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高野一夫君 私は、去る六月二十六日の当院の決算
委員会におきまして、この問題を取り上げて、美土路
社長は当時お見えになりませんでしたが、副
社長、業務の
方々、日航の代表者もおいでになって、強い警告をわれわれ
委員会から出しておるのであります。それで、それにつきまして
社長にお伺いいたしたいのでございまするが、今度の、ただいまの美土路
社長のお話を伺いましても、結局、ただ、まことに済まなかったというごあいさつであり、事後
処置をどうする、香典をどうする、弔慰金をどうするというお話であって、
会社として、
社長として、そぞれれの担当責任者からまず資料でもお集めを願っておいでになって、そうして肝心かなめの、どういうわけでこういう
事故が起ったのだか、こういうことについて、
会社側から深く反省をされたごあいさつがなければならぬのではないかと私は思う。そういうことがわれわれ何もきょう聞かされない。後刻技術部の担当者でもおいでにならなければ何もわからぬということになります。なぜ私
どもが決算
委員会で取り上げたかというと、空の神風タクシーと陸の神風タクシーがやかましくなりましたが、まさに全日空の
航行ぶりは空の神風タクシーではないかという疑問を深く持ったのであります。でありますから、今度の事件にいたしましても、私はしろうとですから詳細のことはわからぬけれ
ども、決してこれが不可抗力で起ったなんということは、とうてい考えられない。私
どもからいたしますれば、当然起るべき事態が、不幸にして、ついにやむなく残念ながら起ったのだと、こういう感じを私は強くする。なぜかというと、一、二の例を申し上げますれば、私はよく九州に参りますが、往復を急ぎますから全日空、前の極東、日ペリ、今日の全日空の
飛行機をよく利用さしていただく。たとえば小倉で雨風の強い日に日ペリの
飛行機を待っている。おりない。
飛行場に着陸
誘導装置がない。この責任はどこにあるか、これは知りません。そこで、芦屋の方の
米軍基地に待っていてくれというので、そこまでハイヤーを飛ばしても一時間以上かかります。そこで待っている。そうして日ペリの
飛行機は福岡へ行ってしまう。足をけがした、少し待ってくれというので、
米軍基地へ帰ってきて飛び立つまで、まさに五時間待たされる。それから雨風の中を突っ切って、これがまさに神風タクシーぶりの運航。また、あるときは鹿児島から荒天の日に乗って、よほど私は宮崎でおりようと思ったのですが、日向灘を突っ切っていく。大体プロペラの音が中で聞えるのが常識だと思う。風を突っ切ってプロペラの音が聞えない。風の中にプロベラの音がまざっているのかもしれないけれ
ども、風の音だけがごうごうとして聞える、そういう運航ぶりをやる。そこで、乗務員が操縦室から出てきて、しばしば出たり入ったりするから、何かあるなと私は直感したが、おそらく高知の
飛行場にでも
不時着するのだろうと、こう思っておったところが、夕方でありましたが、雲の間からみさきが見えた。スチュワーデスが足摺岬が見えたからもう大丈夫ですと、こう言うから安心しておったら、あにはからんや、途中から引っ返して大分の岬に出た。それから大分の岬から高松を経由しまして和歌山の北へ出て伊丹へ帰った。またあるときは、これは二十六日の決算
委員会で言いましたが、これも非常な荒天の日でありまして、私は、鹿児島から
羽田まで、おたくの
飛行機でずっと通して乗って参りましたが、われわれしろうとの常識で考えてもどうかと思われるような、富士山の七合目の、しかも北側を通った。そこで、おたくの
会社の代表者に、空路のことを聞いてみますと、
運輸省航空局の
許可のある航路でなければ絶対に通らぬ、富士山の北側を通るなんということはとうてい考えられません、こうはっきり断言なさった。ところが、肝心の質問を申し上げた
委員長の私がちゃんと通っている。そうして非常な失速状態を起しまして、天井に頭をぶっつける、荷物ははね上る、スチュワーデスはぶっ倒れる、外人は通路にほうり出される、そういうことになりまして、その失速
状況が二回続いて起ったならば、おそらく墜落しておっただろうと思います。そこで、
航空機の整備
状況をどういうふうにしておられるかということを聞きますと、日航の方でも、全空輸の方でも
——きょうは全空輸の問題でございますが、全空輸の方でも、万全の整備、検査をやって、何ら欠陥はないと断言しておられる。それならば、操縦士の操縦訓練はどうか、こうお伺いするというと、これまた、万全の操縦訓練をやって、そして何千時間の経験を持った者がどうとか、こういうふうにして、何ら欠くるところがないとおっしゃる。最近、ひんぴんとして外国の
旅客機が墜落する、そういうような材料は、速急に航空局あるいは外務省の手でも通して材料を集めて参考になさっているかというと、どうもこれは材料が一向集まらないので……、こういうお話である。とにかく、今度の問題につきましては、整備、検査について万全であって、欠くるところがない、操縦士の訓練についても、何も欠くるところがない。精神は弛緩してないか、こう聞いても、そういうことは考えられないとおっしゃったけれ
ども、私
どもがいろんな体験上から考えて、ことに、もく星号の事件から数年を経ている今日、乗客が、そのうち何か
事故が起りそうな気がしてならない、こういう不安を、私のみならず、いろんな乗客が持っているので、事件が起ってからじゃ、こういうような
委員会を幾らやったってしようがないから、事件が起らない前に十分御注意を願わなければならぬと思って、六月二十六日においでを願って、強く善処方を
要望した。そこで、その
要望した内容につきましては、精神の弛緩、これも
一つ大いに吟味してもらわなければならぬ、整備、検査もさらに厳重に重ねてもらわなければならぬ、操縦士の訓練についてもしかり、いろいろ警告を発しておきました。これは、美土路
社長も、その当時の
参考人がお帰りになって、協議をされたことと思いますが、当時の決算
委員会が、事前にかような注意を申し上げたことについて、全日空輸としては、いかなるお取り計らい、御相談をなさったのであるか、一応それを伺いたい。