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1958-09-10 第29回国会 参議院 商工委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月十日(水曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————   委員異動 八月二十日委員藤田進辞任につき、 その補欠として島清君を議長において 指名した。 九月十日委員島清辞任につき、その 補欠として亀田得治君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田畑 金光君    理事            小幡 治和君            阿部 竹松君            大竹平八郎君    委員            古池 信三君            小西 英雄君            高橋進太郎君            高橋  衛君            吉田 萬次君            天田 勝正君            海野 三朗君            亀田 得治君            相馬 助治君            加藤 正人君            豊田 雅孝君   国務大臣    通商産業大臣  高碕達之助君    国 務 大 臣 三木 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    内閣官房内閣審    議室長     吉田 信邦君    科学技術庁原子    力局長     佐々木義武君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君    通商産業省重工    業局長     小出 栄一君    通商産業省繊維    局繊政課長   佐々木彰一君    通商産業省石炭    局長      樋詰 誠明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告経済の自立と発展に関する調査  (科学技術振興に関する件)  (水質汚濁防止に関する件)  (経済不況対策に関する件)  (貿易振興に関する件)     —————————————
  2. 田畑金光

    委員長田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。八月二十日藤田進君が辞任し、その補欠として島清君が選任されました。     —————————————
  3. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 先ほど委員長及び理事打合会を開き協議いたしました結果、本日は公報でお知らせいたしましたように、まず派遣委員報告を聴取し、引き続き科学技術振興に関する件及び水質汚濁防止に関する件を審議し、ついで十一時半から午後一時まで高碕通産大臣及び三木経済企画庁長官に対し経済不況対策航空機工業政策貿易対策等に関する質疑を行うことに決定いたしました。なお、質問の都合により二時以後も継続する予定でおります。  右のように取り運ぶことに御了承願いたいと存じます。     —————————————
  4. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それではこれより先般本委員会において行いました委員派遣報告を各班の派遣委員代表者から聴取することにいたします。  なお、口頭報告は簡単にして、詳細な報告は別途御提示があれば速記録に掲載することにしたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 御異議ないと認めます。  まず、北海道班報告阿部委員より聴取いたします。
  6. 阿部竹松

    阿部竹松君 北海道班代表いたしまして報告申し上げます。  北海道班派遣委員高橋進太郎委員相馬助治委員、並びに私の三名でございました。七月十八日の夜札幌に集合いたしまして、二十五日まで八日間にわたって電力問題の調査中心北海道における産業事情を順次視察して参りました。訪問先北海道庁札幌通産局北海道電力砂川火力三菱鉱業美唄炭鉱電源開発の十勝川水系等の各発電所でございまして、現地視察目的は、北海道地方における電力事情を実地に調査することにあったのでございまするが、その詳細については、別に会議録に掲載することにいたしまして御了承いただきたいと存ずるわけであります。従いまして印象だけをごく簡単に申し上げまして報告にかえるわけですが、申すまでもなく北海道は面積が非常に広大でございましてしかし、その割合に人口が非常に少く、人口密度本州の約四分の一という未開発地域でございまして、工場が非常に少く、電力需用も至って乏しい状態であるのでございます。また、需用が乏しい割に電源開発はここ数年順調に進捗して参ったのでありますが、目下のところ需要供給の面にはあまり問題はございません。先ごろのから梅雨等におきましても、本州各地と違って影響が非常に少い状態に見て参りました。広域運営に当りましては、将来本州との間に送電連携が行われる際はともかくといたしまして、今のところ北海道においてはその利点はとうてい望めないようであります。ただいま申し上げましたように、北海道における電力需給は、一応安定した姿にあるといっても差しつかえないのではなかろうかと存ずるわけですが、現在問題になっておりまするのは、電気料金の問題でございます。需用密度が非常に低いということと、一面において発電量に比べて長大な送配電線と多数の小容量変電施設を必要といたしまして、電力コストが高くなってくるわけでございます。北海道電力料金はきわめて高く、中国地方に次いで全国第二位となっております。この問題については、道庁訪問の際にも田中知事から特に要望がありまして、電力料金の高いことが工場誘致産業開発の障害になっておるから、地域差撤廃により料金引き下げを考慮してほしいという要請がありました。その他、北海道農山漁村は広大な地域に散在しておるため、電化がおくれ、今なお五万戸以上の未点灯家屋を残しておる等の問題もございます。このたびの視察に際しまして電発芽登発電所の付近の部落にも参ったのでございますが、灯台もと暗しとでも申しましょうか、約二百戸ほどの無灯家屋がありまして、これらの山間部落には、電発一般供給をやれないという現行法規の建前になっておりますので、せっかく地元に発電所ができても、いまだに電灯の恩恵に浴することができないというような話も現地で聞かされたのであります。北海道山間僻地のような特殊のケースにつきましては、法規上はともかく、何らかの便法を考慮して、電気導入をはかってやるのが当局者の親心ではないかというわれわれ三名の委員印象を受けて参った次第でございます。  それでは大へん簡単でありまするが、最後に今回の視察に当ってお世話になりました札幌通産局北海道庁関係者の各位に厚くお礼を申し上げまして、報告を終えることにいたします。以上でございます。
  7. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に四国班報告を、小幡委員より聴取いたします。
  8. 小幡治和

    小幡治和君 四国班調査概要を御報告申し上げます。  四国班議員派遣は、八月十二日から十八日までの七日間、委員長と私、それに小西委員現地参加いたしまして三人で参りました。視察した個所は、新居浜住友系工場松山帝人松山工場四国電力松山火力、仁淀川第三水力高知東洋電化工業等でありまして、このほかに四国通産局四国電力からそれぞれ産業事情電力事情説明を聴取したり、今治織物協同組合タオル工業組合等方々から要望を聞く機会を得たのであります。  それの詳細につきましては、速記録報告書として掲載させていただくこととし、ここではこの間における私どもの感想を簡単に述べて報告にかえることといたします。私どもは、新居浜松山高知等工業地帯視察したのでありますが、新居浜を除く工業地帯は、いずれも工業敷地の余裕がある臨海工業地帯でありますが、総じて港湾設備工業用水排水等立地条件整備が必要と存ずるのであります。これらの立地条件さえ備われば、敷地も十分あり、臨海でもあるだけに、将来性もあり、今後の施策のいかんによるものと思われました。  次に電力についてでありますが、四国包蔵水力は豊富であり、将来の電力需用、西日本電力料金低減等考え合わせるときに、これが開発ひとり四国だけでなく、九州、中国電発等との協力のもとで広域的見地から大規模開発を行うべきでありましょう。これがだめに、各地域間との送電連携を早く実現する必要が強調され、広域運営に期待するところが大きかったようであります。また、この四国における住友共電のあり方を、自家発電会社とするかにつきましては、今後の研究課題とでも言うべきものではないかと思われます。このほか今治の綿織物、タオル、あるいは伊予かすりも視察いたしましたが、いずれも全国的な繊維不況の中に苦しんでおり、業界からの要望も目下われわれが本委員会において論議しておりますようなものがあったのでございますが、詳細は速記録に載せる報告書に譲ることといたします。  最後に、私ども視察に当って、いろいろと便宜と御配慮を下さいました関係者方々に厚く御礼を申し上げまして報告を終ります。
  9. 田畑金光

    委員長田畑金光君) この際委員異動について御報告いたします。本日、島清君が辞任し、その補欠として亀田得治君が選任されました。  ただいまの報告について、何か御質疑がございましたならば御発言を願います。別に御質問もなければ次に移ります。     —————————————
  10. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、科学技術振興に関する件を議題として、三木長官よりその後における科学技術振興に関する御方針とか御計画について承わることにいたしたいと思います。
  11. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ちょうど臨時国会も開かれますのでありまするので、法案整備予算編成期にもなっておりまするので予算要求どもいたしております。今折衝の途中でありますので、一々この機会に申し上げることは適当でないと、機会を得て申し上げたいと思いますが、大体のものの考え方、予算要求基礎になっておる点は申し述べておきたいと思います。  法案は、科学技術会議法案臨時国会提出をいたしたい。原子力関係は外務省でありまして、アメリカイギリス原子力一般協定に対してのものは、臨時国会提出をいたしたい、関連する法案としてはこういうものがあるのでございます。科学技術会議が設置されるということになれば、御承知のように、との科学技術会議を通じて、いろいろ今後の総合的な重点的な、どういう問題を研究するかということは科学技術会議できめて、これはものによったならば相当な予算要求を伴うことになるわけであります。科学技術会議を通じて目下重要な研究の項目を決定してこれを推進する。  それから科学技術庁機構整備も、この際に科学技術重要性にかんがみ、従来の行政の経験を通じて、科学技術庁機構整備をしたい。その中には原子力局などに対しても、今後原子力行政重要性にかんがみ、相当この機構は強化したいと考えておるわけであります。  それから理化学研究所であるとか、国立、公立試験研究機関であるとか、科学技術庁所管研究所であるとか、各省の所管研究所、こういう一連の研究機関施設というものを近代化すると同時に、これを充実していきたい、研究機関の充実ということも大きな今後の課題になっております。  それから従来問題にされながらも改善されておらない研究公務員の処遇をぜひ改善をしたい。科学技術振興が叫ばれて久しいのでありますが、この研究公務員待遇は、一般行政公務員に比して平均二割ぐらい低い。でき得べくんば一般行政公務員よりもこれはもっと優遇したいという考えであります。直ちにそこまではいかないにしても、せめてそのアンバランスは取り戻したい、できればもう少しやはり普通の行政一般公務員よりも待遇をよくしたいということが考えられますが、とりあえずはバランスをとりたい、こう考えております。  それから民間研究活動を活発にするためには、いろいろ税制上の優遇であるとか、あるいは科学技術功労者を顕彰したり、民間科学技術研究に対しての活動を助成するような方法も考えたい。  それから海外との科学技術交流というものは非常に活発になって参りましたので、そういう科学技術海外との交流を活発にするために、相当その人の交流などについても、今後はもう少し科学技術国際協力ということに力を入れていきたい。  まあこういうことが、今、今後やっていこうと考えておる方向でありまして、こういう問題を重点に置いて予算要求も行なっておるということを申し上げておきます。
  12. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 右の御説明に対し御質疑はございませんか。
  13. 阿部竹松

    阿部竹松君 ちょっと速記とめて下さい。
  14. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  15. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記をつけて。
  16. 阿部竹松

    阿部竹松君 大臣の御希望は一緒にというお話ですが、委員長から承わると別々だというから、委員会ですから委員長の言う通りに、技術庁長官としてのお立場で二つ、三つ簡単にお尋ねをいたします。  三十四年度の予算の問題にも長官が触れられたようですが、新聞でも若干拝見いたしましたが、予算増額する——新聞ですからはっきりわかりませんけれども増額される点は——まあ増額されるというよりも増額要求の点は、おもに原子力関係だけに新聞には発表されておりますが、そういうことが長官の方ではほんとうであるかどうかということと、もう一つ科学技術庁というところは、原子力とそれから科学情報センターですか、この二つしか、あとほかのものは何らやっておらぬというふうに——やっているもしれませんけれども、私ども察知するところではそれ二つのみで、ほかの点には何らどうもやっておられないような気がするわけです。もしほかの点は、こうこうこういうものをやっているということがあれば御解明を願いたいと思います。
  17. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原子力予算は相当大きな増額要求になるわけでございますが、そればかりでなく、原子力機構の点にも触れましたけれども原子力平和利用に関してのいろんな費用というものも相当大きな増額になるのでありますが、そのほか私がここで申し述べたような点は、これはいずれも予算増額を伴うもので、原子力だけで、ほかはほとんど増額を予定してないということは誤まりであります。ほかの予算も今、最初に申し上げたようなことは相当予算の上においてもこれは考えていきたい。まあ科学技術庁という役所が、これがなかなかこれは目に見えないものであります、科学技術というものが。そんなに右から左に目に見えるものではないので、原子力はああいう東海村などでいろいろ建設も目についておるから、原子力だけのような印象を受けられるかもしれませんが、これは非常に日本科学技術水準を高めるために、科学技術総合官庁としての役割はいろんな面において果しておるのであります。原子力だけというようなことではありません。科学技術庁設置法要求する任務に従って、これは目に見えざる非常な努力をしておるということは申し上げておきたいと思います。
  18. 阿部竹松

    阿部竹松君 目に見えざるという御答弁ですが、目に見えないものをつかまえて論争しても、これは始まりませんけれども、しかし目に見えないだけ何らお仕事をなさっておらぬ。ですから、私は現在のような科学技術庁であればもう九九%まで原子力関係ですから、えらそうに科学技術庁などといって全般の科学を担当するがごとき印象を与えるような、省でなくして、あっさりこれは原子力一本でいきますよという原子力庁あるいは燃料省というものにした方が、今のままの仕事内容であればいいと思うのです。そこで原子力の問題に触れても、あなたの方でもやっておられる、東大でもやっておられるのです、理研でもやっておられるのです、電力会社でもやっている、これは各地でいろいろ研さん琢磨するのはけっこうでしょうけれども、しかしドングリの背比べということになりませんか。少い国力で、少い財政でやるのですからそっちもこっちも、八方美人的なことをやっておっては、とうてい世界のレベルに追いつくどころか残されてしまうという気がして、最後にはアメリカさんとかイギリスさんから一切がつさい下請機関のような格好になって、それと同時にあくまで一切が外国の模倣であり、あるいは購入したものによってやらなければならぬというような状態がくるような気がするのですが、このままの姿でいいかどうか、長官、いかがでしょうか。
  19. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原子力行政に対する基本方針はやはりこの原子力中心になってやっているわけでありますが、これは平和利用段階になってくると実際にやるものが、民間でもそういう原子力平和利用というものを目的にした会社もできましょうし、それは原子力局が実務をいろいろやるというわけのものではない、ただ原子力行政基本方針というものは科学技術庁原子力局中心になって、原子力委員会もございますが、そういうものが中心になって、そしてきめる。この方針は変らないのであります。それでいい、何もかもひとところでやれるものじゃない。ことに平和利用段階になってくると、そうであるというふうに考えます。
  20. 阿部竹松

    阿部竹松君 次に、これは佐々木局長さんでもよろしゅうございますが、今世界各国のこういう専門家の方が集まって、イギリスの炉ですね、これが国営から始まって僕は専門語を知りませんけれども、もちろん内容もよくわかっておりませんけれども、非常に問題になっている。御承知通り、これが安全性があるとかないとか、そういうことで非常に問題になって、必ずしもこの前絶対大丈夫だという御答弁があったように記憶しておるのですが、必ずしもそうでもないように今論議されております。あれはどういうことなんですか、僕は内容をよく知りませんから、一つ簡単でよろしゅうございますからお願いいたします。
  21. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) ただいまジュネーヴで問題になっているコールダーホール改良型に対する論点中心問題は、いわゆる温度係数と称する問題が中心でありまして、これはどういうことを意味するかと申しますと、普通の形式でありますと温度が高くなれば核分裂の効果が薄れまして、従って温度はある程度まで上りますと、上らないという相殺関係になるので、危険度あるいは経済性等に関する点が何と申しますか、採算と申しますか、計算上出てくるわけでありますけれどもプルトニウムがその途中で発生して参りまして、そのプルトニウムは実はその他の要因もありますけれども黒鉛そのものからと言われますけれども、主としてプルトニウムは逆に温度が上りましても分裂の効果を低めないで高めていくという、従って全体の温度が高まっていくという関係になって参る傾向がございます。そこでもしそういうことでありますれば、危険を、安全性を強く主張するというのであれば燃料を変える頻度を多くして、そうしてしょっちゅう燃料を変えるということになってくると経済性が損われやしないか、一方経済性を強く主張して参りますと安全性が損われるという、この矛盾点をどういうふうに解決するかという点が現在のジュネーヴで問題になっている一番の中心問題でございます。もちろん原子炉でありますから、最大の眼目は何と申しましても安全を確保して、日本人類——民族と申しますか、日本人たちを保護するのが当然の任務でありますから、安全を確保するのが第一の眼目にするのは当然でありますけれども、しからば今まで主張しておった経済性がそれでは損われやしないか、大体この既存の、従来のコンベンショナルな発電経済採算が合うといったのが合わなくなるのじゃないかというのがただいまの論点中心になっているわけであります。これに対しましてはジュネーヴ会議では必ずしも明確な回答を与えておりません。そうして具体的な回答といたしましては、何と申しましても、ただいま原子力発電会社入札をして、三つの英国のグループからそれぞれ入札が出ておりますので、それには詳細にその点を解決するようにデータが出ておりますので、その吟味の結果によって判断する以外にしょうがないのじゃなかろうかというふうにただいまの段階では考えております。ジュネーヴ会議では、ただいま申しましたのは公報でなくて、新聞による断片的な何と申しますか、情報を私ども察知するだけでございますので、真相のことはまだわかりませんから、近く代表者が帰って参りますれば、その正確な資料基礎にいたしまして、系統的に組織的にこの問題を研究いたしたいというふうに考えております。従いまして原子力発電会社のテンダーの検討とそれからジュネーヴ代表等が帰りました際の資料中心にした検討といったものを合せて、最終的な結論を出したいというふうに考えております。
  22. 阿部竹松

    阿部竹松君 専門委員会における山田さん初めあの人たち発言日本政府代表発言だということに判断してもよろしゅうございますね。
  23. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 正式の代表といたしましては石川一郎代表湯川秀樹代表の二人が正式代表でありまして、それ以外の方たちはたしか顧問ということで出ておると思いますので、あの質問はわが国の代表質問よりは、専門家として疑義をただしたというふうに解釈した方がほんとうじゃなかろうかと私は考えております。
  24. 阿部竹松

    阿部竹松君 その、きめて出発される場合は、どなたとどなたが代表で、どなた以下が顧問だとか、あるいは随行員だというのは僕も知っておりますよ。しかし、あそこへ行って発表した、あるいは質問した以上は、おそらく、この人は顧問だから資格がないからとか、専門委員だからどうとかいうことにならぬでしょう。たとえばここでお伺いしても、これは三木長官なり、石井次官に聞いても、あなた方に聞いても、それは大臣のおっしゃったこととあなた方のおっしゃったこととは別に考えれば別に考えられるわけです。しかし、われわれはやはり政府の統一ある御見解として承わるわけです。ですから、ああいう人たち発言があなた方の言う通りであり、石川さんがあれであって、ほかの人は専門委員だから責任は負えないということであればけっこうですが、その点どなたでもいいですから明確にしていただきたい。
  25. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 山田電気試験所部長発言がどういう内容か、あるいはどういう質問かということに関しましては、私ただいまこの席ではっきり政府統一見解として申し上げるには少し研究が不十分でございまして、恐縮でございますが、私の個人的な考えでは、ただいま申しましたように、あの会議はむしろ学術会議的な性格のものでございまして、電気試験所部長発言したから国の意思で、国を代表してそれを質問したというふうに考えられるかと申しますと、必ずしもそうじゃないのじゃなかろうかというふうに考えます。だからといって、あの質問なり、英国側回答なりが非常に無責任なものとかいうようなものじゃ決してなくして非常に価値高いものであるという点には何ら変りはないものだというふうに解釈しております。
  26. 阿部竹松

    阿部竹松君 そういう御答弁になりますと、僕はちょっと疑問を持つのですが、あれは学術会議と同じような性格のものなんですか。
  27. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) あの会議性格といたしましては政治的な会議じゃなくて、むしろそういう原子力中心としました基礎研究あるいは応用研究等の発表を中心にした意見のいわゆるディスカッションの会議というふうに私どもは本質的に解釈しております。
  28. 阿部竹松

    阿部竹松君 そのあたりちょっと認識違うのですがね。それは、あそこは実施機関じゃございませんよ。少くとも世界各国優秀メンバーが集まって一つ結論を出して、それを今度採択されて、実行に移すわけです。国会で何をきめたといって、それは委員会だ、本会議できめたのじゃないから法律になって効果をこれは発生しないけれども、やはり一つの重要な機関であり、やはり一つの責任ある結論が出るわけです。あなたのおっしゃるように、これは学術会議であって、世界中の偉い人が基礎研究を発表し合って、足りないものを補なっていこうなどという会議ではこれは全然ないわけなんです。まあしかし、そういう専門委員会方々が、終了すると同時に帰ってくるでしょうから、帰ってきたときは、あなた、十分お話を聞いて、もう一度ここで明快に、右でも左でもけっこうですから、結論の御開陳を願いたいと思います。  それからもう一つあなたのお話で不思議に思うのは、経済性安全性かとおっしゃったのですがね。あそこでは全然経済性安全性をやっておらぬのですね。経済性か、安全性か、両立しませんというようなお話なんですが、しかし僕の知る範囲内では、あなたのお話とは全然逆なんです。こういう点いかがでしょうかね。
  29. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 私の申しましたのは、いわゆる燃焼率三千メガワットというものが一つの基準になっておりましてこれが切るか、切らないか、もしその前に五百メガワットあるいは千メガワットといったようなところで燃料を変えるのであれば、従いましてそのくらいの消費率で燃料を変えなければならないという状況であるならば、安全性を保持するために変えなければならないということであれば、今まではじきました採算基礎が若干修正を要するであろうということを意味したのでありまして、ただいまジュネーヴで議論しておりますのは、そういう燃焼率が温度係数の関連から保持し得るやいなや、正しいのであるやいなやという点に問題点がしぼられているわけであります。従いまして、安全性とか経済性という面は、むしろ結果として出てくる問題で、技術的に、科学的に、そういうデータが正しいデータなりやいなやというその前段の問題を議論している最中でありまして、従いましてむしろ学理的と申しますか、応用的でもありますと同時に、安全の問題とか経済の問題よりも一歩手前の、もう少し深い問題に入っているわけでございますけれども、しかしその結果はどうなりますかというと、ただいま申しましたように、安全の問題と経済の問題にかかってくるということを申し上げたわけでございます。
  30. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後にさいぜんお話しの中にありました、ゼネバから全部の方が帰られれば、もう一度明確に確かめて、一つ答弁願いたいと思います。  長官最後に一点お尋ねいたしますが、今まで明年度の予算ということで何度もいろいろな大臣から予算説明を承わりましたが、しかしそのつど大臣が、もう本年度の予算要求はこのくらいだという発表がございますと、頭の中で歩どまり何パーセントということを頭に入れて、そうしてお話を承わったわけですが、今度は自民党の実力ナンバー・ワンの三木さんが長官ですから、もう予算要求額即実施額とわれわれは判断するわけです。そこで小さい問題ですがね、探鉱費は幾らくらいふえますか。その点だけ最後にお尋ねいたします。探鉱費といってウラニウムの方ですね、ウラン鉱の探鉱をどのくらい、昨年度と本年度の要求額は違いますか。それを最後にお伺いいたします。
  31. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 形式的な、事務的なお話でございますので、大臣にかわりまして数字だけ申し上げます。  探鉱関係といたしましては三つの種類がありまして、一つは地質調査所でいたします探鉱関係でございますが、これは概査を中心にしてやっていく分でありますけれども、この方は九千二百万円探鉱費に来年は見てございます。  もう一つは、燃料公社で精査等をいたしますいわゆる探鉱費でございますが、この方の費用は来年度は四億六千約三百万、二百八十万でありますが、四億六千三百万の費用を大体見てございます。  それからもう一つの部面は、民間で探鉱する際に、国で奨励金を出しまして、そして民間で探鉱しいいようにするという制度を、この基本法でうたってありまして、一昨年度から現実に予算を出して実施しておりますが、その額は大体三千万円くらい来年度は用意してございます。
  32. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あまり実力を過信されるのも困りますので、できる限り努力はいたしたいと思います。これはいろいろ各省間のバランスもあることであります。できる限り科学技術重要性にかんがみ、必要な予算は確保したいと思います。過大な御期待は、どうぞ御遠慮願います。
  33. 小幡治和

    小幡治和君 今、長官から、いろいろ来年度予算の概要について御説明があったのですが、これは科学技術会議というか、あれで大体の方向を示し、その線に沿うて来年度予算の構想ができたのか。要するに、今御説明になったのは、この科学技術会議の中で、こういうことをやろうということできめたのか、それとも、今御説明のあった以外に、科学技術会議で、なお大きな問題を論議しておって、そしてそれが決定次第それが出るというのがあるのですか。そこの関連を一つ説明願いたい。
  34. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、科学技術会議法案というものは、臨時国会に出るもので、まだそういう会議ができてないので、できればどういう問題をこれから研究するかという研究の題目を科学技術会議に付議して、そこでそれを取り上げたものを研究することになるわけです。今はそういう会議体ができておりませんから、これに科学技術会議の意見を徴するというようなものではない。科学技術庁として考えておる今後の重点施策を申し上げたわけで、科学技術会議法案が通ってからのことであります。
  35. 吉田萬次

    吉田萬次君 阿部委員の御質問に関連して、一言長官にお伺いします。  阿部委員はただいま、長官は現政府におけるところの有力なナンバー・ワンであるというようなことを言われました。それはナンバー・ワンにしましても、ツーにしましても、いずれにしましても、長官が有力なる大臣であることは、これは認識しております。従って私が簡単に御質問したいことは、あなたの力をもってせられたならば、必ず実現をし得るだろうということであります。先ほど長官の御説明の中にありました、あの技術者の優遇、この優遇ということについて、一般職と技術者との間に、二割の開きがあるということを、長官は言われました。なるほど私もそうであると思います。従ってこのギャップというものをどうして埋めるか、また急速に埋める方法があるかどうか、また漸進的にこれを行うとしたならば、どういう方法をもって行えるかというような点を考えましたときに、非常な強力なる力をもって臨まなければできぬと思います。いわゆる世界各国におけるところの情勢を見ましても、有力なる技術者というものは、養成はきわめて困難であり、しかもその養成したところの技術者は民間にすべて取られてしまうということになっておるのが通則であります。従って科学技術庁においても、優秀なる技術者を相当に集めて、そうしてそれによってほんとうに国家的の立場というものから、科学技術の向上をはかろうとした場合においては、これはきわめて注意をしなければならぬ。そこで言うはやすくして、きわめて行いがたいというのが、いわゆる予算というものをどういうふうにして取るかということでありまして、私は大臣の手腕に信頼して、相当な増額が行われることを確信しておりますが、これに対して、ほんとう大臣がこの点に留意して、そうして努力して下さるかどうかという御決意を承わりたいと思います。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これが今お話の中にもありましたように、一気にできるかどうか、漸進的になるか、これはいろいろ全体の予算、財政の事情等をもにらみ合せなければなりませんが、必ず改善をしたいという、私は決意をしております。それは一ぺんにやれるかどうかということは、これは疑問です。しかし、今の状態をやはり改善をするということは非常な決意であるということを申し上げます。
  37. 吉田萬次

    吉田萬次君 重ねてお願いでありますけれども、改善する決意とおっしゃいましたが、あなたがいつまでも科学技術庁長官をやっておるわけではありませんし、あなたの御在任中においてぜひ実現さしてもらうということにおきまして何らかの具体的なものが現われるということを私どもは期待しておるのであります。さらに大臣におかれましては、この問題に留意して、とにかく予算においてはっきりと現われてくる数字においてあなたの御手腕を期待しまして私の質問を終ります。
  38. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それでは本件はこの程度にします。     —————————————
  39. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に水質汚濁防止に関する件を議題にいたします。  本件に関しては政府各省庁にまたがる問題であり、法案の準備も内閣審議室を中心に進められておると聞いておりますので、まず内閣審議室長吉田信邦君から本件に関する法律立案の経過と現段階について御説明願います。
  40. 吉田信邦

    説明員吉田信邦君) それでは簡単に水質汚濁防止に関する従来のいきさつと最近きまりましたこれに対する施策の方向につきまして御説明申し上げます。  この問題につきましては、かなり古い問題でございまして、政府の内部におきましても経済企画庁を中心として数年研究をいたして参ったところであります。そうして幾たびかいろいろな試案ができたわけでございますが、ついにまとまるに至らなかったものでございます。この問題の重要性と緊急性という点から、早急に立法施策か講ぜられるようにということで、閣議におきまして各省の意見を私どもの方で取りまとめるようにという御指示がございましたので、この二カ月来特に私どもの方で審議して参ったのであります。昨日ようやくその対策も、水質汚濁防止対策要綱が閣議の了解になりました次第でございます。以下簡単にこの閣議了解を得ました対策要綱につきまして述べたいと存じます。  この問題は御承知通り、近年における都市人口の増大、あるいは鉱工業の発展というものが著しいのに対して、これの下水道その他の汚水処理の問題が進んでおりませんために、河川、海面の水質は年々汚濁されるに至ったという事情に基くのでございます。これに対する政府の態度としては、単に紛争解決という問題のみでなく、国土の保全という見地から総合的な施策を進めるべきじゃないか。従って一方においては下水道の整備というような点に重点を置きますとともに、他方において汚濁防止という点についての積極的施策も必要であるということに基本的な方針を求めまして、さしあたり二つの法律を立案いたしたいというふうに考えております。一つは、水質汚濁の規制に関する法律と、まあ仮にそういう名前をつけて申しますが、そういうものと、同時に、工業汚水等の処理に関する法律というようなものを立案いたしたいというふうに考えております。  まず、水質の問題でございますが、水質につきましては直接農業、漁業等に影響のあるのは、川を流れておる水そのものでございます。流水自体の汚濁度が問題になるわけでございますが、これを直接流水自体の汚濁度について法律的に規制を加えるということも、これは川自体がいろいろな水が流れ込んできております関係上、なかなか困難でございます。基準といたしましては流すところの場所で、つまり放流水の基準をきめるということで参りたいと考えております。つまり現在も、あるいは鉱山については鉱山保安法 下水道については下水道等によって、川に流す水の質をどうするかということについては、ある程度規制のできるような法規がございますが、その他の工場、事業場につきましては、何もございませんので、それで、別な法律で今の工場、事業場の汚水の処理に関する法律を設けるとともに、この基準法によって、一応の基準を設けて、そしてその工業汚水の取締法によって、工場等の汚水処理施設整備に必要な措置を規定することに考えておる次第でございます。  それで、しからばこの水質の基準のきめ方をどうするかという点につきましてでございますが、これはいろいろ理想的なことを申しましても切りがないのでございますが、さしあたりはまず現実の状態から出発して、現実より漸次によくしていくという考え方をもとにいたしまして、一方では下水道の布設計画、それから工場等に設けさせる除害施設経済性というようなものを考慮して、可及的すみやかな時期に、この放流水の水質基準を設ける。そして、その水質基準を設けたならば、今度は工業汚水の処理に関する法律の方の立場から、工場等に必要な施設を命令し、またそれを確保するというような方向で参りたいという考え方でございまして従って、これによりまして一番肝心なことは、水質の基準をきめることでございます。これは皆さんも御承知通り非常にむずかしいことであります。技術的にも現在の段階において、完全な判断ができるところまではきておりません。従ってこれにつきましては、今後可及的に日本の技術者を動員して、そして正しい結論を導き出すように努力して参らねばならないと考えております。そしてその基準ができたときに初めて法的な拘束力を持った施設に対する命令ないし取締りを行うことになるわけでございますが、現実問題としては、それまでそれではほうっておくのかというようなことになりましては、これまた効果を上げることができませんので、さしあたりの問題としては、その将来できる基準をある程度想定しながら、行政指導によって工場、事業場等に必要な防除施設を設けさせるように指導をして参るというような方法をあわせてとって参りたいと考えておる次第でございます。  それから次の問題は、紛争処理の問題でございますが、現実の状況といたしまして、今申しました通り、水質の許容基準がすぐはできない、技術的に相当研究しなければ、正鵠を得た、技術的に確かな結論を導き出すことも困難である現状にありまして、これについてはむしろ和解の仲介という制度を明確にして参りたい。一応都道府県知事が、あらかじめ仲介員候補者の名簿を用意しておきまして、必要に応じ、事案に応じて、その名簿の中から適正な仲介員を選任いたしまして、その仲介員によって問題を極力解決する。万が一この仲介員による解決ができなかった場合には、これはやむを得ませんので、民事調停によるより仕方がないと考えております。  これらの仕事に対する行政機構といたしましては、これは理想的にはいろいろな問題が考えられるのでありますが、さしあたり現在の段階においてまず出発するということに重点を置いて考えます上から言うと、現在も各省がそれぞれ部分的に責任を持っておりますが、この責任の分担を明確にいたしまして、そして各官庁でそれぞれ下水道法なり鉱山保安法なり、また新しく制定を予定しておる工業汚水等の処理に関する法律、これらの取締法規の対象になる施設については、各省がそれぞれの責任において水質汚濁の防止ということに努力をして参るということにいたして参りたい。そうして、ただ、そういうことで各省が万が一ばらばらになってはいけないというような場合もございますので、これが総合調整の機構といたしまして、また、今の水質基準は、これは各産業界、あるいは各人が満足するものでなければなりませんので、そういう意味において、経済企画庁においてこれらの総合調整及び水質基準の決定を行うことにいたしたい、しかし経済企画庁は、本来企画することに主たる仕事があるのでございますので、個々の問題の解決、個々の紛争の処理ということは、原則として各主管大臣の責任において必要な指導を行うということにいたしまして、各省間の意見の相違のないように、経済企画庁において調整するというようなことに考えております。  さらに技術的な分野におきましては、経済企画庁と同時に科学技術庁において、現在の水質問題に関する試験研究の調整を強化しまして、科学的にも高い水準をもってこの問題を処理するようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。  以上、大体昨日の閣議の了解を得ました方向につきましての概要を申し上げた次第であります。
  41. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 御質問がありましたらお願いします。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 お尋ねすることは、法案内容でございません。しかしこの法案が出るということは、通産省の官房長からお伺いいたしましたけれども、何のためにこれは経済企画庁でやらなければならぬかということを私不思議に思うのです。経済企画庁で、あなたの方で……。御承知通り、法律によれば、経済企画庁は、そういうことをやるということになっておらぬですよ。経済企画庁は、これとこれとこれをやるのだということにもう一項目ふやさんければならぬ。これは建設省も関係ありましょう、厚生省も関係ありましょう、通商産業省も関係ありましょう、農林省も関係がある。国会に出すのは、それは政府が出すのですから、どの省が出してもけっこうだけれども、てんで違うところが出すのは、これは私は不思議でたまらぬですよ。なお、今お伺いすると、法案のあらゆる内容をきめて、それを明確にして、各省に渡すというのですが、いつから、厚生省なり通産省なり、農林省なり建設省は、経済企画庁の下部機構になったか僕は知らないのです。しかし、この法案経済企画庁で出すなどということは、およそ経済企画庁の性格からいって、あるいはこうやらねばならぬという法的な経済企画庁の設立の状態からいって、これはてんでおかしい、あなた方どう思うのですか。
  43. 吉田信邦

    説明員吉田信邦君) これは確かにそういうような面も若干ございますが、主たる問題は、産業間の調整という問題であり、さらに申し上げれば、この問題の本質は、国土の保全と、さらに申しますれば、国土資源の最も有効適切な活用というような面にございますので、こういう仕事を現在一般的に扱っているところはどこだということになりますと、第一に、一番近いのは経済企画庁である、そのほかに現在新しい経済企画庁の仕事のうちで、いわば開発関係仕事については、経済企画庁の本来の主流であるとは考えておりませんが、現在の官庁機構のうちで、それではどこでやるかという点につきましては、やはり一番近いのではないかというふうに考えられましたことが一つ。それから、厚生省、建設省等が、いつ企画庁の下に入ったかという御意見でございますが、別に上下の関係はございませんが、経済企画庁は総理府の一環として、そういう意味で経済関係の諸問題の総合調整ということは本来のものでもございます。そういう意味で新しい役所を作るということを考えますればさらにもっとすっきりしたものも考えられますが、しかしそういうことよりも、まず早く問題に取りかかりたいというような趣旨から申しまして、現在ある機構の上でそれを合理的に活用していくという立場からこういうような結論になったものと考えるのであります。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたはどの省はどういうことをやらなければならぬかということを知らないからそういうことをおっしゃるのですよ。経済企画庁は総理府のあれだということは知っているけれども、しかし経済企画庁が国土資源の保持とかなどということは全然ございませんよ。当然担当省があるのですよ。こういう問題について担当省がある。その担当省がやらなければならぬわけですよ。そういうような理屈はともあれ、一刻も早くやらなければならぬのだと、そういう理屈はないのですよ。やはり一つの法律を作るときは担当省がどこだ、どういう法律を作るのだ、どうしなければならぬということがあるわけです。ともかく一刻も早くやらなければならぬ。新しいやつを作るのはめんどうだというようなことではてんで話が通りませんよ。農林省か通産省か厚生省か建設省か、そういうところでやることはやる。しかし木に竹をついだようなことでなく、やはり筋を通さなければならぬですね。何でもかんでも法律で出せばいいということであってはいかぬのですね。そうでしょう。
  45. 吉田信邦

    説明員吉田信邦君) 各省の現在お話が出ましたように、通産省の持っている面もございますし、厚生省の持っている部門もある。あるいは農林省、建設省その他これらの各省に分れておりますが、それぞれの仕事が果して分離し得るかどうか、その水質汚濁の部分に関してだけ単純に分離し得るかどうかという点を検討して参りますと、これはなかなか容易なことではないので、かえって分離したために機構が複雑化するというようなことにもなると考えられます。それらの問題をどこの省にやらしたらいいかといえば、率直に申しましてこの省に、現在の他の、今おあげになりましたような省のどれにやらせるという場合にいたしましても、それぞれ今おっしゃいましたのも同じような意味で、こんなことをすべき役所でないじゃないかというような疑問がまた出て参るのでございまして、こういうような結論になりましたことは、現在の各省の仕事の分布状態からいってやむを得ないものだと考えるのでございます。
  46. 阿部竹松

    阿部竹松君 各省の状態からいってやむを得ないという答弁はあなたのすべき言葉でないわけなんですね。また私もあなたにこれ以上聞いても何にもならないわけです。あなたはこれやれといったらやられるだけで、質問されて苦しい答弁しておると思うからあれだけれども、たとえばあなたが今おっしゃった分離したら複雑化すると言ったって法律をこしらえたらやはり分離するわけです。この部分は農林省でやりなさい。この分については建設省だ、この分は通産省だ、やはり分離しなければならぬわけです。分離したとき、それを実施する庁がなぜやれぬか、そういうことになるのですよ。そういうつまらぬ論議は僕はやろうと思わぬけれども、あとで総理大臣に聞くか議運でやるか別として、筋道の立たぬ法律でやることは全然筋が通っておらぬ。僕はこう思うのです。こういうことは全く正しいとあなたはおっしゃるのですか。
  47. 吉田信邦

    説明員吉田信邦君) 新しく仕事を各省に分離するということはいたしておりません。従来各省がやっていた水質汚濁に関する仕事をもっと強化するように、同時にそれぞれの権限と責任の分野を明確にしてこの問題に対する関心と努力を強化するようにというふうに考えておるのでございまして、従来ある各省の権限を左から右へ移すというようなことはこの法案の中には考えておりません。
  48. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 速記をとめて。   〔速記中止
  49. 田畑金光

  50. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 次に、公報でお知らせいたしました経済不況対策航空機工業政策貿易振興に関する件を都合により一括して議題といたします。  御質問に先だち、今後の経済の見通しと経済運営の態度についてお手元に配付いたしました資料中心三木長官より簡単に御説明を承わることにいたしたいと思います。
  51. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昨日閣議の決定を経まして昭和三十三年度の下期及び来年度の経済見通しの概略についてこれを発表いたしたのでございます。大体の考え方を簡単に申し上げたいと存じます。  まず、下期の経済の動向に関してでありますが、経済の原動力となる最終需要の面について下期の見通しを、われわれの考えておる見通しはこういうように考えておるのであります。  設備投資については、下期は上期に比して三%程度下回る、しかし全体としては一兆四千億円程度の設備投資、大体予定をしておった設備投資は本年度に行われる。  それから消費の需要についてでありますが、これは引き続き堅実な基調をたどっておるわけで、ことに今年度は四年続きの豊作であると言われておるわけでありますが、こういう面からも農家所得の伸びが期待をされる。それで上期に比べて九%程度季節性の影響もあって消費の伸びは全体としては五%程度の増加である。  問題の輸出でありますが、これは御承知のように世界景気の影響を受けてこれは予定を相当修正を加えたのであります。輸出目標に修正を加えた。しかし、最近アメリカ経済も底入れの状態であると言われますし、これ以上世界景気が悪化するという徴候はない。そういうことを考慮に入れまして今年度の輸出目標は二十八億ドルに修正をする。輸入は二十七億ドル。まあ輸出入ともに物価が六・七%程度低落をしておりますから、数量の上においては目標にだいぶ接近をした数字である。しかし、金額の上においては目標額に相当な修正を加えざるを得なかった。そして全体としての国際収支は世銀のインパクト・ローンを除いて実質的な国際収支の黒は三億ドル程度を予定をする。  それから財政の面においては御承知のように公共事業などの繰り上げ実施等もあるし、またいつも下期の方が財政的な支出というものは上期に比べてこれは増加するのであります。大体地方、中央を通じて財政の購買力は一千三百億円程度去年よりも増加と見ておりまして鉱工業生産、まあこれが今申し上げたのが最終需要でありまして、こういう全体の数字に現われておる最終需要の基調は非常に底固いものがある。いずれの要素をとっても最終需要というものが下期において設備投資を除いては上期に比して最終需要が低下するという要素はない。年間を通じて見れば、設備投資も大体の考えておった程度、あるいは少し上回る程度の設備投資がある。最終需要とは言えないけれども、中間的な需要になりますけれども、在庫投資の面においては予定よりもこれは在庫調整をやっていく時代でありますから、そういうので在庫の新しい投資というものは予定を相当に下回る、これはまあマイナスの要素になる。しかし、全体としての最終需要というものは底固いものがあるので、日本の景気というものが下期にずっとずれ込んでいくというようなことは考えられない。そう大きな上向きということも期待できぬにしても、多少の上向きを予定されるという見通しを持つことができる。鉱工業生産は、これは下期には、上期に比べて、例年もそうでありますが、少しふえる。全体として鉱工業生産は四・五%という伸びを期待しておったけれども、実際は〇・三%程度の伸びになる。これも予定の年度計画に修正を加えた項目の一つであります。こういうこと、それから金融の面においては第三・四半期においては食管会計あるいは貿易の黒字、外為会計を通じて一般財政なども加えて三千億円程度の払超になり、第三・四半期の金融も従って緩慢の状態になる。ある程度日銀のオーバーローンも改善されていくに違いない。物価は大体少しまあ微騰、大体において横ばいであり、少しは微騰する程度にとどまるものである。こういうふうな下期の見通しから三十三年度の見通しを立てまして、そして最後に国民総生産であります。いわゆる成長率と言われているものでありますが、これは大体三%程度の成長率を予定したのでございますが、実際はこれを実質ベースに直しますと一・八%程度の成長を予測される、昭和三十三年度は。しかし、まあ去年の昭和三十二年度が目標よりも一・八%程度多かったのでありますから、そういうものを加えて考えれば、これは予定した三%程度の成長率にはなる。しかし、今年度だけをとってみれば、予定した三%を下回った。こういうことで、今年度の下期の経済並びに昭和三十三年度全体の経済の見通しをこのように考えておるわけであります。  そこで三十四年度でありますが、これはいろいろ来年度のことでありますから、国際情勢等ももう少し見通しをつけて、そのいかんによっていろいろ投資活動等にも影響があるわけでありますから、的確にここに……こういう非常に経済政策としては困難な時期でもあるので、この際大担に明年度の経済を予測することからくる弊害の点も考慮して、来年度の経済の見通しにやや幅を持たした表現をいたしたのであります。それは来年度の経済の成長率は、大体四ないし五%が中庸を得たものではないか。六%の成長率ということになってくると、国際収支の面において問題ができてくるのであります。去年、今年度を合わした三%程度の成長率では、雇用問題、企業の経営にもいろいろ問題が起ってくる。だから四ないし五%程度の成長率が中庸を得たものではないかという見解を述べてあるわけでございます。これはもう少し時間を得たならば、これは来年度の予算編成の基礎になるものでありますから、的確な見通しを得たいとは考えておりますが、現在の段階では、そういう幅を持たした表現を使っております。しかし、今後の経済政策の基調としては、われわれの考えとしては、やはり日本経済が長期的な経済の発展をやっていく、そのためにどうしても産業の質的な面においてこれが充実をはからなければ、単に数量だけでは、やはり問題は解決できない。世界経済の情勢もにらみ合わして日本の産業の質的な充実をはかっていくことが必要である。こういう前提の上に立って今後の投資については、日本の産業基盤を強化するようなやはり投資をやるべきである。今日では輸出の不振等も伴って供給過剰のような状態にあるのでありますから、直ちに生産力の効果が上るようなことよりかは、将来のために日本の産業基盤を強化するような面における投資をやるべきである。それは基礎的な産業部門ばかりでなく、道路、港湾とか、あるいは住宅とか、そういうふうな立ちおくれている公共施設の面における投資、それと基幹産業、こういう面に対する投資というものに重点を置くべきである、これが第一点。また、さらに輸出の増進、日本のような、やはり海外貿易に日本経済の依存度が非常に高いわけでありますから、どうしても輸出の増進というところから経済の発展を切り開いていく必要があるので、輸出増進には幸いに国際収支の黒字もあることでありますから、ある程度のクレジットの設定も含んで、そうした輸出の増進というものをはかるべきである。ただ日本がそういう輸出増進の政策をとるばかりでなく、世界経済全体が縮小均衡の状態に陥らないように、今日うわさに上っている第二世界銀行であるとか、IMFの増資であるとか、いわゆるアメリカ中心とする国際経済の流動性といいますか、こういうものをやはり強化するような機運を日本自身が盛り上げていく必要がある。それに伴って日本の輸出の増進策を相当思い切ってやっていく必要がある。またやはり今日国民の所得較差と申しますか、こういうものがやはり拡大していく傾向があるので、低額所得者の所得水準を高めて、これがやはり一つの大きな購買力になり、産業発展の柱になるわけでありますから、そういう意味において低額所得者に対する減税あるいは社会保障制度の充実等によって、そういう低額所得者の水準を高めていくような点にも重点を置くべきである。なおまた中小企業あるいは雇用の面、えてしてこういう面にこういう経済の沈滞期においては時期的にずれても、それが中小企業やあるいは勤労者の雇用の面にしわ寄せされてくる傾向があるから、中小企業や雇用の面についても特にやはりこれを重視していかなければならぬ。以上のことを頭に入れながら財政の運営は弾力的にやるべきである。ただまあ公式論的にやるのではなくして、やはりある程度の景気水準を維持するということは政治の責任でありますから、そういう意味において財政の弾力的運営をはかる必要がある。こういうことをいわゆる一つのプリンシプルとして、今後の日本経済の運営の基本的な態度として述べたわけでございます。  これが昨日閣議の決定を経た経済の今年度下期、来年度の見通しに対する企画庁の見解というわけでございます。
  52. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいまの長官の御説明に関連いたしまして、まず第一にお尋ねしたいのは、第三・四半期に財政資金散布超過が三千億になるというお話でありました。しかしすでに発表せられたるものは三千二百億ということになっておるのでありますが、そこに二百億のズレがある。これはどういう点に関係があるか、それを一つ明らかにしていただきたい。
  53. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは三千三百億円程度になるのであります。ただ三千億円程度とラウンド・ナンバーで申したのであります。実際は三千二、三百億程度の散布超過である、こうお考え願います。
  54. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私は今三十億と言われたのを非常に深刻に受け取ったわけでありますが……というのは、一般に発表せられておるのが三千二百億であるけれども、その中で昨年の金融引締めの際に地方銀行の持っておる国債等百五十億を買いオペレーションをやった。これが金融緩慢になったからというので売り戻しをやろうという考え政府は持っておる。これを百五十億を三千二百億から引くと三千五十億になるじゃないか、そこに一つの心配の点があるのでありますが、それを長官も裏書きせられるごとく、三千二百億とかつては発表せられたが、三十億と言われたのではないかと、きわめて私は深刻に受け取ったわけです。しかし、今お話だと三千二百億、三千三百億にもなる。三千三百億にもなるならまことにけっこうでありますが、しかしそこで念を押しておきたいと思いますのは、昨年の買いオペレーション百五十億をこの際売り戻すという行き方は、私はあまりにも政府がやられることはけちくさい。ということは、一般金融は緩慢でありますけれども、中小企業金融は、じゃあ緩慢になるかというと、そうはいかぬことは長官承知通り。ところが、昨年百五十億の買いオペレーションをやったものをこれを売り戻せば、これは中小企業金融圧迫の材料になるわけでありますから、こういうことをおやりにならぬようにしていただきたい。さらにまた一そう年末金融がだんだん問題になってくるわけでありますが、年末金融対策をどういうふうに考えるかということに関連して、今の点一つ伺っておきたいと思います。
  55. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはある程度の、金融が相当緩慢になるわけでありますから、どういうふうな方法でオペレーションをやるかということは今後の課題になるわけであります。しかし、できるだけその影響というものを中小企業金融にしわ寄せしないという御注意に対しては、これを傾聴いたしておくことにいたします。
  56. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう一つそれに関連してお尋ねしたいと思いますのは、赤字融資を不況産業に対してやろうということになっておることは御承知通りでありますが、これが全体どれくらい赤字融資として出ていくだろうか。具体的に言いますと、綿スフの救済融資、それから絹人絹の救済融資、場合によるというと石炭に対しても救済融資をやらなければならぬのでありましょうが、これらの総額がどれくらいになるというお見込みを持っておられるか、これを伺いたいと思います。
  57. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今それは個個の金融機関においてそういうふうな滞貨融資的なものが現実においてあることは事実でありましょう。しかし、この点については政府の方から幾ら幾ら滞貨融資をするというようなことを方針をきめてやっておるわけではないのです。これは一応やはり銀行側の一つの独自の見解にもまかしておるのであります。政府がやっておることは、御承知のような産業政策の面において繊維産業などにおいて過剰施設を買い上げる。そういう産業政策の面において政府がやっておるわけであります。金融自体の点においては金融の良識にまかしてあるということであります。
  58. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私どもの推算するところによりますと、綿スフの救済資金、絹人絹の救済資金、それから石炭の救済資金等を合せると、かれこれ四、五十億にもなりはしないかというふうに推算をしておるのであります。この四、五十億が今中小企業の専門金融機関から漸次出ていくということになりますと、これはちょうど年末ごろに一般の中小金融の圧迫材料としてはっきり出てくるわけであります。そういう点で年末金融に対してこれを穴埋めといいますか、補正する行き方をどうしても考えておかれないと非常に一般金融は緩慢になったといいながら、これは対象がはっきり違い、またその資金源がおのずから違うわけでありますから、これがもう中小金融の圧迫材料として出てくるということになると非常に困った問題だと思うのでありまして、これは政府、与党の意図せられておるところではもちろんなく、意外の結果が出やせぬかというふうに思いますので、これに対してどういうお考えを持たれるか、それに関連して今の百五十億の買いオペレーションをやったり、売り戻しなどをやられるということは、もういかにも逆行することになりはしないかというわけでありましてこの二点をお尋ねしたいと思います。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 年末にかけて今申しましたように三千二、三百億の散布超過でありますし、これはある程度の日銀のオーバー・ローンなどを解消する、ある程度改善されるような資金にも使われましょうが、相当部分というものはこれは民間に残るわけでありますから、年末の金融が非常に逼迫すると私は思っていない。むしろやはりこれは相当にこういう機会に日銀のオーバー・ローンなどもやはり改善をしていくことが好ましい。むしろ逼迫というよりも緩慢に対してどういうふうな措置をとるかということが、これからの課題であると思います、第三・四半期の。ただお話のそのしわ寄せが中小企業の金融にいかないように配慮をせよということはごもっともなことであります。どうしてもやはり中小企業に対するこういう景気沈滞の影響というものはずれていくわけでありますから、年末などに対する中小企業の金融ということに対しては、十分な注意を払っていきたいと考えておるわけでございます。
  60. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 一般金融が緩慢になりますと、これは普通銀行は緩慢になつてくるわけです。しかし、普通銀行というのは御承知のように大企業にしかほとんど貸さぬ。貸出残高の三分の二は大企業にいっているわけですから、大企業の金融は緩慢になるでありましょうが、中小企業金融の方にはそんなに流れない。これを補てんするのは中小企業金融公庫ですかあるいは国民金融公庫あるいは商工中金というところから出るのですが、これはいずれも政府予算的な措置がないと御承知のように資金はふえない。今金融が中小関係が困ってきておるから、さあそういう方面から出るかというと前もって用意されておらぬと出ないということは御承知通りであります。しかもそういう商工中金あるいは中小企業金融公庫等から不況産業に対する赤字融資は今後出ていくわけでありまして、四、五十億も商工中金なり中小企業金融公庫は不況産業対策としての赤字融資による穴が出てくると、これは年末になってさあ一般が、中小金融が困ってきたからというときに出す方の普通銀行は出さないし——金は余っておるが中小企業金融には普通銀行は出ない。出さんならぬ政府金融機関には予算的措置がないということでは、これは世の中が非常に金融緩慢でありながら中小企業はたちまち困るということは歴然としておるのです。そこで心配なものですからこれをお尋ねをし、赤字融資を政府金融機関からやるならやるで、そのあとの年末金融に対しての補正的な予算を組むとか、あるいは暫定的な措置を講ずるとかというようなことについてお考えがあってしかるべきじゃないか、そういう意味なんですが、この点についてお伺いいたしたいと思います。
  61. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは今申し上げますように、企画庁の今後の経済運営の基本方針の中に雇用面、中小企業の問題は特に今後重視していかなければならぬと述べたのは、そういうしわ寄せが金融面のみならず、いろいろな面におけるしわ寄せが中小企業に集中するような事態は避けなければならぬということでありますから、金融の推移等を見まして、そうして中小企業金融というものは逼迫するならば、当然に適当な処置を講じたいと考えております。
  62. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 その点につきまして、大蔵大臣畠るいは通産大臣にむしろ私は経済企画庁長官から警告的にお話をせられて、そしてそういう措置を事前に講ぜられるように一つ強く要望をいたして、次の質問に移りますが、第二の質問は、これはまた先ほど御説明のありました点でありますが、六%の成長率に三十四年を見ると、これは国際収支の面から見て少しどうかという点がありはせんか。それから三%の成長率に見るというと、雇用面から見て問題が出やしないか、そういう点からその中間をとって四、五%でいこう、これは要するに見通しというよりも一つの希望だと思うのです。要するに、国際収支面からはとても六%とは言えないし、雇用面のことを考えると三%と言いたいけれども言えぬ。そこでまあ四、五%のところでという全く希望的な観測といいますか、それではほんとう経済見通しというふうにいかぬじゃないか、そういう点を、お話を伺ってみるというと、四、五%のところが非常に希望であり、それだけに甘いので、これが実際はもっと割り込んでくるのじゃないか、成長率が、というふうに非常に思われるわけなんですが、そこのところを一つ率直にお話が伺えればと思うのであります。
  63. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今お話しのように、まあ六%と三%の場合、両面からその場合における手かげんを述べておるわけであります。そうなってくると、希望とは言われますけれども、国際収支あるいは雇用の面、企業の経理の面、そういう点で、この程度が中庸を得た好ましいものであるということは、単なる希望というのではなくして、一つのやっぱり見通しを述べたものである。これは将来において、今申したように、適当な機会にはもっと的確に述べる機会を持ちたいとは思っておりますが、現在の段階においては、これは単なる希望というよりは、一応やはり一つの国際収支とかその他の経済的な影響を見た来年度の成長の一つの見通しとして終るべきではないということで、希望よりももう少し強いものがこの中にはあると思います。
  64. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それにつきましては、財政に弾力性を大いに持たそうというようなことも付言せられましたので、ほんとうに真剣に、誠意をもって財政に弾力性を持たそうということでこれを実行に持っていかれれば、あるいは今の四、五%という——私はどうも承わっておると希望であって、どうもとてもそこまではいきそうにないのだけれども、まあ中をとってそこらで発表しておるというふうにとるわけですが、しかしこれは今言う弾力性財政によってほんとうにカバーなさる決意と実行力があればそれはいけるかもしれぬ、またそれを非常に期待するのであります。そういう点で、どうもおいおい細りになるような、縮小均衡、縮小均衡につっぱしることのないように強く要望しておくわけですが、それと同時に、次の問題に移りますのは、所得較差を指摘せられまして、低額所得者に対する減税を大いに強調せられました。まことに同感でありまして、大いにけっこうだと思うのでありますが、その一つといたしまして、低額所得者に対する軽減のために、年額所得三十万円までは非課税にするというようなことをすでに政府においては発表せられておるようでありますが、これもけっこうでありますが、同時に勤労控除を一部に認めておるわけでありますが、零細企業などは全くこれは一つの勤労所得でありまして、ほとんど資本所得と言えないものであります。そういう点から見ると、零細企業者に対して勤労所得控除に匹敵するような、それに準ずるような特殊控除を認められてしかるべきじゃないかという点が一点であります。  それからもう一点は、中小企業関係について課税の軽減をやるということを言われておる。これもまことにけっこうでありますが、特にこの中小企業関係を見まするというと、ほとんど三重課税になっております。これは非常に意外におとりになるかもしれませんが、所得税または法人税、これならまあ大ていのものが納めるからいいのでありますが、二重課税になっておる。それは要するに、問題の事業税が二重課税になっておる。そこへもってきて、木工家具製造業者、あるいは化粧品製造業者、あるいは飲料水製造業者というものには物品税がかかっておる。これはもう三重課税である。そういうもの以外に、たとえば木材業者には木材引取税という形で三重課税になっておる。あるいはまた、ハイヤー、タクシー業者にはガソリン税という形で三重課税になっておる。こういうふうに分析してみますというと、中小企業関係は二重課税はまだしもいい方でありまして、三重課税にずっとなっているものが多い。こういう点で、どうしても課税の軽減をやるということになりますると、思い切って税制改革をやりまして、その所得に応じて税をとるが、何重にもやっていくというようなやり方は、どうしても私は根本的改革が必要だというふうに感ずるのでありますが、この点について、それと零細企業工場というか、そういうものについての二点について御所見を伺いたいと思います。
  65. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 自民党が選挙で公約いたしましたのは、所得税の標準家庭月収二万五千円以下無税にする、個人事業税年収二十万以下無税にする、法人事業税の税率、これを減額する、固定資産税に対して税率を減額する。今お話の物品税などについては、これは検討を加える。税制一般について具体的に約束したのは以上の点、これは財政のいろいろな事情があっても、やはり選挙の公約でありますから、万難を排してこれは実行いたします。ただ、今お話の中小企業等は勤労所得じゃないかという議論は、これはずいぶん前から行われておるのであります。これは今後やはり研究課題であって、今ここでそういうふうな勤労の基礎控除をやっぱり中小企業に適用するという考えは今考えておらない、今後研究いたしていくことといたします。
  66. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 通産大臣一向見えぬのですが、この調子だと、もう約一時間おくれておるのですが、この一時までということのやつを通産大臣は二時までやることになりますか。
  67. 田畑金光

    委員長田畑金光君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  68. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それじゃ速記を起して。
  69. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 通産大臣お待ちかねいたしておったのでありますが、お見えになりましたからさっそくお伺いいたします。  不況産業の一つといたしまして、繊維関係について織機の買い上げ、いろいろ政府でも御苦労になっておるわけでありますが、これの買い上げ値段の問題でありますが、たとえば絹人絹織機買い上げ値段、業界では五万円を要望しておったのでありますが、政府は三万円にしようということになっておるようでありますが、政府も救済策としてこれをやろうという以上は、やりがいがあるようなことにしないと、全く羊頭狗肉、何の役にも立たぬというようなことにもならぬかということを非常に心配をしておるものであります。もしもこれ三万円でどうしてもいくのだということになると、三万台の買い上げを期待しておりますが、おそらく三千台も寄らぬかわからぬということになると思うのですが、これに対しての御見解を伺いたい。
  70. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私どもの予想では、大体人絹の方は三万台買い入れたい、政府の方もできるだけ負担金をよけい持っていきたいと、こういうふうに考えておったのでございますけれども、いろいろ予算関係上考慮いたしまして、先般出しました条件がもうぎりぎり一ぱいのところでありまして、それでもなおかつ今期にできるものは半分にいたす、また来期に半分残さなければならない、こういう状態であります。どうしてもこれが予定のごとく三万台集まらぬという場合には、これはまだこの点につきましては、露骨に申し上げますならば、大蔵省の了解を得ていないのでございますが、どうしても集まらぬということならば、予算の範囲において台数を減らすとか何とか考えなければならぬかと思っているわけなんでございますが、それはまだ確定までいたしておらないわけであります。できるだけこれで実行に移してみて、どういう結果になるか見たいのですが、私ども考えでは相当申し込みがあると考えておるわけであります。
  71. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私どものところに寄る情報からいいますと、とても三万台になるという数字は上らぬと思います。三千台も場合によれば切れる、ことに現実の問題として困っておる問題は、金融機関に織機を担保に入れておるのでありますが、それが五万円の担保になっておる。ところが三万円で手を打たなければならぬというと、そこに二万円のなにができる、こういう関係からくる二万円の穴がどういうふうに処置をするのか、こういう点もどういう見通しをつけておられるのか伺いたい。
  72. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) まず一応ああいうふうに決定しておりますから政府の負担はあの程度で、また別途に金融のためでございますね、これは別途の方法で金融を援助する、それについてできるだけ努力して金融をやりやすいように持っていきたい、こういう措置を考慮いたしております。
  73. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 具体的にはどんな措置を講ぜられるでしょうか。どうも委員会答弁はもう少し具体性を持って質問もするが、答えもしていただくということでないと、あまり意味がないと思いますので、その点一つ明らかにしてもらいたい。
  74. 佐々木彰一

    説明員佐々木彰一君) ただいまのお話でございますが、担保に幾らずつ入っておりますかこれはなかなかむずかしいのでございますが、廃業に近いような場合、これは実際いろいろな意味でお気の毒でもありますし、また、こういう場合におきましては、廃業するということが全般的に他の業者にもいい影響があるということもございますので、そういう場合には集中的に、大体任意買い上げの措置をとるつもりでございますが、この買い上げ予算を集中的にそういう人たちの方に回すというような指導は従来もしておりましたし、今後も大体そういうことで参るつもりでおります。そういうような点で非常に大きい借金を背負っておりまするような場合にも、できるだけ助けるようにしたいというような感じでおります。また一般的な金融関係につきましても、中金等の公庫の方に先般来話し合いしておりまして、相当いろいろな意味での金融のめんどうは見ていただけるような感じは持っております。先般中金の方で聞きましたのですが、綿スフ織物業者につきましては、現に各地区で相当大量といいますか、多額の融資が行われておるようでございます。従いましてその辺の金額の調査等依頼をしておるところであります。
  75. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 事務当局の答弁聞いておりましても、あまり大臣答弁と変らぬぐらい抽象的であるわけでありますが、これは政府の政策、すべてやる以上はやりがいのある羊頭狗肉でない、しり始末のはっきりしたことをやらなければいかぬと思うのでありまして、そういう点で、一つ省内でもっと具体的に、大臣の直接指揮のもとに具体案をはっきりさしていただいて、適当の機会に私ども納得するように一つさしていただきたい。業者は場合によればこれで一生商売をやめようという深刻きわまる状態にあるのでありますから、それに対して金融もしり始末もつかぬというようなことで……あとはどうにかいけるだろうというのでは相済まぬと思うのであります。それで強く要望いたしておきます。  これに関連しまして、絹人絹の織機買い上げまでもやって、生産制限をやるということになりますというと、今度は撚糸の方に影響を及ぼすわけでありまして、そういう点では現に撚糸機械は現在五割くらい過剰状態、遊休状態にあるわけであります。しかも今後ますます原糸の需要も減るということになるというと、その現象は正そう著しくなる。そうすると、織機の方は制限をしていくが、撚糸の機械の方はほったらかしておくというのが非常に片手落ちだと思うのであります。今後撚糸機械に対してどういう措置を講ずるか、これを……。一度こういう一種の統制措置をとりますというと、次から次へと出てくるのでありますから、そういう点では一角において統制措置を講ずる以上、次から次へ出てくるものについても遺憾のない措置を講ずるということでないというと、かえって弊害ばかりはっきり出てくるということになることは、もう現実の問題として明らかなんです。そういう点で、撚糸機械の処置について御意見を伺いたいと思います。
  76. 佐々木彰一

    説明員佐々木彰一君) 撚糸の設備につきましては——これは撚糸に限りませんで、全般的に織布関係の関連企業は前々から設備過剰の傾向が非常に多いのでございまして、私ども非常に困っておりますのであります。御承知のように、日本の撚糸関係は大体戦前からは絹撚糸が主体で発達して参りました、綿撚糸も相当あるようでございますが、これが絹関係がここ数年来だいぶ需要の変動がございまして、あまり状況がよくないというようなことであったところへ、御承知のナイロンの増設、増産ということがちょうどそのころから参りまして、そちらの方で一応の息はついておったような感じで私どもは見ておるのでございます。これにつきましても、最近は外国の方で非常に発達いたしました撚糸機がその後生産されまして、それがわが国にも相当数導入されるというようなことがございまして、そのこと自身は撚糸のコスト・ダウンという面もあります。あるいは品質の向上というような面もあります。まあいい面も相当あるのでございますが、同時に既存の非常に零細——これはきわめて零細な撚糸業界に対する実際上の影響等も考えなければならぬ、その点の権衡をどうしようかということでただいま私どもの内部でやっておる最中であります。また、撚糸の業界の実態の把握というような面につきましても、この業界の団体的な組織というものがあまり実は十分にできておらないようでありまして、負担力等で無理もない点もあるかと思いますが、その辺におきましても、私どもは実は非常に困っております。団体組織の強化というような点についても、これから手をつけようかというようなことでやっております。撚糸設備の処理につきまして、ただいままでに織機でやっておりますようなああいうやり方を適用すること、このこと自身は必要性も十分あると思いますし、私どもも好ましいことかと思っておりますけれども、ただいま申し上げたような業界の実態がまだ十分つかまれておらないような点、あるいは組織の強化の余地があるということ、それからもう少し申しますと、全体的に先ほど申しましたような繊維関係のいろいろな設備過剰というようなものとのバランスというようなものもございまして、ただいまのところは予算措置をとるということまで参っておらないのが現状でございます。
  77. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 綿スフ業者とか、あるいは絹人絹業者というのはもちろん気の毒な状態でありますが、しかし相当数も多いというようなことから、ある程度の政治力があるために、それぞれ救済策を悲し悲しにせよ講ぜられるということになっておるわけでありますが、もちろんそれも足らぬというので、今論議をしたところでありますけれども、いよいよ撚糸の業者などになると、全く今の組織がないとかいうような点から、声を出そうにも声が出ない。しかし声を出さぬ声なき声を聞くのがほんとうの政治だというふうにこれは言わざるを得ないのでありますが、そういう点で撚糸業界に対するただいまの絹人絹生産制限等の及ぼす直接の影響、これに対する処置というものをこれをやはりお考え願うようにしなければいかぬのでありますが、そういう点についても一つ大臣の御所見を伺いたいと思います。
  78. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 豊田委員のお話のごとく、ただ単に織機だけを救済して、それで買収して数を減らしていくということだけではこれはどうもほんとうではない、全体の関連産業をよく総合的に見て、そうして公平にこれを処置していくということの考え方を持っていくのは当然だと存ずる次第であります。今の撚糸機械についても過剰になったということならば、同様に繊維工業に関するもの、たとえばメリヤス工業あるいはくつ下を編んでおるというものにも影響するところが非常に多いものだと思いますので、ああいうふうなものを総合的に考えて処置を講ずる、これは当然と思っておるのでありますが、そこまで今のところ手が回っていない、まず最初織機だけをやって、一応それでやってみようじゃないか、こういうのが現状でございまして、よく全体の業界の状態を調べました上で適当な措置を講じたいと思っております。
  79. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 さらにそれに一連の関係でありますが、織機の新増設禁止、ことに合成繊維機械の新増設を禁止せられましたために、繊維機械の業界というものはいよいよ深刻な危機に直面いたしまして、非常に今これの転換にも困っておるというような状態であります。これにつきましては、重工業局あるいは繊維局、連名あたりで通牒も出て、何らかの対策を講ずるというようなことにはなっておりますが、何ら具体性がない、端的に言いますと、適切な指導をすると言っておるけれども、一体適切な指導というのは具体的にどういうことをやるか、それからまた転換資金をあっせんするようなことがあるが、具体的にどの程度まで進捗しておるか、その点を明らかにせられたいと思います。
  80. 佐々木彰一

    説明員佐々木彰一君) 本件につきましては、私どもの省内では重工業局と私の方の繊維局と共同で仕事をしております。その関係で私の方に関連しておることについて若干申し上げますと、この織機の業者の団体の方から私どもの方に数点の要望がございまして、その中には今のお話のような転換資金の融通の問題、あるいは今後の輸出競争というような面からの技術上の改善の研究のためのいろいろな措置を求めるというようないろいろお話がございましたのですが、私どもの方の関係で一番強くお話がありましたのは、今回の合繊織機の製造禁止に伴いまして、仕掛期等において禁止期限が到来するおそれのあるもの、これは数字はちょっとうろ覚えでありますが、八百台程度の見込みだというふうに覚えております。そういうものにつきまして、これの措置をどうしてくれるか、そのまま織機業者の側にその負担を負わされるのでは困るというのが一番強い要望でございました。これにつきましては、私どもの方から公文で各発注者側の団体の方に通牒を出しまして、主として綿工連あるいは絹人絹工連の方や組合の方になるわけでございますが、そちらに対しては大体今後の合繊織機の禁止の措置がこの機屋の方の業界においては約二年ぐらい前からの要望事項でありまして、これに対しまして繊維局がそれに踏み切らないのがおそいのだということで、私どもだいぶ非難をされておった経緯もあるのであります。そういうような経緯から見て、この合繊織機の禁止が非常に早急の間にそういう措置がとられるであろうということは、ほぼ機屋の方にわかっておったはずなんです。そういうものに対して、言葉は悪いのでありますが、かけ込み的な発注というものがあるということであれば、これの責めということについてはこれは発注者側においても相当考慮すべき点があるだろう、そういうようなことからいって、どうしてもそういう発注者側に不測の損害を与えるという点については、その処理については最善の努力を払べきであるといったような趣旨のことを言ってありまして、なお具体的には、今後のしかかり中途のものにつきましては、御承知通り現在の織機の設置制限の規則の中には入れかえについては完全に自由ということにしてあります。この制度を使いまして、要すれば組合等におきましても入れかえのプレートのいろいろ権利関係もございます、こういうもののあっせんもする、そういう仕掛品の損害賠償というものを織機屋の方にとらせるということは絶対ないように役員会その他において十分な指導をしなさいというのが一つ。それからもう一つは例の手付金の問題であります。これもいろいろの形態がございますが、しかかりになって納入ができなかったものについて手付を倍にして返せというような、そういうたぐいの行動は絶対にやらないようにということで申してございます。私ども繊維局といたしまして本件に対してとりましたことは一応そういうことでございます。
  81. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 転換資金の融資についてはどういう程度まで具体的に進捗していますか。
  82. 小出栄一

    説明員(小出栄一君) おくれましてあるいは御質問の意味をとり違えておるかとも思いますけれども、繊維関係の織機の設置制限に伴いまして、紡織機関係のメーカーの関係のいろいろ影響に関する対策につきましては先般来繊維局ともいろいろ御相談はしておったんでありますが、申すまでもなく繊維関係一般的な不況に対しまして、ある意味ではそれ以上に繊維、紡織機関係のメーカーの不況も相当深刻でございまして、従いましてこれらの紡織機関係の製造業者の織機設置制限規則等の制定に伴いまする不況対策につきましてはいろいろな面から対策をとっていきたいと思いますが、ただいま御質問ございましたのは、おそらく紡織機製造業者の転業等に際しましてこれに関する転換資金をどうするかというような点のお尋ねではないかと思うのでありますが、もちろん紡織機製造業者の転業に当りましては、新しく選択いたしまする新規業種の選択につきまして適切な指導を行いますることはもちろんでありますけれども、新規業への転換資金につきましては商工中金あるいは中小企業金融公庫等のそれぞれの専門の金融機関に対しましてできるだけ優先的にこの転換資金のあっせんを行うというような行政指導をしていきたい、かように考えております。
  83. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 その融資方については、すでに関係金融機関には渡りがついておるんですか、その点とその指導を転換についてするんだというんですが、いかなる機関でその指導をやるのか、それからその転換の対策はどういうものになっておるのか、そういう点をお尋ねいたします。
  84. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その問題は、私先般名古屋に参りまして業者の御意見も聞き、それから名古屋の私ども関係者の意見も聞きまして考えたんでありますけれども、転換するということは口で言いやすいけれども、なかなか実に困難なことでございまして、あの手この手いろいろ考えてみたんですが、私の勘といたしまして、いわゆる織機というものについては、日本の国内の消費は今日こういうように行き詰まっておるが、対外的に考えた場合に合繊の織機というものは非常に新しい勢いで進歩しておるわけですが、そこによくマッチして日本の織機が進んでおるかということについては多少疑問の点があるものですから、私はこの織機をどうして外国に出すかということを考えなければならぬ、その点に重点を置いて、現在の織機をやっておる人たち、もちろん進んでおる人たちにさらに進歩した織機というものについての研究をし、そうして国内の織機の古いものと交換するということと同時に、その織機そのものについての輸出の道を講じなければならない、この方針で進んだらどうか、こういう私の考えをもちまして将来とも進んでいこうと重工業局と一つ話をしておるんです。なかなか織機がほかに転換をするということも、これも問題がきまらなければ、どういうふうにやったらいいかわからないんですが、一応これを重大問題として今検討しておるわけです。
  85. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 関係業者はお話のごとく転換も容易でない、ところが生活はしなければならぬ、資金面は詰まってくる、はなはだしいのは足元を見て従来貸し出しをしておったのを金融機関が回収にかかるというようなことで進退きわまるという実情にあるわけですが、それだけに転換の方針なるものをおきめになることはもちろん急いでやってもらわなければならぬわけでありますが、さしあたりまだ全然廃業というわけではなく、継続して他の機械関係などをやっておるという場合には金融機関に融資をすることについて特に具体的な政府からの話し合いを進められるというようなことがないとつぶれぬでもいいものがつぶれていく、そうしてそれも本来の機械業関係じゃない繊維関係からの飛ばっちりによって悲惨事が起きるというようなことになるわけでありますから、この点についても十分に至急具体的な研究、措置を進めていただきたいということを強く要望いたしておきます。  次にもう一点お尋ねしたいと思いますのは、百貨店の月賦販売自粛について通産省が要望せられたことについてでありますが、従来から問題になっておりましたこの百貨店の割賦販売をこの際通産省が自粛せよということを要望せられたのは、私はよく通産省が踏み切られた、その点については敬意を表するものであります。しかしながら、百貨店協会は新聞紙上に麗々しく反対声明を出しておるというようなわけであります。これについて考えるのでありますが、百貨店の本質というものを考えてみまするというと、これは御承知通り商品の全部をさらけ出しまして、そうしてそのかわり不特定多数のものに現金買いをさせるというのが、これは百貨店経営の本質であります。例は悪いかしれませんが、一種の露天商的なところがあるのであります。露天商売には信用販売なんということはあり得ないことは言うまでもないことでありますので、百貨店の経営の本質というものを理論的に考えてみまするというと、チケット販売とか、信用販売とかいうべきものをやるのは、これは一つの過剰行為だと私どもは判断するのであります。これに反して小売商、これは百貨店も小売商でありますが、いわゆる独立小売商というものは、これは昔から帳面をお客に渡して、そうして売ればそれを帳面に書き込む、むしろ信用販売から独立小売商というものは進歩発展してきたわけなんでありまして、そういう点から見ると、独立小売商には掛売りの近代化せられた信用販売ないしは割賦販売というものは当然認めてしかるべきである。百貨店経営というあの特殊の経営からいうならば、信用販売というものはやはり過剰行為としてこれを取り締っていってしかるべきだというふうに私どもは理論的に思うわけであります。そこで通産省はそれを踏み切ったのでありましようが、反対声明などが出ておる、これに対して通産省はどういうふうなお考えを持っておるのか、この点明らかにしておかれたいと思うのであります。
  86. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 百貨店が月賦販売に入っております割合というものはきわめてわずかなものでありまして、多分三%くらいだと記憶いたしますが、しかしながらこれによって小売業者が受ける脅威というものは非常に大きなものであります。豊田委員のお説によると、百貨店の元来の組織から言えば、国民が現金を持ってきてこれを買いなさいというのが、これが百貨店経営の本質じゃないかというのでありますが、小売商店はこれと違って、長い間一つののれんを持っておる。その土地において人と人とのつながりを持ってやっておって、信用が一つのもとになっております。そういう意味からいって小売商店はある程度の月賦をやるということはいいのでありますが、百貨店がそこまで入るということは私どもは間違いでなかろうかというので月賦の自粛の勧告を出したわけであります。百貨店の組合の方では、これに反対の声明をしておるようでありますが、まだ直接この話は聞いておりませんが、有力なる百貨店の中にもこれは当然やるべきことだ、こういうことを言って私どもを激励する人たちも数人あるのでございますから、私どもは初めの趣旨を貫徹することを目的としております。
  87. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それならばさしあたりのところけっこうでありますが、むしろ自粛を要望したりすることでは私はちょっと手ぬるいのじゃないか、むしろ法律によって勧告措置を認められておるなら勧告措置をやったらいいし、どだいさっきも言ったような百貨店経営の本質からいうと、ああいう信用販売は過剰行為だから、これは当然取り締る立場から法律改正をしていいのじゃないかというふうなくらいに私は思っておるのであります。やはりその点も、これは事務当局からでもけっこうでありますけれども、場合によれば法律改正でもやるのだという腹があってしかるべきじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  88. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) ただいま大臣からお話を申し上げました通りでございますが、実は先ほどのお話の中で、百貨店側でこの問題に対して反対声明というような形ではないかというようなお話が出ておりますが、この問題は、百貨店の立場から小売商と百貨店についてあまり特別な分け隔てをしたような措置をとられることについては基本的には百貨店側としては意見があるということが百貨店側の大体の空気のようであります。ただしかし、さればといって現在の状況において百貨店と小売商の間に現実にこの信用販売制度についてトラブルがあるという事実は百貨店側も認めております。そういう意味で先般通産大臣からの自粛勧告については当然百貨店側としても自粛の態度について早急に考えたいということで、現状におきまして百貨店側の意向と通産大臣からの自粛をしてほしいという要望とが正面から意見が食い違っているというわけではないというふうに私どもは実情を聞いております。なお実はこの信用販売の問題は、現状で特に百貨店と小売商との関係で問題が起っておりますが、私ども考え方の基本には、やはり信用販売制度そのものについての基本的な考え方をまず決定をして、しかる後にこの問題についての扱い方を正式にきめるのが本来ならば順序であろうというふうにも実は考えたのでありますけれども、信用販売制度は御承知のように現在では自然発生的にいろいろな形の信用販売が行われております。その実態調査をし、これに対しての政策決定をするのには相当時間を要しますので、現状ではとりあえず百貨店と小売商との問題ということでこの問題を取り上げていく、そういう意味からいいまして信用販売制度をどういう方向に、どの程度に、ある面では育成し、ある面では抑制をしなければならぬような面が出てくるかということは、将来の政策決定に待ちたいということで考えておりますので、今御指摘のありましたような点は、そういう問題を含めて、将来の問題の解決に特に考えたいというのが私どもの現在の考えでございます。
  89. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 百貨店法を改正する意思があるかないかという点についてはまあ回答は避けられておるようでありますが、ほかの問題として、百貨店の同一資本系統のものが、合法的な脱法行為をしている。時間の制限を無視して商売をやると、あるいは百貨店法によるいろいろな規制を逸脱した行為をやるというようなことについても、法律の改正が必要じゃないかというふうに考えられるのであります。それらの一つとして、今の信用販売なども百貨店経営の本質的なものでない以上これを制限する法の改正があってしかるべきじゃないかというふうに考え質問したのでありますが、要するにただいまの百貨店法によって不十分なる点を是正するということについてどういう研究が進められておるか、それをお聞きしたい。
  90. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) 百貨店法は御承知のように施行以来二年余りを経ましたのでありますが、その施行の当初におきましては、いろいろな、まあ百貨店法本来の目的とするところに若干そごしたような事実が発生したことは、私どもも十分承知いたしております。ただ、その後百貨店法の施行が軌道に乗りまして、だんだんと百貨店の営業のあり方なり、あるいは百貨店の売り場面積の拡張というような傾向と、それと小売商との利害調整の問題につきましては、まあ私どもの現在の状態におきましては、百貨店法施行当初の若干のまあトラブルといいますか、というようなことは一応脱したというふうに私ども考えております。しかし、それでは現在の百貨店法で十分すべての問題が解決しておるかと申しますと、もちろんそうではないと思います。今御指摘のございました別会社形式による小さな店を持っておるような、まあ百貨店に類似した営業行為があるではないかという点も、御指摘の通りでございます。ただ、このような問題について、今直ちに百貨店法の改正という形でこれに網をかけるような方法がいいのか、あるいは現在までにやっております行政指導がどの程度功を奏して、事実上どの程度その解決に資しておるかというような点をあわせて比較して考えてみますと、百貨店法の改正については、もちろんそういういろいろな問題があると思いますが、今直ちにここでどの点とどの点を改正をするというようなことに入るのは若干まだ時期が尚早ではないかというのが私どもの現在の考えでございます。
  91. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私実はまだ質問がありますけれども、他の方もありとすれば、またあとにいたしまして、一応質問を打ち切ってよろしいですが、他に質問がないようでしたら、また質問いたします。
  92. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は鋳物のいわゆるセンターといいまするか、あるいは試験所といいまするか、あるいは研究所といいまするか、そういうものについて大臣の御見解を承わりたいと思います。  先般大臣が名古屋の観光ホテルに見えましたときに陳情があったと存じまするが、大臣は、自分は実業界から出ておる、従って陳情の意思というものはよく了承しておる、今日陳情を受けるところの政府の一員として考えるべき場合において、その取捨選択というものに対する見解というものは他の大臣と違うというようなお話もありました。そこで私は、陳情というような形式でなしに、この問題を真剣に、真摯な態度をもって、そうしてどうお考えになるか、そうしてこれをどう打開していただけるかという点について御質問申し上げたいと思います。  御存じの通りに、鋳物の必要ということは今さら言うまでもありませんし、鉱工業の発展に対するその一環としての将来というものが非業な重要なものだと思っております。ところで、アメリカイギリス、フランスにおきましては、国立の鋳物の研究所があります。しかしながら、わが国はまだそんなものはありませんけれども、今日名古屋の大学などには鋳物科というようなものもできて参りまして、学術的にこれを研究するという一面において、業界が要望しておるところの点というものは非常に大きなものがあります。そこで、今日考えてみましても、大きなもので申しますると、トラクターなどは六〇%鋳物である。あるいは小さいもので考えますると、ミシンなどは八〇%鋳物を使っておるというような点から考えまして、これは非常な重大なものであり、しかもその重大なものが等閑視せられておって、業者のやるがままにまかしておいて、そうして国家のこれに対する指導というものが、私はまだ足らぬのではないかと思います。もちろん、この鋳物のすの入らない、いわゆる充実した鋳物というようなものにつきましては、日本でも研究せられ、またパテントまでとられ、そうしてようやく世界に伍していくだけの力を持っております。しかしながら、一般というものは、非常に旧態依然として、なお遅々として進まぬ点があります。そこで、この鋳物に対するセンターといいまするか、研究所というものを作っていただいて、そうして国家的に、また業界のためにはかっていただかなければならぬという問題について、これに対する予算を通産省は計上せられるように聞き及んでいるにかかわらず、今度それが全面的に削られてしまっているというようなことも聞いております。そうしますると、こういう重大な問題に対する関心というものは持っておられながら、しかもどうかというと削られるということについての、何らか根拠がなければならぬと思います。今日鋳物に対する重要な土地といいまするのは、名古屋を中心としたあの一帯でありまして、鋳物に対する生産というものは、名古屋を中心とした近県で二〇%以上、三十万トン以上のものを出しております。しかも、それに対するところの研究あるいは指導というものはどうかというと、今大量生産をするということではなしに、中小企業が主体になって行われているこの問題が等閑視せられておる。今八幡製鉄などがなべやかままで作られるということになれば、これは別問題であります。中小企業の育成ということに対する今のあり方というものは、これは非常に重大な問題である。しかも、その原料というものが東海地方にあり、またその業者も非常に多く、また真剣にこの問題を研究し伸びようとする力を持っているということについては、岐阜県、三重県、愛知県というような方面は、非常に重大なる国家的な役割を持つ土地であると考えます。従って、この重要な研究というものに対して渇望しているところの進歩というものに対して、いわゆる自転車の振興会といいますか、そういう方面でも数十億の金がある。しかも、名古屋の国立の研究所——通産省の研究所には一億円からの補助があるというようなことから考えました場合におきまして、このセンターを作るということについての七千万円の金というものは、それほど重大でもないと思います。かような点から考えまして、鋳物というものが将来における非常な重大な役割を持つということに対する大臣の御見解、また仄問するところでありまするけれども予算に計上せられるやつまで削られたというようなことは、すこぶる遺憾に思います。これに対する見解、またそういうものに対して関心を持ち、助長するために、この次の国会予算に計上していただけるかどうかというようなことについての大臣の御見解が承わりたいと思います。
  93. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 現在機械工業の進歩発達の過程から見ますというと、ただいま吉田委員のお話のように、鋳物が一番技術的におくれているということは、私も心得ております。そういたしまして、この鋳物の研究というものが、各試験所で個々にやっているという程度でありまして、どうしてもこれを総括的に一本に中心を持ってやらなければならぬということの考えは、私は全く御同感でございまして、その点は、先般名古屋に参りましたときにも、名古屋の実情等も見まして、これは単に銑鉄の鋳物だけにとどまらず、そのほかの合金の鋳物、全体の鋳物についての研究をもっとやらなければならぬ。特に中小工業者がその対象でありまするから、彼らは研究をする機関を持っていないのだから、どうしてもこれはセンターでやらなければならぬ、こういうふうな考えを深くしているわけなのでありますが、本年度におきましては、できるだけこれに近寄るために、工業試験所の方の予算をとって、それに近づけていこうじゃないかと、こういう考えで進んでいるわけなのでありますが、一方この業者の方からは、例の競輪の金もあるのだから、そういうものを使ったらどうかという意見もあるのですが、私はまあ、競輪の金なんというものは、ほんとうに使うのならば、やはりこういう方面に使うのがほんとうだと思いまして、自転車とか、ああいうふうなものが多く鋳物に依存するところがあるのですから、そういう点も検討をやりたいと思っているのであります。なるべく一日も早くこの鋳物センターができるように努力いたしたいと存じております。
  94. 吉田萬次

    吉田萬次君 一応来年度の予算に計上せられるような御意思があったにかかわらず中途でおやめになったとかいうようなお話を聞きましたが、事実そういうようなことがありましたのですか。
  95. 小出栄一

    説明員(小出栄一君) 鋳物センターの設置に関しましては、ただいま大臣からお答えがございましたように、鋳物の技術的な研究なり向上につきましては、非常に基本的な問題といたしまして、特に通産省といたしましても、重点を置いて考えなければならぬという点につきましては、全く同感でございます。そこでこれを具体的に業界における研究体制を共同で促進していくというような意味におきまして、何か鋳物関係のセンターを設置するために必要な国家的な助成を行なったらどうかという意味におきまして、ただいま御指摘の予算措置につきましても、来年度の予算の中に計上したいということで、実は私どもの方の局におきましては一応立案をいたしまして、内部において相談をしたことは事実でございます。その結果、先ほど大臣からも御説明がございましたように、鋳物センターの設置そのものにつきましてはもちろんこれは業界の盛り上る熱意を待ちましてぜひ促進をいたしたいと思っておりますが、これに対する国家的な助成の裏づけとしての予算措置をどうするかということにつきましては、さしあたります名古屋の——今お話の通り名古屋地方は一つ中心でございますので、名古屋工業試験所——名工試の拡充という、これは鋳物の問題のみならず、名古屋工業試験所の一般的ないろんな施設の拡充の予算が、今度工業技術院の方で計上されておりますので、それらの施設の拡充を活用すると同時に、また業界の一種の研究組合的な形になろうかと思うのでありますが、共同研究というふうなものに対しまして鉱工業技術補助金、これも工業技術院の予算の中に全体を一括して計上してあるわけでございまするが、特に鋳物関係につきましては重点的に考慮していこう、こういうようなことで、そういうような意味における予算措置で来年度はいこう、従いまして鋳物センターという独立の予算を計上いたしませんでしたけれども、そういうような各方面の予算措置と相待ちまして、事実上鋳物センターを設立することにつきましてはその方針で進みたい、こういうような結論になったわけでございます。
  96. 吉田萬次

    吉田萬次君 私は大臣要望をしておきたいと思います。それはただいまの説明によりまして、名古屋の国立研究所において一応の施設をし、そしてそれに対して指導せよという御意思があったことはけっこうなことだと存じます。しかしながら、あそこは共同のものであって、それに専念するというようなものばかりでき得ないと思います。どうしても今日アメリカなりイギリスなりフランスなりがやっておりまするように、この問題を国家的にもう必要な問題でありますので、少くとも中心となるべきところの何らかの施設をしていただいて、そして国家的に有意義な研究所、あるいは指導する、あるいは開放的なものとして中小企業を救う上において御考慮が願いたいということを熱望いたしまして、私の質問を終ります。
  97. 小西英雄

    小西英雄君 前回の委員会にも大臣要望申し上げたことでありますが、高碕通産大臣は、元電発総裁として電発内容についてはもうすみずみまでよく知っておられることと思う。また人事等についても、こういう人事をやれば非常に早く部内がまとまって、かわったたびにいろいろなごたごたが起きないという点についてもよく知っておられて、私たちが、総裁ができれば即その女房役もできるように考えておりましたが、新聞紙上に伝うるところによりますと、きょうはAの副総裁を一つ新聞は書いておる。また次の日にはまた変ったBの副総裁を書いておる。高碕さんはこの前の答弁にも、自分は信ずるところによって、そうしてりっぱな人選をしてこの電源開発に支障を来たさないようにやるという御表明があったので、非常に信頼申し上げておったのでありますが、今なおそれらについていろいろ新聞紙上によろめいているので、そういう点について一つ主管大臣としてりっぱな人選をしていただけるかどうか、一つ明快な御答弁をお願いいたします。
  98. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 電源開発会社性格から申しまして、どうしても総裁に人物を得なきゃならぬということは、私ども常日ごろ考えておるわけであります。今回、内海総裁がやめますにつきまして、内海総裁の意見もよく徴しましたところが、自分は老齢であるから今後の総裁は前副総裁であった藤井氏を推薦したい、こういうお話がありまして、私は藤井氏についてよく人物を存じておりますが、これなら間違いない、こういうことで総裁を任命したわけであります。昨今新聞でいっております副総裁の問題等についてはいろいろごてごてしておるようでありますけれども、これは昨日総裁が参りまして、総裁がよく考えた結果、いろいろ副総裁は人物を検討してみた結果、今急にいい人間が得られないから当分自分が全責任を持ってやっていきたい、こういう申し入れがありましたので、私はこれを了承したわけであります。
  99. 小西英雄

    小西英雄君 副総裁制度があって、副総裁に適任者が見つからないと高碕通産大臣が言われるようでありますが、現在の、ちょっとわからなかったのですが、副総裁をそのまま留任させるということですか。
  100. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 今の副総裁はきょうでやめるのでありますから、当分副総裁を置かないで総裁が兼任でやっていく、こういうことであります。
  101. 小西英雄

    小西英雄君 副総裁制度があって、まあいろいろな、この委員会で主管大臣として答弁が、これはいろいろな関係にあるので、公表できないかと思うのですが、やはり制度があって、そこに当然適当な人がおればわれわれはやった方がいいと思うのでありますが、ともすればいろいろな場合に一人のものが適当不適当を問わずいろいろ政党にたよって幹部の運動によって自分の地位を得るというふうなことが、今後適当じゃない人がしばしばこういうふうな場合に、例を作るようなことになれば、日本の産業あるいは国家が重要と見て全額出資しておる会社の運営に支障を来たすので、一つきょうは副総裁で通産大臣を私たちがいろいろ追及したりするというような考えはございませんが、こういう一つ悪例を残さぬように自分の主管大臣として信じた人事を行う場合は断じて自分も責任を負うというくらいの一つ強い決意でりっぱな今後について人選をお願いして私の要望を終ります。
  102. 阿部竹松

    阿部竹松君 経企長官に一、二点お伺いいたしますが、私の欠席中にどなたか御質問をされておれば私は議事録で拝見いたしますが、まず第一点は、銀行利子を下げましたね、今回。あれは銀行利子を下げれば大企業にだけ影響して、中小企業が利用するところの、商工中金から始まって、ああいうところには全然影響がないというようなことになるのではないかという心配があるのですが、こういう心配は全然ございませんか。
  103. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ一番今一つの金融の正常化という中には、金利水準というものがこれはもう外国に比べて非常に高いわけです。そういう点でこれは正常化していきたいということで、公定歩合の引き下げもむしろそのことによって景気の刺激というよりかは金利水準の引き下げの導火線になるという意味の方が最近においては多い。それで当然に公定歩合を下げれば、公定歩合と銀行の、市中銀行あるいは地方銀行その他金融協会に入っている実際の金融機関の金利と無関係だということはおかしい、やはり公定歩合を下げればこれは下げるべきが当然のものであって、そういう点で今まだ多少ごたごたしておるようであるけれども、やはり金融機関というものは、公定歩合の引き下げられたことに追随して、金利が引き下げられるものと期待しているわけであります。この中に、中小企業関係の金融機関も当然にこの中に入っていると私は考えておるのであります。なお的確に調べてみます。そういうふうに考えておるわけであります。
  104. 阿部竹松

    阿部竹松君 長官のお答えに反駁するわけでございませんけれども、今回の金利が世界の各国の例に徴してとは、アメリカ日本の場合でしょう。しかし、西ドイツは日本の三分の一か、ないしはよく見積っても半分弱ですよ。しかし、日本の今回の、あなたの方でおやりになった金利の引き下げは、世界の水準に比して云々というのが根拠になっておらぬように私は判断しております。それから金利の引き下げは中小に影響しておるというふうには考えられません。日銀から市中銀行、商工中金とか、政府の金融のそういう機関から見て、市中銀行の例をとってお答えになったかどうかわかりませんけれども、中小に影響するということになれば、どういうところが影響するのか、一つ数字をあげてお答え願いたいのですがね。
  105. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、よく内容に対してはあらためてお答えをしたいのですが、しかし、公定歩合を引き下げれば、これは、政府の方がやろうとすれば、やはり金利の水準というものはきめ得るのであります。ところが、この間の公定歩合を引き下げた場合にも、銀行が自主的に二厘を引き下げたわけです。今度の場合は一厘で、今銀行協会で協議しておるので、おそらく、この問題は、むろん金融機関、地方銀行もみんな入って協議をしておるわけでありますから、当然これは引き下げられるものと——その中には中小企業関係の金融機関参も当然に入る、こう期待しておるわけです。
  106. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは、どういうことでそうお答えになるかわかりませんけれども、銀行が自主的にやったんじゃ決してございませんですよ。おそらく、あなたに相談があったかどうかわからぬけれども、佐藤さんとか、新聞を見れば、あなたも参画しておるようなことを見ましたが、自民党の政調会とか大蔵省とか、それぞれの責任省が集まってそういうことをやったというように僕は聞いたのですが、しかし、あなたがお知りにならないということであれば後の機会でもけっこうですが、中小企業にどうして影響しておるかということを、一つでも二つでも、例をあげて僕は聞きたいわけですよ。そういうことを、僕はあまりわかりませんけれども、わからぬからといって、そういうでたらめな答弁長官やめていただきたいですな。
  107. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) でたらめということは取り消してもらいたい。でたらめな答弁はしていない。それはなぜかといえば、公定歩合の引き下げというものは、やはりいろいろ連絡はあるにしても、これは日銀の政策委員会できめるわけです。そこで、公定歩合が引き下げられてくると、やはり金融機関は、政府が金利の最高をきめ得る権限を持っておるわけですが、この前の二厘を引き下げたときには、やはり自主的に金融機関がやったわけだ。今度の場合もやはり自主的にやろうということで、金融機関が寄り合いをしておることは事実です。中小企業の面においては、中小企業というもののいわゆる特殊な金融機関というものについては、これは金利は別の水準になっておるわけですが、地方銀行、これは中小企業と一番関係が多いわけです。地方銀行の金利などは、当然にこれは一般の市中銀行と歩調を一にするわけです。今むしろ問題は、なかなかやはり市中銀行の金利が公定歩合に右へならえしてきまらずに、いろいろぐずぐずしておるのは、地方銀行側に問題があるわけです。市中銀行の方では、これに追随して下げようということなんです。地方銀行の方に問題がある。中小企業のそういう関係の金利というものについては、これは当然、中小企業だから大企業だからといって、金利の差別はつくわけではない。しかし、今お話のような特殊な金融機関の金利というものについては、これは別のカテゴリーに入っていくものである。これは別の考慮をしなければ金利は下らないということであると思う。
  108. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、日本銀行から始まって、市中銀行がまず金利を下げて、地方銀行が下げると中小企業に影響する、しかし、その地方銀行になると、今長官がおっしゃった通り、これは政府の命令一下できませんから、勧告とかその他の話し合いはできるでしょうけれども、しかし、あなたのおっしゃるように、中小企業が影響されて金利を下げられるということになると、やはりあなたの方で命令一下できる農林関係の農林中金でも、商工中金でも、当委員会関係ではないけれども、国民金融公庫、こういうところは金利を下げる、あるいは下げれば、長官のおっしゃる通り、中小企業のそれぞれに影響するのですが、それは据え置くんですかどうですかと、こういう質問なんです。それをやらなければ、長官のおっしゃる通り中小企業の人たちが影響を受けたということにこれはならぬわけですね。ですから、その点はどうですか、こういうことです。
  109. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、資金の面においても、相当やっぱり金融緩和をしてきて、今までと違って、相当金融緩慢の状態が起きている、こういう機会にこそ金利の水準をやはり下げていくという時期なので、そういう意味において、政府は公定歩合も引き下げることが好ましいという発言をしておったわけであります。具体的にきめたのは日銀の政策委員会できめた。そういうことで、今後においては、そういう特殊な金融機関の金利についても政府検討を加えて、金利水準を低くしていきたいという方針であります。今これは始まったばかりで、これがやはり一般の金融機関もできる限り金利を下げていきたいという、一般方針としてはそういう方針を持っておる。今市中銀行あるいは地方銀行の金利になっておるのですが、こういう傾向というものは、特殊な金融機関にもそういう金利を下げていくという方針が適用されることが望ましい、政府はそういう方針でいきたい、こう考えておるわけであります。
  110. 阿部竹松

    阿部竹松君 長官の言わんとする、そこまではよく僕も理解できるわけです。しかし、ここに三木、高碕両大臣が御出席ですから、お二人が連合軍になれば、これは、閣議といえども、あなた方の線になびくと思うので、検討中というのを一歩前進して、次期国会等にまで、日銀あるいは市中銀行も一応なびいてきたのですから、そうすると、政府が投資融資をやっておるところのその政府機関のもろもろの金融機関が何パーセントとか何厘とか私言いませんけれども、明確に処置をするものかどうか、検討中でなくして——検討中といったら、検討してみましたがだめでしたということでも答弁になりますから、私は決してだめ押しする意味でなく、御方針の自信のあるところを伺っておきたい。
  111. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう考え方で、特殊な金融機関の金利も引き下げる努力をしたい、こう考えております。
  112. 阿部竹松

    阿部竹松君 それはその点で了解いたしました。  その次に、来年度の予算は、新聞とかあるいはニュースで、大体各省どのくらいということを聞いておりますが、投融資の、これは何億何千万円かわかりませんけれども、投融資はどういうようなお考えであられるのか、本年度とどういうことになるのか、その点を端的にお示し願いたい。
  113. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今まだ予算あるいは財政投融資の規模等は検討を加えておる最中で、ここで数字を申し上げる段階ではないのであります。しかし、財政投融資というものについても、原資等から検討を加えなければならぬですけれども、今後の産業政策の上における財政投融資のウエートは非常に高い。だから、これは重視をしていきたい。ことに財政投融資というものは、立ちおくれておる日本の工業施設あるいは基礎産業を最も好ましい形においてこの投資が行われ、市中の融資等もそれにやはり歩調を合わせていくことが将来の日本の産業の質的な改善の上に役立っのでありますから、産業の財政投融資も、今年よりもやはりこれは増額をしていきたいという考えであります。
  114. 阿部竹松

    阿部竹松君 どうもたくさんお尋ねしたいものですから、話が飛び飛びになりますが、それと関連して、世界銀行から借款する場合は、日本政府が保証人といいますか、裏づけをするわけですね。それが非常に片寄っておるという。ある特定の会社世界銀行から金を借りようとするとオーケーであるし、あるいはまた非常に困難なところもあるという話がありますが、そういう世界銀行の借款の場合の、政府が裏づけする場合の基準、これが一点。  それから、第二世界銀行のようなものを作ろうと、日本政府アメリカであるか、カナダであるか、イギリスであるかわかりませんけれども、そういうところに働きかけの運動をしておるというようなことは、これは事実ですか。
  115. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) その世界銀行の政府保証は、これは片寄ったものではありません。世界銀行自体としていろいろな条件があるわけでありますから、これは相当な企業の基礎、返済能力がなければ、世銀の借款というものはできないのでありますから、そういう意味において大企業であるということはやむを得ないかもしれない。あるいはまた非常に大企業というか、公益の電力などですが、そういうもの、いわゆる大企業というか、非常に基礎の返済能力のあるものであることはやむを得ないけれども政府が意図的に片寄るというものではない。世界銀行自身のコマーシャル・ベースの上で考えるわけでありますから、そういう点で、世界銀行独自の判断において、その貸し出し企業というものが選択をされてくる。政府の片寄ったものではない。  それから第二世界銀行については、これは藤山外務大臣も、アメリカなどに行ったときに、そういう第二世界銀行にするか、あるいは中近東とか東南アジアとかいう地域を分けて、別の開発の金融機関にするか、方法論は別としても、どうしてもやはり世界経済が縮小均衡のような形に陥っていくということは人類全体のためから言っても好ましいものではない。ことに自由世界の団結という意味から言っても、経済の面において団結がくずれていくことは国際政治の要請にも合わない。そういうことで、コマーシャル・ベースに乗らない、いわゆる後進地域開発などに対しては、特殊な金融機関を作って、日本もそれにコントリビュートする、従って相当のイニシアチブはアメリカがとらざるを得ませんから、そういう金融機関を作ろうという機運がアメリカにもあるので、そういうことの一日も早く実現をされるように、藤山外務大臣ども日米会談のときにこれは議題にすることになっておるわけでございます。
  116. 阿部竹松

    阿部竹松君 どうも何度も申し上げて、話が飛び飛びになって大へん恐縮ですが。  次に、日中貿易ですが、これは外務委員会とかその他でいろいろ問題になっておるから、政治的な問題は別といたしまして、今年も、もう九月、十月になりますが、まだ依然として静観という言葉でニュースが出ておるようですが、全然動きがない。このままでいくと今年度はおそらく不可能な状態だ。東南アジアということも言っておりましたが、これはドルが全然ないというような状態でいきますと、これは大へんなことになりますが、日中貿易はどうですか、長官、端的に。これは与党とか野党の問題ではなくて、当商工委員会にとって重大な問題でありますから、その見通しをここで言えというのも無理かもしれませんが、こういうふうに持っていきたいというお話でもあれば承わっておきたいと思います。
  117. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 日中貿易は、これは中国を現在事実上の承認ができないという事情は阿部委員もご存じだと思います。しかし、承認ができなくても、貿易もやったり、あるいは人事の、文化の交流をやったりするようなことで、将来はやはり中共の承認問題というものは、日本の取り組まなければならない問題であります。あれだけの政府がシナ大陸に存在することを無視するわけにはいかない。将来はこれは取り組まなければならないが、現在においては事実上の承認をするためには、いろいろ前提事件として国際的な調整、あるいは台湾の政府との関係、いろいろな問題があるわけですから、従って将来はそういう問題は起きるのでありますが、現在の段階においては承認問題に触れないで貿易をやろう、あるいは文化の交流をやろうというのが日本政府考え方であります。従って国旗事件のような不幸な事件が起ったのでありますが、それは承認しておろうが承認しておるまいが、他国の国旗を侮辱していいという考え方は成り立たない。これは尊重しなければならぬ。国旗は承認国であろうがどこであろうが……。従ってこれに対して国際法上の権利としてこの問題を処理することはできないまでも、国際的な今日の常識、国際的な道義、こういうものはやはり承認しておろうがおるまいが、他国の国旗は尊重しなければならぬので、長崎の国旗事件のような事件が起きたことは遺憾であり、これは岸総理も言っておるわけであります。再びああいう事件のないようにできるだけの注意を払うということは、国際的な道義の上から言っても当然のことでありまして、こういうことを日本政府が言っておりますが、なかなか中共政府自体がこの問題をそう政治問題と経済問題とを切り離して考えるという日本政府のような割り切った考え方になっていないという点で、なかなか日本もやりたいということを考えておるし、中共自身にも日中貿易ということからくるいろいろな利益もあるのでありましょうが、なかなかこの問題が中共自身が日本の真意というものに対してこれが了解できない。日本は何も二つ中国というものを率先して作ろうとしているのでもなければ、中共に非常な敵意を持っているわけではない。承認はできないけれども、できないという環境のもとにできるだけのことをしょう。通商代表部も認めようというところまでこの日本が踏み切っておるのでありますから、この上は中共自身が日本の真意というものを誤まりなく理解して、中共貿易というものが再開されることが好ましい。今日本政府自身として今までの方針を今度変更いたしますから中共貿易を再開いたしましょうと言い出せる立場ではないということであります。
  118. 阿部竹松

    阿部竹松君 経企長官の話はよくわかるわけであります。あなた方の党の立場あるいは今までの主張、そういうことも考えて、今、岸さんに中共にあやまりなさいとか、毛沢東にわび状を書きなさいということは申し上げない。日本の将来のために台湾の一千万人を相手にするか、あるいは六億五千万を相手にするかといったら、将来はどうなるかということはわれわれが考えなければならぬので、むずかしい政治談義は外務委員会あるいは予算委員会におまかせするとして、僕はもう少し素直な気持になれぬのであろうか。たとえは具体的に一つ二つ申し上げれば、高碕さんなりあるいは三木さんなりがのこのこ出かけて行って、おい、どうですかと言うくらいの大きな気持にならぬものかという気がするのですよ。しかし、金門湾事件で日本の山口県の岩国から毎日飛行機が飛んで行っておるのですから、これは日本がやるのでなくアメリカがやるのですが、しかしこれは日本国民けしからぬという気持が、直接的ではなくて間接的な気持がありますから、今は無理かもしらぬが、そういう素直な気持になって、台湾の一千万も大切でしょうが、六億五千万も無視できないということで、そういう立場に立って、私はあやまりなさいということやわび状を書きなさいということは言わないが、もう少し静観しておるということは愚の骨頂という気がするのですが、その点は全然だめですか。
  119. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは中共自身にもこの日本の国民の真意というものを理解してもらわなければ困る。やはり中共側に立っていかにも岸内閣が悪いというふうに一方的に言われることはどうも納得できない。われわれが持っておることは真意ですよ。イデオロギーが違っても、イデオロギーが違ったからといってつき合いをしないというようなことでは世界は狭くなっていく。イデオロギーが違ってもこれはもうソ連ともやっておるのでありますから、中国との間にもやがては国交が回復するでしょう。しかし、現在の段階ではやはり政府のなし得べき限界というものがあるのです、外交の限界。今一千万と六億五千万と言われましたけれども人口ばかりで天びんにかけるわけにはいかない、外交は。やはり人口が少くても一つの秩序があるのです。外交の秩序というものがある。そういう意味で多少の時間はかかりますよ、この問題の解決には。そういうお互いに困難な立場を理解し合って中共自身も現在のできる範囲内で、可能な、範囲内でやろう。国旗事件のごときも遺憾な事件である。総理自身も、これは遺憾なことである、今後こういうことが起らぬようにしたいということを言っておるのでありますから、その限界においてこの問題を解決をしなければこれはなかなか解決できない。そんならわれわれがその二人のうちだれか出かけていけと言いますけれども、出かけていくことはそれはいといませんよ。出かけていったところで日本の現在の一つの中共に対する外交政策の限界というものは越えるわけにはいかない。ただその立場を中共が理解をするなら、だれも行かなくても、中共自身がそれじゃわかったと、現在の状態において貿易を再開しようという決意をすればできることなのでありますから、全部の責任が日本政府にあるというその考え方というものは社会党といえども私は偏見だと思っております。これはむしろ中共を説いて、あまりヒステリックになるな、日本の国民というものはやはり中共と貿易をしたいのだと、イデオロギーを越えてやりたいのだと、これがやはり国民の総意なんだということで、この問題の解決の糸口を見出すよりほかにはない、こう考えております。
  120. 阿部竹松

    阿部竹松君 全部日本国に責任ありということは、社会党でも偏見だとおっしゃったけれども、私は何も全部が日本政府に責任あり、日本国に責任ありということを言っていないのですから。それは長官の言葉のあやか言い過ぎだと思うのですよ。  それから、片一方は一千万で、片一方は六億五千万、だから外交というのは人口ばかりを対象にしてものをはかるべきではないというお言葉ですが、そういう政治問題は抜きにして、それで経済上の問題で話はできぬものかということを申し上げているんですよ。だから、日本の真意をくみ取らぬではないかと言っても、こっちは小さい島でがんばっておって、向うは向うでがんばっておったらこれは永久不変にだめですよ。だれかがやはり大きな襟度からとにかくどっちが働きかけたからどっちが弱かったなどということは、これは戦国時代ならいざ知らず、今日ではそういうことは全然ありませんよ。われわれ二人がのこのこ出かけていったって受け付けませんとおっしゃったけれども長官のお言葉は、二人出かけていっても受け付けぬということは、日本政府が受け付けないのだが、あるいは中華人民国の政府が受け付けないことを意味しているのかどうかわからぬけれども、もっと大きな気持になれはせぬか。そうでなければとにかく日本経済はやはり世界経済に左右されるといったって、結論はやはり小さい島国に固まるよりしょうがないじゃないかということを言っておるので、全然不可能だということになれば何をか言わんやですが、しかし私は、のこのこ出かけていって、毛さんどうですかというくらいの雅量を持つようなやはり大臣でなければならぬという気がするのですがね。たとえば、あそこの揚子江に行って三木さんなり高碕さんが骨を埋める気持で出ていっても、これは決してあやまりに行きなさい、わび状を書きに行きなさいということは言いませんよ。将来の日本百年の大計のために犠牲になる人もあるかもしれませんけれども、だれかがふんぎりをつけなければいけませんよ。だめなら両方の本国でえらそうなことを言っておっても始まらぬ。経済外交でわが党もそれぞれ行きますよ。しかし、社会党が行くということは好ましいことではなくて、やはりあなた方が絶対多数で内閣をとったのだから、時の政府の責任ある者が行くのが至当であってあなた方が行かないから社会党がしょぼしょぼ行っておるだけで、あなた方が出て行くべきなんです。あなた方が引っ込み思案で行く自信がないから、それで鳥なき島のこうもりのようにいばっておるから、そういう元気が全然ない、そういうことなんですね。(笑声)高碕大臣はそうなんですよ。
  121. 田畑金光

    委員長田畑金光君) 高碕大臣何かございますか。
  122. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) どうも物質的に考えまして、お話の、台湾は一千万だし、相手は六億五千万だと、また実際上の私の方の計算からいっても、今後輸出する相手国として、台湾を相手にするより中共を相手にする方が金額が高いということもよくわかっております。従いまして、物質的から考えて、経済的から考えて、一日も早く中共との貿易を復興することは、人後に落ちず、十分心配し、また努力しておるわけなのでありますが、何しろ相手方があることでありまして、相手方の出方がどう出るかということが一番大きな問題で、それによりまして、相手方の出方いかんによりましては、私ども喜び勇んで老骨を国のために捧げて揚子江のほとりで死んでもいいと考えておるわけであります。行っても何も役に立たぬときに行けばかえってじゃまになる。そういうわけでありますから、今日の岸内閣は決して静観しているのでなくて、いわゆる積極静観、どういう時期がいいか、どういうチヤンスをねらうか、そのときはどういう手を打つかということは十分考慮しておるわけであります。私は現在から申しまして、あまりあせったらいけない。急がば回れということもあるのでありますから、そういう点から考えまして、自分たちの心はいつもあせっておりますけれども、自分から自制しておるようなわけであります。社会党の御心配になるような点のことは、同様に私は心配しておるわけであります。その点は御安心願いたいと思っております。しからばいつどういう手を打つのかと言われると、今日まだその時期でないということだけ申し上げておきたいと思います。
  123. 阿部竹松

    阿部竹松君 外交でも経済交渉でも相手があることですから、自分の思い通りにいきませんよ。しかし、そうなると、高碕大臣ね、あなた方はきわめて日本国民とわれわれ社会党にはとにかくいんぎん無礼に向ってくるけれども、しかし事外国となるときわめて低姿勢でいくということになるじゃないですか。相手があるから行ってみなければとてもわからぬ、相手があるからと、おそらく黙っておったら、高碕さん来なさいなんということは、日本社会党内閣になれば別問題ですが、そうでなければ全然来ませんよ。そこを押し切って出て行くという元気は全然ないわけですか。相手がちゃんと航空便もよろしいと、香港までお金払ってやりましょう、来て下さいと、雷さんから招請状でも来なければ行かぬわけですね。
  124. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 決してそういうふうな意味じゃありません。適当の時期になれば自分から進んで行かなければならぬ。特に中共との問題につきましては、今の現在の問題だけでなくして、やはり日本国民とすれば、過去においてあの多数の人に与えた損害というものにつきましては、これは何としても私どもは中共に対して謝意を表し、恭順の意をもってこれにこたえなければならぬという気は十分あるわけであります。そういうような点から考えて、向うから招きがなきゃ行かぬ、そういうような考えは断じてありません。適当の時期になれば自分から進んで行くという考えは持っております。
  125. 阿部竹松

    阿部竹松君 その適当な時期というときはいつをさしておるのかわかりませんけれども、僕は聞きたいところだけれども、それは岸内閣がなくなって社会党内閣でもできたときが適当な時期だとおっしゃるかどうかわかりませんけれども、それはさておいて、そうなると本年度は、これはあなた方は何回でも三十一億五千万ドル、三十一億五千万ドルと言って、それを錦の御旗のようにしておるが、僕は非常にこれは、経企長官におしかりをこうむるかもしれませんけれども、どうも経済企画庁の情勢分析が甘いじゃないか。手放しの楽観論だということを申し上げたいのですが、そうなると、全然もう本年度の三十一億五千万ドルは不可能だ。あなた方新聞社なり経済閣僚会議ですか、そういうところでこれは不可能というお話をなさっておるようなニュースが出ますけれども、ここへ来ては絶対にそういうことは言わぬですね。三十一億五千万ドルの目標達成を絶対せにゃならぬと、実はこれはどうも危なくなってきた、阿部君の言う通りこれは二十七億五千万ドルだとか二十八億ドルだとか、こういうことは絶対あなた方はおっしゃらない。しかし、あれは新聞社がでたらめを書いておれば別ですが、経済閣僚懇談会とか何かでそういう話が出ておる。一体そういう東南アジアから中共から一切含めてそういうような情勢になると、果してあなた方が当委員会で今まで再三再四にわたって説明した目標は達成できますか。
  126. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そういう経済指標になっておる貿易の輸出の総額などに対して、その達成が困難な見通しが生まれて参ったので、経済指標に対して修正を加えた。これはきのうの閣議ではかって、貿易を三十一億五千万ドルを二十八億ドルに修正を加えた。輸入は二十七億、それで多少物価変動もあって六、七%は物価が値下りいたしておりますから、数量的にはやや目標に近いものがあるでしょう。しかし、そういうふうなことはこの際言いたくはない。三十一億五千万ドルという目標は達成が困難になってきた、それで年次計画に修正を加えて二十八億ドルに訂正した、これはきのうの閣議でやった、こういうことであります。
  127. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますると、春以来僕が主張しておった、たった一人僕が自分で三十円くらいの本で勉強した方が、経済企画庁の局長、課長が知能を集めて勉強して本年の経済の見通しはどうなるかということを出した政府よりも、僕がたった一人で勉強した方が正確だということ、そういうことになるわけです。当時からの議事録を全部ひもといてごらんなさい。局長がどんな答弁をしたか、あれはあなたではなく河野さんでしたから、あなたに責任がないといえばない、あるといえばあるようなものだが、そういうようなでたらめなことをやっておる、僕に言わせれば。あなた方はそういう見通しでやったのだが、一番ばかをみるのはだれですか。本年の輸入、輸出はこうこうだということで、財政投融資をやっていろいろの仕事を始めた人が一番ばかをみるわけです。その責任者が一人も出てこない、一番ばかをみるのは日本政府経済計画に基いてやった商社なり業者なり一般の国民がばかをみることになる。一体これをどうしてくれるのだといってもどうにもならないのですが、しかし、本年度は三木長官ですから、そういうあやまちのないように、一千万ドルもあやまちがないということはとうてい不可能てしょうが、そういう手放しの楽観論は経済企画庁は一つ捨てていただきたい、私はこう思うのですが、その点どうなんですか、それはできますか。
  128. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) なかなかやはり貿易の見通しというものはこれは相手のあることで、これを今阿部委員は的確にお当てになったということでありますが、そのときは私拝聴していなかったのでありますが、なかなかこれはやっぱりむずかしいのです。そんなに毎回当るものならばこれは神様みたいなものだと思います。そのときの相手の輸出市場の状態などは、日本が正確な調査というものはできるだけのことはしておりますけれども、まだしかし海外経済調査というものは十分でない、日本などは。そういうことでこの動向を的確につかむということはなかなかむずかしい、そこで経済計画などについても誤差があることはやむを得ない。誤差があったら、それはもう一ぺんきめたのだからといってあまりそれにこだわらないで、これは修正するつもりであります。日本の長期経済計画というものはまだまだこれはいろいろの統計などを見ましても不備の点が多い。しかし、やはり計画性を持たさなければ日本のような国では手放しの自由経済というものの時期はもう過ぎた、そういうことで、あやまちを犯しながらも経済計画を軌道に乗せていきたいというふうに考えておるのであります。その間にはいろいろのその見通しの誤まりはあり得ると思う。だからといって社会主義的な権力統制をやって、そのことからきたならば、あるいはもっと経済指標というものがその目標に近いものにいくかもしれないけれども、われわれはそういう政策はとらないのだ、自由経済という原則の上に立って必要な計画性と規制を与えていく、また多少あやまちもある、あやまちがあった場合にはそれをできるだけ早い機会に訂正をして、将来はできる限り経済計画に誤差のないような状態に持っていきたい、工夫を加えていきたい、こう考えておるわけであります。
  129. 阿部竹松

    阿部竹松君 長官のお説に反論するわけではございませんが、その訂正された勇気は感謝いたします。それをいち早く訂正されたならけっこうですが、もうだれも信用しなくなってから、政府の訂正したのは日本で一番おそいから僕は問題があるというのです。これは相手がまずかったといわれれは政府が一番先に訂正すればいいのですが、三十一億五千万ドルは雲の上の数字であるということを国民の全部だれもが思ってしまってから訂正されたから問題がある。相手があるといえばこれは確かに相手がある。そんなことは百も承知のはずである。そうなると、相手があることだし、相手によって違うということになれば、経済企画庁では、当初にそういう計画を立てるときに、相手のことを調べんで日本国の生産量と使用量とだけで計画してやるわけなんですか。そんなことはないのでしょう。やはり外国が、どこがどのくらい買ってくれるということを調査して、今日本でどれくらい売れるということを調査して僕はやられるべきだと思う。今になってそういうことは相手があることだからといえば、経済企画庁は相手のことを全然調べないで計画を立てたというのことになる。であるから、やはり問題になるので、そういう点は、今度は三木長官になったから、本年度のようなことは一ないように、さいぜん申し上げたように、くどいようですがお願いしておくわけです。  その次に高碕長官に、これは枝葉末節で、毎回申し上げて恐縮ですが、貯炭がふえて長官はこの間、法律を作って調節をとられると言われましたけれども、しかし通産大臣のお話のようになかなかいかない。ますます貯炭量がふえていくわけです。それで、毎回委員会で御質問申し上げて恐縮なんですが、一体どういうことになるのですか。炭鉱は次から次と七十も八十もつぶれている。そうしますると、機織り産業に講じたような方法とかあるいは繭糸に講じたような方法、こういうものをやるのかどうか。毎回御質問申し上げて恐縮なんですが、どうも長官委員会答弁と逆の方向に進行しているようで、くどいようですが、どうするかという措置を簡単にお伺いしておきたい。
  130. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この問題は、お説のごとく石炭の状況は刻々悪化しているということは事実でございまして、貯炭量がふえていく、消費は思ったように進んでいかない、だんだん炭鉱がつぶれていく、それによって何千人という首切りが出てくるという状態でありまして、これは繊維あるいはそのほかの産業と同様、むしろより以上に深刻に考えなければならぬと思うのでありまして、まず初めに申し上げました通りに、この下半期におきましてはできるだけ石炭の消費を増加するために、重油の輸入を減らすという方法を一つ講じようじゃないか。同時にまた、炭鉱業者が寄り合って、そうして三百万トンの買入れをさらに三百三十万トンにふやしてもらって買いつぶしをやる、あるいはまた大口の炭鉱者が寄って、現在の貯炭に対してどういうふうに措置するか、これについて政府も援助し、あるいは消費者に呼びかけまして、消費者の手持ちをもっとよけいにしょう、そうして現在の手持ち以上に貯炭をしよう、こういうふうな点につきまして具体的に着々とやっているわけなんでありますが、なかなか思う通りにこっちは進まない、その上に不況の方は早く進んでいく、こういうことで、御承知のごとくただいま非常に困っている状態であります。もし詳細の数字を御入り用でありますれば、説明員からお答えいたします。
  131. 阿部竹松

    阿部竹松君 詳細な数字を知っているがゆえに心配するわけですよ。そういう大口業者が生産制限をやるとか何とかいう話は聞きましたし、これは大臣もこの前の委員会で御答弁になったように、重油をどうするとか何とかいったけれども、全然あれから今日に至るまで効果が上っておらぬ。ですから、何か斬新な方法を用いて手を打つ以外にこれはしようがない。ことしの春も論争しましたが、これは経済企画庁の官房長さんと、五千六百万トンは、そんなのとても問題になりませんよと言ったけれども経済企画庁の五カ年計画はこうだと言ったのです。確かにおっしゃられた。うそだと言うなら速記録持ってきて読んでもいいが、そういうことをやってもだめだと言ったら、大丈夫だと……、一カ年もできないのに五カ年とは、僕に言わせればちゃんちゃらおかしい。一年の見通しもできぬのに五年の見通しができるということは成り立たぬ。もう少し実のある——政府を責めてもしょうがないが、どういう手を打つかということ、次から次と八十も小さい炭鉱がつぶれていった。筑豊で路頭に迷っている。これは倉石労働大臣に聞いてごらんなさい。これは明確にわかる。こういうような今の大臣の話じゃ、しかし、どうにもならぬわけですよ。ですから、石炭は要らぬなら、要らぬからとにかく仕事を変更するなり何なりやらぬと、どうなるやら、ずるずるなしくずしに参っちゃう。ですから、そのあたりの策があるかどうか。なければないで仕方がありません。
  132. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 今阿部委員のお話でございましても、確かに貯炭は非常にふえております。七月にすでに九百五十四万トンということになりまして、これは今までの最高記録をとったのでございまして、そこでわれわれはまずできるだけこの貯炭を減らしたいということで、通産省といたしましては、公益事業局それから石炭局、お互いに協力いたしまして、上期において豊水だったために非常に石炭の引取率が悪かった電力界、これは御承知のように一般炭の一番大きな消費者でございますが、そこに対して、できるだけ計画通り、当初の予定通り引き取ってもらいたいということを通産省として電力界に要望し、さらに石炭業界から電力界の方に具体的に個々の会社ごとに話をするようにということで、現在その話を進行させつつあるわけでございますが、たとえばその一つの現われだと思いますが、八月におきまして、その話をやりましてから半月余りになるわけでございますが、八月になりましてからの電力界の引き取り、非常にこれは良好でございまして、あるいはお調べになっておるかとも思いますが、七月末にございました電力界の貯炭は三百十三万トン、それが八月の末には三百六十二万二千トンということで、大体八月中に電力界は五十万トンとにかく石炭をよけい引き取るということをやってくれております。で、われわれといたしましては、電力に対してできるだけ当初の計画通り引き取ってもらいたいということをさらに今後も押していくことによりまして、今年の三月、昨年度から今年度に繰り越しましたときにも、正常貯炭と電力業界がいっているのに比べれば百二十万トン程度よけい持っていて、そのまま三十三年度に入っておるという事情もございますので、大体その程度電力業界で持っていただくということにし、現在これは数字は未確定でございますが、大臣としても今まで再々当委員会でも申し上げてあります、例の下期の油のカットというようなことによりましてできるだけ石炭需要を喚起する。しかし、それは御承知のように一般の鉱工業生産、国際の競争力というふうな関係もございますので、そのあたりを勘案しながら、ある程度は油のカットいうことでできるだけ消費を置きかえるような措置を講ずる。ただ、石炭といたしましては、他の産業の犠牲において引き取ってくれとか、あるいは油を切ってくれというだけでは、これは非常に——私、石炭局でございますが、むしろ身勝手だといったようなことが当然起るのじゃないかというようなことで、われわれといたしましては、一応各石炭山に対しまして、今年度下期におきましてもできるだけのまず生産制限というものを実施することによって、市場によけい炭を出すということのないように一つ努力してもらいたい。ただ、これは御承知のように、大体五%程度の生産制限をしますと、コスト二百円にはね返るというようにも俗に言われております。それだけはね返りますと、片一方で市価が下って会社のふところが非常に苦しくなるというようないろいろな面で、あるいは人員の整理ということに来、あるいは炭鉱の閉鎖ということにもなり、場合によっては、炭鉱は維持していくけれども、十分な金が回らぬために、将来の再投資はもちろん、当面必要な維持補修にも金がいかぬといったようなことにもなりかねない。この点につきましては、関係各方面に、一般のインダストリーと石炭鉱業とは違うという点につきましても御認識をできるだけ得たいということでわれわれせっかく努力しておりますが、今後これをできるだけ続けることによりまして、とにかく将来の生産態勢の確保、それから現在の保安その他雇用問題というものには支障のない程度まで自分で生産を押えることによって炭を出すことをまず自分でとめる。それから政府の方では、先ほど大臣の方から申し上げましたように、石炭の方で、そういうみずからをできるだけ正すということで危機を乗り切ろうということでやる意思があるのであれば、これは当然政府の方でも、ここ当分の危機乗り越えのための貯炭融資その他については、今まですでに御承知のように九十三億というものを五月二十九日の閣僚懇談会で決定されまして、大体おおむね順調に進んでいるんでございますが、さらにそれを来年度もどういうふうにして継続するかというようなことについては、さらに今後十二分に関係方面の御理解ある御協力をお願いしたいということで、通産省あげて問題の解決に努力しているのであります。
  133. 阿部竹松

    阿部竹松君 お約束の時間が参りましたからこれで質問を打ち切りますが、今の石炭局長さんの御答弁ではてんで問題にならぬのですね。それはあなたのお話、そういう御感覚であれば、大臣は広範にお仕事をやっているからとても石炭の問題にばかり大臣は頭を使うわけにはいかぬ、そうすると、もうあなたが当面の責任者であろうと思うけれども、あなたがそういう御感覚でお話を大臣になさると大きな誤まりを来たします。電力会社に石炭を引き取ってくれといっても、雨がどんどん降って水力発電所が満ぱいになったら、電力業界で高い石炭を引き取る筋合いではない。今高い金をかけてたかない石炭を引き取って金を払っておく業者はございませんよ。五十万トンや八十万トンはお義理に……、長いつき合いですから。今までの慣習だといって、要るときにはどんどんよこせ、要らないときにはお義理にといっても、とんでもない話だ。もう一つ生産制限をやってもあなたの方で、さあ掘りなさい掘りなさいと、業者がだめだというのを、必要だこれだけ掘りなさいと言ったでしょう。炭鉱業者にとってはえらい迷惑だ、炭鉱業者が人を集めて来て再び掘り出した、それを要らないといって人間を首切らなければならぬ、これはえらい迷惑です。春はこれだけ必要だから掘りなさい、今度は生産制限してもらわなければ困るというべらぼうな話はありませんよ。まあそれはいいでしょう、石炭ばかりが日本経済じゃないからそれはいいとして、しからば措置をどうするかということなんですね。一切がっさい石炭業者にしょわせる、そこで働いている労働者にしょわせる、これもけっこうでしょう、仕方がない、これからどうしてくれるかということを私は聞いている。これからどうするのだ、今までのことを責めても覆水盆に返らずです。電力会社が引き取ってくれるとか、生産制限五%やり、なおかつ将来の七千三百万トンの出炭条件を確保しておくということは、まず炭鉱に限ってはとうていできない。あなたは天勝一座におられて、そういうことを手品師のようにやられるかもしらぬけれども、べらぼうなんです。石炭業者でもなんでも集めて聞いてごらんなさい。そういうことを一部の人から聞いてあなたはおっしゃっておられると思うが、もう少し、僕は事の善悪より、将来どうするということを正直に、あなた方が主観を入れずにそういう状態大臣に申し上げて大臣の処置をお願いするということを申し上げているので、もっと電力会社がどうとか出炭制限をして将来どうするのだということはとてもそういうことはできないのですよ。ですから問題が起きる、ですから事の善悪をはっきりして気の毒な人も出てくるかもしれぬけれども、それはやらなければならぬ。そこら明確にせぬと毎回々々妥協々々で問題が起きるので、そこらあたりを僕は最後にもっとはっきり明確にしてほしいということを申し上げるので、五%出炭制限をやるけれども、資材なり人間なり大丈夫だから確保しておけといっても、賃金問題とか何とかでストライキが起きる、その原因は日本政府が作る、そんなべらぼうなことはやめて、もう少し正確に僕はやっていただきたいということをお願いするのです。
  134. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 私も、決して石炭を電力その他の産業に引き取ってもらい、ただ金融さえつけてやればいいんだと安易に考えているわけではありませんが、まず石炭業界がやるというだけのことはやるべきだということを少し強調し過ぎたのではないか、私率直に考えて石炭は非常に苦しいけれども、自分でやることはできるだけやるということで、現に大手の方も、中小の方も、すでに大体下期は平均して五%程度の生産制限という数字を業界自体でもお出しになっておる、果してその程度の数字でほかの電力とかが済むかどうかということになると、非常にまた不安がある点は御指摘の通りでございます。そこでわれわれといたしましては、今われわれあるいは業界で考えておることは、一番、日本経済が今後よくいったときその程度でとまるが、今のままの状態が若干でも長引くということになると、さらにそれが悪化すると、そのために非常にローカル的には社会問題が発生しやすい石炭というところにとんでもない問題が起り、あるいはそれがほかの問題に波及するということにならないとも限らないという点も十二分に肝に銘じて、そんなことにならぬようにやっていきたい、これはもう私から申し上げるまでもないと思いますが、確かに貯炭は未曽有の数量に達しております。一方幸いなことにと申しますか、不幸中の幸いと申しますか、まだ炭鉱の未払い賃金といったものも春からふえつつあることは、残念でございますが、むしろ六月に入りまして若干五月よりも減ったという格好になっておりますし、二十八年当時の一番ひどかったときと比べると、七分の一という程度にとどまっておりますし、われわれといたしましては、こういう非常に悪い、将来ますます悪くなる見込みがありながらも、今のところどうにかやっておる、これ以上悪くさせない、そしてできるならこのあたりで底ということにして上向きするような方向に持っていきたいということにつきましては、できるだけの努力をしたい。特にある程度石炭の恒久的な貯炭機構ということにつきましても、これは一応試案というものを作って、業界の方にもそれらに対する意見を自由に述べていただきたいということで、ほんとうの試案でございますがやってございます。いずれ何らかの格好で恒久策というものをあわせ講ずるということが必要であろうと、できるだけ早い機会に講ずるようにせっかく勉強したい。
  135. 田畑金光

    委員長田畑金光君) それでは他に御質疑もないようでございますから、本日の委員会はこれで散会いたします。    午後二時十三分散会