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1958-06-27 第29回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十七日(金曜日)    午後一時五十六分開会     —————————————   委員の異動 六月二十五日委員井上知治君辞任につ き、その補欠として石原幹市郎君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大和 与一君    理事            江藤  智君            成田 一郎君            三木與吉郎君            柴谷  要君    委員            石原幹市郎君            井村 徳二君            相澤 重明君            高良 とみ君            早川 愼一君            市川 房枝君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道常    務理事     吾孫子 豊君    日本国有鉄道資    材局長     平出  彬君   参考人    日本国有鉄道志    免鉱業所調査委    員会委員長   青山秀三郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (日本国有鉄道志免鉱業所に関する  件)     —————————————
  2. 大和与一

    委員長大和与一君) それでは、ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。  六月二十五日に井上知治君が辞任され、その補欠として石原幹市郎君が選任されました。     —————————————
  3. 大和与一

    委員長大和与一君) 本日は、日本国有鉄道志免鉱業所に関する件について参考人から御意見をお述べ願いまして、今後の当委員会調査参考に資したいと存じます。  参考人一言ごあいさつ申し上げます。  本日は御多用のところ当委員会のため御出席下さいまして一言御礼を申し上げます。志免鉱業所に関する件につきまして忌憚のない御意見をお述べ下さいますようお願いいたします。また、同調査委員会において、国鉄総裁諮問に基いての措置等について検討されておられることと思いますので、それらの論議を通じてわれわれの参考となる点をお述べ下さるようにお願いしたいと思います。  この際、十河国鉄総裁から発言を求められておりますのでこれを許します。
  4. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄志免炭鉱のことにつきまして、皆様からいろいろ御心配いただいておるようであります。厚く御礼を申し上げます。  つきましては、今日までの問題の経緯並びにわれわれ国鉄当局の考えておりますところを取りまとめて簡単に申し上げまして皆さんの御参考に供したい、そうして皆さんから力強い御支援をいただきたい、こうお願い申し上げる次第であります。  志免炭鉱は明治二十一年来、唯一の海軍炭鉱として開発されてきたものであります。終戦の年、昭和二十年に海軍がなくなりましたので、これをどこへ引き継ぐか、あるいはどこに払い下げるかと、いろいろ論議が行われたのであります。当時、国鉄としては運転用石炭が著しく不足して悩まされておりましたので、各方面の御了解を得て国鉄がお引き受けをして、もっぱら国鉄運転用炭確保のために採炭を行なってきたものであります。引き継ぎ後、荒廃にまかせられておりました坑内が従業員努力によりましてだんだんと生産を回復して参りました。また、海軍時代からの懸案となっておりました縦坑の開発に着手いたしましてこれを完成いたしました。これに伴いまして出炭の量もだんだんと増加いたしまして、引き継ぎ当時年産十八万トンであったものが、二十八、九年ごろから年産大体五十万トンのベースへと向上して参ったのであります。また、出炭能率も次第に良好となりまして、昭和三十二年度においては、労務者一人当りの月採炭量がおよそ十五トン半というところまで上昇して参ったのであります。しかしながら一面において、国全体の炭業界も急速に回復して参りまして、運転用炭確保のために、国鉄がみずから炭鉱経営しなければならぬという積極的の理由は、意義はだんだん失われて参ったのであります。それゆえにすでに数年前、私が国鉄総裁をお引き受けいたしました当時に、すでに国鉄部内におきましても、また部外におきましても、志免炭鉱はどうにかすべきじゃないかというふうな意見が起って参りました。私も就任後、この問題についていろいろと考えをめぐらしておったのであります。昭和三十年の十一月に行政管理庁から、事業経営に不可欠な資産以外はできるだけ切り離し、国鉄付帯事業もこの見地から再検討をして、事業の業績に寄与しないものは整理をはかることが至当であるということで、志免鉱業所の名をあげまして、これを切り離すことを考えるようにという勧告を受けたのであります。続きまして昭和三十一年一月には、運輸省で設けられました日本国有鉄道経営調査会から、志免炭鉱などの付帯事業については、むしろこの際国鉄経営から切り離すべきであると考えるが、いろいろな困難な点も考えられるので、少くとも縮小の方針をとるとともに、徹底的に合理化を行う必要があるということの答申が提出いたされました。政府におきましては、この答申を尊重するという方針を声明せられまして、国鉄へ下げ渡されたのであります。続きまして本年四月に行政管理庁から、重ねて志免炭鉱はその後かなりの合理化措置が講ぜられ、経営成績も向上しているが、特にこれを直営とする積極的意義も認められないので、事業経営交通事業経営に不可欠な資産以外は、でき得る限りこれを切り離すべきであるという趣旨から、これが整理について慎重な検討が望まれるということの勧告を受けたのであります。そういうふうに国鉄の中においても、また、外におきましても、いろいろと問題が展開せられて参りました。私といたしましても、引き続きこの根本問題につきまして鋭意検討を重ねて参りました。さしあたり、でき得る限り合理化を推進して作業能率の向上をはかって参ったのであります。しかるにこの間、長い間この問題につきまして世間ではいろいろと論議が行われておりました。国会におきましても、ほとんど毎国会論議せられまして、私どももいろいろ皆さまから御質問を受けたようなことがあるということは御承知通りであります。また、そういうふうに外の議論だけでなく、外において議論が行われるとともに、内においても志免炭鉱従業員の間に著しく不安動揺が起きて参りました。このままじんぜん日を送っておりますると、いろいろな事故が起る原因となりかねないという状態に相なって参ったのであります。  そこで、このような状態でありますから、国鉄といたしましては、何とか志免炭鉱の問題を急速に方針を決定いたしまして、多数の従業員を安定させることが必要である、こう考えましてたしか当委員会であったかと思いますが、議員の方からの御質問に対しまして私も、そういうふうにたびたび問題になりますが、何とか根本的にどうしたらいいかということの検討をしてもらうために、部外権威者をお願いいたしまして、種々なる角度から専門的に検討を加えていただいて、御意見を承わって、私ども方針をも決定したい、こう考えまして運輸大臣の御承認を得まして、本年四月志免鉱業所調査委員会を設けたのであります。今日おいで願っておりまする青山委員長を初め多数の権威者がきわめて御熱心に、普通の委員会で見られないような異常な熱意で、朝から晩まで長い時間をかけて御検討下さいまして、今日なお最終的の結論に到達いたしておりませんが、一応の中間的答申が出ております。その答申によりますと、志免炭鉱国鉄経営から分離することが適当である。国鉄経営下においては、現在の鉱区内における合理化はもはや限界に達している。しかも現在の状態、この規模の採掘は長くこれを維持することが困難であり、従って、国鉄が将来この志免炭鉱経営を持続する必要があるかないかということを問題にして検討をしてみたが、現段階においては、すでにその必要が認められないのみならず、石炭資源合理的開発の点からいっても、また現有施設有効活用という点から見ても、これを民営に移すことが適当であるという結論に到達されたということであります。そういうふうな状態でありまして、そういうふうな経過をたどりまして、われわれはわれわれ自身国鉄部内において慎重に検討を続けるのみならず、今申し上げましたような委員の方々の慎重な御検討によりまして、その結論として報告をいただきましたことは、われわれが研究をして得ておる結論と大体において一致しておるのであります。それゆえに、私は志免炭鉱はこの際、国鉄から分離して民営に移すのが妥当であるという私自身も一応の結論に到達いたしました。これから委員会の最終的の御検討を続けますとともに、委員会からの御答申をいただきますれば、それによって監督官庁への手続等を進めて参りたい、こう決意いたしておる次第でございます。  志免炭鉱状態をこの際申し上げて、皆さんの御参考に供したいと思いますが、御承知のように、この炭鉱はすこぶる複雑な炭鉱であります。糟屋炭田には四つ、五つであったかと思いますが、の鉱区の持主がありまして、鉱区境界線がすこぶる入り組んでおります。また断層がありまして、自分鉱区内にある石炭自分の所からは掘れないが、他の所有者鉱区からは掘ることができるという所もあります。また境界線が入り組んで長く続いておりますために、境界線に壁を残しておくというような必要から、取り残されておる石炭相当量ある見込みであります。私は国鉄のため、また従業員のため、あるいは地方のため、あるいは国のため、四方八方を考えてみますと、一番いいことは、日本の国の乏しい資源を最も有効にこれを利用する、合理的に開発をする、そうしてせっかく従業員努力によって五十万トンというベースに達しておるのでありますから、このベースをできるだけ長く持続することのできるようにすることが、従業員にとっても一番有利である、こういうふうに考えまして、国のためにも、もちろんそれが有利であります。そういうふうな見地から検討いたしますと、これを統合して、そうしてできるだけ資源を有効に合理的に開発するということが必要となってくるのであります。国鉄志免炭鉱の層は、大よそ分けますと四つに分かれます。最上層上層下層、最下層というふうに、四つに分けておられるのでありますが、そのうち、上からだんだん掘って参りまして、ただいま志免炭鉱で掘っております所は下層であります。その下層の坑口で、すでに鉱区境に接近しており、あるいは火成岩の基盤にぶつかってきておるというふうなことがありまして、五十万トンのベースを維持して参りますためには、どうしても付近の隣接鉱区を統合するとか何とかいうことが必要でありますが、そういうことはなかなか困難でありますから、最下層にある石炭を掘ってみたらどうかというので、掘りかけたのであります。しかしながら、御承知通り、この炭鉱は非常にガス湧出量の多い所であります。下からガスがあまりに激しく吹き上げて参りますので、ついに手をつけかねて、停止しておるというような状態であります。そういう状態でありますから、このベースをずっと継続いたして参りますためには、どうしても隣接鉱区を統合することが必要となってくるのでありますが、国鉄は、行政管理庁勧告にもありますように、われわれは輸送という本来の業務に専念すべきである、その本来の業務すら十分手が届きかねておりまして、国民皆さんに非常な御迷惑をおかけしておるような状態でありますから、この上さらに隣接鉱区を買収する、そうして炭鉱を拡大していくというふうなことは、事実できないというふうに考えられるのであります。今日の現在の鉱区のままで掘り続けて参りますと、おそらく現在の五十万トンベースは、ここ五、六年しか続かないんじゃないか。これを隣接鉱区を統合いたしますと、それがあるいは十年に延びるか、あるいは十五年に延びるか、これはよく現状を見て計算をしてみなければわかりませんが、そういうふうに延ばすことができるということになります。このまま、現状のまま続けて参りますと、だんだんしり細りになって参ります。おそらく隣接鉱区もしり細りになってくるんじゃないかと思います。そういたしますと、国鉄においても人が余ってくるという状態を呈してくると思います。まただんだん、炭鉱が大きな炭鉱から中小炭鉱に転落するということに相なりますると、いろいろな給与の改善というふうなことも困難になってくるかとも思います。また地方から申しましても、出炭量が多ければ地方の繁栄に寄与することができるのでありますが、それがだんだん少くなれば、地方もまただんだんさびれてくるのじゃないかということになるかと思いますが、さればといって、国鉄は今申し上げましたように、大きなずうたいで、手が回りかねておるのであります。この国鉄民営にして、分割経営させたらよかろうという議論国民の間にほうはいとして起っておるときでもあります。われわれはこの隣接鉱区を買収して、さらに炭鉱のために投資を続けていくということはできないものと認めておるのであります。  また、国鉄のこの志免炭鉱を譲り受けるに至った根本原因であります運転用炭確保ということは、今日は先刻申し上げましたように、炭鉱業界事情が全く変っておりまして、もはやその必要が、志免炭鉱を自営しておる必要がなくなっておるのじゃないか。また先年来、皆さんの御賛同を得まして、国鉄動力近代化というものを促進して参っておるのであります。動力近代化が進めば進むほど、国鉄の消費する石炭の量はそれだけ減ってくる勘定であります。もちろんどんなに減りましても、雑用炭その他において、国鉄の消費する石炭相当な分量に達すると思いますが、志免炭鉱石炭は粉炭が非常に多いのであります。どうしても混炭しなければ使えないという欠点があるのであります。そこで、志免炭鉱五十万トンの石炭を全部国鉄が消費するといたしますと、配炭上種々の困難を生じて参るということは、これはやむを得ないところであります。また志免炭鉱の炭質は、原料炭としても相当良質のものであります。その炭を遠くへ運んで、国鉄機関車に消費するということはもったいない、原料炭として消費したらいいじゃないかと言われますが、国鉄自分炭鉱から掘り出した炭を売るということもできません。そういう状態でありますから、どうしてもこのままいけばだんだんしり細りになって人が余ってくる。人が余ってきても、これを輸送業務配置転換するということは相当困難であります。先年合理化の過程において数百名配置転換をいたしたことがありますが、いずれもみな相当苦い経験をなめております。配置転換ということも、業態炭鉱業という業態輸送業という業態と著しく異なっております。そういうことも相当の困難があると言わなければならないのであります。また経営者技術者の点から申しましても、先刻申し上げましたように、最下層を掘り出したが、ガス湧出が多くて中止しておるというふうな状態であります。ただいま、たしか六、七百メーターくらい海面から掘り下げておりますが、深度が深まるに従って、だんだんその困難は増してくる、そういうことでありまして、鉱区状態から見ても、またこれを隣接鉱区を買収して統合経営をするという点から言いましても、国鉄としては非常にやりにくい限界に達しておるということを私どもは考えておりまして、この点において調査会の御意見と一致しておりますので、私ども調査会答申を待って、これを民間に移譲するという手続を進めて参りたい、こう考えておりますが、先刻来申し上げまするように、この問題を処理するに当りまして、いろいろなむずかしい問題がたくさんあるのであります。なかんずく、この従業員をどうするかという問題、また鉱害の処理をどうするかという問題、爆発等も非常にむずかしい問題であります。これらいろいろな困雑な問題がありますから、私は政府の、監督官庁の認可を得ますれば、これらの関係者と十分に協議をいたしまして、皆さんの納得を得て慎重にこれを実施して参りたいという覚悟でおります。  以上大略、経過とわれわれの考えておりますこととを御報告申し上げまして、皆さんの御参考に供した次第でございます。ありがとうございました。
  5. 大和与一

    委員長大和与一君) 次に、参考人青山秀三郎君から御発言を願います。
  6. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) ただいま委員長に御紹介いただきました青山でございます。お許しを得まして上衣をとって申し上げますから、御了承願います。  ただいま国鉄総裁から経過その他について詳細なお話がございましたが、はからずも私どもは実はこの四月初めから志免鉱業所の問題について委員となって、私にも相談相手になってくれないかということでございました。私はなにでございますが、委員各位名簿を見ますと、各界のみなそれぞれ長い経験と、うんちくを持たれた方と拝しまして、そういう方のお力をいただけば、何かわれわれの方で第三者として考えましたことを御答申できるのじゃないかと、希望を持って発足いたしました。  委員名簿その他につきましては、ただいまいただきました資料目次にもございますので御承知のことと思いますが、4のところに、その委員名簿が載ってございます。こういう各位であります。中には今まで炭鉱の行政あるいは経営、いろいろな面で、ことに九州地区の問題につきましても、深く今までうんちくを持っておられる方もありますが、そういうことで、まあ一つみんな一諸にやろうやということで、四月の七日と思いますが、総裁諮問機関として発足いたしました。そのときに、お前委員長をやれということで、これは寝耳に水のお話でありまして、まことに私も困ったのであります。が、しかし、辞退もならず引き受けて今日に及んでおります。  そこで最初、その七日の日に私どもに、ここにもございますが、5の資料にありますが、諮問をいただきまして、それは志免鉱業所措置をいかにすべきかということでございました。これは根本に触れる問題であります。その冒頭に当りまして、ただいままでの、その発足までの経過につきまして総裁からもお話を承わりまして、なお、これを議します上には、今申しましたように現地のことを多少存じておるものもございますけれども、親しく内容をよく伺いたいということで、現地からわざわざ出てこられた職員の方にも、われわれのまだわからないこと、新しいことを追加していろいろわれわれの知識を満たしていただいたのであります。この問題は、今お話がありました通り相当長い期間のことでありますし、私どもとしても、委員会として、第三者として考えます上にもできるだけ慎重を期したい、急いでこれを処すことができないと思っておったのであります。幸い、委員の諸君も非常に時間を割愛してこれに努めていただきまして、議を続けたこともございますが、なるべく早く一応の見通しを立てたいと私も思いまして、また、承わります内容についても、ありのままをできるだけ伺いたいということに御注文をいたしまして、委員会のためには国鉄の御当局の方にはいろいろなことを承わりまして、それがわれわれの議事を進行します上にはかなり役立っておると思います。  そこで、まず第一の御諮問に対しまして、私どもは現在の国鉄仕事合理化して継続することができるであろうかということが第一の問題であります。これで解決すればこれにこしたことはないと私は思っておりまして、さらに、それが不可能であれば炭鉱を現物出資して何らかの方法で経営してみようということも考えられる、そういうことがいずれも不可能であれば第三段の譲渡、分離というところにいかざるを得ないということを申しておって、それぞれの案につきまして、ことに第一案につきましては、私どもはこれは根本であり、また関係するところが多いと思いましたので、特に私ども執拗に質問もし、御意見も伺って参ったのであります。そこでまず、私がその資料なりお話を伺って非常に不思議に思ったことがございます。それは本日のこの資料目次、終りについてございますが、この志免鉱業所が持っておられます鉱区とその隣接鉱区との関係であります。図面12、13とついてございますが、後ほどごらんいただければ仕合せだと存じますが、鉱区というものの私どもの今まで持っておる概念とは、こういう例がほかにないことはございませんけれども、はなはだ珍しい例でございます。普通鉱区と考えますれば、地表である曲線で結んだ多角形をとって、その真下は垂直に下までその鉱区に属するというふうに私どもは一般的に考えるのであります。ところが、この場合には、地表志免鉱業所鉱区もございますが、下へ入りますと炭層ごとに、またその鉱区所有が変るというのでありまして、これは鉱業資源開発の上からも、作業の上からも特異な例だと私は思います。これは日本にも、わずかではありますが、その例がございます。外国にもその例がございます。激しいのは下に炭鉱があって上に亜鉛の鉱山がある、しかも、その上は三つの国の国境で押えられておるというような悲しむべき鉱区の分配されておる現状が、これはほかにもあることであります。決してないとは申しませんけれども、こういうのは資源開発の上からは、えて、はなはだ支障の多いことであります。ことに炭鉱でございますと、先ほどお話のありましたように、ただ石炭を掘るというだけでなしに、関連していろいろ排水、運搬、いろいろな問題があります。それをこういうふうな格好に分割されておったのでは、それぞれが能力を発揮し得ないばかりでなしに、全体の資源開発する上に、非常に国家的にも不利であるということを思っておったのであります。これはどういうことかと、いろいろ事情をお尋ねいたしましたが、今日になってはどうにもならないということであります。これは九州全体の地区に言えることと思いますが、長いこと採炭を続けておりますと、だんだん資源有限資源でありますからなくなってくる。そうすれば取りやすい所を掘って、あとに残るのはだんだん困難な所になるのは当然であります、しかも、こういうふうな事情境界の所なり、あるいはまた自然の条件により断層その他の関係で妨げられることもあるわけであります。そういうことであれば、これは初めから取るならば、この地区はどうしたらよかろうかということを考えて鉱区を設定し、そうして仕事を始めるのが、これは理想と思います。しかし、今さら申し上げましても過去のことでございますが、自然こういう状態でこれをまかされた場合に、どういうふうな格好開発していったらよかろうかということで、国鉄の御趣旨のあるところもよく伺いました。私ども、ことに炭鉱資源を見ておりますものとしては、現在の鉱業権者がどうあろうと、その地区の限られた、今お話のあった、必ずしも日本石炭に恵まれていない——ほかの資源に比べれば恵まれておりますが、——この限られた石炭を完全に採掘使用したいということがわれわれの希望であります。その意味から、これをどうしたらよかろうかということを、主として資源立場あるいは技術的立場から皆寄り合っていろいろ話し合いました。時には国鉄の方と離れまして、われわれ委員だけでその方針を研究し合いまして、また、こまかい問題でありますと、時間もかかりますので、専門分科会を設置いたしまして、そこでこの再検討を加えて参りました。分科会も幸いそういう専門の者が委員の中におったので、資料等もいただいて検討したのでありますが、こういう状態でありますので、ただいまの国鉄鉱区内で仕事を続けるという一つ条件を入れますれば、その先はどうなるであろうかということでありますが、これは計算的にはある埋蔵量が示されているのでありますが、実際に仕事をいたしますと、なかなか計算通りになって参りません。たとえばその場合に、そこに千二百万トンあるということでありましても、実際これを仕事をいたしました場合には、予想通りいく例はほとんどないのであります。むしろ減るばかりでありますが、なお、今のような鉱区関係、また天然の断層等の関係によって国鉄の中で合理的に仕事を進められましても、その先の工合は、私は、ただいまのような五十万トンという生産とか、ただいまの能率であれば、先ほどもお話がありましたように、九州地区では推奨に値する能率と思います。こういう十五トン以上の能率を上げておられる、こういう非常に意欲の旺盛のようなところでありましても、やはり天然条件等の制約を受け、鉱区の制限を受けますと、なかなか思うようになって参りません。従って、この先の見込みはどうだろうか、現在はこういう結果でありますが、この先はどうなるだろうかということを国鉄の方でもお調べになったのでありますが、われわれの方でも分科会で詳しくこの中身を検討いたしました。その結果は、むしろわれわれの方がさらに悲観的であります。たとえば、今後五年後の生産にいたしましても、条件がだんだん困難になり、いかに練達な技術をこれに充てましても天然にはかなわない。やはりわれわれの仕事には限度があることを見なければなりませんので、こういう意味からも私どもはむしろ五年後のこのままの経営形態であり、作業状態であれば、その見通しはむしろもっと悪いと考えざるを得ないのであります。そういうようなことであれば、これはわれわれはこの委員会立場検討いたしますが、捨てちゃおけないという感じを持たざるを得ないのであります。総裁は声涙ともに下るような熱心な御態度で組合の皆さんのことを御心配しておられるのでありますが、私は同時に、資源あるいは技術的立場からこれはこのまま捨てちゃおけないということを思うのであります。できるだけ早く何らかの措置を講じてこの資源を完全に開発し、また、掘った石炭を国家的に有効に利用するということをどっかで処置をとらなければ、これは日本としてはなはだ不利であるということを思わざるを得ないのであります。  結論はさっき申しましたように、総裁のおっしゃったようなことを第一回の中間答申として申し上げました。これも私どもとしては、もう少し積み上げまして実情を明らかにして、第一回の今の中間答申にもとったことをあとから取り消すわけにいきませんので、できるだけ慎重にこれを考慮していろいろな角度から確認しておきたいということで答申もいたしましたが、われわれは引き続きいろいろな点でこれを検討してあやまちのないことを期しております。そういう意味でただいま国会も開かれており、いろいろ御質問もあろうに、委員会がいたずらにこれを引きとめ申し上げるというわけにいかぬと思いまして、十分再確認をしたところでこのような御答申、御説明があったことと思います。そういう意味でありますので、私どもは主として技術的あるいは資源的な立場が考えられるのでありますが、こういうところから、これをこのまま国鉄が継続して経営される、このままこの鉱区状態経営されることは非常に不安を持っておる、資源的の立場から不安を持っておるということを申し上げざるを得ないのであります。  なお、こまかい問題もいろいろあろうと思いますが、一応この程度で私の説明を終りたいと思います。
  7. 大和与一

    委員長大和与一君) それでは、ただいまの国鉄総裁及び青山参考人に対し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  8. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は、前国会からこの問題について国鉄当局質問をずっと展開しておるのでありますが、前国会の末期の際の国鉄総裁の御答弁の中に、今回調査委員会を開いて十分に検討していただくのだ、その調査委員会諮問をしたのは、志免鉱業所の処置をいかにすべきかという問題について諮問をした、こういう御答弁がございました。ところが、本日の資料をいただいてみますと、確かにそれは四月七日にその諮問を第一回発しておりますが、それだけであるならば当時の御答弁は間違いなかったと思う。ところが、十日を出ない十六日の日に、志免鉱業所日本国有鉄道の経営から分離する時期及び方法はどうきめるべきか、こういう諮問になっております。それから引き続いて五月八日に、志免鉱業所の譲渡価格は幾らにすべきであるか、こういう諮問を発しているわけです。そうなりますと、前国会末期におきまする総裁の答弁は、すでに志免鉱業所国鉄経営から分離すべきであるという考えで問題を処理されている。それから分離するについては、情勢の判断からいって高く売りたい、こういう気持から譲渡価格についての諮問をされたものと私は思う。そういたしますと、前国会に総裁が所信を表明されたものと実際に総裁がお持ちになっておりました心境とが、ここに違いがあると思うのですが、このように私どもは解してよろしいか、それとも国会で答弁した以後に、急遽、あなたのお考えが変って第二、第三の諮問をされたものであるか、この点からお伺いをいたしたいと思います。
  9. 十河信二

    説明員十河信二君) 委員会を設けまして第一に御意見を伺ったのは、今お話通り、基本的の問題について御意見を伺ったのであります。委員会設置までの経過を申しますと、こういう状態で何とか従業員が安定して働けるように早くきめてやらなければかわいそうだ、だから、どうしたらいいと思うか、このまま継続していくか、あるいは分離するか、あるいは合理化はどうすればいいかというようなことを、この志免炭鉱の基本的の問題について、委員の方々の専門的の御意見を伺うということで諮問案を提出いたしたのであります。委員の方々には、ただいまお話がありましたように、きわめて御熱心に、長い時間研究をしていただきまして、そうして十六日には口頭で、これは切り離すほかないだろう、切り離すことが適当であるという御答申をいただいたのであります。そこで、次の問題として、しからば、切り離す時期、方法はどうしたらいいかということを諮問案として差し出したのであります。なお、時期、方法と関連いたしまして価格をどうするかというような問題は、慎重の上にも慎重を期して検討をする必要がある、こう考えましたので、そのことも初めからいろいろな関連事項が出てくることと想像されます。早く諮問をした方がよかろうということで、五月八日に、価格はどういうふうにしてきめたらいいかということの諮問案を差し出したような次第であります。私の前国会の末期における答弁と少しも変っていないということを御了承を願いたいと思います。
  10. 柴谷要

    ○柴谷要君 ここに日にちの記録がございまするから、これの印刷に間違いがなければ、ただいま総裁のおっしゃったような御答弁には相ならぬかと思うのです。というのは、第一回に、志免鉱業所の処置をいかにすべきかという諮問をした。これに対する調査委員会皆さんの御努力によって答申がなされたから、第二の諮問をしたということにはならぬ。というのは、第二の諮問は四月の十六日になされておりますけれども調査委員会結論は四月十九日、三日後に調査委員会から答申が出ております。こうなって参りますと、ただいま総裁が御答弁になりましたような理由にはなっておらない。でありまするから、私が最初お尋ねいたしましたのは、すでに諸般の情勢を十分総裁はお考えになっておられるから、調査委員会を作られて、そこで厳密な御調査を願うのが当然であるのでありますけれども、今日の国鉄現状からいくならば、志免鉱業所は時期もよろしいし、この際何とか有利な条件のもとに民間なり、その他の方法によって払い下げをしたらという御意思でこのような方法をおとりになったのだと私は思うのです。ですから、そのような筋道を立てた御答弁をしていただきませんと、今のような調査委員会から出たから第二、第三の諮問をしたということでは、これは印刷が間違いかもしれませんが、こういう日にちにズレがございます。少くとも私ども国会の議事録に載る以上は間違いのない答弁を願いたいと思います。この点いかがですか。
  11. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) ただいまお尋ねのございました点は、総裁から今御答弁申し上げましたように、十六日の日に調査委員会の諸先生の御意見が実際上まとまりまして、口頭で御答申があったわけでございます。ただ、書面による答申は、その次の会を十九日の日に開くことになっておりましたので、十九日に書面であらためて出すが、意見としてはこうであると、こういう口頭の御答申がございました。それで、それではその次の作業の段取りもあるだろうから、第二の諮問を申し上げる、こういうことで第二の諮問を出されたわけであります。いきさつはそういうわけであります。
  12. 柴谷要

    ○柴谷要君 ただいまのまあ補足説明で大体筋道はわかって参りましたので、この点は深くあとお尋ねしようとは思いませんが、そこで、大へん本日は御多忙のところ、かつまたお暑いのにもかかわらず、おいでいただきました調査委員会委員長さんにお尋ねをいたしたいと思います。この中間報告をなさったときに、国鉄当局に対して、これは部外に発表しないでほしい、こういう調査委員会からの要望があったと、こういうことで、私が前国会でお尋ねをいたしましたときに、その中間答申について、国鉄当局からお尋ねすることができなかった。その理由はどこにおありになったものか。今日いまだ正式な答申ではなくして、依然としてここに中間報告としてなされておるということをお尋ねをして、このようなことであれば、前国会で明らかにされても一向に差しつかえなかったのではないか、こういうような私考えを持つのでございますが、どのような理由がおありになったか、お聞かせをいただきたいと思います。
  13. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答え申し上げます。先ほどもちょっと触れましたが、第一の御諮問に対しまして、これは私ども委員会から総裁に申し上げます中間の答申でありますが、この結論は、おそらく先これを続けていきましても、まあ根本的に変ることはない。まあほとんど、ほとんどと申しますか、全部の委員の一致した意見であったのであります、この問題に関する限り。従いまして、私は十六日は第四回の委員会だったと記憶いたしますが、そのとき、まあここまで皆の意見が一致いたしましたので、口頭で一応御返事申し上げます。けれども、何か残らなければまずいというので、書類をやはり出そうということで十九日に御提出申し上げました。それから国会に対する関係でありますが、私はこういうことを別に秘密にする必要は毛頭ないと考えておりますが、ただ、事重大でもあり、なお、今の分科会の運営等から見ましても、さらに裏づけしてわれわれが十分安心するところに委員会としてもなりたい、根本的には変るとは思いませんけれども。もしや次の問題になれば、これは相手のあることでもあり、いろいろ総裁のおっしゃった組合の関係もありますし、単なる物件譲渡じゃございませんので、いろいろな立場からこれは検討しなければならぬことになるだろうということで、根本方針はこれでよろしいけれども、もう少し肉づけをし、裏づけをして、再確認をしたいということを私はひたすら希望しておったのであります。そのために、はなはだ国会の方には、あるいは国鉄の方には御迷惑と思いましたけれども、私は適当な時期まで、私どもに時間等の余裕をいただけますならば、われわれも安心できるということを考えましたので、さような措置にいかざるを得なかったのであります。ほかには何ら意図するところはございません。
  14. 柴谷要

    ○柴谷要君 重ねて調査委員長さんにお尋ねするのでありますが、先ほど有益な参考意見をお述べいただいた中で、大体まあ私ども参考として取り上げなければならない三つの問題点があったかと思います。それは、答申結論のように分離すべきであるという理由はまず三つ大まかにいえるのではないか。その一つは、鉱区内の埋蔵量の見通しが非常に悲観的である、これがまず第一。それから第二といたしましては、現状の五十万トン保持をしていける見通しはそう長くはない、大体五カ年間先のことはどうも悲観点な予想である、こういうことが第二にお話をいただいたと思う。それから第三としましては、今日のような、国鉄志免鉱業所という一つのワク内で資源を掘り出しておったんでは、資源開発の面からいっても適切なものではない、これをもっと鉱区を拡大するなり、もっと大所高所からながめたところの資源開発の面を考えた方がよかろうという三点が、特に参考意見としてお述べいただいたと思うのですが、このようにわれわれは了察してよろしいものであるか、重ねてこの点をお尋ねをしておきたいと思います。
  15. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答え申し上げます。特に今御指摘になりましたところは、私も一番考えておることでございますが、将来の見通し、これはなかなか何人も確実なことは言い得ないと思いますが、ただいまの志免鉱業所の主力になっておりますのは下層でございます。下層といたしましても、ただいまの八坑区域あるいは縦坑区域で採炭されるものが生産上に重要な部分だと思います。私どもは五坑その他の点ではそれほどの恐ろしい減衰は考えないのでありますが、八坑区域並びに縦坑区域の今後の見通しが、はなはだ私どもは、さき申し上げました通り、悲観的ならざるを得ない。これが先ほどお話がありましたように、そこに残存しております石炭がございますけれども、やはり断層関係あるいは鉱区関係等によりまして、十分伸び得ない。現在残っているいい所は、大体掘ってしまってあんこは食べてしまったというような関係であります。ことに最近の採炭をやっておりますのは、御承知のように非常に切羽を集約いたしております。ことに切羽の延長も相当長くなります。御承知のようなカッペ採炭等で、非常に切羽の進行速度が速いものでございますので、一切羽をある期間継続させるというには、相当な量をそこに予想いたしませんと、せっかくの施設がまたほかへ移動せねばならぬ、その施設は使えないとかということがあり得るのであります。そういう意味から、少くとも八坑区域あるいは縦坑区域で、今後の生産のおもなるものを負担するとなれば。ここにわれわれは相当な見通しを持たないと、生産の維持は困難であろう、そういうことを思いまして、さきのようなことを申し上げました次第であります。
  16. 柴谷要

    ○柴谷要君 総裁は三時二十分と言われましたか。
  17. 大和与一

    委員長大和与一君) 二十分です。
  18. 柴谷要

    ○柴谷要君 そうすると時間がありませんから先に総裁に対して質問を二、三いたしたいと思います。先ほど総裁の言葉の中で、これはあげ足ではなくて、実際の総裁の心境をお尋ねしたいのですが、輸送業務が国民に迷惑をかけておるから、これは志免鉱業所を民間に拂い下げるんだ、こういうお言葉があったのですが、志免鉱業所を払い下げれば国民輸送業務の面で絶対迷惑をかけない、こういう御自信がおありでございましょうか。かつまた、輸送業務でどの点が国民に迷惑をかけておるか、これらの点について一つ総裁の御心境を伺いたいと思います。
  19. 十河信二

    説明員十河信二君) われわれの本来の任務は旅客貨物の輸送にある、その輸送が施設の不足あるいはわれわれのやり方の不十分であるというようなこともありまして、国民に非常な御迷惑をかけて、先年は三大隘路の随一であるというふうにまでいわれて非難を受けておったのであります。われわれは恐縮いたしておりまして、でき得る限り輸送に専念したいと、そうして輸送という本来の業務国民皆さんに御満足を与えるようにしたいというのが私の念願である。それゆえに、行政管理庁勧告にありますような本来の業務に不可欠のものは別だと、そうでないものはできるだけ切り離して、もちはもち屋にお願いすることが適当じゃないかというふうに考えて、そういうことを申したのであります。志免炭鉱があるために国民に迷惑をかけておるというふうなことは毛頭考えておりません。
  20. 柴谷要

    ○柴谷要君 後段のもちはもち屋にという言葉は、これは同感でございます。これはまあその通りであります。ただ、私は行政管理庁勧告並びに国鉄経営調査会答申、これを金科玉条のようなふうにおとりになっておりますので、一つ私は参考に申し上げたいと思うのですが、行政管理庁並びに国鉄経営調査会は、もう志免鉱業所はだめだと、こうきめつけている。赤字は解消できないのだ、非経済的な事業体だと、こういうふうにきめつけちゃったんですね。ところが、勧告以来国鉄合理化というものが進んで、三十一年以来というものは非常に実績を上げておるのです。ですから、調査委員会の克明な調査内容等を私ども初めてきょうお尋ねしたのですが、そのような理由は全然今日まで国鉄当局からわれわれは説明されて納得されるようなものは一つも出ておらなかった。その中でこの問題を議論する際には、赤字経営が黒字経営に変ってきたと、こういう事業体が、それが三十一年度は一億六千万円から三十二年度、三年度と順次上ってきて、今日では三億近い黒字が志免鉱業所では出ておるではないか、このような経営状態の中にあって、決して輸送の面に、志免鉱業所を保有することによって、決して輸送の面に迷惑をかけておらぬではないか、むしろ国鉄にとってはプラスな面ではないか。しかも、そこに働くところの三千有余の職員がこぞって国鉄の職場ということを希望しておるし、それをすみやかにきめていただくことの方が、これは不安がなくなって、事故のようなものも未然に防いでいけるのじゃないか、こういう議論総裁にやってきたわけですね。ところが、それに向っては総裁の方は、調査委員会結論が出るまでは、われわれの方はイエスともノーともそれはできないのだと、こう言って、反面、ほおかぶりしてきた。ところが、ここへ来て、いよいよ調査委員会結論が出てきたので、いよいよ国鉄は本格的になってきて、きょう初めて所信表明を総裁はなさったのだが、それがはるか前に所信表明がなされていいはずだ。ところが、今日まで大事をとられ、大事をとられて今日まで来られたのだが、今日所信を御露披願ったんで、私どもよくわかりましたが、しかし、その中において、まだ一段と、行政管理庁勧告なり経営調査委員会答申というものは、私は一年後、二年後の先まで見通してあの勧告が出ていたようにはどうしても思えない。どうしても思えない。というのはですよ、志免鉱業所はどうしても赤字は克服できないのだときめつけている。非経済的な事業体であると、こうきめつけている。であるから、これは民間に切り離すべきだ、しかし、困難が伴うならば合理化でいきなさいという、最後の方に重点が置かれて私は勧告なり答申がなされていると思うのです。ところが、その前段の項目にのみ重点を置いて今日まで仕事をやってこられたという国鉄の真意が、どうしても私には解しかねるのですが、この点については、それはいろいろ事情があると思いまするが、もっと調査委員会結論を私ども検討さしていただいて、その上で正確なる判断を下したいと思いまするけれども、今日までの経緯をたどっていけば、これは私は単なる反対のために総裁にものを申しておるのじゃなくて、実際に志免鉱業所というものがどうあるべきか、将来どういったら全従業員なり国鉄のためになるのだと、こういう私は結論を導き出したいがゆえにこのような御質問を申し上げるわけですが、行政管理庁勧告ですね、これは今日の状態では一応訂正してもらわなければならぬ、あるいは国鉄経営調査委員会の見通しが、あまりにも何といいまするか、先を十分見ての私は答申ではなかったというように思っておりますので、どうか一つ、今回は特別にまだ中間報告でもありますし、調査委員会に対しましては十分に一つ検討を願って、最終的結論は中間報告が出たから、それでもうそれ以上は負けられないのだという見解でなしに、もっと掘り下げて十分検討していただくように、行政管理庁なり、あるいは経営調査会の方から出たような結論でない、国民全体が信頼し得る結論であり、しかも、国会の場を通じて国民に堂々とその結論が伝えてあやまちのないものにしていただくように、総裁においてもまあ努力を願いたいと思います。もう時間でございますから、私これで総裁に対しての結論を終りたいと思いますが、最後に、心境の一端を御披露願っておきたい。
  21. 十河信二

    説明員十河信二君) 行政管理庁勧告を金科玉条にしておるというお言葉ですが、行政管理庁自身も、国鉄合理化をやって相当成績を上げておるということを行政管理庁自身認めておることであります。炭鉱の赤字だ、黒字だというようなことは、もちろん一年こっきりの成績でもって云々すべきではないということは、これはもう申すまでもないのであります。私どもは、ただ赤字だ黒字だと、ことしはこんなに赤字になったからどうしよう、ことしは黒字になったからどうしようという、その一年々々の赤字、黒字によって方針を決定しようというものではないのであります。もし炭鉱業界の状況が、以前のように国鉄本来の輸送業務を遂行するに当って運転用炭確保も困難であるというふうな事情があれば、もちろん私は本来の業務に尽すと同様の努力をこの志免炭鉱経営に尽すべきだと思うのであります。本来の業務すら手が行き届きかねておるのでありますから、なるべくそういうものは専門の方々にお願いして、私どもは私どもの最もまあなれておる仕事の方に専念するようにしたいというのが私どもの考えであります。その考えと行政管理庁経営調査会のいう、本来の目的に不可欠のもの以外は切り離したらどうかという意見がたまたま一致しておったということであります。もちろん今後といえどもわれわれはでき得る限り検討をいたしますが、大体において、私ども炭鉱に対するのみならず、電力に対しましても、動力の近代化をするに当って電力会社の社長さん方にお集まりを願って、われわれはもちはもち屋にまかせたいのだ、だから、どうか今後良質の電気を低廉豊富に供給してもらいたい、そうすればわれわれは自家発電ということはできるだけ避けたい、こういうことで、たとえば秋葉の発電計画のごときもこれを中部電力に移譲いたしたような次第であります。ただ東京方面は需要が非常に旺盛でありますので、国鉄のピークの需要を十分に供給することは困難なことなので、まあしばらく待ってくれということでありまして、やむを得ず東京付近の発電は国鉄がみずから経営いたさざるを得ないというふうな状態にあるのであります。この点は電力に対しても炭鉱に対しても同じ態度で進んでおるのであります。そういう次第でございますから、どうぞその点を御了承願いたいと存じます。
  22. 大和与一

    委員長大和与一君) ちょっと速記やめて。   〔速記中止〕
  23. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記を始めて。
  24. 相澤重明

    ○相澤重明君 委員長、私今の問題大事なことだと思う。総裁が今、関係業務機関については、できるだけもちはもち屋という立場からして切り離していく、たとえば、炭鉱の問題と電力の問題を今あなたがあげられたと思うんです。それで、国鉄については旅客貨物の輸送を中心にしていくという考え方が基本方針として述べられたと思う。これは非常に重要な問題だと思うんですよ。いわゆる日本の基礎産業ともいわれるべき問題を、あなたが国鉄総裁立場で、電力なり動力なり石炭鉱業なんかの問題をあなたがそういうような考え方でもって臨まれるということは、これはもう非常に重要な問題だ、これは。あなたの能力以外のことを今あなたが発言をしているんだよ。いわゆる政府なり国会なりの重要な産業の構造の問題とか、そういう基礎産業の問題のあり方についてあなたの能力の問題じゃないんだ、それは。そんなことを聞いているんじゃないんだ、われわれは。少し総裁、頭がおかしくなっているのじゃないか。そういうことを考えて答申をやったこと自体が、一体、最初から、さっき柴谷委員が言ったように、答申をしたことについても、前国会に言ったことと今あなたのさっき答弁されたことは明らかに食い違いがある。これは委員長、きょうは時間がないからいずれあとで議事録を調査をして、そして、これは総裁の言ったことについては責任を問わなくちゃいかぬ、これは。きょうは私は質問する時間がないから言っておきますが、明らかに問題だ、これは。ましてや、日本の産業のどうあるべきかということをわれわれ今聞いているんじゃない。国鉄輸送力について、それの関係のいわゆる志免炭鉱の問題についてはどうかということを聞いているんだ。能力以外のことを、限界以外のことをまるで得意然としてしゃべっておるようなことではけしからぬ、これは。これはきょうは時間がないから言わぬけれども、あとでもって一つやりましょう。委員長、そのことははっきりしといて下さい。
  25. 大和与一

    委員長大和与一君) ただいまの相澤君の御意見は、御質問でなくて御要望ですから、次回までに議事録を調べて、そして次回に総裁に来ていただいたときに引き続き御質問いただく、このようにしたいと存じますが、よろしゅうございますか。
  26. 成田一郎

    ○成田一郎君 一点だけ、時間がありませんから。手続上のことでちょっとお伺いしたいんですが、諮問が三つ出ておりますが、第一回の諮問が四月の七日に、措置をいかにすべきかという諮問が出ておるわけです。それに対する答申が四月の十九日に、分離することが適当であるという答申が出ておるんですが、その答申の出る前の十六日に、経営から分離する時期及び方法はどうきめるべきかという諮問が出ておるんですがね。これはどうも、何か分離することを前提とした諮問が四月の十六日に出て、それを受けて、四月の十九日に調査委員会の方では経営から分離することが適当であるという答申をしているので、ここはどうも少し僕にはよくわからぬのですが、総裁諮問された意図、それだけちょっとあなたの御心境を参考に伺っておきたい。
  27. 十河信二

    説明員十河信二君) これは先刻も吾孫子理事からもありましたように、十六日に口頭で十九日と同様の御答申があったのであります。次の委員会、十九日に書面で答申をするからということでありましたので、次の研究の段取りもあることであろうから、直ちに次の諮問案を出した方がよかろうということで、十六日に第二の諮問案を提出いたしたような次第でございまして、ほかに何ら他意はないのであります。
  28. 成田一郎

    ○成田一郎君 もう一点だけ。大体わかりました。少し第二の諮問の出し方が早いというか、そうすると中間報告でないという私は感じを持つわけです。根本的の措置というものはもう口頭で十六日に返事をもらったから、それで総裁は了承したと、よって次の段階の諮問を出した、こういうふうになると、根本方針は十六日にきまっちまって総裁はそれを了承されたと、こういうふうに受け取れるんですが、どうでしょうかな、その点は。
  29. 十河信二

    説明員十河信二君) それは、先刻青山委員長からもお話のありましたように、委員皆さん意見が一致しているのです。それで、もう変ることはないと思うが、今後いろいろな問題を検討していく過程において、そういうことを早く知らしておく方がよかろうということで、そのために、外に発表しないようにという御念の入った御注意までいただいてそうしてそういう答申をいただいた。その答申に対して第二の諮問案を提出したような次第であります。
  30. 成田一郎

    ○成田一郎君 今の問題、それじゃ、きょうはこの程度にしておきます。
  31. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も時間がないから、一点だけお伺いしておきたい。私はそういう点でしろうとだから、これは特にいろいろな点を話してもらいたいと思うのですが、第一この志免炭鉱の占める、全体の国鉄の購入炭の炭価を決定する上での一つの意味を持っておるのじゃないか。つまり、国鉄が直接経営をやっておることによって——その十倍くらいの炭を買っていると思うのですが、炭価を決定するとき、とかく従来国鉄の炭価については問題が巷間言われておる。疑惑も持たれておる。そういう中で、直接経営しているということは、このような炭価を話し合うときに、経験としては非常に貴重なものになるのじゃないか。そういうような意味というものはこれはないのですか、全然。志免炭鉱を直営しているそのことによって、膨大な炭を買うそういうときのいろいろな資料になり、そういう点で参考になる。ことに、今聞きますと、国鉄総裁並びに参考人の話によりますというと、経営内容はそれほど影響ない炭鉱が、能率も、それほど第一級というようなところの炭鉱じゃない。そういう所で、しかも、最近は三億からの黒字を上げておる。そういう炭鉱を持っていることによって、炭価全般を決定する上において一つの重要な資料自分自身経営の中から引き出すことができる。そういう点での意味が一体考えられておるのかどうか、そういう点はどういうふうになっておるか。この点、一点お伺いしておきたい。
  32. 十河信二

    説明員十河信二君) 今のお話のよような点では、有利な場合ももちろんあるのでありますが、しかしながら、一般の炭鉱とコストを同じベースで計算してみないとわからないのであります。たとえば、鉱害の問題あるいは償却の問題、いろいろな問題で、一般の炭鉱ベースを同じようにしてみないと、志免炭鉱はコストはこれだけだからほかの炭鉱もこれでいいじゃないかということは言えない場合もあるのであります。それに、たとえば、莫大な鉱害がまだ未払の鉱害が残っているということになれば、それを計算に入れると、相当またコストも上ってくるというふうなことに相なるのでありますから、そういうものの入っていないコストで値段を云々することは必ずしも正確には言えないんじゃないかという点もありますので、それゆえに、私どもはむしろこの際、切り離す方がいい面と悪い面とある、利益の方が多いじゃないかというふうに考えておる次第であります。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 総裁お話結論が必ず出てくるようなんで、切り離した方がいい、こういう先入見に立たれているようなんですが、私のお聞きしたいのは、つまり全体の炭価というものは非常に重要な、国鉄経営の中では大きなウエートを占めるわけですね。それを決定するとき、適正な炭価を決定するということは、国鉄経営の、ことにまあ現在でもまた赤字が予想されておる態勢の中で非常に重要です。いずれも国鉄経営を論じられるときに一つの大きな問題を提供しておる。そういうときに直接経営しておる炭鉱、今、言ったようないろいろな問題がありましょう。いろいろこれについて志免炭鉱の持っている特殊な問題ありましょう。しかし、そういうものを全部やはり私は科学的に検討して、そういうものから自分たちの経験を引き出して、そうして炭鉱の大きな、いわゆる独占資本といわれている相手に対抗する点では、私は非常に貴重なものを持っておるのではないか、一体こういう点は今までそういうふうに運用されておったのかどうか、この点非常に私は重要だというふうに思うのですが、そういうものを持たないで、さて今度は全然そういうあれもなくなってきた、炭価の折衝が始まる、そういうときに、やはり何といいましても独占企業の力が非常に強い、そういうふうなことで、こちらの方として何といっても自分自身の体系、そういうものからいろいろな科学的に検討した資料によって対抗するというようなことで、炭価を幾分でも安くするということは、単に国鉄経営の問題だけじゃなくて、これは国民に対してそれだけ奉仕をする、そういう意味の公企業としての立場から考えて、私は志免炭鉱の意味というものはあったんじゃないか、私どもの考えですが、そういう点はどうですか。全然そういう点認められておらなかったのかどうか。先ほどちょっとそういうところ全然ないというわけでもないというお話ですが、積極的に考えるか、消極的に考えるか、すでに先入見をもって切り離した方がいいという前提の上に立って考えられる場合と、今、言ったように重大な炭価決定の一つの大きな要因として、そういうものがやはりあった方がいいという立場に立って考える場合では、非常に違ってくると思うのでありますが、そういう点からお聞きしているのです。この点はどうですか。十分に検討されているのか、そのような資料があるのか、少くともわれわれを科学的に納得させるに足るところの資料があるのかどうか。
  34. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  35. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記始めて。
  36. 平出彬

    説明員(平出彬君) 今のお尋ねでございますが、先ほど総裁からの御答弁にありましたように、全く持っていたことが意義がなかったというわけでございませんで、何年間でもやったことはやっただけのわれわれの勉強の種にはなったと思います。しかしながら、やはり志免の一団を見ましても、年によって非常に変ってくる、それから各山の条件は非常に違うのでございます。これでもって主要な炭価決定の材料にするということは、なかなか私どもとして実際上取り扱いかねているわけでございまして、これがあるなしによって炭価決定が非常に困るというような事態には私ども考えておらぬのでございます。その点御了解を……。
  37. 柴谷要

    ○柴谷要君 資材局長がこまかい数字を知っておると思うから私お尋ねしたいと思うのですが、志免炭鉱出炭の問題に関連をして、購入炭の炭価の割り出しをやっておるのは当然なことなんですね。ところが、ここにおかしなことが出ているのです。というのは、購入炭の炭価が、三十二年度はトン当り四千六百八十三円になっている。ところが、志免炭鉱一トン当りの炭価の計算はどこから出しておるかというと、四千百七十四円、ここにもうすでに五百円の開きがある。そのくらい志免炭鉱石炭一トンに対しては五百円以下の安い値を見積って計算をして三億からの黒字なんです。しからば、これを購入炭の四千六百八十三円の炭価を見積ったら幾ら黒字が出てくるか、この点は一つ材局長、この炭価の割り出しについて一つ納得のいくような説明をしていただきたい。
  38. 平出彬

    説明員(平出彬君) ただいまの炭価の割り出しは、国家予算上志免の炭鉱勘定における収入の炭価である、こういうことだろうと思う。これはおっしゃる通りの数字でございますが、私どもが今経営上いろいろ三億とかいう数字を出しております場合の計数は、毎度申し上げておるのですが、大手炭鉱から買っております同じ銘柄の炭価を基礎にして計算しておるのでございまして、従いまして、国家予算におきます先ほどの炭価と申しますのは、これは炭鉱勘定の収支を合せる意味で支出を出炭量で割るとこういう数字が出てくる、こういうふうな数字でございまして、私ども経営で云々しておる場合、三億黒字とか云々とか言っておる場合の炭価とは、この数字でも明らかでありますように、大手の購入炭価を基礎としておるものでございまして、全然特別に志免の炭価を安くしておるということはないのであります。
  39. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  40. 大和与一

    委員長大和与一君) 速記つけて。  この十九日の総裁あての答申ですね、これは私はどうも第三者に対抗する力が弱いと思う。なぜかと申しますと、最終決定じゃない中間報告を当然なし得る。分科会を持っておるといっても、価格の問題とか、いろいろ重要な問題を別にして、ただ切り離すといっても、調査会の権威ある答申かどうか非常に疑問がある。しかも、鉱害対策ということになると、各分科会は全然取り上げていないらしい、私の聞いておるところによると。そういうものを根本的に検討して最重要の価格の問題、あるいはこれから幾らくらい炭が取れるのかということを含めて当然話がなければ、こういう結論は出ないと思いますが、その辺はどういうふうに御審議されたのか、お示し願いたい。
  41. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) ただいまの委員長の御質問にお答えいたします。この十六日に口頭で申し上げ、書類書きが十九日と三日おくれておるということは、大へん皆さんの御疑問の種になっておるようでございますが、私どもは、先ほど申し上げました通り、最初取り組みましたのは根本方針でございまして、それであと二号、三号の御諮問があろうということは、初めから何も承わっておりません。それで結局、第一号はやはり根本になる問題であります。それでまた第一番にお出しになったのだろうと思いまして、先ほど申しました通り委員の連中いろいろな角度からこれを検討して、十六日の委員会には事前にわれわれ委員だけ集まって、御答申を一応口頭でいたそうと思うがどうだろう、そうしたらよかろうということで、委員の中の意見は全部まとまりましたので、それで二号あるいは三号の御諮問があればそれをあとでいただくということが順序であるかとも思いますけれども、ともかく、そこまで意見がまとまっておりますので、便宜上、口頭で申し上げ、やはりこれはあとに残ることだから書類で申し上げた。やはり第一号は全体を通じての根本方針であります。これが先にいってひっくり返るとか、変るとかいうことであれば委員会としても申しわけないことと思いまして、それでもうこれで大丈夫かなと言っておったのであります。この点は分科会でも絶えず中間の答申を私は聞いておるのであります。もう答申されて大体間違いないだろうと思うがということで、十九日に一応ああいう形式の書類を差し上げました。ところで、第二の御諮問を受けてみますと、今度は譲渡という字が出て参るのであります。そうなりますと、これはまさに答申の一歩前進したことになるのであります。その譲渡となりますと、御承知のように価格の問題あるいは、ことに炭鉱の評価の問題、また、ただいままでにお話も出ております鉱害の補償の問題、こういう問題がみな出てこなければ結論になりませんので、そういう線が、一応中心線が出ました上で、それらのことは分科会——これは時間がかかると思います。ことに鉱害の補償問題になりますと、長年のことであり、地元の皆さんのお考えも聞かなければならず、国鉄側のお考えも聞かなければならずということで、私どもは鉱害賠償の問題には十分慎重を期したい。また評価の問題にいたしましても、これはすぐ机上できまる問題でもございませんので、やはりそういうことは委員全部がそれぞれ専門の方を加えて、分科会で慎重審議していこうというつもりを今持っておるのであります。ただ最初の線は、これは十九日に正式に書類で申し上げたところで、私どもはそう変りはないと今も確信しておりますが、この国会前にもそういう連絡があり、ちょうど国会をお開きになることだし、そこでお話になっても、もうこれであやまちましたということはなかろうということを確信いたしましたので、そういう御連絡をいたしておるのであります。今の鉱害その他の問題につきましては、これから慎重にさらにその内容を詰めていきたい、そういうふうに考えております。ただ、そこに三日のズレがあったことが、事務的にも私遺憾だと思いますが、実質的には十六日に話を申し上げておりますので、たまたま書類が三日おくれておりますけれども、その辺はただいまおっしゃったような処置をされ、私たちも受けた次第であります。
  42. 大和与一

    委員長大和与一君) その問題でもう一つ国鉄からいえば、総裁意見によると、これはもう必ず譲るのだからこれはせっついてくるのは当りまえだ、経営委員会合理化をもっと促進してくれと言っているのですから、これもその方法であるかもしれない。そこで、調査委員会がほんとうに権威のあるものならば——そういうところに圧迫された格好で、そうしてややあわてて結論を出すという傾向が出ているのじゃないかという感じがするわけですが、ですから私たちは、どうも分科会のほんとうの結論が出ていないと思うのですね。それを中間報告をして、何もあわてて、回数を多くやったらいいというわけじゃない、中身が深いのだから。回数をやったから、おざなりにできたというのではなくして、最も根本的に大事な問題は、おのおのの分科会の動きを見ながら、ここで中間報告を出せるという形にお考えになった。ところが一番大事な、なぜそうなったかという焦点をおっしゃっていない。あなた一つも言っていない。そうすると、それだけのことを、自分らは見通しを持った中間報告を出して、あとは政治的に、あるいは事務的にどう困難が起って、紛争が起っても調査委員会の知ったことではない、悪い言葉でいえば、そういうことになりますか。
  43. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答与え申し上げます。私ども委員会発足当時から、それぞれ委員は、みなさっき申し上げましたように、それぞれの立場で、今まで炭鉱のことなり、あるいは産業のことなり関連をしておる人でありまして、この委員会が発足するまでにそういう方々がどういうお考えがあったか存じませんが、委員会として顔を合せましてからの話は、みな非常に委員会独自の立場、また委員会の権威をもってこれを処理したいという気持は今日変っておりません。そこで、国鉄の方からどういうような御希望がありましても、場合によったら、これはたまたま意見が一致しておりますが、これがもし委員会が反対の意見を出したらどうなっておるだろうと思うのですが、委員会意見はそういうことをしんしゃくなしに私どもできめましたことで、それは皆さんのお感じは、私ども答申をどうお思いになるかわかりませんが、私ども志免鉱業所の将来、さきに申しました糟屋地区の炭田の開発ということから、これが最良の策であるということを委員会立場結論したことには何も変りはないし、そのままの姿で申し上げておるのであります。また私、一人二人の意見の違いはあるんじゃないかと思いましたが、この問題で第一段階のところに関する限り、だれも私に反対したものもございません。最初は黙って実情を伺っておりましたが、四回目、三回の終りころから四回にかかります時分には、もうここまでまとまってきているのだから口頭で答申を一応してもいいのじゃないかと、こういうことを私ずっと言われましたので、それじゃ、そういうことであれば、もう狂いがないということであれば、私は委員長として御答申をしようということを決心いたしました。
  44. 江藤智

    ○江藤智君 青山参考人にお伺いをしたいのでございますが、今の志免鉱業所をどうするかということは、これはもう非常に根本問題でございます。非常に慎重に審議をなすったという先ほどからのお話なんですが、もう少し内容についてお伺いをしたいと思う。ということは、この議事録で拝見いたしますと、第一回の委員会におきましては、非常にまあ委員会が初めてできたときでございましてそう内容的にお入りになったとは考えられない。第二回に、それじゃその根本問題についてどうするかということで分科会を作ったわけですね。で、今度第三回目にすでに分科会の中間報告が出ているわけですね。ですからして、ここで根本問題について慎重審議なすった時間というものは、これは時間にはとらわれませんが、この記録から見ますと、一日でございますね。ですから、私の承わりたいのは、もうこの問題を国鉄が持っておるということは、非常に技術的に、あるいはあらゆる面から見て不利なんだ、民営に移すのがいいのだということはもう非常に明らかな問題なんだ、みな全会一致で、しかも、一日ぐらいできまったのだから、そういうことならもう少しその内容としまして、民営にしたならばこういう利益があるのだ、国鉄が持っておったのじゃ、もう先の見通しが全然ないのだ、非常にはっきりしたこれは結論がそこにあるのじゃないかと思うのであります。私はそこで一つ検討になった内容につきまして、もう少し分科会などの空気なり、その理由について、一つお話を願いたいと思います。
  45. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。委員会は今、お話通り第一回は七日であり、その後二回、三回と重ねまして、その後十六日の四回の委員会に一応の基本線、根本方針の基本線が立てられたということであります。これは相違ございません、その通りであります。それで、日はさようでありますが、この中には実は現在九州仕事をしている者もおりまして、それで委員の二人が九州におるのでございますが、その連中が先ほど申しましたように、一人は石炭工業の整備事業団にも関係がございますし、一人は鉱害の問題についての責任者であります。そういう連中は、かなり在京をしている間にこの問題を継続して進めてほしいというので、まあ東京におる者もさようでございますが、そういう地方の者などは、かなり夜おそくまで分科会等の審議で苦労したようであります。それで私はこれは根本の問題であり、時間的にも十分お尋ねするところは尋ねて根本方針を立てたいということは終始考えておりました。その第一の、さっき申しました第一の案、つまり国鉄の方で合理化して経営を継続するかということに対して、その内容の項目が十数件ございました。それらについて一々説明を求めまして、なお、さっき申しました鉱区関係は、われわれ多少承知しているところもあります。そういうものもあわせて、ことに私と、きょうは出ておりませんが、田口と申しまする委員がおります。これは炭鉱の直接経営はいたしませんが、長らく鉱山行政をやっております。今の整備事業団の理事長をいたしております非常にその面でも明るい男でありまして、田口君などとも絶えず連絡をとって、どうしようということを話し合いまして、それでさっき申しました第一の案に対する基本となるいろいろな条件を個別に検討いたしまして、それを第一回にいたしまして、それから第二回にも続けていたしましてそれで第三回のころには、大体その問題に関して説明を承わるところは相当内容にわたりましてこまかく検討し得る機会が持たれましたので、私としては決して拙速とは思いませんが、一応ここで御答申申し上げるのは、そう先にいって見込み違いはない、しかも、さっき申しましたように、それぞれの委員がこの問題に関してだれ一人異議を申しませんで、そういう答申をすることに異議ないと皆申しますので、それならば一応こういうことで申し上げようということで、委員会として、時間的にごらんになります上では少し拙速なことをやったんではないか、圧力がかかったんじゃないかと御想像されるかもしれませんが、委員会立場委員長立場としては、できるだけのことを尽したと私は思っております。ただ、それは骨組でございまして、こまかい問題については、分科会その他の機会に肉づけをしていくという次第でございます。
  46. 江藤智

    ○江藤智君 それでは、いずれもっと詳細な委員会報告というものはお出しになるのでございますか。
  47. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答え申し上げます。ただいまごらんの程度のものしか出しておりませんが、これはあくまでも中間でございまして、まだこの程度の理由しか書いてございませんが、これにつきます書類は、最終段階にまでいきましたならば、詳しくわれわれの今までの経過なり意見のあるところを具しまして、御答申申し上げたいと思います。
  48. 江藤智

    ○江藤智君 実はこの志免の鉱業所の移譲問題というものは非常に関心も深いし、また、いろいろ技術的な面も入ってきておりますからして、十分な権威のある調査報告というものについて、われわれとしても非常に期待しておったわけです。ところが、本日この経過を拝見いたしましても、あるいは直接理由を拝聴いたしましても、まだわれわれが納得するような、これは決して内容じゃないということを私は率直に申し上げるわけなんでありまして、本日その内容に入って御質問する時間もないようでございますけれども、いずれ、われわれの納得できるような報告が出るものと存じまして、またそれを期待して私の質問を終ります。
  49. 相澤重明

    ○相澤重明君 参考人にお尋ねしたいのですが、大体四回目の十六日の日に口頭で答申をしたというのですが、その間における現地調査というものはどなたがおいでになって何回くらいやられたのか、それをちょっとお尋ねしたい。
  50. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答え申し上げます。この問題につきまして、基本の方針、これはまことに大事なことで、私どももでき得べくんば委員のそれがしがこの委員会成立後に現地も見たいというので希望もないことはなかったのでございますが、こういう基本方針につきましての資料は、たまたま志免の鉱業所の副長が絶えず出ておられまして、私ども見るよりも、長い経験によってのお話を伺っておりましたので、だから、現地調査委員はいたさないで今日に及んでおりますが、近く機会があれば、いずれ今のような具体的な問題がだんだん出て参りますので、委員のそれがしも現地を拝見する機会を得たいと思います。ただ、こういう問題になる前に見ているものがございますし、私も過去ではございますが、一度炭鉱をおじやましたことはございます。ただ最近は、この委員会発足以来は見ておりません。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 参考人にさらにお尋ねしたいと思うのですが、そうすると、石炭鉱業関係専門家の意見というものが委員会の中では非常に大きな私はウエートを持ったと思うのです。あとの委員の人は現地へは行っておらない、従って、現地ということについては、全然これはまあ無関心、無関心ということじゃないけれども、とにかく実際に知らずして、ただ国鉄十河総裁のいわゆる諮問に対するところの言われたことですね、それと、委員会の中においては石炭鉱業関係のそういう人たちの意見というものによってこの答申というものはまとまったと、こういうふうに理解をしていいかどうか、お尋ねしたいと思うのですが。
  52. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答え申し上げます。今申し上げました通り、この八名の委員委員会成立後は一度も現地へ行っておりません。幸いなるかな、今申しました坪内と天日という二人の委員がおりますが、これは九州に現在おるものでございます。それから田口君も長く九州におりまして、九州事情もよく存じております。それから横浜大学の経済学部部長の黒沢委員は、これは今までこの直接の問題じゃございませんけれども志免鉱業所の問題につきまして今までの経験を持っております。これらはその委員会成立後は行っておりませんけれども、最近までの相当な知識を私は発言によって察知し得ております。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは調査委員会青山委員長が言ったのですから、その通り間違いないと思うのてす。委員のほとんどの人は行っておらないけれども、石炭鉱業関係のある人が特にいろいろ意見を述べられておった、このことは間違いがないと思いますが、そこで、先ほどあなたの説明の中で八坑にしろ縦坑の問題にしろ、将来性ということについては悲観的である、こういうお話があったと思うのですが、この志免の炭鉱を中心とした、いわゆる鉱区の問題について、そういう専門家の人たちからどういう意見が述べられておったか、あるいは他のことについては全然触れておられなかったか、こういう点、一つお尋ねしておきたいと思います。
  54. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) 先ほどちょっと触れましたが、現在志免を中心にいたしました隣接鉱区の問題でございますが、今日の資料にも終りについておりますが、上の方に租鉱を受けている所もございます。それから上層下層について、それぞれ隣接した鉱区を、大体三菱あるいは日本炭業等が隣接相当広い範囲を持っておるわけでありまして、そういう鉱区隣接関係にありますので、私は志免自体のお話関係の方から伺いました。それから三菱また日本炭業(亀山)の方でございます、これらについては直接聞いておりませんが、ちょうど志免の鉱業所の副長として副長が見られるところを承わりまして、こういう複雑な炭層によっての鉱区境界があったり、また地表鉱区が必ずしも地下の鉱区と一致してないという二重三重の関係になっているということでありますので、鉱区としてこれを見ますと、はなはだ不似合いな格好になっている土地や、そういう鉱区境界がこの際もう少しゆるめられ、これが統合されるということになれば、今お話のように総合開発一つのステップになるということは、資料を読みました上でも十分察知し得るのでありまして、ただ、それぞれの鉱業権者鉱区の中にどれだけの石炭があるかということは聞いていませんが、たまたまこれは過去にさかのぼりますが、日本石炭埋蔵量は、不思議と二十年ごとに調査いたしておりまして、最近五、六年かけまして第三回目の調査をいたしました。第二回目は昭和の五、六年ごろであります。が、そのとき第二回の調査、さらに二十年前に第一回の調査をいたしました。それで第一回の調査のときは、よけいなことを申し上げますが、日本石炭は五十年しかないというような結果になっております。その後四十年たっておりますから、もう十年しかないのじゃないかということになってきますけれども、当時は深さは三百メーター、厚さは二メーターぐらいの炭層を計算に入れております。第二回は六百メーターまで下って炭層は一メーター程度まで下って計算に入れたのであります。第三回、今度の調査は、私が実は委員長調査したのでありますが、ただいまの技術から見れば深さは千二百メーター計算に入れてよかろう、厚さも一応まず五十センチメーター、〇・五メーターでありますが、そのくらいまで計算に入れていい。特に北松地区のような所は、これは三十センチ以下でも現在仕事をしておりますので、こういうものは特例として入れようということで計算いたしました。そのときに、この糟屋の地区の埋炭も一応これに含めております。これをどう統合されるかは今後の問題でありますが、しかし、あの付近に存在しておりそうな石炭埋蔵量については、通産省でもそのときの報告で一応わかっていることであります。そういうことでありますから、ある関連の鉱区から見ますと、この程度しか考えられませんが、これをもう少し広い視野で、あの糟屋の炭田を開発するということになれば、私は、少くともこれが中核となって大きな——大きな発展はわかりませんが、現在の状態をある程度維持するということについては、資源的には私は希望を持てるのじゃないか、そんなふうに考えております。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 大へん御高説を拝して、私どもも、日ごろ勉強しておることについてやや明るくなってきたわけです。そこで、今の参考人の御答弁の中に、志免鉱業所の副長が説明をされた、こういうお言葉があったと思います。これは結局、一番身近にこの問題に関係をしておる人であって、非常に心配をしておる人だと私は思うのですが、その人の意見が、やはりこの委員会の中で重要な役割を果したということが言えると思う。そこで、調査委員会というのは、先ほども江藤委員の言われたように、白紙の立場で実際に調査を十分やられ、あるいはまた、理論的にも納得のいく資料を答弁として出されないと、これはもう何か裏に、いわゆる石炭鉱業関係の方々の意見とか、あるいは国鉄が離したいということで、その国鉄意見とか、こういうものによって結論が出たというようなおそれがこれはあるわけですね。そういうふうに誤解をされる。こういうことで、委員長としては、大へん御苦労な話だと思うのですが、私は、やはり江藤委員の言ったように、十分その資料を出していただきたいと思うのです。だれが見ても、なるほどという納得のいく資料を出していただきたいと思うのです。きょうはそういうことで、具体的にそれらの関係者意見というものが実はあるとなおいいと思うのですが、今の参考人意見では、志免炭鉱を中心とした鉱区、あるいは鉱田というものは、非常に総合開発をやれば有望である、こういうことは、私は率直に本委員会として承わったと、こう思うのです。あとは一つ、それらの資料を出していただいて、それからまた一つ委員会で私質問をしていきたいと思います。
  56. 大和与一

    委員長大和与一君) ちょっと質問しますが、さっき調査委員会で切り離すということは満場一致きめたと、これだけは委員長さんが何べんもはっきり言われた。なぜそうなったかということを聞きたいのに、それにはちっとも触れない。江藤委員の聞きたいこともそのことが聞きたい。私の理解としては、実際その切り離しをきめる場合には、たとえば、炭価の問題については十分審議をしているのだが、きょうはペンディングしているのだ、こういう意味に理解しておいていいのか。そうなると、適当な時期に必ず、それはあなたの方で調査し、審議したことを含めて出してこなければならない、いい悪いは別ですよ。それくらいの見識がなければ、きょうは何を聞いたのかわからぬ。それで私の言うのは、中間報告は、これは変更し得るという理論的原則があるのだから、これは断定するのは危ないのじゃないか。ほんとうにみんなに聞いた場合はどうなるか。労働問題に関する権威者もおるはずだ。その人は労働問題については一言も言わない。それは重大問題で、そういうことをもう少し聞いておきたいと思うのです。
  57. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答え申し上げます。私の申し上げることがはなはだ抽象的で、具体性を欠いているという御印象をいただいているようで、はなはだ申しわけないと思います。実は、先ほどちょっと資源関係、技術関係に触れました。そういうことで、現在糟屋地区にある資源、あるいは鉱区関係、これらは、実は副長が説明されましたが、おそらく、あるいはそこには国鉄の首脳の方もおられましたが、私は現場の責任者としては言えるだけのことは腹蔵なく言われたのだ、そういう感じを持ったところもあるのでございます。非常に詳細な話をされました。私はかけ引きがあろうとも思えず、副長もそういう立場で、技術者としての良心もそこに入っておる、また経験も織り込まれた相当責任のある御説明をいただいたと私は思っております。それで、今の委員会の中で、炭鉱関係にも多少とも関連のあったものをずいぶん詳細に中を質問したり、また私どももその結果を自分でメモいたしておりました。なお、これはさっきお話のように、単なる技術あるいは資源だけの問題じゃございません。経営上の問題や、そこに働いておられる労働者の方にも関係する問題であります。そういう件については、委員の中の関係者は、そういうことをまた特に質問されまして、それについては、組合の方から直接私は聞いておらなかったことは確かにありますが、副長を通じて現地の情勢を詳しく承わりました。私としては、まあ、あの委員会として、あるいは委員として、東京で開かれます委員会としては、ほとんど完璧に近いほど内容は聞き得たものと、ただ、現地でみずからの目で見るとか、みずからの耳で聞くということはいたす機会がなかったのでございます。委員会の進行にはそう著しい支障があったとは思っておりませんのであります。
  58. 大和与一

    委員長大和与一君) もう一つ聞きますけれども、やはり中間報告というのは、私は理論的には変り得べきものだ、こういえば変り得ると思う。信念として、調査委員会はそう思うと、こうおっしゃるのですけれども、しかし、中間報告は文字通り中間報告であって結論じゃないんですよ。だから、やはり全体的に十二分に慎重、なお、今後とも御審議をいただきながら、きょうのお話はやはり中間報告である、この確認はよろしゅうございますね。
  59. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) 一応の骨子は先ほど申し上げましたように、これは、今後私は根本的に変るとは考えておりませんけれども、今、お話のように、たとえ第三案の譲渡の線ということで進行するにしましても、さっき総裁お話がありました、いろいろな関連事項が多いのであります。委員会としても、十分手の届く限り内容検討いたしまして、それでやはりこういうからだはできましたが、こういう服装でけっこうだというところまで完璧なものにしたいと思っております。
  60. 相澤重明

    ○相澤重明君 青山参考人に、何か私今お尋ねをするのに、ちょっと奇異な感じを受けるのですが、あなたの、さっきから答弁を聞いておると、基本方針は変らぬと思うとおっしゃる。しかし、私どもが今質問をした中では、いわゆる東京における委員会を、最初に四月七日に委員会の設置をして、みんな集まって、二回目には、分科会を持って、三回目には、その分科会意見というものがある程度出て、四回目には、それが口頭の答申になった、こういうことであった。その中でずっとお話を聞いて参りますと、現地は見ておらないし、また、先ほど大和委員長が言うように、労働問題にしても、あるいはその地域の市町村の財政問題にしても、鉱区全体の問題にしても、総合的な面からは、現地の中ではそれもお聞きになってはおらない。ただ、それの関係うんちくを傾けておるといえば、非常に言葉はやわらかくてきれいであるかもしれないけれども、まあ、どちらかといえば、第三者から見れば、利害関係のある者の、その人たちの言ったことが一番大きな、いわゆるその中におけるウエートを持っておった、こういうふうに、全然ほかは知らないんだ、現地を知ってないんだから、まあ思わざるを得ないような答弁であると思うのですよ。ただしかし、委員会としては、慎重に審議をしようということだけれども、実際としては、現地の模様はそれより知らない、そうして利害関係者がその中においての詳しい説明をして、基本方針というものができた、こういうことになると、現地調査された場合に、その理論的なものが果して正しかったかどうかということについては、私は今日の場合やはりあくまでも中間報告である、こう委員長がおっしゃるものと思っておったのですが、あなたは、基本方針は変らないと思いますが、現地に行っておりません、あるいは関係者意見現地の方では聞いておりません、とこういうことでは、あなたの言っていることはちょっと変に思うのですが、その点はいかがなんですか。
  61. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答えいたします。何か委員会経過がずさんだったというような御印象がおありのように思いますが、委員会の進行の過程におきましては、私は現地は直接見ておらない、また自分でその関係のほかの方の十分意見を聞いておらないというそしりをいただいておるようでありますが、これは決して私どもは等閑に付したのでもなんでもないので、十分その点について委員会の中での審議の過程において私は、ある程度織り込まれている、まああの結論を出すに全く反対の問題はないし、そういう内容のものはほとんど私の耳に入っておらず、委員のどなたも自分で調べられた結果、あるいは委員会に出られた結果、そういうような印象を持っておられないように思っておりますのですが、しかし、念には念を入れることが必要でありますので、きょうの御趣旨は私どもも承わって委員の諸君にもよく伝えます。また、委員会答申そのものについての、中間でなしに、最終の答申については、われわれも、委員も及ぶ限りの努力をしたいと思っております。
  62. 相澤重明

    ○相澤重明君 参考人にお尋ねしたいのですが、利害関係者がその調査委員の中に一緒になっておって、あなたと一緒になっておって、そうしてそれらの人の資料に基き、それらの人の御意見によって委員会のいわゆる第三者的な、ほんとうの中立の立場意見がまとまった、こういうふうに考えるということは、非常にやはり問題が私はあると思うのです。むしろ委員会というのは、あなたのように学者的な立場で、第三者的なほんとうの中立の立場で構成をされて、そうしてむしろそういう業界の方とか、国鉄関係者にはあなた方自身諮問をされる、こういう形ならば、むしろ非常に私は権威があるというふうに思うのですよ。しかし、これはまあ調査委員会の作り方ですから、これは別といたしましても、あなた自身はそういう中において、いろいろ博識多学の方々の中において述べられたのか、あるいは石炭鉱業関係者現地をよく知っておいでになってそういうことを言われたのかというようなことについて、調査委員会の性格といたしまして、そういうふうに関係者が入っておったのがよかったのか、あるいはむしろそういう関係者をあなた方が自主的な立場で呼んで聞いた方がよかったとお思いになるか、この点いかがでしょうか。
  63. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) この委員会の構成は、今お話のように、国鉄でお定めになりまして、私ども顔を合せたわけでありますが、まああるいは委員の構成にも、今お話の御意見を伺いますと、問題はあるのかもしれませんが、私はこの委員会を構成されたメンバー、顔ぶれ、並びにその運営の状態から見ますと、相当多方面の人が、比較的中立といっていいような方が多いのでありまして、大体私などは別に申しませんが、ほかの方々はほとんどどちらにもとらわれないで御発言もあったし、場合によれば、第一号の御諮問の御答申に対して、たまたま国鉄でどうおとりになったか知りませんが、あまり御異論のない御答申をしたのかもしれませんが、中身において、委員はそれぞれの立場でなかなか意見を申しております。だから、その委員会の構成の委員の考えを私が委員長としてまとめるというところにも、ただいままでは大した支障はございませんが、今後なるべくその形で進めたいとは思いますが、今後のなお具体的な問題になりますから、できるだけこの委員会の運営についても、ただいまの御意見を反映して、また国鉄と御相談したいと思います。ただいままではこの委員の構成で、八方に目を向けて進んでこれたと私は思っております。
  64. 相澤重明

    ○相澤重明君 今、委員長が述べられたこと、私も非常に御同情を申し上げるのですが、確かに委員会の構成からいけば・国鉄調査委員会のメンバーに、こういう構成をしたということは、やはり下心があったと思うんですよ。だから、そういうふうな利害関係者を入れておったことは、これは間違いのない事実だと思う。まあその利害関係者を入れても、その人たちが大局的な立場ということで、今、委員長が御説明になったが、非常に御苦労されていると思うのですが、調査委員会そのものについても、これはやはり委員長も後段に言われたように、第三者が見て、ほんとうになるほどという、もっとも納得のいくメンバーであってほしかったと思うのです。しかし、これは今からではね、一応できたことだから仕方がないと思うのですが、こういうことを私どもは実は心配をしておったわけです。あなたが先ほどお話しになったような点で、隣りの鉱区なり、あるいはその付近の鉱山の方々が、国鉄のこれを続けてもらえるならば、まだかなりの埋蔵量というものの見通しがつくのじゃないかというような点を言われているということを、私どもはほのかに聞くのです。しかし、私どももあなたと同じように、現地調査しているわけじゃないのです。そこで、現地のそういうようなことを、石炭鉱業連盟の方々の貴重な意見の中に、私は先ほどの委員長の報告の中にあったように、かなり詳しく述べられているのじゃないか。たとえば埋蔵量というものがどのくらいある、あるいは全体の総合開発をした場合にはどのくらいの埋蔵量があると、こういうようなこともかなり私は詳しく述べられていると思うのですが、そういうことについては、まあ本日もしここで、口頭で答弁するということは大へんだと思いますが、私はやはりできれば資料として提出をしていただきたいと思うのです。もし簡単にお答えいただけるのだったら、一つお答えもしていただきたいと、こう思うのです。
  65. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) なお、さっき私申し落しましたが、現在委員は八名、ここに載っているものでございますが、それぞれの特殊な意味を持ちました分科会の構成につきましては、その分科会の使命に応じまして、適当な方を分科会専門委員として加えていただいて、多くの方に結論を出してもらうということが委員会の運営規程にも出ておりますので、そういう運びを現在やっております。今後必要に応じて分科会が構成されますれば、できるだけ片寄らないで、多くの方の意見が、その分科会答申に加わるように処置をしたいと思います。  それから埋蔵量関係の問題でございますが、ただいまのところ、一番はっきりしているのは、お手元の志免のところの関係でございます。この関連の問題については、これは何かそういう具体的な問題がないと、お前のところには幾らぐらいの石炭があるかと言って聞くわけにも参りません。その土壌の中を調べるわけにはいきません。大体、先ほど申しましたように、一応の見当はついておりますけれども、やはり具体的な必要が起ったときには、それを明らかにしなければならぬのですが、ただある段階において資料が得たいから、お前のところには幾らぐらい石炭があるのかということは、委員会といえどもその資料の提出を要求するわけにはいきません。向うが好意をもって出していただければいいのですが、私どもとして要求はいたしかねます。全体としては今、申し上げましたような意味で、ある程度は承知いたしております。それで大体私は、この埋蔵量の見方でありますが、これもいろいろ根本にさかのぼれば問題があることでございまして、とかく地質学的に調べましたものと、実際採炭いたしますものの見込みは、かなりそこに食い違いがあります。地質学的に見ますと、相当な量がそこに出て参ります。ときによっては天文学的なものが出る、さらにもっと多くの数字が出て参ります。それは、たとえば志免で二百万坪の鉱区があるといたしますと、そこに一尺の厚さの石炭が取れるとすれば、二百万トンと計上いたします。一坪一尺一トンという古いならわしが今日もありまして、一尺で鉱区一坪あれば一トンだ、二百万坪で厚さ一尺は二百万トンとれる。そういう概算はいたします。けれども、これがそういう概算をしても、やはりボーリングをしたり、いろいろ坑内の断層等を調べませぬと、果してその通り行儀よく入っておるかどうか、わからないのであります。だから、確定炭量と申しましても、その中にはまた地表、坑内の事情でそこは掘れないというので、ある程度の安全率も見なければなりません。また、そこの所を掘ろうといたしましても、現在の技術で全部とってくることはできないので、われわれはその八割や九割はとってほしいと思いますけれども、なかなかそこまでも努力が及ばない。ときには七〇%以下しかとれないということもあり得るのであります。だから、実際地質学的とか、あるいは広い視野で考えられますものと採炭の目標となります石炭の量とには、やはり開きがあります。ただそこで、二千万トンあると言われましても、私どもはそれがすぐ稼行の対象になるというふうには受け取れないのであります。だから、場合によって必要があれば、そこの数字が果して採炭技術上確実であるかということが、よしんばその数字を伺っただけで、私どもは実際のところ信頼できないのです。だから、勝手にそこにある比率をかけるわけにもいきませんので、そういう計算でもし結果を見るならば、技術者の良心においてはどういうふうな計算をされたかということまで伴いませんと、単にばく然と千五百万トンあるぞ、二千万トンあるぞと言われましても、それは受け取れません。おまけに、炭質によりましてまたそれぞれ銘柄が違うことでもありますし、志免でもやはりかなり灰分の割合は下って、粉炭に近いようなものもあります。そういうことで、掘ったものも利用する立場からは、灰分の割合も知らなければなりません。そういう意味で、資源の量にしても、またこれを利用する立場にしても、正確な数字をもって計画を立るてとなれば、私どもとしては、そう容易には受け取れないということだけはおくみ取りいただきたいのです。
  66. 相澤重明

    ○相澤重明君 委員長に私はざっくばらんにお尋ねしておるのですが、この調査委員会のメンバーを見て、四人が利害関係者で、それで四人がどちらかというと中立的な立場ですね。石炭鉱業関係が四人、それでもっとざっくばらんに言えば、日本興業銀行取締役、銀行というのは大体石炭のお得意先だ、そうすると学校の先生と言われるあなた方が大体三人ですね。ですから、こういう点からいってもかなり私は、利害関係者からいろんなこまかい点が出されたと思うのですよ。そこで一つお尋ねしておきたいのは、たとえば、先ほどあなたのお話にあった隣の鉱区の三菱鉱区国鉄志免炭鉱との埋蔵量というようなものも、この利害関係者からおそらくあったと思うのですよ。それで、三菱の方から掘ったらかなりの採算がとれる。国鉄の方が、今の先ほどあなたのお話のように、国鉄鉱区からいけばいけないかもしれないけれども、三菱からいけばいいのだ。これはかなりもうかる。こういうようなざっくばらんな話があったと思うのですが、そういう点はなかったでしょうか。
  67. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) あまり具体的には参りませんが、きょうの資料にもついております隣接鉱区状態について、ある程度私ども委員参考になるような話はございました。
  68. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。大体調査会は公的なものだと思うのです。特に問題の焦点になったものですから……。従ってこの経営のために私はお聞きしたいのですが、何か議事録と言わないまでも、記録のようなものは残されているのですか、その点はどうですか。
  69. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) 委員会経過につきましては、はなはだ簡単な要約はついておりますが、議事録というほどの——何か関係資料は拝見いたしましたが、詳細なあとに残る議事録は私はいただいておりません。
  70. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのとき何ですか、調査会に書記は設けなかったわけですか。それは国鉄が主催したのでしょう。国鉄の方では、おそらく運営についてはステーション・ホテルあたりでやられたのですから、一切万端のお世話はやられたと思いますが、どうなんですか。そのとき、やはり要点をとっておかないと、われわれは困るのです。こういう一つ結論を出されても、こういうものじゃまずい。要するに議事録までいかなくても、国会の速記のようなものはとても望んでも得られないと思いますが、しかしとにかく要点だけは、だれがどういう発言をし、どういうことが論議されて、その中で何が焦点になって、それが話し合いでどういう結論になったかという経過を、私たちは聞かせていただくのが一番実は資料として重要なのです。私自身がこれを検討する上に必要なのです。それからさらに万人に納得させることが絶対必要です。こういう点で、やはり権威のあるものを形の上でも整備される必要があるのですが、これはどういうふうになっているのですか、委員長さんにお伺いいたします。
  71. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答えいたします。委員会経過につきましては、私は特に委員長立場にありますし、忘れることもありますので、メモをつけないといけませんので、自分で重要なものはメモをしておったのでございます。けれども委員会経過の間では、委員だけが寄って話したとか、御一緒に話したとか、いろいろの形式がある。それで、全部は国鉄の方でメモはしておられませんでしょうが、けれども委員会経過は、きょうここに発表のございました程度のメモは国鉄でおありかもしれませんが、私はそれを別にきょう提出してほしいというようなことはいたしませんでした。
  72. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは国鉄の方に伺います。これはどういうふうになっておりますか。これについて、結論までいくまでのいろいろな記録をとられたかどうか、その点を伺います。
  73. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) この委員会全体の御審議の過程につきましては、今青山委員長が申されましたように、委員の先生方だけでおやりになったときもございます。国鉄関係者が出ておらないときもございます。しかし、大多数の場合は、国鉄関係者がだれか出ております。それでそのときどきによりまして、議事の概要を整理したということもございます。場合によっては速記をとるというようなこともしたこともございますが、将来に備えまして、できるだけ議事の概要は整理はいたしております。
  74. 岩間正男

    ○岩間正男君 少くとも当委員会の審議の中で一番焦点になった、これは国鉄経営から切り離すべきだ、こういう結論に達するまでいろいろ論議があったと思うのです。いろいろの方から発言され、資料が提出され、それについて話し合いがされたと思います。その大体議事録みたいなものができて、それに委員があとで署名されて、そういうものが提出されて、公的の性格を持ったやはり権威のあるものとして出されるということによって、非常に私たちは違うと思うのです。そういうものを整えられる可能性はありますか。今から何ですが、実は詳細な国会の速記録みたいのはほしいとは思いませんが、少くともさっき問題になったようなことについては、これは出していただけませんか。
  75. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) 私どもは、実は形の上で申し上げますと、総裁答申すべき義務があるわけでありますが、国鉄の方で幹事役をしておりますので、きょうの御趣旨国鉄の方も聞いておりますので、私はなるべく善処してほしいと希望いたします。どこまでさかのぼって、速記のないものをまとめるわけにもいきません。実際上できないこともあるかもしれません。できる限りのことは国鉄の方で御要望にこたえることができていただければけっこうと思いますが、過去に今のようなことで、こまかい記録をとっていないのを作るわけにもいきませんから、善処していただければけっこうだと思います。
  76. 岩間正男

    ○岩間正男君 今、委員長さんから、そういう国鉄に対する要望があったのですが、これは私たちの要望でもあるわけですから、これについて要点のところだけでいいのです。そんなにこまかい部厚いものをほしいというわけじゃありません。少くとも調査委員会で問題になった、焦点になったものだけについて、やはりこの問題を権威のあるものにするために、私たちはやはりこれを審議し、国民も納得するように正しく切り開くということが重要なんです。しかも、こういう問題というのは、やはり大資本の企業統制の問題なんかで、しかも国鉄のような公企業との問題で、単にこれは志免炭鉱だけの問題じゃない。一つの前例になって、私は非常に重要だと思う。それから、こういうような一つ調査委員会というようなものを作られて、どういうふうに運用さるべきか、少くとも公企業の場合なんかの作られた委員会がどういうふうに運営さるべきかという点については、私は性格づけの検討として非常に重要だと思う。そうでないと、何か先に結論みたいなものを出されて、それを裏づけるような委員会というような印象を与えたら、せっかく委員長さんに苦心していただいたのが水のあわになる。そういう点から私は心配しているからお願いするのですが、ぜひそういう点で努力をしていただきたいと思います。いかがですか。
  77. 大和与一

    委員長大和与一君) 今のは要望でございますからよろしゅうございますね、青山参考人……。
  78. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) はい。
  79. 市川房枝

    ○市川房枝君 参考人にお伺いしたいのですが、国鉄経営しておりました志免炭鉱を切り離して民間に譲渡する、いわゆる払い下げとでも申しましょうか、ということは、国民の側からいいますと、国民の税金で買い入れというか、経営してきた財産を民間に払い下げるということになるわけですが、これはこの問題だけでなく、そういう場合には、実はいろいろなことが行われている、不公正なことが行われているということを国民は心配をしていると思います。今度の国鉄の問題なんですが、国鉄も今までは少くとも国民からある程度非常に信用されておいでになったとは言いかねるようなことも相当あると思いますが、それで今度の問題は、そういう意味から私は、国民に納得のできるようなふうにしていただかないと、またそういう問題が起ってくるのではないかと思います。私はほんとうにしろうとなんで、こまかいことはわかりませんけれども、先ほどからの参考人の御報告あるいは同僚議員からの質問を伺っておりまして、私の感じたことは、あるいは多少失礼にあたることがあるかもしれませんけれども、どうも国鉄さんは志免炭鉱はめんどうだからといいますか、あるいは民間から強い払い下げの要望があるから切って離したい、こういう御意向もあるらしい。これに対して民間の側は、ぜひこれを安く払い下げてもらいたいというような、どうも意向があるらしい。それでまた、とにかく委員会は構成されたのですけれども、その中には直接の利害関係者といいますか、あるいは代弁者の方が相当お入りになっておって、そしてまっ先に譲渡すべしという結論をお出しになったようです。非常に短かい間に何もそんなにお急ぎになる必要もないように伺っておったのですが、あるいは業者でない委員の方たちは現場を一ぺんもごらんにならないでおきめになってしまったということもどうも納得がしかねる。それからその結論が、どうも志免炭鉱は見込みがない、よくないと、こういう結論から譲渡すべし、切り離すべしという結論に達したということ、また事実そうかもしれませんけれども、これも国民の側、疑い深い国民の側から考えますというと、そういうことになります。そこで、今度は譲渡するときの値段を幾らにするかという議論が出ておるようですけれども、きっとこれは安くなるでしょう。そんなに高くはできないことになるわけでありまして、そういう一つの関連といいますか、伏線なんかもそこらにあるのじゃないかしらというような疑いも、実は出てくるわけでありまして、委員長は非常に公正な立場で一生懸命お骨折りいただいておると思うのですが、どうも経過といいますか、先ほどから出ておりました記録、その委員会においてどういう意見が出されておるか、どの委員がどういうふうな意見をおっしゃったのか、必ずしも炭鉱関係者自分たちの利益の点からものをおっしゃっているのでないということが、そういうことで出てくると、私が今申したような失礼な考え方は訂正されるだろうと思うのですが、そういう点で、伺っておって私は非常に不安といいますか、心配といいますか、納得がちょっとできかねるのでありますけれども、これはおそらく国民一般の気持だろうと思うのです。そこで何とかもう少し、また、ときはそんなに国鉄もお急ぎにならないだろうと思うのですが、いろいろな方面から御検討下すって、そして経過なり結論なりを、それをこそもう少し詳しく、ことに一般の国民にわかるように知らせていただけるということを私は特にお願いしたいと思うのでございますが、いかがですか。
  80. 大和与一

    委員長大和与一君) ちょっと関連して。私、調査委員会の任務ということについて聞きたいと思いますが、それは先ほどからの青山参考人の話を聞きますと、何だか大体技術的なことが主であって、あとは事務的なことが従である。しかし近代的感覚というか、社会的な見方が足りない。調査委員会はほんとうに厳正公平にやるのだったら、技術事務内のことだけでなくて、広い視野に立って公平に見なければいかぬですよ。そうなってくるというと、関係市町村の民衆の立場、動き、財政の状態、また、その志免鉱業所に働いている労働者の立場、これなどを十分検討して、今、市川委員が言われたように、これは忌まわしいものは絶対にないように、そういう点は十二分にだめ押しをして、そういうことが明らかにわれわれの前に提示されなければ、記録がなくて何を聞いたことになるのですか。記憶というけれども、記憶と記録はまるで違う。そういうことでは公正にならないので、第三者に、国民大衆に調査委員会として権威ある答申をさなるのだから、これはたれから何と言われてもきぜんとして、そして皆心配しているのだから、だれにでもわかるようにやっていただきたい。だから、今までおっしゃったような視野から、委員長さんとしてももっと検討なり、記録にとれることができるのじゃないか。そういうことを考えられて、きょうのことは中間報告であるから、そういうことは重大な要素であるので、今あなたのおっしゃったように、記録がないというと、ちっとも裏づけになるものがないから、それではやや強行する、やや強圧するような格好国民から受けたりする心配もあるんじゃないかということで、あわせてお尋ねして、御回答をいただきたいと思う。
  81. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) いろいろこの委員会の運営あるいは委員会そのものの構成について御意見、御希望を伺っておりますが、ただいま私どもの方の発足しております志免鉱業所調査委員会は、委員会規程並びにその委員の構成によって進めておるのでありまして、さらにこの問題の処理に対して国鉄としてどういうふうな処置をとられるか、これによっておのずからこの問題がきまると思いますが、私ども託されました諮問機関としての運営については、今お話通り、そこに利益代表で発言してもならず、また学校におる者もあまり時事にうといことを言ってもいかぬから、いろいろな視野から発言し、あるいはほかの人の発言も聞いております。ただいままでのところ、委員の、ことにこういう石炭という色の、名前のついたものも並んでおりますが、これは私は今そういう、たとえば植村委員でありますが、この方は石炭鉱業審議会会長という、石炭の二字はついておりますが、植村さんがどういう色を持っておられるかということは、私は全く白紙の立場で関与していただいておるものと思っております。また、今までの御発言を聞きましても、植村さん初めほかの石炭関係している皆さん発言も、何か利益のあるための、そういう立場からの御発言であったとは思っておりません。だから、ただいままでの委員会の運営の中においては、これに関連する限り、私はそういう懸念を個人的には持っておりませんが、先のあることでもありますので、今後の運営は、私はその意味で、注意いたしたいと思います。なお、今委員長お話の点、これは私ども立場からは直接お答えできないかもしれません。できるだけこの委員会の及ぶ範囲において、十分な処置もし、態度もとりたいと考えております。
  82. 大和与一

    委員長大和与一君) ほかに御質問ございませんか。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 せっかく青山委員長がおいでになっておって、そうしていろいろきょうのこの委員会の、委員意見というものもずいぶん参考に私なったと思うのですよ。それで、ちょっとお尋ねしておきたいのですがね。前に志免炭鉱を払い下げるということが業界の中で非常に叫ばれておったとか、あるいは新聞に出たとか、そういうようなことは委員の中からだれも発言がなかったのですか。
  84. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) この委員会発足前の志免鉱業の譲渡に関して、あるいは譲り受けたいという希望に関してお話のあったことは、個人では知った方もあろうと思います。私は実はここにありますような肩書きの仕事もしております。最近は炭鉱その他に参る機会も少いのでありますが、そういう事情については一、二回何か新聞にあったものを私読んだことがございますけれども委員会においてそういうことを正式に議題として話し合ったことは、まだそこまで話が進んでいかない前の段階であったものですから、譲渡ということになっていろいろ具体的になれば、だんだん話が出てくるかもしれませんが、ただ正式の議題として委員会で取り上げたかというと、私どものただいままでのところでは正式には何も出ません。それぞれ皆知識は持っておると思います。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 それでは続いてお尋ねしておきたいのですが、今の参考人お話ですと、この調査委員会が発足してから、別に前の石炭鉱業連盟がどうであったとか、あるいはどこの人が買いたいとか、あるいはまた新聞でどういうことが報じられたかということについても話も出なかった、こういうことであると思うのですよ。これは平清盛でもよろいの上に衣を着ればわからないのだからね。それはそれでいいと思いますがね。志免炭鉱のいわゆる調査委員会について、国鉄当局からこの措置をどうするかという諮問をされる際に、国鉄総裁からいろいろの話があった、しかしこれは、先ほどの総裁お話なり、委員長お話を聞いておるというと、白紙の立場ということで、われわれが聞いておると、どうも白紙の立場でなくて、これを国鉄から切り離すことがいいか悪いかというようなことに実はなっておると思うのですよ。だから、先ほどちょっと総裁の失言したのを、私は総裁が、無能力者が能力のあるようなことを言ったことは実にけしからぬと思う。ということは、日本の産業のことを、質問もしていないことを、電力の編成の問題であるとか、あるいは石炭鉱業の編成の問題であるとか、そういうことを聞いておるのではないのですけれども、そこまで述べておったということから言って、総裁の答弁を聞いておるというと、どうも今までの国鉄の運営の中では、行政管理庁勧告があって、これは直接旅客貨物の輸送ではない、傍系の仕事だ、どちらかといえば重荷の仕事であるから、勧告では、これは、こういうものはなるべくやらない方がいいというようなことであるが、調査委員会第三者の公正な立場で、先生方に何とか結論を出してもらいたい、こういうことで私は話をされたのではないか。こう思うのですがね。その点いかがですか。
  86. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) 先ほど申し上げました通り国鉄総裁自身調査委員会に、いかなる期待を持っておられたか私わかりませんけれども総裁の第一回のときの、きょうのとはだいぶ違いますが、そのときまでの経過お話しになったときの心情は、われわれに非常に熱心におっしゃられたので、総裁がこういうことを思っていらっしゃるなという多少の印象を受けなかったとは言われません。それによって委員会が動いたとか動かぬという問題は別個でございます。関係はございません。なお、さらに方針がだんだん具体的な問題に進みますうちには、やはり譲渡というような線が出れば、結局どこかへ譲渡しなければならぬということは、やがてそうせざるを得ないと思いますが、それに関連して今までは、こういうところが希望しておったとか、こういうところが熱心に希望しておるとか、そういうような話はだんだん今までも漫談的に、ないことはありませんが、今後だんだん具体化していくことにはなると思います。今までそこまでいっておりません。きょうは御質問の要旨が、譲渡の問題、根本に入っているので、その点については、私ども委員会の指針、考え方は、委員会独自でやるということは、これは今申し上げても誤まりないと思います。
  87. 相澤重明

    ○相澤重明君 結局青山さんのお話を聞いておりますと、総裁の当初言われたことと、きょうの答弁とは若干食い違いがあることは事実です。これは参考人も、その点はっきりおっしゃっている。従って、このことについてはあとで、総裁の問題については別の機会にいずれやることとしまして、ただそういう中に、調査委員会は非常に御苦労されたけれども、何といっても利害関係者意見というものがかなり強く出ておったことは、これは今の御説明でよくわかりました。そこで、これからまた、切り離すという一応の基本方針を出したけれども、それは中間報告であって、まだ現地調査されておらないし、関係者意見も聞いておらない、現地の方の。こういう点については、なお委員長としてできるだけやろうということですね。今後もしこの点の諮問をされる場合に、十分そういう点についても考えてやりたいことだと思うのですが、私はむしろ希望として、この点の、譲渡の問題をきめるとか、あるいは価格をどうきめるとかという前に、中間報告として述べたことであるから、一応調査委員会が切り離すかどうかという最終の結論を出す場合、私はその前に、そういうことをやってもらいたいと思うのです。つまり、現地のいわゆる炭鉱調査をされるなり、あるいは総合開発をした場合にはどうなるか、日本の産業界のためにどれだけの利益があるのか、あるいはその中には、これはなるほどもうかるとかもうからぬとか、こういうことにもなると思う。それから、地方自治団体がこの炭鉱を失うことによってどういうふうになるのか、あるいは鉄道の従業員あるいは家族を含めてどうなる、こういうようなことを具体的に、私はやはり最終答申をされる前にやってもらいたいと思うのです。そういうことをやっていただけるかどうか、私はここで終るわけなんですけれども一つ委員長にお尋ねをしておきたいと思うのです。
  88. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) ただいまのお話の中の、一、二私申し添えておきたいのは、総裁関係でありますが、これはきょうの総裁の御所信と第一回の御所信とに違いがある、というのは、あのときはまだ委員会発足当時でありまして、発足後の問題が織り込まれているということの相違でありまして、ほかに——きょうは少し詳細でございます。きょうの御答申の中では、第一回の委員会から今日までの委員会の中間答申等を含めた御説明、御所信があったということでございます。そのほかには私どもの今まで伺っているのと、そう相違があると思いません。  それから、中間答申ということでありますが、この基本的性格については、私どもは正式に総裁に御答申をした今日です。今後は、これに対する肉づけになるような問題を詳細に具体的に調べるということでありまして、それからそういう肉づけ、あるいは今さっき申しました評価の問題とか鉱害の問題とか、そういうことをこまかく調査をいたすということであります。中間答申を申し上げたことは、現状においては今も変りがないということだけは重ねて申し上げておきたいと思います。
  89. 成田一郎

    ○成田一郎君 今のお話の中間報告ということがちょっとよくわからないのですがね、私は。中間報告というのは、あとでそれが変るということがあり得るという意味の中間ですか。それをまず伺っておきたいと思います。
  90. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) お答えいたします。  委員会といたしましては、今後どういうふうな答申を重ねていくかわかりませんが、できるだけ済んだところは逐次答申をしていこう。いよいよ最後に全部がまとまったときには最終の答申を詳細に申し上げよう。だから中間というのはまだどうなるかわからぬ、一ペんこう言っておこうという意味では決してありませんので、そのところまでの結論、その段階までのところをまとめた御答申をしたということであります。これも書類にございますように、答申等も簡単な書き方がしてありますので、最後の段階におきましては、御要望もありましたように、できるだけ裏づけになるような資料を添えて御答申を申し上げる。しかし中間答申で、右になるか左になるかわからぬという中間答申という意味では決してございません。
  91. 成田一郎

    ○成田一郎君 もう一点くどいようですが、伺っておきたいのですが、つまり根本方針として分離するやいなやという問題については中間ですか、最終ですか、それをお伺いしたい。
  92. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) この四月の十九日の中間答申、分離が可なり、分離することが適当であるという御答申は、これは私はあのときの委員の話し合いから一致した意見でもあり、私が責任を持って御答申をしたことでありますので、この線は委員会としては詳細には肉づけはしてありませんけれども、私はこれを変える、これが動くということは今後あろうとは思っておりません。
  93. 成田一郎

    ○成田一郎君 そうすると、これは言葉の争いになりますけれども、中間報告というのは私は当らないのじゃないかと思う。分離することがきまってから、方法とか時期、あるいはもし譲渡するとすれば価格という問題が起ってくるのであって、その基本は、分離するかどうかという基本線がありますわね。その点が大事だとすれば、それに対する中間報告だというふうに言うことは、私は何か言葉のあやのようであるが、少しごまかしと言っては悪いですが、何かあとで動くような気がするのですが、だんだん伺っていると、その点動かないのでしょう、委員会としては。委員会としては、分離することが適当なりとする基本線は中間的ではない、最終ですね。そういうことは、今のお話でわかってきました。そういうことでよろしいわけですね。
  94. 大和与一

    委員長大和与一君) 質問しますが、それはちょっとおかしいですよ。中間報告で分離することだけが最終決定と同じだと、そんなことはあなたが言えた義理じゃないのです。それは中間報告じゃない。分科会は最終結論を持っていないのですよ。切り離したことと、それからその他の問題と、これはみんな関連しているのだ。ペンディングしているのだ。実際生きているのですよ。これがないのに、ただずばりと切り離すことだけをきめたと、こんなことを調査委員会はやったのですか。それは明確にしてくれないと困ります。
  95. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) 第一問は、御承知のように処置をどうするかということで、第二、第三になりますと、その具体的な問題に入っていくわけですが、その方針をきめない以上先に進みようがない。従って、第一号の御答申が出ましたあとで国鉄の御諮問を私どもは解決していこうということで、今まさにその譲渡の方法なりあるいは譲渡の時期なり、そういう問題を検討している現状であります。けれども、これは分離する方法あるいはその時期等は今後のことでありまして、しかも相手のあることであります。それがどういうことに委員会希望しても、あるいは国鉄の方でどうお考えになるか私どもはわかりませんが、私どもの方は、委員会委員会なりに答申はしていきたいと、こういう心がまえで今おります。
  96. 大和与一

    委員長大和与一君) 国鉄のことをあなたはおっしゃるけれども国鉄のことは関係はないですよ。調査委員会は厳正公平なんです。国鉄がどうやるかは勝手だから。しかし、委員会自体がきめる場合に、これは委員会がきめるということは勝手でしょう。中間報告は中間報告です。だから、これはやはり委員長さんは要らぬことを言わないでおかないと、これは重大な問題ですよ。とても収拾できません。
  97. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういうことでしょう。相澤君から質問されたのですが、つまり第一段階の結論に達するには非常に不十分だったと指摘された。私は意見も聞いていない。地域の人たちは何も聞いていない。従って今のあなたのお話では、今の段階において一応の中間のなにを出された、それは不動だということを報告されたのではおかしいと思う。そういう調査はあり得ない。調査は今進行中ですから、これは変る可能性だってあり得る。一応しかし中間的に今ここには、向うの側まで行くとすれば、ここの島までは来た、しかし最後のここの島までは行っていないということは明白だ。というのは、非常にいろいろな条件が満たされていない、不十分だということはあなた御自身の御返答の中で明らかになったことですから、この点はやはり明確にしておかないと、これは混乱がある。そうでないと、今言ったように、決定した線は変らないというようなことで今後調査されたとしても、これは先入観を裏づけするためのそういう調査なんです。そういう調査は意味を持ちません。これは、少くとも科学的な調査の上に立っておる東大の先生の立場としては、そういうことはあり得ないと思う。私らから考えましても、私はしろうとですけれども、だれが考えてもそうだと思う。この点は御確認いただきたいと思います。いかがですか。
  98. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) これは委員会は、私は総裁答申を申しますので、諮問機関としてできている以上、ただ委員会の申し上げたことを総裁がどう御採用になるか、これはわかりません。国鉄の御自身の御判断において委員会の考えをごしんしゃく下さることと思いまするが、ただ委員会ができて、そうして私ども答申申し上げる以上、委員会としては委員会の申し上げたことをできるだけ国鉄の方で、尊重と言うと言い過ぎますが、内容をくんでいただけるような結果になれば、委員の諸君は満足すると思います。しかし、これは国鉄総裁のごそくたんにある。私どもはそれ以上のことはできない。あくまでもこれは総裁に対する中間報告であるということは、おっしゃる通りであります。
  99. 柴谷要

    ○柴谷要君 四月七日に第一諮問があって、十六日に中間報告を受けたというのですが、どうもわずかの期間で、簡単に二十五億からの資材をぱっと民間に払い下げてもいいと、勇気を持って中間報告を出された委員会に対して心からの敬意を表したいと思う。そこで、私は委員長さんに特にお尋ねしたいのですが、どうも委員長さんはこの議事さばき等について非常に御苦労なさったのではないかと思います。というのは、委員会の八名の中で四名ないし五名はほとんど炭鉱業界関係のある人だ、関係のないのは委員長さんに今井先生と黒沢先生の御三名です。委員会の議事の進行状態に、五対三という比率からいえば、委員長さんのお考えは入らないのが当然でしょう。その意味においては、私は委員会がほんとうに結論が早く出たと思うのですが、どうですか。
  100. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) 今までの経過を見ますと、私はその五対三であったか、あるいは三対五であったか知りませんが、そういったような私は運営を自分もしたくありませんし、また委員会もそういうことではなかったということを申し上げていいと思います。
  101. 柴谷要

    ○柴谷要君 だいぶ時間が来たようですから多くお尋ねしませんが、先ほど私が三点に対してお尋ねをいたしましたときに、その通りだという御回答をいただいたんですが、この三点の問題については、委員会とは別な専門家によっていろいろこれを反証するような問題が今後起きてくると思うのですが、そういうような問題が出ましたら、われわれはまあ国会の立場から、そのような問題を委員会の方に御提出いたしたいと思いますが、一つまあ今後しかるべく御検討をいただきたいと思います。  そこで、先の見通しについては、今予断は許さないと思いますが、大体最終結論をお出しになるのはいつごろになりましょうか。予測がつきましたら、その点をお聞かせ願って、私の質問を終りたいと思います。
  102. 青山秀三郎

    参考人青山秀三郎君) いろいろ関連のめんどうな問題も含んでおるのでありますが、さっき総裁お話にも出ましたが、こういう問題がいつまでも。ペンディングになっておるということは、ことに現地に働いている組合の皆さんに対しても、非常に御不安であろうと思いますし、これはやはり潮どきがあろうかと私は思っております。準備が整い結論が出次第、なるべく早くこれを最終結論に入れたいと希望しておりますので、ただいまの目標としては、私は三十三年の十二月、この年以内、おそくとも三十三年度内には結論に入れないといけないのではないかというふうに希望いたしております。
  103. 大和与一

    委員長大和与一君) それでは、本日は、これにて散会します。    午後四時五十二分散会