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宮田重文君 第一班の御報告を申し上げます。
第一班は、私と
三木治朗委員でありますが、八月十七日より六日間
北海道に出張し、その間、札幌、釧路、小樽、
函館所在の
郵政局並びに関係各機関、
郵政監察局、
地方電波監理局、
電気通信局並びに関係各機関、
NHK及び
民間放送局等につき、つぶさに
運営実情の説明を聴取し、かつ、各種の陳情を受けて帰ったのでありますが、以下その概要を御報告申し上げます。
本道には、国策として推進せられている第二次
北海道総合開発計画の第二年目に当り、各種の
開発計画が実施中でありまして、すでに相当の実績を上げております。これに伴って
通信施設、
電波関係事務も国策の線に沿って協力を要請せられている実情がうかがわれたのであります。
まず、
郵政関係におきまして、第一に、
郵便物の
増加状況についてみますと、最近三カ年間に、
引き受けは、
通常郵便物九・五%増、小包、
郵便物は三〇・二%増を示しており、総体的に上昇の傾向をたどっておりますが、特に最近は
速達郵便物の
飛行機搭載等によりその効果が高められたため、利用が著しく増加し、最近三カ年間に、
速達扱いの
通常郵便物の
引き受けは四〇・八%、
小包郵便物は四七%と、おのおの急増を示し、今後さらに増加することが予想されております。また、
年賀郵便も順調な伸びを示し、最近三カ年間に約二五%の
引き受け増加を見、昨年は前年に比し五・六%の増加となっております。なお、管内は、面積の割合に人口が希薄でありますが、人口一人当りの
郵便利用度は、
通常郵便物で年間六十七通強でありまして、東京、大阪に次、き、全国第三位にあります。
第二に、
郵便貯金の状況であります。当管内は、
例年年度の初めは営農、着魚その他一般に資金の需要が多く、
郵便貯金の増勢は最も低調な時期でありますが、特に
本年度は八月七日現在
総体純増で四億八千七百万円の赤字となり、前年同期の三億九千六百万円の黒字に比べ著しく不調を示しております。
これを種類別に見ますと、
積立貯金は
予定通りの進行を示しておりますが、
通常貯金の払い出しが多くて、三億五千七百万円の赤字で、総体不振の主因をなしております。加えて、
定額貯金はかつて見ないほど純増の
歩どまりが低く、かつ、
新規募集の伸びも予定を下回っていることも一因をなしております。
本年度は
郵便貯金は全国的に伸び悩みの状態にありますが、不振の
一般的原因のほか、本道独自の原因として考えられますことは、
イ、
零細農家は過去三カ年にわたる
冷害凶作による
営農資金の不足。
ロ、炭鉱の
長期ストの影響により
従業員及び
関連産業全体の
資金事情が逼迫していること。
ハ、近年
沿岸一帯の不漁に加え、特に本
年度ニシン漁はまれに見る凶漁で、
関係漁民は多額の借財を残していること。
等であります。
この不振に対処してこれが挽回をはかるため、六月末に
緊急増加対策を立て、八月より来年一月に至る第二次
奨励期間中において、
全局目標達成を期し、強力なる運動を展開中でありますが、
一般経済情勢の復興と農産物の近年にない豊作に伴い、ある程度挽回ができるのではないかと認められたのであります。
第三に、
簡易保険及び
郵便年金の
奨励状況でありますが、当局では既往の経験よりして
早期推進の方策を立て、募集の主力を上半期に集中して、この期間に保険、年金両
目標達成の
基盤確立を期して努力してきた結果、七月末現在、
保険料において四千九百四十一万円(目標に対して七割三分二厘)
保険金において八十六億九千八百余万円(目標に対して七割五分八厘)を募集し、ほぼ昨年と同様の成績を示しております。また、年金においては千九百七十万円(目標の七割)を募集しております。なお、今後の
推進方策として九、十両月を
完成期間として強力なる運動を展開するよう準備中でありました。
第四に、
郵便局舎の状況及びこれが
整備計画についてでありますが、当管内における
郵便局舎は千四十一局でありますが、そのうち経年三十年以上のものが百六十四局で、全体の約二二%に当っております。ことに、
特定局の大半は木造の建物であるのに加えて構造脆弱なものが多く、
風雪凍上等のため、その
損傷度も他管内に比し、著しく高いのであります。従って、新改築を要する局舎も多い実情にあります。昭和二十六年度以降二十九年度までに新築せられたもの、国費、自費を合せ七十一局でありまして、昭和三十年度からは
郵便局局舎緊急改善八カ年計画の線に従って、三十年度十四局、三十一年度二十七局、三十二年度二十九局を新増築し、
本年度は三十八局の新増築を見る予定であります。なお、計画の
最終年度たる三十七年度末までには八十九局を予定しております。
次に、
電気通信局関係について申し上げます。管内における
電話普及状況は、本年三月まで現在総
加入数十四万六千六百三十加入でありまして、
うち自動加入数は四万五千七百四加入(局数九局)であります。その
普及率は、人口百人当り二・三七%であり、また、その
自動化率は三九・二%でありまして、この率は
全国平均が、前者が二・八九%、後者が五七・二%であるのに比し、相当低位にありますので、今後さらに施設の拡充が望まれるところであります。
第一次五カ年
計画期間中に
サービス開始した主要なるものは、
自動改式四局、
短距離即時一区間、
長距離即時三区間、
長距離ケーブル一区間、
マイクロ施設一区間、
市外局開始一局、
電報中継機械化二局でありますが、本
年度施設の拡充または
サービス向上のため
計画実施中のものは、
電話局の建設十一局、
長距離手動即時六区間、
短距離自動即時三区間、
マイクロ建設三区間、
電報中継機械化一局等であります。
市外電話回線は、
市外通話の増加に伴い毎年拡充されてきましたが、三十二年度においては二百八十四回線、
回線延長七万二千三百六十五キロが増設され、著しい伸びを示したのであります。しこうして、
本年度初頭における
現有数は二千四百五十七回線、二十一万六千六百二十一キロであります。一面、
運用保全の
サービス面においても待ち合せ時分の短縮、市内及び
市外電話の障害の
減少等成績の向上に見るべきものがありました。
無
電話部落に対する
電話普及対策としては、
農村公衆電話、
地域団体加入電話を架設し、もってこれが解消をはかっておりますが、道内における
対象部落数は千七百六十二であり、昭和三十一年度以降
本年度末までに千七十(
本年度は予定)を架設し、残り六百九十二部落に対しては、来年度以後措置することになっております。なお、このほか
地域団体加入電話を本年三月末までに四カ所開通せしめ、
本年度も四カ所を計画しております。
電話の
開通状況と積滞の模様について申し上げてみますと、電話の架設は、二十八年度一万五百三十二加入、二十九年度七千八百三十三、三十年度七千九十九、三十一年度八千三百一、三十二年度一万二千九百六十二でありまして、
相当数の開通を見ておるのでありますが、三十二年度末においても、なお二万三千百七十一の積滞があり、積滞は依然として減少の傾向を示さない状況であります。
次に、
電波監理局関係について申し上げます。
電波関係につき、まず第一にあげなければならないことは、
監理事務は激増しておるにかかわらず、要員がこれに伴っていないことであります。最近における
電波利用の増大に伴いまして、管内におきましても、監理の対象となるものは、
無線局三千五百十七局(本年六月末現在)、
有線放送設備九百五十四(本年三月末現在)、
高周波利用設備五百十二(本年三月末現在)
私設有線通信設備百七十五(本年六月末現在)というように昭和二十八年度のそれに比し、二倍ないし四倍の増加を示しておりますが、ことに、
電波監視業務に至っては、約三十五万件と十二倍の増加を示しております。このほかにも、昨年より
本省事務が大幅に地方に移譲されたものもあり、事務は非常に激増を来たしているのであります。にもかかわらず、これが要員を見ますと、現在二百五十九名でありまして、昭和二十八年同期に比して逆に十名の減員となっていることは、何としても納得のいかないところでありまして、
相当程度の増員を要するものと認められたのであります。
次に、
有線放送施設の
普及状況につきましては、本道は面積広大、
交通不便等のため、本施設は昭和十八年、まず、
ラジオの
共同聴取という形で創始せられましたが、戦後いち早くこれにマイクを付置し、
受信者にニュースその他の通知をしたところ、多大の効果をおさめるとともに、当時の
社会情勢に適応したため、大きな反響を示し、
道内各地に急激に普及したのであります。次いで昭和三十年に至り、さらに本施設に
電話機等の
通話装置を付置したものが出現し、ますます普及される傾向にあります。本道における
共同聴取施設は、昭和三十二年八月一日現在四百三十四施設(
うち相互通話可能施設数は百十三)を数え、その
線路亘長は三万二千キロにも及んでおります。
新法施行以後新たに施設せられたものは二十三施設あり、本年七月末現在における
有線放送電話許可済施設数は百三十六施設であって、
加入総数は四万四千七百四十八となっております。なお、
手続未済のため未許可のものが
相当数ある趣きであります。
次に、
NHK及び
民間放送局について申し上げます。
NHKは本年一月札幌の大
電力化と道内十一
標準放送局の開設により、その
サービス・
エリアは全道をおおっておりますが、なお、
日本海寄りの一部と
根室海峡寄りの一部に
難聴地域を残しており、後者につきましては、
放送局開設の申請がなされております。
放送受信施設の
普及状況は、五月末現在七十五万四千
余施設でありまして、その
普及率は八四・一%となり、名古屋、東京に次いで全国第三位であります。
テレビジョン放送は昭和三十一年十二月札幌が開設、続いて函館が放送を開始いたしましたが、
目下工事中の室蘭が十一月開局を予定せられているほか、
旭川局についても
予備免許が与えられましたので、
電電公社の
マイクロ施設の完成を待って今年十二月ごろには開局の
見込みであります。七月二十日現在の
聴視施設は二万四千六百八十八でありまして、急激に増加の傾向にあります。
なお、
テレビジョンについては、小樽市の一部に
難聴視地域がありますが、これは同市の地勢上山地の陰となる地域でありまして、何らかの措置が望まれるものでありますが、
NHKとしても、
ブースター局の設置を考えておる趣きであります。
北海道放送は昭和二十六年創業以来順調なる発展を遂げ、道内八市に
放送局を開設しており、さらに十月には
名寄放送局が開局することになっておりますが、その暁は全
道世帯数の大部分がその
サービス・
エリア内に含まれることとなります。
営業状態はきわめて順調で、
資本金も逐次増資して現在は五億円となっており、配当も一割の線を維持しておる状況であります。
札幌テレビ放送株式会社の
設立準備も着々進行し、本年三月三十一日
創立総会を開き役員を選任して、同日付で
予備免許に対する確認書の交付も受けております。
目下社屋の建設、
空中線設備、
技術者の養成、
放送機器の
発注等各般の準備を進めておる状況であります。また、
資本金は五億円でありまして、
営業開始は明年四月一日と予定せられております。
最後に、各局より受けました陳情について申し上げます。まず、
札幌郵政局より、
一、
石炭手当については、その
支給額に対し最高二二%、平均一三%程度の税が賦課されるため、所要量の石炭が購入できない実情であるから、課税を免除せられたいというのであります。本件は、各局よりそれぞれ同様の陳情があったものであります。
二、無
集配特定局の
設置方については、土地の広大なること及び
総合開発計画の進展に伴い設置の要望が強いので、国策の線に沿って
増置方を考慮せられたい。
三、管内においては
郵便従事員の畜犬による咬害がひんぴんとして起るので、畜犬の
係留義務を内容とした畜犬法を制定せられたい。
四、
簡易生命保険最高制限額は二十五万円ではなお不十分であるから五十万円まで引き上げるよう御協力を願いたい。
五、
簡易生命保険料の
払込額は年額三万円を限度として、年間総
所得額から一万五千円までは全額、一万五千円を超える額はその二分の一を控除せられているが、これを五万円程度に引き上げ、そのうち三万円までは全額控除するよう改正せられたい。
北海道電波監理局より、
一、
漁業用無線局のごどく、局数は増加の一途をたどるのに、使用周
波数、使用時間などが不足しているものについては、早急に
SSB方式への切りかえを実施する必要があるものと考えられるが、この場合は短期間に切りかえを要するので、
電波法第七十一条による
国家補償がなされるよう御配慮を仰ぎたい。
二、現在
監理局庁舎の位置は札幌市の南端に偏在し不便であるから、市の
中央部に移転できるよう御考慮を願いたい。
三、
電波関係職員は同一
郵政省内にありながら
適用俸給表を異にするため、給与上に著しい開きができておるが、かくては職員の
勤労意欲にも影響があるばかりでなく、
人事交流にも支障があるので
是正方何分の御高配を賜わりたい。
札幌及び
北見郵便局より、
局舎がいずれも老朽狭隘であるので、早期に
新築方御配慮を願いたい
等の点について熱心なる陳情を受けたのでありますが、これらはいずれも相当理由があるものと思料せられますので、政府においても早急に考究せられんことを望むものであります。
以上をもちまして御報告を終ります。