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1958-06-27 第29回国会 参議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十七日(金曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            松平 勇雄君            山田 節男君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            剱木 亨弘君            新谷寅三郎君            堀木 鎌三君            前田佳都男君            最上 英子君            鈴木  強君            三木 治朗君            光村 甚助君            横川 正市君            野田 俊作君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    郵政省郵務局長 板野  學君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政事務次官  小野 吉郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○お年玉つき郵便葉書等発売に関す  る法律の一部を改正する法律案(内  閣提出)     —————————————
  2. 宮田重文

    委員長宮田重文君) これより委会を開会いたします。  お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  本案について質疑を行います。
  3. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま議題となりました件につきまして、私は郵政大臣並びに政府委員の御答弁を以下数点にわたりましてお願いをいたしたいと思うのであります。  まず最初にお伺いをいたしたいことは、本年度年賀葉書発行見込額はいかほどであるか。寄附金つきのものは幾らであるか、しからざるものは幾らであるか。おそらく印刷をするためには相当の日数がかかると思うのであります。もうそろそろその目標額というか、発行予定額をきめなければならぬ、どういうふうにお考えになっているか。また、どういう資料でこれをおきめになるか、その根拠となるべき資料一つあわせてお伺いをしたいと思うのであります。それからまた寄附金つきのものを昨年よりもふやしたい意向であるか、そういうような点につきまして、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  4. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) お答えを申し上げます。発行枚数につきましては、前大臣寄附金のついたものを七億枚、寄附金のつかないものを一億枚と、こういうことを大体田中大臣は目安といたしまして委員会でも答弁を申し上げておるように聞いております。従いまして、私といたしましても、ひとまずこの方針を基礎といたしまして考えていきたいと存じますが、前国会におきまして与党及び野党の双方から、発行枚数については国民所望等を勘案をして、寄附の強制という非難を受けないようにせよというような御発言もありましたので、また一方、寄附金使途についての各方面からの御要望もあり、かたがた国民消化能力等をも考慮をいたしまして、郵政審議会その他各方面の御意見をも承わりまして決定をいたしたい、かように考えておりますが、その他寄附金使途その他のこまかい点につきましては、郵務局長からお答えさしていただきたいと思います。
  5. 板野學

    政府委員板野學君) ただいま前田先生から発行枚数のいろいろな根拠という点について御質問がございましたので、私からお答えさしていただきたいと思います。三十二年度お年玉つき郵便発行総数は七億でございましたが、年賀郵便全体といたしましては約八億七千万の利用がございました。従いまして、今年度のただいまの郵便物数増加工合からいたしまして、大体ことしの年賀葉書は約九億枚出るのじゃないかというふうに考えておりまして、先ほど大臣からお話がございましたように、いろいろ発行につきましては、これらの昨年度数字基礎にいたしまして、各方面の御意見等を賜わりまして決定をいたすような準備を私どもとしてはいたしたい、このように考えております。
  6. 前田佳都男

    前田佳都男君 それでは次に、この法律案の第六条の第三項に、募金管理委員会は、郵政省寄附金つき葉書発行売さばき送付に要した費用を支払わなければならないというふうな規定があるのでありますが、発行売さばき送付に要した費用というのは、この寄附金一円のうちに何%ぐらいが見込まれておるか、その点をお伺いしたいのです。また、この葉書発行費全部を持つのか、それとも寄附金条項を入れる部分だけ、あるいは寄附金のことを書いたデザインとか、そういうふうな印刷代だけを持つのか、その点もあわせて一つ答弁を願います。それから売さばき送付費用というのは全部なのか、お年玉寄附金つきのものの全部を持つのか。それとも一部を持つのか、一部を持つのならどういう按分比例で持つのか、少しこまかいのでありますけれども、その点を一つ。それからもう一つ従業員に対してこのうちからどのくらいのものが超勤とか、あるいは福祉厚生費とか、そういうものに回るのか、それらの点についてもお伺いをいたしたいのです。
  7. 板野學

    政府委員板野學君) お答えいたします。この六条三項によります経費でございますが、この規定にもございますように、郵政省が特に要した費用に限定をいたしまして、納付をさせておるわけでございます。その内容といたしましては、寄附金つき葉書紙代、あるいは印刷代、あるいは周知宣伝費、あるいは郵便局からこれを一括取りまとめまして送付するに要する送金費及び売さばきため各種給与等につきましてその何分の一か、相当額だけを納付させておるわけでございまして、その額は、大体昨年度で四千百万円程度でございます。その寄附金総額に対しまする。パーセンテージは、大体九%程度になっております。先ほど申し上げましたように、このうち、職員に対しまする直接の給与という形はとっておりません。それは予算上雑収入に組み入れられておる関係でございまするが、これらの雑収入は、めぐりめぐりましてあるいは年末の超過勤務手当とか、あるいは補食費の一部にこれが充てられておる次第でございます。
  8. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいまの御答弁で、超勤あるいは補食費には、このうちからどの程度ぐらい回っておるでしょうか。そういうふうなことはわかりますか。
  9. 板野學

    政府委員板野學君) 超勤等につきましては、大体千九百万円程度がこの中に含まれておりますので、全体の二億七、八千万円に対しまして五%程度というように、大体の計算でございまするが、なっております。
  10. 前田佳都男

    前田佳都男君 なるほど、従業員に対する手当であるとか、あるいは補食費というふうなものが、これらの寄附金つき葉書発行に要した直接の費用に、直接の費用とは申せないかもしれませんが、あまりにもその額は私は少いように思う。なるほど、この寄附金つき年賀葉書は、その着想におきまして非常にすばらしい制度であると世界でもよく自慢をしておる制度であります。世界的にもこんな制度はないといって非常に自慢をしております。確かに、年賀のあいさつと社会福祉に対する寄附という一石二鳥を目ざしました非常にすばらしい制度だと思います。また 郵政省社会福祉の面にまで貢献するということは、大きな誇りを持ってよい制度だと思うのであります。しかしながら、およそ身を殺して仁をなすにも、私は程度があると思う。年末時の繁忙ほんとうに殺人的であります。これがために、従業員の受けるところの肉体的精神的な苦労というものは並み大ていでないと私は思います。ことに、年末時を過ぎたあと、非常に病気になる、あるいはいろんな障害が私は多いように思うのであります。われわれは、郵政省の犠牲においてこれらの寄附金つき葉書発行されるということになると、私は困ると思うのであります。ことに、年賀葉書は、一般料金よりも一円安い、料金が四円である。果してこの年賀郵便コスト計算でどういうふうになっておるか、コストを割っておるか、あるいはどうであるかということを私は知りません。おそらくは私はすれすれでサービスをしておるのではないかと思うのであります。ことに、年賀葉書に一円の寄附金をつけることで、とにかく平生から一つ社会福祉事業寄附をしたいという人が、必要以上によけい出すということも私は考えられると思うのであります。現に私の知っておる人で、お年玉葉書をたくさん買って、一つ社会福祉ために金を寄附するということを楽しみにしておる、そういう人も中にはあるわけであります。それがために、寄附金をつけることによってまた取扱い数量がふえておる。それがために非常に繁忙である、忙しいという面も私は出てくると思うのであります。本来の寄附金つきではないところの年賀郵便を扱う場合に比較いたしまして、その忙しさ、仕事の程度というものが非常にふえている、そういうようなことも私は考えられると思うのでございます。なるほど、寄附金つき年賀葉書ために特に要した費用、このうちには入らぬかもしれません。法律的にはなるほどその解釈は狭いかもわからない。しかしながら、実際的にはかなり私は、それに関連する費用といいますか、そういうふうな目で見ると、かなり広範多岐にわたると思うのであります。私はここで特に寺尾郵政大臣にこの際お願いをしたいことは、この大きい使命寄附金つき年賀葉書売さばき並び発行、配達をするという、そうして社会福祉ために寄金をするという大きな使命を遂行する郵政職員ために、繁忙手当などはもちろん御心配をいただくとともに、職員福祉厚生等につきましても、いろいろ一つでき得る限りの御構想を練っていただきたいということを私はこの際特に寺尾郵政大臣並びに次官関係部局長お願いをいたしたいと思うのでございます。この点につきまして、寺尾郵政大臣の御所見を拝聴いたしたいと思います。
  11. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 前田委員の御意見、私は全く同感でございます。この寄附金つき葉書等は、御承知のように、付された寄附金の分だけ通常葉書より高額になっており、それだけに売さばきに対する努力というものが、郵政関係従業員に非常な努力を要するということは、お説の通りだと存ずるわけであります。従いまして、郵政省といたしましては、年末年始の繁忙な業務とも考えあわせまして、従業員のこの特別の労苦に報ゆる方法及び福利保健施設等の充実の方法等について、今後とも重要な課題といたしまして誠意をもって努力をいたしていきたい、さように考えております。
  12. 前田佳都男

    前田佳都男君 あと二、三点ごく簡単なことをお伺いしたいのでありますが、この募金管理会経費ですね、募金管理会運用するに要する経費は百分の二以内でなければならないというふうな規定があるのでありますが、この百分の二というものは、何を根拠にいたしまして百分の二という数字が出てきておるのか。われわれ常識で考えまして、募金額が非常にふえましても、それにスライドをいたしまして管理会経費が必ずしもふえるとは思えない。また、募金額が減りましても、管理会の人をそう首切るわけにもいかない、にわかに減るとも思えないのでありまするが、この百分の二というものは何を根拠にしておきめになったのかということを一つ御解明を願いたい。
  13. 板野學

    政府委員板野學君) お答えをいたします。本来、この種の事務に要しまする費用は、寄附金の多少によって相当幅があるわけでございまするが、この制度ができましてから今年で十年たつわけでございまするが、その間のいろいろな経費等につきまして計算をいたしてみますると、大体二%余、二%ちょっと上回る程度経費を要している実情でございます。従いまして、少し節約をしながらこの事務をやっていきますれば、大体二%の範囲内におさまると、このように考えまして、この最高限を二%と、こういう工合にいたしたわけでございます。
  14. 前田佳都男

    前田佳都男君 それからこの法律案の第七条第二項に「配分団体が守らなければならない事項」ということが書いてあるのでありますが、これは具体的にどういうことかということをお伺いしたいのであります。ことに、われわれ、郵政職員努力によって寄附金がまことに気の毒な人の福祉施設ために使われて、その福祉施設を見るたびに、非常にうれしい気持がする、心の中はほんとうにほのぼのすると思うのであります。その際に、私は特に希望したいことは、これはまあ少し我田引水になるかもしれませんが、これは寄附金つき葉書によってこの福祉施設ができたんだというそういうことがよくわかるように、あるいは逓信省のマークをちょっとつけるとか、あまりにも我田引水的な考え方とあるいは笑われるかもしれませんが、その施設を見るたびに、やはりそのうれしさを感ずるような、そういうふうなことを何か、特に守らねばならぬ事項というのはどうかと思うのでありまするが、そういうお考えはないかどうか。
  15. 板野學

    政府委員板野學君) ただいま七条二項の、団体の守らねばならぬ事項でございまするが、各種寄附を受けまする団体によって少しは違いがあると思いますが、たとえて申しますならば、次のようなことを考えております。その一つは、寄附金申請にかかる使途以外に使用してはならないというようなこと、あるいは寄附金会計特別会計といたしまして処理をし、常にその経理状態をはっきりさしておいてもらいたい、それからただいま前田先生のおっしゃいましたように、この寄附金によってできた建物には、この寄附による旨の表示をすることというようなことを内容といたして考えております。従来ともこうした建物にはお年玉によってできたという表示もしてございまするが、さらに、ただいまの御意見等も勘案いたしましてどういう表示が最も適当であるかという点につきましても、今後考えていきたいと思っております。
  16. 前田佳都男

    前田佳都男君 少し私、解明してもらいたい点が一つあるのでありますが、それは売さばき期間の終了後、募金管理会配分交付金契約を締結することになっている。そして配分団体募金管理会から金が渡るまでの期間というものがどのくらいかかるのか、ちょっと私は手続的に相当な時間がかかるのではないかと思うのです。どのくらいかかる見込みであるかどうかという点。それからその間の金が余裕金だと思うのです。その余裕金管理ということが非常に慎重にやらなければならぬということ、銀行に預けるとか、その他の有価証券を買うとか、いろいろ問題がある。ややもするとこういうところでおかしな事件が起る心配があると思うのであります。もちろん管理会理事長が全責任を持っておやりになることだろうと私は思う。しかしながら、こういうような点に、郵政大臣一つうんと監督権をもって締めていただきたい。疑惑を招くことのないように一つしていただきたい。これについてどういうふうな点をお考えになっておるかという点。それから余裕金運用利子というものが銀行に預けるとついてくる、相当なものであります。たとえ月日は短かくても非常に額が大きい。その運用によって生じた利子をどういうふうに運用するかという規定を、この法律案の中に一項うたっておく必要がなかったかどうか、この点も一つ率直にお答え願いたい。決して私は疑って言うのではなく、将来そういう事故のないようにしたいと思うから申し上げておるのです。
  17. 板野學

    政府委員板野學君) お答えいたします。第一点の寄附金が集まって、どのくらいの期間に実際にこの寄附金が具体的に使用されるようになるのかという点でございますが、大体寄附金が全部集まりまして精算ができるのが二月の末か三月の初めということになります。それから指定団体からの申請に基きまして寄附金配分額決定する、それが大体三月中旬から下旬までにはその決定を行う。その決定に基いて各団体から具体的施設につきまして、こういう施設についてこういう工合準備がもうできたから金を渡してもらいたい、こういう申請が参ります。その申請に基きまして、個々の施設について具体的に金を出していくという段取りになるのでありまするが、私どもといたしましては、具体的な計画を早く立てて、その申請が早くなされるように、各関係団体にもお願いいたしますと同時に、私どもといたしましても、そういう督促をいたしましてこの金ができるだけ早く具体化するようにいたしたい。まあ従来からの経験を申しますと、大体その年内には金が渡る、こういう状況でございます。しかしながら、この中にはこのたび拡張されまする非常災害等につきましては、これは起るか起らないかの未確定の分野でございまするから、これらのものにつきましては、ある程度予定された金が寝るということになるわけでございます。その年度内にそういう災害が幸いにして起らなかったという場合には、なお別途申請に基いて計画を立てまして、これをすみやかに交付するような措置をいたしたい、このように考えておるわけでございます。従いまして、この募金管理会にはある程度期間金がそこに保管されておるということになる次第でございまして、ただいま先生のおっしゃいましたように、この金、余裕金ではございませんが、交付するまでの間の金をいかに厳重に、そうしてまた有利に保管をするかということがまた非常に大きな問題でございますので、私どもといたしましては、この法律案の第三十条の余裕金運用という条項によりまして郵便貯金とか銀行または郵政大臣の指定するその他の金融機関にこれを預け入れなさいということになっておるわけでございます。これらの銀行をいかにして選ぶかということは、この規定の二十八条の毎年事業計画を立てて、その中にこの余裕金の預け入れの方法等規定して出すようにさせたいというふうに考えておりますので、もしそのような不適当な銀行その他の保管方法をするということになりますれば、郵政大臣監督権限をもちまして、それを直させるということもできる次第でございまして、この点につきましては、私どもといたしましても十分に監督をして、その間に不適当なことの起らないように考えたいと思います。また、ただいまの御質問のこの利子等は一体どうなるのか、どのように運用するのか、また、家際この利子運用については、むしろ法規にはっきりさした方がいいのじゃないか、こういうふうなお話でありまして、まことにごもっともなお話だと存じます。これらの利息は、ただいま現在のところ、大体二千万円程度あります。この利息はその年度募金をいたしましたその寄附金に加えて計画するか、あるいはこの利息だけをもって新たな計画を立てまして、これを各種団体に交付するかといういろいろな方法があると思いますが、とりあえずはこれらの利息はこの利息だけで新しい交付計画一つ立てまして、団体にこれを交付してやったらどうかというふうに現在のところは考えております。また、今後もこれを事務費等に使用することなく、そういう寄附金の性質にかんがみまして、これはやはり国民のそういう施設に還元をしていくというふうにいたしたいと考えております。
  18. 前田佳都男

    前田佳都男君 それには法律的な根拠がなくていいですか、どうですか。何か規定しておいたら……。
  19. 板野學

    政府委員板野學君) これは今の寄附金果実でございますので、この果実はやはり一般国民福利とか、その他法律にきめられました目的のためにやはり使用するということが、この規定にはございませんけれども、この精神からいたしまして妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  20. 前田佳都男

    前田佳都男君 もう一つだけお伺いします。お伺いするというよりも私の希望を申し上げたいのですが、この法律をずっと通覧いたしまして、私はこの法律の一番山は、募金管理会配分団体配分金交付契約、この契約が私は一番山だと思うのであります。この契約内容はがっちりしたものをきめていただきたい。そうして募金管理会ほんとう寄附しておるところの国民大衆善意を、よい心持、あたたかい心持最後まで見届ける大きな責任を持つ、それが今度のこの法律案の最も山であると私は思うのであります。従いまして、この募金管理会は単に役所の外郭団体と申しますか、うば捨山と申しますか、古い人々のうば捨山というような印象を与えないように、大衆善意最後まで見届けるという大きな使命責任を持った会であるという点に思いをいたされまして、郵政大臣は特に一つ管理会構成等につきましても十分御配意願いたい。この責任遂行に資するように特にお願いしたい。以上私の希望を申し上げます。
  21. 光村甚助

    光村甚助君 私、本論に入ります前に、板野郵務局長にお伺いいたしたいのでありますが、前国会でこの法案が衆議院にかかりましたときに、社会党の森本委員から、寄附金配分対象を拡張するというが、お年玉葉書を売るため郵政職員は非常に苦労しておるので、寄附金の何%かを郵政職員福祉に充てられぬか、こういう質問に対しまして郵務局長は、充てたいと思っている。外国の例では、オーストリア、イタリアなどでは一割を充てている。現在お年玉葉書を売るために約四千万円という経費を使っているが、郵政職員福祉には充てていない、こういう答弁をされておるわけです。そうすると、この前衆議院では、一割郵政職員ために充てるということで、衆議院を通って、本院に回ってきましたときに、一割を充てるということはいかぬということで原案に戻ったわけです。それで、今でもあなた方はこういうお考えをお持ちなのか、それとも——このときあなたが答えた答弁というものは今でもそういうお考えを持っておるのか、それをお伺いしたい。
  22. 板野學

    政府委員板野學君) お答えいたします。前国会におきまして、森本委員からの御質問に対して私はそのように答えておりますが、外国の例では確かにそのような例がございます。それからまた、私が充てたいと、こういう工合に申し上げたのは、私たちの気持でございまして、実際にこの配付金をどういう団体にどういう工合に交付するかということは、これは郵政大臣関係省意見も聞いて、また郵政審議会に諮るということになっておる次第でございまして、これは郵政省だけの一存ではきめられぬ、こういうことになっておる次第でございます。私どもといたしましては、もし、郵政審議会には国民の代表あるいは各界の方もおいでになっておりますので、そこで、それらの方々の御同意を得たならば、そういう工合にいたしたい、こういう工合に申し上げた次第でございまして、その後それらの修正等が当参議院において行われまして、これは適当でないというような御判断が、お話がありましたので、これらはまたそういう御意見国民の代表するような御意見でございましたので、私どもといたしましては、これは適当でないというふうに現在のところ考えておるわけであります。
  23. 光村甚助

    光村甚助君 次に、小野次官にお伺いしたいのですが、次に森本さんがこういう質問をしておるのです。日本では一割と明確に条文化することはできぬのかという質問に対して小野次官は、非常にありがたい御趣旨である、私どももそのように思っているが、この法律案には載せなかったまでである、こういう答弁をしておる。そこで、田中大臣がその次に、私も一割以内なら郵政職員ために使わせてもらいたいと思っている。しかし、私どもの方からは提案できないので、院議で修正されるならば尊重したい、こういう答弁があったわけです。しかし、それはさっき申し上げましたように、そういうことはいかぬというので、本院でこの条項を削除したわけですが、今は別といたしまして、その当時は、小野次官とか、大臣は別ですが、小野次官答弁された当時は、審議未了になったわけですが、その当時、今は別ですが、小野次官答弁された当時はこういう制度はあっていいというお考えであったのですか、どうですか。
  24. 小野吉郎

    説明員小野吉郎君) 私が申し上げましたのは、立法府で御審議をいただいておりますので、立法府として、総意をもってそうした方がいいというふうになさるなら、これはきわめてありがたい、このように申したのでありまして、私自身の考えといたしましては、これは求めるべきではなく、与えらるべきものだ、かように考えて御答弁を申し上げた次第であります。
  25. 光村甚助

    光村甚助君 重ねてお伺いをしますが、五月四日の毎日新聞に、小野次官の談話として、お年玉葉書の法案が通らなかったのは、社会党が郵政従業員に対して一割配分しろという修正案を出したからあの法案が通らなかったのだ、こういう発表をしておられるわけです。私は切り抜きをきょう探したのですが、忘れて持ってきていないのですが、はっきり小野次官の談話として、五月四日の毎日新聞なんです。衆議院では社会党と自民党と一致してあの修正案を通しているのです。そうして衆議院の本会議は一応通って本院に回されたのですが、参議院で結局ああいうことはいけないというので削除した、こういうことになっておる。それにもかかわらず小野次官は、社会党がああいう修正案を出したためにあの法案が通らなかった、こういうことを言われることは、われわれ社会党の議員として非常に不満なんです。それはどういう根拠に基いてそういうことをおっしゃるのか、それを一つ伺いしたい。
  26. 小野吉郎

    説明員小野吉郎君) そこに私は多少誤解があると思います。私は新聞記者に対しまして談話を発表いたしますときには、特定の一社だけにはいたしません。こういうことは新聞社の今日の実情といたしましてきわめて問題を起すことでございまして省といたしまして談話を発表する必要があれば、全社に対していたしております。何かの間違いだろうと思いますが、はっきりした記憶はございませんが、その当時いろいろ新聞記者の方から、通らなかったその点について、われわれいろいろなことを、話を聞いたこともございます。ただ私がその点で覚えがありますのは、これはもう各社がそのような記事を掲げました。そのような記事を掲げられたので、非常にこれは、われわれとしては何党がどうということではなく、この法案はぜひ通してもらいたい法案なのである、各社の新聞が社会党修正で云々と、こういうような記事を審議の過程において出された、これはやはり国会としてはいろいろな御事情もあったのでございまして、そういうことで通らなかったのはきわめて遺憾だ、このようなことを申したことは記憶があるのであります。今光村委員の御指摘になりましたような談話を発表した記憶は毛頭ございません。
  27. 光村甚助

    光村甚助君 まあ新聞記事より次官の方を信用して、この問題は打ち切りましょう。そこで本論に入りますが、お年玉葉書は五円という格好にはなっているのですが、実際は郵政省は四円の収入しかないわけです。葉書は四円で採算が合うのか合わないのか、それを一応お伺いしたい。
  28. 板野學

    政府委員板野學君) 葉書年賀葉書葉書全体の原価計算、そういうものは一応のただいまの原価計算では四円二十七銭か三十銭ぐらいと覚えておりますが、そのくらいになっているわけであります。しかしながら、この原価計算はきわめて暫定的なものでございまして、これは各種類別にこの原価を出すということが非常に困難でございます。従いまして、郵便料金といたしましては、まあ総合原価というような建前をとっている次第でありますが、原価すれすれか、原価よりも少し上回っておる程度じゃないかというふうに私どもは見ております。
  29. 光村甚助

    光村甚助君 去年は四円の葉書と五円の葉書と、何枚ずつお出しになりましたか。
  30. 板野學

    政府委員板野學君) 昨年は、三十二年度は四億五千万枚が五円のいわゆる寄附金つき葉書でございまして、残りの二億五千万枚が四円の葉書でございます。
  31. 光村甚助

    光村甚助君 そうしますと、ことしは五円のを七億か、あるいはそれ以上、四円のを一億かとおっしゃるのですが、この四円のお年玉はがきには、相当やはり貧乏人と言っては語弊がありますけれども、貧乏人の人が、よけい使うわけです。そうなると、これが少くなるということは、やはりこれはいわゆる貧乏人階級の人が、利用率が私は少くなるということがわかるのですが、五円のを七億も発行した場合に、これが売れ残るというような御心配はないのですか。
  32. 板野學

    政府委員板野學君) 三十二年度売さばき状況あるいはそれ以前の年におきまする売さばき状況からいたしまして、かりに七億寄附金つきのものを発行いたしましても消化能力はあるというふうに私ども事務的に考えております。
  33. 光村甚助

    光村甚助君 これが発行された当時は、売れ残りが非常に多くて郵政従業員は街頭なんかにたくさん出て、しりをひつぱたかれてこれを売り歩いた事実をあなたは御存じだろうと思います。私たちはこのお年玉葉書でいわゆるたくさん金を集めて、生活に困っている人たちの生活を助けてやるという趣旨には賛成なんです、大いにこれは。しかし、郵政省職員だけがはがきが売れなかった場合には街頭やいろんな所まで立って、そしてまたかりに七億枚というものが売れなかった場合には、あくまで従業員責任にして、どんどんしりをひっぱたいて売らすまでのあなた方はお考えを持っておられるか、それとも売れ残ったら、それはそのまま強制的に売らさないというお考えなんですか、どっちなんですか。
  34. 板野學

    政府委員板野學君) ただいま光村委員のおっしゃいましたように、この葉書発行いたしました当初等におきましては、非常に売れ行きが悪うございまして、ただいまおっしゃいましたように、街頭進出、郵政省始まって以来街頭進出までいたしまして非常な苦労をいたした次第でございまして、私どもその管理に当っております者といたしまして、はなはだ申しわけないというふうに考えておるわけでございます。今後このような事態の起らないように、私どもといたしましても、管理あるいはこの運営の部面からあらゆる努力を傾けていきたいというふうに考えておる次第でございまして、万一そのような事態が起きましても、決してこの売さばきを強制するというようなことのないように努力をいたしますと同時に、そのようなことをいたさないようにいたしたいと考えております。
  35. 光村甚助

    光村甚助君 この前の審議の過程で、この法案が当院に回って参りましたとき、私たちも団体からこれに対する陳情を受けました。その当時、まあ私は郵政職員出身の議員として、ある程度郵政職員の立場のみを主張したような感じもあったかもしれないのですが、その当時私はこの団体の人に対して郵政省職員だけがどうして苦労をして葉書を売って歩いて、その利益を団体に差し上げなくちゃならないのか、苦労して売った金のうち幾らかでも、やはり売った団体の人たちにもある程度の報酬を与えてもいいじゃないかということを答弁したのですが、ところが、その団体の人たちは、郵政省職員のそういう福利増進とか、あるいはそういうものに対しては政府としてこれはやるべきだ、こういうお考えのようです。そこで、私はその人たちにこういう反論をやりました。お年玉葉書に一円をつけて郵政省だけが一生懸命働いて差し上げなければならない義務はないのだ、いわゆる貧乏している人とか、あるいは社会福祉に対しては政府の予算でするのが当然じゃないか、こういう私は反問をしたわけです。その人たちはそれには納得されているわけですが、それで話をさきに戻しますと、世間では五円のお年玉つき葉書を売ってそして一円をその募金団体に出すのが当然だということを、私は感じを持っておられると思うのです。これでは私は郵政従業員が七億もせっせと葉書を売って暮れの二十五日から正月の三日、四日までは帰らずに、郵政省に入ってから何年もお正月を知らない従業員が何万といる。こういう苦労は世間の人は御存じない。ただ郵政省は金を集めて厚生省の団体に持っていけばいい、こういう感じを持っておられる人がたくさんあると思います。これじゃ一生懸命働いている人たちに対する思いやりがない。これは郵政省の世間に対するPRが足りないと思いますが、郵政省というところは現業であまり宣伝や、はったりをやってもらいたいと思いませんが、こういう面についてはどういうお考えを持っておられるか。
  36. 板野學

    政府委員板野學君) ただいま先生のおっしゃいましたように、この制度ができまして、もう十年になる次第でございまするが、ほんとうにこのはがきの寄附金の意味、趣旨というものが、なかなか一般国民の人に理解していただけない、あるいは、中にはあのお年玉の賞品は一円の寄附金の中から出ているのじゃないかというようなことをおっしゃる国民が相当まだあるわけでございまして、このような点につきまして、私ども一般PR活動に非常に不十分な点もあったということをこの機会に率直に反省をいたしまして、今後なおこの制度が郵政従業員ほんとうの好意に、善意に出るものであるということをよく国民に周知徹底をさせまして、これに協力し、また、この意味を理解をしていただくように今後努力をいたしたいと存じます。
  37. 光村甚助

    光村甚助君 ここに前の厚生大臣もお見えになっておりますが、田中大臣との間の申し合せ事項の第二に「中央共同募金会及び日本赤十字社の受ける寄附金は、従来の実績額を尊重して三十二年度実績額を下らざるものとすること。」、こういうことになっているのですが、従来の実績といったら四億五千万だと思うのですが、これはいやがおうでも郵政省は集めて、ここへ四億五千万円は借金か何か返すように、いやがおうでも義務づけられているわけですか。それほど郵政省はそこに対して何か責任があるわけですか、借りがあるわけですか、どうなんですか。
  38. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 光村委員の御意見は私もわかりますが、それに対する大きな責任というような、まあ、いわゆる、すでにこういうお年玉つき葉書を売さばくという法令によってやっておることでありますから、法的にいえばあるいは責任があると考えますけれども、こうしたことは国民の恵まれざるもの、あるいは社会福祉等にわれわれ郵政省関係者がこの法令に基いて努力をして、そうしてだんだんこの売り上げの額四億五千万円というところまでこれが伸びてきた、国民の非常な理解によって、協力によって伸びてきたということから考えますると、ぜひにもこの四億五千万というものをできるだけ保持し、さらにはそれを上回る努力もいたしたい、かように考えます。
  39. 光村甚助

    光村甚助君 こういうお金は多いほどけっこうなんですが、たくさん集めていただきたいと思うのですが、話を横へそらして悪いですが、多ければ多いほどいいのですから、大臣は閣議か何かで、今年・あたりから、暮れの贈答品として使うたばこなんかにしても、これをつけたらもっと私は金がたくさん出るだろうと思います。そういうお考えはないか、一つその点もお聞きしておきたいと思います。
  40. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) そういったような新しい構想についても、ぜひ皆さんの御意見等も承わり、今後の課題として一つ検討していきたい。そういう気持でございます。
  41. 光村甚助

    光村甚助君 それから、前田委員から御質問ありました管理委員会の問題ですが、かりに七億枚売れるとすると七億円という金が出る。厚生省に、この実績で四億五千万円厚生省が主宰する団体に渡すということになると、あと二億五千万残ることになる。この管理委員会というのは七億円を管理するのですか、それとも厚生省に渡した分の二億五千万円分を管理するのですか、どうなんですか。
  42. 板野學

    政府委員板野學君) この郵便募金管理会は、かりに七億枚出しまして、七億の寄附金がございますれば、その七億について管理するということになる次第であります。
  43. 光村甚助

    光村甚助君 管理委員会の構成ですが、さっき前田委員も言われましたが、古い役人の出店にならないように、こういうお話なんですが、どうせこれは郵政省あたりのお役人も行かれることだろうと思うのです。それで、郵政省の役人も行かれることはけっこうなんですが、実際上、この葉書を売って苦労するのは従業員なんです。郵政従業員二十万人のうち、郵便従業員が大部分やるわけですが、この管理委員会の中に、何人で構成されるかしりませんが、何人かの中に、従業員の代表を入れる意思はないかどうか、一つお聞かせ願いたい。
  44. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 管理委員会の人事につきましては、将来の運営上の重要な関係を持つものでありますので、郵政大臣責任におきまして、各方面の御意見を参酌いたしまして、適正妥当なる人事を行いたい、こういう考え方を持っておりますが、御意見のほども十分拝聴いたしておきまして、これらにつきましても検討をしてきめたい、かように考えます。
  45. 光村甚助

    光村甚助君 大体、私の質問はこれでしまいですが、この前の国会で成立しなかったことは、非常に私たちも遺憾に思って、今度通るというので、非常にうれしく考えているんですが、先ほど申しましたように、いかにも社会党が横車を押して、あの法案をつぶしたように世間に思われるし、さっきも私が新聞の談話を取り上げて言ったように、次官もそういう談話を発表しないとおっしゃっておるんですが、毎日新聞には載っておることだし、一日も早く私たちはこういう法案が通ることを賛成いたしますが、しかし、私が先ほどから何べんも申し上げましたように、ただ、郵政省は七億という葉書を売って、集めて、その金を出せばいいのだという、私はそういう誤まった考え方はいかぬと思うのです。実際上、この前ですか、松井さんが郵務局長の当時だったと思うのです、この募金に対して、相当郵政省が集めて、苦労しているんだから、管理委員会に対して、もう少し郵政省の発言というものを強化したいという話があった当時に、郵政省は、金さえ集めればいいじゃないか、金の配分とか、使い道はお前の方で口を出すことはないじゃないかといういきさつがあったことを私たちは聞いておる。これでは、郵政省職員として、もっとたくさんこれを集めて、共同募金にたくさん送ろうと考えていても、お前たちはただやればいいんだという考え方では、使われる人も張り合いがないと思うのです。今後は、そういう意味じゃなくして、今度、一割くらいを郵政従業員ために使おうという条項は削られました。もちろん、私たちもこれに賛成いたしますが、その反面、政府の方といたしましては、今度は四億五千万円だったら、五円の七億枚も売るのですから、やはりさっき私が申しましたように、今度は、郵政省に入って何年も正月をしたこともないという苦しい従業員のことをお考え下さいまして、この人たちに対して報いる最善の努力を払っていただきたいということを、私は御希望申し上げまして、私の質問を終ります。
  46. 横川正市

    ○横川正市君 私の方から二、三点御質問申し上げたいことは、これはお年玉葉書募金つき葉書発行しておる現状というものを、これを将来改正するという意思があるかどうかという問題です。第一は、大体岸第二次内閣の選挙の公約からいきますと、三十五年までには医療関係の保障、社会保障関係まで完遂するという予定で政策が立てられておるのでございますから、そういう大きな構想のもとで予定が立てられているとすれば、郵便葉書の売り上げの四億五千万円にたよってこれをやらなければならないというような、私は、そういういわば、まあ計画全体としてはあまりほめられるような行き方ではないと思う。ただ、この募金つきの葉書発行の経過をたどってみますと、今言いましたように、最初は売れないで街頭に立ち、その後逐次浸透いたしまして発行枚数がさばける、こういうふうになってきたわけです。しかし、そのさばけるようになってくるまでの各種段階で、この方法が絶対的なものだということは私はなかったと思う。第一段階では、この発行についての、他の委員が言いましたように、管理委員会に対するいろいろな苦情もありました。これは運用がまずかったという点もありますが、そういう苦情が出てきた。第二の問題は、この全体のシステムがよくはないということから、ことに郵政会計の点からいっても、この点は改善すべきであるというので、最終的には、このお年玉というような募金方法については、これはいろいろ考慮してみてもいいと思うけれども郵便料金というものを割って四円で売るということは、これはどうもおかしいのじゃないか。だから、将来の構想としては、田中郵政大臣は、今回はこの法律の手続によりまして、厚生大臣との申し合せの内容発行をするが、次年度からの発行計画については、そういうような根本的な考え方の上に立ってこれを改善したいという意思は、私はあったやに答弁の中に承わっておるわけです。そういうことからいきますと、本年度発行計画を中心として、来年度発行計画に対して、郵政当局としてはどういうふうにお考えになっておるか。少くとも、まあ内閣の政権をとられて三年、四年と続かれる段階で、社会保障制度等も十分これは検討されるであろうというふうに私どもは期待しておりますので、そういう観点から、郵政大臣考え方を一つこの際明確にしていただきたいと思います。
  47. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 現在、こうした制度が万全のものであるということは、私も考えておりません。従いまして、横川委員の今御意見として、あるいは御質疑として申されたことについては、私も同感でございます。社会保障制度等がだんだん充実をして参りますことによってむしろこういうものははずしていくべきではないか、さように考えております。ただ、来年の七億枚の寄附金つき、あるいは寄附金のつかざるものを一億枚、八億枚の発売計画は、一応ここに皆さん方に、こういう構想といたしまして御相談を申し上げておりますから、これを直ちに変更するとか、そういうことはいたしかねると存じますけれども、さらに将来、あるいはまた再来年もこの通りでいくかどうかということについては、横川さんのおっしゃるような、十分各階層の権威者あるいは関係者等とも相談をいたしまして、これは検討をしつつ進んでいくべきものじゃないか。同時に郵便料金、特に葉書が、先ほど局長の話では、四円葉書が、原価は四円二十九銭、あるいは四円三十銭ほどかかる、こういうような答弁があったのでありますが、こういったような、これは、まだそれほど差が多くないのでありますけれども、あるいは電報料金、こういったようなものをしさいに調べてみますと、非常に原価と大きな差があって赤字を出しておる、こういうような郵政省内の調整、こういうものは、私は物価体系、他の物価のそれとにらみ合せて、将来できるだけ早い機会に、でき得ればこういうものを適正なものにだんだん戻していく、こういうことをなすべきだ、さように考えております。
  48. 横川正市

    ○横川正市君 この問題は、たびたびの会合で、大体一つのアイデアとしては、今大臣の答えられたようなものが出てくるのでありますけれども、なかなかその実行が伴わない。これは、まあ内閣の弱体によるせいか、その点はぜひ一つ検討してもらって、御答弁のように実施できるように期待を申し上げたいと思いますが、ただ、こういうものにたよっているということは、ただ単に社会保障に対する募金の問題だけではなしに、私は郵政それ自体の運用の中で、ことに資金面の運用の中で、まあ少くともこれを売ることによってあがる四円プラス七億枚という資金が、原価計算によれば二十銭ないし三十銭赤字になっておるのに、実際上これだけのものを回す過程で、そのつじつまを合せるような方法がとられているのじゃないか。そのしわ寄せというものが全部従業員の稼働日数とか、それから労働時間、それから保健施設、こういったものに大きくしわ寄せされて、その犠牲でこの全体の運転が行われているのではないかという点を非常に今まで懸念をしておったのであります。たとえば札幌郵便局の昨年の年末における実績をちょっと聞いてみますと、クロロマイセチンの使用量というものが郵政局大体一年分ぐらいのものがこの短かい期間の間に使われておるわけです。それはどういうことかと言いますと、夏は、きょうみたいな日はこれは大へんひどい労働になると思うのでありますが、北海道のような場合には零下十七、八度から、一月の中ごろにいきますと、二十度をこえるわけなんです。しかも、一軒残らず回らなければいけない、そういうひどい労働オーバーのためにかぜを引く。もちろんこれは体力が弱っているからかぜを引くということになるのでありましょう。そういう意味合いでクロロマイセチンの投薬をする、こういうような状態である。さらに、この期間で一週間以上の絶対安静を言われた者が五人、六人とか出てくる。しかも、これは安静を言われておってもそれだけできませんから、一日半か二日休めば出てきて仕事をする、こういうようなひどい仕事をやられておるわけなんであります。私はこれは北海道の札幌郵便局の例だけでなしに、おそらく保健関係で、この期間に投薬をする、郵便従業員に対してのこの種の薬の内容というものは膨大なものじゃないか。その支出の会計が違うからどのくらい薬が使われているかわからないくらい、私はこの点の問題はあまり真剣に検討されていないのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。一般的に今言いましたように、総体の額が上って原価計算をすればそれが赤字になる。しかし、実際上これを回してみると、これだけもうかった、この金は他に使われるのだというような不合理が郵政会計の中にないのかどうか。もしありとすれば、私はこれは早急に改善してもらわなければならない。大臣が就任間もないとすれば、郵務局長から、この点をどう考えておられるか、また将来、もしありとすれば、これはどうするのか、この点を一つ明確に答弁せられたい。
  49. 板野學

    政府委員板野學君) 私、ただいま個々の原価というものにつきまして一応の計算は出ておりまするけれども、その個々の原価を計算するにつきましても、非常に複雑困難なものがございまして、最終的にこうだというまでのところは申し上げられないということをまず第一点申し上げましてそれからただいまの郵便料金といたしましては、これは総合原価の制度をとっておりまして、第一種から第五種、あるいは小包、あるいは特殊郵便等全体を合せましてこの原価をはじいて収入支出を見積っておる、こういうわけでございまして、郵便収入の全体といたしましては、これは収入が支出より多い、いわゆる黒字を出しておる、これがまあ一応の現状でありまして、これがために年末等の手当が非常に希薄になるというようなことはないというふうに考えておりまするが、いろいろ従業員の年末の苦労というものにつきましては、ただいま横川先生のおっしゃいました通りでございまして、特に北海道等気候の悪い地点におきましては、このような事実がたくさんあると存じます。従いまして、そういう面につきましては、私どもといたしましても、関係の局を通じましてできるだけの一つ手当もいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  50. 横川正市

    ○横川正市君 まあ私は当面、この年末対策は郵務局で立てられる段階になろうかと思いますので、この法律案の成立にはあえて反対をいたしません。賛成をして、これを通して、一日も早く実際の運営についての今までの不備を直したいと思いますが、しかし、計画を立てられるときに、定員とか、施設とか、それから保健関係とか、こういった点については、一つ万全を期していただきたい。当面これらの問題がない場合に、将来この問題から起る現場の不平というものは、私はまあ当然管理者当局が受けるべきだと思いますし、私どもまたこの法律案を通す段階において当然改善するべきものを改善できなかったという責任を負わなければいかぬと思う。そういう意味合いからも、この点については多くを申しませんが、当局は万全を期していただきたいと、こう思います。  第三点目に入りますが、前大臣の跡始末をしなければならないというのでありまして、寺尾郵政大臣にはまことにこれは申しわけない点かもわかりませんが、同時に、これは私は内閣、その与党で構成されておりました関係から連帯責任という意味合いで、この問題について一つはっきりと御答弁を願いたいと思いますが、先般行われました郵政当局と、全逓との関係の中で起りました労働問題が、私は派生的に、今もって問題が解決しているとは思わないのです。しかも、これはどういう形で解決されるかは、最終的には当局と組合関係で話し合いをされる問題だと思いますが、ただ、ここではこの発行枚数を何枚にする、どういう発行をするかということです。お年玉葉書発行をかりにいたしましても、そういうような労働問題が片づかないために、事実売り出した、さばけないという不測の事態を招来するということは、私はこれはどんなことがあっても避けなければならない問題だと思うのであります。ここで今起っております部分的な職場の状態というものは、定員不足から来る時間外労働、いわゆる基準法の三十六条による締結がない全逓と、それから締結をしてもらわなければ働いてもらうことのできない郵政当局の関係で、これらの問題が未処理に終っているようであります。しかも、私は今回秋田の補選応援やら、またあるいは北海道を回って参りましたが、主要な所では第三種郵便が山をなして滞貨をいたしている。これは合法とか、非合法とかという問題でなしに、労働問題の未処理によって起ってくる不測の事態であります。これは当然国民の皆さんに御迷惑をかけているのでございまして、これらの不測の事態は、組合側はもとより、政府当局が熱意をもって早急に解決して、国民に対するこういう不測の事態というものを一日も早く取り除くべきだと思うのでありますが、このままの状態で、しかも、全逓の方針というものを見てみますと、今年一ぱいは超勤をすることをしないんだ、超勤のこの三十六条の協定を結ばなければならないんだという方針で進んでいるようであります。そういたしますと、私の全逓におりましたときの経験から言いましても、十二月の初旬ないしは十一月の下旬から激増してくる小包と、それから十二月初旬から逐次増強するところのいろいろな郵便物、さらにまた特別取扱いに入りましてから増大する年賀葉書、これらの問題をさばき切れない状態というものを郵政当局ではかかえているのじゃないか、こういうふうに思うのでございましてこの点からも労働問題というものを不測の事態に発展させる、そういったものがある。今、この原因があるのに、それらに対してなお政府が手をこまねいているという現状から考えて、果して寄附金つき葉書が年末において、あなたたちの計画通りさばけるかどうか。かりに売れても実際上の取扱いができなくなるのじゃないか。私はこういった点について、いろいろ懸念はありますが、この点について郵政当局として、特に大臣としてどのように処理されるか。それをやらなければ業務命令を出すとか、あるいは就業規則によってこれをやるとか、あるいは検察当局や警察権力を借りてこれをやらせるとか、私はそういうような強権を持った業務運行というものは、おそらく考えておらないと思いますが、その点で一つ明確に御意見をいただきたい。
  51. 寺尾豊

    国務大臣寺尾豊君) 横川委員の御心配の趣きは私自身といたしましても、そういったことに対して心配を実はしておるわけであります。従って、この全逓信労働組合との間の争議問題、この解決というものは一日も早く私は解決をいたしたい、しかし、横川さんのおっしゃるように、しからば、今話し合いが果してできるかというようなことを考えてみますると、代表機関を失っておるといったような形、団体交渉権を認めておるとか、認めていないとかいうような論争がなされておってなかなかこの話し合いというものができそうにない、こういう大きな労働問題を前に控えまして、だんだんこれが経過をしていってやがてお年玉葉書売さばきということになれば、この業務の運行というものに大きく支障を来たしはしないか、こういう御心配は私も実はその心配をいたしておる。何といたしましても、全逓の方で、たとえばこれは私があるいは望んでも、果してそういうことが得られるかということをも心配をいたしておりますが、この七月八日から十二日まで行われるという全国大会といったようなときに、ぜひとも代表機関を選ぶというようなことに願わくばしていただいて、そうしてわれわれも胸襟を開き、ひざを交えて、こういった問題の解決に誠意を示したい、私はそういうことを考えておるわけであります。なお、三六協定といったようなものも、これは各事業場等においても協約をすればできるというような解釈もいたしておりますので、このお年玉葉書売さばき等については、ぜひこの全逓関係ないしは従業員各位がこれが恵まれない人、あるいは社会保障制度といったような高い政治の上に絶対必要だというような、この高い使命と申しますか、そういう高度のこうした施策を理解をもって協力をしていってもらいたいということを考えておるわけなんです。なお、この労働争議の解決につきましては、党の三役あるいはまた内閣総理大臣その他の労働あるいは法務等の所管大臣等とも、郵政当局といたしましては、自分の子供であり、自分の家族であるこの全逓の各位の不幸なこうしたいろいろの行き過ぎ、あるいは違反事件等でありますから、これが全逓にとって悪く解決をしてほしい、悪くなればいいとか、あるいはむやみに理解のない厳格にやろうという気持は私は毛頭持っておりません。どうかよき労働慣行を樹立して、そうして願わくんば全逓も、やはり法治国であるわれわれ国民としては、ぜひ法は一応これを順守していってもらいたい。また憲法に与えられた団結権とか、交渉権というものは、これは強く保持し、また、われわれもこれを十分容認をして、労働運動に対してはなお積極的にこれをりっぱな労使関係の健全化の方向に向けていかなければならないというようなことも深く決意いたしておる。しかし、事態は楽観を許さないということは横川委員のおっしゃる通りだと思います。これらにつきましては、なお、委員各位の御意見等も承わりまして、私といたしましては微力の限りを尽して善処いたしていきたい、かように考えます。
  52. 横川正市

    ○横川正市君 私は大臣答弁は、当面はそういうくらいな答弁だろうと思う。ただしかし、不測の事態はもうすでに統轄局あたりに起っております。ことに三種がさばけない状態で、滞貨が出てきております。今あなたの方では他力本願的に、全逓側の態度の変ることを予想して、手をこまねいているような答弁でありましたが、私はそうでなく、郵政大臣が閣内における問題の解決の主導権をとるとか、あるいは党内における実際上の実力者としてこの問題を処理するとか、そういう外に向って問題を解決しない限り、そうなまやさしい状態になっていないということを、私ははっきり申し上げておきたいと思う。衆議院で呼んでいるようでありますから、私はそのことだけ申し上げて、質問を一応次回に譲ります。
  53. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 他に御質疑がなければ、質疑を終局して討論に入ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、直ちに本案の採決を行うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 御異議ないと認め、これより採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、議長に提出する報告書の作成については、委員長に御一任願います。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 宮田重文

    委員長宮田重文君) 本日は、これにて散会いたします。    午前十一時三十七分散会