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1958-06-24 第29回国会 衆議院 本会議 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十四日(火曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第六号   昭和三十三年六月二十四日     午後一時開議  一 市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明     ――――――――――――― ○本日の会議に付した案件  米価審議会委員任命につき国会法第三十九条但書規定により議決を求めるの件市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑 繭糸価格の安定に関する臨時措置法案内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑     午後二時二十八分開議
  2. 星島二郎

    議長星島二郎君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 星島二郎

    議長星島二郎君) お諮りいたします。内閣から、米価審議会委員に本院議員寺島隆太郎君、同成田知巳君、同日野吉夫君、同平野三郎君、同松澤雄藏君及び参議院議員鈴木万平君を任命するため、国会法第三十九条但書規定により本院の議決を得たいとの申し 出があります。右申し出の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 星島二郎

    議長星島二郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ――――◇―――――
  5. 星島二郎

  6. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 今回政府から提出いたしました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  改正の第一は、市町村立小学校中学校等教職員に対する管理職手当都道府県負担とすることであります。すなわち、国立大学学長学部長等につきましては、これらの職員管理または監督地位にあることにかんがみ、一般職職員給与に関する法律第十条の二の規定により、昭和三十一年度から、俸給の特別調整額、すなわち、いわゆる管理職手当支給されておるのでありますが、国立高等学校以下の校長に対する管理職手当につきましても、本年度からその支給に必要な予算措置が講ぜられたのであります。国立高等学校以下の校長に対して管理職手当支給されることになりますと、教育公務員特例法第二十五条の五の、公立学校教育公務員給与種類及び額は国立学校教育公務員給与種類及び額を基準として定めるという規定により、公立高等学校以下の校長に対しても、同様、管理職手当支給されることになるのであります。この場合、市町村立義務教育学校等の経費のうち、教職員給与費については、従来、都道府県負担となっていたので、今回、校長に対する管理職手当につきましても、他の給与と同様、都道府県負担とすることが適当と考えられるので、この点を規定したものであります。なお、都道府県負担する管理職手当のうち、義務教育学枝分については、義務教育費国庫負担法第二条の規定により、その実支出額の二分の一を国が負担することとなっているのであります。管理職手当支給に伴う財政措置といたしましては、義務教育費国庫負担金として約四億四千五百万円を計上しておりますほか、地方負担分につきましては、地方財政計画等において必要な措置を講じておるのであります。  改正の第二は、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律により、国家公務員に対し、新たに通勤手当支給されることになっておりますことに伴い、市町村立義務教育学校等教職員支給される通勤手当を、管理職手当及びその他の給与と同様、都道府県負担とするためのものであります。なお、通勤手当支給に伴う財政措置といたしましては、義務教育費国費負担金として約五億五千六百万円を計上しておりますほか、地方負担分につきましても、地方財政計画等において所要の措置を講じているのであります。  改正の第三は、給与都道府県負担する事務職員の範囲が吏員に相当する者であることを明らかにする等、規定整備を行うことであります。  最後に、この法律は、公布の日から施行し、昭和三十三年四月一日から適用することといたしております。  以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容概略であります。(拍手)      ――――◇―――――
  7. 星島二郎

    議長星島二郎君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告があります。これを許します。櫻井奎夫君。     〔櫻井奎夫君登壇
  8. 櫻井奎夫

    櫻井奎夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案になりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、内閣総理大臣文部大臣及び自治庁長官に対して若干の質疑を行いたいと思うものであります。(拍手)  まず初めに、岸総理に対しまして、本法律案提案基本的な考え方について、お尋ねをいたします。  現行公務員給与につきましては、今日改定を必要とする多くの問題点がございます。すなわち、民間給与に比較して公務員給与がきわめて低いという問題ばかりでなく、諸手当に対しましても、かなりの問題がございます。まず第一に、地域給につきましては、その支給区分において多くの不合理、不均衡があるため、かつて、本院において地域給特別委員会を設け、当時の人事委員長、現自民党幹事長川島正次郎君を中心といだしまして、足かけ二年余を費して改正結論を得たのであります。人事院は、その結論に基きまして、本院と内閣に対しまして、その改正勧告を行なったのでありますが、政府は、これを無視し、ほおかむりをして、今日まで押し通してきているのでございます。また、東北、北海道等積雪寒冷地域勤務する公務員に対する諸手当、これについても、その支給額及び支給区分に対する不合理、不均衡は著しく、このため毎国会大きな問題となっているのでありますが、政府は全くその解決努力を示していないのであります。これらの不合理、不均衡は世論のひとしく認めるところであり、給与額の引き上げとともに、これら諸手当改定がその急務であります。かかる既存の給与について、改定を必要とする問題が山積しているにもかかわらず、これに全く耳をかさず、しかも、今回突如として小・中・高等学校長管理職手当を創設せんとしてきたのでありますが、一体、どのような考えの上に立って、かかる性急にして一方的なる挙に出てこられたのか、その根拠を承わりたいと思うのであります。(拍手)  提案理由説明によりますれば、国立大学学部長学長等に対して管理または監督立場にある点を考慮して管理職手当を出しているので、小・中・高等学校長にもこれを支給すると述べておりますが、果してしからば、昨年九月、人事院特別調整額支給区分改正をやった際、全くこのことが問題とされなかったものが、わずか二、三ヵ月後、突如としてこれが支給を決定したのは、一体どのような理由によるのか。しかも、当時、愛媛県に発生した勤務評定による教育界混乱がその最高度に達した十一月下旬、岸内閣の新たな文教政策の花形として、当初の文部省昭和三十三年度予算要求にもなかったにかかわらず、全く青天のへきれきにも似て、校長教頭に対する管理職手当三十億円に上る、文部省としては異例の予算追加要求をなしたのは、いかなる意図によるのであるか。時を同じくして全国教育長会議試案による全国一斉勤務評定実施決定等を思い合せまするならば、管理職手当支給は、子供の教育考え教育基本法に忠実たらんとして、教育委員会の施行する不当なる勤務評定実施を拒んでいる校長に対して、これが強行の手段として、政党と文部官僚の合作による悪質なる政策であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手人事院ですら、昨年十二月、本院において小・中・高等学校長管理職手当支給文教政策上の問題であることを明言しております。従って。この管理職手当は、単なる給与上の問題ではなく、給与に名をかりた反動文教政策強行であります。(拍手一体岸総理は、単なる給与上の問題として本法案提案したのかどうか、明確なる総理の御答弁要求するものであります。  次に、私は、小・中・高等学校長に対する管理職手当支給根拠につきまして、教師性格実情にかんがみ、きわめて疑点を持つものであります。すなわち、一般公務員管理職手当は、提案理由説明によれば、給与特別調整額でありますが、教師の場合、勤務時間が複雑なため測定が容易でない事情よりして、一般公務員に比較して給与上の水準差を設け、超過勤務手当をも含めて今日の教師給与表が決定されていると理解するものであります。これよりして、一般公務員の例にならって管理職手当校長にのみ支給することは、現状の給与表建前をくずすことになると考えるものであります。それよりも、さらに重大なることは、大学学長学部長と小・中・高等学校校長とは、その職務内容性格が全く異なり、かつまた、一般職公務員の例にならうことは、教育実情法律を無視するもはなはだしいといわなければなりません。(拍手)すなわち、学校教育法規定によれば、「校長は、校務を掌り、所属職員監督する。」と明記してありますが、ここでいう監督とは、一般公務員管理監督とは全く異なり、具体的に述べれば、教育基本法に基き、教育計画の作成と実践に伴う教育上の指導、助言を目途とするものであります。その職務内容一般教師と何ら異なるものではありません。教育職として、校長教頭一般教師とを管理職と非管理職に分離することは、法律を乱用するもはなはだしく、教育を著しく混乱させるものであるといわなければなりません。(拍手)  かかる観点よりして、管理職手当支給しなければならぬ積極的根拠理由を見出すことは、はなはだ困難であると申さねばなりません。一体、どのような根拠理由によって支給せんとするのであるか。また、今日、性急に支給しなければならぬ新しい事態が生じてきたのかどうか。この手当支給によって、校長に対して、さらに新しく管理監督の任務が義務づけられてくるのかどうか。義務づけられるとするならば、どのようなことを考えておられるのか、文部大臣の明確なる御答弁を求めるものであります。(拍手)  次に、今日の劣悪なる教育条件を見まするに、私は全く憂慮にたえないものがあります。さきに、本院においても、これが早急なる解消を決議してきたのでありますが、政府は、かかる努力を全く行わず、すし詰め学級解消産業教育振興等政府がこれまで大きく掲げてきた施策においてすら、予算上の理由をもって、ほとんど施行せられていないにもかかわらず、ここに政治的なる意図をもった管理職手当支給政策を打ち出してきたことは、教育基本法に反するもはなはだしいと論ぜざるを得ないのであります。(拍手)今日、義務教育を辛うじて支えているものは、岸総理でもなければ、文部省でもございません。それは、父兄の過重なる教育費負担と、教師の過重なる労働であるという実態を、岸総理文部大臣、あなたは一体どのように考えておられるのか、御所信のほどを承わりたいと思うものであります。(拍手)  さて、劣悪なる教育条件としては、まず第一に、教師待遇をあげねばなりません。教育基本法によれば、その身分は尊重され、待遇の適正を期さなければならないと明記してありますが、今日、教師給与は満足すべきものではなく、その生活は極度に困窮し、教師としての必要なる研修をすら分に行うことができない実情であります。加うるに、労働時間は、文部省の発表するところにおいてすら、一週五十八時間を大きくこえ、四人分の仕事を三人の教師負担しているという、全く過重なるもので、労働基準法にいう労働時間を、はるかに上回っており、実際はさらに過酷であることは、ここに私が申し上げるまでもないのでございます。このような教師の低い待遇と過酷なる労働条件を、そのままに放置しておいて、校長にのみ管理職手当支給せんとする意図は何であるのか。賃金体系から考えた場合、これまでの体系をくずして、職階給能率給的性格を強め、褒賞給与に切りかえようとするものであり、勤務評定実施強行を容易にさせ、教育権力支配を強化して昇給昇格の中止、首切りをもってして給与総額切り下げをはかろうとする以外の何物でもないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)  このことは、今日の日本の不況の克服は労働生産性向上以外にないという資本攻勢教育界への反映と見るのであるが、一般教職員待遇労働条件改善に対して、岸総理大臣文部大臣は、いかなる見解を持っておられるのであるか。その御所信のほどを明確にしていただきたいと思うのでございます。  第二にお伺いいたしたいことは、教育基本法にも明らかなことく、教育行政基本は、不当なる支配に屈することなく、国民に直接責任を持って民主教育を推進するためには、まず教育の諸条件整備することであり、文教政策の最大の重点でなければならないと信ずるものでございます。ここに教育施設整備拡充の問題はさておきまして、学校保健法等の成立に伴う児童生徒健康管理や、教員の労働過重解消のための養護教諭事務職員、教諭の定員増についての強い国民要求早急解決こそが当面する文教政策の重点と思うのでありますが、政府は、常に、予算上の理由よりして、これらの施策を怠りながら、疑義の多い管理職手当に対しては、何らの要求もないにかかわらず、積極的に予算を計上するということは、文教政策に何ら一貫性がなく、もっぱら日教組に対する弾圧のみに熱心であると思われるが、わが国の教育水準向上をはかるための実効性のある具体策を、ここに文部大臣より明らかにしてもらいたいと思うのであります。  第三点といたしまして、本法案趣旨実施する地方自治体の諸点について、自治庁長官にお尋ねいたしたいと思うものでございます。  今日、教育予算の貧困と、赤字に悩む地方財政の窮乏のゆえをもって、各都道府県においては、教職員並びに地方自治体職員首切り昇給延伸宿日直手当を初めとする給与の不当なる切り下げ強行し、これら公務員生活を極度に脅かしているのであって、そのすみやかなる復活が焦眉の問題となっているにもかかわらず、これを放置して、ここに全教師が反対し、何ら根拠のない政策的なる管理職手当を創設せんとすることは、きわめて不可解と申さねばなりません。かかる手当新設に先んじて、当面する諸給与の問題をどのように解決されるおつもりであるか。これを示さずして、本法律を施行することは、問題をさらに拡大深化するものであると考えるが、自治庁長官並びに文部大臣の、この解決具体策と、その御所見を承わりたいと思うものであります。  さらにまた、財政の窮乏する地方自治体、特に赤字に悩む再建団体等において、本法律が施行の後、管理職手当支給を強要されても、これが支給をしないとの方針をとらざるを得ない実情に直面した場合、かかる自治体に対して、政府は強制的に新設を行わしめんとするのかどうか。各地方自治体立場を尊重するという上に立って指導するのかどうか。自治庁長官は、どのような見解を持っておられるのか、この際、明確に承わりたいと思うものであります。  また、地方自治権を侵害する給与表引下げの問題につきましても、明日、該当九県知事会議が開催されるやに聞いているのでありますが、この際、長官の態度を明確にしておきたいと思うものであります。すなわち、県民の意思により、県の条例で決定し、自治庁が認め、現に実施している再建団体給与表を、あえて国家公務員より高いという理由によって、再三にわたり引き下げを自治庁より強要されておりますが、これに対して、再建団体知事会議及び議長会は、これに反対決議をしているにもかかわらず、自治庁は、これを認めず、再建債利子補給の差し押え、及び、今後の追加予算による再建計画の変更を認めない方針で、これら自治体に圧力をかけておるという事実があります。このことは、明らかに地方住民の意思を無視した自治権の侵害であり、きわめて重要なることでありますが、地方自治権擁護の憲法の精神にのっとって、直ちにかかる勧告を撤回すべきであると思うが、自治庁長官はどのように考えておられるか。管理職手当新設は、かかる該当県にとって、きわめて重大なる関連があるので、この際、特に自治庁長官及び文部大臣の、この点に対する明確なる御答弁要求するものであります。  最後に、今日、勤務評定実施をめぐって、全国的な教育界混乱が起きているただ中に、しかも、きわめて短期間であるこの特別国会においてこの法案を提出し、強引にその強行突破をはかることは、校長管理職として組合より離脱せしめ、もって日教組組織の分断と弱体化をねらう、きわめて政治的な意図に基くものであると思うが、岸総理のこれに対する御所見を承わって、私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣岸信介登壇
  9. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 教職員諸君が、未来の日本を背負うべき青少年の教育について、ししとして努力されておることに対しましては、私は、国民とともに、心から敬意を表するものであります。しかも、学校の設備や、あるいは給与の点であるとかあるいは教職員諸君生活環境等において、改善をしなければならぬものも私は少くないと思います。これらの点につきましては、政府としても、鋭意それが改善努力をいたさなければならぬと考えております。私は、今お話がございましたが、勤務評定の問題については、櫻井議員並びに多数の社会党諸君見解を異にするのでありますが、教職員諸君が、そういうふうに非常に努力をされておる、たっといこの努力に対して、人事管理を公正にすることは、特にわれわれが意を用いて考えなければならぬと思うのです。(拍手)従いまして、その意味において、勤務評定実施されることは望ましいことであります。(拍手)これを頭から反対するという気持に対しましては、どうしても私ども理解ができないのであります。これは、私ども、ぜひ実施をする考えでおります。  ただ、今回われわれが提案をいたしておりますこの中・小学校校長管理職手当というものに関する考え方は、私は、櫻井議員も冷静にお考え下されば、よくおわかりになると思うのでございます。私どもは、先ほど申しておるように、いろいろな給与の点において、考えるべきことは当然考えて参るのでありますが、それとこれとは、おのずから別の性質を持っておるのであって、小・中学校校長立場地位職務、すなわち、管理監督地位にあるものに対して相当の手当を出すということは、すでに大学学長や部長に対して出しておることから考えましても、私は、その地位に対して当然に考えなければならないことであると思うのであります。これを、何らか別の意図をもって考慮しておるというふうにお考えになることははなはだ、われわれとしては、理解に苦しむところでありまして、全く今言った趣旨に出ておるということを御了解いただきたいと思います。(拍手)     〔国務大臣灘尾弘吉登壇
  10. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 校長の職につきましては、御承知のように、学校教育法第二十八条におきまして「校務を掌り、所属職員監督する。」と規定をいたしておるのであります。また、地方教育行政組織及び運営に関する法律第三十九条におきましても、校長は、所属教職員の任免、その他の進退について、教育委員会意見を具申することができる規定となっておることは、御承知の通りであります。こういうふうな規定が、すなわち、校長学校における管理監督の職であることを示しておるものと、私ども考えるのでございます。  今回、高等学校以下の校長に対しまして管理職手当を出すということにつきまして、いろいろ御意見を伺ったのでございます。私どもは、きわめて単純に考えておるのでありまして、社会党の皆さんが考えられるように、いろいろ揣摩憶測せられての御質問は、迷惑であります。つまり、管理職にある校長に対しまして管理職手当を出すということについては、先般、国立大学学長あるいは学部長管理職手当を出しております、その考えと一連の関係があるのでありまして、今度は、引き続いて高等学校以下の学校長に対しまして管理職手当を出そうというのにすぎないのであります。要は、管理職たる地位にかんがみまして、われわれは、管理職手当を出して一そう勉強していただきたいと思っているのであります。  学校教職員待遇につきまして、これを心配しなければならないということは、私の当然の職責であります。私といたしましては、学校職員待遇勤務条件というふうなことにつきまして、実情に即して、できるだけそれが改善をはかっていかなければならないということにつきましては、申し上げるまでもないことであります。今日までも、その意味におきまして、文部省といたしましては努力して参ったところでございます。あるいは不十分な点もあるかと思いますが、その方向に向って努力するということにつきましては、私、ここに、はっきり申し上げたいと思うのであります。  また、お話にもございました学校保健等施設、いわゆる教育水準向上に関する努力、これまた、われわれの当然払わなければならない努力でございまして、今日までも、よくして参ったつもりであります。学校保健法が制定せられましたので、今後、さらに一そうその方面のことについては施設充実も見ることかと考えるのでありますが、この点につきましても、もちろん、できるだけの努力を払いまして、御期待に沿いたいと思っておる次第であります。  地方財政関係につきましては、われわれといたしましては、もちろん、一般職員学校職員との間に差等があるというふうなことがあってはならないことであります。学校職員に対しまして、できるだけの待遇をしてもらいたい。そのためには、また地方財政充実もはからなければならないわけでございますので、自治庁当局とも常に緊密な連絡をとりまして、遺憾なきを期して参りたいと考えておる次第であります。  そのほかの点につきましては、自治庁長官よりお答えがあると思います。(拍手)     〔国務大臣青木正登壇
  11. 青木正

    国務大臣青木正君) 私に対する御質問の第一点は、地方公務員昇給延伸等の問題でありますが、御指摘のごとく、最近まで地方財政窮乏等によりまして昇給延伸等事態があったのであります。しかしながら、ようやく地方財政も立て直って参りましたので、最近におきましては、ほとんど昇給延伸の事例もなくなって参っているのであります。今後、万一そうした事態が起るようなことがございましたならば、自治庁当局といたしましては、十二分に注意いたしまして、そういうことのないようにいたしたいと存じます。  それから、第二点は、本法案が成立した場合に、府県におきまして条例を制定しなかったらどうか、こういうような御質問でございますが、先ほど文部大臣からも御説明申し上げましたごとく、地方財政計画には本法案実施に必要なる財政措置をいたしておるのでありまして、私どもは、府県当局は本法案が成立いたしますれば必ず必要なる条例改正をいたすと存じております。万一そのことのない場合は、私どもは、府県に対しまして、そのことを指導して参りたい、かように存じております。  それから、再建団体に対する利子補給の問題でありますが、御承知のように、昨年の四月、給与改定をいたしました際に、地方公務員給与国家公務員基準を上回っておったところがあったのであります。地方公務員給与国家公務員給与に準ずる建前になっておりますので、その面からいたしまして、私どもといたしましては、やはり地方公務員給与国家公務員並みにいたしていただきたい、さらにまた、何と申しましても、給与の問題は、地方財政再建の面からいたしますと、その適正をはかることが最も大きな問題となりますので、再建団体につきましては、法律の定むるところによりまして、国家公務員並み給与にしていただきたい、これが私ども考えであり、そのことは、再建促進法の法律建前からいたしまして、地方公共団体にも当然考えていただかなければならぬ問題と存ずるのでありまして、自治法の侵犯の問題等とは関連ないと考えておるのであります。  なお、御指摘のように、二十五日に、九団体と私どもの事務当局と、この問題について話し合うことになっておりますが、大局的見地からいたしまして、関係府県におきましても私ども考え方に同調下さらんことを心から期待し、私どもも、その面におきまして、今後も話し合いを進めていきたい、かように存じます。(拍手
  12. 星島二郎

    議長星島二郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  13. 星島二郎

    議長星島二郎君) 次に、内閣提出繭糸価格の安定に関する臨時措置法案趣旨説明を求めます。農林大臣三浦一雄君。     〔国務大臣三浦一雄君登壇
  14. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 繭糸価格の安定に関する臨時措置法案につきまして、趣旨説明を申し上げたいと存じます。  政府は、昨年末以来の生糸の需給事情の悪化に対処いたしますために、つとに、三十三年生糸年度においても、生糸及び繭の最低価格は従前の水準を堅持する方針を明らかにいたしまして、これを実現するために必要な施策を逐次講じて参ったのであります。すなわち、本年三月には、内外市場の生糸価格に対する不安を解消いたしますために、例年より早く、生糸の最高、最低価格及び繭の最低価格を、従前通りこれを据え置くことを決定したのであります。さらに、本年初め以来、生糸の政府買い入れが急速に増加して参りました事態に備えまして、前国会において、糸価安定特別会計の借入金を四十億円増額するために必要な法律改正を行い、糸価安定資金の総額を百六億円に増額して糸価の安定をはかって参ったのでありますが、最近の生糸の需給事情は、内外の経済情勢と、昨年の夏秋蚕の豊作に引き続き、本年春蚕の作柄が良好であったことなどが軍なりまして、生糸の供給が著しく増加する事態となって参りました。このために、四月、五月においても、引き続き相当量の生糸の政府買い入れを行なったのであります。  以上の推移にかんがみまして、政府は、この際、本年産繭及び生糸の価格の安定をはかるために必要な施策をさらに充実することにいたしました。  その措置の大要を申し上げますと、その第一は、本年の春繭につきまして、余剰の生糸を市場からたな上げして糸価の維持をはかりますために、新たに百億円の資金で生糸を買い応ずる体制を整えることとしたのであります。  次に、繭の生産者団体が繭価の維持をはかるために乾繭共同保管を行う場合は、将来その繭を最低繭価見合いの価格で政府で引き取ることを約束し、これに必要なる資金として五十億円を予定することといたしました。  特に、今回の施策に当りましては、糸価の維持を行うとともに、農家の繭収入の確保をはかることがきわめて緊要な問題でありますので、生糸の買い入れについても、この点に十分留意し、なお、生糸の買い入れ及び繭の共同保管に必要なる資金については、適時円滑に供給せられるよう措置をいたしたいと存じます。  第二に、本年の夏秋蚕については、当面の生糸の異例の需給事情にかんがみまして、繭の生産の面からこれを調整して、需給の均衡をはかることが必要であると考えられますので、繭価の維持のために、生産者団体において、本年夏秋蚕については、自主的に二割を目標として生産の抑制をはかるよう指導して参りたいと思います。  以上の施策と並行して、蚕糸業の安定に必要なる恒久対策を策定することにつきましては、すみやかにこれを取り進める所存でありますが、特に生糸の需要の喚起につきましては一段と積極的な施策を講じたいと考えるのでありまして、生糸の新規の用途並びに販路の開拓をはかりますために、業界に対して企業努力の促進を強く要請するとともに、政府においても必要なる施策を講ずるつもりであります。  以上申し上げました昭和三十三年産の繭及び生糸に関する価格安定の措置は、本生糸年度の繭及び生糸の異例の需給事情による臨時の措置でありますから、本日提案いたしました繭糸価格の安定に関する臨時措置法案により、これを実施して参りたいと思います。  以下、本法律案内容概略について申し上げます。  本法律案内容の第一は、日本輸出生糸保管株式会社が、農林大臣の定めるところに従い、生糸及び共同保管の繭を買い入れ保管する等の事業を営むことができることとしたことであります。日本輸出生糸保管株式会社は、繭糸価格安定法に基いて設立されている特別会社でありまして、今回の臨時措置による生糸及び繭のたな上げ、及びこれに伴う業務を行う機関として適当なものであると考えたからであります。なお、会社の買い入れ及び売り渡しの価格について、その基準を定めるために必要な規定を設けております。  その第二は、会社が買い入れた生糸及び繭で、所定の時期を経過してなお保管しているものは、政府がこれを買い入れることとするために必要な規定を設けるとともに、その買い入れについての債務負担の限度を明らかにする規定を置いたのであります。  以上が本法律案趣旨でございますが、なにとぞすみやかに御審議賜わらんことをお願い申し上げます。(拍手)      ――――◇―――――
  15. 星島二郎

    議長星島二郎君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告があります。順次これを許します。  五十嵐吉藏君。     〔五十嵐吉藏君登壇
  16. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐吉藏君 ただいま議題となりました繭糸価格の安定に関する臨時措置法案につきまして、自由民主党を代表し、若干の質疑を行わんとするものであります。  最近の相次ぐ糸価の低落は、繭糸価格安定制度そのものの崩壊すら憂慮せられるに至ったのでありますが、政府の適切果断なる措置によりまして、その危機を突破し、繭糸価格の安定を保つことのできる見通しを得るに至りましたことは、まことに喜びにたえません。(拍手)しかしながら、今回の応急措置をして真に効果あらしめ、もって繭糸価格を安定し、さらに蚕糸業の健全なる発展をはかるためには、なお幾多の問題が残されておるのであります。私は、これらの諸問題につきまして、政府所見を承わりたいと思うのでございます。  まず、農林大臣にお尋ねいたします。今回政府のおきめになりました春繭の価格安定対策についてでありますが、今度の措置におきまして、生糸買い入れのために百億円を、また繭の買い入れに五十億円を、合せて百五十億円の資金措置を講ぜられたので、繭、生糸の最低価格は当然堅持出来るはずでありますが、問題は、春繭の大部分が今回の措置の決定する以前に養蚕農民の手から製糸業者に渡っておるという点であります。しかも、そのほとんど全部の繭が、価格の決定を後日に持ち越したまま、生糸価格暴落の最中に渡されたものであります。従って、今後の繭価の決定、すなわち掛目協定に当っては、今回の政府施策をして十分に効果あらしむるため、この点に関しまして特段の配慮を要するものと思われるのでございますが、これに対するお考えを承わりたいのであります。  次に、乾繭共同保管の問題であります。今回、政府がせっかく乾繭共同保管のために予算措置を講じ、養蚕農家にこれを勧めましても、春繭の生産千五百万貫のうち、実際に乾繭する量は、わずかに二百数十万貫にすぎないのであります。これはなぜかと申しますと、ほかにもいろいろ原因はありましょうが、そのおもなるものは、大部分の養蚕家が、みずからの乾繭設備を持たないというところにあるのであります。そのために、埼玉県に起きました例に見られるがごとく、乾繭したくとも製糸家が協力してくれない場合は、繭価をたたかれることが明瞭であっても、生繭のまま手離さなければならないという悲劇すら起りかねないのであります。今後の蚕糸行政は、生産農家に重点を置くということは、しばしぱ政府が声明しているところでありますが、このような情勢では、せっかくの政府施策も一般農家に浸透しないという実情にありますので、この点に関しまして、大臣の御所見をお伺いしたいのであります。  次に、夏秋蚕の対策についてお尋ねいたします。政府は、需給調整の観点から、夏秋蚕の繭二割を生産制限しようというのでありますが、これは養蚕業者の自衛の手段としても、この際制限すべきものと考えられるのでありまして、この点同感てありますか、問題は、制限のやり方、その内容であります。農民は、過般来より、霜雪害、旱害、雹害、さらにまた長雨の被害等、相次ぐ災害によりまして、少なからざる打撃を受けており、加うるに、最近はまた乳価の値下げ問題が起りまして、酪農危機が叫ばれるに至り、さらに、一般農産物価格は年々下降の一路をたどっておるのでありまして、農家経済はまさに容易ならざる事態に追い詰められて参ったのであります。これは大臣もよく御承知の通りであります。これがために、一粒の繭でも多く生産をしなければというのが養蚕農民の経済的実情でありますので、生産制限に当りましては、この意味での対策は当然お考えになっておることとは存じますが、大臣の御所見を伺いたいのであります。  第三点といたしまして恒久対策について承わりたいと存じます。  現在の蚕糸業経営の不安定性は、蚕種、養蚕、製糸の各業者間における総合性の欠除にあると考えられるのであります。すなわち、各業者とも、それぞれの分野において、相互間の連係がきわめて不十分のまま生産をし、販売をしておるのでありまして、蚕糸業のごとき特殊性を持つ産業にありましては、こうした状態では、とうてい経営の合理化は望めないと思われるのであります。蚕糸業の健全なる発展をはかるには、何と申しましても、各分野を通じ、経営の合理化による生産費の引き下げと、優良生糸の生産にあることは、論を待たないところであります。そこで、この目的達成のためには、蚕種、繭の生産から生糸の販売に至るまでの各過程を一貫した、ある程度の適当なる計画性を持たせることが必要だと考えられるのであります。具体的には、たとえば、国家管理の方式や、公社、公団の方式のごときも一案だと思いますが、要は蚕糸業の計画経済化であります。こうした方向に進めていくお考えがおありであるかどうか、この点を伺いたいのであります。また、大臣として、特に恒久対策をお持ちでしたならば、お聞かせを願いたいと存じます。  なお恒久対策の一環として、蚕糸科学技術の試験研究の問題であります。およそ、蚕糸業の振興は生産の合理化、価格の安定、宣伝の強化拡充などと並んで、試験研究機関の整備充実がきわめて重要であります。特に、日本の生糸、絹織物が海外においてイタリア、フランス、中共等の製品と太刀打ちするためには、現在の蚕糸絹業に関する試験研究行政は、予算的にも、また設備においても、まことに不十分でありますが、この点、農林大臣の御所見を伺いたいのであります。なお、生糸以後の織物一般に関する試験研究は通産省の所管でありますので、通産大臣の御所見もあわせてお伺いいたしたいのであります。  次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。  繭や生糸の政府買い上げの措置は、万やむを得ざる対策でありまして、もちろん、直接蚕糸業伸展のための施策ではありません。この際、政府は思い切って蚕糸業躍進のための積極政策をとるべきだと考えるのであります。申すまでもなく、生糸、絹織物は、これを生産するのに、一片の輸入物資だも必要といたしません。純然たる国産品でありまして、外貨の手取りたるや、実に一〇〇%であります。しかも、海外市場たるアメリカを初めヨーロッパ各国におけるところの絹に対する魅力と潜在需要は決して衰えてはいないというのが、専門家の大多数の判断であります。私も、将来悲観すべき産業だとは少しも考えておりません。要は、適切なる蚕糸業政策が強力に遂行できるかいなかが、そのかぎであると確信いたす次第であります。  海外宣伝事業についての一例をあけますならば、現在の状況では宣伝活動がいかにしても足らないというのが一致した意見であります。現在、政府は、農林、通産両省を合せて一億一千余万円の海外宣伝費を支出しておりますが、これをこの際相当思い切って大幅に増額することによって輸出の増進を期することができるとするならば、民生の安定、特に経済的にいつの時代にも下積みとなっている農民大衆の生活向上と外貨獲得の一石二鳥の策であると考えられるのであります。そこで、これが増額こそ蚕糸業躍進の要諦であると考えられるのでありますが、これについての蔵相のお考えを承わりたいと思います。これが第一点。  次に、夏秋蚕の繭、生糸の価格安定対策であります。今回の措置におきましては、繭の二割生産制限のみによって価格の維持安定をはからんとするものでありますが、もとより、これによってその目的を達することが望ましいことは当然であり、関係業者は、それぞれ最善の協力と努力をいたすべきは、これまた当然でありますが、時の事態いかんによっては、夏秋蚕におきましても資金措置の必要がないとは限らないのでございます。この点、大臣はいかにお考えになっておられますか、これを伺いたいのであります。  最後に、立法措置についてお尋ねいたしたいのでございます。今回の応急対策を行うに当りまして、政府は、現行の繭糸価格安定法の運用によらずして新たに単独立法によらんとするものでありますが、そのいずれにいたしましても、繭、生糸の価格を安定し、最低価格支持の目的を達せんとする点においては同様であると存じますが、特に、今回新たに法律を制定せんとした点に関しましてのお考えを承わりたいと存じます。  これをもちまして、私の質疑を終ります。(拍手)     〔国務大臣三浦一雄君登壇
  17. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 五十嵐君の御質疑に対して、お答えを申し上げます。  第一点は、今回の措置をもって繭糸価格安定の効果をあげ得るかどうかということでございます。今回のこの措置は、農家に対しましては繭価を維持してやる、同時に、また、糸価を維持して、その安定をもたらすということがねらいでございますが、まず生糸の買い上げによって、その所要の効果をねらっておるのでございます。この買い上げにつきましても、十分留意して運用して参りたいと存じます。すなわち、今年の春繭につきましては、製糸、養蚕両当事者間において、いろいろ繭価の交渉をいたしたのでありますが、その話の過程におきまして、農家が最低繭価を見合って、そして繭の収入を確保することができると考えらる十分な資金的措置を裏づけてございますから、今回の措置によりまして繭糸価の維持が確保せられるものと確信いたしております。  次に、夏秋蚕に対する問題でございますが、本年の夏秋蚕につきましては生産調整を行うことが必要だと考えておりまして、この趣旨によってとり進めて参りました。そして、実効をはかりますために、特に夏秋蚕用蚕種の育成等の所要の措置をとって参りましたが、これは、特に養蚕農家の自覚と同時に、協力を待たなければならぬことでございまして、このためには、趣旨の徹底と同時に、また、この趣旨を貫徹するための所要の措置は十分いたしておる次第でございます。  右に関連いたしまして、農家の養蚕の調整に伴います措置といたしましては、能率の低い桑園の整理等もだんだん考えなければならぬのでございますが、これらにつきましては適当な助成等の措置を講じ、円滑なる転換ができますように努めたいと考えております。  次に、恒久対策について、蚕種、製糸、それから養蚕の三過程におきましてそれぞれ総合対策を樹立し、計画的なる恒久対策を提唱せられたのでございますが、当局といたしましては、この問題の解決のためには、蚕糸業振興審議会等適当な機関におきまして十分に検討を進め、その場合におきましても、繭糸価の安定に関する対策を中心として所要の改善を加えたいということでございまして、近くこの方面に学識経験の深い方々を中心として検討を進める考えであります。  なお、需要の増進につきましては、従前におきましても所要の施策を講じて参りまして、特に海外宣伝等につきましては、今御指摘の通りな経過をたどっておりますが、今後とも、これは強化して参りたい所存でございます。  なお、新規用途及び販路の拡張にいたしましても、業界その他の協力を要請し、積極的な施策を講じて参りたい所存でございます。  なお、試験研究等につきましては、従前の施設整備拡充するのほか、時宜に適する施策を展開して参る所存でございまして、織物等との関連におきましても、所要の資材を提供するなど、新規用途の開拓に努力いたしたいと存じております。  私に対しますお尋ねのお答えといたす次第でございます。(拍手)     〔国務大臣佐藤榮作君登壇
  18. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  宣伝費についてのお話がまず第一点であったと思いますが、海外に対します、わが商品の宣伝その他につきましては、これは万全を期さなければならないと思います。宣伝費の予算額が少い、こういうお話もあろうと思いますが、十分実績を見まして、次の予算編成の際に考えて参りたいと思います。  第二の、夏秋蚕についてのお話でございましたが、夏秋蚕につきましては、ただいま農林大臣から申しますように、生産制限につきまして、私どもも期待をかけておる次第でございます。  第三の、今回特別立法をいたしましたことにつきまして、今日当面しております糸価の低迷の状況は、申すまでもなく、供給過剰、大へん異例な状態のもとにおいて引き起されておる状況でございます。従いまして、現行の制度によりましては、これに対処することは不適当かと考えます。と申しますのは、弾力のある措置が必要でございます。この意味において、今回特別立法をいたし、臨時的な措置を講じたい、この考え方でございます。(拍手)   [国務大臣高碕達之助君登壇
  19. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 絹織物の品質向上につきましてのお答えをいたします。繊維工業試験所を中心といたしまして、織布、染織、加工技術の向上をいたしたいと存じておりまして、全国府県にある五十四カ所の試験所を指導いたしております。同時に、各府県の研究機関に対しましては、中小企業輸出振興技術研究費及び中小企業技術指導費という名目のもとにおきまして、かれこれ七千五百万円を三十三年度は支出する考えでおります。  なお、このほかに、今後の輸出振興のためには、絹織物のデザイン等についても十分研究をいたしたいと考えております。(拍手
  20. 星島二郎

    議長星島二郎君) 足鹿覺君。     〔足鹿覺君登壇
  21. 足鹿覺

    ○足鹿覺君 私は、ただいま上程されました繭糸価格の安定に関する臨時措置法案に対し、日本社会党を代表して、若干の質疑を試みんとするものであります。(拍手)  去る第二十八国会におきまして、第一次岸内閣は、糸価安定特別会計法を改正する法律案を提出し、異例の本会議訂正等をも行いまして、同特別会計の借入金の限度を拡張して、これを七十億円となし、特別会計の保有する従来の資金と合せて百五億円の資金をもって生糸及び繭を最低価格で買い入れ、もって蚕糸業の安定をはかることとしたほか、繭糸価格安定法の一部をも改正いたしまして、日本輸出生糸保管株式会社を半官半民の国策会社に切りかえ、政府出資を行うと同時に、同会社の生糸特別買い入れ制度の拡充を行い、また、乾繭の買い入れ制度の道をも開くことといたしたのであります。  当時、すなわち本年三月、わが党は、右二法案を審議するに当り、蚕糸業をめぐる内外の情勢が容易ならざる事態であることを憂慮いたし、この程度の蚕糸対策をもってこの難関を乗り切ることが果して可能であるかどうか、この際抜本的なる対策の樹立を必要としはしないかという点を熱心に問いただしたのでありますが、時の赤城農林大臣以下、蚕糸当局は、最低繭糸価の維持については確信があるかの口吻をもって答弁に当られたことは、御記憶に存するところと思います。  しかるところ、対米生糸輸出の不振と、昨年の蚕繭の増産による蚕糸の需給事情は、日ごとに悪化を加え、政府に持ち込まれる生糸は急激に増大し、五月末における期末在庫は実に四万七千俵に達し、保有資金は完全に枯渇して、直接買い入れば不可能に陥り、これがために、糸価は、一俵十六万円という、過去八年間その例を見なかった最低価格に落ち込んだのであります。政府の無定見、観察の甘さは、この悲況をもたらした最大の原因であると申さなければなりません。(拍手)  そこで、政府は、どろなわ式に、あわてふためきまして、応急対策を決定し、日本輸出生糸保管会社をして本生糸年度内に生糸五万俵の買い入れをさせて、たな上げ措置をとる、全養連等をして二百八十万貫の乾繭共同保管を行わしめる、本年度産の生糸の生産を昨年実績の九割程度に押える、本年度夏秋蚕について昨年度より二割の生産制限を行うとともに、今後桑園の整理転換をはかって減産政策をとるということを骨子とした閣議了解を行い、これに要する資金を農林中金から融資せしめることとし、その額を百五十億円といたしたことは、御存じの通りであります。  ただいま提案せられた法律案は、この応急対策により、日本輸出生糸保管会社が本年六月から明年五月までの間において買い入れた生糸を糸価安定特別会計で肩がわりをし、また、全養連等が保管する乾繭を肩がわりするための、いわばしりぬぐい法案であり、一カ年を限度とする限時法にすぎず、こうやくばり、その易しのぎの臨時措置規定したにすぎないものであります。  そこで、本案に関連して、当面並びに恒久的な蚕糸対策について、まず大蔵大臣及び農林大臣にお伺い申し上げたいのであります。  本法律案と、現行の繭糸価格安定法並びに糸価安定特別会計法とは、いかなる関係に立つものでありますか、まず、これを伺いたい。繭糸価格安定法と糸価安定特別会計法は、生糸及び繭の十九万円、千四百円という最低価格を保障するために厳存するものであります。従って、わが党が主張するごとく、この特別国会において三十三年度予算を補正し、特別会計の買い入れ資金を充実するならば、本案のような便宜的手段を講ずる必要は、こうもないのであります。(拍手)三十三年度予算編成及び国会審議の当時において岸内閣が発表した経済、貿易に関する諸計画は、ことごとく見当はずれ、的はずれであったことは、今日の情勢が明白にこれを証明しておるのであります。(拍手)  アメリカは、今日、経済恐慌の様相を呈しておる。わが国の貿易規模は二十八億円台を割る形勢にあるのであります。国内においては、繊維産業を初めとし、操短に次ぐ操短を行い、中小企業は塗炭の苦しみを味わっておる。また、農業部門においても、蚕糸業にとどまらず、酪農生産において、各種農産物において、生産者価格は軒並みに低落を続けております。農家所得は減少し、また災害は続発し、まさに農業恐慌前夜ともいうべき深刻な様相を呈しておるのであります。(拍手政府は、このような情勢に対応して、補正予算を組み、国民生活の救済安定、産業の立ち直りのために全力を傾注すべきであることは、あまりにも当然と申さなければなりません。しかるにもかかわらず、わが党の主張に従わず、国民の期待に反して当面の糊塗策にきゅうきゅうだる態度は、まさに国民の名において断固糾弾に値するものであると存ずるのであります。(拍手)現に、蚕糸業の安定のためには堂々たる恒久立法が厳存しておるにもかかわりませず、政府は、これらの法律の執行を停止して臨時立法を行わんとする理由を、この際明らかにせられたいのであります。  第二に、蚕糸業安定対策の内容について伺います。  今回、政府は、生糸のために百億円、繭のために五十億円の資金を用意せられるわけでありますが、これによって、生糸五万俵のたな上げ、乾繭二百八十万貫の共同保管が行われる予定というのであります。しかしながら、今日までの情勢によれ、毎月五千俵ないし一万俵程度の速度で政府持ち込みが行われておるのでありまして、この趨勢は当分続くと考えなければなりません。もし、しかりといたしますならば、生糸買い入れ資金百億円は年内に枯渇することは明らかといわなければなりません。保管会社が無制限買い入れを続行する限り、十九万円の糸価を維持することはできるでありましょうが、資金が底をつき始めると、再び最低糸価を割るという事態を再現することになりましょう。政府は、最低糸価、最低繭価を維持するために、必要に応じて資金手当を増額すると言明されるかどうか、大蔵大臣並びに農林大臣の御所見を承わりたいのであります。  次に、最低十九万円、最高二十三万円という安定帯価格そのものに対する政府所見を伺いたい。アメリカにおける日本の生糸の需要は、多少の価格の高低にかかわらず、わが方において十九万円の価格を堅持することによって増進するというのが、今日までの政府考え方であったことは、御承知の通りであります。しかし、ヨーロッパ市場における中共生糸の実勢価格はすでに十七万円程度といわれ、アメリカにおいても、他の競争繊維とのつり合い上からいっても、十九万円の糸価はすでに高きに過ぎるという意見が、業界の一部から盛んに放送せられております。二十一中A格十九万円が維持せられることにより、繭価一貫千四百円が維持せられることは、御承知の通りであります。従って、十九万円を割ることがあるといたしますならば、繭一千四百円の最低価格を支持することが不可能と相なるのであります。  伝えられるところによりますれば、大蔵省方面におきましては、今回の百五十億円は斜陽産業たる蚕糸業に対する手切れ金であるという不謹慎な言辞をなす者があるといわれております。今後、業界が自主的な販売努力により需給の均衡をとることを怠るならば、買い入れ資金の追加を行わないのみでなく、安定帯価格そのものをも引き下げるものであるという風評もあります。製糸業界最高の立場にある某製糸社長のごときは、最低糸価の熱心なる切り下げ論者であるといわれ、価格支持制度を廃止して、資本主義本来の姿に立ち返って優勝劣敗の自由原則を説き回っております。かくて、窮極の犠牲は、中小製糸と、その労働者並びに養蚕農家にしわ寄せされることは明らかであります。そこで、私は、農林大臣及び大蔵大臣より、現行最低糸価並びに繭価の支持を確約せられ、それに必要な財政措置を講ずるかいなかについて、明確なる態度の表明を求めんとするものであります。(拍手)  次に、繭価協定と乾繭保管についてお尋ねをいたしたい。本年の春繭の取引は、おおむね内渡し金貫当り千円前後が、さしあたって支払われております。後日の精算については糸の実勢価格に見合って支払うことになっておりますために、掛目協定は戦後最大の難航が予想されるのであります。政府は、生産農家から最低繭価以上の価格によって繭を買い入れたことが確認できる製糸家からのみ生糸の買い入れを行うべきものであると思われますが、いかなる具体策を持っておられるか、農林大臣より御説明を願いたい。  また、農業協同組合は、二百八十万貫の乾繭の共同保管に当って、それに要する倉庫、乾繭機、技術者に不足しておることは、政府は十分御存じだと思います。これらの施設は、今日、製糸側に完備しております。しかるに、製糸側は、これらの施設の提供を拒否することによって自己の立場を有利ならしめようという動きが顕著であります。政府は、この際、これらを強制収用いたしまして、乾繭保管の用途に充てるつもりはないのでありますか、この点を伺っておきたいのであります。  また、政府は夏秋蚕繭二割制限案を打ち出されておりますが、ほんとうに成算あってのことでございましょうか、明確に御答弁を願いたい。御承知の通り、桑園は、三年目以後になって初めて生産が開始されるのであります。また、養蚕地帯は、他に適当な農作物がないために桑が植えられておるのであります。政府は、今日まで一貫して、桑の増産を指導して参っておるのであります。ついこの間の選挙前まで、声を大にして、増産々々のかけ声をかけてきたことは、天下周知であります。しかるに、ただいまは、一転して生産制限を強行せられようとしておる。まことに朝令暮改とはこのことでありましょう。農民は、またしてもだまされたという思いであります。政治に対する不信の念を植えつけることは遺憾のきわみであり、その責任はあげて政府にあると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)農民が政府の一夜にして変るような政策転換に盲従すると、農林大臣は本気に考えておいでになりますか、所信のほどを伺いたい。  アメリカのソイル・バンク方式による農産物の生産制限が大失敗であることは、御承知戸ございましょう。また、ほかに適当な作付転換を行う作物が果してあると思われるでありましょうか。適地適件の声を大にして、野菜を作れば大暴落であります。酪農もまた危機に臨んでおります。果樹は、一朝一夕に生産を上げることはできません。政府は、強制的に有効な生産制限を実施せられるといたしますならば、養蚕農民、蚕種業者、桑苗生産者に対する補償措置をも当然講ずべきでありますが、いかなる用意を持たれておりますか、この際、大蔵、農林両大臣より明らかにせられたいのであります。  以上、私は、本案に関して、いろいろお尋ねをいたしましたが、最後に、蚕糸業に対する恒久対策等について、政府の確信ある方策をお伺いいたしたいのであります。  正直に申して、今日の蚕糸対策は、五里霧中というか、よろめいておるというか、全く自信を喪失した姿を露呈いたしておるのであります。わずか二、三ヵ月の間に、その政策が二転または三転しておるのであります。蚕糸業は、おおむね六百億円の生産を上げ、百数十億円の外貨をかせいでおり、依然わが国の重要産業たることを失わないのであります。しかるに、今日においては、繭の取引は混乱をきわめ、また、昨年成立した生糸製造設備処理法を契機として繭の買手市場が実現し、養蚕農民は決定的に不利な立場に追い込まれ、また、繭の検定をめぐり、検定所の中には、製糸側の走狗となって、糸量、糸格について故意に不利なデータを提供し、各地で問題を惹起しておるのであります。総理大臣、通産大臣に伺いますが、政府は、この際、現行の価格中心の繭糸価格安定制度を抜本的に改訂し、農民と製糸間の契約に対する管理制度を確立し、また、繭価格と生糸価格の間の財政負担による二重価格制度を実現すると同時に、海外需要喚起のために技術改善、宣伝等の根本対策を確立し、画期的な予算増額を行う意思はないかどうか。これを総理並びに通産大臣にお伺いをいたしまして、私の質疑を終ることといたします。(拍手)   [国務大臣岸信介登壇
  22. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 養蚕製糸の仕事は、日本の産業にとりまして、きわめて重要な地位を持っておるものでございます。従いまして、これに対して恒久的な対策を立てていかなければならぬことは言うを待ちませんが、今足鹿議員の御指摘になりましたような二重価格制度等の方法によるという考えは、私どもは、とっておらないのであります。やはり、農家あるいは企業の努力と工夫によりまして、政府としては、この間に適正な価格水準を保っていくという考え方が最も正しいと思うのであります。ただ、その技術の改善や、あるいは海外市場、需要方面を開拓していくというために、従来やっておる施策だけでは足りない、これを積極的に強化しなければいかぬというお考えに対しては、私も同感でありまして、できるだけ力を用いたいと思っております。(拍手)   [国務大臣三浦一雄君登壇
  23. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 足鹿君のお尋ねに対しましてお答え申します。  第一点は、臨時立法を採用した理由いかんということでございましたが、先ほど趣旨説明の際にも申し上げました通り、本年度におきまする異例の生糸需給の変動に伴いまして臨機の措置をとるということにいたしたのでございまして、これは、弾力のある措置をとるということと、日本輸出生糸保管会社等が業務の運営等について練熟いたしておりますこと等も考えまして、この立法措置をとった次第であります。全く臨機の措置でございます。  第二番目の、資金の関係でございますが、いろいろの経過はお述べになりましたが、現状に即しまして、今回の措置は、生糸買い上げのため百億、乾繭の共同集荷に対します資金五十億等の所要の資金を計上しておりまして、おおむね、これは先ほど五十嵐君の質疑に対しましてもお答え申しました通り、所期の効果を達し得る見込みでございます。  第三番目には、中共の糸との関係でございます。御承知の通り、海外における需要の大宗はアメリカでございますが、アメリカは、糸価の高騰よりも、むしろ安定したことを期待しておりますことは、皆様御承知の通りでございます。しこうして、中共の糸につきましては、日本の糸り嘱承優秀でありまして均一整斉なるものを供給し得るところに日本の生糸の特徴があります。従いまして、中共の糸が、かりに今下っておりましても、日本の生糸の安定しますのに伴いましてアメリカの需要は喚起せられるものと思うのでありまして、それらの影響は重大なものとは考えておりません。  さらに、繭糸対策に関する、先ほどの、自由主義経済を捨てて、そして二重価格もしくは公団等の方式をとるかのことにつきましては、総理大臣よりお答えでございますから、御了承を願います。  なお、繭価を維持するために実勢価格に伴う掛目の協定等は十分いたしておるのでございまして、これらは、先ほども説明申し上げました通り、養蚕の業者並びに製糸業界では、緊密なる連絡のもとに、今具体的な話を進めておるわけでございまして、この協定の実情にかんがみまして、そして買い上げを適切にいたして、その実効を上げたい考えであります。  なお、乾繭装置の強制収用の問題でございますが、これは、御承知の通り、法律上の制限もございまするし、われわれは強制収用の道はとりません。強力なる指導と業者間の協力によりまして、その所要の成果を上げたいと考えてお凄まして、また、実質的にも相当に進んでおります。  その次には、夏秋蚕対策として、今生産の調整をいたしておるが、今後養蚕地帯における転換方法はどうかということでございます。現在の問題は異例な措置でございます。しかしながら、立地条件の不利な方面につきましては転換を若干いたさなければならぬという事情もございましょう。これは、その地の具体的な事情をよく勘案しまとて、農業経営等につきましても、今足鹿君の御指摘になったような、一律にだめだという結論は得られないのでございまするがゆえに、われわれは、最善を尽してその方途を講じ、助成等の道を開きたいと考えております。同時に、また、補償制度を採用するということでありますけれども、ただいまのところ、補償制度をとらずとも、助成その他の方法によって、転換の方策を講じて参りたいと存じます。  恒久対策につきましては、事情もだんだん変遷して参りまして、旧来の制度そのものを持続すべきかどうかは検討を要すべき問題でありまするし、同時に、また、基本的な考えとしましては、農民には安定したる繭価を保障するということ、これを堅持いたしまして、今後、恒久的な施策の検討と実施に邁進いたしたいと考えます。(拍手)     〔国務大臣佐藤榮作君登壇
  24. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  今回の繭糸価の低迷は供給の絶対的過剰によるものでありましてこれは今までに例を見ない異例なことであるということを、先ほども申しました。従いまして現行の制度、最高と最低を押えておるような、あの現行の制度で、今日当面しておる事態に対処することは、私どもは不適当だと考えておるのであります。しかし、生糸の需給調整、これをはかります場合に、供給を制限しようといたしましても、その原料は農民の生産にかかっておるのでございます。供給過剰のしわを農民にしわ寄せするということは避けなければならないのであります。申すまでもなく、現行制度は輸出価格の安定をねらっておるのでこの点では、きわめて弾力性のないものでありますから、ただいま申されるような現状に対処するためには、需要の動向を見て弾力的に運用できるような制度であってほしいのであります。この意味で、現行制度をそのまま適用することは私ども不適当だと考え、今日、臨時立法をいたしまして、そうして、この事態に対処して参る考え方でございます。  先ほど農林大臣から御説明いたしましたように、日本輸出生糸保管株式会社を作って、この会社によりまして需給の調整を行うことといたすのでございます。従いましてこの会社の資金は当然一般市中金融に求めることとなりまして、先ほどのお話のような補正予算を作るという考え方は、ここでは生まれて参らないのでございます。需給の見通しを立てて今回の措置をとりましたのでございますので、夏秋蚕等につきましても、今回の資金で一応まかない得るのではないかと私は考えます。ただいま、農林大臣からも、生産制限についてのお話等が出ておりました。この点では、農家の方々の自主的な協力を心から願ってやまないものであります。  また、価格はどうなるか。先ほどの足鹿君のお話のうちに、大蔵省の一部には云々というようなお言葉がございましたが、私は、大蔵大臣として大蔵省の中から、今回の措置が手切れ金であるかのような話をするような人は一人もない、かように確信いたしております。大蔵省の中からというお話がありましたので、特にこの点は申し上げておきたいと思います。私どもは、この点におきまして、農民の方々の、農村の経済の安定なり、あるいは農民所得の確保ということにつきましては、従前も格段の留意を払って参りましたが、今後もその考え方に変りがないことを、はっきり申し上げたいと思うのであります。従いまして、繭糸の今日あります価格、これは将来とも堅持したい方針であることを、この機会に、はっき画申し上げておく次第であります。  また、夏秋蚕の場合におきましてもし金が足りなければというお話でございますが、先ほど申しますように、まず、私ども、資金的には不足を来たさないものだと思いますが、そのときになりまして、また考えるべきものだと思います。  また、生産制限につきましては、今日、補償は考えておらないこと、農林大臣同様でございます。(拍手)     〔国務大臣高碕達之助君登壇
  25. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問に対しましては大体答弁が済んでおると思いますが、生糸の需要増進、輸出増進につきましては、これは、先ほど農林大臣が答弁いたしましたごとく、値段を安くしたからといって急によけいいくのではありません。これは、日本の生糸の特殊性を考えまして、この糸価を安定する、そうして、海外の消費者にこの価格について安心をするという観念を持たすことが一番大事だと存じます。また、同時に、生糸の消費は、大体先進国が消費地でありますから、この地方に対しましては、生糸の消費の増進のために、また新用途を発見するために、政府といたしましては、中央蚕糸協会を通じまして、三十三年度は二千七百万円の支出をいたしておるわけであります。また、絹製品の輸出につきましては、日本絹化繊輸出組合及び日本繊維製品輸出組合等を通じまして、先進国におきまして製品の展示会等を開きまして、かたわら日本の製品の販路の拡大に十分努力いたしたいと存じます。なお、この方法は、さらに積極的に進めていきたいと存じております。(拍手
  26. 星島二郎

    議長星島二郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  27. 星島二郎

    議長星島二郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時二分散会