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1958-09-25 第29回国会 参議院 決算委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年九月二十五日(木曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員杉原荒太君、白井勇君、井上 清一君、高野一夫君、大倉精一君、大 矢正君及び藤田藤太郎辞任につき、 その補欠として、高橋進太郎君、横山 フク君、木内四郎君、秋山俊一郎君、 湯山勇君、阿部竹松君及び相澤重明君 を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小西 英雄君    理事            仲原 善一君            西岡 ハル君            平島 敏夫君            相澤 重明君    委員            秋山俊一郎君            勝俣  稔君            木内 四郎君            高橋進太郎君            本多 市郎君            横山 フク君            阿部 竹松君            湯山  勇君            竹中 恒夫君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    農林政務次官  高橋  衛君    農林省農地局長 伊東 正義君    農林省農地局建    設部長     清野  保君    食糧庁長官   渡部 伍良君    林野庁長官   山崎  斉君    会計検査院事務    総局第四局長  石渡 達夫君   参考人    愛知用水公団総    裁       浜口 雄彦君    愛知用水公団理    事       伊藤  佐君    愛知用水公団理    事       櫻井 志郎君    愛知用水公団工    務部長     白木  稔君   —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠互選昭和三十一年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十一年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和三十一年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和三十一年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 小西英雄

    委員長小西英雄君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を報告申し上げます。  本日、大倉精一君、大矢正君、藤田藤太郎君、杉原荒太君、白井勇君、井上清一君、高野一夫君の辞任に伴いまして湯山勇君、阿部竹松君、相澤重明君、高橋進太郎君、横山フク君、木内四郎君、秋山俊一郎君が補欠として選任されました。  以上御報告いたします。   —————————————
  3. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 次に理事互選を行いたいと存じます。九月十一日西岡ハル君が委員を一時辞任されたため、理事の欠員を生じております。従来の慣例もあり、理事互選委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 異議ないと認めます西岡君の補欠として西岡ハル君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算、及び昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十一年度政府関係機関決算書を議題といたします。  昨日に引き続いて農林省のうち食糧庁関係及び林野庁関係の審議をいたします。  午後は愛知用水公団関係を審議する予定であります。  本件に関して御出席の方は、石渡会計検査院第四局長山崎林野庁長官渡部食糧庁長官家治食糧庁経理部長諫山食糧庁業務第一部長の諸君であります。  御質疑の方は順次発言を願います
  6. 岩間正男

    岩間正男君 きのうに引き続いて食糧庁にお伺いいたしたいと思います。八百五十八号の問題についてきのうも質問があったわけですが、古麻袋売り渡しはどういう方法でやっておるのですか。この説明書によりますと兵庫県ほか四十五食糧事務所売り渡しておると、こうなっておるのですが、これは統制しておるのですか、値段は。たとえばここにあげられているように、統制価格で古麻袋を全部売っているのですか。それから売るについてどういう方法をとっておるのか、入札なんでしょうか、この点この内容をちょっとお伺いしたい。
  7. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) この当時といたしましては、輸入米麦食糧庁売り渡します場合に、これはおおむねバラできますから、配給業者あるいは製粉精麦業者に渡すときには、これを売り渡す際に中身幾ら、それに袋代その麻袋価格幾らということで渡しておったのであります
  8. 岩間正男

    岩間正男君 これは全国統一されているのですか、この値段農林省で何か公定した値段をきめてそれを業者に渡す、こういうような方法をやっておるわけですか。
  9. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 農林省できめて全国で統一しまして麻袋種類別価格をきめております
  10. 岩間正男

    岩間正男君 これの買い取りの業者はどういうふうになっておるのですか。入札か何かでやるようになるのか、これは値段はきまっているのだが、それについてどういうふうな指定業者があってそれに渡すという形になっておるのか、その点四十五都道府県ですから、しかし数量は莫大なものですね、三千百万枚をこえているというようなことですから、一県平均にみましてもこれは七十万枚とか膨大なものになるわけです。これについてこの業者はどういうふうになっておりますか。各県でも違うだろうけれども、農林省食糧庁の方でつかんでいるやり方、これについて話していただきたい。
  11. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは食糧庁先ほども申し上げましたように、バラできたものを麻袋と中味とを一緒に渡す、ということで配給業者製粉精麦業者売り渡します。そうするとそのまま中身を売りまして麻袋があくわけです。この麻袋があいたことを私の方では麻袋が発生したと言っておりますが、そこから麻袋修理業者あるいは麻袋の仲買人に売り渡されますと、集荷されましたその麻袋修理、選別されました上で、輸入食糧商社と契約がある麻袋調達業者に売り渡される、こういうことになっております。この修理業者地区別麻袋組合がありまして、これは修理業者の団体であります、それぞれ修理をして選別してその麻袋種類は非常にたくさんございまして、麻袋の何といいます品質程度規格をきめておるのであります。甲上、甲、乙、丙、丁というような品質程度によって規格をきめまして、その規格別価格農林省がきめる、こういうことになっておるのであります
  12. 岩間正男

    岩間正男君 結局、何ですか、取引関係製粉精麦業者食糧庁関係になるわけですか。あと操作の仕方については何かやはり食糧庁の方で関係を持っておるわけですか。つまり今言いましたように一括してだれか大きな業者に渡す、麻袋組合があるという何ですが、これは製粉精麦業者ということになりますと県なら県でそういう大きな取引先があるわけですね。そういう所を通じてこれは食糧庁の方は関係を持つのか、その取引関係が不明瞭なんですが、どういう仕組みになっているのかこの点御答弁願いたい。
  13. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは現在と三十一年当時とちょっと違うのですが……
  14. 岩間正男

    岩間正男君 三十一年について話して、また現在についても話していただきたい。
  15. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 大体三十一年当時は先ほども申し上げましたように修理されたものの規格別値段をきめまして、その規格別値段麻袋に入れた価格製粉業者精麦業者に売り渡す、こういうことであります。その売り渡すときの価格がある一定の時期の見込みできめますから、そのつどきめるというわけにいきませんので、御指摘がありましたように麻袋需給関係麻袋値上りがあって、安過ぎたりする、こういう関係があるわけであります。現在は食糧庁輸入商社から袋入り価格で買いまして、そしてこれを包装込み価格で売り渡すということにしているわけです。その際に私どもでは麻袋価格は大体どのぐらい見込めばいい、それからバラの輸入価格はどのくらい見込めばいいということで、私の方の入札見込価格をきめて、その内輪の計算をしているわけです。前は麻袋価格幾らということで出しておったのですが、今は大体麻袋がこのくらい、食糧仕入れ価格がこのくらいだからこのくらいを標準にしておけば、それによって落札価格をきめればいいではないか、こういうことになっているわけです。その場合米麦輸入販売業者精麦製粉業者中身を売りますから、麻袋ができてくる。それは先ほども申し上げましたように修理工場地区組合を通じまして麻袋集荷会社が三社ございます。それはそれぞれの輸入商社系統別に作っておるわけであります。それから輸入商社が買いまして、先ほど申し上げましたように袋込みのもので政府が買い上げる、こういうことにしております。ただ食糧庁がサイロを持っている場合があります。このときには政府売り渡しますから、その場合にはやはりかます価格政府がきめるということが必要になってくるわけであります。これは非常にわずかであります
  16. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、この当時は食糧庁とそれから製粉精麦業者の間に麻袋取引を実際やっておった。現在はまあこれは輸入商社とそれから食糧庁関係になってきているわけですね、そうでしょうね、麻袋は。そうすると、そういうふうに変更した理由があったと思うのです。どういうことでこうなったのですか。もと制度で工合が悪いということで変ったと思うのですが、どういうわけですか。
  17. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは会計検査院で御指摘がありますように、麻袋の使用は食糧用だけでありますから、こちらで予定価格を作りましても必ずしもその予定価格の通りゆきません。従って見込みが高いとか安いとかいうことになりまして困りますから、麻袋中身を別々の売り渡しということでなしに、実際は麻袋込み価格で売り渡すのですが、計算はこのうち麻袋分幾ら中身分幾ら、こういう計算をしておるのです。そういうことでなしに、結局麻袋込み入札にすれば、今の麻袋及び中身価格はそのときの相場できめられる、実情に合う、こういうふうに考えたわけでございます。  そこで今の麻袋だけの関係としては、食糧輸入会社食糧庁の間に麻袋だけの関係としては出てこないわけであります、これは麻袋込みのものを買って、それをまた売るわけでありますから。前はそれを麻袋中身を分けておったというところが違うのであります
  18. 岩間正男

    岩間正男君 その制度が変ったことについてもわれわれは意見があるわけです。今、麻袋とそれから中身込みにしてやるのだから、麻袋はあまりもとのような問題ではないというようなお話でございましたが、これは全体のコスト計算をやるときに、そのうち麻袋はどのくらいかという見当を食糧庁で持っていなければ、全体の価格の決定もされない。麻袋価格の問題はやはり依然として食糧庁では調査をし、その実態をつかむということをやらなければ、これは大へん高いものをつかまされて、それが実際は全体の価格の中にぶち込まれるかもわからない。ですから依然としてその研究は必要と思うのですが、そういう点では一応今までの形とは違ったということになっているけれども、むしろそういう直接関係しないということで、こういうものは商社の言いなりになりやすいという危険があるし、こういうところにいろいろな問題が発生しかねないのですから、この点は私はもっともっと研究すべきだと思う。  その問題を別として、今お話があった全国集荷会社が三社あるというのですが、これは全国的に農林省が公認でもして、そうしてそういうような三社というものがほとんど独占的にやっているわけですか。どこどこです、その三社というのは。
  19. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) この麻袋会社東京資材株式会社協同組合麻袋株式会社瑞穂資材株式会社、こういうことになっております。これは輸入食糧商社のそれぞれの系列でできておるのでありまして、現在は先ほど来御説明申し上げますように、麻袋それ自身として食糧庁が直接タッチしておりませんから、食糧庁がこれを公認するとかしないとかいう問題はございません。それぞれの集荷の便利なように会社ができておる、こういうふうにお考え願いたいと思います
  20. 岩間正男

    岩間正男君 この問題にもどりますが、どうも私たちわからないのですが、売り渡し価格はここでわかりますが、買い入れ価格は当時どのくらいだったのですか、当時の何はわかりませんか。
  21. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは三十一年二月一日に決定いたしたものでありますが、買い入れの場合にはまだ修理ができておりませんから、修理、選別して売り渡すようになっておりません。従って買い入れの場合には大型A、B、小型A、B、こういう四つの種類買い入れておりますが、大型Aが八十九円、Bが七十円、小型Aが六十三円、Bが五十四円、こういうふうになっております。これは輸入食糧買い入れの場合の見積り価格であります。今度は売り渡しの場合の麻袋価格大型甲が六十四円、乙が四十五円、丙が三十九円、小型甲が四十五円、乙が三十五円、丙が三十二円であります
  22. 岩間正男

    岩間正男君 これは大体ここに書いてある数字だけでも三千万枚をこえるわけですね。そうすると、この買い入れ売り渡し差額、これはどのくらいにつかんでおりますか。これは統計的に出ているのですか、相当莫大なものと思うのですが。
  23. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 大体この開きが大型小型平均しまして二十五円くらいになると思います。そうしますと、今の三千万枚ということになると、六億ないし七億ぐらいの麻袋の何といいますか、差損というかロスが出てくると思います
  24. 岩間正男

    岩間正男君 麻袋に米を入れてそうして渡すわけでしょう、業者に。その間のつまり摩擦損耗というものは今の二十五円ということで計算になるわけですか、そうですか。買い取っても運搬してちゃんとそれを処分するときは、これは業者責任でしょう、どうなんですか。まあ配給してからにあけるまでの責任は、つまり食糧庁が負っていたわけですか、今まで。どういうことになるのですか。
  25. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは結局いい麻袋で詰めてそこであけますね。そうすると一定の格差でまた還元さすわけです。それを何回か繰り返していくうちにだんだんだんだん悪くなっていくわけです。その開きが二十五円ですと六億ないし七億ですね。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 これは全部やはりコストに入っておるわけですか。
  27. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは当然コストに入っております
  28. 岩間正男

    岩間正男君 それでまた今度は業者に渡して、それをまた修繕さして買うということで、絶えず損耗開き食糧庁で払っていったというやり方なんですね。その中で発生した問題ですね、今問題になっておるのは。もっと高く売れたのを、そうしてその後値上げがあったにもかかわらずそれをそうしなかった、このために約一億二千万円の損害があった。こういう点なんですが、この問題もっと私たち考えてみるに、これはやはり業者売り渡してまた買い上げるという方式をとらなければだめだったのかどうか。つまり食糧庁修理を命ずるということで、それをまた回収するということになれば、ここのところでこれは業者に売ってまた買うということによっての今の利潤というやつは、これは見なくてもいいということになってくると思う。それはかりにその数は幾分みたにしたって非常に私は安くいったのではないかと考えるのです。なぜこれを売ってそうしてそれをちょっと修理して、中には修理をほとんど必要としないのもあったのじゃないかと思うのですが、その間のやはりこれは修理費とも見られるのが約二十五円、一袋について二十五円ずつの分担をして総額七億以上にわたるような負担をして、そうしてそこのところをやっていかなくちゃならなかったのか。どう考えてもそこのところはやはり修理会社のようなもの、そういうところに渡して、そうして実費に近い金で修理をさせるということにすれば、これはもっと安くいったのじゃないか。こういうふうに明らかに考えられる、しろうとが考えてみても考えられると思う。ことに消費者の立場になれば、どうも大名仕事である、大名商売じゃないかという感じがするのですが、から麻袋幾らととにかく売るそのときの価格については、どうも十分な検討がなされていない。それからいろいろ市価変動があるのだが、そういうものについてのいろいろな操作をするという方法でもない。一ぺんきめると、それでもって売り込む。そういうことで今度はちょっと手を入れてまた買い取る、そこに非常にやはり商取引になってきますから、当然これは相当な金利の問題も出るだろうし、マージンの問題も当然発生するのですから、私はこういうことは、今のような方式でもっとこれがきちんとされたとしたら、こういうもののもっと損害が少くても済むのじゃないか。それだけやはり生産者負担は少くなる、こういうふうに考えられるのですが、明らかに。なぜしかしこのような殿様商売をやっておったのか、この食糧庁のやはりやり方の中にこの問題が……、単に私は一つの麻袋の問題だけを取り上げたのですけれども、どうも全般的にそういうところがあるのじゃないか。こういうふうに考えるのですが、こういう点については食糧庁長官はどういう見解を持っていますか。
  29. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 当時の状況といたしましては、やはり包装資材が必ずしも潤沢でなかったわけであります。これをかますに入れるとか俵に入れるとかいうわけにはいかないので、やはり輸入食糧麻袋がいい、麻袋を潤沢にするのには新麻袋輸入しなければならない。そういう関係がございまして、その後は新麻袋輸入もやりまして、全体としての需給のバランスについても、食糧用麻袋だけじゃなしにとりますし、また買い方につきましても、先ほど説明いたしましたように、現在は麻袋だけを特別に取り上げて食糧庁がタッチするということはやめまして、市価のある程度安定した麻袋込み価格を、麻袋をそのときの市価で、これは各食糧事務所で調査させておりまして、それをもとにして予定価格をきめまして買い入れ入札を行なっているわけであります。現在は、従いまして昔のようにめんどうな計算をするということはいたしておりません。試みに最近の状況を見ますと、三十二年八月に予定価格の中に織り込んだ場合の麻袋価格を、たとえば大型甲上では八十七円、こういうふうにきめておりますけれども、三十三年八月、ちょうど一年たちまして現在の麻袋相場はこれを若干下回っております小型の方は逆にあまり変動なくて、小型の甲は予定価格五十円と見込んで現在の相場四十八円、乙は四十五円と見込んで四十五円、丙は四十五円と見込んで四十六円、こういうように多少のズレはございます。従って入札のときにはその実際の相場を見て入札が行われる、こういうことになっております
  30. 岩間正男

    岩間正男君 この現在のやり方で今までのたとえば麻袋に関するものだけについてお伺いするのですが、今までよりもこれは食糧庁として利益を上げているか、つまり食糧庁利益を上げているということは、消費者負担を軽減するということと繋がるわけですが、どのくらいそういう点で成績を上げておるというふうに把握しておられますか。
  31. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは今数字的にすぐお答えすることはできませんが、まあ非常にむずかしい問題でありまして、たとえば米の場合でも、米俵入り価格のときに一俵八十円の米俵と見ている。ところが売却の場合には十五円にしか売れない、その差額は結局コストの中に織り込まれている、こういうことになるわけです。それと同じようなことで、かりに俵が何かの関係でもっと高く売れるということになれば、それだけのコストの軽減になるということになります。その関係は今私が手元に持っておる資料ではすぐお答えすることはできませんが、従来のような相場変動に沿わない買い方、売り方というものは是正されておると、こういうふうに考えております
  32. 岩間正男

    岩間正男君 かつて帝国製麻の汚職問題ですか、そういうものがだいぶ騒がれたんですが、ああいうものはどういうふうに処理され、そうしてこれは食糧庁の中でどういうふうにこれをはっきり監察するような方針をとっておられるか。
  33. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 帝国製麻の汚職というのは私よく知らないのですが、帝国製麻は、麻の織物の会社であって、麻袋会社ではないと思います麻袋は全部今原糸をやはり輸入しているわけですから、食糧庁帝国製麻関係ないと思います
  34. 岩間正男

    岩間正男君 この案件に対しての説明があったわけですけれども、これは認めておられるわけですか、この検査院の言い分ですね。こういうふうにたとえば途中で値上りをした七月の値段以降の売り渡し価格ですか、七月当時の価格にすれば約一億二千万円、これはもっと高く売れた。それをそうやらないでしたために一億二千万円の実際は損害を受けているというのですが、この点はどういうふうに。
  35. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは予定しておったよりも相場が上ったのですから、その相場だけ売らなかったから損が出た、これは認めざるを得ないのです。しかしこの三十一年当時の制度もとでは、この見込み違いというものはある程度出ることはやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えているわけです。しかしやむを得ないということで済まされないから制度を変えてきたのであります
  36. 岩間正男

    岩間正男君 それではこれとも関連があるのですが、次にお伺いしたいのですが、病変米の問題です。きのう説明があったわけですが、一昨年当時の私が資料を要求しましたときは、これは約四十億の損害ですね。これは売買損、それから保険料、それから金利の問題、こういうものを含めて約四十億であった。きのうの説明では約五十一億にこれがなっておるわけです。そこで私のお伺いしたいのは、一体この損害はどういうふうに、会計管理の中ではどこに一体織り込まれるのか、そして今後どういうふうに処理するのか、第一この項目から見まして売買損の問題は今度の会計管理の仕方ではどこに、どういう項目に織り込まれているのか、それから保険料、それから金利、こういう問題はどんぶり勘定をとにかく一応やめたという建前に立っていられるはずの食糧管理会計の中では、今後の処理問題としては非常に重要な関係を持つのではないかと思うのです。ですから、具体的にどういうふうにこの病変米損害処理されようと考えておられるのか。これは私たちは決して等閑に付すことのできない問題です。その辺をお伺いしたい。
  37. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは外米の中の損益ということであります
  38. 岩間正男

    岩間正男君 外米損益ということになるわけですが、今どういうふうな建前になっておりますか。今度の新しい建前はわからないのですが、外米内地米、全部これは別建に会計管理されるのか、それから米価、麦、そのほかの砂糖とか菜種とか、そういうような分け方、項目別がわからないのですが、何かそういう資料はございますか。新しい建前ではどういうような建前になっておりますか。そこをわかりませんから説明して下さい。
  39. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) これは御承知のように三十二年まではお話のようにどんぶり勘定でありますから、三十二年の末までの突っ込み食糧庁の損の中に含まれているわけです。三十三年度からは内地米輸入食糧ということにちゃんと分れておりますから、外米の損として出てくるわけです。それがさらに今度は調整勘定に入って食糧庁全体の損益ということになって出てくるわけであります
  40. 岩間正男

    岩間正男君 そうしますと、これは三十二年度末までのは大体資料でもらった四十億でいいですか、その損害は。
  41. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 四十億と申し上げましたのは、この前資料を提出いたしましたときの見積りであります
  42. 岩間正男

    岩間正男君 見積りですか。決算はどうですか。
  43. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) その後の見積りを、きのう申し上げましたように、用途別処理あと四千八百トン残すだけで現実に処理がついておりまして、そのものの損益ははっきり出たわけです。あと四千八百トンの分の見積りが推定になるわけです。それをやりますと、病変米全体についての損が、この前御説明したのが四十億六千七百万円だったのが、今の四千八百トンの一部推定を含めて五十億九千二百四十九万円と、こういうことになるわけです。従いましてこの前のときまでが四十億だというのではなくして、この前まだ全部が、あるいはその大部分が処理できないときの一定処理を前提として出した損が四十億と、こういうわけであります
  44. 岩間正男

    岩間正男君 今まで十五万トン、それから十一万九千トンですか、私がこの前お伺いしたのは一昨年だと思いますが、この病変米の問題を私の取り扱ったときはそうだったと思いますが、それはその年度の会計年度で処理しているわけですか。そうするとつまり病変米に関する損害処理の問題ですね、これはどういう形でなされたか。何年度でどうしてどうなったか。そこに出た赤字等もどの会計項目にぶち込んでそれが最後にはどういうふうになったか、この行方ですね、これを一目瞭然とわかるような資料を何か作成されておりますかね。これは私どもには非常に重要なんです。どんぶり勘定時代には非常にこれは問題になったのです。一方では消費者米価を上げる。生産者米価が幾分上る。それに伴って御承知のように消費者の米価も上ったわけですね。なお足りない差額消費者米価と生産者米価の差額だけは、これは国庫から見ておったわけですね。それでしばしばそれに補正予算案が組まれたわけです。こういう形でいっているわけですが、大体相当なものですね。この前一昨年あたり騒がれたときは、国庫からの補助が百六十億ぐらいであったと思うのです。そうすると病変米による損益が、もしどんぶり勘定計算でやられて、そうしてそれを最後に結局しわ寄せされたということになりますと、米の値段の値上げ、消費者の米価の値上げを三分の一程度はやらないでもいいということになる、そういう損害まで組まなければ。そういう問題と関係ますので、この病変米の問題のあと始末、それからこういうものに対する責任体制、これは非常に国民的規模で、私は等閑に付すべき問題ではないという考えを持っている。従ってこの点明確にあと始末の資料がもらえますか。
  45. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 昨日来説明申し上げましたように、四千八百トンが現在ではまだ処理ができておりませんから、その処理については推定を加えまして、昨年度にどういうふうに処理したかということの資料は、あとで差し上げたいと思っております。  ただちょっと御説明申し上げますと、これは二十八年、二十九年から起っておるのでありますが、大体のやり方売買損益、それから三十二年度に今の四十億の見込みを出すのだと思いますが、評価をいたしまして評価損を相当出しております。そうして三十二年度の食管の赤字の調整というときに、一応食糧庁会計としては、病変米の今までの負担というものを相当程度まで一般会計でみる、こういう結果に結論的にはなっておりますあと資料は印刷して差し上げます
  46. 岩間正男

    岩間正男君 今よくわからなかったのですが、一般会計でみたわけですか、病変米損害
  47. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 結局食糧庁のその他の勘定分も全部集めまして、食糧庁として赤字がなんぼ出るか、そのうち一般会計から繰り越してその赤字を消すという措置を、三十二年度補正、三十三年度の予算でやっておるわけであります。そのことを申し上げたわけであります
  48. 岩間正男

    岩間正男君 四千八百万トンというのは、これは非常に全体の数量からみると何パーセントにも当らない少いものでありますが、大体処理がついているのですね。そうするとこのあとの始末の問題、これは今までのずっと会計経理の中からはっきり病変米に関する問題だけ取り上げて、きちんと一目瞭然わかるように出してもらいたい。この始末のやり方についても実は意見があったわけです。今後こういうことが発生してもらっちゃ困るのです。しかもなおかつ今の食管特別会計の中でそこが明瞭になっておるのかどうか。ほかの会計のように、最後にはどんぶり勘定になるのじゃないか。建前は小口に分けておるけれども、最後には集計をしてそうして収支のバランスをみて、足りないところは赤字は国庫で出しておる。一般会計から補正で国家予算でこれをまかなってしまうということになりますと、結局はこれは大きな負担が大衆に転嫁されるという形で解決されているわけです。この責任は依然として明瞭でありません。会計検査院が、これは非常に大きな問題なんですが、どういうふうに今まで病変米の問題にタッチされてこられたか。これに対する見解はどういうふうにお持ちになっておるか、この点一応お聞きしておきたい。
  49. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 病変米の問題につきましては、検査院としましても、従来大きな問題としまして十分検査をしているのでありますが、従来の検査院の見た結果の取りまとめにつきましては、私最近かわったばかりでありまして、全体的なまとめをしておりませんので、今まで見ました取りまとめにつきまして後刻資料をもって御説明したいと思います
  50. 岩間正男

    岩間正男君 それでは今の御説明のようでありますから、この問題やはり決算委員会としては非常に国民に対する責任の立場から軽々に見逃すべき問題でないと思います。だから私はこれを一昨年も取り上げ、昨年もまた取り上げ、本年もまたあと始末についてお聞きしているのですが、こういうことを起したこと自体が非常に大きな問題です。しかもそれの始末の仕方が特に大きな問題です。そしてそのしわがどこにいっているかということが重要な問題です。こういうことは大きな問題だと思いますので、食糧庁からの今の資料を明確にして出していただきたい。会計検査院がこれについてどういうようなタッチの仕方をし、それからこれについての見解というものを、当委員会を通じて国民に明らかにされることが私は非常に必要だと思う。そうでないと、こういう問題が起りますと騒ぎます。しかし半年、一年過ぎると、のど元過ぎると何とかということになってしまって、しかもこれは二年、三年あとまで継続している。これは足かけ五年になる問題だと思います。こういう問題が、実は処理の仕方についても非常に怠慢がありまして、昨年、一昨年のときは井出農林大臣の当時でありますが出ていただきまして、いつまでも処理がつかない、そうすると結局腕に傷がついてばい菌が入った、ぐずぐずしているために腐りが体内にまで入ってしまう、むしろ腕を切ってしまった方がいいじゃないか、先に切断するような形で病変米をアルコール原料ならアルコール原料に売る。倉敷料、金利の問題をそこで解決した方が、国家財政のために有利じゃないかという見解をわれわれ表明した。それについて、直ちにいたしますという答弁でしたが、技術的に食糧庁の方へ相談すると、一年かけなければできないということで、そこのところは相当長引いております。しかも完全に処理されたかというといまだに処理されていない。そういう損害をどういう形でどこに転嫁するか、さらにこれに対する責任を明確にするという問題。結果においてやはり国民が税負担をやる。あるいはまた米価の値上りが逆に必要以上に、こういうことがなければもっと安く食えるはずの米を、高い米を買わなければならないという形で解決される、という事態が起きないとも限らないのであります。こういう点についてわれわれは見守っていかなくちゃならない。ことに会計検査院の立場としては、非常にこの問題は大きな国民の世論の関心を集めた問題でありますから、こういう点についてもやはり明らかにされることが必要だと思いますので、両者のこれに対する努力を求めたい。  委員長、当委員会としてこれは賛成していただける問題だと思いますが、今の両資料を明確にして出していただいて、これについてやはり病変米処理をきちんとこの辺でもう大体終止符を打つ、これについて責任の体制を明確にする、こういうことが必要な段階にきていると思いますので、急速にそういう資料を出してもらうことを要求していただきたい。
  51. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 私の方の資料は、先ほど申し上げましたように整えて提出いたします
  52. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 私から一つ食糧庁長官にお尋ねしたい点がございますが、食糧のことでわれわれ一番日ごろから不思議に思っていることは砂糖の問題です。砂糖は日本のほとんど百パーセント近いものを海外から輸入している。これは農林省の監督下にあって、砂糖会社が、今日あらゆる産業が不況にあえいでいる際に、依然として株価は三百円内外を上回り、かつまた配当が四割五割になっている。過去の実績からみると、この砂糖についての農林省の指導なりが非常に私たちからいわせると欠陥があって、一部の砂糖業者あるいは砂糖に関連する人のみを利益させている。これは国民の全体が使用しているものであり、外貨を使っているものであるので、こういう点をどういうふうに今日まで指導してきているか。このばく大な、砂糖業者のみに均分する利益があるならば、砂糖価格をもっと下げて、これはどういうことでも私はできると思うのです。砂糖についてはほとんどが輸入であるから、税の問題でもっとあれするか、あるいは価格の問題についてもう少し規制して、砂糖会社のみの利益をふやすようなことはよろしくないと思う。また現在の砂糖の百万トンあるいは百二十万トン内外の輸入に対して、砂糖の精製能力等は二百数十万トン持っているが、戦前においては相当精製されたものが海外の貿易に出ておったが、ほとんど今日、農林省なり、食糧庁なりの指導が悪いために、そういうふうな国内の消費の上にあぐらをかいて高利率を維持している。輸出も振わない理由は、これは農林省のどこか指導に欠点があるということをひとしく心ある人は見ていると思う。そういう点について、現在の砂糖の総輸入幾らでそうしてどういうふうにしているか、消費者に渡るまでの工程を一つ明確に説明されたい。
  53. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 三十三年度の砂糖の輸入計画は百十五万トンであります。これは逐年輸入を増加いたしまして、四、五年前までは八十万トンないし九十万トンであったものを大体百十五万トンあれば、国内のテンサイ糖もことしなどは八万トンぐらい、あるいは八万トンをこすと思いますから需給のバランスがとれる、こう思うのであります。この砂糖の価格は、御指摘のように数年前までは外貨の関係輸入をおさえましたから、非常に高くなりまして、八十円をこすという時代があったのであります。現在は大体砂糖の価格は七十円から七十一円ぐらいのところでずっと横ばいになっております。まあ一部では砂糖の供給がダブついているのではないかという意見も出ております。私の方ではまあこの程度の糖価ならば国際価格から逆算しまして適当なところでないか、こういうふうに考えております。御承知のように砂糖は生活必需品ではありますが、米麦等と違いまして政府の政策でいかようにも御指摘の通りできるのでありますが、しかし現在のところでは国際相場から見まして七十円がらみに糖価が落ち着くならば、まあ一応安定しておる、こう見なければならないと思っております。  それからさらに輸出の問題でありますが、戦争前は台湾の砂糖の輸出でありまして、内地から砂糖を輸出したのではないのであります。ことに今国際砂糖協定があります。それから砂糖を入れて精製糖を作って出すのでは外との競争もなかなかできないような状態だと思います。国際砂糖協定では原糖生産国の輸出数量を協定いたしておりまして、砂糖の生産国でない所から輸出するというようなことになりますと、肝心の消費量の砂糖の輸入もこれはまたいろいろな圧迫を受ける、こういうことになります。現在のところはすぐ砂糖を輸出向けに製造をさせよう、こういうふうな考えは持っておりません。
  54. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 砂糖会社が膨大な利益を出しておる、この過去の各精糖会社の内容についてどう思いますか。現在砂糖を精製しておる各メーカーに対して、どれぐらいな加工賃を斤当り農林省は許しておるのですか。それによってどういうところでああいう膨大な利益が出て現在三割も四割も配当をずっと続けていけるのですか、これはどういう点まで農林省は認めておりますか。
  55. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 農林省としましては、砂糖の価格をきめておりません。結局原糖の輸入数量いかんによって国内相場がきまるわけでありますから、外貨不足時代には、国内価格を、国際価格に相当して不当の利潤を発生させないように、安定さすだけの量がきまるわけであります。外貨資金を割り当てることができなかった、それが砂糖が暴騰した理由であります。その際数年前にこの超過利潤を政府に吸い上げよう、こういうようなことを実行されたのであります。しかし砂糖の価格をほんとうに安定するとなればやはり大体九割以上が輸入とみていいわけですから、輸入を統制する、輸入を統制するかわりに国内の価格なり製造を統制する、こういうことにならなければ超過利潤の発生はもっぱら原糖の輸入量に依存するということだと思います。現在は先ほど申しましたように大体腹一ぱい砂糖をなめさすだけの外貨を割当てておりますから、七十円強で相場が落ち着いている、これならば砂糖会社には超過利潤が出るということはあり得ないと思います
  56. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 砂糖の将来の需給に関してどのように考えておられますか。現在テンサイ糖で、日本があくまで九〇%上回っている砂糖を永久に使用されるのならば、塩のように需給体制がいろいろ研究されて食塩についてはもう需給体制ができたのだが、農林省はこの砂糖に対する需給の見通しをどう考えておられるか。
  57. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 砂糖の国内需給の問題は、一部南西諸島等でカンショ糖もありますけれども、テンサイ糖によらざるを得ない。現在テンサイ糖の工場が六工場動いております。ことしの秋からまた工場が動いて、十万トン弱、この秋工場が動けばできると思います。現在の北海道ではこれを北海道の畑作の面積からいってどのくらいに直せるかというのを検討しております。これはまだ確定的な意見が出ておりませんが、大きくみて三倍、少くとも倍は容易である、こういうことを言っております。これはしかし遠からず農林省も長期計画を出しまして二十万トン計画にするか、三十万トン計画にするか、あるいは四十万トン計画にするか、北海道のテンサイ糖の生産計画は樹立いたします。それからさらに秋まきのビートの研究が進んでおります。この研究が成功いたしますれば内地の水田の裏作として相当有望な作物になります。そうしますと今の水田裏作の面積、あるいは水田の裏作でなくても内地の畑の面積から推定しますと、北海道の何倍かになる生産量が期待できるのでありますが、遺憾ながら現在まではまだ秋まきビートすなわち暖地ビートでありますが、この品種の固定ができておりませんから何年先になるかわかりません。しかし必ずや技術的な問題は解決できると思います。そうしますれば国内砂糖百二十万トンの半分くらいまでは国内で生産することは不可能でない、こういうふうに考えております。内地のビートの問題は今申し上げましたようにまだちょっと先の問題であります。北海道の問題はもうこれは具体的に現在の工場のほかに新しく申請でできているのは七工場出てきておりますが、現在の規模の倍くらいになるのはもうすぐだと思いますけれども、内地の問題は少し遅れる、こういうふうに思います
  58. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 食糧庁長官に最後に一つ期待いたしますことは、このように景気が沈滞している際に、国民九千万にひとしくあらゆる面に一銭でも安くてよい食糧を国家として分けるという意味合いから、いろいろ砂糖について七十一円がこれは世界相場ということだが、日本の技術によってもっと安い砂糖を食べさすように、あるいは雑穀その他についても外国から輸入することを阻止するように、いろいろ食糧の面に一つ全般の努力を願って、そして国家国民の豊かな方向にもっていくように一つ努力を要望いたします
  59. 仲原善一

    ○仲原善一君 簡単な問題ですけれども二、三お伺いいたします。その一つは委託搗精の問題ですが、最初に委託搗精は大体どれくらいの数量おやりになっているか伺います
  60. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 今米穀年度と申しますか前年度と申しますか、百三十万石ばかりであります
  61. 仲原善一

    ○仲原善一君 この問題に関連して、特に畜産農家をかかえている府県なりそういう方面の農民の要望といたしましては、この委託搗精の額をふやしていただいて、そうして、いわゆるぬかが目的なんですけれどもこのぬかを一つ地元に落してもらいたいという要望があるわけです。最近は、御存じの通り、豊作続きでだいぶ食糧が豊かになって、特に大都会地等における心配が、従来のように二月も三月も大都会地に玄米のままで貯蔵して緊急の事態に備える、というような逼迫した状態はだんだんなくなって、食糧の輸送も円滑にでき、需給の方も相当余裕をもってできるという事態になった現況におきましては、従来とその辺のおもむきを異にして、なるべく委託搗精をやって白米のままで東京なり大阪なりに送っていくという考え方ですね。こういうものについての要望が非常にあるわけですが、そういう点について畜産振興の面も農民から考えますと、非常に安いぬかをよそにとられて自分のところに買うときには非常に高くなる。自分の生産したものを委託搗精して白米にして出せば助かるものを、その額が非常に少いので非常に迷惑をこうむっているという声もあるわけでありますし、かたがた最近の食糧事情も何と申しますか緩和した情勢から考えて、委託搗精の額をふやすような考え方はあるかどうか、その辺の事情をちょっとお伺いしてみたいと思います
  62. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) 私の方は、技術的に可能な最大限度にまで委託搗精をやれ、こういうことで、先般も食糧事務所長会議をやったときに、具体的に一体どのくらいまで伸ばせるのかということを検討いたしております。技術的と申しますのは、一つは米ぬかから油を抜いた方が飼料にいい、すなわち米ぬかの油がありますとぬかが酸化しますから、それが一つの問題。もう一つは、貯蔵するのにはやはり玄米の方がいいわけですから、消費地の消費と生産地の供給力とのにらみ合せの関係ですね。それからもう一つは、委託搗精をやる移出県の搗精能力ですね、そういう問題で、私の方から制限的に委託搗精はいかんのだと、こういう立場ではなくして、できるだけ委託搗精ができる方向で研究しろと、こういうことを言っております
  63. 仲原善一

    ○仲原善一君 今の問題は、ぬかのほかにもう一つ協同組合の立場から申しますと、地元の倉庫に入っているわけでございまして、その保管料だとか倉庫料というものが地元の農業協同組合の相当な収入になりますので、そういう意味からの要望がございますので一つ御研究願いたいと思います。  それから最後にもう一つ、これも簡単な問題でございますけれども、毎年出来秋になるといつも問題になる点でございますが、検査員が検査の時期になりますと昼夜を分たず、ほんとうにこれは超過勤務も何もあったものじゃなくて、大へんな過労をしいられておって、そのための予算というものが、よく陳情にもありますけれども、食糧庁でないのだと、地元の農協等で負担してやっているような実態もございますので、よくこれは毎年その時期になると陳情が出ますが、そういう点について、特に出来秋の一番忙しいときの検査員の、何と申しますか、そういう超勤等の手当について十分食糧庁は御考慮になっているかどうか、その辺一つお伺いいたしたいと思います
  64. 渡部伍良

    説明員渡部伍良君) ことしは三十一時間分でしたか、超勤のやつをもうすでに配当しまして、毎年起るトラブルが出ないように手当をしております。ただ、日曜出勤、祭日出勤拒否運動とか、時間外勤務拒否運動、こういうふうな労働組合の戦術的な運動がやはりことしも起っております。しかし、このことは、検査員の方も、何といいますか、組合組織の一つの運動の一環としてやることと、現実に農家に迷惑をかけてはならないことは、これはよくわきまえていただけるものと思っております
  65. 仲原善一

    ○仲原善一君 林野庁関係にお伺いいたしますが、いろいろ問題がございますけれども、きょうは木炭の関係についてちょっと二、三お伺いしたいと思います。  最初に木炭の価格変動、一番高いときと安いときと年間でどれくらいの変動があったか、ちょっとお伺いいたします
  66. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 過去五カ年間の状況を見てみますと、一番少い年におきましては約四十円前後、それから変動の大きかった年には百二、三十円という程度変動があったのであります
  67. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまお話になりました非常に価格変動の幅が広いということが、木炭の生産者の生活の安定ということに非常に関連があるように思いますが、結局いろいろな要望もございまして、陳情等もございますが、価格の安定政策ということが、業者間では、特に生産者では要望されておりますけれども、そのために協同組合の組織を通じてそういうことを考えたらよかろうというような意味合いもございますが、協同組合系統で出荷されておる割合と申しますか、全体の出荷のうちで農協なり森林組合の系統で、いわゆる協同組合組織で出荷されておる割合というものはどのくらいのことになっておりますか。
  68. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 木炭の最近におきまする年間の生産量は約二百万トンでありますが、このうちで農協、森林組合というふうな系統機関によります扱い量が、約全体の四分の一程度であるという現状であります
  69. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で四分の一ということでありますが、普通の農業生産物等であれば、非常にその割合は多く農協を通じて出ておりますけれども、非常に今のお話だと少いわけでありますが、その原因はどういうところにあるかお気づきの点はありませんか、農協組織で共販体制にならないというおもな原因でございます
  70. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 木炭が統制時代におきましては、全体の約七〇%近くが農協の関係集荷されたのでありますが、統制撤廃以来先ほどお話いたしましたような非常に低調な状態になって参ったのでありますが、この木炭が系統機関に組織化されるということの一番の問題点といたしましては、やはり農協におきまして原木代金のめんどうをみる、あるいは築竈に対してのめんどうをみるというようなことをいたしましても、それから出ました木炭というものが確実に農協関係の方に集荷されるということが困難だ、と申しますか、実際上農協に生産された木炭が全部集まらないで、他の方面にそれが相当量流されるというふうな現実が、一番大きい原因であると考えておるのであります
  71. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話で大体見当がつきましたけれども、結局、業者の資本と申しますか、木炭を取扱う業者の方の資本が生産者の方に流れて、生活費なり製炭のいろいろそういう金融面をそういう業者の人が最初からつけておって、できたものが農協に流れていかずに、そういう業者を通じていくというようなことが原因ではなかろうかと思いますが、その点で農協等の指導も悪い点もありましょうけれども、結局生産者に信用力がないということで農協の方も十分な金融ができないということもあろうかと考えますので、その点は特に木炭生産者に対する金融制度について特別な措置が必要ではなかろうかという気持も、そういう点でいたしますので、そういうふうにしてとにかく農協との結び付きにおいて生産もし、それが共販体制に持っていけるということになれば、木炭の価格変動もある程度安定して、非常に生産者の生活も従って安定してくるということになるのではなかろうかと考えますが、そういう点について特に木炭生産者に対する特別な金融ですね、そういうものやらあわせて生産者の方に対するような施策が、従来多少あったようにも思いますが、将来どういうふうにお考えになっているか。特に木炭生産者の立場を代表してそういう点をお伺いいたしたいと思います
  72. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 最近、林野庁におきましても全販連等とこの問題について再三検討を行なっておるのでありますが、原木資金その他いろいろな面に対します資金といたしましては、全販連の系統では相当潤沢な資金があるように考えられます。従いましてわれわれといたしましては、現在各府県に三千名程度の木炭検査員がおるのでありまして、これに対しましても本年度から木炭の生産指導あるいは組織化に対する指導の旅費の補助をする、というような制度も始まりましたので、そういうものを通じましてこの木炭業者の組織化を積極的に進めていく、ということに努めたいと思っておるのでありますが、一方また原木の方面につきましても、現在製炭原木の約二割程度は国有林が立木処分の形で供給しておるのであります。この売り払いに当りましても、そういう組織化された製炭者の組合に優先して売り払いも考えていく、というふうな措置もあわせて考えまして、その組織化を進めて参りたいと、こういうふうに考えておるのであります。その組織化を進めますとともに、全販連等の機関から必要な資金も出してもらう。またそうして生産された木炭もそういう系統機関に必ず共同販売の形で出していくように、先ほどの木炭の指導員、検査員というものが、現場において積極的な指導をする、というふうな形に今後進めていきたいと考えております
  73. 仲原善一

    ○仲原善一君 ただいまのお話の中に国有林の原木払い下げの問題がございましたが、この点よくその通りにお願いいたしたいと思いますけれども、現在払い下げの期間が一年間というようなことになっているやに聞いておりますが、これは生産者の意見をよく聞いて参りますと、一年ではどうも短かすぎる。せっかくそこにかまを築いて一年しか有効期間がないということでは非常に因る問題がたくさんあるので、これは実情に応じて払い下げを受けた伐採整理の期間を一年でなしに、少し延ばしてほしいという意見もありますので、これはささいな問題でありますけれども、これは要望を申し上げておきます
  74. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 先ほどの、払い下げしました場合の搬出期間の問題につきましては、その払い下げた量によりましてそれぞれ区分しているわけでありますが、最長二年までは現在の制度でもできるわけでありまして、そういう点について適切な運営をして参りたいと考えております
  75. 仲原善一

    ○仲原善一君 最後にもう一点だけ、公有林の問題について御意見を伺いたいと思いますが、御存じの通りに国有林の方は直轄で、また民有林の方は非常な補助政策で、相当林政も伸展して参りまして、好結果になっておりますけれども、私の見るところでは一番公有林というのが手薄でありまして、これが非常に荒れている。伐採してもなかなかあとが植わっていかないというような実態にあるやに考えますので、その点についてお伺いいたしたいと思いますが、たとえば財産区等で、町村合併のあと財産区というような形で公有林の一部が処理、運営されている面もございまするが、この場合に対する町村長の発言権というものが、財産区の処理についての発言権というものは非常に弱いので、場合によっては財産区の委員だけの勝手の処分によって、いわゆる公共性のある運営のやり方が十分やっていけないのじゃないか。従って将来財産区の処分等の問題については、町村長の発言権を相当持たして、公共性の立場から林政のねらいと一致するようなやり方で、財産区というものの運営を考えてみたらどうかという意見があるのでございますが、この財産区についての林野当局の御意見はどうであるかということと、それから公有林の造林について非常に経費がかかるわけでございますが、この場合に造林のための市町村の起債ができれば、これは非常にうまくいくのではないかという意見がございます。現在ではそういう意味の起債が市町村に認めておられないわけでございまして、そういう点についても林野庁はどういうふうに考えているか、特に公有林の振興発展のために二、三そういう実例を申し上げましたけれども、具体的な対策をお持ちであるのかどうかですね。これは相当な面積が公有林はございますけれども、一番これが荒れているという現状でございますので、将来の林政の中心は、やはり公有林対策ということに中心を置いていかれた方がいいのではないか、という所見も持っておりますが、あわせて二、三の問題についての御意見を伺いたい。
  76. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 公有林が国の森林の中で最も荒廃しているということは先生のお話の通りでありまして、われわれといたしましてもこれの振興に特別の努力を払わなければならんと考えておる次第でありますが、現在の考え方といたしましては、公有林の造林につきましては、公有林の中で公共性の高いいわゆる水源林というようなものにつきましては、国有林野事業特別会計の経費をもちまして、いわゆる分収造林の形で、それを官行造林と呼んでおりますが、官行造林の形で造林をしていくということを現在もやっているわけであります。一方また水源林等でない一般経済林につきましては、先国会で御審議を願い可決いたしました、いわゆる分収造林法に基きまして、これに造林の希望を有する者に造林をさせまして分収するということも考えておるのであります。町村自体でこの造林をみずからやりたいというものにつきましての融資の措置が、現在においては欠けておるのであります。これをわれわれといたしましてもぜひとも実現したいということで、いろいろと関係方面と折衝を続けてきたのでありますが、最近におきまして自治庁の方面におきましても、公有林の振興をぜひとも考えたいという趣旨に基きまして、町村の造林に対する起債というものを特別に新たに制度として認めていこう、しかも据え置き期間も二十年くらいの長期にわたる期間を考えまして、これを造林に望みたいというととで、大蔵省に予算を提出するという段階に来ておるのでありまして、われわれとしましても、自治庁と力を合せましてこれの実現に極力努力を払いたい考えでおる次第であります。  もう一点財産区の問題についてお話がありましたが、現在は財産区の持っております山林の処分その他につきましては、町村議会の承認を経なければならないというふうになっておると思っておるのでありまして、そういう点から町村のこれに対する意思が十分に反映されるというふうに考えております
  77. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 現在日本の林野庁の持っておる山林の広さを一つお知らせ下さい。
  78. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 国有林の面積は七百三十万町歩前後ありまして、わが国の山林面積二千四百万町歩のうちの約三〇%程度であるのであります
  79. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 昨年ごろから盛んに民有林を国有林に買い上げておるようだが、昨年から今年にかけてどれくらいのものを民間から買い上げておりますか。
  80. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 民有林の買い上げは、昭和二十九年度から保安林整備臨時措置法に基いて買い上げをいたしておるのでありまして、これは十カ年間で、特に国が維持管理しまして、適正な経営をしなければならないという、いわゆる奥地の水源林地帯の民有保安林を買い上げるという仕事をやっておるのでありまして、二十九年度以降前年度末までに十二万町歩程度買い上げたのであります
  81. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 大体一町歩平均どのくらいの価格になっておりますか。
  82. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 一町歩平均約四万円前後と考えております
  83. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 林野庁に現在携わっておる職員の総数はどのくらいですか。
  84. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 定員内職員が約二万七、八千名、常勤労務者が八千名ばかり。それから一般の労務者が、時によって違うのでありますが、七万から十二、三万という数になるのであります
  85. 小西英雄

    委員長小西英雄君) それらの全部の職員に年間払う給与総額は、大体どんなものですか。
  86. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 定員内職員と常勤労務者について支払います給与が百二十億円前後でございます
  87. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 年間、林野庁が、一般並びにその他全部でいいのですが、山の伐採において売り上げる総額の金額はどんなものですか。
  88. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 昭和三十三年度におきましては四百億円であります
  89. 小西英雄

    委員長小西英雄君) その差額はどうしておりますか。
  90. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 人件、事務費との差額は御存じの通り造林とか、あるいは林道の開設事業、治山事業、あるいは直営生産に必要な経費に投じているわけであります
  91. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 私たちが日ごろ国の行政について考えておることは、数万の人を林野庁が雇って日本の最大の資産を預かっている。そこで生れる材木を売って、いろいろ能率も悪く、国家の資源を伐採した金で食べていてぱあぱあというようなことでは、国家国民に対して相済まぬことであるので、われ一われとしては、林野の考え方はいろいろ治山治水、あるいは造林等についての相当の努力は払われていると思うのですが、まだまだそういう点について遺憾な徴候があるというふうにいろいろ承わっておるがどうですか。そういう点について各部局においてその赤字を出しているという点があるそうですが、それはどういう点ですか。
  92. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 国有林野事業特別会計昭和二十二年度から出発したのであります。最近までに、損益計算上の利益金というものは、約八十億ぐらい出ておるのでありますが、現在全体の国有林を管理しております十四の営林局のうちで、赤字が出るという営林局は函館営林局、あるいは大阪営林局というふうなところであるのでありますが、これらは現在函館営林局につきましてはその国有林に、はえております立木がほとんどブナを主体とします広葉樹の天然林でありまして、これを計画的に伐採いたしまして、その跡地を針葉樹の人工造林地に仕立てていく、という仕事を主体にやっておるのでありまして、そういう面でこの営林局が今後当分引き続いて収支のバランスはとれない、ということはやむを得ないと考えております。  また一方大阪営林局につきましても、大阪営林局が所管いたします国有林の所在が、中国地方の脊梁山脈というような地席に固まっておるのでありまして、治山治水という面から、治山事業に非常に大きい努力、経費を支出しなければならないというふうな形にあるのでありまして、そういう面からいたしまして、この営林局が赤字であるということも、これまたやむを得ないものと考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、この特別会計の企業というものを能率的に、合理的に運営するということが必要だと考えるのでありまして、このためには監査制度を置くとか、あるいは合理化の委員会というものを内部に持ちまして、常時検討するというふうなことによりまして、その能率化に努めておる次第であります
  93. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 現在日本の国にどのくらいな木材が年間輸入されておるのですか。たとえばフィリピンのラワン材であるとか、あるいはソビエトから来ておる、その石数と、また日本が輸出しておる石数等について簡単に。
  94. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 現在外国から入っております木材のほとんど大部分がフィリピンから入っておるのでありまして、フィリピン以外にも、アメリカそれからソ連等からも入っておるのでありまして、それらは合計しまして約一千万石程度のものが輸入されておるのであります。逆に輸出には、このフィリピンから輸入されましたラワン材を原料といたしまして、合板に加工いたしまして、合板を輸出するということ、並びに北海道におきますナラ、セン等の有用な広葉樹を合板にし、あるいはまたインチ板に製材いたしましてそれを輸出するという仕事をやっておるのでありますが、両者を合せまして、大体七百万石程度のものが輸出されているという現状であります
  95. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 現在、年間消費される木材の石数と、日本の林野において、全体でいいのですが、生育しておるというか、育成しておるというか、その造林の結果、需給のバランス、あるいはパルプ——いろいろ全面的に見て、日本は将来木材を輸入しなくてもよいような状況になるのか、あるいは今後ともやはり足りないのか、その点について。
  96. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 最近のわが国におきます木材の需要量は約一億六千万石前後のものであるのでありますが、このうち先ほど申し上げましたように、約一千万石が輸入されまして、残りの一億五千万石は国内の森林から供給されるという状況であるのであります。一方、国内の森林資源は約六十六億石と見られておりまして、それの年々の生長量からいたしまして、現在の伐採量は、年々の生長量の約二倍程度のものを伐採しておるという現状にあるのであります。最近の造林事業は、国有林、民有林を通じまして非常に順調に計画に沿って進んでおるのでありますが、現状のままこの造林事業が進むといたしましても、進むといたしまして、わが国森林におきまして造林できる所はあげて造林するというふうに仮定いたしましても、今後におきます木材を全部国内の生産でまかなうということには、現状においては相当の困難があるというふうに考えられておるのであります。従いまして、その対策といたしまして、林木育種事業というものを積極的に進めまして、従来よりも短かい伐採の年数で伐採できる、しかも現在利用している程度の大きさになるというふうな優良な品種を見つけまして、それを積極的に造林していくという仕事をあわせて行わなければならぬと考えまして、昨年度から本年度にかけまして、全国に五カ所の林木育種所を作りまして、この品種改良の仕事に乗り出したという現状にあるのであります
  97. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 昨年設立された森林開発公団、あの徳島県の剣山と、もう一つは吉野川流域における奥地林道開発等については順調に進んでおりますか。
  98. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 本年度の終りまでにほぼ当初の計画通りの仕事が進むものと考えておりまして、全体として順調に仕事は進んでおると考えております
  99. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 林野庁は今まで七十年、八十年以前の多くの国有林を持っておっても、なかなか現場の愛着、その他いろいろの関係から、もうあまり伸びのないものをなかなか切らないという考えで進んでおるそうですが、そういうことのないように、時代が変って、古い木の建築とか何とかいうことが非常に少くなったので、そういう方針については多少今日変更して、古い木等の伐採も着手しておりますか、どうですか。
  100. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 国有林は民有林と比較しまして比較的老令な天然林が非常に多いのでありまして、そういう関係からいたしましても、昭和二十九年に北海道で未曽有の大風害木を出したというようなこともいえるかと思うのであります。そういう点にかんがみまして、さらにまた、今後の木材需給に対処しまして、その生産力を急激に積極的に拡大するということ、並びに今後及び将来におきます木材の需要というものは、現在までのように大きいものを中心にするのでなくて、やはり中小級のものを中心にして需要がそこに集中するというような点にかんがみまして、本年の二月に、国有林におきましても経営規定を改正いたしまして、老令の天然林を計画的に早急に伐採いたしまして、そのあとを針葉樹の人工造林地に変えまして、しかもその人工造林地も、需要に見合う四十年あるいは四十五年というふうな年令で伐採していくという考え方で、現在、本年度からそういう考えに立った事業を始めておるという段階にあるのであります
  101. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 最後にもう一つお尋ねしておきますが、国有林と一般民有林とを交換しておるが、私たちの目から見て、岡者が決して対等の、千万円のものを千万円で買えるようなことはないような節が多々あるのですが、たとえば四国の山中における某会社と国有林の交換をやっておる。これは国家の方の価値が、私たちの目から見て相当あるにもかかわらず、その交換条件をいろいろ見てみると、国の方が、交換した場合に山がよくて、民有林と交換した方の価格がうんとわれわれから見て安く思われるのですが、そういう点について、条件等について、委員会の方に資料として、一般民有林と国有林とを交換しておる、そういう点の経過を書類で提出して下さい。
  102. 阿部竹松

    阿部竹松君 今の御答弁に関連してお伺いいたしますが、北海道においては未曽有の風害があったということですが、どれをさしておっしゃるかわかりませんけれども、たとえば一昨年の十五号台風、あれで相当やられましたね。しかし、やられた木が全部利用されておらぬのです、御承知の通り。針葉樹にしても闊葉樹にしても、大雪山にごろごろしている。あるいは何ぼか払い下げられて、まきになったり木材になったかもしれませんが、あれはどうしてあんなことをしておくのですか。
  103. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 昭和二十九年の風害は、大雪山付近を中心にして起ったのでありますが、国有林におきますその風害木の量は約七千万石程度のものでありまして、北海道の国有林で年々伐採する数量の約三倍程度の大量に及んだのであります。で、林野庁といたしましては、二十九年度から三十二年度までにこれの大部分を整理するという計画に基きまして、その整理の仕事を進めたのでありますが、この二十九年の台風のものは大部分を整理し終ったというふうにわれわれは考えているのであります。ただその場合に、風害を受けまして倒れたものは、年々品質を低下していくわけでありまして、その整理して参ります場合に、一方から順々に全部を片づけて参るということでは、むしろ残されたもののいわゆるさし木がかえって悪くなるというふうな問題もありますので、極力優良な部分を早急に整理いたしまして、価値の低いものは、そのあとで、いわゆる第二次整理という形で、できるものは整理するという考え方に立って進んだわけでありまして、第一次の手入れは、先ほど申し上げましたように、三十二年度をもってほぼ終ったのでありますが、第二次の整理といたしまして、残されたものでさらに利用できるものを今後利用するという考え方で進みたいと考えているのであります
  104. 阿部竹松

    阿部竹松君 立木であれば、そういうお話が成り立つかもしれませんけれども、針葉樹にしても、闊葉樹にしても、御承知の通り五年も六年も野ざらしにしていれば、全部腐敗してしまう、まきにもならないのです、そうでしょう。そうしますと、何のために第一次、第二次という計画でやられたか、不思議なんです。現地に行って聞いてみると、昔あなたの方に帝室林野局があり、あるいは国有林を管理しているところの営林署とか、森林事務所があって、山が違うけれども、それぞれ管理しておったのが、今後一緒になって、帝室林野局がなくなったので、そういう派閥があって、なかなかうまくいかなくなったという話も今度聞きましたが、何千万石倒れたやつが、何ぼ申請しても、あなたの方でオーケーということにならぬそうですね。そうすると野ざらしにして腐らしてしまう。五年も六年も雨風に当てるから腐るんです。どうしてああいうむだなことをするか、僕らは納得いかぬのです。消化し切れないのじゃないのです。あなたの方でよろしいと言わぬから、勝手に切ってくるわけにはいかぬ。小西委員長の発言じゃないけれども、あなたの方で日本の国の一番大きなものを預かっているというお話ですが、あれを全部腐らせてしまってどうするんですか。これは立木であれば、片方は切って、片方は植林になるから、五年計画、十年計画、二十年計画も成り立つけれども、倒れてしまって死んだ木は、十年もたったらまきにもならぬ、炭にもならぬ、まことに僕らはもったいないと思う。あなたはそういう計画でやっているとおっしゃるけれども、これは北海道の現地に行って聞いてごらんなさい。木がごろごろ倒れて腐っておりますよ。そういう事実をあなたは知らないのですか。
  105. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 大雪山の周辺につきましては、あの地帯で、先ほど申し上げました七千万石のうちで約三分の一が、あの周辺に集中して被害を受けたわけであります先ほど申し上げました第一次整理という問題につきましては、御存じの通り、これを六年も七年も放置しますと、全然使いものにならなくなるということは仰せの通りでありまして、そういう面からいたしまして、たとえば一本の木におきましても、結局それのもと半分と申しますか、もとの方が大きい利用価値を持つわけでありまして、うらの方は、非常にそれと比べまして価値は低いわけであるのであります。そういう点からいたしまして、この風害を受けた全地域に対しまして、早急にその利用価値の高いところを利用し、その残されたところは、利用できるものは利用するというふうな考え方で、一次、二次という整理をしていこうという方針に基いて進めたわけでありますが、御存じの通り、ああいう大風害を受けました関係上、その風害直後の状態といたしましては、われわれとしても、大丈夫枯れるようなことはないと考えておりましたものが、その後の小さい風害というようなものを受けまして枯損——枯れてしまうとか、あるいはまた風害に随伴して起ります虫害等のために、少量のものがやはり枯れてしまうというふうな事態も、引き続いてそれぞれ少量あるわけでありまして、そういうものを合せまして、第二次の整理とあわせて今後整理したいという考え方で進んでおるのでありまして、あの地域につきましても、先ほど申し上げましたように、第一次は大体終ったという考え方でわれわれは進んでおるのであります
  106. 阿部竹松

    阿部竹松君 あなたのお話の通りに現地はなっておらぬのです。あなたは現地へ行かれたかどうかわかりませんけれども、その後の大小の風害によって、倒れて、斜めになったとか、根を洗われてその次に枯れる、こういうものを僕は指してお話し申し上げているのじゃないのです。こういうものも全部倒れてしまっておるのです。そういうものが全部腐ってしまってごろごろしているのが、膨大な量に上っているのです。僕らは一カ月前に見てきたのですから……。これは社会党、自民党、両方の委員が、これはもったいないことをする。これは大体処理し切れぬのかということで、現地で聞いてみれば、どこまで信憑性があるか知らないけれども、これはあなたの方に全部払い下げをお願いしても、なかなか許可にならぬので、もったいないことをするものだと、こういうことなんです。ですからあなたのお話の通りであればけっこうだけれども、現地はそうなっておらぬ。うそだと思うなら、北海道へ行って調べてごらんなさい、大雪山付近は膨大なものです。五、六年もたってしまえば、大事なものが腐ってしまって、まきにもならぬ。四、五年前に、放置せずに処理すれば、あるものは建築材にもなり、パルプにもなり、炭にもなり、まきにもなったのです。全くもったいないことをするものです。これは十分調べて、早く処置をとってもらいたい。  それからもう一つお伺いしたいのは、あなたの方で木を切ったあとに植林をやりますが、十年一日のごとく、松かタモか杉くらいしか植えない。これは日本全国にわたってそういう種類しかないと言われればそれまでですが、あれを植えて二年か三年たつと、全部ネズミにかじられてしまう、それで若干ネコいらずをまくようだが……。あなたのお話のように、三十年、四十年たって伐木するというような、委員長の質問に対して御答弁があったが、それは現地を知らなければ、そういう話で納得するのだが、現地ではめちゃくちゃじゃないですか。植林してものになっておるのは、よくて三分の一ですよ。ひどいところは五割か、あるいは四割くらいしかない。ネズミに全部食われてしまう、ウサギに食われてしまう。こういうようなことは、あなたを責めてもしようがないけれども、ああいう措置を十年一日のように、ただ帳面の上だけで処理せぬで、もう少し現地を指導していく方法はないのですか。
  107. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 北海道におきまする風害を受けました面積は、約二十五万町歩程度に上ると思っておるのであります。それを詳細に検討しました結果、このうちで四割の約十万町歩は、人工造林の方法によらなければ、次の山が成立しないということでありますので、これを造林する。残りの十五万町歩につきましては、いわゆる天然播種という方法によりまして、自然に種が落ちまして、広葉樹あるいはまた針葉樹が自然にはえてくるという適地であるように思うのであります。で、それらの天然にはえるところにつきましても、今後必要な手を、保育の手を加えまして、それの成林をはかっていきたいと考えております。一方また人工造林地に対しましては、先ほど先生からお話のありましたように、カラマツにつきましてはネズミの害が北海道におきましては相当ひどい状況にもありますので、これの地ごしらえの方法について十分綿密な手を加えるということをやっていきますならば、その害はきわめて少くすることができるという、従来の相当の実験のデータもあるわけでありまして、カラマツにつきましてはそういう方法を講じて参りたいと考えております。また北海道におきます造林樹種の大部分は、あそこの郷土樹種でありますトドマツでありますので、トドマツにつきましても、その苗木の養成の段階におきまして、十分保育と管理を加えた優良な苗木を造林するということによりまして、あそこの成林を確実にしていくということに努めたいと考えておるのであります
  108. 阿部竹松

    阿部竹松君 最後に一つお伺いいたしますが、あなたの方は、農林省内部において独立採算制なんですね。従って、まあこの森林鉄道をつけたい、ここに橋をかけたいという、これは新規要求が大蔵省——独立採算制だからなかなか大蔵省は全然金出さぬ。従ってあなたの方は自まかないだから、橋をかけたいと思ったら、木をたくさん切る。そういう必要なければその木を切らぬ。営林署の黒字のところはどんどん施設費でも何でも見てやるけれども、赤字のところは見てやらぬというような話が飛んでいるのですがね。そういうことはないというように僕は信じるのだが、そういうような、あなたの方で、予算の組み方どういうふうにやるのですか。
  109. 山崎斉

    説明員山崎斉君) 御存じの特別会計の予算といたしましては、北海道から鹿児島まで通じまして一本の予算で組んでおるのでありますが、その基礎となりますのは、国有林につきましては、これから五カ年間を一期といたします森林経営計画というものを作るわけでありまして、この経営計画に基きまして、その基準としては、五分の一ずつを毎年実行していく。これは造林につきましても伐採につきましても、林道開設費あるいは治山事業につきましても同様でありますが、そういう計画をもととして実行をするわけでありますので、それをもととして予算を編成いたしまして大蔵省と折衝するということになるわけでありまして、そういう関係からいたしまして、それぞれの場所におきまして伐採量を自由に変更する、そういうことは、われわれとしてはしないという原則に立ってやっておるわけであります
  110. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 一つ速記をとめて。   〔速記中止〕
  111. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 速記を始めて。  ほかに御質疑はございませんか。——質疑がなければ、これをもって農林省の部、検査報告批難事項三百五号から九百六号までの質疑は、一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これをもって午前中の審議を終ります。午後は愛知用水公団を審議いたします。再開時間は二時といたします。  これをもって休憩いたします。    午後零時四十四分休憩    ————・————    午後二時三十九分開会
  113. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 午前に引き続き委員会を再開いたします。  理事互選を行いたいと思います。  去る九月九日、理事相澤重明君が委員を一時辞任されたため、理事に欠員を生じております。従来の慣例もあり、理事互選は、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 御異議ないと認めます相澤君の補欠として、相澤重明君を理事に指名いたします。   —————————————
  115. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 愛知用水公団の部を審議いたします。検査報告二百五十六ページに掲載されております。  本件に関し御出席の方は、石渡会計検査院第四局長参考人として愛知用水公団理事伊藤佐君、愛知用水公団副総裁大津敏男君、愛知用水公団総裁浜口雄彦君、農林政務次官高橋衛君、農地局長伊東正義君、農地局建設部長清野保君、農地局愛知用水公団監理官岩田松太郎君、参考人としてさらに愛知用水公団理事桜井志郎君が見えておられます。  まず、会計検査院から概要の説明をお願いいたします
  116. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 特に御説明するほどのこともございませんが、愛知用水公団の工事はいろいろな事情によりまして着工もだいぶおくれております。さればといって竣工の期限をそう延ばすこともできないというふうな事情に相なっておりまして、結局、当初四年半で大事業を仕上げるという計画のものが三年余りで同量の工事を仕上げなくちゃならぬという事情に立ち至っております。従って工事の施行に当りまして、工事の能率的な施行、手順のよい工事施行、こうした点につきましてなお一そうの御注意をお願いいたしまして、りっぱな工事を仕上げていただきたいという老婆心から申し上げているのであります。  以上であります
  117. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 次に、愛知用水公団から概要の説明を願います
  118. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 愛知用水公団は、愛知用水公団法に基きまして、昭和三十年十月十日に設立され、間もなく農林大臣から事業基本計画を受け取りました。それに基きまして事業実施計画の作成をいたすために各種の調査、これは測量、地質調査を含んでおりますが、並びに工事用地の買収補償の交渉等、本工事着手のためのいろいろの準備を進めまして、昭和三十二年八月に世界銀行との借款契約を調印いたしました。同年の九月に農林大臣から事業実施計画に関する法定の手続がすべて完了した旨の告示がございまして、本年の六月に堰堤地帯の王滝並びに三岳の両村長と牧尾ダム地点の補償協定が締結されたのでございます。  一方、工事関係は、ダムの建設に伴う県道の改修並びに森林鉄道のつけかえ工事を三十二年八月中旬から順次着工しております。牧尾ダムの仮排水トンネル工事は三十二年の十二月に着工いたしまして、ことしの七月に完了いたしました。ただいま本堰堤工事を進めておるのでございます。  水路関係につきましては、愛知県三好村の曲り池工事を昨年の十一月に着工いたしましたのを初めとして、兼見トンネル、これは全長五キロに余りまして、この事業中最長のトンネルでございますが、この兼見トンネル、次いで富士トンネル、白山トンネル、三好支線、これは水路の二好支線でございます。これを次々に着工したほか、愛知県に委託いたしました支線も昨年来順次着工しております。この工事は今年度並びに来年度が一番のピークかと存じます。なお、先般、牧尾ダム建設工事中に、仮締め切りダムが八月二十六日の台風十七号に伴う異常出水のために一部が流失いたしましたが、これにつきましては、今後の処置について万全を期しております。  大体の経過はただいま申し上げた通りでございます
  119. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 以上をもって説明は終りました。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次、発言を願います
  120. 相澤重明

    相澤重明君 浜口総裁にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、参議院の決算委員会では、本年三月二十八日の日にあなたに御出席を求めて、この会議を実は進めたわけであります。その当時のあなたのお話では、少くとも当初の計画はおくれておったけれども、期間内には必ずすべてが完了する、こういうような御答弁が議事録になっておるのでありますが、ただいま経過報告がなされておりますが、やはりこれは期間内には完了をすると、こういうふうに当時の考えと変りがないかどうか、冒頭にお尋ねをしておきたいと存じます
  121. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) ただいまの段階におきまして、期限内に完成を目ざして最大の努力をしておりまして、また期限内に完成するというつもりでやっております
  122. 相澤重明

    相澤重明君 総裁の大へん決意のほどがわかるような気がいたすのでありますが、しばしば、この今御報告がありましたところの牧尾ダムのいわゆる仮締め切りの、この本年の七月二十六日と八月二十六日ですか、二回にわたって堤防の決壊が起った。こういう点について、あなたは現地を二回とも事前にごらんになったかどうか、その点いかがでしょうか。
  123. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 現地を見ました、事前に。
  124. 相澤重明

    相澤重明君 その当時、それでは七月二十六日に決壊が起ったと、その直後におけるおそらく補強工事というものが行われたと思うのであります。従って第二回目の八月二十六日、さらに起ることが、あらかじめこの第一回に決壊をしたのであるから、かなりの私は決意をもって、再びこういう事故が起きないというふうにあなたはお考えになって指導されたと思うのですが、どういうことで第二回目のことが同じようにこの問題が起きたかということについて、何か原因を調査をされた御報告がございませんか。先ほどあなたは経過報告をされたけれども、決壊の理由について何か話されると私は期待をしておったのでありますが、とうとう御発言がなかったのでありますが、この点はいかがでございましょう。
  125. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) ただいま相澤さんから七月と八月に二回決壊したと言われました。これはダムを仮締め切りいたしますときには、まず仮締め切りの前に、ほんの岩だけで一時ちょっと水勢を弱めて仮排水路に流す、いわゆるあら締め切りというのをやりまして、それからその下流に仮締め切りをやるのでございます。七月の場合はそのあら締め切りでございまして、厳密な意味における仮締め切りの決壊ではないのでございまして、全く締め切りにかかろうというときに集中豪雨に会って、そのあら締め切りの一部が流失した、こういうわけであります。  八月のは、これはあら締め切りができまして、次に仮締め切りが一応できたときでありますが、なおできたけれども、だんだん補強しておる途上に台風に見舞われたのでございまして、その工法がどうだとかいうようなことについてお尋ねでございましょうか。
  126. 相澤重明

    相澤重明君 私は少くとも国会にあなたが御出席されて、しかも愛知用水という最も国民の大きな関心を持っておる、巨額な投資をして、いわゆる国家の利益をはかろうとする、その全責任を背負わされておるところの総裁でありますから、前の国会でも、私が先ほど申し上げましたように、三月あなたにお尋ねをし、それで少くとも期間内に完了するという考え方で努力をされて、現地もよく御事情をお調べになっておる、こういう御発言であるから、それでは、その決壊したというのはどういう理由でそうなったのか。あるいはそれが科学的にあるいは技術的に、そういう点について今後の参考になるということがあるのか、そういうこともつけ加えて国会に御報告されても、私は決してあなたが行き過ぎではない。むしろそういうことがあなたの立場として今日は必要ではないか。国民は愛知用水というものは、あれだけ膨大な国家投資をしながら、一体いつでき上るのだろう、どうなっているのか、こういう関心を持っておる。それで、一部のでき上ったとか、あるいは工事に着手したことについては、あなたが今御説明されたから、それはよくわかります。しかし、少くとも工事の中においてそういう事故が起きたということについて、その事故の善後策というものはどうなったか、これは当然報告されてしかるべきではないかと私は思うのでありますが、しかし、せっかくあなたがその内容について御報告を聞きたいのかという意見でありますから、私はその報告を聞きたいのであります。つまびらかに一つ報告をしていただきたい。
  127. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) これは工事の工法に関するものでございますから、工務担当の桜井理事から御説明してよろしゅうございましょうか。
  128. 相澤重明

    相澤重明君 もちろん、こまかい点については私はけっこうだと思います。それぞれの担当者がおるでしょうから、それはけっこうだと思います。しかし、少くとも総裁だから、あなたは外郭は御承知になっておるはずだし、現地の指導をされていると思います。従って、あなたがどういう指導をされたか、あるいはどういうところに欠陥があったのか、欠陥がないはずはない。欠陥がなければこういう事故は起きない。単に台風であったからやむを得ないということになれば、台風が来るところは全部できない。こういうことに、これは極論になりますが、私はそこまで責めておりません。しかし、少くとも現地に指導をされ、調査をされた、こういう点を御発言になっておるのだから、当然そういうことも御答弁があってしかるべきだ。さらに私は、あとのこまかいことは担当の桜井君からでもけっこうだと思いますが、基本的なことは総裁からお聞きしたい。
  129. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) この仮締め切りをいたすにつきましては、過去十年間の降雨量をずっと調べたのでございます。そしてこれなら大丈夫ということで設計をいたしました。もとより費用を惜しまずやれば、もっと丈夫なのをやればいいじゃないかという御説もあると思いますけれども、費用をなるべく最小限度にとめまして、そしてなおかつ、その十年間の統計をとって、これなら大丈夫、こういう基本のもとに仮締め切りの設計をいたしたのでございます。それで大体一秒間に千トン、千立方メートル、これだけの水をさばけばまずよかろう。こういうことでやったのでございますが、八月の出水は不幸にして、過去十五年間の最大が昭和二十年でございます。二十年が千四百トン余り流れて、それに次ぐ千三百トンくらいの非常に予測できなかった出水でございましたので、仮堰堤を越えて水が流れまして、ああいう残念なことになったのでございます。十分にこちらはやったつもりでございまして、結論といたしましては不可抗力と、こういうふうにわれわれは考えております
  130. 相澤重明

    相澤重明君 今の御答弁、総裁何かお考え違いじゃないでしょうか。過去十五年間の少くとも調査をされ、科学的にあるいは技術的にいろいろ調査をされた結果、もうとにかく一秒間に千立方メーターの排水ならば大丈夫だ、こういうようなお考えでいわゆる工事に着手したのだけれども、不幸にして予想外の出水であった、こういう御答弁だったと思う。そうすると今あなたのお話の中にも出ておったように、たとえば昭和二十年に千四百トンなり、あるいはあのときには千四百トンと言われたか、千四百七十トンと言ったか、私もこまかい数字は知りませんが、しかし過去にそういう出水の量が多かったことは事実ですね。そこで、何かそういうことを具体的に農林省とあなたの方、公団で、いろいろそういういわゆる技術的な打ち合せがあったと思うのですが、これは農林省の方は、そういうことはあまり具体的にあなたに相談がなかったのでしょうか。もちろん、愛知用水自身責任もありますけれども、少くとも監督官庁の問題でもありますから、その当時のいきさつはどうでしょう。千立方メーターならこれは大丈夫なんだ、過去の実績からいっても、農林省としても太鼓判であるから、愛知用水にやれ、こういうふうに総裁にまかされたものでしょうか。それはいろいろ経緯があると思うのですが、その点は今でもそういうふうに総裁はお考えになっているのでしょうか。千立方メートルなら大丈夫だ、こういうことでしょうか、どうでしょうか。
  131. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私、農林省の農地局長の伊東でございます。  今、先生の御質問の中で、農林省とどうだったという御質問でございますが、この問題は、実は法律に基きまして事業の基本計画というものを農林省が作りまして、これは公示いたし、公団にも指示いたしております。それに基きまして公団では事業の実施計画というのを作って、農林大臣の認可を受ける手続になっております。それとこの両方におきまして、実は今総裁からお話のありました仮排水路の問題につきましては、十年確率の流量をとりまして、これが今御説明がありました秒速千立方米でございます。また十五年では第二位というお話がございましたが、そういうものをとりまして、一応基本計画、実施計画とも、計画の基本にいたしております。この仮締め切りの問題につきましては、これは大体、仮締め切りをやりまして、それに基いて本堰堤を上げていくわけでございますが、仮締め切りで排水をします期間というものは、大体期間といたしましては一年ぐらいでございますので、その間に大体今のような確率流量は抑えられるであろうという普通の状態を考えまして、われわれといたしましては、基本計画なり事業実施計画の千トンということでありましたので、これは公団だけでなくて、農林省も同じ考えで、その点は実は計画を作ったわけでございます
  132. 相澤重明

    相澤重明君 ですから、私は先ほど浜口総裁に、農林省とのお打ち合せの際にそういうことがあったか、なかったかと、こういうお尋ねをしておったわけです。今はからずも伊東局長から、そういう点が、農林省もそういうふうに同じような考えでやったという御答弁があった。そこで今度は、農林省のせっかく御発言をいただいたのですから、政務次官に一つお尋ねしておかなければいかぬと思いますが、過去十年間の実績、あるいはそういう流量というものを調査をされた結果、これは間違いがないと、ところが日本の国は過去において十五年、二十年、三十年というこの経過をたどってみるというと、やはり相当の台風禍あるいは洪水禍というものが必ず出ておる。これは実績なんです。そこで、今の愛知用水の問題がここまで広く国民に関心を持たれるということは、何かそういうお役所の仕事に——この一定の期間だけをとってしまえば、もうあとは過去の洪水があったとか台風があったということはあまり心配することはないと、こういうような、少し国民を甘く見ているような、台風を甘く見ているような考えがあるのじゃないか。もっと科学的に、いわゆる基礎というものを、資料を出して、そうして間違いのない方針というものをとるのがほんとうではないかという気もするのですが、政務次官としては、今の伊東局長の言う、十年間大丈夫であったから、その実績の中に一千立方メートルで大丈夫だと、こう言ったところが、現実にはこわれてしまった。というのは、一千三百立方メートル出た、ところが、過去には一千四百立方メートル出たことがあった。一千二百立方メートルのこともあった。そういう実績というものは一体どういうことなんでしょうね。農林省はそういう過去のことは触れないで、十年間なり七年間なりをとれば大体間違いはない、台風が来れば仕方がないと、こういう結果になるのかどうか、これは一つ政務次官からお伺いいたしましょう。
  133. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 技術的な問題でございますので、私もあまり相澤さんの御満足の行くような御答弁ができにくいかと思いますが、その点あらかじめ御了承願いたいと思います。  問題は、本堰堤の場合におきましては、これは少くとも五十年、百年、その堰堤でもって、たとえば償却年限というようなものを考えました場合においても見るものでございますから、ほとんど半永久的な立場から、できるだけ記録のある限り長い実績をとりまして、それによって万遺憾なきところのりっぱな堰堤を作るということは当然であろうと思うのであります。しかしながら、何分にも仮締め切りというものは、本堰堤のできる期間だけ、相当短期間だけをもたせるということで十分な性格のものであると、私考えるのであります。しかし、それだからといって、その際にそれがくずれて、本堰堤に今回の場合のように影響を与えるということでは、これははなはだ思わしくないのでありますが、要するに、全体の経済性からいいまして一体仮締め切りにどのくらいの金をかけることが、全体の工事を進める上からいって、経済性からいって、また何と申しますか、プロバビリティから申しまして、ほんとうに国民に対して忠実なるゆえんであるかという点から物事を判断すべきであろうと、かように私考えておるのであります。もちろん、今回の場合千六百トンからの水が一挙に出ましたことによりましてこの仮締め切りが流されたということは、これは不可抗力とはいいながら、私ども非常に遺憾に考えるのでございますが、こういうふうなわずか一年程度の間もつことをもって十分とするところの仮締め切りというものについて、そう長年月の間完全にこれが保持できるという程度の強度を求めるならば、それ自体に非常に大きな経費を要する。何とかして仮締め切りに対する経費は、そう異常な台風、その他出水がなければもっていけるという状態であれば、これはまあ一つは神頼みというようなことになるかもしれませんが、天に祈って、災害の来ないことを祈りながら、できるだけ安い工事費でもって本堰堤を作ることがやむを得ざる措置ではないかと、かように私ども考えておる次第でございます
  134. 小西英雄

    委員長小西英雄君) そこで、高橋政務次官並びに浜口総裁も口をそろえて不可抗力説を唱えておるのですが、私は不可抗力ではないと、いろいろ調べた結果私自身はそう考えている。それはなぜかというと、この仮排水路の締め切りの時期を誤まった。こういう水の出る状況——毎年八月、九月というのは、台風が来なくとも相当の水が出ておるにもかかわらず、この仮排水路を締め切る時期が誤まっておると、これは専門家のみな意見ですが、これについて明快な御答弁を農林省なりあるいは愛知用水公団から願います
  135. 高橋衛

    説明員高橋衛君) これはもっぱら技術的な問題でございますので、技術者の方から御答弁申し上げたいと思います
  136. 櫻井志郎

    参考人(櫻井志郎君) ただいまのお話の時期の問題でございますが、技術的にだけ考えておきますならば、当然一年間の最渇水期であります十月の中ごろ以降二月にかけてやるのが常識でございます。公団といたしましても、最初考えましたことは、三十二年の二月にバイパスに着工いたしまして、九月にバイパスの工事を終え、あるいは十月に多少かかるかもしれませんが、そうして十月の中ごろ以降に仮締め切りをやるという考え方で出発したのでございますけれども、いろいろの原因からいたしまして遅延し、バイパスの着工が三十二年の十一月の末になり、完成が当初計画いたしましたのは六月でございましたけれども、七月の二十日まで延びた。こういう状態のために、次に仮締め切りをいつやるかという問題が当然あったわけでございます。それで、最安全を追求していきますならば、言うまでもなく、その現実に即応いたしますならば、この十月の中ごろ以降に着工するということに相なるわけでありますけれども、その間三ヵ月余を空費することにもなりますし、限られた終着点の問題等もございまして、諸般の事情から、やむを得ず公団としての最後の決心は、七月、八月にかけてやると、こういう状態でありまして、技術的に最安全でありました当時に行えなかったということは事実でございます
  137. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 今のは重大な発言です。総裁は、われわれを全然研究していない者の発言のように、農林省と口を合せて、これは不可抗力だと言うが、私たちはこの計画以来、法案が出てからずっと凝視しておったのです。いろいろな買収が多くて、その他いろいろな公団の内部の都合から着工がおくれて、そうして一番雨期の状態の悪いときに締め切ったために、これが流れて相当な迷惑を及ぼしたことが、専門家のひとしく認めているところなんです。これは桜井理事が裏書きしてはっきり言っておる。総裁どうお考えになるか、総裁の明快な答弁を伺います
  138. 櫻井志郎

    参考人(櫻井志郎君) おそれ入りますが、もう一つつけ足さしていただきたいと思います
  139. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 技術者の立場から良心的にこの委員会にはっきり発言して下さい。
  140. 櫻井志郎

    参考人(櫻井志郎君) 最渇水期は申すまでもなく十月の末から二月、その次に考えられますことは四月、五月、と同時に七月、八月、八月の終りから九月にかけましては——言うまでもなく九月は台風期に入りますけれども、私どもはこの問題につきまして、過去十カ年の月別の出水を調査をいたしまして、七月から八月にかけて十カ年の統計からいいましても、出水が非常に少いということも統計の上で確認をいたしまして、そうした決意に行ったわけでございます。決して状態を無視して、非常な危険期ということではございません。非常な危険期は六月、九月、それから十月の初めということに統計上はなるわけでございます
  141. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 浜口総裁の今の不可抗力という答弁について私は異議があるのですから、はっきりした答弁をして下さい。
  142. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 私の不可抗力と申しましたのは、先ほど申しましたように、十年間の統計を、降雨統計などを調べました結果、これならよかろう、万一のあれもありますけれども、大体それによって、それから今、桜井理事の申しましたように、一番安全なとき、工事がいくら延びてもいいならば十月の中旬過ぎから翌年の一、二月、こういうのが理想的でございますが、そのほかの統計をとると七月から八月はまあいいというのと、今の工期のことでやったわけでありますが、そこへ意外な雨ということが起ったものですから、それももう少しあと雨の降るのが十日か二週間おそければ、こちらはどんどんどんどんまた積み上げていきますからよかったのでありますが、そういうような大雨が降ったので、その意味においてこちらは欠陥はなかった、工事に欠陥がなかったという意味で申し上げておるのでございます
  143. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 私の言うのは、公団がしばしば述べているように、最終の完成しなければいかぬ時期がきまっておるので、多少危ないが追い詰められて事実やったのだから、昨年の二月にあれを善行して、もう今年のこういう時期にはすでにそういうふうな仮排水路の点は片づいてしまっておるというのが計画当初のあれだったやつが、おくれたためにあなたたちが決意して、統計上から見てやや危ないが、まずやったということが実相であって、今の時期にやったことが不可抗力であったということでは、私たちはこれは納得しがたいのです。私たちは、この計画表から見まして、その時期に、一番長い間の実績から見た二月に締め切って、それから工事を着工していたならば、今日のような仮堤が流れて、多くの国費を流失することはなかったという考え方なんです。
  144. 相澤重明

    相澤重明君 浜口総裁の今の御答弁、まことに私は遺憾だと思うのです。というのは、雨の降るのが十日か二十日おくれれば問題なかった……。昔の歌に、雨の十日も降ればよいということわざもある。まあ反対の意見もある。しかし、そういうことを私は議論するのではなくして、雨が降ったから、あるいは台風の時期であるからということをあなた方が計算に入れないはずはない。日本に雨が降らないなんということは考えられない。台風が来ないなんということは考えられない。これは今までの歴史的な事実なんです。これは農林省だってそういうことははっきりしておる。にもかかわらず、なぜそういうふうなことをやらなければならなかったか、時期をきめなければならなかったか。先ほど桜井君は言っておるが、いろいろな関係でこれはそういうふうにせざるを得なかった、こう言っておる。いろいろの関係とはどういうことか、そのいろいろの関係を一つ説明してもらいましょう。
  145. 櫻井志郎

    参考人(櫻井志郎君) 要は、完成の時期を予定より変えたくない、変えないという、つまり終着点に到着することをおくらさないというためには、最安全期でない時期にも決行することがやむを得ないであろうという結論であったわけであります。かいつまんで申し上げますと、そういうことでありますが、いろいろという言葉を使いましたのは、そのことを分解して言いますと、逆に、秋に仮締め切りダムに着工することにいたしますならば、工期もそのままで行けば延びざるを得ない。工期が延びれば、あるいは建設利息、あるいは一般管理費等事業費がはみ出すおそれもある、こういう意味で私はいろいろという言葉を使ったわけであります
  146. 相澤重明

    相澤重明君 それでは桜井君に端的にお尋ねしましょう。そういうふうにいろいろな時期の判断をされて、無理をして安全でない時期に、とにかく仕事を期間内に完成するためにやった。しかし不幸にして、先ほどの浜口総裁の言葉によれば、雨の十日も降らなければよかったということで、先ほど総裁の言うあら締め切りと仮締め切りという二回の言葉の使い分けをされておりますが、一体これはどのくらいの損害になったのですか、大したことはありませんか。
  147. 櫻井志郎

    参考人(櫻井志郎君) 第一回のは、先ほど総裁から申しましたように、いわゆるあら締め切りあるいは一時締め切りという言葉を使っておりますが、七月の二十三日にあら締め切りを完成いたしまして、二十六日未明、たしか午前一時ごろでありましたでしょうか、その状態のときには、仮締め切りの方は中央口でまだ十五メートル程度あいているわけでありまして、仮締め切りは締め切り段階には入っておらなかったわけでございます。そのときに、台風十一号が通過したあとのこれとは別の停滞前線による局部的な豪雨によりまして、あら締め切りと工事中の仮締め切りの一部が流れたわけでありますが、仮締め切りの数量といたしまして、三万八千立方メートル程度であったと記憶いたしております。ここで資料を見ればわかるのでありますが、端的に申しまして、その程度の数字でございまして、これの損害額は千百万程度であったかと思います。間違いでございましたら、後ほど数字を恐縮ですが訂正さしていただきますけれども、しかしこれは公団の損害とは、公団が弁償すべき、負担すべき損害ではないというふうに考えております。それから第二回目の仮締め切りがほぼ完了しましたときに受けました損害は、仮締め切り約十万立方メートルに対しまして四万八千立方メートル流出をいたしまして、この分の損害が約千五百万程度でございます、仮締め切りだけで申しますと、その他あら締め切り、下流側のごく小さな仮締め切り、あるいは放水路の下流開渠部分の損害というものはございます
  148. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 桜井君のはあまり技術的な答弁であって、今日非常にやむを得ざる状況下において、締め切りをせざるを得なかった、そういうような農林省なり、いろいろ計画当初において、そういう危い時期を見越してでも、この仮締め切りをしなければこの工事が四年半の間にできないというお見込みでやったのか、それともむしろ今までのある空間——遊びが多かったために設立当初から今日までにいろいろな内部事情、あるいは愛知用水公団内部のいろいろな進行がおくれたためか、その点どうです、農林省の方の見解をはっきり聞かしてほしいのだが。
  149. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の御質問でございますが、最初七月に締め切りをされるということは、これは何も認可事項でも何でもございませんので、私の方の認可を受けてという意味ではございませんが、私は公団としてはやはりなるべく早い時期に終期が一応三十五年の十二月ということになっておりますので、公団の立場とされてなるべく早い時期に完成したいというようなおつもりから、その締め切りにかかったのだろうというふうに私は思っております
  150. 小西英雄

    委員長小西英雄君) そういうことじゃないんだ。いろいろ聞くのは、そういうあぶない時期というのはわかっているんだが、技術的に今のおくれ方——昨年の二月に順調にいっておればできておったものを、いろいろな用地の買収とか資金の関係とか、いろいろな関係でおくれたということを世間のいろいろ通の人が言っているんだが、その点はどうかということなんです。
  151. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 間違えて失礼いたしました。今の御質問でございますが、われわれといたしましては、公団の仕事がおくれたということをよく言われるのでございますが、一つは一番大きな原因は、この資金計画を考えました場合に、余剰農産物の見返り資金を使ってやっている、おもに世界銀行の借款の方にこれを期待していたのでございますが、これの第三次から受け入れが中止になったということで、資金計画を根本的に作りかえる必要があるというようなことによりまして、実施計画を作る段階になりまして非常におくれたということが一つと、もう一つは特にダムの水没地帯等の補償の問題等につきまして、予期以上に交渉が長引いたというような、そのほかにも小さい理由はございますが、私どもの見ております一番大きな理由としては、今あげましたような二つの理由からして、工事が最初考えていましたよりは若干おくれてきたというふうに思っております
  152. 小西英雄

    委員長小西英雄君) おくれておるんだったら、そのおくれたために、こういうふうな時期に締め切ったことだから、事業全体としてはこれは不可抗力ではなかったとわれわれ断定しているんです。昨年の二月にやって、もうこういう台風期をよけられたのだから、当初の計画からいえば、それはいろいろ用地の交渉がおくれたとか、余剰農産物が打ち切られたり、そういうものも一つの理由になるかもしれないが、かなり金がかかって、銀行でだいぶ遊んでおった。それにいろいろの公団側の努力や、いろいろなあれがおくれて、そうして一般から追い詰められて、こういう時期でも危険があるが知りつつやっているんです。今の技術屋の答弁によって、そういう点をもっと率直に、われわれ委員会を開いていろいろみんなに聞くということは、真相を知りたいからやってんで、おざなり一ぺんの新聞紙上やその他の答弁によってわれわれをごまかしたってだめなんですよ。もっと率直に、時期が誤まったためにとか、あるいは内部の総裁の更迭とか、いろんな関係もあって、実はおくれたというふうな率直な答弁なら、委員長としてははっきり言ってよろしいと言うのだが、どうもわれわれのところへ出てきて、表面だけ合わすために、これは大洪水だったからとか、不可抗力だったとか、あるいは余剰農産物だけにひっかけて、余剰農産物じゃなくても、政府の方も十分やりたかった仕事だから、資金についても相当国会で問題になったから、出すことに対してみんな協力しているんですよ。これはそんなに簡単に、通り一ぺんにあんたが言うふうな薄っぺらな考え方で委員会の、少くとも委員の連中も相当勉強してやっているんだから、今後の答弁については率直な意見を私たちに答弁していただきたい。農地局長、どうです。
  153. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の御質問でございますが、私おくれた理由として二つの大きな理由を申し上げたのでございますが、私農地局長としては責任をもって申し上げますことは、私はおくれました大きな理由というものは二つある。そのほかにたとえば、技術協定の関係でいろいろ交渉が手間どったことがあるとか、いろいろほかに理由はございますが、一番おくれました大きな理由は、やはり資金計画が基本的に変ってきたということと、用地の補償関係、これが非常におくれたという、その二つの大きな理由から仕事がおくれてきたかと私は今でも思っております
  154. 相澤重明

    相澤重明君 伊東農地局長、今の御答弁でありますというと、技術協定の若干の問題や何かは別といたしましても、資金計画、補償問題が長引いて非常に難航した、こういうことでおくれたということになると、一体それはだれの責任になるんでしょうね、そのことは。あなたはどう思いますあとで私は総裁には別にお尋ねいたしますが、あなたはどう思いますか。
  155. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私おくれました大きな理由を二つ申し上げたのでありますが、その中で、資金計画が変ってきたということにつきましては、これは政府としまして、余剰農産物を受け入れるかどうかということの判断をしたわけでございます。第一次、第二次は受け入れまして、第三次は受け入れぬというようなことは、政府がきめましたので、その関係の資金計画が変ってきたということは、私はそういう関係政府が余剰農産物を受け入れることを中止しましたので、これに基きまして資金計画の再編成をしたというようなことになるのじゃなかろうかと私は思います。  もう一つの用地の問題でございますが、これは農林省といたしましては、公団の監督はもちろんいたしておりますが、そこまで立ち入りまして、用地の補償ということをどうということまでいってはおらぬで、これは大体公団が第一線に立って交渉をしておられたというようなことでございます
  156. 相澤重明

    相澤重明君 これは重要な発言に私はなると思うのでございますが、農林省局長政府のやはり計画がまずかった、責任政府にある、こういう答弁をされたと思う。これでは私は岸内閣に対するこれは重要な問題となると思うのでございますが、もしあなたがそういうことであれば、やはり政府としての責任を私は明らかにしておかなければならぬ。まず第一は、これである、この点は政務次官どうでしょう。今、農地局長の言うように、これはもう政府責任である、端的に言って。こういうふうに今、農林省当局はそういうふうにお考えになっておりますか。
  157. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 愛知用水公団の計画を立てました当時、当初は余剰農産物の資金を預け入れるという計画を立てまして、その後におきましても、おそらくは日本の国際情勢、または国際収支の関係食糧の過不足の問題、その他の点から申しまして、やはりこの余剰農産物の受け入れということは相当期間続くであろうという前提のもとに、この計画を立てたのでございますが、その後経済情勢または国際関係その他の事柄がだんだん変って参りましたために、日本として引き続いて余剰農産物を受け入れることが妥当でないという判断をいたしまして、そういう関係からその余波を受けて、この資金計画にも多少の移動を生じて、その調整に時間をとったということは、私どもできればそういうふうなことがありましても、スムーズに当初の計画に変るべき財源を見つけていくのが、これはもう当然でございまして、そういうふうな事柄のために、やむを得ず事がある程度遅延せざるを得なかったという点は一つ相澤さんも御了承願いたいと思います
  158. 相澤重明

    相澤重明君 私は、もちろん岸内閣全般のいわゆる責任である、こういうふうにあなた方がお認めになっておるのだからそれでよろしいと思う。愛知用水、この公団の計画がどうも長引いて、実際にうまくいかなかった、これは岸内閣、政府自身の責任である、こういう答弁で、私はこれは満足します。しかし私は満足というよりは、そんなことを答弁する、あるいはそれを質問をしたから、それで能事終れりという問題ではない、むしろ国民の関心は大きな三百三十一億にも及ぶところの国家投資をして、そして、いかにしてこれが実現できるだろうか、国のためになるだろうか、産業の発達のためになるだろうか、こういうことが実は国家的なこれは問題でなくちゃならぬ、従ってたとえば、今の中にいわれるこの余剰農産物の第三次の資金計画が、いわゆる百八十六億がうまくいかなかったために、まあ五十何億で一応資金計画を変えなければならぬ、こういうことは私ども承知しております。しかしそれをやるからには、政府だって、この全般的な資金計画をやっても、なおかつこれでもやっていく、これをやり通していかなければならぬという確信をもって、実は仕事を進めていかなければならない。冗談半分でやっているわけではない。そうすると、私は、政府はたとえ一時のそういう問題はあっても、公団に対してはこういうふうにすればできるのではないか、ああすればいいんじゃないかといういろいろな相談があったはずなんだ、そこに今度はやはり私は公団としての責任問題が起きると思う。公団が、先ほどからの答弁を聞いておると、浜口総裁の答弁も伊東農地局長の答弁も、全く二人の言うことは同じようなことだ、これはどうにもならない、台風のためである、不可抗力である、これは天に祈ってみたけれども、どうにもしようがないという形になってくる、それではこれだけの膨大な資金計画をして、そうして大きな工事をやろうというのには、あまりにも私は貧弱過ぎるのではないか、国民が泣きますよ。少くとも私は日本の技術陣はもっと進歩しておると思う。私は決して日本の技術陣が世界に負けておると思っていない。ダム工事について、元来負けると思っていない。にもかかわらず、こういう欠陥が出たというのはどうなんだ、指導性の問題じゃないか。少くとも浜口総裁自身が先頭に立って、そうして資金計画が、たとえば若干問題があったにしても、政府とそうして公団が一体となって進めて行ったならば、この難問題も私は切り抜けられるということを、少くともお考えになって発足したのではないか、こう考えるわけです。そういう問題について、浜口総裁は公団の指導性についてあなたは誤まりがあったか、なかったか、誤まりがないと今日も確信をしておるか、この点について御答弁をいただきたい。
  159. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 今の、結局事業実施計画の告示がおくれたということなんです。それには余剰農産物を使うことができなくなった、これがおくれた原因と思うのですが、一つの、それについて私どもの責任といっても、これは何とも申し上げられません。  それから初めから公団は、私が就任前にそういう初めから計画があったかと、こういうお尋ねのように思いましたが、私は就任いたしましてから、農林大臣から基本計画をもらいまして、その線に沿って公団の仕事を進めておるわけでございまして——まあそういうわけであります
  160. 相澤重明

    相澤重明君 浜口総裁、あなたはそうするというと、私はまあとにかく頼まれ総裁であるから、とにかく言われた通り、その計画書を見て、それを今度は公団の副総裁が職員にこれをやれという言い継ぎをするだけだ、だから資金計画がおくれてもあるいは責任はもちろんないし、それから事業計画遂行についても、その計画書を農林省からもらったのだから、農林大臣の言われた通りに大体その技術陣を進めていけばいい、こういうような答弁に私は聞えるのですが、そういうことですか。あなたの地位、あるいはあなたの責任というものはどうでしょうか。
  161. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 公団は公団法に従いまして、それで農林大臣から指示された事業基本計画に基いて仕事をやるのが建前なんですよ。それから今の農林省の告示がおくれた、告示が出なければ何も、事業実施計画も工事の着手もできないのです。このおくれた理由は、告示は農林大臣のやることでありますから、公団は直接関与する限りではございませんが、余剰農産物の第三次がストップになった、その結果、資金計画を変更しなければいけないので告示がおくれたということなんですから、そこを御了解願います
  162. 相澤重明

    相澤重明君 そういうことを言っているから、この問題はいつまでたってものらくら談義になってしまうのです。私のお尋ねしているのはそういうことではなくて、なるほど資金計画は先ほど私も言ったように、これは第三次の余剰農産物の百八十六億が実際にできなかったために五十何億によって計画せざるを得なかった、これはあなた自身もとの前言っている、私もこのことは指摘しているのです。少くとも資金計画は変更しても、とにかく愛知用水というものは何とかしてこの期間内に、計画した期間内にお互いに一生懸命にやって完成しようというのが公団の君の任務じゃないか、なるほど告示がおくれたのは、これは農林大臣がやらなければどうにもなりません、あるいは計画書がおくれればどうにもしようがありません。それでは、一体総裁というのは何なんだ。少くともあなたが法律に基いて総裁を引き受けた以上は、あなたが全責任をもっていわゆる愛知用水というものを完成する任務があるはずです、任務が。従って、単にあなたは、農林大臣の言われたことをロボットで聞くわけじゃなく、あなたが責任をもって、農林大臣から権限を付与されているし、その会議の中で重要な発言をされる、それだけの責任がある、単に農林大臣が忙しかったから、来られなかったから、仕事がおくれても仕方がないという理由にはならない。そういうようなことが、今のあなたのような発言があるから、一体愛知用水というものはできるのかできぬのかという疑いがむしろ国民の中から出てくる。私は何も新聞論調だけをどうこう言うわけじゃありませんけれども、新聞にそういうふうに書かれるということは、浜口総裁、一体信念をもってやるのかどうか、こういうことまで言われてくるのです。私はその点をまことに遺憾だと思う。やはりあなたが総裁を引き受けられた以上は、政府と一体となって、そしてこの問題を解決する、早く完成するということに努力をされるというふうに一般にも思われ、また新聞にもそういうふうに書かれるようにならなければ、私は、あなたは期待に沿わないところだと思う。しかしながら、今のような答弁をされるから、われわれが聞いても、ほかの委員が聞いておったって、おそらくあなたの答弁では、浜口、一生懸命やっているのだという印象は与えない、私はそう思う。これは私の主観かもしれませんが、しかしおそらく、あなたの今の答弁では、そういう点がさらに誤解を生んでいくことになるのじゃないかと思う。それを私はおそれます。私はこの前もあなたが、いわゆる河野前企画庁長官が浜口総裁をかえようじゃないかと言ったときに、そうでなしに、一生懸命やりなさいとむしろ私は鞭撻したはずだ。政治に関係なく、とにかく法律であなたは責任をとられた以上は、あなたが全責任をもってやりなさい、断固として進みなさいと三月の二十八日に言ったはずだ。今のような答弁は全くあなた自身に自信がなくなったということであります。ただそれは、そういうことがこの中に、たとえあら締め切りであろうと、仮締め切りの問題であろうと、これは技術的に調べれば苦労な点があったかもしれない。しかし農林当局とあなたがほんとうにそういう点を緊密な連絡をとって、あなたがもっと御努力をされてやったならばこういう点はなかったのじゃないか、だからあなたの言われる不可抗力だという点においては、われわれは納得できない。これは不可抗力であるならば、これからあらゆるところに、いわゆる多目的 ムもできるだろうし、またこれから作らなきゃならぬ幾つかの大きな仕事があるけれども、年中それは不可抗力だということで国費に損害を与えなきゃならぬ、日本の技術陣としてもそういうことはあり得ないと私は思いたい。そういう点についてあなたの答弁ではこれはまことに私は遺憾だと思う。あなたはずっとこれからも一生懸命やろうというお考えがあるなら、今のようなのらくら談義にならないような、私は、もっと確信をもった答弁をしていただきたいと思うのです。これはどうなんです、総裁。私はもっと、あなた自身がどんなことがあろうと、とにかく自分の全責任でこれは完成するのだ、こういうつもりで、たとえば政府がおくれようとすれば、あるいは政府がこの計画に若干でも他のことがあるならば、それをとにかく推進をしていく。自分はとにかく一生懸命鞭撻をして、この仕事だけはやっていくのだというあなたの決意を示されていいのだと思う。どうです、この点は。老総裁、一つあなたの決意のほどを表明してもらいたいと思う。
  163. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 私はちっとも全力を尽さないとは申しておりません。農林大臣から示された基本計画、つまり完成期限もきまっております。その期限内にそこに示された仕事を完成するために全力を尽すような熱意をもってやっております先ほども私やっていないというようなことは一つも申さないつもりであります
  164. 相澤重明

    相澤重明君 まああなたがやると言うからそれでけっこうだと思いますが、しかしあなたの答弁では、なかなかそういうふうな印象を与えなかったから、その点で私はさらにお言葉を求めたわけです。  そこでそれでは総裁にお尋ねをしたいと思うのですが、先ほど桜井君からは、このあら締め切りの問題にしろ、仮締め切りの問題にしろ、損害が約千五百万円程度——これは千五百万円ではきかないと私は思うのです。しかし帳じりはどうするか知りません。が、一体この損害は公団のものではない、公団が責任を負うべきものじゃない、こういうお話があったと私は思うのですが、総裁もそういうふうにお考えになっておるかどうか。
  165. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 第一回の七月のあら締め切りにつきましては、これはただいまの桜井理事が申しましたように、公団の負担すべきものじゃないと、こう思っております。第二回の決潰につきまして——第二回、これは私は仮締め切りは第一回と申すのでございますが、これにつきましていろいろ請負業者との間の契約条項等をしさいに検討し、その中にいろいろ不可抗力になった場合はどうとか、その中にいろいろ項目がございます。今しさいに検討しておりますけれども、これは仮締め切りが一応の目標を完成した直後でございますので、これは公団が負担するようになることがあるかもしれない。こういう段階でございます
  166. 相澤重明

    相澤重明君 そうすると、総裁あれですか、額のいかんにかかわらず、今のあなたの御答弁ですと、契約等もこれからよく調べて、そうして完成後であるから、たとえ二日であろうと、三日であろうと、完成後に決潰が行われたということであるから、公団の責任になるかもしれない。公団の責任であるということになると、資金上の問題は別として、予算上の問題としては、これはどういうことになるでありましょう、これは。
  167. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 予算上は予備費から出すことになります
  168. 相澤重明

    相澤重明君 予備費から支出可能の範囲内、こういうものはもちろんあると思うのですが、予備費から支出すれば一向さしつかえないでしょうかな、これは。あなたの見解は予備費から、とにかくもうでき上ったもので、こちら側としては一応完成をしたということを認めたと、従って一日でも二日でも後になってこういう事態があったのだから、公団で負わなければならぬ。公団の、これは一般の経常費というわけにはいかぬから、これは予備費の中から出せば出せるのだから、これはそれでやろう、こういうふうに私どもが理解をしていってよろしいですか。
  169. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) これは先ほど申しましたように、十分に契約条項を検討した結果きまることでありまして、その結果、公団が負担しなければいけないというなら、今申しましたように予備費から公団が出すということになります
  170. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院会計検査院は今までの検査等を行なった際に、こういう問題についてはどういうふうに考えているか、あるいは過去にそういうふうな問題について経過はどういうものがあったか、それについて知る限りの答弁をして下さい。
  171. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 検査院としましては、この工事の着工後の検査はことしが始めてでありまして、この検査もつい最近検査をしまして、担当官がやっときのうあたり帰ってきたばかりなんです。それでその報告を聞きまして、われわれとしましてもよく協議をし、結論を出したいと思っておりまして、まだその結論を出すところまで、現況としてはいっておりません。
  172. 相澤重明

    相澤重明君 これはいずれ会計検査院から報告を受けることにします。しかし私は国費の問題については、その金額の多寡にかかわらず、これは重要な問題に後になるであろう。こういうことだけは浜口総裁に申し伝えておきたいと思うのです。  そこでそれでは他の面について私はお尋ねいたしたいと思うのでありますが、たとえば予備費の中で、支出可能であると判断をされる場合はいいのですが、もし可能でないという場合の取扱い方、あるいはまた、そういうことは別にして、これが受益者にどういう影響を与えるものであるか、こういう点について総裁のお考えをお尋ねをしておきたい。
  173. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 伊藤理事から答弁をしてよろしゅうございましょうか。
  174. 伊藤佐

    参考人(伊藤佐君) 伊藤でございます。ただいま相澤先生のお話しの点でございますが、予備費から、われわれは公団が負担するときまりました分につきましては、予備費から出さざるを得ない、またそれ以外から出す道はないというふうに考えております。それからなおその場合、それでは農民の負担はどうなるかということでございますが、予備費は御承知のように、資金計画の範囲内でございますので、それから出しましても直ちに農民の負担に影響を及ぼすということはございません。
  175. 相澤重明

    相澤重明君 そこで浜口総裁にお尋ねしたいのでありますが、この工事計画はすでにでき上ったものも、また現在工事をしているものもあるわけでありますが、この工事全般について、これは公開入札をやったのでしょうか、いかがでしょうか。
  176. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 指名入札をやっております
  177. 相澤重明

    相澤重明君 指名入札と言いますと、公団があれですか、独自でやったのですか。それとも農林省とお打ち合せの上ですか。その点いかがでしょうか。
  178. 伊藤佐

    参考人(伊藤佐君) 便宜、私からお答え申し上げますが、これは公団が独自でやるわけでございますが、公団の中に業者の選定委員会というものを設けまして、そこに十名余りの委員を置きまして、そして建設省その他から全国業者のいろいろな資料をいただき、また同時に、公団の方に毎年一回業者からの指名願というものが全国から参りますので、それを一つ一つ審査いたしまして、工合の悪いものは除きまして、その中からさらに具体的の、トンネル工事でありますればトンネル工事に応じました適当な業者を数社選定委員会で選びまして、それに指名競争させるわけでございます
  179. 相澤重明

    相澤重明君 農林省の方もこの委員の中に入っておるのですね。
  180. 伊藤佐

    参考人(伊藤佐君) 入っておりません。
  181. 相澤重明

    相澤重明君 おりません……。それで、選定委員会というのですか、十名というのは、今あなたの答弁は、その十人の指名委員といいますか、業者の選定委員という人たちが、この会社がいい、この人がいいということになれば、それで全部契約ができる。だから、公団の意向というものが反映するかしないかというよりは、選定委員会がすべてをきめる、公団は意向を示すことができない、こういうものですか。それとも、公団の意向もその中には入る、こういうふうに理解をするのですか、その点はどちらですか。
  182. 伊藤佐

    参考人(伊藤佐君) 業者の指名範囲を数社きめますのは、選定委員会だけでいたします。従いまして、ほかの意向は入ってございません。農林省の人もむろんおりません。
  183. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、選定委員会で業者を数社きめる、その中から公団が指名する、こういうことですか。
  184. 伊藤佐

    参考人(伊藤佐君) 選定委員会で、指名すべき数社の業社をきめるわけでございます。その中から指名するのではなくて、選定委員会で、トンネルならトンネルについて、このトンネル施工に適当な業者、たとえば五社とか六社とかいうものを選定委員会で選定いたしまして、その選定した者を指名するわけでございます
  185. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今の公団の行き方というものは、その選定委員会というものがすべて指名の権限を持っておる、こう理解をしてよろしいですね。
  186. 伊藤佐

    参考人(伊藤佐君) さようでございます
  187. 相澤重明

    相澤重明君 政務次官にお尋ねしたいと思うのですが、農林省の契約については、工事契約等については、農林省全般の問題としてそういうふうなやり方をとっておるでしょうか。それとも、これは愛知用水公団だけに適用されておる問題でしょうか。
  188. 高橋衛

    説明員高橋衛君) 私、実はまだ入札のことを勉強しておりませんので、清野建設部長からお答えいたさせたいと思います
  189. 清野保

    説明員(清野保君) 農林省でやっております直轄工事の業者の指名につきましては、農地事務局の中に、初めに資格選定委員会というものを設けるのであります。各業者から毎年の初めに指名願が参ります。その参りました指名願の業者の中で適格と認められる者を、A、B、C、Dの四階級に分けますところの資格選定委員会を設けます。その次に、その資格選定委員会できめられました業者の中で、工事費が一億円以上のものにつきましては、さらに別途に、資格選定委員会のほかに、業者の指名委員会を設けまして、その指名委員会で、さらに工事の種類等によりまして、A、B、C、それぞれの等級に分れました業者の中から、工事の規模によりまして、たとえば工事費が五千万円以上、あるいは一億円以上の場合には、そのA級業者をやる、五千万円以下の場合にはB級業者、こういうような規定がございますので、その規定に従いまして、それぞれ業者の指名委員会の方で指名をいたしまして、農地事務局長がこれを決定いたします。大体直轄工事の場合にはそういう方法をとっております
  190. 相澤重明

    相澤重明君 この工事の指名については、各省ともに非常に問題になるところなんで、政府においても、これらの問題については、いつもつまらぬうわさをされるので、非常に厳格に私は工事の契約等は行なっておると思う。従って、業者の指名についても、取扱いは非常に慎重に私はやっておると思うのです。いつも決算委員会でそのことは追及され、また政府もその通りやっておるという答弁をされておるわけです。しかし、今の公団のお話を聞くと、これはもう明らかに選定委員会十人の権限、この選定委員十人の人の意向によって、どうにでも業者の指名はきまってしまう、こういうことになるわけですね。先ほどの答弁ではっきりするわけです。  そこで、率直にお尋ねをしたいですが、その十名の指名委員というのは、どういう経歴の人で、どういう方々がなっておりますか、御発表いただきたいと思います
  191. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 相澤さん、ちょっと先ほど伊藤理事説明されたことがお聞えにならなかった点があるじゃないか。大体、今、農林省の清野部長の言われたことと同じようになっておる。といいますれば、毎年一回、公団の工事の請負を希望する業者から指名願をとりまして、その中からこれを審議会で十分の検討——これはもう農林省にも聞きますし、今までも農林省なんかで成績もございますし、また、建設省の成績もある。そういうものを全部調べまして、有資格者名簿というものを作る。これは数百社ございます。これが土木建築、全部分けまして、さらにこれを格づけするのであります会社の規模、能力、信用、そういうことによって格づけをしておるのであります。それで、いろいろ具体的の、たとえば、あるトンネルの工事ならトンネルの工事を請負人に出そうというときば、その中から、先ほど清野部長の言われましたと同じように、これはこのくらいの工事だからAクラスでなければいかぬ、Aクラスにランクされておる業者がおりますから、その中からなるべく五社以上を選びまして、これに入札をさせる。  それから最後のお尋ねの請負業者と審議会の委員はだれかというお尋ねでございました。これは、この二月から改正されまして、ただいまの規定では、会長が総裁、副会長が副総裁、それから各理事がみな委員になっております。及び各部長——これは部が四つございます。それと事業所長、たとえば、水路のトンネルを一つ入札するときには、そのトンネルの所在地を管轄している事業所長、所長というのは、堰堤事業所長、第一水路事業所長、第二水路の事業所長、こう三つございます。その関係の所長、これで委員会を構成するわけでございます
  192. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、実質的には、業者の選定をするというのは公団が全部やる。公団の総裁、副総裁、理事、そして現場の所長、堰堤、第一、第二水路、そういう順位で、これは別に他の学識経験者とか、あるいはそういう技術の経験を持った者とか、あるいはまた、いろいろなそういうふうな、とにかく一般にいわれるところの縁故関係がないとか、あるいはもっと公正妥当な第三者的な構成ではない、こういうことははっきりしましたね。これは、浜口総裁以下、公団の最高幹部が選定委員になっておる。こういうふうに私どもは理解をしてよろしいんですな。
  193. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) その通りでございます。公団内部でやっております
  194. 相澤重明

    相澤重明君 そこで、それではお尋ねをしたいのでありますが、公団では、そういうことでたくさんの国内の業者がおる。その中で、特に愛知用水公団の指名願を出された者がたくさんあると思う。その中からこの数社をあげて委託、いわゆる入札をされ、契約をした、こういうことになっておるわけですが、これは原則はどうなんでしょうね。これは一社でやるという考え方ではないのでしょうが、あげられておる数社に限る。それ以外には、あまり今まで農林当局に聞いても、好ましくない業者であるということで、ここにあげられておる業者だけが指名をされたのですか。その点、選考の過程はどうですか、そういうことは発表できませんか。
  195. 伊藤佐

    参考人(伊藤佐君) 仕事によりまして、むろんそれぞれ違うわけでございますが、トンネルの得意な業者もございまするし、また開渠の得意な業者、あるいは池の得意な業者ということで、それぞれの建設省あるいは農林省のあたりでランキングをつけられたものがございますので、そういったようなものを参考にいたしまして、そして仕事の具体的なものをどの業者にまかすのが一番適当であろうかということを、そういうものから拾い出しまして、そして五社以上のものを一つの仕事について選び出すわけでございます。従いまして、ただいままではまだ数カ所でございますが、今後は次々と仕事が出て参りますので、従いまして、そういったような適当な業者というものもふえてくるわけになると思います
  196. 相澤重明

    相澤重明君 そこで農林省にちょっとお尋ねしておきたいのですが、愛知用水公団からそれぞれの業者の指名が行われる、こういうことについては、これは報告を受けるということが建前でしょうか、それとも公団にまかされておるから、それは公団の決定されたことでよろしい、こういうことでしょうか。
  197. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) その点は、公団におまかせしておりますので、一々公団に報告の義務は負わしておりません。
  198. 相澤重明

    相澤重明君 わかりました。  そこで、それでは浜口総裁にお尋ねをしたいのでありますが、たとえばここに、今度の七月二十六日のあら締め切り、八月二十六日の仮締め切りの二回の堤防決壊が起ったわけです。この工事を担当した三島建設というのが、三十二年の十一月十六日に仮排水隧道工事というのを契約をしておるわけでありますが、本年の六月十五日に完成をした。そのことはいいのでありますが、当初の仮排水工事におけるところの資金計画あるいは予算、こういう点について、完成をするまでの間に、計画あるいは資金変更をしなければならぬ事情というのはどういうものであったのでしょうか。資金計画がちょっと、いわゆる予算が少し変ったように思うのですが、当初の計画と、そのでき上るまでの相違というものは、何でこういうことが起きたか。
  199. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 工務部長の白木から説明させます
  200. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 白木工務部長に発言さすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 白木稔

    参考人(白木稔君) ただいまの御質問に対するお答えをいたします。当初のときの金額は数字的にはっきりいたしませんので、あるいはまた誤まりがあるかもしれませんが、間違っておりましたら、後刻訂正させていただきます。  当初の設計金額は二億七千七百万程度であっただろうと記憶しております。それを入札にいたしまして、落札価格が一億四千万程度であったろうと思います。それで契約後約三千二百万円ほどの増額を来たしまして一億七千二百万円余の金額に増額になったわけでございます。その増額の内容は何かと申し上げますと、トンネルは、当初予定しておりましたよりも、地質状態が少し予定よりも悪かったのと、ガス発生その他がありまして、多少位置を変えて参りまして、延長を少し増しました。それから、当初は支保工をやる予定でなかったところ、支保工をやらなければならない延長がふえて参りました。それから支保工そのものを取りはずす予定のところが、取りはずしては危険なところがありましたので、それを埋め込んだままコンクリートを打ったわけでございまして、コンクリートの数量に若干増額を来たした。  以上申し上げたことが主たる変更の理由でございます
  202. 相澤重明

    相澤重明君 どうも今の説明でははっきりしないのですが、どういうことですか。当初二億七千万なり二億八千万の計画を持っていたけれども、入札は一億四千万で入札をした。しかし入札をしたところが、何の延長ですか、何だか延長をした、あるいはコンクリートがどうとかということを言っておるのですが、それで二千何万とか三千二百万とかふやさなければならない、一億七千万にした。こういうことなんですが、何ですか、理由がはっきりしない。当初の一億七、八千万円の予定のものが一億四千万円で入札をしたということはどういうことであるか。半分ぐらいで入札ができる計画のものを、なぜ公団は二億七千万も八千万も予算を組んだのか、これはどうなんですか。
  203. 白木稔

    参考人(白木稔君) お答えいたします。当初私の方で設計しておったものよりも非常に安くできたのはどういうわけか、こういうことに対しまして、詳細は、資料の持ち合せがありませんので、内容的の詳細は忘れましたが、大まかに申し上げまして、この仮排水路の工事のやり方、いわゆる地質の、私らが示しました地質状態に対しての見方の相違であると思います
  204. 相澤重明

    相澤重明君 何を言っている、委員長、ちょっと、発言中だがちょっと待って下さい。今のあなたの言っていることは私にはわからない。当初公団が計画したところをです、今度請負をさせる人のやることを、地質の調査の相違があったかもしらぬが、その結果半分以下でできたということなんだ、これは。半分以下の入札になったということだ、これは。そうすると、公団の計画というものは結局放棄して、請負の計画になったということになる。政務次官、そういうふうに聞えませんか、今の言うこと。だから、今のあなたの発言が、もし二億七、八千万の公団の計画であなたの方で計画をしたものが、一億二千万や三千万でできると、あるいは四千万で、半分以下でできるということは、一体どういうことなのか。公団の計画というものが、それだけ安くできるのを公団が高く見積ったのか。それとも、あなたの今言われるように、公団はこう計画したけれども、指名入札をさしたところが、どうも調べてみたところの結果がよくないから、工事を変更して半分の金でできるのだ、だから安い方がいいということで、その一億四千万にしたのか、こういうふうに聞えてくるのです。どうなんですか、その点は。あなたの答弁ではわかりません。浜口総裁、答弁して下さい。何ですか、その計画変更は。浜口総裁。
  205. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) これは公団といたしましては、一番低く入った札から詳細に検査していくわけです。もう一つ技術援助契約を結んでいるアメリカのエリック・フロア社でも一々詳細にわたってやっていくわけです。低いのからやらなければいけないのです、これは。そうして両方の意見が一致して、よければ安いだけいいわけですから、これに落すわけでございますが、この場合におきましてもエリック・フロア社も詳細にやって、これでできる、こういうことでできたわけです。
  206. 相澤重明

    相澤重明君 総裁の言うことは重大な発言だよ、これは。
  207. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 総裁、愛知用水公団には設計の技師とか技術屋がおるのでしょう、おらぬのですか。技術屋がおらぬのだったら総裁の答弁でいいのですが。
  208. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) 技術屋はおります。設計をするのがおりますけれども、これは御承知と思いますけれども、世界銀行との借款契約になりますと、世界銀行の信頼する技術者を相談相手として、コンサルタントと申しますが、これの何と申しますか、向うではまあアドヴァイスという語を使っておりますが、これの忠言がなければいけない。またエリックと公団側の技術者、公団側との意見が食い違ったときには、世界銀行がこれを裁定するということになっておるのでございます。でございますから、公団にも技術者がおりますが、公団の技術者だけではできない。どうしてもエリックの意見を徴さなければならない、ということになっております。それで両方の意見が一致すればいい、こういうことになっております
  209. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 私どもの常識では二億八千万円のものを一億四千万で、これほど違うものを、これは近来まれにしかないのですが、各社なり会社でも、あるいは電源開発会社でも、予定が十億とする場合には半分の価格で落して、それをのほほんとしていて、それで技術者がおるとか何とかいうのは常識では考えられないのです。あなたも長く金貸しをやっておるけれども、信用調査でも倍と半分とでは話にならない。ほかの方に聞いたら半額でもできるというふうに聞えるのですが、そういうふうな粗悪なものですか、設計というものは……。
  210. 浜口雄彦

    参考人(浜口雄彦君) この設計を作るのにもエリックの方でもちゃんと一々評価をして作ります。公団でも作る。ところが業者の方で、たとえば、こういう場合本社費の方はこの中に入れないとか、こういうふうないろいろな事情があって、うんと勉強してやろうという場合もあります。その場合に内容を見て、とにかく業者がこちらの希望する内容でやるということになりますと、われわれはこれぐらいはかかるんじゃないかと思っておりましても、これでやるというと最低に落さざるを得ない。どこか欠陥があれば、それを省いて次の低いのに行きますが、そういうような事情になっておるわけです。
  211. 相澤重明

    相澤重明君 総裁、どうもあなた少し近ごろどうでしょうかな、健康は大丈夫ですか。(笑声)どうもあなたの答弁を聞いておると、全くしろうとならば、あなたの言うように、この際金詰まりだから、もとは高いけれども半分で、高いと言って、一つ現金で入れましょうということはできるけれども、少くとも愛知用水公団ですよ。国家資本を投下するのですよ。それが二億七千万、八千万の、一応公団の計画したものが一億四千万でできるという。そのときには一億四千万で、安くなればそれがいいからそれを採用しますという答弁がありますか。私はそういうような、率直に言えば、私の言葉を悪く言えば、ふざけた答弁をするということは、国会を軽視するものです。少くとも良心があって、しかも、ほんとうに公団が国民のためにこれだけの事業をやろうという計画をしておるとは思えない。これは高橋政務次官がそばで聞いておって困るだろう。農林省に行って報告しても、こんなずさんなことですべての計画をやられておると思われたらどうですか。新聞にこのことを発表したら、一億八千万の工事を公団が、日本でも有数な技術者がおって、しかもりっぱな浜口総裁がおって、二億八千万でこの工事を計画した。それを請負に出して、入札した西松建設は一億四千万でけっこうですということで、国費が少くて済むからこのようにしましたというふうに言われておる。その中には技術的な問題として米国の意見というものも考えなければならぬ、ほかの会社の意見も聞かなければならぬということを言っておられるが、われわれは米国のことを聞いておるのではない。いわゆる日本の法律に基く独立した愛知用水公団と、こういう立場におけるその責任体制というものを明らかにするならば、今のあなたのような答弁はなっていない。これは一億八千万で計画したものを一億四千万でいいから、安ければいいというようなことがありますか。どこに技術体制ができておりますか。私はこれはふざけた答弁だと、私は言葉は悪いけれどもそういうふうに思う。そういうことであっては、私はまことに遺憾であると思うし、先ほど部長とかいう人の答弁は、資料がないからわからない、しかし概略で、そこに書いてあるか、うろ覚えか知らぬが、発表されておる。資料を提出して下さい。政務次官、先ほどからの答弁で、これはもう資料を提出してもらわなければわかりません。計画、そうして実際やったこと、そういうようなことを全部資料を提出して下さい。それから選定委員のそうしたものを。先ほどお話があったけれども、選定委員会の経過、こういうものもやって下さい。おそらくこれは、私は率直に言えば、私なりに悪口を言わしてもらえば、トンネル会社の工事はトンネルをしておる、金のトンネルをしておる。こういうふうに言われてもこれは何も……。半分でやろうというのだから、もっともうかったかもしれぬと、こういうふうに言われても仕方がない。しかもその次のほかの工事を見なさい。この主体的な大きな工事の請負は同じ会社がやっているではないか。おそらくこの大きな工事をやるためのいわゆる道先を第一の工事に向けたのでしょう。だから予定額よりうんと安くして、私の会社はこれだけ安くするから一つ私の方にやらして下さいとやったに違いない。そうしてうんと大きなもうけをさしておる、第二の工事の方で。こういうふうに言われても仕方がない。しかし、きょうはそれだけまだ資料がそろっておりません。私は幾らでも質問ありますよ。あるけれども、これ以上質問してもだめです。資料もないし、そんなふざけた答弁はない。  従って、農林省から愛知用水公団と相談をして、そうして資料を提出して、それから私ども参議院の決算委員会は慎重審議をしたいと思う。この問題については、私は遺憾ながらきょうはこれ以上の質問をしてもむだだと思う。従って委員長から資料の提出を求めて下さい。
  212. 小西英雄

    委員長小西英雄君) 今、相澤委員が言われた資料の提出をお願いいたします農林省なり愛知用水公団。  なお私、委員長としてお願いすることは、この当初一億四千五十九万であったものが、わずかな間に三千数百万の増額になった、そのいきさつについて、これは会計検査院の方で一つさっそく調べて、ガスが発生したとか、あるいは予定の変更について、この計画の変更等について、詳細、委員会の方に説明をできるように一つお願いいたします。  愛知用水公団の件について、次に資料、その他いろいろ委員がわかる程度の詳細な一つ資料を出していただきまして、後日に譲ることにいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十三分散会