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淡谷委員 これはあなたのおつしやる通り、
警察の
取調べ、あるいは起訴について検察庁がこれを直して—直した方が世間一般も十分なる納得がいき、またわれわれにしましても納得のいくものであれば、これはここまで持ち出しはしません。けれども、その直し方があまりにもひどいのです。こういうふうな事犯が続々として跡を断たない場合に、重過失でや
つたならばどうなりますか。三年間の懲役で済む、ところが去年この地区で起
つた犯罪で、基地のPXから外国製のたばこを三百カートン盗んで日本人に売
つた米兵は、仙台の高裁で、専売法違反で七万五千円の罰金、米軍では窃盗罪として懲役五年に確定している。それから三十二年の二月には、富岡タクシーという会社のタクシーを、百四十円を踏み倒して、こん棒で運転手の頭をなぐ
つて逃げた米兵は、六月、仙台の高裁でやはり懲役三年六ヵ月の判決を受けている。運転手はこぶを出しただけで済んだ。しかし、今度のようにこういう重大な
事件をさつさと片づけられるならば、これは
現地の不安を引き出します。しかも、ただいま私が列挙した通りの事実が
警察によ
つて出されておる場合に、どういう根拠でこういう事実を否定したのか、これはあなたが
資料を取り寄せて説明をして下さるというのならば、この次また
委員会を開いてもら
つて伺います。私の方からも、この大三沢署で起訴した場合の起訴状と、それから今回の八戸の地検で起訴した起訴状を、これは
委員会から正式にお取り寄せを願いたいと思うのです。
なお、私、この次の
委員会に備えて、あなたにいろいろ御答弁を求めたいと思うので、あらかじめ申し上げておきます。この米兵は、ピ
ストルが持てない。基地内から盗み出しておる。これは
刑事局長だけでは御答弁できないかと思いますので、この次にはぜひ
法務大臣に御出席願いたいのでありますが、十九の兵隊が、しかもこの重大な殺人罪を犯すような状態に置かれた兵隊が、勝手に兵器を盗み出せるようなルーズな軍紀をも
つて基地内が取り締られておるのであれば、今後どういう
事態が起るかわからない。このことに関して、十分な御
調査と御答弁が願いたい。
それから、このウイリアムズの性行につきましても、一昨日の公判廷で弁護人が情状酌量を求めて発言している事実とわれわれの
調査では、大
へん違
つているのであります。このウイリアムズという兵隊は、米国のオクラホマ州のホミニーという町、トレッドウエー街の出身で、現在三沢米空軍基地の第六一三九作戦
中隊通信課の三級空兵でございます。われわれの
調査によりますと、性行は、非常に酒を飲んで、日本人に激しい敵意を持
つている孤児でありますので、性格は非常にひねくれてお
つて、その当日もサージャンと口論をしまして、このサージャンを殺そうと思
つてピ
ストルを盗み出したということを自供しているかのごとくわれわれは聞いている。こういう事実のあるなしも
一つお伺いしたい。同時に、こういうことを検察庁でも十分お
調べにな
つた上で今回の措置に出られたかどうか、これは私は
はつきりあなたの方にお
調べを願いたいと思います。それから、さらにこのことにつきまして、ピ
ストルの実際の検査をした場合、八月五日にピ
ストルの検査をしておりますが、青森県の
警察本部では、科学
捜査研究所の岸井物理課長、それから鑑識課の実験室で大友
刑事部長、稲垣課長と相談しておりますが、この実験は、豚を的にしまして、実際にこれは撃
つて調べているのであります。その結果、大三沢署では、タクシーのかせぎをねら
つて殺したのだが、おそろつしくな
つたので、何も取らずに逃げたと
言つている。強盗未遂、殺人の疑いで追及してお
つたのでありますが、六日にな
つて、過失で殺したというのはうそだということを犯人みずからが自供しているのであります。八日にな
つて、米軍の基地広報課と大三沢署の共同声明で、暴発ではない、明らかに殺人であるということを共同声明で
発表しておきながら、さてこの
事件を回されました地検八戸支部では、これをあつさり重過失で起訴したというところに、
現地の感情がどうしてもおさまらない重大な理由がある。こういう点を詳細にあなたの方では考慮に入れて、この
事件をもう一ぺん
調べ直してもらいたい。検察庁の検事があつさり片づけようという
事件ではない。これは時をかけましても、今後こういう事犯が起らないように、
一つあなたの方で十分に手を入れてお
調べにならなければ、
現地の不安は消えやしません。しかも、おかしいのは、七連発のピ
ストルの
一つを撃
つて、あとは六発残
つているようなことを
言つておりましたが、今度の起訴のあれで見ますと、からのたまだと思
つて撃
つたなどと
言つているのですね。これは死体の
状況を見ましても、明らかに顔面を貫通しています。それが自動車の座席でかちやかちやピ
ストルを鳴らしたら、運転手がその物音で振り返
つたとたんに、暴発で死んだというのであれば、これは大
へんな偶然です。こんなみごとなあやまちがあるものじやない。こういう疑わしい点がたくさんございます。これをあつさり片づけて、またその
事件のあとは本人を本国に帰して、それでこの
事件が済むならば、今後こういう事犯はほとんど絶えることがないと思うのです。こういう点はあなたの方で十分にお
調べにな
つて、この検察庁の措置に対して正すべきものは大胆に正してもらわなければいかぬ。それから、この犯人は地検の方で
調べてお
つたのでしようが、釈放したのはいつか、御承知ですか。