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1958-06-20 第29回国会 参議院 逓信委員会 第2号 公式Web版

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  1. 郵政事業の運営に関する調査の件 (会議録情報)

    昭和三十三年六月二十日(金曜日)    午後一時三十五分開会     —————————————    委員の異動 六月十二日委員吉田萬次君及び藤原道 子君辞任につき、その補欠として堀木 鎌三君及び横川正市君を議長において 指名した。 六月十八日委員手島栄辞任につき、 その補欠として剱木亨弘君を議長にお いて指名した。 本日委員光村甚助辞任につき、その 補欠として山口重彦君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     宮田 重文君    理事            松平 勇雄君            山田 節男君            長谷部ひろ君    委員            石坂 豊一君            黒川 武雄君            堀木 鎌三君            前田佳都男君            最上 英子君            横川 信夫君            鈴木  強君            三木 治朗君            森中 守義君            奥 むめお君   委員外議員            光村 甚助君   国務大臣    郵 政 大 臣 寺尾  豊君   政府委員    郵政政務次官  廣瀬 正雄君    郵政省電波監理    局長      濱田 成徳君   事務局側    常任委員会専門    員       勝矢 和三君   説明員    郵政事務次官  小野 吉郎君    郵政省人事部長 佐方 信博君    郵政省監察局長 荒巻伊勢雄君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業運営に関する調査の件  (郵政省所管事項概況に関する  件) ○電気通信並びに電波に関する調査の  件  (郵政省所管事項概況及び日本電  信電話公社事業概況等に関する件)     —————————————
  2. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員変更について御報告いたします。  去る十二日藤原道子君が辞任され、横川正市君が選任されました。また、十八日手島栄君が辞任され、剱木亨弘君が選任されました。さらに、本日光村甚助君が辞任され、山口重彦君が選任されました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  3. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) それでは速記をつけて下さい。     —————————————
  4. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 次に、このたび新たに就任されました郵政大臣及び政務次官から発言を求められております。これを許します。
  5. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) 私は今回、はからずも郵政大臣に就任をいたすことになりました。浅学非才の上に、長く党務あるいは国会運営等に専念をいたしておりまして、この方面のことにつきましては、全く勉強も足りない、あるいはほとんど長く関係もいたしませんために、果して私のこの重責が果し得られるかどうかということに非常な危惧の念を持つものであります。従いまして、私のこの重責というものは、委員長外委員皆さん方の御指導と御庇護、御協力を賜わらなければ、私の職責が果し得ないではないか、かように考えているわけであります。何とぞ各位におかれましては、何かにつけて御指導をいただき、また、私も十分勉強もいたしまして皆さん方の御期待にもおこたえを申し上げたい、かように考えております。一々参上いたしましてごあいさつも申し上げ、お願いもいたしたいと存じておりますけれども、まだその意を得ず御無礼をいたしております。どうかよろしくお願いを申し上げます。  簡単でありますけれども、ごあいさつにかえたいと思います。(拍手
  6. 政府委員(廣瀬正雄君)(廣瀬正雄)

    政府委員廣瀬正雄君) 私は廣瀬でございますが、今回、はからずも郵政政務次官を仰せつかりまして、まことに光栄に存じております。私はかつて逓信院時代に御厄介にあずかっておりました経験を持っておりますけれども、その知識はきわめて非現行であります。また、国会に入りましても、逓信委員に席を置いておりましたけれども、まあ国会に提出されました問題に取っ組むというような程度でございまして、郵政省所管の全般の仕事にはきわめてうといのでありまして、これから一生懸命に勉強させていただきたいと思っております。幸いに私のお仕え申し上げる郵政大臣は、参議院にその人ありと知られた名大臣寺尾先生でございますので、すべてこの大臣のお指図に従って忠勤を励んで参りたい、かように考えております。  まことに愚鈍の私でございますが、どうぞ皆様方の格段なる御協力を切にお願い申し上げまして、私のごあいさつにかえる次第であります。(拍手)     —————————————
  7. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 次に、郵政事業運営に関する調査及び電気通信並びに電波に関する調査を一括して議題といたします。  郵政大臣より所管事項について説明願います。
  8. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) それでは、私から所管事項につきまして概略御説明申し上げます。  まず、労働問題について申し上げます。御承知通り郵政事業は二十数万という多数の職員を擁し、しかも、業務の性質上、営々人力によって運行される面が多いのでありまして、労働運動事業に及ぼす影響はきわめて大きいものがあるのであります。ところが、先般の春季闘争におきまして、全逓信労働組合からは数名の解雇者までも出さなければならなかったことは、まことに遺憾に存ずるところでありまして、今後は一日も早く労使関係を正常に戻し、事業の円滑な運営に努力して参りたいと考えております。  なお、私といたしましては、今後積極的に労働条件改善に努力いたす所存であり、組合側も合法的な運動を行うよう期待する次第でありまして、今後とも法に違反する闘争に対しては、厳重な態度をもって、これに臨み、もって民主主義のルールにのっとつたよい労働慣行を樹立し、いやしくも、先般の春季闘争のような事態を繰返さないように努力いたしたいと考えております。  次に、郵便事業について申し上げますと、その運営は依然として順調に進んでおります。これを取扱物数の面から見ますと、昭和三十二年度郵便物引受物数は、五十四億四千万通をこえ、前年度に比べて的七・二%の増加となっております。本年度に入りましてからも物数の伸びは好調でありまして、四月、五月の二カ月間の実績は約八億通で、昨年同期に比べて約八%の増加を示しております。従いまして、収入の面におきましても、おおむね好成績を上げているような状況であります。  次に、お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。第二十八回国会に、お年玉つき郵便葉書等発売に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、審議未了となつだのであります。しかしながら、本件は社会的に早急に解決を迫られており、また、今年度発行計画決定は八月早々行わなければ事務に支障を生じますので、あらためて今国会に提出いたしたいと考えております。その節は何とぞよろしく御審議を賜わりますようお願いいたします。  次に、郵便局の増置につきましては、国民一般の要望はきわめて強いのでありますが、従来は定員および予算等の制約を受けまして、毎年五十局程度しか増置できなかったのでありますが、本年度は二百局を増置することになっております。  ソ連あて郵便物につきましては、目下のところ、米国およびヨーロッパ諸国仲介によりまして送達されておりますが、このたび、わが国ソ連との間に通商航海条約が成立いたし、日本海経由定期船が就航することとなりましたので、ソ連郵政庁交渉の結果、直接交換を行うことができることとなったのであります。  なお、ヨーロッパあて郵便物ソ連経由による送達につきましても、同国郵政庁承認を得ておりますので、この方面にあてる郵便物送達日数も著しく短縮される見込みであります。  郵便局舎改善につきましては、昭和三十年度初年度とする八カ年計画を立て、この改善を行なって参りましたが、おおむね予定通り進行いたしております。  次に、郵便貯金及び簡易保険について申し上げます。郵便貯金の現在高は、すでに約七千四百億円に達するという巨額に上っているのであります。御承知通りこの金は、年々資金運用部を通じて財政投融資に充てられておりますが、その資金の過半を占めており、わが国の興隆に大きく役立っているのであります。一方、簡易保険郵便年金積立金郵便貯金と同様に財政資金として大いに役立っており、特に地方公共団体各種公共事業に融資されまして、地方の開発に大きく貢献いたしております。  三十三年度におきましては、これら国民貯蓄をさらに増強いたしまして、一そう国家資金の充実をはかりますとともに、事業経営基礎を強固にするため、郵便貯金一千百五十億の純増加簡易保険郵便年金運用原資一千億円確保目標として、これらを強力に推進いたしていきたいと思います。  次に、外国との郵便為替交換業務等について申し上げます。インドビルマ及びパキスタンとば、いずれも英国仲介によりまして郵便為替交換実施しておりますが、仲介業務の不便を排除いたしまして直接交換を行うため、それぞれ郵便為替条約締結するよう相互草案交換して交渉中であります。インドにつきましては、本年一月双方の意見が完全に一致いたしましたので、目下条約締結について準備中であり、また、ビルマにつきましては、条約草案について意見が一致いたし、目下ビルマ側正式回答を待っております。  フィリピンとの戦前の郵便為替条約は、平和条約の規定に基いて廃棄されたものとみなされるに至りましたので、これにかわる新条約締結につきまして、条約草案を作成するとともに、外務省を通じてフィリピン側の意向を打診中であります。  ブラジルとの間には、現在郵便為替交換実施すべき準拠条約がありませんので、かねてからその締結につきまして種々交渉を進めておりましたが、業務実施方式につきましては、ほぼ意見の一致を見るに至ったのであります。しかし、ブラジル側におきましては、為替管理局承認を要しますので、目下同国側正式回答を待っております。  英国との間に現在行われております郵便為替条約は、明治四十一年に締結したものでありまして、現在の実情に沿わない点が多くあり、これを改締する必要がありますので、相互改締案交換して交渉を進めております。  なお、万国郵便連合郵便為替約定加入した国で、いまだわが国郵便為替業務の取扱いを実施するに至らないタイ、インドネシア等の国々とは、かねてからその実施につきまして交渉を進めており、また、大韓民国との業務実施につきましても大蔵省と協議中であります。  次に、電波関係について申し上げます。  まず、最近の無線局開設状況について簡単に申し上げます。電波に対する社会需要は増大する一方でありまして、最近一年間の無線局増加は約七千百局で、月平均約六百となっております。無線局数は、三十三年三月末で、三万二千をこえており、昭和二十五年電波法制定当時に比し、約八・六倍となっております。これら無線局事業別に見ますと、漁業、警察、消防等公共保安業務陸上海上運輸事業アマチュア無線電力事業公衆通信事業放送事業等がそのおもなものとなっております。  電波に対する需要は、今後ともさらに増大するものと考えられますが、割り当てられる電波には限りがありますので、当省といたしましては、電波が能率的かつ公平に利用されるよう、研究し努力したいと考えております。  次に、放送関係について申し上げます。標準放送局は、予備免許中のものを含めまして総数三百一局であります。このうち、日本放送協会のものは、第一放送が百十一局、第二放送が九十一局、計二百二局であります。また、一般放送事業者のものは四十二社九十九局であります。その普及状況について申し上げますと、受信契約者数は、五月末で約一千四百七十万となっており、これは、全世帯数の約八三%に当っております。  テレビジョン放送につきましては、放送中のものは、日本放送協会が十九局、一般放送事業者が七社七局でありまして、予備免許中のものは、日本放送協会九局、一般放送事業者十九局となっております。また、受信契約者数は、五月末約百二万となっておりまして、この一年間に約五十四万の増加となっております。  さらに、カラーテレビジョンにつきましては、日本放送協会VHF帯及びUHF帯において、また、日本テレビ放送網株式会社が、VHF帯実験を行なっております。  また、FM放送につきましては、日本放送協会東京大阪において実験実施しております。  当省といたしましては、これらの問題につきましては、わが国における社会的経済的文化的事情、諸種の技術的問題、さらに諸外国における資料等を十分研究し、その基本的あり方決定いたす考えであります。  次に電気通信事業について申し上げます。日本電信電話公社は、昭和二十八年度初年度として電信電話拡充第一次五カ年計画を策定し、鋭意その完遂に努力いたしました結果、計画相当に上回る好成績をおさめて、その幕を閉じたのであります。しかしながら、昭和三十二年度末における積滞数は約六十万を数え、需要は、さらに増大する見込みであります。  このような需要に対処するため、日本電信電話公社においては、昭和三十三年度を起点とする第二次五カ年計画を樹立したのでありますが、その概要は次の通りであります。  第一点は、この期間中に百三十五万の加入電話増設し、別に農山漁村電話普及対策として七万を増設する。  第二点は、この期間中に六万五千個の公衆電話増設する。  第三点は、市外回線増設キロ程を約四百三十万キロメートルとし、全通話数の約六〇%を即時化する。  第四点は、全国にわたってマイクロウェーブ施設を整備し、テレビ中継網の形成を促進する。  第五点は、電報中継機械化を完了し、加入電信普及をはかる、等であります。  なお、この計画に要する資金総額は約四千百億円でありますが、その調達は、減価償却引当金収支差額等を合せて自己資金が約二千三百億円のほか、加入者引受債券公募債資金運用部資金及び簡保資金借入金等外部資金が約一千八百億円となっており、この外部資金獲得成否が、この計画遂行成否を左右するものと考えられるのであります。  昭和三十三年度建設勘定予算は、自己資金五百八十九億円、外部資金百六十一億円を財源とする総額七百五十億円であります。なお、すでに認可いたしました弾力条項発動額三十億円がありますし、さらに加入者開通増加により、年度末にはまた弾力条項発動が予想されますので、これらを合せますと建設費総額は、八百億円をこえることもでき、第二次五カ年計画遂行上、初年度として不安のない見込みであります。  この財源に充当されます外部資金中には、借入金として資金運用部資金二十億円、簡保資金十五億円、計三十五億円が予算に計上されております。繰り越し発行公募債三十億円は、全額簡保資金で引き受けているのであります。  次に、国際電信電話株式会社業務について申し上げます。国際電信電話株式会社は本年四月で設立後満五年を経過したのでありますが、金融引き締め等事情によりまして、最近国際通信量は伸び悩みの状態となり、第十期利益金処分の結果を見ますと、営業収益は前期及び前年同期に比較して、それぞれ減少を示しておりますが、経費の節減等によりまして年八分の配当を維持しております。しかし、将来の見通しといたしましては、最近若干通信量の立直りも見られますので、さして心配することもないと存じております。  以上をもちまして、私の報告を終りたいと思いますが、なお、詳細の点につきましては御質問をいただきましてお答え申し上げたいと存じます。
  9. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 次に、梶井総裁から公社事業概況について御説明を願います。
  10. 説明員(梶井剛君)(梶井剛)

    説明員梶井剛君) 日本電信電話公社の最近の事業概況につきまして御説明申し上げます。  公社発足以来鋭意努力いたして参りました第一次五カ年計画は、おかげさまでおおむね順調な成果を上げ本年三月をもちまして終了いたしました。すなわち、この五カ年間に約百九万の加入電話並びに四万六千の公衆電話増設し、この結果三十三年三月末の加入電話の数は二十七年度末における百五十五万の一・七倍に相当する二百六十三万七千となり、公衆電話も同年度末における二万の二倍強に相当する六万六千となりました。  また、市外回線につきましても五カ年間に約二百二十万キロを増設し、三十三年三月末の公衆市外電話回線は、二十七年度末における百十一万キロの約三倍に相当する三百三十万キロとなり、この結果、市外通話サービス相当に向上しまして大都市相互即時通話となっております。  また、電報中継機械化予定の五〇%しか実施いたせませんでしたが、電報は受け付けてから配達されるまで普通電報で二十七年度の八十三分から五十四分に短縮され、電報の間違いの字数も一般電報で一万字当り一八・〇字であったものが、二・七字となり、相当改善の跡を示しております。  このほか、三十三年三月から神戸、京都、堺におきまして新たに加入電信サービスを開始し、すでに実施中の東京大阪、名古屋を合せまして三月末現在四百五十四加入となっております。  しかしながら、加入電話需要充足率は依然、わずか三〇%内外にとどまり、本年三月末現在、五十八万の需要が積滞している状況であり、市外通話につきましても、大部分は依然として長い待合せ時間を要しております。  このため公社は、引き続き三十三年度より第二次五カ年計画の実行に着手することといたしておりますが、そのおもなる目標としましては、第一次五カ年計画よりも規模を拡大いたしまして、 一、五カ年間に百三十五万の加入電話増設し、昭和三十七年度末には加入数を約四百万、電話機数を約六百万とすること。 二、公衆電話を六万五千個増設し、現在の二倍に増加すること。 三、市外回線を四百三十万キロ増設し、主要都市及び県庁所在地その他これに準ずる都市相互等長距離主要区間並びに関係の密接な近接都市相互間及び同一経済圏内等近距離区間市外通話即時とすること。 四、市外通話即時化に要する市外回線増設並びにチャンネル・プランの決定によって今後増加するテレビ放送中継網需要にこたえるために、マイクロウェーブ同軸ケブル等市外伝送路拡充整備を図ること。 五、電報中継機械化を完了するとともに、加入電信サービス全国普及させること。 六、合併市町村に対する電話サービス改善を一応完了するとともに、農山漁村等電話普及させ、無電話部落を解消すること。 等であります。  この計画実施するための所要資金は約四千百億円に上り、このうち約一千八百億円を外部資金に仰ぐことを予定しておりますが、これの調達につきましては、相当の困難が予想されますので、特に皆様の御理解と御援助をお願いする次第でございます。  三十三年度予算はただいま申し述べました第二次五カ年計画初年度分に当るわけでありますが、その骨格は、事業収入につきましては千六百九十三億円の見込みでありまして、三十二年度予算に比べ二百二十一億円の増加となります。この収入見積りは、昨年四月から十月までの収入実績基礎とし、かつ経済の動向は、三十三年度におきましても現状を維持するものとして算定したものでありますが、昨年後半に至りまして景気の低迷の影響を受けまして、収入実績下降傾向をたどっておりますので、本年度収入確保につきましては格段の努力をいたさねばならないと存じております。  支出は、一千四百二十三億円でありまして、給与総額は五百六十八億円となっております。  以上の結果、収入差額は二百七十一億円となり、このほとんどを建設財源に充てることとなっております。  次に、建設勘定でありますが、三十三年度総額七百五十億円でありまして、前年度の六百三十四億円に対し百十六億円の増加となっております。  建設資金調達ば、自己資金を五百八十九億円、外部資金を百六十一億円と予定しておりますが、外部資金の内訳は、加入者及び愛益者債券六十七億円、電話設備負担金五十九億円、運用部資金二十億円及び簡保資金十五億円となっております。  建設工程について申し上げますと、加入電話二十六万二千加入公衆電話一万四千個、市外回線六十五万八千キロを増設してサービス改善をはかることといたしております。市外電話サービス改善につきましては、第一次五カ年計画中に実施いたしました各地方中心都市相互間の長距離即時サービスを維持するとともに、三十三年度はこれらの大都市主要都市との即時サービスを開始することとし、また、近接都市間の市外通話即時化するよう計画いたしております。  次に、基礎工程でありますが、三十二年度末におきまして設備が行き詰まって電話増設ができない局は約三百三十局に達しますので、これの対策並びに市外通話自動即時化をはかるため、三十三年度におきましては前年度より継続の六十三局のほか、九十二局の工事に着手し、合計百五十五の新電話局建設工事を行いますが、このうち年度内に完成してサービス開始をする局は六十一局の予定であります。  市外伝送路につきましては、市外通話即時化並びにテレビジョン中継網拡充をはかるため、同軸ケーブル及び無装荷ケーブルを前年度より五区間増の十二区間に布設するとともに、マイクロウェーブにつきましては、前年度からの継続区間のほか、既設の幹線のルート増設並びに十五区間の新設に着手する計画であります。  なお、電報中継機械化につきましては、前年度と同様五局について行います。  次に、町村合併に伴う電話サービス改善計画は、前年度に比し十億円増の三十億円をもって実施することとし、二百三十七局の電話局を合併するとともに、市外回線を一万三千六百キロ増設し、同一市町村内の市外通話サービス改善をはかりたいと考えております。  農山漁村電話普及特別対策につきましては、前年度の倍額の三・十億円をもって四千個の公衆電話及び一万二千加入共同電話を設置するとともに、現在試行中であります地域団体加入電話の制度を本実施に移すこととし、約百カ所に設置する予定であります。  次に、最近の労働情勢について申し上げますと、本年二月、全電通労組公社に対し、昨年からの継続交渉事項であります賃金体系中の等級撤廃等を含めました賃金問題のほか、年度手当の支給、電話交換自動方式への変更に際しての勤務時間の短縮等十三項目要求書を提出し、春季闘争に入りましたが、四月三日公共企業体等労働委員会から提示されました基本賃金引き上げに関する仲裁裁定を契機といたしまして解決の方向に向い、同五日未明、等級撤廃住宅手当及び結婚手当の問題は未解決のまま、その他の項目につきまして妥結上、春季闘争は一応終了いたしました。妥結に際しまして継続交渉となりました問題につきましては、引き続き誠意をもって組合交渉解決をはかるよう努力いたしたいと存じております。  なお、この間におきまして、組合は数次にわたって勤務時間内職場大会等実力闘争を行いましたので、公社は四月二十八日付をもって三十名の停職を含めまして総計八万一千四十四名の処分を行いました。かかる事態を招きましたことは、国民の負託を受けて電信電話事業運営いたしておりますわれわれといたしましても、まことに遺憾に存ずるところでありまして、今後労使関係平常化をはかり、事業の円滑なる運営に努めて参りたいと存じます。  次に、前回の国会におきまして成立いたしました法律に関しましてその後の実施状況を申し上げます。まず、日本電信電話公社法の一部を改正する法律につきましては、五月二十八日付をもって監事二名を任命し、さらにその事務局として簡素にして強力な監事室を設けることといたし、六月二日付をもってそのスタッフの発令を行いましたが、改正の趣旨を体し、公社経営の合理化の推進に有効に役立てて参りたいと存じております。  また、公衆電気通信法の一部を改正する法律及び電話加入権質に関する臨時特例法につきましては、それぞれ七月一日、八月五日実施を目途に立法の趣旨を体し、これが取扱いに遺憾のないよう具体的手続につき鋭意準備中であります。  以上をもちまして説明を終らせていただきますが、終りに臨みまして、公社電信電話拡充第二次五カ年計画を遂行し、電信電話サービスの向上並びに企業の合理化と業務能率の向上を強力に推進いたしたいと存じますが、そこには幾多困難な問題が山積しておりますので、今後ともよろしく御指導と御援助を賜わりますよう御願い申し上げる次第でございます。
  11. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 以上の御説明につきまして御質疑がございますか。
  12. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 質問に入ります前に、資料の件で私は郵政当局にただしたいと思います。  二十八国会の四月二日に郵政当局に資料の提出を求めました。当時の田中郵政大臣が、その資料については若干日数を要するということで暫時私は待っておりました。四月の八日に再びこの資料の提出を要求いたしましたところ、そのときにはすみやかに提出をするよう事務当局に命令をする、こういうことでありましたが、本日に至るもなおその資料の提出が行われておりません。これは今日問題となっている全逓と郵政省との紛争ないしは全逓と検察当局との紛争、この問題にきわめて重要な関連を持つ資料でありますから、郵政省ではいかなる理由でこの資料の提出を行われないのか、新大臣から明瞭にその答えを承わりたいと存じます。
  13. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) このことについては、事務当局から説明をさせたいと思います。
  14. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 資料の提供を願いたいというお話を承わりまして、省内におきまして関係の部局におきましては、いろいろと材料を出させて、所要のものにつきましては検討をさせたのでございますが、何分にも広範なることにわたることでもありますし、また、外に対して発表を差し控えるようなものにもわたるものがありますので、慎重にその資料の整備等に当って参った、こういう次第でございます。
  15. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 趣旨はわかります。しかし、私も法制局あるいは専門調査室その他いろいろ資料の提出の問題について相談をして参りましたが、これを拒む理由はありません。国会法の百四条をごらんいただきたい。もちろん約二カ月とだいぶ経過いたしておりますが、たとえ私がお願いをした資料が広範にわたろうと、郵政省という組織的な事業の中において、二カ月有半にわたって資料の整備ができないということはないはずです。加えてまた、機密にわたる事項というようなお話でございますが、その話になればなおさらのこと、私は田中郵政大臣に対して、日米行政協定あるいはMSA協定、こういう問題に関連した事項であるならば、それも国会法じゃ許されません。しかし、不文律という形の中において資料の提出を慣行上なすことは、今まで見のがされて参った事例は二、三あります。しかし、防衛関係以外の問題で国会法第百四条の規定に照らして、行政当局に対する立法府の資料の要求を拒んだ前例はありません。もちろん私は資料の要求以来本日まで二カ月の間地方に下っていた・そういうこともありますが、委員会はその間に開かれております。中二回開かれております。そうして四月八日が最後の私の督促であります。その後の委員会においてでも、当然、今回はこうであるから提出できない、理由はかくかくである、かようなことを私は郵政省当局からこの委員会に釈明されるのが当然であろうと思う。にもかかわらず、ここに出されないということは、あげて郵政当局が国会に対する軽視というか、あるいは要求議員に対する侮辱というか、そういうようにも私はとらざるを得ないのであります。もちろん、そういう不遜な考えではないであろうけれども、この点については事情が明らかになったと思います。大臣としてはどう考えますか。
  16. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) 資料の御要求が四月二日に要求をされたということに対して、今日その経過あるいはそれに対する何らのお答えもしていなかったということにつきましては、所管の大臣として心からおわびを申し上げます。このことは事務当局としては、はなはだ不行き届きであり、今後に対しましては十分私におきましても注意をいたしまして、早急に御要望に沿うようにいたします。
  17. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 大へんけっこうです。それでは私は重ねてただいまの資料の御要求をいたします。その一つは、昨年の九月以降四月の二日まで行われて参りました郵政局長会議及び郵政監察局長会議、この二つの会議の議事録及び会議に付された案件、それが第一であります。さらに、昨年の九月以降同じ期間において監察局長、人事部長、郵務局長組合対策として地方の長に対して発した文書、これの全文、さらに地方の郵政局長、監察局長などが労働組合関係する報告を郵政大臣あてに行なっております報告書の全文、そうして最後に、監察——同じ期間でありますが、同期間における当時の田中郵政大臣が郵政局長、監察局長会議等に行なった訓示もしくは演説、指示、こういう内容の全部を御提出願いたい。これはきわめてみすやかな機会に提出を要求いたします。
  18. 松平勇雄君(松平勇雄)

    ○松平勇雄君 ただいまの森中委員からの資料御要求の問題でございまするが、国会法の第百四条には、「各議院又は各議院の委員会から審査又は調査のため、内閣、官公署その他に対し、必要な報告又は」云々と書いてあるわけでございますので、今の森中議員から要求された資料というものは、委員会から要求するかどうかということを一応お諮り願わなければいけないと思うのですが、いかがでありましょうか。
  19. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 百四条の解釈からいけば、確かに松平議員が言われる通りの手続が必要であります。しかし、私は議席を持って長い期間ではありませんが、およそ私は国会に出て以来、ずっと逓信委員会に席を置いております。その後、その他の委員会にも出て、同様な資料の要求をして参りましたが、この条文を中心にして委員会の決議であるとか、委員会として要求するとか、そういうむずかしい論議を聞いたことはありません。個々の議員がそれそれの国会審議ないしは調査に必要な資料として要求した場合には、そのことはそのまま資料として提出をして参ったのが今までの慣行であり、先例であります。にもかかわらず、この問題に限って、さように四角ばった条文の解釈をするということは、いささか私は穏当を欠くと思うのでありますが、その点について、どうしても郵政当局にそのことを出させ得ない、そういう理由がおありとするならば、その理由もあわせて私はお答えをいただきたいと思う。
  20. 松平勇雄君(松平勇雄)

    ○松平勇雄君 私は郵政当局にどういう意向があるかということは存じませんが、今、森中議員からほかの委員会でもこういった問題が起った事例がないということをおっしゃいましたが、私はそういった事例に一つ遭遇したことがあるのであります。それは決算委員会において、共産党のある議員から資料を防衛庁に関して要求された問題に関しまして、やはりそれを提出を要求するかどうかという問題で、まあ委員会で問題になった。そこで、委員会に諮って決議をして、それを要求しなかった事例があるわけなんです。私はそれを考えまして今申し上げたわけでございます。前例がないとおっしゃいましたが、前例はそういったのが、私は実際に体験いたしたことがございます。それでお諮りいたしたわけでございます。
  21. 委員外議員(光村甚助君)(光村甚助)

    委員外議員光村甚助君) 委員ではありませんけれども、委員長の許可を得ましたので発言をいたしますが、森中君が個人的に要求をしたのではなくて、委員会を通じてやっているのです。いわゆる森中君が発言をして、大臣がそれを認めたのです。これは直接取引をやったのではなくして、委員長を通じて森中委員は発言した。大臣委員長を通じて答弁しているのです、出しますと言って。二回目に出さないから、今度は森中委員からまた再度要求した。ところが、文書課長は、森中先生の了解を得て、出さなくてもいいということをおっしゃいましたと、こう言ったので、森中委員は、それはけしからぬじゃないか、そういう言質を与えたことはないという——委員会の取引で、個人がやったのではなくて、委員会を通じてやったのだから、あなたの言っていることはそれは間違いですよ。
  22. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 申し上げますが、この前のときには、委員会で森中氏から御発言があって、それで郵政大臣がおられて、それじゃ出すようにということで即座に答えたような格好であったので、その間委員長を通じてというようなことはなかったのですよ。ただ、あらためてそういう資料の再提出を求める際に、前のものだから請求ということでありましょうけれども、松平委員のおっしゃるのは、やはり委員会の意向としてそういうものも要求するというような形をとっていくのが尋常であろうということで言っておられるのだろうと私は解釈するのですよ。
  23. 鈴木強君(鈴木強)

    ○鈴木強君 ただいまの資料提出の件ですが、なるほど百四条の法解釈から言いますと、私は松平委員のおっしゃる通りだろうと思うのです。しかし、その運営については、今日まで現実に、今委員長もおっしゃったように、その即座の場合として各委員から資料の要求をお願いして、大体当委員会においては——私二年近い短かい期間の経験でございますが——出していただいておるのです。そういう従来の慣行からこの問題をやはり取り上げていただきたいと思いますから、また、他の委員会等においてそういうことがあったかもしれませんが、本委員会としては、委員長の御判断で、いつも委員会できめたという形でやっておると思うのです、格好としては。ですから、今の要求に対して、どうしても提出してはまずいという理由があるならば、これはやはり当委員会として論議していただくのもけっこうでしょうが、この問題に関する限りは、前委員会からの継続的な問題でありますので、いまさら条文の解釈をされてもわれわれとしてはいけぬわけです。ですから、今までの慣行通り一応この問題はやって、今後一つルールとして、委員からそういう要求があった場合には、委員会決定としてはっきり採決をして、委員長の方で取り計らっていただいてもいいと思いますから、今の場合は従来の慣行でやっていただきたいと思います。
  24. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 速記をとめて。    午後二時二十九分速記中止      —————・—————    午後二時四十九分速記開始
  25. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 速記つけて。  ただいまの資料の問題につきましては、当局において誠意をもってお取扱いを願うようにお願いいたしまして、他に御発言ございませんか。
  26. 山田節男君(山田節男)

    ○山田節男君 私は郵政大臣にこの際御質問申し上げたいと思いますが、ただいま郵政大臣から所管事項説明をいただいたのでありますが、これは現状の報告でありて、今回の第三次岸内閣において郵政大臣の職を持たれる寺尾郵政大臣として、前大臣の田中大臣のとっておられた第二次岸内閣の郵政大臣としての郵政事業に関する方針、これはおそらく主要な点については、事務引き継ぎをされておるだろうと思う。そこで、これはせんじ詰めれば、寺尾郵政大臣の今後所管事項の将来の方針をどうするものであるかということのあらかたの筋道は、もうすでにお立てになっておるのじゃないか、これは本日とは私申しませんけれども、ことに、こういう重要複雑な問題を控えておる郵政大臣としては、やはり国会に対して、今度は所信の表明と申しますかね、これはやっぱり一つしていただきたいと思う。ことに御承知のように、放送事業につきましては、放送法の一部改正を出されて、これが審議未了になった。その他問題がありますが、第三次岸内閣の郵政大臣として御抱負があると思うが、その御抱負を一つ具体的に述べていただきたい。  それに関連して私一言、一つだけ質問申し上げますが、昨日、衆議院でも郵政大臣に対する質問がありました。そのうち若干は今朝の新聞で私拝見したわけであります。これは、もうちょうど今度の第三次岸内閣の成立前におきまして、田中郵政大臣が新聞紙上において発表されたのか、あるいは記者会見のあったときに発表されたのか、あなたの引き継がれるべき事項に関して、田中郵政大臣の方針というものが発表されておるわけです。これもまた非常に重大な、これに関しての御発言があったわけです。これを私どもが新聞紙上において知り得る事項について、郵政大臣は全面的にこれを受け継がれるのかどうか。一例をあげますと、FMの放送については、昨日、寺尾郵政大臣としての御抱負の開陳があったことを新聞で知っております。しかし、寺尾郵政大臣が御就任になって間もなく、新聞紙上においてNHKの聴取料を値上げしなくちゃいかぬというようなことも言われたかに報ぜられております。それから私が最も憂えておる問題は、カラー・テレビの問題で、これは私はいろいろ事情を見ますと、昭和二十六、七年、ちょうどテレビジョンの方式、民間テレビと公共放送とどちらを先に許すか、これをめぐりまして、ことに、私は見苦しい政党内の、政党政治としての最も悪弊とも言われる点が露骨に現われてきた。これがために、当時の所管大臣佐藤榮作君にしても、塚田十一郎君にしても、非常に困られた。このカラー・テレビジョンが、これは前国会までは、モスクワにおいてカラー・テレビの標準方式の会議がありまして、それが済んだあとに、その結論と申しますか、結果を待って、カラー・テレビジョンの政府の方策も立てたいということを前大臣も言っておられた。ところが、このカラー・テレビジョンに関して、政府はHNKに対しては、今御説明があったように、UHF、VHFの実験をやらしておる。民間のNTVに対してはVHFの放送をやらしておる。二重の実験放送をやっておる。これが今日、今申し上げましたように、昭和二十六、七年の民間テレビ放送、公共放送、どちらを先にするか、標準方式をアメリカ式にするか、ヨーロッパ式にするか、これで一大論争が開かれて、しまいには政党の中における暗躍鳴動となって、まことに私は思い出すにも不愉快な目にあった。カラー・テレビジョンの場合に、こういうことを再び繰り返すということは、これは寺尾大臣としては、当時、電気通信委員であったというように私は考えておりますが、よくその間の御事情を御存じだと思います。あなたの在任中において、再びカラー・テレビの標準方式免許の問題で、かようないかがわしい事件が発生するということは、これはまことに私は残念に思うのです。これは杞憂であることを私要望いたすのでありますが、これらの点につきまして、やはり郵政大臣として、政府は今後どうするのか。モスクワ会議においては標準方式の結論が出ていないやに聞いております。これを時期として、当分はやらないのだ、やっぱりイギリス、ドイツ、フランスのごとく、もう五、六年どうしてもやらないのだというように、ちゃんと政府の腹を示しませんと、メーカー、あるいは商業放送資本家、あるいは公共放送というものが再び、何と申しますか、見苦しい闘争を展開する、こういうことを私は予防するためにも、大臣は就任早々でありますが、関係の専門政府委員を督励されて、速急に結論を打ち出して、国会を通じて内外にこれを明らかにするということは、これは私は一刻を争うのじゃないかと思う。そういう見地から私はあなたに御質問申し上げたのでありますが、今日の所管事項説明に続いて、寺尾郵政大臣としての、これらの電信電話事業、あるいは電波放送事業等について、これはこういうようにやるのだということの、あなたのポリシーを、一つできるだけ近い機会において、少くとも本国会の開会中に、本委員会を通じて、御声明になることが私はいいのじゃないかと思います。それに関しての大臣の現在の御心境なり、また将来そういうことができるかできないかというあなたのお考えを一つこの際御表明願いたいと思います。
  27. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) FM放送に関する問題、あるいはNHKの聴取料に関する問題、あるいはカラー・テレビジョンを今後どういうふうに処理をしていくか、こういったような問題について、例をおとりになって私に対するいろいろな御意見を賜わりました。山田委員は一九五一年、私もお供をいたしまして、当時の民放の問題、あるいはカラー・テレビジョンの問題、あるいは電信電話の問題、これらについて、ともにアメリカに視察をいたして、種々御指導も賜わったのであります。その後私は、先刻ごあいさつを申し上げましたように、しばらくこの郵政所管の関係のいろいろの問題とは遠ざかって参ってきたのであります。ところが今回、はからずもそのいわゆる所管として大臣に就任をいたすということでありまして、私といたしましては、早急に郵政行政についてのまず検討を行いたい、また、みずから非常にこの方面の知識がおくれて参っておりますから、早急に勉強をしたい、こういう考え方を持ちまして、連日、各所管の責任者から説明を聞いて参っておるわけであります。御承知のように郵政関係の所管は非常に広範囲にまたがっておりまして、これを説明を聞くだけでも相当日数を必要といたします。こういう事情であるわけでありますが、これらにつきましては、十分検討をいたしまして、そうして御要望もありましたので、できるだけ近い機会に、私の研究し、あるいは検討いたしましたことに基きまして、今後の方針等も、打ち出し得られるものについては、早急に方針をきめたい、かように考えておるわけであります。決して私は、これがこのままでよろしい、ことにFM放送については、昨日も衆議院の逓信委員会において、田中前大臣の新聞発表等をめぐっていろいろ御質問もいただきましたけれども、山田委員も御承知のように、このFMの放送というのは、これを全国実施するというようなことは、なかなか大きな問題だと考えられるのでありまして、この実施等については、さらに十分な検討と、また、それに対するいろいろの考慮も必要ではないかというような考え方もありまして、この問題については、目下、所管の電波監理局長等にもいろいろ説明を聞き、また構想を練ってもらっておるわけであります。  また放送料の問題につきまして、過日私がNHKの放送料の値上げをすべきであると言ったようなことを新聞記者会見において申したかのごとく誤解をされておりますが、これはさようではないのであります。私はNHKの聴取料につきましては、その委員当時、しばしばこれに関与をいたして参ったのでありますが、私の私的考え方というものは、ある考え方を持っておりますけれども、目下、この聴取料をどうしよう、どうすべきだというようなことは全然考えておりません。全くの白紙の上にあるわけであります。あるいはまたこのカラー・テレビジョンの実験放送にいたしましても、現在白黒テレビジョンの相当数の免許を与えられてこれがほとんどが建設途上にある、こういう際でありまするから、このカラー・テレビジョンの問題も、この取扱いというものは非常に慎重を要するのではないか、かように考えておるのでありまして、これらについては、いかなる方法において、いかなる時期にこれを行うかということにつきましては、まだ全く結論に達しておりません。従いまして、今いろいろ御注意もありましたが、これらにつきましては、私といたしましては各所管に早急に十分検討もさせ、私自身も十分これについて検討をいたしまして、できるだけ近い機会に結論を出し得るもの、方針を決し得られるものはさようにいたしたい、かように考えております。
  28. 山田節男君(山田節男)

    ○山田節男君 ただいまの寺尾郵政大臣のお言葉ですが、就任早々間もないことですから、そういうことは理解するわけです。ただ、私これは特にお願い申し上げたいことは、民間ラジオ放送が始まりまして以来電波、ことに電波放送事業というものが一つの利権のごときような状態になってきて、各郵政大臣もこれに非常に困らされておる。従って、ことに電波事業に関する大臣、あるいは所管の局長、次官等の、政務次官を含めての最高首脳部の発言というものが、民間事業である放送事業あるいはメーカー、こういうものに対して非常なこれは微妙な影響を持つものである。従来、郵政大臣がこう言った、あるいは次官がこう言ったということが、商業新聞等によりますると、その裏にはいろいろの策動めいたものがあるわけです。これに政府はうかうかと乗る——乗ると言っては語弊があるかもしれませんが、不用意な政府当局の発言のためにいろいろな混乱等を起しておるのがこれが従来の状態なんです。ですから、寺尾郵政大臣が今後、こういうきわめてデリケートな、また経済財政に関係のあるような問題に関する御発言は、これはもう必ず国会の衆参両院の常任委員会において発表して、これが外に流れていくものとしまして、これが郵政省の省内における記者会見において、あるいは旅行先において一種の放言のように言われることは、国会として困る、少くとも最高の特権機関たる電気通信郵政事業委員会をよそにおいて、大臣が、あるいは省内の記者会見において言うということは、これは非常に私はいけないと思う。少くとも権威を持った発言は、国会の常任委員会あるいは本会議を通じてなされなければならない、これが従来間々おろそかにされているということは、これは政府当局並びに所管大臣の非常に不用意ななんだと思う。今申し上げたカラー・テレビジョンの問題にいたしましても、すでに暗躍ということが行われておるわけです。これに対する政府当局、郵政大臣、あるいは次官、あるいは電波監理局長の一言一動というものが、メーカー、あるいはこれを利権視して虎視たんたんとしておるようなものに対してはこれが非常な関心を引いておるのです。これに乗ぜられないようにということは、特に私は寺尾大臣に、今後、周到な御注意のもとに、でき得べくんば今申し上げたように、そういう最高の方針は衆参両院の所管の常任委員会においてこれは発表されるべきだ、他の場所においてやるべきものではない、おろそかにさるべきものではないと思うのです。ですからどうか一つ、できれば特別国会中において、今お願い申し上げた大臣の、政府の方針というものを御明示願いたい。それから常任委員会以外においてそういう権威ある発言は、記者会見あるいは放言という形になるおそれがあるものは一切一つお慎しみ願いたい。これは私は前の当委員会における同僚として寺尾郵政大臣に特にお願い申し上げて私は発言を終ります。
  29. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 二、三私は質問したい要点がありますが、第一に大臣に承わっておきたいのは、前国会審議未了に終っている放送法、設置法、それから募金付のお年玉はがき、こういう法案があります。こういう法案について、大臣に就任されて以来どういうお考えであるか、再提案をされるのか、あるいはもう全然提案をしないという御意向であるか。  さらにまた、おそらく前大臣から引き継いでおいでになると思いますが、総理府の方で公務員制度調査会の答申がすでに一昨年の十一月終了いたしております。これに対して当然、先般の退職年金法の制定等を見ましたので公務員法の改正をしなければならない。あるいはまた公務員制度の改革を次の国会までには行うということを、二十八通常国会における内閣委員会で明瞭に政府当局は言明をいたしております。それですから、この公務員制度の改革に臨む郵政省としての態度の決定が当然私は急がれなければならぬと思うのですが、この問題についてどういう所見をお持ちであるか。  さらに、しばしば問題として提起して参りました定員法、特殊な事業官庁であり、企業官庁である郵政省に定員法の適用をしておくのはあまり好ましくないということを田中前郵政大臣はこの委員会で答えたことがあります。もちろんその前の平井郵政大臣までは、そのことについては全く口を閉ざしておりましたが、田中大臣は漸次定員法のワクを撤廃の方向に進めるということを明らかにいたしました。会議録にもそのことが残されておりますので、この問題についてはどういうような考え方でまとめをつけようとされるか。最初に、以上三点につき大臣からお答えをいただきたいと思います。
  30. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) お答えを申し上げます。放送法並びに設置法につきましては、これをさらに十分検討をいたしたい、こういう考え方で目下この検討を始めておるわけであります。従って、これをいつの国会に出すかということについては、まだ決定をいたしておりません。  お年玉つきはがきの問題につきましては、先ほど所掌事項を御説明申し上げました通り、できますならば、郵政省といたしましては、この特別国会に出したい、かように考えております。  公務員制度の関係あるいは定員法の関係等におき葦しては、まだ内閣の方針もはっきり聞いておりませんし、連絡もございませんので、これらにつきましては、まだ未調査というような状態でありまして、目下これを特に急いで検討をしておるという状態ではないのであります。
  31. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 無理からぬ答弁だと思いますが、これは当面している郵政省の大事な案件でありますから、でき得べくんば今国会にもう少し具体的な答弁ができるように早急に意見をまとめてもらいたいと思います。  さらにお尋ねしたいことは、三十三年度の一般会計予算審議する際に、あるいは郵政事業調査を私どもが行なった場合におきまして、電波関係予算はすこぶる大きな問題があります。年度予算が成立をした翌日のこの委員会で、私は田中郵政大臣に、電波関係には補正予算を組むか、しからずんば予備費の支出を大蔵省に相談をすべきである、こういう主張を展開したことがあります。その後数カ月を経過いたしまして、先刻所管事項説明が行われましたが、あの電波関係の報告を見てみますと、電波の発展状況はまさに脅威的なものがある、こういう事態に対して、果して八千五、六百万というまことに零細な予算でもって電波行政が円満に遂行されるとはどうしても思えない。しかるがゆえに、こういう問題についてもすでに検討を加えられておる、あるいは前大臣からその引き継ぎが行われておるかどうかしりませんが、少くとも次の臨時国会等には総体的に、今度の衆議院の選挙に臨んだ岸総裁を中心とする与党のいろいろな公約が出ております。こういうことは当然予算の補正をしなければできないことです。その際に電波予算を検討されて、場合によっては補正予算を組む、ないしは大幅な予備費の支出を大蔵省と折衝する、こういうお考えを現時点においてお持ちかどうか、このことをつけ加えてお尋ねをいたします。  さらに公務員制度の問題で、私は意見をこの際開陳しておきたいと思いますが、電波職員をすみやかに公労法の適用をすべきだという主張を今までして参りました。そして前大臣も、あるいは濱田電波監理局長もこのことについては、ある観点から肯定の意向を表明して参っております。だから、この公務員制度の改革という絶好の機会をとらえて、極力というよりもむしろ絶対的に電波職員の公労法適用を実現できるように進めてもらいたいと思いますが、この点に対する大臣の見解を明らかにしてもらいたいと思います。  さらに、今大きな問題になっている組合との関係は、当然付与すべき罷業権が付与されていないところに問題があります。この問題を一体どういうようにこの制度の改革を行う際に大臣としては話をつけようとされるのか、これもお答えをいただきます。  さらにもう一つは、現在の内閣では、まだその話を聞きませんが、この前の岸第一次内閣のときには、労働問題に端を発したというわけでもないでしょうけれども、三公社の制度について再検討を加える必要がある、こういうことが新聞ないしはラジオ、あるいは国会でも一、二回論議されたことがありますし、おそらくこの公社制度の問題もそろそろ閣議等の話題に議せられてくるのではないかと思います。所管の大臣として、電電公社をお持ちでありますが、今日の電電公社制度に対して再検討を加えようというお考えであるか、あるいはこのまま現行制度で進もうとされるのか、このことも明らかにしていただきます。  さらにもう一つの問題は、特定局の制度調査会というものが先般郵政省設置法違反として構成されました。明らかにこれは設置法違反です。しかし、そのことが違反であったにしても、特定局の制度は一応調査会の答申が大臣の手元に残されているはずであります。この問題についてはどういうようにお考えであるか。以上大臣からお答えをいただきます。
  32. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) お答えを申し上げます。ただ、森中委員の御質問が非常に重大な大きな問題であり、就任早々の私といたしましては、これに対してこういう方針だということを申し上げかねるものがほとんどであると、こう申し上げることを前提といたしましてお答えを申し上げます。  三十三年度一般会計の問題と補正予算等についての御意見でありましたが、この予算案につきましても、これからいさい説明を聞こうと、こういう私の目下、これから検討をしていこうという状態でありますので、この点御了承願いたいと思います。  電波職員にできるだけ早く公労法を適用しておるそれと同様にせよ、すべきだ、こういう御質問につきましては、郵政省といたしましても、そういった方向に進めたい、こういう希望は、そういう方針は持っているわけであります。しかしながら、この問題も必ずしも容易にこれが実現をするというほど見通しがまだついていないのであります。  特定局制度の問題につきましては、お言葉のように、すでに特定局調査会から答申が出ております。従いまして、郵政省といたしましては、この答申をできるだけ尊重をいたしまして、また、できるだけ早急にこの問題の方向を定めたい、かように考えております。  それから電電公社をどうするのだ、まあこういう御質問につきましては、これもいかにこれを、今後公社に対しどういう方針を持っていくかということについては、きわめてこれは重大な問題でもありまするし、検討を要する問題としてこれからこれを検討をしていきたい、かように考えておるわけであります。  労働問題につきましては、私といたしましては、特に全逓が春季闘争等によりまして、種々紛擾のもとに、この解決かどういう方向に進んでいくか、これが解決については非常に心配をいたしているわけでありまして、自主的運営における労使の慣行の健全化というようなことについて、全逓が反省をしてもらって、そうして健全なる発展をしていくということにおきまして、でき得る限りの理解と協力をいたしていきたい、こういうふうに考えております。  何かもう一つ……。
  33. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 よろしゅうございます。この場では、今お尋ねいたしました事柄について、さらに深く追及するとか、あるいは意見の開陳をするのも若干むだなようにも思いますから、これ以上深追いをいたしません。しかし、電通委員長の経験もお持ちです。いわば大臣としてはかなり、私は通信事業に対してはベテランだと思っております。そういうつもりで今後大いに質問戦を続けて参りたい。  それでもう一つお尋ねしたいことは、郵便法の七十九条についてでありますが、昭和二十二年にこの法律が制定をされて本日まで十一年ほど経過いたしております。この十一年の中に七十九条の発動をどの程度にやってきたか。全国的な件数及び事犯の内容、そしてまた罰則条項が——この七十九条でありますが、どういったような結末がついているか。そのことをお答えをいただきたい。事務当局からでもいいですよ。
  34. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) ただいまお尋ねの点につきましては、資料を作成中でございまして、森中先生に一両日にお届けいたすつもりでございますが、ただいままでのところ、件数といたしましては、たくさんはないというようなことであります。しかし、現実には起訴になりましたもの、あるいは送致になりましたものということで、該当する事案は若干あると、こういうふうに思っております。詳細につきましては資料を作成次第、提出するつもりでございます。
  35. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 もちろん、こういうのは日常行われる事案ではないでしょう。そう大きな件数はないでしょうが、少くとも二十二年にこの法律が制定をされるときに、しかも、法律が効力を発して本日まで、どういうケースが七十九条の違反かという、このケースは大体私はわかっていると思う。どういうものをさして七十九条違反と言うのか。これを一つ監察局長から御説明をいただきたい。
  36. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 労働運動以外におきまして個々の従事員が不取扱い、あるいは遅延という事実に該当いたしました場合、これが問題になっておる、こう思います。
  37. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 これは今のようなお話ではちょっと問題の本質、私がお尋ねせんとする私の質問の要点にぴんと来ません。つまり具体的に個々的にどういうものが、つまりことさらに郵便物をおくらかした場合に、七十九条が罰則条項として存在をするわけですから、その個々的な具体的な情状をお答えいただきたいと思うのです。
  38. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) ただいまもお答え申し上げましたふうに、事件の調書を——各地方に散在しておりまして、各地方から取り寄せ、その場合の個々の内容を収集中でございますので、若干の時日をおかしいただきたいと思います。
  39. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 それは資料がなければならないということで、いずれこれもお出しいただきたいと思いますがね。それは一つ確認しておいて下さい。ただ七十九条ということを、郵政省がこの法律を施行し、運用される立場にあるわけですから、基礎になるような法律解釈というのは、当然私はあると思うのです。今個々の具体的なケースが発表できないとするならば、基礎的な解釈はどういうことですか、その程度のことは御答弁いただけるのじゃありませんか。
  40. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 従来の解釈といたしましては、ことさらに郵便が不取扱いになったり、遅延するという事実を認識してさような行為に出た場合はこの条項に該当する、こういうふうに私ども解釈しております。
  41. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 そこで、今度の全逓信労働組合の争議に対して警察並びに検察庁は七十九条を適用いたしました。この適用については、妥当だと思いますか。さらに郵政省では、これは人事部長から答えてもらった方がいいでしょうが、二万数千名という処分を発表いたしましたね、処分を行いました。その適用法は何です。郵便法七十九条の適用により処分を行なったのか、公労法によるものか、国家公務員法によるものか、その適用法はどういうことですか。
  42. 説明員(佐方信博君)(佐方信博)

    説明員(佐方信博君) 処分いたしました適用法規は、免職にした人は公労法でございます。それから停職、減給、戒告、それは国家公務員法であります。郵便法は郵政大臣が適用する問題ではなくて、これは刑事罰でございますので、行政管理庁の処分の根拠とはなっておりません。
  43. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 それでお尋ねいたしますが、なるほど法律の適用の根拠はどういうところにあるかはこれからの問題でありますが、今、検察庁あるいは警察が家宅捜査あるいは強制調査をやっております。こういうことに適用している郵便法というものは、郵政省の立場からすれば適当だと思いますか、どうですか。今、私はその質問もしたのですが、これはどっちが正しいか知りませんが、監察局長からでもいいです。
  44. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 御承知のように昨年の九月の二十七日に、公共企業体等の争議行為に関する件というので閣議了解がございまして、公務員の争議行為に関する各種の場合をあげられ、そして違法な争議行為をなされた場合には、法律の規定に従った処置が講ぜられる、こういう統一解釈が出ておったような次第でございまして、この趣旨に沿いまして、郵便法七十九条というものも、各事案につきましては該当するかもしれない、こういう立場に立って検討されてきたわけでございます。
  45. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 これは先般問題になりました資料を提出していただかないと何とも言えませんが、私どもが仄聞をしたところでは、郵政省も郵便法七十九条を労働運動に適用する、こういうような見解が公式ないしは非公式に数回にわたって述べられたと聞いております。また今、人事部長は、この刑事罰の問題は郵政省の発動すべきものではない、こういう考え方のようでありますが、私はそうは思いません。これは郵政省の設置法あるいは行政組織法の中において、組織令の中に明らかに、郵政省の犯罪ということで、監察官は刑事訴訟法によって職務を執行するわけです。当然これは郵政省の所管事項でもなければなりません。これは人事部長の解釈は誤まりです。そこで、一体七十九条の適用を言い出したのは、いつのころだれが言い出したのか、そのことを明らかにしていただかなければなりません。私はこの法律の制定以来のことを考えてみますと、なるほど労働法の適用を受け、その後公労法ができた、そういういきさつはあります。いきさつはありますが、この郵便法制定のあとに、公労法ができたあとで、今検察庁がとっておる、警察がとっておる七十九条の発動というものは、公労法が制定をされて以来、その通りの解釈とするならば、この郵便法七十九条というものは、私は効力を持っておる、労働運動に適用してもいい、こういう解釈が成り立つと思います。しかるに、数年間全然七十九条の問題は論議の対象になっていない、また、郵政省が労働問題の対策として検討を加える場合にも、数年間というものは、この七十九条の問題はこれを適用する、あるいは対象にするということはわれわれは聞いておりません。たまさか聞いたのは、今言われた閣議の了解事項であります。昨年の秋季、年末と、今年の春、こういう労働組合闘争に対する一つの対策として、七十九条を聞くようになったのでありまして、その間は、全然、七十九条の問題は不幸にして聞いていないのであります。このようにたどって参りますと、やはりこの七十九条は、だれかが言い出して、だれかが適用しようと言ったことに私はなると思います。だから先刻も申し上げたように、人事部長は法律解釈を誤まってこれは郵政省が所管すべきものではないと言うけれども、郵政省設置法により、刑事訴訟法によって監察官が職務執行をしておりますから、当然郵政監察官の所掌業務でもあるわけです。だとするならば、一体この問題は、郵政から検察庁の方に、あるいは警察の方に、七十九条の適用が妥当であろうという知恵づけをしたのか、さもなくば、検察庁の独自の見解で、七十九条の発動を言い出したのか、言い出した時期と、言い出した人、そのことを明らかにしてもらいたいと思います。
  46. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 七十九条の解釈は、そのときそのときで変るという趣旨ではございませんのでありまして、そのときの事実関係がもとになりまして、適用があるかどうかというものは決定されるものと思います。また、七十九条を労働運動に対して適用するかどうかということは、どこが言い出したかというお話でございますけれども、この点につきましては、政府全体として、それぞれ法を執行する者、捜査を担当する者、あるいは法の運用に当る立場にある者、こういうところが、全体にいろいろと協議いたしまして、労働運動の場合におきましても、七十九条というものは排除されるものではない、こういう結論に達した次第でございます。
  47. 説明員(佐方信博君)(佐方信博)

    説明員(佐方信博君) 私の申し上げたことは言葉が足らなかったのかもしれませんけれども、どの法規によって処分をしたか、こういうふうに思いましたので、免職は公労法による、それから停職、減給、戒告は国家公務員法によったのである、郵便法に基いて処分ということではなかった、こういうことを申し上げたのであります。
  48. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 もう一つ監察局長に伺いますが、今、郵政省の監察局の中に監察官補というのがおりますね、これはいつごろからこういう任用制度を作ったのですか、そうしてそれはどのくらい配置されておりますか。
  49. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 監察官補制度は昨年の十二月一日以降に発足いたしております。今日におきましては、監察官補は百二名、全国に配置をいたしております。
  50. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 職務の内容はどういうことですか、具体的にお示し願いたい。
  51. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 監察官補は、監察業務の一環といたしまして、現業におきまして考査を担当いたします。しかしながら、考査は、一般的な考査ということは監察官が担当いたしますが、監察官補は防犯的な立場において特に考査を行う、こういうふうに相なっております。
  52. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 こういう想定の質問は、私もあまり好まないのでありますが、やはり社会のことですから、いろいろなことが想定されます。この設置法の中にいっている、七百名の監察官を置くということがあります。しかし、どこかの地域に大々的に犯罪が発生をした、こういう場合に、どうしても監察官では手が足りない、さらばといって、直ちに司法職員を依頼することも困難な場合もありましょう。そういう情景があるとすれば、監察官補はどういう役割を果しますか。今、あなたの御答弁だと、なるほど防犯、あるいは考査、こういう仕事をしておるということでありますが、これすらも実は問題がある。問題がありますが、今想定し得る情景というものが将来あり得るとするならば、この監察官補というのはどういう役割を果しますか、これを一つ。やはり監察官補という任用制度をお作りになった以上、いろいろな情景というものが、私は当局においては考慮がめぐらされておらなければ、大事な国の公務員です、むやみに百何名も配置するというわけには参りません。しかるがゆえに、そういう想像し得る事態に対する見解を聞かしておいて下さい。
  53. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 仮定の事情でございまするので、いささか私どもの御答弁の内容が、あるいは御趣旨に沿うようなお答えにならないことをおそれるのでございますが、監察官補は、実情を調査するという立場にありまして、犯罪が発生した場合に、刑事訴訟法上の捜査権を発動する捜査官ではないのでありまして、さような場合には、一般的な捜査権能のある者がこれに当る、こういうことに相なっております。
  54. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 そういうことになりますと、日常監察官補が業務を執行する場合に、監察官と全然別個な行動をとる場合もありましょう。あるいは同行する場合もありましょう。その場合の権限の行使というものは、これは形式上の問題です。たとえば検察庁に起訴して送る、そういう場合に、判こがつけないというだけのことであって、実際の犯罪の捜査、あるいは取調べ、もしくはこれに類似したような行為というものは、監察官補は、私の乏しい常識からいくならば、当然監察官の補助的な業務をする、こういう任務が監察官補には負わされておると思う。で、そうすると、いわゆる行政組織法、刑事訴訟法のこういう仕事を具体的に私は権限を付与されてないけれども、やるということになると思うのであります。その点はどうですか。
  55. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 監察官補は監察官を補佐するということではございませんで、監察官補は監察官補の立場において所定の業務を行うように任務づけられているのであります。従いまして、考査の途中におきまして犯罪に該当する事実が発生した場合におきましては、私どもの指示といたしましては、直ちに本局ないし支局に連絡し、支局の指示に基き証拠の保全等についての意を配り、そうして自後の訴訟手続に基く処置、たとえば供述調書をとるとか、検問調書を作るとか、こういうような事柄はあげて捜査官が活動する、こういうふうに指示をいたしております。
  56. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 もう一つこの問題で伺います。要するに監察局という、あるいは監察官という組織的な活動の一切を一つの固まりとしてその組織のワク内において行動するというような解釈が成り立ちますね、そういうことですね。ちょっとはっきり答えて下さい。
  57. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 監察局というものは地方にございますから、地方監察局長の指揮のもとにそれぞれの担当監察官が仕事をするということは当然だと思います。
  58. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 これは非常に重要な問題でして、地方に配置しているから地方の監察局長の指揮権限にあるということはそれはわかりますよ。しかし、あなたは中央の監察局長です。地方局長に対しては指令権をお持ちになっている。そういうあいまいなことでは困りますよ。私の伺っているのは、監察官、監察局という一つの組織の中にいて、その監察官補にはまって業務を遂行し得るのかとこう聞いている。
  59. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 御趣旨の通りでございます。
  60. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 それではもう一つ伺いますが、昨年の十二月一日から監察官補制が実施されました、そういう御答弁でした。これは明らかに七十九条の捜査をやる、こういう意思のもとにこういう制度を作ったと見られてもあながち私は的はずれじゃないと思う。だから七十九条は、元来これは検察庁やあるいは警察が言い出したという見方もありましょうが、本来は、田中郵政大臣が就任をしてその後治安閣僚会議というものが数回にわたって開かれております。こういう治安閣僚会議の中で、全逓信労働組合労働運動に対しては七十九条をあてはめよという指令を受けたのか。あるいはまた、ここにすわっている小野さんやあなた方が全逓信労働組合は七十九条を当てはめるのが妥当であるという主張をされたのではありませんか。そのことを明瞭に答えておいて下さい。
  61. 説明員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    説明員(小野吉郎君) この問題は、実施はおくれておりますが、予算上の定員獲得の問題がありまして、すでに田中大臣御着任の前、予算編成期に織り込んでおった問題でございまして、ただ、年間フルに認められなかったというような都合で実施がおくれた、こういう事情でありまして、ただいま仰せのような労働対策として取り上げたものでは毛頭ございません。
  62. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 年度予算関係といえば、三十二年度ですか。
  63. 説明員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    説明員(小野吉郎君) そうです。
  64. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 三十二年度はあなた、三十二年の四月一ぱいで成立していますよ。その成立しているのを半年以上もどうしてずらした。そんなばかなことを郵政省はやっていますか。
  65. 説明員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    説明員(小野吉郎君) そういうことはざらにあるのでありまして、特定局設置につきましても、年間、一年間分の百人なら百人の俸給は認められません。六月から実施あるいは十一月から実施、年間三カ月とか半年とかいろいろ刻んでおります。そういうことでこの問題も年間一年を通じて予算が成立いたしておりません。そういうような関係でおくれたのでありまして、先ほど仰せられましたような趣旨のものではないわけです。
  66. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 私は今予算書を持っておりませんので、具体的にそのことをあなたへ言うわけにはいきませんけれども、今、年間幾らとか、どうとかいうことは非常勤賃金です。私は郵政事業のしろうとではない、そういうことですよ。監察官補というものは一つの任用制度の中に生かされたものですから、そんな小刻みにこの期間の監察官補を幾ら置くとか、来年は首切るとか、ばかなことはないでしょう。三十二年度予算として成立を見たならば、これはおそらく荒巻監察局長がそんないつまでも自分のところに取れた予算を、取れた定員を放置するわけはない。それが役人の気持です。むしろ予算をいかにして多く取り、いかにして定員を確保するか、すでにしてそういう定員が取れる前提に立って人事の異動その他が行われていくのですから、そんなに半年も幾らもずらされるということは私は行われないと思う。そんな子供だましのようなことはやめて下さい。それで私は監察官補というものが、この監察官が七十九条を発動するためには、監察官補という特別の制度を作り、それで設置法を、これを急に監察官の増員ができなくて官補という制度をもって補助、代替的に捜査をさせよという、こういう意図があったのではないか、それを聞いておるのです。
  67. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 監察官補の本来の趣旨は、先ほど私から御説明申し上げました通りのことで、防犯ということで出発いたしたのでございます。それは累次の国会におきまして、ことに決算委員会等におきまして、郵政犯罪の減少する傾向がはかばかしくない。もちろん長い目で見ますれば、ここ数十年来の傾向を見ましても、郵政犯罪は減少しつつあるのでございますけれども、画期的な減少をはかるためには、事後の非違を調べるのではなくて、事前にもっと現場において考査面を通じて防遏するように手を打たれないだろうかというような決算方面あるいは国会方面の非常に御貴重な御勧告がございまして、この点におきまして、監祭官の年次考査以外に監察官補というものを通じて防犯的に特に特別考査という形で活動すると、こういう趣旨で実は出発しておるのでございます。定員事情と申しますか、そういうようなことで実施上内部的の処理関係もございますし、予算の成立と実施の日というものは若干食い違いがあるのでございますけれども、そういうような趣旨で今日監察官補が運営されておるということでございます。
  68. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 先刻お尋ねをしてどうもはっきり答えが出ませんが、七十九条を今度のように労働運動に適用することが法律の運用として正しいという解釈を郵政省はお持ちですか。それともう一つは、何回も申し上げますが、郵政省がこれを主張したのか、あるいは検察庁や警察が独自の立場からこの法律の適用を考えてきたのか、そのどちらです。非常に大事なことですから明確にお答えをいただきたい。
  69. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 労働運動を通じて起きます業務の遅延取扱いというものに対して、七十九条が適用されることはやむを得ないと考えております。それからどこが主体となったかというお尋ねと思いますが、これは先ほどもお答え申しましたように、関係政府各機関の間においてそれぞれ検討の結果、意見が一致いたしましてこの実施をされる、こういうことになったのであります。
  70. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 政府機関の意見が一致したということは、郵政省も同意をした、こういうことですね。
  71. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) さようでございます。
  72. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 私の手元に、今、公労法があります。この十七条の中に「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。又職員は、このような禁止された行為を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」ということがあります。この条文に対して、あなた方どういう解釈ですか、七十九条の問題と関連をして。
  73. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 公共企業体等の職員は、いわゆる争議行為というような行為が結果として禁ぜられる、こういうように存じます。
  74. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 この十七条の規定は、してはならないということであって、正当とも不当ともいっちゃいないのです。してはならないということをいっておる。それは公労法の立法の精神というものは、労働組合と使用者が円満な労使の関係を確立するということを前提にしている。だから、一つの現象というものが正当である、ないということよりも、こういうことはやってはならないということであって、それを演繹して解釈していくなら、あるいはまた広く一般の私業の場合を考えた場合には、これは当然な正当な労働行為という解釈が成り立ってくる。それを公労法の立法の精神が、こういうことは公共企業であるからしてしてはならないということであって、不当であるということはいっていないのですよ。こういうような、私は法律の専門家ではないけれども、昨今のいろいろな労働法学者その他の所見を拝聴すれば、明らかにこの解釈が正当であるということを最近は立証されております。あなたはどう思いますか。
  75. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 禁止されておる行為を犯すということは、やはり正当ではないと私は存じております。
  76. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 禁止されておる行為を犯した場合は正当でないというのですが、それでは正当でないならば、やはり罰を加えるということで十八条がありますね、この十八条で正当でない、つまりやってならないことをやったから十八条で罰するというのなら、もうこれでけっこう事足りるじゃないですか。何も七十九条というものを引っぱり出してくる必要は私はないと思う。そこに七十九条の適用ということは、純粋な法律の適用ではなくして、政治的な目的を持っておる、こういう工合に私は判断する。その点どうですか。
  77. 説明員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    説明員(小野吉郎君) これは監察局の所管よりもちょっとはずれております。
  78. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 どうして、そんなことはないよ。
  79. 説明員(小野吉郎君)(小野吉郎)

    説明員(小野吉郎君) 公労法上の問題は監察局の純然たる所管そのものではありません、郵政省の関係でございますので。
  80. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 それなら私は別に発言を求めて新たに聞くから、監察局長に答えてもらう。
  81. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 同一の事実が他の条項に該当する場合には、ある一条が適用されれば、他の法条の適用がない、こういうようなことではないと私は存じまするので、一般刑法理論といたしましても、同一の事実が二つの法上に該当する場合には、それぞれの条文においてその処置が講ぜられるという結果が生ずるのは当然ではないだろうかと、かように考えます。
  82. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 十七条に、正当とも不当とも書いてないんですよ、よろしゅうございますね。それで、今度は公労法の三条に、この公労法に規定していない問題については、労働組合法を適用する、こういうことが明記されておる。だとするならば、十七条に正当とも不当とも明記していない事項だから、当然、労組法の第一条二項を適用して、それで刑法の三十五条については免責すべきものであるという解釈が、これが私は法解釈としては正しいことであるし、しかも、政治目的を持たない純粋なる労働問題として考えるならば、この解釈によるべきだと思う。この点になると、見解の相違もあるかわかりません。いずれ私はこの委員会に各界の代表、特に法律学者等を参考人としておいでいただいて、明確に学者の立場からこのことは今国会に明らかにしたいと思いますから、これは見解の相違であればそれでもけっこうですが、そういうことについて、あなたはどう思いますか。
  83. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 御指摘のごとく、見解の相違ということになるかと存じまするけれども、私どもは、一条二項で、三十五条の免責はない、こういうふうに解釈いたします。
  84. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 それならば、これはいずれ検察庁がやっているから、起訴するでしょう。裁判にかかります。あなたは、非常に確信を持った答えをされておるが、裁判で、もしもこれが不当であったという判決が出た場合に、どういう責任をとりますか。これだけ世の中を騒がして、それで行政当局の誤まった法律の運用、誤まった法律の適用のために、もしも判決が、その適用をした法律は誤まりであったという、こういう判決が下った場合に、どういう責任をとりますか。そのこともあわせてお答えをいただきたい。
  85. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) 上局の御指示に従うことと存じます。
  86. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 それは、大臣に聞くべきことになるかわかりませんが、あまりにも無責任てす、そういうお答えは。上司の措置にまかせるというようなやり方は、これは、責任ある行政官のやることじゃありませんよ。そういうことでは、大事な郵政事業、しかも郵便法や、そういうものをまかせるわけにはいきません。もちろん誤まっておれば大臣がどうかするでしょう。もう少し私はこの解釈について、たとえば学界の意見を聞いたとか、その他、世界の糊例を探してみたとか、こういうことも、当然郵政当局としてはおやりになるのがしかるべきだと思う。ことに最近の状態を見てごらんなさい。準抗告をやって、次から次に準抗告は棄却されておるじゃありませんか。しかも、特別抗告を今行なっておる。この特別抗告の行方すらも、今の状態からいったならば、これも怪しげな状態になります。法律というものは、私はそういつた不穏な状態の中に適用すべきものじゃないと思う。しかも、この免責条項、十七条、十八条、さらに公労法の三条から労組法の一条に返る、こういう関連性の中に免責事項があるのに、何もわざわざ同意する必要はないじ中ありませんか。その検察やあるいは警察あたりの行動に対して、もう少し郵政省は真剣に私はあってほしかったと思うのであります。まあ、それは繰り返してもしようがないことですが、もう一回最後に、これは法廷に問題が移されて参りますし、ここでも参考人を次の機会には、きょう私は委員長理事の打ち合せのときに相談をしたいと思いますので、明らかにしておきたいと思いますが、あなたの今言われた解釈は、断じて間違いありませんね。確信を持って、政府機関の一部局としての郵政省は責任を持って同意をした、こういうように解釈してよろしゅうございますね。
  87. 説明員(荒巻伊勢雄君)(荒巻伊勢雄)

    説明員荒巻伊勢雄君) さようでございます。
  88. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 大臣に、この問題について、私は、そういうむずかしい法律の問題はともかくとして、郵政大臣として意見を聞いておきたいと思います。その一つは、解雇を七名もやり、二万数千名という膨大なる処分をした、さらに、追い打ちをかけるように、郵便法七十九条の刑法の適用をやってそれで、先刻大臣の言われた、いうところの労使の正常な慣行というものの確立が期待できるでしょうか、そのことを明確に答えておいて下さい。
  89. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) 公労法の十八条で馘首をし、あるいは国家公務員法によってその他の処分をせざるを得なくなったということに対しては、私は、非常に遺憾であると存じております。当時の所管大臣、田中大臣が、この春季闘争に関しまして再三再四注意を喚起し、警告を発し、また、全国的にもその反省を促して、春闘争議を未然に防ぐべく非常に努力をされた。しかるに、不幸にしてこれが行われた。しかも、郵政省にはかつてこういったような違法行為は見られないほど、特に、中央郵便局等における状況を聞いてみますると、かつて行なったことのない非常に大きな違法が行われて、ついに、やむなくこの処分を行なったということを考えまするというと、私は、非常にこれは、ただに全逓信労働組合の問題のみならず、日本国家としても非常にこれは不幸なことであると考えております。しかも、郵便法の第七十九条がさらに適用せられて、その後、警察、検察当局等が逮捕あるいは家宅捜索等をも行なって、これらが刑事罰としての容疑が非常に深まってきた。しかもなお、それが捜査を進めておるということでありますから、このこと自体については、私は非常に遺憾なことであると心痛をいたしております。しかしながら、法治国といたしましては、できたこの違法行為に対しての処罰としては、残念だけれども、これは信賞必罰と申しまするとか、このことについては、もはやこれを検察あるいは警察当局等のこの捜査その他につきましての容喙をするというわけには、所管の郵政大臣といたしましては、これはなし得ないところである。しかし、この処分等によりまして、代表機関も失って、正式の団体交渉も、正式に申しますならば行い得たい状態に置かれておる、こういうことについては、全逓労働組合においてはすみやかに反省もし、また、これら代表機関のできるだけ早い機会に補充もされて、同時に、私らとも十分話し合って、そうして再び今後こういったような不祥事を繰り返さないというようなことにしてほしい。そういうことにおいて、私どもはでき得る限り反省をして、よき慣行を作り、正しい労働運動において、組合員がその福祉とその生活の安定あるいはさらに向上したところの彼らの組合運動というものが健全に発展をしていく、組合自身も、また大きく幸福がもたらされる、こういうふうにいくことを心から念願をしておるのでありまして、この春闘に関する処分並びに七十九条によって、その疑いを受けて、検察、警察当局がこれを目下取り調べておる、このことについては、郵政大臣の立場といたしましては、容喙ができないと、こういう考え方を持っておるわけでございます。
  90. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 大臣の今の答えが世にいう唯我独尊です。疑わしきものは罰せよ、そういう古い法律の観念に出発している。まだ、あなたこれは、裁判にかかってみないと、果して、あなたが言うように反省をしろとか、悪いんだという断定はできませんよ。もうすでに今あなたの答弁からいくならば、明らかに容疑に問われたものは罪人である、反省を加えろ、そういうようなばかなことはやめて下さい。そういう不見識なことじゃだめです。裁判にかかって起訴されまして、いよいよ判決が出て、なるほどこれは法律の適用が正しかったということや、その正しい法律の適用によって罪状が確定をしたという場合に、今あなたのおっしゃることは私は受け取りましょう。まだそういうところまで行っていない、むしろ私は、今まで監察局長と長い時間いろいろと質問を展開して参りましたが、非常に確信のあるような答弁じゃあります。しかし、内心じくじたるものがある。果して、監察局長が絶対にこの法の適用は間違いないという、こういう確信がそろそろ薄らいできております。私はそう見ておる。検察庁や、あるいは警察ですらもそうなんです。それで罪人扱いにした人たちが、かえって青天白日の身になって、法律の適用をした方が誤まりであったという、こういう逆転する場合もあります。私はそういうことに必ずなると確信を持っている。だから、今あなたの答えというものは、罪状が確定をし裁判の決定が行われた際にそういうことはおっしゃってもらいたい。私が聞いているのは、そしてまた、あなたの今言われたようなことではないのです。法律以外の問題として、あるいは関連のあることじゃありますが、大量に処分をした、さらに七十九条の適用をやって追い打ちをかけるようなことで、果して省と労組との円満な、正常な関係の確立ができるのか、これを聞いております。そうしてその背景となっているものは、郵政省には全然反省をする何ものもないか、自分たちだけは正しかったのか。いつも私は言うことでありますが、結果が生まれる前に過程がある、過程の前段にあるものは動機です。動機と過程と結論というこの三者の関係から、なぜこういう結果になったか、その原因を探求した場合に、いたずらに全逓労組だけが責められるべきであって、郵政省が行政権を持っておる、大臣が行政権の座にすわっておる、そういう権力を持っているだけに、みずからの責任を負わなくてもいいのか、そこまで私は触れようとしておるのであります。もう少し、今のお答えは取り消すなり、あるいは感違いであったならあったということで、もう少し答弁を変えた、私の質問にピンと来るような答弁をしてもらわないと困ります。
  91. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) 郵便法七十九条の容疑をもって種々警察当局が取り調べておるという私の表現に、何か私がそうしたことが確定的な、いわゆる罪人扱いといったような言葉の表現があったといたしますならば、これは取り消します。しかし、公労法の第十七条において、明らかに争議行為並びに違法行為というものは、はっきり禁止をされておりますから、そのことによって、郵便法の七十九条の大きく違法行為が起った、取扱いに対して非常な違法行為が起ったということに対する検察、警察当局が郵便法七十九条に違反をしておるという容疑を持ったということに対しては、私はこれは否定できない。私自身もさような解釈を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  92. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 時間がないという忠告を受けましたから、これは次回に……今から機会はしばしばありますから、この次の機会にまた譲りますが、きょう最後に申し上げておきたいことは、郵便法が制定をされたその後で公労法が制定をされた、従って、そういう関係により郵便法の立法の精神は少し変ってきたという答弁がこの前行われております。同僚議員の横川君の質問に対して小野さんがそういう答えをしておる。しかし、それはそれで問題はありますが、ここでは触れないとして、公労法の適用から本日までかなりの期間があるのです。このかなりの期間の中に、今やっておるような時間内、時間外という職場大会のケースは、しばしば繰り返されて参りました。この間に一度も郵便法七十九条ということは言われておりません。しかるに、昨年の秋から今年の春にかけて唐突として七十九条の問題が出てきたということは、善意に解釈するならば、このかなりの期間の間に七十九条が言の葉に出なかったということは、あまりにも七十九条の適用は法律論として、ないしは実体論として、非常に危険なものであるという行政当局のおもんばかりがあったものとも思われる。あるいはまた労働組合と経営者との間に何がしかの話し合いというものが行われていたとも言えないことはないでしょう。いずれにしても、この七十九条というものが、今大臣や監察局長が、断じてこれは間違いではないという確信をお持ちであるとするならば、何もこれは去年の秋から本日にかけてにわかに私は出てきた結論ではないと思うのです。公労法が制定をされたときに、七十九条の問題はどうするかという論議が当然交されてきたと思うのでありますが、その内容はよく知りません。しかし、そういうことではなくしてにわかに昨年の秋から七十九条が出てきたとするならば、明らかにこれは公労法という罰則条項をきめて、しかも、その罰則は国家公務員にとっては最大の罰則——解雇という罰則条項を設けておりますから、これ以外の法律の適用は私は必要なかちうと思う。にもかかわらず、これを適用しようということは、純粋なる労働問題に対する行政当局の対策ではなくして、必ず政治目的がある。一説には、自由民主党内の倉石労働委員長がこの指図をしたとか、いろいろ言われておる。これは私は必ずしも的はずれではないと思う。そういう政治目的をもって労働問題を律しようとするところに、閣僚の一人であるあなたに、今日の岸内閣の反動性を私は指摘せざるを得ない。これは逓信委員会ですから、そういう広い視野に立つ政治論争をここでは申し上げませんが、これはいずれ内閣委員会なり予算委員会なり本会議なり、その他の場所であなたとまた渡り合う機会もあるでしょう。しかし、政治目的があるかないかということは、これは裁判の結果によってこれも私は明らかになろうと思いますが、そういう際に、今あなたたちが七十九条の適用は間違いないと主張されると、もしも判決によってそのことが非であるという結論が出た場合に、監察局長は上司の指図に従い、その身の振り方をきめるという人だと思いますが、ただ一人の局長や一人の大臣がその職を辞した、れそだけではこういう、これほど大きな問題になった社会問題としては済まされません。しかも、九十年近い間続いて参ったこの郵政事業大臣として、誤まった法律の運用、誤まった法律の適用をすることは、これは大いなる威信の失墜です。そういうことに対してあなたはどういう責任をおとりになろうとするか、まさに私は重要な政治責任だと思います。この結論は、判決による以外はありませんけれども、これも判決までの間、期間があることですが、今の心境としてもしもそういうことになったならば、どうするという程度のそういう決意を私はお持ちであろうと思います。それを聞かしておいて下さい。
  93. 国務大臣(寺尾豊君)(寺尾豊)

    国務大臣寺尾豊君) これは森中さんに大へん御無礼なお答えかもしれませんが、あらかじめ判決を予想してのお答えはできない、こう申し上げざるを得ません。
  94. 森中守義君(森中守義)

    ○森中守義君 大へん長い時間もらいましたが、これはこの次の機会にもう少しやりたいと思っております。ただ、お願いをしておきたいことは、委員長、理事の打ち合せの際、ごく近くの委員会に参考人として学界の代表を四名ほどこの委員会にこの問題に対する参考人としてお呼び願いたい。特に私は、たとえば思想的に自由民主党の政策を支持されるような学者もけっこうですし、中立的な学者もけっこうです。今新聞紙上や、いろいろな読みもの等にこの問題が時の焦点として学説が流されておりますから、十二分にこの委員会として、いかなる学説が正当であるかというものの判断ができるような学界の代表を委員長、理事において選定をしていただきたい。次の委員会に、あるいはその次でもけっこうであります。この会期中に参考人のおいでをいただけるような措置を講じていただくことをお願いをして終ります。
  95. 委員長(宮田重文君)(宮田重文)

    委員長宮田重文君) 森中君のお申し出の件につきましては、いずれ委員長、理事打合会において検討してお答え申します。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時十九分散会