○三浦国務
大臣 それでは私から
特別国会以降におきます酪農に対する対策の経過の大綱を申し上げます。
あの当時当
委員会等からの
決議等の御
要請もあったのでありますが、
農林省といたしまして、今後、酪農に対する当面の問題、緊急の問題と、同時にまた恒久対策等もあるわけでございますが、緊急の対策につきましてまず申し上げたいと思うのであります。
現在、御了承の
通り、月産約七十万石程度の
生産があるわけでありますが、しかも、この消費面がこれに即応して伸びない、伸び縮みがございますので、そこで余乳が出て参る。従って、
生産者からの買い上げ乳価等につきましても、最盛需要期にあるところの夏場にあっても、これを下げるという気配があり、一部業界からはすでに予告されているような
状況でございます。従いまして、この当面する最盛需要期における原乳の買上価格を下げないという基本方針を立てたい、これが第一点でございます。第二点におきましては、消費の増進を期待し、同時にまた、市乳価格等につきましては、世論もありますので、これを現実に下げて参りたいという問題でございます。同時にまた、第三の問題としましては、余剰の牛乳があるために、この処理をしなければ円滑な需給のバランスがとれない、このためには、当
委員会等からも御示唆がありました
通り、これを学校給食等の拡大によって一部処理する、第二点は、集団飲用等の奨励によりまして消費の拡大をはかる。これがつまり当面緊急の課題として取りきめた問題でございます。
第一の問題でございますが、これは、現在乳価につきましては統制をいたしておりませんし、同時にまた、価格の取りきめ等につきましても、皆さん御
承知の
通り、現状は、
農林省等におきましても、実はいろいろ行政の指導をして参る以外には権限等もないわけでございますので、私の方としましては業界との間に
話し合いをつけて、そして
生産者、同時にまたメーカー側、国と、三者一体になって協力をしてこの問題を片づけるという見地から、夏場のこの最盛需要期における、どっちかというと牛乳の値段のいわば上る時期におきまして、これは下げないということで業界との
話し合いをいたしたのでございます。その結果、大体六月の水準を保つ
——六月には従前の水準を保っておったのでございますから、この六月の水準をもって七月、八月にも対処する、こういうふうにいたしたのでございます。
第二の問題でございますが、市乳価を下げるということでございます。われわれとしましては、十四円ないし十五円で売られているものがいわば市乳の大宗をなすものと見ておるのですが、これを中心としてまず一円程度の値下げを断行してほしい、こういう
要請をいたしたのでございます。数次の折衝を重ねたのでございますが、この方面が皆様御
承知の
通り非常に複雑多岐な
関係にありますので、当初は大メーカーの方におきましても一応応じ得るの態勢をも打ち出してきたのであります。ところが、小売の段階あるいは中小規模の方々との
話し合いにだんだん進んで参りましたところが、実施上の困難が出て参り、ことに、中小企業の方、なかんずく販売をしております面におきまして非常に難点が出てくるということで、この問題につきましては、すなおに政府の希望しております
通り直截簡明に一円下げということの線にはなかなか参りません。そして、代案としまして、むしろ量をもってこれにかえる、つまり、実質的な値下げが妥当だということになって参ったのでございます。しかしながら、これをそのままのみますと、何といいましても世上の世論にもこたえないし、同時にまた、三者の協力によってこの際酪農の危機を突破して平常なものに持っていくということに対しましても、いわば線がくずれるものでございますから、さらに、政府におきましては、この問題の再考をわずらわしまして、そして数日来この問題についていろいろ折衝しております。現在のところ、まだこれははっきりこうだという結論に達しておりませんから申し上げかねますけれ
ども、業界におきましても、世論にもかんがみ、同時にまた業界の内部でもいろいろ熟議せられた結果、政府の
要請の線にだんだん落ちつくような傾向にあるということでございまして、小売商その他中小企業の人々と小
委員会を作って、なおかつ対策を講じているような始末でございますから、あと数日はどうも猶予せざるを得ないと思っておりますが、さようなことでございますので、
消費者のいわゆる市乳の価格引き下げも、私たちの期待しておりますように結論づけられる、こう思っております。
その次の、従来の滞貨の問題、さらにまた、恆常的な消費を増進するという問題につきましての学校給食等の問題につきましては、当
委員会等の御発議もあり、私たちの方としましては、三十万石相当のものを今度学校給食に振り向けたい。なま乳にしまして約十万石、その他製品にして二十万石相当分を学童給食に充てたい。この問題につきましても、実は、今の市乳価格の引き下げが最終的にまだきまらぬのでございますが、一連のものとして閣議で
決定して、そして最終的な予算の取りきめをいたしたいと
考えておったのでございますが、大蔵
当局とは、予備金の支出等につきましても、実質上は話はつけてございます。それらの
関係がありますので閣議の
決定はまだしておりませんが、その段取りをつけております。なお、この際予備金として大蔵省から出していただきますものは、学校給食に関する買い上げの予算でございまして、ほぼ九億円前後の金であります。これだけでは実際動かす場合に困るものでございますから、地方庁でいろいろなあっせんもし、活動もしなければなりませんし、同時にまた、次に申し上げます
通り、来
国会では皆様の御協力によって酪振法も若干改正いたしたいと思いますし、これらの所要の経費等も見込んでおりますが、さしあたりは予備金の支出を要求するというので、これもいわゆる酪農打開の活動促進費ともいうべき経費も大体
話し合いを進めております。そして、計数的にはしばらく待ってほしいということでございますが、実質的には話が済んでいる、こういう段階でございます。
そこで、酪振法の改正の方向でございますが、これは
臨時国会にぜひ提案申し上げたいと存じます。その要点は、
一つは、
季節ごとにやはり乳価の改定があり得るのでございますが、従来でございますと乳価はいわば当事者間の自由なことできまっており、これによってのみではとうてい安定したものは得られませんし、同時にまた農村の方面を保護し得ざるゆえんとも思いますので、この際としましては、従来はあっせん
委員等の
制度がございますが、今度は一歩進めまして乳価調整
委員会のごとき
制度を創設いたしたいと
考えます。従いまして、各地方には数人の複数の乳価調整
委員等を置きまして、この人たちがあっせんの労をとる、当事者双方の
お話を聞いて公正に次の乳価がきめ得るような
制度にいたしたい、これが第一の要点でございます。第二の改正の要点は、従来
農林省は独自の見地から
生産費の調査等をいたしておるのでございますが、なかんずく非常に困難をきわめておりましたのは、各メーカー側の調査の権限を持たないために、その方面の
生産費の調査であるとか、あるいは在庫の調査であるとか、これに
関連する調査の権能を持っておらなかったのであります。この問題は、先般来乳価の取りきめにつきましていろいろ業界と折衝の
過程につきましても、その方面の意向も徴したのでございますが、これは業界におきましてもあえて反対しないということで、これはぜひ
農林省として権限を持ち、そうして公正な調査ができるるようにいたしたい、この条文等も設けたい
考えであります。同時にまた、これに
関連して、従来足らざる点をなお数点設けたいと思いますが、これはもうしばらく検討をさせていただきたいと思います。
なお、現在七十五の集約酪農地域を指定しておるのでございますが、そうして指定した場合には、指定工場の
制度を設けております。指定工場の
制度はありますけれ
ども、この指定工場に対しましては別段の規制をしておるわけでない。特定の義務を課しておるわけじゃございませんが、これらに対しましても、乳価
決定その他につきまして何らかの
措置ができ得るようなこともいたしたいと
考えておるわけでございますが、これはただいまの段階ではまだお示しするに至りません。検討中でございますから、この点を御了承いただきたいと存じます。
かような
立場をとっておりまして、実は、当
委員会も昨日から開かれるので、その前に終局的な閣議
決定等もいたして、そうして皆さんに御報告を申し上げたいと存じておったのでございますが、私たちの不手ぎわもありまして、市乳の価格引き下げ等も最終的には一昨日までに取りきめかねたのでありまして、この点が残っておるので、私が今御
説明したようなことを最終的に
決定したと申す報告ができなかったのはまことに遺憾でございますが、率直に申し上げまして、酪農の対策の当面の問題はかようなことで取り進めたいと存じておりますから、この点御報告を申し上げます。なお細目等にわたりましては
畜産局長から御
説明いたさせます。
なお、集団飲用の奨励につきましては、若干の設備の助成もいたしたい、あるいは特定のものにつきましては免税の
措置を講じたい、二本建で今折衝しておりますが、これはまだ最終的には結論を得ておりません。同時に、予算的には予備金の支出は困難な模様でございますので、これは今後あるいは補正予算等におきましてなお努力いたしたい、こういうことでございます。
一応私からこれだけ御報告いたします。