いわゆる奨励金と申しますか、この問題は、そういうものじゃなくしてやるべきだという指導をいたしましても、また現にいたしておるわけでありまするけれども、これは実は、通常そういつ薫るのであ参りまして、果してどれだけの奨励金なりなんなりが現実に入ったかということは、個々の取引になって参りますために、つかまえられない場合が非常に多いのであります。私たちとしましては、むしろ農家の手取りが幾らになったかの形の方からその地帯全体の値を調べる、こういう形を現在とりまして、その間に推測を加えておるわけでありますが、ごく隠密裏に渡される奨励金というものは、実は把握の仕方がなかなかないというのが現状でございます。ただ、末端の農家がどれだけの手取りを持ったかということの調査はいたしております。かような次第であります。
  98. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 私は、その隠密的な奨励金の渡し方というものが、結局役所あたりでお考えになるとわからないのですが、実は農家というものは、あなただけのところにこれだけあげるのですよという好餌、要するにそれにつられて、おれのところはよそより高いのだという自負と、そうして自己満足だけで取引をしておる。これは公正な取引ではないのであります。乳の公正な取引というものに対しましては、それはおよそ限界はあると思いますけれども、契約の内容等をこういうふうにした方がよいというぐらいな指導だけでは、指導ということにはなりません。もっと今のような農村、農業というものの基本的な問題から研究して参りますと、価格形成というものが重大な問題であり、あるいは外国の基本法を見ましても、指示価格というものを主にして基本法が成り立っておるところの国々もたくさんあるのであります。そういうところからいきますならば、私は、農業の中で、特にいろいろな統計を見ましても、畜産、ことに統計上酪農というもはの何のよどみもなく今まで発展をし続けて参った。そういうものに対する価格指示といいますか、価格形成といいますか、そういうものの安定をはかりますための指導が非常に手薄である。非常に力の入れ方が弱いと私は思う。将来これを法的に規制することができなければ、行政指導の面からでも、いま少しく入念な解剖をして、そうしてやみからやみに、いろいろなお添えだとか、おまけだとか、風鈴だとかいうようなことに当って、純粋な立場での価格形成的な指導を両者に伺ってすべきである、こういうふうに私は思います。この点につきましては、今後この問題は最も基礎的に、最も正しく解決する問題だと思うのです。これは、将来の要望といたしまして、そういう研究をしていただきたいと思っております。  それから次に、先ほど清澤さんからお話がございました、消費の拡大の面なんですが、消費の拡大の面をやらなければならぬということは、お説にもございました。また計画の中にもあると思うのでございます。ところが、実際面を取り上げてみますと、従来の置き売り、小売、立ち売りの面において、非常に変った現象が最近ある。これは御承知だろうと思いますが、従来ならば、人通りの多い、しかもかなり交通量の多いところの店先で乳を売っておったのです。ところが今は売れません。売らさない。届出をしなくちゃならない。しかも届けをして、そうして登録料というものを取るのです。これは逆行しているのですよ、販売を拡大するという面に。これは、保健所がやっているのじゃなかろうかと私は想像しますが、たとえ保健所といえども、この急場に向って、消費を拡大しなければならぬというやさきに、いや冷蔵庫がなければならないとか、あるいは登録料、わずかですよ、わずか千円です。それは千円だが、それに対して届けを出す。今まで売っていたところにも売らさないというようなことが平気で行われていて、そうして消費の拡大をします、置き売りをします、あるいは経費の節減を行いますと言っても、それは空論ですよ。実際の問題を御調査になってごらんなさい。今のような、登録に千円を取っている。また、置き売りをする所を制限している。こういうことでは、少くとも畜産局においては、他の関連のある、これは食品衛生法から来たものかと思うのだが、そういう観点だけで考えているのでは、私は、この危急の立場に立って指導が足りない、こういうふうに思います。これは、農林省でよく調査をしていただきたいと思います。  重ねてもう一つ申し上げておきますが、学校給食の問題ですが、これは、この前も私は農林大臣にお話し申し上げたのですが、学校側の協力がほしい参ということを言われる。学校側の協力がほしいというのは、一にかかってこういうところにある。私はこの前も申し上げましたが、生徒が順番で当番をして、そうして乳をついでいく所がある。あるいは給食係というおとながおって、そうして完全に給食をする所がある。ところが、当番制による子供の所では、上の方をすくってくれ、脂肪が多いからとか何とかいう、つまらぬことにまどわされてみたり、もう少し入れなくちゃ一合に足りないと言う。それがために、もう一滴入れろということで追加して入れさせられる。そういうことで、しまいに何人分かが不足したというので、父兄から、ああいう給食の仕方なら学校給食はいやだということの申し出があって、給食をやめたという学校がある。そういうことを防ぐためには、今後は学校には、消毒設備とか、あるいは配給用の器具であるとか、その他万々の経費が要るのである。そういう経費の方は入れたが、果してこの需給関係のバランスが出てきて、市乳にでも売れるようになったら、学校給食はやめるのじゃないか、こういう考え方がある。政府はこの学校給食というものを今のどたんばの、つまり窮余をしのぐための一施策としてやるのか、永久に学校給食をやる腹があるのかどうかということが、つまり学校給食というものを今後盛んにするかしないかの分れる大きな通なのです。需給関係が破れて消費と生産とのバランスが合わない、そこで生産を学校給食にでも持っていってこの際の一時をしのごうか、というような一時的のものだという見通しを立てているところに、学校がたちまち協力しないという現象が起ってきている。私は体位の向上からいっても、あるいは衛生的の面からいっても、あるいは酪農振興、畜産振興、農業振興の大前提からいっても、これは学校給食というものは続けるべきものである。こういうふうに考えておる。その点について政務次官なり、局長なりはどういうふうに将来この学校給食というものをやるつもりか、それについて確答をしていただきたい。
  99. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 学校給食の問題につきましては、御指摘がありますような暫定的な措置でやるのか、あるいは学校給食になまミルク、あるいは国産の乳製品を供給することを恒久的措置として考えるか、という問題でございますが、この問題は私たちも、当面来年度予算を財政当局と交渉いたします場合に、決意をきめましてやらなければならぬ、かように考えておりますが、関係をいたしますところがかなり多いわけでありまして、文部省当局の意向等も考えなければならない、従いまして私たちのところだけの意見というものを申し上げるのはまだ早いと考えております。ただ私たちの気持といたしましては、少くともなまミルクの給食というものを、これを来年度は全部よそうということはできない話ではないか、ことしやったなまミルクというものに関しては、来年度もやはり考えていかなければならないのではないかというふうに私たちは考えております。将来学校給食のために国内産の脱脂粉乳、乳製品等をまた出すこともありましょうが、できるだけなまミルクという形において供給することが望ましい、かように考えておりますが、これは今後各方面と交渉もし、また財政当局とも非常に関係の深いところであるから、来年度予算を議論いたしますときに、この問題もあわせて議論をしていきたい、かように考えております。
  100. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 大体それでわかりましたが、少くとも農林省、ことに畜産局には永続的にこれをやるのだという強い決意だけは持たなければ、周囲の状況でどうなるかわかりませんが、というような引っ込み思案な、みずからが下った考え方でこれに対処するということは、私は不満だ。少くとも農林省畜産局としては、当然給食というものを永続するようなふうな決意を持っておりますということでなければ、ならぬと思う。またわれわれはそういう意味において、これを単なる需給関係の消費の一時の具に供するというそしりを受けるということは、畜産行政のためにとるべき手段でないと私は思う。少くとも栄養改善の意味から、あるいは食生活の改善、あるいは農業振興、幾多の重要な要素をはらんだ学校給食というものを行なって、よい方向に向ってきておるのに、他のことについてはいろいろ客観的な、あるいは状況の変化が起ってくるかもしれません。しかし決意だけは少くとも当然やるべきものであり、やってもらう努力をしますということを表明すべきだと私は思う。その点どうですか。
  101. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 学校給食の問題は、たとえばPTAの負担でありますとか、あるいはアメリカから入れます脱粉を漸次削減していく方針だとかいうような形とも相結びまして、関係のところと折衝する必要があるかと思います。ただなまミルクの給食をいたしまして、それが途中で断続するというような形は、これは文部省なり学校当局の立場から考えましても、おもしろくないことだと考えております。せっかく始めました学校給食の、特になまミルクの問題につきましては、私たちとしましても、これを続けていくような努力をいたしたい、かように考えております。
  102. 島村軍次

    ○島村軍次君 畜産局長はこのごろ乳価の値下げの問題で頭が一ぱいで、本日の御答弁を承わりますというと、まことに平生に似合わない御答弁で遺憾です。それは釈迦に説法になるかもしれませんが、今の酪農の問題を検討してみますと、ちょうど養蚕の盛んな時分に、大資本家の製糸会社があっていろいろな施策を講じて、繭を買入れる場合に奨励金を出して餌をもってつっていった、それから指導員を置くとか、こういうことをやった。それにちょうどよく似ているのではないか。そこで当面の問題としては非常に御苦心があるということをわれわれ拝察いたしますが、もっとやはり畜産政策そのものが、基本的ないろいろな資料が少いということが一つの大きな理由だと思う。末端へ行ってみましても、にわかに発展した畜産業ですからやむを得ぬとは申しますものの、集約酪農指定につきましても、実際乳のしぼり方から知らないという現状です。養蚕には御案内の通り指導員というものが長らくおって、そして養蚕教師というものがおって、それが盛んな指導をしていた。でありますから、資料なり基本的な数字なんかもそれがすぐキャッチできた。今の農業改良普及制度というものは畜産も関係しておりますが、私はこういうような問題の非常に需給のアンバランスのときに、一つ畜産の末端における指導方針をここでうんと確立するため大きな施策を、これは少少の経費は要ろうとも、養蚕は当時輸出の大宗としてやられたから大きな力を入れたのでしょうが、畜産はもっと大きい考え方で、今堀本さんのお話のように食生活の改善とか国民栄養とか、全体を通じての施策がこの際ぜひ必要だと思う。それがやがて流通過程の問題もそうであるし、指導陣営の問題もそうだと思う。私の県の実例から言いますと、知事さんが盛んにアドバルンをあげて商品の宣伝をしておられます。しかしその宣伝たるや、これは一体どこまで統一してするのかなかなか見通しがつかない。から鉄砲ではありませんけれども、その実入りというのはどこにあるのかと、県民一般が不安に思っておる。そこでまず農林省の畜産政策として、酪農の将来に対するこの二三〇何パーセントという一つ数字は、これはお話の通り一つの目安でありますが、将来の日本の農業というものの改善のためには水田だけの開墾でなしに、畜産の開墾を一つ加味する。同時に山野の改良をしたら、そして畜産を、酪農をどういうふうにして入れるというような、基本的な考え方についての基本政策をもっとお立てになるということを、まあわかり切ったようなことでありますが、これは感じの問題で、ただいま申し上げたように、大いに盛んに経論を行うべしというのが私の意見なんです。これは政務次官もおいでですが、御賛成をいただけるし、また大臣としてもそれだけの確信を持って腹をきめて、一つ信念をもって堂々と各項目にわたってやっていただきたいということを希望いたしたい。  その第一点として前段申し上げたように、養蚕の改良施策をやったと同じように、一つ指導陣営を一これは生産のコストの引き下げもありましょう。宮崎県ではあの酪農指定地に雪印の工場がありますが、そのほかに県で乳しぼりから、飼育から、診断から、あるいは病気の場合にやるというような指導陣営を県が半額補助しておる。そして集乳のことから一切を指導するという体制を酪農の組合へ置くと、置く場合には半額の補助を出すのだと、こういう施策を始めておられます。知は、この辺はこれを必ずしもいいと、絶対的なものとは考えませんけれども、基礎が不確実な上へもっていって打ち立てようというのですから、これは不況でアンバランスなときでありますから、今のときこそ畜産の基本的な政策をこの際ぜひとも立てていただきたい。それにはまず指導陣営の強化というものを至急に一つ立てていただきたい。それがやがて生産コストの引き下げになり、自給肥料の問題も個々に応じたいわゆる農業経営の基礎がこれにできる。畜産、酪農の将来というものは非常に明るい見通しだと私は思うのです。幾らふえても外国のレベルに到達するまでには非常な隔たりがあるわけですから、この隔たりを上げるのには今において基本政策を一つ立てていただきたい、こういうことを強く要望いたしたいと思うのですが、まずその指導陣営の問題に対して一体畜産局長はどういうふうなお考えをお持ちになっておりますか。
  103. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 蚕糸の関係の首尾一貫した指導体制、実は私たちの今の段階から申しますと、相当にうらやましい感じを実は持っておるわけでありますが、あの時代と今とはかなり違いましょうから、やはり現在に即しました指導陣営の強化をはかって参りたいと思います。すでに手をつけておりますのは、改良普及員あるいはこの改良普及員の専門技術員の制度というものに、畜産技術の職務を多様に入れるということ、それから現在ありまする改良普及員に対しまして、畜産あるいはことに酪農の問題になると思いますが、酪農あるいは牧草の問題を強化していくという形を今とりあえずとつておる、こういうことでございます。そのほかに協同組合等と連絡いたしまして、それぞれのところに畜産の技術員を配置するということを要請いたしておりまして、これが逐次実現されつつある状況でございます。さらにこれらの問題がそれぞれの技術者によりまして行われておるのでありますが、これをできるだけ一括いたしまして、たとえば経営の診断にいたしましても、あるいは栄養障害の診断というような問題にいたしましても、末端においてできるだけの各方面、各系列別の技術者というものが、一つの共同作業としてある問題を解決することのできるように、そういう形におきまして、末端の技術者の諸君に共同作業を今問題を与えてやっております。これは経営診断の問題、あるいは栄養障害の調査というような問題につきまして、すでに活動をいたしておるわけであります。さらに集約酪農の地帯におきましては、特に重点を置きまして集約酪農の指導所というものを中心にいたしまして、あるいは家畜保健の保健所と連絡を保たせまして、集酪地域全体の指導中心にさせて参りまして、かようなことを現在行なっておるわけでありますが、畜産特に自給飼料的なもの、あるいは牧草というような問題になりますと、まだまだ指導陣営が貧弱な現状でございますので、これは御指摘のございましたように、今後この強化に対しましては最も大切な点としまして努力を重ねて参りたい、かように考えております。
  104. 島村軍次

    ○島村軍次君 大体のお考えぶりがその辺にあることは大体承知をいたしておりますが、これは繰り返して申し上げますが、相対的に農業経営の立場から、またこれは国民生活の立場からもっと強力に推進をしていただきたい。それをやるためには今までのような予算の程度では、これは大きな目的がなかなか達成できない。いっか申し上げたことがあると思うのですが、これはちまたにおける一つの例として養蚕に百八十億の金を出すようなら、畜産にここで百億でも出したらそれは非常に飛躍的な発展をするだろう。こういうことをよく言っております。しかしこれはいろいろやり方それ自身には議論がありましょうが、しかし私は一つの大きな国民の声として謙虚に一つ静かに検討していただきたいと、どうも今のようなやり方はみんな焼け石に水みたような感じがしてならない。基礎というものは確立しておらない。畜産局長におなりになってからずいぶん御苦心のことはよくわかる。また集約酪農が相当の成果をあげておることはよく承知しておりますが、しかしどうもあの酪農振興法などでも、この間の資金などでも五億円やそこらでは実際問題になりませんよ。また学校給食も今の話を聞きますと、畜産局長は非常に弱いようですね。これは年間を通じてやることは当然農林省がお考えになって、むしろ文部省を指導してやる、あるいは厚生省を指導してやるという、これが日本国民の体力なり栄養の価値を高めるゆえんだということは、これは言わぬでもわかったことだが、熱の入れ方がちっと足らぬのじゃないか。年間を通じて生乳をふんだんにやってみる。これは三年おやりになってごらんなさい、畜産の増殖計画というようなものは容易に私は到達することができると思う。一つ、非常にこのごろは頭を悩ましておられるでしょうが、少し元気を出して大いに畜産政策を推進されることを熱望いたしておきます。政務次官にも同様の希望を申し上げておきます。
  105. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) 先ほど来委員の皆さんからこぞってこの酪農振興について熱情のあふるるところの、またきわめて剴切なる御意見を拝聴させていただきまして私ども衷心から感激をいたしておる次第であります。先ほど堀本委員から、どうも畜産局長はもっとしっかりしていかなければいかぬという御激励の言葉がございました。もともと畜産局長非常にやさしいたちでございまして、表には出ておりませんが、中には燃えるところの熱情を持っておりますので、その点一つ御了承を願いたいと思います。なお政府委員としては、やはり政府一体の立場から御答弁申し上げる際にもおのずから制限を受けますのでその点も御了承下さいまして、私ども、皆さんがただいままでお述べになりました点、個々の問題についてそれぞれきわめて重大なる問題であり、またぜひ解決を要する点でもあり、またことに全般として酪農の問題はわが国のこれから農政の中心問題の一つである、かように確信いたしておりますので、なお今後とも皆さんの御支持、御協力をお願いいたしまして、何と申しますか、力強く推進したいと考えますので御了承をお願いいたしたいと思います。
  106. 東隆

    ○東隆君 政務次官がピリオドを打ったようですけれども、牛乳の一円値下げについて、これは大都市だけおやりになるつもりですか、それとも地方の方も進めるおつもりですか、その点を伺っておきたいと思います。
  107. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 一円下げる問題は、これは全国的な運動として展開して参りたい、かように考えております。
  108. 東隆

    ○東隆君 私はこの際、先ほど非常に製糸関係に似ておるということを言われましたが、私は牛乳の関係は実は電気会社に非常に似ておると思う。それで、水力発電所のある所に無点灯区域がある、そして酪農の非常に盛んなところの付近に実は乳を飲まない所がたくさんある。そこでそこに飲ますのには実は非常に問題がある、先ほどの食品衛生法の問題がこれが一番大きなガンになっておる。それからもう一つは農家の生活そのものが酪農食をやろうという考え方になっていないし、それを取り巻く中小都市以下の都市、そういうような方面のものは腐った魚を食おうとしておる。これもまた食品衛生法、あるいは環境衛生法ですか、それに関連をして、そして昔から魚はふれ売りをやっておるのに文句がないのにもかかわらず、肉をふれ売りをするのはこれは固く禁ぜられておる。それから牛乳の今度は配給をするという場合には、二千本以下のものには問題がないけれども、それ以上のものは例の冷却装置を備えてそうして殺菌をしなければならない、こういうふうに非常に制限を加えられておる。私はこの二千本だの何だのこういうようなものを早く撤廃をして、そうして農家の所に実は買いに参りますと、北海道なんかでも一升六十円くらいで喜んで農家が渡しておる、ところがそれはやみ売りになっておるわけです。こういうような状態は、これはそう犯罪に問うべき筋合いのものでないと思う。そうすると、そういうようなものが相当大っぴらに行われるようになると、先ほどの無点灯区域に相当する地帯がこれは猛烈な消費の地帯になると思う。都会の、東京だのその他の五大都市だの何だのいう所では、これは腐ったものでも何でも、ほっ散らかしておいても集まってくる所なんですから、この問題よりもやはり周辺の、今まで消費をしていない所に、これは考えようによっては非常に安く供給ができる、輸送だの何だの、そういうような費用がそうかからないわけですから。だから相当考えることができるし、場合によっては私は学校給食だの何だのやっている所ならば、学校給食そのものが一つのミルク・プラントのような形をとってもいいんじゃないか、小さな。そうして逆にそこから消費市街に配給できるようなそういう体制を作り得ると思う。それはその所にある農協だの何だの一歩手を出してやればそういうようなことは簡単にできるはずです。だからそういうような点を広げていかないで、そうしてもう商品としてどうしても買わなければならぬ、こういうような、それを消費するのだという、そういう考え方でなくて、その地域内におけるところの自給自足というような形における配給の仕方、消費の増大、こういうような点を考うべきではないか、こういうことを実は非常に考えておるのですが、この点を一つどういうふうにお考えですか、その点をお伺いします。  それからもう一つは大都市で全乳として完全に消費をさせるためには、私はやはり例の大カン練乳、あれをもう一回復活させる必要があると思う。これは国民に非常においしいお菓子をたくさん供給して、そうして国民にまずいお菓子を食わない習慣をつけさせる、これは何もそんなにぜいたくな話じゃない、乳菓をどんどんふやしていけばいいんですから。この問題をするためには大カン練乳の砂糖の例の税金の免除ということを、もう一度復活をすることによって、これは相当な拡大ができると思う。  それからさらにバターですね、これはやはりお菓子の方に使えばマーガリンを使ったものと格段の相違がある。マーガリンそのものをバターのかわりにパンにつけて食べるときには、人間はだまされるけれども、しかしお菓子になったものを食べたときにマーガリンを使ってこしらえたお菓子と、バターを使って作ったお菓子と、これはどんな少し舌の変な麻痺した人間でも、お酒を飲んで麻痺した人間もわかるはずです。そういうことをお考えになると、私はもう少しバターをそっちの方にどんどん使うような体制を進めていく。これは都会の方にぐんぐん進められる筋合いのものですから。私はそういうようなことを考えてくると、牛乳そのものでやるとすればこれはもう相当範囲が限定される。ああいうものを配給してそしてやるのですから、だから相当輸送、配給、そういうような制限を、非常に緩和されていかなきゃならぬことになる。勝手に今の配給機構で一円下げて、そしてそいつが皆牛乳を配達するあの労働者の方からかりに差し引かれる。そういうようなことになって、一番いじめつけられるのはどこがいじめつけられるかというならば、牛乳配達をやっている人がいじめつけられるのだ、こういうようなことになったらこれはえらい問題になる。私はそのきらいが非常にあると思うので、メーカーがかりに一円下げて、そして出すのならばそう大きな影響はないと思うのだけれども、しかし配給をする方面でも下げるし、メーカーの方も下げる、おそらくそういうような歩み寄りでいく、そうするとそのしわ寄せは結局その配達をする人にくる。こういうようなことになるだろうと思う。私は、一円下げる、そして次の段階に進んでいくということは非常に賛成をしますけれども、そういう面の起らないように考えていただきたい。こういう二つの問題についてどういうふうにお考えか。
  109. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) ただいま東委員から消費の増進につきまして、非常に示唆に富む御意見を拝聴いたしまして、私どもも参考になると思うのであります。もともとまあ菓子屋の小僧は菓子を食べたがらぬというようなことで、どうも農家におきましても、みずから生産するところの卵を売って、それとは栄養価は比較にならぬところの塩ザケを買って食べるというのが、いまだに農家に行われる風習でございますが、そういうような点についてやはり食生活の改善についてもっと強く、もっと適切に宣伝をいたしまして、よく了解せしめましてそういうふうな面から、ただいまお話のように今無電灯部落をなくする、まずそこから消費の中心を作るというような気風を作っていくということは、これは消費の増進の上において非常に適切な、また必要な措置であろうかと自分も考えておる次第でございます。  なお第二に、砂糖消費税の大カン練乳の問題を御指摘になりましたが、この問題は東さんもよく御承知の通り、昨年それによって得られるところの砂糖消費税収入額を財源といたしまして、酪農振興基金を作ったり、その他の施設をいたしましたような経緯もございまするし、またそれがそのままこの酪農の振興に直接に効果を現わし、その以後の方向にも相当な影響を持つものだというふうにも考えられますので、なお御意見の点は十分に検討してみたいと考える次第でございます。
  110. 東隆

    ○東隆君 今の大カン練乳ですね、私は酪農振興基金法の制定という問題の方、それに関連をして予算の計上その他をなさったこともこれは十分知っておるのです。知っておるのですが、あの問題によってかえってあの当時チェックしたために非常に大カン練乳の増産が行われた、猛烈な、あの期間内に。そしてそのことによって大カン練乳の滞貨、こういうものが非常にふえた、あのときにですね、それはどういうことかというと、あれによってこれをお菓子の方に回せば非常にもうかる。そういうようなことをやってあれはかえって非常に混乱を起しておる。あれを中断したことによってそしてそのために今度は滞貨に対していろいろ手当をしなきゃならない。こんなような問題が起きてきておる。こういうように考えてくると私は、五億だの何だのそういうような問題より以上に、あの大カン練乳というものによって、消費の面を非常に大きく拡大をする。こういうことを考える方が非常にいいのではないか。それからこれはことに非常に大きな大メーカーの利益になるようにばかり考えておりまするけれども、しかし地方の中小の乳業者があれで非常に助かっておる。ですからあの大カン練乳のミルクの施設その他を持っておったものが、すぐ全粉乳にそれを転換するわけにはいかない。その他いろいろな問題がありましょう。だからあの問題はいいものはもちろん乳幼児の方のものにしますし、それから一歩下ったものはあれに使われていくんですから。だから結局原料乳のうち優秀なものがチーズだのその他のものになるし、そしてミルクの乳幼児のもの、それからその次と、こういうふうに段が落ちているわけです。だから悪くなれば悪くなるほど、あのものをどうしてもこしらえなければならぬような形に持っていかなければならぬ。そうしてバター、こうなっていくわけですから。そういう点を考えてくると、私は相当あの過程のものを考えておかなければいかんのじゃないか。全乳としての形で処理されるのは、それはチーズとミルクくらいのものです。あとのものは分けられるのです。だからその面の原料乳の面における道を考えて、そうして消費として、バターをどんどん伸ばす。その何かあるかということなら、これは先ほどお菓子と言ったけれども、これはなかなかむずかしい仕事です。そうするとミルクを便ってそうして砂糖とあめとでもって結べばキャラメルができるし、いろいろなものができる。そいつをしっかり消費の方一切りかえたらどうです。これは畜産局の方で、この前の大カン練乳の関係で何でも昔大蔵省との話し合いで、二年くらいの暫定期間というようなことを云々の話がありましたけれども、しかしそんなことで引き下がるべき筋合いのものでなかったと、私はこの際やはり相当この点はお考えになって、そうして全乳としての消費の面を拡大すればするほど消費の面は広げられるのですから、そうしてお菓子を十分に食べるような習慣を作った土で復帰をするなら復帰をする。こういうようなことを考えるべきではないかと考える。これはこの前のいきさつがあるからというんで、畜産局の方、あるいは政務次官の方で引き下がられるならば、私は先ほど、畜産局弱いぞと、こういうふうに激励をした同僚の諸君と品をそろえて、私はやはり畜産局弱いぞと、こう言いたくなる。
  111. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の関連だが、皆ね、これは乳直接のことばかり局長は考えておるんじゃないかな。僕はそう思うんだ。それから大カン練乳を菓子に使われた場合、菓子屋がこれを使って菓子で売り出す場合、私は二つの効果を持っているんじゃないかと思うのです。無税の砂糖を使うという考え方になるのだ。それに牛乳が入ってくることになる。これが国民全体に知らぬうちに栄養価を与えて、そうして良質のものを与えつつよくして、それが消費に向っていく。こういう考え方になると、なるほど砂糖会社は困るかもしれない。(「困らない」と呼ぶ者あり)いや、砂糖商は困るかもしれない。売れ行きには悪い。しかしところがこれを使う菓子屋にしてみると、高い砂糖をとってきて、そして値の上った牛乳を持ってきて乳菓を作れということは無理なんです、今の消費段階としては。だから私はこれは無税の砂糖が入って、安いものが入って、それをたくさん入れればあめにも菓子にもなるということになったら、これは菓子屋の台所、ふところを十分考えてみてそれから割り出してやれば、私は解決の道は非常に楽だと思う。乳業の進展という上からみて、そういうことを一つ考えてみて、やはり大局的な態度をきめるときには、大カンの無税の砂糖を配給するなんということは、これは非常な酪農振興には効果があると思う。
  112. 高橋衛

    説明員(高橋衛君) あえて御意見に対して反論いたすわけではございません。ただこの問題は酪農振興という面と同時に、租税の体系の問題として、租税負担の公平という面と双方かね合せて考えなければならない問題であると思うのであります。酪農振興という面からみますれば、幾分それが酪農振興に、また消費の増進に役立つのであるならば、それは望ましいことであります。しかし同時に、これは東さんや清澤先生もよく御存じの通り、政策によって大体年間砂糖消費税の収入が十二億円見込まれておったのでございますが、それを五億円は酪農振興基金ということ、他は学校給食の補助ということで、いずれも消費の増進、並びに業界の安定のための経費として振りかえるという考え方で、その方がより酪農振興に有効な使い方じゃなかろうかという観点から、政府がそういうふうな処置をいたした次第でございます。ただいまの御意見の点はなお十分検討いたしたいと存じますが、そういうふうな事情もまた十分に御賢策賜わりたいと思う次第であります。昨年は政府に砂糖消費税の復活という問題がございましたので、またそれを見越しての生産ということもございまして、その数量が平常な状態におけるものと判断しがたいのでございますが、一昨年の数量が大体ただいま聞いてみますと約六十万石伸びておりまして、本年は約七割程度の四十万石の消費をしております。その差は約二十万程度の差であるようです。もちろん六十万石、二十万石というものは決して少ない数字ではございません。しかし、その程度の増進が積極的な消費の増進施策に、あとその他は業界安定のためのいろいろな施策によって、より大きな効果が得られるか得られないかという問題については、なお慎重に検討する必要があろう、かようなふうに考えておるわけであります。
  113. 清澤俊英

    清澤俊英君 そこまで考えていただくならば、芽をつんで太らせる方がいいか、芽に肥やしをくれて太らせる方がいいか、そこから一つ考えてもらえば話はまことに楽に解決すると思うのであります。今の話だと、芽をつんで太らそうだって、芽をつまれたものは太りっこないので、芽を伸ばすようにする。二、三年もするうちには振興の金なんてどうでもいい。今のように幾ら肥やしをくれてみたところでどうにもできなかったらやめちゃう。三円五十銭の乳なんてみんなやめちゃう。局長はどうです。
  114. 谷垣專一

    説明員(谷垣專一君) 大カン練乳問題につきましては、これはいろいろな御議論があろうかと思います。ただ、ただいまも政務次官が答えられましたように、十分議論をされましたあとでああいう形になっておりますので、これを他の酪農振興の方途にそれを使っていくという形において解決してはどうか、この考え方が当時あったわけであります。もちろん御指摘のところは十分に検討を要する問題ではあろうかと思いますが、それらの点も一つ十分考えまして検討をいたさねばならない、かように考えております。
  115. 関根久藏

    委員長関根久藏君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  116. 関根久藏

    委員長関根久藏君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十六分散会