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小林(正)
委員 少し三重県の
実情を御存じないと思いますので、私は中部日本新聞に出ております四日市の市民の声をここで読んで、
大臣のお
考えをいただきたいと思います。これはPTAの副会長の言であるますが、これ以上
教育界の混乱を防ぐため、染川さんは死をもって抗議したのだ。今はあえて勤務評定を実施すべきでないと思う。今後はもっとよく話し合って、再びこのようなことが繰り返されないようにわれわれは希望する。これはPTAの副会長が言っております。それから、やはり三重県で、マザークラブという会がありまして、その三重県の支部長の藤井さんという人がこういうことを言っております。もっと多くの人
たちと話し合い相談してきめる方法もあったのではないでしょうか。今後も問題が続くと思うが、もう一度よく練り直し、世論に従ってきめるのが最もよい方法でしょう、こう言っております。こういう
考え方が、大体四日市を中心とした県民市民の私は
考え方であると思うのであります。従いまして教職員の諸君が大ぜい詰めかけて、団交でもってぎゅうぎゅういじめ抜いた、そういうことではなくて、やはり長い間
教育に携わっておった染川氏が
教育者としての良心また良識から、非常に
政府の強い意図と、自分の
教育に対する一つの
考え方とのジレンマに陥って、こういう態度をとられたのじゃないかと
考えるわけであります。そこで私は
文部大臣にもう一度
お尋ねしたいのでありますが、県民、市民がこういうような
考え方をもって、染川
教育長の死を非常に悲しんでおる。もう一ぺんよくこの問題を話し合って、そう実施を急ぐべきでないという
考え方に対して、
文部大臣はどういう工合にお
考えになるかということと、もう一つは今度のこの問題を引き起したやはり一番大きな原因は、任命制によるところの
教育委員というものが、私はいかにこういった問題について無能であるかということを暴露した一つの事例であると
考えます。これについてもちょっと御
説明をいたしたいのでありますが、こういう工合に地元の新聞は言っております。任命制からくるいわば宿命的な性格の弱さは否定できない。
委員長の金子真二氏は塩浜にある近鉄診療所の所長で、外科の専門医、人柄はすなお過ぎるくらいおとなしく、それに仕事の性質上自由な時間が乏しい。
伊藤吉兵衛氏は、現在四光商事社長であるが、以前市
会議員をやっており、またおもちゃの収集家。文化人として知られているが、昨年一月脳溢血で倒れて以来療養しておって、ことしの
委員会からようやくぼつぼつ出席できるようになったが、まだ大声でものも言えないような人である。坂倉タマ氏は四日市地区婦人連合会長であるが、
学校の先生をしていまだ後アメリカで二十余年を暮したきわめて温厚な女性、三井啓策氏は東海硫安四日市工場長で工学博士、いざというときははっきりものを言う人であるけれ
ども、
東京本社との打ち合せその他できわめて多忙である。これら四人の
委員から押され、実際に
教育委員会の仕事を運営しておるのが染川清一郎氏である。同氏はかって県視学、市
教育課長な
ども勤めた
教育行政のベテラン、性格は謹厳で熱心、人のあげ足をとったり言葉じりをとってとっちめるということは、今までに一度もなかった。結論として染川氏を除いた四人の
委員は、文化人としてはりっぱな人
たちばかりであるが、きわめて線が弱く、自分の意思をはっきりと表明できるのは三井氏一人くらいのものである。それにきわめてこの方々は多忙であり、
会議出席がおくれたり、欠席が多かったり、事前打ち合せのこともできないで、そのために
委員会の意思統一な
どもむずかしかったと思われる、こういうような工合に、地元の新聞は
教育委員会の
実情を批判をいたしておりますが、こういう任命制の
教育委員会が生んだこれも私は実例であろうと
考えるのでありますが、こういった任命制の問題に対してもとのような、国民が直接選挙する
教育委員会の
制度に改めるようなお
考えが、この際
文部大臣にはないかどうか、その点を一つお聞きしたい。