○江口
説明員 それでは、第一日の九月六日の
状況は、
文部省が先ほど申し上げましたように、お茶の水の女子
大学を使うという予定のところを上野の博物館にお変えになりましたために、これを阻止しようという側におきましても相当のそごがあ
つたということで大した事件は起きておりま
せん。ただその日に動員された人員を申し上げますと、労組側の方は約八百名、
学生、都教組、応援の教組等を含めまして八百名にな
つております。これに対して警察は相当数の予備員を置きましたけれ
ども、実際に出たのは六百内外でございます。第二日目は九月七日、これも前日と大同小異でございまするが、動員の数が第一日より相当滅
つておりまして、労組員の数が五百名、こちらの方の警察官の数は一日目と大差はございま
せん。三日目の
状況は、さらにこれを阻止するという側の動員が減りまして三百名にな
つております。警察は前日と同様でありますけれ
ども、その際一人検挙者を出しております。四日目の
状況は、初めのうちはさらに人数が滅
つておるのであります。しかしながら、先ほど内藤局長の
お話にもございましたように、全学連の
学生が博物館前でバスの進路を妨げて寝ころんだというようなことから、相当のもみ合いを生じまして、
学生十名というものが傷害あるいは公務執行妨害、業務妨害あるいは道交法違反という疑いで現行犯逮捕をされておるのであります。この日の動員は、初めそういう問題が起りましたときには
学生が七、八十人でございましたけれ
ども、その後多少
学生もふえ、あるいは教組等の数もふえまして、最後には四百人くらいの動員と相な
つております。警察官は大体毎日同じような出動をいたしてお
つたわけでございます。
次に、仙台におきまする北海道・東北地区の道徳
教育指導者講習会の阻止
状況、あるいはそれに対しまする警備の措置について申し上げます。事前動向は御要望によ
つて省略いたしまするが、第一日の九月十六日の
状況から申し上げます。
九月十六日は、旅館前のピケ及び会場到着の際の妨害でございまするが、まず受講者二百五十五名はあさかや旅館、永明荘というような五つの宿屋に分宿をいたしてお
つたのでありまするが、あさかや旅館以外のほかの四旅館にはピケはございま
せんでしたので、午前五時五十八分バスで何らの妨害も受けずに会場に到達いたしております。しかし受講者の中で一番よけいに百一名泊ておりましたあさかや旅館前には、四時半ごろから付近に泊
つておりましたピケ隊十六名が姿を見せまして、五時ちよつと過ぎには
学生五十名を含む三百名が同所の付近にたむろして、受講者輸送用バス二台が五時半に到着いたしましたけれ
ども、旅館の敷地内の玄関口にその三百名
程度の者がスクラムを組んだりあるいはすわり込むというような方法によりまして、強硬に受講者の乗車を阻止するという
状態になりましたので、旅館主は営業妨害になるということからピケの排除方をそのときに旅館の前に配備しておりました警備部隊に要請をしたのであります。要請を受けました警備部隊は三百二十七名でございまするが、これが実力によ
つてこのピケを排除しまして、午前六時十分に完全にこれを排除いたしたのであります。その際に警察側にもピケの側にも多少の軽傷者を出しております。
それから次に講習会場前の
状況でありまするが、会場は第一日は先ほどの話の
通り第一女子高校でございます。その会場前のピケは六時ちよつと過ぎからだんだん増加して、八時ごろには約五百名にな
つてお
つて、会場の正門の前で警察部隊と対峙のままに抗議大会を開催してお
つたのであります。その朝のあさかや旅館前における警察官の暴力に対する
責任を追及するというようなことや、あるいは
文部省係官に抗議するというような二項目を決議して、八時二十五分ごろ大会を終了しております。大会の終了後共闘側は警備部隊と対峙のまま労働歌などで気勢を上げておりましたが、十時ごろスクラムを組みまして警備部隊の人がきを突破して校庭に入ろうという意図に出たのであります。そこで両者の間にもちろんもみ合いがございまして、この際
日教組の中央
委員小田という人、東北
大学の
学生の両名を公務執行妨害罪の現行犯として逮捕しております。こちらの方にも実力排除の際に多少のけが人が出ております。しかしながら講習会は午後二時過ぎ無事に終了しまして、受講者は何ら妨害を受けることなくそれぞれの旅館に行かれたのが第一日の
状況であります。この日の共闘側の動員は六百二十名に及んでおりまするが、その内訳は労組員が三百五十名、県外の労組から百七十名、日共二十、
学生七十、その他ということにな
つておるのであります。
第二日目の
状況は、九月十七日でありまするが、やはり旅館前のピケと会場到着後のもみ合いというものがございます。今度は、きのうや
つた旅館のあさかやというものを除きまして、第一ホテルとか白萩荘というところに分宿しておるところに来たのでありまするが、第一ホテルと白萩荘を除いてはピケの妨害はなか
つた、その二軒について妨害がございました。この二軒にはそれぞれ百五十名くらいのピケを張
つたのであまするが、これも五時二十分ごろ警備部隊によ
つて実力で排除をいたしております。受講者二百七十一名はそれによ
つて午前六時までに無事に講習会場に入場して、
予定通り七時から講習を受けられた模様であります。
会場前の
状況は、今度は県立の第二
高等学校に、先ほどの
お話の
通り変
つておりまするが、この門前には七時ごろからピケ隊が集合し始めまして、八時半ごろには五百名になり、抗議大会を開いて気勢を上げ、そして十時近くには二百名くらいが強引に校庭に入ろうとしましたけれ
ども、警備部隊でこれを阻止いたしております。その後共闘側は約七百名にふえて警備部隊と対峙しておりましたけれ
ども、十一時近くにな
つてピケを解除いたしております。講習会は午後二時にやはり
予定通り終りまして、受講者はそれぞれバスで旅館に帰
つております。この日の動員も、共闘側約七百名でありまするが、内訳は前日と大同小異であります。警察部隊も八百名
程度が出て警備に当
つたのであります。
次に第三日の
状況でございまするが、これもやはり前の日と大同小異の
状況でございまするけれ
ども、旅館前において先はどの話に出たようにもみ合いの際にへいがこわれたというような、その日は雨が相当降
つていて、凄惨をきわめたと出しまするか、非常にシリアスな
状態にな
つたのであります。まず旅館前におきます
状況は、受講者の分宿しておる五旅館のうち、旅籠町のあさかや旅館及び二寿美荘に対しましてピケが張られました。もさかや旅館の
状況は、午前四時ごろから
行動を起しました。ヒケ隊が、あさかや旅館前に集結を始めまして、労働歌などで気勢を上げて五時半にはその数が三百名に達しております。あさかや、第一ホテル間をジグザグ行進をいたしておりましたけれ
ども、あさかや旅館に比し二寿美荘に対する警備部隊が若干手薄であることを察知しまして、また宮城県の受講者四十二名が二寿美荘に宿泊しておるということもありまして、この方に主力を注ぐため、約百五十名が五時半ごろに貸し切りバス二台で急遽その旅館の方に移動いたしております。このためにあさかや旅館の方におりました受講者は、五時半ごろピケ隊の大した抵抗もなく会場に向けて出発しました。一番多くなりました二寿美という旅館の前の
状況でございますが、ここはあさかや旅館前から来たピケ隊の百五十人が旅館の玄関口付近に四列のピケを張
つてスクラムを組んで、同旅館の出入りを阻止するとともに、裏側等にもピケを張
つて包囲態勢をとり、またピケ隊が乗車してきましたバス二台を、故障と称してピケの前面に停車させて、ピケ排除の障害物としたのであります。その後ピケ隊は逐次増強されまして、その二寿美荘の前は四百名に達しております。このため警備部隊は二百八十三名を午前六時現場に出動させ、六時五分にピケを排除いたしております。それによ
つて受講者は当然会場に出発したのであります。この際もみ合
つて旅館の隣の弁護士さんのへいが二、三尺、半ば倒壊したというような事件も起
つておるのであります。受講者は六時半ごろには全員会場に到着しまして、この日も
予定通り講習を
行なつておるのであります。会場前には百名くらいのピケがおり、なお八時半ごろには四百名くらいのピケとな
つたのでありますが、この日は大した気勢も上らずに十一時半ごろ五台のバスに分乗して引き揚げております。この日は講習会が相当おそくまで行われまして、前の日は二時に済んでおりますけれ
ども、この日は四時二十分までおやりにな
つて、妨害を受けずに旅館に帰
つておるのであります。共闘側の動員は六百名弱でございます。
第四日は先ほど内藤局長から
お話がありましたように、各旅館で分科会の
報告会と、それから閉講式をや
つておられます。ただどういうことで四日の日はそういうことにな
つたのかということにつきましては、多少見解が違うのでありますが、前の口で済むというふうに了解してお
つたことがそうじやなか
つたということ、及び翌日やるにしても、これは旅館でおやりになるということで、そういうときに妨害があるはずがないといいますか、外で大きなもみ合いがあるはずがないのだからということで、制服部隊は七百二十名動員はしましたけれ
ども、実際に出しましたのは四十三名の私服を旅館の周囲に情勢を見るという
程度で出したのであります。この点御了承願いたいと思います。
それから最後に奈良の
状況を簡単に申し上げますが、奈良につきましては先ほど来
お話がございますように、先般まで占領軍が使
つておりましたところをお使いになるということがきま
つたのであります。これは非常に広いところでありますけれ
ども、相当外部的には厳重に阻隔できるというようなところであ
つたはずでありまするが、これが針金を切るような機械で切ればやはり厳重であ
つても切れるというわけでございまして、正門のところ、あるいは裏の針金のさくを破
つて入られたというような事故も起
つております。しかしながら二十三日の午後に、場所がわか
つておらなか
つたためでありますか、妨害を受けることなく講習員はその場所に入
つておられます。しかしこれを妨害しようという計画のあ
つた立場としては、入
つたあとそれを黙
つて見のがすというわけにはもちろんいかぬのでありましよう、それを気づきました側におきましては、一昨晩からその外をうろうろしているという
状態が朝の三時ごろからございましたけれ
ども、夜明けに至
つて正門と裏の金網のところから多少の者が押し切
つて入
つた。このために十九名を建造物侵入で現行犯逮捕いたしたのであります。それに対して昨日は正門にピケを張ると同時に、警察署に対して被逮捕者の釈放要求ということで、二隊に分れてすわり込みなりあるいはスクラムなりを組んだわけでございます。そうして昨晩おそくに至りまして、署の前のすわり込みの中からまた署内に侵入しようとした男を一名逮捕し、またけさ方正門のところを引き上げて入ろうとした男を二名検挙いたしておりまするので、合計二十二名の検挙者を奈良において出しております。これを妨害しようとする労組員の数については私昨日いろいろ
連絡を受けておりまするが、その時間によ
つて非常な数の違いがありまするから、はつきり申し上げられま
せんけれ
ども、まあ六、七百から千名以内ということでございます。ただああいうところに対しましては、われわれの方の警備力というものが
平常であれば非常に弱いわけであります。奈良県全部を動員いたしましても、そこにさき得るのは三、四百ということでございますので、これは大阪管区警察局において慎重に計画を練りまして、足らない分は管区
学校の生徒あるいは大阪府の機動隊、
京都府の機動隊等の応援を得まして、警備上万遺憾なきを期しておるのが現状でございます。
以上簡単でございますが……。