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1958-08-01 第29回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年八月一日(金曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 吉川 久衛君    理事 助川 良平君 理事 丹羽 兵助君    理事 赤路 友藏君 理事 石田 宥全君    理事 日野 吉夫君       安倍晋太郎君    赤澤 正道君       秋山 利恭君    五十嵐吉藏君       今井  耕君    大森 玉木君       金丸  信君    倉成  正君       佐藤洋之助君    笹山茂太郎君       田口長治郎君    高石幸三郎君       内藤  隆君    永田 亮一君       松岡嘉兵衛君    三和 精一君       八木 徹雄君    足鹿  覺君       角屋堅次郎君    神田 大作君       久保田 豊君    栗林 三郎君       實川 清之君    中澤 茂一君       中村 時雄君    中村 關一君       芳賀  貢君    松浦 定義君  出席国務大臣         農 林 大 臣 三浦 一雄君  委員外出席者         文部事務官         (体育局長)  清水 康平君         厚生事務官         (公衆衛生局         長)      尾村 偉久君         農林政務次官  石坂  繁君         農林事務官         (大臣官房長) 斎藤  誠君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君         農林事務官         (蚕糸局長)  須賀 賢二君         農林事務官         (水産庁次長) 西村健次郎君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         日本国有鉄道参         与         (営業局長)  磯崎  叡君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 八月一日  委員大坪保雄君辞任につき、その補欠として保  岡武久君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  酪農に関する件  水産に関する件  農林水産物運賃に関する件      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。  農林水産物貨物運賃に関し質疑の通告がありますので、これを許します。松浦定義君。
  3. 松浦定義

    松浦(定)委員 去る特別国会の場合において、公共政策割引に関する問題で、国鉄から、六月三十日で期限が切れるので、ぜひこれは廃止してほしいというような要請があったのに対し、委員会では、慎重審議をいたしまして、これについては現在の事情から言って不当であるということで、国鉄もこれを了承して、一カ年間延期ということに実はなったのは御承知通りであろうと思うのであります。従って、そのことについては私はとやかくここで質問するわけではありませんが、その内容について、一点だけ、私ども考えておったのと、ある一部における考え方とが明確でありませんので、この際国鉄営業局長にお尋ねいたしたいのでありますが、青果物、特に野菜類の中で、種バレイショの問題であるわけであります。これは昨年もちょうどこの時期に問題になりまして、当委員会では昨年の八月二十日に種バレイショ運賃割引に関する件ということで委員会決議をいたしておる実態があるわけであります。従って、その内容は、この公共割引制の中から参りますと一三%という割引になっておるのでありますが、種バレイショという特殊なものについては期間を切ってさらにこれに対して三%の割引を追加しておる。しかし、昨年の決定の際における考え方については、七%割引してほしいということを要請いたしたのでありますが、ついに妥協ならずして三%だけ認められた。従って、種バレイショについては一三%プラス三%、一六%というものが公共政策割引として認められておるのが昨年の実態であったわけであります。従って、本年度は、先ほど申しましたような形で、こうしたものについては一カ年延長という、そういう事実がある限りにおいては、これらも含めて昨年同様の処置がとられるものと、このようにわれわれとしては了承いたしておるのでありますが、国鉄当局としてはこの問題についてどのようにお考えになっておるのか、まずこの点をお伺いいたしてから次の質問に入りたいと思います。
  4. 磯崎叡

    磯崎説明員 突然のお呼び出しでありますので、資料が間に合いませんで、はなはだ申しわけありません。資料なしでお許し願います。  ただいまの御質問の、過般特別国会の際における当委員会運賃問題についての御審議の結論といたしまして、私の方から当時実施いたしておりました公共政策割引につきましてはこれを一年間延期いたしますということは申し上げました。私の方では、公共政策割引と申しますのは、あのときもるる御説明申し上げました通り昭和三十二年の三月三十日付で公けにいたましたあの一連の割引を申しております。そのほかに、私の方といたしましては、営業割引もございますれば、また季節割引と称する割引もあるわけでございます。たとえば、例を申し上げますれば、青森県のリンゴ、あるいは今出ておりまする福島県、山形県の桃、夏リンゴ、さらには鳥取県のナシ、愛媛県、広島県、山口県のミカン、それからさらに宮崎県及び高知県の早生野菜、あるいは高知県、富山県のスイカ等、種々季節的なものがあるわけであります。これらにつきましては、その季節々々に従いまして、私の方の輸送力とそのときの作柄等を十分勘案いたしまして、そのつど異なった割引をし、あるいは割引をしないで今までやってきております。過般御説明申しましたなまバレイショは、これは年間を通じて割引をいたしておりますが、季節割引といたしましてはそのほかにたくさんございます。それらにつきましては、ことに輸送繁忙期に当ります九、十、十一月等に多数出荷されるものが大部分でございます。ことに農産物でございますので非常に輸送に時間を争う。しかも秋冬繁忙期と申しまして、私の方の輸送といたしましては一年中で一番忙しい時期に際会いたしまして、ほかの貨物も非常に押し寄せて参ります。従いまして、そのときにどの程度の割引をいたしますか、もっぱらその年のその季節々々の貨物作柄並びに私ども輸送状況によってきめておるわけであります。過般の年間を通じていたします公共政策割引とは全然そのおい立ちなり扱い方なりを異にいたしております。
  5. 松浦定義

    松浦(定)委員 ただいま局長の御説明によりますと、なるほど、季節的のものについてはいろいろ輸送条件等があるのでこれは別に考えなければならない、これは確かに一理あると思うわけであります。しかし、過般の審議過程においても、一般のものに対する中でもいろいろそれらとは相当関連性の深い意見が実は出て参ったわけであります。特に、先ほど申しましたように、昨年の八月二十日の当委員会決定についでも、そういう問題は討議をされまして、そこで七%という要求に対して三%で折り合ったという事実があることは私ども承知をいたしておるわけであります。従って、そういう形からいたしますと、われわれは、先ほど申しましたように、あくまで総体的の問題の中において一三%というものを含んでおるというふうに実は考えておったのでありますが、今の局長の御説明によりますと、全然われわれの考えとは違っておる。あるいはまたそのこと自体が当委員会にも十分反映していなかったというふうに私も了承するわけでありますが、それはそれといたしましても、現実の問題として、やはり季節割引というものは当然これは必要であるとして制度の中で認められておるのであります。特に、なまバレイショ等につきましては、これは季節期間が十月四日から十二月の十四日まで、こういうふうに規定されておるということは聞いておるわけであります。こういう短期間においてああいう遠隔の地から特に消費地に対して作付が余らないように輸送を完了しなければならぬという問題でありますから、相当他の物資より優先してやはりその輸送をやっていただかねばならぬということになるのでありまして、こういうような中から、確実にそのバレイショを提供いたしまして、それを作付する農民、あるいはまたそれを消費する一般消費者のために、少しでも安いものを多く提供しようという目的であるのでありますから、そういう点について、この季節的なものは特にほかのものとは多少趣きを異にしておる、こういうふうに実は考えておるのでありますから、昨年も同様そういう趣旨から検討されまして三%というものを認めたという事実に照らしますならば、本年度、今そういうようなお考えで先ほどの一三%というものとは違うという見解に立つといたしましても、この三%というものは局長考え方では本年は認められない、こういうお考えであるか、あるいはまた、これは従来通り認めるべきであるというふうなお考えであるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 昨年の八月の当委員会種バレイショに対する御決議につきましては、私どもも十分それを尊重いたしまして、三%の割引をしたわけであります。実は、この問題は、その八月二十日のこの会議におきましても明らかにされました通り、私どもといたしましては、昭和三十一年度末に農林省に対しまして、この問題については本年限りにぜひしてほしいということを正式に文書をもって申し入れておったわけであります。その当時農林省からは何らの回答なしに実は過ぎまして、そのことが実は八月二十日の当委員会で問題になりました結果、結局農林大臣運輸大臣とお話し合いの結果、それじゃ昨年限りでいいからとにかく三%やれというようなお話を承わりまして、実は私どもといたしましては三%の割引をいたしたわけであります。  事の起りは、実は、昭和二十八年の運賃改正の際に、問題になっておりました百五十キロ青函連絡船の短縮の問題が、そのまま昭和二十八年には保留になったわけであります。そうして、その後昨年の三十二年度運賃改定の際に、四百五十キロを三百キロに減らしたわけであります。その当時すでにこの問題については問題が一応解消したというふうに見てしかるべきだと思っておったのでございますが、その後、今のようないきさつでもって、去年とりあえずこれだけのプラスをしたわけであります。  私どもといたしましては、過般、特別国会におきましてるる私がここで御説明申し上げさしていただきました通り、現在の状況からいたしまして、あの際はぜひ二十数億のうちの八億をお戻し願いたいということで懇請いたしましたにかかわらず、それは一年間まかりならぬというようなお話でもって現在に至っておるわけでありますが、今といたしましては、それ以上に割引を強化するということは目下考えておらないのでございます。  念のために申し上げておきますが、バレイショにつきましては、現在六級で九八であります。私どもで申しますと等級指数と申しておりますが、等級指数九八を二三下げて七五にする、その七五に下げたものをさらに一三%割引をいたしまして、これを六五に下げております。従いまして、本来の運賃から申しますと、約三割三分の割引をすでにいたしておるわけであります。従いまして、私どもといたしましては、ほかの物資運賃負担——ことに、今先生がおっしゃいました通り、この種バレイショ輸送につきましては、非常に大きな貨車輸送力を使うわけであります。しかも、十月から十一月という、私どもの最も輸送繁忙期で、種バレイショでなしに鮮魚の方で申しますと、東北線輸送力あるいは裏縦貫輸送北海道にさいては困る、もっと東北の産業にさくべきだという強い水産関係の御主張もございます。また、東京向けの薪炭、木炭の出荷期を前にいたしておりまして、それが岩手県、青森県から出荷をされますのが十月であります。それらが全部東北線にかぶさって参りますから、それらと競合いたしますので、必ずしも種バレイショだけをほかの物資を犠牲にして優先して輸送しなければならないかどうかということについては、魚等関係から見ましても相当問題があると思うのであります。それらにもかかわらず、相当多くの貨車の配給をいたしまして、しかもこれは先生のおっしゃった通り非常に遠距離でございます。約平均輸送キロが千九百キロになっておりまして、コストのかかる、しかも大輸送でございます。この大輸送につきましては、私どもといたしましても、今まで少くとも万遺憾なきを期して参ったのでありまして、輸送につきましては今後十分努力させていただくつもりでございますが、運賃につきましては、どうぞ現在の一三%でもってお考えを願いたいというふうに考えておる次第でございます。
  7. 松浦定義

    松浦(定)委員 局長も、今の御説明の昨年度の経過については、運輸大臣農林大臣との話し合いの中で今年限りということで約束してある、こういう強い御意見でありますが、もしそういう事実つがあるならば、われわれは、ちょうどきょう農林大臣はまだおいでになりませんが、政務次官は、そういうようなことで果して今年の種バレイショ輸送が円滑にいくか、あるいはもしそれがいかなかった場合において、今後作付指導あるいはまた増産指導に対して相当考えなければならぬと思うのでありますが、そういう重要なものについて、今年限りでよろしいということを——委員会が、先ほど申し上げましたように、一三%という含みの中ですでにそういうものを解釈しておるといったくらいにまでわれわれ理解しておる中で、特にそういうものについて大臣同士話し合いをして、それでいいというようにお考えになるということならば、重大な問題だと思うわけでありますが、事は、今局長が言われるように、ただの種バレイショ以外に大きな問題がある、確かにそれはあろうと思いますが、しかし、一つの問題がくずれれば、大きな問題が解決するのには相当困難であろうかと思いますので、当該委員会としては、少くともこの種バレイショについては、今のような局長説明ではちょっと了承しかねると思うのでありますが、政務次官は、そういう大臣同士の間で話し合いをしたということについて、どういうお考えをしておられるか、一つお伺いいたしたいと思います。
  8. 石坂繁

    石坂説明員 ただいま磯崎局長答弁のうちに、農林運輸大臣話し合いできまった、こういうふうなことでありますが、私はその点の事情をつまびらかにいたしておりません。ただ、しかし、松浦委員の御発言はごもっともと思いますから、私も、事情を確かめ、その後に両省との間にこの問題の解決について努力いたしたいと思っております。
  9. 松浦定義

    松浦(定)委員 政務次官が努力するということについては、私どもは了承しないわけではないのですが、局長の今の御意見の状態からいくと、そう簡単には私は解決できないと思う。しかし、これは、私はただ金額の問題ばかりではないと思う。たとえば二十四億というもので八億というものを何とか戻してもらいたいというお考えの中でそういう問題が解決したにかかわらず、わずか種バレイショの何がしかの問題が特に解決できないでいるということになりますと、これはただ金額の問題ばかりではなくて、やはり今後のいろいろな政策の上にも影響してくると思います。農林省としては、確かに、種バレイショばかりではなく、今お話のありました鮮魚類等については特に重要な問題があろうと思いますし、この問題が解決しなければおそらくほかの問題にも相当影響があると思いますから、政務次官の今の御意見一つ十分やってもらいたいと思いますけれども、とりあえず、今の国鉄関係考え方については、われわれは当然了承することはできないのでありますから、今後、それぞれ関係者意見と、さらにまた今年の生産あるいはまたそういう輸送状況等とからみ合せていろいろ問題になろうかと思いますが、昨年と今年とそれではどういうふうに変るかということについて、私は疑問があるわけであります。昨年三%認められたものが、本年はどうしても認められない、しかも、二十四億という問題については解決したけれども、わずかこの問題については解決できない、そういう考え方では、私はちょっと困ると思いますが、この点については、農林大臣運輸大臣話し合いをして努力するという考えに立って今政務次官の御発言でありますから、局長としては、そういう両大臣話し合いで解決できれば、あえてこれは固執しないというような御意見であるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 私も運輸大臣監督を受けておりますので、監督官の命令には従います。
  11. 松浦定義

    松浦(定)委員 それでは、ただいまの局長意見を了といたしまして、政務次官も、責任を持って解決する、こう言っておられますから、両省においてとくとこの問題を検討していただいて、われわれの考え方が間違っていなかったという見解に立って、従来通りこの三%をさらに認める、こういう線で進めていただきたい、私は実はこのように要請をいたしておきます。特に、この問題がもし今解決しないと、今生産過程にあります現地におきましては、いろいろな関係で問題が起ろうかと思いますから、少くとも臨時国会前にはこの問題を両省間において自発的に解決してもらうということでなければならぬと思いますが、そういう問題を解決できないで、ただ、今のような局長の御主張で、それぞれ両大臣意見を具申して、解決できないというような形でこの最盛期を迎えるということになりますと、重大だと思うわけでありますから、われわれは、あくまで、先ほど申し上げましたように、一三%のプラス三%というものは、一カ年延長したという昨年の決定に基いて了承いたしておるのでありますから、この見解だけはあくまで曲げられないということだけは強く要請いたしまして、今後の両大臣話し合いがその線を認めるように一つ努力されんことを特に希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  12. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 関連をして芳賀貢君から発言を求められております。これを許します。芳賀君。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 国鉄営業局長にお尋ねしますが、今の局長答弁は、局長自身はわかっておるようですが、われわれとしてはなかなか理解に苦しむわけであります。それで、六月二十七日の当委員会において、いわゆる公共政策割引に対して、当局側からむしろ自発的に一年間延期したいという発言があったのであります。われわれとしては、これは了承できないから、運輸大臣並びに国鉄総裁を当委員会に呼んで、なぜこの政策割引農林水産物資に対して圧縮するかということを究明する予定だったのです。ところが、あなたの方から、自発的に発言をしたい、そういうことで、自発的にもう一年延期しますということを言ったわけです。われわれとしては、一年とか二年とかいうことを区切りたくはないのだけれども、一応誠意を認めて、その一年間という発言は認めたわけなんですが、これは一年でいいという委員会の了解じゃないのですよ。この点は十分今から頭に入れておいてもらわないと、来年またこの問題が出てきます。そこで、せっかく政策割引当局自身が当委員会意思表明をしたということになると、当然これは、これに関連した、特に農産物の種子に対する政策上の割引というものは、これは論ずるまでもないところなんです。これだけは別だということに対しては、全くこれは了解できないわけです。特に、昨年の八月二十日の委員会決議を尊重されて、この問題もさらに三%の実現ということになっておる。この点は、利益追求国鉄であれば別ですけれども公共企業体としての公益性、あるいは政治の上に乗った国鉄の経営ということを考えた場合においては、この問題に対する今の局長答弁というのは、全く理解に苦しむわけです。もう一度、局長個人考え方ではなくて、国鉄全体あるいは運輸当局全体の意思がどこにあるかということを明確にしていただきたいと思います。
  14. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほども申し上げました通り、たとえばバレイショ運賃で申しますと、バレイショは、本来私の方の現在の運賃体系から申しますと、六級と申しまして、運賃指数九八という数字に該当するわけであります。これに対しまして、ただいま先生のおっしゃいました通り国鉄のいわゆる公共的な立場から、それを二十三という数字を下げまして、九八を七五にして適用しておるわけでございます。さらにそれに対しまして一三%の公共政策割引をして、先ほど申しました約六五の数字に落した。本来ならば、現在の価格中心主義運賃制度で参りますならば九十八円のものを、六十五に下げてお送りしておるわけでございます。この点が、私どもといたしましては、国民の鉄道をお預りしておるものとしての公共的な立場運賃割引であるという考えであります。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 何のために現在まで種バレイショに対して特別割引をやってきたか、どういうところに本心があって今まで割引をしたのだということです。
  16. 磯崎叡

    磯崎説明員 それは、先ほど申しました通り、二十八年の運賃改正の際に、青函航路キロ程の問題から起ったわけであります。そうして、二十八年の運賃改正のときに四百五十キロでありました青函航路キロ程を、百キロないし百五十キロ下げたいという希望があったわけでありますが、私どもがそれを実現いたさなかったわけであります。その代償といたしまして、種バレイショにつきましては、その当時一三%プラス・アルファということで割引をしたわけでございます。現在すでに、昭和三十二年の運賃改正におきまして、四百五十キロ青函航路キロ程は三百キロに下げております。約三割下げておるわけであります。従いまして、私どもといたしましては、その下ったときにおきまして、この種バレイショプラスするということは理由がなくなるというふうに考えておったわけであります。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 種バイショに対してなぜ特別割引というものの必要を認めて今日までやってきたかということなんです。たとえば、国鉄当局がその意思でなくても、とにかく三十二年度においても国会意思を尊重してやってきたのでしょう。国会意思というものが正当、妥当であるということを曲りなりにも認めて、それで特割をやってきたのですからね。その必要性というものはどこにあったかということになると、これは、いわゆる農業政策とかあるいは食糧政策の中において、たとえば北海道なら北海道生産された種バレイショの持つ意義というものは、やはり当然これは運賃特割をしなければならぬということになって、今日までこれが採用されてきているわけなんです。ですから、先般大幅に二十四億も公共割引を思い切ってやるというような決断さえやったんですから、今回のこの措置が継続された場合においては、これは金額から言えば微々たるもですのよ。ただ、問題は、北海道種バレイショを用いることによる農家の生産の度合いというものは、たとえば三〇%ないし五〇%、これによって増産が期待される、こういうことは国鉄においても認識済みのことなんです。食糧バレイショ特割をやれというわけではない。種バレイショに限って、これはやはりこの措置は必要であるからして、当然継続すべきである。特に六月二十七日の当局の自発的な言明の中においては、これは当然包含されておるというふうにわれわれは認めたからして、そのときには言及しなかったのです。最初からそういうことであれば、あの場合、ただし種バレイショにつきましてはこれはもう割引しませんということをなぜ言明しなかったのですか。今ごろになって、それだけは別だということは、これは全く了解できない。あなたで責任のある答弁ができなければ、これは総裁かあるいは運輸大臣が出席して当局意思を明らかにしてもらいたい。
  18. 磯崎叡

    磯崎説明員 過般の特別国会におきます運賃割引の問題につきましては、先ほど申しました通り割引制度はそのほかに実はたくさんございます。これは、たとえば、さっき申しました通り、これから出て参ります桃、リンゴ、ナシなどは同じ問題であります。これは一切入っておりません。それら、いわゆる私どもで申します季節割引と申しますのは、一般年間を通ずる割引とは別な建前になっているわけであります。従いまして、あのときに私の方から積極的に御説明はいたさなかったと存じますが、私どもといたしましては、あの公共政策割引というものは昭和三十二年三月三十日に一連の大きな措置として七十数品目まとめてやった措置であります。それについて御討議を願ったわけであります。従いまして、私どもといたしましては、そのほか、たとえばリンゴなどについて申し上げますれば、とても種バレイショどころではない、数十万トンの輸送力、これはおのずから別なわけであります。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 これは食糧のことを言っているのではないですよ。種バレイショですよ。局長の言うのはリンゴとかスイカの種について言うのか、どうなんですか。くだものとか食用バレイショとかスイカとか、そういう農産食品について特割をしろということを言っているのじゃないのですよ。種子なんです。これに依存する府県は遠隔の地のわけです。ですから、今のような局長の解釈によると、種バレイショの価格の中に占める輸送費のコストというものは非常に高くなるわけです。そういうことになると、せっかく優良な種バレイショをもらいたいという人も、運賃の加算とかなんとかによって購入することができないというような経済的な理由も生まれてくるわけです。現地で生産された種子を使った場合においては、翌年は生産が反収五〇%も激減しているわけです。ですから、こういう点については、やはり毎年のように、たとえば北海道とかあるいは寒冷地帯で生産された優良な種子をそれらの府県に供給してやらなければ、今日の一定の生産水準というものを維持することができないわけですから、ここに政策的にもこれは持続しなければならぬという理由が生まれてくるわけです。ことしだけこの種を送ればいいというわけじゃない。そのくらいのことがわからぬはずはないでしょう。あなたに責任のある答弁ができなければ、運輸大臣に来てもらって明らかにしてもらわなければならぬ。無理な答弁をしなくても、無理なら無理だと言ってくれればいい。
  20. 赤路友藏

    赤路委員 議事進行について……。  今の局長との質疑を聞いていますと、これでは解決がつかぬと思いますので、運輸大臣と、そのときの出席者はたしか副総裁だったと思いますが、総裁でもけっこうですから、午後当委員会に呼んでいただきたい。そこでこの問題をあらためて一つ討議したいと思います。われわれの理解するところと理解が違っておる。これは重大問題ですから、さよう委員長の方でお取り計らいを願います。
  21. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 赤路君の動議がございますので、午前中の会議が終りましたら、理事会を開いて、そこで決定をいたしたいと思います。  委員各位に申し上げますが、明日から本委員会としては国政調査その他に出張の予定になっておりますので、委員会は本日限りでございます。従いまして、酪農に関する件その他の数件に関しまして通告が十名以上に上っておりますが、できるだけ一つ簡潔に要領よく御発言を願うように御協力をお願いいたします。ダブって御発言の場合には委員長において適当に御注意を申し上げることを御了解願います。     —————————————
  22. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に、酪農に関する件について調査を進めます。  最近の乳価の動向及びこれからの見通し並びに乳価安定のための政府の対策等につき、三浦農林大臣より説明を求めます。三浦農林大臣
  23. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 それでは私から特別国会以降におきます酪農に対する対策の経過の大綱を申し上げます。  あの当時当委員会等からの決議等の御要請もあったのでありますが、農林省といたしまして、今後、酪農に対する当面の問題、緊急の問題と、同時にまた恒久対策等もあるわけでございますが、緊急の対策につきましてまず申し上げたいと思うのであります。  現在、御了承の通り、月産約七十万石程度の生産があるわけでありますが、しかも、この消費面がこれに即応して伸びない、伸び縮みがございますので、そこで余乳が出て参る。従って、生産者からの買い上げ乳価等につきましても、最盛需要期にあるところの夏場にあっても、これを下げるという気配があり、一部業界からはすでに予告されているような状況でございます。従いまして、この当面する最盛需要期における原乳の買上価格を下げないという基本方針を立てたい、これが第一点でございます。第二点におきましては、消費の増進を期待し、同時にまた、市乳価格等につきましては、世論もありますので、これを現実に下げて参りたいという問題でございます。同時にまた、第三の問題としましては、余剰の牛乳があるために、この処理をしなければ円滑な需給のバランスがとれない、このためには、当委員会等からも御示唆がありました通り、これを学校給食等の拡大によって一部処理する、第二点は、集団飲用等の奨励によりまして消費の拡大をはかる。これがつまり当面緊急の課題として取りきめた問題でございます。  第一の問題でございますが、これは、現在乳価につきましては統制をいたしておりませんし、同時にまた、価格の取りきめ等につきましても、皆さん御承知通り、現状は、農林省等におきましても、実はいろいろ行政の指導をして参る以外には権限等もないわけでございますので、私の方としましては業界との間に話し合いをつけて、そして生産者、同時にまたメーカー側、国と、三者一体になって協力をしてこの問題を片づけるという見地から、夏場のこの最盛需要期における、どっちかというと牛乳の値段のいわば上る時期におきまして、これは下げないということで業界との話し合いをいたしたのでございます。その結果、大体六月の水準を保つ——六月には従前の水準を保っておったのでございますから、この六月の水準をもって七月、八月にも対処する、こういうふうにいたしたのでございます。  第二の問題でございますが、市乳価を下げるということでございます。われわれとしましては、十四円ないし十五円で売られているものがいわば市乳の大宗をなすものと見ておるのですが、これを中心としてまず一円程度の値下げを断行してほしい、こういう要請をいたしたのでございます。数次の折衝を重ねたのでございますが、この方面が皆様御承知通り非常に複雑多岐な関係にありますので、当初は大メーカーの方におきましても一応応じ得るの態勢をも打ち出してきたのであります。ところが、小売の段階あるいは中小規模の方々との話し合いにだんだん進んで参りましたところが、実施上の困難が出て参り、ことに、中小企業の方、なかんずく販売をしております面におきまして非常に難点が出てくるということで、この問題につきましては、すなおに政府の希望しております通り直截簡明に一円下げということの線にはなかなか参りません。そして、代案としまして、むしろ量をもってこれにかえる、つまり、実質的な値下げが妥当だということになって参ったのでございます。しかしながら、これをそのままのみますと、何といいましても世上の世論にもこたえないし、同時にまた、三者の協力によってこの際酪農の危機を突破して平常なものに持っていくということに対しましても、いわば線がくずれるものでございますから、さらに、政府におきましては、この問題の再考をわずらわしまして、そして数日来この問題についていろいろ折衝しております。現在のところ、まだこれははっきりこうだという結論に達しておりませんから申し上げかねますけれども、業界におきましても、世論にもかんがみ、同時にまた業界の内部でもいろいろ熟議せられた結果、政府の要請の線にだんだん落ちつくような傾向にあるということでございまして、小売商その他中小企業の人々と小委員会を作って、なおかつ対策を講じているような始末でございますから、あと数日はどうも猶予せざるを得ないと思っておりますが、さようなことでございますので、消費者のいわゆる市乳の価格引き下げも、私たちの期待しておりますように結論づけられる、こう思っております。  その次の、従来の滞貨の問題、さらにまた、恆常的な消費を増進するという問題につきましての学校給食等の問題につきましては、当委員会等の御発議もあり、私たちの方としましては、三十万石相当のものを今度学校給食に振り向けたい。なま乳にしまして約十万石、その他製品にして二十万石相当分を学童給食に充てたい。この問題につきましても、実は、今の市乳価格の引き下げが最終的にまだきまらぬのでございますが、一連のものとして閣議で決定して、そして最終的な予算の取りきめをいたしたいと考えておったのでございますが、大蔵当局とは、予備金の支出等につきましても、実質上は話はつけてございます。それらの関係がありますので閣議の決定はまだしておりませんが、その段取りをつけております。なお、この際予備金として大蔵省から出していただきますものは、学校給食に関する買い上げの予算でございまして、ほぼ九億円前後の金であります。これだけでは実際動かす場合に困るものでございますから、地方庁でいろいろなあっせんもし、活動もしなければなりませんし、同時にまた、次に申し上げます通り、来国会では皆様の御協力によって酪振法も若干改正いたしたいと思いますし、これらの所要の経費等も見込んでおりますが、さしあたりは予備金の支出を要求するというので、これもいわゆる酪農打開の活動促進費ともいうべき経費も大体話し合いを進めております。そして、計数的にはしばらく待ってほしいということでございますが、実質的には話が済んでいる、こういう段階でございます。  そこで、酪振法の改正の方向でございますが、これは臨時国会にぜひ提案申し上げたいと存じます。その要点は、一つは、季節ごとにやはり乳価の改定があり得るのでございますが、従来でございますと乳価はいわば当事者間の自由なことできまっており、これによってのみではとうてい安定したものは得られませんし、同時にまた農村の方面を保護し得ざるゆえんとも思いますので、この際としましては、従来はあっせん委員等の制度がございますが、今度は一歩進めまして乳価調整委員会のごとき制度を創設いたしたいと考えます。従いまして、各地方には数人の複数の乳価調整委員等を置きまして、この人たちがあっせんの労をとる、当事者双方のお話を聞いて公正に次の乳価がきめ得るような制度にいたしたい、これが第一の要点でございます。第二の改正の要点は、従来農林省は独自の見地から生産費の調査等をいたしておるのでございますが、なかんずく非常に困難をきわめておりましたのは、各メーカー側の調査の権限を持たないために、その方面の生産費の調査であるとか、あるいは在庫の調査であるとか、これに関連する調査の権能を持っておらなかったのであります。この問題は、先般来乳価の取りきめにつきましていろいろ業界と折衝の過程につきましても、その方面の意向も徴したのでございますが、これは業界におきましてもあえて反対しないということで、これはぜひ農林省として権限を持ち、そうして公正な調査ができるるようにいたしたい、この条文等も設けたい考えであります。同時にまた、これに関連して、従来足らざる点をなお数点設けたいと思いますが、これはもうしばらく検討をさせていただきたいと思います。  なお、現在七十五の集約酪農地域を指定しておるのでございますが、そうして指定した場合には、指定工場の制度を設けております。指定工場の制度はありますけれども、この指定工場に対しましては別段の規制をしておるわけでない。特定の義務を課しておるわけじゃございませんが、これらに対しましても、乳価決定その他につきまして何らかの措置ができ得るようなこともいたしたいと考えておるわけでございますが、これはただいまの段階ではまだお示しするに至りません。検討中でございますから、この点を御了承いただきたいと存じます。  かような立場をとっておりまして、実は、当委員会も昨日から開かれるので、その前に終局的な閣議決定等もいたして、そうして皆さんに御報告を申し上げたいと存じておったのでございますが、私たちの不手ぎわもありまして、市乳の価格引き下げ等も最終的には一昨日までに取りきめかねたのでありまして、この点が残っておるので、私が今御説明したようなことを最終的に決定したと申す報告ができなかったのはまことに遺憾でございますが、率直に申し上げまして、酪農の対策の当面の問題はかようなことで取り進めたいと存じておりますから、この点御報告を申し上げます。なお細目等にわたりましては畜産局長から御説明いたさせます。  なお、集団飲用の奨励につきましては、若干の設備の助成もいたしたい、あるいは特定のものにつきましては免税の措置を講じたい、二本建で今折衝しておりますが、これはまだ最終的には結論を得ておりません。同時に、予算的には予備金の支出は困難な模様でございますので、これは今後あるいは補正予算等におきましてなお努力いたしたい、こういうことでございます。  一応私からこれだけ御報告いたします。
  24. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 政府の対策等についての農林大臣説明を終りましたが、これに対して質疑の通告があります。順次これを許します。佐藤洋之助君。
  25. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 私はこの機会に農林大臣に少しくお尋ねをし、かつ要望をいたしておきたいのでありますが、本委員会において先月の七日になされた決議の七項目に対して、大臣はこれらに対する処置を今御報告せられました。まことに大臣の御苦労に対しては多とするものでございます。しかし、酪農を現在の段階に追い込んだことはまことに残念でございまして、私に言わせれば、農林省政策というものはアヒル政策だ。ちょうど、卵を産むが、産みっぱなしで、あとの収拾をしなかったという結果が今日の段階にきているのじゃないか。そこで、この跡始末の困難なところに三浦さんがお立ちになって、まことに御苦労であります。八百長でなく、御苦労に感ずるのであります。しかし、今経過のあとを聞いてみますと、どうもよい経過はたどっておらないようで、まことに残念でございます。それで、応急対策と恒久対策と二つに分けて、この問題については委員各位からもかなり論ぜられていますから、私はこの機会にまた申し上げることを省略いたしますが、要するに、ただいまの報告によって考えてみて、まだまだ農林大臣としては打つべき手があるのじゃないか。今の段階のような手を打たれたのでは、必ずまた十一月にはこういうふうな事態を招来してくるのです。ここにおいて徹底した対策というものを立てなければならないのじゃないかというふうなことが痛感されるわけです。何と申しましても、農林省の統計が間違った。しかも、今年は一八・六%ですか、非常な上昇を持っておるのに対して、消費は一向ふえてない。一五%くらいでありますから、四%ないし三・六%のそこにアンバランスが起きた。こういうようなことで、業界あるいは一切の酪農関係者が混乱の事態に陥ったわけです。私どもは、農林委員会として、この酪農を取り入れて農業政策の根本問題に持っていきたい、食生活改善から日本農業改善に持っていきたいと思っていたのですが、ここにおいて暗礁に乗り上げた。酪農家も非常な不安を持ち、乳価がどこまで下るのか、底知らずである。また、メーカーとしても、むやみに牛乳は受けられないのであります。だから、牛乳メーカーの実情もよく調べないと、無限にこれを受け入れるというわけにいかないのです。しかも、受け入れ体制ができてないのに奨励したというところに欠陥があるのでありますから、この点については深く今後掘り下げて政策を立てなければならぬと思います。  そこで、今農林大臣が七項目にわたっていろいろ交渉をせられたようでございますが、何と申しましても消費の増大、これに対しては、私どもはいち早く学校給食というものを提唱いたしまして、三十万から三十五万ふやして五十万くらいにするということを提唱して、この委員会においても決議したことは御承知通りであります。また、この予算措置に対しましても、農林大臣とともに大蔵大臣も訪問して、これの促進方あるいは予算措置について微力を尽したのでありますが、大体これは見当がついた。しかし、これが文部省において必ずしもわれわれの考えている通り受け入れられない。学童給食にとかくの議論をする者も文部省の間にあるのでありますから、そういう点の調整を十分にはからなければならない。それから、これに対する粉乳の外国からの輸入をある程度まで規制して、本年の予算は二万六千トンでございましたか、これをある程度まで規制するということもあるのですから、それらの措置大臣に早急に計らってもらいたい。  それから、今申し上げた集団飲用、これは非常に余地があると思うのであります。これらの集団飲用も、工場あるいは会社あるいは学校——学校といっても大学ですが、これらに対して設備をさせまして、大いにこれらの方面には伸びる余地があるのです。農林当局の報告によりましても、これはずいぶん伸びていますからこれらに対しても十分な手を打つということです。  市乳の値下げなんという問題は、約四百万石の市乳が出ているのですから、これを一円値下げをするということは、これが生産者に影響ないようにして市乳だけ下げるということは、なかなかむずかしい問題です。果してその一円の値下げをどこがどういうふうに負担するのか。私の聞くところによると、メーカーが五〇%、卸が三〇%、小売が二〇%、合せて一円の値下げをするという割り振りだそうでありますが、これらの調整もついていない。そこで、交渉した過程において、大臣はこの問題に対してどの程度まで業者と接触をして、業者の納得のいくような点まで掘り下げてこれに対して交渉をせられたか。今日新聞を見ると、よろめいた情勢が出ておるのを、ほんとうに私どもは残念に思うのですが、この点につきまして、一つもう少し突っ込んだ——七月二十六日の夕方ごろから畜産局長だいぶ大わらわになって業者と懇談をしたようでありますが、それらの過程についてもう少し詳しく突っ込んで御説明を願いたいと思います。
  26. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 先ほどの私の説明の中でちょっと補足させていただきます。それは外国からの乳製品の輸入の問題でありますが、今年の計画でありますと、九月以降なお一万五千トン入れることになっております。それは今通産、大蔵、農林、外務の四省の間で事務的検討をして、これは、先方に対する一つの約束もありますので、それらの制約は受けますけれども、これをチェックする方向に今具体的な案を練っております。将来は取りやめますけれども、現実に約束してあるものですから、これをいかようにして輸入をとめるかということについてやっております。  そこで、先般七月七日に御提唱になりました当委員会決議でございますが、第一の点は、先ほど申し上げました通り、買い上げの予備金の内容も御承知通り大体取りきめておる。第二番目は、生産者価格の引き下げを行うことなく、市乳の消費者価格の引き下げを実現せよ、こういうことですが、この点については、率直に申しまして、必ずしも百パーセントおほめにあずかるようなことではありません。しかし、本筋はわれわれ押しておるのでございまして、この点も御了承いただきたいと思います。  それから、どういう内容でどういうお話であるか、こういうことでございますが、これはやはり業界自体として自主的に向うにきめてもらうということもこの事情ではやむを得ないのです。そういうことでございますから、その折衝の過程は後に畜産局長からさせます。私も業界代表に会って、そうして酪農全体から、また日本の食生活の面から、同時にメーカーとしてもこの際協力せらるべく要請して、かなり熱心にやりましたことも申し伝えておきたいと思うのであります。従いまして、御提案にありました五項目の線に沿うておおむねこれを進めて参ったということでございまして、皆さんの方から言うと、まだ百パーセントにならないというおしかりがあるかもしれませんが、おおむねいっておりますから、さらにまた今後われわれも努力いたしたい、こう考えております。折衝の過程につきましては畜産局長から詳しく説明いたさせます。
  27. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 少し詳細なこまかい点を御報告申し上げたいと思います。  六月十日前後に大手筋のところから農民乳価に対します値下げの申し入れがあったのでありますが、十二日に、この乳製品協会の理事会におきまして、このような七、八の需要のありますときに生産者乳価の引き下げをやるということはもう一度考え直す必要があるという旨の意思表示を正式に農林省として申したわけであります。その後種種な経過がございましたが、七月七日に当委員会決議も出まして、七月の十一日に乳業界の代表を大臣が招致いたしまして、先ほど大臣の方から御報告申し上げましたような、七、八におきまする生産者乳価の引き下げをしないこと、それから、消費者価格の引き下げをするということ、この二点につきまして強く要望をされたわけでございます。それに対しまして十四日にこの回答があったのでございますが、この際にはこれに対しまする回答といたしまして口頭の返答があった。まだ意見が十分にまとまらないけれども、現在の段階でいくならばいろいろとこういう意見がある、ああいう意見があるという意思表示があって、こちらの方といたしましては、もっとはっきりした回答を早急に作るように要望をいたして、先方もそのことを約束したわけであります。十六日になりまして正式の回答があったのでございますが、この場合におきましては、生産者乳価の据え置きは一カ月というような回答がございました。市乳に関しましては、それを実施する時期その他に関しては確答ができないから、関係業者と協議をして具体的なものをきめる以外には方法がないというような返答があったのであります。その返答がございましたので、その後数回、一日のうち何回も会談を続けて参ったのでございますが、その他の生産者乳価の七、八におきまする値下げの問題と六月水準にとどめるという問題につきましては、お互いの間に了解ができたのでありますけれども、市乳の問題につきましてどうしても妥結点が見出されない、こういう状況であったのでございます。  その後の経過は新聞その他で御承知通りでございます。
  28. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 消費の増大というので市乳値下げをする、しかも、その交渉の過程において、私どもが聞き及ぶとどうも無理がある。じっくり業者の了解を得ない。また、業者も、これを一円値下げするにしても相当の時日をおかなければならない。あるいは、三大メーカーといいますか、五大メーカーといいますか、それらが引き受けても、中小メーカーが承知しなければなかなかできない。それを短兵急に何か急いだような傾向に見えるのです。大臣がお国入りして、一円値下げができないうちにできたと言われたので、こわれたというふうにも承知しておるのです。あるいはまた、あなた方が業者から調印などをとって強制的にやっておるというようなことも聞き及んでおる。こういうような交渉の仕方はうまくないと思うのです。生産乳価を下げないで市乳を下げるというわけですね。その前提においてやったわけなんだ。そこで、九月からどういう見通しになるか。それよりも、今の一円値下げというものがどういうふうになるか。私は問題は振り出しに戻ったと思う。新しくやり出さなければ業者は納得しないのじゃないかと思う。やはり、あなた方が業者に深い理解を持って、そうして業者の相互の関係においてやらなければできないことだと思う。この一円値下げというものがどういう見通しか、もう一ぺんお答え願いたい。
  29. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 御存じのように、末端価格を下げるという権限等は、現在の法制のもとでは私たちにはないわけであります。従いまして、関係しております者に対しまして、一円の値下げをするという要望を強く申し上げまして、そうして業界の協力を得てこれを実現する、こういうことを今までやって参ったわけであります。ただ、問題がありますのは、末端の価格を引き下げますに際しましては、単に小売業者だけに話をしておっても、小売業者だけでこれをきめるというわけには参りません。小売の段階における末端価格ということに相なりますので、従いまして、業界の方といたしましては、関連をいたしまするそれぞれのところと相談をし、打ち合せをいたしませんければ、末端価格の引き下げということにはなかなか相ならない。農林省の方といたしましても、小売の関係の方々の代表者的な諸君にお集まりを願いまして、末端価格の引き下げに関しましての御要望を強く申し上げて参った、こういう事情であります。
  30. 佐藤洋之助

    ○佐藤(洋)委員 他の委員諸君もこまかなことについていろいろ御質問があると思いますから、私はあまり深くは申しませんけれども、この問題について世論がかなりやかましいと思いますから、大臣一つ慎重にかまえて要望にこたえるように願いたいと思う。私はこの程度でとどめておきます。
  31. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 足鹿覺君。
  32. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、総論は省略しまして、端的に具体的な問題をお尋ねをいたしたいと思います。  ただいま農林大臣並びに谷垣局長から今までの経過の御説明を聞いたわけでありますが、御努力になっておるという点は認めますが、期待すべき成果はきわめて少いと断ぜざるを得ません。その一つの事例といたしまして、この一円引き下げ問題に例をとってみましても、今朝の新聞紙が一斉に伝えておりますが、日本乳製品協会の植垣弥一郎氏はこのように言っておる。「三十日夜塩見農林次官から市乳一合につき一円引き下げに協力してほしいと要請された。理事会ではいろいろの意見が出たが、一円引き下げには協力したいと思う。ただ一円引き下げの場合、小売業者、五大都市の同業者と話をつけねばならないので実施がきまるまでにはあと二週間ぐらいかかるだろう。また一円引き下げるかどうかは八月中だけのことで九月から原料乳価が関東地方の場合現在より一升五円四十銭安くなるので市乳価格も一円引き下げることになっている。」——関東地方においては、五円四十銭原乳を安くするから、これと相対して一円を下げるのだと言わぬばかりの口吻でありますが、今日までこういう矛盾した交渉をしておられて、きょうの各新聞紙が伝えておるその業界の態度というものに対しては、農林省当局はいかようにお考えになっておりますか。こういうことを話し合い内容としてお認めになっておるのでありますか、まずその点をはっきりしていただきたいと思う。
  33. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 植垣君がどういう声明を出しておりますか、私まだ詳細読んでおりませんから何ですが、私が畜産局長並びに塩見次官から聞いておりますことは、それとは相当開きがありまして、事実は相違いたしております。違っております。
  34. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 ただいまの新聞を読まれましたことは、九月以降生産者乳価を下げることにきまっておる、こういうように受け取りましたのですが、それを前提にして一円値下げ、それは、私たちの業界と交渉をいたしておりますのは、生産者乳価を引き下げることを前提といたしましての一円値下げを要望しておるのではございません。私たちの考え方から申しますと、昨年の夏場からの状況から申しまして、夏場におきまする生産者乳価、今年の夏場におきまする生産者乳価というものと、市乳の最終的な販売価格というものとを考えてみました場合、昨年から秋、冬と二度の生産者乳価の値下げがあったわけであります。また、この夏場になりまして、通常値上げすべき状況のものが、値上げされないで、逆に値下げの状況がある、こういう状況でございます。夏場のものが値上げがなかったといたしましても、これは昨年の夏場におきます生産者へ支払いの乳価というものと今年の夏の生産者乳価の支払いというものの間には差があるわけで、しかも末端の消費者価格というものは昨年の夏から比べて下っていない、こういう状況にあるわけでございます。従いまして、生産者乳価をさわらずとも市乳の値下げはできる、こういうふうに私たちは考えておるのでありまして、そういう立場から業者に対しましての市乳値下げの要望をいたしておる、かようなことでございます。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 そのお考え方はよろしいのですが、それが実現するかしないかということなんです。今までの経過を聞いておりますと、大臣は、こういううことを植垣さんが日本乳製品協会を代表して言っておるということは知らぬからというお話でありますが、知られなければ知られないでよろしい、こういう事態が起きることをわれわれは心配しておるわけなんです。ですから、その点について、市乳価格も下げる、原乳価格も下げるということは、現在の酪農対策には一応は役に立ちましても、角度が違うのです。そういう点を十分お考えになって、そうして対策を立てられなければ、結局死に金になると思う。金を使っても、乳製品協会その他はあなた方の言うことを聞かない。また、協定の内容と異なったことをぬけぬけとその前日から新聞談話を発表する、それを、今まで折衝の衝に当り、あなたが七月十一日に勧告をして、ぎりぎりのところにまで話し合いがついたものを、根本からくつがえすようなことを声明されて、知らぬでは済まぬと思う。この点について、さらに乳製品協会にその真偽を確かめて、そして何らかの措置をお講じになる意思があるかどうか。原乳の引き下げについては、特にあなた方の今表明になりました態度を明らかにされ、そして当初のあなた方が折衝され妥結を見たその線に実行せしめる御意思がありますかどうか、その点をお伺いしておきたい。
  36. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 当局の意向は、原乳の値下げはさせない、同時に、先ほど畜産局長の言うた通り、市乳の値下げはこの際さしあたり一円は値下げさせたい、こういう方向で進んでおりまして、植垣君の声明は、その立場もいろいろまた複雑な立場があるものですから、それはそういう声明もあったかもしれませんが、本筋の交渉はそういうように進んでおりまして、向うもこの事情を了解して、そして具体的に小売商その他各地区との折衝のための小委員会等を作っておりますから、私は、その線でいくと思うし、その線で必ず実現するように最後まで努力するつもりであります。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 あなたの責任は私は重大であろうと思います。また、今後乳製品協会が最終結論を出すのには二週間ぐらいはかかるであろうとここに談話を発表しておりますから、その際までにあなた方がいかような努力をされるか、その結果が、今私が指摘したことと違って参りますと、ここまできた問題に対してあなた方の責任問題が私は当然起きてくると思いますから、よくその点については申し上げて、あなたはやるということでありますから、これ以上申し上げませんが、先ほどの農林大臣の御説明によりますと、六月水準を基準としていくのであるということでありますが、大体私どもは四月を基準とすべきものであるというふうに、従来の経緯を見まして思っております。そういうふうにあるべきだと思うのです。これが当面の乳価問題としては一点。  それと、九月以降も乳価の引き下げをしないという保証、乳価を九月以降は引き下げをせしめないということに対するあなた方の所信なり措置というものはないのですか。この七、八月の夏場に乳価を下げるなどというようなことは異例のことでありまして、それを下げないのが何か業界がよほどの協力をしたようにあなた方はありがたくちょうだいしておられるようでありますが、先ほど局長も言われるように、そうではない。この時期においては当然なんです。問題は、九月以降に乳価の引き下げをしないのだ、せしめないのだというところに一つの酪農政策の前進があるのではないですか。それに対する御所信はどうでしょう。これは大臣から伺いたい。
  38. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 今の四月の水準でいくべきか六月の水準を維持するかという問題でございますが、これは畜産局長から答弁いたさせます。  九月以降の乳価につきましては、当局としましては、現状をもってして、将来下げたくない、こういう考えでおります。しかしながら、地方によって乳価の改定の時期がいろいろあろう、たとえば北海道のごときは夏場が安くてむしろ秋のときには乳が高くなっておる。これは当然そう改定しなければならぬと言うておる。これは地方によっても事情が違うので、そういう場合でありましても、酪農を保護する見地から、乳価は下げたくないという考えは持って今後臨みたい、こう考えておる。ただし、そのやり方でございますが、先ほど申し上げました通り、現在はあっせん委員制度のような微弱なものでございまするが、できますならば、臨時国会等において乳価調定の委員会等でも作りまして、そこで公正妥当な方法によってフェアにものをきめられるというような仕組みだけは作っていきたい。そうして、指導としましては、現状を、酪農乳価の下らないように、同時にまた、双方の話し合いでもってそれができるような仕組みをとっていきたい、こう考えております。
  39. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 四月、六月のことについて御答弁申し上げます。  四月、六月の問題は、通常、夏乳価を上げます際に、四月からやる、あるいは五月からやる、これはいろいろまちまちであります。必ずしも四月ということにきまってはいない状況である。ただ、今回の場合は、それとは少し事情が違っておりまして、七月以降の値下げを申し入れしてきた、こういう事情に相なっております。従いまして、そういう状況でございますので、その直前の六月の状況——実はすでに七月以降の場合業者と生産者団体の間で契約の妥結しているものもあるわけでございます。あるいは地方によりましては契約が妥結されないでおるものももちろんあるわけでございますが、そういう状況でございますので、六月の水準に維持するという表現にいたしたということでございます。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 その点では私は納得ができませんが、議論をしておりましてもだめでありますから、四月が妥当か六月が妥当かという問題は、業界と生産者との間において協定をしたそのものに対して干渉する権限は今ありませんが、あなた方の行政指導によって、四月以降にすでに値下げが起きておるわけでありますから、四月を基準とすべきが妥当であるとわれわれは思う。そういう指導をいたしまして、その水準に持っていくという方向が私どもは正しいと思いますが、その点についてはまた他の同僚議員等からもあとで御質問があろうと思いますので、先へ進みます。  第二点の問題ですが、酪振法の第二十五条による乳製品の在庫調査の問題です。これは先日中沢委員からも統計法の問題が出ておりまして、あとでお尋ねがあろうと思いますが、現在二十五条の発動が不可能だという解釈をとっておられますが、そういたしますとあの条文は全く死文になる。そういうことでは私はないと思うのです。在庫を調査するということが二十五条によってできないというその理由は一体どこにあるのか。先ほど農林大臣は、学校給食用に換算三十万石分、生乳で十万石、製品で二十万石ということを言っておりますが、要するに、この二十万石分を滞貨から買い上げをされた場合に、市況にどういう影響があると判断をされておるのか。一般考えておるのでは、換算百万石以上の在庫ありという説と、あなた方が言われるように六十千石説というものがあります。その差は、倍と半分、非常に懸隔がありまして、こういうときにこそ、たといそれが強制権を持たない疑義があるにいたしましても、今まで政府の援助を受け、またあなた方もいろいろ協力を求めておると言われるのでありますから、在庫量の調査に対して業界が協力しないということはないと思う。一体何を根拠にして在庫量問題についてこのようにまちまちな見解があるのか、その点について、これはあなた方が今後行おうという買上数量の基準にもなることでありますので、この点についてお尋ねしたい。大臣は先ほど酪振法の改正の点に触れられまして、生産費の問題と在庫量の調査について農林省が独自の権限を持つように法改正をするということでありますが、そうすると、現行法の二十五条、あるいは二十条以降におけるところの知事の行う生乳に関する紛議のあっせんというようなことについても、今まで何ら発動せずして効果を云々するということは間違いではありませんか。酪振法が制定されてからもう五年余になっておる。その間に、知事の行うあっせんの問題にしても、あるいは在庫量の調査にいたしましても、法を発動せしめずして、いたずらに解釈を云々しておるということは、私は誤まりではないかと思う。法が弱いならば、まず協力を求めてやる、そうしてなおできない場合にはそれに対するところの強力な改正その他の措置が必要になってくるのではないかと思う。あなた方の指導を見ておると、知事のあっせん行為とか在庫量の調査というようなことについては、むしろこうやって手をこまぬいておるという印象を受ける点もなきにしもあらずでありますが、そういう点について農林大臣はもっと確固たる——全くこれは恐慌状態なんです。ここで政策を誤まれば、悔いを百年に残すと思うのです。そういう場合にあって、あなたはもっと断固たる決意を持って臨まれなければならぬと思いますが、二十五条の問題、あるいは二十条以降の知事のあっせんの問題等について、従来あなた方がとられた態度を三浦農政に際してどう改めようとするのか、ただ臨時国会に酪振法の改正を出すということだけでは、私はこの場合はおさまらぬと思いますが、農林大臣はいかがお考えでしょう。
  41. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 現行法の運用の状況は、私どもも、率直に申し上げて詳しいことはあまり知りません。従いまして、その点は後ほど説明させますが、私の考えでは、現行のあっせん委員などの介在では、たとい知事が権限を持ちましても、不十分である、こう考えるものでございますから、今のようなことを申し上げるのでありまして、ただ運用すればいいじゃないかという考えだけではございません。
  42. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 御指摘の在庫量調査その他の問題につきましては、実は、私どもとしましては、行政指導といたしまして、強く在庫量の報告を求めておる次第であります。これは繰り返し繰り返し求めておるわけでありますが、従いまして、全体の石数といたしまして何万石とかいうような程度の報告を受けることは、これはできております。ただ、問題は、このようになりますと、バターの在庫が幾らであるか、あるいは脱脂紛乳の在庫が幾らであるか、あるいはアイスクリーム・ミックスがどれくらいあるかというような個々の製品の在庫量ということになるわけでありますが、実はその在庫量は残念ながら手に入り得ない状況でございます。  そこで、これをいたしますためには、この二十五条の条文でそれが強行できるかという問題でございますが、この二十五条の解釈は、これにありますように、たとえば紛争あっせんでございますとかというような、乳価の問題につきまして具体的に問題の生じておりますようなときにこれがやれる、こういう解釈になっております。従いまして、実は、私たちが必要と考えておりますのは、できれば常時の在庫量報告をとりたいという考え方でございますので、本法によるよりももう少しはっきりとした調査報告の権能を持つというふうに実は考えておるわけでございます。  それから、知事の勧告あるいはあっせんの問題でございますが、この問題に対しましては、実は当事者の方からの要望ということが必要になって参るわけでございます。今まで当事者の方から持って参っておるものにつきましては、随時県がこれにタッチしてやっております。あるいは受乳拒否のごとき問題があり、そういう問題について当事者の方から要望なり相談がございました場合、これは知事が出て参っており、県の方で指示、あっせんをいたしておるということでございます。ただ、全面的にあっせんという制度が一せいに行われておるかどうかということになりますと、これは全面的な行われ方は現在していない。個々の県においてそういう問題がありますが、まだごく少数の県がそういうことを経験したのみでありまして、御指摘の通り、全面的にはこれが実際の動きはない、こういう実情でございます。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 見解の相違と言えばそれまでですが、二十五条の問題は、「農林大臣又は都道府県知事は、この法律を施行するため必要があるときは、」と規定しておる。「又は集乳業者若しくは」云々というふうになっておりまして、現段階を今谷垣さんが言われるような解釈をとられるということは、私は少し妥当じゃないと思うのです。現在こそ必要のある一番大きな時期ではないかと思うのです。これについては立ち入り検査をする権能がちゃんと法に認められておるわけなんです。これは肥料需給調整法の場合も同様の規定でありまして、それであれば、これはさらに統制法規に近いような、物資統制令のあった当時のもっと強いものを出さなければ常時にはやれないという解釈をあなた方はとっておられるようでありますが、必要が生じておる段階がいつを時点にして必要であるのかないのかということになりますと、現段階はもうその必要な段階ではないか。あなた方は、行政指導によっては法すらもときどき乗り越えたり、これをセーブされるような強い行政をやっておられる。いわんや、こういう大きなときには、この「必要があるときは」の解釈によってなし得ることはまずやられるべきだと思うのです。臨時国会を待つなんといいますと、秋も半ばを過ぎてしまって冬になりますよ。ですから、この二十五条の条文の命ずるところに従って、「乳業を行う者の事務所、事業所等に立ち入らせ、業務の状況又は帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる。」とありますから、報告を待つなどという手ぬるいことでなしに、あなた方が検査員を派遣して、この条文によってやらせれば、あなた方も一応ある程度の実態を把握するに都合のよい法文ではありませんか。こういう点について少しあなた方は怯懦過ぎると思うのです。常にあなたも馬力をかけるわけには参らぬでしょうが、少くともこの決定的な段階にきて、なおこの法の適用を行わないということは、官吏としての態度に欠くるものがあると思うのです。こういう点についてこそ、農林大臣は、さらに問題があるならば業界の協力を求めるとか、さらにあなたが確固たる不動の方針を示してやられるならば、事務当局は幾らでもやれるのです。あなた自身が、先ほどもお話があったように、だらだらしておる。よろめいておられるではないかというのは、そういうところからくると思うのです。ですから、この問題については、もっと正確に在庫量を調査して、政策の基調となるべきものを把握するために、二十五条の適用について私は強くあなた方に決意を要請しておきたいと思います。そうしないと、結局倍と半分の開きがあるわけでありますから、死に金になりますよ。結局業界を利益して、生産者側にそれだけのプラスがない。死に金になるというおそれもないではないと思いますので、その点については大臣はもっと積極的な決意をもっておやりなさい。そういう点を私は指摘しておきたいと思うのです。  第三に、牛乳の消費促進対策といたしまして、学校給食の問題に大臣は先ほどお触れになりました。これは当委員会が特に力を集中して今まであらゆる角度から論議をされたことでありまして、今さらこの問題についてこまかく申し上げる必要はないと思いますが、問題は、学校給食そのものは現在法制上の根拠を持っておらない。ときの事情によっては、相当の経費をかけて設備をして、そうして軌道に乗ったころに情勢が変ったときには、制度化されておらぬ、法制的な根拠がないから、これが程度が下ったりあるいはこの存否が問題になるというようなことでは、だれも喜んでその施設をする者はないと思うのです。伝え聞くところによりますと、長野県におきましては、高温殺菌の施設について、一カ所三十万ないし四十万円を要するものに対しまして、県費で十万円の補助を出して、現在数カ所をおやりになって成果をあげておられる。これはあなた方も報告で聞いておられると思うのです。こういう事例をやっておる人々の意見を聞いてみますと、やはりちゅうちょをすると言う。ほんとうにこれは制度的に守ってもらえるものだろうか、そういう不安はだれしもあることだろうと思うのです。従って、現在学校給食の可否についてはもう結論が出ておる。これはぜひ拡張して普及徹底をしなければならないが、これを制度化することについて、農林省なり、特に文部省等においてはどのような考え方を持っておられるか。そうして、この学校給食を通じて、児童の体位の向上、食生活の改善、ひいては酪農対策の一貫として、生乳消費あるいは乳製品の消費拡大に通ずる成果をあげなければならぬと思うのです。そういう点について、まず農林大臣並びに文部当局責任のある御答弁を願いたいと思います。
  44. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 学校給食について制度的にまず完備するということにつきましては、私は賛成でございまして、過日も文部大臣とこの問題についていろいろお話を申し上げ、同時に、その際大蔵大臣も参加しておられたのですが、整備した形にしたいという三者の——そのときには抽象的な話し合いでございましたけれども、そういうことでございますから、これを推進して参りたいと、こう考えております。
  45. 清水康平

    ○清水説明員 学校給食に国内産の牛乳あるいは乳製品を拡大供給するということにつきましては、当委員会決議もございます。また酪農審議会の御答申もあり、自来私ども関係省間におきましていろいろと折衝いたしておるわけでございますが、先ほど農林大臣からお話がございました通り、予算のめどもつきつつあります。私どもといたしましては、できる限りの努力をいたして、これを受け入れて、学校給食の供給拡大に努めたいと思っておる次第でございます。それで、私どもといたしましては、この国内産のものを、予算の関係さえ解決していただけるならば、何とかしてこれを普及して参りたいと思っておるわけでございます。もう一つは、予算の関係のほかに、率直に申し上げますと、年次計画に基く継続的なものがほしい。ですから、その制度的な問題があるわけであります。ですから、その関連におきまして、本年は、先ほど農林大臣お話がございました通り、できるだけそれを受け入れ、たとえば、先ほどちょっとお話がございましたが、輸入脱脂粉乳の問題は、こちらの外務大臣からアメリカの農務省を通じてオファーし、承諾を得ておりまするけどれも、それの全体の調整などはかりまして、今進められている三十万石に相当するものについては、当面の問題といたしまして学校給食にこれを振り向けて、今後もその方面にできるだけの努力を続けて参りたいと思っておる次第でございます。
  46. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣は、文部、大蔵、農林と相談をしているということでありますが、先ほどは酪振法の改正案を臨時国会に提案することについて数項の改正内容を御発表になっておるのです。これを整備するということはどういう御意図でありますか。これは法制化していくということが一番いいと思うのですが、あなたが今話し合っておられるその現段階における御意見、また、制度化していく上においてはどうあるべきかということを、当の責任者である文部大臣がおいでになりませんのでわかりませんが、あなた自体、国務大臣として、大蔵、文部両大臣ともしばしば協議研究しておるということでありますので、その構想をこの際はっきりさせていただくことでも、これは非常に学校給食の永続性について保証が出てくるわけでありまして、一般に及ぼす影響も非常にいいと思うのですが、いかがですか。
  47. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 私の主観的な構想だけでもこれは十分でないと思うのでありますが、話し合いの線は、これを制度化して、予算の上におきましても、設備等につきましても、党でも出しておりますが、しっかりしたものを整備させる、そしてこれをあなたのお言葉で言う通りの整備した制度のもとに施行していきたい、こういう話し合いで進んでおります。従いまして、農林省としますならば、むしろ物資を供給する面についてはその制度のもとに十全を期するということでございまして、学校給食は今給食法というものでやっているのでしょうが、そっちの方の問題について私がかれこれ申し上げることはどうかと思います。さような段階でございます。
  48. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 足鹿君に申し上げますが、先ほどからも申し上げております通り農林大臣は午後一時より参議院の農林委員会に呼ばれております。それから、二時から経済閣僚懇談会がございまして、四時からここへ戻ってこられる。ただいまの御質疑はきわめて重要な段階でございますけれども、そういうお約束もございますので、午前中の会議はこの程度にとどめたいと思います。  午後は二時より再開することとし、これにて休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後二時五十九分開議
  49. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産物貨物運賃に関し、日本国有鉄道小倉副総裁より発言を求められておりますので、この際これを許します。小倉副総裁
  50. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 当委員会におきまして去る七月に私がお答え申し上げましたのにつきまして、御説明が足りなくて御迷惑をかけたことをおわび申し上げます。  実は、七月にお答え申し上げました一年間延期することの対象は、公共割引でございます。ただいま問題になっております種バレイショについては、季節割引でございまして、国鉄ではこの割引を全く区別して考えておるのでございます。公共割引は、たとえば、木材でありますとか、薪炭でありますとか、ある種の魚、魚類といったようなものを大体原則として全国的に年間を通じて割引をいたしておりますのが公共割引でございまして、季節割引は、ある特殊の出荷季節的に集中されておりまする物資につきまして、そのつど、ある地域を限定し、あるいはその他の条件を考えまして割引いたしますのが季節割引でございまして、鉄道の用語といたしましては、公共割引季節割引とははっきり区別して考えておるのでございますが、これは国鉄の用語でございまして、こういう点につきまして前に御了解のいくように御説明申し上げませんでしたのは、私どもの手落ちとして、お詑び申し上げる次第でございます。  今回のバレイショにつきましては、実はこの種バレイショは六級でございまして、その指数が九八になっておりまするが、普通ならば九八でありますところを、二、三級落し、さらに公共割引として一三%引いておりまするので、指数は六五%になっております九八というのが六五で、大体三割三分くらいお引きいたしておるのでございます。  それで、もう御承知だと思いまするが、ただいまのところ、鉄道貨物の面、鉄道の収入の状態も、今の時勢を反映いたしまして非常に悪化いたしております。四、五、六の収入状態も相当悲観的なものもございまするので、私どもはなるべく収入を確保いたしたいと考えておるのでございますが、それはそれといたしまして、ただいまの問題になっております種ジャガにつきましては、本件につきまして当委員会の御趣旨も十分拝聴いたしましたので、関係大臣の御意見も十分伺いまして、なるべく御期待に沿えるよういたしたいと考えております。また、今後いろいろな出荷その他につきましても当委員会の御支援を賜わりたいと存じております。
  51. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 小倉副総裁の御発言を了承いたしたいと思いますが、いかがでございますか。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 ちょっと一言……。  ただいまの小倉さんのお話で大体了解できるわけでありますが、この際、毎年毎年、たとえば公共政策割引の問題とか、あるいは種バレイショ割引の問題とかが、季節になると年中行事のように出てくるのです。ですから、この点はわれわれとしてもそう思っておりますし、当局はなおさらだと思うのですが、この次の改定の場合は、かかる政策的なもの、あるいは農産物の中の種子の輸送等の場合においては、やはり今までの経緯等にかんがみて確固たる恒久的な運賃体系というものを明確にしてもらいたいと思うのです。それをぜひ来年度からはやってもらいたいと思うのです。今の種バレイショの問題は、大体お話の中に理解されておるようでありますが、この数量は計画から言えば大体百二十五万俵くらいなのです。これがいわゆる季節割引の対象になっているのです。特に問題は、千四百二十一キロ以上が割引の対象になっておるので、近距離のものを対象にするというわけではないのです。ですから、非常に遠距離の地にあるところの種バレイショを要求する府県においては、むしろ生産県よりも問題としてはよけいあると思う。ですから、こういう点に対しては、やはりバレイショ生産を維持するために毎年のように北海道等から種子を購入しなければならない、こういう悪条件がある。これは生産農家にとっては非常な経済的な負担になる。自己の耕作の中で種子の確保ができないということが特殊性なんです。ですから、これをカバーするために、農林省あるいは運輸省、国鉄当局等が御配慮になって、このような制度が今日までとられてきておるわけです。ですから、何のためにこういう特別の制度があったかということに十分思いをいたしていただいて、やはり農業政策の中におけるこのような一つの特殊性というものをできるだけ国の政策の中に配慮してやるというような考え方は、これは農林省でやればいいじゃないかということになるかもしれませんが、やはり運輸行政の面においてもかかる全産業に対する配慮は今後も必要であると思うので、そういう点に対しても十分認識されて、今後関係大臣等の討議の場合もこの点を十分生かすような結論を早急に出していただきたいと思います。金額にしてみれば、これはささたる金額かもしれませんが、そういうことでありますから、当委員会の昨年の八月二十日の決議等についてもこれを尊重された前例もあるわけでありますから、ぜひそういうことで一日も早く期待に沿ったような結論を出していただきたいということを期待いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  53. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 割引がいろいろ多岐にわたっておりまして、それから毎年いろいろな問題が出るということにつきましては、私どもも何とかして簡易化をいたしたいと考えておりますが、ただいま国鉄部内に運賃制度調査委員会を作りまして、その委員会に利害の方も入っていただいて研究をしていただいておる次第であります。私どもの理想から申しますれば、農林水産物資というものは最も大宗を占めておりまして、おそらく全輸送量の四割くらいだと存じております。それで、農林水産物資が一番国民各位の生活に直接つながるものでございまするからして、できるだけ低級運賃を考慮いたしまして、公益的な見地から、国民の皆さんに御期待に沿えるよう、種々考えておるのであります。  それから、種ジャガにつきましては、実は私は戦争中国鉄にありまして、ちょうど今の営業局長のような地位におりまして、種ジャガの輸送は食糧確保の意味で最も重大であるという見地から、青函の輸送が非常に詰まっております際も、ほかの物資を切りましても種ジャガの輸送を最優先にいたしておった記憶もございます。ただいまの御意見で、この運賃割引制度ということにつきましても十分御趣旨に沿うように今後研究して参りたいと思います。ただ、農林水産物資につきましては非常に割引をいたしておりまして、国鉄としても赤字を負担して割引をいたしておるというような次第でございますから、こういう点は農林当局にもいろいろお願い申し上げまして、また機会がありましたら何らかの御支援をたまわりたい、かように考えておる次第であります。     —————————————
  54. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 次に、水産に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。八木徹雄君。
  55. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 午前中に愛媛、高知の両県の代表の方がその衷情を端的に披瀝いたしました豊後水道南部の宿毛湾、並びに宇和海におけるイワシの漁という問題についてお伺いいたしたいと思います。  この地方は、御存じの通り、イワシ漁業の三大漁場の一つと言われておるように、最も恵まれた地帯であったのでありますが、昭和三十一年五月以来ほとんど漁獲皆無というような状況が今日まで続いておるのであります。当時、最初は海流の異変であろうかというようなことで、水産試験船を出して両県でそれぞれ調査いたしましたが、原因がわかりません。原因のわからないままで、貧窮する漁民に対しましては、特別な融資をするとか、あるいは特別な失対事業を供給するといったようなことで今まで糊塗してきておるのでありますが、ようやく本年の三月になって、たまたま中国火薬の方から地方の漁民の雇い入れの申し入れがございまして、それによって見ますと、火薬を投入しておるということが判明いたしました。ようやくこの原因は火薬、爆薬の投入が原因であろうというように現地では認識いたしております。そこで、最初に、ちょうど時期的に考えても、火薬の投入が三十一年の四月から始まっておるというようなことと関連いたしまして、てっきりそうだというふうに私ども思うのですが、次長の方ではそれはどういうようにお考えになられるか、承わりたいと思います。
  56. 西村健次郎

    ○西村説明員 宿毛湾の火薬投棄とイワシ漁業の問題につきましては、実は、私ども農林省としまして、昨日現地の方からの陳情がございまして承知したわけでございます。それまでは、火薬の投棄の問題は、われわれは県当局からも何らの報告にも接しておらなかったのであります。今八木委員のおっしゃった通り、既往三カ年においてイワシの漁獲が激減したという事実はございます。それから、昨日承知したところによりますと、火薬の投棄という事実も、これもあるようでございます。ただ、問題は、この二つが原因結果としてつながるのかどうかということにつきまして、従来こういう事例がございませんので、今これはあるというふうに申し上げかねるのでございます。ないということも申し上げかねる、こういう状況でございます。
  57. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 まだ十分な科学的調査を終ってないということで、そういう御答弁は当然だと思うのですけれども、しかし、一応問題を提起されたわけですから、すぐさまそれに対する調査研究をしていただきたいと思いますが、それに対しては具体的にどのように進められる用意があるか、承わりたいと思います。
  58. 西村健次郎

    ○西村説明員 これはいろいろ専門家の意見も徴さなくちゃいけないかと思うのですが、まず、私ども考えておるところでは、少くともその火薬の投棄水域における水質、表面の水質のみならず、ある一定の下までどういう変化があるかというようなことは、せめて調査する必要があるのじゃないか。従いまして、昨日愛媛県の水産当局も来ましたので、少くともその程度の調査は県の水産試験場でもすぐできるだろう、やってもらいたいということを私口頭で申しました。しかし、系統的に全体でどういう調査をやるかということにつきましては、きのうの夕方この事実を承知したものですから、まだ成案は得ておりません。     〔吉川(久)委員長代理退席、石田(宥)委員長代理着席〕
  59. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 とりあえず県の水産試験場の方で調査さそうということでありますけれども水産試験場の方では、優秀な機械がそろって、設備があってほんとうの微細にわたるまでの調査はできぬと思う。そういう設備はできておりませんから、その意味合いで、実は愛媛県の方におきましても簡単な調査というものはいたしたことはあるのでございますけれども、今の設備の状況の中では、確たる証拠をつかむというところまで行っておりませんので、どうしても、それが究明をするためには、本省の方でもっと大きな立場で十分な調査をしてもらいたいと思うのですが、それについてはどのようにお考えになられるか。
  60. 西村健次郎

    ○西村説明員 今の愛媛の水産試験当局の方ではそういう施設がないというふうなお話でございますが、実は、まだ私どもも、そういう設備があるかないか、どういう施設が要るかということも認識しておりませんので、もしそういう事実がありました場合には、何らかの方策で、できるだけ早い機会に有効な調査ができるような方策を考えて参りたい、こう思っております。
  61. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 それでいいわけなんですけれども、ややもすると、役所の調査研究といったようなことは時日を非常に要するというような場合が多いのではないか。もちろん、この種のものについては、徹底的な究明をするためには相当な調査の期間というものが必要であろうかと思いますけれども、それがために半年、一年もかかるといったようなことでは、困窮しておる漁民の立場からいたしまして、それは全くほうっておくわけに参りませんので、少くとも次の臨時国会ころまでには一応の成案が得られるような積極的な調査研究というものが望ましいと思いますが、そういう確信の上に立ってやっていただけるかどうか、承わりたいと思います。
  62. 西村健次郎

    ○西村説明員 できるだけ御要望に沿うようにいたしたい。ただ、こういう問題は因果関係ということが非常にむずかしいと思います。単なる事実の調査の結果に基く因果関係をどう発見するかということにつきましては、従来の水質汚濁の問題にもありますように、必ずしもこれは簡単な問題じゃない。これは私の予想でございますが、それだけをちょっと申し上げておきます。
  63. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 そのすべての調査が終ってでなければ、私がこれから言わんとするところについてもなかなか御返事がいただきにくいのではないかと思いますが、もし火薬を投棄したということに原因があるとすれば、これは素朴に考えてそういうふうに思えるのですけれども、そういう場合に、現行の法律によっては火薬の廃棄というものは、沿岸八キロ以上、水深二百メートル以上であったならどこへやってもいいということになっておるらしい。そういたしますと、このこと自体は、いわゆる産業的な見地からそういう法案ができたのではなくして、いわゆる災害防止的な見地からできておるのではないかと思いますが、そういう現行法律の不備という点が考えられるのでありますけれども、そういうような条件の中でこうむった漁民の被害というものの補償はどこがこれを負うべきであるか、一つ次官の方から見解を承わりたいと思います。
  64. 石坂繁

    石坂説明員 だんだん産業が発達し、工業施設その他の関係からいたしまして、損害賠償の問題については、必ずしも従来の法律観念でいかないこともあるようであります。従いまして、無過失損害賠償責任論とかいろいろな問題が出て参りますが、この問題につきましては、実は私もけさほど陳情書を見てようやく承知いたしましたくらいでありますが、いずれにいたしましても、できるだけすみやかに基礎的の調査をいたしまして、困っておる漁民の救済なりあるいはイワシの不漁対策等につきましても策を立てなければならぬと思いますが、何分にもきょうのところ具体的かつ明快に御答弁することができませんのははなはだ遺憾でありますが、まことに事情やむを得ないと御了承をお願いいたします。
  65. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 原因はこれから探求していただくことになるわけですけれども、ただ、はっきり言えることは、過去三カ年の間全く不漁に不漁を続けて沿岸漁民の連中が非常に困窮しておる、特にまき網漁業者の方々が非常な困窮をきわめておるということになっておるのでありますが、そういう現実の姿に対して、これが救済ということについてどのようにお考えになられるか、次長の御答弁をお願いしたい。
  66. 西村健次郎

    ○西村説明員 今政務次官も申されたと思いますが、宇和地区でございますが、あそこのイワシ漁が不振だということは厳然として存在するわけであります。これにつきまして、われわれとしてはいろいろな面でできるだけのことは考えて参りたい。ただ、こういうことをやるというようなことにつきまして、今にわかにはっきり申し上げるというわけにはまだ参らぬので、従来は、過去二年でございますか、特別失対事業も特に適用した。しかし、われわれとしても、それのみで足りるとは考えておりません。何らか手を打つ必要はある、こういうふうに考えております。
  67. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 それに関連をいたしまして、一番望ましいことは、その廃棄された爆薬物といったようなものをもう一回掃海していただくというようなことが望ましいのですけれども、それはまだ原因がはっきりわかりませんからとにかくといたしまして、問題は、豊後水道における漁の回遊の状況をながめてみますと、御存じの通り、これは、黒潮に乗ってきたイワシが、宮崎、大分を通って四国側に回っていくのと、それから、土佐側から回って九州側に流れていくのと、この二つの流れが今までの通常のあり方であったと思うのであります。さような意味合いからいたしまして、要は、あの地域におけるイワシ漁業というものは、宮崎、大分、愛媛、高知の四つの県にまたがったあの海区そのものに問題があるのではないか。私は、その海区そのものを適当な機会に——これは全国的な問題でございますけれども、再検討しなければならぬ時期が来ておると思うのでございますけれども、そのことは抜きにいたしまして、イワシのまき網漁業という特質からいたしまして、あの海区というものを、各県の話し合いというのではなかなからちがあかぬと思いますので、この際農林省の方から勧告するとか適宜な措置をすることによって、他の海区まで入っていけるような便宜措置、そういうことをやっていただくというようなことが解決のために非常にいいのではないかというように考えるのでございますけれども、そういうような推進の仕方をやっていただけるかどうか、承わりたい。
  68. 西村健次郎

    ○西村説明員 今八木委員のおっしゃいましたことは、おそらく指定中型まき網漁業対策の問題だろうと思います。これは愛媛県としまして宿毛湾につきましてはごもっともな御希望だろうと思います。しかし、率直に申し上げまして、御承知のように、まき網の海区の問題というものは全国的に非常な問題がある。たとえば、例年のように繰り返されます山陰のまき網の問題、血の雨を降らさんばかりの問題であり、よしんばその海区の指定の権限が農林大臣にあるとしても、それで問題は片づかないというのが事実であります。私どもとしては、今のような情勢下におきまして簡単にこの問題に踏み切れるかどうかということは、今直ちにここで約束するというわけには参らない。むしろ、私は、そういう事実があれば、まず隣の高知県とも入会について多少お話をする余地があるのじゃないかというようなことも私の方の——実はこれはまだきのうの晩伺ったことでございますので、まだよく研究しておりません。そういうこともわれわれの方の技術者の意見もございます。ただ農林省が上からこの問題を押しつけるようにして解決の方向に持っていくということは、これは事実上の今の状況では非常に困難であるということで御了承願いたと思います。
  69. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 そういうこともよくわかるのですけれども、現実に、両県だけで、あるいは四県同士で話し合いをするということでは、ちょうど安全保障理事会の拒否権の発動みたいなものでございまして、なかなか円満な話し合いというものはできないかと思うのであります。そういう意味合いで、適当な機会に農林当局における助言あるいは勧告、そういったようなことが問題を解決させるに非常に役立つのではないかと思いますが、そういう時期を見て積極的に乗り出していこうというようなお気を持っていただけるかどうか、そのことをお伺いいたしておきます。
  70. 西村健次郎

    ○西村説明員 今の問題は、われわれとしまして、大海区制をとるということは従来から考えておるのでございまして、この地域に限らずそういう問題はあろうと思います。しかし、問題をこういう特定の時期において上げるということは、果して解決のよすがになるのかということもわれわれとしてはあれこれ検討しなければならないと思っております。従いまして、そこに何らの実効の曙光も認められないのに、あえて紛争の種をまきおろすということも考えものでありまして、私ども昨日承知したというきわめて最近のことでございますので、これについて、今こういうことをする、あるいは今乗り出すということは、まだ申し上げる段階にはないと思いますので、御了承願いたいと思います。
  71. 八木徹雄

    ○八木(徹)委員 最後に、これは簡単なことなのでやっていただけるかと思うのですが、実は、先ほど申し上げましたように、この困窮した沿岸漁民の方々の救済のために五千万円の金を愛媛県だけで借りております。高知県ももちろん借りていらっしゃるはずでありますが、それ以前の借金もあるようでありますけれども、こういう不漁なときでございますので、これらの借金の返済ということができかねております。今の五千万円にいたしましても、短期の金でございますので、早急に払わなければいかぬということになるわけでございます。そういう意味合いで、簡単にこの問題の解決はできぬかと思いますが、その不漁の間には、これは中金の金のことでございますので、そういう制度金融のことでございますから、農林省の方から助言していただけますれば、問題の解決は非常にやさしいのではないかと思いますが、これらの借金の返済のために一つ特別な御配慮をいただきたい。特に、延滞利子をとらないような措置というものはぜひともやっていただきたいと思いますが、お考え一つ……。
  72. 西村健次郎

    ○西村説明員 この問題は、実は火薬投棄以前にもかかったことは農林省としても承知しております。相手は農林中央金庫でございますが、中央金庫としても、一定の業務規程に従って業務をやっておるのでございますので、むずかしい面もあるかと思いますが、私どもとしましては、漁民の立場も実情もよくわかりまするので、できるだけ私の方であっせんなり御助力なり、できる面がありましたら、これをできるだけやっていきたいと思います。
  73. 石坂繁

    石坂説明員 ただいま西村次長からお答え申し上げました通りであります。私どもも努力をいたしますことは決してやぶさかでありません。
  74. 石田宥全

    ○石田(宥)委員長代理 暫時休憩いたします。     午後三時三十一分休憩      ————◇—————     午後三時三十二分開議
  75. 石田宥全

    ○石田(宥)委員長代理 それでは委員会を再開いたします。足鹿覺君。
  76. 足鹿覺

    足鹿委員 水産庁にお尋ね並びに要望したいことがあるのです。それは、新漁場開発操業船、すなわち深海操業船の操業緩和の問題についてでありますが、次長も御存じの沖漁場に関連する問題でございまして、当初鳥取県の五隻の船が二百五十メートルの深海操業に参加をいたしておりまして、それが昭和三十一年の十二月ごろにさらに九隻の建造を認められまして、私はよく存じませんが、俗に十トン免除の恩典の分だそうであります。そうして、四、五、九の三カ月を除く期間におきましては、その深海操業が適当でないと思えば、その船の考え方によって他の漁場へ出漁することもその許可には認められておったそうでありますが、昨年の八月に至って、水産庁が、許可証を一応書き改めることがあるから返せというので、これを回収なさいまして、そうして、日付を今度一昨年の十二月にさかのぼって、この区域外の操業を認めないというふうに書き変えられたのであります。元来、鳥取県の場合は、機船底びきの整理の際にも、当局の指導によりまして百隻近いものを六十隻程度にまでこれを整理いたしまして、あなたの方の御指導に従って、過当競争の防止、乱獲の抑制等に協力をいたしてきておった。たまたまその五隻の船については十トン免除の方向を与えられ、深海操業並びにその区域外における出漁の許可が与えられましたので、すなわち一昨年あとの九隻もこれはけっこうだというので新しく建造いたしまして、その条件にかなうような船の建造にいたしたわけであります。ところが、今述べますように、昨年の八月に至って、にわかに、この免許は当局が誤まっておったので書き変えるというので、一昨年の十二月にさかのぼって区域外操業をとめられましたので、この船の従業員はもちろん、その家族の君たちも多数の者が非常に困っておるわけであります。出漁費に十数万円をかけ、漁獲は一万円内外というような事態が相当長く続いておるそうでありまして、非常に困窮をいたしておるのであります。私はこの方面のことはあまり詳しくはありませんからあれでありますが、誤まって許可をされたということで、その結果あなた方が一応そういう措置をとられたことに対しては、漁民がそれに従う漁船を建造し、一切の装置、設備を行なって、そしていよいよ本格化しようというときにあなた方の方で一方的にそれをなさるということは、少し片手落ちではないかと思うのです。そういうことがあるならば、あなた方の方にも手落ちがあった、がしかしやむを得ぬと、ある程度そこには温情のある措置をおとりになる、すなわち、その船一隻については従前通りこれを認めるとか、何らかのそこに緩和措置があってしかるべきではないかというのが一般の世論であります。従来も行政的にいろいろ話し合いが進められておるそうでありますが、全然曙光が見えないというので、非常に困窮し、見るに忍びざるものがあるのであります。従来からこれに対しては次長が相当理解ある態度をもって臨まれたということは聞いておりますが、今述べたような経緯にかんがみて、何らかの救済措置、必要な緩和措置等を講ぜられて善処せられる御意思はないものでありましょうか、お尋ねをいたしたいのであります。
  77. 西村健次郎

    ○西村説明員 御承知のように、これは底びき網漁業の問題でございます。底びき網漁業、ことに、沿岸との問題、あるいは他の県との問題というような、いろいろな摩擦がありますので、非常にすべてその一つ一つの問題につきまして従来のいきさつにからまっている問題でございます。この事案につきましては、実は、はなはだここで弁解がましいことを申し上げて申しわけないのでございますが、だいぶ前に一度聞いたことがありまして、そのときに、これはどうだということを私下の者に言いましたところ、いろいろむずかしいことを言っておりました。しかし、私、はなはだ申しわけないのですが、そのとき非常に多忙なものでしたから、それ以上精細に私の方でこれをとことんまで詰めていなかったような気がいたします。従いまして、もし今足鹿委員がおっしゃるように誤まって免許を与えた、しかも誤まって与えたということが水産庁の責めに帰すべき事由があれば、私はこれはある程度何とか考えなければならぬものと思っております。ただ、問題は、今申し上げたように、これがそれだけで問題が片づくものなら非常に簡単なのであります。たとえば沿岸の問題とか、そういうこともありますので、今足鹿委員の御提案と申しますか、たとえば一隻限りではどうだというようなことにつきまして、私が今そういうことをやろうかということは申し上げかねるのでございます。今この問題でせっかく足鹿委員の御指摘になりましたことは、私の方でどういうふうにこれを処置するかということを至急もう一度再検討いたしたい、こう思っております。
  78. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に理解のある御答弁で、これ以上私が追及する必要はないように思いますが、ぜひ理解ある態度で御善処を願いたいと思うのです。ただ、今次長も、水産庁だけの誤まった許可に基く被害ということであるならばとおっしゃったのですが、確かにこれは従来からの経緯は実務担当者の方も知っておられるはずです。最初五隻のものが現在十四隻、今一応私の手元に資料として出ておりますが、この九隻を建造するときに誤まりであるということがおわかりになっておったならば、そのときに御指導になっておれば、経費をかけ一切の措置をする必要はなかったのです。それを、去年の八月に書きかえる必要があるというので提出をさせた。それで、直接あなたの方で一昨年の十二月に遡及してこの許可事項を変更されておりますが、中間行政庁としての県庁も経由しておるのかしてないのか、その辺にも疑義があるようです。私は突然聞いたことでありまして、よくその内容を現地の一人一人について確かめるということはいたしておりませんが、責任ある代表が数名わざわざはるばる上京してきて衷情を訴えておりますからには、偽わりを言っておるとは思いません。そこには何らかの事情があろうかと思います。それは、沿岸の問題その他の漁区との問題、いろいろな問題があろうかと思いますが、事態は、事前にそういうことをしておられるならばこういうことなしに済んでおるわけでありますから、その間にあなた方がしんしゃくをされて何らかの温情ある措置をとられるということはそうむずかしいことではないと思うわけでありまして、今次長の御答弁では十分検討し善処するということでありますが、政務次官にもお願いをいたしますが、今お聞きのような事情でありますので、一つ至急にこの措置を講じて下さいますようにお願いいたしますが、いかがなものでしょうか。
  79. 石坂繁

    石坂説明員 私も実はただいま足鹿さんから伺って承知したようなわけでありますが、西村次長から申しておりますような気持で、できるだけ親切にこの問題の解決に当りたいと思っております。
  80. 日野吉夫

    ○日野委員 関連して……。  私ちょっと伺いますが、次長はこの事案を具体的には承知していない、前に一応下僚から聞いたが、その当時は忙しくてよく承知していないという意味のことを言っておられるのでありますが、底びきの整理転換に当って、すでに一応の整理転換が済んで、その後、整理になったものその他、各地に同様のケースがあるのですが、その間に非常なやみ船が出たり、いろいろな事情から、これを何とか救済しなければならぬということは全国的に問題になっておるはずである。その後水産庁でもいろいろ試験操業などもやって深海の区域というようなことにも若干の手心を加えたことは私たちも承知しておるし、多分そういうケースだろうと思いますが、いろいろむずかしい条件があって、新規許可等については何か一つの明確な線を引いておかないと、許可をしてしまってあとまたあわててこれを取り消したりすることによっていろいろの事態が起るのですから、次長も何とか手心を加えてうまくやろうという非常に同情のある考え方をしておられるが、水産庁はやはり今後のこうした許可方針等を明確にしておかないと、この事件が非常に発展し複雑化するおそれがあります。これは、多分足鹿さんの言われるように、許可の条件等に何かの間違いがあったりして、そうしてあわてて取り消したようなケースでないかと思われる。一度許可を与え、新船を建造させ、操業をやらせて、途中から取り消すというようなことになると、これはそれぞれ私経済の上にも障害を来たしてくるので、これらについては十分考慮してやらなければならぬ、こう思うのですが、どういう経緯で許可になり、その後どういう経緯で取り消しをやって、実情はどういうことになっておるのか、これらのことは十分な調査の上にやらないと、全国的に波及する重大な問題でありますので、よくわかっておらないところに聞くのもあれですが、新規許可の条件等も次の機会にでもよく聞いてみたいと思うのです。ここに出たこの事態に対しては十分な対処をして、水産庁にも若干の過失があるとすれば、その責任を十分に負って、この諸君の立っていくようにやってやらなければならないと思うのです。次官もよく承知していないのですから、ここでむずかしいことを聞いてもいけませんが、十分同情のある取扱いをされて、今後この種の問題に対しては十分な方針をお組みになって対処していく必要があるかと思いますので、そういう希望をいたしておきます。
  81. 石坂繁

    石坂説明員 ただいまの日野委員の御発言の趣旨はとくと承知いたしました。
  82. 西村健次郎

    ○西村説明員 今の日野委員お話、よくわかります。ただ、私先ほど申し上げたことは、事務上のそういう誤まりがあったことにつきましていきさつを詳細に聞かなかったということを申したのであります。はなはだ職務怠慢のようなことを申したのですが、実は私海外に行く直前だったものですから……。ただ、この問題は、こういうことがあるようです。たしかあれは、深さは二百五十メートルで許可された。これを二百メートルで許可してくれると非常によいのだが、ということだったが、そうするとまたほかとのあれがある。実態的のものともだいぶからんできておるように承知しております。これは記憶の間違いかもしれません。いずれにしましても、私どもとしまして、先ほど足鹿委員の指摘されましたように、水産庁において行政行為に過失がある、しかもそれを当てにして業者がやったということについては、われわれとしてもそこはよほど考えなくちゃいかぬ、こういうことは十分申し上げられると思います。具体的な事実についてなお御指摘がありましたので、至急私どもで深く検討して参りたいと思っております。
  83. 石田宥全

    ○石田(宥)委員長代理 角屋堅次郎君。
  84. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 酪農、蚕糸等を中心にして大臣質問をするわけですけれども、お見えになるまでに若干時間があるようでございますので、この機会に、水産庁の次長が見えておりますので、この前の特別国会で私は総合的な基本政策質問関連をして真珠関係の問題について若干触れたわけでございますが、本日は時間の関係等もあってこれらの問題について少しさらに追加してお聞きをしたいと思うのでございます。  まず第一に、御承知のように、沿岸漁業の不振を打開するために、水産庁は本年度から沿岸漁業振興総合対策を立てて、本格的に沿岸漁業不振打開のために努力を始めておるわけでございますが、これらの計画に基く各県等からの申請の状況なり、あるいはそれに対して現段階で査定その他措置しておる状況をとりあえずまずお聞きしたいと思うのでございます。
  85. 西村健次郎

    ○西村説明員 今角屋委員の御指摘の問題は、たしか沿岸漁業振興の八千万円の問題だと思いますが、これにつきましては、御承知のように、大型魚礁を全国六カ所、それと、地区指定を行いまして、この指定された地区につきまして総合的にいろいろな振興対策を講じて参りたいこういう方向で行っております。この地区は、私の記憶違いでなければ、たしか六カ所かと思います。ただ、これは各県から今申請が出ておりますが、どれを選ぶかということは未定でございます。
  86. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 実は、この沿岸漁業振興総合対策に関連して、今、真珠の問題で、御承知のように三重県は国内生産の真珠の大体七割を志摩方面の真珠、志摩から度会にかけての地域で生産をしておるわけでございますが、このたび県の方から、水産庁における沿岸漁業振興総合対策の計画に呼応して、志摩を中心にした真珠産業の振興のためも加味した沿岸漁業振興計画を実は申請しておるわけでございます。この内容についてはすでに中央の方に申請が出ておるから、ある程度内容については次長も御承知かと思いますが、これは、御承知のように、真珠の計画生産の実施、養殖漁場を改良する問題、あるいは真珠漁業を具体的に調査をして漁場の合理的な利用をはかる問題、あるいは十三号台風以来の漁場の荒廃というようなことと関連をして、資源の維持、培養に努める、こういうことで、今沿岸漁業の振興にタイアップをした志摩の真珠振興の問題を出しておるわけでございますが、これらについては次長の方にすでに書類が届いておると思うのですが、これらの点については真珠の振興対策と関連をして検討を進められておるかどうか、伺いたい。
  87. 西村健次郎

    ○西村説明員 今の三重県の具体的な沿岸振興対策、その中には真珠漁業振興というものを織りなしたものが出ておるということですが、私実はまだその内容を詳しく承知しておりません。ただ、いずれ近々それは検討することになりますが、担当の部局の方で十分検討しておると思います。ただ、真珠の問題につきましては、これは単に一地域の真珠漁業あるいは真珠養殖業というものを取り上げて問題解決をはかるということは非常にむずかしいのじゃないか。御承知のように、三重県におきましては、たとえばいかだの台数はたしか登録制にした。そして事実上台数を制限する。その結果どうなりますかと申しますと、ほかの県に逃げていくということが一つと、それから、一つは、いかだの台数は制限しても、一つのいかだにたらす真珠の箱の数をうんと多くするというようなことで、おそらく三重県も悩んでおられるだろうと思う。根本的には、真珠というものは稀少価値というものに着目しなければいけないものでありまして、ただ作ればいいということでは、カルシュームの原料ができるだけでありまして、これでは全く値打が下る。従いまして、全体として全国的な視野に立って真珠漁業の振興、真珠養殖業の振興というものを考えて参らなければならない。それが考えられた後において、地域的な沿岸漁業の振興等とどうタイアップするかということがむしろいいのではないか。これは私見でございますけれども、一地域の真珠漁業の振興というものは、なかなか実効があがらないのではないかということも思っておりますので、三重県の当局の具体的計画につきまして、あるいは私のこういう考えについては訂正を要するかもしれませんけれども、そういう考えであります。
  88. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次長も御承知のように、三重県の志摩を中心にした関係地区においては、真珠産業の占める漁業関係におけるウエートはきわめて大きいのです。全国的な生産状況からしても大きなウエートを占めておるのですから、真珠を中心にした志摩地区の沿岸漁業振興ということは、単に一局部の問題としてこれを取り扱うことはできない。そういう面では、計画の内容について具体的に検討して、しかも現在の真珠不況の問題と関連しておりますから、なるべく早い機会にこれを取り上げるということに御配慮を願いたいと思います。  なおまた、今日の沿岸漁業振興の問題は、不況の現況から見て、この面の総合対策については、関係各県、関係地区とも、きわめて強い要請があるのではないかと思いますが、今度の臨時国会における補正予算の動き等もあり、また通常国会に対する予算編成時期は大体九月以降本格的に始まるわけでありますが、こういう問題について、水産庁は、当面の臨時国会に対する補正予算の中で、あるいは本格的な予算の中で飛躍的な態勢をとりたいというようなお考えで検討を進めておるかどうか、政務次官にお尋ねいたしたい。
  89. 石坂繁

    石坂説明員 ただいまのところ、臨時国会に補正予算を出すという考えは持っておりません。通常国会に際しては、水産庁としてもそれぞれの対策を盛り込んでいきたいと思います。
  90. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは、次長はあるいは十分実態をおわかりでないかと思いますけれども、地域的な問題でございますが、おそらく次長も御承知だと思いますが、志摩方面では今総合開発の調査を具体的に進めております。この総合開発の調査は、もちろん最近農林省関係で問題にしております畑地振興に関連をした畑地灌漑その他いろんな問題を含んでの全体的な総合開発ということになるのですが、問題を水産関係に限定して考えますと、次長もおそらく、御承知だと思いますけれども、的矢湾における真珠養殖事業に今の総合開発の問題が大きい影響を持っておる。これはそれぞれ学者の意見が対立しておるようでありまして、真珠養殖のウエートは志摩方面では相当高いわけでありますが、ただ、真珠養殖の面に相当影響があると言う者と、そう影響がないだろうと言う者と、若干意見の対立があるように承知しております。しかし、この総合開発そのものは国家百年の大計を立てる大きな問題でありますけれども、それに関連して、影響するプラスの面、マイナスの面については、事前にやはり十分な調査が必要であろうと思う。特に、今の総合開発の問題に関連しては、的矢湾における真珠養殖を中心にした反対の動きというものが、やはりいろいろな従来の実績等から判断をして、きわめて強いものがあることは御承知だろうと思いますが、こういう問題について、水産庁として、関係のお仕事でもありますし、具体的に十分なる検討を進められておるかどうか、あるいは今後の総合開発の計画の振興と関連をして今後どういう手を打とうというふうにお考えになっておられるか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  91. 西村健次郎

    ○西村説明員 今角屋委員の御指摘のありました的矢湾、これは御承知のように真珠の仕上げの湾でありまして、その点で真珠の養殖業では非常に重要なところであります。これはみないかだが仕上げの時期になると的矢湾へ来る。そこについても過剰ないかだの数という問題もあろうと思います。それは別にいたしまして、非常に真珠の養殖業について重要な水域である。ところが、あそこの根っこにあります伊雑浦の水深が三メートルぐらいのところで区切れておりますので、あれをせきとめまして淡水化して、干拓して畑地灌漑に使う、これは農地事務局の考えのようであります。私どもとしては、総合開発というものを決して否定するわけではありません。失うところと得るところというのを国家百年の大計からよく考えるという意味で、私の方としては慎重にやってもらいたい。まだ最終的な結論は出ておりませんが、どういうふうに影響があるかということがある程度判断がつくようになりました場合に、そこにおいて彼此勘案して問題について考え方をきめる、こういうことになると思います。
  92. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 志摩の総合開発についての的矢湾に対する、特に真珠養殖の関係の仕事に対する影響という問題は、これはやはり、御承知の志摩方面には国立の真珠養殖の研究所もあるわけですけれども、具体的に国立の真珠研究所の機構あるいは陣容あるいは事業予算、こういうものをいろいろ私たちが見た範囲内では、せっかくこういう研究所を作られたけれども、真珠産業の基本的な調査あるいは理論的な研究という面で十分対処できる態勢に必ずしもないと私は思う。特にこういう総合開発との関連の中における影響力というものについては、もちろん志摩の国立研究所の問題もそうですし、水産大学その他いろいろなところを、水産庁としては責任を持ってやはり動員をして、十分影響力について理論的な調査をされるということが必要だろうと思う。そうでないと、一方に反対のそういう声がありながら、総合開発の調査そのものについては着々と現実に進んでおるし、また、そういう総合開発を望む関係地域の声というのは、特に農業関係あるいは観光関係その他からは相当に出ておることは間違いない。そういう場合に、両者のにらみ合せからしても、事前に水産関係における影響力というものについては水産庁として責任を持って十分な調査を整備するということがやはり必要だろうと思うのですが、この点についてさらにお伺いしたいと思います。
  93. 西村健次郎

    ○西村説明員 御指摘の問題につきまして、私どもとして許される範囲内においてはできるだけのことをやって参りたい。率直に申し上げまして、今までこれはいろいろ予算の関係等ものありまして積極的にやっておらなかったと思います。これは飛躍的にすぐやれるかどうかということは問題だろうと思います。これは、先ほど申しましたように、水産につきまして、ことに真珠養殖について重大な関心事である一方、総合開発も重要なことであるということでございますので、できるだけ今後推進していくように考えて参りたい、こう思っております。
  94. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 真珠産業の問題については、われわれの方としても今後どうするかという問題について基本的に十分検討しなければならぬ問題がたくさんあるだろうと思いますが、巷間、この真珠産業の問題について、真珠国営論というものがぼつぼついろいろな資料その他で姿を現わしておるように思うのですが、こういう問題については関係当局としてある程度こういうものの是非論について検討されておるかどうかということを若干伺っておきたいと思います。
  95. 西村健次郎

    ○西村説明員 真珠産業につきましては、いろいろ国営論あるいは専売論というものが従来からも何度も何度も問題になっておりまして、いろいろな点から検討を水産庁としても従来からやってきております。ただ、根本的な問題としまして、専売等で、得たものを全部買い取るというようなことはおそらく実効があがらないのじゃないか。それのみではだめです。結局、計画生産の微に入り細をうがつまでやらないと実効はあがらない。御承知のように、真珠はああいう小さいものでございます。要するに、密輸には非常に好適品であるといわれておるぐらいでありますので、真珠一手買い取りの専売機関を設けましても、ちょっとポケットに入れて数万円というものが右から左に動くのでございます。戦時中、統制会社ができまして、真珠を全部買い上げることにしたわけでございます。そういうときでも、くず真珠はたくさん統制会社に持ち込まれましたが、持ってくるはずのいいものはなかなかこなかったのでありまして、こういう問題につきましてどういう具体的な考えだということを今申し述べる段階ではないと思います。一例をあげましたら、たとえば今の専売機関を作るという考え方についても、非常にいろいろな問題がある、こういうようにむしろ批判的な考えを持っておる次第でございます。
  96. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今日の不況下の真珠産業に働いておる従業員の問題に関連をして、その真珠産業の仕事の特性から見て、御承知のように、現場で働いておる従業員は、大体十一月の末期から三月まで仕事がブランクになる、そういう従業員が多いわけでございますが、こういう季節的にブランクになる従業員に対する失業保険法の適用の問題については、過般の特別国会の際に私が水産庁長官にこの点指摘しました。そのときにも、水産庁として十分今検討を進めておる、こういう回答があったわけでございますけれども、これは、そういう季節的な仕事のブランクに対する特例としての失業保険法の適用の問題もありましょうし、同時に、現実に真珠産業の不振ということからして、平素の業務状態の中でも、従来通常であれば真珠産業に携わっておる者が、現実には真珠産業の不振からその仕事から離れておる労働者というものが相当の地域にわたってあるわけでございますが、これらの問題については、具体的な問題と関連をして十分一つ現地の実情に即するように御検討願いたい、こういうことを一つ要望して、時間の関係で私の質問を終らしていただきたいと思います。
  97. 足鹿覺

    足鹿委員 議事進行について……。  大臣の出席の約束は四時ということでしたが………。
  98. 石田宥全

    ○石田(宥)委員長代理 大よそ四時ごろということです。
  99. 足鹿覺

    足鹿委員 大体の見通しはどうですか。——早く出席するようにしてもらいたい。
  100. 石田宥全

    ○石田(宥)委員長代理 承知いたしました。  芳賀委員
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 明日当委員会北海道農林水産漁業関係の調査に出かけるのです。それで実は水産庁長官に出席してもらいたかったのですけれども、出席がないので、西村さんにお尋ねします。  北海道の沿岸における底びき網禁止区域の拡大は、先般の国会におきましても、大体七月の二十日ごろから北海道庁側と具体的な折衝を始めるというような言明があった。すでに相当進行していると思うのですが、この禁止区域の拡大の問題についての水産庁の基本的な考え方というものはまだ当委員会で明確にされていないわけです。それで、われわれは、調査に出かける前提として、これらの問題にもやはり当然触れることになりますので、この際、沿岸における禁止区域拡大の問題に対する水産庁の基本的な考えと、さらに、作業がどれくらいの段階まで進んでおるか、それから、たとえば北海道の示している案と水産庁案とにおいて、果して一致点が多いのか不一致の点が多いのか、そういう比較した問題等についても、でき得るだけ具体的な説明を願いたいと思います。
  102. 西村健次郎

    ○西村説明員 北海道の沿岸漁業と底びき網漁業の相剋摩擦、これはもう何年来の懸案でありまして、われわれが解決を迫られておる問題であります。たしか先週の二十二日かと思いますが、北海道水産当局に来てもらいまして、連日のように目下具体的な内容につきまして検討を進めております。この基本的方針ということはどういうことかというお尋ねでございますが、結局、この問題につきまして、私どもの基本的態度としては、問題は沿岸漁業と底びき網漁業との相剋摩擦ということであります。それをいかに調整するかということ、これを中心としつつ問題を——もちろんそこには資源の問題もからんできますけれども、沿岸漁業と底びき網漁業との調整ということを中心としつつ問題を解決して参りたい、こう思っておる次第でございます。  水産庁の案はどうか、北海道庁の案との相違点はどこかというようなお尋ねでございましたが、この点につきましては、御承知のように、底びきの禁止区域——北海道も海域は広うございますので、具体的な個々の区域について検討を進めて参りたいというのが現況でありまして、しかも全部の区域をカバーしたところまでまだ進んでおりません。今まだごく初っぱなのところでございます。その内容がどうだということは、全体としてある程度一当りしたところでないと、かえって誤解を招きやすいということもあろうかと思います。  それから、これは御承知のように九月から底びきは解禁になりますので、私どもの心づもりとしましては、それまでに全部解決できるように、新しい漁区につきまして間に合うようにやって参りたいということで、連日今作業を進め、北海道水産当局とも話し合いを進めておる次第でございます。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 第一の問題は、そうすると基本的な考え方というものは、沿岸と底びきの相剋摩擦とか紛争処理というのが基本的な態度ですか。だいぶ前の見解から後退したのじゃないですか。
  104. 西村健次郎

    ○西村説明員 あるいは私の申し方が多少誤解を生じたかもしれませんが、まあ裏を返して言えば、単に資源の問題というようなことですべての問題が片づくわけには参りません。これはもう芳賀委員もすでに御承知だろうと思います。もちろんその問題がはっきりにじみ出ておるという場面もありますけれども、必ずしもそうも言えない。従いまして、中心点はやはり漁業の調整というところに考えるべきではないかというふうに思っております。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 この場合、禁止区域拡大という基本的な問題の中に、いわゆる沿岸漁業の振興なら振興という、そういう明確なものがなければいけないと思う。紛争処理ということになりますと、局地的に繰り返されている沿岸と底びきの相剋摩擦、そういう問題だけを調整処理するということになりまして、一貫性がないじゃないですか。われわれが期待しているのは、この機会に北海道沿岸における沿岸漁業の振興とか保護発展をどうするかという一つの踏み出しというものが、この禁止区域拡大の中に明確になっていかなければいけないと思うのです。ですから、それが今度は相剋摩擦調整ということになると、そういう紛争がある局地的な問題の解決には寄与するかもしれませんが、全体の沿岸における振興対策ということとはだいぶずれてくると思うのです。
  106. 西村健次郎

    ○西村説明員 紛争処理、これはあるいは私の申し上げ方が悪かったかと思いますので、広い意味の漁業調整というふうに申し上げた方がいいかと思います。単なる局地的な紛争処理という意味じゃなくて、これは結果的には沿岸の振興になると思います。要するに、沿岸漁業の振興ということをどういうふうに調整していくかということであろうと思います。これは、裏を返して申しますれば、底びきを全部追っ払ってみても、たとえばニシンが全然一匹も来なくなったということでは沿岸漁業の振興というものはあり得ないと私は思っております。この問題は要するに底びきと沿岸漁業との相剋摩擦であるということなんでございますから、それを漁業の調整、しかしそれは単なる紛争処理とちょっと誤解を生じやすいと思いますけれども、この両者の漁業のよって立つべきあり方をこの区域についてきめよう、そういう観点でございます。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、道庁と水産当局の基本的な考え方は違ってくるのですよ。道案というのは、少くともこの沿岸と底びきとのある程度の漁業調整を頭の中に入れながら策定された案だとわれわれは考えておる。あなたの方は単にこの紛争調整ということだけが主体になると、だいぶこの考え方の上にずれがある。そういう場合には、この両者の案を比較検討するという場合に、基本的な考え方とか出発が不一致の場合には、これはなかなかむずかしいと思うのです。
  108. 西村健次郎

    ○西村説明員 今芳賀委員が、道案は沿岸と底びきとの漁業調整ということでできておるということですが、私どもの申し上げたのも実は漁業調整ということであります。局地的な紛争処理のためというのじゃございません。漁業調整、沿岸漁業と底びき網漁業との持ち場と申しますか、そういうものをきめていく、これは決して基本的な立場が道の考えとわれわれと変っているのではない。具体的なたとえば線をどこに引くかという問題は別でございますけれども、基本的な考えは決してそごはない、こう考えております。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 だいぶ違うじゃないですか。きのうは、たとえば自民党の北海道開発特別委員会へ長官が出席してるる述べている。その中にやはり、水産庁としては当面各海区ごとに沿岸業者と底びき業者との間に起きている具体的な操業上の摩擦を調整していきたい、こういうことを主要課題としてやっているのです。西村さんの言い回しが悪いのじゃない。長官もはっきりこういうことを言っているのです。そういうことになりますと、今後の禁止区域拡大の意図というものは非常に狭められてくるし、それでは、端的に言うと、紛争とか相剋のないような地域は別に拡大する必要はないのだということになる。——そういうことが深刻化されていない地域はですね。これはどうですか。
  110. 西村健次郎

    ○西村説明員 先ほど芳賀委員から、紛争調停と漁業調整は違うじゃないかという御指摘がありました。これは、私は、漁業調整というのがぴったりうまくいけば、そこには紛争も起らない。問題は、どの範囲から煮つめてものを言うかという問題になるのじゃないかと思います。芳賀委員の御指摘のように、紛争はなくても資源的な問題があとあるじゃないかという問題、これは紛争という問題の観念の仕方だろうと思うのであります。現実にそこで漁業者が対峙してけんかをしておるというものを処理するというふうに少くも私ども考えておらないわけであります。両方の漁業のあるべき範囲、そういうものをきめて参りたい、こういうふうに考えております。しかし、現実にその案のでき上る作業の過程におきましては、そう申しても、芳賀委員も御承知のように、北海道は沿岸の漁業者のいないところはないのでありますから、おそらく実質的には同じことになるのじゃないかと思いますけれども、観念的に、今御指摘のような点、私が申し上げたところも、芳賀委員のおっしゃるところも、そう矛盾はない、こういうふうに私は考えております。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点は、たとえば区域拡大をやる。禁止区域は、ここまで沖合いに出てくれば資源的には沿岸に対してどれだけ利益になるとか、反面においては、底びき側も今度はどれだけたとえば水揚げとか経済的な打撃を受けるとか、こういう基礎的な根拠とか、そういうものの調査とか資料は整っているのでしょう。それでなければ検討ができないのですからね。その点はいかがです。
  112. 西村健次郎

    ○西村説明員 それは基礎的な調査はございます。その上に立ちまして北海道庁の水産当局と私どもが検討をいたしておる次第であります。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなりますと、結局、水産庁の構想は、その禁止区域拡大によってどのくらい沿岸側がそれによって利益を保護されるか。金額においても、漁獲量においても。……大まかなことでいいです。
  114. 西村健次郎

    ○西村説明員 芳賀委員のおっしゃることは、要するに、水産庁としてのお前の方の案を一つみな出せということに結果はなると思います。実は、今北海道水産当局との話し合いのやり方は、そういうふうにばっと出しても、問題は個々の漁場ごとに検討していかなくちゃならないのですから、そういう作業を始めているわけであります。私どもはこういう確固不動だ、水産庁はこうだ、道案はこうだということなら、これは道庁の水産当局と何もこれだけ検討する必要もないわけであります。従いまして、私どもとしては、今全体の案を初めかぶせて、これでどうだということでなしに、具体的な漁場ごとに追って案を持ち寄り検討している、こういう段階でありますので、今芳賀委員の御質問の点につきましては、全体としての数字はどうだということ、裏を返せば禁止区域はどの程度になるのだということにつきましては、申し上げる段階に至っておらぬ、こういうことでございます。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 別に明らかにしろというわけじゃないですけれども、しかし、全体の構想とか案というものがなければ、部分的な検討をやるということもできないでしょう。これはおそかれ早かれ全体の水産庁の構想というものは明らかにしなければいかぬと思うのです。全体がなくて部分的な問題だけを一つ一つやっていくとしても、道と水産庁の全体の基本的な構想とか態度がどこにあるのだということが明確にならなければ、なかなか話し合いが進まないと思う。ただ、過程だから、ここで私たちがとやかく言う考えもないですが、基本的な考えの中に、あなたの説明ではわれわれの期待に反するものがずいぶん包蔵されています。ですから、全体の構想というものは一応話し合い過程においてもやはり示さなければ、話合いが進まぬという場合もあるのじゃないですか。
  116. 西村健次郎

    ○西村説明員 こんなことを芳賀委員に申し上げてどうかと思うのでございますが、これは底びきの禁止区域の問題であります。これが全体の構想といいますけれども、実は、これは局地的な漁場を積み上げたものが全体の姿になるわけであります。これが、稚内地区も、あるいは石狩地区も、あるいは網走地区も、たとえば平等に十海里ということになれば、これは全体の構想になりますけれども、やはり、具体的な一つ一つの漁場について、資源の状況、漁業の状況が違いますので、その集大成のものがなければ部分的な話ができない、こういうふうにいく筋ではないと私は考えておるのでございますが、これは芳賀委員のお考えとちょっと違うかと思います。従いまして、私どもといたしまして、いずれもうしばらくたちますと、今せっかく、作業と申しますか、北海道水産当局話し合いを進めております進行の過程におきまして、あした農林水産委員であちらにおいでになる今日の時点下に、全体が明らかになし得ないことははなはだ遺憾でございまして、今着々その点は進行を進めておる段階でございます。どうぞ御了承願いたいと思います。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、全体のものを示されず、一つ一つ話し合いで解決していく、全部が終った場合には全体も解決したことになる、そういう考え方で進めているわけですか。
  118. 西村健次郎

    ○西村説明員 局地的に一つ一つ解決をしていくというわけにはあるいは実際には参らないかと思います。私の申し上げるのは、まず、局地的と申しますか、漁場々々について具体的に、ここはどうだ、この線ではどうだということを話し合いをしまして、そうして最後にまた全体としてながめる、こういう格好になるのじゃないか。私どもは、ただもう、ほかとは全然無関係に、特定の漁場についてのみ解決を先にしてしまうという方向で作業は進めております。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 大体目標は九月の中旬までということになるので、水産庁は一方的に押しつけるということ、一方的に大臣の権限できめてしまうという、そういう考えもないのですね。
  120. 西村健次郎

    ○西村説明員 禁止区域の問題は、これは形式的には大臣の権限であります。もし一方的にやるつもりでありましたら、こういうふうに北海道水産当局を呼びまして、たんねんにやるということはしないはずでございます。これをやっている意味は、私どもが単に独善的にものをやるという所存でないということの例証になるかと思います。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 それはやらぬと思うのです。たとえば酪農問題等についてもあの程度ですから、一方的にやるなどということは考えていない。これは多年にわたって論争が続いておるのですから、ですから、やはり十分に検討を加えてもらって——委員会としても、これは解散前の当委員会の促進決議とか、それから禁止区域を拡大する場合の国会の基本的な考え方というものも決議の中にはうたってあるわけですから、それらのものは当然尊重されるとわれわれは思います。ですから、国会の閉会中でありますが、鬼のいない間にきめればいいというわけにもいかぬと思うのですが、どうですか。これは政務次官にお尋ねします。
  122. 石坂繁

    石坂説明員 これは、国会の開会、閉会とは関係なしに、最も公正な見地に立って解決をいたします。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一点は、区域拡大に伴う底びき漁業者の漁場転換の問題が当然出てくると思います。これは何かはっきりした腹案があって問題の処理を進めているのですか。無為無策でないのだということにならなければ積極的な区域拡大はできない。この裏づけがあれば積極的に問題の解明ができるということになるのですが、漁場転換に対する具体案というものは、現在ではどの程度まで進んでいるのですか。
  124. 西村健次郎

    ○西村説明員 底びきの漁場転換、これは、どこか他に有利な底びきがやれる漁場が十分あれば、おそらく問題もないし、底びきもこういうふうに沿岸からいびられるとそこに行くだろう。われわれとしては、そこはまさしく非常な悩みの種で、率直に申し上げまして、苦心を要するところであります。たとえば西カムの漁場というようなものにも試験操業をしておりまして、これも今までのところまだわかりませんけれども、そう期待はできない。まあ、私の方としては、今転換の漁場はどこへ具体的にどうだということにつきまして、まだ申し上げる段階ではございませんけれども、できるだけ早い機会にそれを発見し、そういう具体的な対策を立てて参りたい、そうしますことによって必然的にこういう問題は解決が早くなる、こういうふうに考えております。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 現段階ではまだ具体案というものはないんですね。具体案がないままで区域変更をやるということになれば、底びき業者の側から見れば、おれたちだけを一方的に犠牲にするのかということになる。これはやはり、無為無策というか、あまり感心したものではない。いつごろまでに対策というものが立てられるのか。
  126. 西村健次郎

    ○西村説明員 私ども、いつごろまでにということははっきり申し上げかねると思います。私どもとしては、そういう点につきましては、できるだけ早い機会にそういう何らか有効なる対策を発見していきたいと考えております。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣が見えましたので、農林大臣にお尋ねいたします。  今、北海道沿岸における底びき漁業の禁止区域拡大の問題について、水産庁の事務当局から作業の状態について中間的な報告を聞いておるわけです。それは、明日から当委員会北海道農林漁業関係の調査に出かけるので、当然これらの問題にも接触することになるので、今事務当局考え方というのを一応聞いたのですが、問題は、政治的にこれを見た場合に、今度の禁止区域拡大の問題は、これは基本的には沿岸漁業の保護とか振興、そういうことに重点を置いてこの問題を取り上げて農林省が作業を進めておるのかどうか、この点いかがですか。
  128. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 沿岸漁業と、それから中型の底びき漁業との調整をするという見地に立ちまして、今具体的な検討をしておりまして、この解決がひいて沿岸漁業の振興に寄与する、こう考えております。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、漁業政策上、禁止区域を拡大するということは、基本的には沿岸漁業の振興対策としてこれを進める、結果的にはこれは沿岸と底びきの漁業調整にもなる、そういう趣旨ですか。
  130. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 両者間の関係を調整するということが主目的でありまして、しかし、この解決によって沿岸の漁業の振興をはかる、こういうことになると考えております。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、それは事務当局の言っている言葉なんです。政治的に見た場合、日本の沿岸漁業を、凶漁、不漁続きのこんぱいした状態の中において、どうしたらすみやかに沿岸漁業の保護、振興をはかることができるか、金をかけないで一番早いやり方としては、この禁止区域の拡大ということに第一点が置かれるわけです。ですから、あくまでもこれは沿岸漁業を守り保護するということが出発点であって、さらにこれを具体的に実行に移す場合には、漁業調整上の問題として、底びきと沿岸の調整をはからなければならぬというところに帰着するのではないかと思います。あなたの言うように、政治的には底びきと沿岸の調整のためにこれをやるのだというようなことでは、これは積極的な施策にならないと思うのです。この点は非常に大事だと思うのですが、今後この問題の解決のために、出発点が全く違うと思うのです。ですから、この点は大臣からもう一度明らかにしてもらいたいと思います。
  132. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 両者間の漁業の調整をするということは、非常に当面の重要な課題になっておりますので、それを調整するということが今回の建前だと思うのです。しょせんこれは沿岸漁業の人々に対する振興策に帰着する、こういうふうに相なろうと思うのであります。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 その点がだいぶ違うのじゃないか。消極的と積極的とか、よろめいておるとかおらぬとかいうくらいの差になるので、もっと率直に、沿岸漁民を守るために、沿岸漁業の保護とか振興のために底びきの禁止区域を拡大しななければならぬのだということを明確にして、そうして、一方においては、その影響を受けるところの底びきとの間における調整を講じながら、この問題の解決に当るということでなければならないのじゃないか。最初から紛争の処理ということになれば、紛争が激化しておるところだけにそこに割り込んでいって、そうして両者の言い分を聞いて、大体まあまあということでおさめるということになりますと、基本的に貫くものがないのじゃないか。これは自民党の政策上から言っても遺憾にたえないと思います。
  134. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 両者間の利害がここにいろいろな撞着を来たす、この関係を調整するということが今注目的になっておるのですから、それを、片方を重しとし、片方を軽んずる、こういうことではないと思います。そこで、両者間を調整をして、これが沿岸漁業の振興にも寄与するようにするというのが今回の建前であろうと私は考えております。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、底びきと沿岸の立場を全く同列な立場に置いてこの問題の解決をはかるということになれば、これは沿岸漁業の根本的な振興策の一環とはならぬと思います。だから、どっちに重きを置くかということがやはり大事なんです。両者が全く利害が五分五分だということだけを頭に入れて考えれば、これは積極的な解決にはならない。ですから、常に言う通り、この沿岸漁業の振興という建前から出発した場合、まず禁止区域を拡大して、そうして今日の困窮している沿岸漁民に少しでも生活の場を拡大してやるということから、進んで、その悪影響を受ける底びき業者に対しては、漁場転換等、あるいは国の積極的配慮というものを結果的にどうしてやる、こういうことでなければいけないと思うのです。最初からもう沿岸漁業を底びきと同列に置いて、これは沿岸だけを特に重く考えるわけにはいかぬというようなことになると、当然これは沿岸振興の問題でなく、あくまで紛争処理ということで、足して二で割るということになる。
  136. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 芳賀委員のお考えでございますと、片方を重しとする、こういうふうなことにわれわれとしては受け取らざるを得ないのでありますが、漁業調整問題は、そうじゃなくて、両者間をよく公正に見て今日一つの方途を見出すというのが漁業調整の眼目だろうと思います。従って、ただ一つの目的、一つの意図をもってこれを扱うということは、扱い上も必ずしも適当であるとは思いません。従いまして、両者間の事情をよく見て、そうして、拡大すべき点があれば拡大し、そうして、やがてそれが沿岸漁業の方面に寄与するということになりますならばそれに帰着点を求める、こういうことに相なろうと思っております。
  137. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで底びき底びきというけれども、これは大体隻数にして二百七十隻、沿岸で食うに困っている漁民は十万、こういうことなんですから、このけじめをよくつけて、どっちでも同じなんだという考え方だけに立つと、やはりこれは相当問題があると思うのです。しかし、それがあなたの党の漁業政策の本質であるということになれば、それでもわかるのですよ。だから、その点を明確にしなければいけないのです。口先だけで沿岸漁民を守るとか零細漁民を守るとか言っても、実際はそうでないのです。いろいろと、酪農問題にしても、漁業問題にしても、みんなそうじゃないですか。だから、その点がふためになるといけませんから、老婆心ながら聞いておるのです。あくまでも沿岸と底びきを対等の立場に置かなければこの問題の処理ができないというのであれば、もう一度その点を明確にしてもらいたい。
  138. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 あらかじめ、いずれを重しとし、いずれを軽しとして見ることは、この場合不適当だと思います。平等の立場について各般の事項を参酌して、そして漁業調整の結論を得るということで進むべきであろうと思いまして、この見地でもって現地の北海道庁その他の意見も十分聞いてやっていることでございまして、われわれとしましては、事前に予断をもって、いずれを重しとし、いずれを軽しとするという扱いは、かえってこの際の漁業調整の本旨からはずれると思っておりますから、どこまでも公正な立場でさように決定したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に、これはあくまでも両者間の紛争処理ということですね。その点だけ。
  140. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 ここに利害の衝突があると私は思っている。そうすると、やはり私たちの申し上げました通り立場で処理し、そしてそこに公正な事情に適する一つの結論を見出すということが漁業調整の根本であろうと思いますから、今まで申し上げた通りであります。
  141. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、大臣、紛争はどういうために起きているか。大臣の権限によって禁止区域は明確に守られておらなければならぬ。法治国家においては当然守られておるとわれわれは考える。そして、お互いにラインを守れば、そういう紛争が起きておるとか激化しておるとか、その紛争処理だけのために漁業調整をやらなければならぬということにはならぬと思う。どっちの方で紛争を起したり、そういう事態が激化したのか。
  142. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 これは、申すまでもなく、海域に対する利害の衝突、各種の主張が違う、こういうことでございまして、この海域をどうきめるかということが大切だと思うのでございまして、われわれとしましては、沿岸漁業の方の利益も十分考え、かつまた、従来持っております底びき関係事情も考慮した上に、海域の変更等を確立しなければならぬ、こう考えるわけでございまして、禁止区域を拡大するということによって、沿岸漁業の方も保護するし、同時にまた、片方の方につきましても、従来のいろんな事情をも見てやらなければいかぬ、こういう立場でございます。
  143. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないのです。紛争を処理するとなれば、その紛争なるものはどういう形で紛争が生じておるか、それがまた調整しなければならぬほど激化しておるかということなんです。すでに大臣の権限で禁止区域を設けてあるでしょう。ですから、底びきはここから中へ入れないのですよ。入らなければ紛争は起きないんじゃないですか。禁止区域の中にさらに入り込んできて、沿岸漁民の生活権を脅かしたり、漁網を損傷したりするような、そういう不法行為が繰り返されるからして、こういうことでは、取締りが手ぬるいとか、その区域が守られていないじゃないかということであって、侵略——侵略と言っては変ですけれども、区域内に入り込んで乱獲したり、漁網に損耗を与えておるという不法な底びきの行為、これに対する沿岸側の抗議とか、政府に対する適正な取締りの要望というのがあると思うのです。何も沿岸がそこから出ていって紛争を起すなんという事態は絶対に起きないと思いますが、いかがですか。沿岸漁業がここから出てならぬという禁止区域はないのです。ですから、どういう形で紛争が起きているかということなんですよ。一方的な紛争の原因だけを取り上げてこの調整をしなければならぬということは、これは取締りが行われていないということにしかならない。だから、紛争処理、重点だということは全く当を得ないと思うのですが、どうですか。
  144. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 紛争処理と漁業調整とは、区別して考えなければいかぬと思うのです。そこで、今御指摘になったのは、これは取締りの問題であって、今度の禁止区域の拡大は各漁業種の海域の問題です。そこで、その海域は、いずれの海域をどう増減するかということが、おのおの利害が出てきますから、こいつを今度漁業上の調整をしようということで、取締りのその問題とはおのずから別個に考えなければならぬ。従いまして、海域の禁止区域等に侵犯するとか、あるいは漁業上他に不法行為をするということでございますならば、これは取締りの問題でございますから、その面でこれは是正しなければなりません。今回の問題は、漁業をする海域の変更に関する問題でございますから、両者の間を十分に見て、公正な立場決定するということは、至当、当然のことと考えておるわけであります。
  145. 芳賀貢

    芳賀委員 それであれば話はわかるのですが、どうして最初にそう言わないのです。紛争の処理、相剋摩擦を処理するために今回の挙に出たということを、繰り返し繰り返しあなたは言っているじゃないですか。今ごろになって、それはそうじゃないと言う。今までの紛争は、いわゆる一方的な不法行為に対する当局の取締りが行われていなかった、あるいは手ぬるかったというところに問題があって、紛争がなかったということになれば、今度のは、純然なる沿岸漁業の利益を守るという問題と、これに伴なってその禁止区域の底びきと沿岸の両漁業間における調整をはかるということで今やっているんじゃないですか。
  146. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 先ほどお尋ねの趣旨は、沿岸漁業を重しとして、これを保護することが前提であるかどうかということでございますから、漁業調整の問題は、両者の間を公正に、かつ中正的にこれを見ていくということが漁業調整の本義だ、その線に沿うてわれわれの方はこの際の漁業調整を見ていくということでありまして、あなたがおっしゃったような、今の漁業取締りの問題とは別個であるということは、もう瞭然だと思うのでございます。先ほどのお尋ねは、漁業調整の場合に沿岸漁業を保護するという趣旨でもってやるべきだというふうなお話があって、従って、私は片方だけを重しとし、片方を軽しとするということで漁業調整は計らいかねる、こう申したのでございまして、私は、おのずから取締りの問題とは別にお答えしておる、こう思っております。
  147. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣、あとで速記録を読めば、あなたの発言が首尾一貫していないということがわかるのですが、これは取締りの問題でもあるのですよ。取締り規則に基いて、禁止区域の拡大をやるとかやらぬとかいうことになるんですね。取締りの問題と違うというのではないのですよ。禁止区域を設け、あるいは区域の変更をやるということになれば、完全になる漁業調整の問題だけということじゃなく、取締りの問題も当然出てくる。そういうことをやっておきながら、取締りをやっていなかったというところに、一方的な紛争が起り、侵略行為が繰り返されたということになる。     〔石田(宥)委員長代理退席、吉川(久)委員長代理着席〕
  148. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 それは、界線を変えますと、当然取締りの対象は変ってきます。それに対する変動のありますことは申すまでもなく当然であります。それがあるからといって、漁業調整の問題と同時に出てきた界線の決定、同時にこれに伴う不法行為等の問題は、おのずから別に理解するものである、こう考えておるわけであります。
  149. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことで大臣が問題をのみ込んでおるということにはなるまいと思う。何ぼ声を大にしても、とにかく基本的な態度が全然明確になっていないんですから。ですから、この問題は、今後各海区ごとに禁止区域を変更するという場合においても、未解決の問題がずっと出てくると思う。ですから、当委員会では前回決議までも行なって、沿岸漁業を擁護するために一日もすみやかに禁止区域の拡大をしなければいけない、それによってこうむる底びき側に対する影響については、これは当然配慮してやる必要があるということで、国会意思はきまっているのですから、国会意思を尊重するということであれば、西村次長もその線は忘れておらぬということであるので、もう一度当委員会における決議を熟読翫味されて、間違いのない処理をしてもらいたい。  私はこの程度にとどめます。
  150. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 一言申し上げておきますが、こちらの委員会意思というものは尊重します。ただ、芳賀君の主観的な意向でもって押しつけられても了承いたしかねますから、このことは一言申し上げておきます。
  151. 赤路友藏

    赤路委員 関連して……。  先ほどお聞きしていますと、西村次長の御答弁の中に、底びきの方の転換については何かまだ見通しがないということであります。事務当局として、これを転換さすということになりますと、西カム側にいたしましても、アリューシャン側にいたしましても相当な調査を必要とするだろうし、また、調査をして漁場の状態等が十分わからなければむやみに転換させないという御配慮もわかります。しかしながら、先ほど来芳賀君がるる述べておりますが、今日のこういう条件下においては、配慮も必要であるが、もう一段高度なところから、単なる事務的配慮ということでなしに、政治的な配慮をこの際必要とするのじゃないか。そのことが先ほど来言っておりまする調整をよりすみやかにする私はゆえんだと思う。事務当局考え方としてはそうしたなお不明なもので危険は冒せないということはよくわかりますが、現在の情勢からいけば、むしろ、私は、この際底びきに対してはかくかくの意図を有するんだということくらいは当然政治的配慮として発表さるべきだと思うのですが、その点どういうふうにお考えになっておるか、一点だけお聞きしておきたいと思います。
  152. 西村健次郎

    ○西村説明員 赤路委員から先ほどの私の答弁関連しまして御質問がありました。非常に御親切な御質疑だと思うのでございます。ただ、政治的な配慮からものを申しましても、具体的な裏づけを伴わない単なる腹約束ではやはりいかぬということでわれわれは悩んでおるということを率直に申し上げたわけであります。私どもとしまして、ここで無責任な単なる放言は幾らでもできますけれども、それじゃ済まない。従って、その点は苦慮しているということを申し上げたわけであります。なお私どもとしまして十分真剣にこの問題は取り組んで参りたい。そうすることによって問題の解決が別の面からおのずから早くなる、これは皆様御承知通りであります。そういう努力をしていきたい、こう思っております。
  153. 赤路友藏

    赤路委員 今の話はよくわからぬ。こういうふうに理解していいですか。底びきの他の漁場への転換ということは当然考慮の中に入れておるのだ、こういうふうに考えていいですか。
  154. 西村健次郎

    ○西村説明員 赤路委員の、当然考慮に入っているという言葉は、非常にニュアンスがありまして、これは非常にデリケートだと思います。私どもは、先ほどから申し上げた通り、そういうことも考えずには漁場の調整はやらない、そういう意味では当然考慮に入っております。しかし、どうせどこかに出してしまうのだ、そういう意味では入っていない。さよう御了承願いたいと思います。     —————————————
  155. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 酪農に関する件について質疑を続行いたします。足鹿覺君。
  156. 足鹿覺

    足鹿委員 午前中中断しておりますので、引き続きお尋ねいたしますが、牛乳の消費促進対策の問題につきましては、学校給食の問題、集団飲用の問題、酪農すなわち生産農家の自家消費あるいはそれに準ずるものといったようなことが、大体大きな筋として考えられると思うのであります。現在この三つの問題についてそれぞれの措置は講ぜられておりますが、私午前中にも申しましたように、学校給食を九月以降全県的に実施するために、それに必要な準備態勢を進められる御意図はありますか。その点からまずお尋ねをいたしたいと思います。
  157. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 九月以降できるだけ早い機会に文部当局と実際的な打ち合せをいたしまして実施して参りたい、かように考えております。
  158. 足鹿覺

    足鹿委員 少くとも九月以降全県的にやるということでありますので、ぜひその点を強力に推し進めてもらいたいと思います。  そこで、学校給食の問題に関連をし、先日来もしばしば問題になっております。アメリカから輸入される脱脂紛乳の取扱いをいたしております学校給食会の問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。学校給食会なるものの資料は本日いただきましたが、きわめてお粗末な資料でありまして、これではわれわれ判断をすることができませんが、学校給食会の監督指導の責任者はだれでありますか。
  159. 清水康平

    ○清水説明員 お答え申し上げます。学校給食会は、御承知と思いますが、昭和三十年に学校給食会法という法律に基きまして設立せられました特殊法人でございます。その役員は文部大臣が任命いたしておりまして、この主管、監督といたしましては文部大臣ということになっております。その他乳製品につきましては農林省との関係も深いのでございますが、農林省とも連絡の上、学校給食会を監督いたしておる次第であります。これは東京にございます。
  160. 足鹿覺

    足鹿委員 その監督指導の実務担当者はだれでありますか。
  161. 清水康平

    ○清水説明員 今年の四月までは文部省の監理局に給食課がございましたが、これも御承知のごとく、体育局が去る五月からできまして、体育局長の下に給食課という課がございます。そこでもって学校給食に関する事務をやっておる次第でございます。
  162. 足鹿覺

    足鹿委員 それでは、体育局長はまだ新しいからお尋ねするのは無理とは思いますが、従来から経緯ぐらいは調べておられると思いますからお尋ねを申し上げますが、いただきましたこの資料についてまずお尋ねをいたしたい。  この前年度の決算報告書によりますと、業務経理と物資経理の二つに分れておりますが、これは業務勘定と物資あっせん勘定というふうな趣旨であろうと思うのです。この経理様式は、ちょっとわれわれ見たことのない、なかなかおもしろい経理がしてあるようでありますが、この第一表の役員名簿、事業内容、三十二年度予算決算の点で、理事長一名、常務理事二名、理事三名、常務監事となっておりますが、常務役員はだれとだれですか。
  163. 清水康平

    ○清水説明員 常務役員は、理事長が生悦住氏、常務理事といたしましては大野氏、もう一人常務理事がございまして佐藤氏、それから常任監事として井上氏がこれに当っておられます。
  164. 足鹿覺

    足鹿委員 これは中央だけで、地方にも出先の役員が常駐しておるということはあるのですか。
  165. 清水康平

    ○清水説明員 御承知と思いますが、地方に何々県学校給食会というものがございます。これは大部分が財団法人になっており、その会長あるいは理事長は大部分教育長あるいは主管課長が兼務しておるところがございますが、昨今は独立してできている傾向がございます。数県まだ財団法人になっていないところがあるようでございます。これは地方法人でございますので、御承知のごとく地方の知事がそれぞれ認可してできておる財団法人でございます。物資関係で申しますと、たとえば、国内産、国外産は別といたしまして、脱脂粉乳をわれわれが特殊法人である東京にあります日本給食会に指示いたします。そこから、需要供給をとりまして、中央の日本給食会とは独立した、各県にあります何々県給食会にこれを送るように指示いたしまして、その何々県給食会が直接学校に送るわけでございます。他方、文部省は、何々県教育委員会に移牒いたしまして、両方から参るというふうになっておるわけでございます。
  166. 足鹿覺

    足鹿委員 今聞きますと、理事長と常務理事一名と常任監事が中央の常勤役員であって、地方の出先役員はない、地方の都道府県の機関はそれぞれ独立した機関であるということであります。この決算報告書の業務勘定書を見ますと、役員給与が四百八万八百二十八円当初予算に組まれておりまして、決算額もややこれと同じ、——変更予算が行われておりますから、決算額において四百万八千百五十八円ということになっておる。そうしますと、非常な高給をこの三人がはんでおりまして、あとの常務理事とか理事とか監事とかいうものはきわめて少額のものを受け取っておられるかと大体想像されます。一方、職員給与を見ますと、これとほとんで百万円ばかりの差の五百九十七万八千七百五円という、役員の報酬に比べますときわめて少いものが計上されておる。職員は何人おって、どういう担当に分れておるのでありますか。  なお、たとえば、事業内容として、学校給食用物資買い入れ、売り渡し、学校給食の普及充実に関する業務、水産カン詰、乳製品等のあっせん等となっておりますが、この勘定書を見ますと、ほとんど脱脂粉乳に中心が置かれておりまして、あとに学校給食の普及充実に関する業務というふうに麗々しくうたってありますが、この両勘定書を見ましても、どこにもそれらしいものは一つもありません。一体何をこの給食会というものはしておるのでありますか。私どもは、このようなあっせん行為をされるということはやむを得ないことであるとしまして、今さらこれをどうこうは感じませんが、学校給食の普及充実に関する業務というものが、このあっせん行為に並んでもっと活発に行われ、またその裏づけとして予算措置なり経理上の措置が講ぜられなければならぬと思いますが、どこに学校給食の普及充実に関する業務を裏づける予算費目がありますか。その決算の内容、計画の内容を具体的に御説明願いたいと思うのです。  私がこういうことを申し上げますのは、別にこの会をとやかくということではありませんが、従来からの審議の経過を見まして、何かなまミルクの使用に対してこの会は快く思っておらぬ。自分たちの業務分量がこれによって侵食を受け、従って利潤が少くなるという一つの意図を持って、陰に陽に生乳の普及奨励ということについてブレーキをかけるような疑いが多分にある。元来、この学校給食の普及充実ということは、粉乳だけを飲ませることではないはずです。それだったら、アメリカから輸入する脱脂粉乳の普及奨励と書きなさい。学校給食の普及奨励ということをいやしくも業務方法書に書いております以上は、そういう分け隔てをすべき筋合いのものじゃないじゃないですか。第一、この事業計画と予算内容とがあまりにも著しく開いておりまして、常識をもっては判断できません。あなた方はこういう監督指導をやっておられるのですか。文部省は一体何を監督指導してきたのですか、承わりたい。まず職員の数から……。
  167. 清水康平

    ○清水説明員 職員の数は十七人になっております。  それから、職務の組織を申し上げますと、理事長、常務理事のところに、事務当局として庶務課と業務課に分れております。そして、庶務課では、本来のゼネラル・アフェアースのほかに、業務経理と物資経理がございます。業務課の方は、物資買い入れに関する事務と物資配送、それから普及ということになっておるわけであります。  先ほどいろいろと御意見を拝聴いたしましたが、順序として申し上げたいと思いますのは、これは特殊法人でございまして、事務費の要るのは当然でございます。そういう意味合いにおいて、これはどうしても国でその事務費を見ませんと、多かれ少かれ、たとい僅少でも生徒児童に転嫁いたしますので、そういうことのないように、事務的経費として、昭和三十年には、ここにございますように、国の補助として一千五百四十六万二千円というものがございます。本年は一千六百万円でございましたが、その範囲内において——もちろんそれに伴う利息というようなものがございますが、その範囲内において人件費その他の事務費を出しているわけでございます。  それで、この業務の中で三つに分けまして、学校給食用物資、これは御承知と思いますが、学校給食用物資として乾燥脱脂ミルクを文部大臣が指定いたしておるわけでございます。それから、将来、学校給食物資として、乾燥脱脂ミルクのほかに、今後学校給食が拡充されればまた追加されることも考えられるわけでございますが、広く学校給食に用いる物資といたしまして、このほかに乳製品としては全脂粉乳でありますとかバターとかいうものがあるわけでございます。そういうものもここでやっているわけでございます。  それで、先ほどちょっとお話がございまして、日本学校給食会が脱脂粉乳オンリーでやって、牛乳とかいうようなものについては非常に反対な意見だということでございましたが、私の知る限りにおいては、そういうことはございません。今後学校給食の拡充に伴いまして、これこそ私の局の監督下でございますので、いろいろ御意見も拝聴して善処いたしたいと思っております。  それから、その次の、学校給食の普及充実に関する点、この点は、私どもといたしましてはより一そう発展させなければならぬと思いますが、大体、普及事業といたしましては、全国学校給食研究協議大会の開催でありますとか、それから、栄養管理講習会が地方で行われますときに講師を派遣するというようなこと、それから、学校給食方法の確保、あるいは学校給食講習会が地方で開催されるとき講師を派遣するとかいうことで、この点については今後大いに努力しなければならぬと思っております。  それで、最後にちょっと申し上げたいのでありますが、水産カン詰の問題、これは、水産庁の御協力によりしまして、これを学校給食の副食物の方へあっせんしておる次第でございます。
  168. 足鹿覺

    足鹿委員 この給食会は、今聞きますと、役員報酬が、三人でほとんど職員給与に匹敵するようなものを取る、頭でっかちの機構になっておりまして、業務方法書に盛られた普及充実に関する経費などは、いわゆる事務費の中の印刷製本費であるとか、あるいは旅費であるとか、あるいは諸謝金というようなものが六万円ばかりありますが、それは講師謝礼というようなものだろうと思うのですが、そういったほとんどあっせん行為に次ぐ重要な任務を果すに足るような予算措置なり決算に現われた実績がない、そう断定せざるを得ないのです。これは、戦後非常に食糧が不足しておったときにできた機構そのままで、現在のような新しい段階が来ておるにもかかわらず、指導の任に当っておる文部当局、またこれと密接な関係のある農林当局が、これに対するところの適切な指導を怠っておる一つの証拠であろうと思います。これに対しましては、学校給食になまミルク等を使うことにブレーキをかけるようなことはしておらないと言われる。それは体育局長としてはそうありたいと願われるのが当然でごさいましょうが、世間衆目の見るところ、その疑いが強いのです。そういうことがあってはならないと思うのです。新しい情勢の変化に即応して十二分に機能が発揮できるような措置を今後とられた方がよかろうと思う。これは文部大臣に所管大臣としてお尋ねいたさなければならないはずでありますが、国務大臣として関連の多い農林大臣からも伺いたい。  もっとしさいに検討いたしますと非常に問題があります。業務と物資両勘定で五千万円近い国の補助金が出ております。そして、決算の差引増においては、それよりずっと多い七千六百六十四万四千三百六十二円という膨大な利益金を出している。これは、この増減で見るか、あるいはこの決算額ということがよく私にはわからぬのですが、当初予算に対する決算なのか、この辺普通の簿記や経理の様式では見ることのできない妙ちきりんな記載がしてありまして、よく判断がつきません。いずれにしましても、これらをしさいに検討いたしますれば相当問題があることは歴然としている。あなた方、文部省として、そういう点については不得手でありましょうが、年何回監査をし、その監査の機関なり方法はどういうふうにおやりになっておるか。現在政府が、協同組合その他の団体に対し、特に農業団体等に対しまして、財務基準例を初め再建整備、あるいは整備促進と、ほとんど業務にワクを入れて、出資の増強をはかったり、あるいは、赤字の解消等については、国が若干の補助をしているという立場から、干渉に近い指導をやっておる。ところが、この程度のものがおくめんもなく国会に出されるところを見ますと、その経理内容たるや、われわれ推定がつきます。あえてこれ以上申し上げませんが、国の補助を五千万円ももらって、両勘定で七千万円も利益を上げる、こういう経理はないと思う。そうしておって、学校給食の普及充実に関する業務については、スズメの涙の決算じりを示している。どこから見ましても、これは納得ができません。これで本気に仕事をやっているか。悪く言えば、トンネル組合ではないか、トンネル団体ではないか。マージンを取るための一つのトンネル機関ではないかと疑われてもいたし方がないような面が多分にあると私は思うのです。この一事をもってしても、現在の学校給食が置かれている立場なり内容、問題の複雑さの想像が大体つくと思う。文部省は監督省としてもっと徹底的な監査を励行され、その結果、生乳の奨励問題を通じて疑惑を受けていることについて率直な反省をなされ、りっぱな業績をあげるよう指導せられる責任があるのではないかと思う。補助金が累年にわたってどの程度出ているのか知りませんが、当初の率はもっと多いでしょう。経理の常識から言って、そういう率になっているとわれわれは思います。  この問題で時間を費しておっては先へ進めませんから、これ以上申し上げませんが、この役員の構成、また経理の内容、事業の運営、いろいろな点について、関係省はもっと徹底した監査、指導の手を伸べ、そうして責任ある結果を当委員会にも機会を得て御報告願いたいと思います。そうして、真に設立の趣旨に合致したような活動を開始されんことを私は希望してやみません。その点について、三浦農林大臣なり、文部大臣にかわって文部当局の御所信を承わっておきたいと思います。
  169. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 今御指摘にありました通り農林省としましても、物資購入については三千百万円くらいの助成金を出しておる。これは乳製品等の助成金であります。なおそのほかに小麦を供給しております。これは御承知通り食管から低廉な価格でやっている。こういうような重要な業務上のなにがありますから、御趣旨の線に沿いまして、よく文部省とも打ち合せまして、経理の厳正な点、あるいはまた業務の遂行上につきましての御注意の点は十分改善いたしたいと思います。なおかつ、先ほど仰せになりました点は、関係局長もおいでになりますけれども、私からもよく文部大臣に伝達して、善処したい、こう考えております。
  170. 清水康平

    ○清水説明員 給食会の運営につきいろいろ御注意、御鞭撻を賜わりました。体育局といたしましては、経理の適正につきましては、いかに適正にしてもし過ぎることはございませんので、大いに督励、監督いたしたいと思っております。ただ、ちょっと参考までに申し上げたいと思うのでございますが、この決算書類は官庁簿記でなく複式簿記になっております。それで、私自身といたしまして御説明申し上げる点において非常に申しわけないのでありますが、その点もう少し勉強いたしまして監督をしなければならぬと思っております。ただ、その中に、先生のおっしゃいました三千万の補助云々ということがございましたが、これはいずれ三十三年度予算にも入ってくるかと思いますけれども、これは三十二年度の一月から三月の間の例の乳製品十万石の中の農林省の補助金がここへ追加されておると記憶いたしております。
  171. 足鹿覺

    足鹿委員 これは複式簿記だなんということは体育局長は言わぬがいいですよ。それはよろしいが、少ししっかりやりなさい。畜産局長も協同組合部長を長いことしておられたが、今のような答弁を政府委員がしてはだめです。よくお考えになったらよかろうと思います。  それはその程度にしておきまして、とにかく給食会が本来の機能を発揮するように万全の処置を講ぜられたい。これに対して農林大臣も文部大臣と協力して努力をするということでありますが、折を見まして、今おっしゃったようななまはんかな答弁ではなしに、ほんとにもっと権威のある、責任のある監査の実情、指導の実績等をあらためてまた伺いたいと思いますので、御準備を願いたいと思います。いいかげんなことをされますと、これはかえってわれわれは手を引っ込めませんよ。何べんもやりますよ。こういう経理書が出ておる以上……。  それから、第二に、集団飲用の問題でありますが、先日農林省は私どもに神奈川地区等を中心とする牛乳の集団飲用の事業場別の実績を出しておりますが、私ども別な方面から手に入れておるところによりますと、大体一万五千四百七十本、人員にして三万八千三百八十三人という、短時日の間に目ざましい集団飲用の普及が行われておりますが、これはだれがやったのでありますか。
  172. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 先般委員会の方に資料として提出いたしました資料は御存じの通りだと思います。この中で、学校関係、それから官公庁、会社の関係、それから地区生協、婦人会の関係、それから工場、事業場関係というふうに分けてございますが、これは、やり方なり、また、これをあっせんいたしまして推進いたしておる団体と申しますか、実需者と申しますか、それぞれ異なっております。京浜地区の特に神奈川県におきまして、工場地帯に対しましてこの働きが非常に伸びております。その担当をいたしてこれまでの経過が出ましたのは、いわゆる農業関係の、生産者の関係の団体が工場当局あるいは工場におきます労組等と提携をいたしまして推進をしておる。これが非常に大きな働きをしておると思います。その他のところにおきましては、それぞれの特色のある働きをしておるものがございます。
  173. 足鹿覺

    足鹿委員 聞くところによりますと、午前中の農林大臣の御答弁によりましても、予備費より支出して約九億円の経費をつぎ込むというようなお話でありまして、その内容について仄聞するところによりますと、集団飲用について、その促進主体として何か都道府県別にいろいろな立場の人を集めて、そして協議会のようなものを作る、一県平均五十万円くらいずつで作るというような話もわれわれ仄聞しておるのであります。今聞いておりますと、これは文部省がこの集団飲用をやったのでもない、農林省がやったのでもない、乳業メーカーがこれをやったのでもないということになりますと、農業団体なり農民団体が、ほんとうに学校給食の立場考え、また自分たちの酪農対策の一環としても考えて、そして労働団体や事業場の経営者の協力を求めて、これだけの実績をあげておる。だとするならば、やはり集団飲用、あるいは消費促進の中心になるものは、生産団体あるいはその生産団体と強い密接な関係を持つ農民団体等を中心にして進めていくことが私は妥当ではないかと思う。五十万円の金をかりに一県へ流してみても、またそこに一人の係員のようなものができて、そして今度はそれぞれの嘱託のようなものができ、会議を二、三回開くとそれでちょん、こういうことになろうかと思う。一億円の金をもっていたしますならば、一本一円の経費を補助するといたしましても、一億本の消費がこれは促進できるのです。そういう促進団体を作っていくことも悪くはございませんが、当面ここまで実績をあげその推進力となったものの創意や努力というものを無視してはならないと私は思うわけであります。特に、私どもの得た資料によりますと、森永であるとか、明治であるとかいうような大乳業メーカーは、ほとんど委託加工場としての機能を発揮しておらぬ。むしろ中小メーカーがこれに委託加工場としての協力をしておるように見受けられます。そういう点から見ましても、やはり生産者が本気になり、またこれに協力をする体制を整え、その機構を整備していくことも、私は一つの行き方ではないかと思う。現在あなた方がお考えになっておると仄聞をいたしますそういう構想一本で進められる所存でありますか。もう少し、私が今述べたような趣旨をも含めて進められる御意図はございませんか。これは集団飲用促進の普及奨励上の基本構想にもつながる問題でありますので、一つ答弁を願いたいと思います。
  174. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 私の考えは、生産者団体、すなわち酪農組合等を中心にし、同時に、今仰せになりました、これに協力する方面との組織的な活動を促進して参りたい、同時にまた、都道府県の関係を申し上げたのは、これと遊離してもいけませんから、それらのものを組織的のものとして、むしろ今足鹿委員の御指摘になったような方向で促進運動をして参りたい、こう考えておるわけであります。
  175. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣の御答弁を聞きまして一応了といたしますが、やはり、官庁には官庁の今までの慣例とか長い間のやり方がありまして、一朝一夕にはお変えになることはできないと思いますが、今までの惰性やその他のものにこだわらないで、ほんとうに真摯な、創意を加えた態度でもってこの機構を作り、そしてこの推進をして目的を達成されることが肝心だと思います。十分この点については御留意を要望いたしておきますが、労働組合が生産酪農組合と直結をするということについて、表現として労農提携というようなことを農民団体では言っておる。これはまあ言い方を変えるならば生産者と消費者が直結をするという思想であって、一つの表現の上においては労農提携という言葉を使ったりいろいろなことを言うが、要は生産者と消費者をどう合理的に結んで効果を発揮するかということにほかならない。ですから、労働組合と生産団体、労農提携でいくのだというようなことを言うと、伝え聞くところによると、それはどうも不穏当だとか、どうもそういうことは政府としては困るとかいうようなことを漏らした人があるやに聞いておりますが、そういう古い思想ではこの酪農危機を突破することは私はできぬと思うのですよ。笑っておるけれども、谷垣さん、ほんとうです。そういう点は、もっと新しい思想をもって部下を督励して、そして生産者と消費者をなるべく直結をしていく。これは大乳業メーカーその他からの抵抗もあるでしょう。しかし、時代の趨勢はそこにあることは間違いないのでありまして、その点についてはこの際勇断をふるわれたいと思います。合点をしておられますが、そういうことでほんとうにやってもらえますか。
  176. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 先ほど大臣から御答弁した通りでございますが、この運動は今までやって参りまして、相当に創意工夫とそれから熱心な推心力というものが必要に感じております。従いまして、御指摘のありますような生産者の団体あるいは消費者の団体、これらのものがこの運動に対しましてそれぞれ熱心に働いておられるわけでありまして、そういう創意工夫を十分に今後ともに活動さしてもらう、活動していただけるという立場でこの運動を推進して参りたいと思います。ただ、県の方にすでにこういう消費拡大の協議会というものを作って推進しろという通達を私たちの方から出しております。これはやはり、地方々々におきまして、動きを何も官製化するという意味ではございませんので、やはり地方の実情に応じて動くのに当りましても、行政をやっております地方の官庁がほんとうに腹をきめましてやっていく、もちろん民間のそういう諸君の創意工夫を十分に働かしてやっていく、こういう趣旨でございまして、地方で協議会を作りましてやれといっておりますのは、決してそれを官製化するとかそういう意味ではございません。中央におきましてはやはりそれぞれの動きをいたしております団体なりがございます。これは、それを一本に集めてそれで運動が推進されるという筋のものとは必ずしも考えておりません。それぞれの特徴を生かして動いていただく、こういう形でこの運動を推進して参りたい、かように考えておる次第であります。
  177. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣並びに実務担当者としての谷垣さんからの御答弁がありましたから、われわれはそれを一応信じて静観していたいと思いますが、とにかく生産者団体を重視をしていくというこの考え方は貫いてほしいと思います。またそれに必要な措置も十分講じていただきたいと思います。そこで、消費促進の第三点として、小さいようなことではありますが、酪農をやっている生産農家自体の消費、またはそれに準ずる消費の拡大ということがあると思うのです。地方に行きますと、いなかのことでありますから、都会から低温殺菌で消毒したものはなかなか入らぬ。そうすると、酪農をやっておるまだ幼稚な地帯では、牛を飼っておる者が乳をそこで処理をいたしまして、そうして安全にして自分のところでも飲むし、また近所の者にも便宜飲ませるということは、これはあなた方の立場から言えばあるいは法令違反かもしらぬ。しかし、これは実際であって、人民の生活を一から十までこまかい日常の消費の面にまですべて法律によって規制をしていくということは、今の経済組織では行き過ぎでもありますし、できることでもない。弊害がなければ、やはりある程度消費促進の立場からながめてこれは善処すべき筋合いのものだと思う。ところが、ちょいちょい話を聞くのでありますが、あそこから分けてもらったというと、だれかが聞いて、それはけしからぬじゃないか、それは違反だと言うので、ずっとその方面に配ってあったものを翌日からストップしてしまうというような事態は全国各地にあります。こういうことは、低温殺菌と高温殺菌の問題もからんでおりまして、非常に問題がデリケートでありまして、私はここであえてこれ以上申し上げたいとは思いませんが、農家が自分で飲み、また自分で飲むと同様な立場における自家消費に準ずるような面は、相当おおらかな気持でながめ、もっとそれをいい方向へ指導していくということが必要ではないかと私は思う。酪農自体も、一合の乳も残りなく乳業メーカーに売るという趣旨のものではないと思う。それを畜産にも使い、自分たちのうちの飲用にも使って、栄養の改善にもなり、副食物や主食の節減にもこれを転ずるという、この面がやはり酪農本来のあり方でもあろうかと思いますが、そういう点について、何でもかんでも作った乳は正規の規格に乗せて出せという指導方針であるやに伺いますが、これは酪農の本来の面から見て少し逸脱した指導ではないかと私は思うのであります。そういう点について、自家消費並びにこれに準ずる消費については、私が今述べたような趣旨について、大臣なり実務担当者としてはどういうふうにお考えになっておりますか、この機会に一つこの委員会を通じてあなた方の所信を明らかにしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  178. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 酪農の日本におきまする歴史的な発展経過というものが、村の農家の経営の中に入りますよりは、都市周辺のいわゆる搾乳業者的な形から入りましたような関係、あるいは何と申しますか、一種の宗教的な一つの伝統、あるいは食生活の慣習というようなもの、さらに、あるいは農家の貧しさが来ますところの、換金できるものはできるだけ換金するというようなことがあろうかと思いますが、とにもかくにも、ミルクを主食とするという形において酪農をやっていく、そうしてその残りのものを商品にするという形ではない、違う形で酪農の現在までの行き方が来がちであったということは、残念ながら私たちは認めているわけであります。もちろん、これにはそれぞれの理由があったことと思いますが、やはり、酪農をいたしておりまする農家は、自分のところで生産されたものを十分に自家用として使って参っているということが最も望ましい形であろうと思います。従いまして、これは、そのことが農家の生活改善のために、さらに市乳の品質そのもの、乳質そのものの改善をいたします場合にも非常に重要な点であろうと思いますので、酪農家の自家飲用は力強くこれを進めて参りたい、かように考えておる次第であります。  なお、御指摘がございました、それならば農村におきまする酪農家の自家飲用以外のミルクの使用、これも非常に重要な問題であるかと存じます。これは、私たちとしましては、どんどん奨励して参りたい、かように考えております。ただ、現在の法規の運営その他におきまして問題点が若干あるということも聞いておりますが、要は行政の運営の問題が相当重要な問題であろうかと思います。それらの点も勘案する必要は十分あろうかと思いますが、農家におきまする自家飲用、農家におきますミルクの使用の増加ということは非常に望ましいことと感じておりますので、そういう方面に対しまして奨励をして参りたい、かように考えております。
  179. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 足鹿委員に申し上げます。だいぶ時間が経過しておりますし、他の発言要求者がだいぶございますので、お含みの上でお願いいたします。
  180. 足鹿覺

    足鹿委員 了承いたしました。あと重要な点、一点だけ話しまして、いろいろありますが、他の委員にかわりたいと思います。  そこで、今までいろいろな質疑をいたしましたが、当面しておる具体的な問題についてもう一点だけお尋ねをしたいのですが、取引の公正化の問題につきまして、酪農法第三章第十九条以下この点に触れて規定が行われておりますが、実際におきましては、乳価そのもので切り下げてくる場合もメーカーはありますし、他のいろいろな抜け道なり、隠れた手段方法などによって、乳価値下げと等しいような実効をあげるような、きわめて陰質な、言葉を悪く言いますならば、悪質な行動も見受けられるようであります。たとえば受乳の制限なり拒否という事態は、もうすでに各地に起きております。これに対しましても取引の公正指導の衝に当っておられる農林省としても、もっともっと力を入れられなければならぬと思いますが、実際はそうではない。昨年の実績よりも八五%に落すとか、それも乳業メーカーに従順な地帯にはいい条件で購入するが、比較的抵抗したり骨っぽい指導者のおるところに対しては、報復的に受乳の量を制限をしたり、あるいは奨励金を打ち切るとか、あらゆる方法が行われておる。独占資本との戦いということになりますと、これはなかなか容易ならぬことでございますが、酪農の振興は、やはりこういう問題をいかに処理するかということに今後かかってあろうかと思うのです。また、そういう問題について、半封建的な体制を堅持しようという乳業メーカーが、長い目で見て成功するためしはないと私どもは思う。ですから、こういう点については、信念を持ってこの取引の公正について善処してもらいたいと思いますが、受乳の制限あるいは拒否、奨励金の打ち切り、脂肪検定を通じて乳質上の差別を行なって対価を下げる、いろいろなことが行われております。こういうことに対して、大臣も多分御存じだろうと思います。これらについても、酪農法ははっきりと規定しておりますし、あなたが指導の手を伸べられて相当強い決意で臨まれるならばある程度の成果を期待できるにもかかわらず、全く野放し状態に等しいような、局部的ではあると思いますが事態があることは、遺憾にたえません。こういう点に対してどう対処される御所存でありますか。たとえば、午前中冒頭に私は植垣会長の談話を引用いたしましたが、きょう私は小売業者の意見も聞いてみた。ところが、とにかく、自分たちは、ホモジナイズしたもの、あるいはしないもので若干の差はあるが、乳業メーカーからは九円五十銭前後でもらっている、そうして、これを、一日千本とかあるいは五百本とかの大量集団飲用のところには、わずか一円の利益でもって、十円五十銭程度で工場には入れておる、サービスをしておるという。要するに、はだし同様の、商戦が激しい関係もあるし、生存競争が著しいためにそうなるでしょうが、事実は、今度の一円の市乳の販売価格引き下げをめぐって、これら乳業メーカーは卸売価格を事実上につやをつけてこようという動きもあるように言っております。そういたしますと、生産者はたたき、今度は末端の小売業者に対しましても一円のしわをさらにまたこれに寄せていく、そうしてまん中にある乳業資本だけがきぜんとしてその独占利潤をほしいままにするという態度は、われわれは見のがすことができないと思うのです。そういうことを解決せずして何を一体解決するのか、私はそう言いたいのであります。そういう点について、もっとあなた方が確信を持って、少くとも法が規定しておる取引の公正化に対して断固たる態度を示されない限り、臨時国会をもって若干の酪振法の改正を行うという程度では所期の目的は達成できないと私は思う。緊急対策はもちろんのこと、恒久対策に至っても大体想定がつこうと思う。あなた方が生産者と独占資本との間に立って苦悩しておられるその事実は、われわれはわからぬではございませんが、その問題を解決せずして日本の酪農振興ということはあり得ない。ですから、結論的に申しまして、いわゆる取引の公正化の問題が一応結論として出てくると思いますし、また、生産コストの問題については、草地改良であるとか、あるいは濃厚飼料中の購買飼料の値段をもっと下げるための飼料需給安定法に対する態度であるとか、いろいろの問題があろうと思う。現に、生産牛乳のコストを下げていくためのいわゆる自給飼料資源の保護改良、あるいは濃厚飼料の販売価格の引き下げに対しては、飼料需給安定法はその機能を失っており、ほとんどその機能を十二分に発揮しておりませんことは酪振法と同様であります。酪振法についてあなた方が改正を考えられる以上、飼料需給安定法についても当然改正されてしかるべきものと私は思う。そうして、取引の公正化をもっとさらに強力に推進されるいろいろな措置が累積し合って、ある程度の臨時的、恒久的な成果が期待できるのではないかと思いますが、ただいま述べました点について農林大臣の御所見を承わりまして、私の質疑はこの程度で終りたいと思います。
  181. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 今回のわれわれの最終のねらいどころは、今の取引の公正化を確立したい、こういう考えでございます。今足鹿委員の御指摘によりますと、現行法の運用さえろくにできておらぬということでございますが、これは農林当局としては深く反省しなければならぬと思います。私は十六年ぶりで来たのでございますが、かつての畜産局等の考え方も実は非常に反省すべき点があった、それが残っておったということを私は率直に認めざるを得ない。ですから、われわれとしましては、この際、生産面につきましても、取引の面につきましても、相当の進歩を見出したいというのが念願でございまして、取引の公正化の問題、さらにまた飼料需給安定法等をさらに生き生きと活用するという点、これを総合的に検討しまして具体的なものに持っていきたい、こういう信念でございます。どうぞその点を御了承いただきたいと思います。
  182. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 中澤茂一君。
  183. 中澤茂一

    ○中澤委員 農林大臣にお伺いしますが、けさほど佐藤委員農林大臣決議要綱について質問しましたが、これは大体やった、こういう御答弁もあったわけですが、私は、大体も何もやっていないと見ておるのであります。そこで、お伺いしたいことは、谷垣局長はさっき省略いたしましたが、二本おまけの経過というものは一体どういうものであるか、しかも、あの経過を新聞面で見ていると、どうも一時大臣はのんだ形勢がある。そして、そののんだのを、閣議でそんなばかなことがあるかということで、またこう居直ったという。これは新聞面ですから真相はわかりませんが、一体、二本おまけをつけるということによってどういう消費増大を考えておるのか、あるいは値下げ一円に対してどういう関連をお考えになったのか、こういう経過を一応、大臣なり、谷垣さんでもけっこうですから、お話し願いたい。
  184. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 私の態度についていろいろ御批判がありましたが、これは御自由でございます。  経過を私から申し上げますと、われわれの方としては、実質的に、名目的でもいいから、はっきりした一円なら一円ということを要請したのでございます。ところが、向うでも——これはいろいろ折衝の過程でございますが、ある程度までその案は向う側つまり乳業者側でもこれはやむを得ないということで了承しかかったと私は思っているのです。私もそうすべての話をうのみにするわけじゃありません。ところが、御承知通り非常に複雑な形態でございますから、その間にいろいろ折衝の過程で、それをわれわれにある程度までアプローチしたものをすぐに実現できなかったという実情もあったと思うのです。そうしまして、代案としてあの問題が出てきた。つまり、実質的な値下げということでこの際処理してほしい、こういうことでございます。ところが、ここに問題になりましたのは、卸の方から小売に、三十本に対して二本、七%の値下げを実際に向うは決意したということも事実なんです。三十対二ということですから、これは約七%。そうしますと、今標準のなには十四円程度ですから、九・八になるし、それから、十五円にしますとこれは一〇・五、こうなりますからほぼ大体七%の値下げは当時われわれに対する折衝の過程では決意したのです。今言った通り、業界との話になりまして、なかなか複雑な様相でありますし、業界の態様も非常に複雑である。そこで、この話がなかなかできない、こういうことで、代案としてそれを持ってきた。こういうことでございます。率直に言いますと、畜産局長も、これ以上は突破できない、こういう事情にあったと私は察しましたものですから、次の提案をして、これは当面の暫定的措置としてはある程度やむを得ないかもしれぬが、値下げはやめるわけに参らぬ、——のみならず、その折衝の過程におきましても九月からやりたい、こう言って来た。ところが、九月からやりたいという意味には、向うでは二つあるのです。われわれの方は八月からということで、九月からということにつきましては向うではなかなかこれは考えがありましょうけれどもわれわれとしては容認できない、八月中にこれはやってほしい、従って、かりにこの代案を検討するにしても値下げ問題は当局としてはこれは捨てるわけには参らぬ、追ってこの問題はやるぞ、こういう折衝の経過を続けつつあったのでございます。しかるところ、新聞等に出ましたものでございますから、率直に申し上げますとこれは御意見がありまして、そこで、われわれとしては終局的にこれを打ち切ったわけではありませんし、先ほど申し上げました通り、われわれとしましても、これはもう一度折衝の余地ありとして、先般来今度は次官等をわずらわして今折衝し交渉中のことでございます。  これはもう偽わらざる経過でございまして、その後の経過を見ましても、業界でも相当反省いたしていると見ております。同時にまた、きょうお読みになった記事等は必ずしも真相を伝えておらぬ、こう考えているわけでございまして、今後熱心にいろいろ折衝しますならば、ある程度の線は出て参る、こう思っているのでございます。
  185. 中澤茂一

    ○中澤委員 そこで、これは非常に重大な問題になってくるのです。市乳の一円値下げの問題と生産者の原乳値下げの問題というものは、計数的にここに明らかな数字が出てくると私は思います。それはどういうことかというと、現在六大都市としての消費市乳というものは、大体二十五万本限度出ているわけです。そうしますと、これを一円値下げすると、一日二十五万円、これは中小もあるでしょうし、五大乳業が中心ですが、二十五万円の三十日の一円値下げによる価格というものは、計算すればすぐに出るように、七百五十万円です。それだけ一円値下げによって利益が減少してくる。そこで、一方、原乳の値下げにからんで、九月にいってもし五円という値下げを——これは六円のところもあるでしょうし、三円のところもあり、県によって違うでしょうが、平均五円と見た場合は、値下げ五円によって得るメーカー側の利益というものは、月間生産量の七十万石にかければ、三千五百万円というものが出るわけです。それで、三千五百万円というものを七十五で割ってみれば、明らかに四円六十六銭という数字が出てくるのです。そうすると、五円のもし原乳の値下げをした場合は、明らかに市乳は四円六十六銭値下げしてもいいという計数的な根拠が私はあると思います。これは、私、六大都市の市乳の二十五万本を計算したのですから、もし六大都市以外の値下げの問題にからんでくると、四円六十六銭という市乳値下げは農林省は固執できないと思うのです。これは全国的な平均数値を出してみなければ結論は出ないと思います。しかしながら、こういうような計数的な根拠がはっきりと出てくるのでありますから、やはり、原乳の値下げを容認するのじゃありません。絶対反対でありますが、生産費を割っている生産者原乳の値下げは反対であるが、しかし、値下げ分だけそっくり市乳の値下げへ回したとすれば、明らかにこういう数字が出てくるのです。そこで、ここで問題になってくるのは、業界としては滞貨ということが問題になってくる。業界の意見も一、二聞いてみましたが、現在滞貨の赤字をどうやって埋め合せるかということに必死なんです。これをどこでカバーしているかといえば、市乳とアイスクリームです。そこで、政府自体としてこの滞貨措置に対する具体的な方策を考えるならば、原乳値下げという段階にくれば、そっくり市乳値下げという問題に直結すると私は思うのです。だから、そういう点において、こういう計数がはっきり出てくるのですから、農林省としても、大臣としても、もう少し強気であってもいいのじゃないか、私はこう考えるのです。六大都市の一円値下げによる七百五十万円というものは、そう利益の中へ大きな穴をあけていかない。年間にして約八千万、しかも五大乳業と中小乳業で年間八千万の額というものはそう大きな欠損の理由にならないと私は思うのです。だから、そういう点について農林大臣はどうお考えになっておりますか。その一円値下げでわずか七百五十万利益が少くなることによって二本おまけになったという点について、どうお考えになっておりますか。
  186. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 ちょっと数字的な問題がございますので……。今の御指摘だと、六大都市で二十五万本という数字なんですが、これですと一日二百五十石ということになるかと思います。その程度のものではないのでございます。何かお間違いじゃないかと思います。
  187. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 計数は別にしまして、今後の考え方ですから私からお答えしますが、先ほども畜産局長から、過去において相当の生産乳価の買いたたきをした、それを一つ吐き出してほしい、こういうことも言うたわけです。それもやはりある。それから、同時に、今度滞貨を一掃して、全部は買いませんけれども、相当分を取ることによって、その経済的な負担を軽減します。これらを勘案しまして、われわれは、一円の値下げがあってもたえ得る、こういう観点に立ってこれを要請したわけでございます。決してその生産者からの買いたたきによってこれをカバーさせるという基本的な考えではございません。従って、今後といえども、今考えておりますように、従来蓄積したといいますけれども、いわば従来蓄積した点、また今後経済的負担を軽くしているという点、それを合せてこの際の措置としては値下げを断行してほしい、さらにまた、中小メーカーの方に対しましては、今度そのうちに酪農基金等もできますし、その合理化等についても力を尽してやる、こういうようなことで呼びかけたのでございまして、決してただ単に生産者の乳価をたたいてそれで下げさせるという考えではないことは御了解を得たいと思います。同時にまた、経過は経過としまして、やはりこの際は、一般消費者大衆の要望もありますし、現下の酪農の危機を突破する上におきましても、値下げ問題は重要なことでございますから、農林省あげてこの問題を合理的な解決に持っていきたい、こういう考え方でございますから、この点を御了承を賜わりたい、こう存じます。
  188. 中澤茂一

    ○中澤委員 あと蚕糸の問題がありますから、なるだけしぼりますが、先ほど足鹿委員から言われた検査の問題です。この前にも大臣に言ったように、これは九月の臨時国会までにどうしても一度滞貨検査をやって、その中でどれだけのものが一体学校給食に回せるか、どれだけのものが回せないか、たとえば国立療養所の結核療養者にこれは分けてやるとかなんとかいう滞貨検査というものをやらないと、恒久策が立たないと思うのです。臨時策にしてもです。そこで、先ほど足鹿委員は二十五条の問題を持ち出しましたが、二十五条の問題は、施行上の問題でこれは私も若干疑義があると思う。そこで、この前いろいろ検討した結果出たのが、統計法の第二条の指定調査の問題ですね。総理府長官の松野君にもわざわざここに来てもらって、速記録を調べてみてもわかりますが、松野君ははっきり、所管の農林大臣から要請があれば直ちに告示をいたします、直ちに告示をして、ただ実際の滞貨検査をだれがやるかといえば、これは人員と予算の都合があるから、これは総理府がやるか農林省の方でやってもらうかはそのときに考えましょう、こういうことを松野君はこの席上ではっきり言っておるのです。そこで、翌日大臣質問したところが、大臣は、ではさっそく議会ですか何かに諮って、松野君の方へも話をして、何とか方法を講じたい、こういう御答弁をなさった。どうしてもこれはやらなければとても対策は立たぬと私は思うのです。ただ業界の言うことだけ聞いていても、これはわからない。基礎的な数字というものを握って、しかる後に、学校給食にはどれだけのものが回せる、これだけは乳製品でしょってくれ、それからあとはなま乳で生産地帯で各県別にこれだけしょってくれ、こういう形が出ないと、文部省の方でかりにPR運動ばかりやっていたって、それは私はむだだと思う。そこで、これはお忙しいからまだ話し合いもできないかもしれませんが、どうです、至急おやりにならぬと、九月値下げという問題がまた出るという情勢にあるわけです。どうでしょうか。
  189. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 統計としての問題は、今御指摘になりましたが、その方面と二十五条が用意されておる。これは御議論があるようですが、それは別にしましても、この滞貨調査は至急させまして、そうして合理的な結論を得るようにしたい、こう考えております。それから、統計調査事務として施行するかどうかは、これも取り急ぎ畜産局に具体的に取り調べさせる、こういうふうにいたしたいと思います。
  190. 中澤茂一

    ○中澤委員 じゃ、検査権は九月の臨時国会までにはどういう形になるか。九月にはまたこの問題が火をふくと私は見ておる。この新聞は真相を伝えていないと大臣は言われるが、これはやはり業界の考え方をけさの日経は明らかに現わしておる。これは、今度の一円値下げはのもうじゃないか、そのかわり九月の値下げをここで条件づけてしまおうじゃないかという考え方が、これは農林省が了解したしないは第二の問題として、業界は明らかに、この新聞では、五円四十銭という数字をはじき出しているのです。だから、こういう面は、大臣責任であるとかどうとかという問題ではなくて、九月に問題が出てくると今から予測していなければならぬ。九月に問題が出てきた場合、どこをきめ手とするかといえば、これは、御承知のように、滞貨検査をして、これに対する処置方法というものを考える以外、私はきめ手はないと思うのです。だから、この検査権という問題は、今大臣も、至急やっているというから、とにかく九月の臨時国会までにはこれをやってもらいたい。これをやらぬ限りは、臨時国会になっても、これは根本対策は農林省も立たないし、どこも立たないと思うのです。  次に問題を移しますが、厚生省の環境衛生部長がおいでのようですが、この前のあなたの御答弁は満点で、末端へ行ってもあなたの言う通りみなやってくれれば問題はないのですが、これは長野の須坂という町の近郷に起った問題で、新聞に実は投書も出ていて、私も、そこの知っている方に電話をかけて、そういうことがあったのかといって聞いたのですが、隣の牛を飼っている家から毎日五合ずつもらってわかして飲んでいた、ところが、それに対して、そういうことをやるのは法律違反だといって文句が出て、どうも、県の方から出たのか、あるいは牛乳屋の獣医師が独自で言ったのかしらぬが、そんなことをやっちゃ違反だ、でかい問題になる、罰金を取られるぞということで、隣の家から五円で毎日五合ずつ買っていた牛乳をやめてしまった、こんな不合理な話はないというのが信毎の投書にも出ていたのです。それで、私は、投書に基いて、その村の知人に電話をかけて聞いてみたところが、いや、そういう事実はあるのだと言う。それは環境衛生部長の言うように末端まで徹底すればいいけれども、徹底していないのです。すべてがこういう調子なんです。だから、集団飲用にしても、農村の消費増大をはかろうとしても、やはり先ごろから私が申し上げておるところの、政令と規定の五つの条文が全部じゃましておるわけなんです。だから、これに対して、どうしてもお宅の方で特例なり何なりを考えて、政令でやらないというならば、九月の臨時国会では法律の一文へこれをつけ加えるよりほか仕方がないと思う。どうでしょうか、おやりになる意思があるのですかないのですか。
  191. 尾村偉久

    ○尾村説明員 先ほども足鹿委員からのお話がございました。ただいま中澤先生からもお話がございました消費増大のためのいろいろな便法でございますが、表向きは確かに、集乳業あるいは処理業、販売業という形で、非常に危険というよりも、非常にいい食品なるがゆえにばい菌が入りやすいというわけで、一般の食品よりは厳重な規制をして許可営業にする、さらにこれを監視しておりますが、逆に、消費増大並びにいい栄養品をそれぞれの食品として国民個々に用いさせる、これもほかの食品以上に重大なことでございますので、先ほどのお話にございましたように、自家消費という形でありますれば、これはもう一切規制はしない。従って、自家消費の範囲ということ、たとえば今のお話のありましたような隣の乳しぼり、いわゆる隣家、これは自家の親戚づき合いあるいは両隣という形でございますが、この範囲ならば、これはもう、生乳をそのままもらう、そうしてそれを自分のうちで沸かす、これはそこらじゅうにあることでありまして、他のものでも、トマトを分け合うというような範囲、この常識の範囲ならば、むしろ、政令を改正するという、すなわち乳処理業あるいは集乳業の特例を設けるという以前の問題でございます。これは全く今でも、個人で自分で作ったものを、雇人を入れますと五十人あっても、これは自分らで処理するものは何ら規制しておらぬわけでございますので、これで解決した方が——一々特別の認可を受けて、やり方は簡単にいたしましても、それがかえって事がめんどうになり不便になると存じますので、今のような範囲を明確にする、自家消費の範囲を明確にする、これの方がよりいいのではないか。これはまだ私見でございまして、十分検討いたしたいと思います。と申しますのは、今でも農村では共同炊事ということをやっているわけです。われわれの方も、他人に、すなわち自分の家族の責任下にない者の食事をするということは、これはもう他人に給食をするということになりまして、衛生上の責任単位が二分するので、食事というものはやかましく取り締っておりますが、現在でも部落単位の共同炊事というものは決して食品衛生法上の給食施設という形には取り扱っておりません。これはもう常識の範囲であります。これが、村単位になりまして、特別に人を雇い入れて、ちょうど飲食店と同じ形態になりますと、これはやはり消費協同組合のたとえば飲食店というような形で、これはどうしても衛生上監視が必要でございますので、許可をする。もちろんその場合には条件を緩和しておりますが、かような形でそこに一定の線があるというわけでございまして、やはりこれは自家消費の範囲ということの方がはるかにいい。ただ、その趣旨が徹底しないで、かような、常識を逸脱して、五合をわずか隣一軒に分けたのまでやるということは、確かに中央の意図——あるいはこれは中央ばかりでなくて県としても、そういう意図を持つ方がおかしいように思うのでありますが、こういうふうに、しゃくし定木に考えまして、曲げて考えて、厳重に飲まさぬようにしたというのは、これは絶対に相すまぬことでありますので、極力努力する。先週も、これの担当官を、各県の係長を集めまして、二日間さような意味を含めての研修会をやったわけでございます。そのときに、今のお話、気がついておれば、厳重に例示してやったのでございますが、これはさっそく今のようなことのないように全国に徹底したい、かように考えております。
  192. 中澤茂一

    ○中澤委員 それは私は小さい問題を取り上げたんだけれども、前から言っているように、学校給食の場合の根本的問題にからんでいるのですよ、この問題。これは小さい例ではこういう例も出ている。それで、集乳合戦をやっているところでは、明らかに、一つの既成地盤へ一つのものが集乳合戦をやって入っていった場合、今度はその会社の方で、こういう法律があるのをお前ら知らないのか、これを知らぬでやれば罰金だぞと言っておどかすというところが出てくるのですよ。だから、これは、まあ悪く言えば、われわれの考え方からいけば、悪用している。要するに、商戦の中で悪用している形が出ている例を申し上げておる。そこで、生産地における学校給食の場合は、やはりいろいろまだ末端ではやらないんですよ。やらないということは、やはり、大臣にも前にさんざん言ったんだけれども、設備の問題が一つと、それからこの問題がからんでいるからやらないんです。このごろ実は県下の酪農の会議があって、来てくれというので出てみた。ところが、やはり、どうもあれをやってくれないとこれは違反じゃないか、こういう意見が圧倒的にあるのだ。そこで、私はこういうことを言ってあるのです。かまわぬからやれ、責任は中澤茂一が持つ、とにかくやれ、そんなことはかまわぬ、だれでも文句を言って来たら、おれのところに全部持ってこい、私はしゃくにさわるからそこまで言った。幾らあなたに何回ここへ来てもらって言っても、これに対して何らかの処置をするということがはっきりとお宅の方できまらぬ限りは、臨時国会で法律改正をやって、集団飲用、学校給食の場合の除外例を作るという法律の一条をつけるより仕方がないと思う。そこまでやってはあなたのめんつがないだろうし、この際何とか踏み切って考えなければならぬ問題じゃないかと思う。  で、もうあなたの答弁は簡単でいいですが、これは農林大臣にも厚生大臣と至急お話し合いを願いたいということをこの前申し上げた。ところが、では至急衛生法の問題の話し合いをいたしましょうというように御答弁を得ておる。だから、農林大臣はその後お話し合いになったのかならないのですか。衛生法そのものに対する具体的なお話をなさったのかなさらないのか。あなたに政令や規定のこまかいお話を申し上げても無理だと思います。政治的にあなた方がトップ・レベルでお話し合いをして、それでは例外を作りましょうということで、文部大臣が命令をすればできることなんですが、どうでしょうか、その経過は。
  193. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 厚生大臣にこういう問題があるということはお話ししました。私は、あとの措置は、厚生大臣がどうしてくださったか聞いておりませんが、この問題はなお厚生大臣にもお話して、今の点がもっとはっきりするように私たちも期待しております。
  194. 尾村偉久

    ○尾村説明員 今の点は、農林大臣から厚生大臣お話があったことも伺っております。それで、先ほど申し上げたような考えでいけるかと思っておりましたが、さらにこれは省令等が主になるのであります。牛乳等の省令、これの保存あるいは殺菌の方法の部分であろうと思いますので、厚生省自体でも省令改正はできることでございますので、今までの二度出しました通牒の業務指令がやはり徹底しないということ、ますますお話がございましたので、この省令改正につきましては、内容は別といたしまして、今のような趣旨が達するように、至急これは検討いたしまして、善処いたしたい、かように考えております。
  195. 中澤茂一

    ○中澤委員 あなたが約束したから、今度やらなければ、二十日ごろ委員会をやりますから、そのときは厚生大臣に来てもらってやります。幾ら言ったって、こんなことを口をすっぱくして言ったって、いつでも答弁ばかりうまいことを言って、やりはしないのだから。  そこで、先ほど大臣がした報告の中で、生乳十万石、製品二十万石、こういうことをおっしゃいましたが、一体この生乳十万石分を文部省が学校給食に、回すという具体的な——これは大臣ではわからぬかもしらぬが、生乳を十万石回す場合に、今のような衛生法の問題がからんで、果して生乳十万石が出るかどうかといったら、私は大きな疑問を持っておるのです。衛生法の問題が疑問が解決しない限り、生乳十万石は絶対出ない。そこへ持ってきて、先ほど足鹿委員のついた学校給食会というガンの問題が出ておる。こういうものをあれやこれや総合勘案すると、生乳十万石は私は不可能であるという観測をしておる。大臣、どうでしょうか。
  196. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 ちょっと事務的な話でございますから私からお答え申し上げます。  生乳十万石と申しますのは相当な数字だと私は思っております。ただ、ことしの一月から始めております学校給食の状況、それからその後におきます地方における学校給食に対します一般的な普及の程度というようなものを考えますと、文部当局の十分な指導協力を得ますれば、私は十万石の追加の消化ということは十分可能な見通しがあると思っております。もちろんこれには努力をいたさなければなりません。各県にそれぞれの予定数量を落しまして、一応各県で学校へミルクを提供いたします生産者団体、あるいは処理をいたします諸君、その他の打ち合せをいたしまして、上へ上げてくる、こういうことに相なるわけでありますが、従来の実績、その後におきます学校給食に対する啓蒙、さらに問題がありますのは、生産者団体がこの学校給食をいわばどういうふうに十分に活用するかというような問題があると思いますが、それらの点を考えますと、追加の十万石の消化はできる、この考えております。ただ、御指摘のように、特に文部省当局のこれに対します十分な指導をお願いをいたしたい、かように考えておるわけでございます。もちろん、先ほどからお話のございます通り、厚生省当局の特に末端におきましての十分な援助は期待をいたしておるわけでありますが、私は、従来からの経験からいたしまして、これは可能である、かように考えております。
  197. 清水康平

    ○清水説明員 既定のなま乳のほかに十万石追加ということについて折衝をいたしておるわけでございますが、いろいろの問題はございますが、私どもといたしましては、農林省と、引き続きましてこれを教育委員会に諮りまして、それで学校長がその土地の乳業者と契約いたすわけでございますが、これは、補食給食なり、あるいは従来の完全給食の脱脂ミルクなどに混入するなり、あるいは希望によりましては脱脂粉乳にかえて飲むなり、できるだけの積極的協力をいたしまして消費するように努力いたしたいと思っておる次第であります。
  198. 中澤茂一

    ○中澤委員 時間もないので、あと蚕糸の問題もあるようですから、いま一点だけ大臣にお伺いしておきますが、どうも私の勘では、九月一日からの値下げ問題がまた出てくると思うのです。これに対して大臣はどういう見通しを持っておるか。また、それに対してどういう対策を考えていくか。そういうことについて今から大臣一つの基本的な考え方があっていいと私は思うのです。これは第二次の引き下げが必ず出てくると思う。それについて大臣から適当な対策なりあるいは行政措置があったら、谷垣さんの方からでも一つ漏らしてもらいたい。
  199. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 今の滞貨につきましても、あるいは百万石相当分と言い、八十万石相当分と言っておりますけれども、われわれの方の推計によりますと、今度従来の予算で処理するもの、今回追加するものと入れますと、市場を圧迫せずに、同時にまた市価を高めずに相当処理し得る、こう思っております。それから、同時に、今中澤君から御指摘のあった通り、生乳二十万石以上の相当の分を買い上げしますから、そうしますと、需給のバランスは一応とれる、こういうふうな見通しであります。そうしますと、これは需給のバランスがよくなっておるのにあえて生乳を買いたたくということは理由が少くなると私は思う。同時に、われわれの方としましては、今の折衝の過程で九月以降の値下げを容認しもしくはこれを含みとしてやっておるわけではございませんから、やはりこれだけの国帑を費してやることですから、業界にも値下げするということは言わせたくない、こういう態度でございます。同時にまた、そのやり方につきましては、従来一方的に押しつけられたということはあるでしょう。けれども、これは今日ではとうてい許されないと思います。そこで、さしあたりはあっせん委員等の制度もありますが、今足鹿君から、さっぱりそういうようなものを引用もしない、活用もしないということで御注意を受けたわけでありますが、今度は、地方の県庁等のあれも動員するし、それからまた、酪農の関係者も、相当深刻な場面に即応いたしましていろいろ考え方も変っております。そういうようなことでありますから、乳価の新規の協定等につきましても公正な立場でこれを持っていく。これは絶対に上げ下げしてはならぬというものではないと私は思っておりますが、少くともそういうことでわれわれとしては公正な結論をここに得るように持っていく。私の気持としましては、今の酪農の危機といいますか、それだけの相当部分を削り取るのですから、そうしますと、平常な需給のバランスがとれる。そうしますと、業界に対しましてえらい圧迫を受ける要因もなくなりますから、そういうことと両面の問題でもって指導して参る。今のところ乳価を決定するという権限は農林大臣も持っておりませんけれども、それだけの措置を講じてこの際の難局を切り抜けて参りたい。そうして、恒久的には、しばしば御論議のありました通り、やはり生産者に対しましては生産費の低減をはかり、同時に、共同処理でもって防衛し得るような処置もとって参りたい。こういうような考え方でありますから、この点を御了承願いたいと思います。
  200. 中澤茂一

    ○中澤委員 あとは答弁は要りませんが、とにかく、今の大臣見解では、乳製品滞貨に対してある程度の買い上げ措置をやる、買い上げ措置をやるから、今度は業界がそれに対して滞貨が多いから原乳を値下げするという理由はなるほど立たなくなる。今までの理由は、滞貨が多くてどうにもならぬ、だから値下げをする、これが唯一の理由なんです。それに対して大臣は現在大蔵省と折衝中のようでありますが、できるだけ滞貨措置を考慮してやって、一応こっちで向うの面子を立ててやって、いよいよその段階がきたときには値下げはまかりならぬ、これだけの強い腹をきめておられるように思いますが、それで九月の値下げを防遏できるならば、私は三浦農政万歳を一同で三唱したいくらいの気持なんです。ですから、その点については、もっと科学的な計数的なこまかい滞貨状況も把握して、連中の原乳値下げをするという蠢動を封殺する対策を今から一つ慎重にお立て願いたい、こう考えておる次第であります。  あとは質問を次の方に譲ります。
  201. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 芳賀君。
  202. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣に伺いますが、政府が具体的にきめられた緊急対策の中で、滞貨乳製品の買い上げの問題、これは時期はいつから実施するのですか。それを行う場合、何ら具体的な条件がそろわないで政府だけが買い上げをするということはできないのではないか。たとえば、六月を水準にした乳価の問題とか、あるいは市乳値下げの問題とか、こういう要件が具備しなければ買い上げ発動ということはできないはずです。ですから、そういう要件の具備と関連して実際の滞貨買い上げはいつからおやりになるのですか。
  203. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 これは、すでに先ほど説明いたしました通り、七、八の買上乳価については六月の水準を堅持するということは、関係者の方の相談の結果、農林省は同意をしてきております。六月の水準はいかんという御議論は別として、そういうようにしてきておりますから、その約束のもとにいくわけであります。残った分はどうかといいますと、八月以降に値下げを名目的にするということが今折衝になっておりまして、今のところ、関係者は話をするという点で小委員会等の決定もしておるわけであります。これは若干の時間はかかるかもしれませんが、この問題が確約を得られますと、すでに政府といたしましては予備金等の打合せも大体了承しておりますから、それとともに閣議決定をしまして、直ちに発動して参る。前提としての、今中澤君からも御指摘になった通りの滞貨等は、もう少し具体的に調査等もしまして、大体予調はしておりますけれども、そういうようなことにして発動して参りますから、早いうちにしたい。少くとも、時期的には、完了をする場合には九月の中ごろまでには完了したいくらいなつもりでございますが、これは業務のことでございますから、それらは、些少の弾力といいますか、ゆとりは見なければなりませんが、大体そういう見込みでございます。
  204. 芳賀貢

    芳賀委員 六、七、八の乳価値下げはしない、その点が第一点ですね。それから、第二点は、九月以降の分に対しても政府としては六月の水準を維持するという見通しをつけることが第二点ですね。第三点は、六大都市の地域内における市乳価格の一円引き下げ、この三つの要件がそろえば、もう即刻二十万石相当分の製品買い上げは発動する、そういうことですか。
  205. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 九月以降の乳価の協定は今まだしておりません。それは今後どういう方針でいくかということについて、先ほどの心がまえでいきたいというんですが、具体的には、七、八の乳価の終局的な決定は、値下げしないということで取りきめられております。第二段の市乳を下げるという問題は、具体的にまだきまっておりませんから、これを詰めまして、そうして、これが向うの関係者の協議の結果、農林省に確約するということになりますれば、直ちに実施に移したい、こういう考えでおるのでございます。
  206. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、夏場乳価の維持と市乳一円引き下げ、この二点がそろえばやるということで、たとえば一円市乳引き下げの問題はなかなか結論が出なくて延びれば、これは条件が整わぬということになるから、買い上げの発動はできないわけですね。
  207. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 われわれの今の折衝の過程では、八月中には話し合いができる、こういう見込みを立てております。それらの確証がないのに、やはり国帑を出して、そうしてただ単に保護するというだけではいかぬことは当然のことでございますから、それらの見合いでもってやりたい、こういうことでございます。
  208. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、一円問題にからんで、それが誠意をもって話し合いをしても延びる、あるいはまた人為的にこれを延ばされる場合もやはり延びるわけですね。そういうことになると、買い上げがだんだんおくれるということになると、メーカーの中にも延びて困る者もあると思うのですが、そういうような状態の中でなぜ一円値下げということに頑強な抵抗があるかということにもなる。ですから、これは、われわれの判断から言うと、日本乳製品協会全体の意思が一円引き下げに対して頑強に抵抗しているということではないと思うのです、内容を分析すれば。この内容の検討というものはどういうことなんですか。延ばした方がいいというメーカーは、どういう条件のもとに、結果的には、究極的には延ばすような抵抗をやっておるのか、それによってまた困るという側はどういう場合に困るか。
  209. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 少し技術的な問題に入って私から答弁さしていただきます。  これは芳賀委員も御存じの通りに、それぞれ各乳業会社の営業の態様というものは違っておりますので、それによって生じまするいろいろな主張の硬弱は当然あるわけでございます。ただ、今の御質問が、八月中における市乳の引き下げという問題が非常に延びる危険があるのではないかという御指摘のようでございますが、私たち、現在まで折衝いたしておりまする一つの腹ごしらえ、また見込みといたしましては、それほどこれは延びないであろうという見通しをいたしております。従いまして、さような前提でこの仕事を進めておるわけでございます。従いまして、これが延びなかった場合にどのようにするか、あるいは乳製品の協会の中におきまするそれぞれの会社の態度はどうかというような問題につきましては、これは従来折衝の間に間々そういう態度は受け取れることはございますし、また、私たちが推量し得るケースも当然あるわけでございますが、今の段階におきましては、やはり全体といたしまして早朝にこれの値下げという形において解決して参りたい、また、解決し得るであろうという、かような考え方で進めておるわけであります。
  210. 芳賀貢

    芳賀委員 私はやはりそこに盲点があると思う。仮定ですが、たとえば滞貨量が非常に少い、そして市乳の取扱い分量が非常に多いというようなメーカーの場合には、これは何も急いでこの問題の解決がされない方がいい。それから、滞貨量が非常に多くて、市乳の取扱い量が少いという場合には、やはりこれは、少しくらい条件が悪くても、メーカー側から見ても、即刻問題の解決をはかって、滞貨処理をして、それを軌道に乗せたいという考え方は、その中にはあるのではないですかね。ですから、乳製品協会を相手に折衝しておるわけなんですが、この協会を代表する、主として大きなメーカーですが、たまたまそれらのメーカーが、私が指摘した前段のメーカーであるような場合には、それはあなた方は幾らがんばっても、二本のおまけぐらいしかならない。ですから、見きわめというものを明らかにして、そして自信を持った態度で折衝していかないと——そういう中でやはり問題を指摘して協力を求める必要があると思うのです。そういうことはほとんどやっていないと思うのです。そういう安易な考えで、延びてもいいというようなメーカーにむしろ叩頭百拝して、こちらから哀願しているというような態度をとっているようにわれわれは見ておる。そういうことではいつまでたってもこれは解決されない。そして、条件の悪いメーカー、特に中小メーカー等これはひどい犠牲を受けると思うのです。そして、究極的に問題が解決して、乳代の今度追加払いをするということになっても、これは大へんだ。そういう点に対しては、明確な分析をして、果して今まで強い態度で折衝してきているかどうか、その点を伺いたい。
  211. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 芳賀委員が御指摘になりましたようなことは、十分承知をいたしまして折衝をいたしております。また、その過程をいろいろ申し上げるべき筋のものではないと思っております。事件をとにかく早く解決するために全力を尽しております。かようなわけであります。
  212. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣にお尋ねしますが、こういう問題を一つ明確にしていただきたい。世論をそこに向ければいい。ここに問題があってなかなか一円値下げができないという、そういうことになれば、即刻これは解決できると思うのです。そういうことをわかっておって局長はやっておるということを言っておるけれども、実はそれはやっていない。ですから、そういうふん切りのつかないことで、結局悪条件に苦しんで滞貨の下積みになっておるような中小メーカーが結果的には非常に犠牲になって、そうして、条件のいい、ストックがなくて市乳の扱い分量が非常に多いというようなメーカーは、これはほくそえんでおるということになる。そういうことであれば、話し合いの相手を変えた方がいいと思う。何も乳製品協会を代表する会長とか何がしという代表だけと折衝しなければならぬということはないと思う。個別折衝もあるでしょうし、そういう頑迷なメーカーは最後に残して、そうして、さっき言ったように、世論の批判のもとでこれを明確にするという方法が必要ではないかと思うのですが、大臣はどう考えますか。
  213. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 これは、個別的折衝もしておりますし、それから、中小関係の方にもいろいろ従来も折衝いたしております。ただ単に大メーカーに三跪九拝するがごとき態度はとっておりません。あらゆる方面にわたって積み重ねて参っておるのでございまして、いろいろ御指摘はありましたが、それらの点を十分心得て、そして今までの折衝を続けてきておりますので、どうもまだ向うからの確約が得られませんから、いろいろ御心配になって、そうはいかぬじゃないかというお話もありますけれども、私たちとしましては、確信を持ってこのことを処理したい、こういうことでございます。  同時にまた、世論ということでございますが、まさか今の方向を皆さんのところでチェックなさるということじゃなくて、むしろわれわれを支持鞭撻してくれている、こう考えているのですが、それらをよく考えつつ進めているわけでございます。
  214. 芳賀貢

    芳賀委員 これは速急にやらないと、また結局悪条件が重なって、九月からの乳価引き下げなんという事態が来ると思うのです。ですから、その時期に至らない前にこの点は抜本的な解決をされなければならぬと思う。特にこの解決がおくれた方がいいというような考えを持っている側を想定した場合は、政府がこういう財政的な配慮をして滞貨の買い上げをするということになると、今後受ける事態は、販売価格に対する政府の指導的干渉とか、あるいは乳価交渉においてもやはり少し弱目に立たなければならぬということも、目先のきく者は考えていますから、いろいろなことを考えて抵抗する場合もあるのです。これは表面は一円くらいどうでもいいというようなこととは違うと思うのです。われわれはあくまでも大臣を鞭撻しますから、さっき非常に元気を出されたあの姿で一生懸命やっていただきたいと思います。  もう一つは、やはり中澤君が指摘した通り、九月以降の乳価はどうなるかという問題です。政府が乳協と折衝されておる中において、九月以降の問題は何も触れてはいないのですから、メーカー側の場合においては夏場限りということで、政府が示したこれらの施策が発動された場合においては夏場乳価に限っては六月の水準を維持しましょう、政府の業績を見て追加払いをしましょうということを条件に向うは答えを出しているのですから、そうなると、明らかに九月以降は値下げがされるということが今から見通されるのですが、それは有権的に下げていかなければならぬという根拠はないにしても、そういう不安というものは今から予見できるのですから、あわせてそれにも備えて乳価維持をはかっていく努力が必要です。それはもちろん臨時国会に酪振法の改正とか必要な制度改正を伴うと思うのでありますが、この点に対して、九月以降の問題が滞貨買い上げの要件にならぬとすれば、なお私たちは心配する。大臣からこの点に対する所信を明確にしてもらいたい。
  215. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 先ほど中澤委員にお答えした通り、九月値下げは容認しておりませんし、同時に、現在折衝の過程におきましても、新しく学校給食等を拡大して参り、同時にまた滞貨に対する処置もとる、さらに今後の問題等もいたしておりますから、そういうようなことはない、こういう前提のもとに進めております。もとより、政府が有権的にこの価格を決定するという現行の機構じゃございませんから何でございますが、今御指摘になりました、あらゆる点につきまして、すでに留意しつつ進めていることでございますから、その辺は御了承いただいて、われわれは最大の努力をして、われわれの悲願とするところに到達したい、こう考えております。
  216. 芳賀貢

    芳賀委員 もう一つ、これは乳価問題とちょっと違いますが、私たちとしてもできるだけ刺激を避けたいと思いますけれども、今雪印乳業とクロバー・バターの合併問題がだいぶ進行しておる。われわれの仄聞するところによると、農林省当局においても熱意を持ってこれを推進されておるというように聞いておる。非常にけっこうなことでありますが、この両者合併というのは多年にわたる懸案であって、アメリカの占領政策によって、これはなま木をさくようにして分割されて今日に至っておるのであります。ただ、これらの問題が実現されたときの不安というものは、独占が進んで、むしろ農民に圧迫を加えるようなことではいけないということで、これは当然であります。そういう不安が完全に起きない、排除されるという見通しがついた場合においては、速急に実現さるべきものであると考えるわけです。この点に対する農林省としての熱意のほど等も一応お示し願いたい。
  217. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 基本的には両者の合併は事情が相当だと考えておりまして、実は農林当局意見はすでに向うに通告してございます。一日も早く合併されることを期待しております。
  218. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうはこの程度にしておきますが、いずれ今月の二十日ごろ委員会が開かれますから、それまでに乳価問題あるいは酪農の緊急対策等に対する答えをすっかり出して、先ほど中澤君が言った通り、三浦さんの手腕、力量というものをわれわれが大いに評価するような答えになるように期待して、終ります。
  219. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 芳賀君の質問関連して、一問だけ中澤君に許します。
  220. 中澤茂一

    ○中澤委員 実は、大臣、業界の一部からこういう意見を僕は聞いたことがあるのですよ。政府がほんとうに本腰を入れて滞貨を見てくれぬなら受乳拒否をやる、こういうことを強力に言ったある業界人がある。受乳拒否をやる、そこまでいけば、私はもうメーカーも背水の陣をしいてやることだと思うのです。受乳拒否という事態が出てくることを好みませんが、しかし、そういう一部業界筋でしかも相当責任ある人がそういうことを言ったんです。だから、そういう事態がもし出てきたと仮定したならば——あるいはこれは、政治的にいやがらせ、政府牽制のためにも一部受乳拒否という問題が私は出てくる危険性があると見ておる。そういう場合は、大臣、どういう処置をとりますか。まかりならぬの一発をぶち込みますかどうですか。
  221. 三浦一雄

    ○三浦国務大臣 今のところそういう形勢はまだ看取はできません。しかし、事態がさようなことになりますと、私は立法上の措置もお願いしたい。少くとも、われわれとしましては、酪農を今日まで発達さしたというのは、これは業界だけじゃないのです。農林省が多年にわたって種畜を提供し、あるいは当時の畜産組合を通じて低利資金を供給し、そうして、衛生上の点から言っても、これを保護助長をしてきた。これを今、ひとり自分たちの力でもって今日の酪農のなにをした、こう考えたのでは大間違いであります。これは国民の正義観念から言ってもとうてい容認できない。同時にまた、現在では、営業の自由を持っておる、憲法上の保障があるというても、公共の利益を害しては、私は成立しないと思う。(「その通り」)いやしくもその形勢があって、それらのことが具体的に出まするならば、皆さんの御協力によって、私は立法の措置もとりまして、いやしくも正当の事由なくしてさようなことをするということになれば、それに対応するだけの立法的措置も講じて参りたい、こう考えます。同時に、今までの折衝の過程におきまして、いろいろな問題をわれわれといたしましてもして参りましたが、やはり向うでも良識を持っておりますから、さような乱暴なことはしないと思うし、同時にまた、今度の私の態度についていろいろ御批判がありましたけれども、今度は全内閣の力でもってこの問題を解決するということにありますことをも御了承いただきたい、こう存じております。
  222. 谷垣專一

    ○谷垣説明員 受乳拒否に関しましては、ただいま大臣が御答弁いたしました通りでございます。そういう事態にならないと思いますが、また、ならないように指導はして参りたいと考えております。
  223. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 蚕糸業に関しましては、先刻の理事会において委員長に一任されました次回の開会の期日、参考人の招致等の問題とあわせてやることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後六時四十九分散会