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1958-06-20 第29回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十日(金曜日)    午前一十時二十七分開会     ―――――――――――――    委員の異動 六月十九日委員高橋衛君辞任につき、 その補欠として白井勇君を議長におい て指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     高野 一夫君    理事            仲原 善一君            平島 敏夫君            増原 恵吉君            相澤 重明君            大矢  正君    委員            稲浦 鹿藏君            石井  桂君            勝俣  稔君            白井  勇君            永野  護君            松村 秀逸君            吉江 勝保君            東   隆君            片岡 文重君            島   清君            相馬 助治君            奥 むめお君            大竹平八郎君            竹中 恒夫君   政府委員    水産庁長官   奥原日出男君    通商産業省企業    局長      松尾 金藏君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    経済企画庁調整    局参事官    富谷 彰介君    水産庁漁政部漁    業調整第二課長 諏訪 光一君    通商産業省繊維    局紙業課長   橋本 徳男君    建設省河川局長 山本 三郎君   参考人    東京経済局長 江藤 彦武君    東京建築局指    導部長     大河原春雄君    千葉水産商工    部長      川上 紀一君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (江戸川における汚水放流による漁  業の被害に関する件) ○参考人出席要求に関する件     ―――――――――――――
  2. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員の変更を報告申し上げます。六月十九日付をもって、高橋衙君が辞任されまして、白井男君が補欠選任されました。     ―――――――――――――
  3. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 本日は、理事補欠互選を行いたいと存じます。  理事二名が欠員と相なっております。互選方法は、従来の慣例もございますので、成規互選の手続を省略いたしまして、便宜上、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  それでは、西岡ハル君の補欠として西岡ハル君、奥むめお君の補欠として増原恵吉君を理事指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。  本日は、前回に引き続き、江戸川における汚水放流による漁業被害に関する件の審議を続行いたします。  本件に関しまして、参考人として、千葉県庁から川上水産商工部長東京都庁から建築局大河原指導部長、並びに江藤経済局長政府側から、奥原水産庁長官水産庁諏訪漁業調整第二課長経済企画庁から富谷調整局参事官通産省から松尾企業局長、並びに橋本繊維局紙業課長建設省から山本河川局長の各位が御出席になっております。  その前に、まず、先般参考人にお願いを申し上げておきました資料がだいぶ提出されておりますので、資料の御説明を願いたいと思います。東京都庁から先にお願いいたします。
  6. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 御説明申し上げます。  皆様のお手元に届いていると思いますが、こういう資料でございますが、この工場認可申請書でございます。こういう書類によりまして、知事あて認可申請書が出て参ったわけであります。  一ページ目は普通の要旨でございまして、こういうような要旨のものを作りたいというものでございます。場所としましては、ここにございますように、江戸川区東篠崎町五千百八十一番地、用途地域工業地域であります。業種が製紙業洋紙類。こういうことが書いてございます。  それから次のページがごらん願いたいのでありますが、これは作業の大要、別記となっておりますが、建築物概要とか、作業時間、従業員数とか、原動機がこれだけとか、石炭の使用量等が書いてございます。  それから次のページは、今度問題になっておりますSCP製造設備主要機械概要でございます。そしてここにドラムバーカーと書いてございますのが皮をむく機械でございます。それからバークスクリーンは、それを取るもの。それからSCP蒸解用蒸煮チューブ、こういうものがございます。いろいろな機械が全部書いてございます。問題になりましたのは、ドラムバーカーと、最後デッカーマシン等が問題になるわけであります。  それから次はSCP廃液性質処理計画、これは工場からの提出書類であります。これは先日の委員会で大体御説明を申し上げた通りでございます。会社側としては、今度は概要を申し上げますと、SCPのやつをやります。それから次のイロハと書いてございますのは、こういうような作業をしたいということでございます。それで次のページ等はいろいろな作業内容が書いてございます。それから二ページ目の2のところではSCPやり方が、こういうやり方でやりますから、漁業上無害だと考えておるということが書いてございます。3の方は、今度のNSCPを作ります容量が五十七トンの半分でもって、非常に小規模であって、江戸川流水量から考えますと、きれいな水になるということが書いてございます。それから4はまたそれと同じようなことを書いてございまして作業内容を書いてございます。  それで、一番最後の表でございますが、別表とございますこれが一番重要な点じゃないかと考えております。それでここに欄が二つございますが、下の欄はSCPの今度新しくふえました作業の出ます廃液の分折表でございます。それで上の欄が今問題になる点でございます。これはどういうことかと申しますと、排水量と、それから排水性質と、それから排水放流前の河川放流後の河川BODとを書いてございます。それでここに欄が現状と、SCP設備完成後と二つに分かれております。それで今までの作業とすればこの現状のところへ参るわけであります。それで一日二万五千立方メートル、結局二万五千トンの排水が、SCP完成後は四万四千トンになる。それからPHが六・〇ないし六・五が完成後は六・五ないし七・〇というので、酸性度としては完成後と変りがないというデータが出ておるわけであります。BODは九〇PPMが一五〇PPMに、塩化物変りがないと、こういうふうになっております。それから河川放流前のBODは一、一で、放流後の排水が、二、三の点について異った値になるというデータが出ております。それからSCP廃液分析表は、これは工場全体の廃液ではございませんので、今度ふえた作業によって出る排水としてはこういうものが出るというデータが出ているわけであります、  それから次にこれに付属いたしまして、青写真がついておると思っておりますが、この図面の概略を御説明申し上げたいと思います。この図面で申しますと、上の方でございますが、ここに抄紙とか倉庫とか、製品倉庫とか、いろいろなものがございますが、これは全部上の方は既存でございます。ここに赤くハッチしてございますが、ハッチした部分だけが新しく増設された分でございます。増設といたしまして、ここに書いてありますように、ドラムバーカー、皮をむく機械であります。それから調木室手直室、ここは切ったものを、いろいろなものを調整するわけであります。それからここに丸いのがございますが、丸いところに一時ためまして、コンベヤ等で、ここに連続蒸解室とございますが、ここに入れまして、ここで中性硫酸アンモニアを入れまして、しかる後にパルプ倉庫に入って作業をするとか、いろいろなものに移るわけであります。従って今までのいろいろなパルプ倉庫とか、あるいはまた漂白室等は大正十一年来やっておる部分でございます。赤いハッチの部分だけが今度新しくふえた分でございます。その排水は、この下に青色の線で載っておりますが、これはドラムバーカー排水蒸解室排水も、それから今までの作業排水も一緒の線になりまして、この図面のずっと左の方に参りまして、左の方に社宅と書いてございますが、社宅の方を通りまして、排水所と一番左の端にありますが、ここに出る、こういうことになっております。  それからこの書類とは直接関係はございませんが、私どもが先日の委員会で御説明申し上げました貯水池排水池にしたらどうだろうかというのが、この排水管の中間ぐらいのところに貯水池とございます。そこのところがそういうふうにしたらどうかというふうに勧めた貯水池でございます。  以上でございます。
  7. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 大河原さんに伺いますが、ただいまのこの資料認可申請書の写しのうちから、このおしまいの方に別表SCP廃液性質処理計画、そういうのがありますが、今度の事件関連いたしまして、この中で特に抽出して、あなたの方から御説明になる点はございませんか。読めばわかるわけでしょうけれども、どの点が最も重要で、こういうような点が今度の事件関係があった点であるというような点が何か御説明でも願えればけっこうです。
  8. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) このおもにタイプに打ってございますが、左書きのところに関連はございますが、大した関係はございませんので、一番おしまい別表とございます、これが非常に関連があるのじゃないかと考えております。一番最後ページ別表でございます。別表の特に上の別表でございます。ここに、さっき御説明申し上げましたように、項目、単位、現状とございますが、この現状SCP設備完成後の特にPHの問題、BODの問題、それから最後二つの欄のBODが一とか二とか三とか、この数字が非常に問題ではないかと考えております。
  9. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 大河原さん、この別表排水性質分析表というようなものは、その排水について実験分析をされた結果であって、この排水が出るに至っての認可されるまでの工場施設、そういうことについてどこか欠陥があるとかないとかいうような点は何かありませんか。
  10. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) ここに出ておりますのはSCP廃液性質でございますから、SCPと申しますのは、今度増業になった設備でございます。その設備概要がこのプリントの五ページくらいにわたって書いてあるわけでございます。これは、今度のSCPというのはどういう作業であって、害がないというデータでございます。
  11. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に千葉県庁の方から御説明願います。
  12. 川上紀一

    参考人川上紀一君) 千葉県の水産商工部長でございます。  御説明申し上げます前に、私今回初めて召喚されたのでございますが、この問題につきまして、いろいろと当委員会の御審議をわずらわしておりますこと、漁民の指導立場にあります、しかも部長といたしましておわび申し上げたいと思います。  千葉県から提出いたしました資料は、この「本州製紙株式会社江戸川工場廃水調査報告書」、少し厚い書類でございます、半折にいたしました。それといま一つは、二枚の一枚べったりになっております「本州製紙株式会社提出資料に対する所見」、この二つ書類でございます。  調査報告書でございますが、最初のページから五枚目までは、これは試験調査をいたしましたメトドロギーのことを書いてございます。6が調査試験の結果をまとめたものでございます。カッコにしてない最後から二枚目でございます。それが調査試験をいたしました結果の概要でございます。十点にわたってその考察を加えておりますが、これは前回ども水産課長が参りまして、ここで供述いたしたのでございますが、それと相違はございません。内容はこの排水が非常に強い強酸性を示しておるということ、それから有機質が多いということ、排水口付近には木のくず、これは繊維でございますが、これが非常にたくさん積っておるということ、従ってこれらが漁類貝類に非常な影響を及ぼすということ、特に酸性それから有機質繊維水中で分解が行われますために水中の酸素を奪う、従ってこれが漁類に悪い影響を及ぼす。それからこの木のくず繊維、これらが魚のえらに当りまして物理的と申しますか、機械的な被霊を生ずる。それから生物試験をいたしました結果、フナの稚魚がこの原液に入れますと相当早い速度で死んでいく。それから、ここの浦安地帯の貝が千葉県の他の海域におきますところの貝よりも、空中活力と申しますか、とって参りました貝を空中にさらした場合に早く死ぬという試験結果をまとめたものでございます。  先ほど申し上げましたように、6にそれらを十点にわたりまして要約し、その前に書いてございますのは、その試験結論を導きました方法でございます。方法が書いてございます。で、前回水産課長がここに参りました際に御要望、御指名がございまして、本州製紙の出しました試験結果に対して千葉県はどう思うか、この反論を基礎に置いて、さらに千葉県の試験結果というものを提出するように、こういう御要望であったと思うのでございますが、それに対しまするところの所見をこの十点にわたり、まとめて出してございます。  私ども前回水産課長が申し上げました意見をその後において変えておらないわけでございますが、これらの点につきまして、詳細御説明の要がございましたならば、試験場長が同道いたしておりますので、試験場長よりお許しを得まして御説明申し上げたいと思います。  以上でございます。
  13. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に東京都の江藤参考人にお願いします。
  14. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 先般の委員会の御要求がございました資料を、こういう長いものでお手元に提出してございます。この内容につきましては、先般私及び私の方の水産課長が口頭で申し上げましたものを大筋にいたしまして、まとめたものでございます。  それで、水質調査並びに生物飼育試験の1及び2は、これは参考につけたわけでございます。と申しますのは、この問題が起る前におきます、いわゆる三十二年の六月におきまする江戸川方面におきまする水質調査現況と申しますか、その当時の現況及び三十三年の二月七日の大体様子をここに御参考までにしるしたわけでございます。  その後におきまして三十三年五月七日以降は、当問題の本州製紙工場の新しい工程における機械の運転中の問題を、稚アユによる生物試験及び先般申し上げました五月十三、十四の水質試験、及び生物試験によりまする現場の試験室内試験に分けまして、先般申し上げましたものをここに記述した次第でございます。  その後におきまする、三十三年六月四日、いわゆるこの問題が起きまして機械が停止後においてどういう状態になっておるかというものを、六月十四日にまた試験をいたしました結果をここに掲げてございます。  それから三枚目は、魚貝類状況調査といたしまして、貝類異常斃死状況につまして、ここにその斃死状況調査日子及び区域、斃死日子概要を申し上げました。その方面に多いところのシジミ、アサリその他のものによりまして、一応斃死貝状況をしるした次第でございます。  それから最後に、最近におきまする江戸川における漁獲の状況というものを御参考に供した次第でございます。  なお詳細につきましては、専門水産課長も参っておりますので、御質疑等がございましたらば、専門事項にわたりましては水産課長より説明いたします。
  15. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 江藤経済局長、一番最後本州製紙株式会社中央研究所水質分析検討、これについて御説明願います。
  16. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) この問題は本州製紙中央研究所水質分析に対します私どもの見解をここに書いたわけでございます。問題になります、いわゆるPHの問題につきましては、こういう観点を持っておる、BODその他の問題につきまして、ここに記述したような観点をもちまして、会社側水質分析に対しまする私ども意見を記述した次第であります。
  17. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 結論を聞かして下さい。内容あとで質疑しますから、東京都で会社中央研究所試験の結果を検討なさった結果、東京都としての結論はどうであるかと……。
  18. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 私どもといたしましては、私ども試験研究機関データが正しいというふうに考えております。
  19. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それではあとでお聞きします。  次に水産庁から資料についての御説明を願います。
  20. 諏訪光一

    説明員諏訪光一君) これは、この前からもいろいろ御説明がありましたが、大体において今度の工場汚水につきましての経過概要をちょっと書いておいたのと、それから現況、ここまではこの前も皆さん方がお聞きになったことをあらためて書いただけでございます。  それで補償関係ということがこの前もちょっとございましたので、補償関係につきましては、現在東京都及び千葉県の水産専門家調査中でございますので、その結果を待ちまして両当事者間で交渉が進められ、そして都及び県がこれにごあっせんをする、そういう努力をするはずでございますので、水産庁としては十分に両都県を指導して、全国でいろいろな問題のあった例などをお示しして指導して参りたいということを書いたのでございます。  それから、先日やはり問題になりました法律の制定についてはどういう経過になっておるかということでございましたので、ここに水質汚濁防止に関しまする法令の不備を補うために、昨年から経済企画庁水質汚濁規制基準に関する法律案というものを作っておりますので、それを関係各省が寄りまして、現在まだいろいろと協議調整中であるということを申し述べまして、今後ともに関係各省でぜひともこれを検討して何とか調整をつけてすみやかに立法化いたしたいというふうな希望を持っておるということをここに書いたわけでございます。  それから二枚目になりまして、「水質汚濁防止に関する法律案等経過について」とございますが、これはずいぶん前からこういうものがいろいろと論議されておったという経過をここにお示しいたしましたので、すでに昭和二十六年の一月に、経済安定本部資源調査会から水質汚濁防止に関する勧告というものが出ておったということと、それからその際に、それはそのままに終りましたけれども、これを何とか実現すべく、2の水質汚濁防止対策連絡協議会と書いてございますが、ここに書いてございますように、厚生省幹事役といたしまして、関係各省が相集まりまして、二十八年十二月以来昨年の三月まで関係各省でいろいろと協議いたしまして、その結果、関係各省のみでは工合が悪いということで、先ほど申し上げましたように、昨年の四月に経済企画庁調整をお願いいたしまして、現在に至っておるというような次第に相なっております。  それからあとにずっと書いてありますのは、そういったような、途中でこういういろいろな資料が出されておるということで、漁場水質汚濁防止法案というのが、業界からも一時出ました。それから、水質保護調整委員会設置法案要綱というものを水産庁で一応作りましたし、それから厚生省では、公共水湖防止委員会設置要綱案というものを作り、そうしていろいろとそういうものを調整して参って、クの水質汚濁規制基準に関する法律案というものを企画庁で調整してお作りになって、それを検討中であります、とこういうことを順次ずっと列記したわけでございます。  それから最後は、前国会の終了何日か前に、水質汚濁防止法案というものが社会党から内閣委員会に付託された、こういう経過を一連にずっとここへ書いたような次第でございます。
  21. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に通産省資料について説明を願います。
  22. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 水質汚濁防止措置に関する当省の対策というタイプの表を配付しておると思いますが、これの第一点は、ただいま水産庁の方からもお話のございました、従来のこの問題に関する立法検討経過を要約して掲げております。今の説明と重複いたしますが、資源調査会勧告があり、その後連絡会議を作り、それからその間におきまして、通産省におきましても、産業合理化審議会産業関連施設部会排水分科会を設けまして、ここで工場排水実態調査水質基準検討排水処理技術研究排水処理施設に関する助成措置検討というような諸項目について検討をいたしましたが、その後昨年の三月以来経済企画庁中心にしまして、法案準備に着手をいたしたのでありますが、その水質汚濁規制基準に関する法律案が一応の成案を得たのであります。私どももこの案に賛成をいたしまして、この水質汚濁規制基準についての法案が成立いたしますことを前提といたしまして、その基準工場に順守させるための法律を、いわば基本法に対する実施法通産省としても準備を進めておったのでありますが、不幸にして前回国会では提案の運びに至らずして会期を過ぎたわけであります。  第二点は、この排水処理技術に関しまして、従来通産省といたしましては、工業技術院傘下試験研究所におきまして、排水処理技術について研究所自身特別研究を従来いたして参りましたし、また各方面試験研究機関に対しまして、補助金を交付してこの問題の検討を進めて参りましたことについて、昭和二十九年以来のこの状態をこの一覧表にして掲げております。  なお第三点といたしまして、そのような根本対策と並行いたしまして、ある地区によりましては、中小企業が非常に密集しておりまして、その中小企業自身がみずから水質汚濁除去施設をできないような地域があるわけでありますが、このようなものにつきましては、やはり共同の排水処理施設を作ることについて、何らか国庫補助をしてやる必要があるというので、これは三十二年、昨年から予算が――この予算としては建設省の方に計上していただいておりますが、金額はあまり多くを望めませんでしたけれども、そのような制度を昨年から実施をされておるということを御報告しておるわけであります。
  23. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に建設省資料について……。
  24. 山本三郎

    説明員山本三郎君) お手元に差し上げてありまする「水質汚濁防止について」という資料がございますが、それによりまして御説明申し上げようと存じます。  第一番目は、汚水による被害防止対策につきまして、建設省はどんな考えを持っておったか、また、持っておるかという点についてでございます。最近になりまして、公共水放流をされる廃液等公共水汚濁いたしまして、諸種の産業被害を及ぼしておるということは、私どもも認めておる次第でございます。従来におきまして、私ども河川立場から申し上げますると、河川におきまする水質汚濁防止につきましては、河川法の十九条の規定に基きまして、都道府県の規則を制定されまして都道府県知事取締りを行なっておったわけでございますが、現在の状況に応ずるためには、その条文等が非常に抽象的でありまして、実効性を確保することが困難な状況になって参ってそれによります取締りが必ずしも十分でないというのが実情でございます。従いまして、これに対する対策といたしましては、この取締りを実効あらしめるようにいろいろかねてから研究をして参ったのでございますが、この行政は、各省行政にまたがりまする非常に複雑なる問題でありましたために、先ほどから各省からも御説明がございましたように、経済企画庁中心となられまして、関係各省と打ち合せをしつつ、水質汚濁規制に関する法律案を立案すべく準備中でございます。それの要点は、ここに水質審議会を置きまして、内閣総理大臣が水質の許容基準を定めまして、関係をする各省はこの基準に基いて効果的な防止対策を講ずるという趣旨のものでございまして建設省といたしましては、これが定められたならば、今後におきまして、河川立場からの取締りに遺憾のないように処理したいというふうに考えておる次第でございます。  さらに、建設省といたしましては、東京都内におきまして汚濁のはなはだしい隅田川につきましては、汚濁防止等の見地から、川の川ざらいを行なってきております。また、水質汚濁の実態を明らかにするという見地から、あるいは水質許容基準の制定の参考にもしたいという見地から、本年度から、水質汚濁のはなはだしい河川、全国の四河川を選びまして、水質調査を直轄で行うということにいたしております。  第二番目は、水質汚濁防止基準に関する法律案の経緯でございまするが、これにつきましては、各省から御説明がございまして、二十六年以来この問題につきましてはいろいろと案が出されたわけでございますが、三十三年の二月に、水質汚濁規制に関する法律案というのが経済企画庁から示されましてこれに対しましては、建設省は、事務的に多少修正すべき点はあるけれども、基本的には賛成であるという態度をとっておるわけでございます。  次は本州製紙株式会社工場廃液による江戸川汚水の問題でございますが、この点につきましては、各関係の、東京都あるいは千葉県からいろいろと御説明があったわけでございますが、最後ページに書いてありますように、建設省といたしましては、河川管理観点から、特に水質汚濁防止のため、事件の発生の翌日であります六月十一日に、河川管理者に対しまして、本州製紙株式会社工場汚水江戸川放流させないように緊急措置を講じさせることを指示したわけでございます。特に、法律の十九条の規定に基く水質汚濁防止規制を厳に行うように河川管理者に指示を与えました。東京都におきましては、それに、他の法律ももちろんあるわけでございますので、この法律にも基きまして本州製紙に指示を出したというのが実情でございます。  以上、簡単でございますが、御説明を申し上げます。
  25. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 次に、経済企画庁から説明を願います。
  26. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) お手元に、水質汚濁防止に関する勧告経済安定本部資源調査会と書きました資料があるのでございますが、ただいま各省の御説明の中に再々お話が出ました昭和二十六年一月に出されました勧告というのがこれでございます。内容は、近世における諸外国の水質汚濁防止の措置、それからその立法例、その内容、そういったようなことを述べてございますが、勧告の骨子をなしますものは、二十九ページに、水質汚濁防止法の骨子というのがございまして、水質汚濁防止委員会を設置し、その事務局を置き、さらに水質の標準をきめて参る、こういうことをうたってございます。三十一ページに、この資源調査会が考えました水質基準が書いてございます。三十一ページの中ほどに、生物化学的酸素要求軍-BOD、二十度C五日間、五PPM以下。溶存酸素-DO、五PPM以上。大腸菌形群、一CCにつき二五〇以下。水素イオン濃度-PH、五・八ないし九・〇というような基準がございます。これが大体今日までの水質基準に対するまあ世間の通念と申しましょうか、そういうものになっております。私どもはこれをもとにいたしまして、昨年の三月以来関係各省の御依頼を受けまして何とか実効の上る水質汚濁防止の法令を作りたいと考えて努力を重ねておるような次第でございます。  非常に簡単でございますが、経過を御説明いたしました。
  27. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 以上をもって、現在まで当委員会に提出されております資料説明を一応終ることにいたします。質疑のある方は順次御質疑を願います。
  28. 大矢正

    ○大矢正君 私は、ちょっと東京都に対して一、二質問をいたしたいと思いますが、その第一点は、前回の当決算委員会におきまして、都に対し、かような水質が、極端に汚濁をされる内容のいわば施設の拡充に対して、いかなる理由のもとにこれを認めたのか、こういう質問をいたしたのでありますが、その際の御答弁によりますと、もし事故が起ったときには、会社がその全責任を負う、こういう立場が表明をされた、かような御答弁をいただいておるわけでありまするが、そこで、そのことについて再度お尋ねをいたしたいと思うわけでございますが、そういう都とそれから本州製紙との話し合いというのは口頭でなされただけにとどまったか、あるいは書類を通じて正式にその約束が取り行われたのであるか、このことをこの際念のために承わっておきたいと思います。
  29. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 口頭だけでございます。
  30. 大矢正

    ○大矢正君 あなたのやられた行為を非難をするわけで申し上げるわけじゃありませんけれども、そのような重大なことが口頭だけで約束をされて、実際問題として、都条例にのっとった現実的な運営というものができるのかどうかということに対して、多少私は疑義があるのですが、少くともそういう重大な問題は、かりに極端な水質汚濁によって沿岸の漁民に多くの被害を与えるという危険性がありとすれば、そういうものは、やはり書類を通じて明らかにしておくべきではなかったかと思いまするし、そういうことが都条例の精神でもなかろうかという感じがするわけであります。これは都条例でありまして、私ども国会において作った法律じゃありませんからして、そのことについて詳しくは存じませんが、こういう私の考え方が誤まりであるのかどうか、再度念を押して承わってみたいと思います。
  31. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 御指摘の通りでございまして、私は、口頭だけで約束したということに対しては、非常に反省をいたしております。それで、再度こういう問題が起らないために、私どもとしては、今後こういう問題につきましては、全部文書でやりたいという考えでございます。  それから、これに関連をいたすかどうかわかりませんが、私どもが先日の委員会で御説明申し上げましたように、使用停止で、文書で出したわけでございますが、それに対して、六月十六日付で今度は社長名で、正式の文書が参ってございます。それは、「昭和二十三年六月十一日付の使用停止の文書は確かに受領いたしました。ついては貴見の通り御庁が適当と認められる除害設備の完備するまで上記設備の使用を停止することをお請けいたします。」という、今度は正式に社長名で参っておりますから、念のためにつけ加えて申し上げておきます。
  32. 大矢正

    ○大矢正君 現行の法律をもってしては、東京都が都条例をもってその施設の拡充、そしてその使用を検討する以外に方法がないというのが実態だと思いまするし、こういう現情の立場をもってしては、やはり最終的に本問題の責任ある立場というのは、おそらく東京都ということに私はなるのじゃないかと思うわけでありますが、あなたも、今私の質問をお認めになったように、当時やはり書類をもって、正式に経営者との約束をしておけばよかったという、こういうお話でありますからして、私はこの問題の解決ということと、それからその責任的立場というのは、やはり最終的には東京都にあるとすれば、東京都は、今後そういう立場に立って、いかようにして本問題の解決をされるお考えであるのかどうか、このことを私念のために承わっておきたいと思うのであります。先ほども申し上げたように、非常にくどいようでありますけれども、やはり当時書類上で、都とそれから会社との間に取りかわしが行われていれば、漁民の方々もこれをよりどころにして、話し合いを展開することができるのではないかと思いまするし、またできたのではないかと存ずるのでありますが、不幸にしてそれがなされていないという、この手落ちか何か存じませんが、結果というものは、漁民の方々の決定的な力がないという結論になり、ひいては、そのことは暴動にも多少はつながる危険性がなきにしもあらずだと、こういう点における東京都としての立場の表明を私はお願いしたい思う。
  33. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私の立場で申し上げたいと思います。実は、先ほどのお話の点は、先日の委員会でも問題になったわけでございますが、私どもは、先ほど御提出申し上げました資料によりまして認可をしたわけでございます。従って、現在出ております排水は、東京都の調査によりますと、あの認可通りにはなっておりません。従って認可通りになるように、作業設備の改善等は厳重にやらしたいと考えております。私ども会社と交渉いたしております。それはこういう設備をしたらどうだろうか、あるいはこういう除外設備をしたらどうだろうかということを、口頭をもって指示をいたしております。それに対しまして会社はあなたの言われることはごもっともであるから、それは十分趣旨に沿いたいが、何分私としてはお返事をできかねますから、会社に帰りまして、会社の方と御相談いたしまして、その結果をもって私どもに確約をしたい、こういうことを申しておりまして、それで念のためにもう一つ申し上げますが、この文書を持って参りましたと同時に、会社の方も来られまして今度は再使用いたします場合には、ある程度の除害設備をやりまして、その結果、試験をいたしまして、その試験につきましては、東京都及び千葉県及び漁民の方、あるいは学識経験者の方の立ち会いをいただきまして、その結果、これでは公害はないという認定がつかない以上は、絶対に河川には流しませんということを明言いたしております。これは先日の委員会等で、ああいう会社の御答弁がありましたので、私はくれぐれも念を押しましてこれは社長の意向であるか、あるいはまたあなたの意向であるかということを、念のためにくどく確かめましたところが、社長の意向であるから、これは全責任を持ちますという明確な御答弁がありました。
  34. 大矢正

    ○大矢正君 もう一点、直接本問題に当られる立場から、私承わりたいと思うのでありますが、汚水放流というこの立場は、道徳的にはもちろん先般委員会において私が指摘した通り問題があると思います。そういう道徳的な立場は一応除外いたしまして、   〔委員長退席、理事平島敏夫君着席〕 考えてみた場合に、法律的にはどういう理由に基いて、今度の場合放流を経営者が停止したのかということを承わっておきたいと思うのです。それは東京都の都条例があるという、こういう立場から工場においては放流を停止したのか、あるいはその他根拠となる法律的な立場があった、そのために放流というものが停止されたのか、あるいはそうじゃなくて、政治的な圧力とかその他の関係で――道徳問題は別でありますが、その他の関係で停止をしたのであって、決して法律的な根拠の立場はあったわけじゃない、こういう解釈になるのか、この辺のところをちょっと承わっておきたいと思います。
  35. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 会社はどういうお考えでやられたのか、私どもはちょっとはかりかねますが、私どもが出した文書といたしましては、何度も言って恐縮でありますが、「木材の皮むき作業と亜硫酸アンモンを使用するパルプの製造作業設備を一時停止されたい」という文書を出したわけであります。法律とかあるいは条例の名前は全然出してございません。従って私どもといたしましては、知事名で出したわけでございますから、工場公害防止条例とか、また水産資源保護法と河川法と両方からみ合った問題といたしまして、全部一括してこういう文書によって指示をした、こういうふうに解釈いたしております。会社はそれをどう受け取ったかはどうもわかりませんが、現実には受け取りまして、作業設備を停止いたしますという請書を提出した状態でございます。
  36. 大矢正

    ○大矢正君 建設省にお尋ねいたしたいのですが、先ほどの局長説明によりますと、六月十一日に至りまして、河川管理者に対し、「本州製紙株式会社の工業汚水江戸川放流しないよう緊急措置を講じさせることを指示した」と、こうなっております。このことによって直接的に放流が停止されたのかどうかということに対して、私多少の疑問を持っているわけです。河川局長のお考えをこの際承わっておきたい。
  37. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 先ほど東京都から御説明がありましたように、諸種の法律根拠等を検討されたようでございますけれども建設省といたしましては、ああいう事態が起きましたから、それに対して河川法上の河川管理者といたしまして、東京都としても正式に文書をもってやらなければいかぬぞということを申したわけでございまして、東京都知事はそれにももちろん意を用いますし、ほかの法律、あるいは社会的の問題等も考慮されて出したというふうに私どもは考えております。
  38. 大矢正

    ○大矢正君 そうすると、まああなたの意見を聞くと、こういうような緊急措置を講じてもらいたいという指示を河川管理者にやったとしても、そのことによって直接的に汚水放流されることが中止されるということにはならないのじゃないかというように解釈されるのですが、そういう私の解釈は誤まりですか。
  39. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 建設省としては、ここに指示と書いてありますけれども、申しましたのは、河川管理者といたしまして、河川法に基きまして適切な判断をいたしまして、処置をするようにということを申したわけでございまして、東京都知事はそれも考えまして処置したというふうに考えております。
  40. 大矢正

    ○大矢正君 まあ私はそういうあなたの方の緊急措置がどこまで効果があったかということについては疑問もありますけれども、もしそういう効果がありとすれば、六月十一日に初めてそういう緊急措置を出されるということについては、多少理解に苦しむところがあるわけですが、ああいうような非常に不測の事態が起ったために、あなたの立場河川管理者に対し緊急措置を講ずるよう指示したような格好になっております。そういうような事件が起る以前において、言うならば、もう相当前からこの問題は多くの問題を投げかけておるのでありますから、もしそういう緊急措置を講ずるとすれば、早くにあなたの立場において措置を講ずべきではなかったかと思うのでありますが、それが六月十一日まで行われなかったということは、一体どう解釈すればいいのか、あなたが本問題についてさほどの認識がなかったのか、あるいはそうじゃなくて、情勢が変化するのを待っていたのか、どうもそういう点について不可解でございますので、あなたの御見解を承わりたいと思います。
  41. 山本三郎

    説明員山本三郎君) この問題につきましては、もちろんこういう事件が起る前に処置をすべき問題であると私は考えております。もちろんこういう問題は、大なり小なり全国的に多少問題があるわけでございますが、各都道府県知事が、私ども関係から申しますと、法律に基きました規則を作りまして取締りをやっておるわけでございまして、東京都におきましても、そういうものに基きましていろいろと対策を講じておったわけでございますが、実は私どもといたしましては、ああいうふうな緊急事態が起るというようなことは想像もしなかったわけでございます。実は私どもも詳しくはこの事情を承知しておらなかったわけでございます。しかし問題が非常に大きくなりましたために、私ども東京都の河川部長を呼びまして事情を徴し、そこで指示を与えたというのが実情でございます。
  42. 島清

    ○島清君 汚水の問題について以後こういったような問題を起してはいかぬというので、東京都といたしましては放流を中止するように申し入れをした、こういうことでございまするが、その申し入れの命令といいますか、指示といいますか、これについても何だか大矢委員の質問に対して社長とのお約束で、今後は施設の改善をするまでは操業を開始しない、さらに放流をしない、まあこういうような約束事があったようなことの御答弁でございましたが、将来のことについては、知事の名によりまして操業を停止いたしまして、汚水放流しないと、こういう取りきめができたわけでありまするが、そのお話し合いの中には、今まで起りました損害に対しまする補償と、こういうようなものを含んでの操業停止でございましょうか、それとも将来にわたりまするこういう事態の発生を防止する意味におけるところの処置でございましょうか、その点を御説明を願いたいと思います。
  43. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私がさっき御説明申し上げ、あるいは私の立場でお答えできる点におきましては、将来の問題でございまして、できたものに対する損害の賠償、まあ簡単にいいますならば、民法的な問題は触れておらないというふうに解釈をいたしております。
  44. 島清

    ○島清君 今まででも大体工場側の方からいいますというと、設立の認可を受けてやったことであるから、そういったような損害に対しては補償する筋合いのものではないと、こういうことを大体言われてきたわけであります。従いまして、損害を受けた方が泣き寝入りをしなければならぬというような事態が、長いものには巻かれろと、こういったような事態が往々にしてあったわけでありまするけれども、しかしながらここで考えてみまするというと、国が補助金を出してやっておりまするこの事態について、そこに起って参りました損害、今千葉県の調査によりまするというと、いろいろの調査結果によって魚族が存在し得ないほどに汚濁しておると、こういうことでございまするので、国といたしましても、これは責任しただ漁民と会社側の折衝にまかすと、こういうわけにはいかない性質のものだと思うのでございまするけれども、直接それを管理しておられまする建設省といたしましては、こういったような問題についてどのような考慮を払っておられるか、補償の問題について特段の一つ考慮をわずらわしておられることだと思いまするけれども、この問題についてはどういうふうな考えで善処されようとするのか、この点についての心がまえを承わっておきたいと思います。
  45. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 補償問題につきましては、先ほど水産庁から御説明がありましたように、都並びに千葉県であっせんをいたしまして話し合いを進めようというふうに考えておられるわけでございまして、その成り行きに従いまして、私どもといたしましても、できるだけ円満に済まされるようにしたいというふうに考えております。
  46. 島清

    ○島清君 まあすべて円満に物が運べば物事はないわけでありまするけれども、往々にいたしまして、会社会社立場を主張されまするし、漁民は漁民の立場を主張されます。そこで円満に事態を取りまとめていただかなければならないというのが国を代表されまするあなたたちのまあ職責かと思いまするけれども、その職責に立ちまして、道義的の責任といいましょうか、責任感に立ちまして、そういったようなものの事態の円満な進み方について御配慮をしておられるかどうか、こういうことをお聞きしているわけなんです。
  47. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 補償問題につきましては、従来におきましては、当事者間でお話しをいただきまして、それらの調整は、総合行政をやっております知事さんの手元で第一次的にやっていただきまして、それらのお手伝いを中央官庁等がいたしておるというのが今までの実情でございまして、その段階でできないというようなときにおきましては、また何か国の機関といたしまして、調停をいたすようなことにも相なると思いますけれども、そういうふうな段階で進めて参りたいというふうに私ども考えております。
  48. 島清

    ○島清君 非常に御認識が欠けているように思えるのですが、本委員会におきまして、この問題が取り上げられておること自体が、世間の方々から非常に不思議に思われると思うのでありまするけれども、本来でございまするならば、農林委員会であるとか水産委員会、こういうところで取り上げなければならない問題でありますけれども、本委員会において取り上げておるということは、国庫の補助金が出されておるということなのです。国庫補助金が出されておりまするところに汚水放流いたしまして、そうして魚族に損害を与えた、漁民の方々の生活に非常な脅威を与えておる、こういう事実です。しかもその補助金を出しておりまするところの水域というのはあなたたちの方が管理をしておられる。あなたたちの方が管理をしておられまするところの水域において、しかも国庫補助金が出されてそこで生計を営んでおりまするところの漁民の諸君が生活に重大なるところの損害を与えられた場合に、そして今まで扱いましたところのケースとは別な形において、この問題はあなたたちの方の良心に照して十分に私は配慮しなければならない問題だと思うのです。従来はそうであったからそういう形で事態が進められるであろうということについては、本州製紙のこの問題についての御認識が少し欠けておるように思えるのですが、いかがでございましょうか。
  49. 山本三郎

    説明員山本三郎君) もちろん重要な問題であるということは、私どもも考えておるわけでございますが、この問題の処理につきましては、私ども立場から申しますと、河川管理者でありまする東京都知事さんが今までやって参りまして知事におきましては、千葉県におきましてもいろいろ立場上におきまして、総合行政をやっておるわけでございますから、両都県におきまして、その辺をあっせんして参ろうという熱意を持っておられるように思っておりまするので、その面におきまして、円満な解決ができるように私どもは念願しておる次第でございます。
  50. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私は前回委員会出席することができなかったので、あるいはいろいろ重複してお尋ねをするかと思うのでありますが、先ほど、島委員から補償問題について建設省河川局長ですか……にお尋ねをしたのでありますが、私はあるいは前回委員会に発言がされたかと思うのでありまするが、たとえば最近新聞紙上をにぎわせました酒匂川の事件があるのでありますが、これは私は足柄の富士フィルムの工場はつい最近視察をしたのでありますが、ここの使います水量は一工場にかかわらず、その水量が大体人口四十万の都市が消費するだけのものを使っておるわけなのです。非常な膨大なる水を使っておる。従いまして、これに対する県庁等の取締りと申しましょうか、あるいは指導と申しましょうか、相当厳重をきわめておるものとのみわれわれは思っていたのでありまするが、ところが最近御承知のアユがこの汚水のために実に四百万尾死んでしまったということが伝えられておるのでありますが、御承知の通り、元来ああいった富士フィルム等の工場は特に水が清水でなければできない。従いまして、酒匂川流域等を見ますというと、いつもこんこんたる清流が流れておるのであります。しかも一日四十万人口に匹敵するような水を使っておる。それですら、これが今度の事件でもって四百万尾のアユが死んだ。われわれは料理屋へ行って食べれば、今ごろアユは二匹づけで三百円、三百五十円取られる。これはいかに稚アユといったって三十円かそこら元値でしておるのでしょうから、四百万尾とすれば一億以上の大損害を与えておる。これは具体的の例なんですが、こういうことに対して、ただ府県庁のみにこれが処理をまかしておるのか、あるいはこの問題につきまして、その報告の結果、本省が適当な処置を講ぜられたのか、これは具体的な問題でありますので、一つ具体的に御説明願いたい。
  51. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 問題が河川管理という面よりも、むしろ産業行政、水産行政という観点から取り上げてお答えをしなければならない段階にあるかと、かように思うのでございまして、あえて私からお答えを申し上げたいと、かように存ずるのであります。  われわれは工場、事業場の悪水によりまして損害が起れば、これは当然補償されるべきものである、かように考えて指導をいたしておるのでございます。酒匂川の問題に関しましては、富士フィルム工場におきましても悪水を流したという事実を認めまして、そうして目下それによりまするアユその他の魚類の斃死の程度に関しまして、県庁が間に立って調査をいたしておる段階でございます。工場側におきましても、これに関しまする賠償の責任は認めておるのでございます。まだ具体的に計数を固めるまでには至っておりません。  なお、その後琵琶湖から稚アユを輸送いたしまして、放流をいたしております。酒匂川の状態は、あの事件以前に逐次回復しつつある、かように考えております。
  52. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 そこで私はお尋ねをしたかったのは、船頭多くして船山に上るということがあるのでありますが、本日御出席の各関係官庁の方々、しかしいろいろ聞いておりまするというと、責任の所在がこういう事件においてどこに一体行ったらいいか。ただいまのような問題でもそうなんでありますが、私は今回の悲しむべき事件についての処理は、これはもう徹底的にしなければならぬと同時に、こういうような問題が幸いに東京都の中を流れておるような川でございまするので、今回の事件が直ちに中央において取り上げられ、しかもこの参議院等におきましては、本日は警察関係で地方行政が取り上げ、あるいは先般は法務委員会が取り上げるというようなことで、非常にこの問題について国会が大きな関心を示しておるわけであります。しかし、ずいぶん全国的に見るならば、非常に泣き寝入りをしておるという面が多いのでございまして、これは単にはっきりした河川だけでない。私は漁業専門家ではございませんけれども河川からさらに流れて参りまする沿岸におけるところの影響というものは、これは河川のように簡単にわからない面が非常に多いと思うのであります。こういう点で全国的に見ると、泣き寝入りをしておる面というものが非常に多いのであります。それで私どもはこれはだれから御答弁いただいた方がいいのかわかりませんけれども、この際ぜひともこういう問題について各省割拠的な立場でない、何か一つの連絡機関とか、あるいは指導をいたしまする役所というようなものを、こういう機会を中心にいたしましてぜひとも一つやってもらいたいと思うのでありますが、これについて一つ私は特に水産庁長官に御意見を伺いたいと思います。
  53. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) いずれ水質汚濁の基本的制度に関しましては、政府部内におきまして総合的に検討される、かように考えるのでございます。ただ特に水産行政という観点から、一体その行政組織あるいは制度のあり方についてどう考えるかということのお尋ねでございまするが、私限りの個人的な見解としてお聞き流しを願いたいと、かように存ずるのでございまするが、私は現在の悪水の流出に関しましては、水産資源保護法によりまして規制し得る権限は持っております。しかし、悪水の流出という問題は、これはいろいろな面があるのでありまして、衛生的な面もあるし、それから同時に漁業行政の面もある、あるいは灌漑水利の面もある。また、工場自身の行政という観点から、どこまでの一体水質汚濁防止の措置をするべきかという観点もあると思うのであります。そこでこれに関しまするいろいろな面を、それぞれの官庁が別口に持っておるということでは、総合的な水質汚濁行政の展開ということはこれは困難ではないか、そんなふうな立場は、むしろ被害側でありまする農林省なり、あるいは厚生省あたりの立場だけから申し上げますれば、そういうようなことがいい得るのではないか、かように考えておるのでございまして、そんなふうなわれわれの希望も今後制度の再検討、根本的検討をお願いいたしまする際には、十分申し上げて、資料にいたしてもらたいと、かように考えております。
  54. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点、具体的な問題で東京都の関係者に伺いたいのでありますが、先ほど河川局長の話に、相当各河川汚濁の清掃というものに力を注いでおる、こういう話があったのでありますが、今回の問題は、これは江戸川事件でございまするけれども、たとえば東京都の代名詞ともいわれる隅田川と、いったより大川と言った方がいいでしょうが、これは皆さんも御承知の通り、文楽の落語で有名な「のざらし」というような落語まであったくらいで、昔はこの工場がないときは、非常に風流な土地でありまして、そして太公望が糸をたれていたところです。私ども若いころそういうのをだいぶ見たのであります。このごろは、引き潮時分に通りますというと、鼻をつままなければ実際橋の上も通れない。特に白髪橋あたり、私は始終通るのでありますが、ほとんど車の中で鼻をつまんで通るというような状態なんで、これが下流地域において、佃島を中心とするあの辺の、今あるかどうかしりませんが、漁場関係に相当な影響を与えておると私は思うのでありますが、現に大川等につきまして、先ほど河川局長がお話ありましたが、どの程度にこれの清掃をやっておるのか、これを一つ参考にお聞かせを願いたいと思います。
  55. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 私、いまの御質問につきましては、主管の事項でないのでありまして、御答弁するのはどうかと思いますが、せっかくの御質問ですから、知事のお考えをここに御披露申し上げたい。知事は御存じのように河川の、ことに御指摘のありました大川の汚濁につきましては、非常な関心を持たれまして、今年度から向う五カ年にわたりまして、相当の予算を組みまして、隅田川を中心にしたものを清浄々をはかりたい、こういうお考えを持っておる次第でございます。ただ、こまかいことにつきましては、主管でございませんので、答弁できないのをはなはだ遺憾に存じます。  それから、ただいま問題になっております被害の問題に対する問題につきましては、昨日知事と打ち合せて参りましたので、一応東京都の態度をここに御披露申し上げたいと思います。この解決方法として二案ございますが、これを全般的な大きな問題といたしまして、政府機関及び東京都、千葉県あるいは学識経験者を入れまして、その機関によってこれを裁定する方法と、具体的なこの事件関係のある東京都及び千葉県、本州製紙関係漁業組合の方々によるところの機関によってこの善後措置、もちろんその善後措置には補償も含むわけでありますが、その方法と、二案ございますが、現在知事といたしましては、千葉県の了解を得るならば、東京都及び千葉県並びに本州製紙及び漁業組合等の方々によりまして、円満な妥結をするために委員会等を作り、何といいますか、協議会等を作りまして、円満に御相談をいたしたい、こういうことが現在知事の考えていることであります。きのう打ち合せて参りましたので、その点だけ御披露いたしておきます。
  56. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  57. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) 速記を始めて。
  58. 相澤重明

    ○相澤重明君 水産庁長官の先ほどの御答弁いま一度お尋ねしておきたいと思うのでありますが、あなたは汚水あるいは汚濁によって生じたものについては、当然損害補償はせられるべきである、こういうお考えであるということについては、間違いないと了解してよろしいですか。
  59. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) その通りでございます。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 東京都の経済局長にお尋ねをしたいのでありますが、水産庁長官の答弁をあなたもそのように解釈しているかどうか。
  61. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 同意見でございます。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 東京都の経済局長も同じく水産庁長官と同意見であるということでありますから、具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、東京都ではどのくらいの被害があったとお考えになっておりますか。
  63. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) これは非常に何といいますか、精細にわたる調査に基かなければなりませんので、目下調査中でございます。
  64. 相澤重明

    ○相澤重明君 千葉県の方に、川上商工部長にお尋ねしたいのですが、千葉県でも、今の水産庁長官東京経済局長の御答弁と同じようなふうに了解をしてよろしゅうございますか。
  65. 川上紀一

    参考人川上紀一君) 同意見でございます。
  66. 相澤重明

    ○相澤重明君 千葉県の場合の損害はどのくらいにお考えになっているか、まだやはりおわかりになりませんか。
  67. 川上紀一

    参考人川上紀一君) 目下調査をいたしておりますが、まだ最終的な発表の段階までにデータをまとめておらないのは遺憾でございます。
  68. 相澤重明

    ○相澤重明君 千葉県におきましては、今日まで国庫補助金は総額においてどのくらい受けておられたか、その点を御発表いただきたい。
  69. 川上紀一

    参考人川上紀一君) 年間百三十万から百四十万、半額でございます。これをここ数年来やっていると思います。何年から始まったか、ちょっと今ここで詳しい記憶を持っておりません。
  70. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは、千葉県は後刻本委員会に何年から、総額どのくらい助成を受けているかを、資料を提出をしていただきたい。
  71. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) 資料の提供、よろしゅうございますか。
  72. 川上紀一

    参考人川上紀一君) 提出いたします。
  73. 相澤重明

    ○相澤重明君 東京都の場合はどのくらいの助成を受けておったか、この点御説明いただきたい。
  74. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) 現在あの海域といいますか、領域につきましては、国庫補助は受けておらないと思います……、訂正いたします。三枚州に保護区域を設けて補助を受けております。毎年金額にいたしまして二十五万円。
  75. 相澤重明

    ○相澤重明君 毎年二十五万円というのは、私の申し上げた何年から、総額においてどのくらい、こういう点、今おわかりになりませんか。
  76. 江藤彦武

    参考人江藤彦武君) いずれその点につきましては、詳細書面をもって提出いたします。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 資料を提出して下さい。  次に山本河川局長にお尋ねをするわけでありますが、あなたは先ほどの資料提出の中の御説明で、いわゆる河川法に基く十九条の処理ができるのであるけれども、今までの中に相当やはり関係各省の問題も出ておるので、さらに十分検討をしたいということを言われておったのでありますが、今まで関係省との間において、なぜこの法律案準備をされたけれども国会に提出する、までに至らなかった、こういう中で建設省と他の省の意見等の食い違いというものはどこにあったか、こういう点を特にあなたはここで述べられる点がないかどうか、私はその点若干あると思うのだが、一つもしあったならば、率直に出していただきたいと思うのです。
  78. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点につきましては、ここに書いてありますように、水質汚濁規制に関する法律案というのが経済企画庁から示されまして、それにつきましては、事務的に多少修正すべき点はあっても、基本的には建設省としては賛成であるということでございまして、ここで具体的に基本的な問題で申し上げる点はないわけであります。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 前に本委員会においても、片岡委員から社会党からの法案提出をしておったのでありますが、遂に皆さんの御賛成が得られずに、そのままになってしまったのでありますが、社会党の提出されておったものについて、建設省としてはどういうふうにお考えになっておるか、この点あなたの責任者としての立場で一つ御答弁をいただきたいと思うのです。
  80. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 社会党から御提案になりましたものは、前国会の終末でございまして、建設省といたしましても結論的にはまだ結論は出しておりません。目下検討をしておるというところでございます。
  81. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは各省庁で十分慎重に討議しなければならぬけれども、慎重過ぎて何年たってもいわゆるこの問題が日の目を見ることができないということであっては、いわゆる先ほどの各委員から指摘をされておるように、たくさんの事件というものが出ても、実際に漁民の諸君なり農民の諸君は被害を減少することができないということになってくると思うのです。そこで一体この経済企画庁が取り扱わなければならないというのは、各省意見というものが、どうも自分の方でなければこれは困る、そういうことで、結局はなわ張り難いが経済企画庁まで発展をしたのではないかという疑問も立つわけです。これはおそらく疑問であろうと思うのですが、そういう点はあったかなかったか、その点は建設省は他の省等の意見は、先ほどあなたの言うように原則的に建設省は賛成であるが、いわゆる若干の字句の修正なりあるいはまたこの条文の整理のし方について意見がある、こういうことに了解をしてよろしいですか、一つあなたの見解を尋ねておきたいと思うのですが、その最終的なものはつまり条文の整理であり、あるいは若干の字句の修正という程度で、あとは全部根本的には一致しておる、こういうふうに理解をしてよろしいかどうか。
  82. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 建設省だけが賛成しなかったというのではございませんで、あるいはほかの省からもお尋ねしていただいた方が的確だと思いますが、私どもといたしましては基本的な問題で、企画庁で進められておる方針については賛成いたしておりまして、細部については、私も全部は記憶しておらないのでございますけれども、たとえば水質基準をどういう地点できめるか、水域できめるかあるいは小さい川の出口できめるか、そういうような問題をどういう点にしたらいいかというような点でございまして、そういうふうな点では多少まだありますけれども、そのほかの点は賛成しておる、こういうところであります。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは一つ、建設省は大へんこの法案に努力をされておるとお伺いをいたしました。そこで松尾通産省企業局長にお尋ねをしたいのでありますが、通産省としては一体どういう考え方で今日まで進んできたか、この点を一つお答えをいただきたいと思う。
  84. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 先ほど御説明をいたしました中にもその問題に触れたと思いますが、経済企画庁におきまして水質汚濁規制基本法の立案がございまして、これに対しましては、当省といたしまして基本的に支持する態度をとって参りました。ただ、この法律実施するに当りまして、当然その水質汚濁防止のための施設を、関係の企業がしなければならないと思いますけれども、その際に大企業はともかくといたしまして、中小企業等につきまして、そのような除去施設が一律に強制されるということになりますれば、やはり中小企業のようなものについては、若干の援助と申しますか、そういうものがないと、法律だけで実施をしようとしても、法律の運用に当ってなかなか実際的な効果が上りにくいのではないかというような点を、希望としてこの法律の立案の際に申しましたけれども、このような法律基本法ができますれば、通産省としましても当然それに合うように、その基準に合うような条項を、順守させるための法律をすでに準備をしておったというような状況でございます。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 あなたの御答弁を聞いておるというと、そこに問題があるように思うわけですね。いわゆる水産庁なりあるいは建設省なり農林省というものは、とにかく汚水あるいは汚濁の問題については、十分早くから心を砕いて、そうしてこれらの措置をしなければならぬ、こういうような立場にあったように思うけれども通産省としては、それをやられると大企業はいいけれども中小企業がどうも迷惑をする、従って国で何らかの措置を考えなければ、そういう法律を作ってもむだである、こういうような片りんが私はうかがえるのであるが、そういうことは少し取り越し苦労であるかどうか、この点一つ再度あなたからお答えをしていただきたい。
  86. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) ただいま私が申し上げましたことが、非常に強くお耳にさわりましたのであれば、お許しを願いたいと思いますが、そういう意味ではなしに、すでに先ほど申しましたように現在でも中小企業の密集しております場所で、水質汚濁のおそれの非常に多いところにつきましては、先ほど申しましたように、すでに建設省の方にお願いをいたしまして、共同排水用の、水をほかの地点に持っていくまでの施設については、若干の補助のお願いをしておるわけであります。そういうことも考えて、立法のときには合せて、この問題に問題がありますということを申し上げておるのでありまして、決して立法そのものに反対であるとかいうようなことを申し上げたつもりはごうもないということを御了承願いたいと思います。
  87. 相澤重明

    ○相澤重明君 経済企画庁富谷参事官にお尋ねしておきたいのでありますが今、検討準備しておるということでありますが、いつごろそれは終るのですか、来年になるようですか、いかがですか。
  88. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 次の通常国会には間に合わせるべく、努力しておる次第であります。
  89. 相澤重明

    ○相澤重明君 通常国会ですか、それまでは暫く作業はそのままですか。
  90. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 現在継続中でございます。
  91. 片岡文重

    ○片岡文重君 大河原参考人に二、三お尋ねをしたいのですが、この前のお話しですと、本州製紙の沈澱池の改造ですか、新設ですか、突貫工事を進めておるという、その沈澱池はたしか本日、二十日中に完成をするというお約束だったと思うのですが、これはきょう完成をするのかどうか、その点を一つお尋ねしたい。
  92. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) けさほど電話で確かめましたところ、本日中には完成する予定であるということを報告を得ております。
  93. 片岡文重

    ○片岡文重君 完成をした場合には、関係者の立会いのもとに試験が行われると思うのですが、この試験に立会う者はどういう範囲でなされるのか、この被害をこうむる漁民側の代表も、その試験には立ち会われるのかどうか、その点を一つ伺いたい。
  94. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 貯水池完成につきましては、先日の委員会でも申し上げました通り東京都といたしましては、貯水池ができ上っても、除外設備の完備とは考えておりません。従って工場に対しまして、ほかの施設も勧めておるわけでございます。従って、その設備がもう一ぺんでき上りまして、全部合せてやらないと、私ども立ち会おうとは考えておりません。
  95. 片岡文重

    ○片岡文重君 次にお尋ねしたいのは、前回委員会であなたがお述べになられましたこの許可を与えたときの経緯についての御説明でありますが、その御説明の中に、工場側を信頼されて許可をされた、結論だけを申し上げますと、そういうことになるようですが、その場合に、あなたは最初多分に不安を持っておったにもかかわらず、工場側の言を信用して許可をされたとおっしゃるのですが、そこで私から許可申請の前に工場側で行われました試験の結果を資料として本委員会に提出するよう要望申し上げておったのですが、今いただいた資料の中にはそれが含まれておらないようです。しかしこれは試験をすでにしたのだと、許可申請の前に試験をしたという会社側の御説明であったのですから、その資料は当然あなたはお手元にあるか、少くともごらんになっておられると思うのですけれども、これをごらんになったのかどうか、もしごらんになっておるとするならば、今回各関係者、特に千葉県、東京都の関係機関から提出されました資料とどの程度食い違いがあるのか、もし食い違いがないとするならばそれでけっこうです。あるとするならばどの程度の食い違いがあるのか、この点についてお伺いしたい。
  96. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 食い違いはございます。はっきり申し上げますと、文章の点は第二といたしまして、先ほど御説明を申し上げました資料の一番最後ページでございますが、一番最後ページ工場排水というのがございます。最初差し上げましたこの資料でございますが、一番裏に別表というのがございます。この別表工場排水現状SCP設備完成後の推定というのがございます。それの一番上の欄の右の端でございます。SCP設備完成後、排水量がどれだけ、PHがどれだけ、BODがどれだけという数字がございます。この数字が推定と現状とが違っておる、これが当該の問題になっておるという点でございます。
  97. 片岡文重

    ○片岡文重君 そこでお伺いしたいのですが、少くとも専門的な問題については私はよくわかりませんが、ここに出されておりまする数字を見ましても、相当に違いがあるようです。で、この許可申請前の試験をなされたときには、工場側の説明ですと、廃液として放流するときと同じような状態にして試験をされたと、こういうことが説明としてあったわけです。ですからこういう水をおそらく作ったでしょうから、その間に操作の関係、その他によって若干の差異は起ったでしょうけれども、相当な開きがここにあるようですから、この点については会社側としても十分な責任が私はおありになると思う。この点についても一つあなたの御所見を伺っておきたいのです。  それからいま一つは、将来の関係者間の賠償や、被害補償の点で相当重大な影響を与えると思われるあなたの御発言がありますから、この点について少しくどいようですが、私自身少しくど過ぎるのではないかと思いますけれども、これは漁民諸君にとって非常な影響を与える言葉でありますから、この委員会でももう一度私は取り上げて、その当時の、あなたが工場に許可を与えられましたいきさつについて、できるだけ詳細に、もし御記憶がありまするならば、許可申請をされた前工場長との間に取りかわされました会話の一つ一つをすら、私はここでお聞きをいたしておきたいと思うのです。その重大な発言というのは、ここに前決算委員会の速記録を私は持参いたしております。それによりますと、あなたの御発言の中に、こういうことが言われておるわけです。いろいろ工場側からのいきさつがあって「一応工場が現在出るような排水の量では害はなかろうということを申されたわけであります。それで私どもといたしましては、少し不安がありましたので、そのほかにおきまして、たとえば沈澱池を作ったらどうだろうかとか、あるいは曝気をしたらどうだろうかということをいろいろ申し七げたのでありますが、工場といたしましては、現在の工場長でありませんが、おかわりになりました前の工場長がおいでになりまして、これで工場としては大丈夫だと確信を持っている、もし万が一いろいろな害が出た場合には、工場の責任において全部解決をしますから御安心下さいという正式の申し出があったわけでございます。それで、私ども技術能力の点もございますし、」云々となって、あなたが許可を与えられたことになっております。そこでこの全部責任を持つということの内容について、この前くどくお尋ねをいたしましたところ、その時にも重ねて非常にはっきりした確信を持っての御答弁があり、本日もまた大矢委員からの御質問でありましたかに対して、賠償等の問題は全然含んでおりませんという確信に満ちた御答弁があったわけであります。しかし、このしからばその全部という問題は事故が起きるということは、起きて問題になったということは、すでにその事故が問題になるまでにいろいろな被害が与えられておらなければならぬはずなんです。その与えられた被害を全然考慮することなしに問題の解決ができるとお考えになっておられるのかどうか、被害がすでに起っている、たとえば現実にもう問題は起っているわけです。今日のように、町民諸君は自分たちの生業のもとである稚貝、魚類、ノリ等が莫大な影響を受けて生活のどたんばに追い込まれておる、危急に追い込まれておる、こういうのがもうすでに起っているわけです。それが起ったから、こういう問題が大きくなったわけです。もしこれが、あなたが幸いにして、この不安があったときに、なお、あなたが都のその他の試験機関なり、あるいは国立の大学なり、直接関係のある千葉県の水産試験場なり、適当な試験機関に依頼をされて、今日提出されておるような資料をお作りになって、それに基いてこの措置をとっておられたとするならば、今日見られるような事態は少くとも私は起らなかったのであろう、もし起ったとしても、こういう大きなことにはならなかったであろうと考えるのです。私は、昨日、はなはだお気の毒だと思いましたが、警察官も一人何かなくなられたそうです。これは真実であるかどうかわかりませんが、少くとも非常識な指揮官の命に従って、私はあえて非常識であったと思うのですが、そういう指揮の命に従って、公務員の立場から職に殉ぜられた警察官に、心からなる弔意を表するわけです。同時に、あばら骨を二本も三本も折られるような重傷者が、一回の取調べも受けることなくして、留置場に留置されたまま放置されたという、この奇怪しごくな警察のやり方に対して、限りなきふんまんを持つものです。同時に生活の危険に追い込まれた上に、なおかつ、こういう警察の非常識な措置にあい、しかも、あなたから損害の原状回復とか賠償等については全然考慮しておりませんでしたという明確な御答弁があるからには、今後の問題の解決の上に、私は非常な不安を覚えるのです。この今までに起っておる事態と、将来解決されるまでの起り得るであろう経緯を考えてみると、これは、私ならずとも、真剣に地元民の立場に立ってお考えいただけるならば、容易にこのことは推察できる。これだけの事態を起す危険のある仕事を工場としては許可申請をし、しかも、あなたが、たとい口頭であったとしても、問題が解決するまでは放流することはしてはいかぬと命令をされているにもかかわらず、どういういきさつであったかわかりませんが、この命令を聞かずに放流をして、これが事態の発端になったと思うのです。あなた自身、この前の決算委員会でお述べになっておられるが、少くとも監督官庁の命令も聞かない、許可の申請に当っては虚偽の申請をしていると言われても、あえて私は過言ではないと思う。ここに出された資料と、あとで出された資料と、しかも東京都や千葉県から出された資料と比較してみれば、あまりにも相違するのじゃなかろうか。こうして監督官庁の命令にも従わない。許可申請に当っては、内容の不十分なものを少くとも提出しておって許可をとっておる。こういうやり方をする会社が、今後良心を持ってあなた方の命令に従って、そして真実、生活に追い込まれておる漁民諸君の立場を考えて、妥当な補償をするであろうかどうかということになると、私は、はなはだ相済まぬことですけれども、不安なきを得ない、こういう事態に今追い込まれておる。この事態も十分あなたは御認識になって、この許可申請をされ、そして許可をされた当時のいきさつについて、いま少しく明確に、私が、なるほど、それでは、そういう具体的な賠償問題についてもやりとりがあり、また、この全部という全部の内容というものはどの程度のことを指しておられるのか、単に事故が起った、被害が起った、それから後の措置だけしか考えないで、それまでに起ったところの被害や不祥事に対しては、全然責任は負わぬのだ、話はしておらぬのだということであるのか、そういう点について私どもが納得のいくように一つお話をいただきたいと思うのです。
  98. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) お答え申し上げます。本日の御質問と関連するわけですが。本日の御質問もそうでございましたが、私どもの、工場の認可申請が出た場合の態度でございます。認可申請が出て参りますと、われわれ行政官庁の一員といたしましては、損害賠償とか損害補償の問題は含めて解釈してはいけないのじゃないか、片方の方で認可権なり許可権なりを持っていながら、片方で補償しろということは、私どもとしてはちょっととれない態度じゃないかと考えております。あくまでも行政行為といたしまして許可いたしたわけでございます。許可ではございません、認可いたしたわけでございます。  それからその際の工場長との言葉のやりとりでございますが、それは昨年のことでございますので、はっきりした記憶はもちろん申し上げかねますが、この前も申し上げました通り会社が万一、問題を起した場合は、決して役所に迷惑をかけずに、会社の責任において解決するということでございます。従って認可につきましてのそういうことは、たとえば工場から悪い排水が出た場合には、会社の責任において直す、役所が命令すれば、あるいは指示をすれば、それに従うし、とにかく一々役所の指図を受けたり、あるいは命令等を受けなくとも、会社が進んでやるというように解釈いたしたわけであります。それで事故が起きた場合の補償の問題は、これは認可の問題と一応私ども切り離しまして、これは地方庁の知事として別の立場で考えるべき問題じゃないかと考えております。
  99. 片岡文重

    ○片岡文重君 認可の対象として補償等の条件を入れるかどうかということになれば、すでにそういう被害が起っておる事態をなおかつ認可するという場合には、その補償は考えられるでしょう。けれども、この申請をされた場合には、そういう被害が起らないという前提に立って考えるわけでしょう。従って当然その被害の補償等についての考えが出ないのは当りまえじゃないのですか。従って補償等の考えが出ないということになるなら、その話の中に補償の問題を含んでおらなかったか、おったかということについては、明確な答弁はできないはずじゃないですか。被害が起っておるものを、なおかつ許可をするということであるならば、その起っておる被害をどうするのか、その被害に対する補償はどうするのかということが、認可の際に問題になるでしょう。権限があるかないかの問題じゃないでしょう。けれども、今ここで許可をされたときに、少くともこれから新設して操業する機械についての許可申請ですから、実際には試験的になるかどうかわかりませんが、少くとも形式的には、これから新しい機械を設置し、これを操作するということの認可をお求めになっておられるわけですから、こういう汚水による被害が起るかどうかということは、そのときには、あなたの不安によってこういう試験資料を出されたかもしれませんけれども、現実には起っておらなかったというように解すべきでしょう。従ってそのときに、もし賠償等の問題が起らなかったとするならば、これはあえて無理じゃないと思うのです。だから、そういう話にまで考えがいかなかったとするならば、この全部解決という言葉の中には、あえて賠償問題を含んでおりませんという否定もできないはずじゃないですか。考えのないところに肯定も否定もないはずじゃないですか。その点をどう考えられるかということです。
  100. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) それはもちろん、私どもとしてはそういうふうに解釈――たとえば賠償問題を含んでおらないという解釈をして会社の口頭のやつを受け取ったということでございます。
  101. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連して。今の一点をお尋ねしたいと思うのです。認可という事項があるから、従ってこのような問題が起きた場合に賠償させるとかさせないとかいうことは考えていない、こういう返事じゃなくて、賠償そもののを考えていない、こういうふうにあなたが答弁されておるところに、私は問題があると思うのです。第一に、この問題は、あなたのところに許可申請をして、そのときに、あなたのところでは認可すべき前提要件が全部完備しておると思って許可をしたのだと思います。そういう場合に、不慮の天災等によって、会社の悪意が何ら含まれずに、行政官庁の怠慢等も何らなくして、事実上、一般民衆が被害をこうむるというような例もあると思うのです。この場合には問題はだいぶ違って参りますが、今度の場合にははっきり申せば、会社があなたたちを一部だまして、そうしてまことしやかな資料を出して許可をとって、そのあとに非常な汚水放流して、こういう問題が起きたと思うのです。従いまして片岡委員の質問に対してあなたたちがその認可したこと自体に対して責任を感ずるならば、私たちのポストにおいて賠償を請求をすべき権利はないけれども、広範な行政指導の面から賠償の問題が起きたとするならば、私たちの認可に疎漏があったか、ないしは勘違いがあったのでありますから、相協力してこの問題については私どもの当面の責任ではないけれども、賠償問題を考慮したいというくらいな親心ある答弁があることが私は当然でないかと思うのです。何ですか、木で鼻をくくったように賠償は考えていない。そんな義理が会社に対してあるんですか。それで私は聞きたいことは、その点についてどういうふうに考えているかということが一点。  それからもう一つ、会社の出した資料というものは、あまり魚介には関係がないということで出したというその廃液の分析表というものは、作為的に許可を得るために意識的にこの表をでっち上げて出したというふうに、あなたは今お考えですか。そうは考えないが、試験方法が拙劣で、会社に悪意はなかったけれども、こういうふうな分析表が出たのである、こういうふうにお考えでございますか。それとも会社の出したものはあの当時はやはり正しいのだ、そうして許可する前提の資料として十分当時においては信頼されるべきものなのであって、その後何らかの事情の変更によって、こういう不祥事が起きたのだ。許可したわれわれの建前からすれば何ら責任は感じておらないのだ、こういうことですか。一つ明確に理屈は抜きにして、私は頭は簡単だから簡単に聞いています。だれでも一般の魚をとっている素朴な人たちにもわかるような答弁をして聞かして下さい。
  102. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 先ほどの御答弁で少し言葉が足りなかったと申しますが、その書類につきまして認可申請が出てきたということになります。そういたしました場合に、地方の行政全般をつかさどっております知事の立場とそれから認可の実際をする担当の立場と両方あるだろうと考えております。その場合に私どもは認可の直接の担当者といたしましては、そこまでは考えなかったということでございまして、知事がこういうふうに考えてはいかぬとか、知事が賠償責任をあっせんをすべきじゃないとか、そういうことは決して申し述べてございませんから、私ども建築局の指導部長として申し上げておりますから、その点はあるいは言葉が足りなかったので非常に恐縮でございますが、そういう点はどう申しますか、言葉が足りなかった点を深くおわび申し上げたいと考えております。  それからもう一点でございますが、もう一点につきましては、先ほども何べんも申し上げているように最後資料でございます。これのPH、それからBODの問題でございます。これは数字としてはっきりしたものでございます。それで私どもはこの点は実は詳しくと申しますか、会社から出てきた資料がございます。それからこの前ちょっと言葉が足りなかった、落してありますが、これと同じような日本紙業の工場がございまして、その工場等を調査いたしました結果、あれと同じようなものが出ているのでございますが、それはやはりこういうふうなものが出ております。私どもはそれと同じ作業をするわけでございますから信用したものでございます。現実に出た液といたしましては、この液と違ったものが出ているということが、東京都の水産試験場なり、千葉県の方で出ておりますから、その点は会社の方としては少し内容を違えてやったんじゃないかという想像はいたしますが、私どもは現在調査をいたしておりませんが、ほかの工場調査いたしましたが、この数字が違っておりませんから、同じ作業なら、こういう数字が出るというふうに信用して認可をしたわけです。
  103. 相馬助治

    ○相馬助治君 故意にやったとお考えですか。
  104. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 故意じゃなくて、私はこういうふうに考えております。ただ作業の一部としてあるいはPHのふえるもの、PH自体が害があるないは問題は別といたしまして、あるいは作業工程の一部に何かこういうものが相当出るものが加わってきたんじゃないだろうか。これはほんとうに想像でございますが――私どもとしてはまあ想像というふうなことに近いだろうと思いますが、何かあるのじゃないだろうかというふうに考えております。
  105. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連質問ですが、まことに恐縮ですがただ一点。私はこの東京都知事に出したこの工場許可申請書というものは、まことに先を見越した知能犯的な申請書が出ていると思うのであります。というのは、最後のところへきて、この(4)のところへきて、「現在吾国のSCP工場に於きまして、その廃液処理設備を設置しております工場はありません。亦諸外国の例を文献等にて調査しても見当りません。」、これは実にけしからぬことであって、船を川の上に浮べて生活をしているというのは、日本、それから中国、こういうアジア地域の後進国間において見られることです。しかもまた日本人ほど魚を好む者はございません。この種の工場がありまする諸外国というものを見れば、みな上水道、下水道の設備が完備していて、私も東独、西独その他スイス、こういうふうな工場の進歩している諸外国を親しく見て参っておりますが、その国では川に船を浮べて生活をしたり、魚をとったりというような、そういう原始的な素朴な形の生活態様はあり得ないのです。それで諸外国の文献にこういうものがないから、この廃液処理設備を設置しておりませんけれども、あなたたちは許可すべきだと、今日あることを予見した、まあ知能犯的な文句を並べて、うまうまとこの工場認可申請書を出して、とっているというところに、私は問題があると思うのであります。あなたたちとしては、法律の命ずるところに従ってそうして書類が完備して出て参って、資料がひとそろいもそろっておりますれば、私は許可することは当然であり、やむを得ないと思うのであります。従って私はその当時許可したことがけしからぬといっているのではなくて、現実に今日のような大きな問題が起きたときには、連帯責任において許可した者として、そうして水産庁の諸君が心配しているような立場にも立ち、漁民の立場にも立ち、そうして今日生活が奪われんとしている人たちの立場にも立って、もちろん工場立場にも立って、日本の近代の工業の推進のためにもなるその立場に立つことも必要ですけれども、この際は被害者の立場に立って、やはり許可したものの当面の責任者として考えてほしいと思うのです。従ってこのことについては、どういうふうに責任を感じているかということを私は聞きたいし、これを許可したときの指導部長はやはりあなたですか。
  106. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) はあ。
  107. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると、何か行政上のこの問題については、本問題解決に相当の御決意もあると思いますが、一つここで答弁しなくてもいいから、だれもが納得するような、あたたかな親心を持って、この問題を処理したいと思うのですよ。幸いにこの問題に関して御見解が承われれば、私はありがたいし、またあまり木で鼻をくくったようなことを言うならば、私が何ぼでも怒るだけだから、そのままでもけっこうです。(笑声)
  108. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私はさっき木で鼻をくくったと怒られましたが、実は四角四面に申したのでございまして、人間とか、あるいは道義的な問題は、私は全然別問題かというふうに考えております。  それから先ほど経済局長から御答弁がありましたように、知事としては、千葉県と一緒になってこの補償の問題その他の問題については、十分やっていきたいという御意思がありましたので、知事の線としてはそういうふうにやって行くのが当然ではあるまいかというふうに考えております。  それからもう一点の、ちょっと……。
  109. 相馬助治

    ○相馬助治君 行政上、認可して、こういう不詳事件が起きたので、それはどういう責任を感じておるか。
  110. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私どもとしては、まず最初に工場に、公害の及ぼさないようなことを強力に進めていきたい。それからもう一点は、そういう設備が完備しない以上は、絶対に川へ流しちゃいけないということを確約申し上げたいと考えております。
  111. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  112. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) 速記を始めて。
  113. 片岡文重

    ○片岡文重君 大河原参考人の御答弁で、前回来のお話とは若干緩和されてきたようですが、今のお話を伺っておりますと、少くとも許可をされたときには、あなたのお話をそのまま私どもが受け入れたとして解釈すれば、少くとも許可をされたときには、この事態が起る以前になされた被害、これに対する補償とか賠償等の問題については話題にも上っておらなかったし、従ってそういうことは考慮の中にはなかった、賠償させるとかさせないとか、させないということじゃなくて、させないとかさせるとかいうことについての考えも、会話のやりとりもなかったのだ、こういうことに解釈してよろしいのですか、その点重ねてはっきりお伺いしておきたいと思います。
  114. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 今お話しの通りでございます。
  115. 片岡文重

    ○片岡文重君 率直にその点をお認めいただいたのですから、何も申し上げることはないのですが、この問題はせっかく東京都、千葉県の両知事が中に入ってお話を進めていただく上からも、きわめて私は重要な点になったと思いまするので、あえて確認をしておいたわけですが、率直に取り消されたのでそれ以上の追及はいたしません。ただ所見として申し上げますが、この「全部解決をしますから御安心下さい」というこの中には、当然私は会社側の行なった操業の結果引き起こされたところの事態によって生ずる関係漁民の被害というものの賠償並びに漁場に対する原状回復の責任が含まれておらなければ、全部解決の責任に応ずる意味をなさない、当然含んでおると考えるのが常識だと考えますから、私の所見をこの際申し上げておきたいと思うのです。  それから千葉県の川上参考人に一言お尋ねしたいのですが、補償額それから被害額等については、先ほどお尋ねがありましたので、これは省略いたしますが、けさの新聞によりますと、昨年から千葉県に誘致された工場の数は、たしか県の工業統計調査によると、四百八十工場、昨年中にふえておる、この大部分が京葉地区にふえておる、こういう新聞が出ております。従ってこういう今起っておるような問題は、従来も大なり小なりわれわれとしてはその対策に対する緩慢な措置といいますか、被害者の不満の声を聞いておったわけです。将来もますますこういう問題が監督官庁の態度いかんによってはふえるとも減るようなことはないのではないかと考えられます。特に京葉工業地帯を持っておられる千葉県として、水産商工部長の重職にあられる川上参考人は、その点について非常な御関心を持っておられると思うのですが、こういう河川港湾等の汚毒による漁民並びに沿岸の住民の衛生上、生活上こうむる損害の防止対策について、何らかの御所見がおありになりますれば、この際伺っておきたいと思います。  いま一点は、さしあたって今起っておる江戸川工場汚水による被害漁民に対して、県は今どういうことをお考えになっておるのか。たとえば具体的に申し上げまするならば、漁民の生活等について聞くところによれば、すでに魚類等の死滅から漁民諸君は、あるいは自転車を借りて、借金で、前借で品物を仕入れて、都内それから農村地帯に行商に歩いているそうです。またおかみさん連中はわずかな手内職をして、わずかに糊口をしのいでいるという状態だそうです。こういう塗炭の苦しみの中にあって、しかも口頭とはいいながら中止命令をした都の命令にも服さずして汚水放流し、ついに今日の事態を惹起し、漁民の中にも数十名の負傷者を出すという不祥事態を惹起した工場を相手としての補償交渉でありますから、そう簡単に事態が漁民のためにまずまずと納得できるような解決が生まれてくるとは、残念ながら安心をしておられないのではないかと思う。その間中、県としてこのまま漁民の生活には物質的に経済的に何ら手の施しようもないものであるのかどうか。これはむしろ民生部長の御所管になるかもしれませんが、一応この事件の直接の関係者としてでき得るならば、あえて民生部等とも十分な御連絡をとって、これらの点についてもお考えを伺いたいのでありますが、今日御所見としてできるだけ具体的にその御計画なりを伺うことができれば幸いだと思います。  この二点についてお伺いいたします。
  116. 川上紀一

    参考人川上紀一君) 千葉県の工業化が進んで参るにつれまして、最近この種の問題が県内におきましても非常に発生する度合いが多くなっております。これらに対しまして、従来千葉県にはこれらを規制する措置といたしまして、海面とかあるいは内水面の漁業調整規則というのがあるのでございます。これでは昨今のような千葉県の工業化のすさまじいテンポを持っております現在に必ずしも適合しない、こういううらみがあるのでございます。で、私ども水質汚濁防止法の制定を心待ちにしておったのでございまするが、それらの法の制定と同時に、私ども東京都で持っておられますような公害防止条令を制定すべきかどうか、こういう問題につきまして県は県の立場において今まで検討を加えておるのでございますが、今度の例等にかんがみ、また京葉工業地帯という工業地帯の造成も非常なテンポをもって進んでおりますので、この公害防止の措置を一つ十分考えて、条例の制定等の線に沿いまして検討を加えて参りたいと思っております。現在、これは蛇足になるかとも存じますが、千葉県におきましては、この鉱工業の整備の審議会というのがあるのでございますが、これは県庁内部の機構でございます。特にその中に公害の防止のための委員会がございまして、各部各課連絡をとりつつこの問題に対処しておるのでございます。先ほどの御意見通り、今後千葉県の工業化のテンポということをにらみまして、この点十分注意して参りたいと思っております。  それから当面の本州製紙の問題でございますが、本州製紙のこの問題から受けました浦安の被害の問題に対する県の立場でございますが、再開につきましてこれは十分東京都と連絡をとり、漁業被害を与えないような設備をしていただきまして、そして再開の場合には再開していただく、こういう連絡を十分にいたし、また千葉県の立場におきまして申し入れをいたしたいと、こう考えております。  それからあとの稚貝の復旧の問題でございますが、これは清掃とか、あるいは稚貝のまきつけに対します補助とか、いろいろな方法があるかと思います。これらを県の立場におきましてもやって参りたいと考えております。  さらに民生関係の問題につきましては、知事と所管の部百長と十分連絡をとり、知事の御脂水を仰ぎたい、こう考えております。  それからこの地域千葉県の稚貝の発生の主要な地点になっておりますので、今後この保護水面の育成につきまして十分留意をして参りたい、こう考えております。  以上であります。
  117. 島清

    ○島清君 私が質問を申し上げたことについて東京都の指導部長さんの御答弁から端を発しまして、何か補償のことを考えてないような御答弁であったかのごとく各委員に印象を与えたようでありまするが、私にいただきました答弁を私はそういうことで了承したわけではなかったんです。私の所見を申し上げますというと、私は東京都は共同の責任を負うべきであるという態度をとっております。それはなぜであるかと言いますというと、過失があるから責任を負わなければならぬということはありませんし、あなたの方が過失とみる人もおりましょうし、あるいはあなたの方においては無過失であるかもしれませんが、しかしながら無過失責任というのが民法にもございますので、民法的立場で申し上げますならば、当然にこれは共同の責任の立場において被害の補償をしなければならないと、こういうふうな見解をとっております。この点については私は東京都も返す言葉がないと思いますが、しかしながらあなたが工場の方に対しまして操業の停止をお命じになったと、そのお命じになりましたところのその命令の範囲内において、お前たちの方で補償しろ、その被害の補償についての話し合いがあったかなかったかということを私は聞いたんで、それはなかったんだというような御答弁であったので、私は了承したわけです。私は東京都の選出なものですから、東京都におきましては、あなたがどういう考え方であろうとも、被害民に対しましてはその損害の補償をしなければならぬという努力がなされておるというふうに承知をいたしておりまするので、それ以上は追及をいたしませんでしたけれども、しかしながら私があえてあなたの立場を追及するといたしまするならば、相馬委員が指摘をいたしました通り、それは工場側の方に作為があったか、あるいは工場側において作為がなかったにいたしましても、あなたが認可をされた、あなたが認可をされたことによって、こういったような被害が現われてきたのでありまするから、行政的なその衝に当られた方といたしましては、あなたははなはだ適任ではなかったということが言い得るのであります。無知は罪悪なりという言葉がありますが、あなたが無知であったがために、これだけの罪悪が発生したわけでありまするから、あなたの立場といたしましては、私はこれは何とも弁解のしょうがないと思います。従いまして今からあなたたち東京都がなし得ることは、これからの被害が起らないこと――これは命令をされたのでありますから、それでよろしいといたしましても、しかしながらあなたの行政的な誤まりによって――誤まりということをあなたがお認めにならないといたしまするならば、過失でもない無過失によりまして起りました――通俗な言葉で申し上げまするというと、行政的な百パーセントの知識に欠けておったことによって、これだけの被害というものが起ったのでありまするから、当然に東京都は共同の責任の立場において、この被害の補てんをはかる、補償してあげるということについて十二分に私は努力をされなければならないと思うのです。しかしながら、得てしてこういうような問題につきましては、被害者と工場側とこういうようなことに放置をされまして、いつの間にか工場側の方は、この大ぜいの人々のきりくずしにかかる、そして幹部の買収にかかる、そういたしましていつの間にか、これはうやむやに終るというような傾向がございまするので、そこで私は一体だれが加害者であるか、被害者ははっきりしておるのでありますけれども、一体だれが加害者であるのか。加害者はもちろん工場でありますけれども、しかしながらその工場側の方は東京都の認可を受けて操業したのであるからして、必ずしも一二〇%の責任を負わなければならぬというような、今までの道義的責任においてこの種の問題が解決されておりませんので、私は建設省におきましても、通産省におきましても、もちろんまた水産庁は、これはその被害者側の方の立場に立っておられるのでありまするから、十二分に監視をされるであろうというような前提のもとに、私は御質問申し上げたわけでありまするが、加害者側といたしましては、これは役所からいたしまするならば、東京都はもちろんでありますが、通産省であり、建設省であるのでありますから、どうか一つこの種の補償の問題につきましては、皆様方の共同の責任的立場において見守っていただいて、漁民の方々が、今片岡委員が指摘をされたような生活が根本的に破壊をされて、二度と再び立ち上ることのできないようなほどの最悪の生活状態に追い込まないで、可及的すみやかな立場において補償を一つはかってあげると、こういうふうに各官庁は努力をしてもらいたいと、こういうことを私は所見として強い意見を申し述べておきます。
  118. 奥むめお

    奥むめお君 簡単な質問でございますが、きょうは厚生省からだれも来ておらないそうでして、水産庁の長官に伺いたいのですが、東京湾のアサリやあるいはアユや、あるいはいろいろなまだ死なないお魚を市民が買って食べているわけです。漁民はもちろんたくさん食べていると思いますが、これの害毒というものはどういうものであるかということは水産庁の中にお調べになっておる機関もあると思いますが、いかがでございますか。貝がらの外にアワをふいておるとか、あるいは鼻上げしておるとか、いろいろ書かれておりますですね。これは量としては相当のものだと思いますが、毎日売られておるものの分量から言いますると……。
  119. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 漁業場の被害につきましてはわれわれ非常に関心を持っておりますし、それから現地調査の機会等にはわれわれの方からも立会いたしております。ただただいまの御質問は、これを食用にいたします際の毒分の問題を含めてのお尋ねだと思いますが、実はまだわれわれはそこまでの研究データを持っておりません。ただその汚水の中に硫化現象が起っております関係か、その悪臭が貝餌等に入りまして、そしてその販売が非常に阻害されておる。こういう面は、これはそれ自体が直ちに毒分であるとは言いかねると思いますけれども漁業被害の問題としては、これは愉悦することのできない問題だと、かように考えております。
  120. 奥むめお

    奥むめお君 この問題についての調質は、それではわかりませんですか、それとも今現に調べていますか。
  121. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) もう少し失態を詰めまして、要すれば調査を進めたいと存じます。
  122. 奥むめお

    奥むめお君 その調査資料ができ次第ぜひ決算委員会に出していただきたいと思いますので、委員長から一つお取り計らいを願いたいと思います。
  123. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) 水産庁長官、今の資料よろしゅうございますね。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  124. 平島敏夫

    理事(平島敏夫君) 速記をとって下さい。  これをもって午前中の審議会を終ります。本州製紙関係の問題はこれで一応打ち切って、まだ今後いろいろ問題が残っておりますが、それはあらためて審議をいたしたいと存じます。  それでは、千葉県、東京都からおいでになっている参考人の方は、午後は御出席願わなくてもよろしゅうございます。この際、長い時間御多忙中おいで下さいましたことに対して深甚の謝意を表します。  それでは、御異議がございませんければ、これをもって午前中の審議を打ち切って休憩にいたし、午後二時から再開いたします。    午後零時五十三分休憩      ―――――・―――――    午後二時十二分開会
  125. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  江戸川における汚水放流による漁業被害に関する件の質疑を続行いたします。御質疑のある方に順次御発言願います。
  126. 相澤重明

    ○相澤重明君 河川局長にお尋ねをしますが、現地をごらんになったでしょうか。
  127. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 私自身は参っておりませんけれども、現地の機関は見ております。
  128. 相澤重明

    ○相澤重明君 現地を調査された方がこの廃液が流れてそしてこれは黒い水が出てくるから、この問題大騒ぎになったのですが、白い水でどのような状況になっておるかという結果を御承知でしょうか、建設省河川局としてはどうでしょう。
  129. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 黒い水が出ておるということは聞いて、私も現地の報告を聞いております。白い水の件についてはまだ聞いておりません。
  130. 相澤重明

    ○相澤重明君 水産庁長官にお尋ねしたいのですが、水産庁の方ではこの白い水の結果ということは、報告は何も受けておりませんか。
  131. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) その当時におきましては報告を受けておりません。黒い水につきましては、われわれ自身もそれが流れるようになりましてから直ちに気づき、連絡もとったのでございますが、白い水の段階におきましては、報告を受けておりません。
  132. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは農林水産委員会や建設委員会が現地調査をされておると思うのですが、その結果何も聞いていませんか。
  133. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 現地調査をされた状況については報告を受けております。私の方の課長補佐もこれに随行いたしております。ただしそれはすでに黒い水の流出をとめておりましたその段階においてお出かけになりました次第でございます。
  134. 相澤重明

    ○相澤重明君 松尾企業局長にお尋ねをしたいのですが、このタンニン等の問題、廃液の問題ですね、これを工業化することを企業局の方ではお考えになったことはございませんか。
  135. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 従来におきましてもパルプ廃液の利用と申しますか、利用につきましては、いろいろな技術的な研究が行われておりますし、現在すでにもう実際化されておるものもございます。ただ問題になっておりますSCP廃液の場合は、このSCPという処理方法が比較的新しい方法である関係上、現在までにその利用の合理化、利用等につきましては、必ずしも十分なところまでいっていないというところが現在の実情でございます。
  136. 相澤重明

    ○相澤重明君 今までにこのパルプの副産物としてそうした企業化したところは具体的にどことどこでしょうか。またもしおわかりになったら、それに要するところの工場設備費等概略でけっこうですから、それを一つ御説明いただきたいと思います。
  137. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) 別途設備費等につきましては、後ほど資料で差し上げたいと思いますが、まず第一に、山陽パルプの岩国工場、ここにおきましては、アルコールを月に三百三十キロリッター、粘結剤としまして、月に千三百トン、なめし剤-鞣剤でございますが、これを月に百トン、それから防塵剤それから農業用展着剤、こういつたようなものを少量作っております。これも後ほど資料で御提出いたします。それから国策パルプの旭川工場におきましては、アルコールを月に三百三十キロリッター、それから膠着液を月に十二トン、それから王子の苫小牧工場におきましては、アルコールを月に百二十キロリッター、それからその他メタノール、フーゼル油、ラック、こういったようなものを若干作っております。それから東洋紡の犬山工場におきましては、動物の飼料といたしましての酵母を月に百五十トン程度作っております。それから北越製紙におきましては、鋳型油を月に七十トン程度作っております。それから興国人絹パルプにおきましては、鋳型の粘結剤を百八十トン程度作っております。こういったように、今日までいろいろ……、それからさらにクラフトパルプ関係といたしましては、トール油を若干それぞれ各工場とも作っておりますので、後ほどいずれ資料として提出したいと思います。
  138. 相澤重明

    ○相澤重明君 こまかい点については資料を提出していただきたいと思うのですが、そこでこの今の額の点、ちょっとあまりうるさくて聞こえなかったのですが、どのくらい普通の設備資金というものは必要であるか、おわかりになったら一つお答えいただきたいと思います。
  139. 橋本徳男

    説明員橋本徳男君) これはアルコールと、それからそのほかのものによって、相当額的には違うと思います。アルコールの設備のような場合には、私聞いておりますのに、山陽パルプあたりでは一億近くかかったようなことも聞いておりますが、これも後ほど調べまして、品種別に設備額を御提出いたします。
  140. 相澤重明

    ○相澤重明君 松尾局長の方にお尋ねしたいのですが、そういう点、今のはすでに企業化しておるところもあるし、さらにSCP廃液の問題については研究もされておると思うのでありますか、今後やはり企業化する、あるいは工業化するというようなお考えを持っておるのかどうか。またもし持っておるとすれば、調査費なり研究費なりというものをすでに政府に要求をしておるのか、あるいはまたどのくらいの額を実は出されておるのか、そういう点もあわせてお答えをいただきたいと思うのです。
  141. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 通産省としましては、もちろんこの廃液の利用促進があわせて廃液被害防止になるわけでございますから、当然従来も強く企業にこういう点を行政指導面においても要望して参りました。私どもの方から先ほど提出いたしております資料におきましても、その方の技術研究をずっと以前から進めておりますし、それからまた企業にこれを実際に応用、実用化するように行政指導をして参っておりますが、ただ何分にもこのような施設をやりましても、そのような利用施設自体が独立して採算のとれるというようなものでないというのが大体従来の常識でありまして、当然大体の見当でも何億という施設費をかけましても、それからでき上ってくるアルコールなり何なりの利益というものは、それだけではとうてい収支が償わないというのが現状でありますが、しかし片方、廃液から出てくる今の被害を考えますと、やはり利用と被害除去を同時に考えるべきだということで指導して参っております。この点は各企業におきましてもそのような努力をすると同時に、できれば何らかそのようなことについての資金の面なりその他できるだけ援助がほしいとか、あるいは償却の面において特別償却の考慮をしてほしいとかいうような希望も出ておりますし、また現在ではそのような企業の採算からいえば、本来の採算に合わない仕事の設備でありますが、依然としてやはり固定資産税等もかかっておるのであります。そういう点についてできるだけ国の配慮がほしいという希望も出ております。それらの点も現在まで十分には実現していませんが、今後ともそういう点もあわせてできるだけそういうような方向に助成して促進をして参りたいというふうに考えております。
  142. 相澤重明

    ○相澤重明君 工場地帯に対するそういった配慮というものは、私はやはり根本的施策として考えなければならぬと思うのですが、どこへ行っても今後は、これは革に江戸川の問題だけでなく、日本国中至るところに工場を誘致する場合にこの問題は起きることだと思う。従って根本的な対策として、今の松尾企業局長の言うような方向というものを一つ案を作って出してもらいたいと私ども希望いたします。  そこで水産庁長官にお尋ねいたしたいと思うのですが、先ほど、現地をまだ見ておいでにならないようですが、実は黒い水が出たのが問題の発端になったようでありますが、むしろ被害については白い水がかなり悪影響を及ぼしておるというのはいなめないようですね。それはすでに現地調査をされた方々は、この流水の状況の中に沈澱をしたものがなかなか、海水のいわゆる満潮時のときと干潮時のときのその状況を見ると実によく出ておるそうですね。そしてこの廃液が流れておったところの付近の貝類というものはほとんど死滅をしておる、こういうことを言われておるわけです。ですから、これは単に取付口の付近の海水なりあるいはその川の水を調査をしただけでは私は結論がちょっとむずかしいのじゃないか。むしろそういうような満潮時、干潮時というような面まで含んで実は水産資源の保護という点にもっと根本的にメスを入れないというと、私はこの問題はなかなか解決がしにくいのじゃないか、こういうふうに現地を見られた方々のお話を聞くと考えられるのですが、今後そういう点を調査をする考えがあるかどうか、その点一つ長官にお尋ねをしておきたいと思います。
  143. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) この工場から出ておりましたいわゆる白い水というのは、この工場で製紙をいたしておりました際の廃液かと思うのでありますが、SCPの操作をやるようになりましてからは、その工程におきまして亜硫酸アンモニアを使う、そういう結果、その廃液の中にアンモニアが含まれておるのではないか、あるいは硫化現象をそれによって引き起すのではないかというふうな点が非常に懸念されるのであります。毒分という点についてはSCPの方が非常に問題があるのではないか。ただし従来流されおりました製紙によりまする廃液の中には、繊維分が相当含まれておると思うのであります。その繊維分が沈澱いたしまして、そうしてそれが腐敗いたしておる。そういうことによりまして、水中に溶解されております酸素を吸収して腐敗現象を起しておる。それによりまする水質というものの汚濁ということによります被害、これは単に排出口だけの問題ではございませんので、さらにその川下及び沿岸にわたって十分に突きとめて調べなければならない必要があるのではないか、かように考えておる次第であります。
  144. 相澤重明

    ○相澤重明君 今長官の言われた繊維分が非常に流水とともに沈澱をしておるわけですね。それによって酸素が吸収されてしまうために、結局は貝類そのものが生息が困難になる。こういうような事態が生まれておるということなんです。私もやはり現地を見ておりませんから、むしろ関係官庁の調査の結果をほしかったのでありますが、現在調査をしておらないとすれば、早急にやはりそういう点について具体的に私は調査をされて、今後の一つ取締りの対象に私はしていただきたいと、こう思うのです。  それからいわゆる白い水がそういう害を及ぼしておるとともに、さらに黒い水が出てからよけいに実は汚濁されたということが今回の問題の発端になっておるようですね。従って私はむしろ水産資源の保護の立場においては、もちろん水産庁独自の立場もあろうが、一面においては、他面的においては、先ほど松尾企業局長の言うように、工場との関係については、これはなわ張りが水産庁であるとかあるいは企業局であるというような関係でなくして、やはり総合的にそういうものはとっていかないというと、その被害というものを私は根絶することはできないと思う。できれば、そういう繊維分なり何なりがたくさん流れて、しかもこれが貝類の生殖を妨げておるということになれば、それはむしろ工業化することができるならば、資源の面においてもむしろプラスになるのではないかということも考えられる。しかし現状においてはSCP廃液がどの程度まで工業化して利用が採算がとれるものかということは、なお私どもも大きな期待を持っておるわけですが、これができるならば、そういう点をすみやかに私はやはりこの際最も世論が非常に関心を持っておる、盛り上っておるときにこそ、私は官庁としてとるべき措置ではないか、こう考えておるのですが、先ほどの午前中の御答弁をお伺いいたしますというと、大体経済企画庁法案の立案は準備するようになっておるようでありますが、そういう問題については水産庁なり企業局の方では一体どういうふうにお考えになっておるか、一つ両者からお答えをいただきたいと思うのです。
  145. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 根本的に水質汚濁の問題に対処いたしまするためには、私は今日まで企画庁で関係各省意見をいろいろ取りまとめていただいてきており、またその作業も継続中であるのでありますが、さらに今回のこの事件等で盛り上っておりまする国内の世論等をも十分勘案いたしまして、一そう根本的な対策の取りまとめをわれわれも努力をいたして参りたい。もちろんそれぞれ所管いたしておりまする分野が異なっておりまするから、そこでもちろん経過的にはいろいろ議論もございましょうけれども、とにかく根本的対策を放置しておけないという情勢が、これは火を見るよりも明らかに相なっておるのでございまして、ぜひともその取りまとめを進めていただきたいし、われわれも努力をいたしたいと、かように考えております。しかしそれまでの間におきましても、この問題は実は放置しておくことは許されないのでございまして、現在これについての十分なる対策が確立されておらないということのために、騒動が起って、その騒動の起ったものが前面に取り上げられて解決が促進される、こういう状態であることは、これは非常に残念なことであります。そこで実は水産庁関係試験場におきましても、また農林省の中の農林水産技術会議等におきましても、実は水質汚濁の問題については被害という観点及び若干農薬等の加害というような観点からの試験研究をとり進めております。また同時に通産省におきまして、工場廃液の利用ということによってのいろいろな研究もあり、また先ほどお話しのありました犬山の工場等は、私どもの部内でも視察をして非常に敬意を表して、帰って報告いたしておるような次第であります。両者の連絡を一そう緊密にすることに、これを機縁としてさらに努力をいたしたい、かように考えております。
  146. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) この問題につきまして、技術的な処理の問題あるいは共同で排水処理をやるような、中小企業に対する特別の配慮の問題というようなことは別途の問題でございますが、この問題に関しての法律的な措置の問題としては、前に申し上げたと思いますが、経済企画庁中心として、前にすでにある程度の成案に達しておるものに、通産省としては基本的に賛成して参っております。ただその実際の運用について、運用の効果が上るように中小企業その他についての配慮措置が合せて必要であろうということでありまして、基本的には現在まで立案されておるその方向について賛成でございます。
  147. 相澤重明

    ○相澤重明君 大体私のお尋ねも終りますが、そこで一つ水産庁の長官に、先ほども午前中に大竹委員から神奈川県の酒匂川の鮎の変死の状態もちょっと御発言があったようでございますが、この本州製紙や酒匂川の富士フィルムの汚濁事件を初めとして、今までそういうような事件というものはどのくらいあったか、もしおわかりになったら御発表をしていただきたいし、また資料も一つ提出をしていただきたい、こう思うのですが。
  148. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 事例として申し上げますれば、非常に驚くばかりの件数に上っておるのであります。すなわちわれわれのアンテナに触れ、あるいは県からの報告を受けました件数が、昭和一下一年におきまして四百七十八件、毎年その前後の案件が起っております次第でございます。最近におきまする大きな事件といたしましては、ただいま問題になっておりまする本州製紙江戸川の問題及び酒匂川の問題のほかに、島根県の益田におけるパルプ工場の誘致に関連いたしまして非常な紛糾が起っております。また宮崎県の日向市におきましても、やはりパルプ工場の誘致に関連いたしましていろいろな紛糾が起っておったのでありますが、これはとにかく県が間に立ちまして、まがりなりにも一応の解決を見た次第でありまして、また鹿児島県のあの鹿児島湾の一番奥にパルプ工場を誘致する、こういう問題がありましたのですが、これに関しましては、地元の漁民等の反対があり、またパルプ事業自身の金融等の円滑にいかないというような関係もございまして、この話は幸か不幸か、とにかくお流れになりまして、おさまりましたような次第でございます。そのほか実に無数にこういう事件が起っております次第でございます。
  149. 相澤重明

    ○相澤重明君 三十一年度の四百七十八件というのは、今ここに資料をいただいておるわけですが、三十二年度のは具体的にはおわかりになりませんか。
  150. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) まだまとまっておりません。
  151. 相澤重明

    ○相澤重明君 三十二年度のもできたら一つ資料を御提出をいただきたいのです。そこでこの中に損害の数量、金額等も出ておるわけですが、午前中の質疑の中で、あなたは、いわゆるこういう損害が起きた場合には当然、損害補償をされるということは当然なことであるという御答弁があったと思うのですが、それはそれでいいといたしまして、具体的に千葉県と東京都の参考人からは出されておりませんでしたが、大体東京湾等で、神奈川県とか東京とか大ざっぱに出ておるのですが、今回の本州製紙関係地域について具体的に調査をされたのか、あるいはこれからされるのか、その点一つ、この数量とか被害額とか、そういうものをどういうふうにやろうとしておるのか、その点一つ御答弁いただきたい。
  152. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) この問題が起りましてから、東京都及び千葉県が目下調査をやっておるのでございまして、私たちの技術者も、これが相談にあずかっております次第でございます。
  153. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 私からちょっと建設省に伺いますが、先ほど午前中の御説明の中に、三十三年度に直轄河川河川を選んで水質検査をするというような御説明があったのですが、どことどこですか。
  154. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 隅田川と江戸川と淀川と遠賀川でございます。
  155. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それで引き続いて伺いますが、その水質検査というのは、生物に対する死滅の程度とか害毒を与える程度とか、そういう検査もなさるのですか。ただ化学的の、ケミカルだけの検査ですか。
  156. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 私どもといたしましては、非常によごれておるところを選びまして、化学的にどういう成分であるというところまでは私どもがやりまして、あと被害の問題につきましては、また別途都の調査あるいは水産庁等の調査と合わして参りたいと、こういうふうに考えております。
  157. 高野一夫

    委員長高野一夫君) そうすると、大体においてケミカルの検査をおやりになり、その他の点については水産庁等と共同しておやりになるわけですか。それともあとで化学的データをお出しになって、水産庁に移して、別個に水産庁水産庁でまた試験をすると、こういうことになりますか。
  158. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ケミカルの問題をやっておきますると、ほかの具体的な問題が、どのくらい被害があったとか、どういう地点でどういう被害があったとか、このくらいの化学成分はこうなったと、こういう点と照合いたしますると、そういう資料に使えるというふうに考えております。
  159. 高野一夫

    委員長高野一夫君) それから水産庁に伺いますが、ただいま三十一年度四百七十八件報告に接しておるというお話しでございますが、これらの問題は、当事者の間においてすでに全部円満に解決がついたものでありましょうか、それともまだ引き続いて問題になっておる件もこの中に何件かあるわけですか。さらにまた当事者の間で問題を解決せしめるためには、県庁とかあるいは中央の方から水産庁なり何なりが参画されて、あっせんの労を一々とられるわけでありますか。
  160. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) ただいまの三十一年度の案件につきましては、あらかた、それぞれの現地において解決をいたしております。しかし、中にはまだ解決をいたしておらない問題もあるのでございます。で、水産庁はこれらの問題が起りますと、まず知事を中心にいたしまして、それぞれの現地において解決しやすいようにわれわれの方も技術的な観点に立っての御協力をする、こういう立場をとっております。県の方でどうしても手をあげて、そして水産庁自身に調停を求めるというふうなケースはまだ起っておりません。
  161. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 引き続いて伺いしますが、いろいろ聞くところによりますれば、たとえば当事者の間で話をつける、見舞金といいますか、補償金といいますか、損害賠償といいますか、それを払う、幾らにきめるというような相談がある場合に、かりにその工場のある付近の川の沿線に幾多の工場があるというような場合には、それは自分の工場だけでなくして、ほかの工場から出ているかもしれないじゃないかというような、いろいろな問題が出てきて、そして結局漁民の方ではしびれをきらして泣き寝入りになって、見舞金でたたかれる、こういう事例がしばしばあるやに聞くのでありますけれども、私は見たことがないからわかりませんが、さような事例があるのでありましょうかどうか、当局の方でお調べになった事例からしまして、何州御説明を願いたいと思います。
  162. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) ただいま一つの水系において若干個所の悪水を流す工場、事業場があって、その間のその責任の追及に困惑している、こういうケースは実はしばしばあるのでございます。最近私たちが承知をいたしております事件につきましても、高知の浦戸湾の悪水の問題、また香川県の高松市のやはり製紙工場群の悪水の問題、ノリ漁場に対する被害の問題というのが現実に起っております。これは今いずれも加害は複数工場でございます。そこでそれらに対しましては、それぞれの製紙工場が、当の加害工場が一つの組織を作りまして、そこでその組織で金を出して、香川県の場合等は水門を作ることに金を出す、そんなふうなことで解決をいたしておる場合もございます。しかしそういう場合が、もっとも多くの場合解決が困難なことが多いのでございまして、この点われわれもなお指導を徹底させなければならない、かように考えております。
  163. 高野一夫

    委員長高野一夫君) そこで先ほど私が申し上げた事例があるやに私は一、二聞いておるのでありますが、さようなことで漁民側の方が泣き寝入りになってたたかれた、見舞金で甘んじなければならぬというような事態が起った場合は、当局の方で適当に一つ善処方といいますか、適正なるあっせん役をおとり願うようにお願いしたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのは、農薬が農民によって使われて、そしてそれが河川に、どの程度か知りませんが、害毒を流されて、それによってウナギにしてもあるいはアユにしても、いろいろな河川のこまごました水産業でありましょうけれども、そういう方面に損害を与えたというような場合があるとすれば、あったかどうか知りませんが、どういうような処置をこれに対して講じられるつもりであるか、それを伺っておきたいと思います。
  164. 奥原日出男

    政府委員奥原日出男君) 今日まで農薬によります漁業被害といたしまして具体的に問題が起っておりますのは、九州の有明海の問題でございます。有明海の漁業が最近、特に昭和二十七年あたりから急激に漁獲が減りまして、特にエビ、アミ等の甲殻類が非常な減少を来たしたのであります。この被害が一体どこに原因があるかということにつきまして、九州の大学及び農事試験場等におきまして、それぞれ分担をして検討をいたしたのでありますが、被害がそれから起ったというデータと、それから全然被害がないというデータ二つデータが出て参りました。しかもそれぞれその方法論につきまして、研究方法論についてお互いに批判をいたしておるということで、農林省としましても、まだこれが農薬について起ってきた被害であるという結論は持たない次第でございます。そこでこれらの不振漁業地帯に対しまする沿岸漁業の振興の対策を至急に講じなければならない、こういう観点から一昨年約五千万円ばかりの金をこれらの地方に投じまして、農薬等の被害に強いと考えられまする貝類及びノリの増殖を推進いたしまして、これで非常に増産の効果を上げたのでありますが、さらに今年度におきましては、この地方の水中のみならず陸地も含めました沿岸漁村振興対策を年次計画で実施していく、こういうことで現地では一応農薬被害によりまする紛糾は全然解消いたしておる、こういう状況でございます。その他の地帯におきまして河川あるいは沿岸の浮魚に対する被害の問題、これはまだデータとしては持ち上っておらない次第でございます。
  165. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 農薬による被害は、大きいまとまった工場から出る廃液による被害とは違って、なかなかその根源をつきとめることはむずかしいと思いますが、しかし小さい事件はしばしば人命のほかにそういう方面にいろいろ害を与えることが起っていると思いますので、今後特に御注意を願っておきたいと思いますが、通産省に伺いたいのですが、先ほどの午前中の御説明の中に、この資料にございますが、中小企業者に対する問題として昨年度三千万円、本年度五千九百万円の国庫補助制度ができているということでありまするが、きわめてわずかの金額のようですけれども、昨年度はこれがどういうようなふうに施設の面において利用されたかどうか、御説明を願いたい。本年度はどういう方面にこの金を使って、どういうところでどういう施設をしようとする御計画であるかを伺っておきたい。
  166. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) これは私の方からお願いをいたしまして、予算措置は建設省にお願いをしておるのでありますが、この三十二年度からやっておりますのは三十二、三年度にまたがって継続的な仕事になっております。今そのようなことで進めておりますのは四ヵ地点ほどございまして、静岡県で、これは小さな中小の製紙工場の固まっておりますところの地点を一つ選んでおります。次は名古屋地区におきまして染色整理の関係のやはり中小工場の集っている地点を選んでおります。第三は大阪で、それから和歌山の地区におきまして同じ染色整理の中小工場の集っている地点を選びまして、合計四ヵ地点を選びまして去年、ことしと補助金をいただいているということでございます。
  167. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 静岡と名古屋と大阪と和歌山はどこですかわかりますか。
  168. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 静岡は吉原の近くの岳南排水路という名で呼ばれているようでございます。それから名古屋は尾西地区の排水路、一の宮のところでございます。それから大阪は八尾市のところで長瀬川の排水路といっております。それから和歌山県は和歌山市で和歌川排水路という名前で呼ばれております。
  169. 相澤重明

    ○相澤重明君 松尾企業局長にお尋ねしておきますが、東京都の工場認可申請書ですね。こういうものはこれは本省関係には、地方の都道府県がやった場合には、地方の責任ということで、おそらく本省関係には報告はないんじゃないかと思うのですが、どうなんですか、普通一般の場合は。
  170. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) これは都の条例に基くものでございまして、私どもの方には直接連絡は従来とも参っておりません。
  171. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで特にレア・ケースなこういう大きな問題を生じたというような場合には、関係書類というものは直ちにあなたの方では取り寄せることになるのか、それとも関係者が持ってこなければそういうものは見ないのか、その点はいずれですか。
  172. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) 都の条例による認可の手続内容等について、私どもが直接触れる立場ではございませんけれども、そのような法律手続の問題ではなくて、実質的には当然このようなパルプ工場の所管であります私どもの方に重大な関心がありますし、またそれだけの責任も当然あるわけでありますから、この問題が発生いたしまして以後は、特に工場の方からも事情の報告を聞きますし、都の方にも連絡をいたしまして事情をよく聞いて、こういう問題についてはやはり現地の都なり県のごあっせんなりお骨折を願わたければならぬということで、工場の方にもよくそのように連絡をし、その指導なり何なりを仰ぐようにというような行政指導をして参っております。
  173. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで具体的にお尋ねをしたいのは、この本州製紙工場を作るときの申請の中に「SCP廃液性質処理計画」というのがありますね。この中で、これはおそらく日本の学界でもいろいろ研究をしておることだと思うのですが、特に企業局としてこの問題があると私は思う点は、二ページの(2)の項のちょっと上にあります「現在既に吾国に於きまして山林資源有効利用の見地から政府に於ても」というような項のずっと二項を読んでみますというと、農業上も漁業上もいわゆる無害であるというような解釈をとっておるのが大へん文章として出ておるわけですね。こういう点を考えて参りますというと、日本の学界でこえいうものをやはり相当私は研究しておると思うから、いわゆる政府機関として果してこういう点について直ちに検討をされたのか、それとも現在までまだやっていないのかどうか、この点についていかがでしょう。
  174. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) この点につきましては、汚水の成分の分析とか、こういうものを試験管の上で実験をしても、ほとんど意味のないことは御承知の通りでございます。ある与えられた自然条件のもとで、これを検討しなければならないわけでありますが、そういう意味の本格的な検討は、実はそのための特別の研究機関も通産省としては実は持っておりませんし、そういう特別の研究をやったことはございませんが、従来そういう特別のケースの実験というようなことではなくて、こういう問題の一般的な処理の問題として、従来たとえば淀川等につきましては、淀川の水が一体どういう状況にあるかというような点は、経済企画庁中心としまして、私どもの方のたとえば通産局その他がこれに協力をして調査はいたしておりますが、今御指摘のようなものの研究成果というものは現在までにはない状態でございます。
  175. 相澤重明

    ○相澤重明君 ちょっと松尾局長にお尋ねをさらにしなければならぬのは、先ほどの建設省山本河川局長は、今あなたのちょっとお話のように四つの川を具体的に調査をこれから進めると、こう言われたわけですね。ところがすでにもう本州製紙の問題は具体的な事例としてここにあがってきたわけです。あがってきたにもかかわらず、この本州製紙の「SCP廃液性質処理計画」という中には、明かにそういう、今までの計画についてはもう全然そういうことは心配がないということをこれは言っておるわけです。もしこういう形でいくと、まあそれだけの予算もないし、それだけの調査の人員も足りないしということになると、こういうことはあったけれども、それはとにかくできないのだという結果に陥りはしないかという心配を今私ちょっと持ったわけです。こういうふうな具体的な事例について、あなた方の方で政府機関で経済企画庁だけにまかしてしまうというのも、私はこの現場を監督する立場における関係者としてはちょっとおかしいのではないかと、こう思うのですが、あなたの見解というのは一体どうなんでしょう。
  176. 松尾金藏

    政府委員松尾金藏君) こういう具体的なケースの場合の調査になりますと、全く技術的な調査でございますので、それだけそれ相当な試験研究機関等を持っていないと、まあ実質上はできないわけであります。おそらく経済企画庁でもむずかしいでありましょうし、通産省自身としてもそのような施設を持ちませんので、まあ先ほどから都なり県あるいは水産庁等にありますいろいろなデータの上でみんなで判断するという以外には方法がないのではないかというふうに考えております。
  177. 相澤重明

    ○相澤重明君 どうもそこがちょっと私なかなか納得できないところなんですが、何か水産資源の問題にからんで水産庁だけが一番大きな責任を持つような印象を受けるのですよ、あなたの今の御答弁を聞いておると。そこで法律を作る、作るには関係各省がそれぞれ専門的に検討をして、さらにそれをまとめるのは経済企画庁だと、こう実は考えて、経済企画庁がまとまったものを国会に提案をするのだということだと考えておったのですが。どうも今の御答弁ですと、経済企画庁はそれだけの要素は持っていない、また通産省もそれだけの要素を持っていない、あるいは建設省もそれだけないかもしれぬ、そうすると、いわゆる農林、水産だけが果してそれが可能であるかというと、私はかなり制限をされるのではないかという心配で、実際には問題が起きたけれども、しり切れトンボになる可能性があるのではないか、こういう心配をするのですが、その点はどうなんでしょう。一つこれは経済企画庁の方から御答弁いただきましょう。
  178. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) ただいま松尾企業局長のおっしゃいましたのは、私の経済企画庁の方で直接そういう手足となるような試験研究機関を持っていない、従って従来そういう研究をやっておられる水産庁なら水産庁の方の研究の方にお願いしてと、こういう御趣旨の御発言だったのであります。私どもが現在水質汚濁防止に関する立法化をやっておりますのは、相澤先生のお話の通り関係各省から御依頼を受けまして、各省間の意見調整をはかってそれを成文化するという仕事でございます。従ってでき上りますと、それぞれまたその法律の施行でございますね。具体的に私の方である工場ある川の水質基準をきめますと、それに基く工場の監督なり河水の監督なりというものは、それぞれ権限を持っております各もとの官庁に参りまして、そこの官庁にやっていただく、こういう建前で現在進めております。
  179. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで経済企画庁にさらにお尋ねしたいのですが、この法律案を作る場合に、具体的に関係各省はどの省とどの省と、こういうふうに一つおあげをいただきたいのです。
  180. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 非常に関係省が多いのでございますが、まず直接何と申しますか、被害と申しますと語弊がございますが、そういった関係に立ちますのが農林省、水産庁を含めての話であります。それから厚生省、これは上水道関係でございます。それから河川の一般的な監督官庁といたしまして、これが建設省、そのほか港湾に対します監督官庁としまして運輸省、それから汚濁の原因、と申しては非常に語弊がございますが、やはりそういう原因を監督される官庁としまして通産省、それから同じく下水道を所管されております建設省並びに厚生省が入って参ります。そのほか条例で縛っております関係がありますので、自治庁がこれに加わって参ります。大体以上申し上げましたような官庁が関係しております。
  181. 相澤重明

    ○相澤重明君 そこで今までにおいて今午前中のあなたの御答弁で継続検討中である、こういうことでありますが、公衆衛生の面では特に厚生省が参加をしておると、こう思うのですが、先ほど奥委員からも御質問申し上げたのですが、厚生省が本日出ておりませんけれども、一体そういう汚水が流れておるようなところの魚介類を市販する場合の検査というものはやっておるのかどうか、こういう点はいかがでしょうか。
  182. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  183. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 速記を始めて。
  184. 相澤重明

    ○相澤重明君 私の言葉少し足らずしておいたのですが、実はそういうことを審議の際に意見が出たかどうかということを引き出すために、実はあなたに御質問したのですが、そういうことはやっておりませんですか。
  185. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 公衆衛生局が参画はしておりますけれども、そういう直接食品衛生の関係では議論は出ておりません。
  186. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは今後の法を検討する場合にもやはり重要な要素になると思うのですが、今ちょっと委員長も指摘したように、検査をする場所はもちろん違うと思います、思いますが、少くともこうした汚水あるいは廃液等によって汚濁されたものがたとえば出されるということになると、これは事生命の問題になってくる、人命の問題になってくるわけです。そういう場合のことはやはり根本的に経済企画庁各省を集めてやるときには、そういうときのこともやはり私は考えておかなくちゃならないのじゃないかと、こう思うわけです。もちろん漁民の諸君に対するところの魚族の保護というものは、それぞれの立場でできるわけです。あるいは保障もできると思う。しかし今度は間違ってそれが不十分な結果、たとえば市販したものがいわゆる中毒を起したとか、あるいはそれによって生命に影響を与えたということになると、私はやはり大事な問題になると思うのです。従ってやはり法案を作るときには、あらゆる角度から検討して、そういう点にも十分考慮してもらわなければならぬ、そこで具体的に先ほどの四つの河川というものを指定をされ、あるいは先ほどの企業局からは染色の問題で四府県の調査をされるということですが、そういうものを十分参考にして、やはり人の口に入るものでありますから、そういう点を一つよく調査をして間違いのないようにやってもらいたい。ですから、今まで各省の努力は私も十分買えると思うんですが、最終的に法律案として出す場合に、そういったことも討議をされておるかどうかということもやはり非常に大事なことじゃないか、こう思って御質問申し上げたわけです。そういう点について、もし水産庁長官なり経済企画庁の方から御意見があったら、一つお答えをいただきたい。
  187. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 水質基準をきめます際に、ただいま御指摘のありました一番伝染のおそれのあります細菌、大腸菌その他の細菌、この数もやはり基準の一つの中に入れておりますので、その意味からは私の方でそれを考慮してきめるわけでございます。ただ具体的にそこからとれました食物が害があるかどうかということになりますと、先ほど委員長のお話の通りでございます。
  188. 高野一夫

    委員長高野一夫君) ほかに御質疑もなければ、本日はこの程度にとどめたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  なお、この本州製紙事件に関する当委員会としての結論並びにかかる事例に対する今後の対策につきましては、委員長及び理事打合会において協議いたしまして、今後約一週間の関係者の経過を見ました上で、当委員会としての結論を出したいと思います。
  190. 相澤重明

    ○相澤重明君 資料はそれまでにできるだけ出していただきたい。
  191. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 了承しました。     ―――――――――――――
  192. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 参考人出席要求に関する件をお諮りいたします。  日本航空株式会社管理運営の状況並びに国内における航空交通事情に関する件を審議することにつきましては、当委員会打合会においてすでに決定を見ているところでございますが、その審議に関しまして参考人を招致いたしまして意見を聴取したいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めてさように決定します。  参考人の人選その他の手続等につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 高野一夫

    委員長高野一夫君) 御異議ないと認めて、さように決定いたします。  次回は二十六日木曜日、二十七日金曜日、いずれも午前十時から開会いたします。二十六日は、日本航空問題並びに国内航空交通状況の問題、さらに国鉄客車の清掃問題について議題に供します。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時六分散会