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1958-08-11 第29回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月十一日(月曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————    委員異動 七月十六日委員井上清一辞任につ き、その補欠として横山フク君を議長 において指名した。 七月二十二日委員戸叶武辞任につ き、その補欠として阿具根登君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     久保  等君    理事            勝俣  稔君            山下 義信君    委員            草葉 隆圓君            紅露 みつ君            榊原  亨君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            松澤 靖介君            田村 文吉君   事務局側    常任委員会専門    員       増本 甲吉君   説明員    厚生政務次官  池田 清志君    厚生大臣官房審    議官      小山進次郎君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省保険局次    長       牛丸 義留君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (国民年金、皆保険及び保育所に関  する件)   —————————————
  2. 久保等

    委員長久保等君) 社会労働委員会を開きます。  委員異動を報告いたします。  七月十六日付をもって井上清一君が辞任され、その補欠として横山フク君が選任されました。七月二十二日付をもって戸叶武君が辞任され、その補欠として阿具根登君が選任されました。   —————————————
  3. 久保等

    委員長久保等君) 社会保障制度に関する調査一環として、国民年金、皆保険及び保育所に関する件を議題といたします。  これより質疑をお願いいたすのでございますが、本日は、午後に国際労働条約批准等に関する小委員会が開かれ、参考人から意見を徴することになっておりますので、本委員会は、なるべく午前中に終りたいと存じます。御協力をお願いいたします。  それでは御質疑をお願いいたします。
  4. 山下義信

    山下義信君 私は、国民年金国民保険等につきまして、若干御質疑をさせていただきますその前に、緊急に伺いたいことがあるのです。  ちょうど、時あたかも本日から明日にかけまして、東京都におきまして、御承知のように原水爆禁止世界大会が持たれる状態でございまして、非常に国民の注目を集めておるのであります。その世界大会におきまする議題一つといたしまして、原爆傷害者援護の問題がテーマ一つに上げられておるわけでございますが、私は広島でございますので、この問題につきましては、十分承知をいたしておるのでございますが、この際、この席におきまして、当局の御所見を伺っておきたいと思うのであります。  原爆医療法につきましては、去る二十八国会の末期におきまして、当委員会において全会一致決定をいただきました原爆医療法がございます。当時会期末、しかも最終日でございましたので、審議を十分いたすいとまなく、もとよりその法案の内容に異議のあろうはずはございませんので、全員の熱心な御賛同のもとに御決定を願ったのでありますが、この原爆医療法施行されましてちょうど一年に相なるのでございます。  ところで本月の、八月六日に広島平和祭が行われ、こえて九日には、長崎におきまする原爆記念日が執行されました。その前後からいたしまして、何と申しましても、原爆被害者広島長崎に大部分あるわけでございまして、この原爆医療法施行も、この両地方がほとんど中心となって行われておるわけでございますが、このせっかくの国費をもって原爆傷害者治療をしてやろう、その健康管理にも当ろうというこの法律施行状態が非常に不十分であって、そうしてせっかくの法律効果もまことに微弱である。これでは原爆被害者の救済にはほとんど役立っていないというような声が実に高いのであります。それらの主張も、一面におきましてはもっともな点があるのでございまして、端的に申しますと、この法律によりまして治療を受けようとしても、やはりそれがためにその日の業を休み、収入に支障を来たし、生活に困難を生ずるようであっては、治療が受けられないではないか。従って、健康診断あるいは入院、通院等によって、この法律による恩恵に浴して治療を受けるということになるならば、また、国もせっかく国費をもって見てやろうというのであるならば、やはりその生活の面というものも、これも見てもらうということでなければ、法の全き効果は見ることができないではないかということを主張いたすのであります。この主張にはもとより一理あるのでありまして、私はここでくどくどしくは申し上げませんが、われわれにおいて検討いたしましたこの法律の当初におきましても、何とかして原爆被害者治療を受けるためには、若干の生活保障というものを法律の中に見るべきではないかということも検討いたしたのでありますが、政府提案現行法は、その点が省かれてあるのでありまして、当初から遺憾に存じておったのであります。しかしながら、そういう非常に大きな欠点があるといたしましても、このいわゆる原爆医療法施行というものが、これを過小評価は私はできないと思う。この法律によりまして非常に効果をおさめて、治療を受けておって喜んでいる者が多くあるのであります。その喜びの声はほとんど黙殺されまして、そうして法律欠点を指摘されまして、非常に不平があるのであります。今回の原水爆禁止世界大会におきましても、原爆医療法原爆被害者援護法に直せというテーマのもとに、熱心なる討議が行われようといたしているのでございますから、私はこの際、これらの問題につきまして、政府の御所見と今後の御施策につきましてのお考えを承わりたいと思うのであります。  そこで、実は順序を立てまして、この法律施行状態当局から御説明を承わるのが順序でありますが、時間の関係もございまして、御答弁の中でそれを折り込み折り込みお答えを願いたいと思うのでありますが、とりあえず質問者の私から申し上げますというと、原爆被爆者が、全国に散らばりまして、約二十八万前後の人がいる。その大部分は広島県下、長崎県下にいるわけなんです。そこで、この原爆医療法施行いたしまして、まず被爆者手帳を交付して、その登録をいたした。そういたしますと、大体予定通り出て参りまして、広島におきましては、七万七千人の被爆者登録が行われた。長崎におきましては、約六万五千人の被爆者が生存して登録を受けた。それが健康診断を受けるわけです。ところが、その健康診断を受けた者は、広島では七万八千、約八万人のうち約三万しか診断を受けておりません。長崎におきましては、六万五千人の被爆者手帳を受けました中で、健康診断を受けましたのは約一万九千、二万人しかありません。要するところ、約三分の一しか健康診断を受けていない。実施状況が非常に不振低調をきわめているという状態であります。これらは、いろいろな原因もあろうかと思いますが、しかしながら、三分の一受けましても、広島の場合で申しますというと、精密検査を要すると認定されました者が約七千人、それから、長崎におきまして精密検査を要すると見られた者が約二千五再人、これが本年の六月末の状態でございます。そしてその中から、これは原爆症であるから治療を要するという申請をいたしました者、つまり原爆症患者であると言って、その治療について当局の認可を求めました者が、広島において約八百五十件、長崎におきましては約三百五十名あるわけであります。三分の一実施いたしましても、非常に多数の原爆症患者発見をした。発見という言葉には語弊がありますが、治療を要する者があるということが出てきた。しかして、これらの者が順次治療を受けて参りまして、入院した者が、総数、広島におきまして四月一日から施行いたしまして六月末までで約三百五十人、長崎におきましては不詳でございますが、それに準ずるものであろうと思います。そのうち、いわゆる治療の経過がよくて退院した者が二百五十人ほどある。原爆症患者が片っ端から死んでばかりはいない。六十五人死んだ。今度は、原爆の本年に入って第十二号である。まるでホームランの号数を数えるようにジャーナリズムが興味をもってこれを伝えておりますが、この医療法によりまして治療を受けて経過良好で退院した者が、今申し上げましたように相当数ある。通院者におきましても同様であります。通院いたします者が広島におきまして約六百名、そのうち治療効果を上げました者が約百五十名もある。そういう隠れました原爆医療法効果につきましては世上伝えられないで、非常にこの法律が不完全なるために、その効力を上げていないがごとき非難がある。私どもも、その非難につきましては、すなおに耳を傾けて、法の改正をいたさなければなりませんが、つきましては、過去のこれらの状態検討いたしまして、当局としても、大いにこの法の施行に反省を加え、将来に対しましては、まずこの法の施行上につきまして十分徹底するように、どういう施策をおとりになるお考えであるか。それから、ただいま申し上げましたような、当面の関係者の非常に大きな問題としておりまする、この治療のために生活支障を来たすというような患者被爆者というようなものにつきましては、どういう施策を講じようとされておられるか。また、この原爆治療法につきましては、ただ広島長崎原爆被爆者のみじゃございません。最近のあるいは拓洋さつま等の、エニウエトクで放射能を浴びたいわゆる放射能障害に対しまする治療研究態勢というようなものにつきましては、どういう考えを持っておられるのでありますか。明年度予算におきましてこの百原爆医療法関係についてどういう予算要求をしようとされておられるのでありますか。以上の諸点につきまして、一つ当局からこの際御所見を明快にお示し願いたいと思うのであります。
  5. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) まず現行原爆医療法律そのもの施行につきましての医療問題を最初に御説明申し上げます。  昨年四月から実施になりましたにかかわらず、今の山下委員のお説のごとく、もちろんこの治療対象になりましたものは、相当によい成績を上げておるのでございますが、全般として数等が非常に少いのではないかという問題がございますが、これは確かに、健康診断の実際の実働が八月から始まりまして、さらにそれに基きます精密検診が昨年の十月からでございます。なお、これらの結果の実際の治療開始認定が非常におくれましたために、三十三年度一年まるまるの予算を取りながら、所期のごとき診断治療効果を上げなかった点は、これはまことに申しわけないのでございまして、いろいろな事情はございましたが、これらの開始がおくれたために、早く治療開始する、あるいは診定を受ければもっとよかったのではないかというのが、おくれました結果につきましては、これは、今後十分かようなことのないように、診断能率も上げ、さらに治療認定も早くいたしますということに努力いたしておりまして、現在では、たとえば八月一日に治療申請のありましたものが、一昨日もうすでに認定を終りまして、通告書が発送されたという、一週間ないし十日の状況にまで現在はこぎつけております。最初の場には、三カ月ないし四カ月もおくれておりましたために、これは非常に患者本人にとっては不満であった、あるいは不安であったろうと思いますので、これは、一そうスピード・アップいたしますように努力をいたしたいと存じます。なおこの場合に、申請がありまして、本人並びに医師の方は、当然治療を受けられるのではないかということを確実に期待しておりながら、認定になりませんで却下されるというものが、これがやはり相当な問題を起すかと思いますが、これが現在まではっきりいたしておりますのは、厚生省まで申請が上りましたもので、今まで認定決定しない、受理を却下したというものが約百件前後ありますが、これを調べてみますと、やはり申請上の書類上に、認定のために非常に不備がある。いけないというのでなくて認定しようがないというために再調査を求めたもの、ないしはこの法律の、ことに七条の関係でございまして、原爆読み方が少しむずかしくなっておったために、無関係というものでこれは対象にならぬというようなもの、かような点で返したものがございます。これも、できるだけ最初から七条の読み方等を徹底いたしまして、対象になるものは現行法律ではかような範囲であるということを指定医療機関に、あるいは関連当局に十分徹底いたしまして、かようなロスのないようにいたしますればこの点の不満はなくなるか、かように存じております。かような点で、本年度になりましてからの進行状況は、たとえば三十三年度一年間で医療給付認定をいたしたものが、全部合せて、広島長崎その他合せまして一千九十一名の実数でございましたが、もうすでに本年は、四月一日から八月二日現在までの四カ月間に七百十八件、すなわち昨年一年分の約七割程度をもうすでに医療給付認定いたしまして、治療を継続中でございます。これを一そうスピード・アップいたしまして、現在までに健康診断並びに精密健康診断を受けまして、当然治療すべき者というふうに予測される者は、早く医療決定して、治療恩恵といいますか、治療をして差し上げる、かようにして差し上げたいと存じます。  それから次に、今後の医療を行うに当りまして、やはり生業その他が障害されまして、ほんとう治療を受けたいのだが、生活上の問題があって意図に反するという、いわゆる援護法的な考え方でございますが、これは、非常に生活保護との関連その他からなかなか難問題でございまして、前の国会にも十分御審議は願ったのでございまして、この点も十分検討いたしておりますが、現在のところは、昨年から始まりました世帯更生資金の運営を、社会局十分連絡をとりまして、能率的にこれを発揮、できる限り最大能率を上げるということでございまして、現行法律を急速に改正いたしまして、生活援護的なものを十分盛り込んだ援護法とすることについては、今検討中でございまして、いまだ厚生省としての結論に達しておりませんので、これも、本日の山下委員の御意見等も十分参照いたしまして、なお明日以後の大会結論等も参照いたしまして、厚生省として十分これは検討いたすつもりでございます。従いまして、現在までのところ、明年度予算の中に、原爆医療につきまして援護法的に改正されるという想定のもとに立った生活援護予算等は、今のところまだ盛り込むまでに原案は至っておりません。現在局の単位で予算を組んでおりますが、現在のところは、もしさような結論厚生省としてなれば、追加するつもりでおりますが、まだそこまで至っておりません。ただはっきりいたしておりますことは、健康診断の問題の場合に、ことに精密検診等を受けるのに、あるいは一般検診を受けるのに、やはり生業を一日でも二日でも休んで行く。その場合に、休むのは、これはやむを得ぬといたしましても、旅費がかかるという問題がございますので、この点、さしあたりの現在でもできる問題としては、むしろ地区にまとまっておる場所にこちらから健康診断を移動するという着想で、局といたしましては、現在もうすでに明年度長崎広島中心にいたしまして、それぞれに二台ずつ、すなわち合計四台の原爆医療のための健康診断車、これは自動車でございますが、相当設備した自動車、これを設置するように、もう現在局では予算を実は編成をしておる。これも健康診断の拡充あるいは利便を供するためには著しい効果があると、こう存じております。現在までのところは、さような状況でございます。  それから次に、最後の、原爆実験等から発する傷害問題、並びに平和利用の問題が着々と進行いたしますと、やはりこれには、副作用としていろいろな傷害問題が起るのでありますが、これらの国民傷害防止研究対策につきましては、これは、平和利用の面は、一応直接これを担当いたしまして調整するのは、科学技術庁の特に原子力局、並びに昨年から発足しております原子力の放射線の総合医学研究所、これが国家機関として担当しておりますが、しかしながら、平和利用傷害と、それから原爆実験等傷害というものは、結論におきましては、国民の受ける被害は、地域的な差はございますが、やはり放射能から人間が浴びるために起る傷害でございますので、学問的にはこれは差はない部面が多いのでございますので、これは、厚生省といたしましても、両方に通じて研究は協力してやる。ことに空から降るものというものにつきましては、これは、厚生省側は、全面的に国民を守るという立場で、研究並びに常時調査をいたしまして、対策を至急に適用していかなければならない。かように存じておりまして、これは、もう今まででも、定期的な気象の測定、水の測定等をそれぞれのポイントをきめまして続けております。ただ先般のように、拓洋さつまのように、予期せざる地域で受けたのではないかというようなことから、非常に不安を感じておりますので、今後南太平洋の方に出かけます商船、漁船等については、十分な、さようなことが起っても差しつかえない、ある程度被害を防止できるという調査方法と、並びにその場合の応急対策、これを海運方面当局並びにそれらの団体と連絡をとりまして、ある程度私の方の見解並びに今までわかっております対策案をこれは指示、御連絡をしておるわけでございます。  それからなお、これらに伴いまして、将来南方からとれました魚その他が、また前の福龍丸のような事故が起きてはいけないということでございまして、これは、前の第五福龍丸以来、われわれの方で定期的に、また適当な数を、それぞれ魚市場の南方でとれる特別な魚の内臓につきまして、私の方の手で検査を続けまして、少し怪しくなれば、この検査データに基きまして、直ちに今までわかっております手を打とう、かようなつもりでおります。  それから、一般的な研究といたしましては、これは、われわれの方も放射能被害対策についての研究費を今年も若干出しおりますが、来年は、特にその後明瞭になりました現実のポイントを取り上げまして、相当な額の研究予算明年度付属機関並びに本省を通じまして今計上を原局といたしましては進めております。ただしこれは、科学技術庁でやりますものとダブったり、あるいはまた、連絡がとりにくいものではいけませんので、この点の調整はお互いにはかっておりまして、これによりまして、日本放射能科学研究に関する限り相当な進歩を見るようにという立場で、予算を組んでおる次第でございます。
  6. 山下義信

    山下義信君 原爆医療関係につきまして生活援護の面について、これから検討するということでございます。これは一つ研究を願いたい。  つきましては、この法律施行につきましては、実は御無理を申しあげまして、現地広島市、長崎市に実際の事務が委譲してある。何といっても下級行政機関でございますから、力の弱い点もあると思います。ことに新たに生活援護面等も取り上げて研究していただくということになりますれば、従来実は熱心に厚生省としては好意をもって、非常に熱意を込めていただいておりますので、私ども関係者としては、感謝にたえないのでございますが、実施してちょうど一カ年にもなりますので、この際あらゆる角度から実施状況の査察をしていただき、また、実際の現地におけるデータ一つこれも検討していただいて、この際根本的にお調べを願い、検討を願いたいと思いますので、でき得れば、首脳部の方々が一つ広島長崎現地において御調査を願いたいと思いますが、局長いかがでございますか。
  7. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 御意見通りに、現地でも調査いたしたいと存じます。それに基いて適当な対策にさらに力を得ると思いますが、これは、ぜひ実現いたすようにいたしたいと存じております。
  8. 山下義信

    山下義信君 なお、お願いしておきますことは、現地調査の際におきましては、この健康管理健康診断を受けるというようなことの重要性、またはこの法律施行されて一カ年間におけるところの相当効果を上げている点、今後非常に親切を持って政府当局原爆被害者に対して対処するという、それらの諸点がどうか一つ一般の大衆によくわかりますように、御出張の係官その他から、適当な機会に詳細に啓蒙、宣伝をしていただきますことを特に私は付加してお願いをしておきます。それでは、この問題はこの程度にいたしておきます。  次に、この際私は、本日は大臣等の御出席がございませんので、関係事務当局に伺う程度にとどめておきますが、次に健康保険の問題ですがね。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと、さっきの問題に関連して一言だけ。  その原爆医療法は、原爆援護法という問題が世間で叫ばれているように、非常に問題のあることを私は繰り返して申しません、山下委員が言われたから。ただ、先ほどちょうどお述べになりました、空からの被害であるとか、鮮魚の被害であるとか、放射能関係なんだと思うのです。平和利用関係についても、被害の問題が述べられたのです。平和利用から来る問題は、建設的な問題として皆さんが御努力されていると思うのですが、問題は、今世間で叫ばれて、われわれ自身も非常に問題にしていることは、厚生省自身はどういうふうにお考えになっているか。結局原水爆の要するに実験、それから発展、原水爆そのもの自身禁止、核兵器という工合に進んでいくので、これは大臣内閣のことだと思うのですが、内閣との間にわれわれが明らかにしたい問題なんですけれども厚生省としてはどういう工合にお仕事をお進めになると、原水爆の、今日今の段階では、実験禁止広島長崎の問題を思えば、こういうものの使用を、要するに原水爆そのもの禁止するという工合になっていくと私は思うのですが、厚生省自身としては、どういう工合にお考えになっているのですか。ただ降りかかってきた火の粉を取りのけるだけの問題に終始されておっては、先の見通しがないと思います。だから、厚生省としては、どういう工合にこの原水爆実験の問題、原水爆そのものの問題について、日本にはないのですから、外国に向ってどうすればいいかというようなことについてお考えになっていることがあったら、お聞かせ願いたいと思います。
  10. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 厚生省政府機関一つでございますので、今政府からそれぞれのところにやはり原水爆実験禁止についての要請が出ている中の一環ということでは、これはもう同じでございます。さらに、かような被害対策を直接担当いたしております省といたしましては、もちろん今までのこの被害が若干ずつこういうふうに発生いたすので、ここ四、五年間、非常な苦労をいたしまして対策を立てているわけでございますが、これから見ましても、これ以上降るもの等が増加しないということがもう最も望ましい。これは、担当いたしております実際の実態から見ましても、これは言えることでございます。さらに、科学的にまあ扱っているわけでございますが、これから見ましても、遺伝問題その他もございますので、実際の担当当局といたしましては、やはりこれらの実験が今後ふえないことの方が望ましいというようなことは、行政の面からも言える次第でございます。
  11. 山下義信

    山下義信君 医療費の問題ですがね。きょうは実は事務的なことを伺います。大臣、次官が、どういう御都合でありますか、御出席がないので、はなはだ遺憾でありますが、この甲乙二表について、この間ああいうふうなケリをおつけになりましたね。これは、ほんとうの実質はケリがついていない。問題は、これから具体的にいろいろな現象が出てくるだろうと思う。どういう考えでこれから処理されていくかということを、最高の方針が聞きたいのですけれども、きょうは大臣がおりませんから、とりあえず事務的にどういうふうにお進めになるかということだけを聞きたいのですがね。甲表と乙表と二つありますね。どっちがいいか、どっちのお医者さんに、甲表を使っているお医者さんにがかったらいいか、乙表を使っているお医者さんにかかったらいいかという判断を国民がしなければなりませんが、それをどういうふうにして国民に周知徹底されますかということを聞きたいのです。これは、もうみんなが知っているように、甲表、乙表のまさに今や非常に大々的な宣伝合戦が行われているのですね。甲表を使え、甲表を使え、乙表だ、乙表だというふうで、私、率直に言いますが、関係者が三手に分れて、いわゆる源平の戦い、後一年の役を盛んに展開していますね。どういうようなスローガンを使って、たとえば健保連あたりが甲表推薦の一つ宣伝をやるか、あるいは開業医諸君が、乙表によるのだということを、どういうような大義名分、錦の御旗を掲げて、これは、医療関係者がどちらを取捨選択をするかということの戦いのみでなくして、一般の大衆、被保険者に対しては言うに及ばず、この甲乙両方いずれかをとる者の立場を明快に社会に押し出していかなければならぬということで、当然予想されることでありますが、やっておる。そういうことに対して、国民が非常に利害得失に迷う。これは、甲乙二表のおさまり方がどうであったこうであったという批評よりは、そもそも甲乙二表を出した政府に責任があるのですが、とにかく国民が迷う。これを迷わさぬようにするためにはどうするか、どういうことを考えているか。どっちも同じことだと言ったんじゃ筋が通らぬ。同じものを二つ作ることは要らないんですからね。どういうふうに国民にその甲乙二表を周知徹底させるか、どっちによれというのか。どっちによれとも言わんのだといえば、多々ますます迷う。国民をして混迷させないようにするがためにはどうする。これを関係者が、今申したように、甲表主義、乙表主義で、甲表によるのがいい治療が受けられるのだ、乙表による方が親切な治療が受けられるのだというところまで行ったらどうする。国民は迷うでしょう。それを迷わさぬようにするためには、当局は、一般国民に対して、甲乙二表の利害得失に対する周知徹底の方針をどうする。もし厚生省が、自分の関係医療機関、保険関係については甲表によるべしということであれば、甲表の得失を掲げて、国民に軍配を甲表に上げた周知徹底をやるべきだ。責任を負うてやるかやらないか、どういう方針を厚生省は持っているかということをお聞きしたい。これが一点です。  第二点は、甲表を使う医療機関、乙表を使う医療機関、どういうふうに区別をして表示しますか。私は、ぶらぶら町を歩いてみますから、甲斐の病院へ行こうと思うのですが、あるいはその病院が乙表だったら、さらに次の甲表の病院を探していくかもしれません。甲表を使う医療機関と乙表を使う医療機関、表示をさせるのかさせないのか聞きたいのですが、これは事務的なことばかりですから、はっきりお答え願いたい。  それから第三点は、甲表と乙表との両医療機関の診療報酬の請求の審査に当っては区別するでしょうね。区別があるべきである。どういうふうに区別するのかということも、その審査の方針を明確にしていただきたいと思う。  とりあえずその三点を、これは事務的なことですから、伺っておきたいのです。
  12. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) まず第一点の問題でございますが、これは厚生省は、少くとも昨年来点数表の合理化ということで、ああいうふうな一つの内容を示して、そうしてその原則は甲表であって、乙表は、医療費の収入の減その他の事情によって乙表をとるというような、一つの経過的なものという方針を打ち出してきた手前もございますので、将来の方針としては、少くともより合理的な点数表は甲表であるという線をはっきりと明確に打ち出していきたいという方針でございます。それで、とりあえず国の医療機関、すなわち国立病院、国立療養所、あるいは社会保険で経営しております社会保険病院、厚生年金病院、船員保険病院等は、甲表を採用させる方針でございます。その他の公的医療機関あるいは一般の開業医、診療所というようなものに対しては、都道府県知事に対しまして、保険局長、医務局長の連名通牒によりまして、その趣旨を明確にして、なるべく甲表に積極的な理解を示すよう指導をしてもらいたいという意味の通牒を出した次第でございまして、そういう医療機関の選択については、ただいま申し上げたような線で参る方針でございます。  それから、それを利用する側の患者、一般国民に対してはどうするかというような問題でございますが、これは、甲表による診療がどういう特殊性があるか、あるいは乙表による診療がどうであるかということを、これは利用する側に対して強制するということはできませんので、その両方の、特に合理化を企図している甲表による診療の合理性というものをよく理解してもらうように、具体的な例をあげたり、その他の方法によって、啓蒙広報の活動をやって参りたいということで、ただいま準備中でございます。しかしこれは、申すまでもないことでございますが、甲表による、あるいは乙表によるということは、個々の医療機関については、少くとも国が経営しておるものその他は問題はないわけでございますが、一般診療機関に対して強制するということではございませんし、また、乙表をとったからといって、別にそれに対して差別待遇をするとかいうような、そういう気持は毛頭ないわけでございまして、あくまで最終の選択は個々の医療機関の発意によってやっていただく。しかし、甲表がより合理的であるという線は、あくまでこちらとしては、医療機関及びそれを利用する一般国民に対して理解の程度を深めるべく、これから一カ月の間、あるいはそれ以後の将来にわたって、啓蒙広報の活動をすべきだというふうに考えておる次第でございます。  それから、第二点の表示の点でございますが、これは、指定医療機関のところに、形式はまだはっきりと一定しておりませんが、いずれ実施までには一定するわけでございますが、甲表、乙表というものをはっきりと明示させる方針でございます。指定医療機関(甲表)とするか、あるいは甲表指定医療機関というふうにするか、その辺はきめておりませんが、あるいは両方とれるということになるかもしれませんが、少くとも甲表か乙表か、指定医療機関が採用している表をはっきりと表示してもらう、そういう方針で進みたいと思います。  第三点の審査でございますが、これはレシープトの、請求書の様式についても、ただいま検討中でございまして、基金に対するお医者さん側からの請求書に対しては、色分けをもってまず区別していきたいということは、はっきりしておるわけでございますが、その甲表あるいは乙表の請求内容、明細書の様式については、ただいま検討中でございます。審査の方針というものは、私は、別に区別するという意味は、二つの意味があると思いますが、当然甲表と乙表の別々に審査されるような結果になると私は考えております。従って、その審査形式その他についても、これから細部にわたって検討しなければなりませんし、審査の方針は、これは、一つの診療方針なりあるいは療養担当規則その他の規則に基く審査でございますので、これは別にその間に分けへだてがあるわけではございませんが、甲表に対しては甲表の審査、乙表に対しては乙表の審査というものが当然あろうかと私は思っております。
  13. 山下義信

    山下義信君 この際伺っておきますが、健康保険保険料率の引き下げはどういうふうに考えておられますか。従来これは懸案になって、その方向に努力する。黒字が出たからといって、すぐに明言することはできないが、しばらくやってみて、相当保険経済の状態が、黒字が出るということがやや継続的な状態という見通しがついたならば、まず第一番に保険料の引き下げをやるつもりだと、しばしば当局が明言して今日まで来ておられたのでありますが、すでに三十四年度予算の編成時期に当面してきておる。大体御方針もきまっておるのではないかと思いますが、大体保険料率の引き下げについては、当局の御方針はどういう御方針であるかということを承わっておきたいと思います。
  14. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 御承知のように、三十年度から健康保険は、収支計算が黒字になっておりまして、三十一年度は約四十八億、三十二年度も七十億程度の黒字が見込まれておるわけでございます。本年度につきましても、五十億程度の黒字になるのじゃないかというような見込みがあるわけでございます。従いまして、当然現在の千分の六十五の料率を引き下げるべきだということでございますが、これはどの程度引き下げるかということは、まだただいまのところ、将来の健康保険医療費の増高傾向、特に十月から実施されます今度の点数表による医療費の引き上げ、それの影響ということもございますので、その点をもうちょっと検討する必要がございますが、少くとも非常に近い機会に料率の引き下げを行なっていきたいという方針は、事務当局ではきめておるような次第でございます。
  15. 山下義信

    山下義信君 大体この階段では、事務当局の御方針の段階だろうと思いますが、大体引き下げるとすると、どの程度引き下げられるという見込みがありますか。千分の五ぐらいは引き下げが可能でありますか。どういう見当でしょうか。
  16. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 現在の傾向では、千分の五までは引き下げられるかもしれませんけれども、それは、医療費の問題が、医療費の増高傾向が一応三十三年度の予想ではその程度の引き下げが可能かと思いますけれども、三十四年度以降は、点数引き上げが全面的に年間影響して参りますので、少くとも千分の三ぐらいは確実に引き下げられるのじゃないかというふうに私どもは計算しております。
  17. 山下義信

    山下義信君 皆保険関係は、私は聞きたいことがまだありますが、皆さんも御質疑があろうと思いますから……。
  18. 木下友敬

    ○木下友敬君 今の御答弁を聞いておりますと、診療機関に甲表、乙表をはっきり表示させる。それから、一般大衆に向っても、甲表の方が合理的であるということをPRする、こういうことでしたね。そこで、予想されるところによると、一般開業医がおそらく乙表を選ぶであろうということははっきりしておる。結果から見ますと、政府はPR活動と、甲乙の表示によって患者の取捨選択の際、甲表を取り扱っておる診療機関に患者を吸収し、その結果においては、一般開業医を圧迫していくということになるおそれが十分あると思います。そういういき方を政府はあえてとろうとしておるのか。この点を一つはっきりお答えを願いたいと思います。
  19. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 甲、乙二表が点数表の告示によって存在しておるわけでございますが、どちらをとった方がいいかということの啓蒙は、これは、先ほど山下先生のおっしゃったように、しなければならないと思います。そうしますと、厚生省は、甲表が医療費の合理化として打ち出した線でございますので、これをやるのは当然のことかと私は思うのでございます。しかしそれは、医療機関に対する選択の慫慂ということと、それから、利用される各被保険者の啓蒙という域を出て、それ以上に、医療機関が甲表をとるべきであるとか、あるいは乙表の点数をとっている医療機関に患者が行くべきではないというようなところまでいくのは行き過ぎでございますし、その点の利用というものは、被保険者の自由選択制でございますし、そういう、乙表をとられている医療機関に対して圧迫するとかなんていう意思は毛頭ないわけでございます。また、そこまでもし行くとすれば、それは私は行き過ぎなことだと思います。
  20. 木下友敬

    ○木下友敬君 乙表をとっている医療機関を圧迫する意思はないと言われるけれども、甲表が合理的だということは、当然厚生省としては言わねばならぬ。そうして患者には自由選択だと言われても、厚生省が、甲表が合理的だということを声を大にして言っておいて、そうして言うことは、甲表に行きなさい、甲表に行きなさいということなんだ。その結果としては、当然乙表の方が圧迫をこうむる、損害をこうむるということが見え透いているのを、厚生省はそのままPR活動をやっていくというのは、結果においては、乙表をとった医療機関を圧迫するということになるわけだ。当然なるわけなんです。そんな頭をかしげることはない。そうなんです。そうすると、その結果起ってくることについての責任は、当然厚生省が負わなければならぬということははっきりしたことだ。
  21. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 圧迫という意味がよく私にはわかりませんのですが、甲表をとられる医療機関は、甲表の診療をされるわけでございますし、甲表の診療がいいと思う患者が甲表の医療機関に行くわけでございますし、また反対に、乙表の診療がいいと思われる患者は、乙表の採用されている医療機関に行かれるわけでありますから、結果がどうなるかは、これからの問題でございますし、むしろ結果的には、甲表が圧迫されるかもしれません。その点は、現在の段階では、そういう意図で私どもは指導もしておりませんし、また動いてもおりませんから、結果的には、十月以降の実態がどうなるかということによって判断せざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  22. 木下友敬

    ○木下友敬君 当局としては、そう答弁するよりほかに道はないと思うから、追及してもしようがないが、一方の方で甲表がいいのだということを宣伝しておいて、それが乙表を実施している医療機関の圧迫にならないというような、この明るい世の中で、そういう白を黒と言うような答弁をしないで、あなたはまだ若いのだから、そういうずるいことでなくして、これはやむを得ませんとかいうようなことを言うようにけいこなさらぬと、これは重大な結果が起ってきます。これ以上追及してもしようないから、そういうことを警告して、私は質問を打ち切りますけれども、この結果は、相当な私悩みの極になるものだと思うから、一応発言したわけです。
  23. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 関連。今の答弁を開きますと、甲表が合理性がある、乙表が合理性がないという、そのおっしゃるそのことに私は非常に理解できない点が多々あるのです。合理性のない乙表を何ゆえにそれじゃ厚生省案として出したのか。まあそういうような点は、きょうの質問は事務的であるというなら、ここで責任者のない今日の委員会において質問するのはどうかと思いますが、まあそれはそれといたしましても、合理性があるというのは、私は診療の部面じゃないと思う。医療費の部面に対して、あなた方が考えるような合理性を持っておるというようなあなた方の考えであると思う。診療、いわゆる治療の問題に対しまして、甲表が合理性があるとか、乙表が合理性がないというような考え方は間違った話で、私はその答弁に対して不満を感ずるのであって、もう一ぺんその点に対して御答弁をお願いいたしまして、それからなお御質問申し上げたいと思います。
  24. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 甲表が合理性があって、乙表が合理性がないと私は申し上げたつもりはございませんので、甲表がより合理的である。これは、一年間の国会審議なり、あるいは中央医療協議会における審議の経過をごらんになっても、厚生省は、少くともそういう信念のもとに、医療協議会の推進、審議の経過をたどってきているし、また、甲表、乙表の今度の点数表の実施を通したわけでございますから、そういう意味で私は甲表の合理性を申し上げておる。しかし、反対に乙表が全然合理的であるとか、あるいは合理性がないということまでは申し上げていないつもりでございます。
  25. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 あなたのおっしゃるのは、合理性そのものという、何というのですか、抽象的におっしゃっていますが、合理性そのもの、何のところに合理性があるというようなことを私は次にお聞きしたいと思う。すなわち、合理性というのにもいろいろあると思う。合理性のその部分においても、あなたのおっしゃっているところは、医療費の問題に対してのあの甲表、乙表という、その点に対して、より甲表の方が合理性があるというのか。治療そのものに対しては、合理性があるとか何とかいうことは、私は別問題だと思う。その点ははっきりしておいてもらいたい。
  26. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 先生のおっしゃる質問がちょっと理解に苦しむわけでございますが、医療費の合理性と治療の合理性は別だということなんでございますか。まあ私の方は、今、点数表を問題にしておりますので、点数表が、現在の少くとも告示六十六号の線よりも、今度の告示の内容の甲表の線、そういうものがより合理的に構成されているという考え方には変りはないわけであります。
  27. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 私の言うことは、すなわち合理性の問題というもの、医療費というものの考え方そのものについて、より今までの考え方、すなわち物と技術を分けたというような、その医療費そのものについての考え方が合理性があるというのであって、患者に対する治療のやり方に対して、甲表がより合理性があるとか、乙表が合理性が少いとかいう意味のものじゃ私はないと思う。そういう意味において、患者に対して、より合理性があるというようなPRをなす、そのことが私は誤まっているのじゃないか、なさんとするその見解が誤まっているのじゃないか。そういうことであるならば、そのあなた方のなされた結果というものは、非常な重大な国民に対する私はあやまちを犯すことになるのじゃないかということを申し上げるのであります。私の言うこと、おわかりにならぬですか。
  28. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) わかりました。乙表を採用するにしても、その治療の仕方によっては、きわめて合理的な治療ができる、これは、私もその通りだと思います。私どもそこまでの、そういう意味の啓蒙をするつもりはないわけであります。あくまで点数表として、甲表と乙表というものがこうだという説明でございまして、乙表を採用されるお医者さんが、その治療がすべて合理的でない治療をされるというふうには、そういう考えは全然持っておりませんし、もちろん、乙表を採用される医療機関においても、その乙表によってきわめて合理的な治療をされるということは、当然私はあり得ると思います。
  29. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 ことに甲表、乙表の二表を提案いたしまして、示しまして、そうして自主的に各医療機関が採用するということになっておるならば、その合理的、不合理的ということをあなた方が頭からきめる、その行為が不可解だと思う。合理性、不合理性というのは、あるいはより不合理性ということは変かもしれないが、より多く合理性があるとかないとかいう問題は、その人たちの自主的な判断に待つべきじゃないか。厚生省がみだりに合理性があるというようなことを言っても、おのおのの自主的判断によって、反対の合理性があると考える場合が多々あると私は考える。そういう場合にかかわらず、片方において、甲表が合理性があるというような、そういう抽象的なことで指導されたのでは、私は、患者たちが非常に迷惑をこうむるじゃないかと思う。どういう点で、合理性があるからどういう治療の差がつくのだ、そういうところまでやるならばやらざるを得なくなるじゃないか、またやるべきじゃないかと考える。その点についてどういうお考えですか。
  30. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 啓蒙の内容につきましては、ただいま専門の技官の人が検討しておりますので、私はここで説明申し上げられないわけでありますが、ただ、これは、その医療機関が甲表がいいと思われる場合に、甲表の採用まかりならぬというような意思は、私ども毛頭ないわけでありますから、甲表がいいと思われる医療機関はもちろん甲表をとる。そうして、いや、どうしても自分のところは乙表がいいと思われる医療機関は、それは当然乙表をおとりになってけっこうでございます。また、乙表を採用されている医療機関に患者が行っていけないというようなことを私どもが言う意思は毛頭ないわけでございます。そういう利用の問題は、これはあくまで自由選択、その患者がここの医療機関がいいと思われる所に行かれるわけであります。ただ、甲表、乙表の二つの表がございますから、それの評価ということは、これは当然私はやるべきじゃないか、また、そういう考えでこれからの問題を取り上げていきたいというふうなことを先ほど申し上げたわけでございます。
  31. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 今の問題も、まあ議論すれば尽きないものと思いますが、その点はこのくらいにして、もう一つお聞きしたいと思いますのは、審査の問題ですが、片方の方がより合理性があるというようなことで、ことに、先ほどの答弁によりますと、審査委員も使ってやらなくちゃならぬじゃないかというような御答弁でしたが、そういうことになりますと、担当医として一番問題となるのは、査定の問題だと私は考えております。その際に、より合理性がある甲表をとっておるところの医療機関は査定はしなくてもいいというような、いわゆる専門審査員というものがおりますから、それらの人に対して命令というか、指示というか、与えてやられた日には、これは、基金の審査会のやり方に対して不公平きわまる結果が起るじゃないか、乙表をとった者に対しては、この前もそうでしたが、非常に査定というものは厳重にすべきであるという指示があったはずだと思う。このごろはどうなったか、黒字になったから……。そういう場合において、そういうような不公平な二通りの指示がある、あるいはなされるというようなことが、これは考えられないことでもないじゃないか。今までの例にとってみましても、そういうことになったときには、私は、これは由々しき問題だと思う。そういう点に対して、あなたははっきりと、その審査委員なら審査委員というものを、ほんとうに二通りに分けるのかどうか。同じ人がまたやるのかどうか、その点をはっきりしていただきたい。
  32. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 私は甲表と乙表のレシープトに対して、これは同時に審査はできないと思いますので、別々に審査が行われるということは、これは事務的な問題でございます。しかし、甲表のレシープトに対しては査定が寛大であるとか、あるいは乙表に対してはきびしい、そういうことは絶対にないと思います。これはあくまで医療の適正という観点からの審査でございますから、たとい甲表をとられようと、乙表をとられようと、その面においては差別待遇は絶対にあるべきじゃないし、また、そういう指示をする意思は私どもは毛頭ないのであります。
  33. 山下義信

    山下義信君 関連——関連というよりは私の質問だったのですが、今、牛丸次長は、きわめてあいまいなことを言われる。甲表の審査と乙表の審査について、両方一緒くたにできぬということは当然のことなんです。それで、また、両表の審査については、審査のやり方が同じようなことを言う。同じような審査をするのであったら、甲表の合理性、乙表の不合理性とは言わぬけれども、乙表のことはやめておこう、雑音が起きるから……。それでは甲表のより合理性というものを採用した効果がないじゃないですか。寛大であるとか、過酷であるとかというような、そういう言葉は答弁にならない。しかし両表の審査で、一方は簡略にできるということだけは特徴があるでしょう。その特徴があればこそ、これは、甲表というものを厚生省が大いにいい案だと言った理由の一つであったでしょう。だから、審査はどういうふうにやるんだ、こういう質問をしたら——これは非常に重大な質問なんです。これは言うまでもなく重大な質問です。こういう重大な質問のときには、重大な答弁をしてもらわなければ、きわめて無意味な、せっかくの質問が役に立たぬような答弁をしてもらってはならぬのであって、甲表の審査はきわめて簡略にできますということだけは明確でしょう。どうですか。寛大とか、過酷とかいうことでなくして、手心ということでなくして、当然簡単にできることでしょう、この点はどうですか。
  34. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 事務的な面で審査が非常に簡単であるということは、私は当然言えると思います。しかし、先ほど松澤先生の御質問の趣旨が、手心を加える、どっちかの表によって、一方は厳にする、一方は寛にするということをしてはいけないというような趣旨だと思いましたので、その点の答弁をしたわけでございまして、甲表、乙表が、審査の実態において、甲表は非常に簡略化されてくるという結果になることは、私は、今、山下先生の御指摘になった通りだと思うわけでございます。
  35. 片岡文重

    ○片岡文重君 大体私が聞こうと思ったことは、山下さんと松澤さんが言われましたが、その答弁で、どうもふに落ちないと思うのは、大体これは厚生省の方針の問題ですから、次長にお尋ねすることが少し無理ではないかというような気もするのですが、しかし、質問が出て、これだけの答弁をされたのですから、あやふやであっては困ると思うので、あえてお伺いするのですが、今、松澤委員あるいは木下委員の御質問に対するあなたの御答弁では、甲表、乙表の内容を、医療機関並びに患者に対してPRするのか、甲表、乙表の合理性があるとか少いとかということをPRするのか、その点がやはりはっきりしなければいかぬと思うのです。つまり、甲表とはこういうものである、乙表とはこういうものであるという、その内容の説明だけに重点を置いてPRされることと、これを、甲表は合理性があるけれども、乙表には合理性は少いとか——あなたはないということは言わぬと訂正されたけれども最初に聞いておると、私どもにも、乙表には合理性がないというふうにあなたが答弁されているように聞えましたけれども、これはあなたが訂正をされたのだから、ないとは言わぬ、しかし、甲表ほどはないのだということの説明をされて、それだけにとどまるのかどうか、これが僕は一つの問題だと思うのです。私ども聞くところでは、厚生省では、すでに四日にも保険課長会議を開いて、これを国立、公立の機関等については甲表を使うように普及、促進に努めるような説明がなされておるはずです。だから、それは、単に甲表、乙表の内容を説明しただけではなくて、かつまた、その合理性の厚薄を説明されただけじゃなくて、甲表を使うべく指導をされておるのだから、この御答弁の内容が、その点がはっきりされなければ私はいかぬと思うわけです。  それと、もう一つは、そもそも私は、この甲乙両案を提示されたこと、これに私は厚生省としての一つの大きな誤まりがあると思うのです。問題はここから出発しているのです。だから、そういう点については、すでにスタートにあやまちがあるのだから、そのあやまちをいかにしてカバーしていくか、ここに重点を置いて厚生省考えて、すみやかにこのあやまちを払拭するような措置を講ずべきじゃないか、そういう点についての御意見が、何ら私は、今の御答弁の中にはうかがわれないと思う。これは大臣なり次官なりでなければ御答弁ができぬとおっしゃられるならば、率直にそういう点の御答弁をしていただいた方が、この際いいのではないか。で、あなたがおっしゃるように、完全に選択の自由を認めるということであるならば、あえて特別に保険課長会議まで開いて、そうして甲表の合理性を説明し、これを普及宣伝をしたり、あるいは甲表になるべくよるようにというような指導はすべきじゃなくて、そういう必要はないと思う。両方完全に選択の自由を認めるならば、甲表とはこういうものである、乙表とはこういうものであるというだけの説明にとどまって、しかも、一般の患者に対しても、その内容を、病院、医療機関の見やすい所に掲示して置くということだけで十分であって、特別にPRの必要は私はないと思う。どうもそういう点を考えてみると——これはずっとあなたの御答弁を伺っておって、われわれしろうとが気づいた点なんです。そういう点からすると、あなたの御答弁を伺っておって、どうも首尾一貫しておらないというような気がするのです。で、差別すべきじゃないというお話もありました。これは当然です。おっしゃるまでもなく、これは差別されたらたまったものじゃない。ですからすべきじゃない、そういう点を、今、あなたの御答弁を伺っておっても気がつくのですが、あなたの今おっしゃられた二、三の点についても、訂正をされるところがあるなら、この際、訂正をしておいていただきたいし、御意見があったら伺います。
  36. 牛丸義留

    説明員(牛丸義留君) 説明が少しあいまいで恐縮なのでありますが、甲表、乙表の完全自由選択を、私どもが内容をよく説明してやるということじゃなくして、甲表に将来一本化さるべしという考え方をもって指導していくということでございます。従いまして、そういう点で甲表の採用について啓蒙をしていきたい、こういう気持でございます。
  37. 山下義信

    山下義信君 まだ御質問があると思いますが、私、もう一つ国民年金のことに触れておきたいと思うのですが、国民年金についての質問をいたしますと、とかく私問題を起しまして、前堀木厚生大臣のときに御迷惑をかけたのでありますが、きょうも橋本厚生大臣はすれ違いでお出かけになりました。で、仕方がありませんから、これまた事務的なことを私、小山審議官に伺います。国民年金制度創設に関するあなたの方の作業のスケジュール、これは大体どういう見当でお進めになっておられますか、伺いたいのであります。それで、しばしば橋本厚生大臣から伺うところによりますと、八月中には大体大綱をきめるのだということであります。そういう順序でお進めになっておられますかどうか。その国民年金制度創設の準備作業、検討をお進めになっておられまするそのスケジュールの中には、いろいろあるであろうと思う。できるだけ一つ具体的に、端的にお示しに相なって、国民が、政府当局は果して真剣に熱意を傾倒してやっておるのであろうか、どうであろうかということを見ておりますから、どういう段取りでお進めになるのかということを、一つ伺いたいのであります。たとえば、審議会の答案が出た。しばらくして五人委員会の答申が出た。答申といいますか、進言といいますか、というものが出た。私は、審議会は当然でありますが、たとえば、五人委員会のお世話は厚生省がなさるのだ。これは実質的には公的な委員会でありますが、法制的にいえば非公式な、ただ厚生大臣一つのブレーン的な、プライベート的な、顧問的な機関になっておるのでありますが、厚生省内において皆さんがお世話なさる。これが、非常に基本的に違った意見が二つ出た。これをどう調節するかということは、これからあなた方が御苦労なさるのでありましょうが、私は出た二つの意見について御苦労なさるということよりは、その前に、五人委員会意見をお出しになる、厚生省がこの委員会のお世話をなさる。なぜ審議会が答申をする前に、五人委員会意見をお出しにならなかったか。私は、そういうことは五人委員会の人に言うべきかもわかりませんが、お世話をなさるのは厚生省がお世話をなさる。大体どの辺で中間報告を取りまとめて、どういう程度意見を出されて、ということについては、始終おそばにおって、産婆役のようにお世話をなさっておいでになる。社会保障制度審議会というものが公式な答申を出した。これは一年もかかってすったもんだやっておった。もどかしかったでしょう。見るにたえなかったでしょう。私どもも同感です。また、その意見の中には大いに批判すべき面もあるでしょう。しかしながら、私は親切が親切でないと思う。五人委員会のああいうふうな重要な諸点が違う画展で一つの案が出るというならば、むしろ審議会の正式答申をされる前に出されたならば、審議会はそれが参考になるでしょう。これは、私は、さまざまな協議会や審議会、この種の委員会等、同様のもの、類似のものが数種ある場合における一つの弊害であると思うのでありますが、しかし、一般にとっては非常に参考になる。あとからいろいろに一つ審議会が正式答申を出したものを、それと違った相当権威のあると思われるような、しかも主管省の世話をしておりまする委員会が、この種の相違した進言を出したということは、参考には一般にもなりますが、私は、国民年金制度を推進していく上について非常に大きなプラスになると思わない。むしろ、この審議会の答申の前には、ああいう意見があったならば出しておいた方がいいような気がする。これは一つの小言のような、ぐちのようになりますが、そういう調節はどういうふうにするつもりでありますか、ということも、今後のスケジュールの中にあるでしょう。また、大蔵省の意見も新聞紙上に散見されておる。また、自民党の方でも、本日、昨日もしきりに検討されております。厚生省当局、しかも諸般の準備を担当されておる責任者の小山審議官としては、国民年金制度の一つのめどをつけるその作業を進めていく上についてのスケジュールは、どういうふうにされておるかということ。それにまた関連して、一つの内容には、ただ一つのペーパー・プランを進めていくにも、相当な困難と努力と御勉強を願わなければならぬわけでありますが、そういういろんなことをお進めになる、ただプランだけが進むというだけで作文ができ上るというだけでもいけないのでありましょうから、実際準備が要るのでしょう、幾らかずつは。それで、一つ厚生省案というものがまとまって、プリントに刷るまでも容易ならぬことでありましょうが、プリントに刷ったということは、すなわち一つ法律案の要綱ができたということ、一つの要綱ができたということになれば、それが法文化されて、いつ提出するかということが起きてくる。いつ提出するかということが起きてくると、国会に提案される法律案には、言うまでもなく、いつから施行するかということがそこに出てくるということになれば、やはり準備のスケジュールの中に、諸般のその実施機関の準備——準備の機関であると同時に、それが一転すれば、同時に実施機関となる。そういうような機関の整備というものがやはり並行して進んでいかなきゃらなぬ。聞くところによると、国民年金準備局というようなものも当分作ることができない。どこの部屋で何人かかってやっておられるか知りませんが、いよいよということになれば、三十人や五十人は、手を分けて、それぞれ一つのプランができても、それを実施に移すまでのいろいろ準備作業というものについては、相当な人員等も要るのでしょう。そういうものなくして、作文するという程度だけでずっとどこまでいくのか、実際国民年金制度の発足の準備も、並行して若干の支度が中央、地方それぞれ通じて行われていかなければならぬというようなことを考えるというと、八月のきょうは十一日で、それでどういうふうになるか、もう年内も三カ月か四カ月というようなことで、今ごろ、もうすでに大綱ができ上って、相当な細目までそれに付随してできておっても、法律案として出てくるというようなことになると、相当な私は準備作業量だろうと思うのですが、どういう段取りで、どういう順序で、どういう方向でやっておられるかということを、大体一つこの際お示しを伺いたいと思います。
  38. 池田清志

    説明員(池田清志君) 池田清志でございますが、厚生大臣出席ができませんので、かわりまして出席いたしました。  国民年金制度を実施しようということは、すでに皆様御案内の通り、過ぐる総選挙において、わが自由民主党が打ち出しまして、国民に公約をいたしておるところであります。なおまた、社会党におかれましても御同様であり、いな、むしろそれに先んずるような格好におきまして一つの法案も国会にお出しになっておりますることに対しまして、敬意を表するものであります。私ども自由民主党といたしましては、政府とともに、国民に対しまするこの公約を実施する責任を負うものであります。そうして公約におきましては、実施は三十四年度から実施するということもお約束申し上げておりますることも御案内の通りであります。幸いにいたしまして、自由民主党が与党であり、第二次岸内閣のもとにおきまして、この公約を果すべく、政府部内においてあるいはまた党内におきまして、一生懸命に努力をいたし、作業を進めておる最中であります。この問題を実施に移しまするには、政府おのおのの省におきまして、それぞれ努力をいたすわけでありますが、とりわけ厚生省並びに大蔵省におきましては、自分の担当の仕事といたしまして進めておる次第であります。されば山下委員のお尋ねもその辺から発足をいたしまして、厚生省においてはいかなる準備があるかということの御質問があったかと思うのであります。国民年金制度の問題は、国の事務といたしましては、いまだかつてない新しい事務であります。さればこれをやりまするにつきましては、新しい事務でありまするから、新しい人員を擁しまして、新しい部署を設けましてこれに当るのが当然であるわけです。しかしながら、今日はその準備を進めておる段階でありまするので、わが厚生省の中におきましては、各局に所属いたしております者、小山君以下二十数名を集めまして、この国民年金制度創設についての準備のことを進めておる最中であります。小山君以下、日夜を分たずこの問題のために調査研究をいたしておるわけであります。  御承知のように、政府に対しましては、社会保障制度審議会から答申をなされております。その後、また御指摘のように厚生大臣の顧問でありまするところの五人委員会からもある進言をいただいております。従って、山下委員のお尋ねは、この両者の調整をいかにするかということにも言及になったわけであります。私どもといたしましては、制度審議会の答申を尊重いたしまして、これを基本といたし、できるだけそれを実施しようという腹がまえのもとに、五人委員会あるいはまたそれ以外の方々の御意見を慎重に拝聴いたしておるところであります。まだ私どもの省内におきまして、お示しを申し上げますような要綱もできておりませんで、まことに申しわけございません。そこで、山下委員のお尋ねは、スケジュール的にはどうだという御質問になったわけであります。そこで申し上げますと、今日まで大綱等をお示しすることができておりませんのは残念でありますが、少くとも本月一ぱいには大綱を作り上げようという努力で進んでおるわけであります。かくのごとくいたしまして大綱を作り上げて、政府及び与党の間の意見の調節をいたすというようなことをいたしまして、成文化をいたすわけでありますが、成文化をいたしましたものは、来たるべき通常国会に提案をいたしまして、通常国会に成立をしていただいて昭和二、十四年度から実施に移したい、こういう考えで進んでおるわけであります。これらのことにつきまして、小山君以下一生懸命部下がやっておりますから、その辺のことも御了承いただきたいと思う次第であります。
  39. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) ただいま政務次官から一般的な考え方を申し上げたのでございますが、私、きわめて事務的に、山下先生がお尋ねになった点を申し上げたいと思います。  第一の問題は、作業のスケジュールなりあるいは準備の実際上の段取りはどうして組むかという、この種の問題を運びます場合にきわめて基本的な問題についてお尋ねがあったわけでございます。ただいま政府次官が申しましたように、国民年金の問題は、いわば来年度から一刻も早く実施に移すというのが政府考え方でございますので、そういう考え方で事を運びました場合に、一体年金制度のようなものについてどういう運びになるかということがお尋ねの問題になるわけでございます。私どもその点についていろいろ検討いたしました結果、大まかに、こういうふうな段取りを考えているのであります。来年度においてとにもかくにも国民年金の一部を実施に移すということになりますれば、当然のことではございますけれども、今度の通常国会には、国民年金の全体を動かし得る法案を提出するということで、すべてを考えていかなくちゃいかぬ。従って世上ともすれば一部に伝えられておりますように、とりあえず来年から一部の年金だけをつまみ上げてやるといったような考え方の運びからは、国民年金を来年度からやっていくという動きは出てこない。年金制度の性質といたしまして、現在論議されておりますることは、醵出制の年金をもとにして、これに無醵出の年金を組み合せていくということが一般に論議されているところでございますが、もしも醵出制の年金が国民年金の一応中心に置かれるということになるといたしますならば、この醵出制の年金のうちのまた中心に置かるべき老齢年金というものがどういう姿になるか、これと、たとえば身体障害者のための障害年金とかあるいは母子とか遺族等に対する母子遺族等の年金がどういう関係に置かれるかという総合関係は、国民年金制度の発足のときにおいて、当然きめて置かなければならぬわけでございまして、ほかの一時的な施策のように、とりあえずその一部だけをつまみ上げて、とにもかくにも来年度からやるんだという態度は、国民年金に対する態度じゃない、こういうことになりますので、大へん回りくどいことを申し上げましたけれども、なかなかむずかしい仕事ではございますけれども、今度の通常国会には、どうしても国民年金制度の全部を一応含む法案というものを御提出申し上げて御審議を願わなければならぬ。これが現在の運びからくる第一の段取りでございます。  次いで第二の段取りといたしまして、同じようにして、国民年金の法案が国会において御審議を願いました結果、成立いたしたといたしまして、一体いつごろからできるかという問題になるわけでありますが、何分来年から実施を期待されておりまする無醵出の老齢年金の対象だけを考えましても、これはほぼ二百万前後の数になるわけでございます。これに母子年金の対象あるいは身体障害者の年金の対象というようなものを考えますというと、制度の立て方にいろいろな論議はありますけれども、まあ大体の達観として、二百五十万から三百万に近い対象を頭に置いて実施することを考えなければならない。かれこれ考えあわせますと、まず、きわめて急いだ運びにいたしましても、最初の年金というものが、これらの対象に行き渡るという時期は、年内一ぱいがやっと、あるいは年を越すかもしれぬ、かような運びになるわけでございます。これは別にいい悪いとかあるいはこうしよう、ああしようといったような問題でなく、間違いなく年金制度が動いて、年金が対象者に行き渡るということを現在の事務の運びで行なおうとすれば、そういう運びになる、こういうことでございますので、まず、大体無醵出年金の実際の支給のめどは、ここあたりにおかなければならぬ、こういうことになるわけでございます。  次に、第三の問題といたしまして、国民年金法にきめられまする中枢の部に属する醵出年金が、一体いつごろから動き出すかということでございますが、これまた被保険者の確認、保険料の徴収というような非常にむずかしい仕事がありますので、これらのことを考えますと、従来の例でいきますと大体この種の法律施行いたしましてから半年たって保険料の徴収を開始するというのが一般の段取りでありまするが、今度の国民年金の場合は、これを若干延ばして考えなくてはいかぬだろう、そういたしますと、まずいろいろな運びから参りまして、かりに昭和三十五年の一月から醵出部分の法律施行するといたしましても、実際の保険料徴収が行われる、言いかえれば名実ともに醵出年金が動き出すという時期は、まず、三十五年の十月から、あるいは場合によって三十六年の十月ごろまでかかる、かように見なければいけまい。  大体、以上申し上げたような三つの事務上の運びを頭に置いて事務の段取りは考えているのであります。問題は、最初にお話になったように、今度の通常国会国民年金法案とでもいうべきものを御審議願うようにするためには、一体どうしなければならないかということになるわけでありますが、これをやりますためには、ただいま政務次官が申し上げましたように、大体今月一ぱいくらいにほぼ大綱を固めるということをいたす必要があるわけでございまして、そのような事情からいたしまして、私どもは八月一ぱいに大綱をきめざるを得ないし、また、きめるということでいたしているわけであります。  次に、ただいま申し上げましたこういうような仕事が、予定されたように進んでいくためには、今のような体制ではいかぬだろうという点の問題でございますが、これは、私ども率直に申し上げまして、このような段取りを進めていきますためのものとしては、現在の体制にかなり苦痛を感じております。省内あげて臨時的にこの仕事に当っておりますし、また、そういう面での省内の協力、また、私ども外の方に対しても最上の協力を、各方面からしてもらっているということを、確信をもって申し上げられるのでありますけれども、すでにお話にありますように、一方において厚生省国民保険という非常にむずかしい仕事を現在やっておるわけでございますので、おのずからそういった臨時的な協力で埋めていくためには一つの限度がある、どうしてもある時期においてはよそから借りた人間でということではなくて、その仕事を進めるための準備体制を一そう確実にするために、ある程度の人間を、たとえば定員法を改正するというような措置も考えまして、用意をしていくということが、全体のスケジュールを間違いなく——あとになってあの点の検討を怠ったとか、あるいはあの点の事務的な研究が不十分であったということを、十五年なり二十年たってから後悔しないで済むようにするためには、どうしても必要だ、かように考えているわけでございます。この点、省内でできるならばそういった運びにいたしたいということで、いろいろ努力をしているわけでございます。  最後に、社会保障制度審議会の答申に関連して、その後の運びとして、出てきておった事態についてのおしかりがあったわけでございますが、私どうも率直に申し上げまして、この運びは必ずしも望ましい運びではなかったという感じは持っておるのであります。その点はともかくといたしまして、私どもが現在非常に困難を感じております点は、実は年金制度のようなものは、相当突き詰まったところまで検討した上で書かれた作文でありませんと、実はそれをそのまま実施に移していくということに、非常な無理があるのであります。その意味におきまして、答申にもそういう点でかなりだめの詰まっていない点が多い。従って、だめの詰め方いかんによっては、書かれている作文が、ある程度変り得る余地がある、そういうようなものが答申と五人委員意見との間で若干の食い違いを来たしている原因でありますが、それはとにかくといたしまして、実際上の問題としては、そのような問題を一刻も早く事務的に消化をいたしまして、答申が当初ねらっているような考え方を実施できるようなものに仕上げてみるとどういうことになるか、こういうような気持で案の調整をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  40. 山下義信

    山下義信君 きょうは厚生省の準備を進められる上における作業のスケジュール、または見通し等を承わったのでありますが、ただいまは詳細かつ具体的に、大体の段取りと心がまえをお示しになりましてよくわかりました。それで、本日はこの程度にいたしておきますが、ついでに承わっておきたいと思いますのは、今お話しになりましたような無醵出の年金制をやるにしても、国民年金全体のものがきまって、その中で順次実施のあと先があるという程度で進めていくべきであると、もとより、そうであります。そうでなければ、全体の構想ができなくては、一部分の建築しかできようはずがありません。従いまして、二つ私は伺っておきたいと思うのは、一つには、厚生年金の改正は、当初厚生省考えておったように、国民年金制の全体の構想とにらみ合わせて大幅な改正をやりますが、それはどこでやるか、作業を準備しますか。やはり国民年金準備事務局と仕事の方は同じ小山審議官の手元でやられるのか。それから今一つは、これは大体の大綱がきまってから伺うのが、ものの順序ですが、しかし、鶏と卵のような関係もありますから、率直に伺うのですが、今毎日々々小山審議官も忙しいので、あちらの方へ呼び出されたり、こちらの方へ呼び出されて、そろりそろり教育をして、講義をしていかなければならぬので、ほんとうにお困りでしょうね。きょう講義をしても、あしたまた講義を聞いた人があとから知恵が出てきて、これは後人斎というのですが、その知恵があとからあとから出てきて、あなたが教育するにしたって、次々に案が変っていって、そのお示しに従ってお進めになりよったら、八月になっても果てしがないでありましょうが、どちらにしても、いろいろ御苦労ですが、その中で一番御苦労なのは、早く与党、政府がどれだけの金をこれに回してくれるかということで、五十億や三十億違っても、四百五十億は回してやろうとか、とりあえず初年度無醵出だけで二百五十億出してやろうということをきめてもらうのが先決であって、いろいろえらいお方をあなたが教育をして、国民年金制とはどういうものか、無醵出とは、醵出とはどういうものかということを講義していくよりも、早く出してもらう金を打ち出してもらうことが急務だろうと思う。その金の範囲内でよき案を作れと殿様が言えばいいのであって、実はそれでなければ案の作り方もいろいろとお困りになろうと思うのです。大体どの程度の金をかけてやろうかということが、これが大体のかなめですね、そういう点は何らかおぼろげながらでも、あと二十日間で今月中に大綱をきめめるという場合に、大体の幅は出ているのでありますか。これは政務次官いかがですか。
  41. 池田清志

    説明員(池田清志君) お尋ねのあとの方から申し上げますが、国民年金制度に初年度においてどれだけの財政負担をするかというお尋ねであります。御承知のように社会保障制度審議会の答申におきます計算をいたしますと、大体五百三十七億でありましたか六億でありましたか、それだけ初年度必要とするということであります。社会党の御案によりますと、初年度において一千百二十七億円でありますか、それだけ要するというようなことになっておるようであります。私の省内におきましても、これらの案についていろいろと研究をいたしておるのでありますが、今日までのところ、先ほど申し上げましたように、何ら具体的にお示しをすることができませんのはまことに残念です。今のお尋ねの、どれだけの財政負担をするかということについてもお答えができない次第でありまして、いずれ大綱が決定いたしました後におきましては、この辺の問題についても明らかになることと思います。厚生年金は、御承知のように五年目に再計算をするということになっております。その再計算が来年の五月幾日かということであります。これにつきまして、再計算を来年することでありますが、その機会に、内容をどうするかというようなことも実際問題になっております。問題になっておりますが、具体的にどうこうしようという考えのもとに私のところにおきまして進めておることが、まだ今日のところ、ないのでございます。従いまして、どこでどうするということも、具体的にお答えができませんので、残念に思います。
  42. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今、社会党が一千百億とか何かおっしゃいましたけれども、社会党の案は、収入の一定限度以上ある人には、無醵出年金を差し上げないという制度の問題がありますので、人数プラス何かじゃそうなるかしれないけれども、そういう配慮は、社会党はしていると思うのです。その点は、もっと研究をしていただきたいと思います。
  43. 木下友敬

    ○木下友敬君 次官がお見えになりましたから、お尋ねをしておきますが、きょうもちょっと話が出たんですが、診療報酬の甲乙一案で、牛丸次長の御答弁では、一般大衆に向って甲案の方が合理的である、乙案に比べて甲案の方がより合理的であるということをPRする、こういうことなんです。私が心配するのは、一般大衆に甲案の方がいいんだということをおっしゃるのは、甲案の方を選べということに裏を返せばなるわけなんです。ということは、乙案をとっている診療機関を圧迫することになりはしないか、こういうことを心配してるのですが、次官はどういうふうにお考えですか。
  44. 池田清志

    説明員(池田清志君) 新点数表の問題につきまして、国会の皆様方に申し上げるのは、これは釈迦に説法であります。御承知のように、あの点数表の内容といたしましては、昭和二十六年を基盤といたしまして、八・五%の医療報酬の額を目標といたしておるわけであります。それに、いま一つは、事務の簡素化という目的を達したいということが織り込まれておるわけであります。さらに大きなねらいといたしまして、医療報酬を合理化していこうという考え方が基礎にありますることは、これは御承知通りであります。ところが、合理化の問題が、徹底して合理化するということが、今日の段階におきましては無理であるということでありましょう。御承知のように甲表、乙表ということになっておるわけであります。その際、甲表がより合理的で、乙表がより合理的でないというようなお話もあったのでありますが、私どもが、甲表の方がより合理的であると説明をしておるであろうと思いまする事柄は、甲表におきましては、御承知のように物と技術を分けまして、物と技術におのおの合理的な対価をきめ、それを総合して医療報酬を積み上げていくと、こういう式になっておるのであり、乙表は御承知のように従来通りの行き方でいくというのでありますから、その点を称して、より合理的であると、こういう説明をしておるのではなかろうかと推察をいたします。そこで、甲表、乙表を国民の皆様方にお示しをしておる段階であります。そのどちらをおとりになるかということは、これまた御案内のようにお医者さんの自由意思を尊重することに相なっておるわけです。お医者さんが乙表をおとりになるという方は届け出て下さいと、こういうわけです。そこで、お医者さんの中で、乙表は届け出なくちゃならぬ、甲表は届け出ぬでも自然に——届け出なければ甲になる、こういうやり方は公平の観念に反するじゃないか、こういう御指摘もあろうかと思います。しかしながら、乙表の方々がお届けをするというごめんどうをしていただけば、あとはみんな甲表ということでありますので、私どもの方では、そういう取扱いになると思うのです。さて、その内容につきまして、甲表はこうなっております、乙表はこうなっておりますという事柄をいろいろと御説明申し上げて、医療機関はもとより、保険者の方々もあるいは官公吏あるいは国民の方々も、内容を十分おわかりいただくということが必要でありますので、厚生省におきましては、先般来ブロック的にそういう関係者のお集まりをお願いいたしまして、説明会を開いておる最中であります。従いまして、その中におきまして甲表が合理的であるということを言うたといたしまするならば、さっき私が申し上げたような点を指摘して言っているのではないかと思います。そこで、今御指摘にありましたように、私どもといたしましては、どちらをとりなさいということは申し上げてないのでありまして、今後におきましては、よく注意いたしまして、そういう趣旨が徹底するようにいたしたいと思います。
  45. 木下友敬

    ○木下友敬君 まあ診療機関に向って甲表、乙表の選択は自由である、これはその通りにやっておられるようです。ただ、国立などについては、なるたけ甲表をとるようにという御指令はあるとして、一般大衆に向って甲表の方が乙表よりもより合理的であるということを特に言うんだ、甲表はこういうものだ、乙表はこういうものだということを説明するだけでなくして、甲表の方が合理的でまさっておるということを言うんだということをさっき御答弁があったのです。そこまで言わなければ、厚生省の甲表を支持しておるということが無意味になるから言うんだ、こういうことは、それをちょっと裏を返すと、一般大衆に向って、甲表の病院をお選びなさいということになりはしないか、当然なるのです、それは。そういうことが結果において非常に困った問題が起ってくるんだが、それでいいのか、厚生省はそれの責任をとるのか、私はそれを言うのです。
  46. 池田清志

    説明員(池田清志君) ただいまの重ねてのお尋ねでございますが、新点数表は、医療報酬を合理化していこうという方向に向って進んでおりますことは、御案内の通りであります。徹底した合理化はできなかったけれども、先ほど来説明申し上げましたように、ともかくも甲表におきましては物と技術を分離いたしまして、それにおのおの合理的な対価をきめて、積み重ねの方式でいこうというようなことになっておるわけであります。そういうような説明を申し上げておるのではなかろうかと推測をいたします。しかしながら、そう説明することが、国民に向い、患者の方々に向い、甲表がまさっておるから、それをとりなさいというような暗示にでもなりますことでありまするならば、これは少し過ぎたことであると思います。厚生行政立場におきましては、甲表はこうでございます。乙表はこうでございますというところを御説明申し上げまして、しかる後、お医者さん方においてどちらをお選びいただきますかは自由でございます。こういうことであろうかと思います。
  47. 木下友敬

    ○木下友敬君 またあなたは医者のことを言うが、そうじゃなくて、患者の方ですね、患者の方に甲表はこういうものだ、乙表はこういうものだ、ただ平面的に言うだけでは厚生省はとどまらない、甲表の方がまさっておるんだということを進んで言うんだというさっき御答弁になっておるのです。それはそこまで進んで言われることは、乙表を選んでおる医者の診療所に行くことを、患者はにぶりはしないか、こういう心配を言ったのと、もう一つは、さらにつけ加えますが、診療報酬の合理化ということと、診療内容の合理的であるということ、これは別であると思います。診療内容の合理的であるかどうかということは、個々の医者によって違うのです。おしなべて乙の方の診療内容が合理化されておるとか、甲の方が合理化されておるということは、内容については言えないだろうと思うのです。これは松澤委員もさっき言ったのですが、そうすると、点数構成が甲の方がより合理的であるということが、一般大衆に向っては、治療内容までも甲表の方が合理的だというように聞こえさせるおそれがある、そこをどういうふうに区別して説明されるのか、これはむずかしいことです。
  48. 池田清志

    説明員(池田清志君) お尋ねの点は、なかなかむずかしいところでございまして、お医者さんの医療の内容についてまで、点数表でいろいろの制限をするということはないわけでございます。御承知のように、たとえて申しますと、盲腸炎をわずらった患者が来たという場合に、そのお医者さんは全知全能を傾けて患者を早くなおしてやろう、こういう考えのもとに神のわざをしていただくと思うのです。あるお医者さんは、その盲腸を散らすということによって処置していただく方もありましょう。あるお医者さんは、切開手術をすることによって処置していただく方もいらっしゃるでしょう。医療報酬の甲表、乙表におきましては、そういうことをどうしなさいということは言うてはいないのでございまして、散らしてやっていただいたお方につきましては、甲表では点数はこうなります、乙表ではこうなります、切開手術をやっていただいたお医者さんにつきましては、その結果、医療報酬はこうなるということをきめておるわけでありまして、御指摘のように、患者に向いましてどちらをとれというような強制的なようなことをするということは、これは厚生行政といたしましてはよろしくないことであると考えますので、是正をいたしたいと思います。
  49. 木下友敬

    ○木下友敬君 念を押しておきますが、甲表が合理的であるということをPRをする、進んで甲表の方がまさっておるということをPRするという御答弁でありましたが、そのPRをされるとき、患者に、あるいは一般大衆に、甲表をとっておる診療機関をお選びなさいというような印象を与えなければPRにはなりませんわな。与えぬようなPRはありませんわね、実際に。それが行き過ぎでないかということをしばしば私が繰り返しておりますが、そこのところがはっきりしませんが、PRするからには、甲表の方をおとりなさいという印象を与えておるPRである、それをしなければ厚生省がせっかくPRをするという意味はない。意味はないし、また、さっきの御答弁では、甲表はこんなものである、乙表はこんなものである——今、あなたが虫垂炎について言われた。そのようなことより、一歩進めて、甲表の方がいいのだということを言われたから、私は言っている。これは何度聞いても同じですけれども、その点を私が尋ねておるということを、一つよく認識しておいてもらいたい。
  50. 片岡文重

    ○片岡文重君 専門家の木下委員が御質問をやめられたのに、何をか私が今になって言わんやという気持がするのですけれども、もっと私は率直に言うべきだと思う。結局、甲表にいくいくは一本化したいという御意図を持っておるのだから、当然これは甲表にするように、患者に対しても、また医療機関にも甲表にいくようにということを指導するということが、当りまえなことじゃないですか。それを決心したからこそ、本来ならば甲表一本出してこれで全医療は行くべし、行くべきだということを言うと、あまりにも風当りが強いので、乙表を作って、暫定措置を認めて、なるべく近い期間に甲表一本にしたいというお気持であるということは、先ほどから御答弁になっておるのだから、そういうことであるならば、当然厚生省として、むしろ厚生行政として甲表に早くいくように指導するのが当りまえじゃないか。そうやるべきだし、事実やっておると思う。それならば、当然乙表によってやっていこうとする医療機関が不満を持ち、圧迫を受けると危惧することも当然起ることなのだから、そういう事態にどう対処していくべきかということは、甲表、乙表を出したときに、厚生省としてはしっかりとその見通しをきめ、腹をきめて、そのときはどうするという腹ができ、対策が立ったからこの案を出したのでしょう。その点を、ここで明確にすべきだと思う。どっちか、どういうことを言っているのか、聞いていてもはっきりしない答弁ですから、これは明確にしておくべきだと思う。せっかく専門家が質問をしているのだから、厚生省としては、甲乙二表でいくのだという踏み切りをつけて十月一日から実施するのだといって踏み切るのだから、その点ははっきり言うべきだと思う。(「それを言ったら大へんなことになる」はっきりした答弁をして下さい。何のために一年間それじゃ乙表を認めるのか。」と呼ぶ者あり)
  51. 久保等

    委員長久保等君) 私語をしないで、委員長の発言の許可を得てから……。松澤君。
  52. 松澤靖介

    ○松澤靖介君 なお、先ほど牛丸さんからの答弁は、まだ納得のいかない点が多々あったように思います。  たとえば審査の問題に対しましても、レシープトが簡単であるということは、何も私は査定とかそういうことには影響がないのであって、簡単であるといったって、査定というものが、たとえば十本やった注射が八本になったり、七本になったりされ得るから、簡単だとかいうことになっても、さきに、いわゆる審査のやり方というものに対しての処置というものが重点だということを申し上げたのですが、この点は、私は時間もありませんから、いずれ、不満足な御答弁をいただいたということにいたしまして、次回またあらためて御答弁をいただくことにいたします。
  53. 久保等

    委員長久保等君) それでは、本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 久保等

    委員長久保等君) 御異議ないと認めます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十五分散会