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1958-06-27 第29回国会 衆議院 本会議 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十七日(金曜日)     —————————————  議事日程 第七号   昭和三十三年六月二十七日     午後一時開議  第一 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  肥料審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件  日程第一 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案内閣提出)  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案内閣提出)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)  繭糸価格の安定に関する臨時措置法案内閣提出)     午後三時二十九分開議
  2. 星島二郎

    議長星島二郎君) これより会議を 開きます。      ————◇—————
  3. 星島二郎

    議長星島二郎君) お諮りいたします。内閣から、肥料審議会委員に本院議員足立篤郎君、同重政誠之君、同永井勝次郎君、同三宅正一君及び参議院議員河野謙三君を任命するため、国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出通り決定するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 星島二郎

    議長星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————
  5. 星島二郎

    議長星島二郎君) 日程第一、市町心立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。文教委員長坂田道太君。     〔坂田道太登壇
  6. 坂田道太

    坂田道太君 ただいま議題となりました内閣提出市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その要旨及び文教委員会における審議の経過と結果について申し上げます。  本案要旨は、市町村立の小学校、中学校、盲学校ろう学校及び養護学校教職員通勤手当並びにこれらの学校校長に対する管理職手当都道府県負担とすることであります。  御承知通り国立大学学長学部長等については、これらが管理監督地位にあることにかんがみ、すでに昭和三十一年度から、俸給特別調整額、すなわち、いわゆる管理職手当支給されております。義務教育重要性にかんがみて政府がすでに今年度の予算中に公立義務教育学校校長に対する同様の手当を計上しておることは、各位も御承知通りでありますが、元来、市町村立義務教育学校教職員給与費都道府県負担することに法定せられておりまするから、今回の校長に対する管理職手当につきましても、ひとしく都道府県負担とすることを規定し、他の給与費一般の例にならいまして、その実支出額の二分の一を国が負担することにしようとするものであります。  次に、通勤手当につきましては、これまたすでに御承知通りさき国家公務員一般に対しまして新たに通勤手当支給されることになりましたから、市町村立義務教育学校教職員にも同様の手当支給することとし、他の給与と同様に都道府県負担とし、従って、その半額を国が負担するよう規定しようとするものでございます。  以上が本案要旨であります。  本案は、御承知通り、すでに本会議でも若干の審議が行われたのでありますが、去る六月十九日、当文教委員会に付託され、文部大臣から提案理由説明を聴取した後、直ちに審議に入り、各委員から、本案における管理職手当一般行政職等に対してすでに実施されているいわゆる管理職手当との性格上の異同いかん校長管理職なりやいなや、あるいは、本案における管理職手当支給率七%の当否いかん、あるいはまた、他の教育諸経費と比較して、その緊要度いかん、さらには政治的意図の有無など、細部にわたって熱心な質疑がなされたのでございます。これらにつきまして、文部大臣人事院総裁等から、管理職手当につきまして、第一に、校長教育の現場において管理監督の重大な責務を持っているものであり、本手当支給は当然かつ緊要であること、第二に、本手当支給率は他の公務員に対する管理職手当支給む基準を十分勘案して定めたものであり、第三には、本案は、文教行政上の他の緊要諸問題と同様に、ひとしく緊要なものと認めるものであり、最後に、本案は何ら政治的意図のない点などについて答弁がございました。  さらにまた、本案地方行政との関連について、二十五日地方行政委員会との連合審査を行うなど、慎重に審議されたのでありまして、これらの詳細は速記録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、六月二十六日に至り、堀昌堆君の質疑終了に際し、稻葉修君から、本案に対し質疑打ち切り動議提出せられ、その採決の瞬間、これと前後して辻原弘市君外十名から文教委員長不信任動議提出されたのでございます。遺憾ながら、議場はこれがために一時混乱に陥り、ついに委員会審議は中絶のやむなきに立ち至ったのでございます。しかしながら、幸いに、間もなく、関係者一同の善処によりまして再び審議を続行することができるようになり、理事臼井莊一君委員長を代理し、辻原弘市君外十名提出文教委員長不信任案は、堀昌雄君の趣旨説明の後、採決の結果、起立少数をもって否決となりました。従って不肖私、再び委員長席に着き、さき混乱のため明確を欠いたと思われる稻葉修君からの質疑打ち切り動議を、念のため、あらためて採決に付しました結果、起立多数をもってその動議は可決されました。  次いで、辻原弘市君外三名から、本案に対し、現行給与制度を乱すおそれがある等の理由によって管理職手当に関する規定を削除する旨の修正案提出されました。  本修正案に対する質疑終了後、本案及び修正案を一括して討論に付し、日本社会党を代表して小牧次生君から、修正案賛成修正部分を除く原案賛成討論があり、自由民主党を代表して八木徹雄君から、修正案反対原案賛成討論がありました。  かくて、採決の結果、修正案起立少数をもって否決し、本案起立多数をもって原案通り可決せられました。  以上、御報告を申し上げます。(拍手
  7. 星島二郎

    議長星島二郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。  西村力弥君。     〔西村力弥登壇
  8. 西村力弥

    西村力弥君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案に対して反対の意思を表明しようとするものであります。(拍手)  この法律案は、前国会においても提案され、一応の審議はされたのでありますが、その当時から種々重大な疑惑を持たれていたものであり、それが何ら解明されないまま今日に至っておるのであります。その一つは、校長管理職であるという根処についてであり、他の一つは、給与法上の問題であります。  学校長がいわゆる複雑な仕事を受け持っているということは、これは認めなければなりません。だが、しかし、法規上の管理職であるということと、このことは、厳に区別さるべきものなのであります。文部省当局は、校長管理権について、学校教育法第二十八条にいう監督権を持ち出しておりますが、今日、管理職たるものの管理権校長監督権を混同することは、まことにその常識を疑わざるを得ないのであります。公立学校管理権者現行法のもとにおいては教育委員会であると明示されているのであって、学校教育法第二十八条にいう校長監督権なるものは、教員の行う教育を、職員会議の議を経て調整し、教員に対して指導、助言することを主たる内容とするものであります。  今、普通行政組織法のあり方を見るに、上級下級関係指揮監督となっておるのであります。たとえば、地方教育行政組織汲び運営に関する法律の第二十条には、教育長は、事務局事務を統括し、所属職員指揮監督すると定められておるのであります。しかるに、校長については、所属職員監督するとのみ規定しているのであって指揮監督とは言っていないのでありまするから、学校長の持つ監督権なるものは、即管理権でないことは、明瞭なことなのであります。  次に、給与法上の問題でありまするが、そもそも、昭和二十七年、第十五国会以来、一般職である国家公務員の中で管理監督地位にある者に支給されている管理職手当、すなわち特別調整額は、その法制定当時の記録にも明瞭な通り支給すべき超過勤務手当にかえてこの手当を制定したのであって、本質はあくまでも超過勤務手当なのであります。しかるに、教育公務員に対しては、その職務の実体から、超過勤務の把握が困難であるという理由によって一律一号俸プラスして超過勤務手当支給にかえているのであります。給与法に明示されている、地方公務員給与国家公務員給与に準ずべきものであるという原則は、この処置によって十分に満たされているのであります。今、この原則を破ってこれを上回って校長管理職手当支給するということは、全く異質なものを給与体系の中に持ち込んで、これを混乱せしめることであり、また、特別調整額、すなわち管理職手当制定当時の立法の趣旨を没却し、冒涜することであってこのようなことは厳に慎しむべきであると申さなければなわません。(拍手)しかも、校長職務の困難と責任に対引しては、教育職俸給表一等級に格づけすることによって有利なコースをたどれるようにしてあるのであってこの上に管理職手当支給することは二軍の優遇措置となるのであります。もし、どうしてもこの管理職手当支給するとするならば、一般教員に対しては当然超過勤務手当支給して、給与上の不公平、不均衡を同一の職場から排除すべきであると、われわれは強く要求孝るものであります。(拍手)  以上申し述べました当然の理を無視して、あくまでも、これを強行するならば、すべての報道機関が指摘しているように、校長管理職手当を出すことによって校長組合から離脱させ、それによって組合弱体化をはかり、教育権力支配を系統づけ、強化しようとするきわめて意図的な措置であると断ざるを得ないのであります。(拍手)しかも、現在、一般行政職管理者支給されている手当額は最低二%になっているにかかわらず、わずかに七%の金でもって校長の良心を買おうとする、自民党反動文教政策の中で最も卑劣なやり方と、口をきわめて非難しなければならないのであります。(拍手)  文部当局は、事もなげにも国立高等学校以下の校長に対する管理職手当も本年度からその支給に必要な予算措置がとれたので、公立高等学校以下の校長に対しても同様管理職手当支給されるようにするのだと申しておりまするが、前国会中、校長、教頭の非組合費北法案を出そうとする策動があった事実から、また、最近、警察官を、授業中にもかかわらず、学校内に立ち入らせてまで、権力による弾圧を強化していることからしても、この管理職手当支給することによって直接、間接たるを問わず、校長の非組合員化を促し、校長教育委員会側に引きつけ、権力の欲するままに駆使しようとするものであることは、否定できないことなのであります。これでは、多くの校長が、かえって迷惑を感じ、さらには恥辱をさえ感じているのではないでしょうか。現に、高知県の校長たちを初め、全国校長たちは、管理職手当の返上を申し合せていると伝えられておりまするが、このことは、この間の事情を明らかに物語っていると申さなければなりません。  私は、今、声を大にして政府及び自民党諸君に申し上げたいことは、国民すべてが希望し期待する教育上の重要な問題は、無理を押してまで校長管理職手当支給することでは断じてないということであります。父兄大衆の期待することは、たとえば、すし詰め教室の解消や、科学技術教育飛躍的振興であり、老朽校舎の早急なる改築、屋内体操場の建設、父兄教育費負担の軽減などであり、これらのことに対して政府は今直ちに真剣に取り組むことをこそ、父兄諸君は望んでいるのであります。(拍手)また、過重な勤務実態にあるにかかわらず、劣悪な給与に悩む教職員待遇改善も、今すぐ心すべきことであり、また、極度の低い給与に放置されている学校給食婦の身分の確立と待遇大幅改善などは、今直ちに実現されなければならないことであります。なお、学校長支給する管理職手当の財源をもって、いまだ就職ができずにおる教育学部の卒業生を採用するとしたならば、約一万名もの者に対して希望の職場を与えることができるということは、深く考えなければならないことであります。(拍手)  以上申し述べました通り日本社会党としましては、校長中心として融和一体であるべき学校職場を破壊し、そうしてまた、法的にも無理なこの手当支給を取りやめにして、最も緊要な、全父兄の希望する教育環境の整備にこそ熱意ある政策を打ち出して、全国二千五百万の児童生徒が喜んで日々の授業が受けられるようにすることこそ、今の急務であると思うのであります。  また、本法案中の通勤手当については、われわれの年来の主張が実を結んだものでありますから、当然賛成であります。むしろ、その額を実態に即して引き上げるべきことを主張するものでありますが、校長に対して管理職手当支給しようとする本法案には、日本教育の百年の大計を守るという立場に立って絶対に反対であることを申し上げまして私の討論を終るものであります。(拍手
  9. 星島二郎

    議長星島二郎君) 原田憲君。     〔原田憲登壇
  10. 原田憲

    原田憲君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案に対し賛成討論を展開いたそうとするものであります。(拍手)  本法律案の裏づけたる四億四千万円の予算は、すでに去る第二十八国会において成立をいたしており、これに伴う地方負担措置されております。その間、この問題に対する論議はすでになされておりましたが、国会解散のため、本法律案は日の目を見ずに流れ、いわば、当然前国会において成立しておらなければならなかった法律案であります。  今国会におきましては、ただいま委員長報告にもありました通り、十分な質疑をなして、本日本会議に上程せらるるに及んだものでありまして、私をして忌憚なく言わしむるならば、野党の諸君べ十分にも十分過ぎる質疑の機会を与えたために、採決のときが二、三日もおくれたものであります。その審議の間を通じて明らかなるごとく、学校管理の任にあるところの大学学長学部長等に対しては昭和三十一年度から手当がつけられておる点から見ましても、小・中・高等学校校長に対し、この際管理職手当を付することは、当然なことであると確信するものであります。(拍手)  校長は、学校管理の権利を有する教育委員会より委任を受けて、学校教育法第二十八条により、校務をつかさどり、所属職員監督するものであり、一般教職員職務とは、明らかに別に考えるべきであります。過去においては、学校管理を、当該学校において、だれが責任を負うのかさえ、あやふやな点があり、さような風潮のあるところから、学校内における学童の殺害事件、あるいは頻発する火災事件等も、判然とした管理責任の不明確なところに往々にして起る、まことに憂うべき状態さえなしとしなかったのであります、この法律案成立によりまして、学校管理責任所在がより明らかになり、教育目的達成に資することは、われわれの望むところであります。  また、給与体系上よりして、管理職手当はこれを乱すものであるという反対意見もありますが、現在の給与体系が、生活給より漸次職務給能率給に変りつつあるとき、新しく管理職手当を設けて、すでに学長学部長等に及ぼしておるのは、決してこれを乱るものではなく、進歩と考えるものであり、小・中学校校長にこれを及ぼすのは当然のことであります。(拍手)  また、文教行政上の見地から、ほかになすべき種々の問題がある、たとえば、すし詰め学級の問題とか、理科教育振興とか、給食問題とか、これらの解決をされておらないのに、管理職手当をことさら取り上げることは反対だとの説もありますが、文教行政は、施設、設備の充実だけではございません。それも行政上必要ではありますが、これもまたぜひ必要なのであってそれをやらないからこれは反対だというのは、真の反対理由にはならないと存じます。(拍手)現に、過去において日教組では校長管理職手当の実現をはかりながら、どういう理由によるのか、今では反対しておることは、諸君のうちで知っておる方が相当多いと思うのであります。(拍手)これは、いたずらに反対せんがための反対論であって取り上げる価値のないものであります。  最後に、本法案は、校長一般教員離間策ではないかとか、政府日教組対策法ではないかとの質問がありましたが、それに対して、政府は、さような目的は存じておらない、単に管理職に対する手当をつけるにすぎないと答弁されておる。まさにその通りではありますが、現在の日教組の幹部は、みずからその役員を選挙することもできず、大会において投ぜられた投票を開票できないという前代未聞の醜悪を国民の前にさらし、国民のひんしゅくを買い、心ある教員はすでにあいそをつかしておる状態であります。(拍手)かかる存在はおのずから消えていく運命を持っておるのでありますが、彼らは、教育の場において、現在なお子供を犠牲にしてまで非常識な行動をとっておるのを見ますときに、物事に筋道を通すことによって、教育の場が正常の道に立ち戻ることは望ましいことであり、教育委員会校長一般教員、これかそれぞれ筋道を通して教育に専念し、その職務を果すところに、文教行政の実は上り、子供たちのよき成長が見られるのであり、教職員組合組合本来の仕事に邁進すべし、学校における教職員校長中心児童生徒教育に専念すべし、その点からも、校長存在判然とすべしとの声は、国民大多数の声であります。(拍手文部当局がこの点もっと判然とすべしとさえ考えておる者の多いことを、当局にお伝えするものであります。  次に、通勤手当の問題については、すでに一般公務員については実施済みのことであり、これとの均衡を考慮するとき、何ら多言を要せず、きわめて当然な規定であると考えます。一日もすみやかに本法律案成立せしめ、他の一般公務員並みに本年四月一日まで遡及せしめることは、当然かつ緊急なことであると確信いたします。  これを要するに、私は自由民主党を代表してわが国教育振興のため一日もすみやかに本法律案成立することを期待し、念願するものであります。社会党諸君も、どうぞ、この法案賛成していただきたい。あなた方がこの法律案反対するということは、先生たち通勤手当にも反対することになるのであります。諸君が一致して賛成せられんことを望み、討論を終る次第であります。(拍手
  11. 星島二郎

    議長星島二郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。この採決記名投票をもって行います。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君白票反対諸君青票を持参せられんことを望みます、閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名点呼〕     〔各員投票
  12. 星島二郎

    議長星島二郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  13. 星島二郎

    議長星島二郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     [事務総長朗読〕  投票総数 三百七十七   可とする者(白票)  二百二十九     [拍手]   否とする者(青票)  百四十八     〔拍手
  14. 星島二郎

    議長星島二郎君) 右の結果、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案委員長報告通り決するを可とする議員氏名    安倍晋太郎君  相川 勝六君    逢澤  寛君  青木  正君    赤城 宗徳君  赤澤 正道君    秋田 大助君  秋山 利恭君    淺香 忠雄君  天野 光晴君    綾部健太郎君  荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君  新井 京太君    五十嵐吉藏君  井出一太郎君    井原 岸高君  飯塚 定輔君    池田 清志君  池田 勇人君    石井光次郎君  石坂  繁君    一萬田尚登君  稻葉  修君    犬養  健君  今井  耕君    今松 治郎君  岩本 信行君    宇田 國榮君  宇都宮徳間君    植木庚子郎君  臼井 莊一君    内田 常雄君  内海 安吉君    江崎 真澄君  遠藤 三郎君    小川 平二君  小澤佐重喜君    小淵 光平君  大石 武一君   大久保武雄君  大久保留次郎君    大倉 三郎君  大島 秀一君    大坪 保雄君  大野 市郎君    大平 正芳君  大森 玉木君    岡崎 英城君  岡部 得三君    岡本 茂君   加藤 精三君    加藤 高藏君  加藤常太郎君    加藤鐐五郎君  鹿野 彦吉君    賀屋 興宣君  鍛冶 良作君    金子 岩三君  上林山榮吉君    亀山 孝一君  鴨田 宗一君    川崎末五郎君  川崎 秀二君    川島正次郎君  川野 芳滿君    菅野和太郎君  簡牛 凡夫君    木倉和一郎君  岸  信介君    木村 守江君  北村徳太郎君    北澤 直吉君  清瀬 一郎君    吉川 久衛君  倉石 忠雄君    久野 忠治君  藏内 修治君    黒金 泰美君  小泉 純也君    小坂善太郎君  小平 久雄君    小林かなえ君  小林 絹治君    小山 長規君  河野 一郎君    河野 孝子君  河本 敏夫君    纐纈 彌三君  佐藤 榮作君    佐藤虎次郎君  佐藤洋之助君    齋藤 邦吉君  坂田 英一君    坂田 道太君  櫻内 義雄君    笹山茂太郎君  始関 伊平君    椎名悦三郎君  重政 誠之君    島村 一郎君  進藤 一馬君    周東 英雄君  助川 良平君    鈴木 正吾君  鈴木 善幸君    薄田 美朝君  砂原  格君    瀬戸山三男君  關谷 勝利君    園田  直君  田口長次郎君    田中伊三次君  田中 榮一君    田中 角榮君  田中 正巳君    田邉 國男君  田村  元君    高石幸三郎君  高橋 英吉君    高橋清一郎君  高橋  等君    高見 三郎君  竹内 俊吉君    竹下  登君  竹山祐太郎君    武知 勇記君  谷川 和穗君    千葉 三郎君  津島 文治君    塚田十一郎君  塚原 俊郎君    辻  政信君  綱島 正興君    渡海元三郎君  徳安 實藏君    床次 徳二君  富田 健治君    内藤  隆君  中垣 國男君    中島 茂喜君  中曽根康弘君    中村 梅吉君  中村 幸八君    中村 寅太君  中山 マサ君    永田 亮一君  永山 忠則君    灘尾 弘吉君  夏堀源三郎君    楢橋  渡君  二階堂 進君    丹羽喬四郎君  丹羽 兵助君    西村 英一君  橋本龍太郎君    野田 卯一君  羽田武嗣郎君   馬場 元治君  橋本登美三郎君    橋本 正之君  長谷川四郎君    長谷川 峻君  八田 貞義君    服部 安司君  濱田 幸雄君    濱田 正信君  濱野 清吾君    早川  崇君  林  唯義君    原 健三郎君  原田  憲君    平井 義一君  廣瀬 正雄君    福家 俊一君  福井 順一君    福井 盛太君  福田 篤泰君    福田  一君  福永 一臣君    藤枝 泉介君  藤本 捨助君    藤山愛一郎君  船田  中君    古井 喜實君  古川 丈吉君    保利  茂君  坊  秀男君    細田 義安君  堀川 恭平君    本名  武君  本間 俊一君    前尾繁三郎君  前田 正男君    増田甲子七君  町村 金五君    松浦周太郎君  松岡嘉兵衛君    松田竹千代君  松田 鐵藏君    松永  東君  松野 頼三君    松本 俊一君  三田村武夫君    水田三喜男君  南  好雄君    村上  勇君  村瀬 宣親君    毛利 松平君  粟山  博君    森   清君  八木 一郎君    八木 徹雄君  保岡 武久君   柳谷清三郎君  山口喜久一郎君    山口 好一君  山崎  巖君    山田 彌一君  山中 貞則君    山村庄之助君  山村新次郎君    山本 勝市君  山本 正一君    吉田 重延君  渡邊 本治君    渡邊 良夫君  否とする議員氏名    阿部 五郎君  赤路 友藏君    赤松  勇君  淺沼稻次郎君    飛鳥田一雄君  井伊 誠一君    井岡 大治君  井手 以誠君    伊藤卯四郎君  伊藤よし子君    猪俣 浩三君  石川 次夫君    石田 宥全君  石野 久男君    石村 英雄君  石山 權作君    板川 正吾君  今澄  勇君    今村  等君  受田 新吉君    内海  清君  小川 豊明君    大西 正道君  大貫 大八君    大野 幸一君  大原  亨君    太田 一夫君  岡  良一君    岡田 春夫君  岡本 隆一君    加賀田 進君  加藤 勘十君    加藤 鐐造君  柏  正男君    春日 一幸君  片島  港君    片山  哲君  勝澤 芳雄君    勝間田清一君  角屋堅次郎君    金丸 徳重君  上林與市郎君    神近 市子君  神田 大作君    川村 継義君  河上丈太郎君    河野 正君   木原津與志君    菊川 君子君  菊地養之輔君    北山 愛郎君  久保 三郎君    久保田鶴松君  久保田 豊君    栗原 俊夫君  栗林 三郎君    黒田 寿男君  小平  忠君    小林 進君   小林 正男君    小牧 次生君  小松信太郎君    小松  幹君  兒玉 末男君    五島  虎雄  河野  密君    佐々木更三君  佐々木良作君    佐藤觀次郎君  佐野 憲治君    坂本 泰良君  阪上安太郎君    櫻井 奎夫君  實川 清之君    島上善五郎君  下平 正一君    東海林 稔君  杉山元治郎君    鈴木  一君  鈴木三郎君    田中三郎君  田中 武夫君    田中 稔男君  田万 廣文君    多賀谷真稔君  高田 富之君    滝井 義高君  竹谷源太郎君    楯 兼次郎君  館  俊三君    塚本 三郎君  辻原 弘市君    堤 ツルヨ君  戸叶 里子君    土井 直作君  堂森 芳夫君    中井徳次郎君  中澤 茂一君    中島  巖君  中嶋 英夫君    中原 健次君  中村 高一君    永井勝次郎君  西尾 末廣君    西村 榮一君  西村 関一君    西村 力弥君  野口 忠夫君    芳賀  貢君  原   茂君    原   彪君  平岡忠次郎君    廣瀬 勝邦君  帆足  計君    穗積 七郎君  北條 秀一君    堀  昌雄君  正木  清君    松浦 定義君  松尾トシ子君    松岡 駒吉君  松平 忠久君    松本 七郎君  三鍋 義三君    三宅 正一君  水谷長三郎君    武藤 武雄君  門司  亮君    本島百合子君  森 三樹二君    森島 守人君  森本  靖君    八百板 正君  八木  昇君    矢尾喜三郎君  安井 吉典君    柳田 秀一君  山口シヅエ君    山崎 始男君  山下 榮二君    山田 長司君  山中 吾郎君    山中日露史君  山花 秀雄君    山本 幸一君  横路 節雄君    横山 利秋君  小沢 貞孝君      ————◇—————
  15. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  16. 星島二郎

    議長星島二郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 星島二郎

    議長星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長早川崇君。     〔早川崇君登壇
  18. 早川崇

    ○早川崇君 ただいま議題となりました経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案について大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。  本年度におけるわが国経済運営の基本的鮮度として、当面、財政が国内経済に過度の刺激を与えることを避け、輸出の伸張に対してあらゆる努力を傾注することが要請されておるという観点から、前国会において成立を見ました本年度予算においては、昭和三十一年度の一般会計の剰余金のうち四百三十六億三千万円を直ちに一般の歳出財源に充てることなく、今後におけるわが国の経済基盤の強化に資することを目的として、その一部を経済基盤強化資金へ繰り入れるとともに、残余の一部はこれを農林漁業金融公庫のほか四法人の特別の基金へ出資することといたしたのであります。従いまして政府は、この予算の執行をはかるため、右の資金の設置及び基金への出資並びにこれらの資金及び基金の適正な管理、運用等に関する所要の法的措置を講ずることとして、この法律案提出されたのであります。  次に、この法律案のおもなる内容について申し上げます。  まず第一に、経済基盤強化資金につきましては、さきに申し上げました通り、今後におけるわが国の経済基盤の強化に必要な経費の一部に充てるため一般会計から二百二十一億三千万円を支出し、一般会計に所属する資金を設けることといたしております。しこうして、この資金は大蔵大臣が管理し、将来における道路の整備、港湾の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧または産業投資特別会計への繰り入れに要する経費の財源に充てる場合に限り、予算の定めるところに従って使用できることといたしております。  第二に、五法人の基金につきましては、二百十五億円を一般会計から支出いたしまして、農林漁業金融公庫に対して六十五億円、中小企業信用保険公庫に対し同じく六十五億円、日本輸出入銀行に対して五十億円、日本貿易振興会に対し二十億円、日本労働協会に対し十五億円を、それぞれその特別の基金に充てるための出資とすることといたしております。この出資を受けた金額は、農林漁業金融公庫におきましては、国の補助の対象とならない農地の改良及び造成にかかる事業に対する貸付についての利子の軽減に充てる財源を得させるため、非補助小団地等土地改良事業助成基金に充てさせることとし、中小企業信用保険公庫におきましては、同公庫の保険事業の損益計算上損失を生じた場合においてその損失を埋めるため保険準備基金に充てさせることとし、日本輸出入銀行におきましては、東南アジア開発協力のための投資の財源に充てるため東南アジア開発協力基金に充てさせることとし、また、日本貿易振興会及び日本労働協会におきましては、それぞれその事業の運営に必要な経費をまかなう財源を得るための基金に充てさせることといたしております。  この法律案は、去る十九日本委員会に付託せられ、翌二十日大蔵大臣より提案理由説明を聴取した後、直ちに審議に入し、昨二十六日には大蔵、外務、農林水産及び商工委員会連合審査会を開く等、きわめて慎重に審議を重ねて参りました。  次に、質疑応答のおもなるものについて御紹介申し上げます。  まず、今回のたな上げ資金を今直ちに予算化して使用する考えはないか、なければ、この法律を制定させた上で、いつ、いかなるときに予算化されるかという質疑に対しまして、政府からは、当面の経済情勢は予算編成当時の見通しとあまりかけ離れた情勢とは考えていない、従って今直ちにこれを使用して経済に過度の刺激を与えることは心理的にも好ましくない、その時期については今からこれを予定することは困難であるが、経済の推移を見て慎重にやりたいとの答弁がありました。  また、経済基盤強化資金は、三十二年九月閣議決定の、昭和三十三年度予算に関する基本構想にいわゆる景気調節の財源とするという考え方に端を発するもので、その実体は景気調節資金ともいうべきものであるが、このような資金の設置は財政法上脱法行為とならないか、また、過去にこのような事例があったかどうかとの質疑に対しては、政府からは、今後における経済基盤の育成強化のため必要となる特定の使途に充てるため、財政法第四十四条の「国は、法律を以て定める場合に限り、特別の資金を保有することができる。」という規定に基いて設けられたもので、決して違法ではない、過去における事例としては、古くは、一般会計において大学及び学校資金、最近においては産業投資特別会計における資金があるとの答弁がありました。  このほか、経済や国際収支の見通し、不況対策等について熱心なる質疑応答が行われましたが、その詳細は速記録に譲ることといたします。  かくて本二十七日、質疑終了し、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して横山委員は、本案反対の旨討論せられました。  次いで、採決いたしましたところ、本案起立多数をもって原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  19. 星島二郎

    議長星島二郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。  佐藤觀次郎君。     [佐藤觀次郎君登壇
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤觀次郎君 ただいま議題となりました経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案に対し、私は、日本社会党を代表して、反対の意見を表明するものであります。(拍手)  まず第一に、本法案は、昨年国内における過剰設備投資に基く国際収支の悪化に対応して、経済の発展を控えぎみとし、将来における景気調節の財源とするなど、余裕財源のたな上げ構想として立法化したものであります。しかるに、今日の経済状況は、本法案が立案されました当時とは相当に大きな変化を起しまして、国際収支は一応黒字に転換したけれども、国内経済は、投資景気が一変して不況の様相をますます深刻化しつつあることであります。  去る六月二十一日労働省が発表いたしました「最近の雇用失業情勢」によりますと、四月の完全失業者は五十五万人、失業保険受給者四十九万六千人で、昨年同期の三十二万を大幅に上回っており、失業者数は三十一年三月の百六万に次ぐ戦後第二位で、実に八十五万人を記録するに至りました。さらに、企業整備の状況は、昨年より三、四倍増加し、本年四月には五百八十一事業所、二万六千二百三十一人の人員整理が行われ、今後の雇用の先行きは、にわかに楽観を許さない状態になったのであります。かくのごとき経済情勢の推移、変化は、不況対策を強力に打ち出すべき段階に達していることを物語っているものでありまして本法案当初の余裕財源たな上げ構想は、根本的に修正さるべきものであります。  次に、第二の反対理由は、たな上げする四百三十六億三千万円の資金は、国民の税金の取り過ぎである点において当然すみやかに国民に返還さるべきものであります。すなわち、昭和三十一年度の自然増収千一億七千六百万円から地方交付税、国債償還費などの控除した残額が四百三十六億三千万円であります。これは、減税財源に充てるか、すみやかに国民に還元する措置を講ずべきでありまして景気調節資金としてたな上げするがごときは、きわめて異例、変則の措置であり、不当なやり方であります。(拍手政府は、臨時的な歳入剰余金であるから、これを恒常的な減税財源に充てることは適当でないと説明しておりますが、過日の総選挙において、自民党の公約として、七百億減税を断行するという政府の意図とは、全く矛盾撞着するといわざるを得ないのであります。(拍手)しかも、このたな上げ資金の用途を限定して、将来における道路の整備、科学技術の振興、異常災害の復旧または産業投資特別会計への繰り入れに要する経費の財源に充てる場合に限り使用することができるように言っておりますけれども、これは全く不必要な制約であり、経済の事情を見ざる措置であります。  第三の反対理由として、輸出入貿易を中心とする国際経済の観点からするものであります。昨年八月の末の見通しといたしまして、本年度輸出三十一億五千万ドル、輸入三十二億四千万ドル、特需などの貿易外収支の黒字一億五千万ドルを予想していたが、アメリカの深刻な景気後退を中心とする世界経済の沈滞は先回の予想を大幅に減少して二十八億五千万ドルないし二十九億ドル見当と見積られ、輸入は二十七億五千万ドルないし二十八億ドル程度と見積られるに至ったのであります。しかも、国内での需給関係ははなはだしき供給過剰にある際、この需要喚起を輸出に求むべきは、まことに困難な仕事になって参りました。すでにアメリカは日本の商品の輸入制限を強化しており、中共貿易は政府の不始末によりまして途絶状態にある今日、求める道は国内の需要の喚起以外にはないのでございます。この意味において、四百三十六億三千万円の資金は速急に補正予算に組み入れるべきであって、たな上げしてはならないものであります。ことに、継続中の設備工事が一巡するこの秋口には、設備投資の需要はがた落ちとなり、不況の一そうの深刻化が予想されるのであります。政府は、たな上げ資金の放出は経済界に極度の刺激を与えるという意味で好ましくないと言っておりますが、今年度国際収支は、当初予定の一億五千万ドルよりはるかに多く、二億五千万ドルないし三億ドルの黒字を見込まれるに至っており、かくのごとき国際収支の黒字基調のもとにおいて、国内需要を喚起することは、何ら懸念する必要のない措置であり、縮小均衡から拡大均衡に転ずる絶好のチャンスというべきと思われます。  第四の理由として、本法案経済基盤強化資金とは、いわば景気調節資金の性格を持つものであるが、財政法第四十四条にいう特別の資金が果してかかる景気調節の資金として認め得るものであるかどうかは、きわめて疑わしいものであって、財政法の原則に反するという疑義が生ずるのであります。さらに、性質を全く異にする経済基盤強化のための資金と特別法人の基金とを一本の法律案に織り込んでこれを行うというのは、きわめて不体裁な立法技術といわなければならないのであります。  最後に、日銀の公定歩合二厘の引き下げが去る六月十八日から実施されたのでありますが、これは、率直に言うならば、心理的効果以外に、景気回復策としては、ほとんど何ものをも期待されないのであります。何分、市中銀行の日銀借入金がなお五千億もある現状では、金融の大幅な緩和はとうてい望むべくもなく、政府は、この際、有効需要の増大をはかるために、積極的な景気刺激策をとらなければ、不測の事態の生ずることもはかり知れない現状であります。すでに、鉱工業生産は四、五月から横ばい状態にあり、国庫調整も思うようにいかず、操業率は昨年より五%落ちて七五%になっており、生産、雇用の両面において一種の危機状態を現出していることは否定のできない事実であります。日本経済の現状がかくのごときものならば、政府は、何よりもまず四百三十六億円のたな上げ資金の放出使用を考えるべきであって、これはたな上げして使わないのだというようなやり方は、いたずらに拱手傍観している態度であって、早急な不況対策を講じようとしないのは、これは全く怠慢のそしりを免れないのでありまして、わが党は、このたな上げ資金中心として補正予算を組み、刻下の不況に資するために、景気回復の緊急対策を提案したのでありますが、政府は何ら耳をかさず、かかる法案をそのままに打ち捨てておくというのは、まことに遺憾のきわみであります。(拍手)  以上、私は、政府日本経済に対する甘い楽観的な情勢判断に対して重大なる警告を与えると同時に、本法律案に対して反対理由を述べ、私の反対討論を終ることといたします。(拍手
  21. 星島二郎

    議長星島二郎君) 内田常雄君。     [内田常雄君登壇
  22. 内田常雄

    ○内田常雄君 私は、ただいま議題となっております経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基金に関する法律案に対しまして自由民主党を代表して、賛成の意見を簡潔に申し述べんとするものであります。(拍手)  この法律案は、すでに前国会において成立をいたしておりますところの昭和三十三年度一般会計予算の執行に関するものでありまして、御承知のように、本年度の予算は、相当多額の前々年度の剰余金を受け入れておりますが、そのうち約半額に当る四百二十六億三千万円につきまして、これを二つのカテゴリーに分けてその一つは、農林漁業金融公庫、中小企業信用保険公庫、日本輸出入銀行、日本貿易振興会、日本労働協会、この五つの特殊法人に対して、それぞれその基金として合計二百十五億円の出資を行い、残りの二百二十一億三千万円については、これを通常の歳出として直ちに使用することを避けて一応これを経済基盤強化資金として別除しておいて今後経済の推移とにらみ合わせ、日本経済の立て直り過程において、あらためて補正予算に組んで、道路、港湾の整備など、わが国経済基盤強化のための特定の用途に使用せんとする、既定の予算上の構成を実行に移す手段を整えようとするものであります。  この法律案の施行とうらはらをなしますところの予算は、すでに本年度一般会計予算として計上をされておるものでありましてこれを前述の出資について申すならば、この政府出資を受け入れる農林漁業金融公庫など五つの法人は、現在すでにその受け入れ態勢を整えているのであります。ことに、中小企業信用保険公庫、日本貿易振興会、日本労働協会の三つの法人は、この予算出資を受け入れて、国民生活の安定と日本経済の振興などのために新たな活動を開始する目的をもって、わざわざ前国会においてその設立に関する法律が制定されておるのであります。従って、今ここに上程されておるこの法律案成立反対をするということは、国権の最高機関としての国会の意思が前後矛盾をすることになるのであり、そればかりではありません、今この法律案を否定するということは、今回これらの予算出資を受けて新たな活動を開始せんとする農林漁業金融公庫や中小企業信用保険公庫を通じてその恩恵を受けることの一日もすみやかならんことを待望しておりますところの全国の零細農家や中小企業、いな、多数の零細企業の希望をじゅうりんすることになるのであります。(拍手)これでは、平素口に中小企業の振興や農業振興を唱えて参った者として何のかんばせあってか国民にまみえんとするのでありましょう。(拍手)私どもは、この意味においても、この法律案の一日も早き成立を希望いたしておるのであります。  このことは、経済基盤強化資金についても同様であります。社会党諸君は、すでに本年度予算成立しております今日において、わが党、わが政府予算編成方針にまでさかのぼって、今に至って経済基盤強化資金設置の構想に反対をされるとともに、予算の編成がえや補正予算の即時提出を要求せられておるのでありますが、これには、社会党諸君におかれましてこの制度そのものについて大きな誤解があると私には思われます。経済基盤強化資金というのは、決して単純なる資金のたな上げではありません。この資金を設置しようとする本年度予算の財源は、さきにも述べましたように、既往年度の財政剰余金であります。それも、剰余金の全部ではなく、剰余金一千億円余りのうちの二百二十一億三千万円であります。もし、この繰り越し剰余金を、今日の日本経済の調整過程において、不用意、無準備にそのまま放出いたしますならば、言うまでもなく、財政資金の散布超過となるのでありますから、それでは、昨年以来の、せっかくの経済調整の過程において、有害な一時的発熱状態を起し、ここまできて、これから立ち上ろうとする経済正常化の今までの努力を水泡に帰するの憂いがなくはありません。  言うまでもなく、この資金の設置は、今申す繰り越し剰余金の一部を永久にたな上げ、塩づけしようとするものではありません。一応これを経済基盤強化資金に入れてはおくが、今後、経済情勢の推移に応じて、いつでもこれを引き出して、国会の同意を得て予算に計上し、読んで字のごとく、日本経済の基盤の強化、すなわち、この法律案にちゃんと書いてありますように、道路の整備とか、港湾の整備、科学技術の振興や、また異常災害の復旧、さらにはまた産業投資特別会計への繰り入れによる財政投融資の財源として適時、随時にこれを活用しようとするものであります。  今日の景気の前途に対応するわが党と社会党との認識の間には、もちろんおのずから差異はあるでありましょうが、それにしても、社会党諸君が、みずからの主張する予算の構想や補正予算即時提出動議が否定されたからといって、すでに成立している本年度予算を執行するためのこの法律案に、今この時期において論をかまえて反対をせられますことは、それでは、ただ反対のための反対、見方によっては自暴自棄ともいえるものでありまして、国民のためにとらざるところであります。(拍手)この法律案を不成立といたしますときは、それこそ、本年度予算に計上されておりますところの経済基盤強化資金のための予定の歳出は、社会党諸君のいわれる通りの完全なたな上げ資金、それどころか塩づけ資金となってしまうものでありますことを、十分に考えなければなりません。また、この資金構想は、新しい構想ではありますけれども、われわれの研究によりましても、決して財政法違反のものではありません。  私は、今後この資金の運営に当る政府に対しましては、これからの財政、経済、金融情勢の推移に対処してその発動の時期に誤まりなからんことを要請いたしつつ、以上の見地から、この法律案賛成の意を表するものであります。(拍手
  23. 星島二郎

    議長星島二郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成起立
  24. 星島二郎

    議長星島二郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  25. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  26. 星島二郎

    議長星島二郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 星島二郎

    議長星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。大蔵委員長早川崇君。     [早川崇君登壇
  28. 早川崇

    ○早川崇君 ただいま議題となりました外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  前国会で承認を得、本年四月十五日発効いたしました、旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本政府とインドネシア共和国との間の議定書第二条の規定に基きまして、わが国がインドネシア共和国に対して有する一億七千六百九十一万三千九百五十八ドル四十一セント、すなわち、日本円に換算して納六百三十六億八千九百万円の清算勘定等の請求権については、わが国は、両国間の親善関係を増進するため、これを放棄いたしたわけであります。そこで、この法律案は、これにより外国為替資金に右と同額の損失が生じましたので、その事後手続として、この損失金額を同資金から減額して整理いたそうとするものであります。     〔議長退席、副議長着席〕  本案は、去る十九日本委員会に付託せられ、翌二十日大蔵大臣より提案理由説明を聴取した後、直ちに審議に入り、さらに昨二十六日の大蔵、外務、農林水産及び商工委員会との連合審査会においても、きわめて慎重に審議を重ねて参りました。  次に、質疑応答のおもなるものについて御紹介申し上げます。  まず、インドネシア共和国に対する請求権の放棄は同国に対する賠償に充てるためかという質疑に対しましては、政府からは、平和条約や賠償協定の締結を機会に、さらに両国間の親善関係を増進するためとられた措置であるという答弁がありました。  また、この請求権の放棄について、外国為替資金の原資を切り捨てる形式をとった理由ほ、どこにあるのかという質疑に対しましては、政府からは、現行外国為替資金特別会計法には資金を取りくずすことについての規定がないので、手続的にこのような改正を必要とするのであるという答弁がありました。  また、こうした事務的な決済処理方法をとったがために、ビルマが賠償についての再検講条項を持ち出さないか、あるいは、韓国に対して有するわが国のオープン勘定債権に影響したりしないかという質疑に対しまして、政府からは、別段そうした心配は要らないという答弁がありました。  以上がおもなる質疑応答の内容でありますが、その詳細は速記録に譲ることといたします。  かくて本二十七日、質疑終了し、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して石野委員は、本案反対の旨討論せられました。  次いで、採決いたしましたところ、本案起立多数をもって原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  29. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 討論の通告があります。これを許します。  平岡忠次郎君。     [平岡忠次郎君登壇
  30. 平岡忠次郎

    ○平岡忠次郎君 ただいま議題となりました外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、私は、日本社会党を代表し、ここに反対の意思を表明せんとするものであります。(拍手)  この法律案の内容は、オープン勘定の貸し越し残高としてインドネシア共和国に対して日本の有する請求権約一億七千七百万米ドル、邦貨に換算いたしまして約六百三十六億円を放棄することに合意せる両国間の議定書第二条の規定に基き、会計法もの処理手続として外国為替資金特別会計の借方にあるいわゆる焦げつき債権約六百三十六億円を棒引き削減するとともに、これに見合うところの同会計の貸方の資金をそれだけ減額して整理しようとするものであります。一見何のへんてつもない会計上の処理手続のための法律案のごとくでありますが、一段掘り下げて見るならば、政府与党の非政を集約的に表現している怪奇異様のけしからぬ法律案でありまして、私どもは、とうてい、国民とともに、これを了承しかねるのでございます。  この一億七千七百万ドルの棒引きはインドネシア賠償四億ドルの一部であってしかるべきであるのに、政府は、言をかまえて、あくまでも債権の棒引きであると強弁、固執しているが、外相初め関係閣僚の答弁が、インドネシア修交のためにということを繰り返すだけで、この巨額の棒引きを正当づける何らの根拠をも示しておらざるところに、深い疑問が存するのであります。  思うに、政府は、この棒引き処理をもって、その効果を次の二点に期待しているのではないかと思われるのであります。その一つは、一般予算額に関しまして国民を欺瞞せんとする内政上の政治的配慮ではないかと思われるのであります。すなわち、三十三年度予算編成の過程におきまして与党の党略予算要求に屈し、これに迎合せざるを得なかった政府が、当初の予定の拡大規模一千億円のワク内におさまり切れざるインフレ予算を計数上隠蔽するために、予定のワクにおさまったかのごとく見せかけるため、本来なら賠償額六百三十余億円として、一般予算の歳出に加算計上すべきであるのに、このオーソドックスの処理を回避して、外為会計の減資という異例の措置をあえてとったのではないかと思われるのであります。かかる観測に立つならば、政府のヌエ的な方式、すなわち、外為会計減資処理方式は、明々白々な賠償金六百三十余億円の巨額を、予算上の処理としてどこにも現わさずに、陰にこもってIMF等に対する恒常的利子支出という隠れた姿で国民負担を増高せしめることとなりまして、これは決して正しいやり方ではないのであります。政府のとり得べき最もすなおにして正しい措置としては、一般会計歳出に、賠償費として公然、なお六百三十余億円を加え、インドネシア賠償に充てると同時に、対インドネシア債権は、この際これを返済してもらうという意味で、六百三十余億円、すなわち約一億七千七百万ドルは送金せず、外為特別会計の借方の従来の焦げつき分に振りかえて、外為会計の実質を名目通り回復する、従ってもはや資金の減資も取り行わないという処理こそ、政府のとり得べき処置でなければならないのであります。  一月三十日、前大蔵大臣一萬田尚登君は、事務的ミスと称してこの特別会計の予定貸借対照表の正誤表を提出し、この壇上から陳謝の意を表せられたが、政府が正誤すべきは、外為特別会計貸方の資金の減額処理ではなく、三十三年度一般会計の歳出の増額措置でなければならないはずであります。結論的には、一兆三千百二十一億円の一般会計予算を、この際修正して、あらためて六百三十余億円を加え、一兆三千七百五十余億円としてこの大膨張予算案の賛否を議会に問い、国民に問うべきであります。  これが、この法律案の提案そのものを否としてこれに反対する理由でございます。次に、このヌエ的処理にか号た政府の期待は対外的な思惑ではないかと、私どもは疑念を抱くものであります。すなわち、政府の答弁では、インドネシアに支払う四億ドルのうち二億二千三百余万ドルが賠償金であって自余の一億七千七百万ドルはインドネシア修交のための債権の放棄であるとするのでありまするが、かかるややこしい二本建処置は、対内的な予算規模隠蔽措置とは別に、ビルマから賠償額の再検討条項を持ち出されないようにとの苦肉の策と思われるふしがないでもありません。もし、二億ドルの対ビルマ賠償額とほぼひとしい二億二千三百万ドルのみが対インドネシアの賠償額だとの欺瞞的意図を包蔵する伏線的措置であるとしたならば、日本国民の名誉にかけて、政府の欺瞞外交政策を糾弾いたさなければなりません。こうした政府の思惑があるかどうかは知りませんが、現実の問題として私が、本年四月、たまたまラングーンに出向いて、ウ・バ・スエ、ウ・チョ・ニエン両副総理から確かめたところでは、ビルマ政府は、インドネシアに対する日本の賠償額は四億ドルなりとの建前をとって、当然の権利として、再検討条項に照らして、賠償の増額請求をしてくるとのことでございますから、政府の期待は的はずれと申すべくもし、外交折衝の折、詭弁を強行するならば、いたずらにビルマから不信を買うだけのことで、何らの利益にもならないのでありますから、せめて日本外交史上に汚点を残さないように、この際、政府の自戒を求めておきます。  それどころか、今回の政府の処理の影響として見のがし得ないことは、この棒引き処理が悪例となって、対韓国のオープン勘定じり四千六百余億円が日韓会談で棒引きされることになりはしないかと、私どもは国民とともに憂慮いたしておるのであります。  以上が、政府の思惑とは逆に、対外的逆効果を憂慮して、この法律案反対する第二の理由であります。  最後に、この法律案反対する最も重要な理由を申し述べたいと存じます。すなわち、この法律の焦点である六百三十六億円の焦げつき債権のよってもって発生したいきさつこそ、国民とともに断固私どもの究明いたさなければならない事柄でございます。御存じの通り、わが国貿易の決済方式は、ル、ポンド建現金決済と、相互貸し売りあと決済ともいうべきオープン・アカウント決済に大別されます。ドル・ポンドの現金決済には問題はありません。問題は、オープン・アカウント方式であります。お互いの貸し売りあと決済ともいうべき、いわゆるオープン・アカウント方式が非難せられて久しいにもかかわらず、政府は、積極的にこれを改める手を打っていないのであります。いな、むしろ、異常な弊害を生みながら、これが改変に逡巡しているのが政府でございます。無能にあらずんば、財閥とのくされ縁があると思量せられても、これはやむを得ないでございましょう。(拍手)私どもは、輸出振興の美名のもとに私利私欲を追求してやまざる業界と、これと結託する政府の迎合主義を剔快しないわけにはいかないのであります。(拍手)  御承知のように、わが国は、貿易制度において為替集中政策をとっておりますので、特定メーカーあるいは荷主によるところの外貨建輸出は、その等価たる円をもって、船積みと同時に、銀行を通じて政府からの支払いを受け、いささかもリスクを負いません。かわって外貨債権は政府に帰属しますが、その不渡りの偉険も同時に政府に移る仕組みになっているのであります。この支払い円貨の調達は、国民の税金の集積であるところの一般会計からの資金をもってまかなわれているのでありますから、一たび焦げつきができれば、これは輸出者にまで遡及求償せられるものではなく、しょせん、国民がそのしりぬぐいをさせられるのであります。制度上は、外国為替資金特別会計というクッションを介在させておりますが、一般会計の金でのしりぬぐいには違いないのでございます。また、政府は、その保有するところの外貨の瑕理なきことを前提としてその一部を日銀に売りまして、日銀から円札を発行させることもできます。このような発券の仕組みと、外為特別会計における円資金の調達の仕組みにおいて、政府保有の外貨債権の非常に多くの部分が焦げつきであって、無価値にひとしいものとするならば、被害者は一般国民となることは、自明の理でございます。(拍手)すなわち、国民は、仮空外貨の基礎の上に、過当に散布された円札のもたらす貨幣価値の下落、すなわち、インフレの禍害を受けるか、外国為替特別会計資金の取りくずしにあい、血税をもって跡始末をさせられるかの、いずれかでございます。これは、想像上の危惧ではなく、現に、インドネシア賠償を契機として、本日ただいま、この法律案の通過と同時に、国民にとって六百三十六億円、国民一人七百円あての醵出をしいられる現実の被害となってくるのであります。(拍手)これこそ、日本社会党が断固としてこの法律案の非違を糾弾し、反対をいたす最大の理由であります。  以上申し述べまして、私の反対討論を終ります。(拍手
  31. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成起立
  32. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  33. 荒舩清十郎

    荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議提出いたします。すなわち、この際、内閣提出繭糸価格の安定に関する臨時措置法案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  34. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  繭糸価格の安定に関する臨時措置法案議題といたします。委員長報告を求めます。農林水産委員会理事吉川久衛君。     〔吉川久衛君登壇
  36. 吉川久衛

    ○吉川久衛君 ただいま議題となりました、内閣提出繭糸価格の安定に関する臨時措置法案について農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  昨年の夏秋蚕に引き続く本年春蚕の豊作により、生糸の供給が著しく増加するにもかかわらず、需要は内外の経済情勢から不振、停滞しておる異常の需給事情にかんがみまして、昭和三十三年産の繭及びこれを原料とする生糸の余剰のものを市場からたな上げして、その価格の安定をはかるため、本案提出されたのであります。  本案の内容については、本会議において趣旨説明が行われましたので、簡単にその概要を申し上げますと、第一は、繭糸価格安定法に基いて設立されている特別会社たる日本輸出生糸保管株式会社が、農林大臣の定めるところに従って、生糸製造業者等から生糸を、また、繭の生産者団体が行なった共同保管の繭をそれぞれ買い入れて、保管、売り渡し等の業務を営むことができることとしております。しこうして買い入れ及び売り渡しの価格については、繭糸価格安定法の最低支持価格を維持するよう、その基準を規定しております。第二は、会社が買い入れた生糸及び繭で、今生糸年度後もなお保管しておるものは、政府が、会社の買い入れ価格に保管に要した費用等を加算した額で買い取ることとし、買い入れ金額の限度は、生糸百億円、繭五十億円としております。  本案は、六月二十四日政府から提出され、同日本会議において趣旨説明が行われ、質疑が行われました後、二十五、二十六、二十七の三日間にわたって、委員会において法案の細部にわたり審査を行いましたところ、委員諸子から、養蚕業の将来の見通し、繭糸価格安定法と本法案との関係、最低繭価維持方策、蚕の生産制限の可否等について、熱心な質疑が行われましたが、詳細はこれを省略いたします。  本案に対しましては、日本社会党を代表して栗原委員から修正案提出されました。その内容は、一、日本輸出生糸保管株式会社は、農業協同組合連合会が共同保管する乾繭の売り渡しの申込みに応じて、これを買い入れるべき義務のあることを明らかにしたこと。二、政府の生糸買い入れ限度百億円を百三十億円に、乾繭等の買い入れ限度五十億円を七十億円に、それぞれ引き上げようとすること。三、製糸会社等が、三十三年産繭について、農林大臣の定める最低繭価を割る価格で買い入れることを禁止する規定を掲げ、これに罰則を設けたこと。以上の趣旨のものであります。  本修正案につきましては、内閣の意見として、三浦農林大臣より反対の旨の意見が述べられました。  次いで、討論を行いましたところ、自由民主党八大委員から、修正案反対政府原案賛成の、日本社会党高田委員から、修正案賛成政府原案反対の意見がそれぞれ述べられ、引き続いて、この修正案の可否を採決いたしましたが、多数をもって否決せられ、次いで、政府原案採決いたしましたところ、多数をもって可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、私から、自由民主党を代表して、附帯決議を付するの動議提出いたしましたところ、附帯決議は多数をもって付することに決した次第であります。その内容は次の通りであります。すなわち、   この法律により政府日本輸出生糸保管会社の買入れる生糸及び乾繭に対して行う国庫債務負担の額百五十億円は、昭和三十三年生糸年度に生産される生糸七五、〇〇〇俵の棚上げを可能とするものであって、最低繭糸価を維持するに足ると思われるが、内外の経済情勢、繭生産の推移いかんにより万一先行不安の事態を生ずるおそれがある場合においては、政府は遅滞なく会社に対し生糸及び乾繭の必要かつ充分な買入資金を斡旋する等、最低繭糸価の維持につき万全の措置を講じ、もつて養蚕農民の経営安定にいかんなきを期すべきである。   また、政府は、農協連合会が共同保管しようとする乾繭について、乾繭施設等の提供を承諾しない製糸会社に対しては、これらのものの製造する生糸の買上げに条件をつける等の強力な指導方針を堅持し、かつ、乾繭保管金融保証を強化増進し、もつて乾繭共同保管の円滑な実行を推進する措置を講ずべきである。  以上をもって御報告を終ります。(拍手
  37. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 本案に対しては、栗原俊夫君外十五名から、成規により修正案提出されております。この際、修正案趣旨弁明を許します。栗原俊夫君。     〔栗原俊夫君登壇
  38. 栗原俊夫

    ○栗原俊夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっている繭糸価格の安定に関する臨時措置法案に対する日本社会党修正案趣旨説明をいたしたいと存じます。  まず、修正案の大綱を申し上げますと、一、日本輸出生糸保管会社は、農業協同組合連合会からの保管乾繭の売り込み申し入れを拒んではならないこと。二、三十三年度に生産される生糸の政府買い入れ限度百億円を三十億円増額して百三十億円とし、繭については五十億円を二十億円増額して七十億円とすること。三、何人も三十三年度の繭を政府保証の最低繭値以下で売買してはならないということ。四、買い入り禁止に違反した買い主は一年以下の懲役または十万円以下の罰金に処し、またはこれらを併科すること。以上であります。  御承知通り、わが国蚕糸業の国内産業に占める特殊な立場にかんがみまして、その生産にかかる繭糸価の安定維持のために繭糸価格安定法が立法されて本三十三生糸年度においては、生糸十九万円、繭千四百円の最低価格が決定されたのであります。しかし、政府の増産指導による繭の増産、一方には、他繊維の進出による需要の減退等もありまして、本年春の国会において、これら繭糸の買い資金の借り入れ限度を四十億円拡大して、その資金のワクを百六億円にしたにもかかわりませず、繭糸価は、繭糸価格安定法の存在をあざ笑うかのように、生産市場の生糸価格は、十九万円を三万円も下回る十六万円、繭の取引も、千四百円をはるかに割って、千二百円見当のやみ取引が行われるという実情であります。  養蚕農民は、当初、政府保証の千四百円を、ただ一つのよりどころとして乾繭共同保管を計画したのでありますが、遺憾ながら、農民には、これを行う乾繭の設備がありません。一方、製糸業者は、そのあり余っておる乾繭設備等の利用に応じないために、こうした状態の中で、辛うじて共同乾繭のできたものは、政府の発表資料によれば、春繭総量千五百五十万貫のうち二百六十万貫程度、残余の繭千三百余万貫というものは、共同乾繭を希望しながらも、施設がないばかりに、やむを得ず、値段もきめないまま、団体協約によって製糸会社に引き渡されておる実情であります。もちろん、この間、現金の必要な農民は、千四百円の保証がされておる繭を一方に見ながら、千二百円見当で買いたたかれておる、こういう状況でございます。さらに、これから夏秋蚕を通じて千七百万貫にも上る繭が生産されようとしております。政府は、こうした実情を異常なる事態といたしまして、繭糸価格安定法か存在するにもかかわらず、特に繭糸価格の安定に関する臨時措置法案、こりした臨時立法によって、これを収拾しようとしておるわけであります。蚕糸業の根本対策は、もちろん、容物なわざではありません。従って、政府が今回臨時措置法という臨時立法によってこれに対処することも決して不当とは考えませんけれども、その内容ついてみますと、まず第一に、三十二年度の生糸五万俵を買い入れるために百億円の限度を設定し、共同乾繭を買い入れるために五十億円の限度を設定したのでありますが、繭、生糸等の買い入れについて、保管会社が無制限に買い入れねばならないという保証はどこにもございません。このことは、一方において繭千四百円の最低価格を保証すると言いながら、一方においては資金の限度内においてのみ繭を買い入れることであり、その裏を返せば、資金の切れ目は保証の切れ目、こういうことになります。このことが、せっかく政府が新しい政策を立案したにもかかわらず、市場において保証価格の下値で堂々と取引が行われておるゆえんであります。どうしても、最低価格を最後まで保証するためには、無制限買い入れという建前が貫かれねばなりません。われわれの修正案には、この原案の抜け穴となっている、この抜け穴をふさぐために、会社は、農協連合会からの繭の売り渡し申し込みを拒むことができないのだ、すなわち、無制限買い入れを規定しようとするものであります。  第二に、委員会において、いろいろ質疑を通じて明らかになりましたことは、春繭の大部分である一千三百余万貫が、値段の取りきめもなしに製糸会社に引き渡されている、団体協約による繭の値段についてでありますが、これについて何らの保証がない。農民が、政府の保証をたよりに、共同乾繭をしようとしながらも、設備がないばかりに、やむなく団体協約によって引き渡した繭に、政府の保証の恩恵がないという、こんなばかげた政治があってはならないと思うのであります。(拍手政府当局は、行政指導によって何らかの措置をしたいと、苦しい答弁をされておりますけれども、ほんとうに団体協約による繭に政府の保証を及ぼす考えがあるならば、当然その旨をこの法律に明記すべきであり、わが党の修正案が、最低価格以下の繭取引の禁止条項を挿入したのは、全く、政府与党たる自民党諸君が、常日ごろ農民、業者に説明し、納得させ、約束しておるその内容を、ただ明文化したにすぎないのであります。(拍手)  第三に、原案の内容は、説明によれば、三十三生糸年度の対策であるといっておるわけでありますが、実際は、これは一カ年の対策ではなくして春蚕のみに対する対策にすぎないのであります。生糸、繭の買い入れ限度合せて百五十億円は、全く春繭の対策で、つつ一ぱいであります。夏秋蚕については、二割の自主的減産による需給調整によるものだというのでありますけれども、これはなかなかできるものではございません。さらに、団体協約による繭の取引について政府の保証がないということが明らかになれば、おそらく、夏秋蚕の繭は、団体協約に流れていくのが一つもなくなり、すべてが乾繭共同保管、こういう方向に進んでくるわけでありますけれども、しかも、そうした農民には乾繭設備がない。このことは、夏秋蚕の処理を通じて、これはさらにさらに一大混乱を巻き起すでございましょう。最低価格以下の繭取引の禁止は、団体協約によるところの繭に対する最低価格の保証を意味するものでありまして、こうしたことが明文化されることになりますれば、これは何も心配をしながらの共同乾繭の必要はなくなり、すべての団体協約にゆだねられる、かようにわれわれは考えるわけでございます。第四に、修正案には罰則を挿入いたしました。このことは、いかにも、こうした臨時立法には過酷なように見えますけれども、禁止条項を設け、これに翻則がなければ、意味をなしません。しかも、この罰則は、繭糸価格安定法の第十七条にうたってある罰則と何ら変りないものでございまして、これには少しも疑いがないわけであります。  以上、修正案について申し述べたわけでございますが、前にも申しました通り、これらの内容は、与党である自民党の皆さんが、全く、今回の蚕糸業の混乱に対して農民、業者を説得するために、皆さんが申し述べておるその内容を、そのまま明文化したのにすぎないのであって、これに万が一にも賛成できないということになれば、常日ごろの農民、業者に対するあの説明は、約束は、うそいつわりということになるでありましょう。(拍手)  何とぞ全員こぞって御賛成あらんことを希望いたしまして提案の趣旨説明を終るものであります。(拍手
  39. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 討論の通告があります。これを許します。高田富之君。     〔高田富之君登壇
  40. 高田富之

    ○高田富之君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております繭糸価格の安定に関する臨時措置法案につきまして社会党修正案賛成政府原案に絶対反対理由を申し述べたいと考える次第であります。(拍手)  このたびの繭糸価格の暴落に対しまして、応急対策といたしましては、どうしてもこれだけのことはぜひ実行いたしたいというのが、一般養蚕農民あるいは関係業者の考えであり、わが党もまた、これを率直に取り上げまして、基本的な態度を明らかにいたしておる次第であります。  それは、まず第一に、何と申しましても、安定法の規定に従い、政府がしばしば公約いたしております通り、生糸の最低十九万円、繭価の最低千四百円というものは、これをいかなることがあろうとも絶対的に堅持するということ。  第二には、そのために、どうしても国は繭及び生糸の無制限買い入れの態度を、その建前を堅持する必要があるとうこと。  第三には、禁止価格をこえる契約等の禁止を、糸の高値にだけではなくて、原料繭の最低値についても設定する必要があるということ。  第四には、繭取引の団体協約による協定掛目は、最低保証繭値を下回ることのないようなことを、制度的に保証しなければならぬということ。  第五には、繭の共同保管のための乾繭について、既設の乾繭設備を強制的に利用できる道を制度化する必要があるということ。  第六には、政府の現に企図しております蚕種買い上げ、それから桑園整理などの生産制限措置につきましては、養蚕農民及び蚕種、桑苗などの業者に対する国の補償を明らかにしなければならぬ。ことに、桑園の作付転換につきましては、畑地灌漑等の土地改良、営農資金の確保、畑作農産物の価格安定など、畑作振興のために格段の措置を講ずることが必要であって、それらの措置を伴わない、単なる産繭の制限というようなことは、断じて行なってはならぬということであります。(拍手)  今回わが党が提出いたしました修正案におきましては、このうち差しあたってぜひ実行しなければならないという最低限のところを織り込んだものでありまして、この点につきましては、先ほど提案理由説明にありました通り、ぜひ党派を越えて御賛同をいただきたいのでございます。(拍手)  この原案につきましては、私は、遺憾ながら、原案が、この糸の十九万円、繭の千四百円というものを確実に保証しておらないから、賛成するわけには参らないのであります。今回の臨時緊急措置は、何としましても、政府が内外に対して何べんも何べんも公約いたしております最低繭価、糸価というものを断固として維持する、一円でもこれを下回らせないという非常な決意を、この臨時措置法によって内外に示すことが、唯一の今回における措置でなければならぬのであります。(拍手)  しかるに、糸の百億というものは、これは、今までの実績から見まして大体六、七、八、九の四ヵ月くらいで、消えてなくなる額であります。また、この五十億の繭の買い入れ資金というものは、現在共同乾繭されております春繭の量に見合うということでありましょうが、少し共同保管量がふえれば直ちに足らなくなってしまう。ましてや、夏秋蚕に至っては、びた一文の用意もないのであります。  こういうわけでありまして結局、夏秋蚕以後につきましては、先ほどの御説明通り、二割の繭の生産制限、これによる需給調整ということに、もっぱらたよっておるわけでありますが、一体、製糸工場や織物工場に対しまして、製造の制限をする、あるいは設備の制限をするというようなことは、工業でありますから、比較的簡単にできるのは当然であります。しかも、この場合におきましましても、生糸の製造設備制限の際には、補償を与えておる。今回におきましても、蚕糸業者に対しましては種繭を買い上げする、こういうふうに補償の道を講じておる。しかるに、繭の方、種繭の方から制限をして参りまして、ほきている桑をそのままほったらかしておいて、びた一文の補償もしない。一体、こういうことが政治でありますか。(拍手)私は、自由民主党には農政はないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)この今日の低能率桑園を整理するとかなんとか言っておりますけれども、農産物価格か軒並みに下落をいたしておりますときに、地味のやせた山間地帯におきまして唯一の、とうとい現金収入の道として営んでおるこの桑園を、ただ養連の自主的な措置によって制限するなどといいましても、制限のできる道理がありません。安くなっても、なおかつ、一粒でもよけいの繭をとらなければ立っていけないのが、今日の養蚕農民の実態であります。  去る六月の十七日、東京におきまして全国の養蚕団体の代表者約二千名が参集をいたしました。そうして、この繭の二割生産制限ということに対しましては、当初、理事者の方々ば、原案として、政府の方針に賛成するかのごとき案を出されましたが、全国の農民代表は、これに対しては、直ちに、心の底からの憤りを持って、二割制限絶対反対を全会一致をもって決定したことは、皆さん御承知通りであります。私どもは、このようなことによって、すでに二割減産するものとして数字を並べて、需給の均衡はとれるから価格は安定するであろうなどという、官僚式な、でたらめな机上プラン、これに基く今回の法案のごときものにば、断じて賛成するわけには参りません。(拍手)でありますから、いみじくも、企業家は、今回のこの法案は、要するに、あまりねだられるので、仕方がないから、ようやく百五十億の金を投げ出した、これでどうにかしてくれ、あとはなるようにまかせる、あとはもう政府に泣きつかないでくれという手切れ金法案であると批評しておるのであります。(拍手)  さて、ただいま、この春繭につきましては、政府の態度かさようなものでありますから、ほんとうに政府はもはやたよりにならぬというので、乾繭の設備はなし、政府が指導してくれるでもなし、万やむを得ず、全国で千数百万貫という膨大な繭が、ほとんど実勢相場によって製糸業者に売り渡すことを内諾したまま、製糸工場に渡されておる状態にあります。  今まで、政府は、蚕糸業の振興五カ年計画というものを実施いたしまして毎年百万貫程度の繭の増産を奨励して参りました。今年まで一生懸命に地方庁もそれを指導し、農民もその気になって増産をやって参りました。そうして作った繭は、全部政府の指導によりまして、団協の方法によって、これを掛目協定で製糸会社に売り渡すという強力な指導をやってきたのであります。この強力な指導に正直に従って、そうして県段階の養連に一本に繭を集めて製糸に渡してきたところは、今までは売り手市場でありますから、よそへ売れば高く売れるものを、わざわざ集めて、安い掛目協定で、莫大な中間口銭を養連その他の団体に払って渡してきた。それが、この段階に至って、なるほど、団協というものは、いざというときにはいいんだということを証明できないのでは、これは問題であります。ですから、一番正直にやってきた、たとえば、埼玉県のごときは、百五十万貫の繭のうちで、乾繭されておるのは、わずか五万貫、ほとんど全都が、団協によって製糸会社のふところに入っております。この繭応対しましては、政府は、いかなることがあろうとも、乾繭された繭と同じに、千四百円、八千七百五十掛以上をもって売るのでなければ、今まで政府は一体何を指導してきたか、こういうことになるのであります。(拍手)しかるに、こうして無防備のまま、製糸業者に渡されました繭の最低値の保証はないのでありますから、このままでは、実勢相場によって仕切られるのは、これはもう当然であります。私どもは、こういう点に大きな抜け穴があり、全く今度の法案というものが欺繭的なものであるといわざるを得ないのであります。  さてさらに、今後、共同乾繭によって衝格の保証をしようというのでありますけれども、乾繭施設の提供を拒否した場合に、何らこれに対する指導法がない。制度がありません。安定法の一番大きな抜け穴はこれであります。これを応急措置によってふさがなければ、これは、本生糸年度全体を通じまして、今回の春繭の経験にかんがみまして、春秋蚕からはそういうことのないようにするためには、どうしてもこの点についての保証が必要であります。  また、今回の買い入れ資金を増額いたしまして二百億円と修正案でいたしましたのは、これは自由民主党の主張をそのまま取り入れたものでございます。(発言する者あり)私は、今日の法案を提案されました政府の最大の欠陥は、業界がこれを信用せず心先行き不安ということで、現に相場がこれを証明しておる通り、十九万円に乗って参りませんのは、政府の態度というものが、蚕糸業に対しまして基本的に今動揺を続けておる。確固不動の蚕糸業振興対策というものを持っていないところに基本的な欠陥があるといわざるを得ないのであります。(拍手)この蚕糸業につきましては、どうしても、生糸製造業、それから内需織物業、輸出絹織物業等に対する適切なる恒久的な繁栄策を講ずるとともに、農業政策の一環としての養蚕業に対しては、また格段の異なった立場から、たとえば、将来やむを得ざる場合には、当分の間二重価格制度等を施行いたしましても、これを維持しつつ、全体としての蚕糸業の発展を期するというような基本的な態度を確立して、これを関係業者に、また内外全般にわたって強く表明することが、今日非常に重要であると考える次第であります。(拍手)  私は、今回の法案が、そのような意味におきまして、基本的にはよろめき続けておる政府の蚕糸行政の現われとして、何ら緊急対策の実をなさざる欺瞞法案としてこの政府原案には、全国の農民とともに、また全国関係業者とともに、断固として反対し、修正案に全会一致御賛同あらんことを訴えて終る次第であります。(拍手
  41. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、本案に対する栗原俊夫君外十五名提出修正案につき採決いたします。栗原俊夫君外十五名提出修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成起立
  42. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 起立少数。よって修正案は否決されました。  次に、本案につき採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成起立
  43. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  44. 椎熊三郎

    ○副議長(椎熊三郎君) 本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十七分散会