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国務大臣(
永野護君) ごもっともなんで、まことにばく然としたことを申すのですが、話は、今まで何とかして百何億という金を作ろうという努力をしているのでありますけれ
ども、まあ道程半ばだと思っております。従いまして、本年度の――まあ四期に払うとすれば、本年度にそのうちの四分の三払って、四分の一だけは来年度に送るという窮余策も考えられるわけであります。全体としまして、この海運の不況ということはただいま
お話の
通りで、海運が大切ということ、それから海運業者が非常にもう一律一体に困っているということ、これが非常に深刻になっているのにかかわらず、他の業者に対する
国民の関心よりどうも薄過ぎるのです。これは、その海運業者が、いいときにはぱっといい時期がありましたから、海運というと何か景気がいい仕事だというような、ばく然とした印象がかなり
国民に深くある。従いまして、泣き言を言うせりふはちょっと映りが悪い。そこで、こいつをぜひ救済しなければならぬということを、かりに
運輸大臣がひとり言いましても一この間もちょっと皆さんに話をしますときに、コンクリートの上に種をまいたようなことで、なかなかそいつが芽を出さぬのであります。従って、全体として、
国民感情として、ただいま申し上げましたような海運の重要性、同時に、その海運の経営者がいかに困っているかということが、
国民感情になりますと、今度はその耕したところへ、今度運輸
当局が種をまいたように、芽が育つのでありますけれ
ども、たとえばすぐもう利息が払えないのだから、利子を何とかしなければならぬとか、あるいはあんな大きな負債をしょっておってもしようがない、これは一つ開銀に乗りかえなければならぬとか、あるいは特殊会社でもこしらえて、借金の肩がおりをやったがいいかというような案が、くろうとの間ではいろいろと言われておりますけれ
ども、どうもそれがまだ
国民的支持を得るように熟してこない。これは、こういう席で申すことが適当かどうか存じませんけれ
ども、たとえば、いろいろな新聞にでも、これだけ重要な産業がこれだけ困っているのならば、一体
政府は何をしているのだと、海運国策をもっとはっきり立てるべきではないかという、
運輸大臣をしかる社説の二つや三つ出るころだと思うのでありますけれ
ども、そういう機運がなかなか出てこない。私はそういう決意を持っておりますけれ
ども、どうも機運が、そういう案を現実の問題として取り上げるのにまだ気が熱しないような感覚がいたしているのであります。