運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1958-06-25 第29回国会 衆議院 文教委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年六月二十五日(水曜日)     午後三時十四分開議  出席委員    委員長 坂田 道太君    理事 稻葉  修君 理事 臼井 莊一君    理事 木村 武雄君 理事 永山 忠則君    理事 原田  憲君 理事 小牧 次生君    理事 櫻井 奎夫君 理事 辻原 弘市君       加藤 精三君    清瀬 一郎君       鈴木 正吾君    竹下  登君       谷川 和穗君    徳安 實藏君       平井 義一君    松永  東君       増田甲子七君    八木 徹雄君       山本 勝市君    受田 新吉君       西村 力弥君    野口 忠夫君       堀  昌雄君    本島百合子君       山崎 始男君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      山口 喜雄君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         文部政務次官  高見 三郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君  委員外出席者         人事院事務官         (職員局長)  矢倉 一郎君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木 才蔵君         検     事         (刑事局公安課         長)      川井 英良君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         文部事務官         (体育局長)  清水 康平君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君         文部事務官         (管理局教育施         設部助成課長) 今村 武俊君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 六月二十五日  委員濱野清吾君及び長谷川保君辞任につき、そ  の補欠として加藤精三君及び受田新吉君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月二十四日  勤務評定実施反対に関する請願西村力弥君紹  介)(第八号)  学校建築物等焼失による再建費国庫補助等に関  する請願丹羽兵助君紹介)(第九二号)  公立学校設置に要する土地購入費等国庫補助  及び起債制度確立に関する請願丹羽兵助君紹  介)(第九三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案内閣提出第三号)  文部行政に関する件      ————◇—————
  2. 坂田道太

    坂田委員長 これより会議を開きます。  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。前会に引き続き審査を進めます。  なお、文教行政について質疑が残っておりますのでこれを許します。西村力弥君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 灘尾文部大臣は、この前の委員会におきまして、いろいろ文教行政に対する抱負なりあるいは計画なり、そういうことを披瀝せられましたが、私ずっと拝聴しておりまして、まことに希望は大へんけっこうであると思うのでございますが、ただそこで落ちておる点があるように思えてならないのが次の点なのであります。すなわち、文教行政の最高の責任者である大臣は、まず第一に、今この日本の現状において、青少年を、どのような人間像を描いて作り上げていこうとするか、こういう点について何ら御意見を出されていない。その文教行政が期待する人間像というものには、文部大臣としては、熱烈なる情熱を込めて、それを描き出していただくことが非常に必要であるのではないか、かように考えるわけなのです。その点についてはいかようにお考えになっておられますか、お答えを願いたいと思います。
  4. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 非常にむずかしい御質問であります。日本学校教育におきまして、申すまでもなく日本国憲法並びに教育基本法の根本の精神に立脚いたしまして教育を進めなければならぬということは当然のことでございます。これらの法律に規定しておりますところの基本精神にのっとりまして、それにふさわしいような人間像を作り上げていくことに努力するという言葉に尽きるかと思うのであります。個人的にもまた社会的にもほんとうにりっぱなわが日本を形成する、日本国家日本社会を形成するりっぱな人格を作り上げていきたいということに尽きるのであります。今後の国際社会において日本は真に民主的なあるいはまた平和を愛好する国としてやって参らなければなりません。これを担当するのにふさわしい日本人を作り上げていくということに尽きるかと思うのであります。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 それは観念的に申せば、教育基本法に定められたる教育の目的というか、そういうのに盛られた人間を作るのだ、こういうことになりまするが、それでは教育なりあるいは文教行政なりの情熱はいささかもうかがうことができないだろうと思うのであります。そういうことではなくて、今最も望むのは何であるかということになりますると、やはりあくまでも自主的な精神を持っていく、あるいは真理と正義を愛するというようなこと、あるいはもっと強く私たちの要求しなければならぬ問題は、創造の精神というところにあるのではないか、しかも常に堂々と胸を張って歩く、そういう人間像を描かなければならぬじゃないかというように考えておるわけなんです。そしてまたもう一つお伺いしたいのは、現在の文教行政基底としましては、かつての戦争に対する強い強い反省というものが流れていなければならぬのじゃないか。これをとかくすべて忘れ去って、あれだけの高価な犠牲を払ったことを無にするような行き方が強く現われてくる。この点については、私たち常々文教行政に限らず、諸般の問題について遺憾に思っておるわけなんですが、こういう点について文部大臣はいかがにお考えになるか、お答えを願いたいと思います。
  6. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 西村君のお述べになりましたことにつきましては、私も全く同感でございます。お述べになりましたような、人間精神といいますか、そういうことについては何ら異論はございません。そういうことについて十分努力すべきことだろうと思うのであります。また戦争に対する反省の問題でございますが、これまた仰せ通りであります。日本憲法にいたしましても、また教育基本法にいたしましても、この戦争に対する重大な反省から生まれておると思うのであります。この点につきましても全く同感でございます。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 しからば現在、この勤務評定の問題がもう重大なる政治問題、社会問題と化してきつつある、こういう段階に立って、その戦争反省に立って、この事態を謙虚に、何にもかかわりなくこれをながめる場合において、この事態を一体どう見るかということ、教員諸君が、またかって戦争の被害に悩された父兄たちが、相当多くの人々が強く強く反対をしておる。東京都において、あるいは福岡において、検察当局の勾留にあい、あるいはそのほか検察当局の手入れをやられておるにかかわらず、なおかつあれだけの強い抵抗をする。これに対して多くの父兄がだんだんと共鳴を深くしてくる。こういう点はどこにその基礎があるかといいますると、戦争に破れた際において教員が激しく慟哭をした。悔んでも悔んでも悔み切れない、そういう慟哭基礎になって反対をしておる、かように私たちは見なければならないと思うのです。これは、人間として、あるいは教師として、非常に大事な反省というか、そういうものに立っておるのだという工合に私たちは見ておるわけなんでございますが、戦争後に強い強い反省をすることを基底として文教行政をしなければならないということに同感をせられる文部大臣はこういうことをどのようにお考えになるか、お答え願いたいわけなんです。
  8. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今日のいわゆる勤務評定をめぐりましての教育界ないし社会状態はまことに残念な事態であると考えております。かような事態はすみやかに収束しなければならない事態である、かように考えるのでございます。この勤務評定というものを実施いたす私ども心持ちについては、すでにしばしば申し上げたところであります。現在の法律に基きまして、それぞれ権限がある機関において勤務評定計画し、実施しようというのでございます。いろいろこれが実施に当りまして、各方面の意見を聞いて、できるだけ合理的な計画を立て、またスムーズに実施するということをはかるべきことは当然のことでありますが、この勤務評定実施ということに対しまして、頭から拒否してかかるというのが今日の日本教職員組合態度であろうと思うのであります。これはどう考えましても、私どもには納得ができないのであります。仰せ通りです。お互い国民といたしましては、この戦争に対するあの経験からかんがみまして、深刻な反省をしなくちゃならぬ、その通りでございます。さような意味合いにおきまして、あくまでも私どもはかような問題の取り扱い方につきましても、またこれに対処する方法にいたしましても、お互いに自由を尊重し、また民主的な考え方でやっていかなくちゃならぬと思うのでございます。残念ながら今日の各地における状況を見ますと、この点においてまことに遺憾であるというふうな心持ちがいたすのでありまして、願わくは、関係当局並びに教職員組合方々、いずれもよくお考えになりまして、問題を円滑に運ぶようにお願いを申し上げたいものだと念願をいたしておる次第でございます。
  9. 西村力弥

    西村(力)委員 今大臣の申されました通り、この勤務評定紛争が起きたそもそもの端緒というものは、あなたの方において、法にあるからこれをやるのだ、やるべきである、そういう強制をしたということは、これは世間だれも否定しないことなんです。そうやっておいて、発生した事態を、ただ他人事のような工合に、これが穏やかに収束することを望むのだ、こういうようなことを言われるだけであっては、あまりにも責任を感ぜられることが薄いではないか、かように思うのです。もっと積極的な手を打たなければならない、かように私たちは期待するのですが、この点についてはどうでございましょう。
  10. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 われわれが勤務評定に関する規定を実施しようといたしまするのは、何も強制しようとかなんとかいうことではございません。申すまでもないことでございますけれども現行法実施したいということにほかならないのでありまして、このことは、私は、少しも強制とかいうことで批判せられることではないと思うのであります。むしろこの勤務評定実施するということについて、関係者がそれぞれ協力をしていただきたいと思うのであります。法律施行に対しまして、しゃにむにこれが施行を阻止するがごとき態度こそ、私はそこに問題があるのではないかと思うのであります。先ほど西村君は、国民皆さん方がだんだん実施反対であるというふうに仰せになりましたが、私どもはむしろ逆に、今日の教育界の混乱ということに対して、国民諸君は非常に遺憾の意を表しておる、勤務評定実施ということについて反対せられる方々よりも、私は賛成される方の方が大多数だと思っております。
  11. 西村力弥

    西村(力)委員 あなたの方は、政府の方針を強行せられる場合においては、いかなる形態にあるにかかわらず、選挙の結果多数を占めておるのだから、われわれの主張国民多数は支持するのだ、かような考え方に立つのでございまするが、しかし事と次第によってはそうでないということは、これまでもたまたま例があることなんです。たとえば小選挙区のゲリマンダーを押し切ろうとした場合における国民世論反対、あるいはまた砂川の、あの行政協定に基く当然の措置としてやるのだという土地収用に対する国民の反撃、こういうような点はたくさん例があるわけなのでありまして、すべてあなた方のおやりになることは、選挙の結果を通して多数であるのだという、こういう形式的な考え方に立つべきものではない。こういうような考え方にだけ立ってこの事態に対処するとするならば、これはますますぬぐいがたい泥沼に追い込んでしまうのではないだろうか、こう思うのです。あなたは、勤務評定を強行することを文部当局は何も強制したわけではないのだ、かように言われるけれども、そういうことは答弁としては成り立つでしょうけれども世間一般は、そんなことはだれも考えていない。明らかに文部省一つの方向をもってこれを強行して押しつけてきたのだということをだれでもが考えておる。そういうときでありまするから、もっとこの事態収拾に当って、文部大臣としてはっきりとした見解を示していただかなければならぬじゃないかと思うのです。この際われわれが望むところは何であるか。そもそも教育問題に対して警察権を介入させるということ、こういうようなことは、文部大臣としては好むか好まないか。すでに好むと好まぬにかかわらずそこまでいってしまって、いきつくところその度を知らないというところにきておるわけなんです。お聞きしたい点は、文部大臣も、教育問題に対して警察権の介入を好まないということを認められて、そうしてこの事態を収拾するためにこうするのだという見解をぜひ示していただきたい、こう思うわけなんです。
  12. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 繰り返して申し上げるようでございますが、私どもは単に法律施行をはかっておるにすぎないのであります。法律施行をはかるということは、これは私ども文部省責任であります。それをただやっておるのにすぎないのでありまして、問題がかくのごとくむずかしくなりましたのは、この施行をはかるに際し、教職員組合方々が実力をもってこれを阻止しようというところに問題が紛糾してきたものと私は思うのであります。押しつけるとか押しつけないという問題ではないと私は思います。何がゆえにかような態度をもって反対せられるのか、私どもは実は理解に苦しんでおるのであります。静かに問題を取り上げられまして、民主的におやりになることには、だれもかれこれ言う人はないと思う。とにかくかような態度であくまでも阻止しよう、しかもそのやることが今日の地方公務員法に触れまして、そのある部分はこれが刑罰法令に触れるというようなことになってくることは、まことに残念なことであります。ぜひそういうことのないようにということは、しばしばわれわれが御注意もし、また警告もいたしておるところでありますが、それにもかかわらず、あえて法律違反の行為をして省みられないというところに、私は問題の発端があると思う。その辺を何とか考え直していただかないというと、なかなか解決しない。警察権教育界に出てくるということは、もとより私ども残念なことであります。こういうふうなことのないことを切に希望するものでありますが、そのためから申しますと、どういたしましても今日日本教職員組合諸君がおとりになっておりますところのあの態度について、重大な反省を求めたいと私は思うのでございます。
  13. 西村力弥

    西村(力)委員 事は相互の問題でありまして、あなたがそういう工合に一方的に反省を求める、しからずんば警察力を導入してでも、あるいは逮捕、拘留何をやってもこれを鎮圧するんだというような考え方、そこに先ほどいわれた、かつての戦争に対する強い反省というものはないんだと私は言わざるを得ないのであります。こういう点を私たちは軽々には見のがすことはできない。それであなた方は法律に違反すると、かように文部大臣は断定せられましたが、この問題は双方に法的な主張があるのです。そしてまた委員会等におきましても、法務大臣もあるいは刑事局長も最終的には裁判所の決定すべきことであると言っているのです。それをあなたが違法である、かように文部大臣としてきめつけられるということは、これは少し越権ではないか、私たちはそういう工合考える。その違法であるかないかについては今後また話し合いをすることにしまして、ところでこのように投げやりにいわれて、成り行きまかせのような状態では何とも困る。この際私はやはり一時この強行を中止して、そうしてこの勤務評定が最も合理的にそして信頼のおけるものに、納得して実施せられるような工合に、実際にそういうものを研究する専門の研究機関でも持つ、こういうような立場に立って、これで一つ今回の紛争の一応の整理をなさるべきが至当であると思うのですが、そういうお考え文部大臣としてはございませんですか。
  14. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どうも西村君のお尋ねは、私には筋に乗ってこないような気持が実はいたすのであります。私たちは決して無理なことをやろうというふうには考えておるわけではございません。法律に基いて地方教育委員会が慎重に検討いたしました計画地方責任をもって実施しようと、こういうことでございますので、教職員組合諸君におかれましても、この大筋だけは一つお認め願って実施するという建前のもとにいろいろ御検討願うことは何ら差しつかえない。また地方委員会におきましても十分それらの意見等につきましてもしんしゃくをして物事をきめられていくということについても、かれこれ言う筋合いではないのであります。問題の発端が先ほど申し上げましたようなことから起っております。そこの点に何か転換がない限りは、なかなかこの問題については解決しにくいのじゃないかと思います。またこれを鎮圧するために警察を導入したとかいうお言葉でございますけれどもさような事実は少くとも私は全然関知いたしておりません。問題は法律違反の事実があるということで警察権が発動したにすぎないと思うのであります。決して喜ぶべきことではございませんけれども、今日の事態から申しまして、まことにやむを得ないところがある、かように私は思うのであります。一日もすみやかに警察権あたりが出てこないような事態に立ち戻ってもらいたいと思います。  違法の問題等についてのおしかりを受けましたけれども行政当局行政当局としての解釈の上に立って法律を運用しなくてはなりません。最後にはあるいは裁判によって決定するということもございましょうけれども、それぞれの当局当局としてその見解に基いて法律を運用して参るということは、これは当然のことであります。
  15. 西村力弥

    西村(力)委員 私が具体的な提案をしたことに対しては全然御回答がございませんが、このように、一応その研究機関を設置して収拾するというふうなことになりますならば、われわれとしてもまことに好ましいことであり、この点に関しては私は最大の努力をお互いに一緒になってやって参りたいと思うのですが、このままで、今仰せられるような状態でいくならば、私が先ほど指摘申し上げました通り、今回の教職員反対基底には、敗戦の際の大事な子供を死に追いやった激しい反省というものがあってやっているのだということ、この点はなかなかもって、あなた方がそういう強硬手段に出たにしても、決して簡単におさまるものではないだろう、かように言わざるを得ないわけなのです。  そこで一つ申し上げたいことは、この前の委員会において大臣は、勤評反対する校長はその能力を疑う、こういうことを申せられておるのです。これは自民党筋からの不規則なる発言に対してこの答弁をなされているわけなのですが、このことは非常に重大でありますので、言葉じりをとらえるようでございますが、これは取り消していただかなければならぬのではないだろうか、こう私は思うのです。この勤評反対する校長は今日多数おる。一県こぞってやっている場合もたくさんある。こういうものに対して能力が疑わしいというようなことを文部大臣仰せられるということは、これは教育自体を否定することになるのではないか。ですからこの発言に対しては私は一つ釈明を願いたい、こう思っておるわけなのです。
  16. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまの問題はたしかこの間の堀さんからの御質問に対するお答えのうちに、そういうことがあったかと思います。私はあるいは御質問の御趣旨を誤解しておった点もあったかと思いますが、私の了解しましたところでは、今回の地方教育委員会で定めました計画に基く勤務評定実施ということについて、学校長がわれわれにはそれをやる能力がない、こういうような場合はどう考えるか、こういうような御趣旨の御質問だったかと思うのであります。地方教育委員会も、現場の学校長の問題にいたしましても、そのほかのいろいろな事例等についても研究をいたしまして、かなり慎重に検討した結果この計画を立てておるわけでございます。学校校長さんにできないようなことを計画いたしておらないと思います。もし、頭からできぬというようなことを計画いたしておるとすれば、それは計画自体が悪いということにもなってくるわけでございます。しかしそういうふうな不能なことを求めておるというようなことはない。全然無縁の者が作っているわけではございませんので、教育委員会当局者がいろいろ検討しましてこしらえたことでありますので、まずまずできるものを考えておるものと私は想定いたしたいのであります。その前提に立ちますならば、これはできませんから御返上をします、こういうふうなことになってくると、学校校長さんの能力の問題になってきわしないかというようなことを実は申し上げたわけでございますが、これは話の筋道がそういうことでございますので、決して校長を軽べつするとかなんとかいうような趣旨で申したわけでも何でもございません。御了承願います。
  17. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、法に基いて実施をするのだ、かように申せられまするので、その法に基いて実施するならば、私たち主張したい点は、人事院規則の中には、勤務評定実施する場合には、試験的な実施その他の調査をやらなければならぬことになっておる。そういう過程を経ないで、突然として実施されるということは、これは不当であると私たちは思うのでございますが、これはどうでございましょうか。
  18. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 すでに国立学校につきまして私ども二十七年からやりまして、二十八年からは正式に規則をもって実施しておるのでございます。地方公務員、特に地方小中学校につきましても、実は県立学校については数年前から実施されております。小中学校につきましても、愛媛その他富山、愛知等においてもすでに実施されておるのでございます。全体的に考えますれば、相当今までそういう実績を積み重ねておるわけでございます。
  19. 西村力弥

    西村(力)委員 それは国家公務員である教職員に対しては、そういうことをおやりになったかもしれませんけれども地方公務員である教職員に対しては、まだ全然最初であるわけなんです。それとこれと一つにして、そうしてそれをもって試験期間を置いたのが、かような工合考えられることができるか、これはもう第一次評定というその評定のあれを見ると、校長さんがやるけれども、次の段階評定者はこれは全然違う、こういうことになっておるだろうと思うのです。ですから、それをもって直ちに試験期間を置いたのだ、かような工合考えられるということ、われわれとしてはちょっと納得しかねる点がある。その点はいかがですか。
  20. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 地方公務員、特に教職員につきましても、先ほど来申しましたように、県立学校におきましては静岡その他数府県、あるいは十数府県においてすでに実施済みでございまして、その点は私どももそれによって別に支障がないと思っております。特に小中学校につきましても、愛知県あるいは富山県等については実施済みでございまして、また先般、一昨年以来愛媛県においても実施されておるのでございます。そういう点を十分勘案して、今度の都道府県教育長協議会の試案ができておるわけでございますから、試験的には私どもは一応済んでおる、かように考えております。
  21. 西村力弥

    西村(力)委員 それではその試験的実施をなさったというその結果については、確かにあなた方が検討せられまして、評定結果の識別力がはっきりしているとか、あるいは信頼性があるとか、妥当性があるとか、こういうような判定をなさることができましたかどうか、今申された点、実施した県の実例に徴してこれはどうでございますか。
  22. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 従来国立学校あるいは都道府県立の学校、あるいは小中学校等について実際やった結果、さらに改善すべき点を改善いたしまして、このたびの全国都道府県教育長協議会の試案ができておるわけでございますので、それについてすでに実施した県は、提出いたしましたのが愛媛県でございます。愛媛県では去る二月十三日に全県一斉にこの新しい勤務評定の試案に基いて、ほとんどそのまま実施いたしましたが、別段支障がないと存じております。
  23. 西村力弥

    西村(力)委員 支障がないのじゃなくて、勤務評定をやった結果が、ほんとうに人事管理をやるに足る、しかも万人が納得する妥当性とか信頼性とかいうものが証明づけられたかどうかということなんです。ただ前にどこでやったから、その通りやれるのだというのじゃなくて、その試験的実施をやった結果が、妥当性、信頼性をかくかのごとく証明された、こういう点が明確でなければ、それは試験的実施とは言えないではないか。その点はいかがでございますか。
  24. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今日の段階で、今までやった勤務評定の結果、よりよい人事管理の行政ができた、かように私ども考えておりまして、今の勤務評定の試案について、別段差しつかえはない、かように考えております。
  25. 西村力弥

    西村(力)委員 それはただあなた方が実施して、そうして一斉にやったから、その結果は見ないけれども、うまくいっているだろう、こう言うにすぎないじゃないですか。それは結果を見ておる話ではございません。こういうことをもって試験的実施をやった、こういう工合に強弁せられるということは、これは一方的ではないかと私は思うのです。具体的に信頼性がかくかくのごとく証明された、この評定は確かにその妥当性を持つものだということが証明された、こういうような根拠というものがなければならないではないか、そうしてその根拠がはっきり万人が信頼するものになったときに、それで試験的なあれは終了した、だから今度は全面的に実施する、こういうならば話はわかりますけれども、そうでない現在において、あなた方がそういう工合に試験的実施をやったというふうなことは、少し強弁に過ぎるではないか、こういう工合に私たち考えるのですが、その点いかがでございますか。
  26. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほど来申し上げましたように、国立学校等の実施の状況、あるいは都道府県立学校実施の状況、その他小中学校等の実施の状況等を勘案いたしまして、このたびの試案は、現在の状況のもとでは最善を尽した案ではなかろうかと存ずるのでございます。
  27. 西村力弥

    西村(力)委員 それではお聞きしますが、この評定をやる教職員の職務基準というものは、どのようなものであるか、それを一つお聞かせ願いたい。
  28. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 大きく分けまして、勤務の実績の方から見る見方と、それからもう一つ教職員態度、徳性、性格等について見る、その二つの面から見ていく、こういうふうに分けております。
  29. 西村力弥

    西村(力)委員 それは勤務評定をやる規則にはそういう二つの面があるわけですが、それを見る尺度、基準というものは何であるかということです。それを明確にしてもらいたい。
  30. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 たとえば学級経営とか、あるいは学校経営という場合に、いろいろと皆さん方の主観がある場合も予想せられますが、できるだけ詳細に、学校経営というものはこういうものである、あるいは教育愛というものはかようなふうに見るのだというふうに、相当詳細に考え方を規定しておりますので、大体私どもとしては校長さんの良識をもってはかりますならば、統一的な見解が見出されるだろう、かように期待いたしております。
  31. 西村力弥

    西村(力)委員 それはこの評定をする場合の項目にすぎない。その項目一つを取り上げても、たとえば児童を正しく理解しておるか、こういうことがあるのだが、正しくとは何ぞや、こういうので問題になる。そこまで行かないにしても、教員は一体どれだけの職務を持って、これこれだけは果さなければならぬ、これだけ果せば大体百パーセントである、これ以上は優である、これ以下はどうである、こういう基準が明確でなければならぬ、こう思うのです。それを全然不明確にしてやるところに、今回の勤務評定が主観的なものであって、納得されるものにならないのだ、かようにみんな受け取っておるわけでありますので、今まで試験的にやったとするならば、その職務基準というものは明確に打ち出されておる、かように私たち考えざるを得ないわけですが、それを一つ示してもらいたい。各県においてやっておる、あるいは国立学校教員についてやっておるというならば、これは職務基準というものを明確にして、それを尺度としてはかっておるはずですから、それを示してもらいたい。
  32. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私どもはこれは国家公務員についてもすでに実施しておりますし、また国立学校においても実施済みでございまして、別段それについて評定が困難であるというふうには考えておりませんし、万事国立学校その他国家公務員と同じように、教職員についてもできるものと考えております。
  33. 西村力弥

    西村(力)委員 そうするとあなたのおっしゃることは、とにかく評定項目についてのそのつけ方というものは、これは第一次評定者校長、それを調整する教育長ですか、そういう人々の主観に尺度が置かれているんだ、こういうことを認められておるように私たちは受け取るのですが、この点はいかがですか。
  34. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 最終的には評定者の主観によると思います。ですけれども評定者の主観をなるべく制限して、より客観的なもの、より合理的なものにしようという配慮がなされておるわけでございます。
  35. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、あくまでもその評定者の主観によるものだ、こういうことになるわけですか。しかしそういうことになりますると、人事院総裁にお尋ねしまするが、この人事院規則の中には評定をやる場合においてはその「職務遂行の基準に照らして」と、はっきり明記してあるはずだと思うのです。今のような御答弁によって、その人事院規則に制定されたる趣旨というものは満されるかどうか、この点について御答弁を願いたい。
  36. 坂田道太

    坂田委員長 人事院総裁は今ちょっと出ているそうです。ほかの質問を続けていただきたいと思います。
  37. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは人事院総裁がおいでになってから続けることにします。  校長が第一次評定をやるという原案に全部なっております。しかもそれを主観でやれ、こういう工合に押しつけられているわけなんですが、校長評定をする義務というか、権限というか、そういうものは存在しないとわれわれは思うのです。これは午前中からも管理職手当についての論議がいろいろ出ましたが、校長の仕事というものは、そういうような工合に、普通の行政官庁の所属長の立場と違って、学校の職員の教育をやることを調整する、こういうようなことが主たる仕事でありまして、何も評定をしなければならないというようなことは存在しない、かように考えるのですが、この点はいかがでございますか。
  38. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 午前中の委員会でも問題になりましたように、学校教育法二十八条によりまして、「校長は校務を掌り、所属職員を監督する」こういう規定が明確になっておりますし、さらに地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりまして、校長は人事に対する内申権あるいは具申権を持っておるわけでございます。そこで人事の内申または具申をする場合には、当然職員の勤務評定がされておったはずでございます。そのされておったはずの勤務評定を、今度は個人の主観にまかせないで、項目を整理し、できるだけ合理的、客観的なものにしようということにしたわけでございます。ですから私どもとしては当然に内申権がある以上は勤務評定をする義務もあると思っております。
  39. 西村力弥

    西村(力)委員 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の四十六条に、「この勤務成績の評定は」、「都道府県委員会計画の下に、市町村委員会が行うものとする。」こういうことにはっきり明示されておるわけなんですが、監督の問題は先ほどから論議がありましたから、それはしばらくおきましても、この条項によっても明瞭なように、校長評定権というものは存在しない、こういう工合に私たちは言わざるを得ないわけですが、その点はいかがですか。
  40. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほど来この委員会で管理権の問題が出ましたけれども、管理権を行使する者が職務命令を出すことは当然でございます。
  41. 西村力弥

    西村(力)委員 その点については御答弁とはっきり見解を異にするのですが、しからば、次の段階において市町村教育委員会教育長の手によって第二次評定をやる、あるいは校長評定をやる、こういうようなことは、教育長は教育専門職でなくてもよいはずでありますから、ちょっとできないはずである、私たちはさように思う。この前の委員会におきましても大臣は、あなたはできるかということの質問に対して、できることとできないことがある、かようにはっきり申されておる。それと同じことではないか。この点はいかがでございますか。
  42. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 教育長はこの勤務評定ができないのではないかというお尋ねでございますけれども教育長は当然に部下職員の勤務評定をしているはずなんです。もしそれができないなら、教育長は人事の具申、内申ができないはずなんです。だから私ども教育長ができるという解釈をとっております。
  43. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは次に文部大臣にお尋ねしますが、この勤務評定の問題について一つ具体的にお尋ねをしたいと思うのです。これは雑誌「世界」の七月号に出ておったことなのでありますが、たとえば道徳指導要領の中に「緑の週間」というのをあげておる。そういうときにこの教材を扱う教員がスライドもしくは映画によって荒廃した国土の現状を見せて、そうして解説にいわく、これは戦争責任があるのだ、戦時中に木の根までも掘らせたり、あるいは戦後急激な木材の値上りによって乱伐した、こういうことからこの国土の荒廃ができたんだ、だからその根源は戦争にある、戦争はかようにして起きたのだ、しかもこの戦争責任に問われた人はかくかくだ、こういうようなことを教えたとするならば、その先生は勤務成績がよろしいかどうか。そういうところに非常に主観が作用する危険性が端的に現われてくるのではないかと思うのですが、今申したような教え方をした先生は勤務評定がよろしいかどうか、こういう点について文部大臣見解一つ聞かしてもらいたい。
  44. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は教育の専門家でも何でもございませんので、教育についてのお尋ねでありますと、お答えがしにくいのであります。先般堀さんからのお尋ねに対しましても、私のできることもあればできないこともあるということを申し上げたわけであります。今のような御質問につきまして、私がお答え申し上げるのが果して適当であるかどうかということも、実は疑問を持つのであります。その先生の言われましたことが、全く戦争のためにそういうことになったのだということであれば、それをそのままおっしゃることに何ら妨げはないと思います。それは勤務評定に何らの関係はないと私は思います。
  45. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、人事院総裁がおいでですか。
  46. 坂田道太

    坂田委員長 先ほど、総裁はここに入っておって気分が悪くなって帰りましたが、かわりに職員局長の矢倉君がおりますから、続けて下さい。
  47. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど人事院総裁に対してお尋ねした点は、この勤務評定をやる場合に、人事院規則に明示されている点は職務基準に照してこれを評定するとなっておるのだが、ところが実際に教職員の場合においては職務基準というものが明確でない。しかしいろいろな項目に従って、学校長なり教育長なりの主観に基いてこれを評定するのだ、かような答弁でございましたが、このようなことでは人事院規則に掲げられた趣旨と全然反すると思うのですが、人事院当局見解はいかがでございますか。
  48. 坂田道太

    坂田委員長 矢倉さんはまだ来ないそうです。
  49. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは人事院総裁に対する質疑はあとに回しまして、次に本日の主題である勤評紛争にかかわる警察権の介入の問題について、いろいろお尋ねをしたいと思うわけであります。  私が聞くところによりますると、東京都の支部長その他に対して拘引をしたり、あるいは学校その他を家宅捜索をやったり、任意出頭を求めたり、こういうような措置に出る前に、文部当局その他の関係当局が集まって数回協議をしたということだが、その点は事実であるかどうか。
  50. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 そういう事実はございません。
  51. 西村力弥

    西村(力)委員 あなたはそういう事実はございませんと仰せられるが、私はこの点に関しては相当しっかりした情報を持っている。その際に、文部省からは確かに内藤初等中等教育局長が出られた、こういう工合に聞いているのです。そういう事実はありませんというような、その場ごまかしの答弁は、むしろなされぬ方がよろしいのではないか。しかもこの間の委員会においては大臣は事務的な打ち合せはした、こういうことを申されているはずなんです。一体今の答弁を取り消して、事実そのものをお話し下さるわけには参りませんか。
  52. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私どもは東京都の支部長の逮捕あるいは家宅捜索等につきまして、事前に打ち合せた事実は全然ございません。
  53. 西村力弥

    西村(力)委員 その点は、それでは警察当局の方に伺いますが、そちらの方でも確かにその通り、同様の御答弁であるのかどうか。これがそのようなままであるとするならば、私たちある方面は追及しなければならぬ段階になるのです。ですからこの点警察当局からも一つ答弁を願いたい。
  54. 山口喜雄

    ○山口政府委員 東京都の教員組合の関係の、地方公務員法違反の事件につきましては、警察といたしまして独自の判断に基いていたしたものでございまして、御質問のように、文部省その他と相談したというようなことは絶対にございません。
  55. 辻原弘市

    ○辻原委員 関連して。委員長にお尋ねいたしますが、今西村君の質問は、私は警察庁に対して質問を行なったと思います。お答えになられた山口さんは、警察庁の管轄ですか。
  56. 山口喜雄

    ○山口政府委員 そうでございます。(笑声)
  57. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、打ち合せをしたいという工合には、もうこれ以上絶対に言わないでしょうから、私が聞いている範囲だけを申し上げますと、これは数回打ち合せをしている。そこには内藤局長が出席している。そして、むしろその警察権の介入に対しては、内藤さんはというか、文部省がというか、積極的な意向を示した、こういうことを聞いておるのです。ですが、その点については会合した覚えがない、かように仰せられるわけなんでありますから、ただ私が聞いておるだけを申し上げて、あとの点はこれ以上追及することはやめますが……。
  58. 坂田道太

    坂田委員長 人事院が来ました。ようございますか。
  59. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは、人事院の方が参りましたならば、先ほど残っておる点をちょっとお尋ねしたいと思うのですが……。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  60. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 西村さん、警備局長には御用はありませんか。
  61. 西村力弥

    西村(力)委員 あります。  先ほど人事院の方がお見えになりませんで、保留してありましたが、勤務評定実施に当っていろいろ事前の試験的な実施もやった、こういうことでありまするが、いろいろお聞きしまするに、人事院規則に示されている職務の基準というもの、これを尺度としてはかるという規定がございますが、そういうことに対してははなはだ不明確なんです。そのような状態であっては、人事院として勤務評定は正しく行われると考えるかどうか。この職務の基準が明確で、だれが見てもはっきりする尺度でもって職務内容を、勤務内容を、成績を評定する、そうでなければ正しい勤務評定はなし得ない、なし得ないばかりか、非常な弊害を及ぼすものだ、かように考えるのですが、その点については人事院当局はどのようにお考えになるかどうか。
  62. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 ただいまの御質問お答え申し上げます。人事院規則では職務遂行の基準に照らしということが明瞭にうたってあるわけですが、これにつきましてはすでに私の方で行政措置の要求等も出まして、それに対しての判定等もいたしておるのでありますが、その内容によりますと、職務遂行の基準というのは国家公務員に関する限りは、それぞれ分課規程その他所掌の事務が一応明確になるような定めになっております。従ってそれをもとにして各職員の行うべき職務の遂行の目安というのがつくようになっておるのでありまして、御承知のように国家公務員法は官職中心の規定をいたしておるのでありまして、従ってそれぞれの官職についてはその官職の遂行すべき内容というものが明瞭になるような措置がどられておりますので、国家公務員に関する勤務評定に関しましては、職務遂行の基準というのがおのおの職員によって明瞭にされ、かつ判定の立場に立ちますところのいわゆる管理者も、それについて十分な認識をし得る状態になっておるわけでございます。
  63. 西村力弥

    西村(力)委員 答弁はそれだけでは不足なんでありまして、今教職員に対する勤務評定実施するに当りまして、職務の基準というものがはっきりしない。ただ評定する項目を並べただけであって、その職務を遂行する基準というものは何ら明確に示されない。その示されないまますなわち尺度がないまますなわち主観のままに評定をする、こういうことが言われておるわけなんです。それでは人事院規則に定める趣旨とは全然違って、正しい評定というものはできるかどうか。これについて人事院の見解をお示しいただきたい。
  64. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 実は私、国家公務員の方の所管でございますので、その立場からお答え申し上げたわけでございますが、職務遂行の基準がそれぞれの職員に不明確でございますと、いかなる範囲の仕事の責任を持つかということが不明確になりますので、この点は一応それぞれの職員に課せられているところの事務の範囲というものが明確になっておるわけであります。ただ勤務評定実施の場合に、それが一般的に列挙された条項としておのおの示すということになりますと、実は官職の種類というのが非常に複雑多岐に分れておりますので、従って統一的な基準を示すということが現在の状況においては明瞭にされ得ない状態にございますので、現在のやり方としては今申し上げましたように、管理者の、いわゆる判定の直接の衝に当る人たちの認識と、それから判定を受ける職員の実際の自己の職責の範囲というものが明瞭になれば、その範囲でやり得るというふうに考えております。
  65. 西村力弥

    西村(力)委員 人事院規則を正確に適用になるように指導するのが人事院の責任であると思うのですが、国家公務員教職員に対する勤務評定が行われている、職務の基準が不明確なるままで評定が行われている、こういう実態に対して人事院は一体どういう処置を今までとられたか、それから今後どうなさろうとするのか、これがはっきり明確にならなければ、この規定そのものは全然無視されたということになるのではないかと思うのですが、どうですか。
  66. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 実はこの勤務評定に関しましては、規則をごらんいただきますればおわかりいただけますように、人事院規則は大体勤務評定の基準となるべき事項だけを明示する、そして自余のことにつきまして勤務評定実施官庁であるそれぞれの各省庁におまかせするという形をとっております。なぜそういうことにしたかと申しますと、勤務評定につきましてはそれぞれの省庁におきまして、かなり特質的な評定をせざるを得ない場合がありますので、従ってさような意味から一応の基準を示して、その範囲において各省庁で実施していただく、かようになっておりまして、従って職務の基準となるような本件の問題につきましても、それぞれ各省庁の実施によって先ほど申し上げましたような範囲において明瞭にするというふうなことで動いているわけでございます。
  67. 西村力弥

    西村(力)委員 あるいはそういう工合にしなければならぬ場合も相当あるかと思いますが、あなたがそういう御見解を示されるならば、勤務評定が規定されている人事院規則十の二というところにある、その前段の妥当性とか信頼性ということを全然無視してしまうのかどうか。そういう工合に各省庁の独自の立場に委任するにしましても、前の方の信頼性、妥当性とかあるいは容易にできるとか、そういうような問題をやはり満たさなければならないのではないか。その点は十分に満たすことが可能であるという、こういう前提のもとに今申されたようなことをしなければならぬのではないかと思う。その点に対する配慮はどういう工合になさるのか。
  68. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 実は勤務評定についてねらうべき目標というのは今仰せのごとく妥当性、信頼性という問題が非常に重大であるということはよく承知いたしておりますし、またそれが人事院規則の中にもうたってありますので、これは一応各省庁での評定実施一つの目標としてこれが打ち立ててある限り、各省庁がこの目標に従った方法をとるということは当然でございまして、さような方向において、われわれの承知しております限りは各省庁は実施に当っていると存じております。
  69. 西村力弥

    西村(力)委員 次にお尋ねしたいのは、東京都の教職員組合が東京都の人事委員会に対して勤務評定に対する勧告を求める、こういう要求を出しておるはずです。これを、人事委員会のなすべきことではない、これは勤務条件には入らない、措置要求の対象にはならない、こういう見解のもとにこれを却下せられた、こういうことを私たちは聞いておるのですが、私たち考えますに、この勤務評定というものは、その表面は法にあるから実施するのだというけれども、そのねらいとするところはやはり公正なるというか、妥当なる人事管理をやるんだ、こう申されておる。その勤務評定は、はっきり自分たちの身分とかあるいは勤務条件とかあるいは給与とかいうものに直接に影響を持つものである、それであるから、これが人事委員会の審議の対象にならないというような却下の仕方は不当であると私たち考えるのであります。その点に対する人事院の見解はいかがですか。
  70. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 実は、行政措置要求の範囲がどういう点にあるか、この問題は私の方の直接担当しております仕事の範囲外でありますが、さような行政措置要求に対する判定が出たということだけは私は承知いたしております。さらに地方の人事委員会のそういった措置については、人事院はこれに対する指導の権限も責任もないというのが現状でございますので、さよう御了承願います。
  71. 西村力弥

    西村(力)委員 それは指導の責任も権限もないというけれども、人事院というのはその成立から言いまして、こういう問題に対しては最も公正なる見解を常に持っていなければならないわけです。ですから、そういう立場に立って人事院の見解を私は示してもらいたい。地方の人事委員会を指導するという立場からではなく、人事院としての見解を示していただきたい。
  72. 矢倉一郎

    ○矢倉説明員 実は私の当面いたしております仕事が職員局の仕事でございますので、これは公平局の所管になっておりまして、私がここで見解を申し上げることはむしろ控えさせていただいた方がいいと存じますので、どうぞ御了承願います。
  73. 西村力弥

    西村(力)委員 警察権の介入の問題に移りますが、教職員が措置要求のために年次有給休暇をとってそして集合した、それが争議行為であり、またそれを企画しあるいは扇動した、こういう名目で警察権の発動になっております。これはいろいろな委員会においてたびたび論議をせられたのでございますが、私たち見解は、他の委員からそういう機会に十分に述べられていると思うのでありますが、何としましてもこの年次有給休暇は、当然の権利として労働基準法の第三十九条に認められておるのだ、こういうことでありますし、また年次有給休暇をとることは決して就業を拒否するということではなくて、休暇をとるのだ、それ自体が休暇をとることにある、就業拒否ではないのです。そういう点から言って、これは当然認めらるべきものである、合法的なものである、かように一つ考えられますし、また措置要求のためにその教職員あるいは地方公務員が行動をする、こういうようなことは、そもそも地方公務員あるいは国家公務員、そういうものに対して争議権なり憲法に保障されたる基本的な権利を制限される場合に、どうしてもこれを制限する反対的な措置として、この措置要求というものを法制化したのだ、かようになっておるわけなんですが、この措置要求に対する行動に対して、ゆえなく妨害を行なった場合においては罰則規定までもある。それは年次有給休暇に対してもその通り。これを不当に圧迫した場合においては罰則規定がある。こういうところから見ましても、これがいかに重要視されておるかということがはっきりいたすのであります。  今回というか、この間行われた東京都の教員諸君の集会なり、あるいは福岡の集会なり、そういうものはこの年次有給休暇を自分たちの権利として行使をする。こういうことと、それからまた法に規定されている措置要求、そういうために行動をしたということであって、何も就業を拒否するというような罷業的な要素を持ってやられたのではない。こういう立場を私たちははっきり持っておるわけなんでございますが、これは刑事局長においてはどういう工合考えられますか。その点についてお尋ねいたします。
  74. 山口喜雄

    ○山口政府委員 学校の先生が地方公務員法の三十七条で、一切の争議行為を禁止されておることは御承知の通りであります。なおこういう行為をあおりそそのかしたりした人々につきましては、別に罰則規定があるのであります。そこで人事委員会に対して勤務条件について措置要求をされるという、法に認められた手続をおとりになる場合におきましても、それがたとえば勤務時間外に行われるとか、あるいは勤務時間中でありますれば、職務専念の義務を免除せられる手続が正当にとられた上で行われる、あるいは正当な手続で有給休暇がとられた上で行われますならば、私どもはこれについて何ら関係を持っておりません。ただ残念ながら今回の東京都の教職員組合におきましては、有給休暇の要求といいますか、請求はされましたが、これに対しまして都の教育委員会あるいは学校長学校の正常な運営を阻害するおそれがあるというので、一切そういう有給休暇をあの日に認めるわけにはいかないということを、はっきりと意思表示をされ、なおその上に業務命令が出されたというように聞いておるのであります。従いまして、先般の東京都の教職員組合が行いました行為は、地方公務員法の三十七条違反の争議行為の実体を備えておるものではないか、私どもはかように考えております。従ってそういう行為をそそりあおったと思われる疑いのある方々につきまして捜査を進めておる、こういう次第であります。
  75. 西村力弥

    西村(力)委員 あなた方の解釈はいつもそのような工合になっております。しかしこの三十七条の年次休暇をとるということは、先ほども申し上げましたように固有の権利としてあるわけで、それが明瞭に公共の福祉を侵害するということがある場合において、これは否定される場合もあるかもしれませんけれども、しかし実際あの場合に、先生方が年次有給休暇をとって、そうして集合する場合には、教育については十分なる配慮を行なっているのです。しかもその教員教育というものは、単にその一時間あるいは一日の問題で判定さるべきことじゃなくて、これは少くとも一学期あるいは一年を通して教育計画を立てておる。しかも教育計画を立てるのは教員自身の仕事である、こういう工合に私たち考えるのです。ですから自分たちの権利を行使する場合において、明瞭にこうすることによってだれそれに危害を及ぼすとか、ほんとうに危険な事態にあるという場合はいざ知らず、そうでなければ当然請求したままこれが認めらるべきである、私たちはさように考えておるのです。  またもう一つ問題になることは、それをあおりあるいはそそのかした、こういうような容疑をかけておりますが、労働組合が一つの議案を出して徹底的に討論をして、そして決議を行なった、その決議を組合に伝達するというようなことが、何がゆえにそそのかしたということになるのか。そういうことは明らかに拡大視された解釈に相なっておるのではないか。もっと重要視されなければならぬのは、憲法で保障された団結権とか団体で行動をするというところを最重点に考えて、そうしてそれに付随する仕事を幹部がやることにただ単に扇動したというような容疑をかけるということは、これはあまりにも拡大解釈になるのではないか。そういうような解釈をやれば、一体教員組合あるいは地方公務員の組合などというものは、団結し、行動するということが不可能になってくるではないか、かように私たちはこれをおそれているわけなんです。その点についてはいかがですか。
  76. 山口喜雄

    ○山口政府委員 教員組合の執行部等におきまして、たとえば戦術委員会あるいは闘争員会というようなものを開きまして、休暇闘争をするについていろいろと事前に御相談等もあったように伺っております。そして一つ計画なり案をお作りになりまして、これを組合の機関にかけて、所によりましては無記名投票でおきめになったところもあるようにお伺いしておりますけれども、そうでない場合もあるのでございます。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、教育委員会あるいは学校長の許可なくして、休暇を一斉に一方的にとってそういう大会を開催されるという行為は、三十七条違反の争議行為の疑いがあるというように思っております。従ってその争議行為をするについて、組合の執行部にあおり、そそのかしたような容疑があるのではないかというので、調査をいたしております。
  77. 西村力弥

    西村(力)委員 一体そのような解釈が常にとられるとするならば、職員組合というものが存在することができるかどうかということになる。私たちはそれをこれからの方向として非常に憂えておるわけなんです。あなた方はさようにいつも申されるのですが、しかし、年次有給休暇を請求した場合に、それを許可しないという場合は、ごく限られた、正常な業務の運営を阻害するというように認められた場合ということになっておるのであります。しかし教育の業務というものは、先ほど申したように、あなた方が考えるような、そのような一日、一時間とかいう、そういう立場から割り出されるものではなくて、一学期とか一年間とか、そういう長い計画を見通して一つのものを持っている。そしてそれを決定するのは教員自体である。この関係については裁判官の場合と相当似ておるという工合に思うのですが、たとえば裁判所長というものはこれはもう裁判所長ではあるけれども、裁判官それ自体がいろいろ計画する問題についてどうこうとそれを左右するようなことはできない。やっぱり裁判の進行をいかにするかということは、裁判官自体の責任にかかってきている問題である。こういう工合考える。それと同じような工合考えて参らなければならない、こう思うのです。ですから、これをただし書きを用いて、これは業務の正常なる運営を阻害したものだ、かように断ずるということは、これは教育の実態を知らないし、また労働組合のあり方等のほんとうの姿というものを知らない。むしろそれを一つの方向にゆがめようとする意図がある、かように私たち考えざるを得ないわけなんです。その点について、一体教育業務が正常に運営されるということは、その一学期を通し、あるいは一年を通して教員自体がそれに責任を持つのだという考え方、こういう考え方に対しては、文部省当局はいかに考えておるか。
  78. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 教育計画というものは年間を通じてきめてなければならぬと思います。しかしながら毎週、毎日の正常なる授業が侵されてはならないと思います。毎日々々の積み重ねが年間計画になるわけでございます。これを組合の用務のために一方的に授業を休むことは、正常なる運営を妨げる、かように考えます。
  79. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  80. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 それでは速記を始めて。
  81. 西村力弥

    西村(力)委員 十五分と限定することなく、その程度にしていただかなければならぬと思う。その程度において質問を続行したいと思うのですが、警察当局にお尋ねしたいのは、この都教組に対するいろいろな手入れは前にも都教組本部あるいは支部の事務所というところの捜査ができておるはずであるにもかかわらず、その後品川区の全小中学校に捜査の手を伸ばしたというふうなこと、こういうようなことは何の必要があってやったのか。これは私たちから見ると威嚇行為にすぎないではないか、かような印象を受けるのです。なぜその必要があって、そのような工合に広範にやったのか。
  82. 山口喜雄

    ○山口政府委員 御承知のように十割休暇闘争の指令が都教組の本部から支部に流れ、支部からさらに分会に流れておると思われる点があったので、そこで私どもといたしましては、分会、すなわち個々の学校についてもそういう教唆扇動の疑いのあるような指令文書等が流されたのではないかという容疑をもちまして、家宅捜索を実施いたしたのであります。
  83. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますると、都教組本部あるいは支部事務所、そういうところを捜査した結果によっては何ら容疑事実を裏づけする成果を上げ得なかった、こういうことになって全学校を捜査せられた、こういうことになるわけですか。
  84. 山口喜雄

    ○山口政府委員 都教組の本部あるいは支部の捜索によりましてある種の資料を得まして、それに基きましてこれは分会等についても捜査を必要とするという考えのもとに捜査をいたしたのであります。
  85. 西村力弥

    西村(力)委員 ところがその捜査のことは事前に漏らしたのか漏れたのか知らぬけれども、捜査官が行く前にカメラマンがちゃんと待機しておったというような事実があるということですが、これは一体どうなんです。このようなことでは、われわれに威圧を加えるためにやるのだということが警察当局の腹の中にあって、事前にわかろうと何であろうとそういうことはかまわぬ、むしろわかっておった方がいいというように考えられてやったのかどうか。一体カメラマンが前から待機しておったということは、どういういきさつからそういうことになったのですか。
  86. 山口喜雄

    ○山口政府委員 私どもといたしましては、そういう捜索が事前に漏れることなく極秘のうちに準備が進められること、これは当然に希望するところであります。ただ私どもの立場といたしましては、まことに残念でありましたが、一部この捜索の動きが事前に新聞記者クラブ等に察知されたようないきさつもございまして、お話のような事例があったかと思います。何分にも警視庁に詰めておられます記者の皆さん方は非常に有能な方ばかりであります。一生懸命私の方で秘密を守りましても、どうも防ぎ得ないという場合が間々ございます。私どもといたしましてもまことに残念ではありますが、ただいまおっしゃいましたような意図のないことだけは一つ御了承をお願いいたします。
  87. 西村力弥

    西村(力)委員 そして捜査に参りまして、その捜査すべきものは個人の机とか何かそういうところに指定をされておるにかかわらず、教室までも立ち入ってガサをかけたといった事例もあるようでありますが、一体教室に入るというのは相当な事態であると思うのです。そういうところに警察官が泥ぐつで踏み込んでいくというようなことは大へんなことです。しかもまだ児童がおるときだ。この教室までガサをかけたというのは一体なぜなんですか。どういう理由でそういうことをやったのか。     〔「ガサなんて言葉を使うな」と呼び、その他発言する者あり〕
  88. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 御静粛に願います。
  89. 山口喜雄

    ○山口政府委員 捜査をいたしましたのは、組合の事務所、それから組合の役員の机あるいは自宅等でございます。従って職員室の一部、あるいは別の部屋が組合の事務所になっておりますればそこは捜索をいたしたと思いますが、教室について捜索をするということはちょっと私には考えられないことでございます。もし東京都のどういうところでこういうことがあったというお教えを願えますれば、できるだけ調査をいたしたいと思っております。
  90. 西村力弥

    西村(力)委員 そこの捜査をなさったその結果、押収されたものを見ますと、全然事件に関係のないと思われるものをよけいに持っていっておるのですがね。しかもそれが個人としての交友関係を記したもの、住所録とかあるいは法律関係の雑誌とかあるいは組合関係の会計経理薄とか、そういうものを持ち帰っておるわけなんですが、こういうものを押収する場合にはいかなる基準で判定をして持っていかれるのか。今申し上げましたようなものは正当な押収と言えるかどうか。
  91. 山口喜雄

    ○山口政府委員 押収するものにつきましては、捜索押収令状にはっきりと限定されておるわけでございます。従ってその範囲をこえて押収をするということは許されないわけであります。押収に際しましては必ず学校関係者に立ち会っていただきまして、これとこれが関係があるから押収していくということをお話しまして、署名捺印をいただいて帰っております。法律関係の雑誌を押収したというお話がございましたが、それは、私の聞いておりますのでは、ある雑誌で勤務評定関係の特集号になっておるものが一冊あったそうであります。それは勤務評定反対闘争に関連した捜索でございましたから押収をいたした、こういうことを聞いております。
  92. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 西村君に御注意申し上げますが、あと五分間でございますから、その点お含みの上どうぞ御質問を……。
  93. 西村力弥

    西村(力)委員 今法律関係の雑誌を押収したのがいかにも正当なような工合に申されましたが、あれは市販の雑誌なわけなんです。そういうものを押収したのが正当だと言えるのですか。今の発言はさように聞きとれますが、どうです。
  94. 山口喜雄

    ○山口政府委員 先ほどから申しましたように、押収すべきものは限定されておるわけであります。ただ個々の具体的な表示ではなくして、これに関係する一切の文書というふうにはなっております。お取り上げになりましたのは、先ほど言いましたように勤務評定の問題についての特集号でありましたので、これはやはり勤務評定反対闘争に関係のある文書といたしまして押収をいたした次第で、もちろん押収いたりしまして後におきましても、必要がなければできるだけ早くお返しはいたすつもりでおります。
  95. 西村力弥

    西村(力)委員 いろいろのものについては早く返していただかなければならぬが、今のような考え方に立つと、かつて戦前において家宅捜索や何かやった場合は、たとえば社会主義という言葉一つ書いておる雑誌でも全部持っていく、あるいは単行本でも全部持っていくというようなことが平然と行われた。今のような考え方は改めていただかなければならぬと思うのです。市販の雑誌、そういう秘密文書でも何でもないものを押収して関係があると言うのはまことに強弁過ぎると思う。それはやめてもらわなければいかぬと思う。それから日教組本部を捜査した際に、国民教育研究所までにも捜査の手を延ばしたというようなことは、これは範囲をあまりにも拡大し過ぎておるんではないか。国民教育研究所というのは、これは単なる教育研究する研究所でありまして、そこには日教組の発行するいろいろな文書あるいはパンフレット、リーフレット、そういうものもたくさんあるでしょうが、それは学術研究のための資料として存在する。ですからそういうものは確かにあるかもしれませんけれども、組合行動の指令、指示なんというものはあるはずがない。そこまで捜査の範囲を広めるということは、これはもうどこでもいいからやっちまえというような工合になっちゃって、非常に危険じゃないかと思うのです。その点の見解はいかがですか。
  96. 山口喜雄

    ○山口政府委員 お話の国民教育研究所はたしか日教組本部と同じ建物の中にあったと思います。そうしてこれは日教組の規約によりましても、日教組本部の中の一つの組織というようになっておったと思います。そこで建物も同じでございますし、捜索すべき対象となる資料があるという容疑のもとに、令状におきましても明確に国民教育研究所を捜索の場所に指定をしていただきまして、捜索をいたしたような次第でございます。
  97. 西村力弥

    西村(力)委員 捜査したことはわかるのですが、そこまで拡張するということは不当ではないか、こういう見解です。同じ建物の中にあるというだけでもって、どこまでも捜査ができるというような工合になってくると非常に危険である。そういう点はぜひ改めていただかなければならぬのじゃないか、こう思うわけなんです。  そこで最後に、六月二十四日の朝日新聞に「教員の妻の立場から」こういう投書がございまするが、これによりますと「主人は一畳半ばかりの板敷の部屋に他の一般犯罪被疑者とともに四人もつめこまれました。毛布の差入れも許されず、家族との面会も許されず、汚ないところに三晩の間ほとんど眠ることもできない状態で調べられたのです。これでは体罰を与えられたのと同じです。係官は「当方にあずかった以上、こちらに責任があるのだから差入れなどで病気にでもなられたら困る」といったりしましたが、そんなに責任があるなら、なぜあんなひどいところに入れるのでしょう。後で病気にでもなったら、それにはもう責任がないというのでしょうか。妻の身として私にはがまんができません。捜査するのは当局の勝手としても、その取りあつかいにはもっと心を入れてもらいたいと思います。」こういう投書が載っております。ごらんになられたか知りませんが、これは妻が自分の名を記して投書されたのであるから、事実であると思うのです。ここで問題になることは一畳半に四人も詰め込んだら寝られるかということです。それから差し入れをすると病気にでもなられたら困るというこの言い方、こういうことは明らかに警察の行き過ぎであるし、また人権問題からいいましても、これは黙過し得ないことではないだろうか、こう思うのです。この事実を認められるか。認められるならば、今後すべての犯罪人に対してこういうようなことをなさることのないように願わなければならぬと思うのですが、差し入れの問題なんかについては、今警察でどういう扱いをしておられるかどうか。私たちの聞いておるところによると、人によってはもう牢名主のように、大臣のように、どんどんふくぶくとしたふとんと、それから山海の珍味、珍食みたいなものを差し入れをして、それで平気でおる。それが悪いというのじゃないが、こういう工合に一方において牽制をするというようなことは警察の取扱いとしては公正を欠くといわざるを得ないと思うわけなんです。こういう点警備局長はどういう工合にお考えになりますか。
  98. 山口喜雄

    ○山口政府委員 その記事は私は拝見いたしておりません。至急調査いたしまして、後ほどお答えをいたしたいと思います。いずれにいたしましても、捜査、取調べに当りましては、いかなる場合におきましても、できるだけ慎重に、そして人権をそこなわないように注意をしていかなければならない。特に学校の先生の場合におきましては、そういう点につきましては十分に注意はいたしておるつもりでございます。なお御指摘の問題は、後ほど調べましてお答えいたします。
  99. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 西村君に申し上げますが、時間が過ぎておりますから、残余の質問は、もし時間がありましたらやることとし、後日にお譲りを願いたいと思います。
  100. 西村力弥

    西村(力)委員 もう一点。
  101. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 あと二分間ですよ。
  102. 西村力弥

    西村(力)委員 それでは最後に、品川の何とかいう支部長が学校から連行されたというのですが、教員学校から、児童のいる前から連行されるということは非常な打撃を受けることなんです。そういうことについては、人権擁護局関係はどう考えるか。普通の家庭から連れられる場合と違って、相互信頼というのが基礎になる児童の前から連行されるということは、明らかに人権の無視であると私たちは思うのです。これは警察の非常なせっかちであり、行き過ぎであるとともに、人権問題であると思うのですが、擁護局長はどういう工合考えられるか。
  103. 鈴木才蔵

    鈴木説明員 ただいま学校から連行されたとおっしゃったのでありますが、どういう状況において、児童の目の前で、あるいは教室から連行されたか、その辺はよくわかりませんが、そういう状況は別といたしまして、やはり教職員の方を学校において逮捕する場合は、その方の感情あるいは名誉をそこなわないように留意すべきが妥当である、と私はかように考えております。
  104. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 辻原弘市君。
  105. 辻原弘市

    ○辻原委員 最初に委員長にお願いをしておきたいのでありますが、それは先ほどの勤務評定に関する問題、あるいはただいまから私が質疑をいたします法案に関しまして、各省の責任者方々の出席をお願いしたのであります。先ほど——私山口さんに申すのでありませんけれども、われわれはできれば大臣の出席をお願いしたかったのであります。しかし大臣は就任早々で事件の経過がわからないと思いましたので、長官の出席を実はお願いしておったのであります。要求者の方にお断わりなく、それぞれけさほど来連合審査から、あるいは政府委員にあらざる課長さん等の出席によってかえられておりますが、こういう慣例、悪例を作ってはやはり委員会としては困ると思います。やはり要求者の要求いたしました政府委員にぜひとも御出席をしていただきたい。なおその方々にお差しつかえがありました場合は、できるだけ要求者に対して一応お断わりをいただいて、その上でかわりの方々の出席を願う、こういう段取りにしていただきませんと非常に混線をいたしますから、ぜひともお願いをいたしたいと思います。
  106. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 辻原さんに申し上げますが、議題は市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題といたしますから、その点御了承願います。
  107. 辻原弘市

    ○辻原委員 今の点は委員長どうですか。
  108. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  109. 臼井莊一

    ○臼井委員長代理 速記を始めて。
  110. 辻原弘市

    ○辻原委員 それでは議題になりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして質問をいたしたいと思いますが、けさほど来、また昨日本会議、それから地方行政委員会と連合審査の中で、かなり問題が指摘せられましたように、法文はきわめて簡単でありますけれども、盛っておる内容はこの法案を提出した経緯というような、政治的な問題を除きましても、まことに私は重要な点があると思います。その一つは、けさほどわが党の門司委員が指摘をいたしました新たに公務員制度の中に一つの職制といいまするか、あるいは公務員の位置づけといいますか、そういうものに対しての制度上の問題であります。いま一つは、管理職という名をつけまして支給せんとする、いわゆるこれも給与の一種でありますから、給与制度上の問題がこれまたきわめて重要であります。従って、これはとにもかくにも新しい一つのケースを開こうとするための法律改正でありまするがゆえに、ここでわれわれが今申しましたような制度上の問題について、それから給与制度の根本的な立場から、この管理職手当の内容というものについて明らかにしておく必要があると思います。  そこで私は第二番目の給与上の問題から、一つ逐次承わりたいと思うのでありますが、大臣及び内藤局長のこの管理職手当なるものについての説明を承わりますると、それはけさの連合審査の際の答弁にもありましたが、いわゆる国家公務員の俸給の特別調整額、これに見合うものである、こういう説明をいたしておるのでありまするが、その通りでありますかどうか。これは一つ大臣から承わっておきたいと思います。
  111. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その通り考えております。
  112. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういたしますると、この国家公務員の特別調整額に対応するものが、自治法に規定しておる、二百四条でありましたか、管理職手当、いわゆる国家公務員地方公務員の制度の建前の違いはありますけれども、給与の性質としては、これは同一視せらるべきものであるかどうか、この点を一つ……。
  113. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 さように考えております。
  114. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういたしますと、これはしばしば論議も続けられてきておりますが、いまだにはっきりいたしませんので、文部省見解と人事院の見解を聞きたいと思うのであります。特別調整額というのはこれは給与法の十条の二でありますか、ここに次のごとく書かれております。「人事院は、管理又は監督の地位にある職員の官職のうち人事院規則で指定するものについて、その特殊性に基き、俸給月額につき適正な特別調整額表を定めることができる。」こういうふうに人事院の任務を規定をいたしまして、特別調整額なるものは人事院がこれを別に定める、こういうことにいたしております。従ってこの法律の建前通りいきますと、特別調整額というものは、本来これは国家公務員に対しては人事院が定める、こういうふうに相なっておるのでありますが、今般のこの市町村立学校職員給与負担法、これは財政の負担の法律でありますから、本来支給を明示する法律ではない、従って国家公務員の中にある教職員、高等学校以下の教職員の中の校長、これに対しては人事院がこれを指定する、こういう建前になると思いますが、その点は一体どうなっておりますか。
  115. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 お説の通りでございます。
  116. 辻原弘市

    ○辻原委員 人事院はすでにそのことを決定いたしておるのでありますか。これは人事院から一つ聞きたいと思います。
  117. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院は国家公務員の特別調整額を所管いたしておるのでありますが、国家公務員の場合におきましては、特別調整額は教職員だけの問題ではないのでございまして、いろんな各行政職における問題もあるのであります。今回設置法の改正等が行われましたし、その他定員法等の異動がございましたために、国家公務員全体を通じまして、特別調整額をどんな官職につけるべきかという問題があるわけでありまして、現在そういう問題を研究中でございます。その問題とあわせてこれはやるべき問題である、このように考えます。
  118. 辻原弘市

    ○辻原委員 私が伺っておるのは、今内藤さんも認められましたように、ただいま審議しておるこの法案は、いわゆる財政負担をとりきめるものであって、いわゆる特別調整額ないしこれを管理職手当といいましても、結局これらの手当を支給することについては給与法の十条の二によって、これは人事院がその権限と責任を持っておる。しかも人事院が具体的に人事院規則においてこれを定めなければ、法の建前としてこれは支給が不可能だろうと私は思うのであります。どういう位置づけをしてやるかということが問題になるのですが、そういう作業、準備を、高等学校以下の校長について人事院は終っておるのかどうか。この法律との関連においてどうなっておるのか、こういうことをお伺いしておるのです。それは私が最初に申し上げましたように、一つの一貫をした給与制度、一貫をした行政体系、その中の公務員制度、そういうものの中において、一つの特殊な便宜的な方法でもってぽんぽんやるということは、これは、総裁もお見えになりましたが、給与制度上非常におもしろくない。従って少くともすべては、そういう基本方針があるならばその方針にのっとって、しかも法律その他規則において定められておるならば、それに準拠してやらなければならぬという意味において、財政の負担がきまったからそれはおれの方でできるのだ、予算がきまったからできるのだというラフな考え方でおやりなすっては、これは非常に問題が起るということを申し上げたい。だから人事院はそれらの諸般の準備が——これは地方公務員を申しておるのではありませんよ、国家公務員についてできておるのかどうか。これは地方公務員との関係においてやはり国家公務員の問題をまず論議しなければなりませんから、それを言っているのです。
  119. 淺井清

    ○淺井政府委員 私からお答えいたしますが、人事院といたしましては、その問題は今研究中でございます。
  120. 辻原弘市

    ○辻原委員 どういうことになるんでしょう。これは私もちょっとわかりません。地方教職員に対する負担の問題は、この法律の成立を見ればこれは確定いたします。しかしあくまでこれは表題にありますように、市町村立学校の給与を都道府県をして負担せしめるという法律に過ぎないわけです。だから手当を支給するということは何らこの法律とは関係がない。財政負担の問題だけなのでありますから……。これは地方公務員の問題でしょう。しかしこれはしばらくおいて、国家公務員について、問題は国家公務員の給与に準じてということになっておるでしょう。そうなりますと、その基準たるべき国家公務員の手当について、一体人事院がどう取り扱うかということが確定をしてなければそういう手当を——これは逆なんです。地方公務員に準ずるんじゃないのですから。そこのところを明確にしないままにこの法律の審議はできないと言っているのです。
  121. 淺井清

    ○淺井政府委員 ごもっとものお尋ねでございます。御承知のように国家公務員については、管理職手当と申しませんで、俸給の特別調整額と申しております。これは管理、監督の地位にある職員に対して、その職務の特殊性に基いて支給すると、かようになっておりまして、それは人事院規則で定めるということになっておりますので、現行の人事院規則につきましては、個別的にこの手当を支給すべきものを列挙いたしておる次第でございます。従いましてこのたび高等学校以下の教員に対してさようの手当を出すといたしますならば、これは人事院規則を改正する必要があると考えております。
  122. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は総裁に申すのはいかがかと思いますけれども、そういう行き方が果して妥当なりやいなや。場合によればこれは一つの給与制度上の重要な問題ですから、本来所管たるべき人事院が何らのモメントを起していないわけですね。総裁が研究中だとおっしゃる。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕 それなのにかかわらず、負担をしようとする法律だけが今かかって、これが通ればあくまで支給さるべきごとき動きの中にあるわけです。これは私はおかしいと思うのです。これは単に手当の予算を計上いたしまして、都道府県にこれを支給させますというところまでならいいかもわかりませんよ。しかし予算措置をし、財政負担にして都道府県においてこれをやるのだ、都道府県責任を持って支給するんだということをきめる以上、少くともこれはもう支給をするという行為に入れているわけです。支給するということが前提になっている。きめておいて支給しないということはあり得ないことですから。そうすると一体本来準拠すべき国家公務員の場合はどうなるのかという疑問が当然起ってくる。しかしその作業は、人事院において研究中だと言われる。その研究中の際に、これに準拠すべき地方公務員の方が先に予算も、また成立すれば法律も先行してしまって、そうして手当が支給されるというへんぱなことが起るのだ。これは一体どういうことなのか。給与制度の運用上どうなのか、これは一つ総裁の御意見を承わりたい。
  123. 淺井清

    ○淺井政府委員 研究中と申し上げました言葉に問題があったと思いますから、これは私は撤回してもよろしいと思います。研究中と私が申しましたのは、いまだ人事院規則の制定には至っていない。その準備をいたしておると、かように申したつもりでございます。この準備をいたしておると申しまする意味は、すでに国家公務員につきましては、はなはだ少数ではございますけれども、すでに予算も通過いたしておりますので、ことに大学の学長以下にもこの手当は出しておりますし、そういうわけでございますから、その準備をいたしておる。だから研究中と申しましたのは、まだ規則の制定に至ってはいないという意味でございます。
  124. 辻原弘市

    ○辻原委員 ちょっと参考に、これは瀧本さんでもけっこうですが、文部省に伺ってもいいのです。国家公務員の中で高等学校小中学校の該当する校長はどのくらいおりますか。
  125. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 小学校校長が二万一千、中学校が一万八百九十、盲学校、ろう学校、養護学校長が百四十六ありまして、対象人員は義務教育だけで三万二千六百五十一人、それに高等学校の二千三百二が入ります。
  126. 辻原弘市

    ○辻原委員 国家公務員ですよ。内藤さん、人の質問をよく聞いていて下さいよ。
  127. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 国立学校の場合におきましては、国立高等学校校長以下、付属高等学校長、中学校長、小学校長、盲学校、ろう学校、養護学校長、これだけを合計いたしますと百八十二人でございます。
  128. 辻原弘市

    ○辻原委員 文部省もそれいいですね。今の点……。
  129. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 よろしゅうございます。
  130. 辻原弘市

    ○辻原委員 少くとも百八十人というのが対象になっておるわけです。予算の措置もできておるのです。今先ほど総裁が言われましたように……。片方は予算措置をしたからこの法律を通して早く支給しなければならぬ、地方公務員につきましては非常にお急ぎになって、国会の方でも相当無理な審議日程を重ねておる。ところが国家公務員の場合は、ちゃんとそれらの準備があるにかかわらず、いまだに決定を見ないというのはいささかふに落ちないじゃないですか。それは一体どういう理由なんですか。
  131. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは御承知でもございましょうが、人事院規則におきまして、いわゆる管理職手当を支給すべきものを非常に個別的に書いてございます。これはおよそ四十四ページにわたるくらい大きなものでございます。最近の機構改革によりまして、新たにこの種の手当を支給すべきものも生じておりますので、それこれを勘案いたしまして準備中でございます。
  132. 辻原弘市

    ○辻原委員 これは押し問答になりますけれども、それぞれを勘案いたしまして準備中というのはわかるのですけれども、しかしすでに地方公務員に対しては支給をしようという態勢にあるわけです。しかし地方公務員の場合には、給与負担をしなければ支給できない。私はいい悪いのことを論議しておるのではない。制度上の問題、取り扱い上の問題として非常にふに落ちないからお尋ねしておるのであります。地方公務員の場合は、文部省が独断で幾ら何でもちょっとおやりになれないでしょう。少くとも給与負担の区分をきめなければ……。それで法律が出ておる、こう一般的にだれでも考えられる。ところが国家公務員の場合、法律の準備でもやって提出するというのなら別ですよ。ただし人事院の一つ研究なり調査のために、それがまだできていないというだけの理由で、いまだにそのことが規則の中で確定されないということは受け取れないわけです。どんなに事務的に複雑であろうとも、あれだけの膨大な給与法などを、相当年次的に研究を進められて策定されておる人事院の優秀な皆さんなんですから、私はそういった事務的な煩雑さのためにおくれておるとは解釈できない。そうするとなにがしかの理由がなければならぬ。端的にいえばこういう場合が考えられる。人事院はあまりそういうことは考えていなかった。昨年の十一月くらいまでは、おそらくそういうことはわれわれも全然聞いていなかった。ところが突如として、どこからかそういうモメントが起って、にわかに地方公務員の方からその問題が持ち上ってきた。それから人事院もやむなくそれに対して検討の手をそめた。しかしながら何といっても先ほどあなたが述べられましたように、非常に複雑な職種にわたって、逐一従来のそれと関連を持たせつつとりきめていかなければならぬ問題だから、そうにわかに簡単に位置づけするわけにいかない。そこに非常に制度上問題があって、その点の結論がなかなか出てこなかった、こういうふうに考えれば、あなた方の方でまだ決定していないということの理由もわかるのですが、私が申し上げたような理由でございましょうか、その点を承わりたい。
  133. 淺井清

    ○淺井政府委員 はなはだお言葉を返すようでございますけれども、今辻原さんの御質疑を承わっておりますと、文部省は急いでおるんだ、しかし人事院はいやがって急いでいないんだ、そういう意味では決してないのでございます。これは遠からず規則を改正いたす運びに至ると思います。
  134. 辻原弘市

    ○辻原委員 ここで、おっしゃられておりましても、これはなかなかデリケートな問題があろうと思いますので、なおまた後刻、時間がありましたら、もう少し私はこの人事院の一つの取扱いという問題について、お尋ねをいたしたいと思います。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 関連して。今人事院総裁から、国家公務員である国立学校校長に対する管理職手当、いわば特別調整額を改正する人事院規則を出したいという言葉がありましたが、人事院規則というものは人事院が独自の見解に基いて出されるものであって、政府が予算を組んだから人事院規則を改正するというような、そういう順序のものではないと私は思います。人事院という独立機関法律で規定した理由は人事院が高い立場から、公平な判断に基いて、公務員の給与、任免等についての基準をきめて、公務員を守ってやるというところに精神があったのでありますから、国が勝手に管理職手当の相当分の予算を計上したので、すぐ人事院規則を改正するというやり方は、人事院の権威に関する問題だと私は思う。人事院というものは、そのように、政府が勝手に予算を計上したからすぐなびかなければならないというような、風にそよぐアシのごとき機関であってはならないと思う。この点、総裁の研究中というお言葉が、私はこの規則を改正することが是か非かということについての公平な立場からの御検討であると、初めは思っていたところが、改正の準備のためのような検討中というお言葉が今あったわけです。これは私は重大な言葉であり、ことに、すでに予算も出ているのだから、これになびいて改正しなければならないというような御意図であったとするならば、これは人事院の権威に関する問題であって、人事院の存在価値なしということになる。従って、人事院は政治的圧力に屈することなく、既定方針に基いて、常に人事院がこれをリードするという立場であるべきで、政治的な行動、策謀に人事院が動かされるということは、私は本末転倒であると思うのでございますが、総裁いかがでございましょうか。
  136. 淺井清

    ○淺井政府委員 受田さんの御論議は、管理職手当に反対の立場からごらんになるからさように仰せられるのでありまして、人事院といたしましてはすでに大学の学長、学部長等にも管理職手当は出しておるわけでございますから、高等学校以下のものに出しましたといたましても、決して不自然だとは思っておりません。のみならず、この問題につきまして、政府その他から圧迫を受けるとかなんとか、さようなことは全然ないということをはっきりと申し上げます。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 ただいま総裁は独自の見解でというお言葉でございましたが、独自の見解であるならば、一昨年八月末に人事院規則の九の十七が改正されて、昨年の八月一日から施行されておるのですが、そのときに当然こういう問題もあわせて検討すべきであって、今事あらためて、政府が予算を組んだので、これにあわせて人事院規則を改正するというような、きわて露骨な追随主義でいった印象を与えておるわけです。今総裁は、すでに大学の学長や部長に出しておるから、高等学校に出してもいいじゃないかというようなお言葉でありましたが、そういうことであるならば、当然大学の学長、部長を、この法規の調整額の対象とされたときに、国立学校にあえて高等学校を分離すべき性質のものじゃないですから、当然国立学校として大学、高等学校をあわせて一本に調整額を改正さるべきじゃなかったんですかね。今ちょうどこの問題が予算措置が講ぜられてない、政治的な問題とされていなかったならば、人事院はおそらく沈黙していたはずです。だから、何を好んで大学の学長、部長を先に分離して、高等学校と別にしたかという問題があるのですが、これはどういうふうに御答弁になりますか。
  138. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは予算に関係があると思います。人事院規則をいかに出しましても、予算措置ができておらなければ支給することができないのでございまして、最初に大学の学長等についての予算が取れましたから出しましたのでありまして、このたびは高等学校以下の予算が通過いたしましたから、これに応じたというだけのことでございます。
  139. 受田新吉

    ○受田委員 人事院というものは、政治的に予算を組めば規則を改正する、常に政府の手先の形で規則を改正するというのが本質でしょうか。これは私は重大な問題だと思います。常に政府の予算の都合で動く人事院。そういうものならば、あなたの方で規則をお作りにならなくてもよろしい。私は人事院の機関があることは、そうした政治的意図にかかわらず、常に中正、公平な立場で公務員の利益を守るところに人事院の使命があると考えておった。私はこの意味において——わずかの、百八十名ばかりしかいない職員の管理職手当で、予算的にはわずかなものです。それが今度計上されているということは、当然地方公務員である中小学校校長を対象にしているという、そういう因果関係があるのでこうなっておるんだ。私は人事院が、国家公務員の高等学校の先生だけを、予算の都合でこのたびあとから出したんだというような、そういう便宜主義的な考え方は、これは人事院の権威ある総裁の立場にある御発言としてはきわめて威信を失墜するものだと思うのですが、いかがでしょう。
  140. 淺井清

    ○淺井政府委員 仰せでございますけれども、給与は予算を伴う仕事でございますから、人事院がいかに規則を作りましても、予算措置がなければできないことでございます。ですから、このたび予算がとれておりますから、それに及ぼそうというだけのことでございまして、何も政府が予算をくれたから人事院がこれに追随した、こういう意味では決してございません。
  141. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの御意見、予算をくれることで人事院が仕事ができる、こういう御意見でございまして、人事院は常に予算の支配の間に間に動く機関であるということになるのでございますが、今の御発言はさよう心得てよろしゅうございますか。
  142. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院が毎年やります給与の勧告というようなものにいたしましても、これは予算の裏づけがなければ結局は実現いたしませんのでございますから、その意味で申し上げたのでございます。
  143. 受田新吉

    ○受田委員 勧告の問題に触れると、これはまた重大な問題が起るのでございますが、人事院が常に、政府が予算を出すであろうかどうか、話し合いで勧告をされているとするならば、人事院の勧告の通りの法案が出ていなければならぬ。ところが、今まで人事院の勧告通りに、ちょうどそのままの形で予算が出されるというのは、きわめてまれな、地域給の問題のときどきらいのものであって常に人事院の勧告の要求は削られている。こういうことをあなたはどうお考えになるでしょうか。
  144. 淺井清

    ○淺井政府委員 予算がなければ実現されないというのは、結果論を申し上げたのでありまして、政府と予算の折衝をいたして初めて勧告をする、こういう趣旨で申し上げたわけではございません。
  145. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つ人事院にお尋ねしておかなければならないのでございますが、この教員に管理職手当というものを出される根拠、これは、もし人事院が今までやってこられたことが正しいとするならば、非常な問題があり、もし間違っておるとしたならば、今回のこの問題にある程度御肯定なさってもやむを得ないと思うのでございますが、大体今まで教員の超過勤務手当とか管理職手当とかいうものが支給されなかった根拠は、どこにあるのでございますか。
  146. 淺井清

    ○淺井政府委員 超過勤務手当が支給されないことは、これは超過勤務を必要としないという沿革上の理由に立っていると思います。それから管理職手当は、すでに大学の学長、学部長、付属の研究所長、図書館長、更生補導部長でございますか、そういうものに対して支給されておるのでございますから、これを高等学校以下の校長に及ぼしましても決して不自然ではない、かように私は考えておるのでございます。
  147. 辻原弘市

    ○辻原委員 今の総裁の御発言は、教員は本来超過勤務手当を必要としないというその沿革の上に立っておるという御発言がございました。私は、これは非常に重要な問題だと思うのです。われわれは少くともそうは理解していないのです。一体文部省は、ただいま人事院総裁が言われた教員は本来超過勤務手当を必要としない職種である、この御発言をそのままお認めになりますか、どうなんですか。文部省見解を一ぺん伺っておきたい。
  148. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 教員の勤務の実態というのは非常に把握しにくいので、そこで超過勤務の問題が論議されましたときに、これはたしか二九ベースのときだと思いますが、一般に、原則としては超過勤務手当は支給しない、そのかわり調整号俸で二号俸程度引き上げて、この問題を解決したのでございます。
  149. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は総裁の言葉じりをつかまえるのじゃありませんが、この問題は、超過勤務手当を沿革から支給しない建前というのと、超過勤務を必要としないというのとは、これは意味が非常に異なってくると私は思う。われわれはその沿革の中に今日まで支給せられなかった一半の理由は聞いております。しかし必要としないという前提に立って支給せられていないとはわれわれは理解していない。それは文部省は調整号俸を加えたから、これは今までその支給をしていないんだ、こう今説明をした。人事院総裁は沿革から今日支給されていないんだと説明した。私はそれは意味が非常に違うと思う。そう点、総裁はどうなんです。
  150. 淺井清

    ○淺井政府委員 言葉は違いますけれども、結局同じことを申し上げているんじゃないだろうかと思います。文部省からお答えを申し上げましたのが、同時にそれが沿革である、こういうふうに思います。
  151. 辻原弘市

    ○辻原委員 これは文部省は給与を主管する省でありませんから、多少の間違いは往々ありがちなんで、これはやむを得ないと思いますけれども、少くとも人事院は、これは給与について全責任を持っておる重要な機関でありますから、その総裁が重要な色合いの取り違いを速記録に残されては、これは後日紛争の種になる。従って私は御注意を申し上げたんで、言葉じりをとらえたのじゃありません。問題は、今の人事院並びに今文部省が述べられたこの超勤問題にやはり今回の管理職手当はきわめて重要な関連を持っておると思います。この点は、管理職手当というものと、それから超過勤務というものが重要な関連を持つということは、これは文部省もお認めになりますか。大臣、これはいかがなものでありましょうか。
  152. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 超過勤務手当といわゆる管理職手当と、沿革的に考えますれば、あるいは関連があるということになるかもしれませんが、今回文部省で御審議を願っております管理職手当は、いわゆる超過勤務手当とは私は関係ないと思います。
  153. 辻原弘市

    ○辻原委員 大臣は、けさの連合審査の際にも関係がないと、こう言われておりますが、関係がない給与というものを突如手当として支給することは、法律は万能だといえばそれまでの話でありますが、遺憾ながら、この法律は支給するための法律ではない、財政負担のための法律でありますから、その手当を支給するかいなか、いかなる手当が今日の給与の中にあるのかどうか、これは総裁に伺ってみたいのでありますが、現行法規の範囲内で手当というものは支給するんでしょう。
  154. 淺井清

    ○淺井政府委員 お尋ねの意味がちょっと了解しかねるのでございまするが、国家公務員に関しましては、私からお答えをいたしますが、これは人事院規則でいかなる者に管理職手当を支給するか、またいかなる者にいかなる手当を支給するかは、これは給与法ではっきりきまっております。
  155. 辻原弘市

    ○辻原委員 私はこういう意味で今お尋ねをしたんです。それは、給与というものは随時各省々々がてんでんばらばらに、おれの方はこれを支給するんだというような形で、少くともこれは支給できるんじゃございませんでしょう。
  156. 淺井清

    ○淺井政府委員 御言葉通りであります。
  157. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういたしますと、ここでいう管理職手当というものも、そのニュアンスなり、中に持っておる、端的にいえば隠されておるいろいろなにおいとか、目的とかいうものは別といたしまして、本来やはりそういうものを抜き去って、客観的に見れば、これはやはり単なる手当にすぎないわけです。そうすると、やはり現在の法規によってこの管理職手当は出されるわけですね。それは間違いありません。しかもこれはただ地方教職員だから地方校長にだけ文部省は出すんだという筋合いのものでもない。そういたしますと、あくまでもやはり給与の根本基準というものは、これは国家公務員法なり、あるいは地方公務員法なり、中に定められている根本基準に従って、さらにまた給与法に準拠して人事院規則にのっとってこれは支給されるものだ、こういうことになるでしょう。それは文部大臣、どうなんでしょう。
  158. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その通りだと考えます。
  159. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういたしますと、問題は単に大臣が言われるように、この管理職手当というものは超過勤務手当とはそういう沿革において、また性質において、全然その関係がないんだと言い切れるかどうか。これは大臣の所信を承わるなら、それは一つ大臣お答えになるかもしれません。御言葉として承わりますけれども、そうではなしに、一つの給与制度というものを、制度の中で大臣はどうお考えになるかと私は質問しておる。そういたしますと、関係がないと断定できますか。
  160. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は先ほどお答え申し上げましたが、沿革的には関係はあるかもしれませんけれども、今回のわれわれの提案いたしております管理職手当は超過勤務手当とは関係ないということを私も申し上げたのであります。
  161. 辻原弘市

    ○辻原委員 そこでこれは人事院に一つ伺ってみたいのでありますが、けさほど瀧本さんはデリケートな答弁をされておりました。それは私も聞いておりましたが、超過勤務手当と全然関係のない管理職手当というようなものが今まで支給されておったのでありますか。本来管理職手当というものと超過勤務手当とは給与の性質、全体の給与を構成するその中において関連づけないで人事院は考えておったのでありますか。これを一ぺん承わってみたいと思う。
  162. 淺井清

    ○淺井政府委員 管理職手当は管理職手当、超過勤務手当は超過勤務手当、これは給与法で全然別個のものになっております。
  163. 辻原弘市

    ○辻原委員 私はそんなばかげたことを言っておるのじゃない。私が承わっておるのは、いわゆる給与全体の中で超過勤務手当というものを支給する職種に対して、そのうちの管理職、いわゆる管理監督の任にある者を対象として従来人事院はおやりなすったのじゃありませんか。内容的にはそうなる。
  164. 淺井清

    ○淺井政府委員 一般の行政職につきましては、一般的には超過勤務手当が支給されております。その中で管理職手当の支給を受けておる者には超過勤務手当は支給されません。
  165. 辻原弘市

    ○辻原委員 今ので私ははっきりしたと思うのですが、要するに一般行政職の中でいわゆる管理職手当を支給した場合には超過勤務手当がなくなる、ここに相関関係を持っておるのじゃありませんか。そのことは給与法の十九条の三でありますか、これに明らかに、「第十六条、第十七条第二項、」以下云々とありまして、これらの規定は「第十条の二第一項に規定する官職にある職員には適用しない。」これが今総裁の答弁されたその法的な根拠だろうと思うのですが、従来行政職には超過勤務手当を支給しておる。ところが十条の二に、人事院規則に列記して定めたそれらの官職に対しては管理職手当を出すんだから、片方において超過勤務手当は出さないんだ、私はこういう法の精神でありそのための規定だと思う。そういたしますと、超過勤務手当というものとそれから管理職手当というものとは相互に関連がある。これが私は常識だと思う。そうではありませんか。関連があるじゃありませんかと私はお尋ねしておる。文部大臣は関係がない、人事院総裁言葉は違いますという説明があったが、私はそういうことを聞いておるのではないとさっきから申し上げておる。言葉の表現じゃなしに、内容的に関係がないかどうかということを聞いておる。一体それはどうなんですか。
  166. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま御指摘のように、行政職におきましては管理職手当を出しておる者には超勤手当は出しておりません。しかしその逆は必ずしも真ではないのであって、管理職手当を出さない者にはすべて超勤を出さなければならないということにはならない。現に教員はそうではないと考えております。
  167. 辻原弘市

    ○辻原委員 問うに落ちず語るに落ちたというのはこのことで、教員に今回初めてこの問題ができて、超過勤務手当というものと管理職手当というものと、そこにどうしてもつじつまが合わなくなってきたために、文部大臣が言われるように、関係がないのだ、関係がないのだという。しかし本来、少くともこの問題が出るまでは、これは超過勤務手当を出しておった職種の中で管理職には管理職手当を出すから、その分だけは超過勤務手当は出さないのだ、こういう関係のもとに、結局一般の給与制度の中で、職務に応じたその俸給以外に、超過勤務あるいは時間外手当、夜勤手当等を出しておったが、片一方その管理監督の任にある者はそういうような仕事は通例これを行わないのが建前だ。こういうような見解で管理職手当というものをそれに見合う形において作ってきた。そして一応超勤と管理職どちらかはもらえるということで、これは給与制度としてはその行政職の中のバランスがとれておった。初めて今回の問題が出て、ここにバランスがとれない管理職手当、給与制度というものが作られた、こういうことになったのです。そのことはどうなんです。
  168. 淺井清

    ○淺井政府委員 沿革的に申せばさようになるかもしれませんけれども、給与法の建前といたしまして、管理職手当はいわゆる俸給の特別調整額は、あくまでも正面から申しますれば、管理監督の地位にある者に対して与える。しかしこの手当をもらう者には超勤は払わないのだ、かように書いてあるだけのことでございます。それを逆におとりになりまして、管理職手当を出さない者には当然超勤を払うべきものだ、かようにはならないと思うのです。
  169. 辻原弘市

    ○辻原委員 そこらになりますと、これは総裁もだいぶ私は苦しい説明をしていかなければならぬと思うのです。今後どういう形に、教員のみならず、他の職務についてこの取扱いをやっていくか、見ものだと私は実は考えている。しかし今の場合、これは総裁と押し問答しても始まりませんから、そこで先ほどからしばしば言われておりますように、沿革的に、沿革的にということを言うのでありますが、一体その超過勤務手当が創設されたのはいつなんですか。
  170. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これは終戦後におきまして公務員が法律におきまして給与が決定されるということになったときでございまして、法律ができた多分二十三年ごろだと記憶いたしております。
  171. 辻原弘市

    ○辻原委員 管理職手当が創設されたのはいつですか。
  172. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 二十八年でございます。
  173. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういたしますと、その二十八年以降超過勤務手当を受けていない職種についてはこれは全然なかったわけですね。超過勤務手当を支給されていない、そういう職種にこの管理職をつけたという例は今日まで、二十八年以降ないわけですね。その点を一ぺん確かめておきたい。
  174. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 けさほど合同審査の際にも申し上げましたように、この特別調整額創設の時期におきましてはこれは超過勤務手当を基準にいたしまして、それを平均的に率にいたしたものでございます。ところが超過勤務手当というのは、予算上必要があっても事実問題としてつかない場合もあるのであります。従いまして人事院といたしましては、やはりその職務がどのように時間外において特殊性があるかというようなことを見て参りまして、その後におきましても、たとえば研究職等はごくわずかな超過勤務手当の原資がついておったような場合におきましても、これを新しくこの特別調整額を認めておる、このような例がございます。
  175. 辻原弘市

    ○辻原委員 問題がそこまでいきましたので、もう少し突っ込んで給与の根本の問題について聞いてみたいと思うのであります。戦後の今の給与制度が法律によって定まったのが二十三年であります。そのときに先年のそれとは違った新しい一つの給与制度というものが法律によって確定された。その法律の中で一つの特徴的な問題は在来の給与のように、一つの体系がないままに給与を支給するということではなしに、職務に基いて給与を支給していくんだというような方向がこの法律によって方向づけられた、こういうふうに私は理解しているわけであります。そういたしますと、大体給与というものはその後少くとも職務の性質あるいは職務の困難な度合い、こういったものによって、一つの給与体系が法律によって確定をされてきた。そうすると本来給与というものはその職務に基いて定められる。こういうふうに理解ができる。また法律もそういうふうに書いている。そうしますると、ほとんどの給与というものはその職務によってきめられるのでありますから、手当というものは本来本給に比してできるだけ少いという形が望ましい、こう言えるわけであります。そういうような法律趣旨から考えてみますると、この種の手当を作っていくということは、従来人事院がとられてきた給与体系を簡素化する、あるいは給与というものを法律で定められている根本基準に合致させていくというような方向とはいささか私は違うのではないかと考えるんです。その点は一体どうなんです。
  176. 淺井清

    ○淺井政府委員 手当はなるべく簡素化したいと考えておりまするけれども、必要やむを得ざる場合は新たに創説する場合もあり得る。現に昨年は通勤手当を新設いたしております。
  177. 辻原弘市

    ○辻原委員 これは論議をすれば時間がかかると思いますが、今総裁が言った必要やむを得ない、たとえば通勤手当などは、国家公務員及び地方公務員の給与を民間の給与と均衡を保たせるために、民間にすでに支給されておって、現実にそれが行われておるような手当、給与制度というようなものは必要欠くべからざるものだと言えると思う。だから通勤手当などはそういう手当の範疇に入ると思う。だからこれはわれわれも当然だと思う。ところが新たに一つの管理職手当を超勤手当すら支給されていない職種に対して出していく。しかもけさほど来から言われているように、特別にそういう給与が絶対必要だというような——給与は本来何といいましても生活状態が中心になるのですから、そういう中から特に管理職手当が給与制度上必要だというような現に動きもなければ、そういう要素もない時期にこれを出していくというようなことは普通の通勤手当とは違いまして、これは意味が非常に異なってくると思います。これは一体どうなんでしょうか。
  178. 淺井清

    ○淺井政府委員 お言葉でございまするけれども、この管理職手当は何もただいま新たにここに創設するものではございません。現に大学の学長等に対してはすでに出しているのでございます。今回はこれを高等学校長以下に及ぼそうというだけの問題でございまするから、通勤手当のように新設するものではございません。
  179. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういうような逃げ答弁もできないことはありませんけれども、しかしいずれにしてもこれは人事院規則の中に一項つけ加わるわけであります。新しい手当としてふやすのではありませんけれども、そういう名目を作るのではありませんけれども、従来支給されていなかったところに対して手当を出していくのでありますから、現実には手当をふやしていくという格好になる。これは規則によってちゃんと定められなければならぬ、同じなんです。全体に対して通勤手当を新設するというのと、教職員の中の校長に対して管理職手当を新たに支給するということで、範囲は違いますけれども、しかし作るということについてはこれは私は同じ傾向だと思う。通勤手当の必要なそれと管理職手当の必要なそれと比べてみたら、私は月とスッポンだと思う。だからなるべく減らしていかなければならぬというので、人事院の努力は従来やってきたと思うのです。勤務地手当などのように、かなり困難な問題ではあるけれども、これは減らそうと相当努力してきた。しかし通勤手当などは、先ほど言ったように民間にも支給されているからやむを得ない。ところが管理職などというものはそう生活状態から見て特別に今校長に出さなければどうにもならぬというような問題ではないのでありますから、給与の問題としては必要度合いが低いということを言っておる。しかしあなたは特別にそういうものを新設するのじゃないから、かまいませんという答弁なんだけれども、それは私は常識的に理解できないと思います。しかしこれは押し問答になりますから、その程度にとどめます。  そこで文部省に聞きたいと思いますが、先ほどの教職員に対する超過勤務手当の問題、沿革から調整号俸を加えたから超過勤務手当は支給する必要がないのだ、支給しなくていいのだ、そういうふうに答弁されました。そこで伺いたいのですが、私も記憶いたしておりますが、調整号俸は、たしかあれは二十三年でしたか、四級ないし九級に対して二号の調整号俸ですか、それから十ないし十一級に対して一号ですか、それは現在生きているのですか。その間に相当沿革があったと思うのですが、これはどうなんですか。ずっとその調整号俸というものは今日まで生きているのですか。
  180. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 原則として生きております。途中で給与改訂が一度ございまして、調整号俸を一号削ったことがあります。
  181. 辻原弘市

    ○辻原委員 その一号削った理由は何ですか。
  182. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは一般の給与改訂でございまして、給与ベースの改訂に関連いたしまして削ったわけでございます。
  183. 辻原弘市

    ○辻原委員 理由としてはおかしいじゃないですか。超過勤務がない。だからその職務の状態に応じて調整号俸でもってそれに見合うものを加えたというのでしょう。そういう趣旨なんでしょう。それが途中に来てあれは二十九年か、いつでしたか、とにかく一号削除をした。削除するには何がしの理由がなければならぬと思うが、ただあなたの今の説明によりますと、一般の給与の改訂と同時に行われたのだから、それは自然になくなったような話を言われておりましたが、そうですか。それはどういう理由でなくなったのですか。
  184. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 教員の給与法が一般の公務員よりも原則的によくなりましたので、そのときに一号を削ったわけであります。
  185. 辻原弘市

    ○辻原委員 教員の給与が他の公務員に比してよくなった、どのくらいよいよなったのですか、そのときに。
  186. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 当時のべースでございますから、私もはっきり記憶はございませんが、一般に給与法を作りまして、一般公務員法の給与法、教職員の給与法を作りましたときに、教職員給与法につきましては若干よくいたしましたので、その際に一号削った、こういう意味でございます。
  187. 辻原弘市

    ○辻原委員 もう少し詳しく言ってもらいたい。これは私は重要な点だと思うのです。そこでよくなったというけれども、それはどういう形において、たとえばベースを設定する場合に切りかえ時に非常に高く切りかえたとか、あるいはそのベース自体、俸給表ですか、それ自体の中でたとえば一号とか二号非常に有利にしたとか、何か具体的によくなったという状態がなければいかぬでしょう。それを一つ解明してもらわないと、その一号がどっか宙に消えてしまったような話では、われわれは超過勤務との見合いの調整号俸というだけに、この点を明らかにしてももらわないと、私はあとの質問に入れませんので、一つできるだけ具体的に明らかにしていただきたい。
  188. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 当時のことは私はつまびらかにしておりませんけれども、当時給与体系を変えますときに、教員の給与法自体をいじったわけでございます。従ってそのときに一号削った。
  189. 辻原弘市

    ○辻原委員 この点は法案に重要な関係があるわけなんです。これはけさほども門司委員からも指摘されたように、やはり給与とか、一つの人事管理や、それから制度というものは少くとも従来の一つの方針に準拠して行わなければ、これは突然新たに、しかも不公平なへんぱなものが出たのでは、これは将来悪例になると思います。だから少くてもわれわれの理解によると、これは、超過勤務手当と管理職手当というものはその沿革においてきわめて深い関係がある。ところが遺憾ながら今日まで教職員に対しては超過勤務手当が支給せられておらなかった。支給せられておらなかったという理由の中には、先刻から私も申し、あなたも言ったところの調整号俸の問題がある。ところが私もこの問題が出てから、その後一体給与の変遷はどうなったかということを少しく調べてみた。そういたしますと、どうもその辺があいまいになってきている。あなたのような明晰な方はわかるかもしれぬけれども、われわれにはそれは少くとも理解できない。理解できないから、その一号消えた理由と、それからあなたが説明されたその一号のかわりに号俸がよくなったと口で言われたもの、それをもう少しわれわれに理解がいくように具体的に説明をしていただきたいということを申しておるのであります。この点は非常に重要な点だと思う。
  190. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 当時御承知の通り非常にたびたび変りまして、二九ベース、三七べース、六三べースとしばしば変りましたので、私がここに明確な数字を持っていないという意味でございまして、ともかく現在の建前では一号教職員については調整号俸がついておる。これが超勤に見合うものだ、こういう意味でございます。
  191. 辻原弘市

    ○辻原委員 そう簡単に説明が飛躍されては、私はますます戸惑いする。しかし、最初二号が調整号俸として超勤に見合う分となっておる。そうすると、その一号は途中で消えて、その一号に相当する分は有利になったとのみあなたは説明されておる。そうして現在一号ついておる。それが超勤に見合いの分だということではそのロジックが合わぬのです。いわゆる超勤相当分はこれは私はもっと詳しくお尋ねし、人事院にもお尋ねしたいと思いますけれども、どういう根拠で二号というものが超勤の見合いになったかということもわれわれは精細にしない。一体超過勤務手当がなぜ出ないかということ。こういう機会でなければ明らかにできないから、人事院のためにも、文部省のためにも、ここまで努力しておる、教員の超過勤務手当は表面的には出ないけれども、その内容的にはこうなんだと例示する必要があるし、義務があると思います。そういう意味でお尋ねをしておるので、もし今直ちにここでその点が具体的に例示できなければ、私は資料として要求いたします。その点どうですか、今説明できますか。これはかって給与法の審議に当られた同僚諸君もたくさんおられるので、みないぶかしがっておられるのであります。
  192. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 とにかく現実には先ほど来申しておるように、教員の超過勤務手当は支給しない、そのかわり一号の調整号俸でこの問題は解決してある、こういう趣旨であります。
  193. 辻原弘市

    ○辻原委員 それではただ言葉だけの話で、その根拠数字が明らかになりませんから、理解ができないと申し上げておるので、これは一つ明日、明日むずかしければ明後日でもけっこうですから、その点の資料を要求いたしたいと思います。これはこの機会に精細に検討を加えておきたいと思う。そうして果してそれらの調整号俸が今日まで生かされてきたか、それに見合うものは給与の切りかえ時においてそれぞれ加わっておるかということを明確にして今後に対処していかなければ、あいまいな形でよくなったんだよくなったんだでは話はわからぬと思う。その点はお手数だろうと思いますけれども一つ資料を御提示願いたいと思います。今日おわかりにならなければ押し問答しても始まりませんから、その点を資料として出していただきたい。
  194. 坂田道太

    坂田委員長 それでは一つ資料を提出していただきたいと思います。
  195. 辻原弘市

    ○辻原委員 そこで人事院にお伺いをいたしてみたいのでありますが、先ほど言いましたように、給与というのは給与法によって定められております。給与の根本は、たしか給与法の四条でありますか、これによってその方針が確定づけられておる。従って先ほど私が申しましたように、手当というものも、これはむやみやたらに出せるのではなくして、法律によって定まった範囲内でその手当が支給をされておる。法律によりますれば、大体大くくりにして個々の種類の手当が作られておるようであります。しかもこの手当は先ほども総裁にも申し上げた通り、戦後のインフレの高進に伴って、本来あるべき給与だけでは、十分それを満たしていくことができないから、そこに随時手当を付することによって公務員の生活を守ってきた、こういう沿革を持っておる。そういたしますと、この手当は、先ほども言いましたように、むやみやたらにふやす性格のものでないということは、これは全く明らかであります。それと同時に、この給与の根本的な方針として、職務に応じて給与を支払わなければならない。同時にその職務に応ずるという前提として、法律には職階制というものを定めております。ところが、この職階制が今日教員には適用されていないと私は理解しております。この職階制が今日教員に適用されていないその理由はどこにあるのか、まずこれは人事院に一つ伺ってみたいと思います。
  196. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 手当というものを簡素化していくという、これは一つの給与上の方針があると思います。しかし手当の中には非常に生活給的な手当と、また職務に応じまして、あるいは困難、危険の度に応じた手当と、いろいろ種類があるわけであります。なるべく生活給的な手当を整理するということはこれは好ましい方向と一般的に理解されておるのでございますが、職務の特殊性に応じまして支給するものは、やはり必要があるのではなかろうか、このように考えておるのでございます。それで人事院が独自にいろんな手当を支給することができるものではございませんので、やはり法律によりまして人事院に委任されております範囲におきまして、人事院は必要がある場合に、その許された範囲内で手当を支給する、このような状況になっておるのでございます。  第二番目は職階制の問題でございますが、現在国家公務員には職階制はまだ実施いたしておりません。これは一般行政職、その他の研究職、医療職等についても、また教職員についても同じく職階制は実施いたしておりません。従いまして現在給与法できめておりますのは、給与法に、職務と責任ということに基いて、それを根本原則として給与というものはきめるべきであるというふうにいっておりますので、その原則は職階制の理論と通ずるところはございますけれども、職階制というものは現在いずれの職種にも実施いたしておらないのでございます。
  197. 辻原弘市

    ○辻原委員 ただいまお尋ねいたしました職階制の問題は戦後かなり論議をされてきましたので、お伺いしたかったのでありますが、今瀧本局長のお話では、まだ研究中で実施していないということでありますから、それと関連をして私はこの給与法の第四条に基いて少し給与の根本について伺ってみたいと思います。それは先ほども触れましたが、「各職員の受ける俸給は、その職務の複雑、困難及び責任の度に基き、且つ、勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤務条件を考慮したものでなければならない。」これが給与の根本基準とされて給与法に規定されておるのであります。そういたしますと、本来は俗に給与法の中でいわれておる本俸というものが、すでにその職務の内容あるいはその職務の責任、こういうものを加味して作られておらなければならぬと理解をするのであります。少くとも先般成立をいたしました新給与法、これもそういう工合に私はなっておると考えます。そうしますと、少くとも今ここで問題になっておる程度の管理職手当、あるいはこれはあとで私は法制上の問題もお尋ねいたしたいと思うのでありますが、けさほど論議されましたように、内藤さんはだいぶ無理なこじつけをやられておったようでありますけれども、本来校長というのは総括的な管理職ではありません。ただ門司さんが言われたように、監督業務といいますか、そういう種類の似通った行為を若干の部分委任を受けてやっておるにすぎない、いわば事務をやっておるにすぎない、こうも理解できる。その程度の責任の度合いというものは、これは少くとも私は本来本俸の中でその程度のものであるならば考慮していくのが至当じゃないか。少くともわれわれは一つの職務に応ずるということについては、これは異論があります。職階制を今日の給与制度の中へ持ち込んでくるということは、私ども反対でありますけれども、しかし今日すでに法律が定まっておるから、それを前提にして考えたときに、その趣旨に基いて給与というものは作らなければならぬという趣旨は、少くとも給与法の中において、給与のそれぞれの俸給額表の中において、そういうことは考慮されなければならぬという趣旨に、私はこれは通ずるんだと思うのです。それならば、そういうことは従来この校長等に全然考慮されないままに教職員の俸給額表というものは作られてきたのか、この点を一ぺん承わってみたい。
  198. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 けさほども申し上げたのでございまするが、大体学校教職員につきまして、勤務の態様が一般行政職のように毎日きちん、きちんときまっておるわけでございませんので、従いまして学校教職員につきましては、校長が勤務時間の割り振りをいたすということになっております。それはそれといたしまして、大体俸給表というものは一週間の勤務時間が何時間ということを基礎にした俸給表である、こういうことがきまっておるのであります。一般職について申しますれば、これは四十四時間ということになっております。学校——学校と申しましても、今私が申し上げるのは国立学校あるいは付属学校のことでございますが、そういうところにおきましてはこれはやはり教職員の勤務時間はきまっておりますが、校長につきましては一般行政職の例によっておるのであります。それで校長の俸給表上に定める俸給額というものは、これは勤務時間内の校長の職務と責任に基いて支給されるわけでございますが、校長にはやはり社会教育問題等もありましょうし、そのほかいろいろな付随した問題もございます。従いましてその時間が勤務時間以外に及ぶ場合がたくさんあるのでございます。しかしこれは量的に見積るということはなかなか困難でございます。従いましてそういうものは、その勤務時間外の職務の特殊性に基きまして管理職手当、われわれの方でいえば特別調整額でございますが、それの対象にいたそう、このように考えております。
  199. 辻原弘市

    ○辻原委員 ちょっと瀧本さんの答弁も少し飛躍されたようでありますが、私はそこまで承わってない。また職務の責任の強度、こういうものについて考慮されていないから、今回管理職の手当でそれを補おう、こう今答弁されたのですか。
  200. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 私が申し上げましたのは、一般の勤務時間が規定されております、その勤務時間内の職務と責任に対しまする給与というものはこれは俸給表上の給与でもうすでに一応解決済みと考えなければならない、このように思うのであります。ところが校長は管理監督の任にありますし、その他校務と申しましてもこれはいろいろ範囲が広うございます。たとえば社会教育等の問題もございましょうし、そういうわけで勤務時間外に及ぶことが非常にある、しかしこれを量的に計測することは困難である、このような場合に一般行政職におきます管理監督の者について特別調整額を定めておりますと同様の考え方に基きまして、こういう方々のそういう仕事に対しまして特別調整額を定めていく、こういうことでございます。
  201. 辻原弘市

    ○辻原委員 それならば単に一般的な勤務時間内における職務の強度というものは、これは俸給額表の中で規定できる。それは一般職は四十四時間、教員の場合にはその四十四時間以外にかなりの勤務時間を持っている、しかしそれは捕捉しがたい、測定しがたい。これは主として校外、時間外の勤務というものがある。だから管理職手当をつけようとおっしゃるならば校長に時間外の勤務があるというならば、一般的、常識的に教職員それ自体にも勤務時間外の勤務がたくさんある。だから問題はまた超過勤務に返ってくる。それは捕捉しがたいから、超過勤務という時間によって規定された形で出せない、だからそれは本俸の中の調整号俸でやったという今までの説明によると、校長に勤務時間外の勤務があるから、捕捉しがたいものとして、低率の二五%の範囲内で支給することができる管理職手当をつけよう、こういう意味で今これをおやりになるならば、当然一般教職員に対しても何がしかの手当が必要だということが前提になる、だんだんそういうことになってくる、そうなんですか、瀧本さんこれはどうですか、あなたの今の御説明は明らかにそうなんです。もう一ぺん言いますよ。勤務時間外の勤務、これは校長の場合に、教職員という一つの職務内容からかなりある、しかしそれは捕捉しがたい、こう言われた。それを対象にして管理職手当というものを今回創設したいと考えているんだと今答弁された。それならば、同じような職務内容として、教職員も勤務時間外の勤務というものは現実にあるはずだ、それではそれに対して手当をつけますかと私は聞いておる、どうなんですか。
  202. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 けさほど私が申し上げましたように、二九ベースの切りかえの当時におきまして、一般行政職は四十四時間の勤務時間であったわけであります。教職員につきましては、四十八時をこえる勤務時間があったのであります。しかしながら教員の勤務時間というものは、一般行政職のように、きちん、きちんときめるわけに参りません。従いまして、教員の勤務時間につきましては、校長が割り振りをするということに一応なっておるようでございます。ところで二九ベースの切りかえの当時におきましては、そういうことも考えあわせまして、教職員の職務の特殊性ということを前提といたしまして、その当時切りかえた一番高い率の一〇%増しというところで俸給表が切りかえられておる、このように考えておるのであります。従いまして、一般的には普通教職員につきましては、勤務というものは、大体校長の割り振りいたしまする勤務時間内において果されるものであろうと思っております。
  203. 辻原弘市

    ○辻原委員 この点は文部省に伺ってみたいのでありますが、人事院の見解によると、勤務時間の割り振りは校長がやるから、校長には勤務時間外の勤務がかなりあるけれども、一般教職員には勤務時間外の勤務というものは校長の割り振りによって解消されておるものと理解しておる、こう人事院は言うのであります。お認めになりますか、どうですか。
  204. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは教職員の給与表の切りかえの問題でございますが、当時教職員の勤務の実態の把握困難である、かような理由から調整号俸、水準差を設けたわけであります。私どもは超勤の問題はすでにそのときに解決済みだと考えておるのであります。従って校長につきましても、教職員と同様な待遇をして参ったわけであります。今回管理職手当を支給しますのは、校長の管理監督たるの責任と地位にかんがみて支給するものでございます。
  205. 辻原弘市

    ○辻原委員 それじゃ私の質問の要旨とは違う、これは重要な問題だと思う。与党の皆さんもしばしば言われておるように、また文部省の今までの説明では、教職員の勤務時間というものは捕捉しがたい、またかなり勤務時間外の勤務というものが行われるのが、いわゆる教職員一つの勤務の実態なんだ、こういうことが言われてきたと思う。ところが今瀧本さん、人事院からの御説明によれば、校長の場合にはそのことはあるが、一般教職員の場合には、勤務の割り振りというものは校長がやるのであって、時間外の勤務をやらせないように割り振っておるから、現実に時間外の勤務にならないから、だから教職員の場合にはそれは考慮する必要がないという説明を今された。それをそのままあなたの方がお認めになるかどうかということです。お認めになりますと、われわれは今までのあなた方の説明なり、また私たちの見ている実態とは非常に異なる。むしろそういうことならば根本的に教職員の給与というものを考えてみなければならぬ。逆論をすれば瀧本さんのお話のように、教職員の勤務というものは、定められた時間内に行われているということになるということならば、これは明確に捕捉できるということになる。そうなると、一般行政職と何ら変りはないじゃないか。いわゆる職務内容は違います。しかし一つの勤務の状態、勤務時間、こういうものだけを取り上げれば変らぬじゃないかというふうな説になってくるのです。そうなると、いわゆる教育職の特殊性、ひいては私はまだ人事院で結論が出ていないという職階制の問題等にもこれは触れてくる重要な問題であると思うのです。そのことを文部省が認めるということになれば……。だから、一体文部省としては今の人事院の見解というものを認めるのか認めないのかという質問をしたわけです。だから、論整号俸がどうだという経過については、これは別個の問題ですから、その点をお伺いしております。どうなんです。
  206. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この点は私ども表現の違いじゃないかと思うのでございますけれども、私どもは従来から教職員の勤務の実態が捕捉しがたい。従って超勤というものを出しにくいから、調整号俸で校長を含めてこの問題は解決した、さように考えております。
  207. 辻原弘市

    ○辻原委員 さっきの瀧本さんの御説明というのは私はすなおだと思うのです。そういうふうに説明をしてこなければ、ほんとうはこの問題は説明がつかぬのであります。それは第一問の私の質問に対して、瀧本さんはこういうふうに答えられたのです。それは勤務時間外の勤務を対象として管理職手当を出すのだ、こうおっしゃった。それだから、それならば勤務時間外の勤務というものは、一般教職員にもあるではありませんかと私がお尋ねしたら、それは結論だけを言えばないのだ、こう言う。勤務の割り振りは校長がやるのであって、そういうことのないように割り振っておるから、勤務時間外の勤務はないのだと答えられた。それだから、そういうことになれば、勤務時間内にすべてをやっちまっておるというような前提に立つならば、文部省が言うところのいわゆる教職員の勤務時間というものは捕捉しがたいという、教育の特殊性というものは人事院と見解が異なるのではないか。そういうことになれば、今後教員にも職階制が適用できるじゃないか、あるいはそういうふうに時間がぴしぴしときまり得るならば、超過勤務手当をなぜ出さぬのか、こういうことになってくるから、その点の説明を私はあなた方に求めておる。どうなんでしょう、瀧本さん、その点は。私はそう説明しなければ管理職手当を出す意味がはっきりしないと思う。私はあなたを困らせるための質問ではないので、これは重要な問題だから……。
  208. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 私が申し上げましたのは、二九ベースの切りかえのときに、教育職員につきましてはおおむね四十八時間をこえておったであろう。しかしこの教員の勤務時間を捕捉することは非常にむずかしいのであります。そういう特殊性を考慮いたしまして、あの切りかえに際しましては、一番割合のよい率で教員の給与というものが切りかえられておる、このようなことを申し上げたのです。
  209. 辻原弘市

    ○辻原委員 それは私のさいぜん申し上げた質問に対してあなたが答こえられたお答えとは違います。違いますが、繰り返すことは時間の関係から省きますが、かりにそうだといたしましても、あの二九べースのときに、一つの切りかえ時に当って約一割を有利に切りかえたということは、先ほど内藤さんも言われた通り校長を含んで、全教員に対してとった措置なんだ、それは超過勤務手当を出さなかったという背景において、従来の調整号俸との見合いでそれは一割を有利に切りかえたということだけなんです。しかし、それも果して一つの勤務時間外の勤務あるいは業務の特殊性というものに見合っておったかということについては、今日でも疑問があると思うのです。しかしそれは今論議しないけれども、そういうものが果して今日の給与の中においてどれだけ積み上げられてきているかということは、私は今日の研究課題だと思う。それは総じて教員全般の問題だから、全般を上げている。そこで新たにこれを作って校長につけるという理由は、調整号俸が上ったから、その切りかえ時に一般教職員には一〇%あげたが、そのときに校長だけは除外しておったから、その勤務の実態あるいはその職務の若干の責任、こういうものと見合って今回管理職手当をつけるのだという御説明ならよくわかるのです。そうじゃなしに、全部上っておるのです。その管理職手当をつける意味というものは、これは教員との関係には今はないわけなんです。ただ出してきた。その出してきた理由というものは、あなたが先ほど説明されたように、何に準拠してやったかというと、時間外の勤務というものが非常に多いというそのことを取り上げられて、そうして一般の行政職の中でも与えておるところのこの管理職手当というものをこの際つけていきたいのだ、こう説明されておる。それだから私は理解できなくなった、こう言うのです。だからそこに人事院が言われておるのと文部省が説明されておるのとではかなり開きがあるのです。皆さんよく聞いて下さい。人事院の説明と文部省の説明とは非常に違う。もう一ぺん瀧本さんにその点を……。
  210. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 何回申し上げましても同じことを繰り返すことになるのです。
  211. 辻原弘市

    ○辻原委員 いや、もう一ぺん言って下さい。
  212. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 むしろ校長は一般行政職と同じように四十四時間の勤務時間がきまっておるわけです。ほかの教職員につきましては、これは校長が勤務時間の割り振りをする建前になっております。
  213. 辻原弘市

    ○辻原委員 やっぱり瀧本さんはそういう見解に立って管理職手当というものを考えられておる。(「違う違う」と呼ぶ者あり)あなた方、違う違うと言うがそうなんです。(「同じじゃないか。」と呼ぶ者あり)いやいや違います。校長は時間外勤務というものがある。それは校長という職務から時間外勤務というものが出てくる。しかし一般教職員はそれとは違う。校長が割り振って時間外に勤務させるなどの時間外勤務というものがないから、だからその時間外勤務をするための一つの手当というものは必要がないということを説明されておるのです。私はそうだと思う。そう理解しなければ、これは理解のしようがない。手当というものは、先ほど前提に言いましたように、ぱんぱんと勝手にこの者に手当をやろう、あの者に手当をやろう、お前よくやったからやろうというものではない。何かしら一つの手当を出さなければならぬ対象があって出る。だから今その対象は何かというと、校長という職務からきたところの時間外勤務だ。勤務時間外の勤務。捕捉しがたい勤務時間を対象としてこの手当を出そう。——この点は明らかに速記録に残っております。そこで、校長が割り振りをするから時間外勤務というものが一般教職員にないということになると、これは将来完全に教員の超過勤務なりあるいはそれに見合う一つの手当というものが必要ないというような結論に導き出される有力な意見になってくると私は思う。そういうことを認めていくならば……。
  214. 淺井清

    ○淺井政府委員 ちょっと私から申し上げます。ちょっと給与局長答弁が技術的に過ぎましたためにいろいろ混乱したようでありますが、管理職手当は、給与法に書いてありますように、管理または監督の地位にある者に支給するのであって、学校長はその一つだ、これだけの問題でございまして、決してそんな複雑な問題ではないと思います。
  215. 辻原弘市

    ○辻原委員 いやいや、それは総裁が政治的発言をしただけの話なんです。事務当局はそんな説明では私は理由づけにならぬと思う。だから、瀧本さんはすなおに言われておると思う。私は瀧本さんを責めておるのではありません。当りまえのことを瀧本さんは言っておるのだ。総裁は、管理監督の任にある者に出すのだ、ただそれだけ。法律の提案理由の説明の中にあるやつだけを持ってきて言っておるのだけれども、その管理監督の内容はどうだ、こう具体的になった場合に、瀧本さんは、その職務の内容から時間外勤務というものがかなりある。しかしそれは単なる超過勤務手当とかあるいはその他の手当ではこれを補うことができないから、管理職手当でこれをやるのだ、こう説明されておる。そうなんです。そこで問題は……     〔発言する者あり〕
  216. 坂田道太

    坂田委員長 お静かに願います。
  217. 辻原弘市

    ○辻原委員 私の問わんとしている点は、いわゆる校長にのみ時間外の勤務があって、一般教職員に時間外の勤務がないというようなことを認めては、従来のあれは成り立たぬということを私は言っておる。だから人事院の方の見解見解として、文部省見解は先ほどその点ははっきりいたしましたから追及をいたしませんけれども、この点が超過勤務手当を出していくか出していかぬかという非常な論拠になるから、私はまだ——総裁はそういうふうに言われたけれども、実際事務当局の間にはこれらの手当を具体的に支給していく上の措置としては、若干見解に相違があるようにどうも見受けるのであります。私はこの点の見解に一致しない点がかなりあるように思うのです。まあしかし押し問答になりますからそれはそれといたしまして、そこで本法の問題に戻るのでありますが、本法は、一般行政職は四十四時間を基礎として、しかも職務の責任と職務の内容というものに準拠してやらなければならぬ。ところが先ほどの御説明によりますと、従来教職員の場合にそういうことがあまり顧慮されていなく今日に至っておるように私に聞えたのでありますが、それはどうなんです。職務の内容に応ずるような一つのそういう給与の体系というものが今日まで設けられていないのかどうか、その点はどうなんですか。
  218. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは国家公務員につきましては、御承知の通り一級、二級、三級、四級とありまして、一等級は次官クラス、二等級は局長クラス、三等級は課長クラス、四等級は課長補佐クラスというふうになっております。しかし二等級の場合に必ずしも局長以外の者が二等級になれないというわけではございません。同様に教員の場合につきましては一等級、二等級、三等級とありまして、一等級の場合は大体校長、二等級は教諭、三等級が助教諭、こういうふうになっておりますが、一等級の場合、教諭でも一等級になり得る道が開かれております。
  219. 辻原弘市

    ○辻原委員 今の御説明でわかりましたが、ここに俸給額表がありますが、これによりますと今局長さんが言われたように、一等級、二等級、三等級に分れておるようであります。——大体教職員の場合の位置づけは今の御説明のように一等級が校長、二等級が教諭、三等級が助教諭その他講師ですか、こういう形になっておる。これはこの俸給額表を見ますと、実質的にそれぞれの等級によってその給与の取扱い方が異なっているようであります。事実これは異なっておりますね。そうすると俸給額表の中ですでに職務に応じた、またその責任の度合いに応じたような位置づけが行われているんじゃありませんか、それはどうなんですか。
  220. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほど申しましたように、一等級の場合は原則的に校長は一等級でございます。しかしながら教諭の場合、特に教頭のような場合には一等級に格づけできるようになっております。ですから校長でなければ一等級になれないという趣旨ではございません。このことは同様に、たとえば国家公務員につきまして原則として部局長は二等級でございますけれども、視学官でも二等級になり得るのでございます。従って管理、監督の分はこの中には入っていないという解釈をとっているのであります。
  221. 辻原弘市

    ○辻原委員 そのなり得るかどうかということについては、同僚委員が疑問があるそうでありますからあとでやってもらうことにいたしまして、とにかく原則は一等級は校長、二等級は教諭、三等級は助教諭であるが、教諭、校長だけの問題を取り上げてみましても、その間にははっきり等級によって差を設けてあるわけです。具体的に俸給額表を見てみますと、この昇給の取扱いにいたしましても同じように、たとえば二万五千三百円の教諭は俸給額表では十二カ月で昇給できるようになっている。ところがその上の二万六千四百円に至ると、これは十五カ月でなければ一号上らないという、そういう一つの昇給期間の規定になっておる。ところがその同じ俸給額表を一等級へ持ってきてみれば、二万五千三百円は一等級でも十二カ月、ところが二万六千四百円になりますと、これは二等級の場合には十五カ月を要するが、一等級の場合には十二カ月ということになっておる。そうすると同じような学歴と同じような勤務年数を持っておりながら、片や校長になり片や教諭にとどまっているということになっておると、校長にいった場合にはどんどん昇給していくということは、実質的に給与が開いていくということを意味するんじゃありませんか、そうなんでしょう。だから校長というところまでいくと、その間に非常に差が開いてくるという、そういう俸給額表ができているのはお認めになるでしょう。
  222. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 さようでございます。     〔発言する者多し〕
  223. 辻原弘市

    ○辻原委員 今うしろでがあがあ言っておるけれども、結局そうでしょう。結局俸給額表によってすでに校長という一つの職務の内容、それから責任の度合い、これを加味して一等級に校長を位置づけて、しかも給与の取扱いに優位性を保たせるために、昇給期間というものを一般の教員に比して非常に短かくして、そうして校長の優位性といいますか、待遇の上において教諭よりも一歩先んじたそういう優遇を講じておるとするならば、私はもうすでにここにおいていわゆる校長と教諭といいますか、そういう者のある程度の職務の相違といいますか、そういうことは十分その目的を現実に達せられておると思う。それはどうなんです。     〔「それでも足りないのだよ」と呼ぶ者あり〕
  224. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほど来人事院からも御指摘がございましたように、現実的な意味で職階制はしてないわけです。職階制でお話のように校長俸給表とかあるいは教諭俸給表、こういうような職階制になっておれば仰せ通りであります。ですから今日の場合でも、一等級になれるのは校長だけではなく、教員でも一等級になれるのです。従って校長と同じ一等級になっておる教員の場合には差別がないわけです。ですから校長の管理、監督たる地位にかんがみまして、特別の調整号俸をする必要がある、かような意味でございます。
  225. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は不敏にして非常に理解が浅くて、大体一等級はほとんど校長、それから二等級は教諭、こういうふうに理解しておったのですが、あなたの今の御説明によると、かなり一等級にもどんどんいけるようなお話でありますが、新給与表が実施されてからかなり日にちがたっておりますから、全国的にあるいは国家公務員地方公務に分けて、どの程度今日教諭で一等級に昇格しておるか、その資料を提示していただきたい。そうでなければこれは理解できない。その点どうです。もしあなたが言われておったことが、ただそういうこともできるということであって、現実に行われてなければ、これ自体が完全なる職務給と言えるのです。しかしそうではなくて、今あなたが説明されたようにかなりの者がどんどん支障なくして二等級から一等級へずっと上ってくるということであれば、あなたの説明を私はかなり了といたしましょう。その点われわれにはわりませんから、そのデータを一つ出していただきたい。それを見てみまして、かなりどんどんいけるならば、そういう一つの職務に応じた責任と度合いということが、厳密に区別せられておらないと私は判定いたします。しかしあなたは口ではそう説明されたけれども、実際はほとんど校長が一等級で、二等級は教諭だ、こういう現実が現われた場合、この表において一つの目的は達せられている、こう理解していいと思う。  それから、その辺から先ほどそれだけでは足らぬのだというお話がありましたから、私はもう一つ人事院から文部省にお尋ねをいたしたいと思うのですが、かつて給与の切りかえ前に、校長に対する一号の、これは何といいますか、私ども一つのかさおきという意味じゃないかと思うのですが、校長という一つの職制に対する一号俸の特別な昇給が現実に行われたように思うんです。これは一体その後どうなっておるのか、またそれを実施したのはどういう根拠に基いてやったのか、この点を一つ文部省の方からまずお聞きしてみたいと思う。
  226. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 たしか二九べースの切りかえであったと思いますが、校長の職制にかんがみまして一号調整いたしました。しかししばしばの給与の改訂によりまして、現実にそれがどうなったかということになりますと、これは給与全体の中に含まれておると思います。
  227. 辻原弘市

    ○辻原委員 給与全体の中に含まれておるという御説明がありましたが、全国的にそうなんでしょうか。給与全体の中に含まれて消えてしまったという御説明ですが、全国的にそうでしょうか。
  228. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 給与はしばしば変りましたので、その二九べースの切りかえの当初においては御承知のような一号着せましたけれども、その後三七べース、六三ベースあるいはそれ以後にも数回に及んでおりますので、その後は全体の中に含まれておる、かように考えております。
  229. 辻原弘市

    ○辻原委員 私はこういうものは正確を期する必要があると思うのです。私が今問わんとしておることは、現実に校長という職制が給与の上においてどの程度の待遇を今日されておるかということを、あらゆるケースにわたって私はお尋ねをいたしておる。その結論の出方によって、さらに屋上屋を重ねるような管理職手当というものが必要であるか必要でないかという、給与制度上の問題の結論が常識的に出ると思うのです。政策的にそれでもやるとおっしゃられればそれはいたし方がない。別個の問題なんですから。われわれは忠実に他との均衡——特に給与の場合には、民間との均衡、それから国家公務員地方公務員との間の均衡、常に均衡がやかましく言われておる。ですから、給与制度というものは、常にそういう均衡と、また当然出すべきものであるか、出さないでもいいものであるかという具体的なデータに基いてこれは行われなければならぬと思う。それが私は今日の給与制度だと思う。そんな得手勝手なものじゃないと思う。そういう意味でお尋ねしておる。もうすでにその一号のかさおきをされたものが消えておるのだと思いますというようなあいまいなことでは了解できない。なぜならば、たとえば私の県においては、現実にこれは生きております。これは私は調べてみた。一号というものが加算されて生きておる。そういう県が他にないとは言えないと思う。そういたしますると、そういう該当県は本法の中において、いわゆる昇給間差という有利な取扱い、さらに一号というような取扱いがすでに現実に行われた上に、さらに管理職手当というものが校長にのみ出されるということになる。(「いいなあ」と呼ぶ者あり)いいなあと後の方で言っておりますけれども、私は重要な問題は、なぜかくまで私が熱を上げて申すかと言えば、それは、今日、これは人事院ではよくおわかりだと思いますが、経済状態は最近は不景気ではありますけれども、もう戦後の傾向に比べればかなり落ちついてきたということは事実だと思うのです。しかしながら最近人事院が発表されたものなどを見ましても、依然としてエンゲル係数は四二%か三%にしか達していないと思うのです。そういうさなかに、一つの職務給的な取扱いのものがどんどんふえていくということは、一体給与制度上どうかという根本問題に触れてくると思うから私は申し上げる。だから先ほど申しましたような校長の一号のかさおきというものが、全国的にどうなっておるか、この点も一つ文部省に資料を要求いたします。今のそう思いますという内藤さんの言は信じたいのですが、内藤さんがおっしゃるのですから、まあ大して間違いはなかろうと私は理解をするのでありますけれども、それは一般的ではありませんから、すでにその一号が消えておるというデータを文部省から出してもらいたい。それなら私は理解をいたしますから。
  230. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは二十三年以来、給与がすでにおそらく十数回に及んで変っておると思いますので、それがどこでどういうふうになったかということは、一々私どもも過去にさかのぼって詳細に調べることは困難かと思います。できる範囲の資料は出したいと思いますが、この問題は、すでに国立大学の学長、学部長等に管理職手当を支給するときに、人事院で御検討済みだと思うのです。そういう点をお考えになって、国立大学の学長、学部長には一二%という低率になったというのはそういう趣旨だろうと私は思います。
  231. 辻原弘市

    ○辻原委員 それは、内藤さんのお答えは酷だと思うのです。人事院は国家公務員の分だけやっているので、地方公務員のそれまで、逐一そういう給与の実態についてやっておるのじゃないのです。そうでしょう。瀧本さんどうなんですか。地方公務員の分までおやりになるのですか。それはけっこうだと思うのですけれども……。
  232. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私が申しましたのは、国家公務員の例によって地方公務員はきまるようになっておる。ですから同じことでございます。
  233. 辻原弘市

    ○辻原委員 いや違う。それはおかしいのですよ。私は今地方公務員の問題を言っておるのです。地方公務員の中で、各県々々において、かつて一号加えられた。ところがあなたの説明によると、それはもう今日十数次にわたる切りかえの中で全部消えちゃったと説明されておる。ところが、私が先ほど指摘したように、私の県では、一号のかさおきは現実に切りかえ時において残してきておる。残っておる。そういう県が他にあるかもしれないと私は言っておる。だから国家公務員の場合は数が少いのですから、あるいはそれはもう完全になくなったという前提で人事院はやられておるかもしれない。しかし地方公務員の場合にはそれは人事院に聞いたってわからぬじゃないか。あなたの方の責任なんですから。あなたの方がともかく全国的に調査をされて、そうして取扱いをされ、今度の管理職手当なんかも、そういうようなデータに基いて出されておるものと私は理解しておる。このくらいのものをやったらいいだろう、文部省は予算をとることは上手だし、そのくらいの手当を出すことはへっちゃらだから出しておきましょうというような簡単なものではないでしょう。ですから、少くも他との均衡を十分勘案されて、七%という額、これならば妥当なのだとあなた方は考えられたに違いないと私は好意的に理解しておるけれども、その点は一体どうなんでしょうかとお尋ねした。だから、人事院の方でわかっておるでしょうなんということはおかしいのです。
  234. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 地方教職員の給与は、御承知の通り国立学校の例によっておりますので、国立学校の基準をそのまま適用することに相なっております。
  235. 辻原弘市

    ○辻原委員 国立学校の基準によって地方公務員にやるということはわかっておりますよ。わかっておりますが、現実に各県での給与の取扱いというものがそのままの姿になっていないところに、けさほどの地方行政委員会との連合審査でも、九府県の高いとか低いとかいう現実問題が起きてきておるのでしょう。国家公務員通りに切りかえられ、国家公務員通り実施されておるならば、地方と中央との問題はないはずなんです。しかしそういうような過去の実績が積み上って残っておるところに今日給与問題が複雑になっておる原因がある。だから、その中にそういうものがすっかりなくなっておるのかなくなってないのかということ、私は単なる説明とか、人事院の国家公務員だけを対象にしたデータだけで信用することはできぬというのです。それは各府県状態をかなり正確に洗ってみなければわからない。現実に一号残っておるところがあるのです。またおそらくこれは地方においてはそういう印象を与えておると思う。もしその一号を今日でも校長につけておるところが私の県以外にあるとするならば、そういう県ではおそらくさらにその上に——一般教員については何ら最近ベース・アップが講じられない、しかも給与法で昇給の期間が長くなった、それなのに、校長だけに管理職手当というものがその上にさらにつくというようなことは一体どうなんだろう、実際実施する側においても戸惑いするようなことが起ると思うのです。それだから私は申し上げておるのです。あなたが、屋上屋じゃない、妥当なんだとおっしゃられる限り、妥当だというデータを出してもらいたいというのです。国家公務員の基準によって地方公務員をやるといったくらいのことはそれは法律の一ページに書いてありますよ。そういうことをお尋ねいたしておるのではありません。だから私は少し資料を出してもらわなければいかぬ。これは委員長にお願いいたしておきたいと思います。  だんだん時間がたって参りまして、同僚の皆さんに非常に御迷惑をかけるようでありますし、先ほどの理事会の話し合いもありますので、若干時間を縮めまして、給与の問題につきましてはあと他の同僚委員がまだおやりになると思いますから、さらに関連質問等において私もただしていきたいと思います。なお資料の提示をお願いいたしました分については、その部分に関する限り、結論が出ておりませんので、留保しておきたいと思います。これは委員長にお願いしておきたいと思います。  その次に、問題の角度を少し変えまして、校長に対する管理職手当を要求されるときに、最初は、同時に教頭にまでこれを及ぼしたいという考え文部省は要求されました。これは今日までの質疑の中で文部省も認められておりまするし、当初要求の資料にはそれが載っかっておりますが、それと同時に、教頭というものは従来どこにもこれは制度的になかった。ところが管理職手当が問題にされてから文部省はいつの間にか学校教育法の施行規則によってこれを規定づけておる、少くとも今日特に行政制度、その中に公務員制度も含まれることは当然でありますが、そういうような行政制度が一片の規則命令で改廃されるというようなことは妥当であるかどうか、私は非常に疑問を持つのです。これは一体大臣どうなんでしょう。
  236. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 一片の省令等によって制度が改廃されるというようなことでありますれば、よほど慎重を期さなければならないと思います。このたびの教頭の問題でございますが、これにつきましてはそれぞれよりどころがあって、これに基いて教頭というものを省令で規定いたしたと思いますので、格別問題はないと思うのであります。
  237. 辻原弘市

    ○辻原委員 よりどころがあってと言われた、そのよりどころというのは何ですか。
  238. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府委員から詳細答弁いたさせます。
  239. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは学校教育法第五条だと思いますが、学校の設備、編制に関することは、所管であり、監督庁である文部大臣に委任されておるのでございます。
  240. 辻原弘市

    ○辻原委員 教頭を置くというのは学校の設備、編制ですか。
  241. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 編制でございます。
  242. 辻原弘市

    ○辻原委員 そういたしますと、たとえば校長あるいは教諭、こういうものも学校の編制ですね。
  243. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 学校教育法では、校長、教諭等は規定しておりますが、それ以外にたとえば定時制の学校に分校主事を置くとか、あるいは学校図書館の運営のために司書教諭を置くとか、あるいは職業指導のための職業指導主事を置くとか、あるいは最近できました学校保健法等に関しましては学校保健主事、さような意味で学校の編制については教頭は非常に大きな役目をなしておるのでありまして、現実に各府県におきましても教頭または副校長、いろいろな名目で教頭に類似のようなものを置いているわけであります。この置いている実態を把握いたしまして省令で規定したわけであります。
  244. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は非常にその点は疑義が出るのです。その内藤さんが説明されておるのは一つ学校編制なら編制で指導主事を置くとかなんとかいうのは、これは学校の編制だ。ところが教頭という新しい職名を持ったものを制度的に置くわけなんです。それは単なる学校の編制だというて施行規則でやられるのは、その論をずっと推し進めていけば、これは法律がなくとも、たとえば学校教育法の第五条だけあれば、校長あるいは教諭あるいは助教諭あるいは養護教諭、こういうものは随時適当に置ける、こういうことに通ずるのじゃないかと私は思うのですが、どうなんでしょうか。
  245. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 これは教諭からの補職でございます。ですから官名としての校長というものとは違うのであります。教諭からの補職でありまして、学校をいかにうまく運営するかという編制上の問題で、この中には教頭みずから権限はないわけであります。校長を補佐して校務を整理する、こういう校長の補佐機関としての職務を持っておりますので、私どもは省令で規定して適当であろう、かように考えております。
  246. 辻原弘市

    ○辻原委員 私は、そういう解釈が便宜的に行われることが行政府が立法の一つの建前というものをくずす原因になると思うのです。そういう三百代言的やり方をやるとすれば、教頭の場合は、教頭は補職であって教諭をもってこれに充てる、こう書いてあるから、それは学校の編制だといってやっても別に差しつかえないとあなた方は言われておるが、しかしそういうことが私は非常に問題があると言うのです。少くともこれは一つ学校あるいは一つの分校ということではなしに、一つ学校制度の中の新しい職名として教頭職というものをあなた方は設けようとされておる。それが補職であろうと補職でなかろうと、現実に今まで制度としてなかった教頭職というものを制度として認めようとする。それは私は、今日の行政組織法の建前とか、あるいは憲法の建前とか、あるいはこの民主国家のあり方とかいうものから類推し、考えてみた場合に、非常に行政府としては行き過ぎた行為だと言うのです。そういうものが職制として必要であるならば、当然法律上の措置としてそういうことが行われなければならぬ。それをただ単に行政府が何とかこじつければできるのだという見解のもとに、これを規則命令でやってしまうというふうなことは、私は筋として間違っておると言うのです。これは大臣どうでしょう。
  247. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 問題にもよると思うのでございますけれども、今回施行規則で教頭職を設けたというようなことは、私は学校教育法の解釈適用の上から申しまして、それほど問題とせられるほどのことはないと思うのでございます。
  248. 辻原弘市

    ○辻原委員 今大臣も言いましたように、それは分校に分校主事を置くとか、あるいは新しく学校に図書館ができたので司書教諭を置くとか、こういう問題ならば私はあるいは規則によって便宜的にそれをやることもあえてそう不可思議な、また行政の体系の中で非常に行き方を乱るようにも思えないかもしれませんけれども、しかし少くとも校長、教頭、一般教諭と、常識的にそう並べられる一つの職制を新たに学校教育の職制として設けられるということは、そう簡単な問題ではなかろうと思う。そう簡単な問題ではないはずなんです。しかも当初の文部省考え方からすれば、校長にも管理職手当を出すし、新たに作ったその職名の教頭にも管理職手当を出そうという意図まであったのじゃないか。それほど重視した教頭職であるならば、当然これは行政組織法の建前から見て、法律によってその改廃を行うべきであるというのが私の考えなんです。一体どうなんです。
  249. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この点は、組織編制に関することは法律に掲げられた以外は監督庁である文部大臣におまかせを願っておる。法律の委任事項でございますので、私どもは現実に職業指導主事なり、学校保健主事なり、そういうものも必要だし、教頭を現実に置いておりますし、また置いた方が学校運営上よろしいので、そういう意味から私どもはこれを省令で規定したわけでございます。
  250. 辻原弘市

    ○辻原委員 もう一ぺんその法律の根拠を言って下さい。
  251. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 学校教育法三条に、「学校を設置しようとする者、学校の種類に応じ、監督庁の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」この監督庁の定める設備、編制その他の基準でございます。この中に入るわけであります。
  252. 辻原弘市

    ○辻原委員 この学校教育法三条のその他の基準によって教頭を置くというのは、いかさまわれわれは法律的知識は貧弱でありますけれども、その貧弱な法律的知識をもってしてもどうにもこじつけた、どうにも苦しまぎれにここへただ逃げ込んだという印象を免れませんね。これはあなた方の方でこれでできるのだと言えば一応この場の論議はそれで通るかもしれません。しかしそういうようなことで、また法律で書いてあるもの以外については何でもできる、これはおかしいですよ。これでは法律の改正は要らぬということになる。そんなことは大へんですよ。内藤さんおかしいですよ。法律で書いてある以外のことは、新たに設ける職制等についてはこれは何でもできるとあなたは言った。その他のことはできるというのですね。そんな解釈は出てこないと思う。まあ今は時間がないから、この三条のその他の基準等についてやかましく論議することは避けますけれども、これはしかし私はおかしいと思うのだ。もう少しわれわれも法制的に検討して、あなたの言われるようなその他の基準で教頭を設置することは法制上の一つの理念、法律のものの考え方から何らどこにも差しつかえがないかどうか。これは後日、委員長にもお願いして法制局長あたりにもこの席に出席してもらわなければならぬと思います。  そこで、すでに時間も当初の六時半を過ぎましたので、大へん恐縮に存じておりますが、私が今までだんだんと質問をいたしました点は、特に新しく管理職手当を超過勤務手当が今日まで支給されていない教職員に出そうということは、一般行政職員、さらには教職員その他の間に非常に給与上の不均衡を生ずるおそれがある。現実にまたそういうおそれが出ておる。しかも複雑な給与体系、今日の給与制度の中に、そういうことを何ら調整考慮することなく、直ちにこの管理職手当一律七%を校長にのみ与えようという行き方は、さらに給与のアンバランスをより深めるものにすぎないという給与上の問題から、私はいろいろ論議をしてみたのでありますが、さらにその論議の中に幾多疑問が残りました。それが一つであります。その残った疑問点につきましては先ほど申し上げましたように、さらに今後の質疑の中で私は明らかにデータを出していただきまして、了解するまで一つ質疑をやってみたいと思うのであります。  それから今校長の管理職手当に付随をして文部省が企図いたしました教頭の職制という問題の取扱い、これをただ単に規則でもってやってしまった、しかもその根拠は学校教育法の三条のその他の基準という中でこれはやれるのだ、こういうような文部省の法的見解、われわれはこれは了解に苦しむのであります。私どももさらに法制的な、文部省のみならずその他の見解をもう少しただすことによりまして、少くともいわゆる行政上、また行政管理上悪例を残さないようにできる限り努めたい。だからわれわれもさらに行政管理庁あるいは法制局等の見解も聞いた上で、この問題についてさらに文部省にお尋ねをいたしたいと思います。そこで、本日の私の質疑はこれで終りまして、残余の質疑は保留しておきたいと思います。
  253. 坂田道太

    坂田委員長 本日はこれをもって散会し、次会は公報をもってお知らせいたします。     午後七時三分散会