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1958-08-11 第29回国会 参議院 建設委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月十一日(月曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————    委員の異動 七月十九日議長において山本利壽君を 委員に指名した。 七月二十八日委員谷口弥三郎君及び江 田三郎辞任につき、その補欠として 林田正治君及び内村清次君を議長にお いて指名した。 七月三十一日委員山本利壽君及び坂本 昭君辞任につき、その補欠として鹿島 守之助君及び藤原道子君を議長におい て指名した。 八月一日委員内村清次辞任につき、 その補欠として佐多忠隆君を議長にお いて指名した。 八月四日委員佐多忠隆辞任につき、 その補欠として内村清次君を議長にお いて指名した。 本日委員鹿島守之助君及び藤原道子辞任につき、その補欠として山本利壽 君及び坂本昭君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     上林 忠次君    理事            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            石井  桂君            林屋亀次郎君            山本 利壽君            内村 清次君            小酒井義男君            坂本  昭君            重盛 壽治君            村上 義一君            森田 義衞君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省計画局総    務課長     國宗 正義君    建設省計画局下    水道課長    岩井 四郎君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省住宅局長 鬼丸 勝之君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (十一号台風並びに豪雨による災害  に関する件)  (住宅問題に関する件)  (建設業法における問題に関する  件)   —————————————
  2. 上林忠次

    委員長上林忠次君) それではただいまから建設委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  七月十九日山本利壽君が委員に選任されました。七月二十八日谷口弥三郎君、江田三郎君が委員辞任され、その補欠として林田正治君、内村清次君が委員に選任されました。七月三十一日坂本昭君、山本利壽君が委員辞任され、その補欠として藤原道子君、鹿島守之助君が委員に選任されました。八月一日内村清次君が委員辞任され、その補欠として佐多忠隆君が委員に選任されました。八月四日佐多忠隆君が委員辞任され、その補欠として内村清次君が委員に選任されました。本日鹿島守之助君、藤原道子君が委員辞任され、その補欠として山本利壽君、坂本昭君が委員に選任されました。
  3. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 本日の委員長理事打合会について御報告いたします。本日の委員会審議の進め方について協議いたしました結果、まず北陸地方委員派遣報告を聴取し、次に十一号台風並びに北陸地方等を襲った豪雨による被害状況につき、政府当局より説明を求め、その後住宅問題、建設業法等に関する問題ついて質疑を行うということに決定いたしました。  それではこれから北陸地方委員派遣報告を一応聴取いたしたいと思います。
  4. 田中一

    田中一君 北陸地方、主として富山岐阜両県下の建設事業調査に参りました第一班の御報告を申し上げます。  去る七月三十日より八月五日に至る七日間にわたりまして、富山県下は主として黒部川常願寺川神通川水系治水利水事業及び国道八号線等の道路事業岐阜県下は主として庄川利水事業及び有料道路を含む道路事業等調査して参りました。  まず行程概略を申し上げますと、七月三十日早朝新宿を出て松本に下車、信濃大町を経て大町ルートより黒部川に入り、関西電力工事中の黒部川第四ダムを見て引き返し、大町に泊り、翌三十一日は同ダム高瀬川骨材採取場を見て、大町より大糸線、北陸線経由宇奈月に泊りました。八月一日は宇奈月より黒部軌道及び工事専用のエレベーターとトンネル軌道により、黒部川第四発電所を視察、引き返して黒部川を下り、黒部川改修工事魚津火災復興事業一級国道八号線、常願寺川改修工事等を見て冨山市に入りました。翌二日は富山市より二級国道百五十五号線、すなわち富山——岐阜線神通川笹津まで南下して引き返し、常願寺川に入り砂防工事を見ながら千寿が原に至り、ケーブルカーにて美女平に登り、立山登山有料道路弥陀ガ原終点まで参りました。次いで引き返して常願寺川支流和田川に入り、北陸電力工事中の和田川第一、第二発電所を経て有峰ダムに参りました。翌三日は有峰を出て大和田峠より岐阜県に入り、上部落から二級国道百五十五号線を神岡を経て飛騨古川に至り、さらに天生峠を越えて庄川筋に入り、関西電力で最近に竣工した鳩ケ谷ダムを見ながら御母衣に至り、電源開発会社工事中の御母衣ダムを視察いたしました。翌四日は御母衣地下発電所に入り、その後二級国道百五十六号線を南下し、北濃、八幡、関市等を経て多治見市に入り、道路公団にて営業中の愛岐道路及び濃美大橋を見て岐阜に入り、全行程予定通り全部終了いたしました。以下項目別概略を御報告いたします。  まず調査主要目標である利水面黒部第四、有峰御母衣ダム及び発電事業から申し上げますと、黒部川は御承知通りその源を北アルプスの鷲羽岳に発し、立山連峰白馬連峰の間の黒部峡谷を北流するもので、流域の年平均降雨量三千八百ミリの多雨地帯であり、特に冬季の積雪は約五メートルに達し、水量調節の役をもなすといわれています。また平均四十分の一という河川の急勾配電源開発に非常に有利な条件であります。しかしまた断崖が四百メートルにも及ぶ黒部峡谷は人の接近を寄せつけず、大正年間までは人跡未踏の秘境として門戸を閉ざしてきたのでありますが、昭和に入り下流より愛本、柳ケ黒部川第二、第三発電所と順次開発され、昭和三十一年六月より関西電力により黒部川第四発電所建設に着手したものであります。黒部川第四発電所通称黒四の計画は、黒部川上流御前沢に高さ百八十六メートル、堤長五百二十六メートル、世界第二のアーチダムを築き、二億トンの水をたくわえ、下流十キロの発電所に導き、二十五万八千キロワットの電力を得るもので、その総工事費三百七十億円、工期六カ年を要するもので、特にその満水位標高は千四百四十八メートルの高所にあり、黒部川水系既設分二十三万六千七百キロワットに上下流新設改良を加えて、約七十万キロワットになるものであります。なお特に冬季減水期においても十五万キロワットの下流増が見込まれるのであります。黒四の特徴は、一、御前沢ダム地質は花崗岩で岩質良好のためアーチの型式がとれ、ダムコンクリート量が百六十万立方メートルで済むこと、二、人跡未踏の地で補償問題が少い反面に、資材運搬のための大町ルート黒部ルートの開さくが容易でないこと、三、発電所中部山岳国立公園の風景を傷つけないためと、雪害防止と適当な平地を確保することが困難なため、全地下式としたこと等があげられます。  現場はまだようやく大町ルート隧道部五・五キロのうち一部三・五キロが開通したところで、そのうち約八十メートルの軟弱破砕帯の漏水がはなはだしく、一応処理したもののなお隧道内は水浸しで通行している状態であります。ダムケーブルクレーンの基礎掘さくが行われている段階であり、骨材運搬も着々準備されており、なおダム——発電所間のトンネル十キロ、すなわち黒部ルートは明年三月までに開通する予定であります。  次に有峰ダムは、当初富山県が県営電気の一環として大正十二年調査を始め、昭和十一年に堤高百十メートルの計画準備工事に着手したものでありますが、昭和十七年日発に継承、昭和十八年コンクリート打設量約二〇%で工事中止となり、二十六年北陸電力に引き継がれた後、昭和三十年九月現在の計画工事再開されたものであります。現在の計画は、常願寺川支流和田猫巾に高さ百四十メートル、堤長約五百メートルのコンクリート重力式ダムを築造、延長約七キロの導水路により和田川第一、第二発電所に導き、十四万九千キロワットの発電をするもので、あわせて下流既設発電所電力量の増加をはかるものであります。その所要資金は三百三十億円。現在ダムコンクリートは総量百五十四万立米中、既設十三万八千立米を差し引いたものの約三〇%四十一万立米が打ち込まれておりました。この有峰ダム特徴は、河川勾配が急で雨量豊富なことや、貯水池標高が千八十五メートルの高所にあること等は黒四と同様でありますが、その他盆地にある関係土砂の埋没が少く、その有効貯水量一億七千五百万立米は黒四よりも大きいものであります。このほか水没補償問題が少く、特に貯水池及びその周辺用地は全部県事業当時に買収済みで、補償問題ではまれに見る恵まれた個所であります。  次に電発御母衣ダムは、庄川上流白川村に高さ百三十一メートル、堤長四百五メートルのロックフィルダムを築き、ダム直下九十メートルの地下発電所を設け、延長約九キロの放流路により下流鳩ケ谷調整池に放水し、最大出力二十一万五千キロワットを得るほか、下流既設発電所電力量を増加するものであります。その総工事費三百七十億円で、昭和三十一年四月着工完成は三十六年になる見込みであります。御母衣ダム特徴は、そのダムサイトが花崗斑岩及び石英斑岩で、普通の重力式ダム圧力に耐えないこと、及び付近に良質の粘土質の土と石が得られることから、ロックフィルダムとしたことでありまして、この堰堤高及び体積も世界有数のものであります。堤高百三十一メートルに対し、敷幅は約五百メートルで、ダム現場は、普通に見られるケーブルクレーンコンクリート打設設備もなく広々といたしております。この工事の生命は土及び石の採取運搬にあって、ビイサイラス社製四・五立方メートルの電気ショベルは、一台約一億三千万円もするものであり、また材料運搬道路は幅員十五メートルのみごとな道路で、常にグレーダーで路面を維持し、その上にダンプカーを時速四、五十キロのスピードで飛ばしております。現場は特に土質遮水壁の施工に意を用い、十五センチメートルの層で転圧を行なっており、また溢流を許さないダムでありますから、洪水吐きには暗渠と開渠の二重の措置がとられております。地下発電所も、地質関係圧力隧道を避けたためであり、約二百メートルを徒歩で下りましたが、その大きさは高さ四十三メートル、長さ七十七メートル、幅二十二メートルの大きなものであります。水没補償は、三百四十戸のうち七十戸が未解決であります。  以上三つのダムは、いずれも日本の建設事業としても大工事であります。これらはいずれも河川上流部に大貯水池を作るもので、その大きな貯水容量により、洪水時の無効放流は全くなくなる計画であって、下流洪水調節にとっても非常に有効なものでありますから、河川管理立場より洪水時の運用には、遺憾のないよう措置することを要望いたしておきます。  また黒部川下流の用水は近時砂の流入が多く、用水路を埋め水口を閉ざし、これの原因が黒四工事土砂黒部川に流すことにあるとして、地元では相当大きな問題となっているようであります。私どもの見たところでは、現在はかなり計画的に土石の処理ができているように思われましたが、一方、黒部川は以前から上流渓谷の崩壊により、流砂も相当にあったといわれておりますので、この原因につき実情調査することを要求いたしておきます。それと同時に、準備工事のときはどの工事でもかなり多量に土石河川に流すようでありますから、河川管理者立場より十分に監督指導するよう建設省当局に注意いたしておきます。  次に治水事業につきましては、直轄改修工事としては黒部川常願寺川を見ましたが、いずれも三〇%ないし四〇%の進捗率で、毎年の予算を見ても今後三十年から四十年を要するものであり、ことに本年度予算が一割減となっているのは理解に苦しむところでありまして、次年度には考慮されんことを要望いたします。  砂防工事につきましては、黒部川常願寺川とも全国屈指急流荒廃河川であって、砂防事業必要性を痛感いたしたのでございますが、黒部川には早期実施の強い要望もございます。また常願寺川は、そのため大正十五年に直轄事業として立山砂防工事事務所が設置されたのでありますが、その現場は、富山より富山地方鉄道にて約三十キロの終点千寿ヶ原から、さらに危険きわまる工事用専用軌道十六キロを経て、これまた最も危険な資材運搬用ケーブルにやむなく乗らなければならない所にございます。これら絶壁の上を走る軌道や千仭の谷を渡るケーブルは、これを利用しなくては現場へ行くことができず、やむなく便乗しているのであるが、職員山間僻地で危険をも顧みず、別居、合宿生活等不便を克服して砂防事業に営々として精励しております。そしてこれがこの四月から政令に基く特殊勤務手当の最下位の三種に一部格づけされたのでありますが、これは当然第一種に格づけされるべきものであります。前述の電気事業の大ダム建設現場では、最近は相当厚生施設が設けられ、生活用品供給所映画会開催等、いかに職員労務者等厚生管理に意を用いているかがうかがえるのでありますが、砂防工事はそれらにもまして重要な仕事であり、さらに僻地仕事が多いのであります。第一線職員が働かなければ事業は進みません。砂防事務所の若い所長は、第一線職員の不満が事業に及ぼす影響を最も心配しているのであります。これらの点を考え、この問題は早急に解決されることを望むものであります。  次に道路事業につきましては、一級国道八号線の冨山以東改良促進、二級国道百五十五号線の一級昇格等陳情がありましたが、これについては道路審議会での善処を望むものであります。  次に有料道路につきましては、立山登山道路では、自衛隊への委託工事が行われておりましたが、地理的にも離れている所でありますので、一応問題からは除外しておきます。愛岐道路では前年度災害をちょうど実施いたしておりましたが、一般道路と違い、有料道路では被害後直ちに応急復旧をし、その後早急に本工事措置をとるべきであります。また資材路面に放置されてありましたが、これらには当然標識を置くべきで、有料道路では特に安全なサービスに努めることを忘れてはなりません。濃美大橋はわれわれがとまりました約半時間の間、自動車は全然通らず自転車だけで、料金の収入状況月最高二百三十万円、最近の平均がようやく二百万円ということで、事業費五億三千余万円に対し、これではとうてい償還の見通しはむずかしいのではないかと思われ、今後名神道路との関連もあり、どのように措置するのかお聞きしたいと思っています。  その他富山海岸侵蝕対策事業魚津火災復興事業ほか種々の陳情を承わって参りましたが、あまり長くなりますので、私から直接担当部局にお話しいたしますが、委員各位には、持ち帰りました資料によってごらんいただきたいと存じます。  最後に岐阜県、特に飛騨地方を襲った七月二十四、五日の豪雨災害につきましては、岐阜県のみにても十数億からの被害がありまして、私が参りました節も、地元ではぜひ見てもらいたいとのことでありましたが、予定された日程ではどうしても回ることができず、かなりひどい被害の事情だけを聞いてきたのであります。  以上で第一班の報告を終ります。
  5. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 御苦労さまでした。   —————————————
  6. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 次に、十一号台風並びに近畿地方を襲った豪雨による被害状況について、山本河川局長から説明を聴取することといたします。
  7. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 台風十一号及び七月二十四日から二十七日におきまする豪雨災害状況につきましては、お手元に資料を差し上げておりますが、概略を御説明申し上げます。  本年は六月までには比較的災害が少なかったのでありますけれども、七月の初めに島根県、広島県等に豪雨災害がございました。その後御承知のように七月の二十三日に台風十一号が本土に上陸いたしまして、中部関東東北地方に、この表でごらんいただきますように、総額にいたしまして、公共土木施設災害が三十四億円に上りまする災害の発生を見たわけでございます。中でも静岡東京、栃木、茨城の各県におきまして甚大なる災害をこうむっておる次第であります。またこれに引き続きまして七月の下旬の降雨によりまして東北中部、先ほど御説明のございました岐阜県、石川県等が含まれておりますが、それから関東近畿等地方に約五十六億円に達する災害が起りました。また山形岐阜石川新潟、長野、秋田の諸県は、局地的ではありましたけれども、それらのうちで特に非常な大災害が発生しておるわけでございます。  建設省におきましては、この事態にかんがみまして、災害の発生いたしました直後に査定官被害の非常に大きくありました静岡県、それから東京都、山形県、新潟県、石川県、岐阜県及び福井県に派遣いたしまして、現地調査並びに緊急復旧工事の指導に当らした次第でございます。  なお、復旧予備金をすぐ必要とするというような状況でございますので、六月中には緊急査定をすでに完了いたしました。これは台風十一号の前の分でございますが、北海道、新潟富山島根広島の五道県につきましては予備費を支出するように、大蔵省目下折衝中でございます。  それから台風十一号及び七月下旬の降雨によりまして激甚な災害を受けました新潟ほか十県でございますが、これらにつきましては、目下順次緊急査定実施中でございまして、今月中には完了する予定でございますので、これが完了いたしますれば、すみやかに大蔵省と折衝いたしまして、早急に予備金の支出を考えたいというふうに考えております。  なお、全体の本年の災害がどの程度であったかという点でございますが、過去四年間の現在までの被害額大体七月末までの被害報告額を比較いたしますると、二十九年の災害が百七十五億円、それから三十年の災害が百二十三億円、三十一年の災害は一番少くございまして七十二億円、三十二年災が百六十四億円、三十二年は九州の災害がすでに七月大きなのが発生しておりますので、大きくなっておりまして百六十四億円でございます。これに対しまして本年の三十三年災害は百二十六億円でありまして、最近五カ年の災害の中では平均をやや下回る程度災害であるという程度でございます。  その他この表に書いてございますように、各県別災害額あるいは被害の中心がどの辺であったか、あるいはおもなる被害河川及び道路等状況、それから雨量並びに水位等状況につきましては、表についてございますので、これらをごらんいただきたいと思います。  特に東京都の江東地区におきましては、災害額といたしましては、土木災害といたしましては少かったのでございますが、亀戸付近の浸水によりまして相当一般被害を生じておるような状況でございます。  直轄災害等につきましても、台風十一号及びその後の豪雨によりまする被害額を一表に、表の中に掲げてございますので、御承知をいただきたいと思います。これでごらんいただきますように、今回の今までの分につきましては、直轄河川等におきましては幸いに破堤等のことはございませんでしたけれども、中小河川等におきまして相当被害を受けた。さらに水源地帯相当な雨が降りましたために山くずれ、あるいは川の堆積土砂等が非常に増加いたしまして、これらに対しましては緊急砂防等をぜひ必要とするという分でございますので、災害復旧費と同時に緊急砂防を査定いたしまして、これらもできるだけ早く施行いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが、御報告を終りたいと思います。
  8. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 本件につき、御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  9. 田中一

    田中一君 そこで岐阜等はずいぶんやかましく国会から来てくれと言っているのです。これもむろん希望するところは大きく問題に取り上げられて、早く復旧させてくれということと、それからことに焼岳ですか、焼岳の裏の方の砂防工事が長年懸案のものがようやく着工に入るといっているその機会に、今度の豪雨に見舞われてめちゃめちゃになっている。だれも入ってくれぬけれども、一ぺん見てくれというようなことを言っているのです。今七尾の方、石川県の方の陳情も伺いましたけれども、前年度から見れば多少下回っているというような説明があるけれども、これはどういう見解を持っているか、国会との関係ですよ。
  10. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 石川県につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、災害査定官を派遣いたしますし、また私の方といたしましては砂防関係も地すべりの関係もございますので、砂防課から係員が参りまして、現地を見ております。それから岐阜県につきましては、私実は三十一日の夜から参りまして行ける所だけは参ったわけでございますけれども、砂防の急所はなかなか道路が行けないで私は行けなかったのでございます。しかし一昨日も全部を向うの砂防課長が見ましてこちらに報告に参りました。従いましてこちらからすぐ近い機会にやりまして砂防課長も参りますし、また係のものも参りまして、手分けしてそれを見て早急処置をしたいというふうに考えております。  なお、先生が今おっしゃったように砂防をやったものは非常に効果があったわけでございまして、やりかけておるのは非常に必要であるからやりかけたわけですが、それが完成をしておれば非常に災害が助かったというような点が非常に多いわけでございまして、この地方につきまして砂防必要性を非常に痛感しておるわけでございますので、早く現地で具体的な方針をきめまして処置したいというふうに考えております。  それから衆議院の方は堀川委員長以下参られまして、これも砂防等現場へはおそらく災害直後でございましたので行けなかったと思いますが、現在になりますと、ある程度幹線が開通いたしましたし、それから遠回りをすれば平湯の方へ行かれるというような報告にはなっております。ですから私の方の係官が行けなかったのは仕方がないとして、大体行けるのを待っておったわけでございまして、至急やりたいと思っております。
  11. 坂本昭

    坂本昭君 二十八国会のときに水防法の改正が行われたが、今度の二つの災害で、改正したことがきわめて有効適切であったというような事例がありますか。
  12. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 今度の災害におきましては各地が相当水防をやっております。  それから切れたような所に緊急な締め切り分がございますが、東京あたりでも今度の中川が切れましたのは、もうほとんど毎日水防に類する潮が来るわけでございますので、ほとんど毎日水を対象にして締め切りをやっておるような状況でございまして、その地方の方々が水防というものには非常に認識を持ちまして、相当活発な活動をしてくれております。  それから水源地帯の分は水防をやりましてもすぐ水が来るものですから、なかなか役に立たなかった分がございますけれども、堤防の欠けるのを、進行をとめるというようなところに対しましては、今度私の行きました岐阜県の山の中におきましても、相当水防をやりまして、それで下呂あたりでは宿屋の下まで欠けてきたのを、水防によりまして欠けどめをやりまして危うくとめたというような例もたくさん見ております。従いまして水防の思想は非常に普及して参りまして、その効果相当あげられたというふうに考えております。いずれこれにつきましては、どのくらい水防をやってどういうふうな効果を発揮した、というような資料は取りたいと考えております。
  13. 内村清次

    内村清次君 十一号の台風は、これは近来私たちが覚えておりまするケースからしますと、静岡、神奈川県、東京は別として山陰地方に対して、また裏日本地方に対しては、まれな台風ではなかったかとこう思うわけです。まあいわば毎年九州地方は常襲地帯としてやられておったわけですから、こういう点で何か建設省といたしましてはたまに来る台風被害に対して、これが参考になるような事態があったのではないかと思いますが、あるいはまた、これは率直に言って川床が非常に上っておる、あるいは地すべり個所の選定に遺漏があったりというふうな点も見受けられるようなことがありはしなかったか、こういう点につきましてはどうでございますか。
  14. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 先ほども石川県から御報告がございましたように、今度の台風は、もちろん静岡あるいは東京等には被害は及ぼしましたけれども、それに関連いたしまして不連続線が発生したために、北陸あるいは岐阜あるいは山形等に被害が起ったわけでございますが、今度の雨の降り方は一つの県に全般的に降るというようなことがなかったのでございますけれども、局地的には非常に強い雨が降りまして、従いまして、全般的にある程度の雨が降ると大きな川がやられますけれども、局地的に非常に強い雨が降りますと、その降った所にあります小ちゃい河川が非常にやられる。そういう傾向が非常に強かったわけでございます。従いまして、先ほど石川県から御報告がございましたように、一番大きな川であります直轄河川の手取川には、非常に大きな出水もあったけれども、切れるようなことはなかった。しかし中小の河川におきましては、非常にここに書いてございますように、大部分の川がやられておる。それは局地的に雨が降りますと、大きな川だと下の方にいきますと消されていきますけれども、小ちゃい川はそのまま受けますからやられる。従いまして私どもも災害の根源を断つには、こういうふうな川を取り上げてやっていかなければならぬ。特に災害を受けたようなものは改良工事を一緒にやってしまって、またやられることのないようにということをやらなければならぬ。これはもちろん砂防河川と両方一緒にやらなければ、川底を一ぺん改修しても、川底がすぐ上ってしまうということでは困る。それを特に考えまして、今までも多少やっておりましたけれども、来年度からはそういう点を特に力を入れてやりたいというふうに考えております。
  15. 田中一

    田中一君 そうしますと、河川砂防を一緒にやると言ったってできっこないのだからね。とにかく今度山を歩いて、ずい分歩いてみて痛感するのは、渓流砂防なり、農林省が行なっている中腹砂防をやっておる所は被害はあまりない。一緒にと言ったってなかなかできっこないのだからさ、本年度予算はどうなっておるか、来年度は十分に砂防費を取って、多少とも農林省の範囲に入り込む場合があってもやむを得んと思うのだ。そこで各発電所ダムを作っておる所は全然といっていいくらい被害がない。そこであなたの方の建設省河川局の事務当局だけではどうにもならぬ面が多いのじゃないかと思うのですね。僕はそう思うのだけれども、これは一つ砂防事業というものを、でき上ったものを見に行っているけれども、実際に極端な災害に会ったというような所で、砂防施設があればこんなことにはならないのだというような所は、これは当然見るべきだと思うのですよ。そこでもしも衆議院の諸君もそこまでの現場へは全然行っていないらしい。そこまでの現場に行くということにするなら、今度の災害が一つの機会なんですね。どことどこが一番重要であり、モデル・ケースとしてまず元を防ぐというか、そういう地点はどことどこを考えられますか。
  16. 山本三郎

    説明員山本三郎君) やはり岐阜及び長野でございますね、まとまってごらんになるということになりますと。それにまあ石川あたり石川はちょっと範囲が広くなりまして、方々に山がございまして、小ちゃい川がたくさんございます。一番まとまったところはまあアルプスの東側と西側という所でございます。それに次ぎますものはいわゆる山形等でございますけれども、これは山形におきましては鳥海の麓の方は、砂防をやった所は非常に効果がある。それから最上川中流あたり、あるいは例の新庄あたりでございますね、あの辺のやつは砂防がなかったために非常にやられたというような対照的なものがあるわけでございますけれども、ちょっと距離的にあれいたしますから、やはり今回今までの分をまとまってごらんいただくならば、飛騨と信州の西側という点が、一番ごらんいただくのにはいいと思います。
  17. 田中一

    田中一君 私はまあ大体今まで参議院の視察とか調査というやつは、でき上ったものを見に行っているけれども、実際に災害地には、特に院議できめた大災害のときには特別に派遣して行っております。そういう形で今度行って見るべきだというような議論も一致しているのじゃないかと思うのです。そのかわり簡単に行けないから、相当な大へんな労力を払わなければ行けない、車なんか行けっこないのだから、下手したらもう何時間も歩いて行かざるを得ないということになると思います。その点は委員長どう考えております。
  18. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 私の考えはしろうと考えのようですけれども、大体主務官庁が主になって、従来災害克服のために何十年もやっておられるわけですけれども、ちょっと異常な雨が降るとすぐ引っかかるのが日本の災害だ、日本の災害は少し平均を超えたアブノーマルな状態になると、どこか引っかかる。電線が切れるとか鉄道がやられるか、寸断されるとか、こういうようなところをもっと研究してもらって、われわれももちろん委員会にも専門家がおりますし、熱心な方も多いですけれども、官庁の方でもう少し念を入れて、真剣に考えてもらったら、もっといい案が出るのじゃないか。もちろん予算関係もあって従来から苦心しておられるということも想像できますけれども、相当災害防止のためには、日本のこの状態を考えるときに、もっと真剣に考えなくちゃならぬ。官庁自身もそういうような気持にならなければいかんのじゃないか。少し悪口を申しますと、怠慢な点があるのじゃないかというような気もするのであります。今回のああいうような局地的な災害についても、相当教えられるところがあるのじゃないか。ところがそれのポイントとなるようないい場所があるならば、われわれも参加して皆で検討したいというような気持はするのであります。予算関係もありますからそういうようなわれわれの活動ができるかどうかわかりませんけれども、皆さんと御相談の上適当な所、モデルケースを見たいと思うのであります。
  19. 坂本昭

    坂本昭君 今の委員長の御発言に関連して、実は委員会調査について、これは委員会だけではありません、国会議員の海外派遣だとか調査について、世上多くの批判があるのです。実際この間私も予算委員会で四国の方へ行きましたけれども、受け入れ態勢の方がややもすれば、やはり国会議員の何といいますか、大名視察といいますか、そういった面が若干あります。私はこれはわれわれの心がまえが悪いからだと思うのです。ただいま委員長も指摘せられ、また田中委員も指摘せられた通り、でき上ったものを大名視察をするというようなことがわれわれの任務じゃないと思うのです。むしろそういう点では調査あたりで視察の内容をよく検討して、ほんとうに役に立つような視察をやっていただきたい。もちろん年令の点や体力の点やいろいろな点で、そう無理なことばかりわれわれ要求せられても、それはできない面もあります。しかし行ったことが何か国政にプラスになるような調査実施するということは、今後各委員会、少くとも建設委員会においては、率先してぜひおきめいただきたい。そういう点では委員長の発言に私は大賛成でございます。
  20. 内村清次

    内村清次君 先ほど田中君の砂防の問題と関連いたしまして、山本さんにちょっとお尋ねしたいのです。昨年でしたか、井芹川、坪井川の水害によって熊本の松尾付近がだいぶやられた。当時建設委員会でも視察をしたい、どこが一体いいかというような田中君の発言のときに、建設大臣も、それではまあ九州の方に行かれるならば一つあそこも見てもらいたいというような話もあったわけです。たまたま私は郷里の問題でもございますので、当時向うに行きまして視察をしたわけですが、あの相当被害でこれは死者もあるし、特にまた家屋の倒壊等も相当ひどかったわけで、近来にない惨たんたる情勢が発生しておったわけですが、あの付近に松尾川及びまた近津川というのがあるのです。そこには農林省関係ダムが一つある、このダムだけではどうも住民の不安というのを取り除くことができない、当時もそのダムもむしろ決して益にならずに害になったような状態だった。というのはやはり山腹の谷間にもう二つぐらい砂防工事を、ダムを一つ作ってもらいたいというのが専門的な、また住民の非常な気持であったと、こういうのです。そこでたまたまあと災害状態の視察かあるいは査定のために、大蔵省の方の係の人が来た、専門家かどうか知りませんけれども、大蔵省の人たちがこれはもう二つ、三つあの山腹にはやはり砂防が必要だ、こういうことを言っていったというのです。だからなおなお住民の人たちはそれを希望して、そして市の方に陳情に行くということだけれども、市の方は、そこは町村合併で市に吸収した町村であるために、あの機構の中にも専門的な砂防課というようなものもない、県の方にはもちろんあるでしょう。県の方に意思が十分反映しないというようなことで、住民の人たちも非常に困っておったようでありますが、最近は市の方にも砂防関係、地すべり関係の課もありますから、そういう係も作ったということは聞いておりますけれども、当時私も建設省砂防課の方にも、この問題は耳には入れておったつもりでございますけれども、これはやはり一応あなた方も関心を持っていただきまして、ことしはああいうような水害もなかったのでございますけれども、住民はいつも不安を感じておりますから、やはり専門的な立場から一つ県をして調査させてみたいというような手段をとって、できれば一つ来年度あたりにはそういった具体的な設計がなされていきますように、私は希望したいと思うのです。どうかすると、やはりもう災害がないとそのままほったらかしておる、住民の方はいつもそれが寝ても忘れられないというようなことでは、私たちは災害の防止というのはできないのじゃないかと思っておりますから、その点一つ気をつけていただきたいと思います。
  21. 田中一

    田中一君 それで山本君、君らの力が弱いというのじゃないのだけれども、砂防というものも長い間政策として置き去りにされる点が多々あるのだな。というのは山の中には有権者があまりおらぬということと、災害があっても下流の方が災害がうんとひどいだろうけれども、その方の陳情には一生懸命予算を流すという気持が国会議員の中には割合ある。政党内閣であるものだからついそのおつき合いの方に予算が流れていく傾きがあるので、ずいぶん長い間砂防問題については、われわれの先輩である赤木君なんか一生懸命やっておったけれども、徐々には現状を認識して伸びておるけれども、今度のこの異常降雨というか、これはもう何もことしに限ったことではない、去年もおととしもずっと続いておった。そうしてなお砂防予算というものが大して伸びを示さないということは、やはりそうした政治的なものと、国会のわれわれの関心というものが君らが要求しているものにバック・アップするような形にならなかったということが多かったのではないかと思う。どうかして、今度の問題を一つの機縁として、参議院の建設委員会の同僚の意思というものが、もとから調べてみようとか実際を見てみるということになるならば、君の方でどういう委員会に対する要求意見としてぜひ見てほしい、というような機運がなければ国会ではなかなか思うようにならぬのです、一応今までの先例があるのだから。そこで実際にもう予算の編成期にもなるし……。三十一年度と三十二年度砂防費の増はどのくらいになっていますか。
  22. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは内幕的なことでございますが、先生のおっしゃる通り、やはり砂防予算というものは大蔵省から査定の内容が参りまして、それを復活するときには、やはり個々別々に何々川をふやすというようなことは話にはなるのでございますが、砂防というものは何々川というようなことでクローズ・アップする場合が少い。それでございますからわれわれも非常に苦労いたしまして、災害予算のきまるときに、まとまってとってきたのを入れて、できるだけ砂防を伸ばそうというようなのが実情でございます。それで一番私が心配いたしておりますのは、はっきり被害が起きたのは緊急砂防をやるなりすることができますけれども、これから起きそうな所、たとえば私極端に申し上げますと、阿蘇山に二十八年に大崩壊があった、崩壊した所はしばらくは実は安全なんです。ところがこれから崩壊しそうな所へ何か手当をしなければならぬというのが一番重要なことだと私は考えております。そこまで手が回らない。崩壊して川の中にたまっていって、下流の方に流れそうな所を見るといかにも危険でございますから、それに対して手を打つことはおわかりいただける。ところがこの山が今度は降雨がくると非常に崩壊をしそうである、というところまでのなかなか認識がいただけない。それをやっておれば災害を未然に防止することができるわけであります。  それからもう一つは、岐阜あたりでは川底が山になっておりまして高くなっている。付近のたんぼよりも高くなってしまう。それを災害で全部掘るということはできない。そういう所に対してはどうしても山の方で土砂をとめてもらって補給をとめてもらう。そうすれば、今度私ども行って見まするに、雨が降って相当洪水が出た、そのあとでも絶えず水が流れますとこまかい土砂下流へ流れてくる。上からの補給をとめてしまえば川底がうんと下る。そうしてもとの川の近くまでいけると思う。そうして砂防でその際に断ち切ってもらう、上の方からの補給の土砂を。こういうことが必要なんです。それを緊急砂防ということでやっておりますが、その金が既定予算で三億あるのです。これを去年初めて予備金をそれにつけてもらったのです。三億を四億にしてもらった、これは今までになかった処置です。去年の大水害でああいうふうな山くずれが九州の方にございまして、それで予備金に初めて一億余りつけてもらった、緊急砂防に。緊急砂防で一年間やって、来年はもう普通の砂防費で引続きやっていこう、というのがこれからの考え方でございまして、その年のうちに早くやればどんどんやはり川底が下るのであります。そして自然の力で下の方は下る。ただ補給がきては困るからそれをとめてもらえばいい、というような所を一つごらんいただければ、早く処置するにはそういう点が非常にいいのでございます。
  23. 田中一

    田中一君 三十二年度と三十三年度予算は全体の砂防予算としてはどのくらい出ているのか。
  24. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは地すべりを含めまして約二%でございますね。五十億あまりでございますから一億ちょっと伸びている、こういうことでございます。
  25. 田中一

    田中一君 これは委員長から諮ってもらわなければならぬけれども、どうでしょう、こいつは一ぺん困難があっても委員会からその現場を見るということにして、まあ各派話し合って議運に要求して臨時の緊急な視察をしたらどうでしょうね。
  26. 上林忠次

    委員長上林忠次君) いやけっこうだと思いますがね。私も先ほど申しましたように官庁がどういう工合にこれまで調査して、どういう工合なところまでやらにゃいかぬというような、まあ真意と申しますか、予定を持っているのか。ただ予算がないばかりにある予算で間に合わしている。年々天然災害と人工復旧とが競争しつつある。こういうようなところが外国にあるのですか。私は官庁の方ではよく調査されていると思いますけれども、私は何事にもこの日本の産業界でもあらゆる事業におきまして、日本の仕事はまずよそを見たらいいじゃないか。従来やはりわれわれの見方が小さいので国のことばかり考えておる。しかも予算の範囲内でやっている。切り詰めた予算で窮屈なことをやっている。そこに不経済が相当あるので、わかりながらそういうことを続けておる日本のような、こういうような国があるのかないのか。あるならどういうことをやっているのか。まねていいものがあれば、まずまねを。それに対する予算がなかったなら、一つみんなで御尽力願いまして予算を取っていく。急速に国の復旧をしなきゃいかんじゃないか。永久的な措置をとらねばいかんじゃないか。数年間少々苦しんでもやらんきゃならぬ。今の道路建設のように、砂防におきましてもやったらいいじゃないか。いつかやらんならぬことを何かずるずる毎年過ごしているなら、いつかやることを思い切ってやったらいいんじゃないか。夢のようなことになるけれども、官庁としては感づいていても実行できないということを繰り返しておる。どうぞ今回のこの試練を受けまして、直ちにわれわれが見に行きまして、役に立つようなところがあるなら、一つ指摘してもらいたいと思うのです。予算の点もありますが予算はまあ、……速記をとめて。   〔速記中止〕
  27. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 速記をつけて。
  28. 内村清次

    内村清次君 河川局長と、これは計画局長管轄ですか、特に下水道、それから区画整理の問題、これと関連いたしておりますが、それは今の白川の改修工事ですね、この経緯につきまして、まず簡単に御説明願いたいと思うんですが、どうですか。
  29. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 白川につきましては、二十八年の災害にかんがみまして、至急その後調査をいたしまして、計画を決定しておるわけでございますが、その内容は、河川といたしましては熊本市を含めて、下流地帯を直轄工事でやる。そして河川下流の方には屈曲しておる所がございます。それらをまっすぐにいたしまして、疎通能力をふやすということと、また市内におきましては現在の川幅では非常に足りないものですから、その川幅を広げまして、川幅を広げると同時に、両岸には堤防を作りますが、水が越しても切れないようなコンクリートの堤防にしようということにいたしまして、川幅にいたしましても、あるいは川幅を広げるに際しまして、用地幅をなるべく少くしようというふうな計画でやっております。直轄改修といたしましては、例の子飼橋のちょっと上までを直轄対象でやる。それから上流につきましては、もちろん砂防工事を進めるということにいたしておりまして、最近までに下流部の屈曲個所の一部改修と、それから治水上支障になりまする橋梁等を、災害復旧と一緒に合併施行いたしましてこれをかけかえをしておる。それから熊本市の中におきましては、区画整理と一緒になりまして、用地幅を確保しようということで、本年から具体的な問題に入ろうということで、河川改修といたしましては若干の用地費を計上しておる次第でございます。
  30. 内村清次

    内村清次君 この問題は、熊本市また県といたしましても、あの二十六年度災害以来、一番重要な懸案であるし、また今度の治水上にも画期的な問題です。そこで私たちがときどき帰りますと、どうもやはり進捗状態があまりはかばかしくないというような風説を聞くわけですけれども、私たちは直接ここで、河川局その他が非常な熱意を持っておられることは、よく存じておりますし、予算の獲得につきましても、まあ大きい金額じゃないけれども、大体全体的な観点から見て非常に努力しておられることは十分知っているわけです。むしろ私たちの受け入れ態勢の問題につきましても、これはまあ両面的に市、県に対してはやはりむしろ受け入れ態勢を整備しなさいというようなことを助言しているのですが、問題はその住民の心理です。と申しますのは、先ほどあなたのお言葉にもありましたように、川幅を広げるというそのことで、特にこの川幅を広げるのは熊本市の中心街です。この住居移転の問題で相当最近風説が流布されまして、部分的に問題化しているような様相も聞くわけです。というのは、移転先がはっきりしない、区画整理というものが非常に遅々として進んでおらない。こういう点にあるようですね。問題はまだ一部にはそう川幅ばかり広げぬでもいいじゃないか、川底をもう少しほすといいじゃないか、基本計画を変えたらどうかというような論議も一部ありますけれども、これは何としましても直轄である以上、あなた方の計画によって工事が進められておりますからして、その基本的な問題を変えるというわけには私はいかぬと思うのです。問題は、区画整理がどうも伴って進捗しておらない、というところに非常にこの住民の関心がひどいようです。そこで先般大蔵省の係に行ってみますと、大蔵省は全く無理解である、この問題についてですね。しかも住民の心理を抹殺しまして、川を広げるのだ、そうしてまた災害をこれで防除してやるのだ、こういうところによって住民は犠牲になるというような、極言すればそういうような言辞を吐くのですね。だからして移転先というような問題はもうみじんもない。あるいは強制的に土地を収用して、工事施行面積だけは確保していく。そのためには予算も見てやるけれども、その他の区画整理に対する予算というものは見てやらないというような暴言を吐くのですが、あなた方の御心理はどうですか、この点に関しては。
  31. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 私どもといたしましても、あれだけの大きな移転をやるわけでございますから、ぜひそういうふうな方策を考えないと、大量の移転をするのでございますので、不可能に近いのじゃないかと思っております。それから実際問題といたしましても、前には、江戸川でそういう宝珠花なんて所で区画整理をいたしまして、移転をうまくやった。それから、最近の長崎県の諫早市の本明川の場合におきましても、そういうような方法をとっております。従いまして、熊本につきましても、ぜひそういうふうな方策をとってもらいたいということを私どもは望んでいるわけでございまして、大蔵省にも私どもからその話を直接いたしますし、また主管であります計画局の方からもその点を強く実情をお話ししまして、要望をしてもらっているわけであります。ぜひそういう方向に持っていきまして順序正しく移転ができて、しかも改修もできるし、町も整理されるというような方法をぜひ私どもとしては望んでいるわけであります。今後もそれに努力したいというつもりであります。
  32. 内村清次

    内村清次君 それでむしろこれは河川局の方は災害関係にひっかけて幾らか予算でもやろうというのですが、これは主管といたしましては計画局がこの土地整理の問題はやっているのでしょう、区画整理の問題は。
  33. 國宗正義

    説明員國宗正義君) はあ。
  34. 内村清次

    内村清次君 区画整理としては十分、河川局とはもちろんですが、むしろ今おんぶされているような形ですが、大蔵省との御折衝はどうですか。
  35. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 熊本市内の都市の改造なり区画整理につきましては、計画局としましては、昨年来予算を要求いたしているところでございますが、未だつかないのでございますが、白川の直轄の改修に伴いまして、熊本市自身もこのあたりの地区につきましては区画整理を行わなくちゃならないとわれわれは考えているところでございますし、特に改修に伴う移転者のための解決手段としても、これは区画整理を行う必要ありといたしまして、これを都市改造という事業で行いますことが一番理想でございますが、なかなか折衝がそこまで参りませんので、白川地区の土地区画整理事業として昨年度予算を要求いたしたのでございますが、残念ながらつかなかったところでございます。  大体この地区施行面積としましては四十万坪を考えておりまして、事業費といたしましても五億以上を計算されるわけでございます。でございますから、河川改修の事業から二億余りをこの区画整理事業に入れていただきまして、あと街路築造等の費用が入りますれば、県あるいは市が施行いたしましても、地元で負担すべきものは四分の一程度になりまして、実施可能だとわれわれは考えるところでございまして、来年度予算においては是非強力に要求したいと考えておる次第でございます。
  36. 内村清次

    内村清次君 そこで大蔵省の直接あなた方と折衝しておられまする直接の係官の考え方が、先ほど言いましたように、非常に住民に対しての関心が冷淡ですよ。そのために大蔵省は、あなた方の正当な要求に対してもどうも耳をかさないという感じを私たちは受けたわけです。この点はあなたがたの方では自信を持って来年は——先ほども言われるように、この問題が解決しないと、私たちは基本計画というものは成り立たぬのじゃないか、特にまた直接この増幅の問題と取り組んでおりまする住民の不安というものは解消しないのじゃないかと、こう考えておるのですが、この点の御自信はどうですか。
  37. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 御指摘の心配はわれわれも実はいたしておるところでございますが、区画整理事業あるいは都市改造事業に対する補助の問題は、大蔵省としましては、特にこの熊本市だけについて冷淡であるとか、熱心であるという問題じゃなくして、全国的に申しまして、われわれ建設省として非常に熱心に推進したいと思います。  都市改造事業につきましては、非常に消極的な態度をとっておるわけでございますが、われわれどうしても戦災復興というのを十年近くやって参りまして、さらに残った事業につきましては、どうしても都市改造事業ということで積極的に進めていきたいと思っておるところでございます。  なおこの白川地区の土地区画整理事業につきましては、先ほども申し上げましたように、河川改修を支障なく進めていく上に役立つとも考えますので、ぜひ実現に努力いたしたいと思っております。
  38. 内村清次

    内村清次君 じゃこの問題も先ほどの砂防の問題とあわせまして、どうも大蔵省の考え方が——まあ法律一点ばりというわけでもないですよ、法律に固執した感情的な予算の非常な冷淡な配賦を考えておりますから、これは一つこの委員会として取り上げて、大蔵省を一つ納得させていただきたいと、まあ私たちは考えるわけです。というのは、まあ御承知のごとく、あすこはもう泥海とまでなったですな。白川というあの水害の背景の問題で、今もう住民はもう相当やはり騒いでおるのですよ。これが移転先もきまらない、区画整理も進捗しないということでは、どうしてもこの問題の改修というものは捗らない。だからしてもうすでに六年以上になりますけれどもね、予算の問題につきましても、まあ十分ではないというようなことで、もうこの水害時期、台風時期になってくると、きょうきょうとしておりますから、この点は一つ十分委員長の方でも考えをしていただきたいということが第一点です。  それと、これは先年でしたか、井芹川、それから坪井川というあの小河川がはんらんしまして、やはりここも市内一帯で相当被害をこうむっておるわけです。で、本年度はまだその上流及び下流に対しての手当が十分でありませんから、非常に心配しておったのですが、先ほど申しましたように、台風の通過よりも九州地方はむしろ旱害というような問題が発生して水で騒いでおるようですが、これが一つの大きな原因は、やはりああいったおくれた都市になりますると下水道の完備というのがなされておらないのですな。それで鋭意やはり近代都市としての様相を整えていくためには下水道をやりたいという行政面の熱意があるわけですね。しかし何としても下水道の予算が少い。私はこの前の下水道法改正の場合のときには、十分下水道予算はとってありますかということについて、課長さんも説明されたようですが、局長さんにも念を押したわけですけれども、予算が少い、しかも自治庁の起債も思うように十分でないというようなこともありますし、それからいま一つは、下水道法案の法律の中にありますように、まあ下水道によって及ぼす住民大衆からもやはり料金をとれという点もありましょうが、これはやはりまだ直ちに施設をやるから料金はこれくらいにとるのだ、ということを言っても住民の方はピンときませんね。それである程度の下水道の利便というものを住民に認識させる、そのためには、幾らか市行政におきましても県行政におきましても、やはり一応施行面を一般予算の中からでも余計に出して、そうして施行していくという点を見せなくちゃいかないわけですな。それが全然国の補助も少い、起債も十分でない、こういうような状態では、私たちはあわせて、これは公衆衛生の問題はとにかくといたしまして、井芹川、それから坪井川のはんらんによって、この原因というものはここにも十分重要性を持っておりますから、これが解消しないと私たちは考えておるのですが、どうですか、この点は。
  39. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) 下水道事業につきましては、財源としましては先生のおっしゃる通り全部を対象にすることは無理だとわれわれは思っておるのであります。それで、やはりある程度の国費は出していただかなければいかぬ、われわれも大蔵省と折衝しておるわけでございます。従来非常に国費が少いものですから、自然各都市に分けるのに少くなってきておるわけであります。これは昨年十カ年計画を立てまして、この方針に沿って予算、国費をふやしてもらうように努力しておるわけであります。幸い三十三年度におきましては国費は大して伸びなかったのでありますが、起債の面におきましては三十二年度の約二倍ばかりふえておるわけであります。もちろんこれだけでは十分でありませんので、三十四年度におきましては、さらにこれをもっと飛躍して国費も出してもらい、また起債も増してもらうというように努力しておるわけであります。今施行個所が百二十二カ所ばかりあるわけでありますが、それに対して国費が六億五千、こういうようなはなはだ分けるのに苦労するというような低額のものですから、なかなか事業が執行しにくい、こういうことになるわけであります。この点につきましては、十分われわれも努力いたしまして、国費の増額なり起債の増額に努めたいと考えております。
  40. 内村清次

    内村清次君 これはあなた方の予算を配賦されるときに、どうも少し片寄っているんじゃないかと思うんですよ。というのは、これは公衆衛生の面からもいいますると、熊本は、何としても赤痢の非常な有名な土地でしょう、暑い関係もありましょうが、この点はまた別な厚生省関係その他の公衆衛生の面からも予防措置というものは考えられますけれども、やはり一つの原因としましては、やはり下水道の問題も加わる、蚊が多いんですね。これはこの間鹿児島宮崎あたりに行ってみますと、熊本もそうですが非常に多い。こういう所はやはり一応下水道の問題からもきているんですよ。だから、私たちは、あなた方の予算配賦の状況を見てみると、大都市に偏重しておりはしないか、これは既設工事施行がなされておれば、これを継続するということは、これはあなた方としてはお考えになっているだろうと思いますけれども、新たにそういった意欲があるところの都市に対しましても何らかやはり予算の面も考えて、やはり平均した伸び方を考えていく必要はないだろうか、私たちは九州一帯を回りましてそう感じてきたわけですが、その点に対してはどうお考えですか。
  41. 岩井四郎

    説明員(岩井四郎君) われわれとしましては、決してそういうふうに片寄るというわけではないのでありますが、継続箇所が多くて新規が少いものですから、新規になりますと自然着工してますと二、三年はそういう傾向になるわけであります。その点はそういう偏重の何はないのでありますが、特に今後注意いたしまして実情に沿うように努力いたしたいと思います。   —————————————
  42. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 次に住宅問題に関する件を議題に供します。
  43. 田中一

    田中一君 二週間くらいの前の新聞だと思うけれども、建設大臣は、低家賃の住宅を三十四年度は必ず実現すると言っている、千円以下の家賃の家を作るということを新聞等に発表しておりますけれども、おそらく三十四年度予算の編成期に当って相当考慮されていると思うんですけれども、一応建設省の方で考えておられる三十四年度の住宅予算に関する考え方をこの際に御説明願いたい。
  44. 鬼丸勝之

    説明員(鬼丸勝之君) お答えいたします。三十四年度の住宅対策の予算の問題につきましては、まだ具体的に特に数字的に今検討中でございますので、確定的なことを申し上げかねますが、大体階層の程度で考え方を述べたいと思います。ただいま田中先生からお話のありました低額所得者に対する問題も含めまして、特に従来住宅供給の面で、住宅難世帯の収入階層別分布状況を検討いたしてみますと、御指摘のような、特に低額所得者、すなわち生活困窮者あるいはそれに近い低額所得者の住宅難世帯に対しまして、供給の手がうすいという傾向が見られるのであります。  もう一つは二万円から三万円足らずの中堅階層につきましても、住宅供給の供給力が薄いという傾向を示しておりますので、この辺に住宅供給を大いに強化して参りたいと考えております。特にいわゆる生活困窮者に近いボーダー・ライン階層と申しますか、この住宅難世帯につきましては、来年度におきまして補助率も再検討いたしましたり、あるいは事業主体の負担額の分の利回り等も無利子あるいはごく低位に利回りを計算いたしまして、その結果おおむね千円程度の住宅を供給するように目下いろいろ案を練っておるような次第であります。これは来年度はさしあたり大都市を中心に特別なる住宅供給をいたして参りたい、これが第一でございます。  そのほかにもう一つ大きな点は、やはり宅地の対策の問題でございまして、この宅地対策といたしましては、一つは中高層なりあるいは公団でやっておりまする市街地施設、この関係予算をできるだけ大幅に増額したい、そのことによりまして都市の市街地の高度利用をはかっていくとともに、あわせて不燃化を推進して参りたいと考えておる次第であります。  もう一つは、公営住宅あるいは住宅金融公庫の融資にかかる住宅、また住宅公団の住宅の建設用地としての宅地を、御承知のようにだんだんこれが取得難に陥っております最近の傾向にかんがみまして、これの次年度以降用地の確保をはかるために、住宅金融公庫におきまして、また住宅公団におきましてそれぞれの資金措置を行いたい、こういうふうに考えております。  大きな点は以上の二つと申しますか、大きく分けまして二つのことに重点を置いて考えているような次第でございます。
  45. 田中一

    田中一君 むろんまだ省内の決定をみないものでありましょうけれども、それで次の委員会までに大体の考え方を資料で一つお出し願いたいと思うのです。むろん鳩山内閣以来住宅問題には相当力を入れているように国民は期待しております。しかし実際は大した伸びを示しておらないのです。三十三年度道路整備五カ年計画ということでいたし、そうすると住宅問題というものは影をひそめてしまうというような現状でありまして、三十四年度は一体何を建設省はうたい文句としてくるのか。もう普遍的に住宅問題というものは国民全体を対象とするものであって、当委員会としても再三その問題について苦心をしておりますが、あなたの方だけで力が足りないものは当委員会としても十分お世話しなければならぬと思いますから、一つ資料としてお出し願いたいと思います。
  46. 鬼丸勝之

    説明員(鬼丸勝之君) 次の委員会までには、建設省といたしましてまとまりました範囲で資料として、対策の要綱なりあるいは関係の案を提出さしていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
  47. 田中一

    田中一君 それから、前回の委員会で伺っておきました建築基準を持っている特定行政庁の違反等の問題については、どういう措置をしたか。ことに先だって住宅局長の方に差し上げた資料によると、静岡県の産業会館等の問題もございます。それらがどういう措置をしたか、経過を一つ報告を願いたいと思うのです。
  48. 鬼丸勝之

    説明員(鬼丸勝之君) 先般、田中委員から御指摘のありました、特定行政庁である市が、建築基準法違反の問題を犯したということにつきましては、この事例にかんがみまして、早速都道府県知事あてとそれから特定行政庁たる市長あてに通達をいたしまして、今後かかる違反の事態の生じませんように、未然にこれを防止することにつきまして、十分指導監督の徹底をはかるように警告いたした次第でございます。  なおその後、ただいま御指摘の静岡市の産業会館の建設に関しまして、違反のおそれのある事実が生じましたことはまことに遺憾でございまするが、私どもの方で調査いたしました結果、これは七月四日に静岡市から確認の申請が出ておりましたが、県におきまして調査の結果、その敷地の一部が廃道敷で、また市有地として確認していないこと、あるいは用途地域を防火地域としての前提において設計をいたしておるというようなこと、にもかかわらず防火地域になっていないというような向きがありましたので、県は確認をいたしておりません。そこで建設省といたしましては、現場を具体的に調べました結果、まだ土地の権利関係がはっきりしない以上は、今のような現在考えておられるような設計では確認できないということを、これをはっきり申しまして、準備行為もある程度進めておりました、板囲いをして整地をするというような程度の準備行為をしておりましたが、これ以上着工と見られるような工事をすることは控えるように厳重に県を通じて警告いたしておりまするので、現状におきましては別に確認を要する工事に着手してはおらないわけでございます。今後土地の権利関係が逐次はっきりいたしましたならば、正当な権限のある敷地におきましてはさらに設計を再検討させまして、用途地域に適用するものを出させまして、それぞれの所要の手続を済ませるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  49. 上林忠次

    委員長上林忠次君) この件につきましての質疑は、これで終ったと存じまして次に移ります。   —————————————
  50. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 建設業法における問題に関する件を議題にいたします。  御質疑をお願いいたします。
  51. 田中一

    田中一君 建設業法の改正については業界からもいろいろ陳情があるように聞いております。そこで審議会等でもいろいろ問題になっていると思いますけれども、むろんこれは法律改正を必要とするものであろうと思いますので、どういう問題点が審議会の議題になっているか、それらがどういう審議をされておるか、また調査をされておるかという点について委員会報告願いたいと思います。
  52. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) ただいまお尋ねがございました、建設業法の改正並びにそれに関連いたします建設業の中央審議会等で審議中の事項について、御報告を申し上げます。  かねて建設業の登録制度につきまして、さらに再検討いたしまして改正をすべきであるという議がございまして、これは数年前から建設省といたしましてもいろいろと考えており、中央建設審議会に諮問中でございました。その後建設業界の中で非常に過当競争が起って参っておるというような事態がございまして、今日でもこの過当競争がなくなったと申し上げるわけには参りませんが、そういう事態がございまして、あらためてこの問題が検討されましたので、建設省としては、ただいまこの建設業の登録制度をめぐる問題につきまして中央建設審議会に諮問中でございます。中央建設審議会におきましては、この問題のために昨年来特に小委員会を設けまして審議をいたしておる。非常に熱心に審議をいたしておりまして、何回も小委員会を開催いたしまして、この五月の二十六日に一応この法制小委員会の中間報告審議会長に報告があったようなわけでございます。その内容といたしましては、どういう点が問題になっており、どういうようなまあ審議会の審議の模様であるかという点でございますが、まずこの建設業法によりますと、建設業者の登録制度というものがあるけれども、これは非常に簡単な手続でできるようになり過ぎてやしないか、非常にしろうとのようなものが簡単な手続で、われもわれもと建設業者に加わるというような事態が、ことに戦後非常に多く出ておる。そのために業界が非常な過当競争に陥っていくというような弊もあるし、それは業界の都合だけでなくて、工事というものを適正に弊害なくやっていく上からいって、もう少し登録の資格要件というものを強化したらどうかという議があるのであります。これが根本の問題として審議されているわけでございますが、これをめぐりまして、これを建設業界のうちの大勢としては、許可制にまで持っていってもらいたいというような、これが要望として出ておるわけでございますし、この審議会の中におきましても、いわゆる全国建設業協会といったような、いわゆる総合建設業者の団体といたしましては、許可制を希望しているというような状況でございます。審議会といたしましては、これを検討いたしまして、許可制というよりも、建設業者の現在の登録制というものが非常に簡単に過ぎて、それで今申し上げたような弊害があるということはもちろん認められるのであって、これをもう少し強化する必要があるということは認めております。ただその強化する方針を、業界の過当競争を抑制するという見地から、あまりに強くしていくということは、これは慎重に考えるべき問題であるということを反面非常に、学識経験者等もおりまして、そういう意見を強く述べておるのでありまして、従ってこれを強化するとしても、まあ現在の登録制の資格要件をもう少し加重いたしまして参るくらいのところが適当であろう、こういうような結論を出しているのであります。そういたしましてその範囲につきましても、下請業者から職別業者まで一挙にそういう加重をするという必要は認められないので、やはり適正な工事を契約をし、それから下請におろしたり職別を総合いたしたりする総合建設業者の範囲において、資格要件を加重して参ったらどうか。従ってその結論として推し進めますと、現在の一本建の建設業法の登録制度を二本建に改めまして、総合建設業という範疇を法律の表に出して参りまして、総合建設業の登録制度と、それ以外の登録制度の二本建にいたしまして、この一番、適正工事とかあるいは取引の安全等に関係の深い総合建設業について、まず資格要件を強化するというような方向へ進んだらどうかというのが、大体この審議会の中間報告に出ておるところの現在までの結論でございます。  そうしてその資格要件を、次にはどの程度に強化すべきであるかという具体論になりますと、これはなかなか審議会でも、議論が出て参りましたけれども、建設業界の実態を把握する資本なり資金の能力、あるいは工事施工量なり、従来の実績というような点につきまして十分実態を把握して参りませんと、現在大体きわめて簡単な制限で営業いたしておりますものにつきまして、非常に過酷な結果を招来をしてはいけない。こういうことから業界の各業者の実態調査を十分進めた上で慎重に当るべきであるということになっておりまして、その登録要件につきまして、該当するような資産でございますとか、過去におきまする工事量でありますとか、そういったようなものをこの審議会といたしましても要望いたしまして、建設省並びに建設業の団体が現在実態調査をやっております。この実態調査ができ上りました上で、あらためてその資格要件の加重の具体的な審議に入ろうということになっております。  なおあわせて、総合建設業と一口に申しますけれども、この範囲を明確にしなければやはり無登録の禁止というととが起りますので、この点につきましても審議会は大事をとりまして、まだ大体総合建設業の登録制が適当であろうということは申しております。その範囲はさらに今後検討いたしたいというような結論を出しておるような状況でございます。
  53. 田中一

    田中一君 現在建設省で入札をしておる工事のうち、公入札をしておるものはどの程度のものがどのくらいございますか。
  54. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 大部分が指名競争入札によっておりまして、一般競争入札はほとんどしていないという状況でございます。
  55. 田中一

    田中一君 私は、現在各地建等でやっておるもの、それから各関係発注官庁で実施をしておる工事の契約形式というものは、公入札制度というものはとっておらないというように理解をしておるんです。原則はむろん会計法によって公入札を建前にしておりますけれども、実態は指名競争入札、指名入札制度が採用されておると思うのです。そういたしますと、今言う簡単な手続で業者になれる資格が取れるということと、実際の施行をするというこの実態とは、過当競争との関連において何ら理由にならないというような解釈が一つあるわけです。ということは、何人、業者がふえようとも、指名という選択権というものは発注者が持っておるということです。従って、業者が多いということは、簡単に登録して業者になれるということと過当競争という問題とは、おのずから、によって過当競争になるという理由にはならぬと思うのです。これが一つ。  もう一つは、資本あるいは経歴というもので二本建にしようという考え方も、今日の自由主義的な資本主義の経済機構の中においては、これもはなはだ不可思議なことなんです。やはり資本は、たとえば日立製作所、百億の会社が土建関係建設業の登録を取れば、それを百億という資本に認めようとするのか、あるいは経歴というものも、件数なり金額が低いというものをだんだん積み重ねて大きくなるのが経歴なんです。そういうものが一挙に指名されるというような機会をも、公入札ならいざ知らず、機会をも失うということになるのは、これは憲法違反ではないかという気もするわけなんです。職業選択の自由というこの原則を制約されるのではないかというような見方もあるのじゃないかと思うのです。建設省としては、長年の問題ですから、過当競争をなくそうと、むろん私は過当競争は賛成できません。なぜかと申しますと、そういうものは必ず物件にしわ寄せされるのです。今まで過当競争があっても大きな業者はつぶれた例がない。小さな業者はどんどんつぶれています。従って、小さい業者をつぶすために過当競争が行われるというのも一つの理由になると同時に、大きな業者はまるまる損をしても、全体の年間の工事量からいえば大したもんじゃないという見方も立つわけなんですよ。そうすると、弱い業者はいつまでたっても日の目を見ないというようなことに追いやられるということもいえると思うのですよ。それで過当競争を抑止するための二つの段階を持とうという登録制ならば、これはもう一ぺん考慮しなければならぬ点があるのじゃないかと思うのです。翻って、過当競争という問題を抑止しよう、抑制しようというならば、かつて前国会でこれは時間切れになりまして、参議院で再回付の審議ができなくて流産に終った会計法の一部改正案がございます。こういう法律に対しても、これは大蔵省は各省とも話し合いの上で出た法律案だと思いますけれども、この法律に対してはどういう見解を現在官房長持っておるか、伺いたいと思うのですが。
  56. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 前段の過当競争も抑制ということに出発するならば、この建設業制度の改正はよほど慎重に当らなければならないという大体お説、承わりましたが、これはまことにごもっともでございまして、私どももその点はよほど慎重に考えるべき問題であるというふうに考えております。これは一般競争入札、指名競争入札、随意契約たるとを問わず、また公共工事たると民間の工事たるとを問わず、やはり建設業を営む者に仕事をさせた結果、適正な工事ができないというような公共の影響がどれだけあるか、あるいは取引の安全をどういうふうに脅かすおそれがあるかといったような、憲法から見て公共の福祉に合致する最低限度の要請が、登録制の条件になって参るべきであろうと思います。その点が問題だということで、この審議会を中心に検討するという意見が、相当多数を占めておるわけでございます。業界の方々はまあ過当競争ということを非常に心配しておられます。これもまた建設業界が全体として大部分がまあ中小企業であるという考え方に立つ場合に、そういうことをあわせて要望されることももっともであると思いますが、要は過当競争の抑制ということだけでこの問題を処理する、ということは非常に危険である、という御見解につきましては同様に考えておりまして、慎重に取り扱いたいというように考えておりますし、審議会の現在の審議の経過も、そのただいまお話のありましたようなことは十分意見が出ておりまして、憲法の保障する営業の自由と公共の福祉との調整という見地から割り出して、この点を考えていかなければならないということが、結論として出ておるようなわけでございます。  それから後段に、あわせまして、そういうような見地から、いわゆるダンピング防止の最低入札制度の問題につきましても、お尋ねがございましたが、これは先般来政府といたしましてもその必要を認めまして、会計法の一部改正という形で——これが会計法という形でございますので、大蔵省でございますが、法案が出ておったわけでございますが、遺憾ながら、継続審査になっておりましたのが二十八国会の最後に国会の解散で廃案になっておりますが、私どもといたしましては、やはり同じ見解を持っておりまして、このような法案が再び提出されて成立することを期待いたしておるようなわけでございます。ただその衝にありますものが大蔵省でございまして、大蔵省といたしましても、これは国の契約に属する問題であるので会計法規の形でいきたいと、しかもさらに根本的に検討をして契約法規を改めることを今検討中であるので、その中に織り込んで参りたいというような見解であるやに聞いております。それから建設業界といたしましても、適正に工事をするということと、公共工事の適正をはかるということと、ダンピングの防止というような見地から、業界の大勢はやはりこれを望んでおるというふうに申し上げて差しつかえないかと考えております。
  57. 田中一

    田中一君 そういたしますと、解散で流産になった会計法の一部改正は、そうした趣旨に対しては政府は賛成である、建設省は賛成である、従って若干の契約、約款等の全体のものを含めた改正案を現在政府として——政府というのは大きな政府ですよ、慎重検討中である、次国会にはそれは出るような傾向でありますか。
  58. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 契約法規の改訂ということで、大蔵省が検討中であるということは聞いておりますが、その研究の結果が次国会に間に合うように準備されているかどうかはまだ確認しておりません。建設省といたしましてはどのような形にいたしましても、そういうものができ上ることは適当であろうというふうに前も考えておりましたが、今日も考えておる次第でございます。
  59. 田中一

    田中一君 前々回の委員会だと思いますけれども、お伺いした例のアメリカ人が、在日米軍の請負的な行為をやっておる、そうして下請として日本の業者を使って施行さしているというようなことを、調査して当局に報告していただくようにお願いいたしましたが、その後どうなっておりますか。
  60. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 先回の委員会田中委員からお話がございました、青森県の米第五空軍基地におきまして、米人が入札して落札をいたしまして、これは建設業法の登録を受けておらないということで、調査中である旨を御答弁申し上げたのでございますが、それはちょうどそれが起って私どもがそういう事実を承知いたしまして調査中であったときのお答えでございました。その後、調査中でありましたものを明確にいたしまして、現在外務省の方に話しまして、日米合同委員会においてこれを処理するようにお願いをいたしてございます。  ざっと経過を申し上げますと、この前申し上げましたようなことは、調査の結果、これは米軍についての調査の結果ではございませんが、大体事実であるということが判明いたしたわけでございます。これは岩手県の当局をして個々の人につきましては調査を命じたわけでございます。そこで、そういう事実が明らかになりましたので、これは日米行政協定の点から見ても、こういうような競争入札で米軍基地の工事をやらす場合におきましても、建設業の登録を受けておらない米人を参加させるということは、国内法から見て違反であるので改めてもらわなければならないという見地から、七月の三十日に、建設省から外務省に公文書といたしまして、米軍当局にそういう申し入れをしてもらって、自今無登録業者と契約しないように処置してもらいたいという申し入れをいたしました。その後、外務省におきましても、これは日米合同委員会の問題として善処するようにいたしたいということを聞いておる次第でございます。
  61. 田中一

    田中一君 その下請との関係はどういうように理解をしておるんですか。むろん、これは業者でない米人だから、一括まる投げというような形式ではないというように理解して認めておるんですか。
  62. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 調査の結果では、今申し上げましたことのほかに、一括下請の関係では、この米人、ベーズと申しますが、ベーズという人自身が設計監督を担当しているということがわかりましたのであります。で、ベーズは全く何もしないで下にやらしているということではなくて、これはまあアメリカ等の慣習でこういうのが多いと思うんですが、設計監督をいたしまして、そうして、そのもとに機械の提供あるいは労務の提供について日本の会社を使っておる。こういう形になっておりますので、建設業法の一括下請禁止の趣旨から申しますと、これは設計監督を行う場合には、一括下請をしておるということは申しにくいのでございまして、これはまあ該当しない。とにかく登録を受けない者がそういうことをやっておるということは違法である、こういう見解で進んでおる次第でございます。
  63. 田中一

    田中一君 もう一点ですが、自衛隊が公共事業の請負施行をやっておるという事実は、全国にたくさんございます。そこで、次の委員会まででけっこうですが、各都道府県市町村に御調査を願って、自衛隊と都道府県市町村がどういう契約でどういう種類の工事を請負契約をしておるか、そういう実態を一つ御調査願って当委員会報告願いたい。もし当委員会報告願えなければ、私個人でもかまいませんけれども、報告願いたいと思います。なるべく早くそれを出していただきたい、全国的な集計をしていただいて。それに対して、むろんこれは法律にあることはありますから、これは別に建設大臣がとやかく言うべきではないと思いますけれども、相当数のものを都道府県市町村並びに政府に準ずる機関、たとえば道路公団なり等がございますそういうようなものの工事も、実態をお調べになって報告願いたいと思います。
  64. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 各県別にどの程度にあるかという資料程度は現在ございますが、今お話のありましたのは、具体的にどういう工事をどこで委託をしておるかというような調べでございますので……。
  65. 田中一

    田中一君 契約内容もわかれば、標準契約ですね。
  66. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) すぐ調査いたしまして、お話のように御提出申し上げたいと思います。
  67. 田中一

    田中一君 今言う通り、都道府県市町村だけでなく、政府に準ずる機関ですね、それらのものもあわせて報告願いたいと思います。
  68. 柴田達夫

    説明員(柴田達夫君) 承知いたしました。
  69. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 速記を止めて下さい。    午後零時五十五分速記中止    ————・————    午後一時十五分速記開始
  70. 上林忠次

    委員長上林忠次君) 速記を始めて下さい。  本日の委員会は、これをもって終りといたします。    午後一時十六分散会