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参考人(
青山秀三郎君) ただいま
委員長に御紹介いただきました
青山でございます。お許しを得まして上衣をとって申し上げますから、御了承願います。
ただいま
国鉄総裁から
経過その他について詳細な
お話がございましたが、はからずも私
どもは実はこの四月初めから
志免鉱業所の問題について
委員となって、私にも
相談相手になってくれないかということでございました。私はなにでございますが、
委員の
各位の
名簿を見ますと、各界のみなそれぞれ長い
経験と、
うんちくを持たれた方と拝しまして、そういう方のお力をいただけば、何かわれわれの方で
第三者として考えましたことを御
答申できるのじゃないかと、
希望を持って発足いたしました。
委員名簿その他につきましては、ただいまいただきました
資料目次にもございますので御
承知のことと思いますが、4のところに、その
委員の
名簿が載ってございます。こういう
各位であります。中には今まで
炭鉱の行政あるいは
経営、いろいろな面で、ことに
九州地区の問題につきましても、深く今まで
うんちくを持っておられる方もありますが、そういうことで、まあ
一つみんな一諸にやろうやということで、四月の七日と思いますが、
総裁の
諮問機関として発足いたしました。そのときに、お前
委員長をやれということで、これは寝耳に水の
お話でありまして、まことに私も困ったのであります。が、しかし、辞退もならず引き受けて今日に及んでおります。
そこで最初、その七日の日に私
どもに、ここにもございますが、5の
資料にありますが、
諮問をいただきまして、それは
志免鉱業所の
措置をいかにすべきかということでございました。これは
根本に触れる問題であります。その冒頭に当りまして、ただいままでの、その発足までの
経過につきまして
総裁からも
お話を承わりまして、なお、これを議します上には、今申しましたように
現地のことを多少存じておるものもございますけれ
ども、親しく
内容をよく伺いたいということで、
現地からわざわざ出てこられた職員の方にも、われわれのまだわからないこと、新しいことを追加していろいろわれわれの知識を満たしていただいたのであります。この問題は、今
お話がありました
通り、
相当長い期間のことでありますし、私
どもとしても、
委員会として、
第三者として考えます上にもできるだけ慎重を期したい、急いでこれを処すことができないと思っておったのであります。幸い、
委員の諸君も非常に時間を割愛してこれに努めていただきまして、議を続けたこともございますが、なるべく早く一応の見通しを立てたいと私も思いまして、また、承わります
内容についても、ありのままをできるだけ伺いたいということに御注文をいたしまして、
委員会のためには
国鉄の御
当局の方にはいろいろなことを承わりまして、それがわれわれの議事を進行します上にはかなり役立っておると思います。
そこで、まず第一の御
諮問に対しまして、私
どもは現在の
国鉄の
仕事を
合理化して継続することができるであろうかということが第一の問題であります。これで解決すればこれにこしたことはないと私は思っておりまして、さらに、それが不可能であれば
炭鉱を現物出資して何らかの方法で
経営してみようということも考えられる、そういうことがいずれも不可能であれば第三段の譲渡、分離というところにいかざるを得ないということを申しておって、それぞれの案につきまして、ことに第一案につきましては、私
どもはこれは
根本であり、また
関係するところが多いと思いましたので、特に私
ども執拗に
質問もし、御
意見も伺って参ったのであります。そこでまず、私がその
資料なり
お話を伺って非常に不思議に思ったことがございます。それは本日のこの
資料目次、終りについてございますが、この
志免鉱業所が持っておられます
鉱区とその
隣接の
鉱区との
関係であります。図面12、13とついてございますが、後ほどごらんいただければ仕合せだと存じますが、
鉱区というものの私
どもの今まで持っておる概念とは、こういう例がほかにないことはございませんけれ
ども、はなはだ珍しい例でございます。
普通鉱区と考えますれば、
地表である曲線で結んだ多角形をとって、その真下は垂直に下までその
鉱区に属するというふうに私
どもは一般的に考えるのであります。ところが、この場合には、
地表に
志免鉱業所の
鉱区もございますが、下へ入りますと
炭層ごとに、またその
鉱区の
所有が変るというのでありまして、これは
鉱業資源の
開発の上からも、
作業の上からも特異な例だと私は思います。これは
日本にも、わずかではありますが、その例がございます。外国にもその例がございます。激しいのは下に
炭鉱があって上に亜鉛の鉱山がある、しかも、その上は三つの国の国境で押えられておるというような悲しむべき
鉱区の分配されておる
現状が、これはほかにもあることであります。決してないとは申しませんけれ
ども、こういうのは
資源開発の上からは、えて、はなはだ支障の多いことであります。ことに
炭鉱でございますと、
先ほどお話のありましたように、ただ
石炭を掘るというだけでなしに、関連していろいろ排水、運搬、いろいろな問題があります。それをこういうふうな
格好に分割されておったのでは、それぞれが能力を発揮し得ないばかりでなしに、全体の
資源を
開発する上に、非常に国家的にも不利であるということを思っておったのであります。これはどういうことかと、いろいろ
事情をお尋ねいたしましたが、今日になってはどうにもならないということであります。これは
九州全体の
地区に言えることと思いますが、長いこと
採炭を続けておりますと、だんだん
資源は
有限資源でありますからなくなってくる。そうすれば取りやすい所を掘って、あとに残るのはだんだん困難な所になるのは当然であります、しかも、こういうふうな
事情で
境界の所なり、あるいはまた自然の
条件により
断層その他の
関係で妨げられることもあるわけであります。そういうことであれば、これは初めから取るならば、この
地区はどうしたらよかろうかということを考えて
鉱区を設定し、そうして
仕事を始めるのが、これは理想と思います。しかし、今さら申し上げましても過去のことでございますが、自然こういう
状態でこれをまかされた場合に、どういうふうな
格好で
開発していったらよかろうかということで、
国鉄の御
趣旨のあるところもよく伺いました。私
ども、ことに
炭鉱の
資源を見ておりますものとしては、現在の
鉱業権者がどうあろうと、その
地区の限られた、今
お話のあった、必ずしも
日本は
石炭に恵まれていない
——ほかの
資源に比べれば恵まれておりますが、
——この限られた
石炭を完全に採掘使用したいということがわれわれの
希望であります。その意味から、これをどうしたらよかろうかということを、主として
資源の
立場あるいは
技術的立場から皆寄り合っていろいろ話し合いました。時には
国鉄の方と離れまして、われわれ
委員だけでその
方針を研究し合いまして、また、こまかい問題でありますと、時間もかかりますので、
専門の
分科会を設置いたしまして、そこでこの再
検討を加えて参りました。
分科会も幸いそういう
専門の者が
委員の中におったので、
資料等もいただいて
検討したのでありますが、こういう
状態でありますので、ただいまの
国鉄の
鉱区内で
仕事を続けるという
一つの
条件を入れますれば、その先はどうなるであろうかということでありますが、これは計算的にはある
埋蔵量が示されているのでありますが、実際に
仕事をいたしますと、なかなか計算
通りになって参りません。たとえばその場合に、そこに千二百万トンあるということでありましても、実際これを
仕事をいたしました場合には、予想
通りいく例はほとんどないのであります。むしろ減るばかりでありますが、なお、今のような
鉱区の
関係、また天然の
断層等の
関係によって
国鉄の中で合理的に
仕事を進められましても、その先の工合は、私は、ただいまのような五十万トンという生産とか、ただいまの
能率であれば、先ほ
どもお話がありましたように、
九州地区では推奨に値する
能率と思います。こういう十五トン以上の
能率を上げておられる、こういう非常に意欲の旺盛のようなところでありましても、やはり天然
条件等の制約を受け、
鉱区の制限を受けますと、なかなか思うようになって参りません。従って、この先の見込みはどうだろうか、現在はこういう結果でありますが、この先はどうなるだろうかということを
国鉄の方でもお調べになったのでありますが、われわれの方でも
分科会で詳しくこの中身を
検討いたしました。その結果は、むしろわれわれの方がさらに悲観的であります。たとえば、今後五年後の生産にいたしましても、
条件がだんだん困難になり、いかに練達な技術をこれに充てましても天然にはかなわない。やはりわれわれの
仕事には限度があることを見なければなりませんので、こういう意味からも私
どもはむしろ五年後のこのままの
経営形態であり、
作業状態であれば、その見通しはむしろもっと悪いと考えざるを得ないのであります。そういうようなことであれば、これはわれわれはこの
委員会の
立場で
検討いたしますが、捨てちゃおけないという感じを持たざるを得ないのであります。
総裁は声涙ともに下るような熱心な御態度で組合の
皆さんのことを御心配しておられるのでありますが、私は同時に、
資源あるいは
技術的立場からこれはこのまま捨てちゃおけないということを思うのであります。できるだけ早く何らかの
措置を講じてこの
資源を完全に
開発し、また、掘った
石炭を国家的に有効に利用するということをどっかで処置をとらなければ、これは
日本としてはなはだ不利であるということを思わざるを得ないのであります。
結論はさっき申しましたように、
総裁のおっしゃったようなことを第一回の中間
答申として申し上げました。これも私
どもとしては、もう少し積み上げまして実情を明らかにして、第一回の今の中間
答申にもとったことをあとから取り消すわけにいきませんので、できるだけ慎重にこれを考慮していろいろな角度から確認しておきたいということで
答申もいたしましたが、われわれは引き続きいろいろな点でこれを
検討してあやまちのないことを期しております。そういう意味でただいま国会も開かれており、いろいろ御
質問もあろうに、
委員会がいたずらにこれを引きとめ申し上げるというわけにいかぬと思いまして、十分再確認をしたところでこのような御
答申、御説明があったことと思います。そういう意味でありますので、私
どもは主として技術的あるいは
資源的な
立場が考えられるのでありますが、こういうところから、これをこのまま
国鉄が継続して
経営される、このままこの
鉱区の
状態で
経営されることは非常に不安を持っておる、
資源的の
立場から不安を持っておるということを申し上げざるを得ないのであります。
なお、こまかい問題もいろいろあろうと思いますが、一応この程度で私の説明を終りたいと思います。