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1958-07-02 第29回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年七月二日(水曜日)    午後一時五十一分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     大和 与一君    理事            江藤  智君            三木與吉郎君            柴谷  要君    委員            平島 敏夫君            大倉 精一君            松浦 清一君            高良 とみ君            早川 愼一君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 永野  護君   政府委員    運輸大臣官房長 朝田 静夫君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省港湾局計    画課長     東   壽君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豐君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○自動車にどろよけを装置するの請願  (第四号)(第七五号)(第一一〇  号) ○六大都市の都市営バス路線免許に関  する請願(第一〇四号) ○国鉄中央線名古屋都市計画十二号  線との立体交差工事計画変更等に関  する請願(第一〇八号) ○民営バス企業振興発展に関する請  願(第一一四号) ○新得、足寄両駅間鉄道建設促進に関  する請願(第一二一号) ○岩手県釜石港修築を国の直轄工事と  するの請願(第一二二号) ○信越線横川、軽井沢両駅間鉄道改良  等促進に関する請願(第一二五号) ○国鉄生橋線鉄道敷設促進に関する請  願(第一四三号) ○東北地方幹線鉄道複線化等促進に  関する請願(第一四四号) ○静岡県東海海運局清水支局下田出張  所の支局昇格に関する請願(第一七  八号) ○継続調査要求の件 ○閉会中の小委員辞任及び補欠に関  する件 ○委員派遣承認要求の件 ○運輸事情等に関する調査の件  (貿易の伸長に関する主要港湾の整  備に関する件)  (計画造船に関する件)  (日本国有鉄道運営に関する件)     ―――――――――――――
  2. 大和与一

    委員長大和与一君) 只今から運輸委員会を開会いたします。  請願第四号自動車にどろよけを装置するの請願外十一件の審査を願います。  速記をとめて。    午後一時五十二分速記中止      ―――――・―――――    午後二時三十五分速記開始
  3. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記を始めて。  請願第四号、七十五号、百十号、百八号、百二十一号、百二十五号、百四十三号、百四十四号、百二十二号、百七十八号、以上の十件を採択いたします。この請願の件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、報告書その他については、これを委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  6. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、継続調査要求に関する件をお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査を行なっておりますが、閉会中も継続して調査を行うため、本院規則第五十三条によりまして、継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、要求書内容及びその手続等委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  ただいまの要求書承認されました場合における閉会中の交通事故防止に関する小委員辞任及び補欠については、便宜委員長辞任の許可、その補欠選任を御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  10. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、閉会運輸事情等調査のための委員派遣の件でございますが、要求書を提出することとし、その内容及び手続等委員長に御一任願いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 大和与一

    委員長大和与一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  12. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、貿易伸張に関する主要港湾整備に関する件について説明を願います。
  13. 永野護

    国務大臣永野護君) 御質問の要旨でありまする貿易振興のための港湾修築がいかに大切であるかということにつきましては、もうすでにくだくだしく御説明申し上げる必要がないくらい常識化しておると思います。御承知通り、船はだんだん大きくなりまして、そうして荷役機械が日進月歩の勢いでだんだん進歩して参っておりまするので、日本港湾をこういう海運界の大勢に順応するように改善していく必要は、目睫焦眉の急に迫っておるように考えるのであります。従いまして当局といたしましては、一日も早く具体案を作成いたしまして、国会の御承認が得られ次第に実施に移りたいと思っておりますが、その内容のこまかいことにつきましては、事務当局の人から説明をしていただきます。
  14. 東壽

    説明員東壽君) それでは、お手元に閣議了解文書がお配りしてございます。その内容について御説明をいたします。  文書は、主文参考資料になっております。主文の第一は「貿易伸張港湾現状」であります。初めに新長期経済計画によりまして、港湾にどれほどの程度の荷物がふえたかということを御説明してあります。  昭和三十七年度の輸出、これは新長期経済計画輸出目標の中に貨物数量が出ております。それを集計いたしたものでありますが、三十一年度に比べて金額比八二%増、数量比八〇%増となります。これはメトリック・トン数量が表わしてありますが、これを港湾の船の船積みトン数に直しますと、八〇%増というのが一〇二%増となります。ちょうど倍になるということであります。それから輸入につきましては、金額で三四%、それからメトリック・トンで六四%となります。これも船積みトン数に直しますと、六四が八〇%というふうになります。この増加量輸出は約七百万トンでありまして、輸入が三千二百万トンでありますが、輸入の方は原油鉄鉱石石炭等がおもであります。輸入増の大部分原油及び製鉄原料増加になっております。量的にはそのようになりますが、質的に問題を考えて参りますと、船舶が、世界の趨勢といたしまして、大きくなって参りました。それから専用化と申しますのは、鉱石専用船あるいはオイル・タンカーのようなふうに、物別専用化されてくる傾向が起りまして港湾施設が今までのような深さではとても足りなくなります。また埠頭施設を近代化して、荷役機械等機械化をすることが必要になって参りました。そこで輸入は、港湾修築が進みますと、当然のことでありますが、工場に直接近い港湾に、あるいは直接その工場港湾に陸揚げされるようになります。輸出京浜阪神名古屋等の主要の港湾に集中されるようになって参ります。そこで後段に、日本港湾現状を書いておりますが、日本港湾は古くから輸入に便利なようにできております。輸出に対しては非常に不便でありまして、沖荷役輸出をする形をとっております。その上に船が大きくなって参りましたので、水深が足らなくなって参りました。また外国貿易をいたします商社の数がふえて参りますので、係留施設等も足らなくなって参りました。そのために荷役待ち、あるいは不経済な荷役をするようになっております。これを欧米先進諸国に比べますというと、全く古い形がそのまま今に至っておるのでありまして、このような現状で、しかも貿易量が倍増いたしますので、港湾荷役はますます混乱し、高い荷役費をもって輸出するということになりますので、第二段に港湾整備方策というものをきめておるわけであります。その方策の第一は、主要貿易港で、今まで繋岸荷役じゃなく、沖で荷役をするはしけ回漕をいたしまして、船で積んでおりますものを、岸壁に横づけしまして、直接岸壁から船に積む。しかも荷役機械は、強力な荷役機械化をしまして、近代化するということを第一にきめています。特にこの輸出貨物につきましては、京浜阪神名古屋等の三地区へ集中する傾向にあります。さらに倍増いたす形にありますので、特に港湾経費の節約をするために、それによって輸出振興を促すために、近代化された、輸出に最も便利な輸出専門埠頭を緊急に作るということにいたしました。そのさしあたり京浜阪神名古屋の三地区で約二十バース、これを建設いたします。それから輸入はやはり八〇%も増になりますので、それら及び現在荷役いたしておりまするものを近代化するために、既存埠頭の改善を極力推進し、これが運営を合理化する、合理的な運営に変えることをきめたわけであります。この金が約二百二十億円になります。それから輸入につきましては、主要なものが製鉄原料鉱石、それから原油、その輸入でございますので、それを製鉄原料輸入の量の増大と、それから鉱石専用船が非常に大きくなって参ります傾向にありますので、そこに掲記いたしました港湾につきまして、その水深を、ほぼ十二メーター程度にこれを浚渫をして整備をはかるというふうにいたしております。事業費が約八十二億でございます。それから原油輸入につきましては、昨年から着手をいたしております。やはりタンカーが大きくなって参りましたので、掲記してあります五港について、これは三十四年度までに完成をいたしますので、これを十二メーター浚渫することといたしております。この経費が二十五億であります。  以上諸事業に要する資金措置に対する財政特段措置、あるいは民間資金の活用、実施に当って、内外経済の動向と、港湾の実情に即して重点的に施行し、経済効果の発揮することを第三に掲げてあります。  参考資料の方は、第一が、先ほどの新長期経済計画に示された物別輸出量増加を示した表でございます。それから第二は、新長期経済計画港湾投資として適切であるものとして経済計画にあげられておる数字を掲記いたしておきました。第三は、貿易額港別の推定をいたしております。第四に、現在の沖荷役と接岸とのパーセントを各港湾について示しております。第五は、輸出埠頭名港ごと計画バース数を示しております。第六は、石油港湾名港別整備計画であります。第七は、製鉄港湾における同じものでございます。  以上で御説明を終ります。
  15. 大和与一

    委員長大和与一君) 御質問ございますか。
  16. 江藤智

    江藤智君 もう時間もございませんから、詳細なことはまた後日に譲るといたしまして、一点だけお尋ねしておきたいと思いますのは、これを閣議了解に出された目的、あるいはそれによってどの程度これが具体的に進められるようになっておるのか、その点についてちょっと御説明を願いたいと思います。
  17. 永野護

    国務大臣永野護君) 御承知通り自由民主党では、重要産業特別委員会で、貿易伸張に即応する主要港湾整備計画ということを、かなり長い時間かかって研究したのであります。で、この表は、大体そのときの委員会の研究が骨子となっておるのであります。委員会の大部分の者が、寸刻を争う緊急な事業であると認めまして国会においても、これを実行する最も具体的の方策としては、特別会計にしてもらいたいということも主張して閣議に諮ったのでありますけれども、残念ながらこの前の閣議においては、そういう具体案のところまで参らなかった。私はその特別委員会関係者でもあった関係で、実はこの原案作成者であったような関係もありますので、今度の内閣では、ぜひこれを具体化させて、そうして輸出振興に貢献したいと、こう考えております。
  18. 江藤智

    江藤智君 実は永野運輸大臣が、この港湾特別会計設定のために、非常にお骨折りを願ったことは、私もよく承知しておるのでございますが、この第三の資金確保というところが非常にまだ抽象的に書いてあるので、とにかく特別会計をどうしても私としては設定しなければ、こういう大工事を所定の短時日のうちに遂行することはできない。そのために自由民主党としても、特別会計を来年度から設定するというふうなことを打ち出しておるわけでございますが、これを具体的に行政面に一つ実施していただくというためには、会後いろいろまだ問題があるのじゃないか、これはその第一着手と、こう了解してもいいものでございますか。
  19. 永野護

    国務大臣永野護君) 御質問通りであります。実は港湾整備して日本輸出単価を切り下げるということは、これは主義主張には少しも関係のない問題でありまして、日本国民全体の福祉増進のために必要なことでありますから、これを書きましたのは自由民主党特別委員会でありますけれども、できれば政党政派を超越した当委員会皆様の御協力を得まして、その実施のためにお力添えをお願いしたいと思うのであります。これは自由民主党立場を離れました運輸大臣として皆様の御協力をお願いする次第であります。
  20. 柴谷要

    柴谷要君 貿易促進の見地から港湾整備の急務なることは、大臣が今お話のありました通り、私どもも全く同感でございます。ただ、ここで一点だけお尋ねしておきたいと思いますことは、大臣が就任されましてこのような構想をお出しになったのですが、ややもするとこれに重点を置かれて、それではこれ以外に取り残された部面に対して、あるいは大臣の熱が足りないのではないか、こういう誤解を受けてはいけませんから、この点だけお尋ねをしておきたいと思うのですが、特に日本列島の中には小さな港がございますけれども、これは漁港が多いのでございます。しかも、この漁港なるものが整備が非常におくれておりまして、たとえば避難港に指定をしておきながら、何らこれに対する予算的処置が行われておらないということで、非常にその沿岸におきまする漁民等も不満を持っておるわけであります。これらの点にも、三十三年度予算検討の際に、十分運輸当局にも要望をしておいた点でございますが、これらの点について特段大臣の御配慮をお願いすると同時に、本趣旨にわれわれは大いに賛成をいたしますので、推進をされるように私は希望しておきたいと思います。この点をよろしく一つお願いいたします。
  21. 永野護

    国務大臣永野護君) 御趣意全く同感であります。特にこの三大港に重点を置いたように見えますのは、予算措置の上にこれが非常に大きな部面を占めるものでありますから、説明便宜上、一応ここにたくさんの説明を加えておるのでありますけれども、そのほかの小さい、ことに今御指摘になりました漁港整備の必要ということも十分心得ておりますから、これが予算の面に現われましたときには、御希望のような点は十分考慮に入れて政府原案を作るつもりであります。どうぞ大体の構想について御賛成を願いましたら、積極的な御支援を願います。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと私も一点だけ  これはお尋ねしたいと思います。いずれこの問題で、私たちは二月に現地調査もいたしましたので、詳しく時間をいただいて質問を申し上げるつもりですが、今、当面する問題として、日中貿易との関係の問題ですがね、第一、そういうような含みを持っておるのかどうか。つまり現在の形では残念ながらこれはまあ第四次協定が御承知のように御破算という形で行き悩みになっておる。しかし、そのために非常にこれは日本貿易全体の本年度の遂行額にも影響してきた。三十一億五千万ドルのこれは貿易は達成見込み不可能だというのが政府の最近の見解の中にも出ておる。しかし、このままにはこれはしておけない問題だ。従って、中国との貿易は当然、おそかれ早かれ、これに対する一部の反対はあろうがあるまいが、国民態勢、国の貿易態勢としては、私はこれは打開されなければならないところに来るのだ、従って、今後の港湾のこれに対する対策も、そういうことを私は含んでやられていくということが現実的なんじゃないかというように考えるのですが、この点について、新大臣はどういう意見を持ち、また、どのような案を立てておられるか、その点だけお伺いしておきたいと思います。
  23. 永野護

    国務大臣永野護君) 日中貿易の将来がどうなるかということは、実は本来運輸大臣の所管ではないのでありまして、個人といたしましては、日中貿易が盛んになることを心から念願しておりますけれども、現実にそれがどういうふうな姿で現われて実現されるかということについて、私がこの席から責任をもってお答えする立場にはないのであります。ただ問題は、日中貿易は盛んにならなければならぬと思っておりますから、それが起った場合でも港湾計画で支障を来さないようには十分しておくつもりであります。御承知通り、一番大きい港湾修築のねらいは、船の大きいものが入るようになったときに、それの受け入れ態勢というものが日本はおくれているということが重点でありますけれども、近い距離でも大きい船の方がコストが下るということは事実でありますけれども、しかし、あまりに近い距離にあまり大きな船を動かしますと、かなり不経済な面もあるのであります。大体において輸送距離がだんだん長くなるということが船が大きくなった原因であります。従いまして、日中貿易が盛んになりましても、ごく手近な港はもちろんありますが、ずっと南の、香港以南になりましても、従来の一万トン級から二万トン級の船で運んだ方があるいは便利という点もあるのであります。その程度施設ならば、今の現状でもそうひどい、他の国に比べて不利不便を感ずるということはないと思います。ずっと距離が遠く、南米になるとか、あるいはインドになるとかいうことになりますと、そこに著しい差が現われて参ります。従いまして、日中貿易が将来盛んになりましたときには、どちらにいたしましても、これは大阪中心にした貿易が盛んになると思うのでありますが、大阪、神戸港の修築ということには十分な考慮が払われておりますから、日中貿易がどんなに盛んになりましても、そのために港湾をさらにやりかえなければならぬというようなことはなくて済むものと了解しております。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 これは詳しくはあとでやはり質問させていただきたいと思います。ただ、この前広畑でしたか、視察したのですね、あすこの、御承知のように、港が、広畑工場専用の港があるわけなんです。あすこで聞いてみますと、やはり鉄鋼の協定が結ばれて、取引が始まる、そうして向うの鉱石が入ってくる、こういうことになりますと、どうしても下関を通る、今の一万トン級よりも二万トン級、そういうような船を動かした方がはるかにこれは低コストになるのだ、従ってたとえば下関海峡が現在あの水深ではなかなか通れない。あすこをもっと掘り下げる必要もある。そうすると、トンネルとの関係で非常に、水深を下げても限度があるのだというような話まで聞いているわけなんです。それから、これは直接阪神ではありませんけれども阪神延長地帯と思われるあすこ播磨あたりですか、姫路あたり、ああいう所でもやはり二万トン級の船が着けるような港を非常に要求している、それはやはり日中貿易を先に見越しての考え、そういうものは非常に含まれているように、われわれはあすこで聞いてきたわけなんです。しかし、今の大臣の御答弁では、これは阪神の今度の改修だけで十分にそういうものが収容できるようなお話でありますけれども現地は必ずしもそういっていないところがあるのじゃないかというふうに、われわれの視察した範囲内では感ぜられた点があるわけなんであります。これは先に行ってもっと詳しく実際についていろいろ質問申し上げたいと思いますが、そういう点も御検討をこれは  いただきたいと思う、こういうふうにまあ考えております。
  25. 永野護

    国務大臣永野護君) 承知いたしました。今考えられておりまする貿易量は、そう非常な不経済なことでなくて、日中貿易に関する限りは、取りさばきがつくものと確信いたしております。ことに、この報告書の中には漏れておりますが、広島港の三ツ子島が非常に動いて参りますと、御指摘広畑地区までは、三ツ子島からあとはライターで引っぱっていく方がむしろ安くなるという数字も出るのであります。従いまして、今広畑は十二メーター水深にあれを改造する計画を立ててやっておりますが、三ツ子島の進み方によっては、広畑の今の計画も、従来の程度の七、八千トンから一万トン級の船の荷役で間に合うのではないかという意見すら今出ております。従いまして、日中貿易、ことに大きく考えられますのは、海南島の鉄鉱石なんという問題でありますが、この鉱石専用船を十分にこなせる施設は、おそらく三ツ子島が中心になるんじゃないか、こう考えられております。三ツ子島の方は、ちょうどこの報告書を作っておりますときには、まだ本ぎまりになっておりませんでしたので、この報告書の中には入っておりませんけれども、あれが最近にその開発会社も出発いたしましたから、これに書いてありまする以上の港湾施設が関西には考えられておるというふうに御了解願いとうございます。そういうような意味で、中共貿易が相当に大きくなりましても、十分に荷さばきがつくものと御了承願います。
  26. 高良とみ

    高良とみ君 拝見いたしました資料で大体御構想の点は大へんよくわかりました。ただ、新長期経済計画という面からいいますと、この御計画がどういう期間になされるような御予定なんでありますか。この特別会計を御設定になりまして、着手なされるのか、来年度の予算をお作りになることとどういう関係にあるのですか。あるいは、もう浚渫等は急ぐべきものがあるんではないかというふうに考えられるわけです。しかし、これは全面的に来年度予算の中にお組みになって、直ちに着手なさるというおつもりなんですか。その点を伺いたいのが一つと、それからこの投資総額が千億円というのもあるし、もう少し小さい内輪の四百数十億という点もありますが、そういう面でもっとこれより額が年次的にふえてくるんではないか。新長期経済計画といいましても、五カ年計画などやってみると、年次的に整理されるのがどんなことになるのか。それから第三には、それが港が完備してくるのが、どの港から先に、何年度には二万トン級以上のタンカーが入るようになる、あるいは十分鉄鉱石等の荷おろしの需要に応ずるというふうなことが、この次にでも折りがありましたならば拝見できますと、御質問も大へんはっきりしてありがたいと思うのでありますが……。
  27. 永野護

    国務大臣永野護君) 第一の御質問の、この計画をいつから予算面に織り込むかという御質問でありますが、担当責任者としての運輸大臣といたしましては、早ければ早いほどいいと、こう思うのでありますけれども、国全体の財政計画とにらみ合せまして、できるだけ私は来年度からでもこれが実行できるように努力いたすつもりであります。けれども内閣全体の立場から見ますると、これがどの程度に、私どもが考えておる輸送計画がどの程度に取り入れられますかということは、大蔵当局と十分な折衝をいたしましたあとでありませんとわかりかねるのであります。特にこの特別会計ができ、あるいはその特別会計遂行のためにある特殊の機構ができるというようなことができるかできないかということが、この計画をスピード・アップできるかできないかということに大きな関係があります。従いまして、今ここでいつやるかということに関しましての明確な御答弁は残念ながらいたしかねるのであります。  それから長期計画だからいろいろ延び縮みが起きて、もっと大きくなるようなこともあるんじゃないかというお説でありますが、これは、日本長期計画というものを立てますときには、一応日本の経済の伸びをある程度十分に見た計画を立てておるのであります。率直に申しますると、この日本長期計画は、絶えず日本の経済は成長するということを前提としておりまして、三%、五%、七%、多い計画は九%というような計画が立てられておるのであります。しかしながら、私ども経済界に多少の経験のあるものから申しますると、経済は波を打つのでありまして、もう下ったことは一ぺんもなくて、絶えず経済はアップ・ペンデンシーに上っていくということを基礎として案を立てるのは、多少のそこに危険みはあると思っております。しかし、きのうの予算委員会の問題となりました努力目標であるか、あるいは現実の客観的の数字を示したものであるかというような議論が出て参ります。この計画についても出て参ります。ごく厳格に申しますと、われわれ日本人の力だけではどうもならない世界経済の推移が、ことにこの船舶、海運、港湾というようなことは、世界経済の波が一番直接に当る産業でありますから、世界経済の見通しということに大きな関係がありますので、ただいま御質問になりましたように、長期計画といっておりますけれども、この計画が動くのじゃないかというような御疑問はごもっともでありまして、われわれは大体の世界経済が今のような程度で進んでいくという前提のもとに立てておるのでありますけれども、それが日本政府の政策だけではどうにもならない要素にたくさんかかっておりますから、ある程度までこの計画が動いてくることはやむを得ぬと、そういうふうに覚悟はいたしております。
  28. 高良とみ

    高良とみ君 長年の御経験のおありの大臣でございますから、私どもは民間のものとして、一点御希望申し上げたいことは、国連の統計によりますと、少くとも日本国民所得は八%ぐらいの上昇率を持っていかないと、これだけの人口を養っていけないというようなことも、だいぶエカフェあたりでも主張しておりましたようでありますが、そういう面から言いましても、いずれ伸びる経済であることに間違いはないと思います。しかし、こういう大事な重要港湾、主要な波止場等の建設につきましての国民の頭を少し御教育を願いたいということを私は一点お願いしておきたい。つまり、PRを十分に、これは運輸省の仕事だ、これは建設省の仕事だとかいうふうに考えずに、道路は建設省のものだとか、港は運輸省だというふうな考えを国民が持たないように、と申しまするのは、国民生活の所得が伸びても、ずいぶん無意味な、むだな、ただ単なる一時的な享楽面に使われているようなビルディングもあれば、施設もあれば、輸入も多いものでございますから、その点特に、ただいまこういう長期計画をお持ちになる以上は、これは国民とともに、こうしなければ国の出入口が詰まってしまうのだということ、大きな船も港に待機してしまうことなどよく教えていただいて、御実行、御完遂になるように願いたいと思うのです。私、そう申します経験は、セイロンのコロンボの港なんかに、せっかく海外各国の、オーストラリアから、片っ方は欧州の船が来ましても、港はいいのでありますけれども荷役ができないとか、あるいはストライキだとか、あるいは国民協力がないというために、たくさんの船が港外にまで三、四十そうも停泊していたようなことを見まして、やはり国民がその気にならなければいかないのだということをつくづく感じておるわけでありまして、どうぞ、この計画がわかるように、図解をしてわからしていただきたい、港関係者ばかりでなくわからしていただきたいことを希望いたします次第であります。
  29. 永野護

    国務大臣永野護君) 御意見了承いたしました。できるだけPR運動にも努力して参ります。ただ最近に、先ほども申しましたように、この港湾の重要性というものがかなり国民の常識になりつつあるように考えております。従いまして、この港湾に関しまする予算の取扱いなんかも、最初のうちは一種の失業対策にでも使おうとか、余ったら、金があったらというような扱い方をされておりましたのが、重点的に、最も大切なる産業資金の一つとして取り扱われるようになりましたことは、私どもまことに御同慶の至りに存じておるのであります。しかし、国民大衆のPR運動もさることでありますけれども国会で実際予算をお扱いになっておりまする皆様方が、まずもって深い理解を、この上ともの御理解を港湾行政に対してお使い下さいますことを、この機会にあらためてさらにお願いして、私の返事にかえる次第であります。
  30. 大和与一

    委員長大和与一君) ほかに御質問ありませんか。
  31. 松浦清一

    ○松浦清一君 ちょっと席を立っておりましたから、その間に何か、長期計画の点に関連して高良委員質問いたしておりましたから、あるいは御答弁があったのかもしれませんが、ここにある新長期経済計画というのは、三十七年度まででございますね。昨年立てられた五カ年経済建設計画の一環としての方針でございますね。そうしますと、昭和三十七年までにこれこれの港湾整備しなければならぬというふうに書かれておるわけですが、こういう経済計画なり、政策を立てるときには、一つの目標をきめられるということは、これは何党にかかわらず、それがどうのこうの言うのではない、われわれが現実に知りたいのは、もうすでに二ヵ月たてば来年度の予算編成に入る。世界の経済の見通しの急激な変化が起らない限り、日本貿易計画通り伸張しないという実情にある。しかし、ことし貿易が伸び悩んでおるからといって港湾長期計画の手をゆるめてはならない。そこで、まず二月たてば予算の編成期に入るのですから、来年はどのくらいのことをやろうとお考えになっておりますか。これは目標であるから、国の財政力全体とにらみ合わしてきめるのだから今わからぬ、こういうような趣旨の御答弁がございましたが、それはその通りです。予算編成期に入って、三十四年度の全体の財政規模の中で、どれだけ港湾に金がかけられるかということが決定せられることは、これはわかっております。運輸大臣としては、来年度はどれくらいのことをやりたいとお考えになっておるか、一点お聞きしたい。いつでも内閣がかわるたびごとに、運輸大臣がかわるたびごとに、いろいろの御方針の御説明を承わって、非常にけっこうだと思う。たとえば、計画造船に関する御方針あるいは港湾整備に関する御方針、最初に打ち出される御方針は、まことにけっこうで、賛成をいたしておるのですが、途中でいつの間にか、いろいろな障害が起りまして、その計画の実現ができなかったということを私どもは経験をしておる。今から、運輸大臣の方針が実現されるように、われわれも協力をしてやりたい。そこで、大臣の、来年度はどれくらいやるかという御計画を一つ伺いたい。
  32. 永野護

    国務大臣永野護君) 非常に力強い御声援のほど、ありがとうございます。ぜひとも来年度は、できるだけこの計画の、少くも基礎だけは固めたい、こう考えておるのであります。しかし、先日来の予算委員会の問答でも十分御承知通り日本の経済の見通しが、今では全く五里霧中なような点ができて参っておるのであります。三十一億五千万ドルの輸出が果してどの程度のところまで実現できるか、通産大臣その他は、ぜひとも下半期の輸出増進によって目標を取り返すという決意を申し述べております。しかし、世界の情勢は刻一刻動いておりますし、アメリカの景気の見通しにつきましても、アイゼンハワー大統領が年初に申しておりましたような見通しの通りにはいっておらないのが現実であります。従いまして、来年度の収支予算の見通しをはっきりと立てることは、かなり困難ではないかと思います。あと二カ月たったならば、来年度の収支の見通しがどのようになるかということについての意見を固めるということは、非常にむずかしいのではないかと考えております。こういう変動期であるだけにそう考えております。その見通しがつきましたあとで、選挙のときにいろいろ公約をしておりますものから、まずやっていきたいということを総理大臣申し述べております。従いまして、そのあとに、われわれは港湾を最も大切と考えておりますけれども、その方の予算をどの程度まで取り得るかということは、今後の大きな問題となっておりますから、そういう不安定な要素がたくさんありますときに、私が、具体的に、この程度港湾計画を来年度の予算に必ず、少くも運輸省で作ります予算の中には、この程度のものを入れるという数字を申し上げることは、ただいまの状態では、まだむずかしいと思います。来年度の予算編成期に入りましたならば、それはどうしてもやらなきゃならぬ問題でありますけれども、今日ただいまのところ、数字をお答え申す時期にはまだなっておらぬと、こう考えております。はなはだ不十分でありますけれども……。
  33. 松浦清一

    ○松浦清一君 むろん今、運輸大臣から、来年の港の整備のために、金額で幾らくらいの予算を取ろうとしておるか、こういうことを尋ねたんじゃない。これはもうお答えになれないことはわかっております。ところが、貿易伸張の度合いが、自民党さんで立てられたほど進んでおらないことは間違いないが、来年度の計画もその通りいくかいかぬかということはわからぬのです。おっしゃる通りわからぬ。ところが、貿易伸張の度合いにかかわらず、世界の船型の大勢というものは、だんだん大型になりつつあるということは、これは大臣御存じの通りです。貿易の量で港の整備の必要、不必要を決定するということではなしに、船型が大きくなり、船が非常に性能化されてくる、優秀な性能化されてくる、その世界の大勢に順応するためには、貿易伸張の度合いを考慮せずに港の整備というものはする必要がある、これは私の持論なんです。それについて、どういう港を先にやりたいとか、どういう所は早くこういう格好にしたいとかいう、その大体の構想はお持ちではないかと思うのです。それは大臣が就任されたときにちゃんとここに語っているわけなんです。もう新聞の切り抜きをここに置いてあるのだからよくわかる。それはやはり概念で語られても、頭の中には神戸の港を何とかしなければならぬ、横浜を何とかしなければならぬ、名古屋を何とかしなければならぬということはお考えになっているだろうと思うのです。そのことは今、呉の造船所では十万トンのタンカーをすでに建造を始めているわけでしょう。一体十万トンのタンカー船が日本のどこの港に入れるかということが問題なんです。十万トンのタンカーができて、そしてまたあとできるのですから、そういう船が入る港がないという今日の日本の港の現状ですから、清水が一番適当だと、清水を早くやりたいのだと、こう思っているか、あるいは京浜方面に入るようにしていきたいと思っているのか、それくらいのお考えが固まっていないと、予算の編成期に入って間に合わないからそれを聞いているのです。
  34. 永野護

    国務大臣永野護君) 大体論といたしましては、阪神名古屋と東京と横浜を中心にまず整備にかかる、こう考えております。先ほど三ツ子島の話をいたしましたけれども、今お説の十万トンの船ができましても、あそこの整備を急いでやれば、とりあえずあそこで間に合うと思うのです。従いまして、三ツ子島の整備はぜひ、今の東京、大阪名古屋に劣らないスピードで三ツ子島は手をつけたいと、こう考えております。ただ御承知のように、あそこはアメリカの資本が入っております関係上、いろいろとむずかしい、少くも感情論もありまして純日本の所へ同じ金なら投資しろというような意見がないわけでもありません。しかし、受益者は日本国民全体なんであって、その船会社だけではないのでありますから、私はそういう感情論にとらわれるべきではないと考えております。具体的に三ツ子島の問題は研究いたしたいと存じております。これは今の三港をそういうドラフトの深い船を入れるようにするのよりは早くできると思います。大体港が深いのでありますから、ほとんど手つかずに使える港であります。日本における唯一のいわゆる十五メートル・ドラフトの船を受け入れ得る港は、御承知通り呉と横須賀だけであります。横須賀は今アメリカに取られておりますので、呉が唯一の港でありますから、最も早くドラフトの深い船を受け入れることのできますのは三ツ子島だと思いますので、先ほど申しましたような一種の感情論がありますけれども、しかし、五三%は日本が持っておるのでありますから、アリメカ資本がその港湾会社に入っておるからという理由でネグレクトするのは間違いだと私は考えております。
  35. 松浦清一

    ○松浦清一君 それではこの次に計画造船説明があるようですから、その際にお伺いいたしますが、雑談みたようになってえらい恐縮ですが、前大臣をしておったある人に、私は港や船のことより知らないのですがと、そういうことの話をしておったのですが、そのとき、今度の永野さんならやりましょうと言っておって、私は非常に心丈夫に思ったのですが、一つ計画造船を、港の整備のために尽して下さい。協力のできることは協力いたしますから……。
  36. 大和与一

    委員長大和与一君) ほかに御質問はございませんか。それではこの問題はこの程度にします。     ―――――――――――――
  37. 大和与一

    委員長大和与一君) それでは次に、計画造船に関する件について御説明を願います。
  38. 永野護

    国務大臣永野護君) すでに常識的に御承知のことでありますが、日本の船舶界は終戦後の打撃、つまり政府に船を没収されて運用されて、そしてその補てん金ももらわなかったというので、今の金に換算いたしますと五千数百億円という損失をこうむっておるのであります。従いまして、当然政府はこれに対してある程度の援助をしてやらなければならないと考えておるのでありますが、そういう情実論のほかに、海運国で立たなければならない日本が、日本の現在の輸出入の貨物を外国船によって年には数億ドルの外貨の支払い勘定になっておるというようなばかなことはないと考えております。戦前にはいわゆる貿易外の収入に運賃収入が立っておりましたのが、今では貿易外の支出に運賃勘定が立っておるというような状態は、一日も早く脱却しなければならないと考えておるのであります。従いまして、昭和三十三年度におきましても、財政資金百十七億円で二十五万総トンの船を作るということは、これは国策としてきめておるのであります。でありますから、これは目先の小さな波を無視いたしまして、全体としてはぜひこれを実行に移したいと考えております。ただ、現実の問題といたしますると、御承知のような一昨年に比べますと、ほとんど三分の一に運賃が下っておるというようなことから、目先の収支が非常に悪いのであります。従いまして、金を貸します銀行の方から見ますると、いわゆる安心した投資先とは言えないのであります。国策的に見ますると、非常に大切なことであるのでありますけれども、銀行家の立場から見ますると、その国策の重要性はわかっておりましても、現実の取引の相手方といたしますると、かなり足踏みをするような現在の船会社の状態であります。従いまして国家資金の百十七億の方はいいといたしましても、百億円をちょっとこえます民間の金がなかなか集まりにくいのであります。一口に申しますると、古い借金の利息も払わないでまた新しくそれに金を貸すというようなことはかなりむずかしいことであります。しかし、むずかしいことであるからといって放擲することができない日本の国情でありまするので、今、運輸当局は全力をあげてその国家資金以外の資金の調達に専念いたしております。いましばらく御猶予を願いまして、必ずこの二十五万トンの計画だけはぜひとも実施したいと、こう私は考えております。具体的にその二十五万トンの実施要領につきましては、まだそういうふうに十分金の見通しもついておりませんから、今ここでこまかく発表するほど具体化しておりません。しかし、いろいろな情勢からそう長く放擲のできる問題ではありませんので、あまり時間のたたないうちに、この十四次計画造船の全貌を皆様にお示しができるようにしたいと考えて、今しきりに研究中であります。
  39. 大和与一

    委員長大和与一君) 御質問ございますか。
  40. 松浦清一

    ○松浦清一君 まだ固まっていなければ御質問申し上げても仕方がないのですが、あれはどうなっているのですか。財政資金はきまっておる、市中銀行の方から借りるのをもう話がついたようなことを言っているのですが、まだ話はついていないのですか。
  41. 永野護

    国務大臣永野護君) まだついておりません。交渉中であります。
  42. 松浦清一

    ○松浦清一君 それはいつごろつきますか。
  43. 永野護

    国務大臣永野護君) それは私どもきょうにも返事がもらいたいのでありますけれども、銀行の方がいつ返事をくれるかということは、ちょっと私の方から御返事いたしかねるのでありますが、しかし、できるだけ早くそういうわからない状態にいつまでも放任のできるものじゃございません。で、まず金の見当がつきましたら、今度は具体的にそれならこれはどういうふうにやっていこうかという、極端なことを申しますると、銀行の資金がどうしてもできないときにはどうするかということを考えなきゃならぬ。従いまして、そのスケールの問題がそこにまた加わって参りますから、船種別あるいはその経営者なり、まあオペレーターだとかオーナーだとかいう、定期船、不定期船、いろいろな関係がありますけれども、それはすべて今日発表する段階にはまだ至っておりません。
  44. 松浦清一

    ○松浦清一君 六月の二十六日でしたか、大阪商船、日本郵船、三井船舶等の社長が集まって、そして、海運不況対策の一環として航路の調整をやった、あるいは経費の節約、それから用船料の適正化、そういったような問題についての話し合いをしたと思う。だんだんまあ新聞記事で、今、最近私新聞を見ているだけですが、その具体策がきまりつつあるというようなことで、運輸省はその考え方を支持して、全体の海運経営の上にこういう方針を実現せしめるように努力をしたい、こういうようなことを、大臣だったかなにかで、運輸省側の意向を表明したように思うのですが、ああいう方針を今支持してむしろ積極的にそれを推進するようにやっておられるわけですか。
  45. 永野護

    国務大臣永野護君) 先ほども申しますように、銀行家をして安心せしめますためには、その業態が国家のために非常に大切であるということのほかに、その経営者が、まあ自粛自戒いたしまして、まじめに事業の経営をしておるという安心感を与えなければなりませんので、この日本の海運基本対策を立てますときには、政府ばかりにたよらないで、まずもって業者がかくのごとく自分で自主独立に自立策を考えておるという実績を示す必要があると私は考えておったのであります。ところが、ちょうど軌を同じくいたしまして、業者の方から、政府にもいろいろお願いしなきゃならぬ、次の切り札は大体想像ができるのでありますけれども、そういう切り札を全然抜きにして、業者がこんなことをやりたいという申し出があったのであります。それを見てみますと、一々ごもっとものことばかりであって、もっと早くやらなければならなかったことばかりだというふうに考えておるのであります。従いまして、私どもといたしましては、あれが単に口頭禅に終らないで、実際実現されることを衷心念願しており、そのために政府協力すべき必要な点があればどこまでも援助していくつもりであります。それどころではありません。あれが、単にあの三社の申し合せにとどまらないで、ああいう気持に日本の海運業者が全部歩調をそろえてもらいたいとすら念願しておるのであります。
  46. 松浦清一

    ○松浦清一君 これは海運局長に教えてもらいたいのですが、今、大体日本の船会社がしょい込んでおる借金が二千億といわれておるのですが、財政資金で千二百億、それから一般の資金から八百億、そういうふうなことを言っておるかと思うと、この間の海運造船振興協議会の総会に出された資料を見ると、二千八百億の借金があると、こう書いてあるのですが、大体どれくらいの借金があって、どれくらいの利子を払っておるのですか。大体、見当が二千億と二千八百億と、ずいぶん違うのですが、どういうことですかね。  今、ちょっと資料を調べておられる間にもう一つ聞きたいのですがね。とにかく終戦後ほとんど他人資本で船が作られてきた。そしてスエズ運河の問題や朝鮮事変の問題で二、三年一息ついた。これならば利子も払える、これならば船価の償却もできる、こういうふうなことを考え始めておるときに、去年からの不景気でまた利子が払えなくなったんだ。今四百五十億くらいの未償却がある、利子は、二千億円という勘定にしても百八十億円くらいの利子を払わなければならぬ、その利子が半分も払えぬ、こういうような状態になってきて、何とかテコ入れをしなければ日本の海運というものは立ち行かなくなっておるんだね、これは。だから、計画造船もこれを手をゆるめてはならぬのですけれども計画造船と並行して日本の海運の不況対策というものを取り上げなければ、もうせっぱ詰まった状況になっておると私は思うのですよ。きょうもうこんな時間ですし、あまり長くするとほかの人が迷惑しますから、この国会が済みましてから、委員長に頼んでおきますけれども、休会中にそういう問題でじっくり話し合える委員会を開いてもらいたい。そのときに私も調べてきていろいろ、政府を追及するとかそういった意味ではなしに、一体日本の海運の不況をどうして克服したらいいか、こういうことについて話し合ってみたいと思うのですよ。今のことについてだけちょっと教えていただきたい。
  47. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) ただいまのお話の二千億と申しますのは、固定設備に対する設備資金の負債で、そのほかに船主協会の出しております約八百億といいますのは、流動資金、運転資金その他の流動負債、従いまして、いずれも数字といたしましては、概数その通りでございます。
  48. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、日本の船会社は今二千八百億に対して利子を払っておる。
  49. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) そうです。
  50. 松浦清一

    ○松浦清一君 そうすると、開銀融資の千二百億と設備資金としての一般市中銀行からの八百億円、そうするとまあ利子が百八十億円くらいになる。そのほかの八百億円に対しても利子を払っておるということになれば、二百二、三十億の利子を払うということになるわけですね、通算してそういうことになるのですね。
  51. 粟澤一男

    説明員粟澤一男君) はい。
  52. 江藤智

    江藤智君 一点だけ御質問いたしますが、計画造船の御説明を願ったのは、実はこの百八十億円の開銀融資というのを、われわれとしてはこれは非常に不満な数字だ、少くとも二百三十億くらいは要るといって、ずいぶんがんばったんですが、まあ百八十億に落ちついた。われわれとしては、どうしても日本の商船隊を強化しなければならぬ、これはただいま運輸大臣のおっしゃる通りの気持なのでございますが、特にこういう不況なときにこそ、こういう船を整備しておいて、次の好況のときに処するというような気持であったんであります。でありまして、この百八十億というのは非常に不満な数字であるが、それだけにこれを一刻も早く所期の目的に合うように船を作るということに、これは非常に努力をしていただかなければいけないわけです。ところが、一緒に見合う市中の金融が十分にいかないために、まああまり進んでおらないという様子なので、そのあとのもう少しはっきりした事情を承わり、また、それに対する運輸大臣としてのお考えなりを聞かしていただきたいと、きょうは御説明を願ったわけでございます。もう少し具体的にですね、お差しつかえがなかったら、ただいまの御説明よりももうちょっと具体的にお話し願えませんでしょうか。
  53. 永野護

    国務大臣永野護君) ごもっともなんで、まことにばく然としたことを申すのですが、話は、今まで何とかして百何億という金を作ろうという努力をしているのでありますけれども、まあ道程半ばだと思っております。従いまして、本年度の――まあ四期に払うとすれば、本年度にそのうちの四分の三払って、四分の一だけは来年度に送るという窮余策も考えられるわけであります。全体としまして、この海運の不況ということはただいまお話通りで、海運が大切ということ、それから海運業者が非常にもう一律一体に困っているということ、これが非常に深刻になっているのにかかわらず、他の業者に対する国民の関心よりどうも薄過ぎるのです。これは、その海運業者が、いいときにはぱっといい時期がありましたから、海運というと何か景気がいい仕事だというような、ばく然とした印象がかなり国民に深くある。従いまして、泣き言を言うせりふはちょっと映りが悪い。そこで、こいつをぜひ救済しなければならぬということを、かりに運輸大臣がひとり言いましても一この間もちょっと皆さんに話をしますときに、コンクリートの上に種をまいたようなことで、なかなかそいつが芽を出さぬのであります。従って、全体として、国民感情として、ただいま申し上げましたような海運の重要性、同時に、その海運の経営者がいかに困っているかということが、国民感情になりますと、今度はその耕したところへ、今度運輸当局が種をまいたように、芽が育つのでありますけれども、たとえばすぐもう利息が払えないのだから、利子を何とかしなければならぬとか、あるいはあんな大きな負債をしょっておってもしようがない、これは一つ開銀に乗りかえなければならぬとか、あるいは特殊会社でもこしらえて、借金の肩がおりをやったがいいかというような案が、くろうとの間ではいろいろと言われておりますけれども、どうもそれがまだ国民的支持を得るように熟してこない。これは、こういう席で申すことが適当かどうか存じませんけれども、たとえば、いろいろな新聞にでも、これだけ重要な産業がこれだけ困っているのならば、一体政府は何をしているのだと、海運国策をもっとはっきり立てるべきではないかという、運輸大臣をしかる社説の二つや三つ出るころだと思うのでありますけれども、そういう機運がなかなか出てこない。私はそういう決意を持っておりますけれども、どうも機運が、そういう案を現実の問題として取り上げるのにまだ気が熱しないような感覚がいたしているのであります。
  54. 江藤智

    江藤智君 そういたしますとですね、第十四次の計画造船は、まあ計画通りには、しかし、いろいろ困難はあっても、いけるというお見通しでございますか。
  55. 永野護

    国務大臣(永野護君) いけるという見通しよりは、必ずやる決意です。
  56. 江藤智

    江藤智君 実は、今のわずか百何十億といろくらいの融資ができないためにですね、不満ながらも、しかしとにかく、非常に努力をして、百八十億というものはやはり運輸当局は取られたのでありますから、あと百億余りのものが都合がつかないために、まだ海のものとも山のものともわからないといちのは、これは大きな目で見まして、いかさま船舶行政といろものに対するやはり貧困さがあるのじゃないかという気がするわけでございますが、きょうはこの程度にいたしまして、まあ一つできるだけ今後この方面に御努力願うように御要望を申し上げまして、私の質問を終ります。
  57. 松浦清一

    ○松浦清一君 その辺のところは、休会中に委員会をやってじっくり聞きたいと思ったのだがね。ちょっと江藤さんから御質問があったので、関連みたいなことで伺いたいのですがね。結局、十四次の二十五万トンの計画造船を完遂をする、完遂をするということは、市中銀行から財政資金以外の資金を借りるといろことは、これは自信があるかないかということをお尋ねすることは、はなはだ不穏当だけれども、それは確信を持ってやれますか、お尋ねいたします。
  58. 永野護

    国務大臣(永野護君) 決心をお尋ねになれば、必ずやるつもりでおります。
  59. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで、その資金の出ようによっては、船主選考の基準が変りますか。今まで通りの大体やはり基準でおやりになりますか。
  60. 永野護

    国務大臣(永野護君) これはまあ仮定でありますから、はっきりした責任のあることは申し上げられませんが、金を作る上に、こういう船主になら貸すといろ注文がかりにあったとしますると、ある程度までわれわれが考えておる、こういう船主に出してもらいたいとまあ考えましたときに、それには出せないが、借り主がこういうのなら出そうということが、少くも他の産業にはあり得ることですね。でありますから、だれでも金を出しますときは、実はこちらの思う通り計画で金ができますけれども、今のようなデッド・ロックに乗り上げたのを、こいつをまた乗り越していこうというときには――これは仮定でありますけれども、われわれが考えておる計画を多少変更しなきゃならぬようなことが絶無とは言い得ないと思います。これは金を貸すやつを、貸しても貸さなくてもいい立場にある銀行家を説得する手段として、そういうような交渉が起らないという保証はつかぬです。
  61. 松浦清一

    ○松浦清一君 むろん金を貸す方が強いのですから、今までの選考基準ではちょっと工合が悪いというので、注文をつけてくる場合がありますね。それはまあ金利に変動はないが、今までの船主の資格条件というものについての注文がつけられるかもわからない。そういうことを言ってきた場合に、その基準をきめるのは運輸大臣の御一存できめますか、それとも海運造船合理化審議会に諮って、その基準をきめるということになりますか。
  62. 永野護

    国務大臣(永野護君) もちろん、非常な重要な問題でありますから、企画の根本に触れるような程度のことであれば、そういういろいろな審議機関にも御相談をしなきゃならぬと思います。ただし、その程度が、一応この程度なら御相談しなくてもいいというような変更であれば、そのためにわざわざ皆さんの御参集をわずらわすようなことはしないで、ある程度の変更をするかもしれませんけれども、今はすべての問題が仮定で話をしているものですから……。
  63. 松浦清一

    ○松浦清一君 いいです、仮定で。
  64. 永野護

    国務大臣(永野護君) もう少したちましてから、もう少し現実化したときに……。
  65. 松浦清一

    ○松浦清一君 ばかにきょうは用心深いね、大丈夫ですよ。仮定々々と何べんもそんなに言わなくても、それくらいのことはわかっておりますから……。
  66. 大和与一

    委員長(大和与一君) ほかに御質問ありませんか。
  67. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで私、従来の船主の選考基準は変更しないということを期待する、そのための努力を払ってもらいたい、そういうことで、大体いつごろそれがまとまって、公募を開始するのは、大体の目安はいつごろでございますか。
  68. 永野護

    国務大臣(永野護君) 何としましても、次の予算編成に移るときまでには案を立てて、見通しをつけませんと、次年度の問題にすぐ関係があります。でありますから、具体的に何月一ぱいというようなことは申し上げかねますが、少くも来年の予算編成に移る前には、今年度の分は目鼻をつけなければならぬと思っております。
  69. 松浦清一

    ○松浦清一君 大臣は非常に用心深いことを言われるのですがね。今まで運輸省が言っておったのは、大体七月の中旬から八月の上旬にかけてやると言われた。その方針を変更するものではないと思います。その目標に向って努力しておられるのでしょう。
  70. 永野護

    国務大臣(永野護君) しております。
  71. 松浦清一

    ○松浦清一君 大体七月の中旬から八月の上旬にかけてやる、船主の資格の選考基準は大体従来の方針通りと、今までのところ、そういうふうに私どもは承わってよろしいのですね。
  72. 永野護

  73. 大和与一

    委員長(大和与一君) 次に、日本国有鉄道運営に関する件を議題といたします。  ちょっと速記やめて。   〔速記中止
  74. 大和与一

    委員長(大和与一君) 速記を始めて。
  75. 柴谷要

    柴谷要君 国鉄当局がお見えになりましたから、ごく簡単にお尋ねをしてみたいと思います、二点にわたりまして。  先月の二十六日に岡山地検が、岡山地方本部の組合幹部十三人を建造物侵入罪で起訴されたということを、本庁の方では御存じになっておられるかどうか、まずこの点からお尋ねをいたします。
  76. 吾孫子豐

    説明員(吾孫子豐君) 承知いたしております。
  77. 柴谷要

    柴谷要君 どういう事犯で建造物侵入罪に問われているか、その理由はおわかりでございましょうか。
  78. 吾孫子豐

    説明員(吾孫子豐君) 実は検察庁の方の処分でございますので、まだ正式の報告というようなものは別にございませんですが、事案は、本年の三月十日の事件が対象になっておって、それで不退去罪というようなことで起訴になったというように聞いております。
  79. 柴谷要

    柴谷要君 その不退去罪ということで建造物侵入罪に問われて起訴されたということですが、以前の運輸委員会で私が岡山問題を取り上げたときに、私の方から御説明申し上げたように、当時動員をされて、管理局の屋上に待機しておりました組合員が約四、五十人、この諸君の代表と当時現場を指揮しておりました警察官との間に話し合いがついて、お互いに引き揚げるというような情勢の中であの不祥事件が起きたということに対しては、私の方から指摘をした通り、現場における実績がそういうふうなことを示しておるのですが、そういう結果から見ると、どうしても建造物侵入罪というようなものは成立を見ないと思うし、それから不退去罪というようなことはつけられないはずだと思いますが、これらの見解について、本社の方ではどうお考えになっておられるか、この点をお聞かせ願いたい。
  80. 吾孫子豊

    説明員(吾孫子豊君) この三月十日の事件につきましてば、前国会でここで詳細にいろいろ御報告申し上げたことがあるのでありますが、今回起訴されました理由は、当時、結局は警官の実力行使というような形で退去いたしたのでありましたが、その前に何回も、管理局当局の方から早く退去をするようにという勧告が繰り返し行われたにもかかわらず、退去がなかなかされなかった、そういうことが理由になって起訴されたもののように伺っております。
  81. 柴谷要

    柴谷要君 こういう形のものが全国に幾つか例がおありだと思いますが、それともこれが初めてのケースだと本社の方では受け取っておられますか、その点をお聞かせ願いたい。
  82. 吾孫子豐

    説明員(吾孫子豐君) ただいま正確な資料を実は持ってきておりませんけれども、これとは違った形でやはり庁舎の中に入ってきて、そこの箇所長の指示に従わないでいつまでも場所を占拠したというような事案が、検察当局によっていろいろ取り調ぺを受けたという事例は幾つかあったように考えております。
  83. 柴谷要

    柴谷要君 いわゆる立ちのきを数回要求されて、責任者が呼ばれて、結局説諭というか、戒告といいますか、そういうものを受けたという事案はあると私ども承知しておるのですが、今回初めてのケースとして建造物侵入罪という罪名で起訴されてしまったのですね。こういうことは、単に警察あるいは検察庁だけの考え方で私はやったとは思われないので、いわゆる現地の管理局長がこういう罪名で当然起訴してほしいという意思表示を検察当局にしたのではないか、こういうふうに考えられるのですが、それらの点について知る範囲をお聞かせ願いたい。
  84. 吾孫子豊

    説明員(吾孫子豊君) 三月十日の事件につきましては、現地の局長は四月の二十八日に国鉄としての懲戒処分の通告をいたしておりますので、その上重ねて検察当局に、今お話のございましたようなことを国鉄の方から依頼するとか、話をするとかというようなことはなかったはずでございます。また、そのようなことはしなかったと承知しております。
  85. 柴谷要

    柴谷要君 国鉄にそういう意思がなければ、これは検察庁なり、当時警戒に当られた警察官の考え方でこうされたと思うのです。ところが、全国的なケースでも初めてのことではあるし、国鉄職員が管理局の屋上に上っていた、これを数回退去してもらいたいということで、最終的には当時の状況を詳しく申し上げますと、時間がかかりますから省略いたしますけれども、広島の調停委員会委員長が来られたということで、組合員が歓迎の意味をかねて庁舎に上った、こういうようなことで職員がみずからの職場の屋上に上ったからといって、これが輸送上に重大な影響を与えたのでもなく、かつ、業務に重大な支障を来たしたという理由にもならない、こういうものを起訴していくということは、ますます今日あります労働運動に対する一つの弾圧ではないか、いわゆる検察ファッショではないか、このように考える。そのことはひいては国鉄労使間の問題に悪影響を与えると思うのですが、こういう問題で起訴されております幹部に対する同情というものは、県下あげて出ていると思うのです。また一般の内容を知らない人たちは、当然、国鉄がそのような処置をしたから検察庁が起訴したのだろう、こういったような認識をとっておるようであります。もしかりに、今御説明のありましたような内容であるならば、できる限り当局でも努力をされ、このような問題の解決をされるように今後手を打つお考えがあるかどうか、この点を一つお聞かせ願いたいと思うのです。もし考え方がありとするならば、以後の質問を打ち切りたいと思いますが、一向に検察庁にまかせっぱなしだというならば、あと時間を多少さいても私の見解を述べたいと思うのですが、これらの点についてのお考えについてお聞かせを願いたいと思います。
  86. 吾孫子豊

    説明員(吾孫子豊君) 国鉄が三月十日の件について、部内の行政処分をいたしました人数は、八人なのでございますが、今度起訴された方は十三人であるように伺っております。従いまして、これは全く検察当局が独自の立場で御処置になったことであると思うのでございますが、国鉄の現地当局も、国鉄として相当厳重な処分をすでにいたしておるというような事情並びにその当時の事実関係というようなことについては、当然、検察関係当局に対して説明をいたすべきことであろうとも思われまするし、ある程度はやっておるかと思いまするが、当時の実情というものについては、国鉄側からよく御連絡を申し上げるようにいたさせるつもりでおります。
  87. 柴谷要

    柴谷要君 ただいまの御答弁でまあ私質問を打ち切りたいと思いますが、今後、しかるべく一つ特段の御手配を願って、このようなことは初めてのケースでもありますので、よろしく取扱いについてお願いいたしたいと思います。  以上をもって質問を打ち切ります。
  88. 大和与一

    委員長(大和与一君) ちょっと伺いますが、国鉄の労使の問題は、団体交渉の対象であるなしにかかわらず、労働問題だと思います。そうなると、その点はどういう考え方ですか、労働問題とお考えになりますか。
  89. 吾孫子登

    説明員(吾孫子登君) 何かむずかしいお尋ねのような気持もいたしますが、まあ労使の間に主張の対立があって、それがいわゆる紛争の状態になっておるという事態は、これは労働問題だと、一般的にそう考えます。
  90. 大和与一

    委員長(大和与一君) そうすると、労働問題であるならば、それに対して紛争が起った場合に、当局として一応の処置をすることはあり得ると思います。ところが、今回のやつは検察庁の方で自動的にやったということになるだろうと思います。その場合に、当局としては労働問題としてのワクの中で行われたことに対する他の力の引力といいますか、引っぱる力、それに対して当局は当然積極的にこの問題を解決するためのお骨折りをして下さるか、その点がお伺いしたい。
  91. 吾孫子豊

    説明員(吾孫子豊君) 私どもといたしましても、できるだけ国鉄の労使間の問題が外部の筋にいろいろと御迷惑をおかけするというようなととはできるだけ避けたいというふうに思っております。それで、こういうような事案に対しまして、国鉄当局がかなり厳重な処分をいたしたということは、同時に、それでもってこの事態に対する責任の追及というようなことは、でき得ればそれをもって打ち切りたいというような気持で処分等を厳重にやっておるのが、今までのいき方でございます。でございますから、私どもの気持といたしましては、同じ事柄について、二重にまた追及を受けるというようなことは、できるだけ避けたいものであるということは常に考えておる次第でございます。
  92. 大和与一

    委員長(大和与一君) もう一つ、今までの経験によりますと、ある局では非常に積極的にそれをカバーしていく、ある局ではやや受け身でほったらかすということでもないけれども、消極的だ、こういう全国的なアンバランスがあって、紛争が横に拡大してこじれてしまう、とういうことが経験的にあったと私は思う。それですから、これからもなお労使の問題がぜひ正常な形で進むために、そういう横からの横やりとか、おせっかいが入らぬように、入ったら直ちに排除して適正な労使関係の中で解決する、こういうお骨折りを十分一つしてもらいたいと思いますが、その点について。
  93. 吾孫子豐

    説明員吾孫子豐君) 外部の筋からのいろいろな介入ということは、またそれぞれのお立場でなされることでございますから、それに対して国鉄の方からとやかく働きかけるということは、またいろいろ問題もあるかと思うのでございますが、私どもとしては、そういう外部関係の筋に御迷惑をおかけすることのないように、できるだけ部内で起ったことは部内の処分で片づけたいということは絶えず考えておるわけでございまして、今後もそういう気持で進みたいと思っております。
  94. 大和与一

    委員長大和与一君) 他に御質問、御意見ありませんか。  それでは、本日は、これにて散会いたします。    午後四時六分散会