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坂本昭君
先ほどの
藤田委員の
経済政策に関連しまして、もう少し問題を明確にする
意味において、私から
大臣にお伺いいたします。
先ほどから
大臣は、長期
経済政策に沿った
労働政策を推進するということをしばしば述べられて参りましたが、実は、この現在の
経済の見通しについて、これは、与党と野党であれば、基本的に
立場が違っております。私
たちは、現在のこの不景気を過剰生産恐慌というふうに見て、そのためにまず減税をやれ、
労働者には賃上げをやれ、
社会保障を
充実して、国内の有効需要を高めて、この現在の不景気を克服すべきである、こういうふうに実は
考えて、主張してきたのであります。もちろん
大臣が
労働大臣として、与党の長期
経済政策の線に沿うということは、これは当然のことでありますけれ
ども、
労働大臣としては、またおのずから特別の見解を持って、この長期
経済政策の中における
労働政策を行う義務があると思う。
先ほど来
藤田委員が繰り返して申されたところで、
大臣の焦点がどうも合っていないような感じがするのです。それは要するに、われわれは与党であれ野党であれ、とにかく
日本人の全体として生きていかなければならない。そのためには、
完全雇用の条件というものはどうしても必要なんです。皆なん方与党の方では、これは、ことしは三十一億五千万ドルの
輸出貿易第一主義で
日本の景気を回復して、民生の安定をはかる、そう言っておられるのですね。ところが、
先ほど来いろいろ
藤田委員から指摘のあった
通り、だんだんと近代工業ができてくる。たとえば、私は四国でございますけれ
ども、四国に新しい近代パルプ工場ができておりますが、
労働者一人当り一千万円くらいかかっています。つまり十億の設備投資をやって、百人くらいの
労働者しか働いていない。ところがその新しい工場では、従前の、三百人ほど働いておったパルプ工場の二倍も三倍も能率を上げている。だから、そういうところでどんどん
失業者がふえていく。それでその
失業者を、
先ほどはその他の面で吸収すると言ったのですけれ
ども、よもやまた、満州国だとか朝鮮だとか、あんな所へ吸収することはなかろうと思う。あるいはまた、自衛隊とか兵隊の中へ吸収することはなかろうと思うのですけれ
ども、実際はそれを吸収する方法がないのですよ。だから、当面の一当大きな具体的な
労働政策だ。そのときに当って、ほかに工場を建てるとして、かりに今十万人の
労働人口を吸収するために一人当り一千万円かかる近代工場を作れば、十万人なら一兆かかりますけれ
ども、一兆かかっても、たった十万人しか収容することはできない。なかなかこれは困難というよりも不可能ではないかと思う。だから、就労時間というものを短縮して、少くとも
日本人という名のつくところの民族すべての者に働く喜びと働く義務と、それによるところの報酬を与えなくちゃならぬ。だから、就労時間というものは一番大事な問題になってくる。
生産性向上やあるいはオートメーション化や、こういうことについては、非常に与党の方が熱心であればあるほと——一昨年度の
労働大臣ではないのです、
昭和三十三年度の
労働大臣でありますから、だから私は、もっと真剣にこの就労問題について御
発言があると思う。ところが、何とか
検討するということでごまかしてしまっているのです。これはどうも前々回の
労働大臣、再度の出陣としては、はなはだ遺憾であります。特にこういうような大事なことについて、
検討を十分にしないでおいて、できることといえば、弾圧よりほかに何もできない。こんなことでは、全く
日本国民を侮辱したものと言わざるを得ないのです。どうかそういう点をもう一度、就労時間については、何かもっと具体的な御
意見を一言言っていただきたいと思うのです。